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特開2023-5727木造建築物の壁体構造、木造建築物及びその建築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023005727
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】木造建築物の壁体構造、木造建築物及びその建築方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/26 20060101AFI20230111BHJP
   E04C 3/42 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
E04B1/26 A
E04C3/42
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021107854
(22)【出願日】2021-06-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2021年6月14日公開の、Facebookのウェブサイトの、発明が掲載されたページのプリントアウト (https://www.facebook.com/takadaarc/posts/3110064825935078?_tn_=-R) 2021年6月15日公開の、株式会社高田建築事務所のウェブサイトの、発明が掲載されたページのプリントアウト (https://www.takada-arc.com/) (https://www.takada-arc.com/events/event/15582) (https://www.takada-arc.com/wp/wp-content/uploads/2021/05/895.pdf) 2021年6月15日公開の、Instagramのウェブサイトの、発明が掲載されたページのプリントアウト(https://www.instagram.com/p/CQIpEyONpWJ/) 2021年6月26日に新潟県長岡市宮内地域の読売新聞の契約先1430件及び、新潟県長岡市宮内地域の朝日新聞、新潟日報、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞の契約先4600件、合計6030件に配達した、発明が掲載された新聞折込チラシのコピー 2021年6月26日~27日に住宅展示会にて公開した、住宅展示会当日の現場写真
(71)【出願人】
【識別番号】595102260
【氏名又は名称】株式会社高田建築事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】高田 清太郎
(72)【発明者】
【氏名】高田 清之介
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FA02
2E163FA12
2E163GA02
(57)【要約】
【課題】構造設計における三ピン接合形式構造を構築することができ、鉛直荷重及び水平荷重に対応することができ、地震及び風圧等による各種の荷重に対する構造強度を向上することができ、耐震性及び耐久性の高い壁体構造を構築することができる。
【解決手段】木造建築物Wの壁体Kの構造であって、上記壁体は、上辺部F、鉛直辺部F及び斜辺部Fからなる左右対称の一対の略三角形状のフレーム部材F・Fからなり、上記一方のフレーム部材の上辺部と上記他方のフレーム部材の上辺部との接合J、一方のフレーム部材の鉛直辺部と設置部材4との接合J及び他方のフレーム部材の鉛直辺部と設置部材との接合Jは、いずれもピン接合Jとされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造建築物の壁体の構造であって、上記壁体は、上辺部、鉛直辺部及び斜辺部からなる左右対称の一対の略三角形状のフレーム部材からなり、上記一方のフレーム部材の上辺部と上記他方のフレーム部材の上辺部との接合、該一方のフレーム部材の鉛直辺部と設置部材との接合及び該他方のフレーム部材の鉛直辺部と設置部材との接合は、いずれもピン接合とされていることを特徴とする木造建築物の壁体構造。
【請求項2】
上記一対の各フレーム部材の上辺部は木造建築物の小屋梁部材とされ、各フレーム部材の鉛直辺部は外壁面に沿った側柱部材とされ、各フレーム部材の斜辺部は内壁面を形成する斜部材とされていることを特徴とする請求項1記載の木造建築物の壁体構造。
【請求項3】
上記各フレーム部材は、少なくとも、横架材、柱材及び斜材からなる架構部材と、該架構部材の両側面に止着される一対の側板材とで構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の木造建築物の壁体構造。
【請求項4】
上記各フレーム部材は、集成材で構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の木造建築物の壁体構造。
【請求項5】
上記請求項1~4のいずれか1項に記載の木造建築物の壁体構造を備えてなることを特徴とする木造建築物。
【請求項6】
上記請求項1~4のいずれか1項に記載の木造建築物の壁体構造の上記壁体を桁行方向に複数個並列配置して構成してなることを特徴とする木造建築物。
【請求項7】
上記請求項1~4のいずれか1項に記載の木造建築物の壁体構造の上記壁体を梁間方向に配置して構成してなることを特徴とする木造建築物。
【請求項8】
上記請求項1~4のいずれか1項に記載の木造建築物の壁体構造の上記壁体を構成する上記左右対称の一対のフレーム部材は予め工場にて製作され、該各フレーム部材は建築現場に運搬され、該建築現場にて該各フレーム部材を吊り上げ、該左右対称の一対のフレーム部材からなる壁体を桁行方向に複数個並列配置することを特徴とする木造建築物の建築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物の間仕切壁や外周壁等の木造建築物の壁体構造、木造建築物及びその建築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の木造建築物の壁体構造として、通し柱、くだ柱、間柱等の柱材及び土台、梁、桁等の横架材からなる軸組材と合板等の複数個の構造用面材とで構成されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-32406
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、木造建築物の仕様に基づき、各種の柱材及び横架材からなる軸組材と構造用面材とで構成されているから、壁体の構造が複雑化し易く、それだけ建築作業性が低下することがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、木造建築物の壁体の構造であって、上記壁体は、上辺部、鉛直辺部及び斜辺部からなる左右対称の一対の略三角形状のフレーム部材からなり、上記一方のフレーム部材の上辺部と上記他方のフレーム部材の上辺部との接合、該一方のフレーム部材の鉛直辺部と設置部材との接合及び該他方のフレーム部材の鉛直辺部と設置部材との接合は、いずれもピン接合とされていることを特徴とする木造建築物の壁体構造にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記一対の各フレーム部材の上辺部は木造建築物の小屋梁部材とされ、各フレーム部材の鉛直辺部は外壁面に沿った側柱部材とされ、各フレーム部材の斜辺部は内壁面を形成する斜部材とされていることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記各フレーム部材は、少なくとも、横架材、柱材及び斜材からなる架構部材と、該架構部材の両側面に止着される一対の側板材とで構成されていることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の発明は、上記各フレーム部材は、集成材で構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
又、請求項5記載の発明は、上記請求項1~4のいずれか1項に記載の木造建築物の壁体構造を備えてなることを特徴とする木造建築物にある。
【0008】
又、請求項6記載の発明は、上記請求項1~4のいずれか1項に記載の木造建築物の壁体構造の上記壁体を桁行方向に複数個並列配置して構成してなることを特徴とするものであり、又、請求項7記載の発明は、上記請求項1~4のいずれか1項に記載の木造建築物の壁体構造の上記壁体を梁間方向に配置して構成してなることを特徴とするものである。
【0009】
又、請求項8記載の発明は、上記請求項1~4のいずれか1項に記載の木造建築物の壁体構造の上記壁体を構成する上記左右対称の一対のフレーム部材は予め工場にて製作され、該各フレーム部材は建築現場に運搬され、該建築現場にて該各フレーム部材を吊り上げ、該左右対称の一対のフレーム部材からなる壁体を桁行方向に複数個並列配置することを特徴とする木造建築物の建築方法にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述の如く、請求項1又は請求項5記載の発明にあっては、木造建築物の壁体は、上辺部、鉛直辺部及び斜辺部からなる左右対称の一対の略三角形状のフレーム部材からなり、上記一方のフレーム部材の上辺部と上記他方のフレーム部材の上辺部との接合、一方のフレーム部材の鉛直辺部と設置部材との接合及び他方のフレーム部材の鉛直辺部と設置部材との接合は、いずれもピン接合とされているから、所謂、構造設計における三ピン接合形式構造を構築することができ、鉛直荷重及び水平荷重に対応することができ、地震及び風圧等による各種の荷重に対する構造強度を向上することができ、耐震性及び耐久性の高い壁体構造を構築することができる。
【0011】
又、請求項2記載の発明にあっては、一対の各フレーム部材の上辺部は木造建築物の小屋梁部材とされ、各フレーム部材の鉛直辺部は外壁面に沿った側柱部材とされ、各フレーム部材の斜辺部は内壁面を形成する斜部材とされているから、左右対称の一対の各フレーム部材を小屋梁部材、側柱部材及び斜部材とすることができ、建築構造を容易に構築することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記各フレーム部材は、少なくとも、横架材、柱材及び斜材からなる架構部材と、架構部材の両側面に止着される一対の側板材とで構成されているから、各フレーム部材の構造強度を高めることができ、各フレーム部材を容易に製作することができ、施工コストを低減することができ、経済性を向上することができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記各フレーム部材は集成材で構成されているから、建築仕様に応じて各種の輪郭形状の各フレーム部材を容易に製作することができる。
【0012】
又、請求項6記載の発明にあっては、上記壁体を桁行方向に複数個並列配置し、並列配置された複数個の壁体を備えた木造建築物を構築しているから、壁体により鉛直荷重及び水平荷重に対応することができ、地震及び風圧等による各種の荷重に対する構造強度を向上することができ、耐震性及び耐久性の高い木造建築物を構築することができる。
【0013】
又、請求項7記載の発明にあっては、上記壁体を梁間方向に配置することにより木造建築物の構造強度を一層向上することができ、耐震性及び耐久性の高い壁体構造を構築することができる。
【0014】
又、請求項8記載の発明にあっては、上記壁体を構成する上記左右対称の一対のフレーム部材は予め工場にて製作され、各フレーム部材は建築現場に運搬され、建築現場にて各フレーム部材を吊り上げ、左右対称の一対のフレーム部材からなる壁体を桁行方向に複数個並列配置する建築方法としているから、施工作業を容易に行うことができ、構築作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の第一形態例の壁体の正断面図である。
図2】本発明の実施の第一形態例の木造建築物の説明斜視図である。
図3】本発明の実施の第一形態例の壁体の斜視図である。
図4】本発明の実施の第一形態例の壁体の分解斜視図である。
図5】本発明の実施の第一形態例の壁体の部分拡大正断面図である。
図6】本発明の実施の第一形態例の壁体の部分拡大平面図である。
図7】本発明の実施の第一形態例の壁体の部分拡大正断面図である。
図8】本発明の実施の第一形態例の壁体の部分拡大平面図である。
図9】本発明の実施の第一形態例の壁体の部分拡大正断面図である。
図10】本発明の実施の第一形態例の壁体の部分拡大平断面図である。
図11】本発明の実施の第一形態例の木造建築物の部分拡大平断面図である。
図12】本発明の実施の第二形態例の壁体の斜視図である。
図13】本発明の実施の第二形態例の壁体の平面図である。
図14】本発明の実施の第三形態例の木造建築物の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至図14は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図11は第一形態例、図12図13は第二形態例、図14は第三形態例である。
【0017】
図1乃至図11の第一形態例において、木造建築物W、この場合、二階建ての木造建築物Wの壁体Kの構造に適用され、図1の如く、上記壁体Kは、上辺部F、鉛直辺部F及び斜辺部Fからなる左右対称の一対の略三角形状のフレーム部材F・Fからなり、上記一方のフレーム部材Fの上辺部Fと上記他方のフレーム部材Fの上辺部Fとの接合J、一方のフレーム部材Fの鉛直辺部Fと設置部材4との接合J及び他方のフレーム部材Fの鉛直辺部Fと設置部材4との接合Jは、いずれもピン接合Jとされている。
【0018】
この場合、図1図3の如く、左右対称の一対の各フレーム部材F・Fの水平な上辺部Fは木造建築物Wの小屋梁部材1とされ、各フレーム部材F・Fの鉛直辺部Fは外壁面に沿った側柱部材2とされ、各フレーム部材F・Fの山形凹状の斜辺部Fは内壁面を形成する斜部材3とされている。
【0019】
ここに、ピン接合Jとは、「剛接合」に対する用語であって、力学における理想的な状態を仮定した接合形式とされ、つまり、部材を接合する接合形式の一種であって、このうち、「ピン接合」は接合部が揺動可能に接合する接合形式とされ、反対に接合部が固定されている接合形式は「剛接合」とされ、この場合、上記一方のフレーム部材Fの上辺部Fと上記他方のフレーム部材Fの上辺部Fとの接合J、一方のフレーム部材Fの鉛直辺部Fと設置部材4との接合J及び他方のフレーム部材Fの鉛直辺部Fと設置部材4との接合Jとの三つの接合J・J・Jは、いずれもピン接合Jとされ、しかして、三つの接合J・J・Jをピン接合Jとすることにより、所謂、構造設計における三ピン接合形式構造を構築することになる。
【0020】
この場合、図1図2の如く、上記小屋梁部材1上に小屋組Cが構築され、小屋組Cは棟木部材5、軒桁C・C、垂木C・・、方杖部材C・・から構成され、小屋組Cに各種の屋根材Rを配置している。
【0021】
この場合、図1図4の如く、上記各フレーム部材F・Fは、少なくとも、横架材G、柱材G及び斜材Gからなる架構部材Gと、架構部材Gの両側面に架構部材Gを挟むようにして止着される一対の側板材P・Pとで構成されている。
【0022】
又、この場合、図1の如く、上記架構部材Gは横架材G、柱材G、2本の小斜材G31・G32からなる「く」形状の斜材G及び3個の筋交材G・G・Gからなり、上記一対の側板材P・Pは木製合板からなり、図2図5図6の如く、棟木部材5からの束部材6、すなわち、棟束に各フレーム部材F・Fの各上辺部F・Fの各横架材G・Gはそれぞれ金物U及びドリフトピンDからなるピン接合Jとされる接合構造により接合Jされ、束部材6は、各横架材G・Gの接合後に、各横架材G・Gと束部材6との接合箇所以外の部分は削除され、これにより棟木部材5から束部材6を伝わってくる荷重が接合Jのピン接合Jの部分に掛からない配慮がされ、又、図7図8の如く、上辺部F・Fの横架材Gと鉛直辺部Fの柱材Gとは金物U及びドリフトピンDからなる接合構造により接合され、又、図1の如く、上記斜材Gの小斜材G31の上端部は架構部材Gの横架材Gに斜め釘打ち接合され、斜材Gの小斜材G32の上端部は架構部材Gの横架材Gに斜め釘打ち接合され、斜材Gの小斜材G32の下端部は小斜材31に斜め釘打ち接合され、3個の筋交材G・G・Gのうち、筋交材Gは斜材Gの小斜材G31と柱材Gとの間に斜め釘打ち接合架設され、筋交材Gは筋交材Gと横架材Gと間に斜め釘打ち接合架設され、筋交材Gは斜材Gの小斜材G31と筋交材Gと間に斜め釘打ち接合架設され、加えて、斜材Gの小斜材G31と柱材Gとの間に5個の桟材G・・が釘打ち接合架設され、さらに、一対の側板材P・P間の空間部に図示省略の断熱材が介装され、さらに、図9図10の如く、鉛直辺部Fの柱材Gの下端部と設置部材4、この場合、土台部材、及び、斜辺部Fのく形状の斜材Gの小斜材G31の下端部と設置部材4としての土台部材は、それぞれ、ほぞM及びほぞ穴Tからなるピン接合Jとされるほぞ接合構造により接合J・Jされ、これら左右対称の一対の架構部材Gのそれぞれの両側面に架構部材Gを挟むようにして一対の側板材P・Pが釘打ち止着され、しかして、左右対称の一対の略三角形状のフレーム部材F・Fが形成されている。なお、上記束部材6を介さずに直接、例えば、上記金物Uのような金物工法を用いて、各フレーム部材F・Fの各上辺部F・Fの各横架材G・Gをピン接合Jにより接合Jする接合構造とすることもできる。
【0023】
そして、図1図2の如く、上記フレーム部材F・Fからなる壁体Kを桁行方向Xに複数個、この場合、4個並列配置し、この4個の壁体K・K・・間に胴差7及び二階の床材8が架設され、図11の如く、上記壁体Kは外装材9の内側に配置され、壁体Kの両側面に間柱10からなる内装材11が構築され、少なくとも、並列配置された4個の壁体K・・を備えた木造建築物Wを構築している。
【0024】
又、この場合、上記壁体Kを構成する上記左右対称の一対のフレーム部材F・Fは予め工場にて製作され、各フレーム部材F・Fは建築現場に運搬され、建築現場にて各フレーム部材F・Fを吊り上げ、左右対称の一対のフレーム部材F・Fからなる壁体Kを桁行方向Xに複数個並列配置する建築方法としている。
【0025】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、図1の如く、木造建築物Wの壁体Kは、上辺部F、鉛直辺部F及び斜辺部Fからなる左右対称の一対の略三角形状のフレーム部材F・Fからなり、上記一方のフレーム部材Fの上辺部Fと上記他方のフレーム部材Fの上辺部Fとの接合J、一方のフレーム部材Fの鉛直辺部Fと設置部材4との接合J及び他方のフレーム部材Fの鉛直辺部Fと設置部材4との接合Jは、いずれもピン接合Jとされているから、所謂、構造設計における三ピン接合形式構造を構築することができ、鉛直荷重及び水平荷重に対応することができ、地震及び風圧等による各種の荷重に対する構造強度を向上することができ、耐震性及び耐久性の高い壁体K構造を構築することができる。
【0026】
この場合、図1図3の如く、左右対称の一対の各フレーム部材F・Fの上辺部Fは木造建築物Wの小屋梁部材1とされ、各フレーム部材F・Fの鉛直辺部Fは外壁面に沿った側柱部材2とされ、各フレーム部材F・Fの山形凹状の斜辺部Fは内壁面を形成する斜部材3とされているから、左右対称の一対の各フレーム部材F・Fを小屋梁部材1、側柱部材2及び斜部材3とすることができ、建築構造を容易に構築することができ、又、この場合、図1図4の如く、上記各フレーム部材F・Fは、少なくとも、横架材G、柱材G及び斜材Gからなる架構部材Gと、架構部材Gの両側面に止着される一対の側板材P・Pとで構成されているから、各フレーム部材F・Fの構造強度を高めることができ、各フレーム部材F・Fを容易に製作することができ、施工コストを低減することができ、経済性を向上することができる。
【0027】
又、この場合、図1図2の如く、上記フレーム部材F・Fからなる壁体Kを桁行方向Xに複数個並列配置し、並列配置された複数個の壁体K・・を備えた木造建築物Wを構築しているから、壁体Kにより鉛直荷重及び水平荷重に対応することができ、地震及び風圧等による各種の荷重に対する構造強度を向上することができ、耐震性及び耐久性の高い木造建築物Wを構築することができる。
【0028】
又、この場合、上記壁体Kを構成する上記左右対称の一対のフレーム部材F・Fは予め工場にて製作され、各フレーム部材F・Fは建築現場に運搬され、建築現場にて各フレーム部材F・Fを吊り上げ、左右対称の一対のフレーム部材F・Fからなる壁体Kを桁行方向Xに複数個並列配置する建築方法としているから、施工作業を容易に行うことができ、構築作業性を向上することができる。
【0029】
図12図13の第二形態例はフレーム部材Fの別例構造を示し、この場合、上記各フレーム部材F・Fは、集成材Hで構成され、集成材Hは複数の同じ輪郭形状の木質系の板材H・・を接着剤Nで積層状に再構成し、上記第一形態例のフレーム部材F・Fと同厚の大断面集成材Hが用いられている。そして、集成材Hからなる各フレーム部材F・Fは上記第一形態例と同様に、棟木部材5からの束部材6、すなわち、棟束に各フレーム部材F・Fの各上辺部F・Fの各横架材G・Gはそれぞれ金物U及びドリフトピンDからなるピン接合Jとされる接合構造により接合され、束部材6は、各横架材G・Gの接合後に、各横架材G・Gと束部材6との接合箇所以外の部分は削除され、これにより棟木部材5から束部材6を伝わってくる荷重が接合Jのピン接合Jの部分に掛からない配慮がされ、一方のフレーム部材Fの上辺部Fと上記他方のフレーム部材Fの上辺部Fとの接合J、一方のフレーム部材Fの鉛直辺部Fと設置部材4との接合J及び他方のフレーム部材Fの鉛直辺部Fと設置部材4との接合Jとの三つの接合J・J・Jは、いずれもピン接合Jとされ、しかして、三つの接合J・J・Jをピン接合Jとすることにより、所謂、構造設計における三ピン接合形式構造が構築されている。
【0030】
この第二形態例にあっては、上記各フレーム部材F・Fは集成材Hで構成されているから、建築仕様に応じて各種の輪郭形状の各フレーム部材F・Fを容易に製作することができると共に、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができる。
【0031】
図14の第三形態例は壁体Kの配置位置の別例構造を示し、この場合、上記フレーム部材F・Fからなる壁体Kを桁行方向Xに複数個並列配置すると共にこれに加えて、束部材6に代わる継合部材12を用いて上記フレーム部材F・Fからなる壁体Kを形成し、この壁体Kを梁間方向Yに配置して構成している。
【0032】
この第三形態例にあっては、上記フレーム部材F・Fからなる壁体Kを梁間方向Yに配置することにより木造建築物Wの構造強度を一層向上することができ、耐震性及び耐久性の高い壁体K構造を構築することができる。
【0033】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば、上記実施の形態例は二階建ての木造建築物Wとなっているが、平屋建て、三階建て等の複数階建ての木造建築物Wに適用することができ、又、上記束部材6を介さずに、各フレーム部材F・Fの一方のフレーム部材Fの上辺部Fと他方のフレーム部材Fの上辺部Fとを直接、例えば、上記金物Uのような金物工法を用いて、ピン接合Jにより接合Jする接合構造とすることもでき、又、木造建築物W、壁体K、接合J、接合J、接合J、ピン接合Jの構造や形態及び材質等は上記実施の形態例に限られるものではない。
【0034】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0035】
W 木造建築物
K 壁体
F フレーム部材
上辺部
鉛直辺部
斜辺部
接合
接合
接合
ピン接合
G 架構部材
横架材
柱材
斜材
P 側板材
H 集成材
X 桁行方向
Y 梁間方向
1 小屋梁部材
2 側柱部材
3 斜部材
4 設置部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14