(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057341
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】気化器
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20230414BHJP
B01J 7/00 20060101ALI20230414BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20230414BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
C23C16/448
B01J7/00 Z
H01L21/205
H01L21/31 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166820
(22)【出願日】2021-10-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】390014409
【氏名又は名称】株式会社リンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 弘文
【テーマコード(参考)】
4G068
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4G068DA04
4G068DB04
4G068DD03
4G068DD11
4K030EA01
5F045AA03
5F045BB08
5F045EE02
(57)【要約】
【課題】気化により急膨張した気化原料の排出をスムーズに行わせることで流路の内圧の増大を防ぎ、従来に比べてより大量の液体原料を迅速処理することができる気化器を提供する。
【解決手段】気化器Aは液体原料導入口11、気化原料排出口21、気化器本体1及びヒータ5とを備える。気化器本体1は液体原料導入口11から気化原料排出口21に至る気化部3を内蔵する。気化部3には液体原料Lが流れ込む流路7が形成されている。流路7はその流路面積Sが液体原料導入口11から気化原料排出口21に向かうに連れて増加するように形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体原料導入口、気化原料排出口、及び前記液体原料導入口から前記気化原料排出口に至る気化部に、液体原料が流れ込む流路が形成された気化器本体と、前記流路内を流れる前記液体原料を加熱するヒータとを備えた気化器であって、
前記流路は、前記液体原料の通流方向に対して直交する前記流路の断面積で表される流路面積が液体原料導入口から気化原料排出口に向かうに連れて増加するように形成されていることを特徴とする気化器。
【請求項2】
前記流路は前記気化部の途中において分岐し、分岐部分には分岐した流路に囲まれた分岐体が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の気化器。
【請求項3】
前記分岐体は多角形で構成され、前記流路の分流点に多角形の1つの角が設置されていることを特徴とする請求項2に記載の気化器。
【請求項4】
前記分岐体は六角形で、上流側の六角形の分岐体の間に下流側の六角形の分岐体が配列されるように複数の前記分岐体を多段多列に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の気化器。
【請求項5】
前記分岐体は円形又は楕円形に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の気化器。
【請求項6】
上記分岐体は上流側より下流側の方が数多く設置されていることを特徴とする請求項2に記載の気化器。
【請求項7】
前記流路の幅又は深さの1/2が、液体原料の温度境界層の範囲内で形成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の気化器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高粘度且つ高沸点の液体原料を効率良く気化できる気化器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体製造プロセスでは微細化やデバイス構造の3次元化が進んでいる。これに伴い、成膜の原料に高粘度で且つ高沸点(低蒸気圧)の液体原料が使用されるようになっている。このようなプロセスでは、以下のような点が問題となっている。
【0003】
液体原料が高粘度であるため流れが悪く、質量流量制御がきわめて困難である。つまり、常温では液体原料が流れないので、その粘度を低下させる必要がある。そのために原料タンク及びその下流の気化器に至る配管系及び該配管系の途中に設置された液体用流量制御器を加熱する必要がある。更に、このような液体原料は高沸点である。しかもこのような高沸点液体原料は気化が迅速に行われないと熱変性し、二量体や多量体を生成して固化し、気化器の流路が閉塞されるという問題が発生する。それ故、このようなプロセスに投入される気化器には、導入された液体原料を効率よく気化させることが出来る性能が求められる。即ち、このような半導体製造プロセスで高精度の膜厚を得るためには、液体原料の流量を高精度で制御した後、高温度で迅速に気化できる気化器が必要である。
【0004】
そこで、大量の液体原料を迅速に気化させることができる気化器として特許文献1に示すような気化器が提案された。この気化器は、液体原料を霧化して吹き出すアトマイザ、このアトマイザが装着され、石英ガラス製の中空のアウターチューブ、該アウターチューブ内に収納された石英ガラス製のインナーチューブ及び該インナーチューブの内側に設けられ、インナーヒータを内蔵した金属製インナーヒータブロックを含む。
この気化器では、アウターチューブとインナーチューブとの間の狭い隙間が流路となっており、霧化液体原料がこの流路を流れ、且つ気化される。そして、アウターチューブとインナーチューブは石英ガラス製のため、両者の間の狭い隙間である流路は入口から出口まで同じ幅(換言すれば、後述する流路面積が同じ大きさ)に形成されている。
【0005】
そして、アトマイザからアウターチューブ先端の霧化空間に吹き込まれた液体原料はキャリアガスによって霧化され、上記流路に流れ込む。流路を流れる間に霧化液体原料は内外のチューブから熱を受けて気化し、気化した気化原料(ガス)は流路末端の出口から外部に取り出されるようになっている。
【0006】
この気化器では、ガラス製のインナーチューブの内周面と金属製のインナーヒータブロックの外周面との間に、グラファイト粉末が充填されたインナー充填層が形成されている。金属製のインナーヒータブロックは、インナーヒータのオン・オフによって加熱・冷却され、その体積が膨張・収縮する。それ故、インナー充填層がこの膨張・収縮を吸収して常にインナーチューブとインナーヒータブロックに密着してインナーヒータブロックの熱をインナーチューブに効率よく伝達する。これにより、インナーヒータブロックの熱が流路に流れる霧化液体原料に迅速に伝わり、大量の霧化液体原料を流路に流したとしても、この大量の霧化液体原料をスムーズに気化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の気化器は、上記のようにグラファイト粉末のインナー充填層により、流路内を流れる霧化液体原料にインナーヒータブロックの熱を迅速に伝えることができるものの、霧化液体原料は流路を進むに連れて気化し、これによって狭い流路内でその体積が急膨張する。
この流路は狭いながらも入口から出口まで均等な幅の円筒状空間を呈し、流れを阻害するものが途中にないので、霧化液体原料や気化して膨張した気化原料(ガス)も流路内をスムーズに流れる。そして、上記インナー充填層により流路内を流れる霧化液体原料にインナーヒータブロックの熱が迅速に伝わるように工夫している。しかしながら、上記のような構造では、霧化液体原料の進行速度に対して霧化液体原料の気化速度が遅い。そこで、流路内での気化を完結させるためには、流路内の霧化液体原料の進行速度を遅くするか、流路を長大にしなければならなかった。前者の場合、霧化液体原料の気化量に限界が生じ、後者の場合では装置形状が大きくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の気化器の問題点を解決するためになされたもので、その課題は急膨張した気化原料の排出をスムーズに行わせることで流路の内圧の増大を防ぎ、装置形状を大きくすることなく、従来に比べてより大量の液体原料を迅速処理することができる気化器を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、
液体原料導入口11、気化原料排出口21、及び前記液体原料導入口11から前記気化原料排出口21に至る気化部3に液体原料Lが流れ込む流路7が形成された気化器本体1と、前記流路7内を流れる前記液体原料Lを加熱するヒータ5とを備えた気化器Aであって、
前記流路7は、前記液体原料Lの通流方向に対して直交する前記流路7の断面積で表される流路面積Sが液体原料導入口11から気化原料排出口21に向かうに連れて増加するように形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の気化器Aにおいて、
前記流路7は前記気化部3の途中において分岐し、分岐部分には分岐した流路7に囲まれた分岐体8が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明(
図1~
図3、
図9~
図11)は、請求項2に記載の気化器Aにおいて、
前記分岐体8は多角形で構成され、前記流路7の分流点7kに多角形の1つの角が設置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明(
図1~
図3)は、請求項3に記載の気化器Aにおいて、
前記分岐体8は六角形で、複数の前記分岐体8を多段多列にて亀甲状(上流側の六角形の分岐体8の間に下流側の六角形の分岐体8が配列された模様)に配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明(
図8)は、請求項2に記載の気化器Aにおいて、
前記分岐体8は円形又は楕円形に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の気化器Aにおいて、
上記分岐体8は上流側より下流側の方が数多く設置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のいずれかに記載の気化器Aにおいて、
前記流路7の幅W又は深さDの1/2が、液体原料Lの温度境界層の範囲内で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の流路7は、その流路面積Sが液体原料導入口11から気化原料排出口21に向かうに連れて増加するように形成されているので、気化によってその体積が急膨張した気化原料(気化ガス)G2を流路7から迅速に排出できる。その結果、流路7の内圧の上昇を抑制でき、流路入口7aから流路7内に流入した液体原料Lの気化や、液体原料Lの流路入口7aへの流入が阻害されるようなことがなく、同じ容積の従来気化器に比べて大量の液体原料Lを処理することができるようになった。そして、その副次的な効果として気化器Aの小型化が可能となった。
【0018】
上記流路面積Sの増加例の一つとして、気化部3の途中において流路7が分岐するように形成されている場合が挙げられる。このように流路7が分岐するように形成されておれば、流路7内で気化し、その体積が急膨張した気化原料G2が気化原料排出口21に向かって枝分かれして増加した流路7内をスムーズに流れて排出され、その結果、流路7内の内圧の上昇を抑制できる。
【0019】
そして、分岐部分には上流側の流路7を分流する分岐体8が形成され、且つ分岐体8は流路7に囲まれているので、この分岐体8から流路7を流れる流体(液体原料Lや気化原料G2)にヒータ5からの熱を効率よく供給することができる。
ここで、分岐体8を多角形で構成し、流路7の分流点7kに多角形の1つの角が設置するようにしておけば、流体(液体原料Lや気化原料G2)をスムーズに分岐させることができる。
【0020】
上記多角形の分岐体8が正六角形であって、亀甲状に配置されておれば、気化部3全体において、液体原料導入口11から気化原料排出口21に向かって流路7の方向が絶えず変化し、且つ均一な流路面積s1~snを持つ流路7を気化部3内に形成できる。これにより、流路7内での液体原料Lのスムーズな流れの確保と滞留時間の長期化、及び分岐体8に対する接触機会を長くすることが出来、液体原料Lをより確実に気化することができる。
尚、流路7の幅W又は深さDの1/2を液体原料Lの温度境界層の範囲内とすることで、流路出口7bに至るまでに流路7を流れる液体原料Lの温度を液体原料Lの気化温度以上に確実に昇温させることが出来る。換言すれば、液体原料Lが低温で液体状態を保ったままで流路出口7bから排出されるようなことがない。全ての液体原料Lは確実に気化されて流路出口7bから気化原料排出口21に向かうことになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態の内部構造を示す縦断面図である。
【
図6】本発明の気化器を使用したシステム全体の概略フロー図である。
【
図7】本発明の他の実施形態の内部構造を示す部分縦断面図である。
【
図11】本発明の第4の分岐体の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図面に従って説明する。本発明の気化器Aは、例えば、半導体製造システムで使用される機器で、液体原料導入口11、必要に応じて設けられるキャリアガス導入口12、気化原料排出口21、及び前記液体原料導入口11から前記気化原料排出口21に至る気化部3に液体原料Lが流れ込む流路7が形成された気化器本体1と、前記流路7内を流れる前記液体原料Lを加熱するヒータ5とで構成されている。
【0023】
本発明の気化器Aに求められる主たる性能は、既述のように気化によってその体積が急膨張した気化原料G2を流路7内から迅速に排出して流路7内の内圧の上昇を抑制し、液体原料Lの気化を遅滞なく促進出来るようにすることである。それ故、気化部3の流路7の基本は、液体原料Lの通流方向に対して直交する前記流路7の断面積(或いは、流路7が複数の場合、複数の流路7の断面積の和s1+・・・+sn)で表される流路面積Sが、液体原料導入口11から気化原料排出口21に向かうに連れて増加するように形成されることになる。
【0024】
ここで、「流路7の流路面積Sが液体原料導入口11から気化原料排出口21に向かうに連れて増加する」という意味は、(1)単純に1つの流路7の流路面積Sを増加(漸増)させる場合、(2)複数の流路7を設け、各流路7の流路面積をs1~snとした場合で、気化部3の中心線CLに対して直角な水平線HL上の流路面積s1~snを合算した総流路面積Sが増加(漸増)する場合、(3)流路7が分岐して下流に向かうに連れて流路7の数が増加する、即ち、流路7の数が増加により総流路面積Sが増加(漸増)する場合がある。
【0025】
また、流路7の流路面積Sが液体原料導入口11から気化原料排出口21に向かうに連れて増加する「範囲」は、流路7が設けられた気化部3の全長にわたってもよいが、気体原料G2が設定温度に達し、それ以上の膨張が生じない範囲迄とすることも出来る。
【0026】
また、液体原料Lの供給方法として、キャリアガスG1を使用し、液体原料Lを霧化して気化部3に供給する場合と、キャリアガスG1を使用せず、液体原料Lだけを気化部3に供給する場合とがある。
【0027】
本気化器Aの(第1実施形態)として、分岐体8が多角形又は円、楕円で形成された「アイランド」状のものとする。そして、その内で分岐体8が六角形で亀甲状に配列されたものを代表例とし(第1実施形態の1)、それ以外のものを(第1実施形態の2以下)としてその後に説明する。その中で、キャリアガスG1を使用する場合と、液体原料Lだけの場合とを分けて説明する。
尚、上記「亀甲状模様」とは、六角形をジグザクにて多段多列に並べた状態で、上段の六角形の間に下段の六角形が配列された模様である。勿論、六角形の分岐体8の間には流路7が形成される。
図7に示す例は(第2実施形態)として最後に説明する。
そして、
図1~5に示す(第1実施形態の1)を代表例として最初に説明し、他の実施形態は代表例と異なる部分を説明し、同じ部分は代表例の説明を援用するものとする。
【0028】
(第1実施形態の1)
気化器本体1は、板状のベースプレート2と板状のカバープレート10とで構成され、ベースプレート2の一面(被覆面2a)にカバープレート10が全面的に接合(例えば、拡散接合)されている。ベースプレート2とカバープレート10は、ステンレス鋼のような耐蝕性金属で構成される。上記拡散接合は、金属板であるカバープレート10とベースプレート2を、真空下で高温に加熱し、高圧で荷重をかけて接合する方法である。接合面は、完全に気密に接合される。気化器本体1は板状の外観を有する。
カバープレート10で覆われたベースプレート2の被覆面2aには流路7や後述する導入空間4a及び排出空間4bを構成する溝(トレンチ)が彫られている。この流路7が形成されている部分を気化部3とする。これら流路7、導入空間4aおよび排出空間4bはカバープレート10によって気密的に覆われている。
【0029】
気化部3の平面視の形状は二等辺三角形で、気化部始端3aは気化部3の頂部に設けられている。図中、導入空間4aは気化部始端3aより上に設けられ、上下方向に伸び、気化部始端3aは導入空間4aの下端と繋がっている。この導入空間4aには、液体原料導入口11が設けられている。この実施形態では更に気化部始端3a側に更にキャリアガス導入口12が設けられ、この導入空間4aにはキャリアガスG1による噴霧機能が確保されている。これら液体原料導入口11とキャリアガス導入口12は、ベースプレート2の背面の上端部分に穿設されている。
上記キャリアガス導入口12を設置し、キャリアガスG1を使用すると、液体原料Lの導入と、気体原料G2の排出が迅速に行えるという利点がある。(逆に後述するように液体原料Lだけが供給され、キャリアガスG1が使用されない場合は、キャリアガス導入口12は不要となる。)
【0030】
気化部終端3bは気化部3の底部で、複数の流路出口7bが開口し、複数の流路出口7bが排出空間4bに繋がっている。この排出空間4bには気化原料排出口21が設けられている。排出空間4b及び気化原料排出口21の流路面積は排出空間4bに開口する複数の流路7の総流路面積Sよりも広く、これら複数の流路7から流れ出た気化原料G2の流出を阻害しないようになっている。気化原料排出口21はベースプレート2の背面の下端部分に穿設されている。
【0031】
次に気化部3の細部構造(即ち、分岐体8や流路7の大きさや形状)であるが、製品の種類や用途、気化させるべき液体原料Lの物性(粘度、比熱、気化熱、分子量、蒸気圧など)に応じて適正なものが選択される。この実施形態では、分岐体8の形状と配置は、上記したように正六角形で亀甲状に配置されている。他の形態はその後で詳述する。分岐体8の大きさについては後述する。
【0032】
次に、流路7の大きさであるが、流路7は周囲を壁面7hで囲まれ、全周から加熱されるので、後述のように、流路7の幅Wと深さDの少なくとも一方の1/2が、壁面7hから一定の温度になる「温度境界層」を越えないことが好ましい。高沸点・低蒸気圧の液体原料Lの気化はきわめて困難であるが、これにより液体原料Lに対する熱伝達を向上させることができ、気化を容易にすることができる。
なお、上記「温度境界層」とは、壁面7hから離れた位置に流れる液体原料Lが一様流温度になる範囲である。即ち、ベースプレート2やカバープレート10の、流路7に臨む壁面7hの温度を壁面温度とすると、流路7を流れる流体温度がこれら壁面7hから離れるに従って次第に下がるが、或る温度で一定の温度(一様流温度)になる。この場合は、流路7の全周は壁面7hに囲まれていることになるので、壁面7hから流路7の中心までの範囲が「温度境界層」の範囲以下に設定しておけば、流路7を流れる全ての液体原料Lは気化温度に加熱され、液状態を保ったままで流路7を通過することがない。
即ち、「温度境界層」の温度を気化温度を越える温度となるように壁面温度を設定しておけば、流路7を流れる液体原料Lは全て気化されることになる。
【0033】
流路7は気化部3の途中において分岐するように形成され、気化部始端3aから気化部終端3bに向かって流路7の数が増加するように形成されている。流路7の数が増加することによって、流路面積Sが増加して行くことになる。
流路面積Sの増加は気化部3の全長にわたることが好ましいが、気化して体積が急増した気化原料G2の排出が阻害されない限り、流路面積Sの増加が気化部3の全長にわたる必要はない。図示していないが、気化部3内を流れる気化原料G2の温度が設定温度近くになり、その体積膨張が止まる気化部終端3b付近では流路7を分岐せずに流路出口7bに向かってストレートに伸ばし、この部分で流路面積Sの増加を停止してもよい。
【0034】
流路面積Sは、液体原料Lの流れ方向に対して直交する流路7の断面積(流路7が複数ある場合はその和)である。
或る1つの場所での上記流路7の流路面積Sは、
図1に示すように、気化部始端3aから気化部終端3bに向う気化器本体1の中心線CLに直交する水平線HL上において、気化部始端3aから気化部終端3bに向う液体原料L(気体原料G2)の通流方向に対して直角な流路7の断面積であり、n本の場合は、流路7の断面積(s1~sn)の和(S=s1+・・・+sn)である。
【0035】
上記気化部3の平面形状(カバープレート10を外した平面視状態)は、気化部始端3aから気化部終端3bに向かってその幅が増加する例えば三角形(図では二等辺三角形)である。そして、この気化部3の頂部に気化部始端3aに連通し、気化部始端3aから上に伸びる導入空間4aが設けられ、気化部3内には頂部の導入空間4aから底部に至る流路7が形成され、底部に流路7の流路出口7bが開口する排出空間4bが設けられている。
気化部3に設けられた流路7の流路入口7aは、気化部始端3aの部分では1つで、気化部始端3aから気化部終端3bに向かって分岐し、上記のように気化部終端3bでは複数の流路7の流路出口7bが排出空間4bに開口している。
【0036】
上流側で分岐した、そして隣接する流路7は下流側で合流して互いに繋がっている。流路7で囲まれた部分が分岐体8である。換言すれば、流路7の分岐は、気化部3に設けられた分岐体8によって行われる。分岐体8は気化部始端3aから気化部終端3bに向かうに連れてその数が増すように設けられ、これにより、上記のように気化部終端3bでは複数の流路7が開口している。
この実施形態の分岐体8は、最初に述べたように平面視六角形(図の場合は正六角形)で、亀甲状に均等間隔を以って配置されている。従って、分岐体8の間に形成された流路7や外側の分岐体8とベースプレート2の側壁との間に形成された流路7は、気化部始端3aから気化部終端3bまで同じ幅Wと深さDを保つ。
【0037】
流路7の断面は、
図4に示すように断面矩形の溝で構成される。
図5は別の例で、断面半円或いは底の隅が円弧状に形成された溝で構成される。この流路7の深さは既述のようにDで示され、幅はWで示される。
図4は、D:W=1:1に描かれ、
図5は、D:W=1:2に描かれている。勿論、これらは例示で、これらに限定されない。この流路7の深さD及び幅W、或いはそのいずれか一方が非常に小さく、流路7を流れる壁面7hからの液体原料Lの温度が、その「温度境界層」内の範囲で形成される。流路7の深さDは0.5mm±0.25mmとすることが望ましい。幅Wは別段限定されないが、0.5mm~1mmとすることが好ましい。
なお、流路7や導入空間4a、排出空間4bを構成する溝は機械加工若しくは化学的エッチング(食刻)により製作される。
【0038】
分岐体8は、ヒータ5からの熱をベースプレート2やカバープレート10から流路7を流れる液体原料Lにスムーズに伝えるのが目的であるので、それを阻害しない形状であればよい。従って、分岐体8の平面形状は特に問われないが、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形或いはそれ以上の多角形)、円或いは楕円などが挙げられる。この内で、流体(液体原料Lや気体原料(ガス)G2)の流れをスムーズにする観点から六角形(図では、正六角形)を亀甲状に配置したものが最も好ましく、これをこの実施形態として採用している。分岐体8の大きさは、これらを考慮して、分岐体8の幅8w(及び高さ8h)が10mm±5mmの範囲が適切である。
【0039】
分岐体8の配置構造もその数が、気化部始端3aから気化部終端3bに向かって増加するようにすれば、特に問われるものではないが、上流側の分岐体8に挟まれた上流側の流路7の流れが左右に均等に分流されるように、下流側の分岐体8が(特に、その角部が)上流側の流路7の直下に配置することが好ましい。本実施形態ではその1つの例として分岐体8を亀甲状に配置した例を採用している。
また、上流側の流路7の分流を容易にして流体(液体原料L又は気化原料G2)の流れに淀みを作らないようにするために、六角形の分岐体8の1つの角が上流側の流路7の直下に配置するように設定されている。勿論、他の多角形の場合も当て嵌まる。
【0040】
図2の実施例では、ベースプレート2には、上下2本の棒状ヒータ5が水平に挿通されている。勿論、図示していないが、縦方向でも良い。棒状ヒータ5に代えて図示しない面状ヒータをベースプレート2とカバープレート10に張り付けてもよい。
棒状ヒータ5の近傍には温度センサ6が設置されている。
【0041】
図5は本発明の気化器Aを使用した半導体製造装置の装置構成の一例で、原料タンクT、液体流量制御器E、質量流量制御器P(キャリアガスG1を使用する場合には設けられる。)、本発明の気化器A、反応炉R及びこれらを繋ぐ配管系で構成されている。
【0042】
原料タンクTには液体原料Lが貯蔵され、加圧ガスG0により液体原料Lが液体流量制御器Eに送り出される。
液体流量制御器Eは、原料タンクTに接続され、原料タンクTから供給された液体原料Lを一定質量流量だけ気化器Aの液体原料導入口11に送り出す。
質量流量制御器Pは、キャリアガス供給源に接続され、キャリアガスG1を質量流量だけ気化器Aのキャリアガス導入口12に送り出す。
気化器Aの液体原料導入口11は、液体原料供給配管を介して液体流量制御器Eに接続され、キャリアガス導入口12にキャリアガス供給配管を介して質量流量制御器Pに接続されている。そして、気化原料排出口21は気化原料供給配管を介して例えばシリコン基板酸化用の反応炉Rに接続されている。
原料タンクT、液体流量制御器E、気化器A、液体流量制御器Eを介して原料タンクTから気化器Aに至る液体原料供給配管、及び気化原料供給配管は保温されている。
なお、気化器Aはその外形が平板状であるので、反応炉Rに直接設置しても嵩張らない。
【0043】
次に、本発明の気化器Aの作用について説明する。通電されて気化器Aのヒータ5が昇温すると、熱がベースプレート2やカバープレート10を通って流路7の周囲に伝わる。この状態で、原料タンクTに加圧ガスG0が供給され、上記の様に液体流量制御器Eから液体原料Lが一定質量流量だけ気化器Aの液体原料導入口11に供給される。一方、同様に質量流量制御器Pからキャリアガス導入口12にキャリアガスG1が質量流量だけ吹き込まれ、導入空間4aの出口、即ち、気化部始端3aから気化部3内に霧化された液体原料Lが吹き込まれる。
【0044】
気化部3内に吹き込まれた霧化液体原料Lは、気化部始端3aに位置する第1列目の分岐体8に衝突する。本実施形態では分岐体8が六角形で、その一つの角が導入空間4a側に向いているので、吹き込まれた霧化液体原料Lは当該角によって左右に均等に分流される。左右に分岐した霧化液体原料Lは最初の分岐体8の周囲に形成された流路7に沿って流れる。
【0045】
分流した霧化液体原料Lは第1列目の分岐体8と気化部3の内壁との間に形成された流路7を流れ、第2列目に至る。2列目では、分流した霧化液体原料Lの半分は、第2列目の分岐体8と最初の分岐体8との間の流路7を流れて第1列目の分岐体8の終わり部分で合流し、そのまま第2列目の分岐体8の間の流路7を流れ、第3列目の分岐体8の上端角部で再度分岐する。
2列目で外側に流れた残りの霧化液体原料Lは、気化部3の内壁に沿って流れる。以下、これを繰り返して次々と分流と合流を繰り返す。
【0046】
分流した霧化液体原料Lは流路7の壁面7hに接触し、或いは壁面7hからの熱で急速に加熱され流れの途中で順次気化する。流路7の大きさ(幅W又は深さD)が「温度境界層」の範囲(最大で「温度境界層」の2倍を越えない範囲)内であれば、流路7の内部全体が気化温度以上に保たれて全てが流れの中で気化し、液状を保った微細粒子が流路7の内部をすり抜けて流路出口7bに到達するような短絡現象がなくなる。
【0047】
そして、霧化液体原料Lが流れの中で順次気化するとその体積は急膨張するが、流路7は気化部終端3bに向かって網目のように繋がってその流路面積Sを急増させているため、気化原料G2はこの流路7を分流しながら流れ、流路7内の内圧を増加させない。それ故、流路7内の内圧が増加しないので、液体原料Lはスムーズに気化部3内に流入し、且つ気化する。
なお、この流路7は上記のように短い間隔で方向を変えるため攪拌され、流体(霧化液体原料Lや気化原料G2)の壁面7hへの接触機会が飛躍的に高まり迅速な昇温に繋がる。
【0048】
上記気化原料G2は流路出口7bから排出空間4bに流れ込み、この部分に形成された気化原料排出口21を通って機器内の内圧を上げることなく反応炉Rに供給される。
【0049】
上記の場合はキャリアガスG1を使用した場合であるが、次に、キャリアガスG1を使用しない場合について説明する。
キャリアガスG1を使用しない場合は、液体原料Lはそのまま滴下或いは流下して第1列目の分岐体8に抵触し、同様に左右に分流される。液体原料Lの流れは上記と同様であるが、この場合は中心線CLに沿って配列された中央部分の分岐体8の周囲の流路7を中心に流れる。
そして、その流れの中で気化した気化原料G2は、両側の流路7に拡散し、均一な状態で流路出口7bから排出空間4bに流出する。
【0050】
(第1実施形態の2)
この場合は、分岐体8が六角形以外の場合である。分岐体8が円形の場合、亀甲模様と同様、上流側の円形分岐体8の間に形成される流路7の直下に下流側の円形分岐体8が位置するように配置される(
図8)。図は第1列目が2つの分岐体8で、その間に第1列目の流路7がある。(図示していないが、第1列目に1つの分岐体8を設けてもよい。)
これにより、上記同様、キャリアガスG1と共に気化部3に吹き込まれた霧化液体原料Lは円形分岐体8に分岐されて下流に流れ、その間に気化される。この場合、円形分岐体8の間に形成される流路7の大きさは一定でなく、円形分岐体8が近接している部分に比べて分流部分では間隔が広がり、流速が落ち、微細な渦を形成する。この部分で微細な乱流が発生すると流速が落ち、壁面7hと原料(液体原料Lや気化原料G2)との接触機会が増えて急速な温度上昇に繋がる。
【0051】
(第1実施形態の3)
この場合は、分岐体8が三角形(図では正三角形)である。
図9は、頂点が上向きのものと下向きのものとが交互に配置され、下流に向けてその数を増加させて多列に配置されている。
図10は、これに対して三角形の底辺の半幅で水平方向に横方向の列をずらした例である。
いずれも流路7は、気化部3の全体において同じ幅W及び同じ深さDに形成される。
【0052】
(第1実施形態の4)
この場合は、分岐体8が四角形(図では正方形)である。
図11は、その1つの角が流入側に向けて配置された例で、下流に向けてその数を増加させて多列に配置されている。
この場合も流路7は、気化部3の全体において同じ幅W及び同じ深さDに形成される。
【0053】
(第2実施形態)
この場合は、気化部始端3aから気化部終端3bに向かって1(図示せず)乃至複数の流路7が設けられている例である。流路7はその流路面積Sが液体原料導入口11から気化原料排出口21に向かうに連れて増加するように形成されている。図の場合は、流路7の深さDを「温度境界層」の範囲内(最大で2倍を越えない範囲)で形成し、幅Wを増加するように形成されている。
流路7の流路面積Sの増加は、上記のように流路7の全長にわたって、或いは液体原料Lの気化が終了する上流側においてなされる。
【0054】
図の流路7は直線状に形成されているので、拡大図に示すように、壁面7hに凹凸を設けるようにしてよい。これにより流路7の壁面7hの接触面積が増え、且つその上を流れる液体原料Lの流速が遅くなって液体原料Lの迅速な昇温に繋がる。
【0055】
また、流路7が複数本の場合、隣接する流路7を繋ぐバイパス7pを設けることが好ましい。バイパス7pを通って液体原料Lや気化原料G2が隣接する流路7間で交流し、気化部3内の内圧を平均化する。
なお、図示していないが、流路7を蛇行させてもよい。
【0056】
本発明の気化器Aは、以上のように下流へ進むに従って流路7の流路面積S(流路7の数)を増やす構造となっているので、液体原料Lが気化するに伴い、その体積が増加したとしても流路7の内部圧力の上昇は抑制され、液体原料Lは効率よく気化される。それによって、気化器Aのサイズも、小型化でき、反応炉R(成膜装置)への搭載も容易となった。なお、この気化器Aの構造は、きわめて単純であり小型化と相俟ってコスト低減も可能となった。
【符号の説明】
【0057】
A:気化器、CL:中心線、D:流路の深さ、E:液体流量制御器、G0:加圧ガス、G1:キャリアガス、G2:気化原料(ガス)、HL:水平線、L:液体原料、P:質量流量制御器、R:反応炉、S(s1~sn):流量面積、T:原料タンク、W:流路の幅、
1:気化器本体、2:ベースプレート、2a:被覆面、3:気化部、3a:気化部始端、3b:気化部終端、4a:導入空間、4b:排出空間、5:ヒータ、6:温度センサ、7:流路、7a:流路入口、7b:流路出口、7h:壁面、7k:分流点、7p:バイパス、8:分岐体、8h:分岐体の高さ、8w:分岐体の幅、10:カバープレート、11:液体原料導入口、12:キャリアガス導入口、21:気化原料排出口。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体原料導入口、気化原料排出口、及び前記液体原料導入口から前記気化原料排出口に至る気化部に、液体原料が流れ込む流路が形成された気化器本体と、前記流路内を流れる前記液体原料を加熱するヒータとを備えた気化器であって、
前記流路は、前記液体原料の通流方向に対して直交する前記流路の断面積で表される流路面積が液体原料導入口から気化原料排出口に向かうに連れて増加するように形成され、
前記流路は前記気化部の途中において分岐し、分岐部分には分岐した流路に囲まれた分岐体が形成され、
前記分岐体は多角形で構成され、前記流路の分流点に多角形の1つの角が設置されていることを特徴とする気化器。
【請求項2】
前記分岐体は六角形で、上流側の六角形の分岐体の間に下流側の六角形の分岐体が配列されるように複数の前記分岐体を多段多列に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の気化器。
【請求項3】
液体原料導入口、気化原料排出口、及び前記液体原料導入口から前記気化原料排出口に至る気化部に、液体原料が流れ込む流路が形成された気化器本体と、前記流路内を流れる前記液体原料を加熱するヒータとを備えた気化器であって、
前記流路は、前記液体原料の通流方向に対して直交する前記流路の断面積で表される流路面積が液体原料導入口から気化原料排出口に向かうに連れて増加するように形成され、
前記流路は前記気化部の途中において分岐し、分岐部分には分岐した流路に囲まれた分岐体が形成され、
前記分岐体は円形又は楕円形に形成されていることを特徴とする気化器。
【請求項4】
上記分岐体は上流側より下流側の方が数多く設置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の気化器。
【請求項5】
前記流路の幅又は深さの1/2が、液体原料の温度境界層の範囲内で形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の気化器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項1に記載の発明は、
液体原料導入口11、気化原料排出口21、及び前記液体原料導入口11から前記気化原料排出口21に至る気化部3に液体原料Lが流れ込む流路7が形成された気化器本体1と、前記流路7内を流れる前記液体原料Lを加熱するヒータ5とを備えた気化器Aであって、
前記流路7は、前記液体原料Lの通流方向に対して直交する前記流路7の断面積で表される流路面積Sが液体原料導入口11から気化原料排出口21に向かうに連れて増加するように形成され、
前記流路7は前記気化部3の途中において分岐し、分岐部分には分岐した流路7に囲まれた分岐体8が形成され、
前記分岐体8は多角形で構成され、前記流路7の分流点7kに多角形の1つの角が設置されていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項2に記載の発明(
図1~
図3)は、
請求項1に記載の気化器Aにおいて、
前記分岐体8は六角形で、複数の前記分岐体8を多段多列にて亀甲状(上流側の六角形の分岐体8の間に下流側の六角形の分岐体8が配列された模様)に配置されていることを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項3に記載の発明(
図8)は
、
液体原料導入口11、気化原料排出口21、及び前記液体原料導入口11から前記気化原料排出口21に至る気化部3に液体原料Lが流れ込む流路7が形成された気化器本体1と、前記流路7内を流れる前記液体原料Lを加熱するヒータ5とを備えた気化器Aであって、
前記流路7は、前記液体原料Lの通流方向に対して直交する前記流路7の断面積で表される流路面積Sが液体原料導入口11から気化原料排出口21に向かうに連れて増加するように形成され、
前記流路7は前記気化部3の途中において分岐し、分岐部分には分岐した流路7に囲まれた分岐体8が形成され、
前記分岐体8は円形又は楕円形に形成されていることを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれかに記載の気化器Aにおいて、
上記分岐体8は上流側より下流側の方が数多く設置されていることを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれかに記載の気化器Aにおいて、
前記流路7の幅W又は深さDの1/2が、液体原料Lの温度境界層の範囲内で形成されていることを特徴とする。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
A:気化器、CL:中心線、D:流路の深さ、E:液体流量制御器、G0:加圧ガス、G1:キャリアガス、G2:気化原料(ガス)、HL:水平線、L:液体原料、P:質量流量制御器、R:反応炉、S(s1~sn):流路面積、T:原料タンク、W:流路の幅、
1:気化器本体、2:ベースプレート、2a:被覆面、3:気化部、3a:気化部始端、3b:気化部終端、4a:導入空間、4b:排出空間、5:ヒータ、6:温度センサ、7:流路、7a:流路入口、7b:流路出口、7h:壁面、7k:分流点、7p:バイパス、8:分岐体、8h:分岐体の高さ、8w:分岐体の幅、10:カバープレート、11:液体原料導入口、12:キャリアガス導入口、21:気化原料排出口。
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】