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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056964
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】洗浄組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20230413BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230413BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20230413BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230413BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230413BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230413BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20230413BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20230413BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A61K8/36
A61Q19/10
A61K8/44
A61K8/39
A61K8/81
A61Q5/02
C11D1/04
C11D1/90
C11D3/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166501
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】関 百華
(72)【発明者】
【氏名】升田 賢太
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB352
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC422
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD112
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD202
4C083AD212
4C083AD282
4C083AD332
4C083AD532
4C083AD642
4C083AD662
4C083BB34
4C083BB36
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4H003AB03
4H003AB10
4H003AC03
4H003AD04
4H003BA12
4H003DA02
4H003DC02
4H003EA03
4H003EA21
4H003EB03
4H003EB05
4H003EB19
4H003EB28
4H003EB42
4H003ED02
4H003FA21
4H003FA26
4H003FA28
(57)【要約】
【課題】洗浄中や洗浄後に感じるきしみを効果的に改善できる洗浄組成物を提供する。
【解決手段】(A)高級脂肪酸及び/又はその塩、(B)アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、及びポリグリセリルアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、並びに(C)モル比で35%以上の陽イオン性構成単位を含む陽イオン性水溶性高分子を含有する、洗浄組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)高級脂肪酸及び/又はその塩、
(B)アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、及びポリグリセリルアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、並びに
(C)モル比で35%以上の陽イオン性構成単位を含む陽イオン性水溶性高分子
を含有する、洗浄組成物。
【請求項2】
上記陽イオン性構成単位が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド及び/又はメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドである、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項3】
上記(A)の含有量が、洗浄組成物全量に対して、10~45質量%である、請求項1又は2に記載の洗浄組成物。
【請求項4】
上記(B)の含有量が、洗浄組成物全量に対して、0.5~15質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項5】
上記(C)の含有量が、洗浄組成物全量に対して、0.001~5質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項6】
pHが、7.0~12.5である、請求項1~5のいずれか一項に記載の洗浄組成物。
【請求項7】
洗浄組成物に、(A)高級脂肪酸及び/又はその塩、(B)アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、及びポリグリセリルアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、並びに(C)モル比で35%以上の陽イオン性構成単位を含む陽イオン性水溶性高分子を配合することを特徴とする、洗浄中及び/又は洗浄後のきしみを改善する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄組成物に関する。より詳細には、洗浄中や洗浄後に感じるきしみを効果的に改善できる洗浄組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高級脂肪酸を含有する石鹸系洗浄組成物は、洗浄性が高く、さっぱりとした使用感が得られる一方、皮膚等を洗浄している間や洗浄した後にきしみを感じやすいという問題があった。
【0003】
従来、高級脂肪酸に起因するきしみを改善するため、各種の洗浄組成物が提案されている。例えば、特許文献1には、高級脂肪酸に対して、特定のN-アルキル又はアルケニルクエン酸アミドを配合した洗浄剤組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08-302387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これまでに提案されてきた処方設計では、高級脂肪酸に起因するきしみを十分に改善できない場合があり、更なる処方開発が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、高級脂肪酸に起因するきしみを効果的に改善できる洗浄組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記事情に鑑みて鋭意検討を進めた結果、意外にも、高級脂肪酸に対し、特定の界面活性剤と特定の陽イオン性水溶性高分子を配合することによって、高級脂肪酸に起因するきしみを効果的に改善できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[7]を提供する。
[1](A)高級脂肪酸及び/又はその塩、(B)アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、及びポリグリセリルアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、並びに(C)モル比で35%以上の陽イオン性構成単位を含む陽イオン性水溶性高分子を含有する、洗浄組成物。
[2]上記陽イオン性構成単位が、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド及び/又はメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドである、[1]に記載の洗浄組成物。
[3]上記(A)の含有量が、洗浄組成物全量に対して、10~45質量%である、[1]又は[2]に記載の洗浄組成物。
[4]上記(B)の含有量が、洗浄組成物全量に対して、0.5~15質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の洗浄組成物。
[5]上記(C)の含有量が、洗浄組成物全量に対して、0.001~5質量%である、[1]~[4]のいずれかに記載の洗浄組成物。
[6]pHが、7.0~12.5である、[1]~[5]のいずれかに記載の洗浄組成物。
[7]洗浄組成物に、(A)高級脂肪酸及び/又はその塩、(B)アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、及びポリグリセリルアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、並びに(C)モル比で35%以上の陽イオン性構成単位を含む陽イオン性水溶性高分子を配合することを特徴とする、洗浄中及び/又は洗浄後のきしみを改善する方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高級脂肪酸に起因するきしみを効果的に改善できる洗浄組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において「X及び/又はY(X,Yは任意の構成)」とは、X及びYの少なくとも一方を意味するものであって、Xのみ、Yのみ、X及びY、の3通りを意味するものである。
【0011】
<洗浄組成物>
本発明の実施形態に係る洗浄組成物は、(A)高級脂肪酸及び/又はその塩、(B)アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、及びポリグリセリルアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、並びに(C)モル比で35%以上の陽イオン性構成単位を含む陽イオン性水溶性高分子、を含有する洗浄組成物である。
【0012】
〔(A)高級脂肪酸及び/又はその塩〕
本発明の実施形態に用いられる(A)成分は、通常、外用組成物又は化粧料に用いられる高級脂肪酸及び/又はその塩であれば、特に制限なく用いることができる。
【0013】
(A)成分としては、例えば、炭素数10以上の高級脂肪酸及び/又はその塩が挙げられる。(A)成分の具体例としては、以下に限定されないが、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等の直鎖状飽和脂肪酸;ウンデレシン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、バクセン酸、エライジン酸、リシノール酸、ペトロセリン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の不飽和脂肪酸;イソパルミチン酸、イソステアリン酸等の分岐状脂肪酸;ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸等の混合脂肪酸;12-ヒドロキシステアリン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
【0014】
高級脂肪酸の塩としては、以下に限定されないが、例えば、カリウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等の金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、アミノメチルプロパノール塩、トロメタミン塩等のアミン塩等が挙げられる。
【0015】
上記(A)成分のなかでも、本発明の効果を顕著に奏する観点から、(A)成分として、炭素数12~18の高級脂肪酸及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい。本発明の効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい。また、(A)成分として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びそれらの塩からなる群より選択される2種以上を含有することも好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びそれらの塩からなる群より選択される3種以上を含有することも好ましい。
【0016】
なお、高級脂肪酸塩は、高級脂肪酸塩として洗浄組成物に配合してもよく、また、高級脂肪酸と塩基とをそれぞれ独立して配合し、当該組成物中で高級脂肪酸塩を形成させてもよい。
【0017】
(A)成分の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、洗浄組成物全量に対して、例えば、10~45質量%が好ましく、15~42質量%がより好ましく、18~40質量%が更により好ましい。
【0018】
〔(B)アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、及びポリグリセリルアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤〕
本発明の実施形態に用いられる(B)成分は、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、及びポリグリセリルアルキルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である。
【0019】
アルキルベタインとしては、例えば、ヤシ油アルキルベタイン(ココベタイン)、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0020】
アルキルアミドプロピルベタインとしては、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン(ミリスタミドプロピルベタイン)、ウンデシレナミドプロピルベタイン等が挙げられる。
【0021】
ポリグリセリルアルキルエーテルとしては、例えば、ポリグリセリル-4ラウリルエーテル、ポリグリセリル-4ミリスチルエーテル、ポリグリセリル-4ヤシ油アルキルエーテル、ポリグリセリル-4パーム核油アルキルエーテル等が挙げられる。
【0022】
本発明の実施形態に用いられる(B)成分の市販品としては、例えば、ニッサンアノンBF、ニッサンアノンBL(以上、日油社製)、レボンMY-30W、レボン2000HG、レボン2000L(以上、三洋化成工業社製)、REWOTERIC AM BU 185(Evonik社製)、サンイーサーL-4(太陽化学社製)等が挙げられる。
【0023】
これら(B)成分は、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
【0024】
これらのなかでも、本発明の効果を顕著に奏する観点から、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン、ウンデシレナミドプロピルベタイン、ポリグリセリル-4ラウリルエーテルが好ましく、ヤシ油アルキルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン、ポリグリセリル-4ラウリルエーテルがより好ましく、ヤシ油アルキルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタインが更により好ましい。
【0025】
(B)成分の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.5~15質量%が好ましく、1~12質量%がより好ましく、1.5~10質量%が更により好ましい。
【0026】
(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比〔(B)/(A)〕は、限定はされないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、0.01~1.5が好ましく、0.02~0.8がより好ましく、0.035~0.56が更により好ましい。
【0027】
〔(C)モル比で35%以上の陽イオン性構成単位を含む陽イオン性水溶性高分子〕
本発明の実施形態に用いられる(C)成分は、外用組成物又は化粧料に用いられる陽電荷に帯電した水溶性高分子であって、モル比で35%以上の陽イオン性構成単位を含むものである。当該モル比の上限値は特に制限されないが、例えば100%である。
【0028】
(C)成分における陽イオン性構成単位としては、以下に制限されないが、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0029】
(C)成分を構成する陽イオン性構成単位として、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドを含む場合、限定はされないが、例えば、モル比で35~100%、40~100%のものが使用できる。
【0030】
また、(C)成分を構成する陽イオン性構成単位として、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを含む場合、限定はされないが、例えば、モル比で35~100%、40~100%のものが使用できる。
【0031】
また、(C)成分は陽イオン性構成単位以外の他の構成単位を含んでいてもよく、例えば、非イオン性構成単位等を含んでいてもよい。他の構成単位としては、特に制限されないが、例えば、アクリル酸(AA)、アクリルアミド(AM)、アクリル酸メチル(MA)等が挙げられる。
【0032】
なお、(C)成分を構成する構成単位のモル比は、例えば、核磁気共鳴(NMR)により測定することができる。
【0033】
(C)成分の重量平均分子量は、特に制限されないが、例えば、10,000~1,500,000である。(C)成分を構成する陽イオン性構成単位として、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドを含む場合、(C)成分の重量平均分子量は、例えば、10,000~300,000であり、10,000~200,000が好ましい。また、(C)成分を構成する陽イオン性構成単位として、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを含む場合、(C)成分の重量平均分子量は、例えば、800,000~1,400,000であり、1,000,000~1,300,000が好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される。
【0034】
本発明の実施形態に用いられる(C)成分は、例えば、以下の一般式(1)~(3)で表される。
【0035】
【化1】
【0036】
但し、一般式(1)中、m及びnは各構成単位の全構成単位に対するモル比を示しており、m+n=100であって、m=35以上である。
【0037】
一般式(1)において、m=65~95が好ましい。
【0038】
【化2】
【0039】
但し、一般式(2)中、m、n及びlは各構成単位の全構成単位に対するモル比を示しており、m+n+l=100であって、m=35以上である。
【0040】
一般式(2)において、m=36~40が好ましい。また、n=5~20であり、n=8~10が好ましい。また、l=40~60であり、l=45~50が好ましい。
【0041】
【化3】
【0042】
但し、一般式(3)中、m、n及びоは各構成単位の全構成単位に対するモル比を示しており、m+n+о=100であって、m=35以上である。
【0043】
一般式(3)において、m=40~46が好ましい。また、n=40~50であり、n=42~46が好ましい。また、о=4~15であり、о=6~10が好ましい。
【0044】
本発明の実施形態に用いられる(C)成分の具体例としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドの重合体〔ポリクオタニウム-6〕、(アクリル酸/ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)コポリマー〔ポリクオタニウム-22〕、(アクリル酸/アクリル酸メチル/3-メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)コポリマー〔ポリクオタニウム-47〕、(アクリル酸/アクリルアミド/メチルメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)コポリマー〔ポリクオタニウム-53〕等が挙げられる。
【0045】
本発明の実施形態に用いられる(C)成分の市販品としては、例えば、マーコート100、マーコート106、マーコート280、マーコート281、マーコート280SD、マーコート295、マーコート2001、マーコート2001N、マーコート2003(以上、日本ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
【0046】
これら(C)成分は、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
【0047】
(C)成分の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~5質量%が好ましく、0.005~3質量%がより好ましく、0.01~2質量%が更により好ましく、0.05~1質量%が特に好ましい。
【0048】
〔その他の成分〕
本発明の実施形態に係る洗浄組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(A)~(C)成分以外の成分を配合することができる。本発明の実施形態に係る洗浄組成物は、以下に限定されないが、例えば、基剤及び/又は担体、界面活性剤、pH調整剤、増粘剤、防腐剤及び/又は保存剤、酸化防止剤、キレート剤、着色剤、香料等を配合することができる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
【0049】
基剤及び/又は担体としては、例えば、水;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール等の多価アルコール;流動パラフィン、スクワラン、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、オゾケライト、軽質流動パラフィン等の炭化水素;メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコーン、フェニル変性シリコーン、シリコーンレジン等のシリコーン油;ヤシ油、オリーブ油、コメヌカ油、シアバター、ローズヒップ油、アーモンド油等の油脂;ホホバ油、ミウロウ、キャンデリラロウ、及びラノリン等のロウ類;セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、フィトステロール、及びコレステロール等の高級アルコール;ジオキサン;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、及びテトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット等のエステル類等が挙げられる。
【0050】
本発明の実施形態に用いられる水の含有量は、特に制限されないが、洗浄組成物全量に対し、例えば、20~80質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、20~60質量%が更により好ましく、20~50質量%が特に好ましい。
【0051】
界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノステアレート、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート及びオリーブ油脂肪酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノラウリル酸ポリオキシエチレン(80)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノオレエート、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンモノミリステート等のグリセリン脂肪酸エステル;モノイソステアリルグリセリルエーテルやモノミリスチルグリセリルエーテル等のグリセリンアルキルエーテル;ジグリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカステアレート、デカグリセリルデカイソステアレート、及びジグリセリルジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80等の硬化ヒマシ油誘導体;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン(20)フィトステロール、ポリオキシエチレン(30)フィトステロール、ポリオキシエチレン(25)フィトスタノール、ポリオキシエチレン(30)コレスタノール等のポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩、エーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、N-アシルアミノ酸塩、アシル化タウレート;ステアリルアミン、オレイルアミン等のアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のシリコーン系界面活性剤;レシチン、水素添加レシチン、サポニン、サーファクチンナトリウム、コレステロール、胆汁酸などの天然由来の界面活性剤等が挙げられる。
【0052】
pH調整剤としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の有機塩基、塩酸、硫酸等の無機酸、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム等の有機酸等が挙げられる。pH調整剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.1~10質量%、0.3~8質量%、0.5~7質量%等である。
【0053】
増粘剤としては、例えば、水溶性高分子又は油溶性高分子が挙げられる。より具体的には、例えば、ガム類(ジェランガム、キサンタンガム、スクレロチウムガム、ローカストビーンガム、ビオサッカリドガム、タマリンドガム、クインスシード、アラビアガム、タラガム、グアーガム、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム等)、カラギーナン、カードラン、サクシノグルカン、ヘパリン類似物質、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール等)、寒天(アガロースを含む)、ゼラチン、ペクチン、プルラン、マンナン、ビニル系増粘剤(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等)、セルロース系増粘剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸ナトリウム、ベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ポリエチレングリコール、マクロゴール、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー等が挙げられる。
【0054】
防腐剤及び/又は保存剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、カプリン酸グリセリル、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、クロルフェネシン等が挙げられる。防腐剤及び/又は保存剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定できる。
【0055】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩等が挙げられる。
【0056】
キレート剤としては、例えば、EDTA・2ナトリウム塩、EDTA・カルシウム・2ナトリウム塩等が挙げられる。
【0057】
着色剤としては、例えば、無機顔料、天然色素等が挙げられる。
【0058】
香料としては、例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール等のテルペノイド類が挙げられる。
【0059】
本発明の実施形態に係る洗浄組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の有効成分を含むことができる。有効成分の具体例としては、以下に限定されないが、例えば、保湿成分、スクラブ剤、血行促進剤、収斂成分、紫外線吸収成分、抗菌成分、抗炎症剤、ビタミン類、ペプチド又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、細胞賦活化成分等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
【0060】
保湿成分としては、例えば、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の天然保湿因子、カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、シソエキス、ヨクイニン(ハトムギ)エキス等の植物抽出エキス等が挙げられる。
【0061】
スクラブ剤としては、例えば、アプリコット核粉末、アーモンド殻粉末、アンズ核粉末、塩化ナトリウム粒、オリーブ核粉末、海水乾燥物粒、キャンデリラワックス、くるみ殻粉末、さくらんぼ核粉末、サンゴ粉末、炭粉末(桐炭、備長炭、竹炭、ヒノキ木炭、ヤシ殻炭及びこれらの活性炭、並びにこれらの薬用炭)、はしばみ殻粉末、ポリエチレン末、無水ケイ酸、カオリン等が挙げられる。
【0062】
血行促進剤としては、例えば、アセチルコリン、イクタモール、カフェイン、カプサイシン、カンタリスチンキ、γ-オリザノール、ショオウキョウチンキ、ジンゲロン、セファランチン、センブリエキス、タンニン酸、トウガラシチンキ、トラゾリン、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジルエステル等が挙げられる。
【0063】
収斂成分としては、例えば、硫酸亜鉛、ヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛及びタンニン酸等が挙げられる。
【0064】
紫外線吸収成分としては、例えば、オクチルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、メトキシケイヒ酸オクチル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル等が挙げられる。
【0065】
抗菌成分としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、塩化ベンゼトニウム、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノグリシン、ピロクトオラミン、ミコナゾール等が挙げられる。
【0066】
抗炎症剤としては、例えば、非ステロイド系抗炎症剤、又はステロイド系抗炎症剤等が挙げられる。具体的には、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、イプシロンアミノカプロン酸、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、フェルビナク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ケトプロフェン、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、スプロフェン、アズレン、グアイアズレン、吉草酸酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、吉草酸酢酸プロドニゾロン(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)、酢酸プロドニゾロン、プロドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ウフェナマート、ブフェキサマク、及びこれらの塩等が挙げられる。
【0067】
ビタミン類としては、例えば、dl-α-トコフェロール、d-δ-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム等のビタミンE類、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5'-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、ニコチン酸1-(4-メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類、アスコルビゲン-A、L-アスコルビン酸2-グルコシド、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビル等のビタミンC類、メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ-オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類、塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5'-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類、葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテサイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン、ビオチシン等のビオチン類、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類、カルニチン、フェルラ酸、α-リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子等が挙げられる。
【0068】
ペプチド又はその誘導体としては、例えば、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)等が挙げられる。
【0069】
アミノ酸又はその誘導体としては、例えば、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、β-アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、タウリン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン等が挙げられる。
【0070】
細胞賦活化成分としては、例えば、グリコール酸、乳酸等のα-ヒドロキシ酸類、タンニン、フラボノイド、サポニン、感光素301号等が挙げられる。
【0071】
[洗浄組成物のpH]
本発明の実施形態に係る洗浄組成物のpHは、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、pH7.0~12.5が好ましく、pH8.0~12.5がより好ましく、pH8.5~12.5が更により好ましく、pH9.0~12.5が特に好ましい。
なお、上記pHは、pHメータ(例えば、pH METER F-52(HORIBA社製)を用いて室温(23℃)にて測定される。
【0072】
[粘度]
本発明の実施形態に係る洗浄組成物の粘度(25℃)は、剤形等に応じて適宜設定できる。チューブ製剤で使用する場合は、限定はされないが、例えば、100~2000Pa・sである。
【0073】
上記粘度(25℃)は、第17改正日本薬局方の一般試験法に記載の粘度測定法に準拠し、単一円筒形回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)にて測定した粘度をいう。具体的には、TV-10M(東機産業社製)を使用して測定される値をいい、ローターや回転速度等の条件の選定は、本機の取扱説明書に準拠し、25℃における粘度を測定する。
【0074】
単一円筒形回転粘度計に関する説明を以下に記載する。単一円筒形回転粘度計は、液体中の円筒を一定角速度で回転させたときのトルクを測定する粘度計である。あらかじめ粘度計校正用標準液を用いて実験的に装置定数KBを定めることにより、液体の粘度ηを次式によって算出する。
η=KB×T/ω
η:液体の粘度(mPa・s)
KB:装置定数(rad/cm3
ω:角速度(rad/s)
T:円筒面に作用するトルク(10-7N・m)
【0075】
<本発明の有用性>
本発明は、高級脂肪酸及び/又はその塩に起因して生じるきしみを改善し得る処方設計を研究する過程で、各種原料のなかでも界面活性剤と陽イオン性水溶性高分子の組み合わせに着目し、そのなかでも特定の界面活性剤と特定の陽イオン性水溶性高分子とを併用することによって、きしみを効果的に改善できることを新たに見出したものである。
具体的には、本発明の実施形態に係る洗浄組成物は、(A)高級脂肪酸及び/又はその塩、(B)アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、及びポリグリセリルアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、並びに(C)モル比で35%以上の陽イオン性構成単位を含む陽イオン性水溶性高分子を配合することにより、洗浄中や洗浄後におけるきしみを改善できる洗浄組成物を提供し得る点で有用である。
【0076】
とりわけ、本発明は、高級脂肪酸及び/又はその塩に起因して生じるきしみが強くなる処方条件においても、きしみを効果的に改善できる点で特に有用である。
例えば、洗浄組成物の洗浄性等を高める観点から、(A)高級脂肪酸及び/又はその塩を多量に含む処方設計にすると、高級脂肪酸及び/又はその塩に起因して生じるきしみが強くなる傾向があるため、きしみを改善することが一層困難になる。本発明の実施形態に係る洗浄組成物によれば、(A)高級脂肪酸及び/又はその塩を多量に含む処方設計においても(例えば、洗浄組成物全量に対して15質量%以上)、十分にきしみが抑制された洗浄組成物を提供し得る点で特に有用性が高い。
また、例えば、洗浄組成物の洗浄性等を高める観点から、洗浄組成物のpHをアルカリ領域にすると、きしみが強くなる傾向があるため、きしみを改善することが一層困難になる。本発明の実施形態に係る洗浄組成物によれば、pHをアルカリ領域(例えば、pH7.0~12.5)に調整した処方設計においても、十分にきしみが抑制された洗浄組成物を提供し得る点で特に有用性が高い。
このように、本発明の実施形態に係る洗浄組成物は、高い洗浄性を有しながらも、きしみ改善効果が高い洗浄組成物を提供し得る点(高い洗浄力と、きしみ改善効果と相反する課題を同時に解決している点)で特に有用性が高い。とりわけ、(A)高級脂肪酸及び/又はその塩の含有量が洗浄組成物全量に対して20質量%以上であり、且つ、洗浄組成物のpHが11.0以上の洗浄組成物であれば、特に優れた洗浄性を有しながらも、きしみ改善効果が高い洗浄組成物を提供し得る点で更に有用性が高い。
【0077】
また、本発明の好ましい実施形態に係る洗浄組成物によれば、洗浄性及び泡立ちに優れると共に、さっぱりとし、きしみも改善された優れた使用感が得られる点でも有用性が高い。
【0078】
なお、本発明において、きしみ改善効果に優れる洗浄組成物を提供し得る理由は必ずしも明らかではないが、皮膚等にきしみを感じる要因が高級脂肪酸と水道水中に含まれるカルシウムイオン等の二価金属イオンとが結合して生成する石鹸カスであると考えられている点に鑑みると、高級脂肪酸に対して本発明の(B)及び(C)成分を配合することにより、上記結合を抑制する作用が生じるか、及び/又は、上記結合により生じた石鹸カスの凝集を抑制する作用が生じることにより、優れたきしみ改善効果が発現しているものと推察される。
【0079】
[製剤形態]
本発明の実施形態に係る洗浄組成物は、上記各成分を配合し、必要に応じて更なる成分を配合して、常法に従い、種々の形態に調製される。製剤形態は特に限定されず、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔剤、シャンプー等の任意の剤形であり得る。更に、クレンジング、リンスインシャンプー、コンディショナー等の形態であってもよい。また、本発明の実施形態に係る洗浄組成物は、液状、ゲル状、ペースト状等の任意の形状であり得る。
【0080】
[用途]
本発明の実施形態に係る洗浄組成物は、皮膚用洗浄組成物や毛髪用洗浄組成物として好適に用いられる。なかでも、より好適には皮膚用洗浄組成物として用いられ、更により好適には洗顔用洗浄組成物として用いられる。
【0081】
[容器]
本発明の実施形態に係る洗浄組成物は、使用目的及び用途に応じ、適宜選択した容器に充填し、使用することができる。当該容器としては、例えば、ボトル型、チューブ型、ジャー型、ディスペンサー型、パウチ袋、及びチアパック等が挙げられる。また、容器を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE等)、ABS樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリスチレン、ガラス、及び金属(アルミ等)、及びこれらの混合物が挙げられる。また、これらの材料から成形される容器は、強度、柔軟性、耐候性、又は成分の安定性等を考慮して、例えば、容器表面に各種コーティング処理を施すこともできる。また、上記材料から成形されたフィルム等を積層して容器を成形することもできる。
【0082】
<きしみを改善する方法>
本発明の他の実施形態としては、洗浄組成物に、(A)高級脂肪酸及び/又はその塩、(B)アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、及びポリグリセリルアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤、並びに(C)モル比で35%以上の陽イオン性構成単位を含む陽イオン性水溶性高分子を配合することを特徴とする、洗浄中及び/又は洗浄後のきしみを改善する方法として好適に提供される。
【実施例0083】
以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0084】
下記の各成分を準備し、下記表1~4に示す処方の洗浄組成物を常法により調製し、各洗浄組成物について下記の評価を行った。なお、実施例等を示す表1~4及び製剤例を示す表5~9の含有量の単位は質量%であり、純分換算した値である(但し、カリ石鹸素地を除く)。また、各組成物の合計量は100質量%である。
【0085】
(A成分)
・カリ石鹸素地〔プライオリ-B-100(有効成分35%水溶液)、花王社製〕
(B成分)
・ミリスタミドプロピルベタイン〔レボンMY-30W(有効成分34%水溶液、三洋化成工業社製〕
・ココベタイン〔ニッサンアノンBF(有効成分25%水溶液)、日油社製〕
・ポリグリセリル-4ラウリルエーテル〔サンイーサーL-4、太陽化学社製〕
(B’成分)
・N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム〔アミライトGCS-12K(有効成分30%水溶液)、味の素ファインケミカル社製〕
(C成分)
・ポリクオタニウム-22〔マーコート295(陽イオン性構成単位(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)のモル比95%)、日本ルーブリゾール社製〕
・ポリクオタニウム-53〔マーコート2003(陽イオン性構成単位(メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)のモル比40%)、日本ルーブリゾール社製〕
・ポリクオタニウム-6〔マーコート100(陽イオン性構成単位(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)のモル比100%)、日本ルーブリゾール社製〕
・ポリクオタニウム-47〔マーコート2001(陽イオン性構成単位(メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)のモル比45%)、日本ルーブリゾール社製〕
(C’成分)
・ポリクオタニウム-39〔マーコート3330(陽イオン性構成単位(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)のモル比31%)、日本ルーブリゾール社製〕
【0086】
<きしみ評価試験>
官能評価専門パネラーの前腕内側部に洗浄組成物1gを塗布し、掌で10回往復こすり合わせて泡立てた後、水道水を流しながら、同部位を掌で10回往復こすり合わせて泡をすすいだ。
洗浄中及び洗浄後におけるきしみを下記評価基準に基づいて評価し、評価結果の平均点から下記の判断基準により評価した。その結果を表1~4に示す。なお、各表中のNは官能評価専門パネラーの人数を示す。
(評価基準)
5:きしまない
4:ほとんどきしまない
3:どちらでもない
2:少しきしむ
1:きしむ
[判断基準]
◎:平均4点以上
○:平均3点以上4点未満
△:平均2.5点以上3点未満
×:平均2.5点未満
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
表1~4に示すとおり、(A)~(C)成分の全てを含有する実施例によれば、(B)又は(C)成分の一方を含有しない比較例よりもきしみが改善されることが確認された。
【0092】
以上により、本発明によれば、(A)成分に起因して生じるきしみを改善できることが確認された。特に、本発明によれば、(A)成分を多量に含む処方やpHをアルカリ領域に設定した処方のように、(A)成分に起因して生じるきしみが強くなる処方条件においても、きしみを効果的に改善できることが確認された。
【0093】
以下の表5~9に、本発明の製剤例1~5を示す。
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
【表8】
【0098】
【表9】