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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057360
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】セグメント
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/08 20060101AFI20230414BHJP
   E21D 11/14 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
E21D11/08
E21D11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166851
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000198307
【氏名又は名称】株式会社IHI建材工業
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】浅野 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 隼
(72)【発明者】
【氏名】峯▲崎▼ 晃洋
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA01
2D155BB01
2D155CA01
2D155EB05
2D155EB10
2D155KA00
2D155KB04
2D155LA17
(57)【要約】
【課題】セグメントの耐荷性能を向上させると共に、製作にかかるコストを削減することを目的とする。
【解決手段】セグメント1は、内周側が開口した箱型に形成された円弧状の鋼枠2と、鋼枠2の内側に突出すると共に、鋼枠2の開口2aに沿って断続的に設けられたフランジ10と、鋼枠2の内側に打設されたコンクリート3と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側が開口した箱型に形成された円弧状の鋼枠と、
前記鋼枠の内側に突出すると共に、前記開口に沿って断続的に設けられたフランジと、
前記鋼枠の内側に打設されたコンクリートと、を備える、ことを特徴とするセグメント。
【請求項2】
前記鋼枠は、
外周側に設けられると共に、周方向に延びたスキンプレートと、
前記スキンプレートの幅方向両側に設けられた一対の主桁と、
前記スキンプレートの周方向両側に設けられた一対の継手板と、を備え、
前記フランジは、少なくとも前記一対の主桁に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のセグメント。
【請求項3】
前記フランジは、
前記一対の主桁の一方に設けられた主桁側第1フランジと、
前記一対の主桁の他方に設けられた主桁側第2フランジと、を備え、
前記鋼枠には、前記主桁側第1フランジと前記主桁側第2フランジとの間を幅方向において接続する主桁間接続鋼材が設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載のセグメント。
【請求項4】
前記フランジは、さらに、前記一対の継手板に設けられている、ことを特徴とする請求項2または3に記載のセグメント。
【請求項5】
前記フランジは、
前記一対の継手板の一方に設けられた継手板側第1フランジと、
前記一対の継手板の他方に設けられた継手板側第2フランジと、を備え、
前記鋼枠には、前記継手板側第1フランジと前記継手板側第2フランジとの間を周方向において接続する継手板間接続鋼材が設けられている、ことを特徴とする請求項4に記載のセグメント。
【請求項6】
前記フランジは、平板状に形成され、
前記鋼枠の内側に突出すると共に前記鋼枠の厚み方向に延び、前記フランジに対して直角に接続された補強板を備える、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のセグメント。
【請求項7】
前記鋼枠の内側に配置され、前記補強板を前記鋼枠の外側に向かって押圧する押圧鋼材を備える、ことを特徴とする請求項6に記載のセグメント。
【請求項8】
前記補強板は、前記鋼枠の内側を向く傾斜面を備えており、
前記押圧鋼材は、前記傾斜面を介して前記補強板を前記鋼枠の外側に向かって押圧する、ことを特徴とする請求項7に記載のセグメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル工法としては、シールドマシンによって地盤を掘削しながら、その後方において円弧状のセグメントを周方向及び軸方向に順次据え付けて円筒状のトンネル壁体(筒状壁体)を構築するシールド工法が一般的である。
【0003】
セグメントは、コンクリート製とスチール製とに大きく分けられるが、前者のコンクリート製のセグメントは圧縮に強く、後者のスチール製のセグメントは引っ張りに強いという特性がある。このようなコンクリート製及びスチール製のセグメントの利点を兼ね備えたセグメント(合成セグメント)が、例えば下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3343090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に合成セグメントは、内周面を除く5面を覆う鋼枠と、鋼枠の内部に充填されたコンクリートと、を備えている。このセグメントは、圧縮に強いコンクリートと引張に強い鋼材によって成立される合成構造により、高い耐荷性能を有している。しかしながら、近年、セグメントに対して更に高い耐荷性能およびトンネルの薄肉化が要求されている。
【0006】
合成セグメントは、円弧状であるが故、本体部で腹圧力が生じて内周面からコンクリートがはらみ出し、高い耐荷性能を維持する事が困難な場合がある。また、合成セグメントは、コンクリートを充填するが故、鋼枠の寸法精度がRC(鉄筋コンクリート製)セグメントと同レベルで要求されるが、RCセグメントと同レベルの鋼枠を製作することはコストおよび労力がかかり、経済性において不利であった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、セグメントの耐荷性能を向上させると共に、製作にかかるコストを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るセグメントは、内周側が開口した箱型に形成された円弧状の鋼枠と、前記鋼枠の内側に突出すると共に、前記開口に沿って断続的に設けられたフランジと、前記鋼枠の内側に打設されたコンクリートと、を備える。
【0009】
上記セグメントにおいて、前記鋼枠は、外周側に設けられると共に、周方向に延びたスキンプレートと、前記スキンプレートの幅方向両側に設けられた一対の主桁と、前記スキンプレートの周方向両側に設けられた一対の継手板と、を備え、前記フランジは、少なくとも前記一対の主桁に設けられていてもよい。
【0010】
上記セグメントにおいて、前記フランジは、前記一対の主桁の一方に設けられた主桁側第1フランジと、前記一対の主桁の他方に設けられた主桁側第2フランジと、を備え、前記鋼枠には、前記主桁側第1フランジと前記主桁側第2フランジとの間を幅方向において接続する主桁間接続鋼材が設けられていてもよい。
【0011】
上記セグメントにおいて、前記フランジは、さらに、前記一対の継手板に設けられていてもよい。
【0012】
上記セグメントにおいて、前記フランジは、前記一対の継手板の一方に設けられた継手板側第1フランジと、前記一対の継手板の他方に設けられた継手板側第2フランジと、を備え、前記鋼枠には、前記継手板側第1フランジと前記継手板側第2フランジとの間を周方向において接続する継手板間接続鋼材が設けられていてもよい。
【0013】
上記セグメントにおいて、前記フランジは、平板状に形成され、前記鋼枠の内側に突出すると共に前記鋼枠の厚み方向に延び、前記フランジに対して直角に接続された補強板を備えてもよい。
【0014】
上記セグメントにおいて、前記鋼枠の内側に配置され、前記補強板を前記鋼枠の外側に向かって押圧する押圧鋼材を備えてもよい。
【0015】
上記セグメントにおいて、前記補強板は、前記鋼枠の内側を向く傾斜面を備えており、前記押圧鋼材は、前記傾斜面を介して前記補強板を前記鋼枠の外側に向かって押圧してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、セグメントの耐荷性能を向上させると共に、製作にかかるコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るセグメントで構築されたトンネルを示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るセグメントを内周側から視た平面図である。
図3図2におけるIII-III断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るセグメントを内周側から視た平面図である。
図5図4におけるV-V断面図である。
図6図4におけるVI-VI断面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係るセグメントを内周側から視た平面図である。
図8図7におけるVIII-VIII断面図である。
図9】本発明の第4実施形態に係るセグメントの幅方向断面図である。
図10】本発明の第4実施形態の一変形例に係る鋼枠の幅方向断面図である。
図11】本発明の第4実施形態の一変形例に係る鋼枠の幅方向断面図である。
図12】本発明の第4実施形態の一変形例に係る鋼枠の幅方向断面図である。
図13】本発明の第4実施形態の一変形例に係るセグメントを内周側から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るセグメント1で構築されたトンネル100を示す斜視図である。
図1に示すように、セグメント1は、掘削穴内に構築されるトンネル100の一部をなす円弧状をなしており、掘削穴内の周方向及び軸方向に連結されることにより該掘削穴内にトンネル100を構築する筒状壁体101を形成している。
【0020】
筒状壁体101の内周側には、表層覆工体102が構築されている。また、筒状壁体101の外周側には、筒状壁体101と掘削穴との隙間に充填される裏込め材103が配設されている。
【0021】
以下では、セグメント1を用いてトンネル100を構築した場合におけるトンネル100の周方向をセグメント1の周方向、トンネル100の軸方向をセグメント1の幅方向、トンネル100の径方向をセグメント1の厚み方向と称する。
【0022】
図2は、本発明の第1実施形態に係るセグメント1を内周側から視た平面図である。なお、図2においては、視認性を向上させるためセグメント1のコンクリート3を一部取り除いた状態を示している。図3は、図2におけるIII-III断面図である。
図2及び図3に示すように、セグメント1は、内周面を除く5面を覆う鋼枠2と、鋼枠2の内部に充填されたコンクリート3と、を備える合成セグメントである。
【0023】
セグメント1は、内周側が開口した箱型に形成された円弧状の鋼枠2と、鋼枠2の内側に突出すると共に、鋼枠2の開口2aに沿って断続的に設けられたフランジ10と、鋼枠2の内側に打設されたコンクリート3と、を備えている。コンクリート3を露出させている鋼枠2の開口2aは、後述する一対の主桁5及び一対の継手板6によって形成されている。
【0024】
図2に示すように、鋼枠2は、外周側に設けられたスキンプレート4と、このスキンプレート4の側部に配設された一対の主桁5と、スキンプレート4の端部に配設された一対の継手板6とを有しており、一対の主桁5同士の間には複数のリブ7が設けられている。
【0025】
スキンプレート4は、トンネル構築時に掘削穴の壁面と接触する部材であって、周方向に沿って湾曲する湾曲板状をなしている。
一対の主桁5は、このスキンプレート4の幅方向両端から厚み方向内側(内周側)に向かって延設するように互いに平行をなして配置されており、スキンプレート4と同様に周方向に沿った湾曲した形状をなしている。
【0026】
一対の継手板6は、スキンプレート4の周方向両端から厚み方向内側(内周側)に向かって延設された矩形板状をなしており、上述した一対の主桁5の間にわたって配置されている。
なお、これらスキンプレート4、一対の主桁5及び一対の継手板6同士の接続は、溶接によってなされている。
【0027】
また、一対の主桁5には、セグメント1同士を幅方向に連結する図示しない継手部材が挿通する挿通孔5aが、周方向に所定間隔をあけて複数(本実施形態では3つ)形成されている。さらに、一対の継手板6には、セグメント1同士を周方向に連結する図示しない継手部材が挿通する挿通孔6aが複数形成されている。
【0028】
リブ7は、幅方向に延在して両端がそれぞれ一対の主桁5に固定された略板状をなしており、板面を周方向に向けた状態で配設されている。このリブ7は、スキンプレート4との間に隙間が形成されるように一対の主桁5の間に配設されている。
【0029】
リブ7は、2つ1組となって、周方向の中央部、一端部(図2において左側)、他端部(図2において右側)の3箇所に設けられている。周方向の中央部に位置するリブ7の間には、上述した一対の主桁5の挿通孔5a、及び、注入孔9が配設されている。注入孔9は、スキンプレート4の中央部を貫通し、裏込め材103(図1参照)を外周側に注入するための孔である。
【0030】
周方向の一端部に位置するリブ7の間には、上述した一対の主桁5の挿通孔5aが配設されている。当該リブ7のうち、周方向一端部側(図2において左側)に配置されたリブ7には、補強リブ8が、幅方向に間隔をあけて一対で設けられている。補強リブ8は、周方向に延び、継手板6とリブ7との間を接続している。
【0031】
また、周方向の他端部に位置するリブ7の間には、上述した一対の主桁5の挿通孔5aが配設されている。当該リブ7のうち、周方向他端部側(図2において左側)に配置されたリブ7には、補強リブ8が、幅方向に間隔をあけて一対で設けられている。補強リブ8は、周方向に延び、継手板6とリブ7との間を接続している。
【0032】
フランジ10は、上述した鋼枠2の内側に突出すると共に、鋼枠2の開口2aに沿って断続的に設けられている。フランジ10は、図2に示す平面視で、矩形板状に形成されており、板面を厚み方向に向けた状態で配設されている。本実施形態のフランジ10は、一対の主桁5及び一対の継手板6のそれぞれに設けられている。
【0033】
フランジ10は、一対の主桁5の一方に設けられた主桁側第1フランジ10Aと、一対の主桁5の他方に設けられた主桁側第2フランジ10Bと、を備えている。主桁側第1フランジ10A及び主桁側第2フランジ10Bは、周方向の中央部に配置されたリブ7の両側に、周方向に間隔をあけて配置されている。
【0034】
また、フランジ10は、一対の継手板6の一方に設けられた継手板側第1フランジ10Cと、一対の継手板6の他方に設けられた継手板側第2フランジ10Dと、を備えている。継手板側第1フランジ10C及び継手板側第2フランジ10Dは、幅方向に間隔をあけて配置された補強リブ8の間に、幅方向に間隔をあけて配置されている。
【0035】
上記構成のセグメント1によれば、鋼枠2の内側に突出するフランジ10が、腹圧力によるコンクリート3のはらみ出しを防止する引っ掛け部分(爪部分)となる。したがって、コンクリート3の拘束効果が得られ、高い耐荷性能をセグメント1に付加することができる。また、フランジ10は、断続的に設けられており、耐荷性能が必要な部分を補強できるため、鋼枠2全体の耐荷性能や寸法精度を高めるよりも経済的に優位になる。
【0036】
このように、上述した本実施形態のセグメント1は、内周側が開口した箱型に形成された円弧状の鋼枠2と、鋼枠2の内側に突出すると共に、鋼枠2の開口2aに沿って断続的に設けられたフランジ10と、鋼枠2の内側に打設されたコンクリート3と、を備える。この構成によれば、セグメント1の耐荷性能を向上させると共に、製作にかかるコストを削減することができる。
【0037】
また、本実施形態において、鋼枠2は、外周側に設けられると共に、周方向に延びたスキンプレート4と、スキンプレート4の幅方向両側に設けられた一対の主桁5と、スキンプレート4の周方向両側に設けられた一対の継手板6と、を備え、フランジ10は、少なくとも一対の主桁5に設けられている。この構成によれば、一対の主桁5に設けられたフランジ10によって、周方向の中央部にかかる腹圧力によるコンクリート3のはらみ出しを効果的に防止することができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0039】
図4は、本発明の第2実施形態に係るセグメント1を内周側から視た平面図である。なお、図4においては、視認性を向上させるためセグメント1のコンクリート3を一部取り除いた状態を示している。図5は、図4におけるV-V断面図である。図6は、図4におけるVI-VI断面図である。
【0040】
これらの図に示すように、第2実施形態の鋼枠2には、主桁側第1フランジ10Aと主桁側第2フランジ10Bとの間を幅方向において接続する主桁間接続鋼材11が設けられている。
【0041】
主桁間接続鋼材11は、鉄筋や鉄骨等であり、図4に示すように、その両端部は、主桁側第1フランジ10A及び主桁側第2フランジ10Bに溶接されている。なお、図5及び図6に示すように、主桁間接続鋼材11は、主桁側第1フランジ10A及び主桁側第2フランジ10Bの外周側を向く面に溶接されているが、内周側を向く面に溶接されていても構わない。
【0042】
上記構成の第2実施形態によれば、コンクリート3を引っ掛けるフランジ10同士を主桁間接続鋼材11で接続することにより、コンクリート3の拘束効果がより高まり、高い耐荷性能をセグメント1に付加することができる。また、一対の主桁5同士を主桁間接続鋼材11で接続することにより、主桁間接続鋼材11が形状保持材としても機能するため、鋼枠2の寸法精度が向上し、経済的である。
【0043】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0044】
図7は、本発明の第3実施形態に係るセグメント1を内周側から視た平面図である。なお、図7においては、視認性を向上させるためセグメント1のコンクリート3を一部取り除いた状態を示している。図8は、図7におけるVIII-VIII断面図である。
【0045】
これらの図に示すように、第3実施形態の鋼枠2には、継手板側第1フランジ10Cと継手板側第2フランジ10Dとの間を周方向において接続する継手板間接続鋼材12が設けられている。
【0046】
継手板間接続鋼材12は、鉄筋や鉄骨等であり、図7に示すように、その両端部は、継手板側第1フランジ10C及び継手板側第2フランジ10Dに溶接されている。継手板間接続鋼材12は、主桁間接続鋼材11と交差している。なお、継手板間接続鋼材12は、当該交差部において、主桁間接続鋼材11に溶接されていてもよい。継手板間接続鋼材12は、図8に示すように、主桁間接続鋼材11と厚み方向で位置をずらして配設されている。
【0047】
上記構成の第3実施形態によれば、コンクリート3を引っ掛けるフランジ10同士をさらに継手板間接続鋼材12で接続することにより、コンクリート3の拘束効果がより高まり、高い耐荷性能をセグメント1に付加することができる。また、さらに、一対の継手板6同士を継手板間接続鋼材12で接続することにより、継手板間接続鋼材12が形状保持材としても機能するため、鋼枠2の寸法精度がより向上する。
【0048】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0049】
図9は、本発明の第4実施形態に係るセグメント1の幅方向断面図である。
図9に示すように、第4実施形態のフランジ10には、補強板20が接続され、幅方向から視てT型形状となっている。
【0050】
補強板20は、鋼板等であり、鋼枠2(図9においては一対の主桁5)の内側から幅方向に突出すると共に鋼枠2の厚み方向に延び、平板状のフランジ10に対して直角に接続されている。補強板20の板面は、周方向を向いている。
上記構成の第4実施形態によれば、補強板20によってフランジ10の強度が高まるため、コンクリート3の拘束効果をより高めることができる。
【0051】
なお、上述した第4実施形態は、以下のような変形例を採用してもよい。
【0052】
図10は、本発明の第4実施形態の一変形例に係る鋼枠2の幅方向断面図である。なお、図10に示す鋼枠2は、スキンプレート4を取り付ける前であって、一対の主桁5の幅方向外側には拘束治具30が配設されている。
【0053】
図10に示す補強板20は、鋼枠2の内側を向く傾斜面21を備えた台形形状を有している。また、鋼枠2の内側には、補強板20を鋼枠2の外側(拘束治具30)に向かって押圧する押圧鋼材40が配設されている。
【0054】
押圧鋼材40は、鉄筋や鉄骨等であり、鋼枠2の外周側から押し込まれた際に、その両端部41が傾斜面21に接触し、傾斜面21を介して補強板20を鋼枠2の外側に向かって押圧するようになっている。
【0055】
押圧鋼材40の両端部41は、傾斜面21と同様のテーパ状になっている。また、押圧鋼材40の両端部41は、補強板20を押圧した状態で傾斜面21に溶接されている。この構成によれば、鋼枠2を製作する際に、一対の主桁5の間の寸法精度を高めることができる。
【0056】
図11は、本発明の第4実施形態の一変形例に係る鋼枠2の幅方向断面図である。なお、図11に示す鋼枠2は、スキンプレート4が取り付けられた後であって、内周側が上を向いている。この場合、図11に示すように、台形形状の補強板20は、押圧鋼材40を押し込む方向を逆(内周側から)にする傾斜面21を有してもよい。
【0057】
図12は、本発明の第4実施形態の一変形例に係る鋼枠2の幅方向断面図である。図12に示すように、補強板20は、幅方向の片側だけに設けてもよい。
【0058】
図13は、本発明の第4実施形態の一変形例に係るセグメント1を内周側から視た平面図である。なお、図13おいては、視認性を向上させるためセグメント1のコンクリート3を一部取り除いた状態を示している。図13に示すように、主桁間接続鋼材11は、幅方向においてオーバーラップして配設された一対の押圧鋼材11a,11bによって形成されていてもよい。
【0059】
一対の押圧鋼材11a,11bは、幅方向に突っ張り応力をかけた状態で接合されている。一対の押圧鋼材11a,11bのオーバーラップ部分には、点付け溶接等による接合部11cが形成されている。
【0060】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…セグメント、2…鋼枠、2a…開口、3…コンクリート、4…スキンプレート、5…主桁、6…継手板、10…フランジ、10A…主桁側第1フランジ、10B…主桁側第2フランジ、10C…継手板側第1フランジ、10D…継手板側第2フランジ、11…主桁間接続鋼材、12…継手板間接続鋼材、20…補強板、21…傾斜面21…押圧鋼材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13