(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056990
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】IT技術を利用した、消費者自身がデザインする衣類の遠距離オーダーメイドシステム及びアプリケーション
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230413BHJP
A41H 43/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
A41H43/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021179803
(22)【出願日】2021-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】521481577
【氏名又は名称】鎌田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 直樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アパレル業界においてIT技術を用いることで、情報端末と通信システムさえあれば世界中どこからでも自身で衣類をデザインし、購入する事が出来る遠距離オーダーメイドシステムを提供する。
【解決手段】遠距離オーダーメイドシステムにおける情報端末は、お客様情報の入力と、ベースとなるアイテムの選択と、ディテールの選択と、素材の選択と、付属品の選択と、衣類作成上の必要事項の選択と、タッチパネルによる絵型の操作と、を消費者に行わせることで、衣類のデザインを可能とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アパレル業界における、IT技術を用いた消費者自身がデザインする遠距離オーダーメイドシステム。アプリケーション上で衣服をデザインし、デザインした衣類を実際に購入することを可能とするセミオートクチュールシステム。(〔
図1〕参照)
【請求項2】
請求項1を可能とする為のアプリケーションプログラムとその理論。
【請求項3】
請求項2における請求項1を可能とする為の、ユーザーから衣類を製作する上で必要なサイズを割り出し、収集した上で、アプリケーション上と現実の作図の必要寸法をリンクさせる為の方法。プログラム及びその理論。(〔
図2〕参照)
【請求項4】
請求項2における請求項1を可能とする為の衣類を製作する上で必要と判断した情報項目の選別、収集方法とプログラム及びその理論。(〔
図2〕〔
図3〕参照)
【請求項5】
請求項2における請求項1を可能とする為の衣類を製作する上で必要と判断したベースとなるアイテムの選別、収集方法。そのベースとなるアイテムが請求項3で収集した各種サイズデータを反映させた上で図形としてアプリケーション上に出現し、各種数値が現実の作図とリンクする為のプログラム及びその理論。(〔
図2〕〔
図5〕~〔
図7〕〔
図9〕参照)
【請求項6】
請求項2における請求項1を可能とする為の衣類を製作する上で必要な絵型をユーザーが作成する為に、タッチパネルを操作し、ホールドとスライドを駆使して丈などのサイズ又は数値を変更した上で、その数値を現実の作図に反映する事ができるする事ができるプログラム及びその理論。(〔
図3〕〔
図5〕~〔
図9〕参照)
【請求項7】
請求項2における請求項1を可能とする為の衣類を製作する上で必要な絵型をユーザーが作成する為に、タッチパネルをドラッグとドロップを駆使し、ボタンなどの付属品を自由に配置し、その位置情報を記録した上で現実の作図に落としこむことの出来るプログラム及びその理論。(〔
図3〕〔
図5〕~〔
図9〕参照)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アパレル業界においてIT技術を用いることで、情報端末と通信システムさえあれば世界中どこからでも自身で衣類をデザインし、購入する事が出来る遠距離型オーダーメイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオーダーメイドでは、専門家と依頼者が協議し、採寸やデザイン画の作成、生地や副資材などを決定した上で製作を開始する。既成服と違い製作開始後も仮縫い試着、修正等に時間を要する。本請求項に近い概念としては、下記の先行技術文献が挙げられる。
【0003】
特許文献1および特許文献2において消費者から身体サイズ情報を情報端末を用いて収集するという点は公知である。また、特許文献3においてオーダー情報の取得という点は一致する。本請求も含め、オーダーメイドの時間とコストをいかに削減し、現状よりもオーダーメイドを手軽なものにという点が共通項である。
また、特許文献4のように消費者の身体にあった衣類を提供する為のプログラムは公知であるが、いずれも消費者自信でデザインする事が出来ず、最終的にはメーカーが提案する衣類を着用することになるという点を、本発明において改善したいと考えているポイントである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018‐124946
【特許文献2】特開2016‐177457
【特許文献3】特許6626933
【特許文献4】特開2021‐12552
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
というのも、現状のアパレル事情を鑑みるに、消費者自身でデザインをしようとするならば、専門知識を身につけるか、オーダーメイドに頼らざるを得ない。しかしながら、オーダーメイドが世間一般に普及しているかというと疑問が残る。大衆にまで行き渡らない理由としては、主に製作にかかる時間と、かかる時間に比例して上昇するコスト面、既製服の台頭によるところが大きいと考察される。
【0006】
専門家を探し出し、接触し、サイズを測り、自身の作りたいデザインを開示して、製作可能か擦り合わせていく。仮縫いや修正の手間も考えれば、もっと自由であるはずのこんな服を着てみたいという欲求を、メーカー側が提示した既製服によるコーディネイトのみでファッションを楽しむという点に留めるのは納得できるが、もったいないと思う。
【0007】
加えて、既製服にはストックによる商品ロスという大きな課題がある。消費者自身が望む衣類を手軽に手に入れることの出来る環境、遠距離オーダーメイドシステムを普及させることが出来たのなら、その問題点においても解消に貢献することが出来ると考えている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
消費者が望むデザインの衣類を着られるように、オーダーメイドをもっと身近なものにするための提案が、本請求項1である。
【0009】
図1のビジネス相関図が示すように、後述するアプリケーション”Fashion Maker”を中心に、アプリケーションを運営・管理する側が服飾資材の収集をし、その収集した生地や副資材をアプリケーション上でユーザーに提示、ユーザーは好みの情報端末により、着せたい人のサイズを登録し、アプリケーション上で好みのデザイン絵型を作成。ユーザーが望む衣類の情報を運営に送信・依頼することで、運営側が製作・納品を行う。
【0010】
請求項2におけるアプリケーション”Fashion Maker”の詳細は以下の通りである。
【0011】
アプリケーションの流れとしては
図2~
図4の示すフローチャートの通りである。
【0012】
まず、ユーザーに作りたい服を着せたい人のサイズを入力してもらう。ここでのポイントは、サイズが分からない場合、サイズを測って入力が面倒だと嫌煙されることを避けるため、最低限性別と年齢を入力してもらうことで、日本人体型の性別・年齢別の平均サイズが実際に製作される各種寸法に自動的に適用される事。
【0013】
理論としては、
図2が示すように、あらかじめアプリケーション上に日本人の性別・年齢別における各種平均身体サイズテーブルを登録しておくことで、サイズの計測が面倒だと感じるユーザーは年齢と性別さえ入力すれば、そのテーブルに登録されている数値が自動的にアプリケーション上の各種身体サイズに適用され、最低限年齢、性別ごとの平均値の衣類を作る事ができる。
【0014】
さらには、体型の項目を1つ儲け、サイズテーブルを3つ作成することで、計測は面倒だけど自分は平均的な体型ではないと感じているユーザーに、「細め」「標準」「膨よか」(細めのバストは標準数値ー4、膨よかのバストは標準数値+4など)のいずれかを選択させ、作り上げた衣類を着られなくなるリスクを削減する。
【0015】
サイズ選択の次は、ベースとなるアイテムをスカート→タイトスカートのようなツリー構造からユーザーに選択してもらう。
【0016】
あらかじめアプリケーションにベースアイテムデータベースを作成。このデータベースには平凡だが特徴のある、かつ代表的で、ユーザーがアイテムとして選ぶ可能性のあるアイテムをオブジェクト情報として登録する。(スカートならタイトカート、ギャザースカート、ティアードスカートなど)
【0017】
登録する方法として、端末画面に表示される各アイテムオブジェクトのバストラインやウエストライン、ヒップラインや肩幅など作図に必要な数値はユーザーが〔0012〕において登録した数値、もしくはサイズテーブルより自動取得したサイズを適用した上で画面に出現するようにプログラムする。(
図5~
図7参照)
【0018】
ユーザーがツリー構造から望むアイテムに近いアイテム名をタップする事で、ベースアイテムデータベースから、その名称のオブジェクトアイテムを取り出し、メイン画面に表示する。(
図2参照)
【0019】
次にユーザーにはディティールを選択してもらう。
【0020】
ディティールもベースアイテム同様、ディティールデータベースを作成。ベースアイテムと同様の条件でオブジェクト情報として登録する。
【0021】
ベースアイテムの選択は必須項目だがディテールの選択はデザインの一環であり、適用するかは必須ではない。仕組みとしてはベースアイテムと同様である。(
図2参照)
【0022】
その後ユーザーには素材を選択してもらう。
【0023】
素材に関しては、あらかじめ買い付けた素材を撮影し、イメージ画像とした上でアプリケーションに登録。その後そのイメージ画像をカラー情報として素材データベースに登録する。
【0024】
ユーザーはツリー構造のイメージ画像と名称、混率などから素材、適用箇所を決めタップする。ユーザーが決定した名称から当てはまるカラー情報をデータベースより取り出し、画面に表示されているアイテムの適用カ所にカラーとして適用する。(
図3、
図8参照)
【0025】
素材が決まったら付属品(ボタン、ファスナーなど)を選択してもらう。
【0026】
付属品はあらかじめ買い付けたものを撮影し、イメージ画像として登録。登録されたイメージ画像を端末画面上で見た時に、ベースアイテムのサイズ感を基準にりサイズし、付属品データベースにイメージオブジェクトとして登録。
【0027】
ユーザーがツリー構造のイメージ画像と名称などから、使用したい付属品と個数を選択。選択された名称のイメージオブジェクトが、付属品データベースから呼び出されメイン画面に出現する。(
図3参照)
【0028】
付属品もディティール同様、必須項目ではないが、着る上で明らかに必要かつ未選択の場合は、一般的な対応の仕立てで仕上げる。
【0029】
更にこだわりをもってデザインしたいユーザーに向けて、詳細設定項目を作成する。(裏地の有無や、縫い代始末の方法など)
【0030】
詳細設定項目はチェックボックスを利用するため詳細設定データベースを作成し、YesかNoで判断できるBool型で登録する。
【0031】
ユーザーがチェックを入れた項目はTrueとなり保存される。(
図3参照)
【0032】
ここまでくると、ユーザーが望むアイテムが、望むサイズ感で、望むディティールを持ち、望む素材でできたオブジェクトとして、望む付属品のオブジェクトとともにメイン画面に出現している。
【0033】
最後はタッチパネルを駆使し、望む形に仕上げてもらう。
【0034】
各種丈や幅のバランスをホールドとスライドで調節したり、メイン画面に出現している付属品をドラッグとドロップで移動させ、好きな位置に配置したりしてもらう。
【0035】
自由に変更させた上で、実際に作成する数値を収集する事ができる理論しては、まずアプリケーション上のベースアイテムとその作図があることが重要である。数値を管理するデータベースを作成し、実際の作図に使われる数値と、アプリケーション上で現れるオブジェクトの各種数値をリンクさせることで、最終的に出来上がった画面上のオブジェクトとベースアイテム、初期値との差異を求め、その数値を現実の数値に等倍した上で、現実の作図に当てはめる事で実現できる。(〔
図3〕〔
図5〕~〔
図9〕参照)
【0036】
また、付属品を自由に設置、デザイン出来る理論として、アプリケーション上に現れるベースアイテムが、実際の作図の数値とリンクしていることで、ユーザーによって移動された付属品の位置情報を記録し、最終的にどの位置に設置されているかを求め、数値管理データベースに格納。それを等倍にし、返すことで現実の作図の位置に落とし込むことが出来る。(〔
図3〕〔
図5〕~〔
図9〕参照)
【0037】
これらの工程により、望むデザインをユーザー自身の手で作成し、遠距離からオーダー、衣類作成の為の数値を衣類製作者側が知る事ができる。
【0038】
最終的には、ユーザー情報、お支払い情報、お届け先情報、配送に関わる情報を収集し、ユーザー情報データベースに格納。オーダーとして絵型の情報と必要サイズとともに管理・運営に送信してもらう。(
図4参照)
【発明の効果】
【0039】
上記アプリケーションを使用することで、オーダーメイドにおけるオーダーから実際に商品を製作開始するまでの時間と距離を省き、企業側は製作開始から、消費者側は好きな時にデザインし注文するだけの状態に出来るため、消費者が望むデザインの衣類を短期かつ、ローコストで実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図2】本発明アプリケーションのフローチャートである。(3分割中1枚目)
【
図3】本発明アプリケーションのフローチャートである。(3分割中2枚目)
【
図4】本発明アプリケーションのフローチャートである。(3分割中3枚目)
【
図5】ベースとなるアイテムの作図の一例(タイトスカート)である。
【
図6】アプリケーション側で表示するベースとなるアイテムの一例(タイトスカートの前身頃)のである。
【
図7】アプリケーション側で表示するベースとなるアイテムの一例(タイトスカートの後ろ身頃)のである。
【
図8】アプリケーション側で表示する絵型作成の一例(タイトスカートの前身頃)である。
【
図9】アプリケーション側の絵型を元に作成される実際の作図の一例(タイトスカートの前身頃)である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
請求項1に関しては、
図1のビジネス相関図の形を作るため、請求項2のアプリケーションを管理・運営する事業を立ち上げたうえで、服飾資材を集め、アプリケーションに生地や副資材の在庫情報を登録。アプリケーションを配信できる形まで仕上げる。
【0042】
その後、決済の為の業者や、配送の為の業者、縫製工場または個人で衣類を作成できる人と連結し、メディアに公知した上で”Apple Store”または“Google Play”より消費者の望む端末にダウンロード出来る形をとる。
【0043】
請求項2に関しては、
図2~
図4が示すフローチャートの流れをもつアプリケーションを開発する。
【0044】
請求項3に関しては、〔課題を解決するための手段〕で開示したプログラムを組み上げる。
【0045】
請求項4に関しては、考えうる限りまたは製作上可能な限りの衣類製作に必要な事柄をアプリケーション上で消費者が選択できるよう登録する。
【0046】
請求項5に関しては、〔課題を解決するための手段〕で開示したプログラムを組み上げる。
【0047】
請求項6に関しては、〔課題を解決するための手段〕で開示したプログラムを組み上げる。
【0048】
請求項7に関しては、〔課題を解決するための手段〕で開示したプログラムを組み上げる。
【実施例0049】
実施例としては、
図1に示すビジネス相関図の通りである。
この発明は、既製服が台頭する現状のアパレル産業において、オーダーメイドを簡略化し、より身近に、より手軽なものとして、誰もが自分が着たい服を作り、着ることが出来るように、現状とは違った新しい販売の形として、セミオートチュールを実現し、情報端末に触れることの出来る全ての人に、届けることが出来ればと考えている。
もしこの販売形態を日本が独占し定着させる事が出来たなら、ネットワークを介し、世界中に顧客をつくる事が可能だと思われます。この販売形態が完成すれば、日本経済にも大きく貢献出来るものと考察する。