(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057041
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】エアロゾル生成品、電子霧化装置、及び霧化システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20230413BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20230413BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155745
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】202111171326.7
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522373541
【氏名又は名称】海南摩爾兄弟科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hainan Moore Brothers Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】蒋振龍
(72)【発明者】
【氏名】肖從文
(72)【発明者】
【氏名】肖令榮
(72)【発明者】
【氏名】李亞飛
(72)【発明者】
【氏名】唐根初
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC12
4B162AC22
4B162AD23
4B162AF01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、エアロゾル生成品、電子霧化装置、及び霧化システムに関する。
【解決手段】エアロゾル生成品は、固体基質であるエアロゾル生成基質を含み、エアロゾル生成品は、交番電界の作用で発熱し霧化してエアロゾルを形成することができる。上記エアロゾル生成品は自己発熱するものであり、口当たりがよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成品であって、
固体基質であるエアロゾル生成基質を含み、
前記エアロゾル生成品は、交番電界の作用で発熱し、霧化してエアロゾルを形成することができることを特徴とするエアロゾル生成品。
【請求項2】
前記エアロゾル生成基質は極性分子を含み、
前記極性分子は、水、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、脂質、フェノール類、テルペン類、および低級脂肪酸の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル生成品。
【請求項3】
前記交番電界の周波数は10MHz~5GMHzであることを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル生成品。
【請求項4】
前記エアロゾル生成品は、前記エアロゾル生成基質に近接して配置される発熱補助材料をさらに含み、
前記交番電界の作用では、前記発熱補助材料の誘電損率は前記エアロゾル生成基質の誘電損率よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル生成品。
【請求項5】
前記発熱補助材料は減衰セラミックであることを特徴とする請求項4に記載のエアロゾル生成品。
【請求項6】
前記エアロゾル生成基質における水の含有量は6wt%~18wt%であることを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成品。
【請求項7】
電子霧化装置であって、
電源モジュールと交番電界発生モジュールを含み、
前記電源モジュールは、前記交番電界発生モジュールに電力を供給するものであり、
前記交番電界発生モジュールは、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成品のエアロゾル生成基質を発熱させてエアロゾルを形成することができる交番電界を生成するためのものであることを特徴とする電子霧化装置。
【請求項8】
前記交番電界の周波数は10MHz~5GMHzであり、
及び/または、
前記交番電界を発生する交流電圧の波形は正弦波、方形波、または鋸歯状波であることを特徴とする請求項7に記載の電子霧化装置。
【請求項9】
前記交流電界発生モジュールは、交流電圧発生器、第1電極、及び第2電極を含み、
前記交流電圧発生器は、前記第1電極と前記第2電極との間に交番電界が形成されるように、前記第1電極および前記第2電極に交流電圧を供給し、
前記交番電界が分布された領域の少なくとも一部には、前記エアロゾル生成基質を収容できる収容空間が設置されていることを特徴とする請求項7に記載の電子霧化装置。
【請求項10】
前記第1電極は板状または筒状であり、
前記第2電極は板状または筒状であることを特徴とする請求項9に記載の電子霧化装置。
【請求項11】
前記第1電極は複数あり、複数の前記第1電極は間隔を置いて配置され、
前記第2電極は複数あり、複数の前記第2電極は間隔を置いて配置され、
前記交流電圧発生器は、予め設定されたモードに応じて複数の前記第1電極、及び対応する前記第2電極に交流電圧を提供することができることを特徴とする請求項9に記載の電子霧化装置。
【請求項12】
前記予め設定されたモードは、異なる電力による段階的な加熱または順次の段階的な加熱であることを特徴とする請求項11に記載の電子霧化装置。
【請求項13】
前記電子霧化装置は、前記交番電界によって励起されるオーバーフロー電磁場をシールドするまたは減衰させるための電磁シールド部材をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の電子霧化装置。
【請求項14】
前記電子霧化装置は、温度センサとコントローラをさらに含み、
前記温度センサは、前記エアロゾル生成基質の温度を前記コントローラにフィードバックするために用いられ、
前記コントローラは、前記温度センサによってフィードバックされた温度に応じて前記交流電圧発生器の出力を制御して、前記エアロゾル生成基質の発熱温度を制御するために用いられることを特徴とする請求項9に記載の電子霧化装置。
【請求項15】
請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル生成品と、前記エアロゾル生成品に適合された請求項7に記載の電子霧化装置とを含むことを特徴とする霧化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化技術分野に関し、特にエアロゾル生成品、電子霧化装置、及び霧化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子霧化装置は、主にエアロゾル生成品を加熱することによりエアロゾルを形成する装置である。そのうち、非燃焼加熱式電子霧化装置(HNB,Heat Not Burning)は、エアロゾル生成品を低温(450℃を超えない)で焼けばエアロゾルを生成することができ、高温分解によって大量の有害物質をもたらすことがないから、好まれている。
【0003】
従来の非燃焼加熱式の電子霧化装置の加熱方式は接触式加熱技術であり、すなわち、熱がエアロゾル生成品の外部の熱源(フレーク式発熱体、針式発熱体、電磁誘導発熱体)からエアロゾル生成品に伝導され、エアロゾル生成品が熱を吸収した後にその中の有効成分が霧化してエアロゾルを生成する。しかしながら、従来の接触式加熱技術に基づく電子霧化装置の加熱体には、発熱による汚れが付着しやすく、洗浄が不便であり、吸引の口当たりに影響を与えやすい。
【発明の概要】
【0004】
このことに鑑みて、以下のようなエアロゾル生成品を提供する必要があり、すなわち、交番電界を発生させる電子霧化装置と協働する時に、当該エアロゾル生成品が発熱し、このときの電子霧化装置に発熱体を必要とせず、発熱体に堆積した汚れが吸引の口当たりに影響することを回避しつつ、発熱体の洗浄を回避することで電子霧化装置の使用をより便利にすることができる。
【0005】
また、使用が便利であるとともにエアロゾル生成品の吸引の口当たりを改善することができる電子霧化装置および霧化システムも提供される。
【0006】
エアロゾル生成品であって、固体基質であるエアロゾル生成基質を含み、前記エアロゾル生成品は、交番電界の作用で発熱し、霧化してエアロゾルを形成することができる。
【0007】
上記のエアロゾル生成品は、固体基質であるエアロゾル生成基質を含み、エアロゾル生成品は、交番電界の作用で発熱し、霧化してエアロゾルを形成することができ、エアロゾル生成品の発熱速度が速く、且つそれに適合される電子霧化装置に発熱体を設置する必要がなくなるため、発熱体に汚れが堆積して吸引の口当たりに影響することが回避されつつ、電子霧化装置の使用もより便利になる。
【0008】
一実施例において、前記エアロゾル生成基質は極性分子を含む。
【0009】
一実施例において、前記極性分子は、水、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、脂質、フェノール類、テルペン類、および低級脂肪酸の少なくとも1つである。
【0010】
一実施例において、前記交番電界の周波数は10MHz~5GMHzである。
【0011】
一実施例において、前記エアロゾル生成品は、前記エアロゾル生成基質に近接して配置される発熱補助材料をさらに含む。
【0012】
一実施例において、前記交番電界の作用では、前記発熱補助材料の誘電損率は前記エアロゾル生成基質の誘電損率よりも大きい。
【0013】
一実施例において、前記発熱補助材料は減衰セラミックである。
【0014】
一実施例において、前記エアロゾル生成基質における水の含有量は6wt%~18wt%である。
【0015】
一実施例において、前記エアロゾル生成基質における水の含有量は8wt%~14wt%である。
【0016】
電子霧化装置であって、電源モジュールと交番電界発生モジュールを含み、前記電源モジュールは、前記交番電界発生モジュールに電力を供給するものであり、前記交番電界発生モジュールは、上記のエアロゾル生成品のエアロゾル生成基質を発熱させてエアロゾルを形成することができる交番電界を生成するためのものである。
【0017】
一実施例において、前記交番電界の周波数は10MHz~5GMHzである。
【0018】
一実施例において、前記交番電界を発生させる交流電圧の波形は、正弦波、方形波、または鋸歯状波である。
【0019】
一実施例において、前記交流電界発生モジュールは、交流電圧発生器、第1電極、及び第2電極を含み、前記交流電圧発生器は、前記第1電極と前記第2電極との間に交番電界が形成されるように、前記第1電極および前記第2電極に交流電圧を供給し、前記交番電界が分布された領域の少なくとも一部には、前記エアロゾル生成基質を収容できる収容空間が設置される。
【0020】
一実施例において、前記第1電極は板状または筒状であり、前記第2電極は板状または筒状である。
【0021】
一実施例において、前記第1電極は複数あり、複数の前記第1電極は間隔を置いて配置され、前記第2電極は複数あり、複数の前記第2電極は間隔を置いて配置され、前記交流電圧発生器は、予め設定されたモードに応じて複数の前記第1電極、及び対応する前記第2電極に交流電圧を提供することができる。
【0022】
一実施例において、前記予め設定されたモードは、異なる電力による段階的な加熱または順次の段階的な加熱である。
【0023】
一実施例において、前記電子霧化装置は、前記交番電界によって励起されるオーバーフロー電磁場をシールドするまたは減衰させるための電磁シールド部材をさらに含む。
【0024】
一実施例において、前記電子霧化装置は、温度センサとコントローラをさらに含み、前記温度センサは、前記エアロゾル生成基質の温度を前記コントローラにフィードバックするために用いられ、前記コントローラは、前記温度センサによってフィードバックされた温度に応じて前記交流電圧発生器の出力を制御して、前記エアロゾル生成基質の発熱温度を制御するために用いられる。
【0025】
霧化システムであって、上記のエアロゾル生成品と、前記エアロゾル生成品に適合された上記の電子霧化装置とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施例による霧化システムの概略図である。
【
図2】
図1に示す霧化システムの等価コンデンサの概略断面図である。
【
図3】他の実施例による等価コンデンサの概略断面図である。
【
図4】他の実施例による等価コンデンサと電磁シールド部材の概略断面図である。
【
図5】他の実施例による等価コンデンサと電磁シールド部材の概略断面図である。
【
図6】他の実施例による複数の等価コンデンサの概略図である。
【
図7】他の実施例による等価コンデンサの概略図である。
【
図8】他の実施例による複数の等価コンデンサの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の理解を容易にするために、本発明を以下により完全に説明するが、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施例に限定されない。むしろ、これらの実施例は、本開示をより完全にする目的で提供される。
【0028】
なお、要素は、別の要素に「固定されている」と表現される場合、別の要素に直接固定されてもよいし、1つまたは複数の中間要素を介して固定されてもよい。要素は、別の要素に「接続されている」と表現される場合、別の要素に直接接続されてもよいし、1つまたは複数の中間要素を介して接続されてもよい。用語「垂直」、「水平」、「左」、「右」、「上」、「下」、「内」、「外」、「底部」等で方位又は位置関係を指示するとき、図面に示されたものに基づく方位又は位置関係であり、説明を容易にするためだけであり、指示された装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作しなければならないことを指示又は示唆するものではないので、本願を限定するものと解釈することができない。また、用語「第1」、「第2」などは、単に説明のためのものであり、相対的な重要性を示すまたは示唆するものと解釈されるべきではない。
【0029】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明の技術分野に属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、単に具体的な実施例を説明するためのものであって、本願を限定することを意図するものではない。
【0030】
図1及び
図2を参照すると、本願の一実施形態は、エアロゾル生成品100と、該エアロゾル生成品100に適合された電子霧化装置200とを含む霧化システム10を提供する。
【0031】
エアロゾル生成品100は、電子霧化装置200が発生する交番電界の作用により発熱し、霧化してエアロゾルを形成することができる。エアロゾルとは、気体(例えば空気)における固体粒子または液滴の懸濁物である。
【0032】
具体的には、エアロゾル生成品100は、包装層(図示せず)、及びエアロゾル生成基質110を含む。
【0033】
包装層は、外側包装部として、エアロゾル生成品100の他の部品(例えばエアロゾル生成基質110)を包装する。いくつかの実施例では、包装層は、包装紙とプラスチックの少なくとも1つである。いくつかの実施例では、エアロゾル生成品100は柱状を呈している。これに対応して、包装層は、筒状(例えば円筒状)を呈している。一実施例において、エアロゾル生成品は柱状を呈し、エアロゾル生成品100は、包装層の中心軸上に順次配置され包装層によって画定されるエアロゾル生成基質、中空管状要素、及び吸着ノズルを含む。中空管状要素は、エアロゾル生成基質と吸着ノズルとの間に配置され、エアロゾルから吸着ノズルまでの距離を延長して、緩衝の役割を果たすものである。いくつかの実施例では、中空管状要素にはさらに、エアロゾルを冷却するための冷却要素が配置される。一実施例において、吸着ノズルにはさらに、フィルタ材料(例えば、アセテート繊維)が配置される。一実施例において、エアロゾルの過熱を回避するために、中空管状要素と吸着ノズルとの間にさらにエアロゾル冷却要素が配置される。いくつかの実施例では、エアロゾル生成品100はエアロゾル生成基質110であることを理解されたい。すなわち、この場合のエアロゾル生成品100は、包装層、中空管状要素、吸着ノズル、および冷却要素を省略している。いくつかの実施形態では、上述の要素が部分的に含まれることも可能であることを理解されたい。
【0034】
いくつかの実施例では、エアロゾル生成基質110は、交番電界の作用で発熱し、霧化してエアロゾルを形成することができる。エアロゾル生成基質110の成分が複雑であり、分子レベルでは、自然状態におけるエアロゾル生成基質110に含まれる分子の順序が乱れる。エアロゾル生成基質110中の極性分子は、その双極子モーメントがゼロではないため、電場の作用で電場力を受けて回転する。また、固定周波数の交番電場の作用では、極性分子が回転しまたは振動し、分子間に摩擦や衝突が生じて熱が発生する。このように、交番電界加熱とは、誘電体を特定の周波数の交番電界に配置し、この交番電界の作用で、誘電体中の極性分子が高速で回転しまたは振動して摩擦や衝突が生じることにより、誘電体が発熱する。そのうち、誘電体を発熱させる交番電界の周波数が誘電体自身の性質に関連するので、交番電界による加熱では選択的に加熱を行うことができる。交番電界の作用で、エアロゾル生成基質110の発熱速度が速く、かつ発熱が均一であり、それによってエアロゾル生成基質110の利用率が高くなる。かつ、エアロゾル生成基質110は自身内部の発熱だけで霧化してエアロゾルを形成することができるため、それに適合される電子霧化装置200に発熱体を設置する必要がなくなり、発熱体に汚れが堆積して吸引の口当たりに影響することが回避され、電子霧化装置200の使用もより便利になる。
【0035】
具体的には、エアロゾル生成基質110は、極性分子を含む。いくつかの実施例では、極性分子は、水、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、脂質、フェノール類、テルペン類、および低級脂肪酸の少なくとも1つである。水は極性の良い極性分子であり、エアロゾル生成基質110における含有量が多い場合には、発熱物質として用いられてエアロゾル生成基質110を霧化させてエアロゾルを形成させることができる。一実施例において、エアロゾル生成基質110における水の含有量は6wt%~18wt%である。さらに、エアロゾル生成基質110における水の含有量は8wt%~14wt%である。アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、脂類、フェノール類、テルペン類、及び低級脂肪酸は極性を有するので、適合した周波数の交番電界により加熱される可能である。いくつかの実施例では、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、脂質、フェノール類、テルペン類、及び低級脂肪酸の少なくとも1つは、主に風味物質として機能するが、風味物質としてのアルコール類、アルデヒド類、ケトン類、脂質、フェノール類、テルペン類、及び低級脂肪酸の含有量は通常少なく、単独では発熱に用いられることができなく、又は効果があまり顕著ではなく、他の極性分子(例えば水)と協働して発熱する必要がある。いくつかの実施例では、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、脂質、フェノール類、テルペン類、及び低級脂肪酸の少なくとも1つは発熱物質としても機能してもよいことを理解されたい。この場合、それらの含有量は、エアロゾル生成基質110を霧化させてエアロゾルを形成するのに十分なものである。
【0036】
いくつかの実施例では、エアロゾル生成基質110は固体基質である。オプションとして、エアロゾル生成基質110は、粉末、粒子、フレーク状、糸状、スパゲッティ状(spaghettis)、およびストリップ状の少なくとも1つである。固体のエアロゾル生成基質110の形状は、上記に限定されず、他の形状であってもよいことを理解されたい。
【0037】
具体的には、エアロゾル生成基質110は、機能性材料および基質材料を含む。機能性材料は、エアロゾル生成基質110がエアロゾルを生成できるようにするものであり、基質材料は、エアロゾル生成基質110が成形するように機能性材料を支持するものである。より具体的には、機能性材料は、揮発性香気物質及びエアロゾル形成剤を含む。エアロゾル形成剤は、エアロゾルを形成するためのものであり、揮発性香気物質は、エアロゾルに香気を付与するためのものであり、揮発性香気物質とエアロゾルの量および種類の選択については、必要に応じて選択し組み合わせることができる。
【0038】
揮発性香気物質は、天然原料由来または人工的に合成されたもの由来である。オプションとして、揮発性香気物質は、香気を有するアルコール類、アルデヒド類、ケトン類、脂質、フェノール類、テルペン類、および低級脂肪酸の少なくとも1つから選択される。一実施例において、揮発性香気物質は、植物の葉、茎、根、及び花の少なくとも1つの抽出物である。もちろん、揮発性香気物質は、実際のニーズに応じて選択し、組み合わせることができる。いくつかの実施例では、揮発性香気物質は省略されてもよいことを理解されたい。
【0039】
オプションとして、エアロゾル形成剤は、水および/または他の極性分子を含む。上述したように、水は極性の良い極性分子であり、交番電界において発熱することができ、加熱の役割を果たす。
【0040】
一実施例において、エアロゾル生成基質110は固体基質であり、エアロゾル生成基質110における水の含有量は6wt%~18wt%である。さらに、エアロゾル生成基質110における水の含有量は8wt%~14wt%である。オプションとして、他の極性分子は、エアロゾル形成剤は、トリエチレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、およびプロピレングリコールの少なくとも1つから選択される。他の実施例では、他の極性分子は上記に限定されないことを理解されたい。
【0041】
いくつかの実施例では、基質材料は、揮発性香気物質を有する天然原料から作製され、エアロゾル生成基質110は、基質材料と機能性材料との混合により作製される。一実施例において、基質材料は、植物の葉、茎、根、及び花の少なくとも1つである。1つの可能な具体例では、植物は草本植物である。揮発性香気物質を有する天然材料は、交番電界の作用で香気物質を放出してエアロゾルを形成することができる。基質材料が揮発性香気物質を有する天然原料(例えば、草本植物)から作製される場合、揮発性香気物質およびエアロゾル形成剤の両方が基質材料から提供され得るので、この場合に機能性材料は省略されてもよいことを理解されたい。この場合、植物の含水量では、植物が交番電場の作用で加熱され霧化してエアロゾルを形成するのに十分である。例えば、この場合の植物の含水量は6wt%~18wt%である。
【0042】
1つの可能な具体例では、基質材料はタバコである。タバコの主成分は、不溶性の多糖類、例えばデンプン、セルロース、ペクチンなどである。デンプンは、成熟したタバコにおける含有量は10%~30%である。セルロースは、タバコの細胞の組織と骨格を構成する基本物質であり、タバコにおけるセルロースの含有量は通常11%程度であり、タバコのレベルの低下に伴い増加する。ペクチンは、タバコにおける含有量は12%程度であり、タバコの弾性靭性などの物理的性質に影響し、ペクチンの存在により、タバコにおける含水量が多いとタバコの弾性靭性が増大し、含水量が少ないとタバコが脆く、割れ易くなる。もちろん、基質材料がタバコである場合には、機能性材料を省略してもよく、この場合、タバコの含水量では、タバコが交番電場の作用で加熱され霧化してエアロゾルを形成するのに十分である。例えば、この場合のタバコの含水量は6wt%~18wt%である。
【0043】
他のいくつかの実施例では、基質材料は人工的に合成された材料である。一実施例において、基質材料は多孔質材料であり、機能性材料は基質材料中に充填される。もう一つの実施例では、基質材料は、粒子、糸状、チップまたは粉末状であり、機能性材料は、基質材料中に分散され、エアロゾル生成基質110は、機能性材料と基質材料との混合により成形される。基質材料が人工的に合成された材料である場合、基質材料は担体としてのみ機能し、香気物質を放出しない。具体的には、基質材料は、人工的に合成された多孔質材料である。例えば、多孔質ポリマーである。
【0044】
エアロゾル生成基質110がエアロゾルを生成するために必要とする交番電界の周波数は、10MHz~5GMHzである。いくつかの実施例では、エアロゾル生成基質がエアロゾルを生成するために必要とする交番電界の周波数は、10MHz~49MHzである。1つの可能な具体例では、エアロゾル生成基質がエアロゾルを生成するために必要とする交番電界の周波数は、10MHz、15MHz、20MHz、25MHz、30MHz、35MHz、40MHzまたは49MHzである。他のいくつかの実施例では、エアロゾル生成基質がエアロゾルを生成するために必要とする交番電界の周波数は、981MHz~5GMHzである。1つの可能な具体例では、エアロゾル生成基質がエアロゾルを生成するために必要とする交番電界の周波数は、985MHz、1000MHz、1GHz、1.5GHz、2GHz、2.5GHz、3GHz、3.5GHz、4GHzまたは4.5GHzである。
【0045】
いくつかの実施例では、エアロゾル生成品100は、エアロゾル生成基質110に近接して配置される発熱補助材料をさらに含む。具体的には、発熱補助材料は、エアロゾル生成基質110内に配置される。さらに、発熱補助材料は、エアロゾル生成基質110中に分散される。エアロゾル生成基質110内に熱補助材料を分散させることにより、エアロゾル生成基質110を均一に加熱することができ、それにより、エアロゾル生成基質110から形成されるエアロゾルは統一性に優れる。いくつかの実施例では、発熱補助材料は、エアロゾル基質中に分散されることに限定されず、エアロゾル生成基質110に熱を伝達するために、フレーク状、棒状、または針状などの形態でエアロゾル生成基質110に近接して配置されてもよいことを理解されたい。
【0046】
いくつかの実施例では、発熱補助材料は、エアロゾル生成基質110が配置される交番電界においてエアロゾル生成基質110よりも発熱しやすいおよび/または発熱効率が高い材料である。この場合、エアロゾル生成基質110を霧化させるための熱源として、一部はその自身が交番電界で発生する熱であり、他の一部は、発熱補助材料が交番電界で発生する熱である。いくつかの実施例では、エアロゾル生成基質110の交番電界における発熱が少なく、この場合、エアロゾル生成基質110を霧化させるのに必要な熱は主に発熱補助材料の発熱からのものであることを理解されたい。
【0047】
オプションとして、交番電界の作用では、発熱補助材料の誘電損率はエアロゾル生成基質110の誘電損率よりも大きい。発熱補助材料は、交番電界の加熱周波数でエアロゾル生成基質110より高い発熱率を有してもよく、これにより、より効率的な加熱効率を達成することができることを理解されたい。例えば、含水率15wt%のタバコの誘電損失(dielectric loss)は約0.075であり、且つ含水率の増加につれて誘電損失も増加し、含水率が30wt%である場合誘電損失(dielectric loss)は約0.487である。但し、含水率が大きすぎるとタバコの品質に影響を及ぼす。したがって、エアロゾル生成基質110の含水率が6wt%~18wt%であるのは好適である。同時に、含水率が低い場合には、発熱効率を向上させるために、エアロゾル生成基質110に発熱補助材料を加えて発熱効率を向上させてもよい。
【0048】
いくつかの実施例では、発熱補助材料は減衰セラミックである。1つの可能な具体例では、減衰セラミックは、窒化アルミニウム基の減衰セラミックである。窒化アルミニウム基の減衰セラミックは優れた熱伝導性能を有し、熱伝導率の理論値は約320W/m・Kで、且つ適度な熱膨張係数、確実な電気絶縁性、安定した化学的及び熱的性能、良好な力学的性能及び無毒性の特徴を有する。また、実際の生産過程において、一定の減衰効果を達成するように、窒化アルミニウム基の減衰セラミックの基体にいくつかの損失が大きい物質、例えばSiC、TiB2、Mo、W、Cなどの減衰剤を添加することが多い。いくつかの具体的な実施例では、AlN-TiB2減衰セラミックの誘電損失は約0.17であり、含水率が15%であるタバコの誘電損失0.075よりも大きい。
【0049】
電子霧化装置200は、交番電界を発生させることにより上記のエアロゾル生成品100のエアロゾル生成基質110を発熱させて霧化させてエアロゾルを生成することができる。具体的には、電子霧化装置200は、ハウジングと、電源モジュールと、交番電界発生モジュールとを含む。ハウジングは、電子霧化装置200の他の要素を収容するためのものであり、電源モジュールは、交番電界発生モジュールに電力を供給するものであり、交番電界発生モジュールは、上記のエアロゾル生成品100のエアロゾル生成基質110を発熱させて霧化させてエアロゾルを形成することができる交番電界を生成するためのものである。
【0050】
具体的には、ハウジングは収容チャンバを有し、電源モジュール及び交番電界発生モジュールはいずれも収容チャンバ内に位置する。より具体的には、収容チャンバは、底部と、底部に対向する開口とを有する。電源モジュールは、電子霧化装置200の他の部品(例えば、交番電界発生モジュール)に電力を供給する。一実施例において、電源モジュールは収容チャンバの底部の近くに配置される。電源モジュールはバッテリを含む。いくつかの実施例では、バッテリは省略されてもよいことを理解されたい。この場合、電子霧化装置200の使用には外部電源が必要である。
【0051】
交流電界発生モジュールは、交流電圧発生器、第1電極210、及び第2電極220を含む。交流電圧発生器は、電源に電気的に接続され、第1電極210と第2電極220との間に交番電界が形成されるように、第1電極210および第2電極220に交流電圧を供給する。交番電界が分布された領域の少なくとも一部には、エアロゾル生成基質110を収容できる収容空間が設置され、これにより、交番電界内に配置されたエアロゾル生成基質110は、交番電界の作用で発熱し霧化してエアロゾルを形成できる。第1電極210、第1電極210と第2電極220との間に位置するエアロゾル生成品100、及び第2電極220は等価コンデンサを形成している。
【0052】
図2~
図5を参照すると、いくつかの実施例では、第1電極210は板状または筒状であり、第2電極220は板状または筒状である。
図2に示す実施例では、第1電極210は板状であり、第2電極220は筒状であり、第1電極210は第2電極220の中にある。
図3に示す実施例では、第1電極210は円柱状であり、第2電極220は筒状であり、第1電極210と第2電極220とは同心に設けられている。
図4及び
図5に示す実施例では、第1電極210及び第2電極220は共に板状である。
【0053】
いくつかの実施例では、第1電極210と第2電極220の数はそれぞれ1つである。他のいくつかの実施例では、第1電極210は複数あり、複数の第1電極210は間隔を置いて配置され、第2電極220は複数あり、複数の第2電極220は間隔を置いて配置され、交流電圧発生器は、予め設定されたモードに応じて複数の第1電極210、及び対応する第2電極220に交流電圧を提供することができる。オプションとして、予め設定されたモードは、異なる電力による段階的な加熱または順次の段階的な加熱である。具体的には、異なる電力による段階的な加熱とは、エアロゾル生成基質110の各部位において発熱の程度が異なることを意味する。例えば、
図6に示すように構成された1つの実施例では、第1電極210と第2電極220とが対応する位置に応じて、上から下に向かって、エアロゾル生成基質110を上段と中段と下段とに分け、そのうち、エアロゾル生成基質110の中段の発熱の程度が最も大きく、温度が最も高く、また、上段と下段が中段と比べて、発熱の程度が小さく、温度が低い。順次の段階的な加熱とは、エアロゾル生成基質の発熱の程度が、固定方向に沿って徐々に増大または減少することを意味する。例えば、
図6に示すように構成された1つの実施例では、第1電極210と第2電極220とが対応する位置に応じて、上から下に向かって、エアロゾル生成基質110を上段と中段と下段とに分け、エアロゾル生成基質110の発熱の程度は、下段、中段、上段の順に増大し、温度もこの順に増大する。
【0054】
図6に示す実施例では、第1電極210と第2電極220の数はそれぞれ3つである。但し、他の実施例では、第1電極210の数は、上述の3つに限定されず、1よりも大きい他の整数であってもよく、第2電極220の数も、上述の3つに限定されず、1よりも大きい他の整数であってもよいことを理解されたい。
【0055】
交番電界発生モジュールが発生する交番電界の周波数は、加熱されるエアロゾル生成基質110および/または発熱補助材料に適合される。オプションとして、交番電界発生モジュールが発生する交番電界の周波数は10MHz~5GMHzである。一実施例において、交番電界発生モジュールが発生する交番電界の周波数は10MHz~49MHzである。1つの可能な具体例では、エアロゾル生成基質がエアロゾルを生成するために必要とする交番電界の周波数は、10MHz、15MHz、20MHz、25MHz、30MHz、35MHz、40MHzまたは49MHzである。他のいくつかの実施例では、交番電界発生モジュールが発生する交番電界の周波数は981MHz~5GMHzである。1つの可能な具体例では、エアロゾル生成基質がエアロゾルを生成するために必要とする交番電界の周波数は、985MHz、1000MHz、1GHz、1.5GHz、2GHz、2.5GHz、3GHz、3.5GHz、4GHzまたは4.5GHzである。さらに、交番電界発生モジュールが発生する交番電界の周波数は985MHz~1000GMHz、1GHz~1.5GHz、1.6GHz~2GHz、2.1GHz~2.5GHz、2.6GHz~3GHz、3.1GHz~3.5GHzまたは3.6GHz~4GHzである。
【0056】
一実施例において、交流電圧発生器が発生する交流電圧の波形は、正弦波、方形波、または鋸歯状波である。
【0057】
いくつかの実施例では、電子霧化装置200は、第1電極210と第2電極220との間の交番電界によって励起されるオーバーフロー電磁場をシールドするまたは減衰させるための電磁シールド部材230をさらに含む。一実施例において、電磁シールド部材230の材料は、導電性材料、金属と絶縁体との複合材料、またはフェライト材料から選択される。1つの可能な具体例では、導体材料は、銅、アルミニウム、鉄、およびニッケルの少なくとも1つから選択される。複合材料は、金属粉末または金属繊維(例えば、ニッケルワイヤ、銅ワイヤ、銀ワイヤなど)で充填されるゴムまたはプラスチックから選択される。フェライト材料は、マンガン-亜鉛フェライトまたはニッケル-銅フェライトから選択される。他の実施例において、電磁シールド部材230としての導電性材料、金属と絶縁体との複合材料、フェライト材料は、いずれも上記に限られないことを理解されたい。
【0058】
いくつかの実施例では、電磁シールド部材230は、第1電極210と第2電極220との間に配置され、エアロゾル生成品100をその中に包む。例えば、
図4に示す実施例がこのようなものである。他のいくつかの実施例では、電磁シールド部材230は、第1電極210、エアロゾル生成基質110、および第2電極220によって形成される等価コンデンサの外に配置され、該等価コンデンサをその中に包む。例えば、
図5に示す実施例がこのようなものである。
【0059】
いくつかの実施例では、エアロゾル生成品100は温度感知器120をさらに含む。具体的には、温度感知器120は、エアロゾル生成基質110の温度を感知するためのものであり、電子霧化装置200によるエアロゾル生成基質110の発熱温度の制御を容易にする。いくつかの実施例では、温度感知器120は、熱電対式温度センサ、NTC式温度センサ、PCT式温度センサ、またはTCR式温度センサである。もちろん、他の実施例では、温度感知器120は上記に限定されず、他のタイプの温度センサであってもよい。
【0060】
図7を参照すると、いくつかの実施例では、温度感知器120は、誘電率が温度によって変化する誘電材料を含み、誘電材料のキュリー温度は、エアロゾル生成品100がエアロゾルを形成するのに必要な温度範囲内にある。誘電材料の誘電率が温度によって変化するので、誘電材料の誘電率の変化を検出することにより測温を行うことができる。キュリー温度(Curie temperature,Tc)は、キュリー点とも呼ばれ、磁性材料中の自発磁化強度がゼロまで下げた時の温度を指し、強磁性またはフェリ磁性物質が常磁性物質に遷移する臨界点である。誘電材料の誘電率は、温度がキュリー温度であるときに最大となる。誘電材料のキュリー温度をエアロゾル生成品100がエアロゾルを形成するのに必要な温度範囲内に設計することにより、温度感知器120の感度を向上させることができる。
【0061】
オプションとして、誘電材料は固体誘電材料である。いくつかの実施例では、誘電材料は強誘電性材料である。一実施例において、誘電材料は、ニオブ酸塩、ジルコン酸塩、チタン酸塩、およびビスマス酸塩の少なくとも1つから選択される。1つの可能な具体例において、誘電材料は、NaNbO3、K0.5Na0.5NbO3、および0.96K0.5Na0.5NbO3-0.04Bi0.5Na0.5ZrO3の少なくとも1つから選択される。誘電材料は、上記に限定されず、具体的な状況に応じて選択されてもよいことを理解されたい。他の実施例では、温度感知器120は、固体誘電材料に加えて他の成分を含むことができることを理解されたい。もちろん、誘電材料は固体誘電材料に限定されず、液体誘電材料であってもよい。
【0062】
いくつかの実施例では、エアロゾル生成基質110がエアロゾルを形成するのに必要な温度範囲は、250℃~450℃であり、誘電材料のキュリー温度は、250℃~450℃である。さらに、エアロゾル生成基質110がエアロゾルを形成するのに必要な温度範囲は、250℃~400℃であり、誘電材料のキュリー温度は、250℃~400℃である。さらに、エアロゾル生成品100がエアロゾルを形成するのに必要な温度範囲は、200℃~350℃であり、誘電材料のキュリー温度は、200℃~350℃である。一実施例において、エアロゾル生成基質110がエアロゾルを形成するのに必要な温度範囲は、250℃~400℃であり、誘電材料のキュリー温度は、400℃である。
【0063】
いくつかの実施例では、温度感知器120はエアロゾル生成基質110内に配置される。この場合、温度感知器120は、エアロゾル生成基質110の内部の温度を表現している。一実施例において、温度感知器120は、棒状またはフレーク状をしている。この場合、温度感知器120がエアロゾル生成基質110内に挿入される。さらに、温度センサ120の長さ方向とエアロゾル生成品100の長さ方向とは鋭角をなす。
図7に示す実施例では、温度感知器120の長さ方向は、エアロゾル生成品100の長さ方向と同じである。もう一つの実施例では、温度感知器120は、ペレット状、粉末状、またはチップ状をしている。この場合、温度感知器120はエアロゾル生成基質110中に分散される。
【0064】
他のいくつかの実施例では、温度感知器120はエアロゾル生成基質110の表面に配置される。具体的には、エアロゾル生成基質110は、粉末、粒子、および/または糸状などの細砕材料から成形プロセスにより作製された形状(例えば、フレーク状または柱状)ができる基質であり、温度感知器120は、エアロゾル生成基質110の外面に配置される。この場合で、温度感知器120は、エアロゾル生成基質110の外部の温度を表現している。
【0065】
他のいくつかの実施例では、温度感知器120は、包装層の表面であってエアロゾル生成基質110に近い箇所に配置される。この場合で、温度感知器120は、エアロゾル生成基質110の外部の温度を表現している。一実施例において、温度感知器120は包装層の外面に配置される。もう一つの実施例では、温度感知器120は包装層の内面に配置される。
【0066】
具体的には、温度制御を達成するために、エアロゾル生成品100が温度感知器120を含むことに加えて、電子霧化装置200は、検出モジュールおよびコントローラを含む。検出モジュールは、交番電界中に配置されるエアロゾル生成品100の誘電率の変化を検出し、検出結果をコントローラにフィードバックするために用いられ、コントローラは、エアロゾル生成基質110の温度が高すぎてエアロゾル生成品100に焦げ臭が発生することを回避するように、検出結果に応じて交流電圧発生器の出力を制御することでエアロゾル生成基質110の温度を制御する。検出モジュールは、交番電界中に配置されるエアロゾル生成品100の誘電率を直接検出してもよいし、その誘電率に関連するパラメータを検出することで、交番電界中に配置されるエアロゾル生成品100の誘電率を間接的に取得してもよいことを理解されたい。例えば、第1電極210、第2電極220、第1電極210と第2電極220との間に位置するエアロゾル生成品100によって形成される等価コンデンサの電気容量の変化または該等価コンデンサが配置される共振回路の共振周波数を検出することによって、エアロゾル生成品100の誘電率の変化を検出する。
【0067】
いくつかの実施例では、検出モジュールは、第1電極210、第2電極220、および第1電極210と第2電極220との間に位置するエアロゾル生成品100によって形成される等価コンデンサの電気容量の変化を検出するために用いられる。等価コンデンサの電気容量の変化が検出されることにより、エアロゾル生成品100の誘電率の変化が検出される。具体的には、検出モジュールは等価コンデンサの電気容量を検出して検出結果をコントローラにフィードバックするために用いられ、コントローラは、検出モジュールによってフィードバックされた検出結果を予め設定された加熱プログラムと照合して加熱制御を実現する。この場合、コントローラは、交流電圧発生器に電気的に接続され、加熱過程における温度制御を実現するように、等価コンデンサの電気容量の変化に応じて交流電圧発生器の出力を制御するために用いられる。この場合、コントローラがエアロゾル生成基質110の温度を取得する原理としては、温度感知器120の誘電材料の誘電率と温度との間に対応関係があり、等価コンデンサの電気容量と等価コンデンサにおける温度感知器120の誘電材料の誘電率との間に対応関係がある。したがって、等価コンデンサの電気容量を検出することによって、温度感知器120に感知されたエアロゾル生成基質110の温度を得ることができる。具体的には、コントローラには、温度感知器120の誘電材料の誘電率-温度特性曲線が記憶されている。コントローラに記憶されるのが温度感知器120の誘電材料の誘電率-温度特性曲線である場合、エアロゾル生成品100の、交番電界中の他の成分の誘電率の温度依存の変化を無視してもよいことを理解されたい。他の実施例では、コントローラに記憶されるのは温度感知器120の誘電材料の誘電率-温度特性曲線に限定されず、エアロゾル生成基質110の温度を反映できれば、誘電材料と他の関連する材料との複合誘電率-温度特性曲線であってもよいことを理解されたい。もちろん、この場合、エアロゾル生成品100の温度感知器120を除いた誘電材料の誘電率の温度依存の変化は特に限定されない。
【0068】
図7に示す実施例では、第1電極210と第2電極220の数はそれぞれ1つである。他のいくつかの実施例では、第1電極210は複数あり、複数の第1電極210は間隔を置いて配置され、第2電極220は複数あり、複数の第2電極220は間隔を置いて配置され、複数の第1電極210と、対応する第2電極220とは協働して、エアロゾル生成品100のそれぞれ異なる位置に等価コンデンサを形成するために用いられ、検出モジュールは、それぞれ異なる位置における等価コンデンサの電気容量を検出することによって、エアロゾル生成品100のそれぞれ異なる位置における誘電率を検出し、これにより、コントローラはエアロゾル生成基質110の温度を総合的に調節することができる。検出モジュールは、それぞれ異なる位置における等価コンデンサの電気容量を同時に検出してもよいし、ある時間範囲にわたってそれぞれ異なる位置における等価コンデンサの電気容量を順次検出してもよいことを理解されたい。
図8に示す実施例では、第1電極210と第2電極220の数はそれぞれ3つである。他の実施例では、第1電極210の数は、上述の3つに限定されず、1よりも大きい他の整数であってもよく、第2電極220の数も、上述の3つに限定されず、1よりも大きい他の整数であってもよいことを理解されたい。
【0069】
いくつかの実施例では、検出モジュールは、等価コンデンサが配置される共振回路の共振周波数の変化を検出するために使用される。等価コンデンサが配置される共振回路の共振周波数の変化が検出されることにより、エアロゾル生成品100の誘電率の変化が取得される。具体的には、電子霧化装置200は、誘導コイルをさらに含む。電源、誘導コイル、及び等価コンデンサから共振回路が形成され、検出モジュールは、該共振回路の共振周波数を検出して検出結果をコントローラにフィードバックするために用いられ、コントローラは、検出モジュールによってフィードバックされた検出結果を予め設定された加熱プログラムと照合して加熱制御を実現する。この場合、コントローラがエアロゾル生成基質110の温度を取得する原理としては、温度感知器120の誘電材料の誘電率と温度との間に対応関係があり、等価コンデンサの電気容量と等価コンデンサにおける温度感知器120の誘電材料の誘電率との間に対応関係があり、共振回路における共振周波数と等価コンデンサの電気容量との間に対応関係がある。したがって、共振回路の共振周波数を検出することによって、温度感知器120に感知されたエアロゾル生成基質110の温度を得ることができる。
【0070】
さらに、エアロゾル生成品100から形成されたエアロゾルを吸引する時、エアロゾル生成基質に顕著な温度変化が生じ、その変化は温度感知器120により感知され、共振周波数に反映される(共振周波数に顕著なジャンプが現れる)ので、共振周波数の特徴的な急変したピークと谷から吸引回数をカウントすることができ、さらにそのカウントされた吸引回数によって交流電圧器の出力を調整してエアロゾルの口当たりを向上させることができる。したがって、いくつかの実施例では、上記の電子霧化装置200は、吸引カウントモジュールをさらに含む。吸引カウントモジュールは、共振周波数のピーク及び/又は谷の数を収集し、吸引回数を算出し、吸引回数をコントローラにフィードバックするために用いられる。この場合、制御部はさらに、カウントモジュールからフィードバックされたカウント結果に基づいて交流電圧器の出力を制御するために用いられる。
【0071】
具体的には、上記加熱プログラムには、昇温プログラムおよび降温プログラムが含まれる。コントローラが受信した検出モジュールによってフィードバックされた検出結果(等価コンデンサの電気容量、誘電率又は共振周波数)に対応する温度が予め設定された降温温度より低い場合、コントローラは交番電圧器を制御して正常に出力させ、すなわち昇温プログラムが実行される。コントローラが受信した検出モジュールによってフィードバックされた検出結果に対応する温度が予め設定された降温温度以上である場合、コントローラは交番電圧器を制御してその出力を低減させ、すなわち降温プログラムが実行される。
【0072】
いくつかの実施例では、コントローラはさらに、加熱起動プログラムを制御するために用いられる。具体的には、エアロゾル生成品100が第1電極210と第2電極220の間に配置されて等価コンデンサを形成した場合、検出モジュールは、第1電極210と第2電極220との間に位置するエアロゾル生成品100の誘電率を検出して、検出結果をコントローラにフィードバックし、コントローラは、検出モジュールによってフィードバックされた検出結果を予め設定された起動パラメータと照合する。検出結果が予め設定された起動パラメータと一致する場合、加熱プログラムを起動し、検出結果が予め設定された起動パラメータと一致しない場合、加熱プログラムを起動しない。コントローラにより加熱起動プログラムを制御し、電子霧化装置200が加熱可能なエアロゾル生成品100を識別したのみ加熱プログラムを起動し、これにより、誤加熱が回避され、ユーザ体験が向上する。同時に、電子霧化装置200は、加熱可能なエアロゾル生成品100に対応するので、偽造防止効果にも寄与する。エアロゾル生成品100の使用場面を考慮すると、予め設定された起動パラメータはある範囲であることは理解されたい。同様に、コントローラが加熱起動プログラムの制御にも用いられる場合、検出モジュールによって検出されるパラメータは、同じく第1電極210と第2電極220との間に位置するエアロゾル生成品100の誘電率に限定されず、他の誘電率に関連するパラメータ、例えば、誘電率を間接的に反映できる等価コンデンサの電気容量、等価コンデンサが配置される共振回路の共振周波数であってもよいことを理解されたい。
【0073】
上述の実施例では、電子霧化装置200の検出モジュールによって、第1電極210と第2電極220との間に位置するエアロゾル生成品における誘電率に対応する電気容量または共振周波数を検出することにより、識別を実現している。他の実施例では、電子霧化装置200によるエアロゾル生成品100の識別は、エアロゾル生成品100に識別材料(例えば、識別タグ)を別途設けること、及び電子霧化装置200に対応な識別モジュールを設けることによって達成することもできることを理解されたい。例えば、エアロゾル生成品100は、電子霧化装置200に適合された識別材料をさらに含む。いくつかの実施例では、識別材料は、エアロゾル生成基質110内またはエアロゾル生成基質110の表面上に配置される。他のいくつかの実施例では、識別材料は包装層上に配置される。例えば、包装層の外面又は内面に配置される。識別材料の具体的な組成は、電子霧化装置200の識別モジュールに適合可能であれば、特に限定されないことを理解されたい。もちろん、いくつかの実施例では、電子霧化装置200が識別機能を有する必要はないため、電子霧化装置200は対応な識別モジュールを有さず、同時にエアロゾル生成品100に識別材料を設置する必要もない。
【0074】
いくつかの実施例では、電子霧化装置200は、エアロゾル生成品の温度を感知するための温度センサをさらに含む。一実施例において、温度センサがエアロゾル生成基質110の温度を感知する原理は、上記のエアロゾル生成品100の中の温度感知器120の原理と同様である。この場合、温度センサの材料は上述した温度感知器120の材料と同様である。具体的には、温度センサは、第1電極210および/または第2電極220上に、且つチャンバ内に配置される。第1電極210と第2電極220との位置関係が、例えば、
図2、
図3、または
図4に示されるように、第1電極210が第2電極220内に位置するものである時、温度センサは、第1電極210に配置される場合、エアロゾル生成基質の内部の温度を表現するために用いられ、第2電極220に配置される場合、エアロゾル生成基質の外部の温度を表現するために用いられる。第1電極210と第2電極220が対向して配置される場合、温度センサは、エアロゾル生成基質110の外部の温度を表現している。他の実施例では、温度センサが温度を感知する原理は、他のものであってもよく、その場合、対応的に配置すればよいことを理解されたい。もちろん、第1電極210と第2電極220の両方に温度センサを設けてもよい。
【0075】
また、エアロゾル生成品100が温度感知器120を含み、且つ電子霧化装置200も温度センサを含む場合、温度感知器120と温度センサとが位置的に衝突しないように構成されることを理解されたい。例えば、第1電極210と第2電極220との位置関係が
図3又は
図4に示すようなものであり、且つ温度センサが第1電極210に位置している場合、エアロゾル生成品100の温度感知器120は、当該温度センサを回避するように、チャンバの後方における第1電極210に近い領域に配置される。もちろん、エアロゾル生成品100が温度感知器120を含む場合、電子霧化装置200の温度センサは省略されてもよい。
【0076】
上記の霧化システム10は、エアロゾル生成品100と、当該エアロゾル生成品100に適合された電子霧化装置200とを含み、電子霧化装置200は、電子霧化装置200とエアロゾル生成品100とが協働して、電子霧化装置200によって交番電界が発生し、エアロゾル生成基質110が霧化してエアロゾルを形成する。上述の霧化システム10は、少なくとも以下の利点を有する。
【0077】
(1)発熱効率が高い。具体的に言うと、エアロゾル生成品100は、交番電界の作用により自己発熱(エアロゾル生成基質110および/または発熱補助材料が発熱する)するため、エアロゾル生成品以外の部品によりエアロゾル生成基質を熱伝導方式で加熱する霧化システムに比べて、発熱効率が高い。
【0078】
(2)発熱が均一であり、発熱速度が速い。具体的に言うと、熱は物質の内部から発生するため、電場の中にある物体を均一に昇温させることができ、物体は内から外まで同じ温度に達し、エアロゾル生成品100の口当たりが向上し、エアロゾル生成品100の利用率も向上する。
【0079】
(3)通電すれば発熱し、遮断すれば止まる。かつ、固定の周波数で、各物質の損率が異なり、吸収する電界のエネルギーも異なるため、エアロゾル生成品100を狙いがはっきりしている加熱を行うことができ、加熱効率が大幅に向上し、エネルギー消費が低減する。
【0080】
(4)電子霧化装置200の洗浄が容易である。具体的に言うと、従来の電子霧化装置に発熱体を設置するのに比べて、上記の霧化システム10では、エアロゾル生成品100を発熱させて霧化を実現するものであり、電子霧化装置200に発熱体を設置する必要がなく、発熱体に汚れが付着することにより吸引の口当たりに影響を及ぼすことが回避される。また、電子霧化装置200に発熱体を設けなくてもよいので、その洗浄はより便利になる。
【0081】
以上説明した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについては説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載される範囲内であると考えられるべきである。
【0082】
上記の実施例は、本発明の技術案を具体的かつ詳細に理解できるように本願のいくつかの実施形態を示しているに過ぎず、本願の発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。当業者であれば、本願の思想から逸脱することなく、本願の範囲に含まれるいくつかの変形および改善を行うことができることに留意されたい。当業者が本発明によって提供される技術案の基に、論理的分析、推論または限りのある実験によって得る技術案は、いずれも本発明の添付の特許請求の範囲の範囲内にあることを理解されたい。したがって、本発明の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に準じるものとし、明細書および図面は、特許請求の範囲を解釈するために使用することができる。
【符号の説明】
【0083】
10 霧化システム
100 エアロゾル生成品
110 エアロゾル生成基質
120 温度感知器
200 電子霧化装置
210 第1電極
220 第2電極
230 電磁シールド部材