(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057444
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】水中電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 13/08 20060101AFI20230414BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
F04D13/08 U
F04D15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166978
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】土居 大輝
【テーマコード(参考)】
3H020
3H130
【Fターム(参考)】
3H020AA01
3H020AA08
3H020BA18
3H020BA21
3H020CA08
3H020CA10
3H020EA17
3H130AA03
3H130AB23
3H130AB46
3H130AC10
3H130BA71H
3H130BA71Z
3H130BA91A
3H130BA91Z
3H130BA92A
3H130BA92Z
3H130DA02Z
3H130DB01Z
3H130DD01Z
3H130DF00X
3H130DF05X
3H130DJ04X
(57)【要約】
【課題】ポンプ本体を直接確認することなく、状態検出センサを利用してポンプ本体の状態をユーザが把握することが可能な水中電動ポンプを提供する。
【解決手段】この水中電動ポンプ100は、羽根車13を回転させるモータ10を含むポンプ本体1と、ポンプ本体1に設けられ、ポンプ本体1の状態を検出する状態検出センサ2と、ポンプ本体1に対して配線L1を介して接続され、状態検出センサ2が検出した検出情報S1を無線通信により送信するアンテナ部51を含み、浮遊することによりアンテナ部51を水面上に配置する通信用フロート5と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根車を回転させるモータを含むポンプ本体と、
前記ポンプ本体に設けられ、前記ポンプ本体の状態を検出する状態検出センサと、
前記ポンプ本体に対して配線を介して接続され、前記状態検出センサが検出した検出情報を無線通信により送信するアンテナ部を含み、浮遊することにより前記アンテナ部を水面上に配置する通信用フロートと、を備える、水中電動ポンプ。
【請求項2】
前記アンテナ部は、ユーザが所持する監視用携帯端末に対して、前記検出情報を無線通信により送信するように構成されている、請求項1に記載の水中電動ポンプ。
【請求項3】
前記監視用携帯端末が前記アンテナ部との前記無線通信を確立可能な領域の範囲外から範囲内に移動された際に、前記アンテナ部から前記監視用携帯端末への前記検出情報の無線通信による送信を開始するように構成されている、請求項2に記載の水中電動ポンプ。
【請求項4】
前記通信用フロートは、前記配線が接続された状態で前記通信用フロートの内部に配置され、前記アンテナ部を介して前記検出情報を無線通信により送信する無線通信部を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項5】
前記通信用フロートは、前記アンテナ部が取り付けられる側とは逆側に取り付けられ、前記アンテナ部を水面上に配置する浮遊姿勢を保持する錘を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項6】
前記状態検出センサは、
前記羽根車が取り付けられる前記モータの出力軸の軸受の温度を検出する軸受温度センサと、
前記モータの内部の湿度を検出するモータ内湿度センサと、
前記羽根車が取り付けられる前記モータの前記出力軸の前記軸受の振動を検出する軸受加速度センサと、
前記モータを駆動させる駆動電流の電流値を検出するモータ電流センサと、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項7】
前記通信用フロートに設けられ、前記状態検出センサの検出結果に応じて、点灯状態が変わる通知ランプをさらに備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項8】
前記ポンプ本体に設けられ、前記検出情報を記憶する記憶部と、
前記ポンプ本体に設けられ、前記アンテナ部を介して前記記憶部に記憶された前記検出情報を無線通信により送信する制御を行う制御部と、をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項9】
前記通信用フロートに設けられ、GPS衛星から前記ポンプ本体の位置特定情報を取得するGPSアンテナ部をさらに備え、
前記記憶部は、前記GPSアンテナ部を介して取得した前記位置特定情報を記憶するように構成されている、請求項8に記載の水中電動ポンプ。
【請求項10】
前記ポンプ本体の上部に取り付けられ、前記アンテナ部に代わり前記検出情報を無線通信により送信することが可能となる予備アンテナ部をさらに備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項11】
一端に前記通信用フロートに接続される接続部が設けられるとともに、他端に前記ポンプ本体から上方に延びる電気ケーブルが通された状態で水面上に浮遊して、前記電気ケーブルに対して上下方向に移動可能な環状部が設けられ、前記ポンプ本体に対する前記通信用フロートの水平方向の移動範囲を制限する紐部材をさらに備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中電動ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ本体の状態を検出する状態検出センサを備える水中電動ポンプが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、モータと、モータの電流値の変化を検出する負荷検出値センサとを備える水中電動ポンプが開示されている。水中電動ポンプは、モータの負荷が増大して負荷検出値センサの検出値が閾値を超えた場合、撹拌羽根に異物が巻き付いているとして、自動でモータを逆回転させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には明記されていないが、上記特許文献1の水中電動ポンプを含む水中電動ポンプの分野では、従来より、水中電動ポンプを直接確認することなく、状態検出センサを利用して水中電動ポンプの状態をユーザが把握したいという要求が存在する。なお、水中電動ポンプを直接確認することなく、状態検出センサを利用して水中電動ポンプの状態をユーザが把握することができれば、異物の巻き付き時などにおいて上記特許文献1のような水中電動ポンプを自動で逆回転させる対応だけではなく、早期にユーザが必要な対応を取ることなども可能となるため好ましい。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ポンプ本体を直接確認することなく、状態検出センサを利用してポンプ本体の状態をユーザが把握することが可能な水中電動ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における水中電動ポンプは、羽根車を回転させるモータを含むポンプ本体と、ポンプ本体に設けられ、ポンプ本体の状態を検出する状態検出センサと、ポンプ本体に対して配線を介して接続され、状態検出センサが検出した検出情報を無線通信により送信するアンテナ部を含み、浮遊することによりアンテナ部を水面上に配置する通信用フロートと、を備える。
【0008】
この発明の一の局面による水中電動ポンプでは、上記のように、ポンプ本体に対して配線を介して接続され、状態検出センサが検出した検出情報を無線通信により送信するアンテナ部を含み、浮遊することによりアンテナ部を水面上に配置する通信用フロートを設ける。これによって、通信用フロートにより検出情報を無線通信により送信するアンテナ部を水面上で保持することができる。したがって、アンテナ部が水没することがないので、水中に配置されるポンプ本体の情報(状態検出センサが検出した検出情報)を水面上のアンテナ部から無線通信により送信し続けることが可能となる。なお、アンテナ部から無線送信された検出情報は、ユーザの監視用受信装置などにより受信することができる。上記の結果、ポンプ本体を直接確認することなく、状態検出センサを利用してポンプ本体の状態をユーザが把握することができる。
【0009】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、アンテナ部は、ユーザが所持する監視用携帯端末に対して、検出情報を無線通信により送信するように構成されている。このように構成すれば、ユーザが所持する監視用携帯端末により状態検出センサが検出した検出情報を確認することができるので、ユーザは検出情報(ポンプ本体の状態)をより容易に把握することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、監視用携帯端末がアンテナ部との無線通信を確立可能な領域の範囲外から範囲内に移動された際に、アンテナ部から監視用携帯端末への検出情報の無線通信による送信を開始するように構成されている。このように構成すれば、監視用携帯端末がアンテナ部との無線通信を確立可能な領域の範囲外から範囲内に移動された際に、自動で検出情報をアンテナ部から無線送信することができるので、ユーザは検出情報(ポンプ本体の状態)をより一層容易に把握することができる。
【0011】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、通信用フロートは、配線が接続された状態で通信用フロートの内部に配置され、アンテナ部を介して検出情報を無線通信により送信する無線通信部を含む。このように構成すれば、通信用フロートの内部を無線通信部の収容空間として利用することができるので、無線通信部をポンプ本体の内部に配置する場合と比較して、ポンプ本体の内部空間をより大きく確保することができる。
【0012】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、通信用フロートは、アンテナ部が取り付けられる側とは逆側に取り付けられ、アンテナ部を水面上に配置する浮遊姿勢を保持する錘を含む。このように構成すれば、錘により通信用フロートが傾かないようにして、アンテナ部を水面上で安定して保持することができる。
【0013】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、状態検出センサは、羽根車が取り付けられるモータの出力軸の軸受の温度を検出する軸受温度センサと、モータの内部の湿度を検出するモータ内湿度センサと、羽根車が取り付けられるモータの出力軸の軸受の振動を検出する軸受加速度センサと、モータを駆動させる駆動電流の電流値を検出するモータ電流センサと、のうちの少なくとも1つを含む。このように構成すれば、軸受温度センサ、モータ内湿度センサ、軸受加速度センサおよびモータ電流センサのうちの少なくとも1つにより、ポンプ本体の駆動状態に影響する検知情報を容易に取得することができる。
【0014】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、通信用フロートに設けられ、状態検出センサの検出結果に応じて、点灯状態が変わる通知ランプをさらに備える。このように構成すれば、通知ランプを目視することにより、ユーザは状態検出センサの検出結果を容易に把握することができる。
【0015】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、ポンプ本体に設けられ、検出情報を記憶する記憶部と、ポンプ本体に設けられ、アンテナ部を介して記憶部に記憶された検出情報を無線通信により送信する制御を行う制御部と、をさらに備える。このように構成すれば、記憶部により検出情報を記憶することができるので、ユーザの監視用受信装置との無線通信を確立できていない間における検出情報を、記憶部に記憶しておくことができる。
【0016】
この場合、好ましくは、通信用フロートに設けられ、GPS衛星からポンプ本体の位置特定情報を取得するGPSアンテナ部をさらに備え、記憶部は、GPSアンテナ部を介して取得した位置特定情報を記憶するように構成されている。このように構成すれば、記憶部に記憶された位置特定情報を確認することにより、ポンプ本体が使用された位置を把握することができる。
【0017】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、ポンプ本体の上部に取り付けられ、アンテナ部に代わり検出情報を無線通信により送信することが可能となる予備アンテナ部をさらに備える。このように構成すれば、アンテナ部から検出情報を無線送信できなくなるような異常が発生した場合などでも、予備アンテナ部により検出情報の無線送信を継続することができる。
【0018】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、一端に通信用フロートに接続される接続部が設けられるとともに、他端にポンプ本体から上方に延びる電気ケーブルが通された状態で水面上に浮遊して、電気ケーブルに対して上下方向に移動可能な環状部が設けられ、ポンプ本体に対する通信用フロートの水平方向の移動範囲を制限する紐部材をさらに備える。このように構成すれば、紐部材の接続部および環状部を介して、通信用フロートを電気ケーブルに係留しておくことができるので、通信用フロートが流されてポンプ本体の遠くに移動するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、ポンプ本体を直接確認することなく、状態検出センサを利用してポンプ本体の状態をユーザが把握することが可能な水中電動ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態による水中電動ポンプの全体構成を示した図である。
【
図2】実施形態による水中電動ポンプのブロック図である。
【
図3】実施形態による水中電動ポンプの使用状態を示した図である。
【
図5】
図4の500-500線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[実施形態]
(水中電動ポンプの構成)
図1~
図5を参照して、実施形態の水中電動ポンプ100について説明する。水中電動ポンプ100は、モータ10の出力軸10aの回転中心軸線αが上下方向(Z方向)に延びる縦型の電動ポンプである。水中電動ポンプ100は、水中電動ポンプ100を使用する排水領域Hの底面H1に直立状態で設置される。
【0023】
各図では、出力軸10aの回転中心軸線αの延びる方向をZ方向により示し、Z方向のうち上方をZ1方向により示し、下方をZ2方向により示す。また、出力軸10aの回転方向(周方向)をR方向により示す。
【0024】
図1および
図2に示すように、水中電動ポンプ100は、羽根車13を回転させるモータ10を含むポンプ本体1と、ポンプ本体1に設けられる状態検出センサ2と、ポンプ本体1に設けられる制御部3と、ポンプ本体1に設けられる記憶部4と、ポンプ本体1に対して配線(通信線かつ動力線)L1を介して接続されるアンテナ部51を含む通信用フロート5とを備えている。配線L1は、ポンプ本体1の内部で制御部3に接続されている。
【0025】
また、水中電動ポンプ100は、通信用フロート5に設けられる通知ランプ6と、通信用フロート5に設けられるGPS(Global Positioning System)アンテナ部7と、ポンプ本体1の上部に取り付けられる予備アンテナ部8と、通信用フロート5を係留する紐部材9とを備えている。
【0026】
状態検出センサ2は、ポンプ本体1の状態を検出するセンサである。状態検出センサ2は、軸受温度センサ20と、軸受加速度センサ21と、モータ内湿度センサ22と、モータ電流センサ23との4つのセンサを含んでいる。
【0027】
軸受温度センサ20は、羽根車13が取り付けられるモータ10の出力軸10aの上部軸受11の温度を検出するように構成されている。軸受加速度センサ21は、羽根車13が取り付けられるモータ10の出力軸10aの上部軸受11の振動を検出するように構成されている。モータ内湿度センサ22は、モータ10の内部の湿度を検出するように構成されている。モータ電流センサ23は、モータ10を駆動させる駆動電流の電流値を検出するように構成されている。なお、上部軸受11は、特許請求の範囲の「軸受」の一例である。
【0028】
図3に示すように、アンテナ部51は、状態検出センサ2が検出した検出情報S1を無線通信により送信するように構成されている。アンテナ部51の検出情報S1の送信先は、水中電動ポンプ100の監視を行うユーザが所持する監視用携帯端末Tなどである。
【0029】
通信用フロート5は、浮遊することによりアンテナ部51を水面上に配置するように構成されている。なお、仮に、アンテナ部51が水没した場合、アンテナ部51は、通信状態が悪化して検出情報S1を送信することができなくなる。このため、通信用フロート5は、アンテナ部51を浮遊させてアンテナ部51の通信状態が悪化することを防止(抑制)している。
【0030】
(ポンプ本体の構成)
図1に示すように、ポンプ本体1は、出力軸10aを含むモータ10と、上部軸受11および下部軸受12と、羽根車13と、メカニカルシール14とを備えている。
【0031】
(ポンプ本体の「モータ」の構成)
モータ10は、出力軸10aと、固定子10bと、回転子10cと、モータフレーム10dとを含んでいる。
【0032】
出力軸10aは、上下方向(Z方向)に延びる円柱状に形成されている。出力軸10aは、下方側の一端に羽根車13が取り付けられており、上方側に回転子10cが固定されている。
【0033】
固定子10bは、コイルを有しており、電気ケーブルL2および配線L3(動力線)を介して駆動電力が供給されることにより、回転子10cを回転させるための磁界を発生させるように構成されている。回転子10cは、円筒状に形成されており、出力軸10aが挿通されている。
【0034】
モータフレーム10dの内部(モータ室10e)には、出力軸10aの上方側の一部と、固定子10bと、回転子10cとが配置されている。モータフレーム10dの内部は、固定子10bおよび回転子10cが配置されるため、水密に保持されている。また、モータフレーム10dの内部には、モータ内湿度センサ22が取り付けられている。
【0035】
モータフレーム10dは、上下方向において、上方の制御部3の収容空間30と、下方のオイル室14aとの間に配置されている。
【0036】
(ポンプ本体の「上部軸受および下部軸受」の構成)
上部軸受11は、回転子10cよりも上方の位置で出力軸10aを回転支持している。上部軸受11は、出力軸10aの半径方向において、制御部3の収容空間30の内周側に配置されている。上部軸受11は、ポンプ本体1の上部軸受保持部11aにより保持されている。収容空間30は、上部軸受保持部11aおよび上部軸受11を取り囲むとともに、出力軸10aの回転方向(R方向)に延びる円環状に形成されている。
【0037】
下部軸受12は、回転子10cよりも下方の位置で出力軸10aを回転支持している。下部軸受12は、モータフレーム10dの内部(モータ室10e)の下端に配置されている。下部軸受12は、ポンプ本体1の下部軸受保持部12aにより保持されている。
【0038】
羽根車13は、オイル室14aの下方のポンプ室13aに配置されている。羽根車13は、回転することによって、直下の吸込口13bから液体を汲み上げるとともに、汲み上げた液体を吐出口13cに向けて送るように構成されている。
【0039】
メカニカルシール14は、ポンプ室13aに配置されている。メカニカルシール14は、負荷側(ポンプ室13a側)および反負荷側(モータ室10e側)に、それぞれ、摺動部(図示せず)を有している。負荷側の摺動部は、ポンプ室13aの液体がオイル室14aに流入するのを防止(抑制)している。反負荷側の摺動部は、オイル室14aのオイルを含む液体がモータ室10e側に流入するのを防止(抑制)している。なお、メカニカルシール14は、オイル室14aに充填されたオイルによって、潤滑されるとともに、冷却される。なお、メカニカルシール14は、摺動により経時的に劣化するため、定期的に交換が必要となる部品である。
【0040】
(軸受温度センサの構成)
図4に示す軸受温度センサ20は、出力軸10aを回転支持する上部軸受11の温度を検出するように構成されている。一例ではあるが、軸受温度センサ20は、半導体温度センサにより構成されている。なお、軸受温度センサは、熱電対などの半導体温度センサとは異なる方式の温度センサにより構成されてもよい。軸受温度センサ20は、上部軸受11を保持する上部軸受保持部11aの外周面に取り付けられている。すなわち、軸受温度センサ20は、制御部3の円環状の収容空間30の内周側に配置されている。
【0041】
軸受温度センサ20の検出値が比較的大きい場合、出力軸10aが速く回転しており、また加わる力が大きく、水中電動ポンプ100が過負荷状態にある可能性があると推定できる。また、軸受温度センサ20の検出値が比較的大きい場合、水中電動ポンプ100が気中で駆動している可能性があると推定できる。また、モータ10の駆動電力値が大きく設定されてモータ10を速く回転させる設定であるにも関わらず軸受温度センサ20の検出値が比較的小さい場合、出力軸10aが速く回転することができない原因がある可能性があると推定できる。「出力軸10aが速く回転することができない原因」としては、たとえば、羽根車13の異物の巻き込みや、羽根車13の損傷、上部軸受11(下部軸受12)の損傷、吐出口13cに接続される排出管Dのバルブ(図示せず)が閉状態にあることなどが考えられる。
【0042】
(軸受加速度センサの構成)
軸受加速度センサ21は、出力軸10aを回転支持する上部軸受11の振動を検出するように構成されている。軸受加速度センサ21は、上部軸受11を保持する上部軸受保持部11aの外周面に取り付けられている。すなわち、軸受加速度センサ21は、制御部3の円環状の収容空間30の内周側に配置されている。
【0043】
軸受加速度センサ21の検出値が比較的大きい場合、出力軸10aが大きく振動していることがわかる。出力軸10aが大きく振動する原因としては、たとえば、羽根車13の異物の巻き込みや、羽根車13の損傷、上部軸受11(下部軸受12(
図1参照))の損傷などが考えられる。
【0044】
(モータ内湿度センサの構成)
図1に示すモータ内湿度センサ22は、モータ10の内部(モータ室10e)の湿度を検出するように構成されている。モータ内湿度センサ22は、モータ室10eに配置されている。
【0045】
モータ内湿度センサ22の検出値が比較的大きい場合、オイル室14aからモータ室10eに液体が浸入してきていることがわかる。モータ室10eに液体が浸入する原因としては、たとえば、オイル室14aのメカニカルシール14の劣化などが考えられる。
【0046】
(モータ電流センサの構成)
モータ電流センサ23は、モータ10を駆動させる駆動電流の電流値を検出するように構成されている。モータ電流センサ23は、制御部3の収容空間30に配置されている。モータ電流センサ23は、モータ10に駆動電力を供給する配線L3の途中に取り付けられている。
【0047】
モータ電流センサ23の検出値が比較的大きい場合、水中電動ポンプ100が過負荷状態にある可能性があると推定できる。水中電動ポンプ100が過負荷状態になる原因としては、たとえば、羽根車13の異物の巻き込みや、空気を多量に吸い込み羽根車13の負荷が小さい状態にあることや、吐出口13cに接続される排出管Dのバルブが閉状態にあることなどが考えられる。
【0048】
なお、状態検出センサ2の各種の検出値(検出情報S1)の評価は、検出情報S1の送信側である水中電動ポンプ100で行ってもよいし、受信側である監視用携帯端末Tなどで行ってもよい。
【0049】
(制御部および記憶部の構成)
制御部3は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む回路基板である。制御部3は、記憶部4、通知ランプ6、通信用フロート5の後述する無線通信部52、および、予備アンテナ部8などの各部を制御するように構成されている。
【0050】
図4および
図5に示すように、制御部3は、モータ室10eの上方の円環状の収容空間30に収容されている。制御部3は、円環状の収容空間30の内周側の上部軸受保持部11aに干渉することがないように、円環状の収容空間30に沿って出力軸10aの回転方向(R方向)に延びる円弧状に形成されている。収容空間30は、ヘッドカバー32により上方から覆われている。
【0051】
記憶部4は、収容空間30に収容され、制御部3に対して電気的に接続されている。制御部3には、記憶部4の取付部31が設けられている。一例ではあるが、記憶部4は、カード状の記憶媒体であり、制御部3には取付部31としてカード状の記憶部4を挿入する挿入口(スロット)が設けられている。なお、記憶部と制御部とは、配線などを介して電気的に接続されるように構成されていてもよい。
【0052】
記憶部4は、GPSアンテナ部7を介して取得した位置特定情報S2(
図2参照)を記憶するように構成されている。また、記憶部4は、位置特定情報S2とともに、GPSアンテナ部7を介して取得した時間情報S3(
図2参照)も記憶するように構成されている。一例ではあるが、記憶部4に記憶された位置特定情報S2および時間情報S3は、水中電動ポンプ100を貸し出した際などに、貸出元による貸出先における運転状況の把握、管理などに利用することが可能である。
【0053】
記憶部4は、状態検出センサ2が検出した検出情報S1を記憶するように構成されている。制御部3は、通信用フロート5のアンテナ部51を介して記憶部4に記憶された検出情報S1を無線通信により送信する制御を行うように構成されている。
【0054】
また、制御部3は、状態検出センサ2の検出結果に応じて、通知ランプ6の点灯状態を変える制御を行うように構成されている。
【0055】
(通信用フロート5の構成)
図1に示すように、通信用フロート5は、筐体50と、アンテナ部51と、無線通信部52と、錘53とを含んでいる。
【0056】
筐体50は、中空かつ球状に形成されている。筐体50の内部は、水密に保持されている。筐体50の内部は、気体により満たされており、周囲の液体から浮力を受けるように構成されている。したがって、筐体50の少なくとも一部は、常に水面上で保持される。一例ではあるが、筐体50は、透明な樹脂材料により形成されている。
【0057】
アンテナ部51は、筐体50の内部から外部に突出する棒状に形成されている。アンテナ部51は、近距離無線通信の所定の通信規格に対応した装置である。所定の通信規格とは、たとえば、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)およびNFC(登録商標)などである。
【0058】
アンテナ部51は、上記の通り、ユーザが所持する監視用携帯端末T(
図3参照)に対して状態検出センサ2が検出した検出情報S1を無線通信により送信するように構成されている。なお、「ユーザが所持する監視用携帯端末T」とは、たとえば、スマートフォンや、ノートパソコンなどである。
【0059】
水中電動ポンプ100は、監視用携帯端末Tがアンテナ部51との無線通信を確立可能な領域A(
図3参照)の範囲外から範囲内に移動された際に、アンテナ部51から監視用携帯端末Tへの検出情報S1の無線通信による送信を開始するように構成されている。すなわち、水中電動ポンプ100は、監視用携帯端末Tを所持するユーザが水中電動ポンプ100の比較的近くに移動してきた際に、自動で検出情報S1を監視用携帯端末Tに無線送信する。
【0060】
無線通信部52は、筐体50(通信用フロート5)の内部に配置されている。無線通信部52は、アンテナ部51の駆動を制御する回路基板である。すなわち、無線通信部52は、アンテナ部51を介して検出情報S1を無線通信により送信するように構成されている。アンテナ部51は、配線L1により、無線通信部52を介して制御部3に接続されている。
【0061】
錘53は、筐体50の内部に配置されている。錘53は、少なくとも比重が水よりも大きな複数の球体により構成されている。錘53は、筐体50の内部において、アンテナ部51が取り付けられる側とは逆側に取り付けられている。これにより、錘53は、アンテナ部51を水面上に配置する浮遊姿勢を保持するように構成されている。すなわち、錘53は、通信用フロート5の向きを保持するように構成されている。
【0062】
錘53が筐体50の内部でアンテナ部51側に移動することがないように、筐体50の内部には、錘53の移動を規制する仕切り(図示せず)が設けられている。仕切りに代えて、筐体の内部または外部で錘を筐体に固定して、錘の移動を規制してもよい。また、錘を筐体と一体的に形成してもよい。
【0063】
(通知ランプの構成)
通信用フロート5に設けられた通知ランプ6は、状態検出センサ2の検出結果に応じて、点灯状態が変わるように構成されている。通知ランプ6は、たとえば、点灯色を赤色、黄色および緑色に変更可能なLEDにより構成されている。なお、通知ランプ6は、ポンプ本体1の「停止時」には、消灯する。ユーザは、通知ランプ6が水面上に浮遊する通信用フロート5に設けられているので、通知ランプ6の点灯状態を目視により容易に確認することができ、水中電動ポンプ100の状態を目視により容易に把握することが可能である。
【0064】
一例ではあるが、通知ランプ6は、軸受温度センサ20の検出値が第1しきい値未満の場合には、「常用運転時(通常運転時)」であるとして点灯色が緑色になるように構成されている。
【0065】
また、通知ランプ6は、軸受温度センサ20の検出値が第1しきい値以上、かつ、第2しきい値未満の場合には、「注意運転時」であるとして点灯色が黄色になるように構成されている。第1しきい値は、たとえば、第1しきい値を超えた場合にはポンプ本体1が気中で駆動しているなどの可能性があり、ポンプ本体1の状態を確認した方が好ましいとされる比較的緊急度の低い所定の出力値である。
【0066】
また、通知ランプ6は、軸受温度センサ20の検出値が第1しきい値よりも大きな第2しきい値以上の場合には、「危険運転時」であるとして点灯色が赤色になるように構成されている。第2しきい値は、たとえば、第2しきい値を超えた場合にはポンプ本体1が気中で駆動しているなどの可能性が高く、ポンプ本体1の状態をすぐに確認すべき比較的緊急度の高い所定の出力値である。
【0067】
また、軸受加速度センサ21、モータ内湿度センサ22およびモータ電流センサ23の出力値ついても、軸受温度センサ20と同様に所定のしきい値が設定されており、通知ランプ6は、ポンプ本体1の常用運転時、ポンプ本体1の注意運転時、ポンプ本体1の危険運転時、および、ポンプ本体1の停止時を識別するために点灯状態が変わるように構成されていている。
【0068】
なお、制御部3は、4つの状態検出センサ2のすべての検出結果に応じて通知ランプ6の点灯状態を変えるのではなく、4つの状態検出センサ2のうちの一部の検出結果のみに応じて通知ランプ6の点灯状態を変える制御を行うように構成されていてもよい。
【0069】
(GPSアンテナ部の構成)
通信用フロート5に設けられたGPSアンテナ部7は、GPS衛星110からポンプ本体1の位置特定情報S2および時間情報S3を取得するように構成されている。GPSアンテナ部7は、配線L1を介して制御部3に接続されている。位置特定情報S2および時間情報S3は、制御部3に取り付けられた記憶部4に記憶される。なお、水中電動ポンプは、検出情報だけではなく、位置特定情報および時間情報も監視用携帯端末に無線送信するように構成されていてもよい。
【0070】
(予備アンテナ部の構成)
予備アンテナ部8は、ポンプ本体1の上部に取り付けられている。したがって、予備アンテナ部8は、排水領域Hの水位が低下することによって、水面上に露出する。このため、予備アンテナ部8は、監視用携帯端末Tとの通信を確立することが可能になる。そして、予備アンテナ部8は、水面上に露出した場合に、アンテナ部51に代わり検出情報S1を無線通信により送信することが可能となるように構成されている。
【0071】
一例ではあるが、予備アンテナ部8は、予備アンテナ部8が水面上に露出した場合(監視用携帯端末Tとの通信を確立することが可能になった場合)、水面上に露出している間において常に通信用フロート5のアンテナ部51に代わり検出情報S1を無線通信により送信するように構成されている。この他、予備アンテナ部は、制御部が通信用フロートのアンテナ部に何らかの不具合があると判断した場合のみに、アンテナ部に代わり検出情報を無線通信により送信するように構成されていてもよい。
【0072】
(紐部材の構成)
紐部材9は、通信用フロート5を係留するための部材である。詳細には、紐部材9の一端には、通信用フロート5に接続される接続部90が設けられている。また、紐部材9の他端には、環状部91が設けられている。
【0073】
環状部91は、ポンプ本体1から上方に延びる電気ケーブルL2が通された状態で水面上に浮遊するように構成されている。また、環状部91は、電気ケーブルL2に固定されない状態で水面に浮遊しているため、水位の変動に応じて電気ケーブルL2に対して上下方向に移動可能に構成されている。
【0074】
これにより、紐部材9は、ポンプ本体1に対する通信用フロート5の水平方向の移動範囲を制限するように構成されている。なお、紐部材9が直線状に延びた状態(水平方向においてポンプ本体1から通信用フロート5が最も離間した状態)では、通信用フロート5とポンプ本体1とを接続する配線L1は、たるみを有した状態になる。一例ではあるが、紐部材9は、金属製または樹脂製のチェーンなどにより構成されている。
【0075】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0076】
本実施形態では、上記のように、ポンプ本体1に対して配線L1を介して接続され、状態検出センサ2が検出した検出情報S1を無線通信により送信するアンテナ部51を含み、浮遊することによりアンテナ部51を水面上に配置する通信用フロート5を設ける。これによって、通信用フロート5により検出情報S1を無線通信により送信するアンテナ部51を水面上で保持することができる。したがって、アンテナ部51が水没することがないので、水中に配置されるポンプ本体1の情報(状態検出センサ2が検出した検出情報S1)を水面上のアンテナ部51から無線通信により送信し続けることが可能となる。なお、アンテナ部51から無線送信された検出情報S1は、ユーザの監視用受信装置など(監視用携帯端末Tなど)により受信することができる。上記の結果、ポンプ本体1を直接確認することなく、状態検出センサ2を利用してポンプ本体1の状態をユーザが把握することができる。
【0077】
本実施形態では、上記のように、アンテナ部51は、ユーザが所持する監視用携帯端末Tに対して、検出情報S1を無線通信により送信するように構成されている。これによって、ユーザが所持する監視用携帯端末Tにより状態検出センサ2が検出した検出情報S1を確認することができるので、ユーザは検出情報S1(ポンプ本体1の状態)をより容易に把握することができる。
【0078】
本実施形態では、上記のように、監視用携帯端末Tがアンテナ部51との無線通信を確立可能な領域Aの範囲外から範囲内に移動された際に、アンテナ部51から監視用携帯端末Tへの検出情報S1の無線通信による送信を開始するように構成されている。これによって、監視用携帯端末Tがアンテナ部51との無線通信を確立可能な領域Aの範囲外から範囲内に移動された際に、自動で検出情報S1をアンテナ部51から無線送信することができるので、ユーザは検出情報S1(ポンプ本体1の状態)をより一層容易に把握することができる。
【0079】
本実施形態では、上記のように、通信用フロート5は、配線L1が接続された状態で通信用フロート5の内部に配置され、アンテナ部51を介して検出情報S1を無線通信により送信する無線通信部52を含む。これによって、通信用フロート5の内部を無線通信部52の収容空間として利用することができるので、無線通信部52をポンプ本体1の内部に配置する場合と比較して、ポンプ本体1の内部空間をより大きく確保することができる。
【0080】
本実施形態では、上記のように、通信用フロート5は、アンテナ部51が取り付けられる側とは逆側に取り付けられ、アンテナ部51を水面上に配置する浮遊姿勢を保持する錘53を含む。これによって、錘53により通信用フロート5が傾かないようにして、アンテナ部51を水面上で安定して保持することができる。
【0081】
本実施形態では、上記のように、状態検出センサ2は、羽根車13が取り付けられるモータ10の出力軸10aの上部軸受11の温度を検出する軸受温度センサ20と、モータ10の内部の湿度を検出するモータ内湿度センサ22と、羽根車13が取り付けられるモータ10の出力軸10aの上部軸受11の振動を検出する軸受加速度センサ21と、モータ10を駆動させる駆動電流の電流値を検出するモータ電流センサ23とを含む。これによって、軸受温度センサ20、モータ内湿度センサ22、軸受加速度センサ21およびモータ電流センサ23により、ポンプ本体1の駆動状態に影響する検知情報を容易に取得することができる。
【0082】
本実施形態では、上記のように、通信用フロート5に設けられ、状態検出センサ2の検出結果に応じて、点灯状態が変わる通知ランプ6をさらに備える。これによって、通知ランプ6を目視することにより、ユーザは状態検出センサ2の検出結果を容易に把握することができる。
【0083】
本実施形態では、上記のように、ポンプ本体1に設けられ、検出情報S1を記憶する記憶部4と、ポンプ本体1に設けられ、アンテナ部51を介して記憶部4に記憶された検出情報S1を無線通信により送信する制御を行う制御部3と、をさらに備える。これによって、記憶部4により検出情報S1を記憶することができるので、ユーザの監視用受信装置(監視用携帯端末Tなど)との無線通信を確立できていない間における検出情報S1を、記憶部4に記憶しておくことができる。
【0084】
本実施形態では、上記のように、通信用フロート5に設けられ、GPS衛星110からポンプ本体1の位置特定情報S2を取得するGPSアンテナ部7をさらに備え、記憶部4は、GPSアンテナ部7を介して取得した位置特定情報S2を記憶するように構成されている。これによって、記憶部4に記憶された位置特定情報S2を確認することにより、ポンプ本体1が使用された位置を把握することができる。
【0085】
本実施形態では、上記のように、ポンプ本体1の上部に取り付けられ、アンテナ部51に代わり検出情報S1を無線通信により送信することが可能となる予備アンテナ部8をさらに備える。これによって、アンテナ部51から検出情報S1を無線送信できなくなるような異常が発生した場合などでも、予備アンテナ部8により検出情報S1の無線送信を継続することができる。
【0086】
本実施形態では、上記のように、一端に通信用フロート5に接続される接続部90が設けられるとともに、他端にポンプ本体1から上方に延びる電気ケーブルL2が通された状態で水面上に浮遊して、電気ケーブルL2に対して上下方向に移動可能な環状部91が設けられ、ポンプ本体1に対する通信用フロート5の水平方向の移動範囲を制限する紐部材9をさらに備える。これによって、紐部材9の接続部90および環状部91を介して、通信用フロート5を電気ケーブルL2に係留しておくことができるので、通信用フロート5が流されてポンプ本体1の遠くに移動するのを防ぐことができる。
【0087】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0088】
たとえば、上記実施形態では、水中電動ポンプを、モータの出力軸が上下方向に延びる縦型のポンプとした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水中電動ポンプを、モータの出力軸が横方向に延びる横型のポンプとしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、状態検出センサが、軸受温度センサ、モータ内湿度センサ、軸受加速度センサ、および、モータ電流センサの4つを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、状態検出センサが、軸受温度センサ、モータ内湿度センサ、軸受加速度センサ、および、モータ電流センサのうちの1つ、2つまたは3つのみを含んでいてもよい。また、軸受温度センサ、モータ内湿度センサ、軸受加速度センサ、および、モータ電流センサとは異なるセンサを含んでいてもよい。異なるセンサとは、たとえば、モータの温度を検出するモータ温度センサや、出力軸の回転数を検出する出力軸回転センサ、水中電動ポンプの吐出流量を検出する吐出流量センサなどである。
【0090】
また、上記実施形態では、通信用フロートの筐体を球状に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通信用フロートの筐体を細長状や、直方体状などの球状とは異なる形状に形成してもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、通信用フロートの筐体を中空に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通信用フロートの筐体を中実に形成してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、アンテナ部により、ユーザが所持する監視用携帯端末に対して検出情報を無線送信した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アンテナ部により、複数台の水中電動ポンプを一元管理する管理サーバなど、監視用携帯端末とは異なる構成に対して検出情報を無線送信してもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、軸受温度センサにより、上部軸受の温度を検出した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、軸受温度センサにより、下部軸受の温度を検出してもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、軸受加速度センサにより、上部軸受の振動を検出した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、軸受加速度センサにより、下部軸受の振動を検出してもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、錘を、複数の球体により構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、錘を、単一の構成としてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、水中電動ポンプが通知ランプを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水中電動ポンプが通知ランプを備えていなくてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、水中電動ポンプがGPSアンテナ部を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水中電動ポンプがGPSアンテナ部を備えていなくてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、水中電動ポンプが予備アンテナ部を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水中電動ポンプが予備アンテナ部を備えていなくてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、水中電動ポンプが紐部材を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水中電動ポンプが紐部材を備えていなくてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、水中電動ポンプが制御部を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水中電動ポンプが制御部を備えていなくてもよい。この場合、状態検出センサの検出情報を通信用フロートのアンテナ部から即座に送信する、などのように水中電動ポンプを構成してもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、通知ランプの点灯色を変えることにより、通知ランプの点灯状態を変える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通知ランプの点滅状態(点滅間隔など)を変えることにより、通知ランプの点灯状態を変えてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、通知ランプの点灯状態により、ポンプ本体の常用運転時の状態、ポンプ本体の注意運転時の状態、ポンプ本体の危険運転時の状態、および、ポンプ本体の停止時の状態の4つの状態を識別した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通知ランプの点灯状態により、ポンプ本体の所定の2つの状態、ポンプ本体の所定の3つの状態、または、ポンプ本体の所定の5つ以上の状態を識別してもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、アンテナ部を、近距離無線通信の所定の通信規格(ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC(登録商標)など)に対応した装置とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アンテナ部を、遠距離通信の所定の通信規格に対応した装置など、近距離無線通信の所定の通信規格に対応した装置とは異なる通信規格に対応した装置としてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 ポンプ本体
2 状態検出センサ
3 制御部
4 記憶部
5 通信用フロート
6 通知ランプ
7 GPSアンテナ部
8 予備アンテナ部
9 紐部材
10 モータ
10a (モータの)出力軸
11 上部軸受(軸受)
13 羽根車
20 軸受温度センサ
21 軸受加速度センサ
22 モータ内湿度センサ
23 モータ電流センサ
51 アンテナ部
52 無線通信部
53 錘
90 (紐部材の)接続部
91 (紐部材の)環状部
100 水中電動ポンプ
110 GPS衛星
A (アンテナ部との無線通信を確立可能な)領域
L1 配線
L2 電気ケーブル
S1 検出情報
S2 位置特定情報
T 監視用携帯端末