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特開2023-57019溶着装置用の予熱配置、それぞれの溶着装置、並びに予熱方法及び溶着方法
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  • 特開-溶着装置用の予熱配置、それぞれの溶着装置、並びに予熱方法及び溶着方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057019
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】溶着装置用の予熱配置、それぞれの溶着装置、並びに予熱方法及び溶着方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/02 20060101AFI20230413BHJP
   B29C 65/14 20060101ALI20230413BHJP
   B29C 65/06 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
B29C65/02
B29C65/14
B29C65/06
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022126211
(22)【出願日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】21201749.5
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522238491
【氏名又は名称】ブランソン ウルトラスチャル ニーデルラッスン デル エマーソン テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング アンド カンパニー オーエイチジー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィオ フックス
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AG03
4F211AK04
4F211AR07
4F211TA01
4F211TC01
4F211TD11
4F211TH06
4F211TJ26
4F211TN20
4F211TN26
4F211TQ05
4F211TQ09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】溶着される部品のスタックを形成するために互いに溶着されるべき複数の部品が、低い労力で、かつ簡単で信頼できる方法で予熱される予熱配置を提供する。さらに、前記予熱配置を含む溶着装置、予熱方法、および溶着方法を提供する。
【解決手段】上部支持体1に取付けられた上部工具と、下部支持体3に取付けられた下部工具とを有し、上部及び下部支持体は初期位置と溶着位置との間で移動可能であり、第1の軸Xに沿って延びる第1の中心線と、第1の軸Xに垂直な第2の軸Yに沿って延びる第2の中心線とによって第1の平面を定める予熱装置10。予熱配置は、予熱装置を第1の位置と第2の位置との間で回転させるための第1の回転手段を含み、第2の向きにおいて、第1の向きと比較して非対称軸の周りで180°回転され、又は、第2の向きにおいて、第1の向きと比較して第3の軸Zの周りで0°<α<360°の範囲で回転される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部支持体(1)に取り付けられた上部工具と、下部支持体(3)に取り付けられた下部工具とを有する溶着装置の予熱配置であって、上部(1)及び下部支持体(3)は初期位置と溶着位置との間で互いに移動可能であり、前記予熱配置は、
a.第1の軸Xに沿って延びる第1の中心線と、前記第1の軸Xに垂直な第2の軸Yに沿って延びる第2の中心線とによって第1の平面を定める予熱装置(10)
を含み、
b.前記予熱装置は、第1の予熱構造(14)を有する第1の側(12)と、第2の予熱構造(18)を有する反対側の第2の側(16)とを有し、
c.前記第1の予熱構造(14)は、前記それぞれの軸が非対称軸であるように前記第1及び/又は前記第2の中心線に関して非対称であり、
d.前記第2の予熱構造(18)は、前記第1の予熱構造(14)に対応し、前記第1の平面に垂直な第3の軸Zに沿って見た場合に、前記第1(14)及び第2の予熱構造(18)が、一方が他方の上に配置されるように前記第1の予熱構造(14)と同様に向けられ、
e.前記予熱配置は、前記予熱構造(14、18)が第1の位置において第1の向きを有し、第2の位置において第2の向きを有するように前記予熱装置(10)を第1の位置と第2の位置との間で回転させるための第1の回転手段であって、
e1.前記第2の向きにおいて、前記予熱構造は、前記第1の向きと比較して前記非対称軸の周りで180°回転されるか、又は、
e2.前記第2の向きにおいて、前記予熱構造は、前記第1の向きと比較して前記第3の軸Zの周りで0°<α<360°の範囲、好ましくは90°≦α≦270°の範囲、特に好ましくはα=180°である角度αだけ回転される、
第1の回転手段
をさらに含む、予熱配置。
【請求項2】
第1又は第2の中心線の残りが対称軸である、請求項1に記載の予熱配置。
【請求項3】
前記第1の回転手段が前記予熱装置を、
a.前記非対称軸に平行な前記第1の平面の軸の周りで、
b.前記非対称軸の周りで、又は
c.前記第3の軸Zの周りで、
回転させるために使用される、請求項1又は2に記載の予熱配置。
【請求項4】
前記予熱装置(10)が長方形の形状を有し、前記第1の軸Xが前記長方形の横方向の辺に平行に延び、前記第2の軸Yが前記長方形の長手方向の辺に平行に延びる、請求項1又は2に記載の予熱配置。
【請求項5】
前記第1(14)及び前記第2の予熱構造(18)がIR予熱構造である、請求項1又は2に記載の予熱配置。
【請求項6】
第1の部品(20)を第2の部品に又は溶着された部品のスタックに溶着するための溶着装置であって、
a.前記第1の部品(20)を受けるための上部支持体(1)に取り付けられた上部工具と、
b.前記第2の部品又は前記溶着された部品のスタックを受けるための下部支持体(3)に取り付けられた下部工具と、
c.請求項1に記載の予熱配置と、
を含む、溶着装置であり、
d.前記予熱配置は、前記予熱配置が前記上部(1)及び前記下部支持体(3)の間の予熱位置に配置されるように待機位置と予熱位置との間で移動可能であり、前記予熱位置において前記上部(1)及び前記下部支持体(3)はそれぞれ前記第1の平面に平行な平面内に配置され、
e.前記上部(1)及び前記下部支持体(3)は初期位置と溶着位置との間で互いに移動可能である、溶着装置。
【請求項7】
前記溶着装置が振動溶着装置又は赤外線溶着装置である、請求項6に記載の溶着装置。
【請求項8】
請求項1に記載の予熱配置によって第1の部品(20)及び第2の部品又は溶着された部品のスタックを予熱するための予熱方法であって、
前記第1の部品(20)は第1の側(22)に第1の溶着構造(24)を、反対側の第2の側に第2の溶着構造(28)を含み、前記第1(24)及び前記第2の溶着構造(28)は、前記予熱装置(10)の第1(14)及び第2の予熱構造(18)と合同であるように形成され、前記第1の溶着構造(24)及び前記第2の溶着構造(28)が前記非対称軸の周りで180°又は前記第3の軸の周りで角度αだけ互いに回転されるように向けられ、
前記第2の部品又は前記溶着された部品のスタックは、前記第1の部品(20)に面する側に第3の溶着構造を含み、前記第3の溶着構造は、前記第3の軸Zに沿って見た場合に、前記第3の溶着構造が、前記第2の部品又は前記溶着された部品のスタックに面する第1の部品(20)の溶着構造の上に配置されるように向けられ、前記予熱方法は、
a.前記予熱配置を待機位置から、溶着装置の上部工具及び下部工具の間の予熱位置へ移動するステップ(ステップA)であって、この際前記予熱配置の予熱装置は、第1の向きを有する第1の位置に配置され、ここで前記予熱構造(14、18)は前記第3の軸Zに沿って見た場合に、前記予熱位置において前記溶着構造(24、28)と重なり、前記溶着装置の上部支持体(1)並びに前記下部支持体(3)は、前記予熱位置においてそれぞれ前記第1の平面と平行な平面に配置されるステップ(ステップA)と、
b.前記第1の部品(20)及び前記第2の部品又は前記溶着された部品のスタックを予熱するステップ(ステップB)と、
c.前記予熱配置を前記予熱位置から前記待機位置へ移動するステップ(ステップC)と、
を含む、予熱方法。
【請求項9】
予熱するステップBの後、
d.前記予熱配置を、好ましくは前記待機位置において、前記少なくとも1つの回転手段によって、前記第1の位置から前記第2の位置へ回転させるステップ(ステップD)
をさらに含む、請求項8に記載の予熱方法。
【請求項10】
請求項6に記載の溶着装置によって第1の部品(20)を第2の部品又は溶着された部品のスタックに溶着するための溶着方法であって、
前記第1の部品(20)は、第1の側(22)に第1の溶着構造(24)を、反対側の第2の側に第2の溶着構造(28)を含み、前記第1(24)及び前記第2の溶着構造(28)は、前記予熱装置の第1(14)及び第2の予熱構造(18)と合同であるように形成され、前記第1の溶着構造(24)及び前記第2の溶着構造(28)が前記非対称軸の周りで180°、又は前記第3の軸Zの周りで角度αだけ互いに回転されるように向けられ、
前記第2の部品又は前記溶着された部品のスタックは、前記第1の部品(20)に面する側に第3の溶着構造を含み、前記第3の溶着構造は、前記第3の軸Zに沿って見たときに、前記第3の溶着構造が前記第2の部品又は前記溶着された部品のスタックに面する第1の部品(20)の溶着構造の上に配置されるように向けられ、前記溶着方法は、
a.前記第1の部品(20)を前記第1の側(22)で前記上部工具に配置するステップ(ステップi)と、
b.前記第2の部品又は前記溶着された部品のスタックが配置された下部工具を有する下部支持体(3)を、前記上部支持体(1)に対して中間位置に移動するステップ(ステップii)と、
c.請求項8に記載の予熱方法を実行するステップ(ステップiii)であって、前記予熱装置(5)は前記第1の位置に配置されているステップと、
d.前記第2の部品又は前記溶着された部品のスタックを有する下部支持体(3)を、前記第3の軸(Z)に沿って前記溶着位置へ前記上部支持体(1)に対して移動するステップ(ステップiv)と、
e.溶着された部品の増大されたスタックが得られるように、前記第1の部品(20)を前記第2の部品に又は前記溶着された部品のスタックに溶着するステップ(ステップv)と、その後、
f.前記下部支持体(3)を前記初期位置へ戻すステップ(ステップvi)と、
を含む、溶着方法。
【請求項11】
前記第1の部品(20)を前記上部工具(1)に配置するステップiが、
g.前記第1の部品(20)を前記下部工具に、好ましくは前記第2の部品に又は前記溶着された部品のスタックに配置するステップ(ステップi1)と、
h.前記第1の部品(20)を有する下部支持体(3)を前記初期位置から移譲位置へ前記第3の軸Zに沿って前記上部支持体(1)に対して移動するステップ(ステップi2)と
を含む、請求項10に記載の溶着方法。
【請求項12】
前記下部支持体(3)を前記初期位置へ戻すステップviの後、
i.前記下部工具に面する側の溶着構造が前記下部工具の溶着された部品のスタックによって露出された第3の溶着構造と一致するように、別の第1の部品(20)を前記上部工具に配置するステップ(ステップvii)と、
j.ステップii~viを繰り返すステップであって、この際前記予熱装置(5)は回転されているステップと
をさらに含む、請求項10又は11に記載の溶着方法。
【請求項13】
前記下部支持体(3)を前記初期位置に戻すステップviの後に、
k.前記上部工具に第3の部品を配置するステップ(ステップviii)であって、前記第3の部品は、第1の側に第4の溶着構造を有し、反対側の第2の側に第5の溶着構造を有し、前記第4及び第5の溶着構造は、前記第3の溶着構造に対応し、前記第1の平面に垂直な第3の軸に沿って見たとき、前記第4及び第5の予熱構造が、一方が他方の上に配置されるように向けられ、前記第3の部品は、前記下部工具に面する側の溶着構造が、前記下部工具内の溶着された部品のスタックによって露出される第3の溶着構造に一致するように、前記上部工具に配置されるステップと、
l.ステップii~viを繰り返すステップであって、この際前記予熱装置は前記第1又は第2の位置に維持されるステップと
をさらに含む、請求項10又は11に記載の溶着方法。
【請求項14】
溶着装置のための後付け方法であって、
a.請求項1に記載の予熱配置を提供するステップ(ステップI)と、
b.前記予熱配置を溶着装置に組み込むステップ(ステップII)と、
c.前記予熱配置を前記溶着装置の制御方法に実装するステップ(ステップIII)と、
を含む、後付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶着装置の予熱配置、それぞれの溶着装置、予熱配置を用いた予熱方法、溶着装置を用いた溶着方法、及び後付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
予熱配置は、特に2つの部品、特にプラスチック部品を互いに溶着するための溶着装置との組み合わせで、一般に知られている。
【0003】
通常、溶着装置は、フレーム又はハウジングを含み、その中に下部工具及び上部工具が配置されている。下部工具は昇降テーブルに固定され、上部工具は上部工具プレートにしっかり固定される。昇降テーブルによって、下部工具を上部工具の方向に移動させ、下部工具内の第1の部品を上部工具内の第2の部品に摩擦溶着又は振動溶着することができる。
【0004】
このような溶着装置は、例えば、自動車産業や医療技術において使用されている。自動車産業では、溶着装置はライトの製造に使用されるが、プラスチックからなる、又はプラスチックを含む他の部品又は部品群の製造にも使用され得る。同様に、溶着装置は、医療技術又は消費財の製造において装置及び/又は部品群の製造に使用され得る。
【0005】
予熱配置を含む溶着装置の基本動作は次の通りである。まず、ユーザは、第1の部品を下部工具上に配置する。続いて、ユーザは、第2の部品を下部工具内の第1の部品上に配置する。次に、下部工具及びその上に配置された部品を有する昇降テーブルが、垂直軸に沿って、初期位置から、上部工具の方向に、第2の部品が上部工具に受け取られるまで移動する。
【0006】
次に、昇降テーブルは、予熱配置がアイドル位置又は待機位置から2つの部品の間の整列又は予熱位置に配置されることができる位置に戻るように移動する。予熱配置が2つの部品の間に配置された後、2つの部品は、溶着される地点で予熱される。この目的のために、予熱配置は、それぞれの予熱構造を有している。予熱の後、予熱配置はアイドル位置又は待機位置に戻される。
【0007】
次に、昇降テーブルは溶着位置に移動され、特に摩擦溶着又は振動溶着によって、第1の部品と第2の部品の溶着が行われる。溶着が終わると、昇降テーブルは、下部工具及びその上に配置された第1及び第2の部品の複合体とともに、溶着位置から垂直軸に沿って初期位置に戻るように移動する。昇降テーブルが初期位置に到達すると同時に、ユーザは、第1及び第2の部品の複合体を取り外す。
【0008】
予熱配置を含む溶着装置の一例は、EP 3 009 254 A2(欧州特許出願公開第3009254号公報)に記載されている。
【0009】
複合体の2つの側の間で異なる方向に向けられた複雑な合同溶着構造を有するいくつかの部品を互いに溶着しなければならない場合、上記の溶着装置、ひいては予熱配置の欠点が明らかになる。
【0010】
例えば、溶着される部品が、長方形の形状を有し、長方形の長手方向の辺の間に延びかつこれと平行な第1の中心線と、長方形の横方向の辺の間に延びかつこれと平行な第2の中心線とによって平面を定めると仮定する。各部品は、第1の側に第1の溶着構造、反対側の第2の側に第2の溶着構造を有している。両溶着構造は、合同かつ第1の中心線に関して非対称である。さらに、第2の側の溶着構造は、平面に垂直な軸の周りで180°回転していると仮定する。したがって、この軸に沿って、すなわち、部品の上方から、部品を通して見たとき、第1及び第2の溶着構造は、互いに完全に重ならないように、異なる向きを有する。
【0011】
最初のサイクルでは、作業者は1つの部品を下部工具に、もう1つの部品を上部工具に配置する。このとき、作業者は、下部工具に面した上部工具の部品の溶着構造が、上部工具に面した下部工具の部品の溶着構造に一致するように、溶着構造の向きに注目する必要がある。
【0012】
溶着装置内に部品を正しく配置した後、溶着方法は、それぞれ方向付けられた予熱構造を有する予熱配置による予熱を含めて実行される。ここで既に、確実な予熱のために、予熱配置の予熱構造は、予熱されるべき溶着構造に適合していることを考慮しなければならない。
【0013】
最初のサイクルの後、サイクルの始めに上部工具にあった部品は、上部工具に面する側で新しい、すなわち異なる向きの溶着構造を定める。したがって、最初のサイクルでは上部部品に受け入れられていたこの側の溶着構造は、上で説明したように、異なる態様で向けられる、すなわち第3の軸の周りで180°回転される。その結果、予熱配置の予熱構造は溶着構造に一致せず、したがって、この部品の確実な予熱を確保することができない。同じことが、両方の部品が一致する溶着構造を有するように上部工具に配置されたそれぞれの部品の溶着構造に関しても当てはまる。
【0014】
したがって、本発明の課題は、溶着される部品のスタックを形成するために互いに溶着されるべき複数の部品が、低い労力で、かつ簡単で信頼できる方法で予熱されるように、上記の欠点が克服され得る予熱配置を提供することである。さらに、溶着方法と同様に、それぞれの溶着装置、予熱方法を提供することが課題である。
【発明の概要】
【0015】
上記の課題は、独立請求項1による予熱配置と、独立請求項6による溶着装置と、独立請求項8による予熱方法及び独立請求項10による溶着方法と、独立請求項14による後付け方法とによって解決される。さらに好ましい実施形態及び発展形態は、以下の記載、図面並びに付随する請求項から明らかになる。
【0016】
上部支持体に取り付けられた上部工具と、下部支持体に取り付けられた下部工具とを有する溶着装置の本発明の予熱配置であって、上部及び下部支持体は初期位置と溶着位置との間で互いに移動可能であり、本発明の予熱配置は、第1の軸に沿って延びる第1の中心線と、第1の軸に垂直な第2の軸に沿って延びる第2の中心線とによって第1の平面を定める予熱装置を含み、予熱装置は、第1の予熱構造を有する第1の側と、第2の予熱構造を有する反対側の第2の側とを有し、第1の予熱構造はそれぞれの軸が非対称軸であるように第1及び/又は第2の中心線に関して非対称であり、第2の予熱構造は第1の予熱構造に対応し、第1の平面に垂直な第3の軸に沿って見た場合に、第1及び第2の予熱構造が、一方が他方の上に配置されるように第1の予熱構造と同様に向けられ、予熱配置は、予熱構造が第1の位置において第1の向きを有し、第2の位置において第2の向きを有するように予熱装置を第1の位置と第2の位置との間で回転させるための第1の回転手段をさらに含み、第2の向きにおいて、予熱構造は、第1の向きと比較して非対称軸の周りで180°回転され、又は、第2の向きにおいて、予熱構造は、第1の向きと比較して第3の軸の周りで0°<α<360°の範囲、好ましくは90°≦α≦270°の範囲、特に好ましくはα=180°である角度αだけ回転される、本発明の予熱配置。
【0017】
以下、本発明の予熱配置について、溶着装置での使用に基づいて説明する。この点に関して、特に予熱のプロセスが考慮される。例示的な溶着装置は、本発明の予熱配置に加えて、下部支持体に取り付けられた下部工具と、上部支持体に取り付けられた上部工具とを含む。下部及び上部支持体は初期位置と溶着位置との間で互いに移動可能である。予熱配置は待機位置と予熱位置との間で移動可能であり、予熱配置は予熱位置において上部支持体と下部支持体との間に配置される。さらに、上部及び下部支持体はそれぞれ、予熱配置が予熱位置にあるときに予熱装置によって定められる第1の平面に平行な平面に配置される。第3の軸という用語は、したがって、それぞれの平面に垂直な軸のことをいう。
【0018】
この溶着装置によって、これより記載する例によれば、複数の部品が互いに溶着される。これらの部品のそれぞれは、第1の側に第1の溶着構造を、反対側の第2の側に第2の溶着構造を含んでいる。第1及び第2の溶着構造は、予熱装置の第1及び第2の予熱構造と合同であるように形成される。この点に関して、合同とは、同じ形状及び大きさを有することを意味する。したがって、第1及び第2の予熱構造並びに第1及び第2の溶着構造は、形状及び大きさが同一である。
【0019】
さらに、第1及び第2の溶着構造は、非対称軸の周りで180°又は第3の軸の周りで角度αだけ互いに回転されるように向けられる。言い換えれば、そして特に好ましい実施形態によれば、溶着構造は互いに回転対称である。具体的には、第1及び第2の中心線の少なくとも一方の周りで溶着構造の一方を180°回転させると、他方又は反対側の溶着構造になる。
【0020】
本特徴の理解を容易にするために、長方形の形状を有する部品を想定する。部品の第1の中心線は、部品の横方向の辺に平行に、かつその間に延びる。第2の中心線は、部品の長手方向の辺に平行に、かつその間に延びる。第1及び第2の中心線は、結果として平面を定め、部品を4つの幾何学的に等しい部分に分離する。中心線の交点は、部品の幾何学的な中心を示す。この例のさらなる過程において、部品は、長手方向の辺が左から右へ延びる水平又は横長のフォーマットで観察されると仮定される。
【0021】
部品の第1の側には、第1の溶着構造が配置される。この溶着構造は、例えば、角が丸くなった長方形のように形成されており、第1の溶着構造は、隣接する2つの角のそれぞれに突出部を有する。部品が中心線によって分割される4つの幾何学的に等しい部分を参照すると、溶着構造の2つの突出部は、第1の側を上から見たときに、すなわち、平面に垂直に延びる第3の軸に沿って見たときに、部品の第1の側の左上及び右上の部分に存在するものと仮定される。その結果、長手方向の辺の間に、それらと平行に延びる第2の中心線が非対称軸であるのに対し、横方向の辺の間に、それらと平行に延びる第1の中心線は対称軸である。これは例示的な実践態様であるが、特に長方形の形状を有する部品の場合、第1又は第2の中心線の残りが対称軸であることが好ましい。
【0022】
部品の第2の側には、第2の溶着構造が配置される。この溶着構造は第1の溶着構造と合同である。したがって、上述のように、それは同じ大きさ及び形状を有する。しかしながら、第2の溶着構造は第1の側の第1の溶着構造と比較して第2の側で異なる向きに配置される。
【0023】
この異なる向きは、第2の溶着構造が第1の溶着構造と比較して回転された態様で第2の側に配置されることにおいて達成される。結果として、第1及び第2の溶着構造は、第1又は第2の側の上から、及び部品を通して見た場合に、完全に一方が他方の上に配置されないように配置される。
【0024】
一方が他方の上にという用語は、部品を通して一方の側から射す仮想の光によって生じる一方の構造の影が他方の構造を完全に覆うことを示す。したがって、溶着構造は一方が他方の上に、すなわち完全に一方が他方の上に配置されないので、第2の溶着構造は、第1の溶着構造と比較して異なる向きを有する必要がある。
【0025】
そのような異なる向きは、第2の溶着構造を第1の溶着構造と比較して非対称軸の周りで180°回転させることによって、又は、第2の溶着構造を第1の溶着構造と比較して、平面に垂直な第3の軸の周りで、特定の角度αだけ回転させることによって、達成することができる。
【0026】
第2の側で第2の溶着構造を第1の溶着構造と比較して非対称軸の周りで180°回転させることは、上の例に関して、2つの突出部が左下及び右下の部分に配置されるという事実につながるだろう。これは部品を第1の側から、及び部品を通して見た場合にあてはまる。
【0027】
このため、非対称軸の周り、すなわち長手方向中心線の周りで第1の側を見ることができる位置から第2の側を見ることができる位置に部品が回される場合、第2の溶着構造は観察者に対して第1の溶着構造と同じ向きを露出させることになる。一方、部品が対称軸の周り、すなわち横方向中心線の周りで第1の側から第2の側へ回される場合、第2の溶着構造は、第1の溶着構造と比較して異なる向きを露出することになる。特に、2つの突出部は、第2の側で部品の下部に存在し得るが、それらは第1の側で上部に存在する。
【0028】
代替的に、第2の溶着構造は、平面に垂直な第3の軸を中心に第1の溶着構造と比較して特定の程度αだけ回転させることができる。回転の上記第1の例に関して、第2の溶着構造が第3の軸の周りで180°回転する場合、結果は、非対称軸を中心に回転する場合と比較して同じであろう。したがって、180°の回転は、他の可能な回転角度にかかわらず、特に好ましい。それにもかかわらず、特に溶着構造が両方の中心線に関して非対称である場合、0°及び360°に等しくない他の角度値による回転が有益であり、好ましいことがある。
【0029】
それは互いに溶着される部品の一般的な設計に関して述べられるが、溶着方法、したがって、予熱方法についていくつかの例示的な溶着サイクルに関して説明する。
【0030】
最初に、第1の部品が上部工具に配置され、第1の部品と同一である、又は一致するもしくは同一の溶着構造を有する第2の部品が、下部工具に配置される。代替的な形態として、溶着された部品のスタックが下部工具にすでに存在する。この場合、溶着された部品のスタックのうち、第1の部品に面する側が第3の溶着構造を有する。いずれの場合も、第1の部品と第2の部品、又は第1の部品と溶着された部品のスタックは、それらの溶着構造が互いに一致するように配置される。
【0031】
理解を容易にするために、また、上記の例示的な部品及びその溶着構造に関して、第1の部品は、第1の溶着構造を有する第1の側が下部工具に面し、第2の溶着構造を有する第2の側が上部工具に配置されるように配置されると仮定される。その結果、例えば第1の部品と同一の第2の部品は、第1の溶着構造を有する第1の側が上部工具に、すなわち上部工具の第1の部品の第1の側に面するように下部工具に配置される。分かりやすくするために、第2の部品又は溶着された部品のスタックによって露出する溶着構造を第3の溶着構造と称する。このことは、続く第2のサイクルで明らかになる。
【0032】
最初に考察されたように、第1の部品は圧力下に上部工具に保持される。さらに、例示的な動作に関して、溶着装置の上部支持体は上部取り付けプレートであり、下部支持体は昇降テーブル、好ましくは電気モータで駆動される昇降テーブルである。使用中、下部工具を有する下部支持体は第3の軸に沿って上部支持体に対して移動される。
【0033】
その結果、第1の部品が上部工具に配置された後、昇降テーブルは第3の軸に沿って中間位置へ移動し、中間位置では予熱配置を待機位置から部品の間の予熱位置に移動することができる。
【0034】
このため、予熱配置は第1の位置に配置され、第1の位置において、第1及び第2の側に配置された予熱構造は溶着構造に一致する。言い換えると、溶着装置が第3の軸に沿って、すなわち第1の平面に垂直な軸に沿って見られる場合、溶着構造及び予熱構造は、一方が他方の上に、特に完全に配置される。したがって、個々のパーツ及び部品を通して観察するときに、1つだけの構造をこの視点から見ることができる。第1の平面は、振動溶着装置の場合、振動溶着平面と称されることもある。
【0035】
予熱配置の予熱構造は溶着構造と一致するはずなので、予熱構造はまた、上述のように溶着構造と及び互いに合同であるはずである。さらに、1つの部品の溶着構造と対照的に、予熱装置の予熱構造は同じように向けられなければならない、すなわち、それらはそれぞれ上から及び第3の軸に沿って、及び予熱装置を通して見た場合に、一方が他方の上に、特に完全に配置されなければならない。したがって、上述のように、一方が他方の上にという用語は、部品を通して一方の側から射す仮想の光によって生じる一方の構造の影が他方の構造を完全に覆うことを示す。予熱構造は一方が他方の上に完全に配置されるので、第2の予熱構造は第1の予熱構造と比較して同じ向きを有するはずである。
【0036】
これに関して、例示的な第1の部品に関して上述したように、予熱装置が長方形の形状を有し、第1の軸が長方形の横方向の辺に平行に延び、第2の軸が長方形の長手方向の辺に平行に延びることが特に好ましい。
【0037】
予熱配置が2つの部品の間に配置された後、2つの部品の溶着構造は、一致する予熱構造によって予熱される。したがって、予熱構造は、予熱位置において溶着構造に重なる。この点に関して、第1及び第2の予熱構造は、好ましくは、IR予熱構造である。
【0038】
予熱のあと、予熱配置は予熱位置から待機位置へ戻される。その後、昇降テーブルは、第2の軸に沿って溶着位置へ移動され、そこで第1及び第2の部品又は溶着される部品のスタックは当接した状態に置かれ、例えば振動溶着又はIR溶着によって互いに溶着される。溶着の後、下部支持体は上部支持体に対して移動され、初期位置へ戻る。
【0039】
結果として、第1及び第2の部品からなる溶着された部品のスタックは、このとき、下部工具内に存在する。既知の方法と対照的に、部品のスタックは下部工具内に維持される。したがって、上部工具に面する溶着された部品のスタックの側は、第1のサイクル中に上部工具に配置された前の第1の部品の側に対応する。第2の溶着構造を有するこの側は、ここで、溶着された部品のスタックの第3の溶着構造を示す。
【0040】
次の第2のサイクルにおいて、新しい第1の部品が上部工具に配置される。溶着された部品のスタックが溶着構造を決定するので、新しい第1の部品は、第2の溶着構造を有する第2の側が下部工具又はそこに配置された溶着された部品のスタックに面するように上部工具に配置されなければならない。
【0041】
ここで、上述したプロセスが繰り返される。溶着構造の向きが第1の溶着構造から第2の溶着構造に変わったので、予熱装置の以前の配置は適切ではなく、このサイクルにおける溶着構造の確実な予熱を保証しないであろう。
【0042】
これを克服するために、予熱配置は、特に待機位置において、第1の位置から第2の位置へと回転される。この第2の位置において、予熱配置の予熱装置は第2の向きを有し、第2の向きで予熱構造は第1の向きと比較して非対称軸の周りで180°回転され、又は予熱構造は第1の向きと比較して第3の軸の周りで0°<α<360°の範囲、好ましくは90°≦α≦270°の範囲、特に好ましくはα=180°である角度αだけ回転される。溶着構造、したがって予熱構造が丸みを帯びた角と2つの隣接する角のそれぞれに1つの突出部とを有する長方形である本例では、非対称軸の周りの180°の回転又は第3の軸の周りの180°の回転は所望の結果をもたらす。それにもかかわらず、特定の実施形態に関して後述されるように、後者は溶着構造の、したがって予熱構造の特別の設計についてのみ可能である。
【0043】
このような回転の後、予熱構造は、予熱配置の予熱位置において、露出した溶着構造、すなわちここでは第2の溶着構造及び対応する第3の溶着構造と一致する。したがって、第2のサイクルは、予熱配置によるそれぞれの溶着構造の確実な予熱により実行することができる。
【0044】
上述したように、予熱及び溶着が行われた後、サイクルを繰り返すことができる。この第3のサイクルは、概ね第1のサイクルに対応するものである。したがって、予熱配置は、回転して第1の位置に戻す必要がある。
【0045】
一般に、サイクル、したがって、溶着された部品のスタックへの新しい第1の部品の溶着は、所望の数の層又は厚さを有する溶着された部品のスタックが存在するまで繰り返される。
【0046】
予熱の一般的な好ましい効果は、部品の摩擦又は振動溶着の場合、固体対固体の摩擦が溶着プロセスの開始時にスキップされることである。したがって、微粒子の形成が少なくとも部分的に防止され、きれいな接合部を得ることができる。さらに、再び振動溶着に関して、摩擦力は低減され、より低い振幅で溶着される部品の間に溶着を形成することができる。これらの低減された力は、溶着される部品が構造的に安定しておらず、曲がりやすく、これが通常、振幅の損失と溶着接続の不良をもたらす場合に有利である。したがって、部品が曲がりやすい場合でも、本発明の予熱配置によって、信頼性の高い溶着接続を確立することができる。
【0047】
さらに、特に予熱配置を、回転可能であり、それにより予熱構造が各サイクルにおいて予熱される溶着構造と一致するように設計することにより、方法は単純であり、装置の構造は空間節約的である。予熱される溶着構造に適合された予熱構造を提供するためにさらなる予熱配置が必要とされることはなく、また、溶着された部品のスタックを取り除いて下部工具の異なる向きに配置し直す必要もない。これにより、装置及び制御方法の複雑さ並びに必要な設置スペースが低減される一方で高い溶着品質が同時に維持される。
【0048】
完全を期すために、予熱装置は、第1の平面に垂直な第2の平面を定め得ることが指摘される。例えば、上記の長方形に関して、溶着装置は、反対表面上に合同である予熱構造が配置される立方体の形状を有し得る。このように、それぞれの予熱装置の適用分野は、さらに拡大され得る。予熱構造が回転軸に対してそれに平行な表面上に存在すると仮定すると、第1の位置と第2の位置の間で変わるために、すなわち第1及び第2の予熱構造を使用するために、180°の回転を実行しなければならず、一方、他の予熱構造、すなわち第3及び第4の予熱構造を使用するために、90°の回転を実行しなければならない。予熱構造の変更後、上述したステップは類似的に実行される。
【0049】
予熱配置の好ましい実施形態では、第1の回転手段は、予熱装置を、非対称軸に平行である第1の平面内の軸の周りで、非対称軸の周りで、又は第3の軸の周りで回転させるために使用される。上で説明したように、第3の軸の周りの回転は、予熱構造及び溶着される部品の特定の設計にのみ有用である。したがって、特に有利なのは、第1の回転手段が、非対称軸の周り、又は第1の平面内に配置され、非対称軸に平行である軸の周りで予熱装置を回転させるために使用される、実施形態である。これは、そのような軸の周りで180°回転した後は、それが非対称軸そのものであるか、それに平行で第1の平面内にある軸であるかにかかわらず、同じ結果を導くためである。
【0050】
第1の部品を第2の部品に、又は溶着された部品のスタックに溶着するための本発明の溶着装置は、第1の部品を受けるための上部支持体に取り付けられた上部工具と、第2の部品又は溶着された部品のスタックを受けるための下部支持体に取り付けられた下部工具と、本発明の予熱配置とを含み、予熱配置は、予熱配置が上部支持体と下部支持体との間の予熱位置に配置されるように、待機位置と予熱位置との間で移動可能であり、予熱位置において、上部支持体と下部支持体はそれぞれ第1の平面に平行な平面に配置され、上部支持体と下部支持体は初期位置と溶着位置との間で互いに移動可能である。本発明の溶着装置について、本発明の予熱配置の機能を説明する間に上で考察してきた。したがって、不必要な繰り返しを避けるために、上の考察が参照される。同じことが、結果として得られる技術的効果及び利点に関してもあてはまる。
【0051】
溶着装置の好ましい実施形態では、溶着装置は、振動溶着装置又は赤外線溶着装置である。この実施形態によって、本発明の予熱装置は、振動溶着装置で使用されてもよいし、IR溶着装置と組み合わせて使用されてもよい。その結果、本発明の予熱配置の適用分野が拡大され、溶着される部品に適合される。
【0052】
本発明の予熱配置によって第1の部品及び第2の部品又は溶着された部品のスタックを予熱するための本発明の予熱方法であって、第1の部品は第1の側に第1の溶着構造を、反対側の第2の側に第2の溶着構造を含み、第1及び第2の溶着構造は、予熱装置の第1及び第2の予熱構造と合同であるように形成され、第1の溶着構造及び第2の溶着構造が非対称軸の周りで180°又は第3の軸の周りで角度αだけ互いに回転されるように向けられ、第2の部品又は溶着された部品のスタックは、第1の部品に面する側に第3の溶着構造を含み、第3の溶着構造は、第3の軸に沿って見た場合に、第3の溶着構造が、第2の部品又は溶着された部品のスタックに面する第1の部品の溶着構造の上に配置されるように向けられ、予熱方法は、予熱配置を待機位置から、溶着装置の上部工具及び下部工具の間の予熱位置へ移動するステップであって、この際予熱配置の予熱装置は、第1の向きを有する第1の位置に配置され、ここで予熱構造は第3の軸に沿って見た場合に、予熱位置において溶着構造と重なり、溶着装置の上部支持体並びに下部支持体は、予熱位置においてそれぞれ第1の平面と平行な平面に配置されるステップと、第1の部品及び第2の部品又は溶着された部品のスタックを予熱するステップと、予熱配置を予熱位置から待機位置へ移動するステップとを含む方法。この予熱方法は本発明の予熱配置と組み合わせてすでに記載した。したがって、冗長性を避けるために、手順の過程、技術的効果並びに利点に関してそれぞれの説明が参照される。
【0053】
予熱方法の好ましい実施形態において、方法は予熱ステップの後、予熱配置を、好ましくは待機位置において、少なくとも1つの回転手段によって、第1の位置から第2の位置へ回転させるさらなるステップを含む。これにより、中間ステップにおいて、第1の部品と類似しているが、互いに回転されていない溶着構造を有する部品も、部品のスタックに一体化できることが可能となる。これにより、すべての部品でなく例えば1つおきの部品のみが第1の部品である部品のスタックが提供される場合、予熱配置、ひいては予熱方法の適用分野がさらに拡大される。もちろん、任意の他のパターンを使用してもよい。予熱配置の回転に関して、これは待機位置から予熱位置への移動の間に、予熱位置から待機位置への移動の間に、又は待機位置においていつでも、例えば溶着される新しい第1の部品を溶着装置に導入する間に行われることも可能である。
【0054】
本発明の溶着装置によって第1の部品を第2の部品又は溶着された部品のスタックに溶着するための本発明の溶着方法であって、第1の部品は、第1の側に第1の溶着構造を、反対側の第2の側に第2の溶着構造を含み、第1及び第2の溶着構造は、予熱装置の第1及び第2の予熱構造と合同であるように形成され、第1の溶着構造及び第2の溶着構造が非対称軸の周りで180°、又は第3の軸の周りで角度αだけ互いに回転されるように向けられ、第2の部品又は溶着された部品のスタックは、第1の部品に面する側に第3の溶着構造を含み、第3の溶着構造は、第3の軸に沿って見たときに、第3の溶着構造が第2の部品又は溶着された部品のスタックに面する第1の部品の溶着構造の上に配置されるように向けられ、溶着方法は、第1の部品を第1の側で上部工具に配置するステップと、第2の部品又は溶着された部品のスタックが配置された下部工具を有する下部支持体を、上部支持体に対して中間位置に移動するステップと、本発明の予熱方法を実行するステップであって、予熱装置は第1の位置に配置されているステップと、第2の部品又は溶着された部品のスタックを有する下部支持体を、第3の軸に沿って溶着位置へ上部支持体に対して移動するステップと、溶着された部品の増大されたスタックが得られるように、第1の部品を第2の部品に又は溶着された部品のスタックに溶着するステップと、その後、下部支持体を初期位置へ戻すステップとを含む方法。予熱方法と同様に、溶着方法もまた本発明の予熱配置と組み合わせて上に記載した。したがって、手順の過程、技術的効果並びに利点に関してこれらの記述が参照される。
【0055】
溶着方法の好ましい実施形態において、第1の部品を上部工具に配置するステップは、第1の部品を下部工具に、好ましくは第2の部品又は溶着された部品のスタックに配置するステップと、第1の部品を有する下部支持体を上部支持体に対して第3の軸に沿って初期位置から移譲位置へ移動するステップとを含む。これらの方法ステップにより、ユーザは第1の部品を下部工具に配置し、下部工具は次いで第1の部品を上部工具へ移譲するために移動される。これにより第1の部分を上部工具に配置する手動ステップが排除される。
【0056】
溶着方法のさらに好ましい実施形態において、方法はさらに、下部支持体を初期位置へ戻すステップの後、下部工具に面する側の溶着構造が、下部工具内の溶着された部品のスタックによって露出される第3の溶着構造に一致するように、別の第1の部品を上部工具に配置するステップと、下部支持体を中間位置に移動させ、本発明の予熱方法を行い、下部支持体を溶着位置に移動させ、部品を互いに溶着し、下部支持体を初期位置に移動させるステップを繰り返すステップであって、この際、予熱装置は回転されていて、第2の位置に配置されているステップとを含む。この方法ステップによって、新しい第1の部品が溶着された部品のスタックに溶着される場合に、互いに溶着される部品の溶着構造の向きに予熱構造が一致するように、予熱配置が配置されることが保証される。
【0057】
好ましくは、溶着方法はさらに、下部支持体を初期位置に戻すステップの後に、上部工具に第3の部品を配置するステップであって、第3の部品は、第1の側に第4の溶着構造を有し、反対側の第2の側に第5の溶着構造を有し、第4及び第5の溶着構造は、第3の溶着構造に対応し、第1の平面に垂直な第3の軸に沿って見たとき、第4及び第5の予熱構造が、一方が他方の上に配置されるように向けられ、第3の部品は、下部工具に面する側の溶着構造が、下部工具内の溶着された部品のスタックによって露出される第3の溶着構造に一致するように、上部工具に配置されるステップと、下部支持体を中間位置に移動させ、本発明の予熱方法を行い、下部支持体を溶着位置に移動させ、部品同士を溶着し、下部支持体を初期位置に移動させるステップを繰り返すステップであって、この際、予熱装置は第1又は第2の位置に維持されるステップとを含む。この別個のステップは、第3の部品が溶着された部品のスタックに溶着され得ることを可能にする。第3の部品は、同じ溶着構造を有するという点で第1の部品に一致する。それにもかかわらず、それぞれの溶着構造が互いに回転されない点が、第1の部品と異なる。言い換えれば、それらは、予熱装置の予熱構造の設計と同様に、一方が他方の上に配置されている。その結果、前の好ましい方法ステップとの組み合わせにおいて、予熱装置は、待機位置に配置されるたびに回転されず、必要な場合にのみ回転される。これにより溶着方法はより柔軟になり、少なくとも2種類の異なる部品からなるスタックの製造が可能になる。第1の種類は上記の第1の部品であり、第2の種類は第3の部品である。
【0058】
この点に関して、及び上記の好ましいさらなる方法ステップのそれぞれに関して、さらなる第1又は第3の部品の配置は、第1又は第3の部品を下部工具に、好ましくは第2の部品又は溶着された部品のスタックに配置するステップと、第1又は第3の部品を有する下部支持体を第3の軸に沿って初期位置から移譲位置へ上部支持体に対して移動するステップとを含み得る。
【0059】
溶着装置の本発明の後付け方法は、本発明の予熱配置を提供するステップと、予熱配置を溶着装置に組み込むステップと、予熱配置を溶着装置の制御方法に実装するステップとを含む。この方法によって、上述の技術的効果及び利点を実現するように、既に存在する溶着装置、例えば振動溶着装置又はIR溶着装置に本発明の予熱配置を備え付けることができる。
【0060】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に記載する。図面中、同じ参照符号は同じ要素及び/又は部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】第1の位置に配置された本発明の予熱配置の一実施形態を有する本発明の溶着装置の一実施形態を示す。
図2】第2の位置に配置された本発明の予熱配置の一実施形態を有する本発明の溶着装置の一実施形態を示す。
図3】溶着構造を示すために第1の部品の第1の側を示す。
図4】第1及び第2の中心線が示されている、図3の第1の部品の第1の側を示す。
図5図4の第1の部品の右側の拡大図を示す。
図6図3の第1の部品を示し、反対側の第2の側の第2の溶着構造がさらに示されている。
図7図6の第1の部品を示し、第1及び第2の中心線が示されている。
図8図7の第1の部品の右側の拡大図を示す。
図9】本発明の予熱方法の一実施形態の流れ図を示す。
図10】本発明の溶着方法の一実施形態の流れ図を示す。
図11】本発明の後付け方法の一実施形態の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明の予熱配置の実施形態が、以下、特に溶着装置で使用されるときのその機能に関して記載される。一般に、溶着装置、したがって予熱配置は、自動車産業又は医療技術において使用され得る。特に、それは複数の部品が、例えば振動又はIR溶着によって確実に互いに溶着されなければならないあらゆる用途において使用され得る。
【0063】
最初に、及び図1及び2に関して、本発明の予熱配置の一実施形態を含む本発明の振動溶着装置の一実施形態について説明する。溶着装置は既知の方法で第1の部品20を受けるための上部支持体1に取り付けられた上部工具を含む。さらに、溶着装置は、第2の部品、又は溶着される部品のスタックを受けるための下部支持体3に取り付けられた下部工具を含む。上部支持体1及び下部支持体3は、初期位置と溶着位置との間で互いに移動可能である。初期位置において、溶着される部品を溶着装置に導入することができる。溶着位置において、溶着装置内の部品は、互いに溶着できるように当接状態にある。第1の代替形態において、溶着装置は、振動溶着装置であり、部品は振動溶着によって溶着位置で互いに溶着される。第2の代替形態において、溶着装置は赤外線溶着装置であり、部品はIR溶着によって溶着位置において互いに溶着される。
【0064】
動作中、第1の部品20は圧力下に上部工具内に保持される。さらに、例示的な動作に関して、溶着装置の上部支持体1は上部取り付けプレートであり、下部支持体3は昇降テーブル、好ましくは電気モータによって駆動される昇降テーブルである。
【0065】
さらに、溶着装置は予熱配置を含む。予熱配置は待機位置と予熱位置との間で移動可能である。予熱位置において、予熱配置は上部支持体1と下部支持体3との間に配置される。したがって、及び図1及び2に関して、予熱配置は予熱位置に配置されている。
【0066】
次に、予熱配置の具体的な設計についてさらに説明する。予熱配置は、図示の例では、長方形の形状を有する予熱装置10を備える。この長方形の形状は、第1の軸Xに沿って延びる第1の中心線と、第1の軸Xに直交する第2の軸Yに沿って延びる第2の中心線とによって、第1の平面を画定している。
【0067】
図示の実施形態では、第1の軸X、したがって第1の中心線は、長方形の横方向の辺に平行に、かつその間に延びており、一方、第2の軸Y、したがって第2の中心線は、長方形の長手方向の辺に平行に、かつその間に延びている。第1及び第2の中心線は、結果として、第1の平面を定め、予熱装置10を4つの幾何学的に等しい部分に分離する。中心線の交点は、予熱装置の幾何学的な中心を示し、ここで、示された座標系はその原点を有する。
【0068】
直接見ることができるように、彼上部支持体1及び下部支持体3はそれぞれ、予熱位置において第1の平面に平行な平面内に配置される。
【0069】
予熱装置10は、第1の予熱構造14を有する第1の側12を有する。これは、図1に示されている。第1の予熱構造14は、第1の中心線、すなわち第1の軸Xに関して、及び第2の中心線、すなわち第2の軸Yに関して非対称である。その結果、第1の軸X及び第2の軸Yは、それぞれ非対称軸である。言い換えれば、中心線又は軸の一方の側の画像は、それぞれの中心線又は軸の他方の側に対して鏡面対称ではない。これは例示的な実践態様であるが、特に長方形の形状を有する部品の場合、第1の中心線又は第2の中心線の残りが対称軸であることが好ましい。
【0070】
図2において、予熱装置10の反対側の第2の側16が示されている。第2の側16は、第2の予熱構造18を有する。この第2の予熱構造18は、第1の予熱構造14に対応する。特に、それは第1の予熱構造14と合同であるように形成されている。合同とは、この点において、同じ形状及び大きさを有することを意味する。したがって、第1の予熱構造14と第2の予熱構造18は、形状及び大きさが同一である。
【0071】
さらに、第2の予熱構造18は、第1の平面に垂直な第3の軸Zに沿って見たときに、第1の予熱構造14と第2の予熱構造18とが一方が他方の上に配置されるように、第1の予熱構造14と同様に向けられている。一方が他方の上にという用語は、予熱装置10を通して一方から射す仮想の光によって生じる一方の構造の影が他方の構造を完全に覆っていることを示す。したがって、予熱構造14、18は一方が他方の上に、すなわち完全に一方が他方の上に配置されているので、第2の予熱構造18は、第1の予熱構造14と同じ向きを有しているはずである。これは、以下に説明するように、後で、溶着装置の使用中に、一致する溶着構造を有する2つの部品が互いに溶着されなければならないという事実にも基づいている。
【0072】
さらに、及び再び予熱配置に関して、図1及び2を比較した場合、予熱装置10の位置は図1の第1の位置から図2の第2の位置に変化したことに注目しなければならない。これは例えば、予熱装置5の長手方向の辺の2つの凹部により見ることができる。この位置の変化を実行するために、予熱配置は予熱装置10を第1の位置と第2の位置との間で回転するための第1の回転手段を含む。
【0073】
所望の後の動作に基づいて、第1及び第2の位置は、予熱構造14、18が第1の位置において第1の向きを有し、第2の位置において、第1の向きと比較して180°非対称軸の周囲で第1の代替形態において回転される第2の向きを有するという点で互いに異なる。この代替形態は図1及び2に示され、溶着装置10は第2の中心線、すなわち非対称軸としてのY軸の周りで回転されている。
【0074】
代替形態によれば、及び特に予熱構造が第1及び第2の中心線の一方に関して鏡面対称である場合、予熱構造14、18を、第1の向きと比較して第3のZ軸の周りで0°<α<360°の範囲、好ましくは90°≦α≦270°の範囲、特に好ましくは、α=180°である角度αだけ回転させることも好ましい。そのような場合、予熱装置10が第3の軸Zの周りで180°回転される場合、その結果は非対称軸の周りの回転と同一であろう。
【0075】
上記に基づいて、第1の回転手段は、予熱装置10を、非対称軸、すなわちここでは第2の軸Yに平行な第1の平面の軸の周りで、又は図示の実施形態を実現する場合、非対称軸の周りで回転させるために使用される。他の代替形態を実現する場合、第1の回転手段は、第3の軸Zの周りで予熱装置10を回転させるために使用され得る。それにもかかわらず、第3の軸Zの周りの回転は、予熱構造14、18及び溶着される部品20の特別の設計に限り有益である。
【0076】
第1の回転手段に加えて、予熱配置は、さらなる回転手段、例えば、第3の軸Zの周りで回転するための第2の回転手段を備えることができる。あるいは、予熱配置は、軸ごとに1つの回転手段を備えてもよく、その場合、3つの回転手段が得られ得る。このように、予熱配置は、様々な予熱装置及び予熱構造に適応される。
【0077】
完全を期すために、上部支持体1及び下部支持体3はそれぞれ、予熱配置が予熱位置にあるとき、予熱装置5によって定められる第1の平面に平行に配置されることが指摘される。したがって、第3の軸Zという用語は、当該軸がそれぞれの平面に垂直であることを意味する。
【0078】
溶着装置によって、複数の部品が互いに溶着される。例示的な第1の部品20が、図3から8に関して記載される。
【0079】
第1の部品20は、予熱装置5と同様に、長方形の形状を有する。したがって、部品の第1の中心線、すなわち軸XC(図3参照)は、部品の横方向の辺に対して平行に、かつその間に延び、第2の中心線、すなわち軸YC(図3参照)は、第1の部品20の長手方向の辺に対して平行に、かつその間に延びている。第1の中心線と第2の中心線は、結果として、平面を定め、部品を4つの幾何学的に等しい部分に分離する。中心線の交点は、部品の幾何学的な中心を示し、そこに座標系の原点が示される。第3の軸ZCは、平面に垂直に延びている。
【0080】
第1の部品20の第1の側22には、第1の溶着構造24が配置されている。第1の溶着構造24は、予熱装置10の第1の予熱構造14及び第2の予熱構造18と合同であるように形成されている。上で説明したように、合同とは、この点において、同じ形状及び大きさを有することを意味する。したがって、第1の予熱構造14及び第2の予熱構造18並びに第1の溶着構造24は、形状及び大きさが同一である。その結果、第1の中心線、すなわち第1の軸XC及び第2の中心線、すなわち第2の軸YCは、非対称軸である。言い換えれば、中心線又は軸の一方の側の画像は、それぞれの中心線又は軸の他方の側に対して鏡面対称でない。
【0081】
第1の部品20の第2の側には、第2の溶着構造28が配置されている。この第2の溶着構造28は図6~8で見ることができる。これらの図は部品を通した眺めを示し、第1の溶着構造24並びに第2の溶着構造28を同時に見ることができるが、それらは反対側に配置されている。
【0082】
第2の溶着構造28は第1の溶着構造24と合同であり、したがって、第1及び第2の予熱構造14、18とも合同である。したがって、これらの構造14、18、24、28は同じ大きさ及び形状を有する。
【0083】
しかしながら、図6~8で見ることができるように、第2の溶着構造28は、第1の側22の第1の溶着構造24と比較して第2の側で異なる向きに配置されている。この異なる配置は、第2の溶着構造28が第1の溶着構造24と比較して回転された態様で第2の側に配置されることで達成される。図示の実施形態において、第2の側の第2の溶着構造28を第2の軸YC回りで180°回転させることにより第1の溶着構造24になる。したがって、第1の溶着構造24及び彼第2の溶着構造28は互いに回転対称である。
【0084】
図6~8及びそこに示される眺めに戻ると、第1の溶着構造24及び第2の溶着構造28は完全ではないが互いに重なり合う、すなわち、それらは、第1の側22の上から、及び第1の部品20を通して見た場合に、一方が他方の上に完全に配置されない。同じことが、第1の部品20を第2の側から見た場合にもあてはまる。
【0085】
このような異なる向きを達成するための回転は、非対称軸としての第2の軸YCの周りで第1の溶着構造24と比較して第2の溶着構造28を180°回転させることにより実行される。
【0086】
これにより、及び第1の部品10が、第1の側22を非対称軸としての第2の軸YCの周りで見ることができる位置から、第2の側を見ることができる位置まで回される場合、第2の溶着構造28は第1の溶着構造24と同じ向きを観察者に露出する。他方、及び第1の部品20が第1の側から非対称軸としての第1の軸XCの周りで第2の側まで回される場合、第2の溶着構造28は第1の溶着構造24と比較して異なる向きを露出する。
【0087】
代替形態によれば、特に溶着構造が第1の軸XC及び第2の軸YCの一方に関して鏡面対称である場合、第2の溶着構造28は、その平面に垂直な第3の軸ZCの周りで第1の溶着構造24と比較して特定の程度αだけ回転され得る。例えば、第3の軸ZCの周りの回転は、180°であり得る。したがって、180°の回転は、他の可能な回転角度にかかわらず、特に好ましい。それにもかかわらず、そして特に溶着構造24、28が両方の中心線に関して非対称である場合、0°及び360°に等しくない他の角度値による回転が有益であり得る。
【0088】
それは第1の部品20の、したがって、互いに溶着される部品の一般的な設計に関して述べられるが、溶着方法及び予熱方法について、いくつかの例示的な溶着サイクルに関して説明する。
【0089】
初めに、第1の部品20が上部工具に配置され、第1の部品20と同一であるか、又は少なくとも片側に第1の部品20の第1の溶着構造24又は第2の溶着構造28のうちの1つと合同であり一致する第3の溶着構造を有する第2の部品が、下部工具に配置される。代替形態として、溶着された部品のスタックが、下部工具に既に存在する。それぞれの場合において、第1の部品20と第2の部品、又は第1の部品20と溶着された部品のスタックは、それらの溶着構造が互いに一致するように配置される。
【0090】
理解を容易にするために、第1の溶着構造24を有する第1の側22が下部工具に面し、第2の溶着構造28を有する第2の側が上部工具に配置されるように、第1の部品20が上部工具に配置されると仮定する。その結果、本例では第1の部品20と同一の第2の部品は、第1の溶着構造24を有する第1の側22が上部工具に、すなわち上部工具における第1の部品20の第1の側22に面するように、下部工具に配置される。後に、第2の部品又は溶着された部品のスタックが下部工具に存在することによって露出する溶着構造を第3の溶着構造と称する。
【0091】
第1の部品20が上部工具に配置された後、昇降テーブルは、予熱配置が待機位置から部品20の間の予熱位置に移動され得る中間位置に第3の軸Zに沿って移動する。
【0092】
このため、予熱配置は図1に示される第1の位置に配置され、ここで第1及び第2の側12、16に配置された予熱構造は上部及び下部工具の第1の部品20の溶着構造24と一致する。言い換えると、溶着装置を第3の軸Zに沿って見た場合、溶着構造24及び予熱構造14、18は一方が他方の上に、特に完全に配置される。したがって、個々のパーツ及び部品を通して見た場合、1つの構造だけをこの視点から見ることができる。第1の平面は、振動溶着装置の場合、振動溶着平面と称されることもある。
【0093】
予熱配置の予熱構造14、18は溶着構造24と一致するはずなので、予熱装置10の予熱構造14、18は上述のように同じように向けられるはずである。したがって、それらは、それぞれ第3の軸Zの上からそれに沿って見た場合に、及び予熱装置10を通して見た場合に、一方が他方の上に、特に完全に配置されるはずである。
【0094】
予熱配置が2つの部品20の間に配置された後、2つの部品20の溶着構造24は、一致する予熱構造14、18によって予熱される。したがって、予熱構造14、18は、予熱位置において溶着構造24に重なる。この点に関して、第1及び第2の予熱構造14、18は、好ましくは、IR予熱構造である。
【0095】
予熱のあと、予熱配置は予熱位置から待機位置へ戻される。その後、昇降テーブル、すなわち下部支持体5は、第3の軸Zに沿って溶着位置へ移動され、そこで第1及び第2の部品20又は溶着される部品のスタックは当接した状態に置かれ、例えば振動溶着又はIR溶着によって互いに溶着される。溶着の後、下部支持体3は上部支持体1に対して移動され、初期位置へ戻る。
【0096】
結果として、第1及び第2の部品20からなる溶着された部品のスタック又は溶着された部品20の増大したスタックは、このとき、下部工具内に存在する。
【0097】
既知の方法と対照的に、部品のスタックは下部工具内に維持される。したがって、上部工具又は上部支持体1に面する溶着された部品のスタックの側は、第1のサイクル中に上部工具に配置された前の第1の部品20の側に対応する。第2の溶着構造28を有するこの側は、ここで、溶着された部品のスタックの第3の溶着構造を示す。
【0098】
次の第2のサイクルにおいて、別の第1の部品20が上部工具に配置される。溶着された部品のスタックが溶着構造、特にその向きを決定するので、新しい第1の部品20は、第2の溶着構造28を有する第2の側が下部工具、すなわちそこに配置された溶着された部品のスタックに面するように上部工具に配置されなければならない。
【0099】
ここで、上述したプロセスが繰り返される。しかしながら、溶着構造の向きが第1の溶着構造24から第2の溶着構造28に変わったので、予熱装置10の以前の位置は適切ではなく、このサイクルにおける溶着構造28の確実な予熱を保証しないであろう。
【0100】
これを克服するために、予熱配置は、特に待機位置において、図2に示すように、及び上で説明したように、第1の位置から第2の位置へと回転される。このような回転の後、予熱構造14、18は、再び予熱配置の予熱位置において、露出した溶着構造、すなわちここでは第2の溶着構造28及び対応する第3の溶着構造と一致する。したがって、第2のサイクルは、予熱配置によるそれぞれの溶着構造28の確実な予熱により実行することができる。
【0101】
上述したように、予熱及び溶着が行われた後、サイクルを繰り返すことができる。この第3のサイクルは、概ね第1のサイクルに対応するものである。したがって、予熱配置は、回転して第1の位置に戻す必要がある。
【0102】
一般に、サイクル、したがって、溶着された部品のスタックへの別の第1の部品20の溶着は、所望の数の層又は厚さを有する溶着された部品のスタックが存在するまで繰り返される。
【0103】
予熱の一般的な好ましい効果は、部品の摩擦又は振動溶着の場合、固体対固体の摩擦が溶着プロセスの開始時にスキップされることである。したがって、微粒子の形成が少なくとも部分的に防止され、きれいな接合部を得ることができる。さらに、再び振動溶着に関して、摩擦力は低減され、より低い振幅で溶着される部品の間に溶着を形成することができる。これらの低減された力は、溶着される部品が構造的に安定しておらず、曲がりやすく、これが通常、振幅の損失と溶着接続の不良をもたらす場合に有利である。したがって、部品が曲がりやすい場合でも、本発明の予熱配置によって、信頼性の高い溶着接続を確立することができる。
【0104】
さらに、特に予熱配置、特に予熱装置10を、回転可能であり、それにより予熱構造14、18が各サイクルにおいて予熱される溶着構造24、28と一致するように設計することにより、方法は単純であり、装置の構造は空間節約的である。予熱される溶着構造に適合された予熱構造を提供するためにさらなる予熱配置が必要とされることはなく、また、溶着された部品のスタックを取り除いて下部工具の異なる向きに配置し直す必要もない。これにより、装置及び制御方法の複雑さ並びに必要な設置スペースが低減される一方で高い溶着品質が同時に維持される。
【0105】
第1の部品20及び第2の部品又は溶着される部品のスタックを本発明の予熱配置によって予熱するための本発明の予熱方法の一実施形態が、図9に関してさらに明確にするために説明される。
【0106】
上述のように、第1の部品20は第1の側22に第1の溶着構造24を、反対側の第2の側に第2の溶着構造28を含む。第1及び第2の溶着構造24、28は、予熱装置10の第1及び第2の予熱構造14、18と合同であるように形成され、第1の溶着構造24及び第2の溶着構造28が非対称軸の周りで180°又は第3の軸の周りで角度αだけ互いに回転されるように向けられる。第2の部品又は溶着された部品のスタックは、第1の部品20に面する側に第3の溶着構造を含み、第3の溶着構造は、第3の軸Zに沿って見た場合に、第3の溶着構造が、第2の部品又は溶着された部品のスタックに面する第1の部品20の溶着構造24、28の上に配置されるように向けられる。
【0107】
第1のステップAにおいて、予熱配置は待機位置から、溶着装置の上部工具及び下部工具の間の予熱位置へ移動される。予熱配置の予熱装置は、第1の向きを有する第1の位置に配置され、ここで予熱構造14、18は第3の軸Zに沿って見た場合に、予熱位置において溶着構造24又は28と重なる。溶着装置の上部支持体1並びに下部支持体3は、予熱位置においてそれぞれ第1の平面と平行な平面に配置される。
【0108】
次に、第1の部品20及び第2の部品又は溶着された部品のスタックがステップBにおいて予熱される。
【0109】
ステップCにおいて、予熱配置は予熱位置から待機位置へ移動される。
【0110】
特に待機位置において、少なくとも1つの第1の回転手段によって予熱配置を第1の位置から第2の位置へ回転させるさらなるステップDが行われる。この回転は、予熱配置が予熱位置から待機位置に移動されている間又はその後に、1つの代替形態に従って行われる。この点で、回転は、例えば、溶着される新しい第1の部品を溶着装置へ導入する間、待機位置においていつでも実行され得る。別の代替形態によれば、このステップは、予熱配置が待機位置から予熱位置に移動する間又はその前に実行される。
【0111】
一般に、この追加ステップにより、中間ステップにおいて、第1の部品と類似しているが、互いに回転されていない溶着構造を有する第3の部品も、部品のスタックに一体化できることが可能となる。この点に関して、第3の部品の溶着を含む本発明の溶着方法の実施形態に関する以下の記載を参照されたい。これにより、すべての部品でなく例えば1つおきの部品のみが第1の部品20である部品のスタックが提供される場合、予熱配置、ひいては予熱方法の適用分野がさらに拡大される。もちろん、任意の他のパターンを使用してもよい。
【0112】
ここで、図10に関して、本発明の溶着装置によって第1の部品20を第2の部品又は溶着された部品のスタックに溶着するための本発明の溶着方法の一実施形態について説明する。
【0113】
ここでも、第1の部品20は、第1の側22に第1の溶着構造24を、反対側の第2の側に第2の溶着構造28を含む。第1及び第2の溶着構造24、28は、予熱装置10の第1及び第2の予熱構造14、18と合同であるように形成される。さらに、第1及び第2の溶着構造24、28は、非対称軸の周りで180°、又は第3の軸Zの周りで角度αだけ互いに回転されるように向けられる。第2の部品又は溶着された部品のスタックは、第1の部品20に面する側に第3の溶着構造を含み、第3の溶着構造は、第3の軸Zに沿って見たとき、第3の溶着構造が第2の部品又は溶着された部品のスタックに面する第1の部品20の溶着構造24、28の上に配置されるように向けられる。
【0114】
第1のステップiにおいて、第1の部品20は第1の側で上部工具に配置される。このステップiは、記載される実施形態において、第1の部品20を下部工具に、好ましくは第2の部品又は溶着された部品のスタックに配置するさらなるステップi1と、第1の部品20を有する下部支持体3を上部支持体1に対して第3の軸Zに沿って初期位置から移譲位置へ移動するステップi2とを含む。これらの方法ステップにより、ユーザは第1の部品20を下部工具に配置し、下部工具は次いで第1の部品20を上部工具へ移譲するために移動される。これにより第1の部分を上部工具に配置する手動ステップが排除される。
【0115】
第1のステップiの後、第2の部品又は溶着された部品のスタックが配置された下部工具を有する下部支持体3を上部支持体1に対して中間位置へ移動することがステップiiにおいて実行される。
【0116】
この中間位置において、本発明の予熱方法の上記の実施形態がステップiiiにおいて実行される。このため、予熱装置10は第1の位置に配置される。
【0117】
その後、第2の部品又は溶着された部品のスタックを備える下部支持体3は、ステップivにおいて、第3の軸Zに沿って溶着位置まで上部支持体1に対して移動される。ステップvにおいて、第2の部品又は溶着された部品のスタックに対する第1の部品20の溶着が実行され、溶着された部品のスタックが増大されるようにする。このスタックの増大は、溶着位置にアプローチするときに、すべての後続のサイクルにおいて考慮される。その後、ステップviにおいて、下部支持体3は初期位置へ戻される。
【0118】
第1の代替形態において、溶着方法はここで、別の第1の部品20を上部工具に配置するステップviiを含む。これは、下部工具に面する側の溶着構造が、下部工具内の溶着された部品のスタックによって露出される第3の溶着構造に一致するように行われる。その後、下部支持体3を中間位置に移動させ、本発明の予熱方法を行い、下部支持体3を溶着位置に移動させ、部品を互いに溶着し、下部支持体3を初期位置に移動させる上記ステップii~viが繰り返される。しかしながら、予熱装置10は、このサイクルにおける予熱の前に回転されており、したがって、第2の位置に配置されていることを考慮しなければならない。この代替形態によって、別の又は新しい第1の部品20が溶着された部品のスタックに溶着される場合に、予熱構造14、18が互いに溶着される部品の溶着構造24、28の向きに一致するように、予熱配置が配置されることが保証される。
【0119】
第2の代替形態において、溶着方法は、下部支持体3を初期位置に戻すステップviの後に、上部工具に第3の部品(図示せず)を配置するステップviiiを含む。第3の部品は、第1の側に第4の溶着構造を有し、反対側の第2の側に第5の溶着構造を有している。第4及び第5の溶着構造は、第3の溶着構造に対応し、第1の平面に垂直な第3の軸に沿って見たとき、第4及び第5の予熱構造が、一方が他方の上に配置されるように向けられる。
【0120】
ここでもまた、さらなる第1の部品の場合と同様に、第3の部品は、下部工具に面する側の溶着構造が、下部工具内の溶着された部品のスタックによって露出される第3の溶着構造に一致するように、上部工具に配置される。その後、下部支持体3を中間位置に移動させ、本発明の予熱方法を行い、下部支持体3を溶着位置に移動させ、部品同士を溶着し、下部支持体3を初期位置に移動させるステップii~viが繰り返される。ここで、予熱装置が第1又は第2の位置に維持されることを考慮する必要がある。
【0121】
この別個のステップは、したがって、第3の部品が溶着された部品のスタックに溶着され得ることを可能にする。第3の部品は、同じ溶着構造を有するという点で第1の部品に一致する。それにもかかわらず、それぞれの溶着構造が互いに回転されない点が、第1の部品と異なる。言い換えれば、それらは、予熱装置10の予熱構造14、18の向きと同様に、一方が他方の上に配置されている。
【0122】
その結果、第1の代替形態との組合わせにおいて、予熱装置10は、待機位置に配置されるたびに回転されず、必要な場合にのみ回転される。これにより溶着方法はより柔軟になり、少なくとも2種類の異なる部品からなるスタックの製造が可能になる。第1の種類は上記の第1の部品であり、第2の種類は第3の部品である。
【0123】
最後に、図11に関して、溶着装置の本発明の後付け方法の一実施形態について考察する。方法は最初に、本発明の予熱配置を提供するステップIを含む。次に、予熱配置はステップIIにおいて溶着装置に組み込まれる。最後に、ステップIIIにおいて、予熱配置は溶着装置の制御方法に実装される。したがって、この方法によって、既に存在する溶着装置、例えば振動溶着装置又はIR溶着装置に、本発明の予熱配置を備え付けて、上述の技術的効果及び利点を実現するようにする。
【符号の説明】
【0124】
1 上部支持体
3 下部支持体
10 予熱装置
12 予熱装置10の第1の側
14 第1の側12の第1の予熱構造
16 予熱装置10の第2の側
18 第2の側16の第2の予熱構造
20 第1の部品
22 第1の部品20の第1の側
24 第1の側22の第1の溶着構造
28 第2の側の第2の溶着構造

X 第1の軸
Y 第2の軸
Z 第3の軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】