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特開2023-56996パッティング練習用具、パッティング練習用具を備えるパターマット、パター練習アプリケーション、及びパッティング分析装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023056996
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】パッティング練習用具、パッティング練習用具を備えるパターマット、パター練習アプリケーション、及びパッティング分析装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
A63B69/36 533Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021180634
(22)【出願日】2021-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】518319632
【氏名又は名称】ナリーズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀口 朋徳
(72)【発明者】
【氏名】堀口 佳徳
(57)【要約】
【課題】設置と撤去作業が平坦なマットと同様に容易であり、単調な練習を防止し、練習意欲の向上と上達確認が簡便に行えるパッティング練習用具の提供をする。
【解決手段】画像認識マーカーを備える練習用具をスマートフォン又はタブレット端末のアプリケーションにて撮影する事で、画像認識マーカーを認識し、ボール位置の測定及び集計をしてパッティング分析を行う事ができるプログラムを備える分析装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報機器のカメラを通して、敷設されたパターマットに停止したボール位置からボール位置情報を取得する事が出来、前記ボール位置情報をもとに、パターマット上のパッティングターゲットとの相違を距離及び角度にして算出する事ができるパター練習アプリケーション。
【請求項2】
さらに画像認識マーカーを検出できる機能を搭載した請求項1のパター練習アプリケーション。
【請求項3】
ボールをパッティングのターゲットに向かって打球したときにボール同士が干渉し難い距離、かつボールとターゲットの関係性判断の間違いが起き難い場所にパッティングのターゲットを複数個設けて、設定されたパッティングのターゲットに対して試技されたボールを、アプリケーションが前記関係性判断の処理をする事ができる請求項1又は請求項2のいずれかに記載のパター練習アプリケーション。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のパター練習アプリケーションにより認識ができる画像認識マーカーを備えるパッティング練習用具。
【請求項5】
請求項4に記載の画像認識マーカーを備えるパッティング練習用具を含む事を特徴とするパターマット。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のパター練習アプリケーション、及び請求項4のパッティング練習用具、又は請求項5のパターマットのいずれかからなるパッティング分析装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、画像認識マーカーを備える練習用具とスマートフォン又はタブレット端末用アプリケーションを用いるゴルフのパッティング練習用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフにおけるパッティングは、より少ない打数でゲームする為に、重要視されている一方で、ショット練習(又は打撃練習)と呼ばれるドライバーやアイアンを使用した強く遠くへ飛ばす練習に比べて、小さくおとなしい動きである事を一因として、単調かつ地味であり、さらには練習の中では上達確認が行い難く、中々練習意欲が湧かない一面がある。
そこで、各ゴルフ用品メーカーや発明家の方々は様々なパッティング練習用具を考案や発明をされてきた。
例に挙げると、ゲーム性を与えて練習意欲向上を図ったもの(特開2008-246248)や正確なパッティングデータの検出ができ、尚且つ装置の小型化を図ったもの(特開2008-596)などが従来発明品として存在する。
また、ごく一般的な従来型の練習用具として、平坦な人工芝によるパターマット又はカップ部分に傾斜を付け返球機能を有するパターマットを市場では良く目にすることを補足する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2008-246248号公報
【特許文献2】特開2008-596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1及び特許文献2のパッティング練習用具は、その機能を発揮するためにセンサー類やそれらを格納する筐体が必要となり、必然的に平坦なマットに対しては大がかりになり、製造及び販売価格も嵩む事となる。合わせて、設置に係るスペースや作業時間といった利便性は平坦なマットに対して著しく低下する。
【0004】
一方、平坦なマットや返球機能を有するマットでは、安価かつ容易に設置及び撤去する事ができるが、使用例としてはボールを目標に向かって打つ事の繰り返しであり、練習が単調になりがちである。その為、技術向上の為の継続練習を行う事は困難である。さらに、パッティング技術向上の確認をしたい場合は、「同じ目標に連続何回当たった」といった事や「ボールの位置をノートに記入や別途コンピュータを用いて記録する」などの独自の準備と判断で行わなくてはならず手間がかかる。
【0005】
そこで本願発明は、前述した課題を解決する為に設置と撤去作業が平坦なマットと同様に容易であり、単調な練習を防止し、練習意欲の向上と上達確認が簡便に行えるパッティング練習用具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、上記目的を達成するために次のものを提供する。
画像認識マーカーを備える練習用具を一般的な平坦に敷くパターマットや絨毯といったゴルフボールを転がすのに適した場所に設置、又は請求項5の画像認識マーカーを備えるパターマットを床に敷設する。
【0007】
詳しくは「発明を実施するための形態」にて記載するが、本願発明の利用者(以下、利用者と記す)はパター練習アプリケーション(以下、アプリケーションと記す)のガイダンスに沿ったパッティングを行う。一例として、パターマット上に5つのボール到達目標となるターゲットがあった場合、5つのターゲットを目標として利用者は5球のパッティングを行う。予め情報機器であるスマートフォン、又はタブレット端末(以下、便宜上スマートフォン及びタブレット端末を指す文言としてスマートフォンと記す)にインストールしたアプリケーションを起動し、アプリケーションのガイダンスに沿って一般的なパターマット又はマーカー付き練習用具を撮影する。撮影された画像はアプリケーション内にて一般的なパターマットでは画像からパターマットの姿勢又はパターマットの辺の傾きを捉え、撮影画像に傾きがある場合は必要に応じて修正される。尚、画像認識マーカーを用いる場合は、画像認識マーカー位置関係を基準に修正がされる。その後、一般的なパターマットの外形、又は画像認識マーカーによって定義されるボールの認識と位置測定ができるエリア(以下、ボール位置測定エリアと記す)にあるボールが認識されたあとに、位置情報に変換されたデータは、データ集計モジュールの処理を通りデータ表示画面へと試技情報として映される。このスマートフォンの搭載カメラによる撮影を含む一連の処理の流れを模式図として図1に示す。
【0008】
従来発明品では、センサー類を搭載した筐体を含むパッティング練習環境が必要であったが、本願発明では平坦なパターマット、パットに適した床等にマーカー付き練習用具を設置するか、又はマーカー付きの練習用具を備えるパターマットを敷くだけで練習環境が準備出来る事となる。さらに、既出の発明品では練習やゲームを行う前に機器の電源投入や情報機器の設置などが必要となるが、本願発明では前記の通り簡便な準備を行い、ボールを打球した後に所定の操作を行う事でパッティングの分析を行う事が可能となり、利用者の利便性は格段に向上する。尚、内閣府の消費動向調査(2021年)では単身世帯のスマートフォンの保有率は75.6%であり、2人以上世帯においては88.9%といった数字が示されている。スマートフォンアプリケーションを利用する本願発明において普及が見込める数字と言える。
【0009】
アプリケーションはパッティングして停止したボール位置が、ターゲット位置に対してどの程度の相違があったかを数値化する。例えば、パッティングスタート地点からターゲットを結んだ仮想線を便宜上ターゲットラインと呼ぶ事とし、ターゲットラインに対して、パッティングスタート地点からボールが停止している点を結んだ仮想線を飛球線と呼ぶとき、ターゲットラインと飛球線が織りなす角度が何度であったか、飛球線沿いにターゲット位置に対してどれだけ多く転がったか、少なく転がったかといった数値を算出する。具体的に正確な測定結果を数値情報で表示する事で、利用者本人が目視による判定よりも、ターゲット位置に対して多く転がった、転がらなかったといった事や、ターゲットラインに対する飛球線の相違角度を正確に把握する事ができる。合わせて、本願発明が効果を大きく発揮するのは、数値データを複数蓄積して、利用者のパッティングの傾向を把握できる事にある。1つのデータでは偶然であったと言える値も、1日に複数回や1週間といった一定期間に蓄積したデータを期間で表した場合、データの偏りが減りより正確な傾向として扱う事ができる。例えとして、利用者はターゲットに対して右側にパッティングする癖がある事やターゲットに対して短くパッティングしてしまう傾向にあるといった事がより正確に確認できる。これらの傾向の把握は、技術向上を望むゴルフ競技者であれば知りたい者が多い事は想像に難くない。
【0010】
データの集計と傾向を確認しようとした場合、例えば既にデジタルデータになっているものは現代の一般的な表計算ソフトや電卓を用いて簡単に求める事ができるが、パッティングを行うという物理的な作業を伴った場合、記録の煩雑さは途端に増加する。ボール全ての位置情報をものさしで測り、間違いの無いようにノートやパソコンにて記録する事の手間は非常に煩わしい。本願発明は、コンピュータの得意とする正確な応答と反復作業を、現在の画像処理技術を以て実現した大変有意義な発明である。つまり、本願発明は一般的なパターマット又はマーカー付き練習用具上にてパッティングを行った後にアプリケーションで撮影を行うだけで、利用者自身のパッティング結果の数値化や傾向の把握が可能であり、単調になりがちな練習に技術上達を確認する機会をもたらし、練習意欲の向上に繋がる発明であるといえる。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、練習用具の簡便な敷設が可能であり、国民の多くが保有するスマートフォンのアプリケーションを用いて、利用者自身の技術確認が行い易く、合わせて練習意欲湧くパッティング分析装置である。また、利用者が購入しなくてはならない用具も一般的なパターマット、画像認識マーカーを備えるパッティング練習用品、又はパッティング練習用具を備えるパターマットだけである為、安価で製造できる物品であり、普及面においても秀逸である。因みに、本願発明に利用されるゴルフボールはごく一般的に市販されるものを利用する事ができる。
【図面の簡単な説明】
図1】本願発明のパッティング分析装置の概要構成を示す図である。
図2】画像認識マーカーの一例であり、三角形の明度が高い部分と低い部分がある図案である。
図3】画像認識マーカーの一例であり、円形の明度が高い部分と低い部分がある図案である。
図4】アプリケーションによる撮影方法の一例をパッティング打球方向の側面から示す図である。
図5】撮影方法の一例を、パッティング打球方向に沿って、遠近感のある表現を用いて示す図である。
図6】請求項5のパッティング練習用具を含むパターマットの表面に施すターゲットの一例を示す図である。
図7】画像認識マーカー4つの配置の一例である。斜線のハッチング部分はボール位置測定エリアである。
図8】画像認識マーカー3つの配置の一例である。斜線のハッチング部分はボール位置測定エリアである。
図9】マットの縁にそったコの字型の画像認識マーカー及び、斜線のハッチング部分はボール位置測定エリアである。
図10】画像認識マーカーを備えるパッティング練習用具の一例であり、斜線のハッチング部分が人工芝やフェルトのパッティングに適した素材により構成されている。
図11】画像認識マーカーを備えるパッティング練習用具の一例であり、斜線のハッチング部分が人工芝やフェルトのパッティングに適した素材により構成されているが、「図10」とは異なり中央部が空いている事が特徴である。
図12】画像認識マーカーとターゲットを備えるパターマットの一例である。
図13】試技に必要な作業の流れのフローチャートである。
図14】関係性判断の一例を示す図である。
図15】オンザラインエリアを示す図である。
図16】テスト方法を示す図である。
図17】5名のテスターによる打球テスト結果表である。
図18】パターマットにターゲットを配置する位置例である。
図19】自動判断について説明用の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本願発明の実施形態について説明をする。本願発明のパッティング分析装置は、一般的なパターマット及びアプリケーション、より好ましくは画像認識マーカーを備えるパッティング練習用具101とアプリケーションからなる。
【0013】
先ず、本願発明のアプリケーションは、一般的なパターマットを認識する場合と、別の実施形態として画像認識マーカー100を認識する場合があり、それぞれ一般的なパターマットはパターマット自体の全体又は角や辺を、画像認識マーカー100の場合は画像認識マーカー100上の任意の位置を位置情報として把握する。その為、一般的なパターマットを用いる場合、例えば緑色の一般的なパターマットを緑色や同系色の絨毯上に敷設すると、色の差や明暗のコントラストが少なく、パターマット全体や外形形状の認識は困難となる。その場合、効果を発揮するのは請求項4の画像認識マーカーを備えるパッティング練習用具101である。尚、本願発明の実施にあたり一般的なパターマットを用いるか、画像認識マーカーを備えるパッティング練習用具101を用いるかは、使用環境に応じて選んでも良い。以下では、画像認識マーカー100を主に用いた実施形態について述べる事とする。パッティング分析装置の全体を説明する前に、画像認識マーカーを備える練習用具101の実施形態として図面を用いて説明する。画像認識マーカー100とは図2図3又は図9の様に、画像認識マーカーの色の明度が低い部分111と画像認識マーカーの色の明度が高い部分110による高い明暗のコントラスト(以下、コントラストと記す)からなる単純な図案が望ましい。
【0014】
画像認識マーカー100が撮影される環境は利用者の自宅リビング、廊下又は店舗内、パッティンググリーン上などが想定されるが、カメラ撮影を行うときに周辺の物品や景色が写り込む事となる。撮影された画像中の画像認識マーカー100はボール102位置を測定するときの基準となる。その為、画像認識マーカー100は周辺の物品や景色が画像認識マーカー100と似た図案があると誤認識の可能性が高まるので、周辺の物品や景色にあまり使われない図案が画像認識マーカー100に適している。有彩色を使用した画像認識マーカー100を作成する事も可能ではあるが、有彩色の画像認識マーカー100は必然的に明暗コントラストが下がりやすくなり画像認識マーカー100としては余り適さない。周辺の物品や景色との誤認識を防ぐ事ができ、画像認識モジュールにて認識し易い単純な図案の画像認識マーカー100を用いる事は、一般的なパターマットのみで画像認識を行う場合よりも有効である。
【0015】
描く図形としては、図2の三角形や図3の丸型の他に四角形なども好適である。アプリケーションは、内部の画像処理プロセスモジュールにより一般的なパターマットの外形形状を認識する事ができるが、好ましくは認識の精度向上の観点から、図9の如く画像認識マーカーの色の明度が高い部分110と画像認識マーカーの色の明度が低い部分111からなる画像認識マーカー100を用いる事である。一例として図9のコの字型の画像認識マーカー100の内側がボール位置測定エリア112と図示されているが、利用者がボール位置測定エリア112を認識する上でパターマットの幅と同等である事が望ましい。
【0016】
図1の画像処理プロセスモジュール内の各処理を説明する。画像の取得は、カメラ制御モジュールを通して行うが、このときスマートフォン104に搭載されている標準カメラ機能を流用しても良いし、独自に撮影条件に合った機能を開発し、使用しても良い。
【0017】
次のステップとして、スマートフォン104のカメラを通して取得された画像がマーカー認識モジュールに取り込まれたときに、アプリケーションに登録された画像認識マーカー100と撮影された画像から画像認識マーカー100が一致するかを確認する。
【0018】
一致が確認された画像認識マーカー100は、図2の三角形の画像認識マーカー100を例にすると、三角形の任意の点をマーカー位置情報変換モジュールに登録しておく事で、位置情報へと変換される。
【0019】
スマートフォン104のカメラ撮影角度やレンズの歪みといった条件により縦横比率が変わったボール位置測定エリア112は、画像修正モジュールに事前登録された正しい縦横比率に修正される。
【0020】
ボール認識モジュールは取得した画像からボール102を認識し、ボール位置情報変換モジュールがボール位置情報に変換する。
【0021】
スマートフォン104と画像認識マーカー100が平行のときに取得した画像のボール中心位置は、ボール102の接地点と一致するが、スマートフォン104を傾けて画像認識マーカー100を撮影したとき、取得した画像のボール102中心位置とボール102の接地点とは誤差がある。傾きがあるときボール102接地個所の算出は、取得したボール102画像の中心とボール接地個所の補正が必要になる。前記のボール認識モジュールの補正量は、スマートフォン104を傾けて撮影する角度が大きい程、段階的に大きな補正をかけて、接地個所が割り出される。必要な補正量は、ジャイロ等のセンサーによる傾き検出をもとに算出しても良いし、取得した画像からパターマットの外形の縦横比をもとに傾きを算出しても良い。
【0022】
試技の一例として、複数のターゲット105を設定して、それぞれのターゲット105にボール102を打球し、その結果複数のボール102が停止した状態を測定する場合、どのボール102がどのターゲット105を狙って打球されたかという関係性を判断する必要があり、これを関係性判断と呼ぶ。関係性判断は関係性判断モジュールによって行われるが、詳しい判断内容については後述する。尚、画像処理プロセスモジュールの処理内容は、任意の順番に変更する又は並列に実行する事ができる。さらに、各処理の間に他の処理を追加しても良い。
【0023】
また、このとき用いられる、図1の画像処理プロセスモジュール内の処理は、AR(Augmented Reality)カメラ及びARマーカーを用いてマーカー認識モジュールの処理を置き換えても良い。その他の例として、画像上のパターマットや画像認識マーカー100を認識できるように学習させても良い。そのときは、マーカー認識モジュールと画像修正モジュールと前記の機械学習結果と置き換える事ができる。また、画像上のボール102位置と実際のマット上のボール102位置の関連性を学習させると、ボール認識モジュール、及びボール位置情報変換モジュールと置き換える事ができる。また、三角形の画像認識マーカー100を用いるとき、大きさとしてはカメラ撮影したときに補正をかけても鮮明化できないほど小さい、反対に設置や撤去が煩雑になるほど大きい等は適さない。好ましくは、最外形が2cm以上20cm以下であり、より好ましくは最外形が4cm以上15cm以下である。
【0024】
画像認識マーカー100は1つ以上の個数で、アプリケーションが位置測定エリア112を認識する為の基準となる。画像認識マーカー100の配置数量は、好ましくは画像認識マーカー100が配置される床平面上にて向きを定義し易くなる3つ以上、さらに好ましくは4つである。4つの画像認識マーカー100を配置する事で、図7の如くボール位置測定エリア112を囲う事ができる。ボール位置測定エリア112は、ボール102の停止している個数のカウントとボール102の位置測定を行う対象エリアであるが、ボール位置測定エリア112の境界部(図7のハッチングエリア)は画像認識マーカー100と近接させる事で利用者に分かり易く提示する事もできる。一方で、図8の様な3つの画像認識マーカー100とボール位置測定エリア112を画像認識マーカー100が配置された外側に設定する事も可能である。また、例えば画像認識マーカー100の数が5か所に増えた場合は、1か所の画像認識マーカー100がアプリケーションに認識されなくとも他4か所の画像認識マーカー100を認識して、ボール位置測定エリア112を形成する事ができるメリットを有するが、複数か所の画像認識マーカー100を認識する事はアプリケーション及び利用端末の負荷となるデメリットが発生する可能性がある。また、あまり複数の画像認識マーカー100を有する練習用具の場合、見栄えが悪くなる恐れがある。
【0025】
この図2の三角形、又は図3の丸型に代表される画像認識マーカー100は提供する一例として、4つを1組としてパッティング練習用具として販売又は配布する事ができる。しかし、画像認識マーカー100はアプリケーションに位置情報を提供する物品であるから画像認識マーカー100が独立した物品の場合はパターマット、絨毯又は床などに設置するときは位置関係を正確にして配置しなければならない。例えばものさしで設置に必要な距離を測るといった事や、一定の長さをもつ紐等を準備して毎回同じ設置が出来る様な補助があるのが望ましい。
【0026】
そこで、図10の様な画像認識マーカー100を必要数だけ人工芝やフェルト(図中のハッチング部分)などのパッティングに適した素材にプリント、縫い付け又は貼付けにより予め配置する事で、位置関係に狂いが無く設置を行い易い。図10の画像認識マーカーを備えるパッティング練習用具101は利用者が既に所有しているパターマットや床に敷設する事で本願発明を利用する準備が整う格好となる。
【0027】
また、図10の実施形態の派生品として図11の如く、人工芝やフェルト中央部分を空けて、利用者が既に所有しているパターマットの表面を極力利用できる様にした形態も好ましい。
【0028】
一方、利用者がパターマットを所有していない場合は、図12の如くパターマットに画像認識マーカー100とターゲット105を予め備えたものの使用が望ましい。
画像認識マーカーを備えるパターマット113は、マーカーとターゲット105を予め備えており利用者は床に敷設するだけで画像認識マーカー100やターゲット105の位置関係の狂いを気にする事なくパッティング練習を行う事ができる。
【0029】
本願発明の画像認識マーカーを備えるパターマット113は、パターマットの長辺と短辺の長さに依存することなく作る事ができる。例えば、長辺400cm短辺70cmであれば、やや長めのパッティングの練習に適し、長辺250cm短辺50cmであれば短めのパッティング練習を行う事ができる。
【0030】
前記の画像認識マーカーを備えるパターマット113を用いたパッティング分析装置を利用する一連の流れの説明を行う。パッティング分析装置を利用する準備として、一例では利用者が予めスマートフォン104にアプリケーションをインストールした上で、画像認識マーカーを備えるパターマット113を敷設しておく。パッティングの練習の流れはアプリケーションにて打球順序など試技に必要なガイダンスが示される事を基本とするが、試技の流れを把握している場合、把握内容に合わせて利用者はパッティングを行えば良い。尚、本願発明は、画像認識マーカー100及び停止したボール102をカメラ撮影する事を特徴とするので、ボール102をターゲット105に停止させる様に試技する。ボール102打球後は、アプリケーションのガイダンスに沿って、画像認識マーカー100が全て収まるようにカメラ撮影を行う。
【0031】
撮影姿勢は利用者が立ったまま行えるスマートフォン104の位置で、画像認識マーカー100を用いる場合は、利用者に近い側の画像認識マーカー100から凡そ50cmから3mの距離が望ましい。利用者が極端に画像認識マーカー100に接近すると、カメラの撮影範囲に、画像認識において必要な画像認識マーカー100及びボール位置測定エリア112が収まらない恐れがある。一方、画像認識マーカー100から離れすぎると画像認識マーカー100は画像の中で小さく映る事になり、画像認識マーカー100を表現する画素数が減る事となり、画像認識の精度が悪化する。撮影姿勢の凡そのイメージは図4及び図5であり、2つの図は描画方向が異なるだけで同様の状況を指し示すものである。
【0032】
アプリケーション内には打球結果が表示されるので、アプリケーションのガイダンスに従って打球結果の確認を行う。以上のパッティング分析装置を利用する一連の流れは、図13の通りフローチャートにて表現されている。また、繰り返し試技を行う場合は、図13の3番であるアプリケーションの定める試技に沿ってボール102を打球するという項目より繰り返し行う事ができる。
【0033】
本願発明は試技の結果をスマートフォン104にて撮影を行う使用の流れであるから、もし1球を打つ度に撮影を行った場合は、練習又はゲームを問わずテンポが悪くなってしまう恐れがある。そこで、1つのターゲット105に対して複数のボール102を打球して、一回の撮影に対して打球数を増やす事でテンポを良く練習できると考えられる。
【0034】
しかし、1か所のターゲット105に複数のボール102を打球すると、打球同士の接触が発生し易くなり、そのときは正確な位置情報とならない。その為、ボール102同士が接触しないように1つのターゲット105に対して1球を打球する事が好ましい。
【0035】
1つのターゲット105に対して1球を打球する事を踏まえつつ、練習のテンポを良くする為には、複数のターゲット105を配置してそれぞれのターゲット105に対して、ボール102を打球する事が考えられる。そのときターゲット105の複数か所の配置条件は、ボール102同士の接触が発生しない事が望ましい。
【0036】
複数のターゲット105が配置された場合、一度の試技で打てるボール102はターゲット105と同数まで増やす事ができるが、停止したボール102を撮影してどのボール102がどのターゲット105に対して打球したボール102かを判別しなくてはならない。どのターゲット105に対して、打球されたボール102なのかといった関係性を判断する事を関係性判断というが、図14を用いて関係性判断の内容説明を行う。図14の図中最も左上のターゲット105を対象にした場合、前記ターゲット105に最も近接するボール102は、前記ターゲット105の左側(図中最も左側)にあるボール102である。アプリケーションは、このターゲット105との直線距離が最も近いボール102は前記ターゲット105を狙ったボール102と自動判断する。
【0037】
しかし、前記の自動判断は利用者のミスパッティングによって、ターゲット105に近接するボール102が入れ替わってしまうと判断対象も入れ替わってしまう事になり、実際の打った順序とは異なってしまう。また、図12のターゲット105が5つある例を挙げると、無秩序な順序で打球を行うと手前に止まったボール102とその奥にあるターゲット105を狙ったボール102が接触し易くなり、ボール102が停止した正確な位置情報が得る事ができない。
【0038】
そこで、ボール102同士の接触を防止する為に、次の様な対策が考えられる。
ここでアプリケーションが定める試技(前記ガイダンス)の一例としてターゲット105が5つある場合で説明を行う。利用者は図12の下側のスタート地点103より画像認識マーカー100のある上側にあるターゲット105に向かってパッティングを行う。5つのターゲット105は図中上側にあるものを上段ターゲット、一つ下にあるものを中段ターゲット、さらに下にあるものを下段ターゲットと呼ぶ事とする。アプリケーションはガイダンスにて利用者に上段ターゲットからパッティングする様に指示を出す。これは既にボール102が中段ターゲットに停止していた場合、上段ターゲットを狙うと邪魔になる可能性が高くなりパッティングが行い難くなる。そこで、5球の打球順序としては、上段ターゲット、中段ターゲット、下段ターゲットの順序でパッティングする事でボール102同士の接触を低減する事ができる。試技は、設置されたターゲット105に対して最奥から打球する事を特徴とする。
【0039】
さらに、ターゲット105の位置に奥行きを持たせて複数か所に配置し、最奥から打球する手順に加えて、ターゲット105同士に特定の距離を設ける事で、ボール102同士の入れ替わりを防止する。例えば奥にあるターゲット105に打球したボール102よりも、手前のターゲット105に対して打球したボール102が奥側に停止してしまう場合である。尚、ボール102に色や柄を設けて、アプリケーションにて色や柄の判別を行い、打球順序をより正確に判断する事は可能であるが、利用者が普段使う市販品のボール102を極力利用できるようになっている。前記特定の距離を設定する為に、利用者であるゴルファーのミスの頻度とミスの大きさを測る必要がある。
【0040】
前提として、パッティングにおいてはプロや上級者(ゴルフハンディ0~5程度)でも頻度は初級者と異なるが、大きなミスが発生する。大きなミスというのは、ターゲット105に凡そまとまる結果から大きく離れた結果を指す。ゴルファーには前記の大きなミスがあるといった共通認識があるが、その共通認識を示す一例として次の事が挙げられる。ゴルフの俗語には、狙った距離と大きく異なった結果のミスを言い換えてノーカンパットなどと表現をされる事がある。このように、ゴルフではある頻度で発生するパッティングのミスが有り、俗語が使われて多くのゴルファーが相互に理解できる程度には浸透している。合わせて、前記ミスはターゲット105に対する距離方向だけでなく、ターゲット105に対する左右方向のミスを含めて、多くのゴルファーに認識されている。このように、パッティング技術の巧拙によって発生率に違いはあっても大きなミスが発生する事はゴルファーの共通認識であると言える。前記の大きなミスを含めて、本願発明にてターゲット105間を際限なく広げる事で関係性判断を行う事は、設置スペースの増大に繋がり実用的な使用の観点からも望ましくない。
【0041】
そこで、図16の様なテストを行い関係性判断にて必要なターゲット105間距離を発見した。想定される利用者の中から、比較的技術の拙い者を対象にする事で、ターゲット105間に必要な値が判断できると考えた。そこで、凡そ初級者と言えるゴルフハンディキャップ30付近の5名のテスター(A、B、C、D、E)に、図16のスタート地点からターゲットまでの距離Lの値が1メートル、2メートル、3メートル、5メートルとなる距離のターゲット105の直上を狙いそれぞれスタート地点103から100球を打ってもらった。尚、地面Gはパッティングに適した素材の平らな地面Gとなっており、1球を打つごとにターゲット105と打球したボール102の奥行き方向の距離と左右方向を計測し、打球したボール102を除去した上で次の打球に移る。テストの結果については、図17の結果の通りである。
【0042】
ターゲット105との距離が1メートルのときは、全テスターが打球した95%が10cmに収まっているが、2メートルでは20cmにバラつく事が確認された。さらに、3メートルと5メートルでは、殆ど30cmと50cmに収まる事が確認されており、打球する距離の10%に狙ったボール102の95%が収まる事が分かった。合わせて、ターゲット105に対する左右方向は、1メートルのターゲット105を狙ったときに、ターゲット105から5cmの範囲に95%のボール102が収まっていた、さらに5メートルのターゲット105を狙ったときにターゲット105から25cmの範囲に95%のボール102が収まっていた。ターゲット105の距離が1メートルから5メートルの間は距離に比例した結果関係が確認された。つまり、ターゲット105に対する左右方向のバラつきは、打球する距離の5%に狙ったボール102の95%が収まる事が分かった。
【0043】
前記のとおり、ターゲット105に対する距離方向と左右方向のバラつきを合わせると距離方向に長い凡そのバラつきを示す楕円形状108が描ける事が確認された。前記のバラつきを示す楕円形状108以外が所謂大きなミスであり、本願発明では自動判断とは別の手段を取って関係性判断を行う事とする。
【0044】
大きなミスに当たる5%が発生した場合は、利用者がアプリケーション画面にて実際に打球した結果の関係性を手動で入力する。一例としては、アプリケーション内に画面表示されたボール102をタップする等の簡単な操作である。利用者が手動入力することで、際限なくターゲット105間を広げる必要がなくなり、産業上の利用においてコストやスペースといった点において好ましい。図17のテスト結果からターゲット105は、1メートルの場所にて左右に配置する場合は、ターゲット105同士を10cm以上離すのが望ましく、1メートルの位置から追加で打球方向奥側に最も近接するターゲット105を配置したい場合は、2つのターゲット105の大きなミスを除く範囲が干渉しない122cm以上あけた場所にターゲット105を配置するのが望ましい。本願発明のスムーズな利用の観点から、前記ターゲット105の位置は打球距離が延びるにつれてテスト結果に則した間隔をあけてターゲット105配置をする事が望ましい。つまり、例として長さ201cmかつ20cm幅のパターマット109に効率よく配置する場合は、20cm幅のパターマット109の端末をスタート地点103としてボール102を打つと、1つめのターゲット105は1メートルの位置に配置したとき、2つ目のターゲット105の中心は122cmの位置となり、バラつきを示す楕円形状108は110cmの位置で相互に接触する事になる。前記のバラつきを示す楕円形状108を接する様にターゲット105を並べて配置すると、図18の如く最大で4つのターゲット105を配置できることができる。バラつきを示す楕円形状108の接する関係を算出するときの1cm以下の誤差は無視するものとする。
【0045】
また、図19の様なターゲット105及びボール102停止位置のとき、より好ましいアプリケーションの自動判断について考える。図19のボール102停止位置のとき、ボール102同士の入れ替わりは実際には発生していないが、アプリケーションが単純に手前側(図中左側)のターゲット105に最も近いボール102を選択すると、奥側(図中右側)のボール102との組み合わせとなる。すると、残った奥側(図中右側)のターゲット105と手前側(図中左側)のボール102が組み合わせとなってしまう。実際のパッティングを考えると基本的にはボール102は同一のターゲットライン上に打球されるので、奥側から打球する事を前提として前記の様な組み合わせにはなり難い。本願発明は、打球テストに基づいたボール102同士が接触し難い位置関係にターゲット105が配置されているので、ボール102同士の入れ替わりの頻度も少ない事になる。そこで、入れ替わりは発生していない前提で、次のような組み合わせを行う関係性判断が考えられる。図19のようなボール102及びターゲット105の位置関係のとき、スタート地点103から見て手前側から、又は奥側から関係性判断を行う。入れ替わりが発生していない前提なので、手前側のボール102と手前側のターゲット105が組み合わせと判断される。当然であるが、奥側から同様の関係性判断を行っても同じ組み合わせになる。また、ターゲット105が図14の如く、スタート地点103から見て左右に2つ以上あった場合は、左右どちらかから順番に関係性判断を行う事も入れ替わりが発生していないという前提から有効である。これらの一定方向から関係性判断を行う順序は、縦方向と左右方向といった異なる方向を組み合わせても良いし、組み合わせの順序に制限を受けない。複数のターゲット105が配置される場合、打球したボールのもっともらしい関係性判断の為に、関係性判断は前記の一定方向からの処理を含める事が好ましい。
【0046】
図17のテスト結果は、想定される利用者の中から比較的技術の拙い者に実施してもらっているので、実際の利用者の多くはテスト参加者より技術的に上手く、手動入力の必要は上手くなるにつれて段階的に減っていく。その為、実際の利用者の殆どの試技はアプリケーションによって自動判断が行われる。本願発明は、ボール102同士の干渉が起こり難く正確なスキルを表した結果を、自動判断のみ、もしくは自動判断と手動入力を合わせた処理である関係性判断の処理ができる事を特徴としている。
【0047】
利用者はアプリケーションが取得したボール102の位置情報をもとに、パッティング傾向を把握することで次の様な事も可能である。ターゲット105を中心として実際のカップサイズ10.8cmを円106として描き、その上でスタート地点103と10.8cmの円106を2辺で接する図形を描いたものの内側ハッチング部を図15のオンザラインエリア107と呼ぶ事とする。日々のアプリケーションの利用で、すべてのボール102がオンザラインエリア107に止まるとき、利用者は高い確率で狙った方向にボール102を打ち出す事ができていると判断できる。合わせて、図15のターゲット105より手前側にボール102が止まった割合が標本数の7割で、カップより奥側に止まったボール102が3割だったとき、利用者は狙い通りの強さでボール102を打つには、より強くボール102を打ち出す必要がある事が判断できる。この事から、ボール102は全てオンザラインエリア107なので、利用者の上達に必要なのはボール102を打ち出す強弱であると判断がし易くなる。さらに、利用者は上達に必要なボール102を打ち出す強弱の改善をするために、本願発明を用いて練習し、実際に改善されたかを数値情報より確認する事もできる。
【0048】
ところで、本願発明の形式である狙った所にボール102を止めて、その停止位置を計測するという事は、パッティング技術を確認及び向上させる上で相当に適している。実際のパッティンググリーンを想定した簡単な例としては、真っすぐな転がりをするターゲットラインでは多少の強弱があってもカップに到達すると、ほとんどの場合はカップインとなる。しかし、実際のパッティンググリーンでは真っすぐな転がりをするターゲットラインは少なく、多くの場合は傾斜があり右や左にボール102が曲がっていくラインとなる。曲るラインでは、強く打ちすぎると曲り幅が小さくなりカップ横を通り過ぎてしまう。また、弱く打ちすぎるとカップに到達しない。この度合は、傾斜がきつくなれば尚更繊細な制御が必要になる。即ち、パッティングの練習においても、繊細な制御が確認できる手段を用いた練習が必要になる。例えば、穴や障害物を設置した練習用具では、練習用具にカップインや衝突した場合、狙った通りの強さであったかを容易には判断する事はできない。平らなパターマットのみを用いた場合も、停止位置は凡そ把握する事ができるが、詳細な位置情報を取得する事は、自身でものさし等を使って計測する事以外は難しい。さらに、手間を要する為、練習のテンポが悪くなる。前記の事から、本願発明はこのボール102が停止した詳細な位置情報の取得を自動で行える為、ゴルフ上達に相当に適した分析装置である。
【0049】
試技情報として、ボール102のターゲット105への近接具合に応じて得点を付ける事も好適である。イメージとしては、射的競技等のエリア分けされた場所に得点が書かれたゲームを想像すると分かり易い。アプリケーションの試技情報画面で、ボール102のターゲット105への近接具合に応じた5点や10点といった得点情報を表示する事で、距離情報やターゲットラインからの差異を表す角度といったやや専門的な数値情報を表示する事に対して、数値情報に疎い利用者も自身の技術向上の目安とし易い。利用者は、とある試技の得点が一定期間で平均4点だったあと、得点が一定期間で平均5点になった場合、アプリケーションの定めるルールに基づいて、パッティング技術が上達したと判断する事ができる。
【0050】
さらに、同得点情報をグラフ表示する事で、以前の技術レベルと現在の技術レベルを時間軸で確認する事でき、より好適である。また、2人以上の利用者がいた場合、5球の試技毎に交代してそれぞれの得点情報を比較するとパッティングゲームを行う事ができ、練習意欲向上に更なる効果を発揮する。これらの得点情報は本願発明の利用者同士で画面の写真保存等による情報交換することで、遠く離れた利用者と競う事も可能である。
【0051】
尚、画像認識マーカーを備えるパターマット113には必ずしも得点エリアが描かれていなくとも良い。アプリケーション内部でターゲット105とボール102の位置関係は詳細に分かるので、パッティングして停止したボール102位置に応じて得点を付与する事は容易であり、シンプルなパターマットを提供したい場合は、ターゲット105のプリントサイズを利用者が目視可能な1cm程度の点のみにするといった形態をとる事ができる。また、画像認識マーカーを備えるパッティング練習用具101を用いて、実際の芝の上に設置して使用してもよい。
【符号の説明】
100・・・画像認識マーカー、101・・・画像認識マーカーを備えるパッティング練習用具、102・・・ボール、103・・・スタート地点、104・・・スマートフォン、105・・・ターゲット、106・・・円、107・・・オンザラインエリア、108・・・バラつきを示す楕円形状、109・・・20cm幅のパターマット、110・・・画像認識マーカーの色の明度が高い部分、111・・・画像認識マーカーの色の明度が低い部分、112・・・ボール位置測定エリア、113・・・画像認識マーカーを備えるパターマット、G・・・地面、L・・・図16のスタート地点からターゲットまでの距離
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