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特開2023-57487アミン化合物担持活性炭及びその製造方法
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  • 特開-アミン化合物担持活性炭及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057487
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】アミン化合物担持活性炭及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/20 20060101AFI20230414BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20230414BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20230414BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20230414BHJP
   C01B 32/354 20170101ALI20230414BHJP
【FI】
B01J20/20 E
B01J20/28 Z
B01J20/30
A61L9/014
C01B32/354
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167047
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】591147694
【氏名又は名称】大阪ガスケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 俊
【テーマコード(参考)】
4C180
4G066
4G146
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180BB08
4C180CC04
4C180CC13
4C180CC15
4C180CC16
4C180EA14X
4C180EB15X
4C180EC01
4G066AA05B
4G066AA13D
4G066AA34D
4G066AB06B
4G066AB13B
4G066BA20
4G066BA26
4G066BA36
4G066BA38
4G066CA02
4G066CA52
4G066DA03
4G066FA03
4G066FA11
4G066FA37
4G066FA40
4G146AA06
4G146AC27A
4G146AC27B
4G146AC28B
4G146AD11
4G146BA01
4G146CA02
4G146CA16
4G146CB14
4G146CB23
4G146CB35
(57)【要約】
【課題】アルデヒド吸着の初期性能を過度に低下させることなく、耐候性及び耐熱性に優れた吸着剤を提供する。
【解決手段】活性炭に対して、アミン化合物が担持されているアミン化合物担持活性炭であって、前記アミン化合物担持活性炭から前記アミン化合物を除去した後の活性炭の200~300℃における加熱減量が、活性炭総量を100質量%として、0.60質量%以上である、アミン化合物担持活性炭。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭に対して、アミン化合物が担持されているアミン化合物担持活性炭であって、
前記アミン化合物担持活性炭から前記アミン化合物を除去した後の活性炭の200~300℃における加熱減量が、活性炭総量を100質量%として、0.60質量%以上である、アミン化合物担持活性炭。
【請求項2】
前記活性炭中に含まれる金属成分が、アミン化合物を担持していない前記活性炭総量を100質量%として、0.05質量%以下である、請求項1に記載のアミン化合物担持活性炭。
【請求項3】
前記アミン化合物の担持量が、活性炭100質量部に対して、1~50質量部である、請求項1又は2に記載のアミン化合物担持活性炭。
【請求項4】
前記アミン化合物が、第1級ヒドロキシアミン化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のアミン化合物担持活性炭。
【請求項5】
前記アミン化合物が、トリスヒドロキシメチルアミノメタンである、請求項1~4のいずれか1項に記載のアミン化合物担持活性炭。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のアミン化合物担持活性炭を含有する、吸着剤。
【請求項7】
アルデヒド化合物吸着剤である、請求項1~6のいずれか1項に記載の吸着剤。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載のアミン化合物担持活性炭又は請求項6若しくは7に記載の吸着剤の製造方法であって、
(1)活性炭を酸化剤と接触させる工程、及び
(2)前記工程(1)で得られた酸化処理活性炭に、前記アミン化合物を担持させる工程
を備える、製造方法。
【請求項9】
前記工程(1)において使用する活性炭が、活性炭を酸で洗浄することにより得られる酸洗活性炭である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載のアミン化合物担持活性炭又は項6若しくは7に記載の吸着剤を用いた工業製品。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか1項に記載のアミン化合物担持活性炭又は項6若しくは7に記載の吸着剤を用いた脱臭フィルター。
【請求項12】
アルデヒド化合物の吸着方法であって、
活性炭に対して、アミン化合物が担持されているアミン化合物担持活性炭に、アルデヒド化合物を接触させる工程を備え、
前記アミン化合物担持活性炭から前記アミン化合物を除去した後の活性炭の200~300℃における加熱減量が、活性炭総量を100質量%として、0.60質量%以上である、吸着方法。
【請求項13】
前記アルデヒド化合物の沸点が100℃以下である、請求項12に記載の吸着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミン化合物担持活性炭及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等に代表されるアルデヒド化合物は、いずれも特異な刺激臭をもつ有毒ガスであり、その有害性と臭気から効果的な除去が求められている。
【0003】
従来のアルデヒド化合物の吸着剤としては、例えば、活性炭やゼオライト等の多孔質材にアルデヒド化合物と反応する化合物を担持させた吸着剤が用いられてきた。例えば、特許文献1には、飽和環状第二アミン(ピペリジン等)を多孔質担体に担持した吸着剤が提案されている。
【0004】
他にも、特許文献2には、ヒドロキシルアミン類と、ヒドロキシアミン類のアミノ基と相互作用する官能基を有するポリマーとを担体(活性炭等)に添着させた吸着剤が記載されており、特許文献3には、芳香族アミン又はその硫酸塩と必要に応じて硫酸とを活性炭に担持した脱臭剤が記載されている。
【0005】
上記の公知の吸着剤は、いずれも吸着能の経時劣化が早く、耐熱性にも問題がある。これを解決するための手段もいくつか報告されており、例えば、特許文献4には、1分子中のアミノ基の合計数が3以上である脂肪族多価アミンと特定の酸とを多孔質担体(活性炭等)に添着したガス吸着剤が記載されており、特許文献5には、酸化処理により表面酸化物が生成した活性炭に、環状飽和第二級アミンと、必要に応じてアルカリ土類金属のハロゲン化物及び/又は酸化防止剤とを担持させた低級アルデヒド類の吸着剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4-358536号公報
【特許文献2】特開2008-259955号公報
【特許文献3】特開2019-198542号公報
【特許文献4】特開2014-073439号公報
【特許文献5】特開2000-084406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の経時劣化の速さや耐熱性の問題を解決したとされている技術についても課題があり、例えば、特許文献4に記載されている、酸化処理により表面酸化物が生成した活性炭に、環状飽和第二級アミンと、必要に応じてアルカリ土類金属のハロゲン化物及び/又は酸化防止剤とを担持させた低級アルデヒド類の吸着剤については、環状飽和第二級アミンは空気中で酸化されやすいうえに、酸化処理により表面酸化物が生成した活性炭を使用するだけでは、経時劣化及び耐熱性の点でも十分ではない。
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決しようとするものであり、アルデヒド吸着の初期性能を過度に低下させることなく、耐候性及び耐熱性に優れた吸着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、200~300℃における加熱減量が活性炭総量を100質量%として0.60質量%以上である活性炭に対して、アミン化合物を担持させた材料は、アルデヒド吸着の初期性能を過度に低下させることなく、耐候性及び耐熱性に優れた吸着剤であるため、上記目的を達成できることを見出した。なお、この吸着剤は、薬剤を水に溶解させて担体に噴霧及び/又は散布することで製造することもでき、簡便に製造することができる。本発明者は、このような知見に基づいてさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
【0010】
項1.活性炭に対して、アミン化合物が担持されているアミン化合物担持活性炭であって、
前記アミン化合物担持活性炭から前記アミン化合物を除去した後の活性炭の200~300℃における加熱減量が、活性炭総量を100質量%として、0.60質量%以上である、アミン化合物担持活性炭。
【0011】
項2.前記活性炭中に含まれる金属成分が、アミン化合物を担持していない前記活性炭の総量を100質量%として、0.05質量%以下である、項1に記載のアミン化合物担持活性炭。
【0012】
項3.前記アミン化合物の担持量が、前記活性炭100質量部に対して、1~50質量部である、項1又は2に記載のアミン化合物担持活性炭。
【0013】
項4.前記アミン化合物が、第1級ヒドロキシアミン化合物である、項1~3のいずれか1項に記載のアミン化合物担持活性炭。
【0014】
項5.前記アミン化合物が、トリスヒドロキシメチルアミノメタンである、項1~4のいずれか1項に記載のアミン化合物担持活性炭。
【0015】
項6.項1~5のいずれか1項に記載のアミン化合物担持活性炭を含有する、吸着剤。
【0016】
項7.アルデヒド化合物吸着剤である、項6に記載の吸着剤。
【0017】
項8.項1~5のいずれか1項に記載のアミン化合物担持活性炭又は項6若しくは7に記載の吸着剤の製造方法であって、
(1)活性炭を酸化剤と接触させる工程、及び
(2)前記工程(1)で得られた酸化処理活性炭に、アミン化合物を担持させる工程
を備える、製造方法。
【0018】
項9.前記工程(1)において使用する活性炭が、活性炭を酸で洗浄することにより得られる酸洗活性炭である、項8に記載の製造方法。
【0019】
項10.項1~5のいずれか1項に記載のアミン化合物担持活性炭又は項6若しくは7に記載の吸着剤を用いた工業製品。
【0020】
項11.項1~5のいずれか1項に記載のアミン化合物担持活性炭又は項6若しくは7に記載の吸着剤を用いた脱臭フィルター。
【0021】
項12.アルデヒド化合物の吸着方法であって、
活性炭に対して、アミン化合物が担持されているアミン化合物担持活性炭に、アルデヒド化合物を接触させる工程を備え、
前記アミン化合物担持活性炭から前記アミン化合物を除去した後の活性炭の200~300℃における加熱減量が、活性炭総量を100質量%として、0.60質量%以上である、吸着方法。
【0022】
項13.前記アルデヒド化合物の沸点が100℃以下である、項12に記載の吸着方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、アルデヒド吸着の初期性能を過度に低下させることなく、耐候性及び耐熱性に優れた吸着剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】アセトアルデヒド流通試験に用いた装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書において、「添着」とは、アミン化合物等の薬品を活性炭等の多孔質担体に担持することをいう。
【0026】
また、本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。
【0027】
また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
【0028】
また、本明細書において、「活性炭」とは、アミン化合物を担持していない活性炭を意味する。
【0029】
また、本明細書において、「アミン化合物担持活性炭」とは、アミン化合物を担持させた活性炭を意味する。
【0030】
1.アミン化合物担持活性炭(吸着剤)
本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)は、活性炭に対して、アミン化合物が担持されている吸着剤であって、前記アミン化合物担持活性炭から前記アミン化合物を除去した後の活性炭の200~300℃における加熱減量が、活性炭総量を100質量%として、0.6質量%以上である。
【0031】
このような構成を備えていることにより、本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)は、アルデヒド吸着の初期性能を過度に低下させることなく、耐候性及び耐熱性に優れる。また、本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)は、薬剤を水に溶解させて担体に噴霧及び/又は散布することで製造することもでき、簡便に製造することができる。
【0032】
なお、本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)の形状及び平均粒子径については、後述する活性炭の形状及び平均粒子径と、それぞれ同等である。
【0033】
以下、本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)の各成分について説明する。
【0034】
(1-1)活性炭
本発明のアミン類担持活性炭(吸着剤)は、活性炭を含有している。この活性炭(「アミン化合物を担持(添着)していない活性炭」又は「元炭」ともいう)は、後述のアミン化合物を担持(添着)させる担体である。
【0035】
活性炭は、ゼオライト、アルミナ等の無機系多孔質担体とは違って雑然とした細孔構造を有しているので、アルデヒド化合物のように、他の無機系多孔質担体では吸着しにくい臭気物質であっても吸着し得るサイトを備えている。また、活性炭は、自由に動く陽イオンを有していないので、添着成分であるアミン化合物との陽イオン交換(塩基交換)が発生する虞もない。
【0036】
本発明で使用する活性炭は、本発明のアミン化合物担持活性炭からアミン化合物を除去した後の活性炭の200~300℃における加熱減量が、活性炭総量(本発明のアミン化合物担持活性炭からアミン化合物を除去した後の活性炭の総量)を100質量%として、0.60質量%以上、好ましくは0.70~0.90質量%、より好ましくは0.80~0.85質量%である。200~300℃における加熱減量は活性炭表面のカルボキシル基が一酸化炭素や二酸化炭素に分解して脱離することによるものであることが知られており、200~300℃における加熱減量が0.60質量%以上であれば相当量のカルボキシル基が活性炭表面に存在することが示唆される。アミン化合物は不安定な物質であり、活性炭に担持して空気中で保管した際はアミン化合物と空気中の酸素との反応によってアミン化合物が失活し、アルデヒド化合物に対する吸着能が経時的に低下していくことが一般的である。しかしながら、本発明におけるアミン化合物担持活性炭はアルデヒド吸着の初期性能を過度に低下させることなく、耐候性及び耐熱性に優れる。この理由は、前述のカルボキシル基とアミン化合物間の弱い相互作用によって、アミン化合物が活性炭表面でより安定な状態で存在しているためと考えられる。もう一つの理由としては、後述の活性炭と酸化剤との接触の際に、活性炭表面に本来存在する脱水素型σ性ラジカルや脱水素型π性ラジカルカチオン、中性πラジカルなどのラジカル種が酸化剤と反応しカルボキシル基となり、アミン化合物を失活させる原因となるラジカル種を活性炭表面から消失せしめたことも理由として考えられる。前述のラジカル種は極めて活性が高く、空気中の酸素と反応してスーパーオキシドアニオンラジカルを生じ、これがアミン化合物を攻撃してアミン化合物を失活させていると考えられるが、この失活の原因となるラジカル種を活性炭表面から消失させることでアミン化合物の失活を抑制できていると考えられる。なお、本発明において、活性炭の200~300℃における加熱減量は、本発明のアミン化合物担持活性炭を塩酸で煮沸した後に水で煮沸することでアミン化合物を除去した後の活性炭に対して、株式会社リガク製 Thermo plus EVO TG8120により測定する。
【0037】
本発明で使用する活性炭中に含まれる金属成分の含有量は、アミン化合物を担持していない活性炭の総量を100質量%として、0.05質量%以下が好ましく、0.04質量%以下がより好ましく、0.02質量%以下がさらに好ましい。金属成分の含有量をこの範囲とすることにより、耐候性をより向上させやすく経時劣化をさらに抑制しやすく、また、耐熱性もさらに向上させやすい。なお、本発明において、活性炭中に含まれる金属成分の含有量は、JIS K 1474:2014 7.13 鉄の分析方法に準拠してAl、Ca、Fe、K、Mg、Na、Znの各金属成分含有量を誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP発光分光分析法)によって求め、それらの総和として求める。
【0038】
活性炭のBET比表面積は、600~2200m/gが好ましく、900~2000m/gがより好ましい。BET比表面積をこの範囲とすることにより、アルデヒド化合物の吸着性能と硬さとをよりバランスすることができる。活性炭の比表面積は、BET法により測定する。
【0039】
活性炭の形状としては、アミン化合物を担持させやすく、またフィルター化した際に脱落しにくいため、例えば、粒状、ペレット状、繊維状、ハニカム状等から適宜採用することができる。
【0040】
活性炭としては、上記の条件を満たすものであれば、種々の活性炭を使用することができる。例えば、木材、木粉、やし殻、パルプ製造時の副産物、バガス、廃糖蜜、石炭(泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭等)、無煙炭、石油蒸留残渣成分、石油ピッチ、コークス、コールタール等の植物系原料又は化石系原料;フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂、セルロイド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等の各種合成樹脂;ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等の合成ゴム;その他合成木材;合成パルプ等を原料とする活性炭等が挙げられる。これらのなかでは、アルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)を気相吸着しやすいという観点から、石炭活性炭又はやし殻活性炭が好ましく、やし殻活性炭がより好ましい。これらの活性炭は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0041】
(1-2)活性炭の製造方法
使用する活性炭は、例えば、これらの原料を必要に応じて炭化又は不融化した後、賦活処理した後に、
(1)活性炭を酸化剤と接触させる工程
を施して得られる酸化処理活性炭を使用することができる。
【0042】
この方法によれば、活性炭の細孔構造にほとんど影響を与えることなく、200~300℃における加熱減量を、活性炭総量を100質量%として、0.6質量%以上とすることができる。また、原料となる活性炭として、活性炭を酸で洗浄することにより得られる酸洗活性炭を使用する場合には、活性炭中に含まれる金属成分の含有量を、活性炭総量を100質量%として、0.05質量%以下としやすい。
【0043】
炭化方法、不融化方法、賦活方法は、特には限定されず、慣用の方法が利用できる。例えば、賦活は、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活ガス(水蒸気、二酸化炭素等)中、500~1000℃程度で熱処理するガス賦活法、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活剤(リン酸、塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)と混合し、300~800℃程度で熱処理する化学的賦活法等により行うことができる。
【0044】
活性炭を酸で洗浄する場合において、活性炭を洗浄するために使用する酸としては、アルデヒド化合物の初期吸着性能を損ないにくく、活性炭の金属成分の含有量を低減させやすいため、耐候性をより向上させやすく経時劣化をさらに抑制しやすく、また、耐熱性もさらに向上させやすい観点から、強酸が好ましく、無機強酸がより好ましく、具体的には、塩酸、硫酸等が挙げられ、塩酸が好ましい。
【0045】
活性炭を酸で洗浄する場合において、活性炭を酸で洗浄する方法は、好ましくは活性炭の表面全体にわたって酸で洗浄できる限り特に制限されず、常法にしたがって行うことができる。
【0046】
上記した活性炭を酸で洗浄することにより、活性炭中に含まれる金属成分の含有量を低減し、活性炭総量を100質量%として、0.05質量%以下としやすい。このため、活性炭を酸で洗浄する工程を施さない場合と比較すると、耐候性を向上させて経時劣化を抑制しやすく、また、耐熱性も向上させやすい。
【0047】
次に、工程(1)では、活性炭(好ましくは、活性炭を酸で洗浄した酸洗活性炭)を酸化剤と接触させる。この際、使用できる酸化剤としては、活性炭の200~300℃における加熱減量を十分に向上させやすく、耐候性を向上させやすく経時劣化を抑制しやすいうえに、耐熱性を向上させやすい観点から、過酸化水素、硝酸、オゾン、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)等が挙げられ、過酸化水素が好ましい。
【0048】
なお、活性炭(好ましくは、活性炭を酸で洗浄した酸洗活性炭)を酸化剤と接触させる方法としては、特に制限はないが、例えば、活性炭(好ましくは、活性炭を酸で洗浄した酸洗活性炭)を酸化剤の水溶液中に浸漬することが簡便である。この際使用できる酸化剤の水溶液の濃度は、特に制限はなく、適宜調整することができる。
【0049】
活性炭(好ましくは、活性炭を酸で洗浄した酸洗活性炭)を酸化剤と接触させる時間(活性炭(好ましくは、活性炭を酸で洗浄した酸洗活性炭)を酸化剤の水溶液中に浸漬する場合は浸漬時間)は、アルデヒド化合物の初期吸着性能を損ないにくく、活性炭の200~300℃における加熱減量を十分に向上させて、耐候性をより向上させやすく経時劣化をさらに抑制しやすく、また、耐熱性もさらに向上させやすい観点から、10~360分が好ましく、60~180分がより好ましい。
【0050】
活性炭(好ましくは、活性炭を酸で洗浄した酸洗活性炭)を酸化剤の水溶液中に浸漬する場合は、活性炭の200~300℃における加熱減量を十分に向上させて、耐候性をより向上させやすく経時劣化をさらに抑制しやすく、また、耐熱性もさらに向上させやすい観点から、活性炭(好ましくは、活性炭を酸で洗浄した酸洗活性炭)を酸化剤の水溶液中に浸漬して常法で攪拌してもよい。
【0051】
上記のようにして、本発明で使用する活性炭(酸化処理活性炭)を得ることができ、この活性炭(酸化処理活性炭)を使用することで、耐候性を向上させて経時劣化を抑制し、また、耐熱性も向上させることができるが、この後、活性炭(酸化処理活性炭)を粉末状で得るために常法で乾燥させてもよい。
【0052】
(1-3)アミン化合物
本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)は、アミン化合物が活性炭に担持(添着)している。
【0053】
本発明で使用されるアミン化合物としては、特に制限されるわけではないが、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物及び第3級アミン化合物をいずれも使用することができ、なかでも、水に対する溶解度を向上させやすく、アルデヒド化合物の初期吸着性能を損ないにくく、耐候性をより向上させやすく経時劣化をさらに抑制しやすく、また、耐熱性もさらに向上させやすい観点から、第1級アミン化合物が好ましい。
【0054】
このようなアミン化合物としては、具体的には、トリスヒドロキシメチルアミノメタン;2-アミノベンゼンスルホン酸(オルタニル酸)、3-アミノベンゼンスルホン酸(メタニル酸)、4-アミノベンゼンスルホン酸(スルファニル酸)等のアミノベンゼンスルホン酸等のヒドロキシアミン化合物の他、2-アミノ-1-ナフタレンスルホン酸、4-アミノ-1-ナフタレンスルホン酸等の多環式芳香族アミノスルホン酸化合物;ジメチルアミン、ジエチルアミン等の脂肪族第2級アミン化合物;ピぺリジン、ピペラジン、モルホリン等の飽和環状2級アミン化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン化合物等も挙げられる。なかでも、水に対する溶解度を向上させやすく、アルデヒド化合物の初期吸着性能を損ないにくく、耐候性をより向上させやすく経時劣化をさらに抑制しやすく、また、耐熱性もさらに向上させやすい観点から、ヒドロキシアミン化合物が好ましく、脂肪族ヒドロキシアミン化合物がより好ましく、1価脂肪族ヒドロキシアミン化合物がさらに好ましく、トリスヒドロキシメチルアミノメタンが特に好ましい。これらのアミン化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0055】
上記したアミン化合物は、公知又は市販品を用いることができる。
【0056】
アミン化合物の担持量(添着量)は、特に制限されるわけではないが、活性炭100質量部(乾燥品基準)に対して1~50質量部が好ましく、1~30質量部がより好ましく、5~15質量部がさらに好ましい。アミン化合物の担持量(添着量)が上記範囲内であることによって、アミン化合物が活性炭の孔を埋めにくく、アルデヒド化合物の初期吸着性能を損ないにくく、耐候性をより向上させやすく経時劣化をさらに抑制しやすく、また、耐熱性もさらに向上させやすい。
【0057】
(1-4)アミン化合物担持活性炭(吸着剤)
以上のような条件を満たす本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)は、アルデヒド化合物等の臭気物質の吸着性能に特に優れているため、吸着剤(特にアルデヒド化合物吸着剤)として有用である。なお、吸着対象となるアルデヒド化合物としては、吸着性能の観点から、沸点が100℃以下(特に-20~20℃)のアルデヒド化合物が好ましく、具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の炭素数1~4、特に炭素数1~2のアルデヒド化合物が好ましい。
【0058】
2.アミン化合物担持活性炭(吸着剤)の製造方法
本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)の製造方法(アミン化合物の担持(添着)方法ともいう)は、
(1)活性炭を酸化剤と接触させる工程、及び
(2)前記工程(1)で得られた酸化処理活性炭に、前記アミン化合物を担持させる工程
を備える方法が好ましい。
【0059】
また、上記のとおり、原料となる活性炭としては、活性炭を酸で洗浄することにより得られる酸洗活性炭が好ましい。
【0060】
当該方法によれば、アルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)等の臭気物質の初期吸着性能を損ないにくく、耐候性をより向上させやすく経時劣化をさらに抑制しやすく、また、耐熱性もさらに向上させやすい。
【0061】
また、このようにして得られる本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)は、空気中で酸化されやすい化合物を使用していないため、繰り返し使用に耐えることができる材料である。
【0062】
なお、工程(1)は、上記説明したものをそのまま採用することができる。
【0063】
工程(2)において、工程(1)で得られた酸化処理活性炭に、アミン化合物を担持させる方法としては、
(2A)アミン化合物を含む水溶液を酸化処理活性炭に噴霧及び/又は散布する方法、
(2B)アミン化合物を含む水溶液中に、酸化処理活性炭を浸漬する方法
等が挙げられる。
【0064】
特に、添着後に乾燥することが不要であり、添着後に残存溶液の処理をすることが不要であり、簡便であり、短時間で添着できる観点からは、工程(2A)、つまり、噴霧及び/又は散布によって添着することが好ましい。
【0065】
これらの方法により、酸化処理活性炭全体にアミン化合物を担持(添着)させることができる。
【0066】
また、使用するアミン化合物を含む水溶液の温度は、特に制限はないが、通常、15~30℃とすることができ、担持(添着)時間は、特に制限はないが、5分~1時間とすることができる。
【0067】
アミン化合物の使用量は、アミン化合物の担持(添着)量が活性炭100質量部(乾燥品基準)に対して1~50質量部、特には1~30質量部、さらには5~15質量部となるように設定することが好ましい。例えば、上述の工程(2A)の方法で、アミン化合物を酸化処理活性炭に担持(添着)させる場合、使用するアミン化合物を含む水溶液中のアミン化合物の含有量が、そのまま担持(添着)量となるので、1~50質量部特には1~30質量部、さらには5~15質量部のアミン化合物を含む水溶液を、100質量部の(乾燥)酸化処理活性炭に噴霧及び/又は散布することにより、アミン化合物の担持(添着)量が活性炭100質量部(乾燥品基準)に対して1~50質量部、特には1~30質量部、さらには5~15質量部であるアミン化合物担持活性炭(吸着剤)が得られる。
【0068】
3.アミン化合物担持活性炭(吸着剤)を使用した臭気物質(アルデヒド化合物等)の吸着方法
本発明の吸着方法は、本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)と臭気物質(アルデヒド化合物等)とを接触させることを特徴とする。上記吸着方法によれば、本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)が臭気物質(アルデヒド化合物等)を効率よく吸着するので、臭気物質(アルデヒド化合物等)を効率的に除去することができる。
【0069】
4.工業製品への適用
本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)は、工業製品に配合して使用することができる。当該工業製品は、本発明を包含する。
【0070】
工業製品とは、従来より広く知られている工業製品及び工業原料を指す。具体的には、塗料、接着剤、インキ、シーリング剤、紙製品、バインダー、樹脂エマルション、パルプ、木質材料、木質製品、プラスチック製品、フィルム、壁紙、建材(石膏ボード、内装材、天井材、床材等)、繊維製品、フィルター(特に空気清浄機用脱臭フィルターやキャビンエアフィルター等の脱臭フィルター等)等が挙げられる。また、これらの複合材料も工業製品に含まれる。複合材料としては、例えば、木材とプラスチックとの複合材料等が挙げられる。本発明の吸着方法では、本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)が配合された上述の工業製品を、臭気物質(アルデヒド化合物等)と接触させることによって、本発明のアミン化合物担持活性炭(吸着剤)と臭気物質(アルデヒド化合物等)とが接触し、その結果臭気物質(アルデヒド化合物等)を効率よく吸着除去することができる。
【0071】
工業製品としてフィルター(特に脱臭フィルター)を採用する場合、その構造としては、従来から知られている公知の構造を採用することができる。
【実施例0072】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例の態様に限定されない。
【0073】
なお、特に断りのない限り、各工程は、室温(25℃)で行った。
【0074】
金属成分の含有量
JIS K 1474:2014 7.13 鉄の分析方法に準拠してAl、Ca、Fe、K、Mg、Na、Znの各金属成分含有量を誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP発光分光分析法)によって求め、それらの総和として活性炭の金属成分含有量を求めた。
【0075】
活性炭の200~300℃における加熱減量
アミン化合物担持活性炭3gを7%塩酸100mLで10分間煮沸した後、活性炭をろ過して回収し、次に回収した活性炭全量を蒸留水100mLで10分間煮沸した後、活性炭をろ過して回収し、回収した蒸留水煮沸後の活性炭を115℃で3時間乾燥させ、前記乾燥後の活性炭の加熱減量を株式会社リガク製 Thermo plus EVO TG8120により測定した。
【0076】
実施例1及び2
BET比表面積1000m/g、JIS Z 8801に準拠して測定した粒度42/80meshの活性炭(大阪ガスケミカル株式会社製のヤシ殻活性炭)を、0.5質量%塩酸で洗浄し、金属成分の含有量が0.02質量%である酸洗活性炭を得た。
【0077】
得られた酸洗活性炭60gを20~25質量%過酸化水素水400mLに浸漬し、1時間攪拌し、次いで乾燥し、酸化処理活性炭を得た。なお、実施例1では20質量%過酸化水素水を使用し、実施例2では25質量%過酸化水素水を使用した。ここで得られた酸化処理活性炭も、実施例1及び2いずれも、金属成分含有量は0.02質量%であった。
【0078】
得られた酸化処理活性炭50gを、1L容量の卓上ミキサーに投入し、攪拌しながら、トリスヒドロキシメチルアミノメタン5gを12.5gの蒸留水に溶解させた水溶液を10分間噴霧し、酸化処理活性炭にトリスヒドロキシメチルアミノメタンが担持した実施例1及び2の吸着剤を得た。
【0079】
得られた実施例1及び2の酸化処理活性炭から、上記の「活性炭の200~300℃における加熱減量」にしたがって、塩酸及び蒸留水で煮沸してトリスヒドロキシメチルアミノメタンを除去した後に200℃~300℃における加熱減量を測定したところ、実施例1では0.85質量%、実施例2では0.92質量%であった。
【0080】
比較例1
塩酸による酸洗処理及び過酸化水素水による酸化処理を施さなかった。つまり、BET比表面積1000m/g、JIS Z 8801に準拠して測定した粒度42/80meshの活性炭(大阪ガスケミカル株式会社製のヤシ殻活性炭;金属成分含有量0.99質量%)に対して前処理することなく、実施例1及び2と同様に、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを担持させ、比較例1の吸着剤を得た。
【0081】
得られた比較例1の吸着剤から、上記の「活性炭の200~300℃における加熱減量」にしたがって、塩酸及び蒸留水で煮沸してトリスヒドロキシメチルアミノメタンを除去した後に200℃~300℃における加熱減量を測定したところ、0.54質量%であった。
【0082】
比較例2~4
酸化剤として、過酸化水素水ではなく、4~8質量%硝酸を用いた(比較例2では4質量%硝酸、比較例3では6質量%硝酸、比較例4では8質量%硝酸を使用した)。つまり、BET比表面積1000m/g、JIS Z 8801に準拠して測定した粒度42/80meshの活性炭(大阪ガスケミカル株式会社製のヤシ殻活性炭)に対して塩酸による酸洗処理を施した後に、硝酸による酸化処理を施し(金属成分含有量は、比較例2~4いずれも0.02質量であった)、実施例1及び2と同様に、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを担持させ、比較例2~4の吸着剤を得た。
【0083】
得られた比較例2~4の吸着剤から、上記の「活性炭の200~300℃における加熱減量」にしたがって、塩酸及び蒸留水で煮沸してトリスヒドロキシメチルアミノメタンを除去した後に200℃~300℃における加熱減量を測定したところ、比較例2では0.50質量%、比較例3では0.52質量%、比較例4では0.55質量%であった。
【0084】
実施例3
塩酸による酸洗処理を施さなかった。つまり、BET比表面積1000m/g、JIS Z 8801に準拠して測定した粒度42/80meshの活性炭(大阪ガスケミカル株式会社製のヤシ殻活性炭)に対して、過酸化水素水による酸化処理を施し(金属成分含有量は、0.33質量であった)、実施例1及び2と同様に、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを担持させ、実施例3の吸着剤を得た。
【0085】
得られた実施例3の吸着剤から、上記の「活性炭の200~300℃における加熱減量」にしたがって、塩酸及び蒸留水で煮沸してトリスヒドロキシメチルアミノメタンを除去した後に200℃~300℃における加熱減量を測定したところ、0.83質量%であった。
【0086】
比較例5
BET比表面積1000m/g、JIS Z 8801に準拠して測定した粒度42/80meshの活性炭(大阪ガスケミカル株式会社製のヤシ殻活性炭;金属成分含有量0.99質量%)50gを、1L容量の卓上ミキサーに投入し、攪拌しながら、モルホリン5g及びヨウ化カリウム1gを12.5gの蒸留水に溶解させた水溶液を10分間噴霧し、活性炭にモルホリン及びヨウ化カリウムが担持した比較例5の吸着剤を得た。
【0087】
得られた比較例5の吸着剤から、上記の「活性炭の200~300℃における加熱減量」にしたがって、塩酸及び蒸留水で煮沸してモルホリン及びヨウ化カリウムを除去した後に200℃~300℃における加熱減量を測定したところ、0.50質量%であった。
【0088】
試験例1:アセトアルデヒド流通試験
25℃に保たれた恒温層内に、図1に示す装置を設置した。具体的には、吸着剤F(実施例及び比較例で得た吸着剤)を内径20mmのカラムGに20mmの高さで充填した。また、マスフローコントローラBにより流量を制御しながら、コンプレッサAにより空気を水が充填された水蒸気発生瓶Cに供給して得られる相対湿度60%の空気と、アセトアルデヒドガスボンベDから供給されるアセトアルデヒドガスとを、混合瓶Eにおいて混合して20ppmの試験ガスを形成した。このガスを流量:2L/minの条件で24時間(いずれの吸着剤においても破過に至るまでの十分な時間)流通し、出口ガス濃度をガスクロマトグラフにて測定、破過曲線からアセトアルデヒド平衡吸着容量を求めた。この測定を、吸着剤製造直後(初期)、50℃で7日間保管した後、及び50℃で30日間保管した後に行った。
【0089】
結果を表1に示す。
【0090】
実施例1及び2と比較例1とから、200~300℃における加熱減量が0.60質量%以上である活性炭に、第1級アミン化合物であるトリスヒドロキシメチルアミノメタンを添着した活性炭は、初期のアセトアルデヒド平衡吸着容量が十分大きく実用上全く問題のない数値であり、且つ、50℃という高温で保管した後も、比較例1と比較して性能維持率に優れていることが理解できる。
【0091】
実施例1及び2と比較例2~4とから、金属成分の含有量が0.05質量%以下であり、さらに、硝酸による酸化処理を行っていても、200~300℃における加熱減量が0.60質量%未満である場合、実施例1及び2程度の性能維持率は達成できていないことが理解できる。
【0092】
実施例1~3と比較例1とから、200~300℃における加熱減量が0.60質量%であれば、金属成分の含有量が0.05質量%より大きくとも、十分な性能維持率を有していることが理解できる。さらに、金属成分の含有量を0.05質量%以下とすると、さらに、性能維持率を向上させることができることも理解できる。
【0093】
実施例1及び2と比較例5とから、モルホリン及びヨウ化カリウム担持吸着剤は、初期のアセトアルデヒド平衡吸着容量は極めて大きいが、50℃で30日保管した後の吸着性能が著しく低く、劣化が極めて進行しやすいことが理解できる。実施例1及び2は、初期のアセトアルデヒド平衡吸着容量は比較例5と比較すると劣るものの十分大きく実用上全く問題のない数値であり、比較例5と比較して耐久性が著しく向上していることが理解できる。
【0094】
【表1】
【符号の説明】
【0095】
A コンプレッサ
B マスフローコントローラ
C 水蒸気発生瓶
D アセトアルデヒドガスボンベ
E 混合瓶
F 吸着剤
G カラム
H フロートメータ
図1