(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057263
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】指圧具
(51)【国際特許分類】
A61H 39/04 20060101AFI20230414BHJP
【FI】
A61H39/04 B
A61H39/04 S
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166685
(22)【出願日】2021-10-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】521446750
【氏名又は名称】株式会社▲はま▼之上電機工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100091834
【弁理士】
【氏名又は名称】室田 力雄
(72)【発明者】
【氏名】▲はま▼之上 陽子
【テーマコード(参考)】
4C101
【Fターム(参考)】
4C101BA01
4C101BB00
4C101BB14
4C101BC27
4C101BD04
4C101BD17
4C101BD26
4C101BD30
4C101BE02
(57)【要約】
【課題】斬新な発想により、ツボ等の中心領域には良好な押圧刺激を与えることができると共に、その外側の周囲領域には良好なネジリ刺激を与えることができる、コンパクトで使い勝手のよい指圧具の提供を課題とする。
【解決手段】細長い棒状の中心軸部10とその側周に構成される螺旋羽根部20とを備え、前記中心軸部10には、その軸方向の端部に、肌面に接面して押圧を与えるための主押圧部11を構成し、前記螺旋羽根部20には、その軸方向の端部に、前記主押圧部11の周囲から細幅で側方の螺旋羽根部20の外縁20aへ向けて延設される補助押圧部21を構成した指圧具である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い棒状の中心軸部とその側周に構成される螺旋羽根部とを備え、前記中心軸部には、その軸方向の端部に、肌面に接面して押圧を与えるための主押圧部を構成し、前記螺旋羽根部には、その軸方向の端部に、前記主押圧部の周囲から細幅で側方の螺旋羽根部の外縁へ向けて延設される補助押圧部を構成したことを特徴とする指圧具。
【請求項2】
補助押圧部は、主押圧部の周囲に回転対称に複数設けると共に、前記主押圧部の周囲から側方の螺旋羽根部の外縁へ向けて渦巻状に拡大する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の指圧具。
【請求項3】
補助押圧部は、主押圧部の押圧面に面一に接続すると共に側方の螺旋羽根部の外縁へ向けて徐々にその高さを低下させる構成としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の指圧具。
【請求項4】
螺旋羽根部は2条羽根で構成し、主押圧部の周囲に構成される補助押圧部は2本とし、前記主押圧部の周囲に180度の間隔をもって配置される構成としたことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の指圧具。
【請求項5】
主押圧部の周囲に構成される補助押圧部は、30~180度の回転で主押圧部から螺旋羽根部の外縁に達する渦巻形状としたことを特徴とする請求項4に記載の指圧具。
【請求項6】
螺旋羽根部は中心軸部の側周全長に亘って構成され、主押圧部と補助押圧部との対は中心軸部の両端部にそれぞれ構成したことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の指圧具。
【請求項7】
耳用としては、指圧具の全長を25~35mmの寸法にすることで、耳介の内側凹所に嵌め込み保持ができるように構成していることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の指圧具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は指圧具に関する。
【背景技術】
【0002】
東洋医学の分野において指圧療法がある。この指圧療法は、指を用いて人体に指圧を加える療法である。また指の代わりに用いる道具として指圧具がある。
この指圧具については、従来、色々な種類のものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5―154183号公報
【特許文献2】実開平5-91675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1はツボ指圧器に関し、軸状本体1、14、31の端部に指圧用突起7や指圧体23を設けた構成が開示されている。また別の構成として、軸状本体31の側周に螺旋状突起32等を設けた構成が開示されている。
前記指圧用突起7や指圧体23は、磁石による弾発力を利用してツボ等に押圧を加える機能を発揮するものである。その一方、指圧用突起7や指圧体23の形状自体は従来から知られた一般的な形状である。また前記螺旋状突起32等は、軸状本体31を肌面に転がすことで、螺旋状突起32による転がり刺激を面全体に隈なく与えるものである。
上記特許文献2は指圧器に関し、先端部に環状の第1の押圧部2と、その内側の中央部に第2の押圧部6とを設けた指圧器が開示されている。指圧器を人体の肌面に押し当てた状態で回転させることで肌面に強いヒネリ刺激を与えることができる。
しかしながらこの特許文献2の指圧器は、人体のツボ等に対して強いヒネリ刺激を与えることを主たる目的としたものであり、その一方、ツボ等に押圧刺激を与えることに関しては、前記ヒネリ刺激を与えることに比較して、2次的、従属的であり、主たる目的としないものと言える。
特に中央部にある第2の押圧部6は、ツボ等への主たる押圧部となるべき領域にあるにも関わらず、その高さを周囲の第1の押圧部2よりも同等か更に低くするのを良としており、中央部にある第2の押圧部6によるツボ等への押圧刺激については、第1の押圧部2によるヒネリ刺激に比べて、むしろ余り加わらないように加減している。
一方、第1の押圧部2は、外側の環状領域に点々と突起を配した構成とし、指圧器を肌面に軽く押し当てても肌面への食い込みが大きく強力となるようにしており、指圧器を軽く押し当て、軽く回転させるだけで、強力なヒネリ刺激を与えることができるようにしている。
即ち、特許文献2の指圧器の場合、中央部の第2の押圧部6による押圧刺激を適正に行おうとすると、外側の環状領域の第1の押圧部2によるヒネリ刺激が過剰となり、外側の環状領域の第1の押圧部2によるヒネリ刺激を適正に行おうとすると、中央部の第2の押圧部6による押圧刺激が過少となる問題がある。
【0005】
そこで本発明は上記従来の指圧器等の問題点を解消し、斬新な発想により、ツボ等の中心領域には良好な押圧刺激を与えることができると共に、その外側の周囲領域には良好なネジリ刺激を与えることができる、コンパクトで使い勝手のよい指圧具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の指圧具は、細長い棒状の中心軸部とその側周に構成される螺旋羽根部とを備え、前記中心軸部には、その軸方向の端部に、肌面に接面して押圧を与えるための主押圧部を構成し、前記螺旋羽根部には、その軸方向の端部に、前記主押圧部の周囲から細幅で側方の螺旋羽根部の外縁へ向けて延設される補助押圧部を構成したことを第1の特徴としている。
また本発明の指圧具は、上記第1の特徴に加えて、補助押圧部は、主押圧部の周囲に回転対称に複数設けると共に、前記主押圧部の周囲から側方の螺旋羽根部の外縁へ向けて渦巻状に拡大する構成としたことを第2の特徴としている。
また本発明の指圧具は、上記第1又は第2の特徴に加えて、補助押圧部は、主押圧部の押圧面に面一に接続すると共に側方の螺旋羽根部の外縁へ向けて徐々にその高さを低下させる構成としたことを第3の特徴としている。
また本発明の指圧具は、上記第1~第3の何れかの特徴に加えて、螺旋羽根部は2条羽根で構成し、主押圧部の周囲に構成される補助押圧部は2本とし、前記主押圧部の周囲に180度の間隔をもって配置される構成としたことを第4の特徴としている。
また本発明の指圧具は、上記第4の特徴に加えて、主押圧部の周囲に構成される補助押圧部は、30~180度の回転で主押圧部から螺旋羽根部の外縁に達する渦巻形状としたことを第5の特徴としている。
また本発明の指圧具は、上記第1~第5の何れかの特徴に加えて、螺旋羽根部は中心軸部の側周全長に亘って構成され、主押圧部と補助押圧部との対は中心軸部の両端部にそれぞれ構成したことを第6の特徴としている。
また本発明の指圧具は、上記第1~第6の特徴に加えて、耳用としては、指圧具の全長を25~35mmの寸法にすることで、耳介の内側凹所に嵌め込み保持ができるように構成していることを第7の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の指圧具によれば、細長い棒状の中心軸部とその側周に構成される螺旋羽根部とを備えている。
前記中心軸部にはその軸方向の端部に、人体に接面して押圧を与えるための主押圧部を構成している。従って主押圧部を人体の肌表面に押し当てることで、その部分に主押圧部による押圧刺激を与えることができる。
一方、前記螺旋羽根部にはその軸方向の端部に、前記主押圧部の周囲から細幅で側方の螺旋羽根部の外縁へ向けて延設される補助押圧部を構成している。従って主押圧部を人体の肌表面に押し当てると、主押圧部の周囲から細幅で側方へ延びる補助押圧部も主押圧部の周囲の肌表面を押圧する。その際、補助押圧部は細幅であるので、肌に食い込み易い傾向にある。よって主押圧部を押圧させた状態で指圧具を少し回転させると、主押圧部の周囲にある補助押圧部が肌に少し食い込んだ状態で回動することになり、主押圧部の外側領域にある肌にネジリ刺激を与えることになる。
即ち、請求項1に記載の指圧具によれば、指圧具を人体の肌表面に押し当て、少し回転させると、主押圧部が当接する中心領域には主として押圧刺激を与えることができると同時に、補助押圧部が当接する外周領域には主としてネジリ刺激を与えることができる。このことは、東洋医学で言うツボの領域に対しては、主として主押圧部による押圧刺激を与え、そこから外れた領域には次善策として、ネジリ刺激を与えると言うことである。
【0008】
請求項2に記載の指圧具によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、補助押圧部は、主押圧部の周囲に回転対称に複数設けている。よって補助押圧部によるネジリ刺激を、主押圧部が当接する中心領域の周囲に対し、均等にバランスよく与えることができる。
加えて、補助押圧部は、主押圧部の周囲から側方の螺旋羽根部の外縁へ向けて渦巻状に拡大する構成としている。指等を肌に押し当てて捩ると、結果として押し当てた指の周囲の肌表面に渦巻状のネジリ模様が現れる。本発明では、補助押圧部を主押圧部の周囲から側方の螺旋羽根部の外縁に向けて渦巻状に拡大する構成としているので、指圧具を回転させて捩った際に、肌表面に不均衡な変形模様や過剰な変形を起こすことなく、均整のとれた渦巻状のネジリ模様を形成することができ、好ましい適正なネジリ刺激を与えることができる。
【0009】
請求項3に記載の指圧具によれば、上記請求項1又は2に記載の構成による作用効果に加えて、補助押圧部は、主押圧部の押圧面に面一に接続すると共に側方の螺旋羽根部の外縁へ向けて徐々にその高さを低下させる構成としている。
よって指圧具の押し付けにより主押圧部が肌面に押し込まれている状態において、補助押圧部による肌面への押し込み深さは、主押圧部への接続部から側方に行くにつれて次第に浅くなり、押し付け力が弱い場合には、その途中で押し込み深さがゼロ未満となるようにすることができる。
従って請求項3に記載の指圧具によれば、主押圧部による中心領域への押圧刺激の程度に応じて、好ましい適正なネジリ刺激を補助押圧部で行うことができる。
【0010】
請求項4に記載の指圧具によれば、上記請求項1~3の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、螺旋羽根部は2条羽根で構成し、主押圧部の周囲に構成される補助押圧部は2本とし、前記主押圧部の周囲に180度の間隔をもって配置される構成としている。
螺旋羽根部を2条羽根で構成したので、該2条羽根の軸方向の端部を用いて主押圧部の周囲に2本の補助押圧部を容易に構成することができ、この2本の補助押圧部を主押圧部の周囲に180度の間隔をもって容易に構成することができる。
2本の補助押圧部を主押圧部の周囲に180度の間隔を持って配置することで、主押圧部の周囲に偏りの少ないバランスのとれたネジリ刺激を与えることができる。
【0011】
請求項5に記載の指圧具によれば、上記請求項4に記載の構成による作用効果に加えて、主押圧部の周囲に構成される補助押圧部は、30~180度の回転で主押圧部から螺旋羽根部の外縁に達する渦巻形状としている。
主押圧部の周囲に構成される補助押圧部の渦巻形状は、2本の補助押圧部が主押圧部の周りに180度の間隔で配置される場合、主押圧部から螺旋羽根部の外縁に達するのに180度を超えるような渦巻形状では、補助押圧部の渦巻の開き具合が指圧具を捩った際に期待される肌表面のネジリ模様に対して小さ過ぎる。一方、30度未満では、指圧具を捩った際に期待される肌表面のネジリ模様に対して大き過ぎる。
【0012】
請求項6に記載の指圧具によれば、上記請求項1~5の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、螺旋羽根部は中心軸部の側周全長に亘って構成され、主押圧部と補助押圧部との対は中心軸部の両端部にそれぞれ構成している。
よって中心軸部と該中心軸部の側周全長に亘って構成された螺旋羽根部とを利用して、指圧具の両端部に主押圧部と補助押圧部との対を容易に構成することができ、指圧具の両端部の何れにおいても同様の指圧を加えることができる。また全長に亘って構成された螺旋羽根部による肌表面への転がし刺激を加えることができる。
【0013】
請求項7に記載の指圧具によれば、上記請求項1~6の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、耳用としては、指圧具の全長を25~35mmにすることで、外耳の内側凹所に嵌め込み保持ができるように構成している。
本指圧具を全長25~35mmの寸法とすることで、これを耳介の内側凹所に嵌め込んで保持することができ、持続的な押圧刺激を耳のツボに加えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る指圧具の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る指圧具の正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る指圧具の側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る指圧具のX-X断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る指圧具のY-Y断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る指圧具で、渦巻形状をした補助押圧部の部分を立体的に表した正面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る指圧具を肌面に押し付けたときの肌面の状態を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る指圧具をもう少し強く肌面に押し付けたときの肌面の状態を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る指圧具を肌面に押し付けて回転させたときの肌面の状態を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る指圧具で、曲率を0とした補助押圧部の部分を立体的に表した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に各図面を参照して、本発明の実施形態の指圧具を説明し、本発明の理解に供する。しかし以下の説明は、特許請求の範囲に記載の本発明を限定するものではない。
【0016】
先ず
図1~
図5を参照して、本発明の実施形態に係る指圧具は、材料的にはポリプロピレン樹脂を用いるのがよい。耐熱性があり、比重が小さく、軽量で、中性洗剤での洗浄が可能で、硬度が高く、撓み方が指圧具として好ましい。勿論、他のプラスチック材料やその他の種類の材料を用いることを否定するものではない。
指圧具は細長い棒状の中心軸部10と、その側周に構成される螺旋羽根部20とを備えている。
前記中心軸部10の端部には主押圧部11を構成している。また前記螺旋羽根部20には、その軸方向の端部に補助押圧部21を構成している。
前記主押圧部11は人体の肌面に接面して、主として押圧刺激を与える部分であると言える。
前記補助押圧部21は、押圧刺激に関しては、前記主押圧部11が主であるのに対して補助的であると言える。補助押圧部21は、むしろ人体の肌面に対してネジリ刺激を与えるための部分であると言える。
【0017】
前記主押圧部11は、その先端面を肌面に接面する押圧面11aとしている。この押圧面11aは、中心軸部10の径と同じ径とすることもできるが、ツボの領域を考慮して、異なる径にすることもできる。押圧面11aの周縁は、丸く面取りすることで、異常な刺激が加わらないようにするのが好ましい。本実施形態では面取り11bしている。
また本実施形態では、肌面に接する押圧面11aの外周は円形とし、周縁を面取り11bとして角が出ないようにしている。主押圧部11を肌面に押圧する際に異常な刺激が加わらないようにするには、外縁がデコボコしない円形状が好ましいと言える。
なお、前記押圧面11aは平坦面とするが、凸球面とすることも可能である。
【0018】
前記螺旋羽根部20の軸方向の端部に構成される補助押圧部21は、細幅とし、前記主押圧部11の周囲から側方の螺旋羽根部20の外縁20aへ向けて延設される構成としている。
補助押圧部21は、1本でも複数本でもよい。本実施形態では2本設けている。複数本設ける場合は、主押圧部11の周囲に回転対称に設けるのが好ましい。2本の場合は主押圧部11の周囲に180度の間隔で回転対称に設けることになる。また3本の場合は120度の間隔で回転対称に設けることになる。4本の場合は90度の間隔で回転対称に設ける。補助押圧部21が1本の場合にはバランスが良いとは言えない。しかし1本の補助押圧部21を設けることも本発明の範囲内である。
補助押圧部21を1本とする場合は、前記螺旋羽根部20を1条羽根で構成し、この1条羽根による螺旋羽根部20の軸方向端部を利用することで、容易に1本の補助押圧部21を構成することがきる。また補助押圧部21を2本とする場合は、2条羽根の螺旋羽根部20の各軸方向端部を利用することで、容易に2本の補助押圧部21を構成することができる。同様に、3本の場合は3条羽根、4本の場合は4条羽根を用いて、それぞれ3本、4本の補助押圧部21を簡単に構成することができる。
【0019】
補助押圧部21は、主押圧部11の周囲から側方の螺旋羽根部20の外縁20aへ向けて渦巻状に拡大する構成としている。
補助押圧部21を渦巻形状とするのは、詳しくは後述するが、要するに補助押圧部21によるネジリ刺激、特に主押圧部11から遠く離れた補助押圧部21の部分によるネジリ刺激が強くなり過ぎないようにするためである。
本実施形態では、180度の回転対称位置に配置された2本の補助押圧部21、21のそれぞれが、90度の回転で主押圧部11の周囲から螺旋羽根部20の外縁20aにまで達する渦巻形状としている。勿論、許容的には、0~180度、或いはそれ以上の種々の回転角度で螺旋羽根部20の外縁20aに達する渦巻形状とすることが可能ではある。しかし2本の補助押圧部21、21の場合は180度の間隔で配置されるのが好ましく、その場合、渦巻形状は180度の半分の90度を中心とした回転範囲で螺旋羽根部20の外縁20aに達する渦巻形状とするのが実質的である。具体的には30~120度の回転範囲とすることが現実的である。主押圧部11から螺旋羽根部20の外縁20aに達するのに180度を超えるような渦巻形状では補助押圧部21の渦巻の開き具合がやや小さ過ぎ、指圧具を捩った際に期待される肌表面のネジリ模様に比べて小さく巻き過ぎの状態といえる。一方30度未満では、指圧具を捩じった際に期待される肌表面のネジリ模様に対して補助押圧部21の渦巻の開き具合がやや大き過ぎると言える。
補助押圧部21が1本の場合は、前記渦巻形状は、主押圧部11から螺旋羽根部20の外縁に達するまでに1回転(360度)或いはそれ以上の回転角度にするような渦巻形状とすることも可能である。しかし1回転以下の回転で螺旋羽根部20の外縁20aに達する渦巻形状とするのが現実的である。
補助押圧部21の数は最大で4本程度が現実的であるが、補助押圧部21の数が増えると、ネジリ刺激が増大することになる。
【0020】
補助押圧部21は、主押圧部11の押圧面11aに面一に接続するようにしている。面一に接続することで、主押圧部11の押圧面11aから補助押圧部21にかけての接続部に段差が生じず、指圧具を肌面に押圧した際に、その押圧状態が主押圧部11の押圧面11aから補助押圧部21へとスムーズに連続した状態で押圧することができるので、違和感のない刺激を与えることができる。勿論、押圧面11aに対して補助押圧部21が多少の段差をもって接続する場合も、好ましいとは言わないが、許容されるものである。
本実施形態において、主押圧部11の押圧面11aに面一に接続する補助押圧部21の上面21aは、平坦面に構成している。平坦面とすることで、主押圧部11の平坦な押圧面11aとそこから側方に延びる補助押圧部21の上面21aとが連続した平坦面となって、肌面の表面に対してピッタリと違和感なく接面させることができる。勿論、補助押圧部21の上面21aは、必ずしも平坦面とする必要はなく、例えば螺旋羽根部20の外縁形状をそのまま補助押圧部21の形状として用いるのも許容範囲である。
【0021】
補助押圧部21は主押圧部11への接続部から側方の螺旋羽根部20の外縁20aへ向けて徐々にその高さが低下する構成としている。
このように構成することで、指圧具を肌面に押し付けたときに、補助押圧部21による肌面への押し込み深さが、主押圧部11との接続部から側方へ向けて徐々に浅くなるように調整することができる。
このように調整することで、補助押圧部21によるネジリ刺激、特に主押圧部11から遠く離れた補助押圧部21の部分によるネジリ刺激が強くなり過ぎないようにしている。
また別の言い方をすれば、主押圧部11による中心領域への押圧刺激の強さの程度に応じたネジリ刺激を、補助押圧部21により適正に加えることができるようにしている。
【0022】
上記において、螺旋羽根部20は中心軸部10の側周全長に亘って構成することができる。そして主押圧部11と補助押圧部21との対は、中心軸部10の両端部にそれぞれ構成することができる。指圧具の両端部にそれぞれ主押圧部11と補助押圧部21との対を構成することで、指圧具の何れの端部でも指圧を行うことができ、使い勝手がよくなる。
螺旋羽根部20は右ネジ状に構成する。勿論、左ネジ状に構成することも可能であるが、右ネジ状に構成することで、主押圧部11と補助押圧部21によるネジリ刺激を右巻渦状に与えることができる。
【0023】
螺旋羽根部20のピッチPと、複条羽根としたときのリードRは、それぞれ予め定めた一定とすることができる。複条の螺旋羽根部20のピッチPを一定にすることで、複数の補助押圧部21を相互に回転対称位置に容易に配置して構成することができる。また複条の螺旋羽根部20のリードRを一定にすることで、中心軸部10の軸心に対する補助押圧部21の立体的傾き、即ち立体角を容易に調整して決定することができる。
【0024】
図6も参照して、本実施形態の構成、作用を更に説明する。
図6に示す指圧具は、螺旋羽根部20を2条の右ネジ状に構成し、中心軸部10の端部に主押圧部11を構成し、この主押圧部11の先端に周縁を面取り11bした円形の押圧面11aを構成している。また螺旋羽根部20の端部に構成される2本の補助押圧部21は、前記主押圧部11の押圧面11aの周囲に180度の回転対称で配置されると共に、押圧面11aに対して面一で接続し、且つ主押圧部11への接続部から側方の螺旋羽根部20の外縁20aへ向けて、徐々にその高さが低下する渦巻形状に構成している。この渦巻形状は、主押圧部11から曲率0で立ち上がり、側方に行くにつれて徐々に曲率を増し、螺旋羽根部20の外縁20aに達することで、該螺旋羽根部20の曲率と同じになるように構成している。
このような指圧具を肌面Fに押し当てると、
図7に示すように、主押圧部11の押圧面11aの付近が当接面Gとなって肌面Fに当接する。もう少し押し込むと、
図8に示すように、主押圧部11と補助押圧部21の上面21aの途中までが当接面Gとなって肌面Fに当接し、押圧刺激を加える。更に押し込むと、図示しないが、補助押圧部21が螺旋羽根部20の外縁20aに至る全長、全面で肌面Fに当接し、押圧刺激を加える。指圧具による押し付けが強いほど、押圧刺激は強くなる。
【0025】
前記指圧具を肌面Fに押し込んだ状態では、補助押圧部21の第1側面21bは、ほぼ垂直な側面に構成されているので、肌に食い込んだ状態となっている。一方、補助押圧部21の第2側面21cは、後方へ続くなだらかな傾斜面となっているので、肌にはあまり食い込んだ状態とはなっていない。
従って右ネジ状の指圧具を右回転させると、補助押圧部21の第1側面21bが肌に食い込んだ状態で回動し、第1側面21bに当接する肌を右回転方向に押す。このとき第1側面21bは渦巻形状にされているので、せん断力が加わって、ネジリ刺激を与えることになる。
図9に、主押圧部11の押圧刺激による肌面Fへの押圧模様と補助押圧部21のネジリ刺激による肌面Fへのねじり模様Hとを、模式的に示す。
一方、右ネジ状の指圧具を左回転させた場合は、補助押圧部21の第2側面21cが肌を左回転方向に押そうとする。しかし第2側面21は、既述したように、なだらかな傾斜面であるため、肌への食い込みが少なく、よって肌を押してこれを捩るネジリ刺激は前記第1側面21bによる場合よりも小さくなる。
従って見方を変えると、指圧具の回転方向を変えることで、ネジリ刺激の強さを強弱調整することができる。
なお、主押圧部11及び押圧面11aの回転によるネジリ刺激も発生するが、そのネジリ刺激の程度は、主押圧部11や押圧面11aがその場で回転する際の肌に対する摩擦の程度による。ポリプロピレン等のプラスチック材料の場合は、一般に摩擦係数は比較的小さく、それほど強いネジリ刺激は与えない。
【0026】
図10に示すように、主押圧部11から出て螺旋羽根部20の外縁20aに至る補助押圧部21の曲率が最初から最後まで0の場合は、補助押圧部20は主押圧部から放射状に延びる直線となり、渦巻状とはならない。
補助押圧部20が放射状の直線となる場合は、補助押圧部21の第1側面21bが、その全長において指圧具の回転方向と直角な状態となって肌に食い込むことになる。
従って右ネジ状の指圧具を右回転させる場合は、第1側面21bに加わる回転力は、分力されることなく、そのままの全回転力が肌に加わることになる。そして特に回転中心から遠く離れた位置にある肌は、指圧具を少し回転させるだけでも、大きく拡大された距離を移動させられることとなり、非常に大きな皮膚の変形を強いられることになる。
即ち、補助押圧部21を曲率0の放射状に配置した指圧具では、右ネジ状の指圧具に対して右回転させる場合には、刺激が強くなり過ぎる傾向となる。なお、左回転させる場合は、既述した理由と同様、右回転の場合よりも緩和される。
また補助押圧部21を放射状の直線とする場合は、補助押圧部21の高さが中心部から外方に向けて十分に低くなってゆくようにするのが好ましいと言える。
【0027】
また本発明の指圧具は、耳用として用いることができる。
耳用とする場合は、
図2、
図3、
図4を参照して、指圧具の軸方向の全長Aは25~35mmの範囲にするのがよい。成人の男女の耳介の大きさは約60×40mmであり、指圧具を保持することができる珠間切痕から対輪脚までの距離が25~35mmであることに対応させている。これにより、指圧具を耳介の内側凹所に嵌め込み保持しながら、持続的な押圧刺激を耳のツボ(耳のツボを反射区と称する)に加えることが可能となる。
螺旋羽根部20を正面からみた直径Bは5~12mmの寸法にするのがよい。外耳孔の口径は5~12mmであることに対応させている。これにより耳穴から2~3mm奥周辺のツボを刺激することが可能となる。
螺旋羽根部20のピッチPは、3~5mmの寸法にするのがよい。耳輪脚の幅は3~5であることによる。これにより螺旋羽根部20の羽根間に耳輪脚を挟むようにして刺激を与えることが可能になる。
2条の螺旋羽根部20のリードRはピッチPの倍寸法とする。
螺旋羽根部20の外縁20aの山形状の曲率半径Cを0.3~1.5mmの寸法にするのが良い。このような寸法とすることで、耳輪の内側に螺旋羽根部20の山形の外縁20aを入れて刺激することが可能になる。
主押圧部11の直径Dは2~5mm、押圧面11aの直径Eは1.5~4mmとするのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は指圧具として、産業上利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 中心軸部
11 主押圧部
11a 押圧面
11b 面取り
20 螺旋羽根部
20a 螺旋羽根部の外縁
21 補助押圧部
21a 補助押圧部の上面
21b 補助押圧部の第1側面
21c 補助押圧部の第2側面
A 指圧具の軸方向の全長
B 螺旋羽根部20を正面からみた直径
C 螺旋羽根部20の外縁20aの山形状の曲率半径
D 主押圧部11の直径
E 押圧面11aの直径
P 螺旋羽根部のピッチ
R 2条の螺旋羽根部のリード
F 肌面
G 当接面
H ネジリ模様