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特開2023-57046ヘルメット内ディスプレイの磁気パススルーコントローラ、およびその組立方法
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  • 特開-ヘルメット内ディスプレイの磁気パススルーコントローラ、およびその組立方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057046
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】ヘルメット内ディスプレイの磁気パススルーコントローラ、およびその組立方法
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/30 20060101AFI20230413BHJP
   B64G 6/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A42B3/30
B64G6/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159895
(22)【出願日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】17/496,877
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ジェーク ローリグ
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107BA07
3B107BA08
3B107EA05
3B107EA19
(57)【要約】
【課題】 ヘルメット内ディスプレイの磁気パススルー制御を提供する。
【解決手段】 ヘルメット内ディスプレイの磁気パススルーコントローラは、ヘルメット内に内部コンポーネントを含む。内部コンポーネントは、1つまたは複数の内部磁石を保持する磁石アセンブリと、磁石アセンブリに取り付けられ、ヘルメット内ディスプレイに取り付けられたスイングアームとを含む。ヘルメットの外側の外部コンポーネントには、1つまたは複数の外部磁石を保持する外部磁石ハウジングと手動回転用のアジャスタが含まれる。アジャスタは、アジャスタの手動回転が外部磁石ハウジングの対応する回転を引き起こすように、外部磁石ハウジングに結合される。1つまたは複数の内部磁石と1つまたは複数の外部磁石との間の磁気結合は、磁石アセンブリ及びスイングアーム内にも対応する回転を引き起こす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメット内ディスプレイの磁気パススルーコントローラであって、
ヘルメットの内側の内部コンポーネントであって、
1つまたは複数の内部磁石を保持する磁石アセンブリと、
前記磁石アセンブリに取り付けられ、前記ヘルメット内ディスプレイに取り付けられたスイングアームと、
を備える、前記内部コンポーネントと、
前記ヘルメットの外側の外部コンポーネントであって、
1つまたは複数の外部磁石を保持する外部磁石ハウジングと、
アジャスタであって、手動回転用に構成され、前記アジャスタの前記手動回転が前記外部磁石ハウジングの対応する回転を引き起こすように、前記外部磁石ハウジングに結合されており、前記1つまたは複数の内部磁石と前記1つまたは複数の外部磁石との間の磁気結合が、前記磁石アセンブリと前記スイングアームにおいても前記対応する回転を引き起こす、前記アジャスタと、
を備える、前記外部コンポーネントと、
を備える、前記コントローラ。
【請求項2】
前記ヘルメットの内面に取り付けられた内部据え付けブラケットをさらに備える、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記内部据え付けブラケットが、前記内部据え付けブラケットが固定されたままで、前記磁石アセンブリの前記対応する回転を可能にするように構成された保持ピンを介して前記磁石アセンブリに結合される、請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
一方の側で前記ヘルメットの外面に取り付けられたファスナハウジングをさらに備える、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記ファスナハウジングを前記外部磁石ハウジングに結合するように構成された保持ばねをさらに備える、請求項4に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記ヘルメットから離して前記アジャスタを引っ張ることに基づいて、解放されて前記ファスナハウジングを分離するように構成された、前記ファスナハウジング内のファスナをさらに備える、請求項5に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記アジャスタを前記引っ張って前記ファスナを解放するまで、前記アジャスタの前記手動回転が防止される、請求項6に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記ファスナハウジングが、前記ヘルメットに最も近い側に固定され、前記ファスナが解放されることに基づいて前記アジャスタに最も近い側で前記対応する回転を受けるように構成される、請求項6に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記1つまたは複数の内部磁石及び前記1つまたは複数の外部磁石が、所定の衝撃力に基づいて互いに分離するように構成される、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記1つまたは複数の内部磁石及び前記1つまたは複数の外部磁石が、分離された後に整列されることに基づいて再結合されるように構成される、請求項9に記載のコントローラ。
【請求項11】
ヘルメット内ディスプレイの磁気パススルーコントローラの組立方法であって、
ヘルメットの内側に内部コンポーネントを配置することであって、前記内部コンポーネントは、1つまたは複数の内部磁石を保持する磁石アセンブリと、前記磁石アセンブリに取り付けられ、前記ヘルメット内ディスプレイに取り付けられたスイングアームとを含む、前記配置することと、
前記ヘルメットの外側に外部コンポーネントを配置することであって、前記外部コンポーネントは、1つまたは複数の外部磁石を保持する外部磁石ハウジングと、アジャスタであって、手動回転用に構成され、前記アジャスタの前記手動回転が前記外部磁石ハウジングの対応する回転を引き起こすように、前記外部磁石ハウジングに結合されており、前記1つまたは複数の内部磁石と前記1つまたは複数の外部磁石との間の磁気結合が、前記磁石アセンブリと前記スイングアームにおいても前記対応する回転を引き起こす、前記アジャスタと、を含む、前記配置することと、
を含む、前記方法。
【請求項12】
内部据え付けブラケットを前記ヘルメットの内面に取り付けることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記内部据え付けブラケットが固定されたままで、前記磁石アセンブリの前記対応する回転を可能にするように構成された保持ピンを介して前記内部据え付けブラケットを前記磁石アセンブリに結合することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ファスナハウジングを一方の側で前記ヘルメットの外面に取り付けることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
保持ばねを使用して前記ファスナハウジングを前記外部磁石ハウジングに結合することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ヘルメットから離して前記アジャスタを引っ張ることに基づいて、解放されて前記ファスナハウジングを分離するように構成された、前記ファスナハウジング内のファスナを構成することさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ファスナを前記構成することが、前記アジャスタを引っ張って前記ファスナを解放するまで、前記アジャスタの手動回転を防止することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ファスナが解放されているのに基づいて、前記ファスナハウジングが前記アジャスタに最も近い側で前記対応する回転を受けるように、前記ヘルメットに最も近い側に前記ファスナハウジングを固定することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記内部コンポーネントを前記配置すること及び前記外部コンポーネントを前記配置することが、前記1つまたは複数の内部磁石及び前記1つまたは複数の外部磁石が所定の衝撃力に基づいて互いに分離するようにすることである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記内部コンポーネントを前記配置すること及び前記外部コンポーネントを前記配置することが、前記1つまたは複数の内部磁石及び前記1つまたは複数の外部磁石が分離された後に整列されることに基づいて再結合するようにすることである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、ディスプレイの技術に関し、特に、ヘルメット内ディスプレイの磁気パススルー制御に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の環境では、衝撃に対する保護だけでなく、居住環境を維持するためにヘルメットが使用される。例えば、宇宙用途では、ヘルメットは船外移動装置(EMU)の必須コンポーネントであり、EMUは宇宙飛行士を生命維持する環境を維持する酸素タンクから供給を受ける全身スーツも含む。着用者に情報を提示するヘルメット内ディスプレイによって状況認識が改善され得る。しかしながら、ヘルメットを取り外してこの表示を調整することは、着用者の居住環境を維持しながら行うことはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、上記の不利な点が低減されるように、冒頭で述べた種類のヘルメットを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの例示的な実施形態では、ヘルメット内ディスプレイの磁気パススルーコントローラは、ヘルメット内に内部コンポーネントを含む。内部コンポーネントは、1つまたは複数の内部磁石を保持する磁石アセンブリと、磁石アセンブリに取り付けられ、ヘルメット内ディスプレイに取り付けられたスイングアームとを含む。コントローラには、ヘルメットの外側にある外部コンポーネントも含まれている。外部コンポーネントは、1つまたは複数の外部磁石を保持する外部磁石ハウジング、及び手動回転用の、外部磁石ハウジングに連結されたアジャスタを含み、アジャスタの手動回転が外部磁石ハウジングの対応する回転を引き起こすようにする。1つまたは複数の内部磁石と1つまたは複数の外部磁石との間の磁気結合は、磁石アセンブリ及びスイングアーム内にも対応する回転を引き起こす。
【0005】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、コントローラは、ヘルメットの内面に取り付けられた内部据え付けブラケットも含む。
【0006】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、内部据え付けブラケットは、内部据え付けブラケットが固定されたままで、磁石アセンブリの対応する回転を可能にするように構成された保持ピンを介して磁石アセンブリに結合される。
【0007】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、コントローラはまた、片側でヘルメットの外面に取り付けられたファスナハウジングを含む。
【0008】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、コントローラは、ファスナハウジングを外部磁石ハウジングに結合するための保持ばねも含む。
【0009】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、コントローラは、ヘルメットから離してアジャスタを引っ張ることに基づいて、解放されてファスナハウジングを分離する、ファスナハウジング内のファスナも含む。
【0010】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、アジャスタを引っ張ってファスナを解放するまで、アジャスタの手動回転が防止される。
【0011】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、ファスナハウジングは、ヘルメットに最も近い側に固定され、ファスナが解放されることに基づいて、アジャスタに最も近い側で対応する回転を受ける。
【0012】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、1つまたは複数の内部磁石及び1つまたは複数の外部磁石は、所定の衝撃力に基づいて互いに分離される。
【0013】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、1つまたは複数の内部磁石及び1つまたは複数の外部磁石は、分離された後に整列されることに基づいて再結合される。
【0014】
別の例示的な実施形態では、ヘルメット内ディスプレイの磁気パススルーコントローラを組み立てる方法は、ヘルメット内に内部コンポーネントを配置することを含む。内部コンポーネントは、1つまたは複数の内部磁石を保持する磁石アセンブリと、磁石アセンブリに取り付けられ、ヘルメット内ディスプレイに取り付けられたスイングアームとを含む。この方法には、ヘルメットの外側に外部コンポーネントを配置することも含まれる。外部コンポーネントは、1つまたは複数の外部磁石を保持する外部磁石ハウジング、及び手動回転用に構成され、外部磁石ハウジングに連結されたアジャスタを含み、アジャスタの手動回転が外部磁石ハウジングの対応する回転を引き起こすようにする。1つまたは複数の内部磁石と1つまたは複数の外部磁石との間の磁気結合は、磁石アセンブリ及びスイングアーム内にも対応する回転を引き起こす。
【0015】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、方法は、内部据え付けブラケット260をヘルメットの内面に取り付けることも含む。
【0016】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、方法は、内部据え付けブラケットが固定されたままで、磁石アセンブリの対応する回転を可能にするように、内部据え付けブラケットを保持ピンを介して磁石アセンブリに結合することも含む。
【0017】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、方法は、ファスナハウジングを片側でヘルメットの外面に取り付けることも含む。
【0018】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、方法は、保持ばねを使用して、ファスナハウジングを外部磁石ハウジングに結合する音も含む。
【0019】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、方法は、ヘルメットから離してアジャスタを引っ張ることに基づいて、解放されてファスナハウジングを分離する、ファスナハウジング内のファスナを構成することも含む。
【0020】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、ファスナを構成することは、アジャスタを引っ張ってファスナを解放するまで、アジャスタの手動回転を防止することを含む。
【0021】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、方法はまた、ファスナが解放されているのに基づいて、アジャスタに最も近い側でファスナハウジングが対応する回転を受けるように、ヘルメットに最も近い側にファスナハウジングを固定することを含む。
【0022】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、内部コンポーネントを配置すること及び外部コンポーネントを配置することは、1つまたは複数の内部磁石及び1つまたは複数の外部磁石が所定の衝撃力に基づいて互いに分離するようにすることである。
【0023】
本明細書に記載の特徴の1つまたは複数に加えて、内部コンポーネントを配置すること及び外部コンポーネントを配置することは、1つまたは複数の内部磁石及び1つまたは複数の外部磁石が分離された後に整列されることに基づいて再結合するようにすることである。
【0024】
以下の説明は、決して限定と見なされるべきではない。添付の図面に関し、同様の要素には同様の番号が付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】1つまたは複数の実施形態による、ヘルメット内ディスプレイの磁気パススルーコントローラを備えた大気圧服を示す。
図2】1つまたは複数の実施形態による、磁気パススルーコントローラを詳細に示す。
図3A】1つまたは複数の実施形態による、磁気パススルーコントローラの1つの外部磁石の例示的な配置を示す。
図3B】1つまたは複数の実施形態による、磁気パススルーコントローラの2つの外部磁石の例示的な配置を示す。
図3C】1つまたは複数の実施形態による、磁気パススルーコントローラの3つの外部磁石の例示的な配置を示す。
図4A】1つまたは複数の実施形態による、磁気パススルーコントローラの態様を示す図である。
図4B図4Aに示される磁気パススルーコントローラの態様の等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
開示される装置及び方法の1つまたは複数の実施形態の詳細な説明が、図面を参照して、限定ではなく例示として本明細書に提示される。
【0027】
前述のように、ヘルメット内ディスプレイは、ヘルメットの着用者に情報を提供できる。しかしながら、ヘルメットが、例えば環境を維持するEMUの一部である場合、ヘルメット内ディスプレイを調整することは困難である。本明細書で詳述するシステム及び方法の実施形態は、ヘルメット内ディスプレイの磁気パススルー制御に関する。磁気パススルー制御により、ヘルメットの外側からヘルメット内ディスプレイの位置を簡単に制御できるため、ヘルメットを取り外す必要がなくなる。磁気機能のないパススルー制御とは対照的に、この磁気パススルー制御はさらに安全機能を提供する。ヘルメットの外側と内側の間の磁気接触を切断する衝撃により、ヘルメット内ディスプレイが着用者の顔から離れる。
【0028】
説明の目的で、EMU及び宇宙用途が具体的に論じられているが、1つまたは複数の実施形態によるヘルメット内ディスプレイの磁気パススルー制御の用途には、水中(例えば、大気圧潜水服)、地球ベースのもの(例:化学防護服または汚染防護服)、高高度(例:フライトスーツ)、及び地表下での用途も含まれる。一般に、居住環境を維持するためのヘルメットを含む服は、大気圧服と呼ばれる。
【0029】
図1は、1つまたは複数の実施形態による、ヘルメット内ディスプレイ115の磁気パススルーコントローラ200を備えた大気圧服100を示す。図1に示される例示的な大気圧服100は、EMU105である。EMU105は、ヘルメット内ディスプレイ115を備えたヘルメット110を含む。ヘルメット110を取り外すことなくヘルメット内ディスプレイ115の位置を変更することを容易にする磁気パススルーコントローラ200は、図2を参照してさらに詳細に説明される。EMU105の一部として取り付けられるシステムには、一次生命維持システム(PLSS)120とディスプレイ及び制御モジュール(DCM)130が含まれる。これらのシステム120、130は、EMU105のコンポーネントとともに、宇宙で船外活動を行う着用者のための居住環境を作り出す。
【0030】
図2は、1つまたは複数の実施形態による、磁気パススルーコントローラ200を詳細に示す。ヘルメット110の断面図が示されており、ヘルメット110内の着用者の顔を使用して、着用者に対するパススルーコントローラ200の例示的な位置を示している。すなわち、パススルーコントローラ200は、着用者の右耳の近くにあり、ヘルメット110の透明な円蓋の両側にまたがっている。この例示的な図は、磁気パススルーコントローラ200の位置を限定することを意図していない。代替の実施形態によれば、磁気パススルーコントローラ200は、着用者の左耳の近くまたは他の場所にあってもよい。
【0031】
ヘルメット110の外側で、アジャスタ210(例えば、レバー、ノブ)を回転させて、ヘルメット内ディスプレイ115との固定された取り付け関係を有するヘルメット110の内側のスイングアーム290の対応する回転に影響を与えることができる。図2に示す向きによれば、アジャスタ210は反時計回りに回転され、例示的なアジャスタ210として示されるレバーのエッジ215が着用者の前方に向かって移動する(すなわち、図示の平面から外れる)ようにすることができる。あるいは、レベルのエッジ215が着用者の背中に向かって(すなわち、図示の平面内に)移動するように、アジャスタ210を時計回りに回転させることができる。スイングアーム290とヘルメット内ディスプレイ115の配置に基づいて、アジャスタ210を反時計回りに回転させると、ヘルメット内ディスプレイ115が図2に示す位置からより高い位置(例えば、着用者の右目の前)へ上昇する。同様に、アジャスタ210の時計回りの回転は、ヘルメット内ディスプレイ115を下げる。
【0032】
アジャスタ210は、1つまたは複数の外部磁石225を有する外部磁石ハウジング220に結合される。アジャスタ210と外部磁石ハウジング220との間の取り付けは固定されている(すなわち、それらは互いに対して動かない)。外部磁石ハウジング220は、ファスナハウジング230が分離できるようにするファスナ235(例えば、係止歯)を有する外部ファスナハウジング230に取り付けられる。
【0033】
すなわち、アジャスタ210を(ヘルメット110から遠ざけるように)引っ張ると、アジャスタ210に最も近いファスナハウジング230の外側部分231が、ヘルメット110に最も近いファスナハウジング230の側である内側部分232から引き離される。保持ばね240は、アジャスタ210を引っ張ることによってファスナハウジング230を引っ張ることに対する抵抗を提供し、アジャスタ210の解放に基づいて、外側部分231を内側部分232と一緒に引き戻す。このため、ファスナハウジング230の外側部分231は、アジャスタ210の動きに対して固定された関係を有するが、ファスナハウジング230の内側部分232は動かず、代わりにヘルメット110に対して固定位置に留まる。ファスナハウジング230は、取り付け材料250(例えば、接着剤、結合材料)によってヘルメット110の外面112に取り付けられる。
【0034】
ヘルメットの内側で、取り付け材料250は、ヘルメット110の内面111に内部据え付けブラケット260を取り付ける。内部据え付けブラケット260に取り付けられたハウジング270は、磁石アセンブリ285内に1つまたは複数の内部磁石275を収容する。保持ピン280は、内部据え付けブラケット260と磁石アセンブリ285を一緒に保持する。より具体的には、保持ピン280は、磁石アセンブリ285が内部据え付けブラケット260に対して回転することを可能にする。スイングアーム290は、磁石アセンブリ285への固定アタッチメントを有し、前述のように、スイングアーム290の他端は、ヘルメット内ディスプレイ115への固定アタッチメントを有する。
【0035】
ヘルメット110の外側のアジャスタ210の回転は、ヘルメットの内側のスイングアーム290の回転と一致し、それに対応して、ヘルメット内ディスプレイ115の回転と一致する。ヘルメットの外側のアジャスタ210の調整を介したヘルメット110の内側のスイングアーム290のこのパススルー制御は、外部磁石225及び内部磁石275によって促進される。具体的には、内部磁石275は、外部磁石225に磁気的に結合される。
【0036】
アジャスタ210が引っ張られると、ファスナハウジング230を一緒に保持し、ファスナハウジング230の内側部分232と外側部分231との間の相対回転を防止するファスナ235も引っ張られる。続いて、ヘルメットの外側のアジャスタ210の回転は、外部磁石ハウジング220及びファスナハウジング230の外側部分231の同じ回転をもたらす。必要に応じてアジャスタ210を調整した後、アジャスタ210を解放すると、ファスナハウジング230の外側部分231が(ヘルメット110に向かって)移動して、ファスナハウジング230の内側部分232と再係合し、ファスナ235が部分231、232を一緒にロックして、それ以上の回転を防止する。
【0037】
外部磁石ハウジング220内の外部磁石225は、内部磁石275に磁気的に結合されているため、内部磁石275、したがって磁石アセンブリ285は、アジャスタ210と同じように回転する。保持ピン280は、内部据え付けブラケット260がヘルメット110に取り付けられたままである間、磁石アセンブリ285が回転することを可能にする。磁石アセンブリ285に取り付けられたスイングアーム290も、アジャスタ210と同じように回転する。したがって、外部磁石225と内部磁石275との間の磁気結合は、ヘルメット110の外側のアジャスタ210の動きがヘルメット110の内側のスイングアーム290の動きに影響を与えることを可能にする。
【0038】
外部磁石225の数と内部磁石275の数は同じであってもよく、外部磁石225と内部磁石275は互いに一列に並ぶように配置されてもよい。磁石225、275の数、配置、及び強度は、最小及び最大の磁気結合範囲内で選択することができる。磁石225、275の数、配置、及び強度を選択するために使用される最小の磁気結合は、アジャスタ210の調整がスイングアーム290の同じ調整をもたらすようにするものであり得る。磁石225、275の数、配置、及び強度を選択するために使用される最大の磁気結合は、さらに説明するように、予想される衝撃力に基づいて結合が切断されるようにすることができる。
【0039】
外側アジャスタと内側スイングアームとの間に物理的接続を有する機械式パススルーコントローラと比較した場合の磁気パススルーコントローラ200の利点の1つは、接続を切断及び復元する能力である。衝撃イベント中(例えば、着用者が転倒した場合)、ヘルメット内ディスプレイ115を顔から、具体的には着用者の目から遠ざけることで、ヘルメット110内の着用者の怪我を防止することができる。
【0040】
1つまたは複数の実施形態によれば、外部磁石225と内部磁石275との間の磁気結合は、衝撃が磁気結合の切断をもたらすようにするものである。その結果、スイングアーム290、ひいてはヘルメット内ディスプレイ115が(例えば、図2に示される位置まで)下がる。磁気結合を再係合させるために、アジャスタ210を引っ張ってファスナ235を外し、外部磁石ハウジング220を(アジャスタ210の回転を介して)外部磁石225が整列するまで回転させ、したがって内部磁石275と再び磁気的に結合する。
【0041】
図3A、3B、及び3Cは、1つまたは複数の実施形態による磁気パススルーコントローラ200の外部磁石225の例示的な配置を示す。それぞれの図において、外部磁石ハウジング220は円板として形成されて示され、外部磁石225は円形の断面形状で示されている。しかしながら、外部磁石ハウジング220及び外部磁石225は、代替実施形態に従って他の形状を有してもよい。アジャスタ210としてレバーが示されている。前述のように、外部磁石225のサイズ、強度、及び配置は、内部磁石275と一致させることができる。
【0042】
図3Aは、1つの外部磁石225を有する配置を示す。外部磁石225が外部磁石ハウジング220の回転軸からずれている距離d、ならびに外部磁石225のサイズと強度は、ヘルメット110内側にスイングアーム290を回転させるために必要なてこを生み出す(すなわち、外部磁石225と内部磁石275との間の最小の磁気結合を満たす)ように選択されてもよい。同時に、外部磁石225と内部磁石275との間の磁気結合を制限して、衝撃中の分離を容易にすることができる。図3Bは、2つの外部磁石225を有する配置を示し、図3Cは、3つの外部磁石225を有する配置を示す。代替の実施形態は、追加の外部磁石225を含み得る。
【0043】
図4Aは、1つまたは複数の実施形態による、磁気パススルーコントローラ200の態様を示す図である。2つの外部磁石225を備えた外部磁石ハウジング220が示されている。例示的なアジャスタ210は、図2に示すレバーのように時計回り及び反時計回りに回転できるノブである。前述のように、アジャスタ210が最初にヘルメット110から引き離されるまで回転を防止して、ファスナハウジング230の内側部分232と外側部分231を一緒に保持しているファスナ235を外し、部分231、232の相対的な回転を防止することができる。図4Bは、図4Aに示される磁気パススルーコントローラ200の態様の等角図を示す。
【0044】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態だけを説明する目的のためのものであり、本開示を限定する意図はない。本明細書で使用されるように、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別段に明確に示さない限り、同様に複数形も含むことが意図される。さらに、用語「備える/含む(comprises)」及び/または「備えている/含んでいる(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/またはコンポーネントの存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/またはそれらのグループの存在もしくは追加を除外しないことを理解されたい。
【0045】
本開示は例示の1つまたは複数の実施形態を参照して説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われてもよく、また均等物がその要素の代わりをする場合もあることは当業者によって理解されるであろう。さらに、特定の状況または材料を本開示の教示に適応させるために、本開示の本質的範囲から逸脱することなく、多くの修正がなされ得る。したがって、本開示は、本開示を実行するために想到される最適の形態として開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、本開示は、「特許請求の範囲」に入る全ての実施形態を含むことが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B