(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057173
(43)【公開日】2023-04-20
(54)【発明の名称】改善された標識検出、演算、検体感知、および調整可能な乱数生成のための共鳴体ネットワーク
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20230413BHJP
G01N 33/542 20060101ALI20230413BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20230413BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20230413BHJP
【FI】
G01N21/64 F
G01N21/64 B
G01N33/542 Z
G01N33/483 C
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023026034
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2019568598の分割
【原出願日】2018-06-12
(31)【優先権主張番号】62/551,616
(32)【優先日】2017-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/521,192
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/527,451
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507189666
【氏名又は名称】デューク ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アルビン アール. レベック
(72)【発明者】
【氏名】クリス ドワイヤー
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ ラボダ
(57)【要約】
【課題】様々な応用例に適合された共鳴体ネットワークを提供すること。
【解決手段】ネットワークは骨格(例えばDNAから構成される骨格)によって互いに対して定位置で維持された発蛍光団、量子ドット、色素、プラズモンナノロッドまたは他の光共鳴体を含む。ネットワークは、指定の時間的減衰プロファイルに応じて、例えば撮像またはフローサイトメトリーのための時間多重標識を提供するために、光吸収および再放出を呈することができる。ネットワークは暗状態を呈する共鳴体を含むことができ、1つまたは複数の共鳴体に暗状態を誘起することによってネットワークの挙動を修正することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2017年6月16日出願の米国特許仮出願第62/521,192号、2017年6月30日出願の米国特許仮出願第62/527,451号、および2017年8月29日出願の米国特許仮出願第62/551,616号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
様々な発蛍光団、量子ドット、ラマン色素、および他の光学活性物質を標識に組み込むことができる。そのような標識は、標識および/または標識が試料中で結合するように構成された検体の存在、位置、量、または他の特性を判定するために使用することができる。これは、1つまたは複数の光波長で試料を照射することと、標識によって応答的に反射され、標識によって蛍光吸収および再放出され、または標識から他の形で放出された光を検出することとを含むことができる。試料の照射に応答して試料から検出された光のタイミング、スペクトル成分、強度、偏光度、または何らかの他の特性を使用して、試料中の標識の識別情報を検出することができる。たとえば、励起スペクトル、放出スペクトル、光退色への感受性、または何らかの他の光学特性に関して異なる標識のライブラリを試料に適用して、試料中のそれぞれの複数の検体の存在、位置、または他の特性を検出することができる。
【0003】
いくつかの例では、標識は、標識の吸収ドナー発蛍光団から標識の放出アクセプタ発蛍光団へエネルギーが進むことができるように十分に近接して、複数の発蛍光団を含むことができる。そのような例では、標的検体への結合状態またはそのような標識の何らかの他の状態は、ドナーとアクセプタとの間の距離に関係することがある。すなわち、検体のインスタンスへの標識の結合は、エネルギーがドナーからアクセプタまで移動しにくい(または移動しやすい)程度までドナーとアクセプタとの距離が増大(または減少)するような標識の構造変化を起こす可能性がある。そのような例では、標識の全体的な蛍光度、または標識の何らかの他の光学特性を検出および使用して、試料中の検体の存在、位置、量、アイソフォーム、または何らかの他の特性を判定することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本開示の一態様は、(i)それぞれ発蛍光団、量子ドット、または色素のうちの少なくとも1つを含む2つまたはそれよりも多い入力共鳴体と、(ii)発蛍光団または量子ドットのうちの少なくとも1つを含む出力共鳴体と、(iii)有機骨格とを含む標識を提供する。2つまたはそれよりも多い入力共鳴体および出力共鳴体は、骨格に連結され、骨格は、入力共鳴体のそれぞれから出力共鳴体へエネルギーを伝送することができるように、入力共鳴体および出力共鳴体の相対位置を維持する。
【0005】
本開示の別の態様は、(i)入力共鳴体と、(ii)1つまたは複数の仲介共鳴体であって、1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの第1の仲介共鳴体が、入力共鳴体の近傍に配置され、したがって第1の仲介共鳴体が入力共鳴体からエネルギーを受け取ることができる、1つまたは複数の仲介共鳴体と、(iii)出力共鳴体であって、1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの少なくとも1つが、標識内で出力共鳴体の近傍に配置され、したがって出力共鳴体が1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの少なくとも1つからエネルギーを受け取ることができる、出力共鳴体と、(iv)骨格とを含む標識を提供する。入力共鳴体、出力共鳴体、および1つまたは複数の仲介共鳴体は、骨格に連結され、骨格は、入力共鳴体から出力共鳴体へ1つまたは複数の仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、入力共鳴体、出力共鳴体、および1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置を維持する。
【0006】
本開示の別の態様は、(i)試料容器と、(ii)光源と、(iii)光検出器と、(iv)コントローラとを含むシステムを提供する。コントローラは、(a)光源を使用して、試料容器を照射することと、(b)光検出器を使用して、検出波長範囲内の試料容器からの複数の光子の放出の試料容器の照射に対するタイミングを検出することと、(c)複数の光子の放出の検出されたタイミングに基づいて、標識の識別情報を判定することとを含む動作を実行するようにプログラムされる。標識の識別情報を判定することは、1組の既知の標識からその標識の識別情報を選択することを含む。標識は、(1)入力共鳴体と、(2)放出波長によって特徴付けられた出力共鳴体であって、検出波長範囲が出力共鳴体の放出波長を含む、出力共鳴体と、(3)1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークとを含み、標識内の入力共鳴体、出力共鳴体、および1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置が、入力共鳴体が照射によって励起されたことに応答して、入力共鳴体から出力共鳴体へ1つまたは複数の仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるようになっている。
【0007】
本開示のさらに別の態様は、機能を実行するように少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体を提供し、これらの機能は、(i)標識を含む試料を照射することと、(ii)検出波長範囲内の試料からの複数の光子の放出の試料の照射に対するタイミングを検出することであって、検出波長範囲が、標識の出力共鳴体の放出波長を含む、検出することと、(iii)複数の光子の放出の検出されたタイミングに基づいて、標識の識別情報を判定することとを含む。標識は、(a)入力共鳴体と、(b)放出波長によって特徴付けられる出力共鳴体と、(c)1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークとを含み、標識内の入力共鳴体、出力共鳴体、および1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置が、入力共鳴体が照射によって励起されたことに応答して、入力共鳴体から出力共鳴体へ1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークを介してエネルギーを伝送することができるようになっている。標識の識別情報を判定することは、1組の既知の標識からその標識の識別情報を選択することを含む。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、(i)第1の標識と、(ii)第2の標識とを含む造影剤を提供する。第1の標識は、(a)第1の目的の検体と選択的に相互作用する第1の受容体と、(b)少なくとも2つの第1の入力共鳴体と、(c)少なくとも1つの第1の出力共鳴体であって、第1の標識内の複数の第1の入力共鳴体の第1の標識内の複数の第1の出力共鳴体に対する比が、第1の値を有する、少なくとも1つの第1の出力共鳴体と、(d)第1の骨格とを含み、第1の受容体、少なくとも2つの第1の入力共鳴体、および少なくとも1つの第1の出力共鳴体が、第1の骨格に連結され、第1の骨格が、第1の入力共鳴体のそれぞれから少なくとも1つの第1の出力共鳴体へエネルギーを伝送することができるように、少なくとも2つの第1の入力共鳴体および少なくとも1つの第1の出力共鳴体の相対位置を維持する。第2の標識は、(a)第2の目的の検体と選択的に相互作用する第2の受容体と、(b)少なくとも2つの第2の入力共鳴体と、(c)少なくとも1つの第2の出力共鳴体であって、第2の標識内の複数の第2の入力共鳴体の第2の標識内の複数の第2の出力共鳴体に対する比が、第2の値を有する、少なくとも1つの第2の出力共鳴体と、(d)第2の骨格とを含み、第2の受容体、少なくとも2つの第2の入力共鳴体、および少なくとも1つの第2の出力共鳴体が、第2の骨格に連結され、第2の骨格が、第2の入力共鳴体のそれぞれから少なくとも1つの第2の出力共鳴体へエネルギーを伝送することができるように、少なくとも2つの第2の入力共鳴体および少なくとも1つの第2の出力共鳴体の相対位置を維持する。さらに、第1の値および第2の値は異なる。
【0009】
本開示のさらに別の態様は、(i)標識を含む試料を照射することと、(ii)検出波長範囲内の試料からの複数の光子の放出の試料の照射に対するタイミングを検出することであって、検出波長範囲が標識の出力共鳴体の放出波長を含む、検出することと、(iii)複数の光子の放出の検出されたタイミングに基づいて、標識の識別情報を判定することとを含む方法を提供する。標識は、(a)入力共鳴体と、(b)放出波長によって特徴付けられる出力共鳴体と、(c)1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークとを含み、標識内の入力共鳴体、出力共鳴体、および1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置が、入力共鳴体が照射によって励起されたことに応答して、入力共鳴体から出力共鳴体へ1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークを介してエネルギーを伝送することができるようになっている。標識の識別情報を判定することは、1組の既知の標識からその標識の識別情報を選択することを含む。
【0010】
本開示のさらに別の態様は、(i)試料容器と、(ii)光源と、(iii)光検出器と、(iv)コントローラとを含むシステムを提供する。コントローラは、(a)光源を使用して、試料容器を照射することと、(b)光検出器を使用して、検出波長範囲内の試料容器からの複数の光子の放出の試料容器の照射に対するタイミングを検出することと、(c)複数の光子の放出の検出されたタイミングに基づいて、標識の識別情報を判定することとを含む動作を実行するようにプログラムされる。標識の識別情報を判定することは、1組の既知の標識からその標識の識別情報を選択することを含む。標識は、放出波長によって特徴付けられる入力共鳴体であって、検出波長範囲が入力共鳴体の放出波長を含む、入力共鳴体と、(b)変調共鳴体とを含み、標識内の入力共鳴体および変調共鳴体の相対位置が、入力共鳴体が照射によって励起されたことに応答して、入力共鳴体と変調共鳴体との間でエネルギーを伝送することができるようになっている。
【0011】
本開示のさらに別の態様は、(i)暗状態を有する第1の入力共鳴体であって、第1の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して暗状態に入ることができる第1の入力共鳴体と、(ii)読出し波長の照射からエネルギーを受け取ることができる読出し共鳴体と、(iii)出力共鳴体と、(iv)骨格とを含む共鳴体ネットワークを提供する。第1の入力共鳴体、読出し共鳴体、および出力共鳴体は、骨格に連結され、骨格は、読出し共鳴体から出力共鳴体へエネルギーを伝送することができるように、さらに読出し共鳴体から出力共鳴体へエネルギーが伝送される確率が、第1の入力共鳴体が暗状態にあるかどうかに関係するように、第1の入力共鳴体、読出し共鳴体、および出力共鳴体の相対位置を維持する。
【0012】
本開示のさらに別の態様は、検体を検出する方法を提供し、この方法は、(i)第1の時間期間中に共鳴体ネットワークを第1の入力波長の光で照射することと、(ii)第1の時間期間中に共鳴体ネットワークを読出し波長の光で照射することと、(iii)第1の時間期間中に共鳴体ネットワークの出力共鳴体から放出される光の強度を検出することとを含む。共鳴体ネットワークは、(a)暗状態を有する第1の入力共鳴体であって、第1の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して暗状態に入ることができる第1の入力共鳴体と、(b)読出し波長の照射からエネルギーを受け取ることができる読出し共鳴体と、(c)仲介共鳴体と、(d)出力共鳴体と、(e)検体に優先的に結合する受容体を含む感知体と、(f)骨格とを含む。第1の入力共鳴体、読出し共鳴体、感知体、および出力共鳴体は、骨格に連結され、骨格は、読出し共鳴体から出力共鳴体へ仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、さらに第1の入力共鳴体が暗状態にあるときに読出し共鳴体から出力共鳴体へエネルギーが伝送される確率が、受容体が検体のインスタンスに結合されているかどうかに関係するように、第1の入力共鳴体、読出し共鳴体、仲介共鳴体、感知体、および出力共鳴体の相対位置を維持する。
【0013】
本開示のさらに別の態様は、(i)第1の時間期間中に複数の共鳴体ネットワークを第1の入力波長の光で照射することと、(ii)第1の時間期間中に複数の共鳴体ネットワークを読出し波長の光で照射することと、(iii)複数の共鳴体ネットワークの出力共鳴体からの複数の光子の放出の共鳴体ネットワークの照射に対するタイミングを検出することとを含む方法を提供する。複数の共鳴体ネットワークの各共鳴体ネットワークは、(a)暗状態を有する第1の入力共鳴体であって、第1の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して暗状態に入ることができる第1の入力共鳴体と、(b)読出し波長の照射からエネルギーを受け取ることができる読出し共鳴体と、(c)2つまたはそれよりも多い仲介共鳴体と、(d)出力共鳴体と、(e)骨格とを含む。第1の入力共鳴体、読出し共鳴体、2つまたはそれよりも多い仲介共鳴体、および出力共鳴体は、骨格に連結され、骨格は、読出し共鳴体から出力共鳴体へ仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、さらに時間依存確率密度関数に応じて、読出し共鳴体が読出し波長の照射を受け取ったことに応答して、共鳴体ネットワークが出力共鳴体から光子を放出するように、第1の入力共鳴体、読出し共鳴体、2つまたはそれよりも多い仲介共鳴体、および出力共鳴体の相対位置を維持する。時間依存確率密度関数の検出可能な特性は、第1の入力共鳴体が暗状態にあるかどうかに関係する。
【0014】
上記ならびに他の態様、利点、および代替は、適宜添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、当業者には明らかになる。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
発蛍光団、量子ドット、または色素のうちの少なくとも1つを含む2つまたはそれよりも多い入力共鳴体と、
発蛍光団または量子ドットのうちの少なくとも1つを含む出力共鳴体と、
有機骨格とを含み、前記2つまたはそれよりも多い入力共鳴体および前記出力共鳴体が、前記骨格に連結され、前記骨格が、前記入力共鳴体のそれぞれから前記出力共鳴体へエネルギーを伝送することができるように、前記入力共鳴体および前記出力共鳴体の相対位置を維持する、
標識。
(項目2)
前記2つまたはそれよりも多い入力共鳴体が、第1の入力共鳴体および第2の入力共鳴体を含み、前記骨格が、前記第2の入力共鳴体から前記出力共鳴体へ前記第1の入力共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、前記入力共鳴体および前記出力共鳴体の相対位置を維持する、項目1に記載の標識。
(項目3)
前記第1の入力共鳴体から前記第2の入力共鳴体へエネルギーを移動させることができる、項目2に記載の標識。
(項目4)
前記入力共鳴体がすべて同じ発蛍光団を含む、項目2または3に記載の標識。
(項目5)
前記入力共鳴体がそれぞれ、それぞれのリンカーを介して前記骨格に連結され、前記リンカーが特有のリンカー長を有し、前記入力共鳴体がフェルスター半径によって特徴付けられ、前記リンカーが前記骨格にそれぞれの連結位置で連結され、前記連結位置が、前記フェルスター半径より小さく前記特有のリンカー長の2倍より大きい距離だけ互いから分離される、項目3に記載の標識。
(項目6)
前記2つまたはそれよりも多い入力共鳴体が、4つを超える入力共鳴体を含む、項目2~5のいずれかに記載の標識。
(項目7)
前記2つまたはそれよりも多い入力共鳴体が、30個を超える入力共鳴体を含む、項目2~5のいずれかに記載の標識。
(項目8)
追加の出力共鳴体と、
2つまたはそれよりも多い追加の入力共鳴体とをさらに含み、前記2つまたはそれよりも多い追加の入力共鳴体および前記追加の出力共鳴体が、前記骨格に連結され、前記骨格が、前記追加の入力共鳴体のそれぞれから前記追加の出力共鳴体へエネルギーを伝送することができるように、前記追加の入力共鳴体および前記追加の出力共鳴体の相対位置を維持する、
項目1~7のいずれかに記載の標識。
(項目9)
前記骨格が、前記追加の入力共鳴体のうちの少なくとも1つから前記出力共鳴体へエネルギーを伝送することができるように、前記追加の入力共鳴体および前記出力共鳴体の相対位置を維持する、項目8に記載の標識。
(項目10)
1つまたは複数の仲介共鳴体をさらに含み、前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの少なくとも1つが、前記標識内で前記出力共鳴体の近傍に配置されて、前記出力共鳴体が前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの前記少なくとも1つからエネルギーを受け取ることができ、前記入力共鳴体のそれぞれから前記出力共鳴体へエネルギーを伝送することができるように、前記入力共鳴体および前記出力共鳴体の相対位置を維持する前記骨格が、前記入力共鳴体のそれぞれから前記出力共鳴体へ前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置を維持する前記骨格を含む、
項目1~9のいずれかに記載の標識。
(項目11)
前記入力共鳴体が励起波長の光を吸収し、前記出力共鳴体が放出波長の光を放出し、前記放出波長が前記励起波長とは異なり、前記1つまたは複数の仲介共鳴体が、それぞれの放出波長によって特徴付けられ、前記1つまたは複数の仲介共鳴体の前記放出波長が、前記入力共鳴体の前記励起波長と前記出力共鳴体の前記放出波長との間の中間にある、項目10に記載の標識。
(項目12)
前記1つまたは複数の仲介共鳴体が、前記標識内で前記入力共鳴体と前記出力共鳴体との間に共鳴体ワイヤとして配置される、項目10または11に記載の標識。
(項目13)
前記仲介共鳴体がすべて同じ発蛍光団を含む、項目10~12のいずれかに記載の標識。
(項目14)
前記骨格に連結された促進共鳴体をさらに含み、前記骨格が、前記促進共鳴体が暗状態にあることで、前記入力共鳴体から前記出力共鳴体への前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介したエネルギーの伝送を促進するように、前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、前記1つまたは複数の仲介共鳴体、および前記促進共鳴体の相対位置を維持する、項目10~13のいずれかに記載の標識。
(項目15)
前記骨格に連結された抑制共鳴体をさらに含み、前記骨格が、前記抑制共鳴体が暗状態にあることで、前記入力共鳴体から前記出力共鳴体への前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介したエネルギーの伝送を抑制するように、前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、前記1つまたは複数の仲介共鳴体、および前記抑制共鳴体の相対位置を維持する、項目10~14のいずれかに記載の標識。
(項目16)
受容体をさらに含み、前記受容体が、目的の検体と選択的に相互作用し、前記受容体が、前記骨格に連結される、
項目1~15のいずれかに記載の標識。
(項目17)
標識であって、
入力共鳴体と、
1つまたは複数の仲介共鳴体であって、前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの第1の仲介共鳴体が、前記入力共鳴体の近傍に配置されて、第1の仲介共鳴体が前記入力共鳴体からエネルギーを受け取ることができる、1つまたは複数の仲介共鳴体と、
出力共鳴体であって、前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの少なくとも1つが、前記標識内で前記出力共鳴体の近傍に配置されて、前記出力共鳴体が前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの前記少なくとも1つからエネルギーを受け取ることができる、出力共鳴体と、
骨格とを含み、前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体が、前記骨格に連結され、前記骨格が、前記入力共鳴体から前記出力共鳴体へ前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置を維持する、
標識。
(項目18)
前記骨格が、少なくとも部分的に相補的な2つのDNA鎖である、項目17に記載の標識。
(項目19)
前記仲介共鳴体、前記入力共鳴体、または前記出力共鳴体のうちの少なくとも1つが発蛍光団を含む、項目17または18に記載の標識。
(項目20)
前記1つまたは複数の仲介共鳴体が、前記標識内で前記入力共鳴体と前記出力共鳴体との間に共鳴体ワイヤとして配置される、項目17~19のいずれかに記載の標識。
(項目21)
前記仲介共鳴体がすべて同じ発蛍光団を含む、項目17~20のいずれかに記載の標識。
(項目22)
前記入力共鳴体が第1の入力共鳴体であり、前記標識が、第2の入力共鳴体をさらに含み、前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの少なくとも1つが、前記第2の入力共鳴体の近傍に配置されて、前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの前記少なくとも1つが、前記第2の入力共鳴体からエネルギーを受け取ることができる、項目17~21のいずれかに記載の標識。
(項目23)
前記第1の入力共鳴体が、第1の励起波長によって特徴付けられ、前記第2の入力共鳴体が、前記第1の励起波長とは異なる第2の励起波長によって特徴付けられる、項目22に記載の標識。
(項目24)
前記出力共鳴体が第1の出力共鳴体であり、前記標識が、第2の出力共鳴体をさらに含み、前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの少なくとも1つが、前記標識内で前記第2の出力共鳴体の近傍に配置されて、前記第2の出力共鳴体が、前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの前記少なくとも1つからエネルギーを受け取ることができる、項目17~23のいずれかに記載の標識。
(項目25)
前記第2の出力共鳴体が、前記第1の出力共鳴体の前記放出波長とは異なる第2の放出波長によって特徴付けられる、項目24に記載の標識。
(項目26)
前記入力共鳴体が励起波長の光を吸収し、前記出力共鳴体が放出波長の光を放出し、前記放出波長が前記励起波長とは異なる、項目17~25のいずれかに記載の標識。
(項目27)
前記1つまたは複数の仲介共鳴体が、それぞれの放出波長によって特徴付けられ、前記1つまたは複数の仲介共鳴体の前記放出波長が、前記入力共鳴体の前記励起波長と前記出力共鳴体の前記放出波長との間の中間にある、項目26に記載の標識。
(項目28)
前記骨格に連結された促進共鳴体をさらに含み、前記骨格が、前記促進共鳴体が暗状態にあることで、前記入力共鳴体から前記出力共鳴体への前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介したエネルギーの伝送を促進するように、前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、前記1つまたは複数の仲介共鳴体、および前記促進共鳴体の相対位置を維持する、項目17~27のいずれかに記載の標識。
(項目29)
前記骨格に連結された抑制共鳴体をさらに含み、前記骨格が、前記抑制共鳴体が暗状態にあることで、前記入力共鳴体から前記出力共鳴体への前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介したエネルギーの伝送を抑制するように、前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、前記1つまたは複数の仲介共鳴体、および前記抑制共鳴体の相対位置を維持する、項目17~28のいずれかに記載の標識。
(項目30)
受容体をさらに含み、前記受容体が、目的の検体と選択的に相互作用し、前記受容体が、前記骨格に連結される、
項目17~29のいずれかに記載の標識。
(項目31)
試料容器と、
光源と、
光検出器と、
コントローラとを備え、前記コントローラが、
前記光源を使用して、前記試料容器を照射することと、
前記光検出器を使用して、検出波長範囲内の前記試料容器からの複数の光子の放出の前記試料容器の前記照射に対するタイミングを検出することと、
前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、標識の識別情報を判定することとを含む動作を実行するようにプログラムされ、前記標識の前記識別情報を判定することが、1組の既知の標識から前記標識の前記識別情報を選択することを含み、前記標識が、
入力共鳴体と、
放出波長によって特徴付けられる出力共鳴体であって、前記検出波長範囲が前記出力共鳴体の前記放出波長を含む、出力共鳴体と、
1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークとを含み、前記標識内の前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置が、前記入力共鳴体が前記照射によって励起されたことに応答して、前記入力共鳴体から前記出力共鳴体へ前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるようになっている、
システム。
(項目32)
前記動作が、
前記標識の前記判定された識別情報に基づいて、前記試料容器の内容物を1つまたは複数の位置に分類することをさらに含む、項目31に記載のシステム。
(項目33)
前記標識の前記識別情報を判定することが、
前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記試料容器の照射に応答した前記試料容器からの光子の放出の前記タイミングに対する確率密度関数を判定することと、
前記判定された確率密度関数を1組の既知の時間的減衰プロファイルと比較することとを含み、前記1組の既知の標識のうちの各標識が、前記1組の既知の時間的減衰プロファイルのうちの前記時間的減衰プロファイルのそれぞれに対応する、項目31または32に記載のシステム。
(項目34)
前記判定された確率密度関数を1組の既知の時間的減衰プロファイルと比較することが、前記判定された確率密度関数と前記1組の既知の時間的減衰プロファイルのうちの前記時間的減衰プロファイルのそれぞれとの間の統計的ダイバージェンスの測度を判定することを含む、項目33に記載のシステム。
(項目35)
前記標識が第1の標識であり、前記動作が、
前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、第2の標識の識別情報を判定することをさらに含み、前記第2の標識の前記識別情報を判定することが、前記1組の既知の標識から前記第2の標識の前記識別情報を選択することを含み、前記第2の標識が、
第2の入力共鳴体と、
第2の出力共鳴体であって、前記検出波長範囲が前記第2の出力共鳴体の放出波長を含む、第2の出力共鳴体と、
1つまたは複数の仲介共鳴体の第2のネットワークとを含み、前記第2の標識内の前記第2の入力共鳴体、前記第2の出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体の第2のネットワークのうちの仲介共鳴体の相対位置が、前記第2の入力共鳴体が前記照射によって励起されたことに応答して、前記第2の入力共鳴体から前記第2の出力共鳴体へ前記1つまたは複数の仲介共鳴体の第2のネットワークを介してエネルギーを伝送することができるようになっており、
前記第1の標識の前記1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークが、前記1つまたは複数の仲介共鳴体の第2のネットワークとは異なる、項目31~34のいずれかに記載のシステム。
(項目36)
前記動作が、
前記第1の標識の前記判定された識別情報および前記第2の標識の前記判定された識別情報に基づいて、前記試料容器の内容物を識別することをさらに含む、項目35に記載のシステム。
(項目37)
前記第1の標識の前記入力共鳴体が、前記第2の入力共鳴体と同じであり、前記第1の標識の前記出力共鳴体が、前記第2の出力共鳴体と同じである、項目35または36に記載のシステム。
(項目38)
前記動作が、
前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記試料容器内の前記第2の標識の量に対して、前記試料容器内の前記第1の標識の量を判定することをさらに含む、項目35~37のいずれかに記載のシステム。
(項目39)
前記試料容器内の前記第2の標識の量に対して、前記試料容器内の前記第1の標識の量を判定することが、
前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記試料容器の照射に応答した前記試料容器からの光子の放出の前記タイミングに対する確率密度関数を判定することと、
前記判定された確率密度関数、前記第1の標識に対応する第1の既知の時間的減衰プロファイル、および前記第2の標識に対応する第2の既知の時間的減衰プロファイルに基づいて、前記試料容器内の前記第2の標識の量に対して、前記試料容器内の前記第1の標識の量の量を判定することとを含む、項目38に記載のシステム。
(項目40)
前記仲介共鳴体のネットワークのうちの第1の仲介共鳴体が、さらなる放出波長によって特徴付けられ、前記システムが、
第2の光検出器をさらに備え、前記動作が、前記第2の光検出器を使用して、さらなる検出波長範囲内の前記試料容器からのさらなる複数の光子の放出の前記試料容器の前記照射に対するタイミングを検出することをさらに含み、前記さらなる検出波長範囲が、前記第1の仲介共鳴体の前記さらなる放出波長を含み、前記標識の前記識別情報を判定することが、前記さらなる複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記標識の前記識別情報を判定することを含む、項目31~39のいずれかに記載のシステム。
(項目41)
前記光検出器が単一光子アバランシェダイオードを備える、項目31~40のいずれかに記載のシステム。
(項目42)
前記試料容器が流れチャネルを備え、前記試料容器を照射することが、前記流れチャネルの一部分を照射することを含み、前記試料容器からの複数の光子の放出のタイミングを検出することが、前記流れチャネルからの複数の光子の放出のタイミングを検出することを含む、項目31~41のいずれかに記載のシステム。
(項目43)
前記入力共鳴体が第1の入力共鳴体であり、前記標識が、第2の入力共鳴体をさらに含み、前記標識内の前記第2の入力共鳴体、前記出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置が、前記第2の入力共鳴体が前記照射によって励起されたことに応答して、前記第2の入力共鳴体から前記出力共鳴体へ前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるようになっている、項目31~42のいずれかに記載のシステム。
(項目44)
前記第1の入力共鳴体が、第1の励起波長によって特徴付けられ、前記第2の入力共鳴体が、前記第1の励起波長とは異なる第2の励起波長によって特徴付けられ、前記光源を使用して前記試料容器を照射することが、
前記第1の励起波長の光を含む第1の照射を、第1の時間期間中に前記試料容器へ提供することと、
前記第2の励起波長の光を含む第2の照射を、第2の時間期間中に前記試料容器へ提供することとを含む、項目43に記載のシステム。
(項目45)
前記出力共鳴体が第1の出力共鳴体であり、前記標識が、第2の出力共鳴体をさらに含み、前記標識内の前記入力共鳴体、前記第2の出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置が、前記入力共鳴体が前記照射によって励起されたことに応答して、前記入力共鳴体から前記第2の出力共鳴体へ前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるようになっている、項目31~44のいずれかに記載のシステム。
(項目46)
前記第2の出力共鳴体が、前記第1の出力共鳴体の前記放出波長とは異なる第2の放出波長によって特徴付けられ、前記動作が、
前記光検出器を使用して、第2の検出波長範囲内の前記試料容器からの第2の複数の光子の放出の前記試料容器の前記照射に対するタイミングを検出することをさらに含み、前記第2の検出波長範囲が前記第2の放出波長を含み、前記標識の前記識別情報を判定することが、前記第2の複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記標識の前記識別情報を判定することを含む、項目45に記載のシステム。
(項目47)
さらなる光源をさらに備え、
前記標識が、骨格に連結された促進共鳴体をさらに含み、前記骨格が、前記促進共鳴体が暗状態にあることで、前記入力共鳴体から前記出力共鳴体への前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介したエネルギーの伝送を促進するように、前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、前記1つまたは複数の仲介共鳴体、および前記促進共鳴体の相対位置を維持し、
前記動作が、
前記さらなる光源を使用して、前記促進共鳴体が前記暗状態に入るような照射で前記試料容器を照射することをさらに含む、
項目31~46のいずれかに記載のシステム。
(項目48)
さらなる光源をさらに備え、
前記標識が、骨格に連結された抑制共鳴体をさらに含み、前記骨格が、前記抑制共鳴体が暗状態にあることで、前記入力共鳴体から前記出力共鳴体への前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介したエネルギーの伝送を抑制するように、前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、前記1つまたは複数の仲介共鳴体、および前記抑制共鳴体の相対位置を維持し、
前記動作が、
前記さらなる光源を使用して、前記抑制共鳴体が前記暗状態に入るような照射で前記試料容器を照射することをさらに含む、
項目31~46のいずれかに記載のシステム。
(項目49)
機能を実行するように少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記機能が、
試料を照射することであって、前記試料が標識を含み、前記標識が、
入力共鳴体、
放出波長によって特徴付けられる出力共鳴体、
1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークを含み、前記標識内の前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置が、前記入力共鳴体が前記照射によって励起されたことに応答して、前記入力共鳴体から前記出力共鳴体へ前記1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークを介してエネルギーを伝送することができるようになっている、照射することと、
検出波長範囲内の前記試料からの複数の光子の放出の前記試料の前記照射に対するタイミングを検出することであって、前記検出波長範囲が前記出力共鳴体の前記放出波長を含む、検出することと、
前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記標識の識別情報を判定することとを含み、前記標識の前記識別情報を判定することが、1組の既知の標識から前記標識の前記識別情報を選択することとを含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目50)
第1の標識であって、
第1の目的の検体と選択的に相互作用する第1の受容体、
少なくとも2つの第1の入力共鳴体、
少なくとも1つの第1の出力共鳴体であって、前記第1の標識内の複数の第1の入力共鳴体の前記第1の標識内の複数の第1の出力共鳴体に対する比が第1の値を有する、少なくとも1つの第1の出力共鳴体、および
第1の骨格を含み、前記第1の受容体、前記少なくとも2つの第1の入力共鳴体、および前記少なくとも1つの第1の出力共鳴体が、前記第1の骨格に連結され、前記第1の骨格が、前記第1の入力共鳴体のそれぞれから少なくとも1つの第1の出力共鳴体へエネルギーを伝送することができるように、前記少なくとも2つの第1の入力共鳴体および前記少なくとも1つの第1の出力共鳴体の相対位置を維持する、第1の標識と、
第2の標識であって、
第2の目的の検体と選択的に相互作用する第2の受容体、
少なくとも2つの第2の入力共鳴体、
少なくとも1つの第2の出力共鳴体であって、前記第2の標識内の複数の第2の入力共鳴体の前記第2の標識内の複数の第2の出力共鳴体に対する比が第2の値を有する、少なくとも1つの第2の出力共鳴体、および
第2の骨格を含み、前記第2の受容体、前記少なくとも2つの第2の入力共鳴体、および前記少なくとも1つの第2の出力共鳴体が、前記第2の骨格に連結され、前記第2の骨格が、前記第2の入力共鳴体のそれぞれから少なくとも1つの第2の出力共鳴体へエネルギーを伝送することができるように、前記少なくとも2つの第2の入力共鳴体および前記少なくとも1つの第2の出力共鳴体の相対位置を維持する、第2の標識とを含み、
前記第1の値および前記第2の値が異なる、
造影剤。
(項目51)
前記第1の入力共鳴体および前記第2の入力共鳴体が、吸収波長に関して異なる、項目50に記載の造影剤。
(項目52)
前記第1の出力共鳴体および前記第2の出力共鳴体が、放出波長に関して異なる、項目50または51に記載の造影剤。
(項目53)
前記第1の標識が、
1つまたは複数の仲介共鳴体をさらに含み、前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの第1の仲介共鳴体が、前記第1の標識内で前記少なくとも2つの第1の入力共鳴体の近傍に配置されて、前記第1の仲介共鳴体が、前記少なくとも2つの第1の入力共鳴体のそれぞれからエネルギーを受け取ることができ、前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの少なくとも1つが、前記第1の標識内で少なくとも1つの第1の出力共鳴体の近傍に配置されて、前記少なくとも1つの第1の出力共鳴体が前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの前記少なくとも1つからエネルギーを受け取ることができ、前記第1の入力共鳴体のそれぞれから少なくとも1つの第1の出力共鳴体へエネルギーを伝送することができるように、前記少なくとも2つの第1の入力共鳴体および前記少なくとも1つの出力共鳴体の相対位置を維持する前記第1の骨格が、前記第1の入力共鳴体のそれぞれから前記少なくとも1つの第1の出力共鳴体へ前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、前記第1の入力共鳴体、前記少なくとも1つの第1の出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置を維持する骨格を含む、項目50~52のいずれかに記載の造影剤。
(項目54)
標識を含む試料を照射することであって、前記標識が、
入力共鳴体、
放出波長によって特徴付けられる出力共鳴体、
1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークを含み、前記標識内の前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置が、前記入力共鳴体が前記照射によって励起されたことに応答して、前記入力共鳴体から前記出力共鳴体へ前記1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークを介してエネルギーを伝送することができるようになっている、照射することと、
検出波長範囲内の前記試料からの複数の光子の放出の前記試料の前記照射に対するタイミングを検出することであって、前記検出波長範囲が前記出力共鳴体の前記放出波長を含む、検出することと、
前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記標識の識別情報を判定することとを含み、前記標識の前記識別情報を判定することが、1組の既知の標識から前記標識の前記識別情報を選択することを含む、
方法。
(項目55)
前記試料が、1つまたは複数の粒子を含み、前記方法が、
前記標識の前記判定された識別情報に基づいて、前記1つまたは複数の粒子を1つまたは複数の位置へ分類することをさらに含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記標識の前記識別情報を判定することが、
前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記試料の照射に応答した前記試料からの光子の放出の前記タイミングに対する確率密度関数を判定することと、
前記判定された確率密度関数を1組の既知の時間的減衰プロファイルと比較することとを含み、前記1組の既知の標識のうちの各標識が、前記1組の既知の時間的減衰プロファイルのうちの前記時間的減衰プロファイルのそれぞれに対応する、項目54または55に記載の方法。
(項目57)
前記判定された確率密度関数を1組の既知の時間的減衰プロファイルと比較することが、前記判定された確率密度関数と前記1組の既知の時間的減衰プロファイルのうちの前記時間的減衰プロファイルのそれぞれとの間の統計的ダイバージェンスの測度を判定することを含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記標識が第1の標識であり、前記試料が第2の標識を含み、前記第2の標識が、
第2の入力共鳴体と、
第2の出力共鳴体であって、前記検出波長範囲が前記第2の出力共鳴体の放出波長を含む、第2の出力共鳴体と、
1つまたは複数の仲介共鳴体の第2のネットワークとを含み、前記第2の標識内の前記第2の入力共鳴体、前記第2の出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体の第2のネットワークのうちの仲介共鳴体の相対位置が、前記第2の入力共鳴体が前記照射によって励起されたことに応答して、前記第2の入力共鳴体から前記第2の出力共鳴体へ前記1つまたは複数の仲介共鳴体の第2のネットワークを介してエネルギーを伝送することができるようになっており、
前記第1の標識の前記1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークが、前記1つまたは複数の仲介共鳴体の第2のネットワークとは異なり、前記方法が、
前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記第2の標識の識別情報を判定することをさらに含み、前記第2の標識の前記識別情報を判定することが、前記1組の既知の標識から前記第2の標識の前記識別情報を選択することを含む、項目54~57のいずれかに記載の方法。
(項目59)
前記第1の標識の前記判定された識別情報および前記第2の標識の前記判定された識別情報に基づいて、前記試料中の粒子を識別することをさらに含む、
項目58に記載の方法。
(項目60)
前記第1の標識の前記入力共鳴体が、前記第2の入力共鳴体と同じであり、前記第1の標識の出力共鳴体が、前記第2の出力共鳴体と同じである、項目58または59に記載の方法。
(項目61)
前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記試料中の前記第2の標識の量に対して、前記試料中の前記第1の標識の量を判定することをさらに含む、
項目58~60のいずれかに記載の方法。
(項目62)
前記試料中の前記第2の標識の量に対して、前記試料中の前記第1の標識の量を判定することが、
前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記試料の照射に応答した前記試料からの光子の放出の前記タイミングに対する確率密度関数を判定することと、
前記判定された確率密度関数、前記第1の標識に対応する第1の既知の時間的減衰プロファイル、および前記第2の標識に対応する第2の既知の時間的減衰プロファイルに基づいて、前記試料中の前記第2の標識の量に対して、前記試料中の前記第1の標識の量を判定することとを含む、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記仲介共鳴体のネットワークのうちの第1の仲介共鳴体が、さらなる放出波長によって特徴付けられ、前記方法が、
さらなる検出波長範囲内の前記試料からのさらなる複数の光子の放出の前記試料の前記照射に対するタイミングを検出することをさらに含み、前記さらなる検出波長範囲が、前記第1の仲介共鳴体の前記さらなる放出波長を含み、前記標識の前記識別情報を判定することが、前記さらなる複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記標識の前記識別情報を判定することを含む、項目54~62のいずれかに記載の方法。
(項目64)
前記入力共鳴体が第1の入力共鳴体であり、前記標識が、第2の入力共鳴体をさらに含み、前記標識内の前記第2の入力共鳴体、前記出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置が、前記第2の入力共鳴体が前記照射によって励起されたことに応答して、前記第2の入力共鳴体から前記出力共鳴体へ前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるようになっている、項目54~63のいずれかに記載の方法。
(項目65)
前記第1の入力共鳴体が、第1の励起波長によって特徴付けられ、前記第2の入力共鳴体が、前記第1の励起波長とは異なる第2の励起波長によって特徴付けられ、前記試料を照射することが、
前記第1の励起波長の光を含む第1の照射を、第1の時間期間中に前記試料へ提供することと、
前記第2の励起波長の光を含む第2の照射を、第2の時間期間中に前記試料へ提供することとを含む、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記出力共鳴体が第1の出力共鳴体であり、前記標識が、第2の出力共鳴体をさらに含み、前記標識内の前記入力共鳴体、前記第2の出力共鳴体、および前記1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置が、前記入力共鳴体が前記照射によって励起されたことに応答して、前記入力共鳴体から前記第2の出力共鳴体へ前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるようになっている、項目54~65のいずれかに記載の方法。
(項目67)
前記第2の出力共鳴体が、前記第1の出力共鳴体の前記放出波長とは異なる第2の放出波長によって特徴付けられ、前記方法が、
第2の検出波長範囲内の前記試料からの第2の複数の光子の放出の前記試料の前記照射に対するタイミングを検出することをさらに含み、前記第2の検出波長範囲が前記第2の放出波長を含み、前記標識の前記識別情報を判定することが、前記第2の複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、前記標識の前記識別情報を判定することを含む、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記標識が、骨格に連結された促進共鳴体をさらに含み、前記骨格が、前記促進共鳴体が暗状態にあることで、前記入力共鳴体から前記出力共鳴体への前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介したエネルギーの伝送を促進するように、前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、前記1つまたは複数の仲介共鳴体、および前記促進共鳴体の相対位置を維持し、前記方法が、
前記促進共鳴体が前記暗状態に入るような照射で前記試料を照射することをさらに含む、項目54~67のいずれかに記載の方法。
(項目69)
前記標識が、骨格に連結された抑制共鳴体をさらに含み、前記骨格が、前記抑制共鳴体が暗状態にあることで、前記入力共鳴体から前記出力共鳴体への前記1つまたは複数の仲介共鳴体を介したエネルギーの伝送を抑制するように、前記入力共鳴体、前記出力共鳴体、前記1つまたは複数の仲介共鳴体、および前記抑制共鳴体の相対位置を維持し、前記方法が、
前記抑制共鳴体が前記暗状態に入るような照射で前記試料を照射することをさらに含む、項目54~68のいずれかに記載の方法。
(項目70)
試料容器と、
光源と、
光検出器と、
コントローラとを備え、前記コントローラが、
前記光源を使用して、前記試料容器を照射することと、
前記光検出器を使用して、検出波長範囲内の前記試料容器からの複数の光子の放出の前記試料容器の前記照射に対するタイミングを検出することと、
前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、標識の識別情報を判定することとを含む動作を実行するようにプログラムされ、前記標識の前記識別情報を判定することが、1組の既知の標識から前記標識の前記識別情報を選択することを含み、前記標識が、
放出波長によって特徴付けられる入力共鳴体であって、前記検出波長範囲が前記入力共鳴体の前記放出波長を含む、入力共鳴体と、
変調共鳴体とを含み、前記標識内の前記入力共鳴体および前記変調共鳴体の相対位置が、前記入力共鳴体が前記照射によって励起されたことに応答して、前記入力共鳴体と前記変調共鳴体との間でエネルギーを伝送することができるようになっている、
システム。
(項目71)
暗状態を有する第1の入力共鳴体であって、第1の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して前記暗状態に入ることができる第1の入力共鳴体と、
読出し波長の照射からエネルギーを受け取ることができる読出し共鳴体と、
出力共鳴体と、
骨格とを含み、前記第1の入力共鳴体、前記読出し共鳴体、および前記出力共鳴体が、前記骨格に連結され、前記骨格が、前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へエネルギーを伝送することができるように、さらに前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へエネルギーが伝送される確率が、前記第1の入力共鳴体が前記暗状態にあるかどうかに関係するように、前記第1の入力共鳴体、前記読出し共鳴体、および前記出力共鳴体の相対位置を維持する、
共鳴体ネットワーク。
(項目72)
前記第1の入力共鳴体が前記暗状態にあることで、前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へのエネルギーの伝送を抑制する、項目71に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目73)
前記骨格が、前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へ前記第1の入力共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、前記第1の入力共鳴体が前記暗状態にあることで、前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体への前記第1の入力共鳴体を介したエネルギーの伝送を防止するように、前記第1の入力共鳴体、前記読出し共鳴体、および前記出力共鳴体の相対位置を維持する、項目72に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目74)
前記骨格に連結された第2の入力共鳴体をさらに含み、前記第2の入力共鳴体が暗状態を有し、前記第2の入力共鳴体が、第2の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して、前記暗状態に入ることができ、前記骨格が、前記第2の入力共鳴体が前記暗状態にあることによって、前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へのエネルギーの伝送が促進されるように、前記第1の入力共鳴体、前記第2の入力共鳴体、前記読出し共鳴体、および前記出力共鳴体の相対位置を維持する、
項目72または73に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目75)
第1の入力波長および第2の入力波長が、10ナノメートル未満だけ異なる、項目74に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目76)
第1の入力波長および第2の入力波長が、50ナノメートルを超えて異なる、項目74に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目77)
前記骨格に連結された第2の入力共鳴体をさらに含み、前記第2の入力共鳴体が暗状態を有し、前記第2の入力共鳴体が、第2の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して、前記暗状態に入ることができ、前記骨格が、前記第2の入力共鳴体が前記暗状態にあることによって、前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へのエネルギーの伝送が抑制されるように、前記第1の入力共鳴体、前記第2の入力共鳴体、前記読出し共鳴体、および前記出力共鳴体の相対位置を維持する、
項目72または73に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目78)
前記第1の入力波長および前記第2の入力波長が、10ナノメートル未満だけ異なる、項目77に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目79)
前記第1の入力波長および前記第2の入力波長が、50ナノメートルを超えて異なる、項目77に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目80)
前記第1の入力共鳴体が前記暗状態にあることで、前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へのエネルギーの伝送を促進する、項目71に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目81)
前記骨格が、前記第1の入力共鳴体が前記暗状態にないとき、エネルギーが前記出力共鳴体へ伝送されるより、前記読出し共鳴体から前記第1の入力共鳴体へ伝送され、次いで前記第1の入力共鳴体によって放散される可能性の方が高くなるように、前記第1の入力共鳴体、前記読出し共鳴体、および前記出力共鳴体の相対位置を維持する、項目80に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目82)
前記骨格に連結された第2の入力共鳴体をさらに含み、前記第2の入力共鳴体が暗状態を有し、前記第2の入力共鳴体が、第2の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して、前記暗状態に入ることができ、前記骨格が、前記第2の入力共鳴体が前記暗状態にあることによって、前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へのエネルギーの伝送が促進されるように、前記第1の入力共鳴体、前記第2の入力共鳴体、前記読出し共鳴体、および前記出力共鳴体の相対位置を維持する、
項目80または81に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目83)
前記第1の入力波長および前記第2の入力波長が、10ナノメートル未満だけ異なる、項目82に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目84)
前記第1の入力波長および前記第2の入力波長が、50ナノメートルを超えて異なる、項目82に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目85)
1つまたは複数の仲介共鳴体をさらに含み、前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの第1の仲介共鳴体が、前記共鳴体ネットワーク内で前記読出し共鳴体の近傍に配置され、したがって前記読出し共鳴体が前記読出し波長の照射による前記読出し共鳴体の前記励起に応答することによって、前記第1の仲介共鳴体を励起することができ、前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの少なくとも1つが、前記共鳴体ネットワーク内で前記出力共鳴体の近傍に配置されて、前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの前記少なくとも1つによって前記出力共鳴体を励起することができる、
項目71~84のいずれかに記載の共鳴体ネットワーク。
(項目86)
前記骨格に連結された感知体をさらに含み、前記感知体が、前記共鳴体ネットワークの環境の特性に関係する状態を有し、前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へエネルギーが伝送される確率が、前記感知体の前記状態に関係する、
項目85に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目87)
前記共鳴体ネットワークの前記環境の前記特性が、前記共鳴体ネットワークの前記環境内の流体のpHである、項目86に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目88)
前記骨格に連結された感知体をさらに含み、前記感知体が、検体に優先的に結合する受容体を含み、前記検体のインスタンスが前記受容体に結合されることで、前記感知体が前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの少なくとも1つを消光させる、
項目85に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目89)
前記骨格に連結された感知体をさらに含み、前記感知体が、検体に優先的に結合する受容体を含み、前記受容体が前記検体のいずれのインスタンスにも結合されていないことで、前記感知体が前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの少なくとも1つを消光させる、
項目85に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目90)
前記骨格に連結された感知体をさらに含み、前記感知体が、検体に優先的に結合する受容体を含み、前記受容体が前記検体のインスタンスに結合することで、前記感知体が前記骨格に対する前記1つまたは複数の仲介共鳴体のうちの少なくとも1つの位置を修正する、
項目85に記載の共鳴体ネットワーク。
(項目91)
前記共鳴体ネットワークが、時間依存確率密度関数に応じて、前記読出し共鳴体が前記読出し波長の照射を受け取ったことに応答して、前記出力共鳴体から光子を放出し、前記時間依存確率密度関数の検出可能な特性が、前記第1の入力共鳴体が前記暗状態にあるかどうかに関係する、項目71~85のいずれかに記載の共鳴体ネットワーク。
(項目92)
検体を検出する方法であって、
第1の時間期間中に共鳴体ネットワークを第1の入力波長の光で照射することであって、前記共鳴体ネットワークが、
暗状態を有し、第1の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して前記暗状態に入ることができる第1の入力共鳴体、
読出し波長の照射からエネルギーを受け取ることができる読出し共鳴体、
仲介共鳴体、
出力共鳴体、
検体に優先的に結合する受容体を含む感知体、および
骨格を含み、前記第1の入力共鳴体、前記読出し共鳴体、前記感知体、および前記出力共鳴体が、前記骨格に連結され、前記骨格が、前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へ前記仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、さらに前記第1の入力共鳴体が前記暗状態にあるときに前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へエネルギーが伝送される確率が、前記受容体が前記検体のインスタンスに結合されているかどうかに関係するように、前記第1の入力共鳴体、前記読出し共鳴体、前記仲介共鳴体、前記感知体、および前記出力共鳴体の相対位置を維持する、照射することと、
前記第1の時間期間中に前記共鳴体ネットワークを前記読出し波長の光で照射することと、
前記第1の時間期間中に前記出力共鳴体から放出される光の強度を検出することとを含む方法。
(項目93)
前記検体のインスタンスが前記受容体に結合されることで、前記感知体が前記仲介共鳴体を消光させる、項目92に記載の方法。
(項目94)
前記受容体が前記検体のいずれのインスタンスにも結合されていないことで、前記感知体が前記仲介共鳴体を消光させる、項目92に記載の方法。
(項目95)
前記受容体が前記検体のインスタンスに結合されることで、前記感知体が前記骨格に対する前記仲介共鳴体の位置を修正する、項目92に記載の方法。
(項目96)
前記共鳴体ネットワークが、
前記骨格に連結された第2の入力共鳴体であって、暗状態を有し、第2の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して前記暗状態に入ることができる第2の入力共鳴体と、
前記骨格に連結された第2の感知体であって、第2の検体に優先的に結合する第2の受容体を含む第2の感知体と、
第2の仲介共鳴体とをさらに含み、
前記骨格が、前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へ前記第2の仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、さらに前記第2の入力共鳴体が前記暗状態にあり、かつ前記第1の入力共鳴体が前記暗状態にないときに前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へエネルギーが伝送される確率が、前記第2の受容体が前記第2の検体のインスタンスに結合されているかどうかに関係するように、前記第2の入力共鳴体、前記読出し共鳴体、前記第2の仲介共鳴体、前記第2の感知体、および前記出力共鳴体の相対位置を維持し、
前記方法が、
前記第1の時間期間後の第2の時間期間中に前記共鳴体ネットワークを前記第2の入力波長の光で照射することと、
前記第2の時間期間中に前記共鳴体ネットワークを前記読出し波長の光で照射することと、
前記第2の時間期間中に前記出力共鳴体から放出される光の強度を検出することとをさらに含む、項目92~95のいずれかに記載の方法。
(項目97)
前記第1の時間期間中に前記出力共鳴体から放出される光の前記強度に基づいて、前記共鳴体ネットワークの環境内の前記第1の検体の存在または量を判定することをさらに含む、
項目92~96のいずれかに記載の方法。
(項目98)
第1の時間期間中に複数の共鳴体ネットワークを第1の入力波長の光で照射することであって、前記複数の共鳴体ネットワークの各共鳴体ネットワークが、
暗状態を有し、第1の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して前記暗状態に入ることができる第1の入力共鳴体、
読出し波長の照射からエネルギーを受け取ることができる読出し共鳴体、
2つまたはそれよりも多い仲介共鳴体、
出力共鳴体、および
骨格を含み、前記第1の入力共鳴体、前記読出し共鳴体、前記2つまたはそれよりも多い仲介共鳴体、および前記出力共鳴体が、前記骨格に連結され、前記骨格が、前記読出し共鳴体から前記出力共鳴体へ前記仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、さらに時間依存確率密度関数に応じて、前記読出し共鳴体が前記読出し波長の照射を受け取ったことに応答して、前記共鳴体ネットワークが前記出力共鳴体から光子を放出するように、前記第1の入力共鳴体、前記読出し共鳴体、前記2つまたはそれよりも多い仲介共鳴体、および前記出力共鳴体の相対位置を維持し、前記時間依存確率密度関数の検出可能な特性が、前記第1の入力共鳴体が前記暗状態にあるかどうかに関係する、照射することと、
前記第1の時間期間中に前記複数の共鳴体ネットワークを前記読出し波長の光で照射することと、
前記複数の共鳴体ネットワークの前記出力共鳴体からの複数の光子の放出の前記共鳴体ネットワークの前記照射に対するタイミングを検出することとを含む、
方法。
(項目99)
前記複数の共鳴体ネットワークの各共鳴体ネットワークが、第2の入力共鳴体をさらに含み、前記第2の入力共鳴体が暗状態を有し、第2の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して前記暗状態に入ることができ、前記時間依存確率密度関数の検出可能な特性が、前記第2の入力共鳴体が前記暗状態にあるかどうかに関係し、前記方法が、
前記第1の時間期間後の第2の時間期間中に前記複数の共鳴体ネットワークを前記第2の入力波長の光で照射することと、
前記第2の時間期間中に前記複数の共鳴体ネットワークを前記読出し波長の光で照射することと、
前記複数の共鳴体ネットワークの前記出力共鳴体からの複数の光子の放出の前記第2の時間期間中の前記共鳴体ネットワークの前記照射に対するタイミングを検出することとをさらに含む、項目98に記載の方法。
(項目100)
前記複数の共鳴体ネットワークの各共鳴体ネットワークが、第2の入力共鳴体をさらに含み、前記第2の入力共鳴体が暗状態を有し、第2の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して前記暗状態に入ることができ、前記時間依存確率密度関数の検出可能な特性が、前記第2の入力共鳴体が前記暗状態にあるかどうかに関係し、前記方法が、
前記第1の時間期間後の第2の時間期間中に前記複数の共鳴体ネットワークを前記第1の入力波長の光および前記第2の入力波長の光で照射することと、
前記第2の時間期間中に前記複数の共鳴体ネットワークを前記読出し波長の光で照射することと、
前記複数の共鳴体ネットワークの前記出力共鳴体からの複数の光子の放出の前記第2の時間期間中の前記共鳴体ネットワークの前記照射に対するタイミングを検出することとをさらに含む、項目98に記載の方法。
(項目101)
前記第1の時間期間中の前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、ランダム変数のサンプルを生成すること
をさらに含む、項目98~100のいずれかに記載の方法。
(項目102)
前記第1の時間期間後の第2の時間期間中に前記複数の共鳴体ネットワークを前記読出し波長の光で照射することと、
前記複数の共鳴体ネットワークの前記出力共鳴体からの複数の光子の放出の前記第2の時間期間中の前記共鳴体ネットワークの前記照射に対するタイミングを検出することと、
前記第2の時間期間中の前記複数の光子の放出の前記検出されたタイミングに基づいて、第2のランダム変数のサンプルを生成することと
をさらに含む、項目101に記載の方法。
(項目103)
第1の入力波長および読出し波長の照射を提供するように構成された光源と、
光感知体と、
共鳴体ネットワークと、
項目92~102に記載の方法のいずれかを実施するように前記光源および前記光感知体を動作させるように構成されたコントローラと
を備えるシステム。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【0016】
【0017】
【
図2A】
図2Aは、標識の様々な端子状態が生じている経時的な累積確率を示す図である。
【0018】
【
図2B】
図2Bは、標識の励起後に時間に応じて標識が光子を放出する確率を示す図である。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【
図4A】
図4Aは、標識の励起後に時間に応じて様々な異なる標識が光子を放出する確率を示す図である。
【0026】
【
図4B】
図4Bは、標識の励起後に時間に応じて2つの異なる標識の試料から受け取った光子のカウントを示す図である。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【
図7A】
図7Aは、ネットワーク内の共鳴体の概略図を示す図である。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の詳細な説明では、本説明の一部を形成する添付の図を参照する。これらの図では、文脈上別途指示しない限り、類似の記号は典型的に類似の構成要素を識別する。詳細な説明、図、および特許請求の範囲に記載する例示的な実施形態は、限定的であることを意味したものではない。本明細書に提示する主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態も利用することができ、他の変更を加えることもできる。本明細書に概略的に記載し図に示す本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置、置換え、組合せ、分離、および設計することができ、これらの構成はすべて本明細書にはっきりと企図されることが容易に理解されよう。
I.概要
【0054】
DNA自己集合および他の新進のナノスケール製造技法により、指定の構造の多くのインスタンスをナノスケールで精密に製作することが可能である。そのような精密さにより、発蛍光団、量子ドット、色素分子、プラズモンナノロッド、または他の光共鳴体を互いに対して精密な位置および/または配向に位置決めし、様々な光共鳴体ネットワークを作り出すことを可能にすることができる。そのような共鳴体ネットワークは、様々な異なる応用例を促進するように指定することができる。いくつかの例では、共鳴体ネットワークは、光励起(たとえば、照射パルスによる)と再放出との間の事前指定された時間関係を呈するように設計することができ、これにより、単一の励起波長および単一の検出波長を使用して検出することができる時間多重標識およびタガントを可能にすることができる。追加または別法として、これらの共鳴体ネットワークによる光再放出の励起に対するタイミングの確率的性質を活用して、ランダム変数のサンプルを生成することができる。これらの共鳴体ネットワークは、暗状態を呈する1つまたは複数の「入力共鳴体」を含むことができ、そのような入力共鳴体を含む共鳴体ネットワークは、論理ゲートまたは他の構造を実施して共鳴体ネットワークを通る励起子または他のエネルギーの流れを制御するように構成することができる。次いでそのような構造を使用して、たとえば、単一の共鳴体ネットワークによる様々な異なる検体の検出を可能にし、共鳴体ネットワークを使用して生成されるランダム変数の分布を制御し、生物試料を撮像するのに使用される1組の標識をさらに多重化し、または何らかの他の応用例を促進することができる。
【0055】
これらの共鳴体ネットワークは、発蛍光団、量子ドット、色素、ラマン色素、導電ナノロッド、発色団、または他の光共鳴体構造のネットワークを含む。ネットワークは、抗体、アプタマー、デオキシリボ核酸(DNA)もしくはリボ核酸(RNA)の鎖、または目的の検体(たとえば、目的の検体の表面タンパク質、分子エピトープ、特有の塩基配列、もしくは他の特有の特徴)への選択結合を可能にするように構成された他の受容体をさらに含むことができる。これらの標識を使用して、試料を観察し、試料の成分を識別し(たとえば、試料内の細胞、タンパク質、または他の粒子もしくは物質を識別する)、識別に基づいてそのような成分を分類し(たとえば、識別した細胞タイプもしくは他の特性に応じてフローサイトメータ内で細胞を分類する)、または何らかの他の応用例を促進することができる。
【0056】
この例示的な応用例では、生物もしくは材料試料または他の目的の環境内の多数の異なる標識の存在を検出、それらの標識を区別し、またはそれらの標識を他の方法で観察するように、そのような共鳴体ネットワークを適用することができる(たとえば、共鳴体ネットワークを抗体、アプタマー、または検体特有受容体に連結することによる)。そのような標識は、試料(たとえば、フローサイトメトリー装置のチャネル内)中の1つまたは複数の目的の検体の存在、量、または位置の検出を可能にすることができる。区別可能な標識の大きいライブラリへのアクセスを有することで、多数の異なる検体の同時検出を可能にすることができる。追加または別法として、区別可能な標識の大きいライブラリへのアクセスは、複数の標識を使用して同じ検体、たとえばその検体の異なるエピトープ、表面タンパク質、または他の特徴に結合することによって、特定の検体(たとえば、目的の細胞のタイプまたはサブタイプ)のより正確な検出を可能にすることができる。さらに、標識のそのような大きいライブラリへのアクセスは、たとえばそのような試料を光学的に照会するとき、試料中の濃度が異なる検体に対応する異なる標識の有効輝度がほぼ同じになることを確実にするように、対応する目的の検体の推定密度または数に応じた標識の選択を可能にすることができる。
【0057】
そのような標識は、励起スペクトル、放出スペクトル、蛍光寿命、蛍光強度、光退色への感受性、検体への結合もしくは何らかの他の環境要因に対する蛍光依存、再放出光の偏光、または何らかの他の光学特性に関して異なることによって区別可能とすることができる。しかし、放出または励起スペクトルに関する差に依拠するとき、利用可能な発蛍光団または他の光学的に区別可能な物質に対する制限、および目的の共通試料材料の波長透過性/適合性に対する制限のため、区別可能な標識の大きいライブラリを作り出すことは困難になる可能性がある。
【0058】
本開示は、時間的減衰プロファイルならびに/または励起および放出スペクトルに関して異なる光標識を指定、製作、検出、および識別する方法を提供する。追加または別法として、提供される標識は、既存の標識(たとえば、発蛍光団に基づく標識)に比べて強化された輝度を有することができ、パネル設計を促進するように、または異なる標識の相対輝度を可能にして何らかの他の考慮を促進するように、構成可能な輝度を有することができる。そのような標識は、標識の励起(たとえば、超高速のレーザパルスによる)後、標識による光の再放出の時間依存確率に関して異なることができる。追加または別法として、そのような標識は、標識の励起波長と標識の放出波長との差を増大させる(たとえば、直接のエネルギー移動が好ましくない入力共鳴体と出力共鳴体との間で励起子を伝送することを可能にするように、入力共鳴体と出力共鳴体との間に複数の仲介共鳴体を介在させることによる)ような共鳴体のネットワークを含むことができる。さらに、そのような標識は、標識を検出および識別するときにさらなる多重化を可能にするために、論理ゲートまたは他の光学的に制御可能な構造を含むことができる。
【0059】
そのような標識は時間的減衰プロファイルに関して異なることができるため、試料を単一波長の照射で照射することによって、かつ/または狭帯域の波長範囲内で試料から応答的に放出された光を検出することによって、そのような標識を試料中で検出および識別することができる。そのような検出例では、そのような標識を含む試料を照会するために使用される装置を簡略化することができ、かつ/または厳格な光学要件(たとえば、著しい自家蛍光を呈すること、光退色または他の有害な光学的影響に対して特定の感受性を有すること、狭帯域の透過性を有すること)を有する試料媒体の多数の標識の照会を促進することができる。
【0060】
各標識(または本明細書に記載する他の共鳴体ネットワーク)は、ネットワークを励起するための光エネルギー(たとえば、照会レーザパルスからのエネルギー)を受け取ることが可能な少なくとも1つの入力共鳴体と、共鳴体ネットワークを介して入力共鳴体からのエネルギー(たとえば、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)および/または何らかの他の機構を介して伝送される励起子として)を受け取ったことに応答して光子を放出することが可能な少なくとも1つの出力共鳴体とを含む。入力共鳴体(単数または複数)、出力共鳴体(単数または複数)、および1つまたは複数の追加の仲介共鳴体の相対位置は、共鳴体から共鳴体への励起子、電界、表面プラズモン、または他のエネルギーの移動を可能にし、したがってネットワークの特定の共鳴体が励起されたとき(たとえば、入力共鳴体)、その共鳴体は、その励起エネルギーを1つまたは複数の他の共鳴体(たとえば、出力共鳴体)へ移動させる機会を得る。そのような標識の各インスタンス内に存在する共鳴体(たとえば、標識の各インスタンスの複数の入力共鳴体)の数および配置を指定して、標識の輝度を設定することができる(たとえば、試料中に存在する検体に結合している可能性のある異なる標識によって試料から放出される光の強度を正規化する)。
【0061】
したがって、特定の標識の時間的減衰プロファイルは、共鳴体ネットワークの特性、たとえば共鳴体の識別情報および特性(たとえば、非放射減衰の確率、別の共鳴体への共鳴エネルギー移動の確率、または放射放出の確率)、ならびにネットワーク内の共鳴体の相対的な位置および配向に関係することができる。たとえば、入力共鳴体と出力共鳴体との間に連続的に複数の仲介共鳴体を配置して、共鳴体ワイヤを形成することができる。そのような共鳴体ネットワークの時間的減衰プロファイルは、ワイヤの長さに関係することができ、たとえばより長いワイヤは、より広いピークが時間的に後に位置する減衰プロファイルを呈することができる。区別可能な標識のライブラリは、標識の対応する減衰プロファイルが区別可能になるように、標識のそれぞれに対する共鳴ネットワークの特性を変動させることによって作製することができる。したがって、試料を照射し、試料からの光子の放出の照射に対するタイミングを検出することによって、試料中のそのような標識の存在、識別情報、または他の特性を検出することができる。
【0062】
追加または別法として、励起とそのような共鳴体ネットワークからの光の再放出と時間差の確率的性質を活用して、ランダム変数のサンプルを生成することができる。そのような共鳴体ネットワークの時間的減衰プロファイルは静的とすることができ(すなわち、ネットワークの構造によって設定されており、容易に修正または制御されない)、そのような例では、そのようなネットワーク(またはそのようなネットワークの母集団)からの光子再放出のタイミングを使用して、ネットワークの静的な時間的減衰プロファイルに関係する単一のランダム変数のサンプルを生成することができる。別法として、そのようなネットワークは、適当に光学的に刺激されたとき、暗状態(すなわち、ネットワーク内の他の共鳴体との間のエネルギーの伝送および/または受取り能力に関して無効化することができる)を呈する1つまたは複数の入力共鳴体を含むことができる。そのような入力共鳴体を使用して、ネットワークの時間的減衰プロファイルを経時的に調整することができ、たとえば共鳴体ネットワークを使用して、ネットワークのそれぞれの異なる光学的に制御可能な時間的減衰プロファイルに関係する様々な異なるランダム変数のサンプルを生成することを可能にすることができる。
【0063】
そのような暗状態を呈する共鳴体をネットワーク内へ組み込むことができ、したがってこれらの共鳴体が暗状態にあることで、ネットワークの異なる部分間(たとえば、入力と出力との間)のエネルギーの伝送を抑制および/または促進する。たとえば、そのような入力共鳴体は、2つの他の共鳴体間に位置することができ、したがって入力共鳴体が暗状態にあるとき、その入力共鳴体を介した2つの他の共鳴体間のエネルギー伝送は妨害される。別の例では、入力共鳴体が暗状態にないとき、その入力共鳴体がネットワーク内の1つまたは複数の他の共鳴体からのエネルギーを優先的に受け取るように、ネットワーク内に入力共鳴体を配置することができる。したがって、入力共鳴体を暗状態にすることは、入力共鳴体がネットワークからのエネルギーを「シンク」することを防止するように作用することができる。
【0064】
したがって、その暗状態を呈する共鳴体を共鳴体ネットワーク内へ組み込んで、ネットワーク内に論理機能を提供することができる。たとえば、そのような共鳴体ネットワークは、論理演算を実行するように構成することができ、関連する入力共鳴体を誘起して暗状態にすることによって(たとえば、入力共鳴体(単数または複数)の励起波長の照射で関連する入力共鳴体を照射することによって)、入力がネットワーク内へ「プログラム」される。次いで、ネットワークの追加の共鳴体(「読出し共鳴体」)を光学的に励起し、ネットワークの出力共鳴体から応答的に放出された光子を検出することによって、この論理演算を「読み出す」ことができる。
【0065】
そのような共鳴体ネットワークはまた、試料または別の目的の環境の特性を感知するために、たとえば生物試料中の1つまたは複数の目的の検体の存在または量を検出するために使用することができる。ネットワークの1つまたは複数の共鳴体は、目的の変数に対する本質的な感受性を有することができる(たとえば、環境のpHが特定の範囲内にあるときに共鳴体を消光させることができる)。追加または別法として、ネットワークは、共鳴体ネットワークの1つまたは複数の検出可能な特性(たとえば、励起に応答した再放出の確率、励起および再放出の時間的減衰プロファイル)を変えるように構成された感知体を含むことができる。たとえば、ネットワークは、受容体(たとえば、抗体、アプタマー、相補的DNAまたはRNAの鎖)を含むことができ、そのような受容体は、検体に結合されているときにネットワークの共鳴体を消光させ、検体に結合されていないときにネットワークの共鳴体を消光させ、検体に結合されているときにネットワークの1つまたは複数の共鳴体の相対位置を修正し、または検体のインスタンスに結合されているかどうかに応じて共鳴体ネットワークの構成および/もしくは挙動を他の方法で修正する。そのような共鳴体ネットワークは、論理エレメント(たとえば、1つまたは複数の暗状態を呈する共鳴体)を含むことができ、単一の共鳴体ネットワークを使用して(たとえば、ネットワークの様々な異なる受容体のうちの特定の受容体を「アドレス」するように暗状態の入力共鳴体を制御することによって)、複数の異なる検体を検出することができる。
【0066】
そのような標識の共鳴体ネットワークは、様々な技法を介して作製することができる。いくつかの例では、DNA自己集合を使用して、標識内の共鳴体の相対位置が所望の時間的減衰プロファイルに応じて指定された位置に対応することを確実にすることができる。たとえば、ネットワークの各共鳴体を、それぞれの指定されたDNA鎖に連結することができる。各DNA鎖は、DNA鎖が指定された相対位置で共鳴体を維持するナノ構造に自己集合するように、1つまたは複数の他のDNA鎖の部分を補完する1つまたは複数の部分を含むことができる。
II.時間多重化のための指定された共鳴体ネットワークを使用する標識
【0067】
本明細書に記載する標識は、照射に応答する時間的減衰プロファイルに関して区別可能に異なるように作製することができる。これは、標識の共鳴体のネットワークの識別情報、数、相対的な位置および/もしくは配向、トポロジ、または他の特性を指定することによって実現することができる。共鳴体のこれらの特性は、その結果得られる時間的減衰プロファイルが所望の時間的減衰プロファイルに対応するように指定することができる。たとえば、標識の共鳴体ネットワークは、標識の時間的減衰プロファイルが、それぞれの指定の幅、正規化された振幅、平均遅延時間、または他の特性もしくは特徴を有する1つまたは複数のピークを含み、したがって標識の時間的減衰プロファイルが試料または目的の環境内に存在する1つまたは複数の他の標識および/または背景材料(たとえば、細胞または他の生物試料の蛍光タンパク質)から区別可能になるように指定することができる。
【0068】
概して、そのような標識の共鳴体ネットワークは、少なくとも1つの入力共鳴体、1つまたは複数の仲介共鳴体、および少なくとも1つの出力共鳴体を含む。共鳴体は、発蛍光団、ラマン色素、量子ドット、色素、ピグメント、導電ナノロッド、または他のナノ構造、発色団、もしくは他の物質とすることができ、1つの共鳴体から別の共鳴体へ単体として移動させることができる励起子、電界、表面プラズモンの形のエネルギー、または何らかの他の形のエネルギーを、ネットワーク内の1つまたは複数の他の共鳴体から受け取ることができ、かつ/またはそのようなエネルギーを1つまたは複数の他の共鳴体へ伝送することができる。
【0069】
ネットワークの少なくとも1つの入力共鳴体は、標識が照射された結果(たとえば、入力共鳴体の励起波長に対応する波長を有するレーザパルスによる)、エネルギーをネットワーク内へ受け取ることができる。ネットワークの少なくとも1つの出力共鳴体は、標識の照射に対する放出のタイミングを検出および使用することができる光子の形のネットワークからのエネルギーを、試料(たとえば、試料内の標識の追加のインスタンス、または試料の繰返し照射の結果である標識の特定のインスタンス)から検出された複数の追加の光子とともに伝送して、標識を識別することができる。入力共鳴体、出力共鳴体、および1つまたは複数の仲介共鳴体は、入力共鳴体(単数または複数)を介してネットワーク内へ受け取ったエネルギー(たとえば、励起子)を、ネットワークを介して出力共鳴体(単数または複数)へ伝送することができるような共鳴体ネットワークを形成するように配置される。
【0070】
「入力」、「仲介」、または「出力」として示すネットワーク内のあらゆる特定の共鳴体の標識は、非限定的であることを意味したものであることに留意されたい。ネットワークの特定の共鳴体は、1つまたは複数の他の共鳴体に対する仲介共鳴体として作用することができ、ネットワークに対する入力共鳴体および/または出力共鳴体として作用することもできる。さらに、本明細書に記載する標識は、2つの共鳴体(たとえば、「入力」共鳴体および「変調」共鳴体)のみを含むことができ、本明細書に記載するように、少なくとも入力共鳴体を励起することができる照射に標識を曝露し、入力共鳴体または変調共鳴体のうちの少なくとも1つから応答的に放出された複数の光子の放出の照射に対するタイミングを検出することによって、この標識を照会することができる。入力共鳴体(たとえば、発蛍光団、導電ナノロッド、または他のナノ粒子、量子ドット)は、エネルギー(たとえば、励起子、電界)が入力共鳴体から変調共鳴体(たとえば、発蛍光団、導電ナノロッド、または他のナノ粒子、量子ドット、非蛍光性の吸光性分子、もしくは物質)へ移動することができ、かつ/または変調共鳴体から入力共鳴体へ戻ることができるように、標識内に配置することができる。
【0071】
次いで、そのような2つの共鳴体を有する標識の識別情報、または同じ共鳴体から光を放出することができ、それによって複数の光子の放出の検出された相対的なタイミングに基づいて、標識が照射からエネルギーを受け取ることができる本明細書に記載する何らかの他の標識の識別情報を判定することができる。たとえば、標識は、検出されたタイミングを1組の既知の時間的減衰プロファイルと比較することによって識別することができ、標識は、1組の既知の時間的減衰プロファイルのうちの時間的減衰プロファイルの1つに対応する。そのような例では、標識の時間的減衰プロファイルは、共鳴体の識別情報を指定し、共鳴体の相対的な位置および/または配向を精密に制御することによって調整することができる(たとえば、DNA自己集合を使用する)。
【0072】
全体として共鳴体および共鳴体ネットワークの特定の構成の結果、出力共鳴体(または標識の入力共鳴体、仲介共鳴体、変調共鳴体、もしくは何らかの他の共鳴体)からの光子の放出の標識の照射に対するタイミングが、特有の時間遅延プロファイルを呈する。したがって、試料からの複数の光子の放出の試料の照射(1つまたは複数の照射期間中)に対するタイミングを検出および使用して、試料中の標識(単数または複数)の特定の時間的減衰プロファイル(単数または複数)に基づいて、試料中の標識を識別し、または試料中の1つもしくは複数の追加の標識を識別することができる。
【0073】
図1Aは、本明細書に記載する例示的な標識100の共鳴体およびこれらの共鳴体間の潜在的なエネルギー移動の概略図を示す。例示的な標識100は、入力共鳴体110a、仲介共鳴体110b、および出力共鳴体110cを含む。入力共鳴体110aは、標識100の環境から照射101を受け取ることによって励起することができる。励起された後、入力共鳴体110aは、光子140a、エネルギーが(たとえば、熱として)環境へ失われるように非放射性減衰130a、または仲介共鳴体110bへの移動エネルギー120a(たとえば、フェルスター共鳴エネルギー移動プロセスを介する)を放射放出することができる。励起されたことに応答して、仲介共鳴体110bは、光子140b、非放射性減衰130b、出力共鳴体110cへの移動エネルギー120b、または入力共鳴体110aへの移動エネルギー125aを放射放出することができる。出力共鳴体110cは、励起されたことに応答して、光子140c、非放射性減衰130c、または仲介共鳴体110bへの移動エネルギー125bを放射放出することができる。
【0074】
例として、異なるエネルギー遷移/移動の相対確率は、代表的な矢印の相対的な線の太さによって
図1Aに示されている。したがって、例示的な標識100の場合、入力共鳴体110aがエネルギーを仲介共鳴体110bへ移動させ、仲介共鳴体110bがエネルギーを出力共鳴体110cへ移動させ、出力共鳴体110cが光子140cを放射放出する可能性が最も高い。
【0075】
特定の共鳴体からの各遷移の時間依存性は、特定の分布を有するランダム変数によって経時的に表すことができる。たとえば、仲介共鳴体110bが出力共鳴体110cへエネルギーを移動させる(たとえば、励起子を移動させる)ことは、時間ドメインにおいて指数分布させたランダム変数に応じて行うことができる。これらのランダム変数を、標識100の共鳴体ネットワークの構造および他の特性とともに使用して、たとえば連続時間マルコフ連鎖を使用して、標識100の挙動をモデル化することができる。次いで、そのようなモデルを使用して、照射101による入力共鳴体110aの励起から出力共鳴体110cによる光子140cの放出までの標識100の全体的な時間的減衰プロファイルを予測することができる。
【0076】
図1Bは、共鳴体の励起状態に応じて標識100の潜在的な状態をモデル化するために使用することができる状態図を示す。このモデルは、単体のエネルギー(たとえば、単一の励起子)のみが照射101から入力共鳴体110aを介して受け取られるため、標識100の共鳴体のうちの1つのみを励起することができると仮定する。次いで、この単体のエネルギーは、共鳴体間で移動することができ、かつ/または共鳴体ネットワークを出ることができる(たとえば、光子の放出を介して、もしくは非放射減衰プロセスによる)。このモデルは、入力共鳴体110a(「励起された入力」)、仲介共鳴体110b(「励起された仲介」)、および出力共鳴体110c(「励起された出力」)の励起に対する状態を含む。このモデルはまた、共鳴体(「減衰された入力」、「減衰された仲介」、および「減衰された出力」)のそれぞれからの非放射減衰、ならびに共鳴体(「放出された入力」、「放出された仲介」、および「放出された出力」)のそれぞれからの放射光子放出に対する吸収状態を含む。
【0077】
各遷移に対する遷移確率も示されている。これらの遷移確率は、共鳴体の識別情報(たとえば、共鳴体の本質的な蛍光寿命、フェルスター半径)、共鳴体の相対位置、距離、および/もしくは配向(たとえば、1対の共鳴体のフェルスター半径に対する距離)、または標識100の何らかの他の特性に関係することができる。したがって、共鳴体ネットワーク内の共鳴体の相対位置および識別情報を指定して、モデルの遷移確率およびトポロジを制御し、したがって標識100の予測された時間的減衰プロファイルを制御することができる。
【0078】
一例では、標識は、Alexa Fluor448色素を入力共鳴体として、Alexa Fluor594色素を出力共鳴体として含み、入力共鳴体および出力共鳴体は互いに近傍に位置し、したがって入力共鳴体は、入力共鳴体が照射(たとえば、極短レーザパルスによる)によって励起されたことに応答してエネルギーを励起子として出力共鳴体へ伝送することができる。
図2Aは、入力共鳴体が光子を放出する確率(「AF448蛍光」)、入力共鳴体が減衰する確率(「AF448非放射減衰」)、出力共鳴体が光子を放出する確率(「AF594蛍光」)、出力共鳴体が減衰する確率(「AF594非放射減衰」)を経時的に示す。
図2Aは、これらのプロセスのうちの少なくとも1つが発生した確率(「励起子緩和」)を経時的に示す。
【0079】
これらの確率から、この標識の時間的減衰プロファイルを判定することができる。これは、
図2Bに「AF594蛍光」として示されている。したがって、標識の複数のインスタンスが試料中に存在し、かつ/または標識の単一のインスタンスを含む試料が複数回照射された場合、出力共鳴体からの光子の放出(たとえば、Alexa Fluor594色素の放出波長)のタイミングは、試料の照射に対して、示されている時間的減衰プロファイルに対応する経時的な分布を呈するはずである。逆に、入力共鳴体からの光子の放出(たとえば、Alexa Fluor488色素の放出波長)のタイミングは、試料の照射に対して、
図2Bに示す他の時間的減衰プロファイルに対応する経時的な分布を呈するはずである(「AF488蛍光」)。
【0080】
特定の波長(たとえば、標識の出力共鳴体の放出波長)における特定の標識の時間的減衰プロファイルは、標識の共鳴体ネットワークのトポロジ、構造、共鳴体タイプ、または他の特性を指定することによって制御することができる。したがって、時間的減衰プロファイルが試料または他の目的の環境内で互いおよび/または背景プロセス(たとえば、蛍光)から区別可能になるように(たとえば、そのような標識を含む試料からの光子の検出のために特定の時間分解能を有する特定の検出装置によって)、それぞれの共鳴体ネットワークを指定することによって、異なる区別可能な標識のライブラリを作製することができる。これは、時間的減衰プロファイル間の統計的ダイバージェンス(たとえば、カルバック-ライブラーダイバージェンス、イェンセン-シャノンダイバージェンス、ブレッグマンダイバージェンス、またはフィッシャー情報量)の測度を最大化または増大させるように、時間的減衰プロファイルを指定することを含むことができる。追加または別法として、時間的減衰プロファイルは、時間的減衰プロファイル内に存在する1つまたは複数のピークのタイミング、幅、形状、数、または他の特性に関して異なるように指定することができる。
【0081】
共鳴体ネットワークは、様々な方法を使用して所望の時間的減衰プロファイルを提供するように判定することができる。たとえば、発見的方法を使用して、ネットワークの共鳴体ワイヤ内の共鳴体の数、ネットワーク内でネットワークの入力と出力との間にある平行の共鳴体ワイヤの数、ネットワークの共鳴体の識別情報(たとえば、共鳴体の励起および/もしくは放出スペクトルに関する)、またはネットワークの他の特性を変動させ、時間的減衰プロファイル内のピークの数、幅、もしくは遅延、時間的減衰プロファイルの平均遅延、または時間的減衰プロファイルの他の特性の関連する変化を提供することができる。追加または別法として、遺伝的アルゴリズム、機械学習、または他の技法のような自動化された方法を使用して、時間的減衰プロファイルが区別可能になるように1つもしくは複数の共鳴体ネットワークの構成を指定することができ、または何らかの他の利益を提供することができる。次いで、そのような標識の時間的減衰プロファイルを実験的に検証することができ、実験的に判定された時間的減衰プロファイルを使用して、試料または他の目的の環境内に存在する標識を識別することができる。
【0082】
図3Aは、本明細書に記載する例示的な標識300aの共鳴体およびこれらの共鳴体間の潜在的なエネルギー移動の概略図を示す。例示的な標識300aは、入力共鳴体(「IN」)、2つの仲介共鳴体(「M1」および「M2」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。これらの入力共鳴体は、標識300aの環境からの照射(たとえば、入力共鳴体の励起波長の照射)を受け取ることによって励起することができる。2つの仲介共鳴体が、入力共鳴体と出力共鳴体との間に共鳴体ワイヤとして配置される。すなわち、2つの仲介共鳴体は、ワイヤ内の各共鳴体が2つの隣接する共鳴体からエネルギーを受け取ることができ、かつ/または2つの隣接する共鳴体へエネルギーを伝送することができるように配置される。そのような共鳴体ワイヤ内の共鳴体の数を指定して、標識300aの時間的減衰プロファイルを調整することができ、たとえば減衰プロファイル内のピークの遅延または幅を調整し、減衰プロファイルの平均減衰を増大させ、または時間的減衰プロファイルの何らかの他の特性を調整することができる。
【0083】
例として、共鳴体間の異なるエネルギー移動の相対確率は、代表的な矢印の相対的な線の太さによって
図3Aに示されている。したがって、例示的な標識300aの場合、入力共鳴体がエネルギーを第1の仲介共鳴体(M1)へ移動させる可能性が逆よりより高い。また、第2の仲介共鳴体(M2)がエネルギーを出力共鳴体へ移動させる可能性も逆より高い。第1の仲介共鳴体がエネルギーを第2の仲介共鳴体へ移動させる可能性は、第2の仲介共鳴体がエネルギーを第1の仲介共鳴体へ移動させる可能性にほぼ等しい。したがって、エネルギーは概して、入力共鳴体から仲介共鳴体へ、仲介共鳴体から出力共鳴体へと一方向に進む。逆に、エネルギーは、光子として出力共鳴体(もしくは仲介共鳴体のうちの1つ)から放出される前、または非放射プロセスを介して失われる前は、仲介共鳴体間で双方向に進むことができる。
【0084】
図3Aの標識300aは、2つのエレメントを有する共鳴体ワイヤを組み込む標識を示し、エネルギーはワイヤ内の隣接する共鳴体間で双方向に移動させることができる。そのような双方向のエネルギー移動は、第1の仲介共鳴体の放出スペクトルが第2の仲介共鳴体の励起スペクトルに大きく重複し、逆も同様になるように、ワイヤ内の共鳴体を選択することによって実現することができる。これは、ワイヤ内の仲介共鳴体の両方に対して同じ発蛍光団(たとえば、Alexa Fluor594)を選択することによって達成することができる。
【0085】
別法として、共鳴体ネットワーク内の1つまたは複数の対の仲介共鳴体(たとえば、共鳴体ワイヤ内の隣接する共鳴体)は、エネルギーが概してそのような対の共鳴体間で一方向に進むように指定することができる。
図3Bは、そのような共鳴体対を含む例示的な標識300bの概略図を示す。例示的な標識300bは、入力共鳴体(「IN」)、2つの仲介共鳴体(「M1」および「M2」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。これらの共鳴体間の異なるエネルギー移動の相対確率は、代表的な矢印の相対的な線の太さによって
図3Bに示されている。したがって、例示的な標識300bの場合、入力共鳴体が第1の仲介共鳴体(M1)へエネルギーを移動させる可能性が逆より高い。また、第1の仲介共鳴体(M1)が第2の仲介共鳴体(M2)へエネルギーを移動させる可能性が逆より高く、第2の仲介共鳴体(M2)が出力共鳴体へエネルギーを移動させる可能性が逆より高い。したがって、エネルギーは概して、入力共鳴体から仲介共鳴体を通って出力共鳴体へ一方向に進む。そのような標識300bの時間的減衰プロファイルは、より狭くかつ/もしくはより遅延の少ないピークを呈することができ、ならびに/または第1の例示的な標識300aの時間的減衰プロファイルに比べて全体的に低減された平均遅延を呈することができる。
【0086】
本明細書に記載する標識は、任意の長さおよび/または組成を有する複数の共鳴体ワイヤ(たとえば、共通の入力および出力共鳴体間に接続された類似のまたは異なる組成の複数の共鳴体ワイヤ)を含むことができる。たとえば、
図3Cは、任意の長さの共鳴体ワイヤを含む(すなわち、「n」個の共鳴体を含む)例示的な標識300cの概略図を示す。例示的な標識300cは、入力共鳴体(「IN」)、「n」個の仲介共鳴体(「M1」、「M2」、「M3」、「M4」、...、および「Mn」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。代表的な矢印の相対的な線の太さによって
図3Cに示すように、共鳴体ワイヤ内の隣接する仲介共鳴体間のエネルギー移動は双方向である。しかし、そのような共鳴体ワイヤの対の共鳴体間の遷移のうちの1つまたは複数を一方向にすることができる。
【0087】
本明細書に記載する標識の共鳴体ネットワークは、異なるトポロジ、たとえば分岐トポロジを表すことができる。そのような分岐トポロジは、複数の異なる共鳴体ワイヤを含むことができ、そのような共鳴体ワイヤの末端は、入力共鳴体、出力共鳴体、仲介共鳴体(たとえば、1つもしくは複数の他の共鳴体ワイヤの末端共鳴体)に接続され、または所望の時間的減衰プロファイルを呈する標識を提供するように何らかの他の方式で接続される。
【0088】
図3Dは、エネルギーが出力共鳴体によって放出されるように共鳴体ネットワークを通って進むことができる2つの経路を含む例示的な標識300dの概略図を示す。例示的な標識300dは、入力共鳴体(「IN」)と、入力共鳴体からエネルギーを受け取ることができ、出力共鳴体へエネルギーを伝送することができる第1の仲介共鳴体(「M1」)と、入力共鳴体から出力共鳴体へエネルギーを伝送することができる共鳴体ワイヤとして配置された3つの追加の共鳴体(「M2」、「M3」、および「M4」)とを含む。代表的な矢印の相対的な線の太さによって示すように、共鳴体ワイヤ内の隣接する仲介共鳴体間のエネルギー移動は双方向である。そのような共鳴体ネットワークは、他の時間的減衰プロファイルの混合物である時間的減衰プロファイルを呈することができ、これはたとえば、入力、出力、および第1の共鳴体のみを含む標識の第1の時間的減衰プロファイルと、入力、出力、および共鳴体ワイヤ(すなわち、仲介共鳴体「M2」、「M3」、および「M4」)のみを含む標識の第2の時間的減衰プロファイルとの混合物である。共鳴体ネットワークは、仲介共鳴体、入力共鳴体、および/または出力共鳴体の2次元または3次元の領域を含むことができる。そのような任意の共鳴体ネットワークは、遺伝的アルゴリズムまたは他の自動化されたプロセスを介して、所望の時間的減衰プロファイルを提供するように、または何らかの他の基準を満たすように判定することができる。
【0089】
本明細書に記載する標識の共鳴体ネットワークは、複数の入力共鳴体および/または複数の出力共鳴体を含むことができる。そのような複数の入力および/または出力共鳴体を提供して、様々な利益を提供することができ、たとえば標識の有効時間的減衰プロファイルを調整することができ、標識が照射に応答して励起される確率を増大させ、かつ/もしくは標識の有効輝度を増大させることができ、標識の励起および/もしくは検出への波長依存多重化を提供することができ(たとえば、複数のスペクトル的に別個の入力共鳴体のうちのどれが励起されるかに応じて、標識が異なる時間的減衰プロファイルを呈することによる)、または何らかの他の利益を提供することができる。複数の入力共鳴体は、同じにすることができ(すなわち、それぞれ同じ発蛍光団、量子ドット、もしくは他の光学エレメントを含むことができる)、または異なることができる(たとえば、異なる発蛍光団とすることができ、したがって異なる入力発蛍光団がそれぞれの異なる波長の光によって励起される)。複数の出力共鳴体は、同じにすることができ(すなわち、それぞれ同じ発蛍光団、量子ドット、もしくは他の光学エレメントを含むことができる)、または異なることができる(たとえば、異なる発蛍光団とすることができ、したがって異なる出力発蛍光団がそれぞれの異なる波長の光を放出する)。追加または別法として、標識の単一のインスタンスは、標識の有効輝度を増大および/もしくは制御するため、標識を識別するために必要な光パルスの時間および/もしくは数を低減させるため、または何らかの他の利益を提供するために、複数の別個のまたは相互接続された共鳴体ネットワーク(たとえば、同じ共鳴体ネットワークの複数のコピー)を含むことができる。
【0090】
図3Eは、入力共鳴体(「IN」)、2つの仲介共鳴体(「M1」および「M2」)、および第1の出力共鳴体(「OUT1」)を含む例示的な標識300eの概略図を示す。標識は、必要に応じて、第2の出力共鳴体(「OUT2」)および第3の出力共鳴体(「OUT3」)をさらに含む。追加の出力共鳴体は、標識300eの時間的減衰プロファイルを調整するために提供することができる。たとえば、第2の出力共鳴体は、第1の出力共鳴体と同じにすることができ(たとえば、同じ放出スペクトルを有することができる)、第2の仲介共鳴体が励起された後に標識300eがエネルギーを放出する確率を増大させるために、標識300eに追加することができる(たとえば、第2の仲介共鳴体からのエネルギーが第1または第2の出力共鳴体のうちの1つから移動し、次いで出力共鳴体のうちの1つが受け取ったエネルギーを光子として放出することができる確率を2倍にすることによる)。
【0091】
追加または別法として、追加の出力共鳴体は、放出波長または放出スペクトルに関して異なることができ、異なる出力共鳴体に対応する異なる波長で時間的減衰プロファイルのスペクトル多重検出を促進するために提供することができる。たとえば、第3の出力共鳴体は、第1の出力共鳴体とは異なることができ(たとえば、異なる放出スペクトルを有することができる)、この第3の出力共鳴体を標識300eに追加することができ、したがって標識300eは、出力共鳴体の一方または他方から光子を放出することができる。波長に関して異なるそのような光子は、標識300eに対する(または標識を含む試料からの)2つの異なる時間的減衰プロファイルを判定するために別個に検出および使用することができ、そのような複数の検出された時間的減衰プロファイルを使用して、標識300eを識別することができる。
【0092】
図3Fは、第1の入力共鳴体(「IN1」)、2つの仲介共鳴体(「M1」および「M2」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む例示的な標識300fの概略図を示す。標識は、必要に応じて、第2の入力共鳴体(「IN2」)および第3の入力共鳴体(「IN3」)をさらに含む。追加の入力共鳴体は、標識300fの時間的減衰プロファイルを調整するために、または標識300fが照射への曝露によって励起される確率を増大させるために提供することができる。たとえば、第2の入力共鳴体は、第1の入力共鳴体と同じにすることができ(たとえば、同じ励起スペクトルを有することができる)、標識300fが照射に応答してエネルギーを受け取る確率を増大させるために、標識300fに追加することができる(たとえば、照射の光子が第1または第2の入力共鳴体のうちの少なくとも1つによって吸収される確率を2倍にすることによる)。
【0093】
追加または別法として、追加の入力共鳴体は、励起波長または励起スペクトルに関して異なることができ、標識300fのスペクトル多重励起を促進し、したがって異なる入力共鳴体に対応する異なる波長で時間的減衰プロファイルのスペクトル多重検出を促進するために提供することができる。たとえば、第3の入力共鳴体は、第1の入力共鳴体とは異なることができ(たとえば、異なる励起スペクトルを有することができる)、それぞれ第1および第2の時間期間中に提供される波長に関して異なる第1および第2の照射によって、第1および第2の時間期間中に標識300fを励起することができるように、標識300fに追加することができる。標識300fが励起される入力共鳴体に関して異なる標識300fのそのような励起は、それぞれの異なる時間的減衰プロファイルによって特徴付けることができ、したがって標識300fに対する(または標識を含む試料からの)2つの異なる時間的減衰プロファイルを判定するために別個の時間期間中に検出および使用することができ、そのような複数の検出された時間的減衰プロファイルを使用して、標識300fを識別することができる。
【0094】
本明細書に記載する標識の共鳴体ネットワークは、ランダム変数のサンプルを生成するために用いることもできることに留意されたい。ランダム変数のサンプルは、共鳴体ネットワーク/標識の励起と、共鳴体ネットワーク/標識から応答的に放出された1つまたは複数の光子の検出のタイミングとの間の時間の差に基づいて生成することができる。ランダム変数の特定の分布は、共鳴体ネットワーク/標識の時間的減衰プロファイルに関係することができる。たとえば、生成されたサンプルの値は、共鳴体ネットワーク(単数または複数)の照射のタイミングと、共鳴体ネットワーク(単数または複数)から応答的に放出された1つまたは複数の光子の検出のタイミングとの間で検出された時間差の関数とすることができる。生成されたランダム変数の分布は、共鳴体ネットワーク(単数または複数)の時間的減衰プロファイル、および検出された時間差からランダム変数のサンプルを生成するために適用される関数に関係することができる。共鳴体ネットワーク(単数または複数)の構造は、検出された時間差からサンプルを生成するための関数が演算的に扱いやすくかつ/または効率的に演算できるように指定することができる(たとえば、特定の時間的減衰プロファイルまたは他の時間依存確率密度関数を呈する)。
III.試料中の標識を識別する例示的なシステムおよび方法
【0095】
様々な応用例では、試料(たとえば、生物試料、もしくはフローサイトメータ内の細胞の流れ)または何らかの他の目的の環境を照会して、試料または他の目的の環境内に存在しうる本明細書に記載する標識の存在、識別情報、絶対的もしくは相対的な量、または他の特性を検出することが有益である。そのような照会は、試料の撮像を促進することができ、たとえば試料内に存在する1つまたは複数の検体に関する位置、濃度、または他の情報、およびどの1つまたは複数の様々な標識が結合するように構成されているかを判定することができる。そのような照会は、細胞、タンパク質、RNA鎖、または試料の他の成分の識別を促進して、そのような成分を分類し、または何らかの他の利益を提供することができる。たとえば、フローサイトメトリー装置は、細胞(または他の目的の粒子)が流れる流れチャネルを含むことができる。本明細書に記載するように、そのような流れチャネルを照会して、チャネル内の1つもしくは複数の標識および/もしくは細胞のタイプもしくはサブタイプを識別し、細胞の特性を判定し、または識別された標識に基づいて何らかの他の情報を判定することができる。次いで、そのような情報を使用して、たとえば細胞タイプに応じて、細胞を分類することができる。
【0096】
目的の環境内の標識を検出および/または識別するそのような方法は、目的の環境へ照射(たとえば、1つまたは複数の極短パルスの照射の形)を提供することと、照射に応答して環境から放出された光子の1つまたは複数の特性(たとえば、そのような光子の波長またはスペクトル、たとえば照射の1つまたは複数のパルスの照射のタイミングに対するそのような光子の放出のタイミング)を検出することを含むことができる。これは、単一の照射パルスを提供することと、環境内の1つまたは複数の標識の複数のインスタンスから応答的に放出された光子を検出することとを含むことができる。追加または別法として、1つまたは複数の標識の1つまたは複数のインスタンスを複数の照射パルスによって複数回照射することができ、応答的に放出された光子の照射パルスに対するタイミングを検出することができる。次いで、応答的に放出された光子のタイミングに関する情報を使用して、環境内に存在する1つまたは複数の標識を識別し、そのような標識の結合状態もしくは他の特性を判定し、環境内の標識(単数または複数)の絶対的もしくは相対的な量を判定し、または環境内に存在する本明細書に記載する1つまたは複数の標識に関係する何らかの他の情報を判定することができる。
【0097】
照射は、1つまたは複数の照射パルスとして環境へ提供することができる。提供された照射は、指定の波長、たとえば標識のうちの1つまたは複数の入力共鳴体の励起波長を有することができる。そのような励起波長は、たとえば標識のいくつかまたはすべてが同じ発蛍光団、量子ドット、色素、または他の光学的物質もしくは構造を入力共鳴体(単数または複数)として含むため、目的の環境内に存在する標識のいくつかまたはすべてに対して共通とすることができる。追加または別法として、複数の異なる波長の光を提供して、たとえば複数の異なる標識の複数の異なる入力共鳴体を励起することができる。いくつかの例では、そのような異なる波長の光を異なる時点で(たとえば、異なる照射パルスの一部として)提供して、複数の異なる標識および/または複数の異なる組の標識のスペクトル多重検出を促進することができる。いくつかの例では、単一の標識が複数の異なる入力共鳴体を含むことができ、異なる入力共鳴体をそれぞれの異なる波長の光によって、たとえばそれぞれの異なる照射パルスの一部として励起することができる。
【0098】
環境内の標識の識別を改善するために、環境を照会するために使用される照射パルスは、極短パルス(たとえば、アト秒からナノ秒程度の持続時間を有するパルス)とすることができる。そのような極短パルスは、モード同期発振器から放出された広帯域パルスとして提供することができる。標識が長寿命状態を有する共鳴体(たとえば、ランタニド原子または他のランタニド化合物もしくは錯体)を含む例では、照射パルスは、たとえばマイクロ秒程度のより長い持続時間を有することができる。
【0099】
そのような照射パルスに対する、照射パルスに応答した環境からの光子の放出のタイミングは、様々な方法で検出することができる。いくつかの例では、個々の光子のタイミングは、たとえば1つまたは複数の単一光子アバランシェダイオード、光電子増倍管、または他の単一光子検出器を使用して検出することができる。そのような検出器の出力を、時間相関単一光子カウンタの一部として使用して、環境へ照射パルスが提供された後の時間の関数として判定される光子のカウントを判定することができる。そのような検出された光子のタイミングを使用して、試料の照射に応答した試料からの光子の放出のタイミングに対する確率密度関数を判定することができる。
【0100】
追加または別法として、環境からの光子の放出のタイミングを検出することは、放出された光子の速度もしくは強度における1つまたは複数のピークのタイミングを検出すること、または放出された光子のタイミングの何らかの他の集約特性を検出することを含むことができる(たとえば、既知の時間的減衰プロファイルの対応するピークの遅延に整合させることができる光子の放出速度のピークの遅延タイミングを判定する)。そのような検出は、目的の環境から放出された光子を受け取るように構成された単一光子アバランシェダイオードまたは他の光検出器エレメントの出力に、ピーク検出器、微分器、整合フィルタ、または何らかの他のアナログもしくはデジタル信号処理技法を適用することを含むことができる。
【0101】
1つまたは複数の既知の標識が目的の環境内に存在することができ、そのような標識の識別情報および/または環境内の標識に関する何らかの他の情報を判定することが有益である。上述したように、そのような標識は、時間的減衰プロファイルに応じて区別することができ、すなわち既知の各標識は、それぞれの異なる時間的減衰プロファイルによって特徴付けることができる。したがって、環境内に存在する1つまたは複数の標識の識別情報は、環境からの光子の放出の検出されたタイミングを、時間的減衰プロファイルのディクショナリと比較することによって判定することができ、ディクショナリ内の時間的減衰プロファイルはそれぞれ、環境内に存在しうるそれぞれの既知の標識に対応する。
【0102】
図4Aは、6つの異なる時間的減衰プロファイルを示し、それぞれ6つの既知の標識のうちの1つに対応する。既知の標識はそれぞれ、同じ入力共鳴体(たとえば、Alexa
Fluor430)および出力共鳴体(たとえば、Alexa Fluor750)を有し、これらは同じ仲介共鳴体(たとえば、Alexa Fluor594)のうちの1つまたは複数とともに共鳴体ワイヤを形成する。既知の標識は、仲介共鳴体の数に関して異なる。環境から受け取られた光子のタイミングに関する情報を時間的減衰プロファイルと比較し、これを使用して、もしあれば既知の標識のうちのどれが環境内に存在するかを判定することができる。これは、環境からの光子の放出のピーク速度の遅延を、既知の時間的減衰プロファイルのそれぞれのピークの遅延と比較することを含むことができる。
【0103】
追加または別法として、検出された光子の放出のタイミングを使用して、試料の照射に応答した試料からの光子の放出のタイミングに対する確率密度関数を判定することができる。次いで、そのように判定された確率密度関数を、既知の標識の時間的減衰プロファイルと比較し、これを使用して環境内に存在する1つまたは複数の標識を識別することができる。
図4Bは、試料の照射(時間0)に対する複数の個別の時間範囲内で2つの異なる試料から検出された光子のカウントを経時的に示す。第1のカウント(黒色の長方形によって示す)は、
図4Aからの既知の標識「6」を含む第1の試料から受け取ったものであり、第2のカウント(白色の長方形によって示す)は、
図4Aからの既知の標識「1」を含む第2の試料から受け取ったものである。これらのカウントを使用して、第1および第2の試料に対するそれぞれの第1および第2の確率密度関数を判定することができ、第1および第2の確率密度関数を6つの既知の時間的減衰プロファイルと比較して、これらの既知の標識のどれが試料のそれぞれの中に存在するかを識別することができる。そのような比較は、判定された確率密度関数と既知の時間的減衰プロファイルのそれぞれとの間の統計的ダイバージェンス(たとえば、カルバック-ライブラーダイバージェンス、イェンセン-シャノンダイバージェンス、ブレッグマンダイバージェンス、またはフィッシャー情報量)の測度を判定することを含むことができる。次いで、たとえば判定された統計的ダイバージェンスの測度のうちの最小に対応する既知の標識を選択することによって、試料中に存在する標識を判定することができる。
【0104】
複数の標識が試料中に存在するかどうかを判定し、存在する場合はそのような複数の標識を識別するために、類似のまたは異なる方法を使用することができる。次いでいくつかの例では、環境内の標識の識別情報に基づいて、たとえば既知の標識の部分集合のすべてが流れチャネルまたは他の目的の環境内に同時に存在するという判定に基づいて、環境(たとえば、フローサイトメトリー装置の流れチャネル)の細胞または他の成分の識別情報を判定することができる。
【0105】
1組の既知の標識のうちのいくつが環境内に存在するかを判定し、そのような存在する標識を識別するために、様々な方法を使用することができる。たとえば、統計的混合モデルとともに期待値最大化アルゴリズムを使用して、環境の照射に応答した環境からの光子の放出のタイミングに対する判定された確率密度関数に基づいて、環境内に存在する可能性が最も高い標識を判定することができる。そのような混合モデルは、1組の既知の標識に対応する1組の時間的減衰関数に基づくことができる。そのような期待値最大化アルゴリズムおよび混合モデルはまた、試料内のそのような複数の標識の相対的な量を判定するために使用することができる。
【0106】
環境を照会することは、複数の異なる波長範囲内の光子の放出のタイミングを検出することを含むことができる。これは、標識の2つの異なる出力共鳴体からの光子の放出のタイミングを検出するために行うことができる。追加または別法として、これは、標識の出力共鳴体、1つもしくは複数の仲介共鳴体、および/または入力共鳴体からの光子の放出のタイミングを検出するために行うことができる。
【0107】
さらに、環境内に存在する標識のうちの1つまたは複数は、暗状態を呈する共鳴体を含むことができ、したがって標識の時間的減衰プロファイルは、暗状態を呈する共鳴体がそれぞれの暗状態にあるかどうかに依存する。たとえば、標識は、第1の暗状態を呈する共鳴体を含むことができ、第1の暗状態を呈する共鳴体が暗状態にあるときに第1の時間的減衰プロファイルを呈することができ、標識は、第1の暗状態を呈する共鳴体が暗状態にないときに第2の時間的減衰プロファイルを呈することができる。そのような例では、標識の検出および/または識別は、暗状態を呈する共鳴体(単数または複数)が暗状態にない時間期間中に光励起および再放出のタイミングを検出することと、異なる時間期間中に、暗状態を呈する共鳴体(単数または複数)を誘起して暗状態にし(たとえば、暗状態を呈する共鳴体(単数または複数)の励起波長の照射を提供することによる)、標識の光励起および再放出のタイミングを再び検出することとを含むことができる。
IV.例示的な共鳴体ネットワーク
【0108】
本明細書に記載する共鳴体ネットワーク(たとえば、標識の一部として含まれる共鳴体ネットワーク)は、1つまたは複数の入力および/もしくは読出し共鳴体、出力共鳴体、暗状態を呈する「論理入力」共鳴体、ならびに/または仲介共鳴体が、共鳴体の指定のネットワークに応じて配置されるように、さらにネットワークの時間的減衰プロファイル、ネットワークの輝度、励起スペクトル、放出スペクトル、ストークスシフト、もしくはネットワークの何らかの他の光学特性、またはネットワークの何らかの他の検出可能な目的の特性(たとえば、目的の検体への結合状態)がその指定(たとえば、指定の時間的減衰プロファイル、照射に応答した放出の確率)に対応するように、様々な方式によって製作することができる。そのような配置は、共鳴体間(たとえば、対の共鳴体間)の相対位置、距離、配向、または他の関係が、共鳴体間の指定の位置、距離、配向、または他の関係に対応することを確実にすることを含むことができる。
【0109】
これは、DNA自己集合を使用して、1つまたは複数の共鳴体ネットワークの複数のインスタンスを製作することを含むことができる。たとえば、複数の異なるDNA鎖を共鳴体ネットワークのそれぞれの共鳴体(たとえば、入力共鳴体、出力共鳴体、および/または仲介共鳴体)に連結することができる(たとえば、チミジン上の一級アミノ修飾因子群を介して、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル修飾色素分子を取り付ける)。DNA鎖の対は、少なくとも部分的に相補的な部分を有することができ、したがってDNA鎖が混合され、指定の状態(たとえば、指定のpH、または指定の温度プロファイル)に曝露されたとき、DNA鎖の相補部分は、ともに位置合わせされて結合し、共鳴体ネットワークの共鳴体の相対的な位置および/または配向を維持する半剛性ナノ構造を形成する。
【0110】
図5は、そのような共鳴体ネットワークの概略図を示す。入力共鳴体(「SOURCE
ATTO488」)、出力共鳴体(「EMITTER ATTO610」)、ならびに2つの仲介共鳴体(「MEDIATOR1 ATTO565」および「MEDIATOR2 ATTO565」)は、それぞれのDNA鎖に連結されている。次いで、連結されたDNA鎖は、追加のDNA鎖とともに自己集合して示されているナノ構造になり、したがって入力共鳴体、仲介共鳴体、および出力共鳴体が共鳴体ワイヤを形成する。いくつかの例では、共鳴体ネットワークの単一のインスタンスの一部として、そのような方法または他の技法を介して、複数の別個の同一のまたは異なるネットワークを形成することができる(たとえば、共鳴体ネットワークの輝度を増大させる)。
【0111】
そのような共鳴体ネットワークの共鳴体間の距離は、共鳴体ネットワークが1つまたは複数の所望の挙動を呈する(たとえば、特定の励起波長の光によって励起され、指定の時間的減衰プロファイルに応じて放出波長の光を応答的に再放出する)ように指定することができる。これは、隣接する共鳴体が互いの間で(たとえば、双方向または一方向に)エネルギーを伝送することが可能になるように、さらにこれらの共鳴体が互いを消光させたり、他の形で互いの光学特性に干渉したりしないように、隣接する共鳴体間の距離を指定することを含むことができる。共鳴体がリンカーを介して骨格に(たとえば、(N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル分子によって作り出される)アミド結合または他のリンカー構造体を介してDNA骨格に)結合された例では、これらのリンカーは、上記ならびにリンカーの長さ(単数または複数)を考慮して指定される背景上の位置に連結することができる。たとえば、連結位置は、リンカー長の2倍より大きい距離だけ分離することができる(たとえば、共鳴体が互いに接触し、したがって互いを消光させたり、他の形で互いの光学特性に干渉したりすることを防止する)。追加または別法として、連結位置は、共鳴体が互いの間でエネルギーを伝送することができる最大距離より小さい距離だけ分離することができる。たとえば、共鳴体は、フェルスター共鳴エネルギー移動を介してエネルギーを伝送するときのフェルスター半径によって特徴付けられる発蛍光団または何らかの他の光共鳴体とすることができ、連結位置は、フェルスター半径より小さい距離だけ分離することができる。
V.改善された輝度および/またはスペクトル多重化のために指定の共鳴体ネットワークを使用する標識
【0112】
フローサイトメトリー、分子撮像、光学演算、バイオセンシング、検体アッセイ、光学乱数生成、または何らかの他の応用例(たとえば、パネル設計のプロセスを介する)のために、1組の共鳴体ネットワークおよび/または標識を設計または指定するとき、1つまたは複数の共鳴体ネットワークの励起スペクトル/波長、放出スペクトル/波長、消散係数、輝度、または他の光学特性を任意に選択することが可能であることが有益である。次いで、そのような共鳴体ネットワークを含む標識の組合せ(たとえば、2つまたはそれよりも多いそのような標識を含む造影剤)を試料に加えて、試料中のそれぞれの目的の検体を検出、識別、画像、または他の方法で観察することができる(たとえば、複数の標識を有する造影剤を試料に混合または他の方法で加えることによる)。試料中のそのような標識を検出、区別、または他の方法で観察する能力は、試料に加えられた異なる標識のそれぞれの励起波長、放出波長、輝度、消散係数、吸収断面、または他の光学特性を選択することによって改善することができる。そのような標識は、本明細書に記載するように、励起スペクトル、放出スペクトル、輝度、または他の光学特性に関して異なるように作り出すことができる。これは、標識の共鳴体のネットワークの識別情報、数、相対的な位置および/もしくは配向、トポロジ、または他の特性を指定することによって実現することができる。
【0113】
たとえば、励起波長、放出波長、ストークスシフト、または他のスペクトル特性に関して異なるように、異なる標識を選択および/または構成し、そのような標識の識別を促進することが有益である。そのような識別は、標識を励起するために使用される光の波長の関数として、標識から放出された光の検出された波長、および/または標識から放出された光の検出もしくは判定された輝度に基づいて行うことができる。しかし、単一の共鳴体を有する標識(たとえば、単一の発蛍光団を有する標識)を使用するとき、そのような光学特性の選択は、市販または他の形で入手可能な共鳴体のライブラリが制限されていることによって制約されることがある。2つの共鳴体を有する標識(たとえば、フェルスター共鳴エネルギー移動のために一方の発蛍光団がドナーとして作用し、他方がアクセプタとして作用するように構成された2つの発蛍光団を有する標識)を使用することで、潜在的な標識の空間および/またはそれらの可能な光学特性の範囲を増大させることができる。しかし、そのような標識はそれでもなお、互いの間のエネルギー移動(たとえば、十分に重複する放出および励起スペクトルを有するため)に関与することが可能である所望の光学特性を有する共鳴体の入手可能性によって制限されることがある(たとえば、標識の有効ストークスシフトの大きさまたは他の特性に関して)。
【0114】
標識および/または共鳴体ネットワークのそのような光学特性を指定するためにさらなる自由を提供するために、共鳴体ネットワークは、エネルギーが入力共鳴体から出力共鳴体へ1つまたは複数の仲介共鳴体を介して移動することを可能にするように構成された1つまたは複数の仲介共鳴体を含むことができる。そのような共鳴体ネットワークでは、入力共鳴体および出力共鳴体は、出力共鳴体が入力共鳴体からエネルギーを直接(たとえば、共鳴エネルギー移動を介して)受け取ることが可能である必要なく選択することができる(たとえば、励起スペクトル/波長、放出スペクトル/波長、輝度、環境状態との適合性、光退色の傾向に応じて)。次いで、1つまたは複数の仲介共鳴体は、共鳴体ネットワークが照射された結果としてネットワーク内へ受け取られたエネルギーを、仲介共鳴体(単数または複数)を介して出力共鳴体へ伝送することができるように選択し、入力および出力共鳴体に対して共鳴体ネットワーク内に配置することができる。
【0115】
図6Aは、本明細書に記載する例示的な共鳴体ネットワーク600aの概略図を示す。例示的な共鳴体ネットワーク600aは、入力共鳴体(「IN」)、仲介共鳴体(「M1」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。入力共鳴体は、共鳴体ネットワーク600aの環境からの照射(たとえば、入力共鳴体の励起波長の照射)を受け取ることによって励起することができる。入力共鳴体、出力共鳴体、および仲介共鳴体は、入力共鳴体から仲介共鳴体がエネルギーを受け取ることができ、仲介共鳴体から出力共鳴体がエネルギーを受け取ることができるように配置される。仲介共鳴体は、入力共鳴体からエネルギーを受け取り、出力共鳴体へエネルギーを提供することが可能になるように選択することができる(たとえば、1組の市販の発蛍光団から)。これは、入力共鳴体の放出スペクトルが仲介共鳴体の励起スペクトルに重複するように、かつ/または仲介共鳴体の放出スペクトルが出力共鳴体の励起スペクトルに重複するように、仲介共鳴体を選択することを含むことができる。
【0116】
そのような共鳴体ネットワークの入力共鳴体の励起スペクトル/波長と出力共鳴体の放出スペクトル/波長との間のより大きい差を可能にするために、共鳴体ネットワークは、追加の仲介共鳴体(たとえば、標識内に共鳴体ワイヤとして配置される)を含むことができる。
図6Bは、本明細書に記載する例示的な共鳴体ネットワーク600bの概略図を示す。例示的な共鳴体ネットワーク600bは、入力共鳴体(「IN」)、n個の仲介共鳴体(「M1」~「M4」および「Mn」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。入力共鳴体は、共鳴体ネットワーク600bの環境からの照射(たとえば、入力共鳴体の励起波長の照射)を受け取ることによって励起することができる。仲介共鳴体は、入力共鳴体と出力共鳴体との間に共鳴体ワイヤまたは任意の長さとして配置される。すなわち、n個の仲介共鳴体は、ワイヤ内の各共鳴体が1つの隣接する共鳴体からエネルギーを受け取り、別の隣接する共鳴体へエネルギーを伝送することができるように配置される。そのような共鳴体ワイヤ内の共鳴体の数および識別情報を指定して、入力共鳴体の励起スペクトルと出力共鳴体の放出スペクトルとの差を調整することができ、たとえば入力共鳴体の励起波長と出力共鳴体の放出波長との差を調整することができる。そのような例では、入力共鳴体と出力共鳴体との間に配置された各仲介共鳴体は、入力の励起波長と出力共鳴体の放出波長との間の中間にある放出波長を有することができ、したがってたとえば各仲介共鳴体間のエネルギーの移動は、入力共鳴体から出力共鳴体へのエネルギーの励起子(または他の量子)の波長および/または大きさの制御された低減を可能にする。
【0117】
さらに、そのような共鳴体ネットワークの検出または識別を促進するために、本明細書に記載する標識および/または共鳴体ネットワークの輝度を増大または他の方法で指定することが有益である。たとえば、試料中の異なる目的の検体は、試料中に異なる濃度または量で存在することができる。そのような例では、試料(たとえば、フローサイトメトリー装置によって検出、識別、および/または分類することができる細胞を含む試料)に存在するタンパク質、受容体、小分子、RNAの分節、DNAの分節、または他の目的の検体の数または濃度は、大きく(たとえば、複数桁の大きさ)異なることがある。そのような例では、ほぼ同じ輝度を有する2つの標識を含む造影剤を試料に加えた結果、より行きわたった検体に結合するように構成された標識のうちの第1の標識の輝度が、それほど行きわたっていない、したがって試料中により低い濃度で存在する検体に結合するように構成された第2の標識の輝度よりはるかに大きくなることがある。試料中で第1の標識の輝度がより大きいことで、試料中の第2の標識の検出を防止または低下させることがある。そのような例では、第1の標識より大きい輝度を有するように第2の標識を構成することが有益である。しかし、そのような標識の輝度に対する制御は、市販または他の形で入手可能な共鳴体(たとえば、発蛍光団)の制限されたライブラリによって制約される可能性がある。
【0118】
加えて、本明細書に記載する共鳴体ネットワークの輝度を増大させて、希少な検体の検出を促進し、そのような検出に必要な照射の強度を低減させ(たとえば、標識の光退色を低減させるため、かつ/もしくはそのような照射による試料への損傷を防止するため)、または共鳴体ネットワークの何らかの他の用途(たとえば、光学論理関数の実行、ランダム変数のサンプルの生成)に必要な照射の強度を低減させることが概して有益である。
【0119】
そのような共鳴体ネットワークの輝度を増大または他の方法で指定するために(たとえば、造影剤中に存在する他の標識に対して)、共鳴体ネットワークは、本明細書に記載する複数の入力共鳴体、出力共鳴体、および/または共鳴体ネットワークを有するように構成することができる。そのような共鳴体ネットワークまたは複数の異なる共鳴体ネットワーク(たとえば、フローサイトメトリー、分子撮像、または何らかの他の用途に使用される造影剤中に存在する2つまたはそれよりも多い標識のそれぞれの異なる共鳴体ネットワーク)の輝度を制御することが可能であれば、フローサイトメトリーに対するパネル選択(たとえば、より行きわたった検体に対応する標識に比べて、試料中のそれほど豊富でない検体に対応する標識により大きい輝度を指定することを可能にすることによる)または他の適用を促進することができる。
【0120】
共鳴体ネットワークの輝度を制御するために、DNA自己集合または他の技法を使用して、単一の共鳴体または複数の共鳴体の多くのインスタンスを有する共鳴体ネットワークを提供することができ、したがって共鳴体ネットワークの全体的な輝度が、共鳴体のインスタンスの数に関係する量だけ増大する。これは、本明細書に記載する共鳴体ネットワーク(たとえば、100、300a~f、600a~b)の多くのコピーを提供して、そのような標識の有効輝度を増大させ、そのような標識から検出される光子の数および/もしくはそのような標識を識別するために必要な時間(たとえば、照射パルスの数)を低減させ、または何らかの他の利益を提供することを含むことができる。そのような複数の共鳴体および/または複数の共鳴体ネットワークは、共鳴体および/または共鳴体ネットワーク間でエネルギー移動(たとえば、共鳴エネルギー移動)が実質上生じないように、標識内で十分に離れて位置することができる。追加または別法として、共鳴体および/または共鳴体ネットワークは、エネルギー移動に関与することができる(たとえば、エネルギー蓄積もしくは何らかの他の機構を介して共鳴体ネットワークの輝度の増大を提供し、または何らかの他の利益を提供する)。
【0121】
追加または別法として、共鳴体ネットワークの全体的な輝度を制御するために、標識および/または標識の共鳴体ネットワークの入力発蛍光団および/または出力発蛍光団の絶対的または相対的な数を指定することができる。これは、1つの出力共鳴体が複数の入力共鳴体からエネルギー(たとえば、励起子)を受け取ることができるように、かつ/または単一の入力共鳴体が複数の出力共鳴体へエネルギー(たとえば、励起子)を提供することができるように、共鳴体ネットワークを指定することを含むことができる。たとえば、
図6Cは、6つの入力共鳴体(「IN1」~「IN6」)および出力共鳴体(「OUT」)を含む例示的な共鳴体ネットワーク600cの概略図を示す。代表的な矢印によって示すように、エネルギー移動は、入力共鳴体のそれぞれから直接、出力共鳴体へ生じることができる。そのような共鳴体ネットワークは、共鳴体ネットワークの吸収断面を増大させることによって、照射によって励起することができる追加の部位を提供することによって、または何らかの他の機構もしくはプロセスを介して、増大された輝度を提供することができる。
【0122】
別の例では、
図6Dは、6つの出力共鳴体(「OUT1」~「OUT6」)および入力共鳴体(「IN」)を含む例示的な共鳴体ネットワーク600dの概略図を示す。代表的な矢印によって示すように、エネルギー移動は、入力共鳴体から直接、出力共鳴体のそれぞれへ生じることができる。そのような共鳴体ネットワークは、入力共鳴体から出力共鳴体へのエネルギー移動の確率が低い例で、出力共鳴体による光の放出までの時間(たとえば、蛍光寿命)が長い例で、または何らかの他の機構もしくはプロセスを介して、増大された輝度を提供することができる。
【0123】
本明細書に記載する共鳴体ネットワークは、複数の出力共鳴体へエネルギーを提供することができる入力共鳴体と、複数の入力共鳴体からエネルギーを受け取ることができる出力共鳴体との両方を含むことができることに留意されたい。たとえば、
図6Eは、10個の入力共鳴体(「IN1」~「IN10」)および2つの出力共鳴体(「OUT1」および「OUT2」)を含む例示的な共鳴体ネットワーク600eの概略図を示す。代表的な矢印によって示すように、エネルギー移動は、「IN1」および「IN2」から直接、出力共鳴体のいずれかへ生じることができる。エネルギー移動はまた、「IN3」~「IN6」から「OUT1」へ、また「IN7」~「IN10」から「OUT2」へ、直接生じることができる。
【0124】
いくつかの例では、共鳴体ネットワークは、複数の入力共鳴体から出力共鳴体へエネルギーを移動させるため、かつ/または入力共鳴体から複数の出力共鳴体へエネルギーを移動させるために、1つまたは複数の仲介共鳴体を含むことができる(たとえば、入力共鳴体の励起波長と出力共鳴体の放出波長との差を増大させて、共鳴体ネットワークの時間的減衰プロファイルを調整する)。
図6Fは、本明細書に記載する例示的な共鳴体ネットワーク600fの概略図を示す。例示的な共鳴体ネットワーク600fは、5つの入力共鳴体(「IN1」~「IN5」)、2つの仲介共鳴体(「M1」および「M2」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。入力共鳴体は、共鳴体ネットワーク600fの環境からの照射(たとえば、入力共鳴体の励起波長の照射)を受け取ることによって励起することができる。
【0125】
2つの仲介共鳴体は、入力共鳴体と出力共鳴体との間に共鳴体ワイヤとして配置される。すなわち、2つの仲介共鳴体は、入力共鳴体のそれぞれから第1の仲介共鳴体がエネルギーを受け取ることができ、第1の仲介共鳴体から第2の仲介共鳴体がエネルギーを受け取ることができ、第2の仲介共鳴体から出力共鳴体がエネルギーを受け取ることができるように配置される。そのような共鳴体ワイヤ内の共鳴体の数を指定して、共鳴体ネットワーク600fの時間的減衰プロファイルを調整し(たとえば、減衰プロファイル内のピークの遅延または幅を調整し、減衰プロファイルの平均減衰を増大させ、または時間的減衰プロファイルの何らかの他の特性を調整する)、入力共鳴体の励起波長と出力共鳴体の放出波長との差を増大させ、または何らかの他の利益を提供することができる。
【0126】
本明細書に記載する共鳴体ネットワークの共鳴体ネットワークは、異なるトポロジ、たとえば分岐トポロジを表すことができる。そのような分岐トポロジは、複数の異なる共鳴体ワイヤ含むことができ、複数の異なる共鳴体ワイヤの末端は、入力共鳴体、出力共鳴体、仲介共鳴体(たとえば、1つもしくは複数の他の共鳴体ワイヤの末端共鳴体)に接続され、または所望の時間的減衰プロファイルを呈する共鳴体ネットワークを提供するように何らかの他の方式で接続される。
【0127】
いくつかの例では、標識および/または共鳴体ネットワークは、本明細書に記載する利益のいくつかまたはすべてを提供するように何らかの方式で相互接続された複数の入力共鳴体、仲介共鳴体、および/または出力共鳴体を含むことができる。たとえば、
図6Gは、出力共鳴体(「OUT」)および入力共鳴体(「IN」)の領域を含む例示的な共鳴体ネットワーク600gの概略図を示す。代表的な矢印によって示すように、エネルギー移動は、複数の入力共鳴体から直接出力共鳴体のそれぞれへ、また各入力共鳴体から1つまたは複数の出力共鳴体へ、生じることができる。
【0128】
そのような共鳴体ネットワークまたは本明細書に記載する他の共鳴体ネットワーク(たとえば、600c、600d、600e、600f)の輝度は、ネットワーク内の入力共鳴体の数のネットワーク内の出力共鳴体の数に対する比を制御することによって調整することができる。たとえば、特定の入力共鳴体、出力共鳴体、および環境状態に対して、入力共鳴体の数の出力共鳴体の数に対する比を増大させること(すなわち、入力共鳴体の数を出力共鳴体の数に対して増大させること)によって、共鳴体ネットワークの輝度を増大させることができる。したがって、造影剤(たとえば、フローサイトメトリーのために細胞の試料に着色するために使用される造影剤)を含む2つの標識の相対輝度は、2つの標識の入力共鳴体の出力共鳴体に対する比を調整することによって調整することができる(たとえば、第1の標識の入力共鳴体の出力共鳴体に対する第1の比が、第2の標識の入力共鳴体の出力共鳴体に対する第2の比とは指定の量だけ異なるように)。
【0129】
標識および/または共鳴体ネットワークの輝度はまた、ネットワークの入力共鳴体によって受け取ったエネルギー(たとえば、環境照射から)が1つまたは複数の追加の入力共鳴体を介してネットワークの出力共鳴体へ移動する入力共鳴体のネットワークを提供することによって増大させることができる。そのような入力共鳴体の領域は、入力共鳴体の領域によって画定される平面の形状および/または3次元の体積を交差する光子の大部分を実質上吸収することによって、共鳴体ネットワークの吸収断面を増大させるように作用することができる。さらに、入力共鳴体は、双方向のエネルギー移動を呈することができ(たとえば、隣接する入力共鳴体の対が、それらの入力共鳴体対間でいずれの方向にもエネルギーを移動させることが可能である)、共鳴体の領域が吸収エネルギーの蓄積を呈することを可能にする。そのような蓄積は、領域を交差する光子が吸収される確率を増大させることができ、かつ/またはその領域によって吸収されたエネルギーが全体的な共鳴体ネットワークを介して出力共鳴体へうまく移動する確率を増大させることができる。そのような共鳴体ネットワークは、1つの出力共鳴体につき多くの入力共鳴体、たとえば1つの出力共鳴体につき4つを超える入力共鳴体、または1つの出力共鳴体につき30個を超える入力共鳴体を含むことができる。そのような入力共鳴体領域の入力共鳴体はすべて、同じタイプの入力共鳴体(たとえば、発蛍光団の異なるインスタンスが互いの間でエネルギーを伝送することができるように重複する励起および放出スペクトルを有する同じタイプの発蛍光団)とすることができ、または異なるタイプの共鳴体とすることができる(たとえば、複数の異なる励起波長で光子の吸収を可能にし、もしくは何らかの他の利益を提供する)。
【0130】
たとえば、
図6Hは、出力共鳴体(「OUT」)および入力共鳴体(「IN」)の領域を含む例示的な共鳴体ネットワーク600hの概略図を示す。代表的な矢印によって示すように、エネルギー移動は、隣接する入力共鳴体間で双方向に生じることができる。加えて、エネルギー移動は、複数の隣接する入力共鳴体から出力共鳴体へ直接生じることができる。したがって、出力共鳴体は、隣接していない入力共鳴体から、中間の入力共鳴体を通るエネルギー伝送を介して間接的にエネルギーを受け取ることができる。
VI.例示的な論理共鳴体ネットワーク
【0131】
ここに記載する共鳴体ネットワーク(たとえば、標識の一部であり、乱数生成器を生成するために使用される)は、光学的に変調可能または他の形で制御可能な挙動を呈するように構成することができる。いくつかの例では、ネットワーク挙動は、光学的に制御可能とすることができ、ネットワークが論理動作を実行すること、または何らかの他の利益を提供することを可能にする。そのような光学的制御は、光学的に誘起可能な「暗状態」を有するネットワークの1つまたは複数の共鳴体によって提供することができ、共鳴体は、暗状態にあるとき、エネルギー(たとえば、励起子)を伝送するおよび/または受け取る能力がなくなり、または低くなる。追加または別法として、共鳴体ネットワークの挙動は、ネットワークの環境の特性(たとえば、pHレベル、ネットワークへの目的の検体の結合)に関係することができ、共鳴体ネットワークを使用してネットワークの環境の特性を光学的に検出することを可能にする。いくつかの例では、単一の共鳴体ネットワークは、感知体挙動および光学的に制御可能な挙動の両方を含むことができ、単一の共鳴体ネットワークが複数の異なる検体または他の環境変数を検出するように光学的に制御することを可能にする(たとえば、特定の感知された目的の変数を「アドレス」するようにネットワークの光学論理エレメントを動作させることによる)。
【0132】
共鳴体ネットワーク挙動の光学的制御は、様々な方法を介して提供することができる。いくつかの例では、個々の共鳴体の状態を光学的に調整することができる。これは、たとえば、閾値レベルを上回る強度の共鳴体(単数または複数)の励起波長の照射で共鳴体を照射することによって、1つまたは複数の共鳴体を光退色させることにより、不可逆的に実行することができる。別法として、個々の共鳴体の状態は、たとえば共鳴体(単数または複数)を光学的に誘起して「暗状態」にすることによって、可逆的に調整することができる。
【0133】
「暗状態」とは、共鳴体(たとえば、発蛍光団、量子ドット、または本明細書に記載する何らかの他の光学的に活性の分子もしくは原子)が、共鳴体の環境(たとえば、共鳴体ネットワークの他の共鳴体)との間でエネルギー(たとえば、光子、励起子)を伝送するおよび/または受け取る能力がなくなり、または低くなる状態である。共鳴体は、特定の波長の光による照射によって、光学的に暗状態にすることができる。そのような照射は、たとえば共鳴体が追加のエネルギーを吸収することを防止する別のエネルギー状態へ電子を遷移させること、共鳴体に電荷を取得/喪失させること(たとえば、環境から電子を受け取ること、および/もしくは環境へ電子を与えること)、または共鳴体を何らかの他のプロセスにかけることによって、共鳴体を暗状態にすることができる。したがって、1つまたは複数のそのような共鳴体(すなわち、暗状態になるように光学的に制御することができる共鳴体)を含む共鳴体ネットワークは、共鳴体(単数または複数)を暗状態にするのに十分な照射を提供することによって光学的に制御可能な時間的減衰プロファイル、照射後の光子再放出の確率、または何らかの他の特性を有することができる。
【0134】
そのような暗状態の共鳴体は、ネットワークを通るエネルギー(たとえば、励起子)の流れの光学的制御を可能にするために、共鳴体ネットワークの一部として提供することができる。そのような共鳴体ネットワークは、暗状態の共鳴体が、暗状態にあるとき、共鳴体ネットワークを通るエネルギーの流れ(たとえば、ネットワークの1つの部分から別の部分へ、かつ/またはネットワークの入力からネットワークの出力へ)を促進する作用をするように構成することができる。追加または別法として、共鳴体ネットワークは、暗状態の共鳴体が、暗状態にあるとき、共鳴体ネットワークを通るエネルギーの流れ(たとえば、ネットワークの1つの部分から別の部分へ、かつ/またはネットワークの入力からネットワークの出力へ)を抑制する作用をするように構成することができる。そのような光学的に制御可能な抑制および/または励起を使用して、論理ゲート、共鳴体ネットワーク内のエネルギーの流れ制御、または様々な他の挙動および/もしくは用途を提供することができる。
【0135】
そのような光学的に誘起可能な暗状態を呈する共鳴体は、暗状態にあるとき、共鳴体ネットワークを通るエネルギーの流れを抑制するように、共鳴体ネットワーク内に様々な方式で適用することができる。たとえば、そのような抑制共鳴体は、共鳴体ネットワーク内のエネルギーの流れのための経路の一部として提供することができる。したがって、抑制共鳴体が暗状態にあるとき(たとえば、共鳴体ネットワークを適当な波長の光で照射することによる)、その経路に沿ってエネルギーの流れを完全または部分的に防止し、したがってその経路に沿ったエネルギーの流れを完全または部分的に抑制する。
【0136】
これは、例示的な共鳴体ネットワーク700aをそれぞれの異なる時点で示す
図7Aおよび
図7Bに例として示されている。共鳴体ネットワーク700aは、読出し共鳴体(「CLK」)、入力共鳴体(「IN」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。入力共鳴体が暗状態にないとき(
図7Aに示す)、読出し共鳴体(たとえば、読出し共鳴体が読出し共鳴体の励起波長の光710aによって照射されたことに応答して)から入力共鳴体へ、また入力共鳴体から出力共鳴体へ、エネルギー(たとえば、励起子)を伝送することができる。したがって、入力共鳴体が暗状態にないとき、共鳴体ネットワーク(読出し共鳴体)によって吸収された照射710aは、共鳴体ネットワーク700aを通って出力共鳴体へ伝送し、次いで光子720aとして出力共鳴体から放出することができる。
【0137】
逆に、入力共鳴体が暗状態にあるとき(
図7Bに「IN」共鳴体が破線で描かれていることによって示す)、読出し共鳴体から入力共鳴体へ、また入力共鳴体から出力共鳴体へ、エネルギー(たとえば、励起子)を伝送することはできない。したがって、入力共鳴体が暗状態にあるとき、共鳴体ネットワーク(読出し共鳴体)によって吸収された照射710aは、共鳴体ネットワーク700aを通って出力共鳴体へ伝送されず、したがって出力共鳴体は光子を応答的に放出しない。
【0138】
追加または別法として、そのような光学的に誘起可能な暗状態を呈する共鳴体は、暗状態にあるとき、共鳴体ネットワークを通るエネルギーの流れを促進するように、共鳴体ネットワーク内に様々な方式で適用することができる。たとえば、そのような促進共鳴体は、共鳴体ネットワーク内のエネルギーの流れの代替の放散および/または非放射経路の一部として提供することができる。暗状態にないそのような促進共鳴体は、エネルギー(たとえば、励起子)をシンクまたは他の方法で優先的に受け取る作用をし、エネルギーが共鳴体ネットワークの出力共鳴体または他の部分へ進むことを防止することができる。したがって、促進共鳴体が暗状態にあるとき(たとえば、共鳴体ネットワークを適当な波長の光で照射することによる)、エネルギーは促進共鳴体へ流れず、したがってネットワークを通る異なる経路に沿って(たとえば、出力共鳴体へ)流れることができる。
【0139】
これは、例示的な共鳴体ネットワーク700bをそれぞれの異なる時点で示す
図7Cおよび
図7Dに例として示されている。共鳴体ネットワーク700bは、読出し共鳴体(「CLK」)、入力共鳴体(「IN」)、仲介共鳴体(「M」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。入力共鳴体が暗状態にないとき(
図7Cに示す)、読出し共鳴体(たとえば、読出し共鳴体が読出し共鳴体の励起波長の光710bによって照射されたことに応答して)から仲介共鳴体へ、また仲介共鳴体から入力共鳴体または出力共鳴体のいずれかへ、エネルギー(たとえば、励起子)を伝送することができる。入力共鳴体へ伝送された場合、エネルギーは、放散される可能性が高く(たとえば、ネットワークから熱として失われ、または入力共鳴体の放出波長の光子として放出される)、出力共鳴体へ伝送された場合、エネルギーは、出力共鳴体の放出波長で光子として出力共鳴体から放出される可能性が高い。
【0140】
共鳴体間の異なるエネルギー移動の相対確率は、
図7Cおよび
図7Dに代表的な矢印の相対的な線の太さによって示されている。したがって、例示的なネットワーク700bの場合、入力共鳴体が暗状態にないとき、仲介共鳴体がエネルギーを出力共鳴体へ移動させるより、入力共鳴体へ移動させる可能性の方が高い。したがって、入力共鳴体が暗状態にないとき、共鳴体ネットワーク(読出し共鳴体)によって吸収される照射710bは、出力共鳴体によって受け取られてネットワーク700bから光子として伝送されるより、入力共鳴体によって吸収され、次いで放散される可能性の方が高い。
【0141】
逆に、入力共鳴体が暗状態にあるとき(
図7Dに「IN」共鳴体が破線で描かれていることによって示す)、仲介共鳴体から入力共鳴体へエネルギー(たとえば、励起子)を伝送することはできず、したがって出力共鳴体へ伝送される。したがって、入力共鳴体が暗状態にあるとき、共鳴体ネットワーク(読出し共鳴体)によって吸収された照射710bは、共鳴体ネットワーク700bを通って出力共鳴体へ伝送することができ、次いで出力共鳴体から光子720aとして放出することができる。
【0142】
そのような挙動を用いて、本明細書に記載する共鳴体ネットワーク内で、論理ゲートまたは他の演算もしくはゲーティング機能を実施することができる。たとえば、
図7Aおよび
図7Bに示す共鳴体ネットワーク700aをNOTゲートとして用いることができ、ゲートの「評価」は読出し共鳴体の励起によってトリガされる。ゲート出力の検出は、出力共鳴体が「評価」に応答して光子を放出したかどうかを検出することによって達成することができる。ゲート入力は、入力共鳴体が暗状態になるように入力波長の照射を提供する(または提供しない)ことによって適用される。したがって、「高」入力(入力を暗状態にするのに十分な照射)の結果、「低」出力になる(ネットワークは読出し共鳴体の励起に応答して出力共鳴体から光子を放出しない)。逆に、「低」入力の結果、「高」出力になり、NOTゲートの挙動を提供する。
【0143】
共鳴体の構造は、任意の論理ゲート機能または他の演算もしくはゲーティング機能を提供するように設計することができる。これは、複数の「入力」共鳴体を提供することを含むことができ、これらの入力共鳴体は、適当な波長の照射を入力共鳴体へ提供することによって暗状態にすることができる。これらの追加の入力共鳴体は、暗状態を誘起するために必要な光の波長に関して異なることができる。これらの追加の共鳴体はまた、ネットワークを通るエネルギーの流れを促進するか、それともネットワークを通るエネルギーの流れを抑制するかに関して異なることができる。したがって、これらの異なる波長で提供される(または提供されない)光は、共鳴体ネットワークへのそれぞれの異なる論理入力を表すことができる。これらの波長は、それぞれの異なる論理入力に沿って確実で依存しない信号伝達を可能にするように、指定の量より大きく(たとえば、10ナノメートルより大きくまたは50ナノメートルより大きく)異なることができる。
【0144】
論理ANDゲートとして構成されたそのような共鳴体ネットワークの一例が、
図8Aに示されている。共鳴体ネットワーク800aは、読出し共鳴体(「CLK」)、2つの仲介共鳴体(「M1」および「M2」)、2つの入力共鳴体(「IN1」および「IN2」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。これらの共鳴体間の異なるエネルギー移動の相対確率は、
図8Aに代表的な矢印の相対的な線の太さによって示されている。したがって、読出し共鳴体から出力共鳴体へ高い確率でエネルギーを伝送するために、入力共鳴体はどちらも暗状態にしなければならない(たとえば、それぞれの入力波長の照射が提供されたことに応答する)。
【0145】
論理ORゲートとして構成されたそのような共鳴体ネットワークの別の例が、
図8Bに示されている。共鳴体ネットワーク800bは、読出し共鳴体(「CLK」)、2つの仲介共鳴体(「M1」および「M2」)、2つの入力共鳴体(「IN1」および「IN2」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。これらの共鳴体間の異なるエネルギー移動の相対確率は、
図8Bに代表的な矢印の相対的な線の太さによって示されている。したがって、読出し共鳴体から出力共鳴体へ高い確率でエネルギーを伝送するために、入力共鳴体のうちの少なくとも1つを暗状態にしなければならない(たとえば、それぞれの入力波長の一方または両方の照射が提供されたことに応答する)。
【0146】
論理NANDゲートとして構成されたそのような共鳴体ネットワークの別の例が、
図8Cに示されている。共鳴体ネットワーク800cは、読出し共鳴体(「CLK」)、2つの入力共鳴体(「IN1」および「IN2」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。これらの共鳴体間の異なるエネルギー移動の相対確率は、
図8Cに代表的な矢印の相対的な線の太さによって示されている。したがって、読出し共鳴体から出力共鳴体へ高い確率でエネルギーを伝送するために、入力共鳴体のうちの1つだけを暗状態にすることができる(たとえば、それぞれの入力波長の一方もしくは他方の照射が提供されたこと、またはいずれの照射も提供されなかったことに応答する)。
【0147】
論理NORゲートとして構成されたそのような共鳴体ネットワークの別の例が、
図8Dに示されている。共鳴体ネットワーク800dは、読出し共鳴体(「CLK」)、2つの入力共鳴体(「IN1」および「IN2」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。これらの共鳴体間の異なるエネルギー移動の相対確率は、
図8Dに代表的な矢印の相対的な線の太さによって示されている。したがって、読出し共鳴体から出力共鳴体へ高い確率でエネルギーを伝送するために、入力共鳴体のどちらも暗状態にすることはできない(たとえば、それぞれの入力波長のいずれの照射も提供されなかったことに応答する)。
【0148】
指定の論理機能または挙動を達成するために、同じ波長の照射を受け取ったことに応答して暗状態になる複数の入力共鳴体を単一の共鳴体ネットワーク内に提供することができる。論理XORゲートとして構成されたそのような共鳴体ネットワークの一例が、
図8Eに示されている。共鳴体ネットワーク800eは、読出し共鳴体(「CLK」)、2つの仲介共鳴体(「M1」および「M2」)、4つの入力共鳴体(「IN1a」、「IN1b」、「IN2a」、および「IN2b」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。これらの共鳴体間の異なるエネルギー移動の相対確率は、
図8Eに代表的な矢印の相対的な線の太さによって示されている。したがって、読出し共鳴体から出力共鳴体へ高い確率でエネルギーを伝送するために、入力共鳴体のうちの1つだけを暗状態にしなければならない(たとえば、それぞれの入力波長のうち排他的に一方もしくは他方の照射が提供されたことに応答する)。
【0149】
論理XNORゲートとして構成されたそのような共鳴体ネットワークの別の例が、
図8Fに示されている。共鳴体ネットワーク800fは、読出し共鳴体(「CLK」)、2つの仲介共鳴体(「M1」および「M2」)、4つの入力共鳴体(「IN1a」、「IN1b」、「IN2a」、および「IN2b」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む。これらの共鳴体間の異なるエネルギー移動の相対確率は、
図8Fに代表的な矢印の相対的な線の太さによって示されている。したがって、読出し共鳴体から出力共鳴体へ高い確率でエネルギーを伝送するために、入力共鳴体の両方を暗状態にするか、入力共鳴体をいずれも暗状態にしてはならない(たとえば、それぞれの入力波長の両方の照射が提供されたこと、またはそれぞれの入力波長のいずれの照射も提供されなかったことに応答する)。
【0150】
共鳴体ネットワークは、共鳴体ネットワーク(たとえば、共鳴体ネットワークの異なる部分間)を通るエネルギーの流れを制御するために、本明細書に記載する入力共鳴体(たとえば、暗状態を光学的に誘起および/または他の方法で光学的に制御することができる暗状態を呈する共鳴体)を含むことができる。そのような入力は、共鳴体ネットワークの部分を選択的に活動化または無活動化するように制御することができる。これは、読出し共鳴体(「CLK」)、3つの入力共鳴体(「IN1」、「IN2」、および「IN3」)、および3つの出力共鳴体(「OUT1」、「OUT2」、および「OUT3」)を含む共鳴体ネットワーク900aを示す
図9Aに例として示されている。これらの共鳴体間の異なるエネルギー移動の相対確率は、
図9Aに代表的な矢印の相対的な線の太さによって示されている。したがって、読出し共鳴体から出力共鳴体のうちの特定の1つの出力共鳴体へエネルギーを伝送するために、対応する入力共鳴体を暗状態にしてはいけない。したがって、入力共鳴体のそれぞれの入力波長の照射を提供する(または提供しない)ことによって、読出し共鳴体の励起に応答して光子を放出することができる出力共鳴体(単数または複数)を選択することができる。たとえば、「OUT1」出力共鳴体を選択するために、第2の入力共鳴体(「IN2」)および第3の入力共鳴体(「IN3」)に対する暗状態誘起波長の光を提供することができる。
【0151】
光学的に制御可能である(たとえば、ネットワークの1つまたは複数の共鳴体で暗状態を光学的に誘起することによる)共鳴体ネットワークを適用して、様々な利益を提供することができる。たとえば、本明細書に記載する共鳴体ネットワークを含む標識は、標識検出および識別のためのさらなる多重化を提供するために、そのような暗状態の共鳴体を含むことができる。これは、標識の入力共鳴体が暗状態にあるとき、照射に応答した光子の放出の相対的なタイミングに対して第1の時間的減衰プロファイルまたは他の時間依存確率密度関数を呈する標識を含むことができる。次いでこの標識は、入力共鳴体が暗状態にないとき、第2の時間的減衰プロファイルまたは他の時間依存確率密度関数を呈することができる。したがって、この標識は、第1および第2の時間期間中に光学的に照会することができ、入力共鳴体は、第1の時間期間中に暗状態にないが、第2の時間期間中に暗状態になる(たとえば、入力共鳴体の励起波長での照射による)。第1および第2の時間期間中の照射に応答した標識からの光の放出の検出された相対的なタイミングをともに使用して、標識を識別することができる。
【0152】
別の例では、本明細書に記載する共鳴体ネットワークは、照射に応答した共鳴体ネットワーク(単数または複数)からの光子の放出のタイミングに対して制御可能な時間依存確率密度関数を提供するために、そのような暗状態の共鳴体を含むことができる。検出された相対的なタイミングを使用して、ランダム変数のサンプルを生成することができ、ランダム変数の確率分布は、共鳴体ネットワーク(単数または複数)が呈する時間依存確率密度関数に関係する。そのような共鳴体ネットワークの1つまたは複数の入力共鳴体が暗状態にあることで、共鳴体ネットワーク(単数または複数)が呈する時間依存確率密度関数を修正することができる。したがって、そのような入力共鳴体(単数または複数)が暗状態にあるかどうかを制御することによって、そこから生成されるランダム変数サンプルの確率分布を制御することができる。
【0153】
いくつかの例では、これは、共鳴体ネットワーク内に暗状態の入力共鳴体を適用して、共鳴体ネットワークのセクションがネットワークの読出し共鳴体からネットワークの出力共鳴体へエネルギーを移動させるために利用可能であるかどうかを制御することを含むことができる。ネットワークのうち入力共鳴体(単数または複数)の暗状態によって「有効化」された部分のみを含むネットワークのそのような各構成は、それぞれの異なる時間依存確率密度関数に対応することができ、したがってこれを使用して、それぞれの異なるランダム変数のサンプルを生成することができる。
【0154】
これは、読出し共鳴体(「CLK」)、3つの入力共鳴体(「IN1」、「IN2」、および「IN3」)、12個の仲介共鳴体(「M1」~「M12」)、および出力共鳴体(「OUT」)を含む共鳴体ネットワーク900bを示す
図9Bに例として示されている。これらの共鳴体間の異なるエネルギー移動の相対確率は、
図9Bに代表的な矢印の相対的な線の太さによって示されている。したがって、読出し共鳴体から出力共鳴体へエネルギーを伝送するために、入力共鳴体のうちの少なくとも1つは暗状態にしてはいけない。読出し共鳴体の励起に応答した出力共鳴体からの光子の放出のタイミングに対して共鳴体ネットワーク900bが呈する全体的な時間依存確率密度関数は、入力共鳴体のそれぞれが暗状態にあるか否かに関係する。したがって、たとえば「IN2」および「IN3」の入力共鳴体が暗状態にあり、かつ「IN1」が暗状態にない場合、共鳴体ネットワーク900bは、「IN1」、「M1」、「M2」、「M3」、および「M4」から構成される共鳴体ワイヤに関係する時間依存確率密度関数を呈する。別の例では、「IN3」の入力共鳴体が暗状態にあり、かつ「IN1」および「IN2」の共鳴体が暗状態にない場合、共鳴体ネットワーク900bは、「IN1」、「M1」、「M2」、「M3」、および「M4」から構成される共鳴体ワイヤの時間依存確率密度関数と、「IN2」、「M5」、および「M6」から構成される共鳴体ワイヤに関係する追加の時間依存確率密度関数との組合せに関係する時間依存確率密度関数を呈する。
【0155】
さらに別の例では、本明細書に記載する共鳴体ネットワークは、共鳴体ネットワークの環境の特性、たとえば共鳴体ネットワークが曝露される溶液のpH、または共鳴体ネットワークの受容体に結合された検体の存在もしくは量を検出する感知体を含むことができる。そのような共鳴体ネットワークは、ネットワークの環境の特性を共鳴体ネットワークの光学的に検出可能な変化(たとえば、照射に応答した光放出の全体的な強度または確率の変化、照射に応答したネットワークからの光放出の時間的減衰関数および/または時間依存確率密度関数の変化)に変換することが可能な様々な感知体エレメントまたは他の構成要素(たとえば、ネットワーク自体の共鳴体)を含むことができる。たとえば、共鳴体ネットワークの1つまたは複数の共鳴体は、共鳴体が曝露される溶液のpHもしくは他の特性、共鳴体が目的の検体に結合されているかどうか、または共鳴体ネットワークの環境内の何らかの他の目的の特性に関係する光学特性(たとえば、消光されるまたは暗状態になる特性)を有することができる。
【0156】
別の例では、そのような感知体は、目的の検体(たとえば、タンパク質、ホルモン、細胞、細胞表面受容体、または他の細胞表面エレメント、相補的DNAまたはRNA鎖、小分子、金属イオン)に優先的に結合する受容体(たとえば、抗体、アプタマー、1つまたは複数のタンパク質、DNAまたはRNA鎖)を含むことができる。このとき、そのような受容体の目的の検体への結合状態は、共鳴体ネットワークの1つまたは複数の検出可能な光学特性に様々な方式で関係することができる。たとえば、検体を受容体に結合する結果、共鳴体ネットワーク内の1つまたは複数の共鳴体の相対位置の変化が生じることができ、したがって共鳴体ネットワークの光学的に検出可能な特性が変化する(たとえば、照射に応答した光放出の全体的な強度または確率、照射に応答したネットワークからの光放出の時間的減衰関数および/または時間依存確率密度関数の変化)。そのような変化は、受容体の形態の変化、共鳴体ネットワークの骨格の1つもしくは複数のエレメントの形態の変化、または受容体に連結された共鳴体もしくは骨格エレメントの位置の変化によって生じることができる。追加または別法として、受容体は、ネットワークの共鳴体(たとえば、蛍光部分を含むタンパク質の一部)に連結することができ、かつ/またはそのような共鳴体の一部とすることができ、したがって受容体が検体のインスタンスに結合されていないことで、共鳴体は消光または他の方法で光学に無効化される。別法として、受容体が検体のインスタンスに結合されることで、共鳴体を消光または他の方法で光学的に無効化することもできる。
【0157】
これは、例示的な共鳴体ネットワーク1000を示す
図10Aおよび
図10Bに例として示されている。共鳴体ネットワーク1000は、読出し共鳴体(「CLK」)と、目的の検体735に優先的に結合する受容体730と、検体735のインスタンスが受容体730に結合されているときは消光する仲介共鳴体(「IN」)と、出力共鳴体(「OUT」)とを含む。したがって、受容体730が検体のインスタンスに結合されていないとき、共鳴体ネットワーク1000は、読出し共鳴体の励起波長の光710aを受け取ったことに応答して光720aを放出することができる(
図10Aに示す)。逆に、受容体730が検体735のインスタンスに結合されているとき、仲介共鳴体が消光しており、したがって受け取ったエネルギーを読出し共鳴体から出力共鳴体へ伝送するために利用することができないため、共鳴体ネットワーク1000は、読出し共鳴体の励起波長の光710aを受け取ったことに応答して光を放出することができない(
図10Bに示す)。
【0158】
上述したように共鳴体ネットワークの環境の1つまたは複数の特性を光学的に感知するように構成された共鳴体ネットワークは、1つまたは複数の暗状態を呈する入力共鳴体を含むことができる。そのような入力共鳴体は、ネットワークを使用して複数の異なる環境特性を検出するために、共鳴体ネットワークの多重化を可能にすることができる。たとえば、共鳴体は、それぞれの異なる検体と選択的に相互作用する複数の異なる受容体を含むことができ、これらの受容体は、それぞれの検体のインスタンスに結合されているとき、ネットワークのそれぞれの共鳴体を消光させ、または他の方法で共鳴体ネットワークのそれぞれの部分の光学特性の変化を誘起する。そのような共鳴体ネットワーク内に1つまたは複数の入力共鳴体を提供することができ、そのような共鳴体ネットワークを使用して、検体検出の光学的に制御された多重化を可能にすることができる。これは、入力共鳴体を使用して、感知体をアドレスする論理ゲートまたは他の手段を実施することを含むことができ、したがって読出し共鳴体が励起されたことへの共鳴体ネットワーク応答(たとえば、共鳴体ネットワークの出力共鳴体からの光の放出の強度またはタイミング)は、受容体のうち光学的に選択された受容体が、対応する検体のインスタンスに結合されるかどうかに関係する。そのような光学的に制御された多重化はまた、撮像波長より小さい距離だけ互いから分離された共鳴体ネットワークの異なる部分の光学的な制御および/または選択を可能にすることによって、サブ波長撮像および/または検体アッセイを可能にすることができる。
VII.例示的な方法
【0159】
図11は、試料を照会して試料中に含まれうる本明細書に記載する1つまたは複数の標識を検出および識別する方法1100の流れ図である。説明の目的で、方法1100で識別される標識は、(i)入力共鳴体と、(ii)放出波長によって特徴付けられる出力共鳴体と、(iii)1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークとを含む。標識内の入力共鳴体、出力共鳴体、および1つまたは複数の仲介共鳴体の相対位置は、入力共鳴体が照射(たとえば、入力共鳴体の励起波長のレーザ光のパルス)によって励起されたことに応答して、入力共鳴体から出力共鳴体へ1つまたは複数の仲介共鳴体のネットワークを介してエネルギーを伝送することができるようになっている。
【0160】
方法1100は、標識を含む試料を照射することを含む(1110)。これは、試料を1つまたは複数の照射パルスで照射することを含むことができる。そのような照射パルスは、アト秒からナノ秒のパルス幅を有する極短パルスとすることができる。照射パルスは、異なるスペクトルを有することができ、かつ/または異なる光波長を含むことができる。たとえば、第1の照射パルスは、標識の入力共鳴体の励起波長の光を含むことができ、第2の照射パルスは、異なる標識の入力共鳴体の励起波長の光を含むことができる。別の例では、第1の照射パルスは、標識の入力共鳴体の励起波長の光を含むことができ、第2の照射パルスは、標識のさらなる入力共鳴体の励起波長の光を含むことができる。
【0161】
方法1100はまた、検出波長範囲内の試料からの複数の光子の放出の試料の照射に対するタイミングを検出することを含む(1120)。検出波長範囲は、標識の出力共鳴体の放出波長を含む。試料からの複数の光子の放出のタイミングを検出することは、たとえば単一光子アバランシェダイオード、光電子増倍管、または何らかの他の検出器エレメント(単数または複数)を使用して、個々の光子の受取りのタイミングを検出することを含むことができる。追加または別法として、試料からの複数の光子の放出のタイミングを検出することは、試料から放出される光子の強度、速度、または他の特性の経時的変動のピークまたは他の特徴のタイミングを検出することを含むことができる。
【0162】
方法1100は、複数の光子の放出の検出されたタイミングに基づいて、標識の識別情報を判定することをさらに含む(1130)。標識の識別情報を判定することは、1組の既知の標識からその標識の識別情報を選択することを含む。標識の識別情報を判定することは、複数の光子の放出の検出されたタイミングを、既知の標識に対応する1組の時間的減衰プロファイルと比較することを含むことができる。たとえば、複数の光子の放出の検出されたタイミングを使用して、試料の照射に応答した試料からの光子の放出のタイミングに対する確率密度関数を判定することができる。次いで、そのように判定された確率密度関数を、既知の時間的減衰プロファイルのそれぞれと比較することができる。そのような比較は、確率密度関数と既知の時間的減衰プロファイルとの間の統計的ダイバージェンス、たとえばカルバック-ライブラーダイバージェンス、イェンセン-シャノンダイバージェンス、ブレッグマンダイバージェンス、またはフィッシャー情報量の測度を判定することを含むことができる。
【0163】
方法1100は、本明細書に別途記載する追加または代替のステップを含むことができる。たとえば、方法1100は、試料中の1つまたは複数の標識の判定された識別情報に基づいて、試料の細胞または他の成分を識別することを含むことができる。方法1100は、標識の判定された識別情報に基づいて、試料中の細胞または他の粒子を分類することを含むことができる(たとえば、試料をフローサイトメトリー装置の流れチャネル内に含むことができ、流れチャネル内の1つまたは複数の標識の判定された識別情報に応じて、流れチャンバ内の細胞を分類することができる)。方法1100は、標識の時間的減衰プロファイルまたは他の光学的に検出可能な特性が調整されるように、共鳴体波長の暗状態を呈する共鳴体の励起波長の光を放出することを含むことができ、標識を識別することは、検出されたタイミングが、光学的に検出可能な特性の調整された状態に対応すると判定することを含むことができる。
図11に示す例示的な方法1100は、例示的で非限定的な例として意味したものである。当業者には明らかなように、この方法の追加または代替のエレメントは予想される。
【0164】
図12は、本明細書に記載する共鳴体ネットワークを照会して検体を検出する方法1200の流れ図である。説明の目的で、方法1200の共鳴体ネットワークは、(i)暗状態を有し、第1の入力励起波長の照射を受け取ったことに応答して暗状態に入ることができる第1の入力共鳴体と、(ii)読出し波長の照射からエネルギーを受け取ることができる読出し共鳴体と、(iii)仲介共鳴体と、(iv)出力共鳴体と、(v)検体に優先的に結合する受容体を含む感知体と、(vi)骨格とを含む。第1の入力共鳴体、読出し共鳴体、感知体、および出力共鳴体は、骨格に連結される。骨格は、読出し共鳴体から出力共鳴体へ仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、さらに第1の入力共鳴体が暗状態にあるときに読出し共鳴体から出力共鳴体へエネルギーが伝送される確率が、受容体が検体のインスタンスに結合されているかどうかに関係するように、第1の入力共鳴体、読出し共鳴体、仲介共鳴体、感知体、および出力共鳴体の相対位置を維持する。
【0165】
方法1200は、第1の時間期間中に、第1の入力波長の光で共鳴体ネットワークを照射することを含む(1210)。これは、試料を1つまたは複数の照射パルスで照射することを含むことができる。そのような照射のそのようなパルスの持続時間および/または数を指定して、第1の入力共鳴体が暗状態に入った可能性が高いことを確実にすることができ、たとえば第1の入力波長の提供される光を、閾値持続時間を超えて提供することができる。
【0166】
方法1200は、第1の時間期間中に、読出し波長の光で共鳴体ネットワークを照射することを含む(1220)。これは、試料を1つまたは複数の照射パルスで照射することを含むことができる。そのような照射パルスは、アト秒からナノ秒のパルス幅を有する極短パルスとすることができる。照射パルスは、異なるスペクトルを有することができ、かつ/または異なる光波長を含むことができる。たとえば、第1の照射パルスは、標識の入力共鳴体の励起波長の光を含むことができ、第2の照射パルスは、異なる標識の入力共鳴体の励起波長の光を含むことができる。別の例では、第1の照射パルスは、標識の入力共鳴体の励起波長の光を含むことができ、第2の照射パルスは、標識のさらなる入力共鳴体の励起波長の光を含むことができる。読出し波長の光は、第1の入力波長の光を提供した後に提供することができる。
【0167】
方法1200はまた、第1の時間期間中に、共鳴体ネットワークの出力共鳴体から放出される光の強度を検出することを含む(1230)。これは、読出し波長で提供される1つまたは複数の光パルスのタイミングに対するそのような光の放出のタイミングを検出することを含むことができる。共鳴体ネットワークから放出される光の強度を検出することは、共鳴体ネットワークの母集団からの複数の光子の放出のタイミングを検出すること、たとえば単一光子アバランシェダイオード、光電子増倍管、または何らかの他の検出器エレメント(単数または複数)を使用して、個々の光子の受取りのタイミングを検出することを含むことができる。追加または別法として、試料からの複数の光子の放出のタイミングを検出することは、試料から放出される光子の強度、速度、または他の特性の経時的変動のピークまたは他の特徴のタイミングを検出することを含むことができる。共鳴体ネットワークから放出される光の強度を検出することは、たとえば検出される光の強度に関係する信号を積分することによって、出力共鳴体から放出される光の総量を検出することを含むことができる。
【0168】
方法1200は、本明細書に別途記載する追加または代替のステップを含むことができる。方法1200は、放出された光の検出された強度に基づいて、検体の存在、量、カウント、または他の特性を判定することを含むことができる。いくつかの例では、共鳴体ネットワークは、たとえば共鳴体ネットワークの複数の異なる感知体を光学的に多重化および/またはアドレスするプロセスによって、複数の検体の検出を可能にするように構成することができる。たとえば、共鳴体ネットワークは、第2の検体に対して感受性を有する第2の感知体と、共鳴体ネットワークの残りとともに連結された第2の入力共鳴体とを含むことができ、したがって第2の入力共鳴体が暗状態にあり、かつ第1の入力共鳴体が暗状態にないときに読出し共鳴体から出力共鳴体へエネルギーが伝送される確率が、第2の受容体が第2の検体のインスタンスに結合されているかどうかに関係する。そのような例では、方法1200は、第2の時間期間中に、第2の入力共鳴体の励起波長の光で共鳴体ネットワークを照射することと、読出し波長の光で共鳴体ネットワークを照射することと、第2の時間期間中に、共鳴体ネットワークから放出された光の強度を検出することとを含むことができる。次いで、第2の時間期間中に検出される強度を使用して、第2の検体に関する濃度、存在、カウント、または何らかの他の情報を判定することができる。
図12に示す例示的な方法1200は、例示的で非限定的な例として意味したものである。当業者には明らかなように、この方法の追加または代替のエレメントは予想される。
【0169】
図13は、本明細書に記載する複数の共鳴体ネットワークを使用してランダム変数のサンプルを生成する方法1300の流れ図である。説明の目的で、方法1300で識別される共鳴体ネットワークは、(i)暗状態を有し、第1の入力波長の照射を受け取ったことに応答して暗状態に入ることができる第1の入力共鳴体と、(ii)読出し波長の照射からエネルギーを受け取ることができる読出し共鳴体と、(iii)2つまたはそれよりも多い仲介共鳴体と、(iv)出力共鳴体と、(v)骨格とを含む。第1の入力共鳴体、読出し共鳴体、2つまたはそれよりも多い仲介共鳴体、および出力共鳴体は、骨格に連結される。骨格は、読出し共鳴体から出力共鳴体へ仲介共鳴体を介してエネルギーを伝送することができるように、さらに時間依存確率密度関数に応じて、読出し共鳴体が読出し波長の照射を受け取ったことに応答して、共鳴体ネットワークが出力共鳴体から光子を放出するように、第1の入力共鳴体、読出し共鳴体、2つまたはそれよりも多い仲介共鳴体、および出力共鳴体の相対位置を維持し、時間依存確率密度関数の検出可能な特性は、第1の入力共鳴体が暗状態にあるかどうかに関係する。
【0170】
方法1300は、第1の時間期間中に、第1の入力波長の光で複数の共鳴体ネットワークを照射することを含む(1310)。これは、試料を1つまたは複数の照射パルスで照射することを含むことができる。そのような照射のそのようなパルスの持続時間および/または数を指定して、共鳴体ネットワークのそれぞれおよび/または共鳴体ネットワークの指定部分の第1の入力共鳴体が暗状態に入った可能性が高いことを確実にすることができ、たとえば第1の入力波長の提供される光を、閾値持続時間を超えて提供することができる。
【0171】
方法1300は、第1の時間期間中に、読出し波長の光で複数の共鳴体ネットワークを照射することを含む(1320)。これは、試料を1つまたは複数の照射パルスで照射することを含むことができる。そのような照射パルスは、アト秒からナノ秒のパルス幅を有する極短パルスとすることができる。
【0172】
方法1300はまた、複数の共鳴体ネットワークの出力共鳴体からの複数の光子の放出の共鳴体ネットワークの照射に対するタイミングを検出することを含む(1330)。共鳴体ネットワークからの複数の光子の放出のタイミングを検出することは、たとえば単一光子アバランシェダイオード、光電子増倍管、または何らかの他の検出器エレメント(単数または複数)を使用して、個々の光子の受取りのタイミングを検出することを含むことができる。追加または別法として、試料からの複数の光子の放出のタイミングを検出することは、試料から放出される光子の強度、速度、または他の特性の経時的変動のピークまたは他の特徴のタイミングを検出することを含むことができる。
【0173】
方法1300は、本明細書に別途記載する追加または代替のステップを含むことができる。たとえば、方法1300は、検出されたタイミングに基づいて、たとえば検出されたタイミングに関数を適用することによって、ランダム変数のサンプルを生成することを含むことができる。方法1300は、共鳴体ネットワークを照射し、共鳴体ネットワークから応答的に放出された光子(単数または複数)の放出のタイミングを検出することによって、ランダム変数の追加のサンプルを生成することを含むことができる。共鳴体ネットワークは、1つまたは複数の追加の入力共鳴体を含むことができ、方法1300は、追加の時間期間中に、共鳴体ネットワークの入力共鳴体を光学的に制御することによって、追加のランダム変数のサンプルを生成することを含むことができ、したがって共鳴体ネットワークは、追加のランダム変数に対応する時間依存確率密度関数を呈する。ランダム変数の試料は、照射に応答した共鳴体ネットワークからの光の放出のタイミングを検出することによって生成することができる。
図13に示す例示的な方法1300は、例示的で非限定的な例として意味したものである。当業者には明らかなように、この方法の追加または代替のエレメントは予想される。
VIII.結び
【0174】
”Fluorescent taggants with temporally coded signatures”(Wang, S., Vyas, R., Dwyer, C, ”Fluorescent taggants with temporally coded signatures,” Optics Express, Vol. 24, No. 14, 11 July 2016)が、参照により本明細書に組み込まれている。本明細書に引用するすべての参照文献は、参照により組み込まれている。加えて、本発明は、本発明の開示の実施形態に限定されることを意図したものではない。上記の開示は本発明の特定の特有の実施形態を強調しており、それらの実施形態に均等のすべての修正形態または代替形態が、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲内に入ることを理解されたい。
【0175】
図に示す特定の配置は、限定的であると見なされるべきではない。他の実施形態は、所与の図に示す各エレメントを多かれ少なかれ含むことができることを理解されたい。さらに、図示のエレメントのいくつかを組み合わせたり省略したりすることができる。さらに、例示的な実施形態は、図に示されていないエレメントを含むことができる。
【0176】
加えて、様々な態様および実施形態について本明細書に開示したが、他の態様および実施形態も当業者には明らかである。本明細書に開示する様々な態様および実施形態は説明を目的とし、限定的であることを意図したものではなく、本当の範囲は、以下の特許請求の範囲によって示されている。本明細書に提示する主題の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態も利用することができ、他の変更を加えることもできる。本明細書に概略的に記載し図に示した本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置、置換え、組合せ、分離、および設計することができ、これらの構成はすべて本明細書に企図されることが容易に理解されよう。
【外国語明細書】