(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057305
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】鞄用具及び鞄
(51)【国際特許分類】
A45C 13/30 20060101AFI20230414BHJP
【FI】
A45C13/30 M
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166746
(22)【出願日】2021-10-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】521442844
【氏名又は名称】有限会社三洋商会
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下 正明
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045CE04
3B045GB02
(57)【要約】
【課題】ベルトの劣化を抑制することができる鞄用具及び鞄を提供する。
【解決手段】鞄用金具3は、鞄1の胴体2の裏面に位置する連結板31と、胴体2の表面から突出するように連結板31と連結されるシャフト32と、ハンドル用ベルト4の端部が接続されるように回動自在にシャフト32に支持される回動部33と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞄の胴体の裏面に位置する連結板と、
前記胴体の表面から突出するように前記連結板と連結されるシャフトと、
ベルトの端部が接続されるように回動自在に前記シャフトに支持される回動部と、を備える、
鞄用具。
【請求項2】
前記シャフトは、シャフト本体と、前記シャフト本体の前記連結板から離間する一端の外周側に設けられるフランジと、を有し、
前記回動部には、前記シャフト本体が挿入可能であるとともに前記フランジが挿入不能である開口が形成され、
前記フランジと前記胴体との間には、前記開口の外周縁が挟まれる、
請求項1に記載の鞄用具。
【請求項3】
前記胴体の裏面と対向して設けられる内層の前記胴体と背向する面に取り付けられる支持板と、
他のベルトの端部が回動自在に支持されるように前記支持板に設けられる耳部と、をさらに備え、
前記支持板及び前記シャフトは、連結材によって連結されることで、前記連結板は、前記胴体と前記内層との間に収容される、
請求項1又は2に記載の鞄用具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の鞄用具を備える、
鞄。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞄用具及び鞄に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ベルトの取付部は、シャフトを介して回動可能に鞄本体に接続される鞄が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の鞄では、取付部にシャフトが貫通可能な孔が形成され、ベルトの取付部は、孔とシャフトとの係合によって、鞄本体に接続されるため、ベルトの取付部が回動する度に取付部の孔がシャフトを擦り合うことで孔が徐々に大きくなる。これにより、ベルトの取付部が劣化してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、ベルトの劣化を抑制することができる鞄用具及び鞄を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、鞄の胴体の裏面に位置する連結板と、前記胴体の表面から突出するように前記連結板と連結されるシャフトと、ベルトの端部が接続されるように回動自在に前記シャフトに支持される回動部と、を備える鞄用具が提供される。
【発明の効果】
【0007】
この態様によれば、ベルトの劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2A】本実施形態に係る鞄用金具を示す正面図である。
【
図2B】本実施形態に係る鞄用金具を示す背面図である。
【
図3】本実施形態に係る鞄用金具を示す断面図である。
【
図5】回動部を構成する第1回動部材を説明する説明図である。
【
図6】回動部を構成する第2回動部材を説明する説明図である。
【
図7】第2実施形態に係る鞄用金具を示す側面図である。
【
図8】支持部を構成する支持板を説明する説明図である。
【
図9】支持部を構成する取付板を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態(以下、本実施形態と称する。)について説明する。なお、本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0010】
(鞄の構成)
まず、
図1を参照しながら本実施形態に係る鞄1について説明する。
【0011】
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る鞄1は、胴体2と、胴体2に設けられる一対の鞄用具としての鞄用金具3と、両端が一対の鞄用金具3と接続されるベルトとしてのハンドル用ベルト4と、を備える。本実施形態では、鞄1は、女性用のハンドバックから構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、男性用のショルダーバックから構成されてもよい。
【0013】
胴体2は、略矩形状の底壁21と、底壁21の一対の長辺から立設される一対の側壁22と、底壁21の一対の短辺から立設される一対の端壁23と、一対の側壁22の先端及び一対の端壁23の先端によって取り囲まれて形成される開口24と、を有する。
【0014】
一対の側壁22の対向面の先端側には、開口24を開閉するための開閉機構(図示しない)が設けられる。開閉機構は、他方の側壁22と対向する一方の側壁22の対向面に設けられる係合ボタン(図示しない)と、係合ボタンと係合可能に一方の側壁22と対向する他方の側壁22の対向面に設けられる係合孔(図示しない)とからなる。
【0015】
一対の端壁23の背向面の先端側には、それぞれ一対の鞄用金具3を介してハンドル用ベルト4の両端が接続される。なお、鞄用金具3の詳細については後述する。
【0016】
(鞄用金具の構成)
次に、
図2Aから
図6を参照しながら鞄用金具について説明する。
【0017】
図2Aは、本実施形態に係る鞄用金具3を示す正面図である。
図2Bは、本実施形態に係る鞄用金具3を示す背面図である。
図3は、本実施形態に係る鞄用金具3を示す断面図である。
図4は、シャフト32を説明する説明図であり、(a)は、シャフト32を示す背面図であり、(b)は、シャフト32を示す側面図である。
図5は、回動部33を構成する第1回動部材331を説明する説明図であり、(a)は、第1回動部材331を示す背面図であり、(b)は、(a)に示すI―I線に沿う断面図である。
図6は、回動部33を構成する第2回動部材332を説明する説明図であり、(a)は、第2回動部材332を示す正面図であり、(b)は、(a)に示すII―II線に沿う断面図である。
【0018】
本実施形態に係る一対の鞄用金具3は、ハンドル用ベルト4を起立位置(使用位置)又は倒伏位置(非使用位置)に回動させるためのものである。
図2Aから
図6に示すように、各鞄用金具3は、連結板31、シャフト32及び回動部33を有する。本実施形態では、鞄用具を構成する連結板31、シャフト32及び回動部33は、ステンレス等の金属から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、これらのうちの一部又は全部が樹脂材等から構成されてもよい。
【0019】
連結板31は、シャフト32と連結するための円板状の板材である。
図2Bに示すように、連結板31は、胴体2(具体的には、胴体2の端壁23)の裏面の先端側に位置する。また、連結板31は、連結材としてのねじ34が貫通可能に形成される一対のねじ貫通用孔311と、一対のねじ貫通用孔311の間に位置するように形成される一対のピン貫通用孔312と、を有する。
【0020】
シャフト32は、回動部33を回動自在に支持するための軸材である。シャフト32は、胴体2(具体的には、胴体2の端壁23)の表面の先端側から突出するように連結板31と連結される。また、
図3から
図4に示すように、シャフト32は、胴体2の表面から立設される扁平の円柱状のシャフト本体321と、シャフト本体321の一端(具体的には、シャフト本体321の連結板31から離間する先端)の外周側に設けられる環状(具体的には、円環状)のフランジ322と、シャフト本体321の他端(具体的には、シャフト本体321の連結板に接近する基端)の端面から突出する一対の連結座323と、一対の連結座323の間に位置するようにシャフト本体321の他端の端面から突出する一対の仮止用ピン324と、を有する。
【0021】
フランジ322は、回動部33がシャフト本体321の一端から脱落することを防止するための脱落防止材である。フランジ322は、後述する回動部33の環状(具体的には、円環状)の係合溝332dと係合する。
【0022】
一対の連結座323には、それぞれ一対のねじ貫通用孔311と対応する一対のねじ螺合孔325が形成される。シャフト32は、一対の連結座323が胴体2の端壁23に形成される貫通孔に入り込むように端壁23に設けられる。そして、ねじ34は、ねじ貫通用孔311及び端壁23に形成される各貫通孔を貫通してねじ螺合孔325に螺合されることにより、連結板31とシャフト32とが連結される。
【0023】
一対の仮止用ピン324は、それぞれ一対のピン貫通用孔312と対応する。そして、一対の仮止用ピン324は、胴体2の端壁23及び一対のピン貫通用孔312を貫通して、先端がそれぞれ一対のピン貫通用孔312から露出する。
【0024】
そして、一対のピン貫通用孔312から露出する一対の仮止用ピン324にそれぞれ一対の仮止具35を取り付けることにより、シャフト32を連結板31に仮止めすることができる。このため、ねじ螺合による連結板31とシャフト32との連結を行いやすくなる。また、ねじ螺合のみによる連結板31とシャフト32との連結に比べ、連結板31とシャフト32との連結強度を向上させることができる。
【0025】
仮止具35は、中央に十字型の切り込みが形成される円板材である。そして、このような仮止具35を仮止用ピン324に取り付けると、仮止具35の切り込みは、広がるように変形する。そして、ピン貫通用孔312から露出する仮止用ピン324は、切り込みの変形により形成される四つの爪によって挟持される。これにより、連結板31へのシャフト32の仮止めを実現することができる。
【0026】
本実施形態では、シャフト32を連結板31に仮止めするために、仮止用ピン324及び仮止具35を用いている。しかしながら、仮止用ピン324及び仮止具35は、必須な部材ではなく、省略されてもよい。
【0027】
回動部33は、回動自在にシャフト32に支持される回動子である。
図3、
図5及び
図6に示すように、回動部33は、一対のねじによって連結される第1回動部材331及び第2回動部材332を有する。そして、ハンドル用ベルト4は、端部が連結された第1回動部材331と第2回動部材332との間に形成される収容領域333に収容されるように回動部33に接続される。
【0028】
図5に示すように、第1回動部材331は、板状の第1回動部材本体331aと、第1回動部材本体331aの第2回動部材332と対向する対向面(以下、裏面ともいう)から突出して設けられる一対のねじ座331bと、第1回動部材本体331aの裏面の外周の一部分(具体的には、第1回動部材本体331aの裏面の外周の上方を除く部分)から突出して設けられる外壁と331cと、を有する。一対のねじ座331bには、それぞれ一対のねじ貫通用孔332bと対向する一対のねじ螺合孔331dが形成される。
【0029】
図6に示すように、第2回動部材332は、第1回動部材本体331aと略同一の形状及び寸法を有する板状の第2回動部材本体332aと、第2回動部材本体332aを貫通する一対のねじ貫通用孔332bと、一対のねじ貫通用孔332bの間に位置するように第2回動部材本体332aの中央に形成される円形の開口332cと、開口332cの外周側に形成される環状(具体的には、円環状)の係合溝332dと、第2回動部材本体332aの第1回動部材本体331aと対向する対向面(以下、裏面ともいう)の外周の上方から突出して設けられる一対の爪332eと、を有する。
【0030】
開口332cは、シャフト本体321が挿入可能であるとともにフランジ322が挿入不能であるように形成される。係合溝332dは、フランジ322と係合するように開口332cの外周縁として形成される。
【0031】
そして、シャフト本体321が開口332cに挿入された状態において、フランジ322と係合溝332dとを係合することにより、係合溝332dの底壁は、フランジ322と胴体2の端壁23との間に挟まれるため、回動部33がシャフト32の一端から脱落することを防止することができる。
【0032】
フランジ322と係合溝332dとが係合された状態において、シャフト本体321は、一端の端面が第2回動部材本体332aの裏面から突出しないように設けられる。これにより、ハンドル用ベルト4の端部を収容領域333に収容する際にハンドル用ベルト4の端部がフランジ322に引っかかることを回避することができるため、鞄製造の作業性を向上させることができる。
【0033】
また、フランジ322と係合溝332dとが係合された状態において、フランジ322の外周壁が係合溝332dの側壁のみと当接するため、フランジ322の外周壁とハンドル用ベルト4との当接を回避することができる。この結果、回動部33及び回動部33に接続されるハンドル用ベルト4の端部をスムーズに回動させることができる。
【0034】
ねじ36を第2回動部材332のねじ貫通用孔332bに貫通させて第1回動部材331のねじ螺合孔331dに螺合させることにより、第1回動部材331と第2回動部材332とを連結することができる。また、ねじ36が回動部33の正面から視認されないため、回動部33の美観性を向上させることができる。
【0035】
一対の爪332eは、収容領域333に収容されたハンドル用ベルト4の端部の移動を規制するための移動規制材である。そして、ハンドル用ベルト4の端部が収容領域333に収容された状態において、第1回動部材331と第2回動部材332とをねじ36によって連結した場合に、一対の爪332eがハンドル用ベルト4の端部に食い込むことより、ハンドル用ベルト4の端部の移動を規制することができる。
【0036】
第1回動部材331と第2回動部材332とが連結された状態において、第1回動部材331の外壁331cの先端が第2回動部材332の裏面と当接するため、第1回動部材331と第2回動部材332との間の隙間を無くすことができる。この結果、収容領域333に収容されたハンドル用ベルト4の端部が視認されないため、回動部33の美観性を向上させることができる。
【0037】
そして、回動部33がシャフト32に支持されて回動する度に、回動部33とシャフト32とが擦り合う。具体的には、回動部33がシャフト32に支持されて回動する度に、開口332cの内周壁は、シャフト本体321の外周壁と擦り合うとともに、係合溝332dの側壁は、フランジ322の外周壁と擦り合う。これにより、回動によるハンドル用ベルト4の端部とシャフト32との擦り合いを回避することができるため、ハンドル用ベルト4の劣化を抑制することができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、
図7から
図8Bを参照しながら第2実施形態に係る鞄用金具3Aを示す側面図である。なお、第2実施形態では、上述した実施形態と同様の点については省略し、主に上述した実施形態と相違する点について説明する。
【0039】
図7は、第2実施形態に係る鞄用金具3Aを示す側面図である。
図8は、支持部6を構成する支持板61を説明する説明図であり、(a)は、支持板61を示す正面図であり、(b)は、(a)に示すIII―III線に沿う断面図である。
図9は、支持部6を構成する取付板62を示す正面図である。
【0040】
図7から
図9に示すように、第2実施形態に係る鞄用金具3Aは、ハンドル用ベルト4の端部及び他のベルトとしてのショルダー用ベルト5の端部を干渉することなくそれぞれ起立位置(使用位置)又は倒伏位置(非使用位置)に回動させるためのものである。
【0041】
鞄用金具3Aは、連結板31、シャフト32及び回動部33に加え、支持部6を有する。第2実施形態の連結板31、シャフト32及び回動部33は、上述した実施形態の連結板31、シャフト32及び回動部33と同様であるため、これらの説明を省略する。
【0042】
支持部6は、ショルダー用ベルト5を起立位置(使用位置)又は倒伏位置(非使用位置)に回動させるためのものである。支持部6は、胴体2の端壁23の上部を胴体2の裏面に折り曲げて形成される内層としての折曲部25に取り付けられる。本実施形態では、内層は、折曲部25から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、胴体2と別体である内張りから構成されてもよい。
【0043】
図8及び
図9に示すように、支持部6は、支持板61及び取付板62を有する。
【0044】
支持板61は、折曲部25の端壁23と背向する背向面(表面)に位置するように設けられる矩形状の板材である。
図8に示すように、支持板61の中央には、ねじ34が貫通可能である一対のねじ貫通用孔611が形成される。また、支持板61の折曲部25と背向する背向面(表面)には、ショルダー用ベルト5の端部を回動自在に支持する耳部612が設けられる。さらに、支持板61の折曲部25と対向する対向面(裏面)の四隅には、四つの連結座613が突出して設けられる。各連結座613には、ねじ螺合孔613aが形成される。支持板61は、四つの連結座613が折曲部25に形成される貫通孔に入り込むように折曲部25の表面に設けられる。
【0045】
取付板62は、折曲部25の端壁23と対向する対向面(裏面)に位置するように設けられる矩形状の板材である。
図9に示すように、取付板62の中央には、それぞれ一対のねじ貫通用孔611と対応するようにねじ34が貫通可能である一対のねじ貫通用孔621が形成される。また、取付板62の四隅には、それぞれ四つのねじ螺合孔613aと対応するようにねじが貫通可能である四つのねじ貫通用孔622が形成される。
【0046】
そして、ねじは、ねじ貫通用孔622を貫通してねじ螺合孔613aに螺合されることにより、支持板61及び取付板62をそれぞれ折曲部25の表面及び折曲部25の裏面に位置するように連結させることができる。
【0047】
ねじ34は、順にねじ貫通用孔611、折曲部25に形成される各貫通孔、ねじ貫通用孔621、ねじ貫通用孔311及び端壁23に形成される各貫通孔を貫通してねじ螺合孔325に螺合されることにより、支持板61及びシャフト32が連結される。これにより、鞄用金具3の一体化を図るとともに、鞄用金具3全体の強度を向上させることができる。
【0048】
また、ねじ34をねじ螺合孔325に螺合させることにより、連結板31及び取付板62を胴体2の端壁23及び折曲部25によって形成される二層構造の間に収容させることができる。このため、連結板31及び取付板62が外部から視認されず、鞄用金具3の美観性を向上させることができる。
【0049】
ハンドル用ベルト4が起立位置に回動された際にショルダー用ベルト5を倒伏位置に回動させることで、胴体2に収容させることができる。一方、ショルダー用ベルト5が起立位置に回動された際にハンドル用ベルト4を倒伏位置に回動させることで、胴体2の側壁22の外側に位置する退避位置に回避させることができる。
【0050】
ハンドル用ベルト4の端部が接続される回動部33は、胴体2の端壁23の表面に位置するとともに、ショルダー用ベルト5の端部が支持される耳部612は、端壁23の表面と背向する折曲部25の表面に位置する。すなわち、ハンドル用ベルト4の端部は、胴体2の外側に位置するとともに、ショルダー用ベルト5の端部は、胴体2の内側に位置する。これにより、ハンドル用ベルト4及びショルダー用ベルト5の両ベルトを互いに干渉することなく、起立位置又は倒伏位置へ回動させることができる。
【0051】
(作用効果)
次に、本実施形態の主な作用効果について説明する。
【0052】
本実施形態に係る鞄用金具3は、鞄1の胴体2の裏面に位置する連結板31と、胴体2の表面から突出するように連結板31と連結されるシャフト32と、ハンドル用ベルト4の端部が接続されるように回動自在にシャフト32に支持される回動部33と、を備える。
【0053】
本実施形態に係る鞄1は、鞄用金具3を備える。
【0054】
これらの構成によれば、回動部33がシャフト32に支持されて回動する度に、回動部33とシャフト32とが擦り合うため、回動によるハンドル用ベルト4の端部とシャフト32との擦り合いを回避することができる。この結果、ハンドル用ベルト4の劣化を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、シャフト32は、シャフト本体321と、シャフト本体321の連結板31から離間する一端の外周側に設けられるフランジ322と、を有し、回動部33には、シャフト本体321が挿入可能であるとともにフランジ322が挿入不能である開口332cが形成され、フランジ322と胴体2との間には、開口332cの外周縁としての係合溝332dが挟まれる。
【0056】
この構成によれば、シャフト本体321が開口332cに挿入された状態において、係合溝332dの底壁は、フランジ322と胴体2の端壁23との間に挟まれるため、回動部33がシャフト32の一端から脱落することを防止することができる。
【0057】
また、本実施形態では、鞄用金具3は、胴体2の裏面と対向して設けられる折曲部25の胴体2と背向する表面に取り付けられる支持板61と、ショルダー用ベルト5の端部が回動自在に支持されるように支持板61に設けられる耳部612と、をさらに備え、支持板61及びシャフト32は、ねじ34によって連結されることで、連結板31は、胴体2と折曲部25との間に収容される。
【0058】
この構成によれば、支持板61及びシャフト32は、ねじ34によって連結されるため、鞄用金具3の一体化を図るとともに、鞄用金具3全体の強度を向上させることができる。
【0059】
また、ねじ34を締め付けることにより、連結板31を胴体2及び折曲部25によって形成される二層構造の間に収容させることができる。このため、連結板31が外部から視認されず、鞄用金具3の美観性を向上させることができる。
【0060】
ハンドル用ベルト4の端部が接続される回動部33は、胴体2の表面に位置するとともに、ショルダー用ベルト5の端部が支持される耳部612は、胴体2の表面と背向する折曲部25の表面に位置するため、ハンドル用ベルト4の端部は、胴体2の外側に位置するとともに、ショルダー用ベルト5の端部は、胴体2の内側に位置する。これにより、ハンドル用ベルト4及びショルダー用ベルト5の両ベルトを互いに干渉することなく、起立位置又は倒伏位置へ回動させることができる。
【0061】
以上、本実施形態及び各変形例について説明したが、上述した実施形態及び各変形例は、本発明の適用例を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0062】
1 鞄
2 胴体
3 鞄用金具(鞄用具)
4 ハンドル用ベルト(ベルト)
31 連結板
32 シャフト
33 回動部
321 シャフト本体
322 フランジ
332c 開口
332d 係合溝(開口の外周縁)
【手続補正書】
【提出日】2022-02-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ貫通用孔が形成されるとともに鞄の胴体の裏面に位置する連結板と、
前記胴体の表面から突出するように前記連結板と連結されるシャフトと、
ベルトの端部が接続されるように回動自在に前記シャフトに支持される回動部と、を備え、
前記シャフトは、金属の中実物であって、シャフト本体と、前記シャフト本体の前記連結板から離間する一端の外周側に設けられるフランジと、ねじ螺合孔が形成されるとともに前記シャフト本体の前記連結板に近接する他端から突出して前記胴体の貫通孔に挿入される連結座と、を有し、
前記回動部は、第1回動部材と、前記第1回動部材と連結されるとともに前記第1回動部材と前記胴体との間に設けられる第2回動部材と、前記ベルトの端部が収容されるように前記第1回動部材と前記第2回動部材との間に形成される収容領域と、を有し、
前記第2回動部材には、前記シャフト本体が挿入可能であるとともに前記フランジが挿入不能である開口が形成され、
前記フランジと前記胴体との間には、前記開口の外周縁が挟持され、
前記ねじ螺合孔には、前記ねじ貫通用孔を貫通するねじが螺合される、
鞄用具。
【請求項2】
鞄の胴体の裏面に位置する連結板と、
前記胴体の表面から突出するように前記連結板と連結されるシャフトと、
ベルトの端部が接続されるように回動自在に前記シャフトに支持される回動部と、
前記胴体の裏面と対向して設けられる内層の前記胴体と背向する面に取り付けられる支持板と、
他のベルトの端部が回動自在に支持されるように前記支持板に設けられる耳部と、を備え、
前記支持板及び前記シャフトは、連結材によって連結されることで、前記連結板は、前記胴体と前記内層との間に収容される、
鞄用具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鞄用具を備える、
鞄。