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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056973
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20230413BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166518
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(71)【出願人】
【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 優海
(72)【発明者】
【氏名】山川 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】早川 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】池浦 良淳
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JA04
3B084JC12
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】臀部の前ずれを抑制しながら、乗員に姿勢変化を与えることのできる技術を提供する。
【解決手段】シートクッションと、シートクッションに連結されたシートバックと、を備え、前記シートバックは、背面支持機構を有する姿勢変化機構を含む。姿勢変化機構を用いた疲労軽減動作において、a)乗員の腰椎部の位置へ設定した背面支持機構を、第1位置状態から後方向側へ移動させて第2位置状態に設定し、b)その後、背面支持機構を、第2位置状態から第1位置状態まで、前方向側へ段階的に移動させる技術が提供される。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、
前記シートクッションに連結されたシートバックと、を備え、
前記シートバックは、背面支持機構を有する姿勢変化機構を含み、
前記姿勢変化機構を用いた疲労軽減動作において、
a)乗員の腰椎部の位置へ設定した前記背面支持機構を、第1位置状態から後方向側へ移動させて第2位置状態に設定し、
b)その後、前記背面支持機構を、前記第2位置状態から前記第1位置状態まで、前方向側へ段階的に移動させる、
車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートにおいて、
前記第1位置状態と前記第2位置状態との間は、10mm~25mmである、車両用シート。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用シートにおいて、さらに、
c)前記a)および前記b)を繰り返し実行する、車両用シート。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用シートにおいて、
前記b)において、前記背面支持機構を、前記第2位置状態から前記第1位置状態まで、一定量ずつ一定時間の間隔を空けて、前方向側へ段階的に移動させる、車両用シート。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用シートにおいて、
前記一定量は、2mm~5mmである、車両用シート。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用シートにおいて、
前記一定時間は、1分から2分である、車両用シート。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用シートにおいて、
前記a)および前記b)における前記背面支持機構の動作時間は、10分以下である、車両用シート。
【請求項8】
請求項1に記載の車両用シートにおいて、
前記姿勢変化機構は、
前記背面支持機構の上下方向の位置を移動させることが可能な第1モータと、
前記背面支持機構の前後方向の位置を移動させることが可能な第2モータと、
前記第1モータと前記第2モータとを制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、
前記背面支持機構の上下方向の位置を前記第1モータによって、前記背面支持機構を前記乗員の前記腰椎部の位置として、前記背面支持機構の前後方向の位置を前記第2モータによって変化させて前記a)および前記b)を行わせる第1姿勢変更モードと、
前記背面支持機構の上下方向の位置を前記第1モータによって、前記背面支持機構を前記乗員の胸椎部の位置として、前記背面支持機構の前後方向の位置を前記第2モータによって変化させる第2姿勢変更モードと、を設定可能であり、
前記第2姿勢変更モードにおいて、
a1)前記背面支持機構を前記第1位置状態から後方向側へ移動させて前記第2位置状態に設定し、
b1)所定待機時間のa後、前記背面支持機構を、前記第2位置状態から前記第1位置状態まで、移動させるように構成され、
前記第1姿勢変更モードにおける前記背面支持機構の動作時間と前記背面支持機構の動作量との積で計算される第1値と、前記第2姿勢変更モードにおける前記背面支持機構の前記所定待機時間と前記背面支持機構の動作量との積で計算される第2値とは同じ値である、
車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用シートに関し、特に、マッサージ機能を有する車両用シートに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
マッサージ機能を有する車両用シートの提案として、例えば、特開2006-198307号公報がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-198307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示者らは、車両用シートに設けた姿勢変化機構を定期的に動作させることで、乗員への長時間運転の疲労蓄積を低減させる技術について検討した。
【0005】
本開示者らの検討によれば、乗員の臀部において姿勢変化機構の前後方向の支持動作を繰り返すと、乗員がシートベルトを装着していても、シートクッション上において乗員の臀部の前方方向への移動(以下、「前ずれ」と言う)が発生し、その前ずれが徐々に大きくなってしまうことがわかった。臀部の前ずれが発生すると、乗員の疲労蓄積低減効果が十分に得られなくなる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、臀部の前ずれを抑制しながら、乗員に姿勢変化を与えることのできる技術を提供することにある。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0009】
一実施形態によれば、シートクッションと、シートクッションに連結されたシートバックと、を備え、前記シートバックは、背面支持機構を有する姿勢変化機構を含む。姿勢変化機構を用いた疲労軽減動作において、a)乗員の腰椎部の位置へ設定した背面支持機構を、第1位置状態から後方向側へ移動させて第2位置状態に設定し、b)その後、背面支持機構を、第2位置状態から第1位置状態まで、前方向側へ段階的に移動させる技術が提供される。
【0010】
すなわち、姿勢変化機構の背面支持機構を設定した位置(第2位置状態)まで後方方向へ後退させ、その後、背面支持機構のニュートラル状態(第1位置状態)まで一定量ずつ時間間隔を空けて背面支持機構を前方方向へ移動させる。そして、この動作を繰り返し実施する。
【発明の効果】
【0011】
上記車両用シートによれば、臀部の前ずれを抑制しながら、乗員に姿勢変化を与えることができるので、乗員の疲労を低減させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は実施例に係る車両用シートの斜視図である。
図2図2は実施例に係る車両用シートのシートバックフレームの斜視図である。
図3図3図2のランバーサポート部、駆動部及び駆動伝達部の構成例を示す図である。
図4図4は駆動伝達部を説明する平面図である。
図5図5はワイヤB62をワイヤA61に対して下側に摺動させて保持している状態を示す図である。
図6図6はワイヤB62をワイヤA61に対して上側に摺動させて保持している状態を示す図である。
図7図7は樹脂プレート63がウレタンパッド38を下方で前方に押出している状態を示す図である。
図8図8は樹脂プレート63がウレタンパッド38を上方で前方に押出している状態を示す図である。
図9図9は実施例に係る制御システムの回路構成例を説明するブロック図である。
図10図10は比較例に係るS字姿勢モードの動作を説明する図である。
図11図11は実施例に係る第1姿勢変更モードの動作を説明する図である。
図12図12図11の第1姿勢変更モードの動作フローを説明する図である。
図13図13は第2姿勢変更モード(C字姿勢モード)の動作パターンを説明する図である。
図14図14図11の第1姿勢変更モードの動作パターンを説明する図である。
図15図15は実施例に係る第1姿勢変更モードの動作フロー図である。
図16図16図11の第1姿勢変更モードの動作パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、図面において、矢印前は車両の前方を示し、矢印後は車両の後方を示し、矢印左は車両の左側方を示し、矢印右は車両の右側方を示し、矢印上は車両の上方を示し、矢印下は車両の下方を示している。また、以下の説明においては、特別に断らない限り、前、後や上、下、左、右については、車両に対しての前、後や上、下、左、右を意味するものとする。
【実施例0015】
図1は、実施例にかかる車両用シートを示す斜視図である。
【0016】
車両用シート1は、搭乗者が着座するシートクッション2、シートクッション2に着座した搭乗者が背中をもたれ掛けるシートバック3、搭乗者の頭部を支えるヘッドレスト4、サイドサポート5を備えている。シートバック3は、リクライニング機構によってシートクッション2に傾倒可能に連結されている。シートクッション2の側面に設けられた21は、後述するランバーサポート部60の前後方向の位置を調整する前後方向調整用スイッチであり、22はランバーサポート部60の上下方向の位置を調整する上下方向調整用スイッチである。
【0017】
図2は、シートバック3の表側(着座した搭乗者の背中が接する側の面)の表皮やウレタンパッドなどの部材を取外した状態のシートバックフレームの斜視図を示している。31は左側バックサイドフレーム、32は右側バックサイドフレームである。33は上部バックサイドフレーム、35はアッパーパネル、36はローアーパネルで、それぞれ左側バックサイドフレーム31と右側バックサイドフレーム32とに接続している。34はヘッドレスト4から延びる一対のステーを支持する支持部であって、上部バックサイドフレーム33に溶接により固定されている。
【0018】
60はランバーサポート部、70はランバーサポート部の駆動部、71は駆動伝達部である。また、612は、ランバーサポート部60を構成する軸の端部である。
【0019】
図3は、図2のB-B方向を見た場合の拡大図に対応し、ランバーサポート部60、ランバーサポート部の駆動部70、駆動伝達部71の構成例を示す図である。駆動部70はギアヘッドが取付けられた電動モータ(図9の701)で構成されており、右側バックサイドフレーム32に固定されている。72は駆動部70の出力軸であり、駆動伝達部71の内部で駆動部ギア73が固定されている。
【0020】
74はセクターギアで、駆動部ギア73と噛合っている。セクターギア74は、軸75で右側バックサイドフレーム32と駆動伝達部71に回動自在に支持されている。駆動部70は、出力軸72に固定された駆動部ギア73を正転又は逆転させることにより、セクターギア74を搖動させる。セクターギア74には、軸75から離れた部分(偏芯した部分)に、ランバーサポート部60を構成するワイヤA61の端部が固定されている。
【0021】
図4は、図3のC-C方向を見た場合の拡大図に対応し、駆動伝達部71を説明する平面図である。セクターギア74と駆動部ギア73とは噛合った状態になっている。セクターギア74は、円形歯車のうち駆動部ギア73との噛合いに必要な部分を残して、一部を切り取った形状をしている。駆動部ギア73を固定したモータの出力軸72と、セクターギア74を取付けた軸75とは、それぞれ駆動伝達部71に回動自在に支持されている。
【0022】
駆動伝達部71には、セクターギア74に偏心して固定されたワイヤA61をガイドするための溝76が形成されている。溝76は、ワイヤA61がセクターギア74を支持する軸75に対して搖動する軌跡に合わせた形状に形成されている。
【0023】
図3に戻って、ランバーサポート部60は、ワイヤA61、ワイヤA61にブロック64で左右2か所をサポートされているワイヤB62、ワイヤB62に固定された樹脂プレート63、ワイヤA61に固定されてワイヤB62を上下方向に駆動する上下駆動部65を備えている。ブロック64はワイヤA61に固定され、ワイヤB62を摺動可能に支持している。
【0024】
ワイヤA61の左側の端部は、駆動伝達部71に形成された溝76を通ってセクターギア74に固定されている。ワイヤA61の右側の端部付近は611の部分で一旦折り曲げられて、再度折り曲げられた部分の端部612が左側バックサイドフレーム31に回動自在に支持されている。端部612は、中心軸がセクターギア74を支持する軸75の中心軸と一致するように形成されている。
【0025】
ランバーサポート部60をこのように構成することにより、シートクッション2のサイド部分に設けられた前後方向調整用スイッチ21を操作して駆動部70を駆動させて出力軸72をある角度だけ回動させることにより、出力軸72に固定した駆動部ギア73でセクターギア74を、軸75を中心に回動させる。セクターギア74が回動することにより、セクターギア74に端部が固定されたワイヤA61がセクターギア74の軸75を中心に駆動伝達部71に形成された溝76に沿って搖動する。
【0026】
ワイヤA61が溝76に沿って搖動することにより、ワイヤB62に固定された樹脂プレート63がセクターギア74の軸75を中心に搖動して、樹脂プレート63の前後方向(図3において、紙面に垂直な方向)の位置が変化する。これにより、シートバック3の表側(車両用シート1に着座した搭乗者の背中が接する側の面)の部材(例えば表皮で覆われたウレタンパッド)を介して着座した搭乗者の背中への押付量を変えて、押付力を増したり、又は減らしたりすることができる。
【0027】
ここで、ワイヤB62は、ワイヤA61に固定された一対のブロック64によりガイドされ、上下駆動部65で駆動されて、ワイヤA61に対して上下方向(図3において上下方向)に移動可能に構成されている。ワイヤA61に対してワイヤB62を上下させることにより、樹脂プレート63の上下方向の位置を変えることができる。これにより、シートバック3の表側(車両用シート1に着座した搭乗者の背中が接する側の面)の部材(例えば表皮で覆われたウレタンパッド)を介して着座した搭乗者の背中を押付ける位置を、上下方向(高さ方向)に調整することができる。
【0028】
図5及び図6は、図1の車両用シート1のA-A方向を見た場合の断面図に対応している。図5はワイヤB62をワイヤA61に対して下側に摺動させて保持している状態を示す図である。図6はワイヤB62をワイヤA61に対して上側に摺動させて保持している状態を示す図である。図5及び図6において、ワイヤB62はワイヤA61に固定されたブロック64に上下方向に摺動自在に保持されている。また、ワイヤA61には、ワイヤB62を上下方向に駆動する上下駆動部65が取付けられている。上下駆動部65は、減速機付きモータ69の出力軸67に歯車66が固定されて取付けられている。一方、ワイヤB62には、歯車66と噛合う平歯車68が形成されており、歯車66と平歯車68とで、ラックとピニオンを構成している。
【0029】
ワイヤA61とワイヤB62とをこのような構成とすることにより、シートクッション2のサイド部分に設けられた上下方向調整用スイッチ22を操作してワイヤA61の側に固定された上下駆動部65の減速機付きモータ69を駆動して歯車66を図6の矢印の方向に回転させることにより、ワイヤB62はワイヤA61固定されたブロック64でガイドされて、ワイヤA61に対して上昇する。また、減速機付きモータ69を逆回転させることにより、ワイヤB62をワイヤA61に対して下降させて、ワイヤA61とワイヤB62との位置関係を、図6の状態から図5の状態に変えることができる。
【0030】
図7は樹脂プレート63がウレタンパッド38を下方で前方に押出している状態を示す図である。図8は樹脂プレート63がウレタンパッド38を上方で前方に押出している状態を示す図である。図7は樹脂プレート63が下方に位置して前方に突き出てウレタンパッド38を前方に押出している押出状態で、ランバーサポート部60が図5に示したような状態に対応する。この状態では、ウレタンパッド38と表皮37を介して、車両用シート1に着座した搭乗者の腰部を押すことになる。
【0031】
一方、図8は、樹脂プレート63が図7の状態と比べて上方に位置して前方に突出てウレタンパッド38を前方に押出している押出状態で、ランバーサポート部60が図6に示したような状態に対応する。この状態では、ウレタンパッド38と表皮37を介して、車両用シート1に着座した搭乗者の腰部よりも上の部分を押すことになる。
【0032】
これら樹脂プレート63の高さ方向(上下方向)の位置と前後方向の位置は、前後方向調整用スイッチ21と上下方向調整用スイッチ22とを操作することで、高さ方向の位置と前後方向の位置とをそれぞれに調整することができる。
【0033】
本発明では、図1図8で説明した車両用シート1を用いて、乗員に疲労低減効果を与える。以下の説明において、姿勢変化機構110は、例えば、ランバーサポート部60、駆動部70、駆動伝達部71により構成されているものとする。また、背面支持機構(63)は例えば樹脂プレート63に対応し、支持変化機構(65)は例えばモータ69を内蔵する上下駆動部65に対応し、押出量調整モータ(701)は例えば駆動部70に内蔵された電動モータに対応するものとする。
【0034】
図9は、実施例に係る制御システムの回路構成例を説明するブロック図である。制御システム100は、疲労低減効果を乗員に与える疲労低減システムの機能を有する。
【0035】
制御システム100は、車両用シート1に設けられており、姿勢変化機構110と、姿勢変化機構110の動作を制御する制御部120と、制御部120に接続された複数のスイッチ21、22、23、24などを含む。
【0036】
姿勢変化機構110は、背面支持機構63を上下方向に移動させることが可能なモータ(MT)69と、背面支持機構63を前後方向に移動させることが可能な押出量調整モータ701と、を含む。姿勢変化機構110は、さらに、モータ69の回転回数などの作動量を検出するセンサとしてのホールIC(HIC)80、押出量調整モータ(MT)701の回転回数などの作動量を検出するセンサとしてのホールIC(HIC)81と、を含む。減速機付きモータ69は第1モータと、押出量調整モータ(MT)701は第2モータということもできる。ホールIC(HIC)80は第1ホールICと、ホールIC(HIC)81は第2ホールICということができる。
【0037】
制御部120は、シートECU(電子制御ユニット)であり、モータ69、701を駆動するモータドライバMDRと、中央処理装置CPUとを含む。モータドライバMDRは、モータ69、701とハーネスにより電気的に接続されている。モータドライバMDRは、中央処理装置CPUから制御に基づいて、各モータ69、701の回転制御を、PWM(パルス幅変調:pulse width modulation)を用いて制御を行う。中央処理装置CPUは、中央処理装置を内蔵するデータ処理装置の総称であり、HIC80,81により検出または測定された各モータ69、701の回転回数のデータ(値)を受信し、中央処理装置CPUに内蔵されるメモリ回路に格納する。中央処理装置CPUは、メモリ回路に格納した複数の回転回数のデータに基づいてデータ処理を実施し、例えば、データ処理結果に基づいてモータドライバMDRを制御する。中央処理装置CPUは、HIC80,81とハーネスにより電気的に接続されている。中央処理装置CPUは、バッテリのような電源(PWR)91に接続されて、PWR91から動作電源を供給される。中央処理装置CPUは、また、車両に設けられた他のECU92とハーネスにより電気的に接続されて、通信を行うことができるように構成されている。
【0038】
モータドライバMDRと中央処理装置CPUとは、さらに、リクライニング機構の電動モータ、リフト機構の電動モータ、チルト機構の電動モータ、スライド機構の電動モータ、各種センサ等を含むシートモータ&センサ93に電気的に接続されている。車両用シート1は、図1には図示されないが、リクライニング機構の電動モータ、リフト機構の電動モータ、チルト機構の電動モータ、スライド機構の電動モータ、各種センサを有している。
【0039】
スイッチ21はモータ701の前後方向の押出量を手動で調整するための前後方向調整用スイッチであり、スイッチ22はモータ69の上下方向の高さを手動で調整するための上下方向調整用スイッチである。
【0040】
スイッチ23は、制御システム100を疲労軽減システムとして動作させるか否かを制御する動作モード切り替えスイッチである。スイッチ23のオン状態は、制御システム100を疲労軽減システムとして動作させることを指示する。一方、スイッチ23のオフ状態は、乗員がスイッチ21,22を用いて姿勢変化機構110を手動で操作することを可能とする。
【0041】
スイッチ24は、疲労軽減システムの動作モードを切り替えるスイッチである。人間は、頭側から頚椎(けいつい)7個、胸椎(きょうつい)12個、腰椎(ようつい)5個の骨から構成されて、その下に、仙椎(せんつい)、尾骨(びこつ)があるものとする。疲労軽減システムの疲労軽減動作では、腰椎部の位置に背面支持機構63の支持位置を設定する第1姿勢変更モード(第1疲労軽減モード)と、胸椎部の位置に背面支持機構63の支持位置を設定するC字姿勢モード(第2姿勢変更モード、第2疲労軽減モード)と、を選択することができる。スイッチ24のオン状態(第1状態)及びオフ状態(第2状態)により、第1姿勢変更モードとC字姿勢モードとが選択できるように構成されている。
【0042】
LED25は、例えば、複数個の発光ダイオード(light emitting diode)から構成されている。LED25は、中央処理装置CPUに接続され、中央処理装置CPUからの信号に基づいて制御システム100の動作モードを点灯や非点灯の組み合わせによって表示することができる。
【0043】
スイッチ23がオン状態とされると、制御システム100では、疲労軽減システムに係る疲労軽減プログラムが起動されて中央処理装置CPUにより実行される。
【0044】
次に、疲労軽減システムについて説明する。
【0045】
疲労軽減システムでは、背面支持機構63の支持位置が設定される。スイッチ24のオン状態により、疲労軽減システムの動作モードとして第1姿勢変更モードが指定された場合、中央処理装置CPUは、腰椎位置に背面支持機構63の支持位置を設定する。スイッチ24のオフ状態により、疲労軽減システムの動作モードとしてC字姿勢モードが指定された場合、中央処理装置CPUは胸椎位置に背面支持機構63の支持位置を設定する。
【0046】
図10は、比較例に係るS字姿勢モードの動作を説明する図である。図10は、シートクッション2とシートクッション2に連結されたシートバック3とに乗員が座った状態を横から見た場合の図であり、姿勢変化機構110の背面支持機構63が乗員の腰椎位置にある。比較例に係るS字姿勢モードの動作では、背面支持機構63の押出量を、一定時間(例えば、5~30分)毎に、基準位置N(ニュートラル状態:押出量が0mmの状態、N状態とも言う)と前方FR側への押出量の最大位置Mとへ交互に変化させる。S字姿勢モードは、腰椎をS字形状へ変更させるモードとされる。
【0047】
図10には、運転開始時である第1状態10Aと、姿勢変化機構ON状態である第2状態10Bと、姿勢変化機構OFF状態である第3状態10Cと、第4状態10Dと、が描かれている。
【0048】
第1状態10Aは、S字姿勢モードの動作の初期状態であり、背面支持機構63が腰椎位置に配置されて、背面支持機構63の押出量は0mmの基準位置Nにある。乗員のヒップポイントHPは、線L1にあるものとする。
【0049】
第2状態10Bは、背面支持機構63が前方FR側へ一気に移動ないし可動した状態であり、背面支持機構63の押出量が最大位置M(+M)とされて、腰椎が背面支持機構63に押されて、S字姿勢へ変化した状態である。腰部の腰椎の湾曲には限界があるので、腰部が湾曲できない分、臀部が前方FR方向へ動くことになり、ヒップポイントHPが前方FR側へ移動する。ヒップポイントHPは、例えば、線L1より前方に配置される線L2に位置するものとする。第2状態10Bの状態が、例えば15分間、維持される。
【0050】
その後、第3状態10Cに示すように、背面支持機構63の押出量が、最大位置Mから基準位置Nに戻される。これにより、腰椎は、第2状態10Bに示すS字姿勢から第1状態10Aに示す初期の姿勢へ戻る。臀部も元の位置に戻ろうとするが、完全に元の位置(第1状態10Aに示す位置)には戻らないので、ヒップポイントHPは、線L1より少し前側の位置となる。
【0051】
ここで、第2状態10Bと第3状態10Cとを複数回繰り返して、乗員の疲労を軽減させるが、第4状態10Dに示すように、臀部の前方向へのずれが次第に大きくなり、ヒップポイントHPは、線L2より少し前側の位置となる。
【0052】
この様に、乗員の臀部において姿勢変化機構(背面支持機構63)の前後方向の支持動作を繰り返すと、乗員がシートベルトを装着していても、シートクッション2上において乗員の臀部の前ずれが発生し、その前ずれが徐々に大きくなってしまうことがわかった。臀部の前ずれが発生すると、乗員の疲労蓄積低減効果が十分に得られなくなる可能性がある。
【0053】
図11は、実施例に係る第1姿勢変更モードの動作を説明する図である。図11は、乗員がシートクッション2とシートクッション2に連結されたシートバック3とに着座した状態を横から見た場合の図であり、姿勢変化機構110の背面支持機構63が乗員の腰椎の位置にある状態が示されている。図11には、運転開始時である第1状態11Aと、姿勢変化機構ON状態である第2状態11Bと、姿勢変化機構OFF状態である第3状態11Cと、が描かれている。
【0054】
第1状態11Aは、第1姿勢変更モードの動作の初期状態であり、背面支持機構63が腰椎位置に配置されて、背面支持機構63の押出量は0mmの基準位置N(第1位置状態)にある。乗員のヒップポイントHPは、線L1にあるものとする。
【0055】
第2状態11Bは、背面支持機構63が前方FR側とは逆の後方RR側へ一気に移動ないし後退した状態であり、背面支持機構63の押出量が最大位置M(-M:第2位置状態)とされて、腰椎が後方RR側へ湾曲する。腰部の腰椎が湾曲しやすい方向へ姿勢変化するため、臀部の前ずれを抑制できる。つまり、乗員のヒップポイントHPは、ほとんど移動せずに、線L1上にある(ヒップポイントHPの位置は移動せずに維持されることになる)。
【0056】
第3状態11Cは、一定量ずつ時間間隔を空けて、シートバック3の背面支持機構63を前方FR側へ段階的に移動させる。ここでは、背面支持機構63は、押出量の最大位置M(-M:第2位置状態)から、押出量の0mmの基準位置N(第1位置状態)まで、段階的に移動させる。このように、段階的に姿勢変化機構110の背面支持機構63を動作させることで、無理なく乗員の腰椎の姿勢変化を促せるため、臀部の前ずれを抑制することができる。つまり、乗員のヒップポイントHPは、ほとんど移動せずに、線L1上にある(ヒップポイントHPの位置は移動せずに維持されることになる)。
【0057】
これにより、臀部の前ずれを抑制しながら、乗員に姿勢変化を与えることのできる技術を提供できる。乗員に姿勢変化を与えることのできるので、乗員の疲労を低減させることが可能である。
【0058】
図12は、図11の第1姿勢変更モードの動作フローを説明する図である。図12には、スイッチ24のオン状態により、疲労軽減システムの動作モードとして第1姿勢変更モードが指定された場合の動作を示す。
【0059】
(ステップS1:システムスタート)
疲労軽減システムが制御部120によりスタートされる。この時、姿勢変化機構110の背面支持機構63は、押出量D(=0mm)の基準位置N(ニュートラル状態:第1位置状態)に配置される。
【0060】
(ステップS2:一定時間待機)
姿勢変化機構110の背面支持機構63は、一定時間(15~30分)、ニュートラル状態を保持する。
【0061】
(ステップS3:背面支持機構の後方向RR側へ後退)
姿勢変化機構110の背面支持機構63が作動されて、一気に背面支持機構63を後方向RR側へ後退させる。背面支持機構63の押出量Dは、後方RR側に、例えば、10mm以上とされる(第2位置状態:D>-10mm)。
【0062】
(ステップS4:一定時間待機)
姿勢変化機構110の背面支持機構63の状態は、ステップS3の状態で、一定時間td保持される。ここで、一定時間tdは、例えば、1分から2分程度である。
【0063】
(ステップS5:背面支持機構63の一定量dの前方向FR側への押し出し)
姿勢変化機構110の背面支持機構63を作動させ、背面支持機構63を一定量d、前方向FR側(ニュートラル状態側)へ押し出すように動作させる。ここで、一定量dは、たとえば、2mm~5mm程度である。
【0064】
(ステップS6:繰り返し動作)
ステップS5の後、ステップS4とステップS5とをこの順序で、姿勢変化機構110の背面支持機構63がニュートラル状態に戻るまで繰り返す。
【0065】
(ステップS7:システム終了まで継続)
ステップS2~ステップS6の動作が、システム終了まで、継続的に実行される。システム終了時には、制御部120は、姿勢変化機構110の背面支持機構63の位置をニュートラル状態に戻すように制御する。
【0066】
次に、図13および図14を用いて、第1姿勢変更モードの動作パターンについて説明する。図13は第2姿勢変更モード(C字姿勢モード)の動作パターンを説明する図である。図14図11の第1姿勢変更モードの動作パターンを説明する図である。図13図14において、縦軸は姿勢変化機構110の背面支持機構63の動作量としての押出量D(mm)あり、+側は前方向(FR)、-側は後方向(RR)、0mmはニュートラル状態を示し、横軸は時間t(分:min)を示す。
【0067】
図13に示すように、第2姿勢変更モード(C字姿勢モード)の動作パターンでは、背面支持機構63が胸椎の位置に設定されて、背面支持機構63が後方向RR側へ姿勢変化機構動作量である押出量D:D1=-20mmで移動させられる。その後、15分(m)から20分(m)の間の5分間の所定待機時間後、背面支持機構63が前方向RR側へニュートラル状態まで移動させられる。ここで、第2姿勢変更モードにおける背面支持機構63の所定待機時間(5分)と背面支持機構63の動作量(20mm)との積で計算される第2値(斜線部分130の面積)をA2とする。
【0068】
図14に示すように、第1姿勢変更モードの動作パターンでは、背面支持機構63が腰椎の位置に設定されて、背面支持機構63が15分(min)目で、後方向RR側へ姿勢変化機構動作量で示す押出量DがD1=-20mmに移動させられる。この状態で、一定時間td待機する。その後、背面支持機構63が一定量d、前方向FR側(ニュートラル状態側)へ押し出すように動作させる。その後、この状態で、一定時間td待機する。背面支持機構63がニュートラル状態(D=0mm)に戻るまで、背面支持機構63の一定量dの前方向FR側(ニュートラル状態側)へ押し出し動作を繰り返す。この例では、一定量dは5mmであり、一定時間tdは2分間であり、繰り返し回数は4回である。
【0069】
ここで、第1姿勢変更モードにおける背面支持機構63の動作時間(2、2、2、2)と前記背面支持機構の動作量(20mm、15mm、10mm、5mm)の積で計算される斜線部分140の面積(第1値)A1は、斜線部分130の面積A2と同じ値(A1=A2)とされている。これは、第2姿勢変更モード(C字姿勢モード)の疲労低減効果と同等の疲労低減効果を第1姿勢変更モードにおいて得るための設定である。
【0070】
面積A1は、この例では、図13の面積A1(5(min)×20(mm))=図14の面積A1(2(min)×20(mm)+2(min)×15(mm)+2(min)×10(mm)+2(min)×5(mm))=100とされている。
【0071】
第1姿勢変更モードの動作パターンは、以下の条件をすべて満たす範囲内で変更可能である。
1)疲労低減効果を得るため、斜線部分140の面積(積分値)が斜線部分130の面積と同等になるようにする。
2)疲労低減には明確な姿勢変化を与える必要があるため、変数D1(姿勢変化機構動作量:背面支持機構63の押出量D=D1の値)は、-10mm以上とする。D1の値は、好ましくは、10mm~25mmの範囲である。図14の例では、変数D1は、-20mmである。
3)長時間のC字姿勢維持は疲労低減効果が小さくなるため、変数T1(姿勢変化機構(背面支持機構63)の動作している動作時間)は「10分以下」とする。図14の例では、変数T1は、23分-15分=8分である。
4)臀部の前ずれ防止のために段階的にニュートラル状態に戻す必要があるため、変数td(背面支持機構63を維持する時間:一定時間)は「1分以上」とする。図14の例では、変数tdは、8分/4回=2分である。
5)背面支持機構63の支持引き状態(背面支持機構63の押出量D1=-20mm)からニュートラル状態(背面支持機構63の押出量D=0mm)への移動速度は1.5mm/s~3.5mm/sの範囲内とするのがよい。より好ましくは、背面支持機構63の上記移動速度は2.5mm/s程度とするのがよい。
【0072】
次に、図15図16を用いて第1姿勢変更モードの動作フローと動作パターンの例を説明する。図15は実施例に係る第1姿勢変更モードの動作フロー図である。図16図15の動作フローに対応する第1姿勢変更モードの動作パターンを示す図である。なお、図15では、スイッチ24のオン状態により、疲労軽減システムの動作モードとして第1姿勢変更モードが指定され、腰椎位置に背面支持機構63の支持位置が設定されているものとする。図16の縦軸および横軸は、図13図14と同じである。
【0073】
(ステップS11)
中央処理装置CPUは、シートモータ&センサ93により、車両用シート1に乗員が着座したことを検出する。これにより、中央処理装置CPUにより、疲労軽減プログラムが実行され、疲労軽減システムが起動される。疲労軽減プログラムでは、スイッチ24のオン状態を検出して、第1姿勢変更モードの動作フローが開始される。第1姿勢変更モードの動作開始時には、姿勢変化機構110の背面支持機構63は、ニュートラルの状態(押出量D=0mm)に初期設定される。その後、動作フローはステップS12へ移行する。
【0074】
(ステップS12)
中央処理装置CPUは、疲労軽減プログラムに設けられたフラグ(flag)に、”0”を設定する。このフラグ(flag)は、繰り返し回数を設定するためのフラグである。この例では、図16に示すように、繰り返し回数は4回である。その後、動作フローはステップS13へ移行する。
【0075】
(ステップS13)
中央処理装置CPUは、姿勢変化機構110の背面支持機構63の状態を15分間維持させる。背面支持機構63は、図16に示すように、ニュートラルの状態(押出量=0mm)を15分間維持する。その後、動作フローはステップS14へ移行する。
【0076】
(ステップS14)
中央処理装置CPUは、押出量調整モータ701を制御して、姿勢変化機構110の背面支持機構63を後方向RRへ20mm駆動させる(D1=-20mm)。背面支持機構63は、図16に示すように、ニュートラルの状態(押出量=0mm)から後方向RRへ押出量(D1=-20mm)一気に後退させる。その後、動作フローはステップS15へ移行する。
【0077】
(ステップS15)
中央処理装置CPUは、姿勢変化機構110の背面支持機構63の状態を2分間維持させる(td=2、T1=8)。背面支持機構63は、図16に示すように、押出量(-20mm)の状態を2分間維持する。その後、動作フローはステップS16へ移行する。
【0078】
(ステップS16)
中央処理装置CPUは、フラグ(flag)に、”1”を加算して、フラグ(flag)に格納する。これにより、フラグ(flag)は、1(flag=1)に設定される。その後、動作フローはステップS17へ移行する。
【0079】
(ステップS17)
中央処理装置CPUは、flag=1に基づいて、押出量調整モータ701を制御し、姿勢変化機構110の背面支持機構63を前方向FRへ5mm駆動させる。背面支持機構63は、図16に示すように、flag=1の場合は、押出量(-20mm)の状態から前方向FRへ5mm移動されて、押出量(-15mm)の位置の状態とされる。その後、動作フローはステップS18へ移行する。
【0080】
(ステップS18)
中央処理装置CPUは、フラグ(flag)の値が4か否かを判定する。フラグ(flag)の値が4でない場合(No)、動作フローはステップS15へ移行し、ステップS15からステップS18が、フラグ(flag)の値が4となるまで繰り返し実行される。背面支持機構63は、図16に示すように、flag=2の場合、押出量(-15mm)の状態から前方向FRへ5mm移動されて、押出量(-10mm)の位置の状態を2分間維持する。背面支持機構63は、flag=3の場合、押出量(-10mm)の状態から前方向FRへ5mm移動されて、押出量(-5mm)の位置の状態を2分間維持する。背面支持機構63は、flag=4の場合、押出量(-5mm)の状態から前方向FRへ5mm移動されて、押出量(0mm)の位置の状態とされる。
【0081】
フラグ(flag)の値が4の場合(Yes)、動作フローはステップS19へ移行する。
【0082】
(ステップS19)
中央処理装置CPUは、フラグ(flag)を”4”から”0”に設定(flag=0)し、動作フローはステップS13へ移行する。これにより、ステップS13からステップS19が繰り返し実行される。例えば、乗員が車両を運転している間、疲労軽減システムが継続的に実行される。
【0083】
実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
【0084】
1)臀部の前ずれを抑制しながら、乗員に姿勢変化を与えることができるので、乗員の疲労を低減させることが可能である。
【0085】
2)シートクッション内に臀部の前ずれを抑制する機構を設置することなく、背面支持機構63を利用する。これにより、部品点数と重量とを増加さることなく、臀部の前ずれを抑制することが可能である。
【0086】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0087】
1:車両用シート
21、22、23、24:複数のスイッチ
60:ランバーサポート部
63:樹脂プレート(背面支持機構)
65:上下駆動部(支持変化機構)
69:モータ(減速機付きモータ)
70:駆動部
71:駆動伝達部
80、81:ホールIC
100:制御システム
110:姿勢変化機構
120:制御部
701:電動モータ(押出量調整モータ)
CPU:中央処理装置(データ処理装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16