(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057421
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】地盤補強管及び長尺先受工法
(51)【国際特許分類】
E21D 9/04 20060101AFI20230414BHJP
【FI】
E21D9/04 F
E21D9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166946
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000129758
【氏名又は名称】株式会社ケー・エフ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】岡部 正
(72)【発明者】
【氏名】小野 航
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AB07
2D054AC20
2D054FA02
2D054FA07
(57)【要約】
【課題】無拡幅の長尺先受工法が用いられるトンネル掘進時に端末部分管の切除作業を不要にすることができると共に、地山補強管の使用時の産業廃棄物を無くすことができる地山補強管を提供する。
【解決手段】無拡幅の長尺先受工法で用いられる削孔ロッド11を内挿自在な地山補強管1であり、先端に削孔ビット12が取り付けられる先頭部分管2を有し、端末部分管5と、端末部分管5がテレスコピック機構で内挿される収容部分管4とが後部に設けられ、収容部分管4に対して端末部分管5が伸縮自在に設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無拡幅の長尺先受工法で用いられる削孔ロッドを内挿自在な地山補強管であって、
先端に削孔ビットが取り付けられる先頭部分管を有し、
端末部分管と、前記端末部分管がテレスコピック機構で内挿される収容部分管とが後部に設けられ、
前記収容部分管に対して前記端末部分管が伸縮自在に設けられることを特徴とする地山補強管。
【請求項2】
前記端末部分管の周壁と前記収容部分管の周壁に固結材の吐出孔が形成されていないことを特徴とする請求項1記載の地山補強管。
【請求項3】
請求項1又は2記載の地山補強管を用いる長尺先受工法であって、
先端に取り付けられた削孔ビットの削孔によって前記先頭部分管を牽引することにより、前記収容部分管から前記端末部分管を引き出して前記地山補強管を地山に打設する第1工程と、
前記地山補強管内の前記収容部分管の先端付近にパッカーを配置し、膨張させた前記パッカーの前方側に固結材を注入し、前記収容部分管より前方側の前記地山補強管に形成された吐出孔から前記固結材を周囲の地山に吐出させる第2工程と、
トンネル掘進に伴って、掘削すべき地山で露出した前記端末部分管を前記収容部分管に入れ戻す第3工程とを備えることを特徴とする長尺先受工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺先受工法に用いられる地盤補強管及び長尺先受工法に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺先受工法(AGF工法)は、
図7に示すように、切羽201直近の地山202から斜め前方に向けて、3m程度の部分鋼管203を3~4本程度連結しながら打設して長尺の地山補強管204を形成し、地山補強管204の周囲の地山202に固結材205を浸透させて固結領域を形成することにより、これから掘削するトンネル空間Tの周囲の地山202を傘のように覆って補強するものである。長尺先受工法の施工の際には、通常、トンネル掘進時に、1m程度掘り進む毎に支保工206を建て込んで吹付コンクリート207を施すと共に、10m程度掘り進む毎に長尺の地山補強管204を打設する。
【0003】
そして、長尺先受工法を無拡幅で行う場合、切羽201の直近の地山202から斜め前方に向けて長尺の地山補強管204を打設することにより、次段、次次段の掘進サイクルで掘削すべき地山202内に、地山補強管204を構成する端末部分鋼管203aとその周囲の固結材205による固結領域が配置される。この端末部分鋼管203aには、一般的にスリットや環状溝が形成されたものが用いられ、トンネル掘進にともなって邪魔になった端末部分鋼管203aと固結材205による固結領域は除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、長尺先受工法におけるトンネル掘削に伴う端末部分鋼管203aの切除はバックホー等で行われるが、切除する際の振動が端末部分鋼管203aより前方に位置する部分鋼管203から前方の地山202に伝達される。この切除作業による地山202への振動の伝達は地山202を緩める一因となる。
【0006】
また、切除した端末部分鋼管203aは、端末部分鋼管203aと固結材205が一体化されている場合が多いため、リサイクルすることが難しく、産業廃棄物となってしまうという問題もある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、無拡幅の長尺先受工法が用いられるトンネル掘進時に端末部分管の切除作業を不要にすることができると共に、地山補強管の使用時の産業廃棄物を無くすことができる地山補強管及びその地山補強管を用いる長尺先受工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の地山補強管は、無拡幅の長尺先受工法で用いられる削孔ロッドを内挿自在な地山補強管であって、先端に削孔ビットが取り付けられる先頭部分管を有し、端末部分管と、前記端末部分管がテレスコピック機構で内挿される収容部分管とが後部に設けられ、前記収容部分管に対して前記端末部分管が伸縮自在に設けられることを特徴とする。
これによれば、収容部分管に対して端末部分管をテレスコピック機構で伸縮自在に設けることにより、トンネル掘進時に露出した端末部分管を収容部分管に収容してトンネルを掘り進めることができ、無拡幅の長尺先受工法が用いられるトンネル掘進時に端末部分管の切除作業を不要にすることができる。また、収容部分管と端末部分管をネジ接続等で連結する作業が不要となることから、長尺の地山補強管を構成する部分管の連結作業を省力化することができる。また、地山補強管を使用してトンネル掘進を行う際に、切除した端末部分管が発生しないことから、地山補強管の使用時の産業廃棄物を無くすことができ、産業廃棄物の分別処理も無くすことができる。また、端末部分管の切除作業を無くせることから、端末部分管の切除作業による振動で地山に緩むが発生する事態を無くすことができる。
【0009】
本発明の地山補強管は、前記端末部分管の周壁と前記収容部分管の周壁に固結材の吐出孔が形成されていないことを特徴とする。
これによれば、トンネル掘進作業の際に、収容部分管への収容が想定される端末部分管や、端末部分管が収容されることが想定される収容部分管には、固結材の吐出孔を形成しないで済むことから、後部に配置される部分管への吐出孔の加工作業を無くし、製造コストを低減することができる。また、端末部分管と収容部分管に固結材を注入して充填せずとも、端末部分管が収容部分管に収容された状態では二重管となるため、収容部分管の設置箇所における地山補強管について十分な剛性を確保することができる。
【0010】
本発明の長尺先受工法は、本発明の地山補強管を用いる長尺先受工法であって、先端に取り付けられた削孔ビットの削孔によって前記先頭部分管を牽引することにより、前記収容部分管から前記端末部分管を引き出して前記地山補強管を地山に打設する第1工程と、前記地山補強管内の前記収容部分管の先端付近にパッカーを配置し、膨張させた前記パッカーの前方側に固結材を注入し、前記収容部分管より前方側の前記地山補強管に形成された吐出孔から前記固結材を周囲の地山に吐出させる第2工程と、トンネル掘進に伴って、掘削すべき地山で露出した前記端末部分管を前記収容部分管に入れ戻す第3工程とを備えることを特徴とする。
これによれば、長尺の地山補強管を地山に打設する際に、収容部分管から端末部分管を引き出すように地山補強管を打設することができ、収容部分管と端末部分管のネジ接続等の連結作業を無くして、部分管の連結作業を省力化することができる。収容部分管の先端付近に配置するパッカーの前方側だけに固結材を注入すれば済むことから、固結材の注入量を低減して施工コストの低下を図ることができる。そして、トンネル掘進時に露出した端末部分管を収容部分管に収容してトンネルを掘り進めることができ、無拡幅の長尺先受工法が用いられるトンネル掘進時に端末部分管の切除作業を不要にすることができる。また、地山補強管を使用してトンネル掘進を行う際に、切除した端末部分管が発生しないことから、地山補強管の使用時の産業廃棄物を無くすことができ、産業廃棄物の分別処理も無くすことができる。また、端末部分管の切除作業を無くせることから、端末部分管の切除作業による振動で地山に緩むが発生する事態を無くすことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無拡幅の長尺先受工法が用いられるトンネル掘進時に端末部分管の切除作業を不要にすることができると共に、地山補強管の使用時の産業廃棄物を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は本発明による実施形態の地山補強管と削孔ビットの分解斜視図、(b)は実施形態の地山補強管における先頭部分管に削孔ビットを取り付けた状態の斜視図。
【
図2】(a)は打設状態の実施形態の地山補強管と削孔ビットの正面図、(b)は同図(a)の地山補強管の連結構造を示す模式端面図。
【
図3】(a)は実施形態の地山補強管における収容部分管と端末部分管を示す断面図、(b)は収容部分管と端末部分管の嵌合連結を説明する断面説明図。
【
図4】(a)、(b)は実施形態の地山補強管の打設工程の前半を説明する工程説明図。
【
図5】(a)、(b)は実施形態の地山補強管の打設工程の後半を説明する工程説明図。
【
図6】(a)~(e)は打設した実施形態の地山補強管への固結材の注入と、端末部分管の収容部分管への収容を説明する工程説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態の地山補強管及び長尺先受工法〕
本発明による実施形態の地山補強管1は、無拡幅の長尺先受工法で用いられる削孔ロッド11を内挿自在な地山補強管1であり、
図1~
図3に示すように、先端に削孔ビット12が取り付けられる先頭部分管2と、先頭部分管2の後側に連結される中間部分管3と、中間部分管3の後側に連結される収容部分管4と、収容部分管4にテレスコピック機構で内挿される端末部分管5とから構成され、収容部分管4と端末部分管5は地山補強管1の後部に設けられる。
【0014】
先頭部分管2は、略円筒状に形成され、略同一の外径で形成された基部21と、基部21の先端部の内側に形成された雌ねじ部22と、基部21の後側の縮径部に形成された雄ねじ部23を有する。基部21には、先頭部分管2の周囲の地山に固結材を吐出する貫通孔の吐出孔24が形成され、基部21の先端にはケーシングシュー13を介して削孔ビット12が取り付けられる。
【0015】
中間部分管3は、略円筒状に形成され、略同一の外径で形成された基部31と、基部31の先端部の内側に形成された雌ねじ部32と、基部31の後側の縮径部に形成された雄ねじ部33を有する。基部31には、中間部分管3の周囲の地山に固結材を吐出する貫通孔の吐出孔34が形成されている。中間部分管3の雌ねじ部32は先頭部分管2の雄ねじ部23と螺合されて、中間部分管3と先頭部分管2とが螺着され、ネジ接続で連結される。尚、中間部分管3には、先頭部分管2と同一形状で同一サイズのものを用いることも可能である。また、先頭部分管2と中間部分管3は、鋼管或いは樹脂管とすることが可能であるが、強度の点から鋼管とすると好適である。
【0016】
収容部分管4は、略円筒状に形成され、略同一の外径と内径で形成された基部41と、基部41の先端部の内側に形成された雌ねじ部42と、基部41の後端から後側に向かって漸次縮径されるテーパ部43と、テーパ部43の後端から後側に延び且つ略同一の外径と内径で形成された縮径筒部44を有する。収容部分管4の雌ねじ部42は中間部分管3の雄ねじ部33と螺合されて、収容部分管4と中間部分管3とが螺着され、ネジ接続で連結される。収容部分管4の周壁を構成する基部41には、周囲の地山に固結材を吐出する貫通孔の吐出孔が形成されていない。尚、収容部分管4は、鋼管或いは樹脂管とすることが可能であるが、強度の点から鋼管とすると好適であり、又、収容部分管4の寸法は、必要に応じて適宜設定することが可能である。
【0017】
端末部分管5は、略円筒状に形成され、略同一の外径と内径で形成された基部51と、基部51の前端から前側に向かって漸次拡径されるテーパ部52と、テーパ部52の前端から前側に延び且つ略同一の外径と内径で形成された拡径筒部53と、拡径筒部53の後端部に設けられたフランジ54を有する。端末部分管5の周壁を構成する基部51には、周囲の地山に固結材を吐出する貫通孔の吐出孔が形成されていない。尚、端末部分管5は、鋼管或いは樹脂管とすることが可能であるが、強度の点から鋼管とすると好適であり、又、端末部分管5の寸法は、収容部分管4の寸法に合わせて、必要に応じて適宜設定することが可能である。
【0018】
端末部分管5は、収容部分管4にテレスコピック機構で内挿され、拡径筒部53と、テーパ部52と、テーパ部52より後側の基部51の一部は、端末部分管5が収容部分管4から引き出された際に、収容部分管4におけるテーパ部43より前側の基部41の一部と、テーパ部43と、縮径筒部44とで構成される被嵌合部に嵌合される嵌合部を構成している。
【0019】
端末部分管5の基部51の外径は、収容部分管4の縮径筒部44の内径よりも小さく形成され、又、端末部分管5の拡径筒部53の外径は、収容部分管4の縮径筒部44の内径よりも大きく形成されており、前側に配置される収容部分管4に対して端末部分管5が伸縮自在に設けられ且つ伸長時に嵌合して連結されるようになっている。
【0020】
実施形態の地盤補強管1を打設してトンネル掘削時に長尺先受工法を施工する際には、一例として
図4(a)に示すように、削孔装置のガイドセル14上に先頭部分管2を配置すると共、ガイドセル14上の削孔機械15に接続された削孔ロッド11を先頭部分管2に内挿し、削孔ロッド11をケーシングシュー13aを介して削孔ビット12に取り付け、且つケーシングシュー13aを介して削孔ビット12を先頭部分管2の先端に取り付ける。これによって、削孔ロッド11の先端部は削孔ビット12に装着された状態となる。この状態で、削孔ビット12に削孔ロッド11を介して削孔機械15の駆動力を伝達し、切羽直近の地山100を削孔ビット12で削孔しつつ先頭部分管2を牽引して地山100に打設していく。
【0021】
先頭部分管2の大部分を地山100に打設した後、ガイドセル14上に中間部分管3を配置し、中間部分管3の先端部と先頭部分管2の後端部をネジ接続で連結すると共に、カプラを介したネジ接続で構成部材を連結して延長された削孔ロッド11を先頭部分管2と中間部分管3とに内挿された状態にする。そして、削孔ビット12に削孔ロッド11を介して削孔機械15の駆動力を伝達し、削孔ビット12で削孔しつつ削孔ビット12で先頭部分管2及び連結された中間部分管3を牽引して地山100に打設していく(
図4(b)、
図5(a)参照)。
【0022】
中間部分管3の大部分が地山100に埋め込まれるまで先頭部分管2及び中間部分管3を打設した後、
図5(a)に示すように、端末部分管5が内挿された収容部分管4をガイドセル14上に配置し、収容部分管4の先端部と中間部分管3の後端部をネジ接続で連結すると共に、カプラを介したネジ接続で構成部材を連結して延長された削孔ロッド11を先頭部分管2、中間部分管3、収容部分管4及び端末部分管5に内挿された状態にする。また、端末部分管5の後端部は、ガイドセル14上の所定位置より地山補強管1の打設方向に移動不能に定置した状態とし、図示例では、端末部分管5の後端に設けられたフランジ54を、地山補強管1の芯出しをするように支持するセントラライザー16の後面に掛止して定置するようになっている。
【0023】
そして、削孔ビット12に削孔ロッド11を介して削孔機械15の駆動力を伝達し、削孔ビット12で削孔しつつ削孔ビット12で先頭部分管2及び連結された中間部分管3、収容部分管4を牽引して地山100に打設していく(
図5(a)、(b)参照)。削孔で先頭部分管2を牽引すると、中間部分管3、収容部分管4が牽引されるが、収容部分管4に内挿され且つ後端部をガイドセル14上の所定位置に定置された端末部分管5は、収容部分管4から引き出されていき、端末部分管5の先端部分が収容部分管4の後端部分に嵌合して連結される。即ち、端末部分管5が収容部分管4から引き出された状態で地山補強管1が地山100に打設される。
【0024】
地盤補強管1を打設して削孔ロッド11を逆転して削孔ビット12との装着状態を解除して引き抜いた後、地山補強管1内の収容部分管4の先端付近に布製或いはゴム製等のパッカー17を配置し、パッカー17に膨張用固結材を注入して膨張させ、膨張させたパッカー17で隔壁を構成する(
図6(a)~(c)参照)。そして、端末部分管5と収容部分管4に内挿され且つ膨張したパッカー17に貫通して設けられる注入管18により、膨張させたパッカー17の前方側に固結材Sを注入する(
図6(c)、(d)参照)。
【0025】
注入された固結材Sは、パッカー17の前方側の地山補強管1の内部に充填されていき、更に、収容部分管4より前方側の地山補強管1に形成された吐出孔、本実施形態では中間部分管3の吐出孔34と先頭部分管2の吐出孔24から周囲の地山100に吐出されていき、地山補強管1の周囲の地山100に固結材Sの浸透による固結領域が形成される(
図6(d)、(e)参照)。
【0026】
次いで、トンネル掘削を進行させ、地山補強管1の打設箇所に支保工191を建て込んで吹付コンクリート192を施す際には、掘削すべき地山100で露出した端末部分管5を収容部分管4に入れ戻して端末部分管5が収容部分管4に収容された状態とし、更なるトンネル掘進、支保工191の建て込み、吹付コンクリート192の施工を行う(
図6(e)参照)。
【0027】
本実施形態の地山補強管1或いはこれを用いる長尺先受工法によれば、収容部分管4に対して端末部分管5をテレスコピック機構で伸縮自在に設けることにより、トンネル掘進時に露出した端末部分管5を収容部分管4に収容してトンネルを掘り進めることができ、トンネル掘進時に端末部分管5の切除作業を不要にすることができる。また、収容部分管4と端末部分管5をネジ接続等で連結する作業が不要となることから、長尺の地山補強管1を構成する部分管の連結作業を省力化することができる。また、地山補強管1を使用してトンネル掘進を行う際に、切除した端末部分管5が発生しないことから、地山補強管1の使用時の産業廃棄物を無くすことができ、産業廃棄物の分別処理も無くすことができる。また、端末部分管5の切除作業を無くせることから、端末部分管5の切除作業による振動で地山100に緩むが発生する事態を無くすことができる。
【0028】
また、トンネル掘進作業の際に、収容部分管4への収容が想定される端末部分管5や、端末部分管5が収容されることが想定される収容部分管4には、固結材の吐出孔を形成しないで済むことから、後部に配置される部分管への吐出孔の加工作業を無くし、製造コストを低減することができる。また、端末部分管5と収容部分管4に固結材Sを注入して充填せずとも、端末部分管5が収容部分管4に収容された状態では二重管となるため、収容部分管4の設置箇所における地山補強管1について十分な剛性を確保することができる。尚、収容部分管4に端末部分管5を入れ戻して収容した後に、端末部分管5と収容部分管4の内部に固結材Sを注入、充填して、収容部分管4の設置箇所における地山補強管1の剛性をより一層高めるようにしても良好である。
【0029】
また、地山補強管1を用いる長尺先受工法では、収容部分管4の先端付近に配置するパッカー17の前方側だけに固結材Sを注入すれば済むことから、固結材Sの注入量を低減して施工コストの低下を図ることができる。
【0030】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、各実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記内容や変形例も含まれる。
【0031】
例えば上記実施形態の地山補強管1は、地山100の孔奥側に相当する先端側から順に先頭部分管2、1個の中間部分管3、収容部分管4及びこれにテレスコピック機構で内挿される端末部分管5を設ける構成としたが、先頭部分管2の後側に複数の中間部分管3を相互にネジ接続で連結して設け、最も後側に位置する中間部分管3に収容部分管4を連結する構成としても良好である。また、必要に応じて、先頭部分管2の後側に収容部分管4を直接ネジ接続で連結する構成とすることも可能である。
【0032】
また、上記実施形態の長尺先受工法では、収容部分管4の先端付近にパッカー17を配置する構成としたが、収容部分管4の中間部にパッカー17を配置し、このパッカー17より前方の地山補強管1内に固結材Sを注入し、後のトンネル掘進時に図示例の端末部分管5よりも短い長さの端末部分管5を収容部分管4に入れ戻すようにすることも可能である。この場合には、収容部分管4の前部には固結材Sの吐出孔を形成すると好適である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、トンネル掘削工事における長尺先受工法で利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1…地山補強管 2…先頭部分管 21…基部 22…雌ねじ部 23…雄ねじ部 24…吐出孔 3…中間部分管 31…基部 32…雌ねじ部 33…雄ねじ部 34…吐出孔 4…収容部分管 41…基部 42…雌ねじ部 43…テーパ部 44…縮径筒部 5…端末部分管 51…基部 52…テーパ部 53…拡径筒部 54…フランジ 11…削孔ロッド 12…削孔ビット 13、13a…ケーシングシュー 14…ガイドセル 15…削孔機械 16…セントラライザー 17…パッカー 18…注入管 191…支保工 192…吹付コンクリート 100…地山 201…切羽 202…地山 203…部分鋼管 203a…端末部分鋼管 204…地山補強管 205…固結材 206…支保工 207…吹付コンクリート T…トンネル空間 S…固結材