(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057304
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】二多段式駐車装置とその制御方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/06 20060101AFI20230414BHJP
G06F 21/35 20130101ALI20230414BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20230414BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230414BHJP
【FI】
E04H6/06 W
E04H6/06 V
G06F21/35
G06K7/10 264
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166745
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513256284
【氏名又は名称】株式会社IHI扶桑エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】西林 寛武
(72)【発明者】
【氏名】平井 卓馬
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC13
(57)【要約】
【課題】ウイルスに感染するおそれがなく、誤入力や押し間違いを無くすことができ、かつ利用者が安全確認を確実に実行できる二多段式駐車装置とその制御方法を提供する。
【解決手段】入出庫部12の前面を開閉するゲート16と、パレット2の昇降及び横行とゲートの開閉を制御する制御装置18と、ICカードXを非接触で読み取るカードリーダ22と、支柱14にそれぞれ設けらた複数の非接触センサ24と、を備える。制御装置は、ICカードXと紐付けされたデータベース19を有する。呼出し操作a又はゲート閉操作dの待機状態において、ICカードXをカードリーダ22に非接触で読み取らせる2回の読み取らせ操作で、非接触媒体の固有番号Nをデータベースと照合し、利用者を認証する。認証後に、契約したパレット2及び利用入出庫部13に対し、呼出し操作又はゲート閉操作に対応する制御を実行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が、呼出し操作、入出庫操作、無人確認操作、及びゲート閉操作を順に実施し、前記呼出し操作によりパレットを格納位置から入出庫部へ移動させ、前記入出庫操作により前記入出庫部に位置するパレット上に車両を直接入出庫し、前記ゲート閉操作によりゲートを全閉させる二多段式駐車装置であって、
複数の前記入出庫部と、該入出庫部の前面両側に位置する複数の支柱と、該支柱の間に設けられ前記入出庫部の前面を開閉可能な複数のゲートと、前記パレットの昇降及び横行と前記ゲートの開閉を制御する制御装置と、非接触媒体を非接触で読み取る非接触リーダと、を備え、
前記制御装置は、前記非接触媒体と紐付けされた利用者の認証番号及び利用者が利用する利用入出庫部を記憶するデータベースを有し、
前記呼出し操作又は前記ゲート閉操作の待機状態において、
(A)前記非接触媒体を前記非接触リーダに非接触で読み取らせ、
(B)次いで、前記非接触媒体を前記非接触リーダに再度読み取らすことで、
前記制御装置は、前記非接触媒体に含まれる固有番号を前記データベースと照合し、
前記固有番号が前記データベースと一致する場合に前記利用者を認証する、二多段式駐車装置。
【請求項2】
ゲート前の異物を検出するゲートセンサと、
前記支柱にそれぞれ設けられ近接する生体を非接触で検出する複数の非接触センサとを備え、
前記非接触センサは、隣接する支柱間の前記入出庫部を1対の支柱位置近傍から死角なく目視できる位置に設置されており、
(C)前記無人確認操作の待機状態において、
前記利用入出庫部の両側の1対の前記非接触センサにそれぞれ手をかざすことで、
前記制御装置は、契約した前記パレット及び前記利用入出庫部に対し、前記ゲートセンサによる異物検出を開始する、請求項1に記載の二多段式駐車装置。
【請求項3】
操作を案内する案内盤を備え、
前記案内盤は、文字又は画像を表示する表示装置と、音声を出力するスピーカと、を有しており、
前記待機状態において、前記表示装置又は前記スピーカにより、それぞれの前記待機状態に応じた操作メッセージを出力する、請求項1に記載の二多段式駐車装置。
【請求項4】
前記非接触媒体は、前記固有番号を有するICチップが埋め込まれたタッチレスキーであり、
前記非接触リーダは、前記固有番号を受信するカードリーダである、請求項1に記載の二多段式駐車装置。
【請求項5】
前記非接触センサは、光電センサ、静電容量センサ、超音波センサ、又は、インダクティブセンサである、請求項2に記載の二多段式駐車装置。
【請求項6】
請求項1に記載の二多段式駐車装置の制御方法であって、
前記呼出し操作又は前記ゲート閉操作の待機状態において、
(A)前記非接触媒体を前記非接触リーダに非接触で読み取らせ、
(B)次いで、前記非接触媒体を前記非接触リーダに再度読み取とらすことで、
前記制御装置は、前記非接触媒体に含まれる前記固有番号を前記データベースと照合し、
前記固有番号が前記データベースと一致する場合に前記利用者を認証する、二多段式駐車装置の制御方法。
【請求項7】
ゲート前の異物を検出するゲートセンサと、
前記支柱にそれぞれ設けられ近接する生体を非接触で検出する複数の非接触センサとを備え、
前記非接触センサは、隣接する支柱間の前記入出庫部を1対の支柱位置近傍から死角なく目視できる位置に設置されており、
(C)前記無人確認操作の待機状態において、
前記利用入出庫部の両側の1対の前記非接触センサにそれぞれ手をかざすことで、
前記制御装置により、契約した前記パレット及び前記利用入出庫部に対し、前記ゲートセンサによる異物検出を開始する、請求項6に記載の二多段式駐車装置の制御方法。
【請求項8】
前記ゲートセンサは、前記呼出し操作による認証後、前記無人確認操作による無人確認までの間、前記検出を停止する、請求項7に記載の二多段式駐車装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパレットを有する二多段式駐車装置とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二多段式駐車装置は、地上のみに駐車スペースが設けられる地上式と、地上と地下に駐車スペースが設けられるピット式とに大別できる。地上式とピット式のいずれも、車両の入出庫は、入出庫高さ(FL)に位置するパレット上に車両を直接入庫し、又は入出庫高さのパレット上から車両を出庫することで行われる。
そして、二多段式駐車装置は、パレットを駐車スペースに昇降または横行させることにより、同一の設置スペースに2段以上の駐車スペースを設け、車両を駐車する。
かかる二多段式駐車装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
二多段式駐車装置は、例えば、マンションなどの集合住宅において、予め契約した契約者に固有の認証番号を付与し、契約者の認証番号に紐付けられたパレットを契約者が使用する運用が広く行われている。
この場合、パレットを呼び出す時、そのパレットに紐付けされた認証番号を契約者が入力することにより、契約者が認証され、契約者は紐付けられたパレットに対する装置の操作が可能になる。
【0004】
しかし、上述の認証手段の場合、認証番号を失念してしまった場合、入出庫不能となってしまう。
そこで、認証番号を付与せずに、汎用のICカードにより契約者を認証する手段が既に提案されている(例えば、特許文献2,3)。
【0005】
特許文献2の「設備利用管理システム」では、鍵識別情報を専用部分鍵から受信し、連続して固有番号を汎用のICカードから受信する。受信した固有番号を受信した鍵識別情報と対応付けて自装置に登録することにより、ICカードが建物の共用部分の各設備の利用の際に必要な鍵として使用可能となる。
【0006】
特許文献3の「設備利用管理システム」では、集合住宅の居住者等が、ICカードを認証管理装置にかざす等する。これにより、認証管理装置は、ICカードから固有番号を受信し、その固有番号を、登録済みの専用部分鍵の鍵識別情報に対応づけてICカード認証データベースに集合住宅の共用部分の鍵として登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-105997号公報
【特許文献2】特許第5409865号公報
【特許文献3】特開2013-8392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献2,3のシステムにより、ICカードを共用部分の鍵として使用することができる。しかしこのシステムを機械式駐車装置の認証手段に適用した場合、以下の問題点があった。
【0009】
(1)利用者の認証後に、利用者は契約しているパレットの呼出し区画を手入力する必要がある。この呼出し区画の誤入力の可能性があった。
(2)機械式駐車装置への車両の入出庫時(入庫時又は出庫時)には、車両の入出庫操作の他に、無人確認やゲート閉操作、などを利用者が実施する必要がある。
この際、複数の利用者が同じ入力機器に触れなければならなかった。そのため、新型コロナ等のウイルスに感染する可能性があった。
(3)従来は無人確認やゲート閉操作、などの操作を、それぞれ独立した押ボタンで実施している。この場合、誤って別の押ボタンを操作する可能性があった。
また、その操作に集中して、機械式駐車装置のゲート周辺の安全確認がおろそかになる可能性があった。
【0010】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、新型コロナ等のウイルスに感染するおそれがなく、呼出し区画の誤入力や押ボタンの押し間違いを無くすことができ、かつ利用者がゲート周辺の安全確認を確実に実行することができる二多段式駐車装置とその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、利用者が、呼出し操作、入出庫操作、無人確認操作、及びゲート閉操作を順に実施し、前記呼出し操作によりパレットを格納位置から入出庫部へ移動させ、前記入出庫操作により前記入出庫部に位置するパレット上に車両を直接入出庫し、前記ゲート閉操作によりゲートを全閉させる二多段式駐車装置であって、
複数の前記入出庫部と、該入出庫部の前面両側に位置する複数の支柱と、該支柱の間に設けられ前記入出庫部の前面を開閉可能な複数のゲートと、前記パレットの昇降及び横行と前記ゲートの開閉を制御する制御装置と、非接触媒体を非接触で読み取る非接触リーダと、を備え、
前記制御装置は、前記非接触媒体と紐付けされた利用者の認証番号及び利用者が利用する利用入出庫部を記憶するデータベースを有し、
前記呼出し操作又は前記ゲート閉操作の待機状態において、
(A)前記非接触媒体を前記非接触リーダに非接触で読み取らせ、
(B)次いで、前記非接触媒体を前記非接触リーダに再度読み取らすことで、
前記制御装置は、前記非接触媒体に含まれる固有番号を前記データベースと照合し、
前記固有番号が前記データベースと一致する場合に前記利用者を認証する、二多段式駐車装置が提供される。
【0012】
また本発明によれば、上記の二多段式駐車装置の制御方法であって、
(A)前記非接触媒体を前記非接触リーダに非接触で読み取らせ、
(B)次いで、前記非接触媒体を前記非接触リーダに再度読み取とらすことで、
前記制御装置は、前記非接触媒体に含まれる固有番号を前記データベースと照合し、
前記固有番号が前記データベースと一致する場合に前記利用者を認証する、二多段式駐車装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記本発明によれば、利用者の非接触媒体を非接触リーダに非接触で読み取らせ、次いで、前記非接触媒体を前記非接触リーダに再度読み取とらす。すなわち2回の読み取らせ操作で、利用者を認証することができ、認証後に、契約したパレット及び利用入出庫部に対し、呼出し操作又はゲート閉操作に対応する制御を実行することができる。
従って、非接触媒体のみで、認証と呼出し操作及びゲート閉操作の際の安全確認ができ、かつ呼出し区画(契約したパレット及び利用入出庫部)の入力が不要となる。これにより、新型コロナ等のウイルスに感染するおそれがなく、呼出し区画の誤入力や押ボタンの押し間違いを無くすことができる。
【0014】
また、非接触媒体の読み取りを、呼出し操作又はゲート閉操作の際に2回に分けて実施するので、利用者は1回目の読み取らせ操作の後に時間をかけて安全確認をすることができ、ゲート周辺の安全確認を確実に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による二多段式駐車装置の正面図である。
【
図2】
図1の二多段式駐車装置のゲート部の説明図である。
【
図3】本発明による二多段式駐車装置の制御方法を示す全体フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明による二多段式駐車装置100の正面図である。この図において、後述するゲート16は省略している。
この例において、二多段式駐車装置100は、同一の設置スペースに3段(1F,2F,3F)の車両の格納位置が設けられた地上3段昇降横行式である。
【0018】
この例において、3段のうち1Fに位置する2つのパレット2は、水平に横行可能であり、2Fに位置する2つのパレット2は、横行と昇降が可能であり、3Fに位置する3つのパレット2は、昇降のみが可能になっている。
したがって、この例において、車両1の収容台数は、3×3-2=7台である。
【0019】
この例で3連式の二多段式駐車装置は、A,B,Cの3つの入出庫部を有する。パレット2の全幅は好ましくは同一であるが相違してもよい。なお各入出庫部A,B,Cは、3つのパレット2が必要な隙間(例えば40mm以下)を隔てて互いに隣接して位置するようになっている。
【0020】
1Fに位置する2つのパレット2は、その長さ方向両端部に車輪6aを有し、1Fに設けられた2本の水平レール8aに沿って図示しない水平駆動装置により水平に横行し、入出庫部A,B,Cのいずれかにおいて、車両1を直接入出庫させるようになっている。以下、入出庫とは、入庫と出庫を意味する。
【0021】
2Fに位置する2つのパレット2は、これを吊上げる矩形フレーム7の長さ方向両端部に車輪6bを有する。矩形フレーム7は、最上段と最下段の間の中間段に駐車するパレット2を囲みパレット2を吊下げて横方向に移動可能に設置されている。
この構成により、2Fに位置する2つのパレット2は、2Fに設けられた2本の水平レール8bに沿って図示しない水平駆動装置により水平に横行し、入出庫部A,B,Cのいずれかにおいて、車両1を直接入出庫させるようになっている。
【0022】
この例で二多段式駐車装置100は、車両1が入出庫する入出庫高さ(FL)と、この入出庫高さより上方の格納位置との間で車両1を載せて昇降可能なパレット2を有する。
この昇降可能なパレット2には、上述した2Fに位置する2つのパレット2と、3Fに位置する3つのパレット2が該当する。
【0023】
この例で二多段式駐車装置100は、さらに、昇降駆動装置5を備えパレット2を昇降させるようになっている。
昇降駆動装置5は、車両1と干渉しない位置で鉛直に延びる可撓性のある紐部材4(チェーン又はワイヤ)を巻上げ又は巻戻しして、その下端を昇降させる。
【0024】
2F用の昇降駆動装置5は、矩形フレーム7に固定され、矩形フレーム7と共に水平に横行する。
3F用の昇降駆動装置5は、本体フレーム9に固定され、本体フレーム9から3つのパレット2をそれぞれ独立に昇降させるようになっている。
【0025】
また、この例において、4本の紐部材4の下端は荷重バランスを考慮して、パレット2の前後の計4箇所に固定され、昇降駆動装置5により、パレット2を水平に保持したまま昇降するようになっている。
【0026】
なお、本発明は上述した二多段式駐車装置100に限定されず、複数のパレット2を有する限りで、それ以外の二多段式駐車装置であってもよい。
【0027】
本発明において、二多段式駐車装置100は、原則として契約者のみが利用し、契約者はパレット2の1つと1対1に紐付けされている。
以下、「契約者」とは、二多段式駐車装置100の利用を契約により認められたICカードXの保有者をいう。
【0028】
上述した二多段式駐車装置100は、利用者(原則として契約者)が、呼出し操作a、入出庫操作b、無人確認操作c、及びゲート閉操作dを順に実施する。
【0029】
二多段式駐車装置100は、利用者の呼出し操作aによりパレット2を格納位置から入出庫部12へ移動させ、入出庫操作bにより入出庫部12に位置するパレット上に車両を直接入出庫し、ゲート閉操作dによりゲート16を全閉させるようになっている。
従って、二多段式駐車装置100では、ゲート閉後にパレット2の搬送(移動)は実施されない。
【0030】
図2は、
図1の二多段式駐車装置100のゲート部の説明図であり、(A)は正面図、(B)はゲート部の平面図、(C)は制御装置18の説明図である。
この図において、二多段式駐車装置100は、複数の入出庫部12、複数の支柱14、複数のゲート16、ゲートセンサ17、及び、制御装置18を備える。
【0031】
複数(この例で3つ)の入出庫部12は、入出庫高さ(FL)に設けられており上述した入出庫部A,B,Cに相当する。
複数(この例で4本)の支柱14は、それぞれの入出庫部12の前面両側に位置する。
複数(この例で3つ)のゲート16は、隣接する支柱14の間に設けられ、それぞれの入出庫部12の前面を開閉可能に構成されている。
制御装置18は、パレット2の昇降及び横行とゲート16の開閉を制御する。制御装置18の設置位置は、二多段式駐車装置100の躯体内側でも、外側でも、遠隔地でもよい。
【0032】
図2において、入出庫部A,B,Cのゲート16を左からゲート16a,16b,16cとする。各ゲート16は、二多段式駐車装置100の制御装置18によりそれぞれ独立して開閉操作される。各ゲート16は、開くと車両1の入出庫ができ、閉じると車両1の入出庫及び人の出入りができないようになっている。
また、入出庫部A,B,Cは、ゲート以外からの異物の侵入はできないようになっている。
【0033】
ゲートセンサ17は、ゲート前の異物を検出する。「異物」とは、人、動物、及び車両を含む物品を意味する。
この例で、ゲートセンサ17は光電センサであり、4本の支柱14の幅方向外側に位置する発光部17aと受光部17bとからなり、発光部17aによりレーザ光を水平に照射し、受光部17bによりレーザ光を受光することで、レーザ光を遮る異物を検出するようになっている。
レーザ光は、ゲート16a,16b,16cに近接してその外側に位置する。また、レーザ光の高さは、異物を確実に検出するように設定されている。
【0034】
またこの例で、ゲートセンサ17は、ゲート16の全体の前部を同時に検出するように1組のみが設置されている。
なお、ゲートセンサ17は1組に限定されず、ゲート毎にゲート16a,16b,16cにそれぞれ設けてもよく、異なる高さに複数設けてもよい。また、ゲートセンサ17は上述の光電センサに限定されず、ゲート前の異物を検出できる限りで、その他の形式のセンサであってもよい。
【0035】
図2において、二多段式駐車装置100は、さらに、案内盤20、非常停止ボタン21、非接触リーダ22、及び、複数の非接触センサ24を備える。
【0036】
案内盤20は、利用者に対し操作を案内する。
この例で案内盤20は、文字又は画像を表示する表示装置20Aと、音声を出力するスピーカ20Bと、を有しており、待機状態及び稼動状態において、表示装置20A又はスピーカ20Bにより、それぞれの待機状態及び稼動状態に応じた操作メッセージを出力する。
待機状態は、呼出し操作a、入出庫操作b、無人確認操作c、及びゲート閉操作dの待機状態である。
【0037】
非常停止ボタン21は、その作動(ON)により二多段式駐車装置100の作動を停止させる機能を有する。
非常停止ボタン21は、非接触ボタンであることが好ましいが、接触式、例えば機械的なスイッチであってもよい。
【0038】
非接触媒体Xは、固有番号Nを有するICチップが埋め込まれたタッチレスキーであるのがよい。
タッチレスキーは、例えばFeliCa(登録商標)、Suica(登録商標)、楽天Edy(登録商標)、nanaco(登録商標)、WAON(登録商標)などの電子マネーカードであってもよい。
固有番号Nは、非接触ICカードに記憶された固有の番号である。固有番号Nは、例えば数字とアルファベットからなる16桁の番号である。
以下、非接触媒体Xを単に「ICカードX」と呼ぶ。
【0039】
非接触リーダ22は、非接触媒体X(ICカードX)を非接触で読み取る装置である。
非接触リーダ22は、ICカードXの固有番号Nを受信するカードリーダであるのがよい。
【0040】
案内盤20、非常停止ボタン21、及び、非接触リーダ22は、この例では、中央右側の支柱14に取り付けられているが、これらの設置位置は、利用者が容易かつ短時間にアクセスできる限りで、他の場所であってもよい。
なお、利用者が案内盤20、非常停止ボタン21、及び、非接触リーダ22にアクセスして利用する際に、上述したゲートセンサ17により利用者が異物として検出されないように、それぞれの位置が設定されている。
【0041】
複数(この例で4つ)の非接触センサ24は、4本の支柱14にそれぞれ設けられ近接する生体を非接触で検出する。4つの非接触センサ24を、この図で左から、24a,24b,24c,24dとする。
「生体」は例えば、利用者の手であるがその他の部分であってもよい。
複数の非接触センサ24は、隣接する支柱間の入出庫部12を1対の支柱位置近傍から死角なく目視できる位置に設置されている。例えば、この図において、入出庫部Bの内部全体を、1対の非接触センサ24b,24cの取り付けられた支柱位置又はその近傍から死角なく目視できるようになっている。
「近傍」とは、支柱前に立つ利用者の手が届く範囲を意味する。
なお、非接触センサ24は、光電センサ、静電容量センサ、超音波センサ、又は、インダクティブセンサであるのがよい。
【0042】
上述した制御装置18は、非接触媒体Xと紐付けされ、利用者の認証番号及び利用者が利用する入出庫部12(以下、「利用入出庫部13」)を記憶するデータベース19を有する。
図2において、制御装置18は、例えばコンピュータ(PC)であり、記憶装置18a、入力装置18b、出力装置18c、及び、演算装置18dを有する。データベース19は、記憶装置18aに記憶されている。
【0043】
記憶装置18aは、主記憶装置、磁気ディスク装置、光ディスク装置、又はその他のメモリである。
記憶装置18aは、契約者のICカードXを二多段式駐車装置100の複数のパレット2の1つに紐付けして記憶する。ここで、「紐付けして記憶する」とは、契約者、ICカードXの固有番号N、認証番号、契約したパレット、及び利用入出庫部13がそれぞれ1対1で対応することを意味する。
【0044】
入力装置18bは、キーボード、又は液晶ディスプレイである。
出力装置18cは、プリンタ、又は液晶ディスプレイである。
入力装置18bと出力装置18cは、一体であっても、分離していてもよい。例えば、入力装置18bと出力装置18cをタッチ入力可能な単一の液晶ディスプレイで構成してもよい。
【0045】
図3は、本発明による二多段式駐車装置の制御方法を示す全体フロー図である。この図において、破線の左側は利用者の操作を示し、破線の右側は制御装置18による各装置の作動を示している。
【0046】
この図において、利用者は、呼出し操作a、入出庫操作b、無人確認操作c、及びゲート閉操作dを順に実施する。
また、制御装置18は、利用者の操作に対応して、認証、呼び動作及びゲート開、無人確認、認証、及びゲート閉を順に実行する。
すなわち、利用者は、ステップS1~S6の操作を順に実施し、制御装置18は、ステップT0~T7の作動を順に実行する。
【0047】
以下、
図3に基づき本発明による制御方法を説明する。
操作開始前の認証待機状態では、表示装置20Aに利用可能なパレット番号が表示される。このパレット番号は、表示のみであり、この表示により利用者は自分が契約したパレット2を確認することができる。
【0048】
利用者の呼出し操作aの待機状態では、表示装置20A又はスピーカ20Bにより、呼出し操作aの前の安全確認を促す操作メッセージが出力される。この操作メッセージは、例えば、「無人確認:装置内に人がいないことを確認し、手をゆっくりかざして下さい」などである。
【0049】
次いで、利用者が、呼出し操作aとして、自己のICカードXをカードリーダ22に非接触で読み取らせ(ステップS1)、次いで、ICカードXをカードリーダ22に非接触で再度、読み取らす(ステップS2)
制御装置18は、ICカードXに含まれる固有番号Nをデータベース19と照合する。またこの照合により、固有番号Nがデータベース19と一致する場合に利用者を認証する(ステップT1)。
ICカードXが、マンション等で用いるタッチレスキーである場合、ステップS1の読み取り動作もICカードXをカードリーダ22にかざすだけでよい。
また、ICカードXが、車のインテリジェンスキーのように「持っていれば良い」場合は、利用者はカードリーダ22に手をかざすだけでよい(ステップS1,S2)。
【0050】
ステップT1で利用者の認証ができない場合には、その旨を表示装置20A又はスピーカ20Bにより出力する。この場合、利用者の認証待機状態(ステップT0)を保持することが好ましい。
【0051】
利用者を認証すると(ステップT1)、制御装置18は、契約したパレット2(呼出しパレット)を利用する入出庫部12(利用入出庫部13)に移動する動作を開始する(ステップT2)。
なお、ステップS1,S2が実行されない場合には、所定の時間、呼出し操作aの待機状態を維持し、その後、利用者の認証待機状態(ステップT0)に戻ることが好ましい。
【0052】
ステップT2の実行中は、表示装置20A又はスピーカ20Bにより、呼び動作に応じた操作メッセージが出力される。この操作メッセージは、例えば、「作動中」「操作盤から離れない」「周囲の安全確認」などである。
次いで、呼出しパレットが利用入出庫部13に到着すると、表示装置20A又はスピーカ20Bにより、呼出し完了の案内が出力される。また、並行して制御装置18は、データベース19と一致する利用入出庫部13のゲート16を開く(ステップT3)。
【0053】
次いで、利用者が、入出庫操作bとして、データベース19と一致する利用入出庫部13に車両1を入出庫(入庫又は出庫)し、装置(利用入出庫部13)から退出する(ステップS3)。
この間、表示装置20A又はスピーカ20Bにより、次の無人確認の待機状態に応じた操作メッセージを出力する。この操作メッセージは、例えば、「入出庫中」「入出庫完了後、表示されている入出庫部12(利用入出庫部13)の両側の1対の非接触センサ24にそれぞれ手をかざして下さい」などである。
また、表示装置20Aにより、利用する入出庫部12(利用入出庫部13)の両側の非接触センサ24の番号を表示するのがよい。
また、利用する入出庫部12(利用入出庫部13)の両側の非接触センサ24を点灯又は色の変化(赤から緑へ)により表示してもよい。
【0054】
ゲートセンサ17は、呼出し操作(S1,S2)による認証後、無人確認操作cによる無人確認(T4)までの間、異物の検出を停止する、
すなわち、ステップT2からステップT4までの間は、ゲートセンサ17による異物の検出は行われない。
この間の入出庫操作bにおいて、ゲート16は開いており、人又は車両がゲート16を通過するので、入出庫する人又は車両を異物として検出するのを回避するためである。
【0055】
利用者は、入出庫完了後、無人確認操作cとして、利用者が利用する入出庫部12(利用入出庫部13)の両側の1対の非接触センサ24にそれぞれ手をかざす(ステップS4)。制御装置18は、無人確認を確認し(ステップT4)、利用者のゲート閉操作dの待機状態となる。
また、この待機状態において、表示装置20A又はスピーカ20Bにより、次のゲート閉操作dに応じた操作メッセージを出力する。この操作メッセージは、例えば、「無人確認:装置内に人がいないことを確認し、手をゆっくりかざして下さい」などである。
【0056】
制御装置18は、無人確認を確認した後(ステップT4)、契約したパレット2及び利用入出庫部13に対し、ゲートセンサ17による異物検出を開始する(ステップT8)。
この異物検出は、ステップT5まで継続してリアルタイムに実行される。
ステップT8において、ゲートセンサ17が異物を検出した場合、無人確認操作cの待機状態(ステップT4の前)に戻る。
これにより、無人確認操作cとゲート閉操作dの間に、ゲート前面に異物(人や動物)が近づき、ゲート16と干渉するのを未然に防ぐことができる。
【0057】
ステップT4で無人確認を確認した後、利用者が、ゲート閉操作dとして、利用者のICカードXをカードリーダ22に非接触で読み取らせ(ステップS5)、次いで、ICカードXをカードリーダ22に非接触で再度、読み取らす(ステップS6)。
制御装置18は、ICカードXに含まれる固有番号Nをデータベース19と照合する。またこの照合により、固有番号Nがデータベース19と一致する場合に利用者を認証する(ステップT5)。
ICカードXが、車のインテリジェンスキーのように「持っていれば良い」場合は、利用者はカードリーダ22に手をかざすだけでよい(ステップS5,S6)。
【0058】
次いで、利用者を認証すると(ステップT5)、制御装置18は、ゲート閉操作dに対応する制御(この場合、ゲート閉動作)を実行する(ステップT6)。
ゲート閉動作の実行中は、表示装置20A又はスピーカ20Bにより、呼び動作に応じた操作メッセージが出力される。この操作メッセージは、例えば、「動作中」「操作盤から離れない」「周囲の安全確認」などである。
【0059】
ステップT6において、ゲートセンサ17は異物の検出を継続してリアルタイムに実行することが好ましい。ゲート閉動作の実行中にゲートセンサ17が異物を検出すると、制御装置18によりゲート閉動作を停止する。
これにより、ゲート閉動作中に、ゲート前面に異物(人や動物)が近づき、ゲート16と干渉するのを未然に防ぐことができる。
【0060】
次いで、ゲート閉動作が完了すると、制御装置18は、表示装置20A又はスピーカ20Bにより、「操作終了」を出力し、装置の作動を終了する(ステップT7)。
この終了後、利用者の認証待機状態(T0)となり、表示装置20Aに利用可能なパレット番号が表示される。
【0061】
上述したステップS4,S5,S6のいずれかが実行されない場合には、所定の時間、その待機を保持することが好ましい。
なお、利用者がステップS4,S5,S6を実行せずに、車両1を入出庫部12に入庫したまま、或いは出庫したまま装置から離れることがあり得る。
このような場合には、所定時間の経過後、管理人に通報することが好ましい。
【0062】
上述した本発明の実施形態によれば、利用者のICカードXをカードリーダ22に非接触で読み取らせ、次いで、ICカードXをカードリーダ22に再度読み取とらす。すなわち2回の読み取らせ操作で、利用者を認証することができ、認証後に、契約したパレット2及び利用入出庫部13に対し、呼出し操作a又はゲート閉操作dに対応する制御を実行することができる。
【0063】
従って、ICカードXのみで、認証と呼出し操作a及びゲート閉操作dの際の安全確認ができ、かつ呼出し区画(契約したパレット2及び利用入出庫部13)の入力が不要となる。
これにより、新型コロナ等のウイルスに感染するおそれがなく、利用者が、呼出し操作a、入出庫操作b、無人確認操作c、及び、ゲート閉操作dを順に実施することができる。
【0064】
また、ICカードXの読み取りを、呼出し操作a又はゲート閉操作dの際の2回に分けて実施するので、利用者は1回目の読み取らせ操作の後に時間をかけて安全確認をすることができ、ゲート周辺の安全確認を確実に実行することができる。
例えば、利用者は死角がある状態で1回目の読み取らせ操作の後、利用者が移動して死角になっていた範囲の安全確認をすることで安全確認を確実に実行することができる。
なお、2回に分けずに1回で実施してもよい。
【0065】
また、認証番号及び入出庫部12がデータベース19と一致する場合に利用者を認証し、かつ呼出し操作a又はゲート閉操作dにそれぞれ対応する制御を実行するので、入出庫部12の入力が不要であり、呼出し区画(入出庫部12)の誤入力を無くすことができる。
【0066】
また、利用者が操作するのは、カードリーダ22によるICカードXの読み取りと、非接触センサ24に手をかざすことのみであるため、押ボタンの押し間違いを本質的に無くすことができる。
【0067】
さらに、非接触センサ24は、利用入出庫部13を1対の支柱位置近傍から死角なく目視できる位置に設置されており、無人確認操作cの際に、利用者が利用入出庫部13の両側の非接触センサ24にそれぞれ手をかざすので、利用者は利用入出庫部13の安全確認を確実に実行できる。
【0068】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0069】
A,B,C 入出庫部、a 呼出し操作、b 入出庫操作、c 無人確認操作、
d ゲート閉操作、X 非接触媒体(ICカード)、N 固有番号、
1 車両、2 パレット、4 紐部材(チェーン又はワイヤ)、
5 昇降駆動装置、6a,6b 車輪、7 矩形フレーム、
8a,8b 水平レール、9 本体フレーム、12 入出庫部、
13 利用入出庫部、14 支柱、16,16a,16b,16c ゲート、
17 ゲートセンサ、17a 発光部、17b 受光部、
18 制御装置、18a 記憶装置、18b 入力装置、18c 出力装置、
18d 演算装置、19 データベース、20 案内盤、20A 表示装置、
20B スピーカ、21 非常停止ボタン、22 非接触リーダ(カードリーダ)、
24,24a,24b,24c,24d 非接触センサ、
100 二多段式駐車装置