(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057429
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】アジャスタ
(51)【国際特許分類】
A43B 23/02 20060101AFI20230414BHJP
A43C 11/14 20060101ALI20230414BHJP
A44B 11/25 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
A43B23/02 105
A43C11/14
A44B11/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166961
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】591115279
【氏名又は名称】株式会社アイリス
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】大隅 洋
(72)【発明者】
【氏名】平井 章弘
(72)【発明者】
【氏名】石川 功
【テーマコード(参考)】
3B090
4F050
【Fターム(参考)】
3B090BA00
3B090BA01
4F050BC22
4F050MA29
(57)【要約】
【課題】簡易に締付量を調整できるアジャスタを提供する。
【解決手段】アジャスタ10は、第1アジャスタ部20と、第2アジャスタ部40と、を具備する。第1アジャスタ部20は、第1被連結部11と接続される第1接続部21と、第1接続部21から第2アジャスタ部40に向かって伸びる第1延伸部22と、第1延伸部22に形成された第1嵌合部23と、を有する。第2アジャスタ部40は、第2被連結部12と接続される第2接続部41と、第2接続部41から第1アジャスタ部20に向かって伸びる第2延伸部42と、第2延伸部42に形成された第2嵌合部43と、を有する。また、第1嵌合部23と第2嵌合部43とが嵌合することで、第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40とは、互いが離れる方向への移動が規制される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被連結部と第2被連結部とを連結するアジャスタであり、
前記第1被連結部に固定される第1アジャスタ部と、前記第2被連結部に固定される第2アジャスタ部と、を具備し、
前記第1アジャスタ部は、前記第1被連結部と接続される第1接続部と、前記第1接続部から前記第2アジャスタ部に向かって伸びる第1延伸部と、前記第1延伸部に形成された第1嵌合部と、を有し、
前記第2アジャスタ部は、前記第2被連結部と接続される第2接続部と、前記第2接続部から前記第1アジャスタ部に向かって伸びる第2延伸部と、前記第2延伸部に形成された第2嵌合部と、を有し、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが嵌合することで、前記第1アジャスタ部と前記第2アジャスタ部とは、互いが離れる方向への移動が規制されることを特徴とするアジャスタ。
【請求項2】
前記第1嵌合部は、傾斜部と、当接部と、を交互に複数有し、
前記傾斜部は、前記第2アジャスタ部から離れる側に向かって傾斜し、
前記当接部は、前記第2アジャスタ部から離れる方向に対して略直角に伸びる、ことを特徴とする請求項1に記載のアジャスタ。
【請求項3】
前記第1アジャスタ部の前記第1延伸部は、一方側第1延伸部と、前記一方側第1延伸部とは離間する他方側第1延伸部と、を有し、前記傾斜部および前記当接部は、前記一方側第1延伸部および前記他方側第1延伸部の内側側辺に沿って形成され、前記一方側第1延伸部の端部と前記他方側第1延伸部の端部とは連続部を経由して連続し、
前記第2アジャスタ部の前記第2延伸部は、一方側第2延伸部と、前記一方側第2延伸部とは離間する他方側第2延伸部と、を有し、前記第2嵌合部は、前記一方側第2延伸部および前記他方側第2延伸部に形成され、前記一方側第2延伸部および前記他方側第2延伸部の端部は変位可能とされていることを特徴とする請求項2に記載のアジャスタ。
【請求項4】
前記一方側第2延伸部に形成される前記第2嵌合部の外側端部と、前記他方側第2延伸部に形成される前記第2嵌合部の外側端部と、が離間する距離は、
前記一方側第1延伸部に形成される前記傾斜部の内側端部と、前記他方側第1延伸部に形成される前記傾斜部の内側端部と、が離間する距離よりも長いことを特徴とする請求項3に記載のアジャスタ。
【請求項5】
前記第1アジャスタ部には、前記第2被連結部の側に向かって突出する突出部が形成され、
前記第2アジャスタ部には、前記突出部を挿入可能な挿入孔が形成されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のアジャスタ。
【請求項6】
前記第1アジャスタ部において、前記第1嵌合部の周囲を肉薄にすることで凹状領域が形成され、
前記第2アジャスタ部において、前記第2延伸部の前記第2嵌合部には鍔部が形成され、
前記鍔部は、前記凹状領域の内部で移動可能とされることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のアジャスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アジャスタに関する。
【背景技術】
【0002】
アジャスタは、靴、帽子等の衣料品の寸法調節部位に取り付けられ、使用者の体の大きさや使用感に応じて、寸法や締付の度合いを調整するために用いられる器具である。
【0003】
アジャスタの一例が、特許文献1ないし特許文献6に記載されている。一例として、特許文献1では、靴甲開口部を跨ぐ状態に締付片をその一端において左右の甲片部のうちの一方の甲片部側に装着している。また、締付片の他端にベルトアジヤスタのスライダを装着し、他方の甲片部側にベルトアジヤスタのレールを縫着して成る靴において、レールのうち先端部を止具により靴地に固定している。更に、凹凸部を有する細長いレールと、凹凸部に対し係合離脱する係止爪を有するスライダとからなる長さ調節用のベルトアジヤスタを利用して、靴甲開口部の左右の甲片部の締付けを調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平2-3285号公報
【特許文献2】実開昭52-157920号公報
【特許文献3】実開平5-21707号公報
【特許文献4】実登2561462号公報
【特許文献5】特開2005-230050号公報
【特許文献6】特開2014-217531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した背景技術に係る発明では、簡易かつ確実に靴などの締付量を調整する観点から、改善の余地があった。
【0006】
具体的には、特許文献1に記載されたアジヤスタでは、スライダをレールに沿って移動させることで締付量を調整していたが、係る連結機構では、レールに沿ってのみ締付力が発生することから、広範囲に渡って締付を行うことが難しい課題があった。また、スライダとレールとの嵌合構造を、靴などの動きが激しいものに適用した場合、係る係合構造の強度が必ずしも十分とは言えない課題もあった。
【0007】
本願発明は上記課題を鑑みてなされ、本発明の目的は、簡易に締付量を調整できるアジャスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアジャスタは、第1被連結部と第2被連結部とを連結するアジャスタであり、前記第1被連結部に固定される第1アジャスタ部と、前記第2被連結部に固定される第2アジャスタ部と、を具備し、前記第1アジャスタ部は、前記第1被連結部と接続される第1接続部と、前記第1接続部から前記第2アジャスタ部に向かって伸びる第1延伸部と、前記第1延伸部に形成された第1嵌合部と、を有し、前記第2アジャスタ部は、前記第2被連結部と接続される第2接続部と、前記第2接続部から前記第1アジャスタ部に向かって伸びる第2延伸部と、前記第2延伸部に形成された第2嵌合部と、を有し、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが嵌合することで、前記第1アジャスタ部と前記第2アジャスタ部とは、互いが離れる方向への移動が規制されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のアジャスタでは、前記第1嵌合部は、傾斜部と、当接部と、を交互に複数有し、前記傾斜部は、前記第2アジャスタ部から離れる側に向かって傾斜し、前記当接部は、前記第2アジャスタ部から離れる方向に対して略直角に伸びる、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のアジャスタでは、前記第1アジャスタ部の前記第1延伸部は、一方側第1延伸部と、前記一方側第1延伸部とは離間する他方側第1延伸部と、を有し、前記傾斜部および前記当接部は、前記一方側第1延伸部および前記他方側第1延伸部の内側側辺に沿って形成され、前記一方側第1延伸部の端部と前記他方側第1延伸部の端部とは連続部を経由して連続し、前記第2アジャスタ部の前記第2延伸部は、一方側第2延伸部と、前記一方側第2延伸部とは離間する他方側第2延伸部と、を有し、前記第2嵌合部は、前記一方側第2延伸部および前記他方側第2延伸部に形成され、前記一方側第2延伸部および前記他方側第2延伸部の端部は変位可能とされていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のアジャスタでは、前記一方側第2延伸部に形成される前記第2嵌合部の外側端部と、前記他方側第2延伸部に形成される前記第2嵌合部の外側端部と、が離間する距離は、前記一方側第1延伸部に形成される前記傾斜部の内側端部と、前記他方側第1延伸部に形成される前記傾斜部の内側端部と、が離間する距離よりも長いことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のアジャスタでは、前記第1アジャスタ部には、前記第2被連結部の側に向かって突出する突出部が形成され、前記第2アジャスタ部には、前記突出部を挿入可能な挿入孔が形成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のアジャスタでは、前記第1アジャスタ部において、前記第1嵌合部の周囲を肉薄にすることで凹状領域が形成され、前記第2アジャスタ部において、前記第2延伸部の第2嵌合部には鍔部が形成され、前記鍔部は、前記凹状領域の内部で移動可能とされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のアジャスタは、第1被連結部と第2被連結部とを連結するアジャスタであり、前記第1被連結部に固定される第1アジャスタ部と、前記第2被連結部に固定される第2アジャスタ部と、を具備し、前記第1アジャスタ部は、前記第1被連結部と接続される第1接続部と、前記第1接続部から前記第2アジャスタ部に向かって伸びる第1延伸部と、前記第1延伸部に形成された第1嵌合部と、を有し、前記第2アジャスタ部は、前記第2被連結部と接続される第2接続部と、前記第2接続部から前記第1アジャスタ部に向かって伸びる第2延伸部と、前記第2延伸部に形成された第2嵌合部と、を有し、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とが嵌合することで、前記第1アジャスタ部と前記第2アジャスタ部とは、互いが離れる方向への移動が規制されることを特徴とする。本発明のアジャスタによれば、簡易に締付量を調整でき且つ、十分な係合強度を得ることができるアジャスタを提供する。具体的には、第1嵌合部と第2嵌合部とが嵌合することで、第1アジャスタ部と第2アジャスタ部とは、互いが離れる方向への移動が規制され、第1被連結部と第2被連結部とを好適に連結することが出来る。
【0015】
また、本発明のアジャスタでは、前記第1嵌合部は、傾斜部と、当接部と、を交互に複数有し、前記傾斜部は、前記第2アジャスタ部から離れる側に向かって傾斜し、前記当接部は、前記第2アジャスタ部から離れる方向に対して略直角に伸びる、ことを特徴とする。本発明のアジャスタによれば、第1アジャスタ部が傾斜部を有していることで、使用状況下において第2アジャスタ部の第2嵌合部が、第1アジャスタ部の傾斜部に沿って滑り、ユーザの操作により、第1被連結部と第2被連結部とを接近させることができる。また、第1アジャスタ部が当接部を有していることで、第2アジャスタ部の第2嵌合部が当接部に係合し、第1被連結部と第2被連結部とを所定位置で連結することができる。
【0016】
また、本発明のアジャスタでは、前記第1アジャスタ部の前記第1延伸部は、一方側第1延伸部と、前記一方側第1延伸部とは離間する他方側第1延伸部と、を有し、前記傾斜部および前記当接部は、前記一方側第1延伸部および前記他方側第1延伸部の内側側辺に沿って形成され、前記一方側第1延伸部の端部と前記他方側第1延伸部の端部とは連続部を経由して連続し、前記第2アジャスタ部の前記第2延伸部は、一方側第2延伸部と、前記一方側第2延伸部とは離間する他方側第2延伸部と、を有し、前記第2嵌合部は、前記一方側第2延伸部および前記他方側第2延伸部に形成され、前記一方側第2延伸部および前記他方側第2延伸部の端部は変位可能とされていることを特徴とする。本発明のアジャスタによれば、一方側第1延伸部および他方側第1延伸部に、傾斜部および当接部が形成されることで、第2アジャスタ部の第2嵌合部をより強固に嵌合し、使用状況下において第1嵌合部と第2嵌合部とが離れてしまうことを抑止できる。また、一方側第2延伸部および他方側第2延伸部の端部が変位可能な自由端であることにより、第2嵌合部の移動および嵌合の自由度を高めることができる。
【0017】
また、本発明のアジャスタでは、前記一方側第2延伸部に形成される前記第2嵌合部の外側端部と、前記他方側第2延伸部に形成される前記第2嵌合部の外側端部と、が離間する距離は、前記一方側第1延伸部に形成される前記傾斜部の内側端部と、前記他方側第1延伸部に形成される前記傾斜部の内側端部と、が離間する距離よりも長いことを特徴とする。本発明のアジャスタによれば、一方側第2延伸部および他方側第2延伸部を付勢した状態で、傾斜部に押しつけることができるので、第1被連結部と第2被連結部とを互いに接近させるように変位させた際に、ユーザは適切に節度感を得ることができる。
【0018】
また、本発明のアジャスタでは、前記第1アジャスタ部には、前記第2被連結部の側に向かって突出する突出部が形成され、前記第2アジャスタ部には、前記突出部を挿入可能な挿入孔が形成されることを特徴とする。本発明のアジャスタによれば、第2アジャスタ部の挿入孔に、第1アジャスタ部の突出部を挿入することで、第1アジャスタ部と第2アジャスタ部との連結を強化し、使用状況下にて両者が分離することを抑止できる。
【0019】
また、本発明のアジャスタでは、前記第1アジャスタ部において、前記第1嵌合部の周囲を肉薄にすることで凹状領域が形成され、前記第2アジャスタ部において、前記第2延伸部の第2嵌合部には鍔部が形成され、前記鍔部は、前記凹状領域の内部で移動可能とされることを特徴とする。本発明のアジャスタによれば、鍔部が凹状領域の内部で移動可能であることにより、第2延伸部の変形の範囲を規定でき、鍔部の厚み方向における突出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】本発明の実施形態に係るアジャスタを上方から見た斜視図である。
【
図1B】本発明の実施形態に係るアジャスタを下方から見た斜視図である。
【
図2A】本発明の実施形態に係るアジャスタの第1アジャスタ部を上方から見た斜視図である。
【
図2B】本発明の実施形態に係るアジャスタの第1アジャスタ部を下方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るアジャスタの第1アジャスタ部の上面図である。
【
図4A】本発明の実施形態に係るアジャスタの第2アジャスタ部を上方から見た斜視図である。
【
図4B】本発明の実施形態に係るアジャスタの第2アジャスタ部を下方から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るアジャスタの第2延伸部に形成される第2嵌合部等を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るアジャスタの第1アジャスタ部と第2アジャスタ部とを離して示す上面図である。
【
図7A】本発明の実施形態に係るアジャスタにおいて、第2アジャスタ部の第2嵌合部が、第1アジャスタ部の第1嵌合部に嵌合している状況を示す上面図である。
【
図7B】本発明の実施形態に係るアジャスタにおいて、第2アジャスタ部の第2嵌合部と、第1アジャスタ部の第1嵌合部との嵌合が解かれている状況を示す上面図である。
【
図8A】本発明の実施形態に係るアジャスタが靴に適用される構成を示す図である。
【
図8B】本発明の実施形態に係るアジャスタが帽子に適用される構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係るアジャスタ10を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では、上下前後左右の各方向を用いるが、左右方向は、後述する第1アジャスタ部20および第2アジャスタ部40がスライドする方向であり、上下方向は、後述する第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40とが積層される方向であり、これらの各方向は説明の便宜のために用いる。
【0022】
図1Aは、アジャスタ10を上方から見た斜視図である。
図1Bは、アジャスタ10を下方から見た斜視図である。以下の説明において、収縮状態とは、アジャスタ10の第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40とを、左右方向において接近させた状態である。また、伸張状態とは、アジャスタ10の第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40とを、左右方向において離間する方向に移動させた状態である。アジャスタ10は、前後方向から、第2アジャスタ部40に対してユーザが圧縮力を加えることで、左右方向に伸張させることができる。また、アジャスタ10は、左右方向に沿ってユーザが、第1アジャスタ部20および第2アジャスタ部40に圧縮力を加えることで、左右方向に収縮させることができる。
【0023】
図1Aおよび
図1Bを参照して、アジャスタ10は、後述する第1被連結部11と第2被連結部12とを連結する器具であり、第1被連結部11に固定される第1アジャスタ部20と、第2被連結部12に固定される第2アジャスタ部40と、を具備する。後述するように、第1嵌合部23と第2嵌合部43とが嵌合することで、第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40とは、互いが離れる方向への移動が規制される。これにより、アジャスタ10は、後述する靴13等の調節可能部位として用いられ、靴13等の装着感を最適化することができる。
【0024】
第1アジャスタ部20は、後述する第1被連結部11(
図8A等を参照)と接続される第1接続部21と、第1接続部21から第2アジャスタ部40の側に向かって伸びる第1延伸部22と、第1延伸部22に形成された第1嵌合部23と、を有する。
図1Bを参照して、第1延伸部22は、一方側第1延伸部24と、一方側第1延伸部24とは離間する他方側第1延伸部25と、を有する。第1接続部21は前後方向に沿って伸びる部位である。第1接続部21には接続スリット31が形成されている。接続スリット31は、縫製等に用いられる略矩形状の開口であり、前後方向に沿って複数個が略等間隔に形成されている。第1アジャスタ部20は、射出成形された合成樹脂から成る。第1アジャスタ部20の詳細な構成は、
図2および
図3を参照して後述する。
【0025】
第2アジャスタ部40は、後述する第2被連結部12(
図8A等を参照)と接続される第2接続部41と、第2接続部41から第1アジャスタ部20の側に向かって伸びる第2延伸部42と、第2延伸部42に形成された第2嵌合部43と、を有する。
図1Aに示すように、第2接続部41は、左右方向に沿って伸びる部位であり、第2接続部41を略矩形状に貫通する接続スリット46が略等間隔に形成されている。
図1Aを参照して、第2接続部41は、前述した接続スリット31と同様に、縫製等の接続のために用いられる。第2延伸部42は、一方側第2延伸部44と、他方側第2延伸部45と、を有する。一方側第2延伸部44は、第2接続部41の後端部から右方に向かって伸び、他方側第2延伸部45は、第2接続部41の前端部から右方に向かって伸びる。第2アジャスタ部40は、射出成形された合成樹脂から成る。第2アジャスタ部40の詳細は、
図4および
図5を参照して後述する。
【0026】
図2Aは、アジャスタ10の第1アジャスタ部20を上方から見た斜視図である。
図2Bは、アジャスタ10の第1アジャスタ部20を下方から見た斜視図である。
【0027】
第1アジャスタ部20は、第1接続部21と、一方側第1延伸部24および他方側第1延伸部25と、連続部28と、を主要に有する。また、第1アジャスタ部20は、左右方向において、左右両端部よりも中央部が隆起する湾曲形状を呈している。
【0028】
連続部28は、一方側第1延伸部24の左方側端部と、他方側第1延伸部25の左方側端部とを接続する部位である。連続部28が一方側第1延伸部24と他方側第1延伸部25とを端部で接続することにより、一方側第1延伸部24および他方側第1延伸部25の使用時における変形を抑止できる。
【0029】
また、連続部28は、他方側第1延伸部25および一方側第1延伸部24の左端よりも、左方側に向かって突出する突出部29でもある。突出部29は、アジャスタ10が収縮状態である時に、後述するアジャスタ10の挿入孔47に挿入される部位である。係る状況は、
図1Aに示されている。
【0030】
一方側第1延伸部24の内側辺には、第1嵌合部23が形成されている。第1嵌合部23は、傾斜部26と、当接部27と、を有する。また、当接部27の右方側には、平行部30が形成されている。換言すると、一方側第1延伸部24の内側辺には、傾斜部26、当接部27および平行部30が、この順番で繰り返し形成されている。傾斜部26は、第2アジャスタ部40から離れる側、即ち右方に向かって前方に傾斜する部位である。当接部27は、第2アジャスタ部40から離れる方向に対して略直角に伸び、即ち、前後方向に沿って伸びる部位である。平行部30は、左右方向に沿って伸びる部位である。第1嵌合部23は、後述する第2アジャスタ部40の第2嵌合部43が嵌合する部位である。
【0031】
他方側第1延伸部25の内側辺にも、一方側第1延伸部24と同様に、第1嵌合部23が形成されている。即ち、他方側第1延伸部25の内側側辺に沿って、傾斜部26、当接部27および平行部30が形成されている。
【0032】
リブ32、リブ33およびリブ34は、第1アジャスタ部20の上面を壁状に隆起させた部位である。リブ32およびリブ33は、左右方向に沿って略直線状に伸びている。リブ33は、前後方向に沿って伸びており、その中間部が左方に向かって突出する略弓形状を呈している。リブ32およびリブ33は、前端が連続部28(突出部29)と連続しており、後端がリブ32の中間部と連続している。リブ32、リブ33およびリブ34を形成することで、第1アジャスタ部20の剛性を強化できる。更に、リブ32およびリブ33は、後述するように、第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40とが互いにスライドする際に、当該スライド運動を案内する役割も有している。
【0033】
中央スリット35、嵌合スリット36および嵌合スリット37は、第1アジャスタ部20を開口した部位である。中央スリット35は、リブ32とリブ33との間に形成される。嵌合スリット36は、リブ32と一方側第1延伸部24との間に形成される。嵌合スリット37は、リブ33と他方側第1延伸部25との間に形成される。嵌合スリット36および嵌合スリット37には、後述する第2アジャスタ部40の第2嵌合部43および鍔部49が挿入される。
【0034】
図3は、アジャスタ10の第1アジャスタ部20の上面図である。
図3では、凹状領域38の外縁を一点鎖線で示している。
【0035】
凹状領域38は、第1アジャスタ部20において、第1嵌合部23の周囲を肉薄にすることで形成される。具体的には、凹状領域38は、第1嵌合部23および嵌合スリット36を囲むように、略矩形形状に形成されている。凹状領域38は、第1アジャスタ部20を下面から凹状とした領域であり、凹状領域38が窪む深さは、後述する鍔部49と同程度または若干長く形成されている。このようにすることで、鍔部49を凹状領域38の内部に移動可能に収納させ、凹状領域38の内部で移動可能とされる。更に、鍔部49が第1アジャスタ部20の下面から下方に突出することを抑制できる。
【0036】
同様に、凹状領域38は、第1アジャスタ部20の前方部分において、嵌合スリット37を囲むように形成される。
【0037】
図4Aは、第2アジャスタ部40を上方から見た斜視図である。
図4Bは、第2アジャスタ部40を下方から見た斜視図である。
【0038】
図4Aおよび
図4Bを参照して、第2アジャスタ部40は、第2接続部41と、一方側第2延伸部44と、他方側第2延伸部45とを有する。一方側第2延伸部44は、第2接続部41の後方側端部から右方に向かって伸びる。他方側第2延伸部45は、第2接続部41の前方側端部から右方に向かって伸びる。一方側第2延伸部44および他方側第2延伸部45の、右方側の端部は自由端であり、変位可能とされている。
【0039】
リブ48は、第2アジャスタ部40の上面を、上方に向かって壁状に突出させた部位である。リブ48は、第2アジャスタ部40の上面において、前端から後端に渡って連続して形成されている。リブ48は、その中間部が右方に向かって弓状に湾曲する形状を呈している。
【0040】
挿入孔47は、リブ48と第2接続部41との間に形成された開口である。挿入孔47は、上下方向に向かって開口しており、左右方向に向かっても開口している。挿入孔47には、前述した第1アジャスタ部20の突出部29が挿入される。
【0041】
図4Bを参照して、第2嵌合部43は、一方側第2延伸部44および他方側第2延伸部45の右端近傍の下面に形成されている。前述したように、第2嵌合部43は、
図3に示した第1アジャスタ部20の第1嵌合部23に嵌合する部位である。また、鍔部49は、
図3に示した凹状領域38に収納される部位である。第2嵌合部43が第1嵌合部23に嵌合することで、左右方向における第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40との相対位置が規制される。鍔部49が凹状領域38に収納されることで、第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40とが、左右方向における相対移動が許容されつつ、上下方向において係合される状態が維持される。
【0042】
図5は、アジャスタ10の第2延伸部42に形成される第2嵌合部43等を示す斜視図である。
【0043】
前述したように、他方側第2延伸部45の右端部の下面からは、第2嵌合部43および鍔部49が下方に向かって突出している。第2嵌合部43は略角柱状を呈する部材であり、鍔部49は第2嵌合部43の下端に形成されている。
【0044】
鍔部49は、第2嵌合部43の下端を、前方、後方、左方および右方に向かって鍔状に突出させた部位であり、上方から見たら鍔部49は略正方形状を呈している。鍔部49は、前方側への突出量が、方向側への突出量よりも大きい。
【0045】
尚、
図4に示した一方側第2延伸部44の右端部にも、このような形状の第2嵌合部43および鍔部49が形成される。
【0046】
図6は、アジャスタ10の第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40とを左右方向に離して示す上面図である。
【0047】
ここで、一方側第2延伸部44に形成される第2嵌合部43の外側端部と、他方側第2延伸部45に形成される第2嵌合部43の外側端部とが離間する距離L10は、一方側第1延伸部24に形成される傾斜部26の内側端部と、他方側第1延伸部25に形成される傾斜部26の内側端部とが離間する距離L11よりも長く形成されている。
【0048】
アジャスタ10を組み立てる際には、第1アジャスタ部20に対して第2アジャスタ部40を組み込み、第2アジャスタ部40の第2嵌合部43を、第1アジャスタ部20の嵌合スリット36および嵌合スリット37に組み込む。そのようにすると、一方側第1延伸部24の傾斜部26に、第2延伸部42の第2嵌合部43が当接し、他方側第1延伸部25の傾斜部26との間に、他方側第2延伸部45の第2嵌合部43が当接する。これにより、一方側第2延伸部44が前方に向かって湾曲し、他方側第2延伸部45は後方に向かって湾曲する。かかる湾曲動作により付勢力が発生し、各々の第2嵌合部43が、一方側第1延伸部24の傾斜部26および他方側第1延伸部25の傾斜部26に押しつけられる。よって、第2アジャスタ部40の第1アジャスタ部20側への挿入を容易とすると共に、その逆方向の移動を規制できる。
【0049】
更に、一方側第2延伸部44に形成される第2嵌合部43の外側端部と、他方側第2延伸部45に形成される第2嵌合部43の外側端部とが離間する距離L10は、一方側第1延伸部24に形成される平行部30と他方側第1延伸部25に形成される平行部30と、が離間する距離L12よりも長く形成されている。
【0050】
係る構成により、第2アジャスタ部40の各々の第2嵌合部43を、第1アジャスタ部20における一方側第1延伸部24の平行部30および他方側第1延伸部25の平行部30に押しつけることができる。よって、第2アジャスタ部40の各第2嵌合部43が、一方側第1延伸部24の当接部27および他方側第1延伸部25の当接部27に当接し、第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40とが左右方向において係合される。
【0051】
図7Aは、第2アジャスタ部40の第2嵌合部43が、第1アジャスタ部20の第1嵌合部23に嵌合している状況を示す上面図である。ここでは、第2嵌合部43の右方側端部が、当接部27に当接している。また、第2延伸部42に作用している付勢力により、第2嵌合部43の後方側端部は、平行部30に押しつけられている。係る構成により、左右方向において、第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40とが離間することが抑止されている。
係る構成は、
図6に示した他方側第1延伸部25側に関しても同様である。
【0052】
図7Bは、第2アジャスタ部40の第2嵌合部43と、第1アジャスタ部20の第1嵌合部23との嵌合が解かれている状況を示す上面図である。ここでは図示しないユーザが、一方側第2延伸部44を前方に向かって押し込むと、第2嵌合部43の後端部は、当接部27の前端部よりも前方に配置される。このように成ると、左右方向において、第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40を離間させることができる。この際、鍔部49の前端部は、凹状領域38の前辺に当接することで、第1アジャスタ部20から第2アジャスタ部40が離脱することが抑止される。係る構成は、
図6に示した他方側第1延伸部25側に関しても同様である。
【0053】
図8Aは、アジャスタ10が靴13に適用される構成を示す図である。
【0054】
靴13は、例えば運動靴等であり、その中央部に形成される開口を塞ぐように、アジャスタ10が配置されている。アジャスタ10の第1接続部21は、縫製や接着により、靴13の第1被連結部11であるアッパー右側端部14に接続される。アジャスタ10の第2接続部41は、縫製や接着により、靴13の第2被連結部12であるアッパー左側端部15に接続される。
【0055】
係る構成により、ユーザが靴13を履くときには、アジャスタ10の左右方向中間部を、前方および後方から押圧し、第1アジャスタ部20および第2アジャスタ部40を、左右方向に離間させて伸張状態とする。その後、ユーザは開口から足を靴13に挿入し、第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40とを互いに接近させる。そのようにすると、アジャスタ10により靴13の中間部が左右方向に締められ、ユーザの足は靴13に好適にフィットするようになる。
【0056】
図8Bは、アジャスタ10が帽子16に適用される構成を示す図である。
【0057】
ここでは、帽子16の後端を切り欠くことで調節用スリット17が形成され、調節用スリット17を跨ぐようにアジャスタ10が配設されている。調節用スリット17の左方側部分が第1被連結部11であり、アジャスタ10の第1接続部21と接続される。また、調節用スリット17の右方側部分が第2被連結部12であり、アジャスタ10の第2接続部41と接続される。帽子16にアジャスタ10を配置することで、帽子16の外周サイズを自在に且つ簡易に調節することができる。
【0058】
前述した本実施形態により、以下のような主要な効果を奏することができる。
【0059】
即ち、
図7A等を参照して、第1嵌合部23と第2嵌合部43とが嵌合することで、第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40とは互いが離れる方向への移動が規制され、第1被連結部11と第2被連結部12とを好適に連結することが出来る。
【0060】
更に、
図7A等を参照して、第1アジャスタ部20が傾斜部26を有していることで、使用状況下において第2アジャスタ部40の第2嵌合部43が、第1アジャスタ部20の傾斜部26に沿って滑り、ユーザの操作により、第1被連結部11と第2被連結部12とを接近させることができる。また、第1アジャスタ部20が当接部27を有していることで、第2アジャスタ部40の第2嵌合部43が当接部27に係合し、第1被連結部11と第2被連結部12とを所定位置で連結することができる。
【0061】
更に、
図7A等を参照して、一方側第1延伸部24および他方側第1延伸部25に、傾斜部26および当接部27が形成されることで、第2アジャスタ部40の第2嵌合部43をより強固に嵌合し、使用状況下において第1嵌合部23と第2嵌合部43とが離れてしまうことを抑止できる。また、一方側第2延伸部44および他方側第2延伸部45の端部が変位可能な自由端であることにより、第2嵌合部43の移動および嵌合の自由度を高めることができる。
【0062】
更に、
図7A等を参照して、付勢力により、第2嵌合部43を傾斜部26に押しつけることができるので、第1被連結部11と第2被連結部12とを互いに接近させるように変位させた際に、ユーザは適切に節度感を得ることができる。
【0063】
更に、
図2Aおよび
図4A等を参照して、第2アジャスタ部40の挿入孔47に、第1アジャスタ部20の突出部29を挿入することで、第1アジャスタ部20と第2アジャスタ部40との連結を強化し、使用状況下にて両者が分離することを抑止できる。
【0064】
更に、
図7B等を参照して、鍔部49が凹状領域38の内部で移動可能であることにより、第2延伸部42の変形の範囲を規定でき、鍔部49の厚み方向における突出を抑制できる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0066】
例えば、本実施形態では、アジャスタ10は、靴13や帽子16に適用することを例示したが、アジャスタ10を他の製品に適用することもできる。例えば、アジャスタ10を、折り畳み傘のように、伸縮する機能を有する製品等に広い用途で適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
10 アジャスタ
11 第1被連結部
12 第2被連結部
13 靴
14 アッパー右側端部
15 アッパー左側端部
16 帽子
17 調節用スリット
20 第1アジャスタ部
21 第1接続部
22 第1延伸部
23 第1嵌合部
24 一方側第1延伸部
25 他方側第1延伸部
26 傾斜部
27 当接部
28 連続部
29 突出部
30 平行部
31 接続スリット
32 リブ
33 リブ
34 リブ
35 中央スリット
36 嵌合スリット
37 嵌合スリット
38 凹状領域
40 第2アジャスタ部
41 第2接続部
42 第2延伸部
43 第2嵌合部
44 一方側第2延伸部
45 他方側第2延伸部
46 接続スリット
47 挿入孔
48 リブ
49 鍔部