(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057494
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】ハンガー付き台紙
(51)【国際特許分類】
A47F 7/22 20060101AFI20230414BHJP
B65D 85/18 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
A47F7/22
B65D85/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167065
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】594164690
【氏名又は名称】アーキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 誠治
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA15
3E068AB03
3E068BB01
3E068BB17
3E068CC20
3E068CC29
3E068CD02
3E068CE02
3E068DD08
3E068DD11
3E068DD30
3E068EE02
3E068EE25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シャツを折り畳んだ状態でハンガーラックや壁面フックなどの陳列用什器に吊り下げて販売するためのハンガー付き台紙において、吊り下げ部材の破損を防ぎつつ美麗に展示可能とする。
【解決手段】台紙本体10と吊り下げ部材20とからなるハンガー付き台紙であって、前記台紙本体10は差込用スリット11と裾保持部が形成されており、前記吊り下げ部材20は襟芯部21と、フック部22と、ヒンジ部23とを備えており、前記吊り下げ部材20を前記差込用スリット11に挿通して前記ヒンジ部23を軸に折り曲げ、衣類Cの襟Ccに前記襟芯部21を装着することによって、前記衣類Cを折り畳んだ状態で保持しつつ、前記フック部22により吊り下げ可能である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙本体と吊り下げ部材とからなるハンガー付き台紙であって、
前記台紙本体は、平板状を呈し、上端側に差込用スリットが、前記差込用スリットの下側に裾保持部が形成されており、
前記吊り下げ部材は、一方端に形成された襟芯部と、他端に形成されたフック部と、前記襟芯部と前記フック部の間に形成された折り曲げ可能なヒンジ部と、を備え、前記フック部の先端と前記ヒンジ部の間の長さは前記台紙本体の上端縁と前記差込用スリットの間の長さよりも長く形成されており、
前記吊り下げ部材を前記台紙本体の前記差込用スリットに挿通し、前記台紙本体の表面側から前記吊り下げ部材の前記襟芯部が突出した状態で前記ヒンジ部を軸に前記吊り下げ部材を折り曲げることによって、前記フック部が前記台紙本体の上端縁から突出している状態と、前記フック部が前記台紙本体の上端縁から突出していない状態とを切り替え可能であり、
衣類を折り畳んで裾を前記裾保持部に保持させるとともに前記台紙本体の表面側から突出させた前記吊り下げ部材の前記襟芯部を衣類の襟に装着することによって、前記衣類を折り畳んだ状態で保持しつつ、前記台紙本体の上端縁から突出した前記フック部により吊り下げ可能であることを特徴とするハンガー付き台紙。
【請求項2】
前記差込用スリットの幅は、前記襟芯部の幅よりも狭く形成されていることを特徴とする請求項1記載のハンガー付き台紙。
【請求項3】
前記裾保持部は、前記台紙本体における縦方向に並列して形成された複数の裾保持孔からなることを特徴とする請求項1または2記載のハンガー付き台紙。
【請求項4】
前記吊り下げ部材は、前記襟芯部を構成する襟芯部品と、前記フック部を構成するフック部品とからなる2つの部品が分離・結合可能に組み合わせられてなることを特徴とする請求項1,2または3記載のハンガー付き台紙。
【請求項5】
前記吊り下げ部材に、前記台紙本体の上端縁を係止可能なクリップ部が切り込みによって形成されていることを特徴とする請求項1,2,3または4記載のハンガー付き台紙。
【請求項6】
前記ヒンジ部は、補強手段が施されていることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載のハンガー付き台紙。
【請求項7】
前記台紙本体および前記吊り下げ部材が共にボール紙であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載のハンガー付き台紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャツを折り畳んだ状態でハンガーラックや壁面フックなどの陳列用什器に吊り下げて販売可能とするためのハンガー付き台紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワイシャツのような衣類は、型崩れを防ぎ、且つ装着状態のイメージを分かりやすくするため、台紙を用いて折り畳んだ状態で搬送・保管が行われるとともに、その状態のまま展示・販売されることが通常である。
【0003】
また、展示・販売時においては、折り畳んだ状態のまま棚に平積みして陳列するものに限らず、ハンガーを用いて陳列用什器に吊り下げた状態で陳列する、いわゆるハンギング陳列も一般的であり、ハンギング陳列に適したハンガー付き台紙として、例えば実開平7-014966号公報(特許文献1)や特開平10-295506号公報(特許文献2)に提示された発明が従来知られている。
【0004】
これら従来発明の台紙を用いることによって衣類を綺麗な状態で梱包したままハンギング陳列を行うことが可能であるが、問題点も多くあった。
【0005】
すなわち、特許文献1または特許文献2に記載の従来発明のように、台紙本体と吊り下げ用フックを別体とし、台紙本体に吊り下げ用フックをハトメによる固定、スリットによる係止、または係合部の挿入によって取り付けるものとした場合、細い箇所に力が集中してしまう構造であることから、強い力が加わった場合などに破損してしまい不良品となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平7-014966号公報
【特許文献2】特開平10-295506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、シャツを折り畳んだ状態でハンガーラックや壁面フックなどの陳列用什器に吊り下げて販売するためのハンガー付き台紙において、吊り下げ部材の破損を防ぎつつ美麗に展示可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明は、台紙本体と吊り下げ部材とからなるハンガー付き台紙であって、
前記台紙本体は、平板状を呈し、上端側に差込用スリットが、前記差込用スリットの下側に裾保持部が形成されており、
前記吊り下げ部材は、一方端に形成された襟芯部と、他端に形成されたフック部と、前記襟芯部と前記フック部の間に形成された折り曲げ可能なヒンジ部と、を備え、前記フック部の先端と前記ヒンジ部の間の長さは前記台紙本体の上端縁と前記差込用スリットの間の長さよりも長く形成されており、
前記吊り下げ部材を前記台紙本体の前記差込用スリットに挿通し、前記台紙本体の表面側から前記吊り下げ部材の前記襟芯部が突出した状態で前記ヒンジ部を軸に前記吊り下げ部材を折り曲げることによって、前記フック部が前記台紙本体の上端縁から突出している状態と、前記フック部が前記台紙本体の上端縁から突出していない状態とを切り替え可能であり、
衣類を折り畳んで裾を前記裾保持部に保持させるとともに前記台紙本体の表面側から突出させた前記吊り下げ部材の前記襟芯部を衣類の襟に装着することによって、前記衣類を折り畳んだ状態で保持しつつ、前記台紙本体の上端縁から突出した前記フック部により吊り下げ可能であることを特徴とする。
【0009】
上記発明によれば、吊り下げ部材を台紙本体の差込用スリットに挿通させてヒンジ部を軸に折り曲げた構成としたことによって、前記差込用スリットを支点として力が分散されるため、仮に下方向に強い力が加わったとしても前記吊り下げ部材や前記台紙本体が破損するおそれがなく、更に、前記吊り下げ部材におけるフック部と反対側に位置する前記襟芯部が衣類の襟に装着されており、前記襟芯部によって所定の位置に衣類の襟を保持できるため、ハンギング陳列時の見た目も非常に美麗なものとすることができる。
【0010】
加えて、ヒンジ部を軸に前記吊り下げ部材を折り曲げることによって、前記フック部が前記台紙本体の上端縁から突出している状態と、前記フック部が前記台紙本体の上端縁から突出していない状態とを切り替え可能としたことによって、搬送・保管時においては前記フック部を前記台紙本体の上端縁から突出していない状態に収納することで邪魔にならず省スペースに搬送・保管することができる。
【0011】
また、前記差込用スリットの幅は、前記襟芯部の幅よりも狭く形成されている場合、差込用スリットから吊り下げ部材が意図せず抜けてしまう事態を防止できるため、取り扱いが非常に便利である。
【0012】
更に、前記裾保持部は、前記台紙本体における縦方向に並列して形成された複数の裾保持孔からなる場合、前記裾保持孔に衣類の裾を連続して通すだけで前記裾の保持を行うことができるため、簡易な構造かつ容易に使用できる利点を有する。
【0013】
また、前記吊り下げ部材は、前記襟芯部を構成する襟芯部品と、前記フック部を構成するフック部品とからなる2つの部品が分離・結合可能に組み合わせられてなる場合、衣類に適した形状の襟芯を選んで組み合わせることや、フック部品を構成する素材の強度を襟芯部品と比較して向上させることなどが可能になるため、製造の自由度を増すことができる。
【0014】
更に、前記吊り下げ部材に、前記台紙本体の上端縁を係止可能なクリップ部が切り込みによって形成されている場合、前記吊り下げ部材と前記台紙本体とを上部側で密接して係合することができるため、前記台紙本体の姿勢が前傾することなくまっすぐな状態でハンギング陳列が可能となり、見た目が美麗であることに加え、荷重が分散されるために耐久性もより高まる。
【0015】
また、前記ヒンジ部は補強手段が施されている場合、より強固に破損を防ぐことができ、折り曲げ回数が増加したとしても破損しづらいものとすることができる。
【0016】
更に、前記台紙本体および前記吊り下げ部材が共にボール紙である場合、合成樹脂等を用いることなく全体を紙により製造可能であるため、製造性・入手性・省コスト性にともに優れるとともに、近年の脱プラスチックというニーズにも合致した環境配慮型の製品とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、吊り下げ部材を台紙本体の差込用スリットに挿通させてヒンジ部を軸に折り曲げた構成としたことによって、前記差込用スリットを支点として力が分散されるため、仮に下方向に強い力が加わったとしても前記吊り下げ部材や前記台紙本体が破損するおそれがなく、更に、前記吊り下げ部材におけるフック部と反対側に位置する前記襟芯部が衣類の襟に装着されており、前記襟芯部によって所定の位置に衣類の襟を保持できるため、ハンギング陳列時の見た目も非常に美麗なものとすることができる。
【0018】
加えて、ヒンジ部を軸に前記吊り下げ部材を折り曲げることによって、前記フック部が前記台紙本体の上端縁から突出している状態と、前記フック部が前記台紙本体の上端縁から突出していない状態とを切り替え可能としたことによって、搬送・保管時においては前記フック部を前記台紙本体の上端縁から突出していない状態に収納することで邪魔にならず省スペースに搬送・保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図1に示した実施の形態の組み立て後の状態を示す斜視図。
【
図3】
図1に示した実施の形態における台紙本体と折り曲げ前の吊り下げ部材を示す平面図。
【
図4】
図1に示した実施の形態の実際の使用工程の前半を示す説明図。
【
図5】
図1に示した実施の形態の実際の使用工程の後半を示す説明図。
【
図8】
図1に示した実施の形態のハンガー付き台紙の使用状態を示す斜視図。
【
図9】
図1に示した実施の形態において異なる形状の吊り下げ部材を示す平面図。
【
図11】
図10に示した実施の形態における吊り下げ部材を組み立てた状態を示す平面図。
【
図13】
図12に示した実施の形態における吊り下げ部材を台紙本体に取り付けた状態を示す平面図。
【
図15】
図14に示した実施の形態における吊り下げ部材を台紙本体に取り付けた状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1乃至
図3は本発明の第1の実施の形態を示す図であり、この図に示すように、本発明であるハンガー付き台紙1は、台紙本体10と吊り下げ部材20とからなる。
【0022】
前記台紙本体10は、平板状を呈し、上端側には横方向に延びる矩形孔である差込用スリット11が、前記差込用スリット11の下側には横方向に延びる矩形孔であって縦方向に並んだ複数の裾保持孔からなる裾保持部12が形成されており、ボール紙を打ち抜くことによって外形、前記差込用スリット11および前記裾保持部12が一度に形成される。
【0023】
前記裾保持孔は、
図3における最下方の裾保持孔から順に第1裾保持孔13、第2裾保持孔14、第3裾保持孔15の3つが設けられている。なお、裾保持孔の数は2つ以上の複数個であることが望ましく、複数個の裾保持孔を有していることで衣類Cと前記台紙本体10との間に摩擦が働き、ズレを生じることなく安定して保持可能であるが、裾保持孔が1つのみであったとしても本発明は実施可能である(図示せず)。
【0024】
前記吊り下げ部材20は、一方端に形成された襟芯部21と、他端に形成されたフック部22と、前記襟芯部21と前記フック部22の間に形成された折り曲げ可能であるヒンジ部23と、を有し、ボール紙を打ち抜くことによって外形、前記襟芯部21、前記フック部22および前記ヒンジ部23が一度に形成される。
【0025】
また、前記フック部22の下部には胴部24が形成されており、前記胴部24はある程度の面積を有するため、この胴部24の表面に印刷またはシール貼り付けによる表示を行うことによって、購入者や業者が視認しやすい位置に衣類のサイズやバーコードなどを示すことができる。
【0026】
本実施の形態においては、前記吊り下げ部材20は当初平板状であるが、前記ヒンジ部23を軸に略直角に折り曲げて使用するものである。
【0027】
前記ヒンジ部23は、本実施の形態においては素材自体の柔軟性により折り曲げを可能としたものであって、前記胴部24よりも幅狭の形状に形成されることで折り曲げやすく形成されているが、より柔軟に折り曲げを可能とするためにスジ入れ、ミシン目、ハーフカットなどの加工を施してもよい。
【0028】
さらに、前記ヒンジ部23は補強手段が施されていることによって、より強固に破損を防ぐことができ、折り曲げ回数が増加したとしても破損しづらいものとすることができる。
【0029】
この補強手段としては、例えば前記吊り下げ部材20の前記襟芯部21と前記胴部24との連結箇所のコーナーを面取り形状とするなどの力学的な補強を行うことや、前記吊り下げ部材20を構成する台紙をコーティング紙とするなどの素材自体の補強を行うことや、前記吊り下げ部材20の前記ヒンジ部23に貼り付け可能なテープやフィルムなどの別部材を追加する補強を行うことによって実現することができるが、上述したものに限らずその他任意の補強手段が採用可能である。
【0030】
なお、補強手段のうち別部材を追加する補強を行う場合は、なるべくプラスチックの使用量を抑えた紙粘着テープなどを用いることが好ましい。
【0031】
前記台紙本体10に形成された前記差込用スリット11の横幅W1は、前記吊り下げ部材20の前記胴部24の横幅W2より広いが、前記吊り下げ部材20の前記襟芯部21の横幅W3より狭く形成されているため、組み立てを行う際には前記台紙本体10の表面側から前記吊り下げ部材20の前記フック部22および胴部24を前記差込用スリット11に挿入し、その後に前記ヒンジ部23を軸に前記吊り下げ部材20を折り曲げることで前記台紙本体10と前記吊り下げ部材20とを接続して組み立てることができる(
図3参照)。
【0032】
前記フック部22の先端と前記ヒンジ部23の間の長さL1は前記台紙本体10の上端縁16と前記差込用スリット11の間の長さL2よりも長く形成されているため(
図3参照)、前記差込用スリット11に前記吊り下げ部材20を挿通した後に前記ヒンジ部23を軸に前記吊り下げ部材20を折り曲げることで前記フック部22が前記台紙本体10の上端縁16から突出している状態となる。
【0033】
前記襟芯部21は、本実施の形態においてはワイシャツなどの衣類Cの襟Cc内に挿入して装着する幅広の形状としており、このように襟Ccの広範囲に装着することで保形作用の高いものとしているが、襟Cc内の一部のみに挿入して装着する幅狭の形状であってもよい(図示せず)。その場合、前記台紙本体10の裏面側から幅狭の襟芯部を前記差込用スリット11に挿通することも可能である。
【0034】
前記台紙本体10を構成するボール紙と、前記吊り下げ部材20を構成するボール紙は同一の厚みであってもよく、異なる厚みとしてもよい。例えば、前記吊り下げ部材20を構成するボール紙を比較的厚みのあるものとして強度を向上させることも可能である。
【0035】
次に、本実施の形態のハンガー付き台紙1を実際に使用する際の工程を
図4乃至
図7に基づいて説明する。
【0036】
まず、ハンガー付き台紙1を使用する対象のワイシャツなどの衣類Cを背中側を上面にして広げた後に(
図4(a)参照)、
図4(a)における2点鎖線で示した辺りの位置で左右両端から中央へ折り返すとともに袖Csを適宜しまい込み、縦長の状態に折り畳む(
図4(b)参照)。このとき、縦長の状態に折り畳んだ衣類Cの幅(
図4(a)における2点鎖線で示した間隔)は前記台紙本体10と略同一の幅とすることが好ましい。
【0037】
次に、前記台紙本体10を裏向き(前記差込用スリットが下方に位置する状態)で前記衣類Cの縦方向の中間位置にあてがいつつ、前記衣類Cの裾Chを前記台紙本体10の第1裾保持孔13に挿入し(
図4(c)参照)、続けて、前記衣類Cの裾Chを前記台紙本体10の第2裾保持孔14に挿入し(
図4(d)参照)、その後、前記衣類Cの裾Chを前記台紙本体10の第3裾保持孔15に挿入する(
図4(e)参照)。
【0038】
前記衣類Cの裾Chを前記台紙本体10の第1裾保持孔13、第2裾保持孔14、および第3裾保持孔15に挿入できたら、前記第3裾保持孔15から外側に突出している余った前記衣類Cの裾Chを上側にひっくり返す(
図4(f)参照)。
【0039】
続いて、前記衣類Cの裾Chを前記台紙本体10の下端縁17に沿って折り返し、前記衣類Cの裾Chの一部を前記台紙本体10の裏側に挟み込んでから(
図4(g)参照)、前記台紙本体10をひっくり返す(
図4(h)参照)。
【0040】
その後、吊り下げ部材20の襟芯部21を前記衣類Cの襟Ccに装着するとともに、フック部22を前記台紙本体10の前記差込用スリット11に挿通させる(
図5(a),
図6参照)。
【0041】
このとき、前記吊り下げ部材20の前記襟芯部21を前記衣類Cの襟Ccに装着する手順と、前記フック部22を前記台紙本体10の前記差込用スリット11に挿通させる手順はどちらを先に行ってもよく、作業しやすい手順を採用することができる。
【0042】
最後に、前記吊り下げ部材20のヒンジ部23を軸に前記フック部22を上方に向けて折り曲げることによって、前記フック部22が前記台紙本体10の上端縁16から突出して、ハンギング陳列が可能な状態となる(
図5(b),
図7参照)。
【0043】
上記手順で折りたたんだ前記衣類Cは、裾Chが第1裾保持孔13、第2裾保持孔14、および第3裾保持孔15からなる裾保持部12による保持に加えて、前記台紙本体10の下端縁17に沿って裏側に挟み込んで折り返した部分においても摩擦によるズレ防止作用が働くため、ズレを生じることなく安定して保持可能である。
【0044】
なお、搬送・保管をする際には、前記吊り下げ部材20の前記ヒンジ部23を軸に前記フック部22を下方に向けて折り曲げることによって、前記フック部22を前記台紙本体10の上端縁16から突出していない状態に収納することで邪魔にならず省スペースに搬送・保管することができる(
図5(c)参照)。
【0045】
このように前記台紙本体10の幅と略同一の幅に前記衣類Cを折り返し、裾Chを前記裾保持部12に保持させつつ畳み込むことで、前記衣類Cを非常にコンパクトかつ整った形状に折り畳むことが可能となり、搬送・保管および展示・販売のどの場面においても取り扱いやすいのみならず、ハンギング陳列時の見た目も非常に美麗なものとすることができる(
図8参照)。加えて、クリップなどの保形用の別部品を要さず部品脱落の心配をする必要がないことから、商品保護用の透明袋を省略することもできる。
【0046】
なお、吊り下げ部材20の形状は前記
図1乃至
図3に示したものに限らず、例えば
図9(a)に示したように胴部26の幅が幅狭であってヒンジ部23の幅とほぼ同じである形状とすることも可能であり、例えば
図9(b)に示したようにヒンジ部27の幅が幅広であって胴部24の幅とほぼ同じである形状とすることも可能であり、例えば
図9(c)に示したように胴部28の長さが短い形状とすることも可能である。
【0047】
図10および
図11は本発明の第2の実施の形態を示す図であり、このハンガー付き台紙2は、前記
図1に示した実施の形態と比較して、吊り下げ部材が、襟芯部31を構成する襟芯部品30と、フック部41を構成するフック部品40とからなる2つの部品が分離・結合可能に組み合わせられてなる点において異なる。
【0048】
前記襟芯部品30は、ワイシャツなどの衣類Cの襟Cc内に挿入して装着する幅広の形状である襟芯部31と、前記襟芯部31の中央位置において上方に凸となる円弧状の切込みにより形成された係合孔32とからなる。
【0049】
前記フック部品40は、フック部41と、前記フック部41の下部に形成された胴部42と、前記胴部42の下部に形成されたヒンジ部43と、前記ヒンジ部43の下部に形成されたT字状の係合片44と、前記ヒンジ部43の下部に形成されて前記係合片44の外側に位置する補強片45とからなり、前記係合片44を前記フック部品40の背面側から押し上げることで前記係合片44が前記補強片45から独立して起立し、前記襟芯部品30の前記係合孔32に前記係合片44を挿入することで係合し、同時に前記襟芯部31の背面側に前記補強片45が位置して前記係合片44と前記補強片45で前記襟芯部31を挟持するものである。
【0050】
前記
図3に示した実施の形態の組み立て後の状態を示す斜視図における襟芯部21と同様に、前記襟芯部31は衣類Cの襟Ccの形状に沿って丸めることが可能であり、前記係合孔32が円弧状であることから、前記襟芯部31を丸めた際に前記係合片44左右両端の突起が前記係合孔32に係止することで脱落しづらい構造となっている。
【0051】
このように、吊り下げ部材を分離・結合可能な2つの部品の組み合わせで構成したことによって、衣類に適した形状の襟芯を選んで組み合わせることや、フック部品を構成する素材の強度を襟芯部品と比較して向上させることなどが可能になるため、製造の自由度を増すことができる。
【0052】
なお、実際の使用工程(前記
図4および
図5参照)のうち、本実施の形態においては、襟芯部品30の襟芯部31を前記衣類Cの襟Ccに装着する手順と、フック部41を前記台紙本体10の前記差込用スリット11に挿通させる手順はどちらを先に行ってもよく、更に、予め衣類Cの襟Ccに襟芯部品30を装着しておき、前記台紙本体10の裏面から前記差込用スリット11に挿通させた前記フック部品40の前記係合片44および前記補強片45を突出させて前記襟芯部品30の前記係合孔32に挿入することで吊り下げ部材を組み立てるものとすることもできる。
【0053】
図12および
図13は本発明の第3の実施の形態を示す図であり、このハンガー付き台紙3は、前記
図1に示した本発明の第1の実施の形態の前記ハンガー付き台紙1と比較して、台紙本体50および吊り下げ部材60の形状が異なるものである。
【0054】
前記台紙本体50は、平板状を呈し、上端側には横方向に延びる矩形孔である差込用スリット51が、前記差込用スリット51の下側には横方向に延びる矩形孔であって縦方向に並んだ第1裾保持孔53、第2裾保持孔54、第3裾保持孔55の3つの裾保持孔からなる裾保持部52が形成されており、ボール紙を打ち抜くことによって外形、前記差込用スリット51および前記裾保持部52が一度に形成されるところまでは同一であるが、本実施の形態においては、上端縁56と前記差込用スリット51の間の長さL3が、前記前記台紙本体10の上端縁16と前記差込用スリット11の間の長さL2よりも長く形成されている点において異なる。
【0055】
前記吊り下げ部材60は、一方端に形成された襟芯部61と、他端に形成されたフック部62と、前記襟芯部61と前記フック部62の間に形成された折り曲げ可能であるヒンジ部63と、前記フック部62の下部に形成された胴部64と、を有し、ボール紙を打ち抜くことによって外形、前記襟芯部61、前記フック部62、前記ヒンジ部63および前記胴部64が一度に形成されるところまでは同一であるが、本実施の形態においては、前記胴部64において、前記台紙本体50の上端縁56に係止可能なクリップ部65が切り込みによって形成されている点において異なる。
【0056】
本実施の形態においては、前記台紙本体50の前記上端縁56を前記吊り下げ部材60の前記クリップ部65で係止することによって、前記台紙本体50と前記吊り下げ部材60とを上部側で密接に組み合わせることができる(
図13参照)。
【0057】
このように前記台紙本体50と前記吊り下げ部材60とを上部側で密接に組み合わせると、前記ハンガー付き台紙1や前記ハンガー付き台紙2においては衣類Cの重さによって前傾しがちであった前記台紙本体50の姿勢が、前傾することなくまっすぐな状態を保ちつつハンギング陳列することが可能となるため、見た目が美麗であることに加え、荷重が分散されるために耐久性もより高まる。
【0058】
また、本実施の形態においては、前記吊り下げ部材60の前記胴部64にクリップ部65を形成した都合上、余白となる面積が前記ハンガー付き台紙1よりも狭くなっているため、前記胴部64を用いて印刷またはシール貼り付けによる表示を行うことは少々困難がある。
【0059】
その一方、本実施の形態においては、前記台紙本体50の前記上端縁56側の左右両端の余白となる面積は前記ハンガー付き台紙1よりも広くなっているため、この箇所を用いて印刷またはシール貼り付けによる表示を行うことが可能となる。
【0060】
図14および
図15は本発明の第4の実施の形態を示す図であり、このハンガー付き台紙4は、前記
図10および
図11に示した本発明の第2の実施の形態と比較して、吊り下げ部材が、襟芯部31を構成する襟芯部品30と、フック部71を構成するフック部品70とからなる2つの部品が分離・結合可能に組み合わせられてなる点においては前記ハンガー付き台紙2と同様であるが、本実施の形態においては、前記フック部品70の形状が異なるものである。なお、前記台紙本体50については前記ハンガー付き台紙3において説明したものと同一であるため説明を省略する。
【0061】
詳細に説明すると、前記フック部品70は、フック部71と、前記フック部71の下部に形成された胴部72と、前記胴部72の下部に形成されたヒンジ部73と、前記ヒンジ部73の下部に形成されたT字状の係合片74と、前記ヒンジ部73の下部に形成されて前記係合片74の外側に位置する補強片75とからなり、前記係合片74を前記フック部品70の背面側から押し上げることで前記係合片74が前記補強片75から独立して起立し、前記襟芯部品30の前記係合孔32に前記係合片74を挿入することで係合し、同時に前記襟芯部31の背面側に前記補強片75が位置して前記係合片74と前記補強片75で前記襟芯部31を挟持するものであるところまでは前記ハンガー付き台紙2と同様であるが、前記本実施の形態においては、前記胴部72において、前記台紙本体50の上端縁56に係止可能なクリップ部76が切り込みによって形成されている点において異なる。
【0062】
本実施の形態においては、前記台紙本体50の前記上端縁56を前記フック部品70の前記クリップ部76で係止することによって、前記台紙本体50と前記フック部品70(吊り下げ部材)とを上部側で密接に係合させることができる(
図13参照)。
【0063】
このように前記台紙本体50と前記フック部品70(吊り下げ部材)とを上部側で密接に係合させると、前記ハンガー付き台紙1や前記ハンガー付き台紙2においては衣類Cの重さによって前傾しがちであった前記台紙本体50の姿勢が、前傾することなくまっすぐな状態を保ちつつハンギング陳列することが可能となるため、見た目が美麗であることに加え、荷重が分散されるために耐久性もより高まる。
【0064】
また、前記ハンガー付き台紙3と同様に、前記台紙本体50の前記上端縁56側の左右両端の余白を用いて印刷またはシール貼り付けによる表示を行うことが可能である。
【0065】
なお、本発明の各実施の形態における台紙本体および吊り下げ部材の形状は図示した形状に限られるものではなく、衣類の形状や使用目的に応じて寸法を含めた各部形状を適宜変更することが可能である。
【0066】
以上の通り、本発明によれば、吊り下げ部材を台紙本体の差込用スリットに挿通させてヒンジ部を軸に折り曲げた構成としたことによって、前記差込用スリットを支点として力が分散されるため、仮に下方向に強い力が加わったとしても前記吊り下げ部材や前記台紙本体が破損するおそれがなく、更に、前記吊り下げ部材におけるフック部と反対側に位置する前記襟芯部が衣類の襟に装着されており、前記襟芯部によって所定の位置に衣類の襟を保持できるため、ハンギング陳列時の見た目も非常に美麗なものとすることができる。
【0067】
加えて、ヒンジ部を軸に前記吊り下げ部材を折り曲げることによって、前記フック部が前記台紙本体の上端縁から突出している状態と、前記フック部が前記台紙本体の上端縁から突出していない状態とを切り替え可能としたことによって、搬送・保管時においては前記フック部を前記台紙本体の上端縁から突出していない状態に収納することで邪魔にならず省スペースに搬送・保管することができる。
【符号の説明】
【0068】
1,2,3,4 ハンガー付き台紙、10 台紙本体、11 差込用スリット、12 裾保持部、13 第1裾保持孔、14 第2裾保持孔、15 第3裾保持孔、16 上端縁、17 下端縁、20 吊り下げ部材、21 襟芯部、22 フック部、23 ヒンジ部、24 胴部、26 胴部、27 ヒンジ部、28 胴部、30 襟芯部品、31 襟芯部、32 係合孔、40 フック部品、41 フック部、42 胴部、43 ヒンジ部、44 係合片、45 補強片、50 台紙本体、51 差込用スリット、52 裾保持部、53 第1裾保持孔、54 第2裾保持孔、55 第3裾保持孔、56 上端縁、57 下端縁、60 吊り下げ部材、61 襟芯部、62 フック部、63 ヒンジ部、64 胴部、65 クリップ部、70 吊り下げ部品、71 フック部、72 胴部、73 ヒンジ部、74 係合片、75 補強片、76 クリップ部、C 衣類、Cc 襟、Ch 裾、Cs 袖、L1 フック部の先端とヒンジ部の間の長さ、L2,L3 台紙本体の上端縁と差込用スリットの間の長さ、W1 差込用スリットの横幅、W2 胴部の横幅、W3 襟芯部の横幅