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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057074
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】ブース
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20230413BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
E04H1/12 A
A62C3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163610
(22)【出願日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2021166535
(32)【優先日】2021-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519340606
【氏名又は名称】株式会社NiFT
(74)【代理人】
【識別番号】100095289
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 弘
(72)【発明者】
【氏名】沼 直樹
(57)【要約】
【課題】消火装置を備えるコンパクトなブースを提供する。
【解決手段】ブース1の天板34上に、消火装置8を載置する。消火装置8は、タンクを2本の支持梁で吊るして支える構成とし、カバー85は、単に上から消火装置8を覆い隠す構成とし、通気性を確保した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に使用者が作業できる空間を有し、
前記空間の底部となる底部材と、
前記空間の天井部となる天井部材とを有する箱体と、
前記箱体の内部と外部との間で使用者が移動できる出入り口と、
前記底部材の底面に設けられ、設置面と前記箱体との間で転動して、前記箱体の移動を可能とする転動部と、
消火剤を収容するタンクと、タンク内の消火剤を外部に放出するノズルと、周囲の雰囲気の状態の変化を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいてノズルの開放を制御する制御部とが一体として構成された消火装置と、
前記天井部材に形成され、前記ノズルを前記空間内に臨ませるノズル孔と、
前記天井部材の上に架設された支持梁と、
前記支持梁と前記消火装置との間に介在し、前記消火装置を前記支持梁に取り付ける取付部とを有するブース。
【請求項2】
前記ノズル孔内に、前記検出部が配置されている請求項1に記載のブース。
【請求項3】
前記支持梁に取り付けられた消火装置を覆う被覆部材を有する請求項1又は2に記載のブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はブースに関し、詳しくは、消火装置が取り付けられたブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内に設置され、所定の空間を隔離して執務等を行うブースが提案されている。この様なブースは、多人数の居る空間の中で、集中して仕事に取り組むために設置されるものや、感染症の蔓延を抑制するために、隔離施設として設置されるものなどがある。そして、ブース内では、パーソナルコンピュータなどの電子機器を用いて仕事をする場合を想定して、作業台、椅子、照明、コンセントなどが配置されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020‐200628
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブースは、室内に設置する場合、必然的に内部空間は、狭いものとなり、さらに、照明やコンセントなどを設けることで、火事の懸念が生じる。このため、ブースには消火設備の設置が求められている。しかしながら、室内に設置するブースは、本来一人で使用することを目的として設計されており、また、室内における設置可能空間自体が既に狭いため、ブースの容積は初めから限らせたものとなっている。このため、さらに消火設備を設けることは、きわめて難しいといった問題があった。
【0005】
この発明は、小型であっても消火設備が設けられているブースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような問題を解決する本発明は以下の構成を備える。
(1)内部に使用者が作業できる空間を有し、
前記空間の底部となる底部材と、
前記空間の天井部となる天井部材とを有する箱体と、
前記箱体の内部と外部との間で使用者が移動できる出入り口と、
前記底部材の底面に設けられ、設置面と前記箱体との間で転動して、前記箱体の移動を可能とする転動部と、
消火剤を収容するタンクと、タンク内の消火剤を外部に放出するノズルと、周囲の雰囲気の状態の変化を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいてノズルの開放を制御する制御部とが一体として構成された消火装置と、
前記天井部材に形成され、前記ノズルを前記空間内に臨ませるノズル孔と、
前記天井部材の上に架設された支持梁と、
前記支持梁と前記消火装置との間に介在し、前記消火装置を前記支持梁に取り付ける取付部とを有するブース。
【0007】
(2)前記ノズル孔内に、前記検出部が配置されている上記(1)に記載のブース。
【0008】
(3)前記支持梁に取り付けられた消火装置を覆う被覆部材を有する上記(1)に記載のブース。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の本発明によれば、消火装置を天井部材の上側に架設された支持梁の取り付けることで、消火装置配置スペースを省スペースとすることができ、ブースの大型化を抑制することができる。
【0010】
請求項2に記載の本発明によれば、ノズル孔を介して、ブースの空間内の気体が外側に流出できるので、このノズル孔内に配置された検出部による、雰囲気の状態変化の検出を容易とすることができる。
【0011】
請求項3に記載の本発明によれば、被覆部材により消火装置を覆うことで、外観を纏まりのあるものとできる。また、消火装置は被覆部材によって保護されるので、外側からの衝撃や埃の付着などが抑制され、ノズル開放動作を確実に実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のブースの全体斜視図である。
図2】本発明のブースの骨格の全体分解斜視図である。
図3】本発明のブースの内装を示す、内部拡大部分側面図である。
図4】本発明のブースの内壁材の取付構造を示す分解斜視図である。
図5】本発明のブースの外壁材の取付構造を示す分解斜視図である。
図6】本発明のブースの組み立て手順を示す全体分解斜視図である。
図7】本発明のブースの組み立て手順を示す全体分解斜視図である。
図8】本発明のブースの組み立て手順を示す全体分解斜視図である。
図9】本発明のブースの組み立て手順を示す全体分解斜視図である。
図10】本発明の消火装置の取付手順を示す分解斜視図である。
図11】本発明のブースの組み立て手順を示す全体分解斜視図である。
図12】ブースの内部の構成を示す内部透視斜視図である。
図13】引掛部材の構成を示す全体斜視図である。
図14】引掛部材が支持部材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明のブースの全体斜視図である。本発明のブース1は、直方体形状の箱体10であって、内部空間10aに使用者を収容できる程度の大きさを有しており、4つの側面の内、1つの側面には、内部空間と外とを人が移動できるように出入口10bが設けられている。箱体10は、空間10aの底部を構成する底部材2と、同じく天井部を構成する天井部材3と、側面の壁を構成する壁部材4と、ドア51と、壁片52とを有している。
ドア51を閉めた状態で、ドア51と壁片52とによって、箱体10の1つの側壁を構成している。ドア51を閉めることにより、出入り口10bが閉鎖され、ドア51を開けることで、出入り口10bが開放される。
【0014】
図2に示されているように、底部材2は、矩形のフレーム21と、フレーム21内側に架設された4本のビーム22a、22b、22c、22dとからなる底骨格部23と、底骨格部23の四隅に固定されたキャスター24a、24b、24c、24dとを有する。キャスター24a、24b、24c、24dは、それぞれ同じ構成であり、図2における部分拡大図に示されているように、底骨格部23に台座が固定され、該台座に対して回動自在に支持された揺動アーム241bと、揺動アーム241bに回動自在に支持されたローラ241aとを有している。各キャスター24a、24b、24c、24dの近傍には、アジャスタ25a、25b、25c、25dが配置されている。底骨格部23の上面には、床面を構成する床材26が覆いかぶされている。底骨格部23の4隅には、上方に少し突出した支柱嵌合部26a、26b、26c、26dが設けられている(26bは図示されていない)。
【0015】
図2に示されているように、支柱嵌合部26a、26b、26c、26dには、各支柱6a、6b、6c、6dの下端が、それぞれ嵌合接続されている。そして、各支柱6a、6b、6c、6dの上端には、天井部材3を構成する天井骨格部33のフレーム31の四隅が、底骨格部23と同様の構成により嵌合接続されている。
支柱6a、6b、6c、6dの4つの角辺において、空間10aの内側に向いている角辺には、その角辺の両側において、支持部材71a、72a、71b、72b、71c、72c、71d、72dがそれぞれ付設されている。図3に示されているように、各支持部材71a、72a、71b、72b、71c、72c、71d、72dは、矩形断面の筒体であって、空間10aに向かう面には、筒体の軸方向に向けて、スリット孔が形成された複数の係止部73が等間隔で形成されている。支持部材において、係止部73が形成されている側面は、内部空間10aの内側壁の両端辺に沿って上下方向に位置するように構成される。
【0016】
図4に示されているように、ブース1を構成する壁部材4a、4b、4cは、それぞれ、底部材2の矩形フレーム21の一辺を構成する部材と、隣接する1対の支柱と、天井部材3のフレーム31の一辺を構成する部材とによって、矩形フレームが構成され、その矩形のフレームの内側において、各支柱6a、6b、6c、6dの間に架設された梁によって、壁部材4a、4b、4cの骨格が構成される。即ち、壁部材4aの骨格は、支柱6d、6aと底部材2の矩形フレーム21の一辺と、天井部材3のフレーム31の一辺によって矩形のフレームが構成され、そのフレームの内側において、支柱6d、6aの間に架設された2本の梁61a、61b(図示されていない)とによって構成される。壁部材4bの骨格は、支柱6a、6bと底部材2の矩形フレーム21の一辺と、天井部材3のフレーム31の一辺によって矩形のフレームが構成され、そのフレームの内側において、支柱6a、6bの間に架設された2本の梁62a、62b(図示されていない)とによって構成される。壁部材4cの骨格は、支柱6b、6cと底部材2の矩形フレーム21の一辺と、天井部材3のフレーム31の一辺によって矩形のフレームが構成され、そのフレームの内側において、支柱6b、6cの間に架設された2本の梁63a、63bとによって構成される。
【0017】
各梁61a、61b、62a、62b、63a、63bの上側面には、孔が形成され、この孔が、外壁材や内壁材の係合部を係合させる取付部64となっている。また、底骨格部23のフレーム21の上面には、固定部65が設けられ、内壁材は、最終的に固定部65に固定される。また、天井部材3のフレーム31には、下側端面に、同様に孔によって構成された取付部64が設けられている。図4に示されている構成は、壁部材4cの構成であるが、他の壁部材4a、4bについても同様の構成である。
以上のように構成された骨格に対して、内壁材41a、41b、41cをそれぞれ取り付ける。図4に基づき、内壁材41cの構成について説明する。他の内壁材41a、41bは、内壁材41cと同様の構成であり説明を省略する。
【0018】
内壁材41cは、矩形フレーム411と、該矩形フレーム411の内側において、対向する一対の横材の間に架設された縦梁412、対向する一対の縦材の間に架設された2本の横梁413、414とで構成された骨格と、その骨格の片側前面に貼り付けられた板状の内装材415とを備えている。
矩形フレーム411の縦材と、縦梁412には、それぞれ同じ高さに下向き固定されたフックとして、内側取付係合部416が複数設けられている。この内側取付係合部416は、取付部64に係合する。また、天井部材3のフレーム31の下側には、内側に向けて取り付けられたフック417が設けられており、このフック417には、矩形フレーム411の上部横材が係合する。
【0019】
図5に示されているように、各壁部材4a、4b、4cの骨格には、外側から外壁材42a、42b、42cが覆い被せられる。各外壁材の構成は同じなので、外壁材42aの構成について説明し、他の外壁材42b、42cの構成については説明を省略する。外壁材42aは、縦材421、422、423と、横材424~427とを格子状に組み合わせて構成された骨格と、その骨格の片側全面に貼り付けられた板状の外装材429とを備えている。縦材又は横材には、所定間隔で横方向に下向きのフックが取り付けられて、外側取付係合部428が構成されている。この外側取付係合部428は、取付部64に係合する。この係合は、既述の内側取付係合部416が係合する取付部64であってもよく、他に設けられた取付部64であってもよい。この実施形態では、取付部64は、スリット状の孔部として形成され、上方から係合部416、428が挿入される構成となっており、係合部416、428は、取付部64のスリット形状に合致した形状に湾曲形成された板材で構成されている。上記の様に、内壁材41a、41b、41c及び外壁材42a、42b、42cは、各梁61a、61b、62a、62b、63a、63bに吊り下がることにより、固定される。
【0020】
図6に示されているように、各支柱6a、6b、6c、6dの外側には、支柱6a、6b、6c、6dを覆うカバーが取り付けられる。このカバー66a、66b、66c、66dは、外壁材42a、42b、42cの側端部も同時に覆い、外観を良くする作用を有する。
図7に示されているように、壁部材4a、4b、4cが設けられていない正面側の開口部には、左側に壁片52が固定され、また、底骨格部23の上に床板26が配置される。そして、図8に示されているように、正面側開口部の壁片52に対して反対側の支柱6cには、上下2つのヒンジ511、511を介してドア51が開閉自在に取り付けられる。ドア51には取っ手512が取り付けられる。壁片52及びドア51は、共に透明または半透明な板材で構成することができる。この場合には、内部の様子が外部から視認できるとともに、外部の光を取り入れることができるので、ブース1の内部照明の照度を抑制することができる。
【0021】
図9に示されているように、天井部材3のフレーム31の内側には、横梁311、312、縦梁313、314が架設され、さらに、縦梁313、314の間には、横梁315が架設されている。これらのフレーム31、横梁311、312、315、縦梁313、314によって、天井骨格32が構成される。天井骨格32の下側には、天井板33が貼り付けられ、天井骨格32の上側には天板34が貼り付けられる。天板34には、消火装置8が取り付けられる収容孔341が形成され、天井板33の収容孔341に対応した位置には、ノズル孔331が形成されている。
【0022】
図10は、消火装置8の取付手順を示す斜視図である。図10(B)に示されているように、消火装置8は、消火剤を収容するタンク81と、タンク81の底部に設けられた、消火剤を噴射するノズル82と、ノズル82の近傍に設けられたセンサーからなる検出部と、検出部が検出した検出結果に基づいてノズル82を閉じ状態から開状態に切換える制御部とを有する。タンク81は、平面視で円形状、側面視で楕円形状に形成された回転体形状であり、上面の中央部、即ち回転体の回転軸上に、取付突起811が設けられ、その反対側の下面には、ノズル82が設けられている。取付突起811には雌ネジが形成されている。
【0023】
取付突起811の雌ネジ部分には、取付部材83の連結雄ネジ部831が螺合される。図10(A)に示されているように、取付部材83の本体832は、中央に連結雄ネジ部831を有する円盤状の板材であり、周端部がネジによって、支持梁84a、84bの間に固定される。固定された取付部材83の連結雄ネジ部831に取付突起811が接続され、図10(C)に示されているように、タンク81は、一対の支持梁84a、84bの下側に吊り下げられた状態で固定される。支持梁84a、84bの両端は、下方に屈曲し、屈曲した先端部は、それぞれ連結部841、841によって連結され、該連結部841、841を介して、横梁311、315に固定されている。連結部841、841を横梁311、315に固定するネジは、天板34を貫通して固定する。天井板33に形成されているノズル孔331内に、ノズル82が収容されるが、同時に検出部も収容される。検出部は、空間10a内に臨む位置にあることが望ましい。
【0024】
本発明において、消火装置8は、装置全体を覆うカバー体ではなくて、支持梁によって支持されているので、空間10a内の雰囲気と外部雰囲気との間で、ノズル孔331を介して雰囲気が流通可能である。このため、内部雰囲気の気体温度が上がった場合には、ノズル孔331を介して雰囲気が外側に流出やすくなり、検出部による温度上昇の検出が容易となる。特に、検出部の位置がノズル孔331よりも若干上方にあった場合にも、同様の効果が期待できる。検出部により検出する値は、温度を感知するものの他、煙を感知するものでもよい。また、制御部は、電気的なものでも、機械的なものでもよい。
【0025】
以上のように構成された消火装置には、図10(D)に示されているように、カバー85を上から被せてもよい。この場合には、雰囲気の流通を確保できるように、中央部に孔851を設けるのが好ましい。
図11に示されているように、底骨格部23のフレーム21には、外側からカバー27a、27b、27c、27dが取り付けられ、4隅にも、カバー28a、28b、28c、28dが取り付けられる。天板34の上には、消火装置8が取り付けられているが、カバー85によって、外部に露出しないので、室内のインテリアの雰囲気を害さない。
【0026】
図12は、空間10aの内部の構成を示す内部透視斜視図である。図3に示されているように、内壁材41aの左右両端辺には、支柱6a、6dに沿って支持部材71a、71dが位置し、この露出面に縦方向のスリット孔で形成された係止部73が、等間隔で複数個設けられている。この係止部73には、取付梁9aや、作業台9bなどが着脱自在に取り付けられる。取付梁9aの両端には、引掛部92a、93aが設けられている。両端の引掛部は、下方に開放した係合フック921a、9331aからなる係合部を上下方向に複数個配置されて構成され、配置間隔は、係止部73の配置間隔と同じ間隔に設けられている。このような係合フック921a、931aを係止部73に挿入して固定することによって、空間10aの内壁に、所望のインテリアや仕事道具を取り付けることができる。取付梁9aの中央部には、着脱式取付部94aが設けられ、図3に示されている例では、ネジなどの着脱固定具によって、薄型表示装置が取り付けられている。
【0027】
同様に、作業台9bが、支持部材71a、71dの間に架設されている。作業台9bは、平板で構成された作業台91bと、作業台91bの両端下面に固定された引掛部材92b、93bを有している。図13は、引掛部材93bの構成を示す、全体斜視図、図14は、引掛部材93bが、支持部材71aに取り付けられた状態を示す斜視図である。引掛部材93bは均一な厚みの板材で構成され、引掛部材92b側に屈曲したリブ931bと、基端に設けられた係合部である係合フック933b、933b、933bと、固定片934bとを有している。リブ931bには、ネジ挿通孔932bが複数個形成され、下側から挿通され、作業台91bの下面に螺入するネジによって、作業台91bが固定される。引掛部材93bの形状は基端から先端へ向けて幅が漸減する形状となっており、幅広の基端には、係合フック933b、933b、933bが等間隔で3つ配置されており、その下側には、固定片934bが設けられている。固定片934bには、ネジ挿通孔935bが形成されている。係合フック933bの数は、1つでも、複数でも良い。
【0028】
係合フック933b、933b、933bの配置間隔は、支持部材71aに設けられた係止部73の配置間隔と同一間隔であって、係合フック933bの厚さは、係止部73のスリット幅と同じである。また、係合フック933bの長さは、係止部73のスリット孔の長さと同じか又は若干短く構成されており、係合フック933b、933b、933bが、それぞれ対向する係止部73に挿入される構成となっている。係合フック933bの基端には、切込み937bが上方へ向けて形成されており、係止部73に係合フック933bが固定された状態では、切込み937bに係止部73の下端が係合する構成となっている。
【0029】
図14に示されているように、係止部73は、直線上のスリット部731と、スリット部731の上端に形成されたネジ孔部732とを有している。挿入孔であるネジ孔部732には、雌ネジが形成されている。
支持部材71aに引掛部材93bが、係止固定された状態では、ネジ挿通孔935bとネジ孔部732とが重なるように構成されており、ネジ挿通孔935bを挿通する固定具としての締着ネジ936bによって、締着固定される。締着ネジ936bによって、支持部材71aに対する引掛部材93bの上方へのスライドが規制されるので、支持部材71aに対して引掛部材93bが確実に固定される。ネジ孔部732は雌ネジが形成されていなくても良く、ネジ孔でない場合には、締着ネジ936bの挿入先端にナットを螺合させて締着する。
【0030】
引掛部材92bについては、形状が引掛部材93bに対して対称である他は同一であるので、説明を省略する。引掛部材92bの係合フックは、支持部材71dの係止部73に係止される。引掛部材92bと引掛部材93bは、各支持部材71d,71aの同じ高さの係止部73にそれぞれ固定される。
支持部材71a、71dと同様に、内壁材41bの両端辺には支持部材72a、72bが、内壁材41cの両端辺には支持部材71b、71cが、また、支柱6c、6dの対向面には、支持部材72c、72dが、それぞれ配置されているので、取付梁9aや、作業台9bを、各内壁に取り付けることができる。特に、支柱6a、6b、6c、6dの配置を正方形の頂点の位置に配置した場合には、隣接する支柱間の距離が同じになるので、各内壁に取り付ける取付梁9aや、作業台9bを共通化することが出来る。また、出入口10bとなる内壁面にも取付梁9a等を取り付けることが出来るので、上部に取り付けた取付梁9aにロールブラインドなどを取り付けて、目隠しを取り付けることなども可能となる。特に、壁片52及びドア51を透明な材料で構成した場合には有用となる。
【0031】
上記の他、取付梁9aには、ネジ孔、フックなど様々な加工を施して、所望の器具を取り付けるように構成することができ、取付梁9a自体の形状も棒体の他、板体等に変更することもできる。
取付梁9aに取り付けることができるものの例としては、照明器具、ディスプレイ等の表示装置、冷暖房器具、その他椅子の背もたれや、腰掛け椅子、作業台などが挙げられる。
【0032】
例えば、図12に示されている例のように、内壁材41aの側には、図示されているように、表示装置を取りけるための取付梁9aと、作業台9bを取り付け、内壁材41aに対向する内壁材4cの側には、椅子の背もたれが取り付けられた取付梁9a(図示しない)を取り付け、内壁材41bの側には、照明器具が取り付けられた取付梁9a(図示しない)を取り付け、壁片52及びドア51が設けられた正面側の支持部材72d、72cの間には、天井付近に取付梁9a(図示しない)を取り付け、その天井付近の取付梁9aには上下に開け閉めできるロールカーテンを取り付ける。このようにして、ブース1の内部空間10a内の各内壁に、所望の器具やインテリアを装着することが可能となる。
以上のように、両端部に係合フックを有すれば、どのような器具やインテリアであっても、取付梁、作業台のような取付部材とすることができる。
【0033】
この明細書の以下の構成を開示する。
[1]内部に使用者が作業できる空間を有し、
前記空間の底部となる底部材と、
前記空間の天井部となる天井部材とを有する箱体と、
前記箱体の内部と外部との間で使用者が移動できる出入り口と、
前記底部材の底面に設けられ、設置面と前記箱体との間で転動して、前記箱体の移動を可能とする転動部と、
前記底部材の隅部に立設された支柱と、
前記支柱に沿って配置され、支柱の軸方向に沿って配置された複数の係止部を有する支持部材と、
前記支持部材の係止部に係合する係合部を有する内側部材とを有し、
係合部が係合する係止部を選択することによって、内側部材の設置高さが調節できることを特徴とするブース。
【0034】
[2]前記内側部材は、両端部に係合部を有し、各係止部は隣接する支柱に沿って設けられた各支持部材の係止部に、両端部の各係合部を係合させる上記[1]に記載のブース。
【0035】
[3]内部に使用者が作業できる空間を有し、
前記空間の底部となる底部材と、
前記空間の天井部となる天井部材とを有する箱体と、
前記箱体の内部と外部との間で使用者が移動できる出入り口と、
前記底部材の底面に設けられ、設置面と前記箱体との間で転動して、前記箱体の移動を可能とする転動部と、
前記底部材の隅部に立設された支柱と、
上側端辺部に取付部を有し、前記支柱の間に架設された内部梁と、
前記内部梁の取付部に内側から掛けられる内側取付係合部を外側面に備えた内壁材とを有するブース。
【0036】
[4]内部に使用者が作業できる空間を有し、
前記空間の底部となる底部材と、
前記空間の天井部となる天井部材とを有する箱体と、
前記箱体の内部と外部との間で使用者が移動できる出入り口と、
前記底部材の底面に設けられ、設置面と前記箱体との間で転動して、前記箱体の移動を可能とする転動部と、
前記底部材の隅部に立設された支柱と、
上側端辺部に取付部を有し、前記支柱の間に架設された内部梁と、
前記内部梁の取付部に外側から掛けられる外側取付係合部を内側面に備えた外壁材とを有するブース。
【0037】
[5]前記内部梁に外壁材が取り付けられた状態で、各支柱に沿って外側から各外壁材の端部を覆う角部カバーとを有する上記[4]に記載のブース。
【0038】
[6]内部に使用者が作業できる内部空間を有し、
前記内部空間の底部となる底部材と、
前記内部空間を画成する複数の内壁部材と、
前記内部空間と外部との出入りを可能とする出入り口とを有する箱状のブースであって、
前記内壁部材の左右両端辺に沿って立設された一対の支持部材と、
該各支持部材の内部空間に露出された面において、上下方向に複数配置された係止部と、
前記一対の支持部材の係止部に係合する係合部が両端に設けられた取付部材とを有しているブース。
この構成によれば、ブース内に所望の機器や道具、インテリア等を容易に取り付け可能となる。
【0039】
[7]前記係合部は、下側が開放されたフック形状であって、前期係止部は、スリット孔形状である上記[6]に記載のブース。
この構成によれば、係止部がスリット孔であるため、容易にフック形状の係合部を着脱することができるとともに、自重により、係合部を係止部内へ導く方向に荷重がかかるので、確実に係合状態を維持させることができる。
【0040】
[8]前記取付部材の係合部の下側に設けられた挿通孔と、
前記係止部のスリット孔の上端に形成された挿入孔とを備え、
前記取付部材が係止部に取り付けられた状態で、お互いに重なった前記挿通孔と前記挿入孔とを同時に挿通する固定具とを有する上記[7]に記載のブース。
この構成によれば、固定具によって、係合部が係止部内で上方にスライドすることが抑制されるので、取付部材の取付固定を確実にすることができる。
【0041】
[9]前記支持部材は、ブースの骨格を構成する4隅の支柱の側面に固定されている上記[6]に記載のブース。
この構成によれば、支持部材には、取付部材に掛かる荷重を支えるため、十分な支持強度が要求されるが、ブースの隅に設けらたれ支柱側に固定することで、十分な支持強度が得られる。また、取付部材の長さを最も長く採ることが可能となり、取付部材の汎用性も拡大する。
【符号の説明】
【0042】
1 ブース
10a 空間
2 底部材
3 天井部材
6 支柱
71a~d 支持部材
4a~c 壁部材
8 消火装置

図1
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