(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057221
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】業務情報管理システム及びデータ検索方法
(51)【国際特許分類】
G06F 16/2457 20190101AFI20230414BHJP
G06Q 10/0633 20230101ALI20230414BHJP
【FI】
G06F16/2457
G06Q10/06 324
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166600
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉内 英也
(72)【発明者】
【氏名】森田 秀和
(72)【発明者】
【氏名】倉田 明佳
(72)【発明者】
【氏名】宮本 啓生
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175DA10
5B175EA03
5B175FB03
5B175FB04
5B175GA01
5B175HB03
5L049AA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】過去の実績データが関連付けられた業務フローから、基準業務フローに類似する業務フローを検索し、これらの業務フローから所望のデータに類似する実績データを抽出す。
【解決手段】業務情報管理システムにおいて、業務情報管理サーバの制御部は、業務フロー毎に各業務工程の実績データをデータ発生装置から収集し、収集した実績データを当該業務工程における業務及び業務に係る要素に対応付けて記憶装置に格納する実績データ収集部と、基準業務フローとともに、業務フロー及び実績データの類似性に関する検索条件が指定された場合に、当該検索条件に基づいて、記憶装置に格納された実績データが対応付けられた複数の業務フローのうちから、基準業務フローに類似する業務フローを抽出し、当該抽出した業務フローの実績データのうちから、基準業務フローの実績データに類似する実績データを抽出し、抽出結果を出力する実績データ検索部と、して動作する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ1以上の業務工程から構成される複数の業務フローについて、各業務フローの各業務工程に関する業務情報を管理する業務情報管理システムであって、
前記業務工程における実績データを生成するデータ発生装置と、
前記データ発生装置で生成された実績データを収集し、実行された前記業務フローの構成に対応付けて管理する業務情報管理サーバと、
を備え、
前記業務情報管理サーバは、
前記業務フローごとに各業務工程の実績データを前記データ発生装置から収集し、収集した実績データを当該業務工程における業務及び当該業務にかかる関連要素に対応付けて記憶装置に格納する実績データ収集部と、
基準とする業務フローである基準業務フローとともに、業務フロー及び実績データの類似性に関する検索条件が指定された場合に、当該検索条件に基づいて、前記記憶装置に格納された実績データが対応付けられた複数の業務フローのうちから、前記基準業務フローに類似する業務フローを抽出し、当該抽出した業務フローの実績データのうちから、前記基準業務フローの実績データに類似する実績データを抽出し、抽出結果を出力する実績データ検索部と、
を有する
ことを特徴とする業務情報管理システム。
【請求項2】
前記実績データ検索部は、
前記類似する実績データの抽出対象項目として、前記業務または前記関連要素における1以上の項目が指定された場合、
前記基準業務フローの実績データに類似する実績データを抽出した後、当該抽出した実績データのうちから、前記抽出対象項目における実績データを抽出し出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の業務情報管理システム。
【請求項3】
前記業務フローの類似性に関する検索条件には、前記基準業務フローに含まれる前記業務の総数に対する類似性の許容範囲を指定する業務数差分、または、前記基準業務フローに含まれる前記関連要素の総数に対する類似性の許容範囲を指定する項目数差分の少なくとも何れかが含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の業務情報管理システム。
【請求項4】
前記実績データの類似性に関する検索条件は、任意の前記業務または前記関連要素の項目について、その実績データに対する類似性の許容範囲とする1以上の類似性判定条件が設定される
ことを特徴とする請求項1に記載の業務情報管理システム。
【請求項5】
前記業務情報管理サーバは、
ユーザから指定された閾値設定に基づいて、前記基準業務フローの実績データと、前記記憶装置に格納された実績データが対応付けられた複数の業務フローの実績データとを比較し、
前記閾値設定を満足する前記業務フローの実績データについて、前記基準業務フローの実績データとの差分に基づいて、類似性の許容範囲とする1以上の類似性判定条件を特定し、
前記特定した類似性判定条件を用いて、前記実績データの類似性に関する検索条件として選択可能な類似性セットの候補を生成する、
データ類似性候補生成部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の業務情報管理システム。
【請求項6】
前記記憶装置に格納された実績データが対応付けられた複数の業務フローについて、各業務フローの実績データに対する信頼度をユーザから設定可能であり、
前記実績データ検索部は、前記類似する実績データを検索する際に、前記信頼度に関する検索条件が指定された場合には、前記基準業務フローの実績データに類似する実績データを抽出した後、当該抽出した実績データのうちから、前記検索条件で指定された信頼度を満足する実績データを抽出し出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の業務情報管理システム。
【請求項7】
前記業務情報管理サーバは、
前記実績データ検索部によって抽出された前記類似する実績データの抽出結果に対して、ユーザから指定された前記業務または前記関連要素における所定項目を分析対象として、所定の手法を用いて因子分析を実行し、前記分析対象の所定項目への寄与率が所定の閾値を超える実績データを分析結果として出力する、実績データ因子分析部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の業務情報管理システム。
【請求項8】
それぞれ1以上の業務工程から構成される複数の業務フローについて、各業務フローの各業務工程に関する業務情報を管理する業務情報管理システムによるデータ検索方法であって、
前記業務情報管理システムは、
前記業務工程における実績データを生成するデータ発生装置と、
前記データ発生装置で生成された実績データを収集し、実行された前記業務フローの構成に対応付けて管理する業務情報管理サーバと、
を有し、
前記業務情報管理サーバが、前記業務フローごとに各業務工程の実績データを前記データ発生装置から収集し、収集した実績データを当該業務工程における業務及び当該業務にかかる関連要素に対応付けて記憶装置に格納する実績データ収集ステップと、
前記業務情報管理サーバが、基準とする業務フローである基準業務フローとともに、業務フロー及び実績データの類似性に関する検索条件が指定された場合に、当該検索条件に基づいて、前記記憶装置に格納された実績データが対応付けられた複数の業務フローのうちから、前記基準業務フローに類似する業務フローを抽出し、当該抽出した業務フローの実績データのうちから、前記基準業務フローの実績データに類似する実績データを抽出し、抽出結果を出力する実績データ検索ステップと、
を備える
ことを特徴とするデータ検索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務情報管理システム及びデータ検索方法に関し、材料研究の開発において実績データを管理する業務情報管理システム及びそのデータ検索方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
材料研究開発の分野において、既存の実験データを統合及び分析することで新規製品の開発を加速するMI(Material Informatics)の研究開発が推進されている。
【0003】
材料研究のデータ利活用を促進するには、研究開発プロセスにおいて材料研究が対象とする業務フローを包括的に記述し、関連する実験データを効率よく管理する必要がある。また、材料研究は試行錯誤の繰り返しであり、各工程における実験条件や手順の変更によって業務フローの更新が頻繁に発生するため、これらの変更を記録し、研究開発プロセスで取得した実績データと関連付ける必要がある。
【0004】
ここで、例えば特許文献1には、既存の実績データを用いて分析フローを作成する技術が開示されている。特許文献1に開示された分析フロー作成システムは、機械の稼動データを分析して機械の異常を検知した過去事例の分析フローと、現在作成中の分析フローの各分析手順の設定パラメータとノウハウ情報を入力するためのスペースを持つ中間情報を蓄積し、ユーザが新たに分析フローを作成する際に、蓄積された過去事例の中間情報からノウハウ情報を検索し、検索結果を参照して分析フローを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、材料研究開発においては、現在実験中のデータに近い実績データを検索することが求められるが、このとき、過去の様々な実績データを関連付けた業務フローのうちから、実験条件や手順の差異を考慮して類似する業務フローを検索し、これらの業務フローのうちから所望のデータに類似する実績データを検索できると便利である。しかし、特許文献1に開示された技術は、フローの作成の簡易化を目的としたものであり、業務フローや実績データを検索する機能を有していない。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、過去の実績データが関連付けられた業務フローに対して、業務フロー及び実績データの類似性を検索条件とする検索を実行可能な業務情報管理システム及びデータ検索方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明においては、それぞれ1以上の業務工程から構成される複数の業務フローについて、各業務フローの各業務工程に関する業務情報を管理する業務情報管理システムであって、前記業務工程における実績データを生成するデータ発生装置と、前記データ発生装置で生成された実績データを収集し、実行された前記業務フローの構成に対応付けて管理する業務情報管理サーバと、を備え、前記業務情報管理サーバは、前記業務フローごとに各業務工程の実績データを前記データ発生装置から収集し、収集した実績データを当該業務工程における業務及び当該業務にかかる関連要素に対応付けて記憶装置に格納する実績データ収集部と、基準とする業務フローである基準業務フローとともに、業務フロー及び実績データの類似性に関する検索条件が指定された場合に、当該検索条件に基づいて、前記記憶装置に格納された実績データが対応付けられた複数の業務フローのうちから、前記基準業務フローに類似する業務フローを抽出し、当該抽出した業務フローの実績データのうちから、前記基準業務フローの実績データに類似する実績データを抽出し、抽出結果を出力する実績データ検索部と、を有する業務情報管理システムが提供される。
【0009】
また、かかる課題を解決するため本発明においては、それぞれ1以上の業務工程から構成される複数の業務フローについて、各業務フローの各業務工程に関する業務情報を管理する業務情報管理システムによるデータ検索方法であって、前記業務情報管理システムは、前記業務工程における実績データを生成するデータ発生装置と、前記データ発生装置で生成された実績データを収集し、実行された前記業務フローの構成に対応付けて管理する業務情報管理サーバと、を有し、前記業務情報管理サーバが、前記業務フローごとに各業務工程の実績データを前記データ発生装置から収集し、収集した実績データを当該業務工程における業務及び当該業務にかかる関連要素に対応付けて記憶装置に格納する実績データ収集ステップと、前記業務情報管理サーバが、基準とする業務フローである基準業務フローとともに、業務フロー及び実績データの類似性に関する検索条件が指定された場合に、当該検索条件に基づいて、前記記憶装置に格納された実績データが対応付けられた複数の業務フローのうちから、前記基準業務フローに類似する業務フローを抽出し、当該抽出した業務フローの実績データのうちから、前記基準業務フローの実績データに類似する実績データを抽出し、抽出結果を出力する実績データ検索ステップと、を備えるデータ検索方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、過去の実績データが関連付けられた業務フローのうちから、基準とする業務フロー(基準業務フロー)に類似する業務フローを検索し、これらの業務フローのうちから所望のデータに類似する実績データを抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る業務情報管理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】業務情報管理サーバ1の内部構成例を示すブロック図である。
【
図3】業務情報DB163のデータ構成例を示す図である。
【
図4】基準業務フロー情報DB164のデータ構成例を示す図である。
【
図5】業務関連要素情報DB165のデータ構成例を示す図である。
【
図6】業務実績情報DB167のデータ構成例を示す図である。
【
図7】業務関連要素実績情報DB168のデータ構成例を示す図である。
【
図8】実績類似性情報DB169のデータ構成例を示す図である。
【
図11】業務情報管理端末2の内部構成例を示すブロック図である。
【
図12】業務情報収集端末3の内部構成例を示すブロック図である。
【
図13】機器稼働情報DB363のデータ構成例を示す図である。
【
図14】実績データ収集処理の処理手順例を示すシーケンス図である。
【
図15】実績データ検索処理の全体的な処理手順例を示すシーケンス図である。
【
図16】業務情報管理サーバ1における実績データ検索処理の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図17】実績データ検索画面の一例を示す図である。
【
図18】基準業務フロー設定画面の一例を示す図である。
【
図19】データ類似性設定画面の一例を示す図である。
【
図20】データ類似性設定画面の別例を示す図である。
【
図21】データ類似性候補生成処理の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図22】信頼度設定処理の全体的な処理手順例を示すシーケンス図である。
【
図24】実績データ検索画面の別例を示す図である。
【
図25】実績データ因子分析画面の一例を示す図である。
【
図26】実績データ因子分析処理の処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳述する。
【0013】
なお、以下の記載及び図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。本発明が実施形態に制限されることは無く、本発明の思想に合致するあらゆる応用例が本発明の技術的範囲に含まれる。本発明は、当業者であれば本発明の範囲内で様々な追加や変更等を行うことができる。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は複数でも単数でも構わない。
【0014】
以下の説明では、「DB」、「テーブル」、「表」、「リスト」、「キュー」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。データ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報」と呼ぶことがある。各情報の内容を説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらは互いに置換が可能である。
【0015】
また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、添字や枝番を含む参照符号のうちの共通部分(添字や枝番を除く部分)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、添字や枝番を含む参照符号を使用することがある。例えば、業務情報収集端末を特に区別せずに説明する場合には「業務情報収集端末3」と記載するのに対して、個々の業務情報収集端末3を区別して説明する場合には「業務情報収集端末3-1」、・・・、「業務情報収集端末3-M」のように記載する。また、データ発生装置を特別に区別せずに説明する場合には「データ発生装置4」と記載するのに対して、特定の業務情報収集端末3に接続する個別のデータ発生装置を示す場合には、添字や枝番を組み合わせて記載する。具体的には例えば、データ発生装置4-Mに接続されるデータ発生装置4は、「データ発生装置4-M1」や「データ発生装置4-M2」のように記載する。
【0016】
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、少なくとも1以上のプロセッサ(例えばCPU)によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)及び/又はインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノード、ストレージシステム、ストレージ装置、サーバ、管理計算機、クライアント、又は、ホストであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体(例えばプロセッサ)は、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路を含んでもよい。例えば、プログラムを実行して行う処理の主体は、暗号化及び復号化、又は圧縮及び伸張を実行するハードウェア回路を含んでもよい。プロセッサは、プログラムに従って動作することによって、所定の機能を実現する機能部として動作する。プロセッサを含む装置及びシステムは、これらの機能部を含む装置及びシステムである。
【0017】
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサ(例えばCPU)と記憶資源を含み、記憶資源はさらに配布プログラムと配布対象であるプログラムとを記憶してよい。そして、プログラム配布サーバのプロセッサが配布プログラムを実行することで、プログラム配布サーバのプロセッサは配布対象のプログラムを他の計算機に配布してよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0018】
本発明は、過去の実績データが関連付けられた業務フローのうちから、業務フロー及び実績データの類似性を検索条件に指定してデータ検索を行うこと、詳細には、検索の基準とする業務フロー(基準業務フロー)に対して業務フローの類似性を満たす業務フローを検索して抽出し(類似業務フロー検索)、さらにこれらの業務フローのうちから実績データの類似性を満たす実績データを検索して抽出する(類似実績データ検索)ことを主な目的とする。以下の説明では、上記した類似業務フロー検索及び類似実績データ検索の一連の処理を「実績データ検索」と称する。
【0019】
以下の説明において、「実績」とは、業務フローに従って実施された作業履歴であり、具体的には、いつ、誰が、どの業務で、どのような操作を行った、という情報である。「実績値」は当該実績の結果を示す値であり、具体的には例えば、作業時間や材料数等を表す。「業務フロー」は、1以上の業務工程が連結されて構成され、各業務工程に関する情報は、業務情報(後述する業務情報DB163の1レコード)として管理される。業務工程(単に業務とも称する)は、業務(業務ノード)と当該業務にかかる関連要素である業務関連要素(業務関連要素ノード)とから構成されると考えることができ、業務工程間の連結関係は、所定の業務関連要素の実績値(後述する業務関連要素実績情報DB168のうちの特定の業務関連項目実績値)の一致に基づいて決定することができる。業務工程間の連結関係を示す情報は、別途保持するようにしてもよいが、図示は省略する。「業務情報」は、業務に関する情報の総称を示す場合があり、業務フローまたは業務実績を意味する。「実績データ」は、業務実績または業務関連要素の実績値を含むデータであって、実績値以外の情報を含み得る。
【0020】
(1)構成
図1は、本発明の一実施形態に係る業務情報管理システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示す業務情報管理システムは、業務情報管理サーバ1、業務情報管理端末2、業務情報収集端末3、及びデータ発生装置4を備える。
【0021】
業務情報管理サーバ1、業務情報管理端末2、及び業務情報収集端末3はネットワーク6を介して互いに接続される。業務情報管理サーバ1は、業務情報を管理し運用する運用管理センタ7に設置される。業務情報管理端末2は、ユーザが操作する端末であり、その設置場所は特に限定されない。業務情報収集端末3及びデータ発生装置4は、1以上の拠点5(個別には拠点5-1~5-M)にそれぞれ設置され、同一の拠点5において、1つの業務情報収集端末3に1以上のデータ発生装置4が接続される。なお、拠点5は、実験や研究が行われる施設等を示すが、その区分は特に限定されない。
【0022】
データ発生装置4は、作業工程の実行に伴って、種々の実績データを発生させる装置であって、例えば、材料の加工等を行う実験装置や、作業ログ、実験条件、センサ等の記録を行う周辺装置等である。データ発生装置4は、自装置の稼働に伴って発生する様々な実績データを接続先の業務情報収集端末3に送信する。業務情報収集端末3は、データ発生装置4から収集した実績データを、ネットワーク6を介して業務情報管理サーバに送信する。
【0023】
図2は、業務情報管理サーバ1の内部構成例を示すブロック図である。業務情報管理サーバ1は、例えば一般的なサーバ計算機で実現され、
図2に示すように、ネットワークインターフェース10、制御部(CPU)12、外部記憶装置14、及び内部記憶装置16が、バス18を介して接続されて構成される。
【0024】
ネットワークインターフェース10は、業務情報管理サーバ1と外部とを接続するためのインターフェースであって、例えば入出力インターフェースや通信インターフェース等である。
【0025】
制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサであって、外部記憶装置14または内部記憶装置16に記憶されたプログラム(例えば業務情報管理プログラム161)を実行することにより、所定の機能を実現する。
【0026】
外部記憶装置14は、プログラムやデータを記憶する装置であって、具体的には例えば、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等である。
図2において内部記憶装置16内に示す各データやプログラムは、外部記憶装置14に記憶されているとしてもよく、その場合、必要に応じて各データやプログラムが内部記憶装置16に一時記憶され、制御部12によって実行される。
【0027】
内部記憶装置16は、例えばメモリであって、制御部12が直接制御するプログラムやデータを記憶する。具体的には、内部記憶装置16は、業務情報管理プログラム161、業務情報DB163、基準業務フロー情報DB164、業務関連要素情報DB165、業務実績情報DB167、業務関連要素実績情報DB168、及び実績類似性情報DB169を記憶する。業務情報管理プログラム161は、制御部12によって実行されるプログラムであって、業務情報管理サーバ1が業務情報管理端末2または業務情報収集端末3との間で所定の制御処理を要求/応答したり、業務情報管理サーバ1の内部で所定のデータ処理等を実行したりするためのプログラムである。業務情報管理プログラム161によって提供される具体的な処理については後述する。
【0028】
以下に、
図2に示した業務情報管理サーバ1の内部記憶装置16に格納される各種情報のデータ構成について説明する。
【0029】
図3は、業務情報DB163のデータ構成例を示す図である。業務情報DB163は、業務フローを構成する各業務の構成情報(業務情報)を保持するテーブルデータであって、1工程に相当する業務単位でレコードを有する。業務情報DB163は、業務識別子1631、業務名1632、業務関連要素リスト1633、業務項目リスト1634、及び業務実績データアドレス1635のデータ項目を有して構成される。
【0030】
業務識別子1631は、業務情報に割当てられた識別子(例えば、ラベルや製造ID)を示す。なお、業務名1632などの詳細構成が同一であっても、業務識別子1631には、業務フローごとに異なる業務識別子が割り当てられると考えてよい。業務名1632は、業務の名称を示す。業務関連要素リスト1633は、業務に関連する要素(業務関連要素)を管理するリストであって、業務関連要素ごとに割り当てられた識別子(業務関連要素ID1636)が格納される。業務項目リスト1634は、業務の構成要素の項目(業務項目)を管理するリストであって、業務項目ごとに割当てられた識別子(業務項目ID1637)が格納される。業務実績データアドレス1635は、業務の実績データの格納先アドレスを示し、後述する
図6の業務実績情報DB167の業務実績データアドレス1671に対応する。なお、後述する
図9には業務情報の模式図が示され、
図10には業務フローの模式図が示される。
【0031】
図4は、基準業務フロー情報DB164のデータ構成例を示す図である。基準業務フロー情報DB164は、基準業務フローの登録情報を保持するテーブルデータであって、業務間の接続関係を保持する構成となっている。基準業務フロー情報DB164は、基準業務フローを構成する1つの業務の識別子を示す業務識別子1641、業務識別子1641の業務の前側に接続される前業務の識別子を示す前業務識別子1642、及び、業務識別子1641の業務の後側に接続される後業務の識別子を示す後業務識別子1643のデータ項目を有して構成される。業務識別子1641、前業務識別子1642、及び後業務識別子1643に格納される識別子は、業務情報DB163の業務識別子1631に用いられる業務識別子である。なお、詳細な説明は省略するが、業務情報管理サーバ1は、前業務識別子及び後業務識別子が明示して保持されていなくても、内部記憶装置16に記憶される他の情報を参照することによって、業務の前後関係を認識することが可能である。
【0032】
基準業務フローは、実績データ検索の際に基準とされる業務フローである。本実施形態では、1または複数の基準業務フローが、基準業務フロー情報DB164に登録され、登録された基準業務フローのうちから、実績データ検索において使用する基準業務フローを選択することができる。なお、基準業務フロー情報DB164への基準業務フローの登録には、例えば所定のGUI(Graphical User Interface)(例えば、後述する
図18の基準業務フロー設定画面420)が用いられる。なお、実績データ検索時にユーザが手動で基準業務フローを作成できるようにしてもよい。
【0033】
図5は、業務関連要素情報DB165のデータ構成例を示す図である。業務関連要素情報DB165は、業務関連要素の構成情報を保持するテーブルデータであって、業務関連要素単位でレコードを有する。業務関連要素情報DB165は、業務関連要素ID1651、業務関連要素名1652、業務関連項目ID1653、及び業務関連要素実績データアドレス1654のデータ項目を有して構成される。
【0034】
業務関連要素ID1651は、業務関連要素に割当てられた識別子(業務関連要素ID)であり、業務情報DB163の業務関連要素リスト1633に記録された業務関連要素ID1636に対応する。業務関連要素名1652は、業務関連要素の名称を示す。業務関連項目ID1653は、業務関連要素の構成要素の項目(業務関連項目)を管理するために、業務関連項目ごとに割当てられた識別子(業務関連項目ID)を示す。業務関連要素実績データアドレス1654は、業務関連要素の実績データの格納先アドレスを示し、後述する
図7の業務関連要素実績情報DB168の業務関連要素実績データアドレス1681に対応する。
【0035】
図6は、業務実績情報DB167のデータ構成例を示す図である。業務実績情報DB167は、業務の実績データ(業務実績)を管理するテーブルデータであって、業務実績データアドレス1671、業務項目ID1672、業務項目実績値1673、及び信頼度1674のデータ項目を有して構成される。
【0036】
業務実績データアドレス1671は、当該レコードにおけるすべての業務項目ID1672から業務項目実績値1673まで(あるいは信頼度1674まで)のデータの格納先アドレスを示すものであり、例えばその開始アドレスの値であってもよい。業務項目ID1672は、業務情報DB163の業務項目リスト1634に記録された業務項目ID1637に対応する。業務項目実績値1673は、業務項目ID1672に対応する各業務項目の実績値を示す。信頼度1674は、当該レコードにおける業務実績の信頼度を示す。業務実績の信頼度とは、例えば当該業務における実験結果に対する評価値であり、後述するようにユーザから設定される。
【0037】
図7は、業務関連要素実績情報DB168のデータ構成例を示す図である。業務関連要素実績情報DB168は、業務関連要素の実績データ(業務関連要素実績)を管理するテーブルデータであって、業務関連要素実績データアドレス1681、業務関連項目ID1682、及び業務関連項目実績値1683のデータ項目を有して構成される。
【0038】
業務関連要素実績データアドレス1681は、当該レコードにおけるすべての業務関連項目ID1682から業務関連項目実績値1683までのデータの格納先アドレスを示すものであり、例えばその開始アドレスの値であってもよい。業務関連項目ID1682は、業務関連要素情報DB165の業務関連項目ID1653に対応する。業務関連項目実績値1683は、業務関連項目ID1682に対応する各業務関連項目の実績値を示す。
【0039】
図8は、実績類似性情報DB169のデータ構成例を示す図である。実績類似性情報DB169は、実績データ検索時に実績データの類似性の検索条件として指定可能なデータ類似性の登録情報を保持するテーブルデータであって、類似性識別子1691及び類似性条件1692のデータ項目を有して構成される。詳細は後述するが、本実施形態において「データ類似性」は、所定のGUI(例えば、後述する
図19のデータ類似性設定画面430)を利用してユーザが登録するとしてもよいし、所定のプログラム処理を行って基準業務フローからデータ類似性の候補を算出し、算出された候補からユーザが選択して登録するとしてもよい(
図20,
図21参照)。
【0040】
類似性識別子1691は、実績類似性情報DB169に登録されるデータ類似性ごとに割当てられる識別子を示す。類似性条件1692は、データ類似性の判定に用いられる条件(
図19に示す類似性判定条件に相当)を示す。類似性条件1692に登録される条件は複数であってもよい。なお、図示を省略したが、実績類似性情報DB169は、上記したデータ項目の他にも、データ類似性に関する諸情報(具体的には、
図19に示す類似性名称、類似性対象要素、及び類似性項目)を保持するデータ項目を有すると考えてよい。
【0041】
図9は、業務情報の一例を示す模式図である。
図9は、業務フローを構成する業務の1つについて、その業務情報170を模式的に示したものである。業務情報170は、当該業務工程に関する情報を有する1つの業務ノード171に、当該業務を実行する上で必要な業務関連要素に関する情報を有する業務関連要素ノード172が接続されて構成される。1つの業務を実行する上では、業務の作業工程で原料に用いた部品(入力部品)、作業工程で生成した部品(出力部品)、作業工程で用いた機械、作業工程の作業者など、複数の業務関連要素が必要であることが一般的であることから、1つの業務ノード171に対して複数の業務関連要素ノード172が接続される。
【0042】
業務ノード171において、領域173には、当該業務の名称(業務名1632)が示され、領域174には、当該業務における各業務項目についてその識別子(業務項目ID1637,1672)が示されている。
【0043】
業務関連要素ノード172において、領域175には、当該業務関連要素の名称(業務関連要素名1652)が示され、領域176には、当該業務関連要素における各業務関連項目についてその識別子(業務関連項目ID1653,1682)が示されている。
【0044】
図10は、業務フローの一例を示す模式図である。
図10には、業務フローを構成する複数の業務(業務ノード171)と、各業務における入力部品または出力部品を示す部品ノード177との接続関係が示されている。部品ノード177は、
図9に示した業務関連要素ノード172に属するノードである。
【0045】
図10に示した業務フローにおいては、例えば、業務Bの業務ノード171に関連付けられた部品Bの部品ノード177は、1以上の他の業務ノード171(業務C,業務E)のインプットとして入力される。また、業務Dの業務ノード171で生成された部品Dの部品ノード177と業務Fの業務ノード171で生成された部品Fの部品ノード177とが、1つの業務ノード171(業務G)のインプットとして利用される。
【0046】
言い換えると、
図10の業務フローでは、前工程(前業務)に相当する業務Bが実施されることで、複数の部品Bが生産され、この複数の部品Bは、後工程(後業務)に相当する業務C及び業務Eの材料として利用される。また、業務Gでは、業務Dで生産された部品Dと業務Fで生産された部品Fとが材料として利用されて、完成品が生産されていることが分かる。
【0047】
図11は、業務情報管理端末2の内部構成例を示すブロック図である。業務情報管理端末2は、ユーザが使用する端末であって、例えば一般的な計算機で実現される。
図11に示すように、業務情報管理端末2は、ネットワークインターフェース20、入出力装置21、制御部(CPU)22、外部記憶装置24、及び内部記憶装置26が、バス28を介して接続されて構成される。
図11に示した業務情報管理端末2の内部構成は、
図2に示した業務情報管理サーバ1の内部構成と共通するものが多く、これらについては、繰り返しになるため説明を省略する。
【0048】
図2に示した内部構成との相違点として、
図11に示した業務情報管理端末2は、入出力装置21を備え、内部記憶装置26に業務情報設定プログラム261を記憶している。入出力装置21は、業務情報管理端末2における情報入力のためにユーザが操作する入力装置、及びユーザに対する情報出力を行う出力装置であって、具体的には例えば、キーボードやマウス等の入力装置とディスプレイ等の出力装置とで実現される。業務情報設定プログラム261は、制御部12によって実行されるプログラムであって、実績データ検索や各種情報の設定等を行うための各種GUIに対する操作機能を提供する。なお、上記の各種GUIは業務情報管理サーバ1から提供される。
【0049】
図12は、業務情報収集端末3の内部構成例を示すブロック図である。業務情報収集端末3は、例えばIoTゲートウェイであって、自身に接続された1以上のデータ発生装置4から実績データを収集して機器稼働情報DB363に登録し、業務情報管理サーバ1からの要求に応じて機器稼働情報DB363の登録情報(機器稼働情報)を送信する。
図12に示すように、業務情報収集端末3は、ネットワークインターフェース30、制御部(CPU)32、外部記憶装置34、及び内部記憶装置36が、バス38を介して接続されて構成される。
図12に示した業務情報収集端末3の内部構成は、
図2に示した業務情報管理サーバ1の内部構成と共通するものが多く、これらについては、繰り返しになるため説明を省略する。
【0050】
図2に示した内部構成との相違点として、
図12に示した業務情報収集端末3は、内部記憶装置36に業務実績情報管理プログラム361及び機器稼働情報DB363を記憶している。業務実績情報管理プログラム361は、制御部32によって実行されるプログラムであって、データ発生装置4から収集した実績データを機器稼働情報DB363に登録する機能や、機器稼働情報DB363の登録情報(機器稼働情報)を業務情報管理サーバ1に送信する機能を提供する。機器稼働情報DB363については、
図13を参照しながら詳述する。
【0051】
図13は、機器稼働情報DB363のデータ構成例を示す図である。機器稼働情報DB363は、データ発生装置4から収集した実績データの情報を保持するテーブルデータであって、拠点識別子3631、装置識別子3632、データ記録日時3633、データ種別3634、及び稼働データ3635のデータ項目を有して構成される。
【0052】
拠点識別子3631は、実績データの発生元のデータ発生装置4が設置された拠点5に割当てられた識別子を示す。実績データの発生元のデータ発生装置4と収集先の業務情報収集端末3とが同一の拠点5に設置されている場合、拠点識別子3631に記録される識別子は、データ発生装置4が設置された拠点5の識別子と同義である。装置識別子3632は、実績データの発生元のデータ発生装置4に割当てられた識別子を示す。データ記録日時3633は、収集した実績データの登録日時(または発生日時)を示す。データ種別3634は、収集した実績データの種別を示す。稼働データ3635は、収集した実績データの値(実績値)を示す。
【0053】
なお、機器稼働情報DB363に登録される実績データには、業務の実績データ(業務実績)だけでなく、業務関連要素の実績データ(業務関連要素実績)も含まれる。そして、機器稼働情報DB363は、業務実績と業務関連要素実績とを異なるレコードで登録するようにしてもよい。また、後述する実績データ収集処理によって、機器稼働情報DB363に登録された機器稼働情報は、業務情報管理サーバ1において主に業務実績情報DB167及び業務関連要素実績情報DB168に適宜登録される。したがって、機器稼働情報DB363のデータ構成は、
図13に例示したデータ項目に限定されず、業務実績情報DB167及び業務関連要素実績情報DB168に登録するために必要な他のデータ項目(例えば、業務項目IDや業務関連項目)を有してもよい。
【0054】
(2)処理
以下では、本実施形態に係る業務情報管理システム(特に業務情報管理サーバ1)が実行する各種処理について説明する。
【0055】
(2-1)実績データ収集
まず、実績データ収集処理について説明する。実績データ収集処理は、データ発生装置4で発生した実績データを、業務情報収集端末3を経由して業務情報管理サーバ1に収集する処理であって、任意のタイミングで実施される。また、実績データ収集処理は、手動で開始されてもよいし、業務情報収集端末3または業務情報管理サーバ1における所定のプログラムによって開始されてもよい。
【0056】
図14は、実績データ収集処理の処理手順例を示すシーケンス図である。
【0057】
図14によればまず、データ発生装置4が、自装置の作業工程で発生した実績データを業務情報収集端末3に送信する(ステップS101)。このとき、業務情報収集端末3は、業務実績情報管理プログラム361を実行することにより、収集した実績データに基づく機器稼働情報を機器稼働情報DB363に登録する。ステップS101の処理は、それぞれのデータ発生装置4から接続先の業務情報収集端末3に対して実行される。
【0058】
次に、業務情報収集端末3が、ステップS101で機器稼働情報DB363に登録した機器稼働情報をネットワーク6を介して業務情報管理サーバ1に送信する(ステップS102)。ステップS102の処理は、例えば業務情報収集端末3の業務実績情報管理プログラム361によって実行される。
【0059】
次に、業務情報管理サーバ1は、業務情報管理プログラム161を実行することにより、ステップS102で受信した機器稼働情報を、業務実績情報DB167及び業務関連要素実績情報DB168の所定のデータ項目に格納する(ステップS103)。具体的には例えば、業務に関する稼働データ3635は業務実績情報DB167の業務項目実績値1673に格納され、業務関連要素に関する稼働データ3635は業務関連要素実績情報DB168の業務関連項目実績値1683に格納される。さらに、業務情報管理サーバ1では、ステップS103におけるデータの格納後、格納したデータに関連する内部記憶装置16の各種DBのデータ項目(例えば、業務実績データアドレス1635や業務関連要素実績データアドレス1654等)を登録する。
【0060】
なお、ステップS103の処理の実行契機は任意に定めることができる。具体的には例えば、1つの業務情報収集端末3からステップS102の処理が行われるごとに実行されるとしてもよいし、全ての業務情報収集端末3からステップS102の処理が行われた後に実行されるとしてもよいし、定期的に実行されるとしてもよい。
【0061】
また、本実施形態に係る業務情報管理システムは、業務情報収集端末3を備えずに構成されてもよく、その場合は、それぞれのデータ発生装置4で発生した実績データは、直接、ネットワーク6を介して業務情報管理サーバ1に収集される。
【0062】
(2-2)実績データ検索
次に、実績データ検索について説明する。実績データ検索処理は、ユーザが指定する業務フロー及び実績データの類似性の検索条件に基づいて、過去の実績データが関連付けられた業務フローのうちから、基準業務フローにおいてユーザが選択した実績データと類似する実績データを検索し抽出する処理である。
【0063】
図15は、実績データ検索処理の全体的な処理手順例を示すシーケンス図である。
図15には、データ検索に伴う業務情報管理端末2と業務情報管理サーバ1との間のやり取りが示されている。
【0064】
図15によればまず、業務情報管理端末2において、業務情報管理サーバ1から提供される実績データ検索画面に対して、ユーザが実績データ検索の検索条件を入力する(ステップS201)。後述する
図17に、実績データ検索画面の具体例を示す。ステップS201で入力される検索条件には、業務フローの類似性の検索条件(具体的には、業務数差分及び項目数差分)と、実績データの類似性の検索条件(具体的には、データ類似性)とが含まれるが、これら以外の検索条件(例えば日時を限定する検索条件等)も指定可能である。
【0065】
また、ステップS201においては、類似業務フロー検索の基準とする基準業務フローと、実績データ検索の抽出対象とする実績データの項目(業務項目または業務関連項目の何れでもよい)の指定も行われる。基準業務フローは、基準業務フロー情報DB164に登録された業務フローからユーザによって選択されてもよいし、ユーザが直接作成するとしてもよい。後述する
図18には、基準業務フロー情報DB164に基準業務フローを登録するための操作画面である基準業務フロー設定画面の一例を示す。
【0066】
次に、業務情報管理端末2の制御部22(業務情報設定プログラム261)が、ステップS201で入力された検索条件を添えて、実績データ検索の実行指示を業務情報管理サーバ1に送信する(ステップS202)。なおこのとき、ステップS201で指定された基準業務フロー、及び抽出対象とする実績データの項目を特定する情報も、業務情報管理サーバ1に送信される。
【0067】
次に、業務情報管理サーバ1では、制御部12(業務情報管理プログラム161)が、ステップS202で受信した情報に基づいて、類似業務フロー検索及び類似実績データ検索を実行することにより、過去の実績データが関連付けられた業務フローのうちから、検索条件に該当する実績データを検索し抽出する(ステップS203)。過去の実績データが関連付けられた業務フローに関する情報は、内部記憶装置16の各種DBに格納されている。ステップS203における処理の詳細な処理手順は、
図16で説明する。
【0068】
次に、業務情報管理サーバ1は、ステップS203で抽出した実績データを含む所定の情報を、基準業務フロー設定画面に出力することによって業務情報管理端末2に提供する(ステップS204)。この結果、業務情報管理端末2のユーザは、自身が指定した実績データに類似する実績データを、基準業務フローに類似する業務フローのなかから知ることができる。以上が、実績データ検索処理の全体的な流れである。
【0069】
図16は、業務情報管理サーバ1における実績データ検索処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図16に示す処理は、
図15のステップS203の処理に相当し、制御部12が業務情報管理プログラム161を実行することによって実現される。
【0070】
図16によればまず、制御部12は、検索の基準となる業務フローの情報を基準業務フロー情報DB164から取得する(ステップS301)。ここで、検索の基準となる業務フローとは、具体的には、後述する
図17の実績データ検索画面410において基準業務フロー411に示される業務フローである。
【0071】
次に、制御部12は、業務フロー(業務情報)の類似性の検索条件を取得する(ステップS302)。ステップS302で取得する検索条件は、具体的には、後述する
図17の実績データ検索画面410における業務数差分415及び項目数差分416の入力値等に相当する。
【0072】
次に、制御部12は、業務情報DB163を参照してステップS302で取得した検索条件に合致する業務フローを検索し、該当する業務フロー(類似業務フロー)に関する情報を業務情報DB163から取得する(ステップS303)。
【0073】
次に、制御部12は、ステップS303で抽出した類似業務フローのそれぞれについて、業務実績情報DB167及び業務関連要素実績情報DB168を参照して、実績データを抽出する(ステップS304)。
【0074】
次に、制御部12は、ステップS304で抽出した類似業務フローの実績データのうちから、実績データの類似性の検索条件に合致する実績データを抽出する(ステップS305)。ここで、実績データの類似性の検索条件とは、具体的には、後述する
図17の実績データ検索画面410においてデータ類似性417の入力値に相当する。ステップS705で抽出される実績データを類似実績データと称する。
【0075】
そして、制御部12は、ステップS305で抽出した類似実績データのうちから、実績データ検索の抽出対象として指定された項目(後述する
図17の実績データ検索画面410の場合、項目1,項目7,項目9)に対応する実績データを抽出し、実績データ検索画面に出力する(ステップS306)。
【0076】
以上、ステップS301~S306の処理が行われることにより、後述する
図17の実績データ検索画面410の検索結果419には、検索条件に合致する類似の実績データに関する情報が表示される。
【0077】
図17は、実績データ検索画面の一例を示す図である。
図17に示す実績データ検索画面410は、業務フロー及び実績データの類似性の検索条件による実績データ検索を行う際に業務情報管理サーバ1から業務情報管理端末2に提供されるGUIであって、業務情報管理端末2のユーザによって操作される。
【0078】
図17の実績データ検索画面410において、基準業務フロー411には、検索の基準となる基準業務フローが選択されて表示される。基準業務フローは、例えば、基準業務フロー情報DB164に登録された業務フローのなかからユーザによって選択される。また、抽出対象項目412は、実績データ検索の抽出対象としてユーザによって指定された実績データの項目であり、複数の項目を選択可能である。例えば、
図17の場合、項目1~項目4の業務関連要素項目を有する加工品Aの業務関連要素において、太枠で囲まれた項目1の実績データが、類似する実績データの抽出対象項目として指定されている。
【0079】
実績データ検索画面410において、データ検索条件413には、実績データ検索を行うに当ってユーザから指定される検索条件が入力される。
図17に示すように、データ検索条件413には、複数種類の検索条件が入力可能である。「検索始点業務」及び「検索終点業務」は、検索対象とする業務の幅を指定する検索条件である。「開始日時」及び「終了日時」は、検索対象とする業務の実行期間(実績データの実行期間としてもよい)を指定する検索条件である。
【0080】
類似性414には、類似性に関する検索条件が入力され、具体的には、業務数差分415、項目数差分416、及びデータ類似性417が用意されている。このうち、業務数差分415及び項目数差分416は、業務フローの類似性に関する検索条件であり、データ類似性417は、実績データの類似性に関する検索条件である。
【0081】
業務数差分415には、基準業務フローとの類似性の条件の1つとして、業務フローを構成する業務の数が指定される。項目数差分416には、基準業務フローとの類似性の条件の1つとして、業務フローを構成する業務関連要素の数(業務情報における業務項目の数と読み替えてもよい)が指定される。
【0082】
データ類似性417には、実績データの類似性の条件として、様々な条件を組み合わせた類似性セットが指定される。例えば
図17でデータ類似性417に示された「原材料1:Aグループ」は、原材料1についてAグループ内であれば他の原材料であってもよい、ことを意味する。類似性セットは、実績類似性情報DB169から選択される。類似性セットの設定については、
図19等を参照しながら後述する。
【0083】
データ検索条件413において各種の入力が完了した後、出力ボタン418が押下されると、基準業務フロー411、抽出対象項目412、及びデータ検索条件413の入力内容に基づく実績データ検索の実行が決定される。このとき、上記入力内容が業務情報管理サーバ1に送信され、業務情報管理サーバ1において
図16に示した実績データ検索処理が行われ、その結果が検索結果419に出力される。
【0084】
検索結果419には、データ検索条件413に基づく実績データ検索処理の実行結果が表示される。
図17の場合、検索結果419には、検索条件に合致する類似業務フローごとに、抽出対象として指定された項目ごとの実績データ(実績値)の組み合わせと、基準業務フローとの差異が示されている。なお、検索結果の表示形式は
図17の例示に限定されるものではない。
【0085】
以上のように、実績データ検索処理を行うことにより、本実施形態に係る業務情報管理システムは、過去の実績データが関連付けられた業務フローのうちから、基準とする業務フロー(基準業務フロー)に類似する業務フローを検索し、これらの業務フローのうちから所望のデータに類似する実績データを抽出することができる。すなわち、本実施形態に係る業務情報管理システムによれば、業務工程のフローに沿って類似する実績データを検索することができる。
【0086】
図18は、基準業務フロー設定画面の一例を示す図である。
図18に示す基準業務フロー設定画面420は、実績データ検索で選択可能な基準業務フローを基準業務フロー情報DB164に登録するために業務情報管理サーバ1から業務情報管理端末2に提供されるGUIであって、業務情報管理端末2のユーザによって操作される。
【0087】
図18の基準業務フロー設定画面420において、対象業務名421の欄には、登録したい基準業務フローを構成する業務の名称(業務名1632に対応)が入力される。前業務名称422の欄には、対象業務名421の業務の前側に接続する業務の名称が入力され、前業務追加ボタン423が押下された場合に、前業務として追加される。後業務名称424の欄には、対象業務名421の業務の後側に接続する業務の名称が入力され、後業務追加ボタン425が押下された場合に、後業務として追加される。そして、設定ボタン426が押下されると、基準業務フロー設定画面420に入力された情報が基準業務フロー情報DB164に登録される。上記のような操作を基準業務フローを構成する各業務について繰り返し実行することで、基準業務フローが基準業務フロー情報DB164に登録される。なお、基準業務フロー設定画面420では、1つの業務(対象業務)に対して複数の前業務または後業務を設定できる構成になっている。業務の合流を示す場合には複数の前業務が設定され、業務の分岐を示す場合には複数の後業務が設定される。
【0088】
(2-3)データ類似性の設定
次に、データ類似性の設定について説明する。
【0089】
図19は、データ類似性設定画面の一例を示す図である。
図19に示したデータ類似性設定画面430は、ユーザの操作によってデータ類似性(類似性セット)を実績類似性情報DB169に登録する際に、業務情報管理サーバ1から業務情報管理端末2に提供されるGUIであって、業務情報管理端末2のユーザによって操作される。
【0090】
図19のデータ類似性設定画面430において、類似性名称431には、登録する類似性セットの名称が入力される。類似性対象要素432には、類似性判定の対象とする業務または業務関連要素を示す情報(例えば、業務名や業務関連要素名)が入力される。類似性項目433には、類似性判定の対象とする業務または業務関連要素の項目を示す情報(例えば、業務項目IDや業務関連項目ID)が入力される。類似性判定条件434には、類似性項目433に示される項目の実績データ(実績値)に対する類似性の具体的な判定条件が入力される。例えば、「製造元:○○社」と入力された場合、当該項目の実績値が「○○社」を製造元とするものであれば類似性を満たすと判定することを意味する。なお、類似性判定条件434には、条件追加ボタン435を押下することにより、複数の判定条件を入力することが可能となる。そして、データ類似性設定画面430において上記の各入力が完了した後、登録ボタン436が押下されると、入力内容が実績類似性情報DB169に登録される。このようにして実績類似性情報DB169に登録された類似性セットが実績データ検索画面410のデータ類似性417で入力(選択)可能となる。
【0091】
ところで、
図19に示したデータ類似性設定画面430は、ユーザが各項目を入力することによって類似性セットを登録するものであったが、本実施形態の業務情報管理サーバ1は、基準業務フローと類似性として許容できる閾値とをユーザから設定させることにより、基準業務フローからデータ類似性(類似性セット)の候補を業務情報管理プログラム161が自動生成するように構成することもできる。以下、このようなデータ類似性の自動生成を利用したデータ類似性の設定について説明する。
【0092】
図20は、データ類似性設定画面の別例を示す図である。
図20に示すデータ類似性設定画面440は、自動生成を利用してデータ類似性(類似性セット)を実績類似性情報DB169に登録する際に、業務情報管理サーバ1から業務情報管理端末2に提供されるGUIであって、業務情報管理端末2のユーザによって操作される。
【0093】
図20のデータ類似性設定画面440において、基準業務フロー441には、データ類似性候補の生成の基準とする業務フローが選択されて表示される。実績データ検索画面410における基準業務フロー411と同様、基準業務フロー441は、例えば、基準業務フロー情報DB164に登録された業務フローのなかからユーザによって選択される。
【0094】
類似性の閾値設定442においては、データ類似性候補に許容する類似性の閾値が設定される。類似性の閾値設定442の実装方法は特に限定しないが、例えば、
図17の実績データ検索画面410と同様に、業務数差分及び項目数差分のそれぞれについての許容範囲の設定領域が配置される(
図17の業務数差分415や項目数差分416を参照)。
【0095】
そして、基準業務フロー441及び類似性の閾値設定442が入力された後、データ類似性候補生成ボタン443が押下されると、制御部12によって
図21に示すデータ類似性候補生成処理が実行される。
【0096】
データ類似性候補生成結果444には、データ類似性候補生成処理の処理結果として、類似性セット(データ類似性)の候補が表示される。類似性セットの候補は、具体的には、基準業務フローと類似性の閾値の範囲内で類似する実績データについて、基準業務フローとの構成上の差分(類似性対象要素、類似性項目)、及び基準業務フローの実績データとの相違を網羅する判定条件(データ類似性判定条件)が表示される。そしてユーザが、所望の「選択」欄にチェックを入れた後に、登録ボタン445を押下することで、選択された類似性セット(データ類似性)が実績類似性情報DB169に登録される。
【0097】
図21は、データ類似性候補生成処理の処理手順例を示すフローチャートである。
【0098】
図21によればまず、制御部12は、データ類似性候補の生成の基準となる業務フローの情報を基準業務フロー情報DB164等から取得する(ステップS401)。生成の基準となる業務フローとは、具体的には、
図20のデータ類似性設定画面440において基準業務フロー441に示された業務フローである。
【0099】
次に、制御部12は、業務実績情報DB167を参照し、ステップS401で取得した基準業務フローに対して、類似性の閾値設定442で指定された業務数差分の条件を満たす業務フローの実績データを取得する(ステップS402)。ステップS402で取得した実績データが比較対象の実績データとなる。なお、類似性の閾値設定442において業務数差分が指定されていない場合は、全ての業務フローを比較対象としてもよいし、所定の方法で選別した業務フローを比較対象としてもよい。
【0100】
次に、制御部12は、基準業務フローの実績データと比較対象とする業務フローの実績データとを1つずつ選択する(ステップS403)。
【0101】
次に、制御部は、ステップS403で選択した実績データの組み合わせにおいて、実績データの項目の差分が所定の閾値以下(具体的には、類似性の閾値設定442で指定された項目数差分の範囲内)であるか否かを判定する(ステップS404)。ステップS404において閾値以下であった場合は(ステップS404のYES)、ステップS405に進み、実績データの項目の差分に基づいて、データ類似性の条件を生成し、その後ステップS406に進む。ステップS405で生成するデータ類似性の条件は、
図15のデータ類似性設定画面430に示した類似性判定条件434に対応するものであり、基準業務フローの実績データとの相違を網羅する判定条件が生成される。一方、ステップS404において閾値を超えていた場合は(ステップS404のNO)、ステップS406に進む。
【0102】
ステップS406では、制御部12は、ステップS402で取得した比較対象の実績データの全てに対して、ステップS403~S404(あるいはS405まで)の処理が行われたかを判定し、全ての比較対象の実績データの組み合わせについて処理が終了した場合にステップS407に進む。
【0103】
そしてステップS407において制御部12は、ステップS404で所定の閾値以下と判定された比較対象の実績データのそれぞれについて、基準業務フローとの差分、及びステップS405で生成した条件を含めて、類似性セットを作成し、データ類似性設定画面440のデータ類似性候補生成結果444に出力する。
【0104】
その後は、
図20で説明したように、ユーザがデータ類似性候補生成結果444から、登録したい類似性セットを選択し、登録ボタン445を押下することにより、所望の類似性セット(データ類似性)が実績類似性情報DB169に登録される。
【0105】
(2-4)信頼度を用いた実績データ検索
本実施形態に係る業務情報管理システムでは、
図15~
図18を参照しながら前述した実績データ検索の変形例として、過去の業務フローの実績データに対する信頼度を検索条件に加えた実績データ検索を実行することができる。以下ではまず、信頼度の設定について説明し、その後に信頼度を用いた実績データ検索について説明する。
【0106】
図22は、信頼度設定処理の全体的な処理手順例を示すシーケンス図である。
図22には、信頼度の設定に伴う業務情報管理端末2と業務情報管理サーバ1との間のやり取りが示されている。前述したように、信頼度とは、業務実績(例えば業務の実験結果)に対する評価値であり、ユーザから設定される。
【0107】
図22によればまず、業務情報管理端末2において、業務情報管理サーバ1から提供される信頼度設定画面に対して、業務フローを絞り込むための検索条件をユーザが入力する(ステップS501)。ここで、業務フローを絞り込むための検索条件とは、具体的には、後述する
図23の信頼度設定画面450におけるデータ検索条件452の設定内容に相当する。なお、ステップS501では、業務フローの絞り込みの基準とする基準業務フローの指定も行われる。
【0108】
次に、信頼度設定画面において業務フローの絞り込みの実行を指示する操作(具体的には、
図23の信頼度設定画面450における出力ボタン453の押下)が行われたことを契機として、業務情報管理端末2の制御部22が、ステップS501で入力された検索条件を添えて、上記の実行指示を業務情報管理サーバ1に送信する(ステップS502)。なおこのとき、ステップS501で指定された基準業務フローを特定する情報も、業務情報管理サーバ1に送信される。
【0109】
次に、業務情報管理サーバ1では、制御部12(業務情報管理プログラム161)が、ステップS502で受信した情報に基づいて、過去の実績データが関連付けられた業務フローのうちから、検索条件に該当する業務フローを検索し、その実績データを抽出する(ステップS503)。
【0110】
次に、業務情報管理サーバ1は、ステップS503で抽出した業務フローの実績データを、信頼度設定画面に出力することによって業務情報管理端末2に提供する(ステップS504)。具体的には、
図23の信頼度設定画面450において信頼度設定454に実績データが表示される。
【0111】
次に、業務情報管理端末2では、信頼度設定画面に表示された業務フローごとの実績データに対して、ユーザが信頼度を設定する操作を行うことにより、設定する信頼度の情報が業務情報管理サーバ1に送信される(ステップS505)。信頼度を設定する操作とは、具体的には、
図23の信頼度設定画面450において、信頼度設定454の「信頼度」欄に数値を入力した後で信頼度設定ボタン455を押下する操作に相当する。
【0112】
そして、業務情報管理サーバ1では、ステップS505で受信した信頼度を、対応する実績データの格納先のDB(業務実績情報DB167の信頼度1674)に登録し、信頼度設定処理を終了する。
【0113】
図23は、信頼度設定画面の一例を示す図である。
図23に示す信頼度設定画面450は、信頼度の設定を行う際に業務情報管理サーバ1から業務情報管理端末2に提供されるGUIであって、業務情報管理端末2のユーザによって操作される。なお、
図23の信頼度設定画面450の表示構成は、
図17の実績データ検索画面410と共通する部分が多く、共通する表示構成については詳細な説明を省略する。
【0114】
図23の信頼度設定画面450において、基準業務フロー451には、業務フローの絞り込みの基準とする基準業務フローが選択されて表示される。データ検索条件452には、業務フローを絞り込むための検索条件が入力される。具体的には、検索対象とする業務の幅を指定する「検索始点業務」及び「検索終点業務」や、検索対象とする業務の実行期間(実績データの実行期間としてもよい)を指定する「開始日時」及び「終了日時」である。データ検索条件452において各種の入力が完了した後、出力ボタン453が押下されると、入力された検索条件を用いて、
図22のステップS503で説明した検索が実行され、その結果が信頼度設定454に出力される。
【0115】
そして、信頼度設定454において、「信頼度」の欄にユーザが任意の信頼度を入力し、その後に信頼度設定ボタン455を押下することにより、設定した実績データの信頼度が業務実績情報DB167の信頼度1674に登録される。このようにして登録された信頼度を用いて、後述する
図24で説明する実績データ検索の実行が可能となる。
【0116】
図24は、実績データ検索画面の別例を示す図である。
図24に示す実績データ検索画面460は、業務フロー及び実績データの類似性の検索条件に過去の実績データに対する信頼度を加えた実績データ検索を行う際に業務情報管理サーバ1から業務情報管理端末2に提供されるGUIであって、業務情報管理端末2のユーザによって操作される。なお、
図24の実績データ検索画面460の表示構成のうち、
図17の実績データ検索画面410と共通する構成については、詳細な説明を省略する。
【0117】
図24の実績データ検索画面460において、基準業務フロー461には、検索の基準となる基準業務フローが選択されて表示される。抽出対象項目462は、実績データ検索の抽出対象としてユーザによって指定された実績データの項目であり、複数の項目を選択可能である。
【0118】
実績データ検索画面460において、データ検索条件463には、実績データ検索を行うに当ってユーザから指定される検索条件が入力される。
図17の実績データ検索画面410におけるデータ検索条件413と同様に、データ検索条件463には類似性464の検索条件が含まれる。一方、
図17の実績データ検索画面410におけるデータ検索条件413と異なる構成として、データ検索条件463には信頼度465の設定欄が設けられている。信頼度465には、実績データ検索の検索結果として抽出される実績データに対する信頼度の検索条件が設定される。例えば
図24の場合、信頼度465の設定欄には「80」及び「以上」と表示されているが、これは信頼度が80%以上の実績データだけを検索結果として抽出することを意味する。
【0119】
データ検索条件463において各種の入力が完了した後、出力ボタン466が押下されると、基準業務フロー461、抽出対象項目462、及びデータ検索条件463の入力内容に基づく実績データ検索の実行が決定される。このとき業務情報管理サーバ1で実行される実績データ検索処理は、
図16に示したステップS305の後に、信頼度465の設定内容に合致する実績データを抽出する処理を追加すればよい。
【0120】
検索結果467には、データ検索条件463に基づく実績データ検索処理の実行結果が表示される。
図24の場合、検索結果467には、検索条件に合致する類似業務フローごとに、抽出対象として指定された項目ごとの実績データ(実績値)の組み合わせと、基準業務フローとの差異が示されている。なお、
図24の検索結果467の「信頼度」の欄には、それぞれの類似業務フローの信頼度が表示される。
【0121】
以上のように、信頼度を検索条件に追加した実績データ検索処理を行うことにより、本実施形態に係る業務情報管理システムは、過去の実績データが関連付けられた業務フローのうちから、基準とする業務フロー(基準業務フロー)に類似する業務フローを検索し、これらの業務フローのうちから所望のデータに類似する実績データを、指定した信頼度を満たす実績データに限定して抽出することができる。したがって、信頼度を検索条件に持たない実績データ検索処理の場合よりも、より信頼性の高い実績データの検索を実現することができる。
【0122】
(2-5)実績データの因子分析
本実施形態に係る業務情報管理システムは、上述した実績データ検索の機能に対する追加機能として、類似性を用いて検索した実績データに対して因子分析を行うことができる。
【0123】
図25は、実績データ因子分析画面の一例を示す図である。
図25に示す実績データ因子分析画面470は、類似性を用いて検索した実績データに対して因子分析を行う際に、業務情報管理サーバ1から業務情報管理端末2に提供されるGUIであって、業務情報管理端末2のユーザによって操作される。なお、
図25の実績データ因子分析画面470の表示構成は、
図17の実績データ検索画面410と共通する部分が多く、共通する表示構成については詳細な説明を省略する。
【0124】
図25の実績データ因子分析画面470において、基準業務フロー471には、検索の基準となる基準業務フローが選択されて表示される。抽出対象項目472は、実績データ検索の抽出対象としてユーザによって指定された実績データの項目であり、複数の項目を選択可能である。具体的には、
図25の場合は、業務関連要素「加工品A」の項目1~項目4、業務関連要素「原材料2」の項目5~項目7、業務関連要素「生成物C」の項目8~項目9が抽出対象として指定されている。
【0125】
実績データ因子分析画面470において、データ検索条件473には、ユーザから指定される実績データ検索の検索条件が入力される。
図17の実績データ検索画面410のデータ検索条件413と同様に、データ検索条件473には類似性474の検索条件が含まれる。一方、
図17の実績データ検索画面410におけるデータ検索条件413と異なる構成として、データ検索条件473には、因子分析対象項目475及び寄与率476の設定欄が設けられている。因子分析対象項目475には、因子分析の対象とする実績データの項目(言い換えると、因子分析によって算出する寄与率の対象項目)が入力される。寄与率476には、因子分析によって算出された寄与率について、検索結果として出力するか否かの基準とする閾値が入力される。例えば、
図25の場合、「項目9」への寄与率が「20%」を超える因子が検索結果478に出力される。
【0126】
データ検索条件473において各種の入力が完了した後、出力ボタン477が押下されると、後述する
図26に示す実績データ因子分析処理が実行されることにより、類似性の検索条件に合致する実績データの検索結果に対して因子分析を行った結果が検索結果478に出力される。より具体的には、業務情報管理サーバ1の制御部12によって実行される実績データ因子分析処理により、因子分析対象項目475及び寄与率476以外のデータ検索条件473に基づいて実績データ検索が実行され、当該検索の結果得られた実績データ(
図25の場合は、項目1~項目9の類似実績データ)について、因子分析対象項目475及び寄与率476を条件として因子分析が行われ、この因子分析の結果が検索結果478に出力される。
【0127】
検索結果478には、データ検索条件473に基づく実績データ因子分析処理の実行結果が表示される。
図25の場合、検索結果478には、実績データ検索によって抽出された類似実績データに対して因子分析を行って抽出された因子ごとに、類似実績データの値と、基準業務フローとの差異(差分)と、因子分析対象項目に対する寄与率(但し、寄与率476の閾値を超えるものに限る)が表示される。
【0128】
図26は、実績データ因子分析処理の処理手順例を示すフローチャートである。実績データ因子分析処理は、類似性の検索条件に基づいて実績データを検索し、この実績データに対して因子分析を行う処理であって、
図25に示した実績データ因子分析画面470において出力ボタン477が押下されたことを契機として、業務情報管理サーバ1の制御部12が業務情報管理プログラム161を実行することによって実現される。
【0129】
図26によればまず、制御部12は、類似業務フローの検索の基準となる業務フローの情報を基準業務フロー情報DB164から取得する(ステップS601)。類似業務フローの検索の基準となる業務フローとは、
図25の実績データ因子分析画面470において基準業務フロー471に示される業務フローである。
【0130】
次に、制御部12は、実績データ因子分析画面470のデータ検索条件473で指定された類似性を含む検索条件に基づいて、
図16のステップS302~S305と同様の実績データ検索処理を実行する(ステップS602)。具体的には、制御部12は、データ検索条件473で指定された検索始点業務、検索終点業務、開始日時、終了日時、業務数差分、及び項目数差分の検索条件を用いて、ステップS601で情報を取得した基準業務フローに類似する業務フローを検索し、該当する各業務フローの実績データに対して、データ類似性の検索条件を用いて類似判定を行い、データ類似性の検索条件に合致する実績データを有する業務フローを抽出する。さらに制御部12は、抽出した業務フローの実績データのうちから、抽出対象項目472で選択された各項目(
図25の実績データ因子分析画面470の場合、項目1~項目9)の実績データを取得する。このようにして取得された、過去の業務フローごとの所定項目の実績データが、次に実行する因子分析の因子となる。
【0131】
次に、制御部12は、ステップS602で取得した実績データに対して因子分析を実施し、因子分析対象項目475で指定された項目(
図25の場合、項目9)に対する寄与率を算出する(ステップS603)。ステップS603で実施する因子分析は、例えば機械学習を利用した因子分析であり、従来知られた因子分析の手法を採用してよいため、具体的な説明は省略する。
【0132】
そして制御部12は、ステップS603で寄与率が算出された各因子から、寄与率が寄与率476に指定された閾値(
図25の場合、20%)を超える因子を抽出し、抽出した因子に関する情報を、実績データ因子分析画面470の検索結果478に出力する(ステップS604)。
【0133】
以上のように実績データ因子分析処理を行うことにより、業務情報管理サーバ1は、業務フロー及び実績データの類似性の検索条件に合致する実績データの組(因子)のうち、対象項目(項目9)に対する寄与の度合いが高い因子を抽出し、実績データ因子分析画面470の検索結果478を通してユーザに提供することができる。この結果、ユーザは、結果品質に期待できる業務フローを効率的に検索することができる。
【0134】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0135】
また、図面において制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0136】
1 業務情報管理サーバ
2 業務情報管理端末
3 業務情報収集端末
4 データ発生装置
5 拠点
6 ネットワーク
7 運用管理センタ
10,20,30 ネットワークインターフェース
12,22,32 制御部(CPU)
14,24,34 外部記憶装置
16,26,36 内部記憶装置
18,28,38 バス
21 入出力装置
161 業務情報管理プログラム
163 業務情報DB
164 基準業務情報DB
165 業務関連要素情報DB
167 業務実績情報DB
168 業務関連要素実績情報DB
169 実績類似性情報DB
170 業務情報
171 業務ノード
172 業務関連要素ノード
177 部品ノード
261 業務情報設定プログラム
361 業務実績情報管理プログラム
363 機器稼働情報DB
410 実績データ検索画面
420 基準業務フロー設定画面
430 データ類似性設定画面
440 データ類似性設定画面
450 信頼度設定画面
460 実績データ検索画面
470 実績データ因子分析画面