(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056893
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】掃除機から塵埃を回収する回収装置
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20230413BHJP
A47L 9/00 20060101ALI20230413BHJP
A47L 9/10 20060101ALI20230413BHJP
A47L 5/24 20060101ALI20230413BHJP
A47L 7/02 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A47L9/28 Z
A47L9/00 104
A47L9/10 D
A47L9/28 T
A47L9/28 U
A47L5/24 A
A47L7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166377
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】守屋 浩史
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 裕之
(72)【発明者】
【氏名】小泉 仁世
(72)【発明者】
【氏名】田端 亜南
【テーマコード(参考)】
3B006
3B057
3B062
【Fターム(参考)】
3B006MA03
3B057DA04
3B057DE01
3B057DE06
3B062AG00
(57)【要約】
【課題】掃除機を接続可能に構成された回収装置において、使用者の意図しない吸塵ファンの作動による騒音の発生を抑制する回収装置を提供する。
【解決手段】回収装置200は、掃除機100が接続された状態で、貯塵室152から塵埃回収を行うように構成されている。回収装置200は、塵埃を吸い出す吸引力を発生させる吸塵ファン250と吸塵ファン250を作動させる制御部260と電源ケーブル262とを備える。制御部260は、制御部260に電力が供給されているときに掃除機100が回収装置200に接続されると吸塵ファン250を作動させて、掃除機100が回収装置200に接続されている状態において制御部260に電力供給が開始されると吸塵ファン250を停止させたまま維持する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機が接続された状態において、前記掃除機内の貯塵室から塵埃を吸い出して塵埃回収を行う回収装置であって、
前記貯塵室から塵埃を吸い出す吸引力を発生させる吸塵ファンと、
前記吸塵ファンを作動させる制御部と、
外部電源に接続可能であり外部電源からの電力を前記制御部に伝達する電源ケーブルと、を備え、
前記制御部は、
前記電源ケーブルを通じて電力が前記制御部に供給されている状態で、前記掃除機が前記回収装置に接続されると、前記吸塵ファンを作動させ、
前記掃除機が前記回収装置に接続されている状態で、前記電源ケーブルを通じた前記制御部への電力供給が開始されると前記吸塵ファンを停止させたまま維持する、回収装置。
【請求項2】
前記回収装置は、電流経路をさらに備え、
前記電流経路は、
前記掃除機が前記回収装置に接続されており且つ前記電源ケーブルを通じて前記制御部に電力が供給されているときに通電状態となり、
前記掃除機が前記回収装置に接続されておらず且つ前記電源ケーブルを通じて前記制御部に電力が供給されているときに非通電状態となり、
前記掃除機が前記回収装置に接続されており且つ前記制御部に電力が供給されていないときに通電可能状態となり、
前記制御部は、
前記電流経路が非通電状態から通電状態に切り替わったときに、前記吸塵ファンを作動させ、
前記電流経路が通電可能状態から通電状態に切り替わったときに、前記吸塵ファンを停止させたまま維持する、
請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記回収装置は、前記電流経路に流れる電流を検出可能な接続検出部をさらに備える、
請求項2に記載の回収装置。
【請求項4】
前記掃除機は、前記掃除機を作動させるための電力を蓄えるバッテリと、前記バッテリを充電可能するための充電回路と、を有し、
前記制御部は、前記電源ケーブルを通じて前記制御部に電力が供給されており且つ前記掃除機及び前記回収装置が接続された状態において、前記充電回路に電力を供給して前記バッテリの充電を行う、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機から塵埃を回収する回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、
図9に示すスティック型の掃除機300が開示されている。この掃除機300は、掃除機本体310と、掃除機本体310から下方に延設された吸引管320と、吸引管320の下端に接続された吸込ノズル330と、を備えている。掃除機本体310は、吸込ノズル330を通じて塵埃を吸い込むとともに、吸い込んだ塵埃を貯留するように構成されている。掃除機本体310は、矩形箱状の筐体311を備えている。筐体311は、塵埃を吸引するための吸引力を発生する吸塵源312を収容したファン室315と、フィルタ部313によりファン室315から区画されて、フィルタ部313により捕捉された塵埃を貯留する貯塵室317と、を有している。筐体311には、貯塵室317に貯まった塵埃を排出するための排塵口319が形成されている。
【0003】
特許文献1では、掃除機300の貯塵室317に貯まった塵埃を回収するために、
図10に示す回収装置400が用いられる。回収装置400は、筐体410と、吸引力を発生させる吸塵ファン420と、吸塵ファン420を駆動させる電源回路414と、掃除機300からの塵埃を捕集する集塵室440と、集塵室440から延設された塵埃流路430と、を備えている。塵埃流路430の先端は、掃除機300の排塵口319に接続可能に形成されている。塵埃流路430の先端には、電源回路414を開閉させる接続片431が設けられており、接続片431が排塵口319に接触すると、電源回路414は吸塵ファン420を駆動させる。吸塵ファン420の駆動により、吸塵ファン420の吸引力が塵埃流路430を通じて貯塵室317内の塵埃に作用し、貯塵室317から集塵室440に塵埃が吸引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
掃除機を回収装置に接続して掃除機の塵埃を回収するように構成された回収装置において、回収装置の電源ケーブルが外部電源に接続された状態において、掃除機を回収装置に接続するような場合には、使用者が回収装置による塵埃回収を望んでいる蓋然性が高い。一方で、掃除機が回収装置に接続された状態において、使用者が回収装置による塵埃回収を意図せずに電源ケーブルを外部電源に接続するような場合や、外部電源からの電力供給が一時的に中断した後に復旧するような場合には、使用者にとって回収装置による塵埃回収が行われない方が好ましい。しかし、特許文献1の回収装置では、掃除機が回収装置に接続された状態において、回収装置の電源ケーブルが外部電源に接続されて電力供給が開始された場合には、使用者が意図せずに吸塵ファンが作動し塵埃回収が行われてしまう。このとき、吸塵ファンの作動によって、使用者に不快感を与えるような騒音が生じる虞がある。
【0006】
本発明は、使用者の意図しない吸塵ファンの作動による騒音の発生を抑制する回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示における回収装置は、掃除機が接続された状態において、前記掃除機内の貯塵室から塵埃を吸い出して塵埃回収を行う回収装置である。前記回収装置は、前記貯塵室から塵埃を吸い出す吸引力を発生させる吸塵ファンと、前記吸塵ファンを作動させる制御部と、外部電源に接続可能であり外部電源からの電力を前記制御部に伝達する電源ケーブルと、を備えている。前記制御部は、前記電源ケーブルを通じて電力が前記制御部に供給されている状態で、前記掃除機が前記回収装置に接続されると、前記吸塵ファンを作動させ、前記掃除機が前記回収装置に接続されている状態で、前記電源ケーブルを通じた前記制御部への電力供給が開始されると前記吸塵ファンを停止させたまま維持する。
【0008】
使用者が掃除機及び回収装置を使用する場合には、通常、掃除機による清掃作業を終えた後に、塵埃回収の実行を意図して、掃除機を回収装置に接続する。また、回収装置は、通常、電源ケーブルを外部電源に接続したままの状態で使用されている。すなわち、電源ケーブルが外部電源に接続されたまま状態のときに、掃除機が回収装置に接続された場合には、使用者が塵埃回収を意図している蓋然性が高く、吸塵ファンを作動させることが好ましい。
【0009】
一方で、使用者が掃除機により清掃作業とは無関係に、掃除機が回収装置に接続された状態で、電源ケーブルを外部電源に接続することが有り得る。または、掃除機が接続されており且つ電源ケーブルから電力が供給されている回収装置において、停電等により外部電源からの電力供給が一時的に停止された後に電力供給が復旧する場合には、掃除機が回収装置に接続された状態で、電源ケーブルを通じて制御部に電力供給が開始される。これらの場合には、使用者は塵埃回収を意図しておらず、吸塵ファンを作動させないことが好ましい。
【0010】
上述のように構成された回収装置では、電源ケーブルを通じて制御部に電力が供給されている状態において掃除機が回収装置に接続されると、吸塵ファンが作動して塵埃回収が行われる。すなわち、使用者が塵埃回収を意図している状況において、回収装置による塵埃回収が行われるように構成されている。この回収装置ではさらに、掃除機が回収装置に接続されている状態において電源ケーブルを通じて制御部に電力供給が開始されると、吸塵ファンが停止したまま維持されて塵埃回収は行われない。すなわち、使用者が塵埃回収を意図していない状況において、回収装置による塵埃回収が行われないように構成されている。これにより、使用者が意図していない吸塵ファンの作動が防止されて、塵埃回収による騒音の発生を防止できる。
【0011】
前記回収装置は、電流経路をさらに備えてもよい。前記電流経路は、前記掃除機が前記回収装置に接続されており且つ前記電源ケーブルを通じて前記制御部に電力が供給されているときに通電状態となってもよく、前記掃除機が前記回収装置に接続されておらず且つ前記電源ケーブルを通じて前記制御部に電力が供給されているときに非通電状態となってもよく、前記掃除機が前記回収装置に接続されており且つ前記制御部に電力が供給されていないときに通電可能状態となってもよい。前記制御部は、前記電流経路が非通電状態から通電状態に切り替わったときに、前記吸塵ファンを作動させてもよく、前記電流経路が通電可能状態から通電状態に切り替わったときに、前記吸塵ファンを停止させたまま維持してもよい。
【0012】
この態様では、掃除機を回収装置に接続されることによって電流経路が通電状態になる場合には塵埃ファンが作動する一方で、電源ケーブルを外部電源に接続することによって電流経路が通電状態になる場合には吸塵ファンは作動しない。したがって、通電状態に切り替えわる前の電流経路の状態に応じて、塵埃ファンの作動を制御できる。
【0013】
前記回収装置は、前記電流経路に流れる電流を検出可能な接続検出部をさらに備えていてもよい。この態様では、接続検出部が電流経路の電流を検出することにより、電流経路が通電状態に切り替わったことを判定できる。
【0014】
前記掃除機は、前記掃除機を作動させるための電力を蓄えるバッテリと、前記バッテリを充電可能するための充電回路と、を有していてもよい。前記制御部は、前記電源ケーブルを通じて前記制御部に電力が供給されており且つ前記掃除機及び前記回収装置が接続された状態において、前記充電回路に電力を供給して前記バッテリの充電を行うように構成されていてもよい。この態様では、掃除機が回収装置に接続されているときに、掃除機のバッテリ充電を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
上述の回収装置によれば、使用者の意図しない吸塵ファンの作動による騒音の発生を抑制する回収装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図7】回収装置及び掃除機の接続回路の概略的な機能構成図
【
図10】従来の掃除機及び回収装置の概略的な斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明するが、当業者の理解を容易にするために、例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0018】
(掃除機の全体的な構造)
図1は、スティック型の掃除機100の概略的な断面図である。
図2は、掃除機100の正面図である。
図1及び
図2を参照して、掃除機100を説明する。
【0019】
掃除機100は、
図1に示すように、床面上の塵埃を吸い込む吸込ノズル130と、吸込ノズル130に取り付けられた掃除機本体110と、掃除機本体110の上端112から上方に延設された把持部140と、を備えている。掃除機本体110及び把持部140は、吸込ノズル130に対して前後方向に傾動可能に取り付けられている。
図1及び
図2において、掃除機本体110及び把持部140は、吸込ノズル130に対して直立した姿勢をとっており、この直立姿勢より前方には傾動しない。掃除機100の使用時には、掃除機本体110及び把持部140は、吸込ノズル130に対して後方に傾動した姿勢で使用者によって保持される。
【0020】
吸込ノズル130は、塵埃を吸い込むための幅広の吸込空間131を形成するように、掃除機本体110よりも幅広のノズルケース132を備えている。吸込空間131は、ノズルケース132の前側部分において、床面に向けて開口している。この開口部分の後側では、吸込空間131は、ノズルケース132の底部134により閉じられている。吸込空間131には、回転式の掻取ブラシ133が配置されており、掻取ブラシ133は、吸込空間131の開口を通じて床面に接触可能にノズルケース132から露出している。
【0021】
掃除機本体110は、
図2に示すように、上下方向に細長い円筒状の筐体111を有している。筐体111の下端は、掃除機本体110の前後方向の傾動を許容するように、ノズルケース132の後部に取り付けられている。筐体111の上部は、筐体111の上端112に向けて細くなっており、上端112から把持部140が上方に延設されている。把持部140は、使用者により握持される太さを有している棒状の部分である。把持部140には、
図2に示すように、使用者によって操作される操作部141(操作ボタン)が設けられている。
【0022】
筐体111は、床面上の塵埃を吸い上げるとともに吸い上げた塵埃を貯留するための様々な部品を内蔵するように構成されている。詳細には、筐体111内には、筐体111の上部に配置されたファン室153と、ファン室153の下側に配置された貯塵室152と、貯塵室152の下側に配置されており上下方向に延設された吸引管113と、が設けられている。ファン室153と、貯塵室152と、吸引管113とは互いに連通している。
【0023】
ファン室153には、床面上の塵埃を掃除機100内に吸い込むために上向きの吸引気流を生じさせる吸引ファン116と、吸引ファン116に電力を供給するバッテリ117と、バッテリ117を充電するための充電回路170と、が配置されている。吸引ファン116は、使用者の操作部141に対する操作に応じて、作動したり停止したりする。
【0024】
筐体111の前壁には、ファン室153と連通するように形成された排気口151と、排気口151の上側に配置された電気接点171と、磁性板173と、が設けられている。吸引ファン116の吸引力によって生じた吸引気流は、排気口151を通じて、ファン室153から掃除機100外に排気される。
【0025】
電気接点171は、バッテリ117(
図1参照)を充電するための充電回路170と電気的に接続されており、後述する回収装置200の接触部283と接触させるための一対の端部を有している。磁性板173は、後述する回収装置200の保持部297に当接するように形成されている。
【0026】
貯塵室152内には、
図3に示すように、下向きに開口する容器状のフィルタ部115が配置されている。フィルタ部115は、吸引ファン116による吸引気流の通過を許容する一方で、吸引気流に含まれた塵埃を捕捉可能に構成されている。フィルタ部115は、例えば、不織布フィルタにより構成されている。貯塵室152内には、フィルタ部115によって捕捉された塵埃が貯留される。
【0027】
貯塵室152には、筐体111の前壁において開口する排塵口124と、排塵口124を開閉するための回動可能に形成された蓋体121と、が設けられている。蓋体121が直立して配置されている場合には、排塵口124は閉じられた閉姿勢となる。一方で、蓋体121が閉姿勢の状態から所定の角度(90°以下の回動角度)だけ下方に回動している場合には、排塵口124は開いた開姿勢となる。フィルタ部115内に貯留されている塵埃は、排塵口124を通じてフィルタ部115外に排出される。
【0028】
筐体111の下部に内蔵された吸引管113は、
図1に示すように、筐体111内で固定されており、掃除機本体110が直立姿勢(
図1に示す姿勢)から後方に傾動すると、筐体111とともに後方に傾動する。掃除機本体110が直立姿勢にあるときには、吸引管113の下端は、ノズルケース132の底部134に当接した状態になっている。すなわち、掃除機本体110が直立姿勢にあるときにおいて、吸引管113の下端は、ノズルケース132の底部134によって閉じられている。掃除機本体110が直立姿勢から後方に傾動すると、吸引管113の下端は底部134に当接しない方向(
図1に矢印Aで示す方向)に移動する。この結果、吸引管113の内部空間は、ノズルケース132の吸込空間131に連通した状態になる。
【0029】
吸引管113の上端には、吸引ファン116が作動していないときにおいて吸引管113の上端を塞ぐ逆止弁114が取り付けられている。逆止弁114は、吸引ファン116の上向きの吸引力により変形して、吸引管113の上端の開口を開放するように構成されている。
【0030】
(回収装置の全体的な構造)
貯塵室152に貯留された塵埃は、
図4に示すように、掃除機100と接続した状態の回収装置200により回収され得る。詳細には、回収装置200は、筐体210と、台座板220と、塵埃流路230と、回収室240と、吸塵ファン250と、制御部260と、電源ケーブル262と、を備えている。台座板220の前部には筐体210が据え付けられており、後部には掃除機100が載置される。
【0031】
筐体210内には、掃除機100の貯塵室152から塵埃を流入させる塵埃流路230が設けられている。塵埃流路230は、掃除機100から回収した塵埃を集積させる回収室240における後面に接続されている。吸塵ファン250は回収室240の下方に配置されており、制御部260の制御下において塵埃を吸引する吸引力を発生させて、貯塵室152から回収室240に塵埃を吸い出す回収気流を発生させるように構成されている。制御部260には、外部電源に接続可能な電源ケーブル262が接続されている。
【0032】
筐体210の両側面には、外部から筐体210内に空気を流入させる吸気口234と、筐体210内から外部に空気を流出させる排気口235と、が設けられている。吸気口234及び排気口235は、筐体210を貫通するように形成された多数の小孔である。
【0033】
筐体210の後面には、
図5に示すように、掃除機本体110を接続可能に形成された接続壁214が形成されている。筐体210の下部には、
図4に示すように、掃除機100が回収装置200に接続されたときに吸込ノズル130が筐体210に干渉しないように吸込ノズル130を収容するための収容空間213が形成されている。
【0034】
筐体210の接続壁214には、
図6に示すように、上下方向に延びる凹溝部215と、一対の端部を有する接触部283と、保持部297と、通気口236と、回収口216と、が配置されている。
【0035】
凹溝部215は、
図5に示すように、掃除機本体110の前側部分と相補的に形成されており、直立姿勢の掃除機本体110の前側部分が嵌め込み可能である。掃除機本体110の前側部分が凹溝部215に嵌め込まれることにより、掃除機本体110は、回収装置200に対して左右方向に位置決めされる。
【0036】
接触部283は、
図6に示すように、掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれた状態において電気接点171に対向するように配置されており、接続壁214に形成された図略の穴部において出没可能な一対の端子により構成されている。接触部283は、前記穴部から突出する方向に付勢されており、掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれた状態において電気接点171と接触して、接触部283と電気接点171とが電気的に接続される。一方で、掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれていない状態では、接触部283は電気接点171に対して電気的に絶縁された状態となる。
【0037】
保持部297は、掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれた状態において磁性板173と対向する位置に配置されている。保持部297は、例えば、磁性板173を磁気的に吸着可能な磁石材料によって構成されている。保持部297と磁性板173間において作用する磁力により、掃除機本体110は回収装置200に対して上下方向及び左右方向に位置決めされる。この磁力は、回収装置200に接続された掃除機本体110の接続状態を保持する保持力となる。掃除機本体110が凹溝部215に嵌め込まれた状態では、回収装置200に対する掃除機100の位置及び姿勢が保持される。
【0038】
通気口236は、
図4に示すように、掃除機100が回収装置200に接続された状態において、排気口151に対向して形成されている。通気口236及び排気口151を通じて、ファン室153は筐体210の内部空間に連通する。筐体210の内部空間には、
回収室240と筐体210の周壁部271との間において、吸気口234からの回収気流をファン室153に流入させるための吸気流路246(
図4の矢印)が形成される。
【0039】
回収口216は、
図3に示すように、掃除機100が回収装置200に接続された状態において排塵口124に対向するように形成されており、排塵口124及び回収口216を通じて貯塵室152内から塵埃流路230に回収気流を流すことができる。回収口216は、
図3に矢印で示す方向に回動して開姿勢となった蓋体121を収容可能に形成されている。
【0040】
回収室240内には、
図4に示すように、掃除機100から回収した塵埃を集積させるための空間が形成されている。回収室240の底壁245には、回収室240内の空間と吸塵ファン250とを連通する円形の連通口が形成されている。連通口には、
図5に示すように、空気の通過を許容する一方で通過する空気に含まれた塵埃を捕捉する除塵フィルタ247が取り付けられている。
【0041】
吸塵ファン250は、除塵フィルタ247を通じて回収室240内の空気を吸い込むように構成されている。吸塵ファン250の吸引力は、掃除機100が回収装置200に接続された状態において、回収室240及び塵埃流路230を通じて、掃除機100の蓋体121に作用する。吸塵ファン250は、蓋体121を閉姿勢から開姿勢に傾動させつつ貯塵室152内の塵埃を吸引する大きさの吸引力が得られるように構成されている。吸塵ファン250は、例えば、ファン及びモータにより構成されている。
【0042】
吸塵ファン250に吸引された空気は、吸塵ファン250と周壁部271との間に形成された空間に流入して、排気口235を通じて筐体210の外部に排気される。すなわち、掃除機100及び回収装置200では、吸気口234を上流端として、ファン室153、貯塵室152、塵埃流路230、回収室240及び吸塵ファン250を通過して、排気口235を下流端とするような流路が形成される。この流路には、吸塵ファン250の吸引力により、
図4に矢印で示す回収気流が生じる。
【0043】
(検出回路の構成)
掃除機100が回収装置200に接続された状態では、
図7に示すように、掃除機本体110に設けられた回路201と回収装置200に設けられた回路202とによって、掃除機本体110が回収装置200に接続されたことを検出するための接続回路203が形成される。以下、接続回路203について具体的に説明する。
【0044】
回収装置200の回路202には、制御部260と接触部283とを電気的に接続する第1電流経路284と、第1電流経路284の電流を検出する接続検出部286とが配置されている。制御部260には、吸塵ファン250と電源ケーブル262とがそれぞれ電気的に接続されている。掃除機100の回路201には、充電回路170と電気接点171とを電気的に接続する第2電流経路172が配置されている。充電回路170にはバッテリ117が電気的に接続されており、バッテリ117には吸引ファン116が電気的に接続されている。
【0045】
掃除機100が回収装置200に接続された状態では、接触部283と電気接点171との接触により、第1電流経路284及び第2電流経路172が電気的に接続されて、制御部260と充電回路170とをつなぐような接続回路203が形成される。このとき、制御部260に電源ケーブル262からの電力供給があれば、第1電流経路284及び第2電流経路172に電流が流れて、接続検出部286は第1電流経路284に流れる電流を検出する。制御部260は、接続検出部286が第1電流経路284に流れる電流を検出することにより、掃除機100が回収装置200に接続されたことを判定する。接続検出部286が第1電流経路284を流れる電流を検出したときの第1電流経路284の状態を「通電状態」と呼称する。
【0046】
なお、回収装置200では、接続検出部286による電流検出により、掃除機100が回収装置200に接続されたことが判定されなくてもよい。例えば、回収装置200には、掃除機100が回収装置200に接続されたことを物理的に検出するためのスイッチが設けられている。このスイッチは、凹溝部215に設けられた穴部に出没可能に形成されており、制御部260は、掃除機100が回収装置200に接続されたときに、前記スイッチが掃除機本体110によって押し込まれたことを検出することができる。この場合、制御部260は、前記スイッチが掃除機本体110によって押し込まれることによって、掃除機100が回収装置200に接続されたことを判定する。
【0047】
接続回路203において、制御部260に電源ケーブル262から電力が供給されているものの掃除機100が回収装置200に接続されていない場合には、第1電流経路284には電流が流れない。このような状態を「非通電状態」と呼称する。第1電流経路284が非通電状態のときには、掃除機100を回収装置200に接続することにより、第1電流経路284は通電状態に切り替わる。
【0048】
接続回路203において、掃除機100が回収装置200に接続されており且つ制御部260に電源ケーブル262から電力が供給されていない場合には、第1電流経路284には電流が流れない。このような状態を「通電可能状態」と呼称する。第1電流経路284が通電可能状態のときには、電源ケーブル262を外部電源につなぐことにより、第1電流経路284は通電状態に切り替わる。
【0049】
制御部260は、第1電流経路284が非通電状態から通電状態に切り替わったときに、吸塵ファン250を作動させる。制御部260はさらに、第1電流経路284が通電可能状態から通電状態に切り替わったときに、吸塵ファン250を停止させたまま維持する。すなわち、回収装置200において電源ケーブル262から制御部260に電力供給されているときには、掃除機100を回収装置200に接続することにより、吸塵ファン250が作動する(非通電状態から通電状態への切り替え)。一方で、回収装置200において掃除機100が回収装置200に接続されているときに、制御部260への電源ケーブル262からの電力供給が開始されると、吸塵ファン250は停止されたまま維持される(通電可能状態から通電状態への切り替え)。
【0050】
回収装置200ではさらに、第1電流経路284が通電状態のときに、制御部260が充電回路170にバッテリ117を充電させるように構成されている。
【0051】
(清掃作業時における掃除機の動作の説明)
掃除機100は、清掃作業時において、吸込ノズル130に対して掃除機本体110及び把持部140が後方に傾斜した姿勢で、使用者に保持される。吸込ノズル130に対して掃除機本体110及び把持部140が後方に傾斜した姿勢にすることで、吸込ノズル130を押しながら前方に移動させ易くなる。この状態において、吸引管113の内部空間は、吸込ノズル130の吸込空間131と連通している。
【0052】
使用者が操作部141を操作して、吸引ファン116を作動させると、吸引ファン116は、上向きの吸引力を発生させる。この吸引力により、逆止弁114は、吸引管113の上端を開く。吸引管113の上端が開かれると、吸引ファン116の吸引力は、吸込ノズル130の吸込空間131を通じて塵埃を吸引する吸引気流を生じさせる。吸引気流は、吸込ノズル130及び吸引管113を通過し、貯塵室152に流入する。床面上の塵埃は、吸引気流に乗って貯塵室152に流入し、貯塵室152に配置されたフィルタ部115により捕捉される。フィルタ部115により捕捉された塵埃は、貯塵室152内で貯留される。
【0053】
清掃作業が終了すると、使用者は操作部141を操作して、吸引ファン116を停止させる。この結果、吸引ファン116の吸引力はなくなるので、逆止弁114は、吸引管113の上端を閉じる。したがって、フィルタ部115により捕捉された塵埃は、吸引管113内に落下することなく貯塵室152内に貯留される。
【0054】
(回収装置の動作及び制御方法の説明)
使用者は、貯塵室152に貯まった塵埃を回収するために、
図4に示すように、掃除機100を回収装置200に取り付ける。詳細には、使用者が掃除機100を回収装置200の台座板220上に設置すると、掃除機本体110及び把持部140が直立姿勢になる。直立姿勢の掃除機本体110が回収装置200の凹溝部215に嵌め込まれるた状態では、蓋体121が回収口216と対向し、掃除機100のファン室153が排気口151を通じて回収装置200の吸気流路246と連通する。
【0055】
掃除機100が回収装置200に接続された状態では、接触部283が掃除機本体110により周壁部271の内側に押し込まれて、接触部283は接続壁214の穴部内に没入する。この状態では、接触部283が電気接点171に接触することにより、第1電流経路284が第2電流経路172に電気的に接続されて、接続回路203が形成される。このとき、電源ケーブル262を通じて制御部260にへの電力供給により、接続回路203に電流が流れる。接続検出部286は、接続回路203の第1電流経路284を流れる電流を検出して、掃除機100が回収装置200に接続されたことを示す接続検出信号を制御部260に送信する。
【0056】
制御部260は、接続検出部286からの接続検出信号を受け付けると、第1電流経路284の状態がどのように切り替わったかを判定する。制御部260は、第1電流経路284が非通電状態から通電状態に切り替わったと判定したときには、吸塵ファン250を所定の期間作動させて、回収装置200による塵埃回収を実行する。一方で、制御部260は、第1電流経路284が通電可能状態から通電状態に切り替わったと判定したときには、吸塵ファン250を停止させたまま維持する。
【0057】
ここで、電源ケーブル262が外部電源に接続されてから回収装置200が待機モードになるまでの制御部260の制御方法について、
図8を参照しつつ説明する。
【0058】
電源ケーブル262が外部電源に接続されると、電源ケーブル262を通じて制御部260に電力が供給される(ステップST100)。この電力供給により、制御部260が起動する(ステップST120)。起動した制御部260は、接続検出部286からの接続検出信号の有無により、掃除機100と回収装置200との接続状態を判定する(ステップST200)。
【0059】
制御部260は、接続検出部286から接続検出信号を受け付けた場合に、第1電流経路284が通電可能状態から通電状態に切り替わったと判定する(ステップST220)。この場合、制御部260は吸塵ファン250を停止させたまま維持し(ステップST240)、充電回路170に電力を供給してバッテリ117を充電させる(ステップST260)。バッテリ117の充電が完了すると、制御部260は、回収装置200を待機モードに切り替える(ステップST400)。待機モードとは、第1電流経路284が通電状態であり且つバッテリ117の充電が完了している状態である。一方で、制御部260は、接続検出部286から接続検出信号を受け付けなかった場合に、第1電流経路284が非通電状態のまま維持されていると判定する(ステップST300)。
【0060】
第1電流経路284が非通電状態のまま維持されていると判定された場合、制御部260は、接続検出部286からの接続検出信号の有無により、掃除機100が回収装置200から外されたままの状態か否かを判定する(ステップST320)。制御部260は、接続検出部286から接続検出信号を受け付けなかった場合に、掃除機100が回収装置200から外されたままの状態であると判定し、接続を検出するための判定(ステップST320)が繰り返される。一方で、制御部260は、接続検出部286から接続検出信号を受け付けた場合に、第1電流経路284が非通電状態から通電状態に切り替えられたと判定する(ステップST340)。
【0061】
第1電流経路284が非通電状態から通電状態に切り替えられたと判定された場合、制御部260は吸塵ファン250を作動させる(ステップST360)。その後、制御部260は充電回路170を通じたバッテリ117への給電によりバッテリ117を充電する(ステップST380)。バッテリ117の充電が完了すると、制御部260は、回収装置200を待機モードに切り替える(ステップST400)。
【0062】
ステップST360において吸塵ファン250が作動すると、吸塵ファン250には吸引力が生じる。この吸引力は、回収室240及び塵埃流路230を通じて、回収口216に対向する蓋体121に作用する。これにより、蓋体121は、
図3に示すように、排塵口124を閉じるような閉姿勢から下方に傾動して、排塵口124を開くような開姿勢となる。
【0063】
蓋体121が下方に傾動すると排塵口124が開放されて、塵埃流路230と、貯塵室152と、ファン室153と、吸気流路246とが互いに連通する。このため、吸塵ファン250の吸引力が、回収室240、塵埃流路230、貯塵室152、ファン室153及び吸気流路246を通じて、吸気流路246の吸気口234に作用する。これにより、
図4に矢印で示すように、吸気口234を通じて吸気流路246に外気が流入し、吸気流路246内では、吸気口234から通気口236に向かうような回収気流が生じる。この回収気流は、通気口236及び排気口151を順次通過してファン室153及び貯塵室152に順次流入する。この回収気流は、貯塵室152を通過する際に、貯塵室152内の塵埃を排塵口124から流出させる。
【0064】
排塵口124から流出した塵埃は、回収気流に乗って、回収口216及び塵埃流路230を順次通過して、回収室240内に流入する。回収室240内では、流入した塵埃が、除塵フィルタ247によって捕捉される。回収室240には除塵フィルタ247によって捕捉された塵埃が貯留される。除塵フィルタ247を通過した回収気流は、排気口235から回収装置200の外部に排気される。
【0065】
(効果等)
掃除機100及び回収装置200の使用時には、通常、使用者は、掃除機100による清掃作業を終えた後に塵埃回収の実行を意図して、掃除機100を回収装置200に接続する。回収装置200は、電源ケーブル262を外部電源に接続した状態で使用される。すなわち、電源ケーブル262が外部電源に接続された状態において掃除機100が回収装置200に接続された場合には、使用者が、掃除機100から回収装置200への塵埃回収を意図している蓋然性が高い。この場合には、吸塵ファン250が作動して塵埃回収が行われることが好ましい。
【0066】
一方で、掃除機100による清掃作業とは関係なく、掃除機100が回収装置200に接続された状態で、使用者により電源ケーブル262が外部電源に接続されることが有り得る。または、掃除機100が回収装置200に接続された状態において、停電等により外部電源からの電力供給が一時的に停止され、その後、停電からの復旧により外部電源から電力供給が再開されることが有り得る。この場合には、使用者が、掃除機100から回収装置200への塵埃回収を意図していない蓋然性が高く、吸塵ファン250が作動しないことが好ましい。
【0067】
上述のように構成された回収装置200では、電源ケーブル262を通じて制御部260に電力が供給された状態において、掃除機100が回収装置200に接続されると、吸塵ファン250の作動により塵埃回収が行われる。すなわち、使用者が塵埃回収を意図している状況において、回収装置200による塵埃回収が行われるように構成されている。一方で、掃除機100が回収装置200に接続された状態において、制御部260に電力供給が開始されると、吸塵ファン250は停止されたまま維持される。すなわち、使用者が塵埃回収を意図していない状況では、回収装置200による塵埃回収は行われない。これにより、使用者が意図していない吸塵ファン250の作動は防止されて、塵埃回収による騒音の発生を防止できる。
【0068】
回収装置200ではさらに、回収装置200が外部電源に接続された状態において、掃除機100が回収装置200に接続されることにより、バッテリ117の充電を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
上述の実施形態の回収装置は、清掃作業に用いられる装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0070】
100 掃除機
117 バッテリ
152 貯塵室
170 充電回路
200 回収装置
250 吸塵ファン
260 制御部
262 電源ケーブル
284 第1電流経路(電流経路)
286 接続検出部