(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057511
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】防災住宅
(51)【国際特許分類】
E04H 9/14 20060101AFI20230414BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20230414BHJP
E04H 1/02 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
E04H9/02 301
E04H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021180640
(22)【出願日】2021-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】506010345
【氏名又は名称】有限会社坂根環境デザイン事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂根 範昭
【テーマコード(参考)】
2E025
2E139
【Fターム(参考)】
2E025AA03
2E139AA07
2E139AB21
2E139AC19
(57)【要約】
【課題】従来の災害防止対策は、河川や海岸に堤防や水門、防潮堤、防波堤など大規模な土木構造物で災害防止対策を行ってきているが、確実な災害防止対策とはなっていないのが実状であり、災害に備えて自分の家の安全対策をしておく必要がある。水害、雪害、土砂災害などから居住構造物の安全性を確保する対策として、居住スペースの高さを垂直方向に昇降調整させることが可能な防災住宅を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明に係る構造は、支持杭上に設置したボックスカルバートによる組立て家屋の構造体において、梁部に昇降機構を取付け、梁部に形成した昇降機構用貫通孔を介して土台吊り上げ装置を可動土台に接続し、その可動土台は居住スペースの全床面が設置できる構成となっている。これにより、ボックスカルバートの並列した壁に案内されて摺動し、居住スペースを十分な高さに上昇させて浸水や水没を避け、人命や財産を守ることが可能となる。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列された2枚の壁の頭部をつないだ門形と、頭部と脚部をつないだロ形やロ形の架構造を構成している鉄骨、鉄筋コンクリート造(以下「ボックスカルバート2」という。)による組立て家屋の構造体において、居住スペースの高さを昇降調整できることが可能なものであることを特徴とする防災住宅。
【請求項2】
請求項1に記載の防災住宅は、ボックスカルバート2の梁部に昇降機構4と変換装置5を取付け、ボックスカルバート2の並列した壁の対向面上部の梁部に形成した一対の土台吊り上げ機具用貫通孔1を介してワイヤロープ、チェーン、ラック桁、スピンドル棒、シリンダーロッド等(以下「土台吊り上げ機具7」という。)を可動土台14に接続し、その可動土台14はボックスカルバート2の筒軸に対して水平で、ボックスカルバート2の側壁への嵌め込みガイドフレーム36部と建物用壁体16を囲むコの字型の着脱式ガイドシュー9を連結し、嵌め込みガイドフレーム36と着脱式ガイドシュー9に取り付けられたガイドローラ12によりボックスカルバート2の側壁と建物用壁体16の壁面に、垂直方向に設置されたガイドレール13に案内されて摺動し、可動土台14の高さを昇降調整させることが可能なことを特徴とする防災住宅。
【請求項3】
請求項2に記載の昇降機構4は電動操作を主操作とし、停電時や電動機の故障時は手動操作や自重降下操作や自動浮上操作が可能に形成されていることを特徴とする防災住宅。
【請求項4】
請求項2乃至3に記載の昇降機構4は、災害時に外部からの給電が停止されても蓄電装置26から所要の電力が供給される構造であるとともに、電力補充が可能なように自家発電装置22が付設されたことを特徴とする防災住宅。
【請求項5】
請求項4に記載の蓄電装置26への電力補充は、太陽光発電や風力発電など、自然の力を利用したエネルギー(以下「再生可能エネルギー」という。)を蓄電手段とし蓄電装置26が付設されたことを特徴とする防災住宅。
【請求項6】
請求項2に記載の可動土台14は、走行手段を有し、牽引車に牽引されて移動することができるシャシー車台37で、脱着式トレーラーハウス分割1ユニット31をトレーラー41で牽引運搬できる構造で、請求項1に記載のボックスカルバート2の並列された側壁に嵌め込み可能な嵌め込みガイドフレーム36が形成されていることを特徴とする防災住宅。
【請求項7】
請求項1に記載の防災住宅は、居住スペースの高さを昇降調整させることが可能であり、その昇降調整に対応した傾斜路、階段その他の昇降機の勾配が自動に調整できる構造のスロープ階段24が付設されたことを特徴とする防災住宅。
【請求項8】
請求項1に記載の防災住宅は、構造体のボックスカルバート2の底版の上を越えて敷設されるプレキャスト鉄筋コンクリート造スラブ(以下「PCスラブ3」という。)により構成された組立て家屋の構造体であって、地面に敷設した構造体のボックスカルバート2やPCスラブ3に、地中に打ち込んだ支持杭25に固定する連結調整固定金具19を備えた防災住宅。
【請求項9】
請求項1に記載の防災住宅は、格納棚67を可動土台14に一段若しくは複数段、設けて高さを昇降調整できることが可能に形成されていることを特徴とする防災住宅。
【請求項10】
請求項1に記載の防災住宅は、複数のボックスカルバート2による組立て家屋の構造体において、水平方向及び垂直方向に連設して縦横に集合的な居住スペースを構成し、その居住スペースの高さを個々に若しくは一体的、連動的に昇降調整させることが可能に形成されていることを特徴とする防災住宅。
【請求項11】
請求項1に記載の防災住宅は、居住スペースの床下に配置されている各設備の配管や配線において、居住スペースの高さの昇降に対応できる伸縮可能な構造であるフレキシブル管23が付設されたことを特徴とする防災住宅。
【請求項12】
請求項1に記載の防災住宅は、ボックスカルバート2の梁部に取付けた昇降機構4の昇降安全装置27として、室内及び屋外に複数の人感センサーや障害物センサーを備え、障害物を検出した場合に赤色灯が点滅する機能や緊急停止機構を備えたことを特徴として成る防災住宅。
【請求項13】
請求項1に記載の防災住宅は、屋根上の積雪層を可撓性シート51の滑り作用により移動し、屋根上の積雪層を可撓性シート51と共に滑落させることを特徴とする雪降ろしシート装置を備えた防災住宅。
【請求項14】
請求項13に記載の雪降ろしシート装置は、屋根の上に可撓性シート51が設置され、屋根傾斜面に垂れ伸ばして屋根全体を覆い、棟部に設置した巻き上げ装置52に可撓性シート51を紐、ロープ、ワイヤー、金具などの線材61を連結棒57と固定具85で連結し、ケラバ乃至隅棟部の傾斜面に沿ってガイドレール63を備え、可撓性シート51の一辺縁部の固定具の連結棒57の両端部に設置したガイドローラ62がガイドレール63に案内されて摺動する構成となっている。また、可撓性シート51は少なくとも上面側屋根シートと下面側屋根シートの二層乃至複数層の屋根シートで形成された撥水性乃至防水性を有する複層の可撓性防水シート材で形成されたことを特徴とする雪降ろしシート装置を備えた防災住宅。
【請求項15】
請求項14に記載の上面側屋根シートと下面側屋根シートは、一枚の屋根シートを折り返して二層乃至複数層の屋根シートを形成した構造で、上面側屋根シートは、表裏面それぞれ摩擦係数が異なり、表面は摩擦係数の大きい材質を備え、裏面は摩擦係数の小さい材質より形成されたことを特徴とする雪降ろしシート装置を備えた防災住宅。
【請求項16】
請求項14乃至15に記載の下面側屋根シートは、表裏面それぞれ摩擦係数が異なり、表面は摩擦係数の小さい材質を備え、裏面は衝撃吸収材の屋根保護体66で摩擦係数の大きい材質より形成されたことを特徴とする雪降ろしシート装置を備えた防災住宅。
【請求項17】
請求項1乃至13に記載の防災住宅は、可動土台14を載置する建物用基礎部材17において、着脱可能な可動式である脱着式建物用基礎部材29で形成されていることを特徴とする防災住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水害や雪害や土砂災害などの自然災害や人災に対して、居住スペースや財産乃至車輌などの格納棚を十分な高さに上昇させて災害から人命や財産を守ることが可能な防災住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
河川の氾濫や高潮や土砂災害などの水害若しくは雪害は、人命や財産の消失被害をもたらし、居住スペースや床下に入り込んだ大量の泥や瓦礫、若しくは屋根や軒下の積雪を取り除く作業に掛かる経費や時間および労力は甚大なものがある。
【0003】
従来から、河川や海岸に堤防や水門、防潮堤、防波堤など大規模な土木構造物が建設され、多くの公共投資が行われてきてはいるが、完全な災害防止対策とはなっていない。また、近年では水道本管の破損による水害の報告も多くなっており、水道管の老朽化による破損や交換工事において、いつでもどこでも起こり得る人災による水害である。
【0004】
一般の住民が行うことのできる浸水被害防止策として地盤の嵩上げや土嚢を積んで遮水するなどして浸水を防止している。
【0005】
また、積雪地域では、玄関前の積雪が出入口を塞ぐため除雪が必要となるとともに、屋根に積もった雪の雪下ろしも必要であり、屋根に上ってスコップで切り取って投げ落とす雪下ろしを行っているが、大変な重労働であり、屋根からの転落事故や落雪事故も絶えない危険な作業である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許6864391
【特許文献2】特許6691633
【特許文献3】特開2007-126862
【特許文献4】実登3110611
【特許文献5】特開2000-274038
【特許文献6】特許3642747
【特許文献7】実登3122843
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、浸水を防止するための各種の装置が開発され、増水に対して住宅を水上に浮上させて居住スペースへの浸水を防止する技術についての提案がある(例えば、特許文献1や特許文献4参照)。しかし、増水が治まり減水に従って住宅が自然降下するものの、住宅基礎部や床下に入り込んだ大量の泥や瓦礫や流木等の漂流物を取り除かない状態では、住宅が定位置に収まらない可能性が高いという課題がある。
【0008】
また、津波、洪水、地震及び土石流などが発生した場合にそれらの影響を受けないように居住スペースを上方へ移動させることが可能で、地面GLの下に埋設された基礎コンクリートに支持される複数の支柱に案内されて摺動し、居住スペースの可動土台を上方へ移動させる構造についての提案がある(例えば、特許文献2や特許文献3参照)。しかし、特許文献2では、居室部の中央内部に支柱が鉛直方向へ貫通するように形成されるため、構造上居住スペースを広く確保する事が困難な可能性が高いという課題がある。また、特許文献3では、モーターを駆動させワイヤロープを介して吊り上げる構造であるが、地面GLから床下の外部空間での巻き上げられるワイヤロープや動滑車や定滑車が露出した構造で、流木等の漂流物での損傷や切断の可能性が高いという課題がある。
【0009】
また、雪下ろしに対して近年、屋根に降り積もった雪を屋根に上に登らなくても屋根の上の雪を下ろすことができるようにするための種々の雪下ろし装置が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、複雑で機械的に駆動源を必要とする雪下ろし装置は、設置部材や設置工程が多く故障や保持点検が多くなるとともに、大掛かりで経済的に一般市民が使用するには高価すぎる問題点を有していることが課題である。
【0010】
また、機械的に駆動源を必要としない落雪シートを設置した自然落雪を促進さる効果も提案されている(例えば、特許文献6や特許文献7参照)。しかしながら、不規則な落雪が頻繁に起こり、軒下の落雪事故や被害が起こりやすく、また自然落雪しないで残った積雪を取り除く場合に、摩擦係数を減らした特殊シートの屋根上は、滑りやすく転落事故の可能性も多くなる危険が発生する可能性が高いという課題がある。
【0011】
また、上記提案の機械的に駆動源を必要とする雪下ろし装置や落雪シートを設置した人的調整落雪や自然落雪を促進さる提案も、軒下の落雪は、玄関前の出入口を塞ぐため除雪が必要となり、いまだに多くの人手と費用が要る事などの根本的課題があると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に係る防災住宅は、並列された2枚の壁の頭部をつないだ門形と、頭部と脚部をつないだロ形やロ形の架構造を構成している鉄骨、鉄筋コンクリート造(以下「ボックスカルバート2」という。)による組立て家屋の構造体において、居住スペースの高さを昇降調整できることが可能で、水位の急激な上昇に対して居住スペースを十分な高さに上昇させ、水害から守ることができ、雪害や土砂災害に対しても居住スペースの安全を確保することができる。すなわち、ボックスカルバート2の並列した2枚以上の壁に案内されて摺動し、居住スペースを十分な高さに上昇させて浸水や水没を避け、人命や財産を守ることが可能となる。また、積雪による地面GLからの出入りが困難となる場合、居住スペースを十分な高さに上昇させてスムーズな出入りを可能とする。
【0013】
請求項1に係る防災住宅は、ボックスカルバート2の梁部に昇降機構4と変換装置5を取付け、ボックスカルバート2の並列した壁の対向面上部の梁部に形成した一対の土台吊り上げ機具用貫通孔1を介してワイヤロープ、チェーン、ラック桁、スピンドル棒、シリンダーロッド等(以下「土台吊り上げ機具7」という。)を可動土台14に接続し、その可動土台14はボックスカルバート2の筒軸に対して水平で、ボックスカルバート2の側壁への嵌め込みガイドフレーム36部と建物用壁体16を囲むコの字型の着脱式ガイドシュー9を連結し、嵌め込みガイドフレーム36と着脱式ガイドシュー9に取り付けられたガイドローラ12によりボックスカルバート2の側壁と建物用壁体16の壁面に、垂直方向に設置されたガイドレール13に案内されて摺動し、可動土台14の高さを昇降調整させることが可能である。すなわち、ボックスカルバート2の梁上部に昇降機構4と変換装置5を取付け、土台吊り上げ機具7を可動土台14に接続し、可動土台14に配置された居住スペースを垂直方向に昇降調整させることが可能となる。また、昇降機構4と変換装置5を地面GLより高い位置に設置され浸水や水没から守り、故障したり破損したりする可能性を軽減し、点検や保守も容易である。
【0014】
請求項2に記載の昇降機構4は電動操作を主操作とし、停電時や電動機の故障時は手動操作や自重降下操作や自動浮上操作が可能である。すなわち、電動操作を主操作とする昇降機構4は、不測の事態に十分に対応でき、手動操作や自重降下操作や自動浮上フロート操作や自動浮上型地下施設などの、自動浮上で対応できる機能を有している。
【0015】
請求項2乃至3に記載の昇降機構4は、災害時に外部からの給電が停止されても蓄電装置26から所要の電力が供給される構造であるとともに、電力補充が可能なように自家発電装置22が付設されたことを特徴とする。すなわち、不測の事態に十分に対応できる機能として、居住スペース内で生活する上での必要な電力が蓄電池によって補われると共に、電動操作を主操作とする昇降機構4の給電も補われる。
【0016】
請求項4に記載の蓄電装置26への電力補充は、太陽光発電や風力発電など、自然の力を利用したエネルギー(以下「再生可能エネルギー」という。)を蓄電手段とし蓄電装置26が付設されたことを特徴とする。すなわち、不測の事態に十分に対応できる機能として、居住スペース内で生活する上での必要な電力や、電動操作を主操作とする昇降機構4の電力を補う機能を有している。
【0017】
請求項2に記載の可動土台14は、走行手段を有し、牽引車に牽引されて移動することができるシャシー車台37で、脱着式トレーラーハウス分割1ユニット31をトレーラー41で牽引運搬できる構造で、請求項1に記載のボックスカルバート2の並列された側壁に嵌め込み可能な嵌め込みガイドフレーム36が形成されていることを特徴とする。すなわち、シャシー車台37は居住スペースの全床面が設置できる可動土台14構造で、組立て家屋の構造体であるボックスカルバート2に嵌め込み可能な可動土台14の機能を有している。よって、居住スペースの構築は、現場だけでなく工場生産も可能となり、居住スペースの完成品又は半製品をトレーラー41で牽引運搬して現場での設置が可能となり、建築費の低減および建築期間の短縮化も図れる。また、災害時の被災地域にて、必要となる仮設の居住施設や宿泊施設や用途限定構造施設(例えば、情報、管理、医療、倉庫、浴室、トイレ、調理、保育、休憩、喫煙施設など)を工場生産可能地域から、必要に応じて種々多様な種類の施設を補給できる機能を有している。
【0018】
請求項1に記載の防災住宅は、居住スペースの高さを昇降調整させることが可能であり、その昇降調整に対応した傾斜路、階段その他の昇降機の勾配が自動に調整できる構造のスロープ階段24が付設されたことを特徴とする。すなわち、居住スペースを必要な高さに上昇又は下降させた状態でも、居住スペースに常時アプローチできる機能を有しているスロープ階段24である。
【0019】
請求項1に記載の防災住宅は、構造体のボックスカルバート2の底版の上を越えて敷設されるプレキャスト鉄筋コンクリート造スラブ(以下「PCスラブ3」という。)により構成された組立て家屋の構造体であって、地面に敷設した構造体のボックスカルバート2やPCスラブ3に、地中に打ち込んだ支持杭25に固定する連結調整固定金具19を備えた構造である。すなわち、組立て家屋の構造体であるボックスカルバート2とPCスラブ3を安定して支持でき、水害によって状態変化が生じても構造体に影響を及ぼすことなく支持することができる。また、土砂の流出や洗掘又は地盤変動によって不等沈下が生じても、連結調整固定金具19にてレベル調整が容易に可能である。
【0020】
請求項1に記載の防災住宅は、格納棚67を可動土台14に一段若しくは複数段、設けて高さを昇降調整できることが可能に形成されていることを特徴とする駐車設備であり、水位の急激な上昇に対して、車輌72の格納棚67を十分な高さに上昇させて水害から守ることができる。すなわち、ボックスカルバート2の梁上部に昇降機構4と変換装置5を取付け、土台吊り上げ機具7を可動土台14に接続し、可動土台14に配置された車輌72の格納棚67を垂直方向に上昇させ、車輌や財産を水害による浸水や水没から守ることが可能となる。また、積雪地域では居住スペースを十分な高さに上昇させて、床下に車輌72を保管して積雪を避け、地面GLからの出入りが可能な機能も有している。
【0021】
請求項1に記載の防災住宅は、複数のボックスカルバート2による組立て家屋の構造体において、水平方向及び垂直方向に連設して縦横に集合的な居住スペースを構成し、その居住スペースの高さを個々に若しくは一体的、連動的に昇降調整させることが可能に形成されていることを特徴とする。すなわち、組立て家屋の構造体であるボックスカルバート2が1基とPCスラブ3が1対を1ユニットとし、ボックスカルバート2の梁上部に昇降機構4と変換装置5を取付け、土台吊り上げ機具7を可動土台14に接続し、可動土台14に配置された居住スペースが複数ユニット連結して成る防災住宅である。昇降機構4と変換装置5も複数ユニットで連動して昇降調整ができる構造として、連結軸8で連結して成るものや、電子制御にて一体的、連動的に昇降調整が可能な機能も有している。
【0022】
請求項1に記載の防災住宅は、居住スペースの床下に配置されている各設備の配管や配線において、居住スペースの高さの昇降に対応できる伸縮可能な構造であるフレキシブル管23が付設されたことを特徴とする。すなわち、居住スペースを必要な高さに上昇又は下降させた状態でも、居住スペース内で生活する上で支障のないように、各設備の配管や配線が機能できるように伸縮可能でフレキシブルな機能を有している。
【0023】
請求項1に記載の防災住宅は、ボックスカルバート2の梁部に取付けた昇降機構4の昇降安全装置27として、室内及び屋外に複数の人感センサーや障害物センサーを備え、障害物を検出した場合に赤色灯が点滅する機能や緊急停止機構を備えたことを特徴とする。すなわち、障害物センサーによる障害物の検出により、昇降装置に伝動する伝動機構を中立状態へ自動で切換えて昇降機構4を停止させる機能と障害物を検出した場合に赤色灯が点滅する機能と報知する機能(例えば、障害物を検出しているため点滅しているボタンを押すことにより、居住スペースが上昇又は下降する旨をアナウンスする)のアナウンスを告げる機能も有している。
【0024】
請求項1に記載の防災住宅は、屋根上の積雪層を可撓性シート51の滑り作用により移動し、屋根上の積雪層を可撓性シート51と共に滑落させることを特徴とする雪降ろしシート装置を備えた構造である。すなわち、人が屋根の上に登らなくても、屋根の上に積もった雪を効果的に滑落させる機能を有していることである。また、屋根の形状は様々で取り付けパターンはいろいろと考えられるが、屋根の傾斜に沿って可撓性シート51で覆い、棟部に可撓性シート51の一辺縁部を丈夫な紐、ロープ、ワイヤー、金具などの線材61を連結棒57と固定具85で連結し、巻き上げ装置52を開放させて斜面に沿って可撓性シート51と積雪69と一緒に落下させる機能を有している。
【0025】
請求項13に記載の雪降ろしシート装置は、屋根の上に可撓性シート51が設置され、屋根傾斜面に垂れ伸ばして屋根全体を覆い、棟部に設置した巻き上げ装置52に可撓性シート51を紐、ロープ、ワイヤー、金具などの線材61を連結棒57と固定具85で連結し、ケラバ乃至隅棟部の傾斜面に沿ってガイドレール63を備え、可撓性シート51の一辺縁部の固定具の連結棒57の両端部に設置したガイドローラ62がガイドレール63に案内されて摺動する構成となっている。また、可撓性シート51は少なくとも上面側屋根シートと下面側屋根シートの二層乃至複数層の屋根シートで形成された撥水性乃至防水性を有する複層の可撓性防水シート材で形成されたことを特徴とする雪降ろしシート装置を備えたことを特徴とする。すなわち、人が屋根の上に登らなくても、屋根の上に積もった雪を効果的に滑落させる機能を有している。また、屋根の傾斜に沿って二層乃至複数層の可撓性シート51で覆い、棟部に二層乃至複数層の各可撓性シート51の一辺縁部を丈夫な紐、ロープ、ワイヤー、金具などの線材61を連結棒57と固定具85で連結し、巻き上げ装置52を開放させて斜面に沿って可撓性シート51と積雪69と一緒に落下させ、複数回落下させることが可能な機能を有している。
【0026】
請求項14に記載の上面側屋根シートと下面側屋根シートは、一枚の屋根シートを折り返して二層乃至複数層の屋根シートを形成した構造で、上面側屋根シートは、表裏面それぞれ摩擦係数が異なり、表面は摩擦係数の大きい材質を備え、裏面は摩擦係数の小さい材質より形成されたことを特徴とする雪降ろしシート装置を備えたことを特徴とする。すなわち、屋根傾斜面に垂れ伸ばした一枚の可撓性シート51を折り返して二層にして敷設し、上側の可撓性シート51に凸凹加工処理した摩擦抵抗の大きい表面に積雪させ、積雪の自然落下を防ぎ、雪止め効果を補う。上側の可撓性シート51裏面と下側の可撓性シート51上面は摩擦抵抗が小さく加工して、上側の可撓性シート51が積雪と一緒にスムーズに落下させることが可能な機能を有している。また、この雪降ろしシート装置は繰り返して使用でき、可撓性シート51が積雪69と一緒に落下した軒側に垂れ伸びた可撓性シート59、垂れ伸びた可撓性シート60の一辺縁部に丈夫なロープ、ワイヤーの線材61を連結棒57と固定具85で連結されており、その線材61を巻き上げ装置52で巻き上げて元の場所に復帰できる機能を有している。
【0027】
請求項14乃至15に記載の下面側屋根シートは、表裏面それぞれ摩擦係数が異なり、表面は摩擦係数の小さい材質を備え、裏面は衝撃吸収材の屋根保護体66で摩擦係数の大きい材質より形成されたことを特徴とする雪降ろしシート装置を備えたことを特徴とする。すなわち、一枚の可撓性シート51を折り返して二層にして敷設し、下側の可撓性シート51上面は摩擦抵抗が小さく加工してスムーズな滑り効果を有すると共に下面は屋根保護のため、屋根の形状や意匠に沿って加工処理した発泡体を装着した可撓性シート51であって、摩擦抵抗の大きい材質で滑りにくい機能を有している。
【0028】
請求項1乃至13に記載の防災住宅は、可動土台14を載置する建物用基礎部材17において、着脱可能な可動式である脱着式建物用基礎部材29で形成されていることを特徴とする。すなわち、ボックスカルバート2とボックスカルバート2間の脱着式建物用基礎部材29が可動式であることにより、水害の増水が治まり減水に従って、床下に入り込んだ大量の泥や瓦礫や流木等の漂流物を取り除くに必要な作業空間となり、はき出し口として機能する。また、積雪地域ではこの脱着式建物用基礎部材29が可動式であることにより、居住スペースを十分な高さに上昇させて、床下に車輌54を保管して積雪69を避け、地面GLからの出入りが可能な空間が構成できる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、組立て家屋の構造体において、ボックスカルバート2の梁上部に昇降機構4と変換装置5を取付け、可動土台14に配置された居住スペースを垂直方向に昇降調整でき、十分な高さに上昇させて浸水や水没を避け、水害から人命や財産を守ることが可能である。また、雪害や土砂災害に対しても居住スペースの安全を確保できる。
【0030】
また、組立て家屋の構造体において、ボックスカルバート2の梁上部に昇降機構4と変換装置5を取付け、可動土台14に配置された車輌72の格納棚67を垂直方向に上昇させ、車輌や財産を水害による浸水や水没から守ることが可能である。また、積雪地域では居住スペースを十分な高さに上昇させて、床下に車輌67を保管して積雪69を避け、地面GLからの出入りが可能となる。
【0031】
また、組立て家屋の構造体において、ボックスカルバート2とPCスラブ3を地中に打ち込んだ支持杭25に固定し、水害によって状態変化が生じても構造体に影響を及ぼすことなく安定して支持することができる。また、土砂の流出や洗掘又は地盤変動によって不等沈下が生じても容易に沈下修正ができる。
【0032】
本発明によれば、電動操作を主操作とする昇降機構4は、不測の事態に十分に対応できる機能として、手動操作や自重降下操作や自動浮上フロート操作などに対応でき、居住スペース内で生活する上での必要な電力が蓄電装置26によって補われると共に、電動操作を主操作とする昇降機構4の給電も補われる。蓄電手段の電力補充は、太陽光発電や風力発電など、自然の力である再生可能エネルギーの利用設備を備えていることを特徴とするものである。
【0033】
また、組立て家屋の構造体において、可動土台14は走行手段を有し、牽引車に牽引されて移動することができる脱着式トレーラーハウス分割1ユニット31で、シャシー車台37は居住スペースの全床面が設置できる可動土台14構造で、組立て家屋の構造体であるボックスカルバート2に嵌め込み可能な可動土台14の機能を有している。よって、居住スペースの構築は、現場だけでなく工場生産も可能となり、居住スペースの完成品又は半製品をトレーラー41で牽引運搬して現場での設置が可能となり、建築費の低減および建築期間の短縮化も図れる。また、災害時の被災地域にて、必要となる仮設の居住施設や宿泊施設や用途限定構造施設(例えば、情報、管理、医療、倉庫、浴室、トイレ、調理、保育、休憩、喫煙施設など)を工場生産可能地域から、必要に応じて種々多様な種類の施設を被災地域に補給できる。
【0034】
請求項1に係る防災住宅は、居住スペースを必要な高さに上昇又は下降させた状態でも、居住スペースに常時アプローチできる機能を有しているスロープ階段24である。
【0035】
本発明によれば、組立て家屋の構造体であるボックスカルバート2が1基とPCスラブ3が1対を1ユニットとし、ボックスカルバート2の梁上部に昇降機構4と変換装置5を取付け、土台吊り上げ機具7を可動土台14に接続し、可動土台14に配置された居住スペースが複数ユニット連結して成る防災住宅である。昇降機構4と変換装置5も複数ユニットで連動して昇降調整ができる構造として、駆動軸8で連結して成るものや、電子制御にて一体的、連動的に昇降調整も可能である。また、居住スペースを上昇時又は下降時の事故防止の安全対策として、室内及び屋外に複数の人感センサーや障害物センサーなどを備え、センサーによる障害物の検出により、昇降装置に伝動する伝動機構を中立状態へ自動に切換えて昇降機構4を停止させる機能と障害物を検出した場合に赤色灯が点滅する機能と報知する機能(例えば、障害物を検出しているため点滅しているボタンを押すことにより、居住スペースが上昇又は下降する旨をアナウンスする。)のアナウンスを告げる機能も有している。
【0036】
本発明によれば、居住スペースを必要な高さに上昇又は下降させた状態でも、居住スペース内で生活する上で支障のないように、各設備の配管や配線が機能できるように伸縮可能でフレキシブルな機能を有している。
【0037】
本発明によれば、人が屋根の上に登らなくても、屋根の上に積もった雪を効果的に滑落させることができる。
【0038】
本発明によれば、積雪地域の玄関前は、落雪や積雪により出入口を塞がれ除雪が必要となるが、居住スペースを必要な高さに上昇させて、落雪や積雪の雪上から出入りが可能となる機能も有している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】 本発明に係る防災住宅の組立て家屋の構造体の平面図である。
【
図2】 本発明に係る防災住宅の組立て家屋の構造体の斜視図である。
【
図10】 本発明に係る防災住宅の組立て家屋の構造体の各構造を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図11】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を平常時の下降した状態で昇降機構4と交換装置5(ラック桁若しくはスピンドル棒若しくはシリンダーロッド等)の突起棒がある場合の詳細構造を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図12】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を上昇させた状態で昇降機構4と交換装置5(ラック桁若しくはスピンドル棒若しくはシリンダーロッド等)の突起棒がある場合の斜視図である。
【
図13】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を上昇させた状態で昇降機構70と交換装置71(ワイヤロープ若しくはチェーン等)の突起棒がない場合の斜視図である。
【
図14】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を平常時の下降した状態で昇降機構4と交換装置5(ラック桁若しくはスピンドル棒若しくはシリンダーロッド等)の突起棒がある場合の各詳細構造(スロープ階段24及びフレキシブル管23の設備管等追記)を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図15】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を上昇させた状態で昇降機構4と交換装置5(ラック桁若しくはスピンドル棒若しくはシリンダーロッド等)の突起棒がある場合の各詳細構造(スロープ階段24及びフレキシブル管23の設備管等追記)を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図16】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を平常時の下降した昇降機構4と交換装置5(ラック桁若しくはスピンドル棒若しくはシリンダーロッド等)の突起棒がある場合の防災住宅外観を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図17】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を上昇させた状態で昇降機構4と交換装置5(ラック桁若しくはスピンドル棒若しくはシリンダーロッド等)の突起棒がある場合の防災住宅外観を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図18】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を平常時の下降した状態で昇降機構70と交換装置71(ワイヤロープ若しくはチェーン等)の突起棒がない場合の防災住宅外観を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図19】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を上昇させた状態で昇降機構70と交換装置71(ワイヤロープ若しくはチェーン等)の突起棒がない場合の防災住宅外観を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図20】 本発明に係る防災住宅の長手方向に昇降機構4と交換装置5を屋外に設置し、可動土台14を平常時の下降した状態を示した斜視図である。
【
図21】 本発明に係る防災住宅の長手方向に昇降機構4と交換装置5を屋外に設置し、可動土台14を上昇させた状態を示した斜視図である。
【
図22】 本発明に係る防災住宅の短手方向に昇降機構4と交換装置5を屋外に設置し、可動土台14を平常時の下降した状態を示した斜視図である。
【
図23】 本発明に係る防災住宅の短手方向に昇降機構4と交換装置5を屋外に設置し、可動土台14を上昇させた状態を示した斜視図である。
【
図24】 本発明に係る防災住宅の駐車設備であり、車輌72の格納棚67を平常時の下降した状態で、昇降機構70と交換装置71(ワイヤロープ若しくはチェーン等)の突起棒がない場合の駐車設備外観を示す側面図である。
【
図25】 本発明に係る防災住宅の駐車設備であり、車輌72の格納棚67を上昇させた状態で、昇降機構70と交換装置71(ワイヤロープ若しくはチェーン等)の突起棒がない場合の駐車設備外観を示す側面図である。
【
図26】 本発明に係る防災住宅の脱着式トレーラーハウスでの完成品又は半製品の牽引車運搬可能分割イメージの外観を示す斜視図である。
【
図27】 本発明に係る防災住宅の脱着式トレーラーハウスでの折りたたみ式屋根32及び折りたたみ式壁33など(高さ制限対策)牽引車運搬可能対策イメージの外観を示す斜視図である。
【
図28】 本発明に係る防災住宅の組立て家屋の構造体と脱着式トレーラーハウスの折りたたみ及び組立イメージの外観を示す斜視図その1である。
【
図29】 本発明に係る防災住宅の組立て家屋の構造体と脱着式トレーラーハウスの折りたたみ及び組立イメージの外観を示す斜視図その2である。
【
図30】 本発明に係る雪降ろしシート装置を備えた防災住宅の斜視図である。
【
図31】 本発明に係る雪降ろしシート装置を備えた防災住宅で、折り返して雪降ろしシートを形成し、滑り作用による屋根上の積雪層を可撓性シート51と共に滑落させるイメージ斜視図その1である。
【
図32】 本発明に係る雪降ろしシート装置を備えた防災住宅で、折り返して雪降ろしシートを形成し、滑り作用による屋根上の積雪層を可撓性シート51と共に滑落させるイメージ斜視図その2である。
【
図33】 本発明に係る雪降ろしシート装置を備えた防災住宅で、折り返して雪降ろしシートを形成し、滑り作用による屋根上の積雪層を可撓性シート51と共に滑落させるイメージ斜視図その3である。
【
図34】 本発明に係る雪降ろしシート装置を備えた防災住宅の可動土台14を平常時の下降した状態で昇降機構70と交換装置71(ワイヤロープ若しくはチェーン等)の突起棒がない場合の防災住宅外観を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図35】 本発明に係る雪降ろしシート装置を備えた防災住宅の可動土台14を上昇させた状態で昇降機構70と交換装置71(ワイヤロープ若しくはチェーン等)の突起棒がない場合の防災住宅外観を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図36】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を平常時の下降した状態で、居住スペースと昇降機構70と交換装置71が複数ユニット連結して成る防災住宅の構造体の各構造を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図37】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を平常時の下降した状態で、居住スペースと昇降機構70と交換装置71が複数ユニット連結して成る防災住宅の外観を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図38】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を上昇させた状態で、居住スペースと昇降機構70と交換装置71が複数ユニット連結して成る防災住宅の構造体の各構造を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図39】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を上昇させた状態で、居住スペースと昇降機構70と交換装置71が複数ユニット連結して成る防災住宅の外観を示す符号と引き出し線を記した斜視図である。
【
図40】 本発明に係る防災住宅の組立て家屋の構造体に、自動浮上型地下施設80を備えた平面図である。
【
図41】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を平常時の下降した状態で、組立て家屋の構造体に自動浮上型地下施設80を備えた斜視図である。
【
図45】 本発明に係る防災住宅の可動土台14を上昇させた状態で、組立て家屋の構造体に自動浮上型地下施設80を備えた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の防災住宅について、添付図面を参照に具体的に説明する。
図1は本発明に係る防災住宅の実施例を示す平面図であり、ボックスカルバート2による組立て家屋の構造体において、ボックスカルバート2が1基とPCスラブ3が1対を組立て家屋の構造体の1ユニット20として成り、ボックスカルバート2の梁上部に昇降機構4と変換装置5を取付け、土台吊り上げ機具7を可動土台14に接続し、可動土台14に配置された居住スペースが昇降調整できる構造の防災住宅である。
【0041】
図2は本発明に係る防災住宅の基本的な構造、構成、仕組みを示した斜視図であり、平常時である可動土台14を下降した状態を示し、ボックスカルバート2による組立て家屋の構造体において、梁部に昇降機構4と変換装置5を取付け、梁部に形成した昇降機構用貫通孔1を介して土台吊り上げ機具7を可動土台14に接続し、その可動土台14には居住スペースの全床面が設置できる構成となっている。地面に敷設したボックスカルバート2とPCスラブ3に、地中に打ち込んだ支持杭25に固定する連結調整固定金具19を備えた構成となっている。
【0042】
図3~
図5は本発明に係る防災住宅の基本的な構造、構成、仕組みを示した
図1に表記の断面線の断面図である。
図3は平常時である可動土台14を下降した状態を示したA-A線断面図であり、地面に敷設するボックスカルバート2とPCスラブ3や、建築用基礎部材17上に配置された可動土台14が示されている。また、ボックスカルバート2の梁部に取付けられた昇降機構4と昇降機構土台10も示されている。
図4は平常時である可動土台14を下降した状態を示したB-B線断面図であり、地面に敷設するPCスラブ3と建築用基礎部材17上に配置された可動土台14が示されている。また、ボックスカルバート2の梁部に取付けられた変換装置5と変換装置5間の駆動軸8と昇降機構土台10と昇降機構土台10間の昇降機構土台連結梁11が示されている。
図5は平常時である可動土台14を下降した状態を示したC-C線断面図であり、地面に敷設するボックスカルバート2、PCスラブ3、建築用壁体16や、ボックスカルバート2の梁上部に昇降機構4と変換装置5を取付け、土台吊り上げ機具7を可動土台14に接続した状態を示している。また、建物用壁体16を囲むコの字型の着脱式ガイドシュー9も示されている。
【0043】
図6~
図9は本発明に係る防災住宅の基本的な構造、構成、仕組みを示した側面図である(
図1における方位を参照)。
図6は平常時である可動土台14を下降した状態で南面を示す側面図であり、建物用壁体16を囲むコの字型の着脱式ガイドシュー9に取り付けられたガイドローラ12により建物用壁体16の壁面に、垂直方向に設置されたガイドレール13に案内されて摺動し、可動土台14に配置された居住スペースが昇降調整できる構造を示している。また、着脱式ガイドシュー9に取り付けられた昇降機構制御盤6、自家発電装置22、蓄電装置26、室外機器21等の設備装置や機器は、着脱式ガイドシュー9と一体となって昇降調整でき、浸水や水没から守り、故障したり破損したりする可能性を軽減し、点検や保守も容易となる構造を示している。
図7は平常時である可動土台14を下降した状態で東面を示す側面図であり、ボックスカルバート2の側壁への嵌め込みガイドフレーム36部と建物用壁体16を囲むコの字型の着脱式ガイドシュー9を連結し、嵌め込みガイドフレーム36と着脱式ガイドシュー9に取り付けられたガイドローラ12によりボックスカルバート2の側壁と建物用壁体16の壁面に、垂直方向に設置されたガイドレール13に案内されて摺動し、可動土台14に配置された居住スペースが昇降調整できる構造を示している。
図8は平常時である可動土台14を下降した状態で西面を示す側面図であり、
図7と同様に居住スペースが昇降調整できる構造を示している。
図9は平常時である可動土台14を下降した状態で北面を示す側面図であり、
図6と同様に居住スペースが昇降調整できる構造を示している。
【0044】
図10乃至
図11は本発明に係る防災住宅の基本的な構造、構成、仕組みを示し、平常時である可動土台14を下降した状態の斜視図である。
図10はボックスカルバート2の並列した壁の対向面上部の梁部に形成した一対の土台吊り上げ機具用貫通孔1を示し、その昇降機構用貫通孔1を介して居住スペースを垂直方向に昇降調整できる構造を示している。
図11はボックスカルバート2による組立て家屋の構造体において、梁部に昇降機構4と変換装置5を取付け、梁部に形成した昇降機構用貫通孔1を介して土台吊り上げ機具7を可動土台14に接続し、その可動土台14は居住スペースの全床面が設置できる構成となっているので、居住スペースを垂直方向に昇降調整させることが可能となる。また、ボックスカルバート2の梁部に昇降機構4と変換装置5を取付けるため、地面GLより高い位置となり浸水や水没から守り、故障したり破損したりする可能性を軽減し、点検や保守も容易となる。
【0045】
図12乃至
図13は本発明に係る防災住宅の基本的な構造、構成、仕組みを示し、居住スペースを十分な高さに上昇させた状態を示した斜視図である。また、可動土台14が設置できる構成となっている建物用基礎部材17において、ボックスカルバート2とボックスカルバート2間の脱着式建物用基礎部材29が可動式であることにより、水害の増水が治まり減水に従って、床下に入り込んだ大量の泥や瓦礫や流木等の漂流物を取り除くに必要な作業空間となる構造を示している。また、積雪地域ではこの脱着式建物用基礎部材29が可動式であることにより、居住スペースを十分な高さに上昇させて、床下に車輌54を保管して積雪69を避け、地面GLからの出入りが可能な空間が構成できる構造を示している。
図12はボックスカルバート2の梁部に取付けた昇降機構4と変換装置5が、ラック桁若しくはスピンドル棒若しくはシリンダーロッド等の突起棒がある構成となっているので、屋根46を貫く突起棒の目隠しカバーとして飾り煙突50が必要となる事を示した図面である。
図13はボックスカルバート2の梁部に取付けた昇降機構70と変換装置71が、ワイヤロープ若しくはチェーン等の突起棒がない構成となっているので、屋根46を貫く突起棒の目隠しカバーとしての飾り煙突50を必要としない事を示した図面である。
【0046】
図14乃至
図15は本発明に係る防災住宅の基本的な構造、構成、仕組みをスケルトンで示した斜視図であり、
図14は平常時である可動土台14を下降した状態を示し、
図15は居住スペースを十分な高さに上昇させた状態を示し、災害から人命や財産を守ることが可能な状態を示している。また、昇降調整に対応したスロープ階段24を備えた構成となっているので、居住スペースを必要な高さに上昇又は下降させた状態でも常時アプローチできる。
【0047】
図16乃至
図17は本発明に係る防災住宅の外観の一例を示した斜視図であり、ボックスカルバート2の梁部に取付けた昇降機構4と変換装置5が、ラック桁若しくはスピンドル棒若しくはシリンダーロッド等の突起棒がある構成となっているので、屋根46を貫く突起棒の目隠しカバーとして飾り煙突50が必要となる事を示した図面である。また、
図16は平常時である可動土台14を下降した状態を示し、
図17は居住スペースを十分な高さに上昇させた状態で、災害から人命や財産を守ることが可能な状態を示している。
【0048】
図18乃至
図19は本発明に係る防災住宅の外観の一例を示した斜視図であり、ボックスカルバート2の梁部に取付けた昇降機構70と変換装置71が、ワイヤロープ若しくはチェーン等の突起棒がない構成となっているので、屋根46を貫く突起棒の目隠しカバーとしての飾り煙突50が必要でない事を示した図面である。また、
図18は平常時である可動土台14を下降した状態を示し、
図19は居住スペースを十分な高さに上昇させた状態で、災害から人命や財産を守ることが可能な状態を示している。
【0049】
図20乃至
図21は本発明に係る防災住宅の外観の一例を示した斜視図であり、構造物の長手方向に昇降機構4と変換装置5を屋外に設置した構成となっている。屋外に昇降機構4と変換装置5を設置することで、居住スペース内部の制約が少なく自由度が得られる。また、既設の構造物に対しても床下に可動土台14を後施工し、屋外に昇降機構4と変換装置5を設置することで、構造物の昇降機能は確保できる。
図20は平常時である可動土台14を下降した状態を示し、
図21は居住スペースを十分な高さに上昇させた状態で、災害から人命や財産を守ることが可能な状態を示している。
【0050】
上述した屋外に昇降機構4と変換装置5を設置する構成は、地下スペースが有効に利用でき、例えば大型フロートを地下に設置することで、昇降機構4の不測の事態として停電時や故障時に手動操作で対応できる機能を有していると共に、補助的な機能として自動浮上フロート操作も可能となります。
【0051】
図22乃至
図23は本発明に係る防災住宅の外観の一例を示した斜視図であり、構造物の短手方向に昇降機構4と変換装置5を屋外に設置した構成となっている。屋外に昇降機構4と変換装置5を設置することで、居住スペース内部の制約が少なく自由度が得られる。また、既設の構造物に対しても、床下に可動土台14を後施工し、屋外に昇降機構4と変換装置5を設置することで、構造物の昇降機能は確保できる。
図22は平常時である可動土台14を下降した状態を示し、
図23は居住スペースを十分な高さに上昇させた状態で、災害から人命や財産を守ることが可能な状態を示している。
【0052】
図24乃至
図25は本発明に係る防災住宅の駐車設備の一例を示した側面図であり、屋根裏倉庫79を備えたボックスカルバート2の梁部に取付けた昇降機構70と変換装置71はワイヤロープ若しくはチェーン等の突起棒がない構成となっているので、屋根46を貫く突起棒の目隠しカバーとしての飾り煙突50を必要としない。また、昇降調整に対応したスロープ階段24を備えた構成となっているので、車輌72の格納棚67と可動土台14を必要な高さに上昇又は下降させた状態でも常時アプローチできる。
図24は車輌72の格納棚67と可動土台14を平常時の下降した状態を示し、
図25は車輌72の格納棚67の可動土台14を上昇させた状態で、災害から人命や財産を守ることが可能な状態を示している。
【0053】
図26乃至
図27は本発明に係る防災住宅の脱着式トレーラーハウスでの完成品又は半製品の牽引車運搬可能分割イメージをスケルトンで示した斜視図である。トレーラー41での完成品又は半製品の牽引は、道路法車両制限令に準拠した構成となっており、折りたたみ式屋根32や折りたたみ式飾り煙突49や折りたたみ式壁33を備え、高さ制限対策など牽引車運搬可能対策を講じる。また、脱着式トレーラーハウス土台はシャシー車台37の機能もあり連結装置42も備えており、工場生産、運搬、設置、撤去と必要に応じて種々多様な種類の施設を迅速に補給できる機能を有している。
図26は脱着式トレーラーハウスでの完成品又は半製品の牽引車運搬可能分割イメージを示し、
図27は脱着式トレーラーハウスでの折りたたみ式屋根32や折りたたみ式飾り煙突49や折りたたみ式壁33を備えた高さ制限対策など牽引車運搬可能対策イメージを示している。
【0054】
図28乃至
図29は本発明に係る防災住宅の組立て家屋の構造体と脱着式トレーラーハウスの折りたたみ及び組立イメージをスケルトンで示した斜視図である。トレーラー41での完成品又は半製品の牽引は、道路法車両制限令に準拠した構成となっており、折りたたみ式屋根32や折りたたみ式飾り煙突49や折りたたみ式壁33を備え、高さ制限対策など牽引車運搬可能対策を講じる。脱着式トレーラーハウスのシャシー車台37は居住スペースの全床面が設置できる可動土台14構造で、組立て家屋の構造体であるボックスカルバート2に嵌め込み可能な可動土台14の機能を有している。居住スペースの構築は、現場だけでなく工場生産も可能となり、居住スペースの完成品又は半製品をトレーラー41で牽引運搬して現場での設置が可能となり、建築費の低減および建築期間の短縮化も図れる。また、災害時の被災地域にて、必要となる仮設の居住施設や宿泊施設や用途限定構造施設を工場生産可能地域から、必要に応じて種々多様な種類の施設を補給できる機能を有している。
図28は組立て家屋の構造体の二分割ボックスカルバート上部44、二分割ボックスカルバート下部47と二分割建物用壁体上部45、二分割建物用壁体下部48を用いて脱着式トレーラーハウス分割1ユニット31の組立イメージの外観を示し、
図29は組立て家屋の構造体の二分割ボックスカルバート上部44、二分割ボックスカルバート下部47と二分割建物用壁体上部45、二分割建物用壁体下部48を用いて脱着式トレーラーハウス分割1ユニット31の組立イメージの外観を示している。
【0055】
図30乃至
図31は本発明に係る雪降ろしシート装置を備えた防災住宅をスケルトンで示した斜視図である。積雪地域で備える雪降ろしシート装置は一枚の屋根シートを折り返して形成した上面側屋根シートと下面側屋根シートの滑り作用を利用して、屋根上の積雪層を可撓性シート51と共に滑落させる構成となっており、人が屋根の上に登らなくても、屋根の上に積もった雪を効果的に滑落させることができる。また、ボックスカルバート2の梁部に取付けた昇降機構70と変換装置71はワイヤロープ若しくはチェーン等の突起棒がない構成となっているので、屋根46を貫く突起棒の目隠しカバーとしての飾り煙突50を必要としなので、可撓性シート51の敷設に支障はない。
図30は平常時である可動土台14を下降した状態をスケルトンで示し、
図31は屋根傾斜面に垂れ伸ばした一枚の可撓性シート51を折り返して二層にして敷設し、上側の可撓性シート51に凸凹加工処理した摩擦抵抗の大きい表面に積雪させ、上側の可撓性シート51裏面と下側の可撓性シート51上面は摩擦抵抗が小さく加工して、上側の可撓性シート51が積雪69と一緒にスムーズに落下させる機能をわかりやすく表現したイメージをスケルトンで示している。また、居住スペースを十分な高さに上昇させた状態で、災害から人命や財産を守ることが可能な状態を示している。
【0056】
図32乃至
図33は本発明に係る雪降ろしシート装置を備えた防災住宅の棟部に設置した巻き上げ装置52に可撓性シート51を丈夫な紐、ロープ、ワイヤー、金具などの線材61を連結棒57と固定具85で連結したイメージを示した斜視図である。積雪地域で備える雪降ろしシート装置は繰り返して使用でき、積雪69と一緒に落下して軒側に垂れ伸びた可撓性シート51は一辺縁部に丈夫なロープ、ワイヤーの線材61を連結棒57と固定具85で連結されており、その線材61を巻き上げ装置52で巻き上げて元の場所に復帰できる構成となっており、人が屋根の上に登らなくても、屋根の上に積もった雪を効果的に滑落させることができる。
図32は防災住宅の棟部に設置した巻き上げ装置52を開放して斜面に沿って可撓性シート51と積雪69と一緒に落下させる途中の状態を示し、
図33は防災住宅の棟部に設置した巻き上げ装置52を開放して斜面に沿って可撓性シート51と積雪69と一緒に落下させた状態を示している。
【0057】
図34乃至
図35は本発明に係る雪降ろしシート装置を備えた防災住宅の外観の一例を示した斜視図であり、積雪地域で備える雪降ろしシート装置と可動土台14を上昇させて床下に車輌54を保管できる臨時屋内駐車場を確保できる構成となっている。積雪地域の玄関前は、落雪や積雪69により出入口を塞がれ除雪が必要となるが、居住スペースを必要な高さに上昇させて、落雪や積雪69の雪上から出入りが可能となることと、居住スペースを十分な高さに上昇させて、床下に車輌54を保管して積雪69を避け、地面GLからの出入りが可能な機能も有している。
図34は平常時である可動土台14を下降した状態を示し、
図35は積雪地域では居住スペースを十分な高さに上昇させて、床下に車輌54を保管して積雪69を避け、地面GLからの出入りが可能な機能も有している。
【0058】
図36~
図39は本発明に係る防災住宅の基本的な構造、構成、仕組みを示した斜視図である。また、組立て家屋の構造体であるボックスカルバート2が1基とPCスラブ3が1対を1ユニットとし、ボックスカルバート2の梁上部に昇降機構70と変換装置71を取付け、土台吊り上げ機具7を可動土台14に接続し、可動土台14に配置された居住スペースが複数ユニットを連結して成る防災住宅で、ボックスカルバート2の梁部に取付けた昇降機構70と変換装置71はワイヤロープ若しくはチェーン等の突起棒がない構成となっているので、屋根46を貫く突起棒の目隠しカバーとしての飾り煙突50を必要としない。昇降機構70と変換装置71も複数ユニットで連動して昇降調整ができる構造として、駆動軸8で連結して成るものや、電子制御にて一体的、連動的に昇降調整も可能である一例を示した斜視図である。
図36は複数ユニットを連結して成る防災住宅で、平常時である可動土台14を下降した状態の斜視図である。
図37は複数ユニットを連結して成る防災住宅の外観の一例を示した斜視図である。
図38は複数ユニットを連結して成る防災住宅で、居住スペースを十分な高さに上昇させた状態で、災害から人命や財産を守ることが可能な状態を示す斜視図である。
図39は複数ユニットを連結して成る防災住宅で、居住スペースを十分な高さに上昇させた外観の一例を示した斜視図である。
【0059】
図40は本発明に係る防災住宅の組立て家屋の構造体に、自動浮上型地下施設80を備えた実施例を示す平面図である。ボックスカルバート83による組立て家屋の構造体において、ボックスカルバート83が1基とPCスラブ82が1対を組立て家屋の構造体の1ユニット20として成り、地下スペースが有効に利用でき、例えば大型フロートを地下に設置することで、昇降機構4の不測の事態として停電時や故障時に手動操作で対応できる機能を有していると共に、補助的な機能として自動浮上フロート操作も可能となる一例を示した平面図である。
【0060】
図41は本発明に係る防災住宅の基本的な構造、構成、仕組みを示した斜視図であり、平常時である可動土台14を下降した状態を示している。ボックスカルバート83による組立て家屋の構造体において、梁部に昇降機構4と変換装置5を取付け、梁部に形成した昇降機構用貫通孔1を介して土台吊り上げ機具7を可動土台14に接続し、その可動土台14には居住スペースの全床面が設置できる構成となっている。地面に敷設したボックスカルバート83とPCスラブ84は、地下収納施設用の開孔部が形成され、地下スペースが有効に利用でき、例えば大型フロートや地下収納施設を地下に設置することで、昇降機構4の手動操作の補助的な機能として自動浮上フロート操作も可能となる一例を示した斜視図である。
【0061】
図42~
図44は本発明に係る防災住宅の基本的な構造、構成、仕組みを示した
図40に表記の断面線の断面図である。
図42は平常時である可動土台14を下降した状態を示したD-D線断面図であり、地面に敷設するボックスカルバート83とPCスラブ84や、建築用基礎部材17上に配置された可動土台14が示されている。地下部には地下壁87に囲まれた自動浮上フロート74と自動浮上型地下施設80が設置され、浮力を効果的に受けるように地下壁87とのすき間に流入空間86を設け、水害時の浸水や意図的に水を流入させ、浮力作用をおこす構造で昇降機構4の補助的な機能として自動浮上フロート操作も可能となる一例を示している。また、ボックスカルバート2の梁部に取付けられた昇降機構4と昇降機構土台10も示されている。
図43は平常時である可動土台14を下降した状態を示したE-E線断面図であり、地面に敷設するPCスラブ84と建築用基礎部材17上に配置された可動土台14が示されている。地下部には地下壁87に囲まれた自動浮上フロート74と自動浮上型地下施設80が設置され、浮力を効果的に受けるように地下壁87とのすき間に流入空間86を設けている。また、水害の増水が治まり可動土台14を下降させる構造として、排水ポンプピット81を地下壁87底部に設置した状態を示している。ボックスカルバート83の梁部に取付けられた変換装置5と変換装置5間の駆動軸8と昇降機構土台10と昇降機構土台10間の昇降機構土台連結梁11も示されている。
図44は平常時である可動土台14を下降した状態を示したF-F線断面図であり、地面に敷設するボックスカルバート83とPCスラブ84と建築用壁体16や、ボックスカルバート83の梁上部に昇降機構4と変換装置5を取付け、土台吊り上げ機具7を可動土台14に接続した状態を示している。地下部には地下壁87に囲まれた自動浮上フロート74と自動浮上型地下施設80が設置され、浮力を効果的に受けるように地下壁87とのすき間に流入空間86を設けている。また、建物用壁体16を囲むコの字型の着脱式ガイドシュー9も示されている。
【0062】
図45は本発明に係る防災住宅の基本的な構造、構成、仕組みを示し、居住スペースを十分な高さに上昇させた状態を示した斜視図である。ボックスカルバート83による組立て家屋の構造体において、梁部に昇降機構4と変換装置5を取付け、梁部に形成した昇降機構用貫通孔1を介して土台吊り上げ機具7を可動土台14に接続し、その可動土台14には居住スペースの全床面が設置できる構成となっている。地面に敷設したボックスカルバート83とPCスラブ84は、地下収納施設用の開孔部が形成され、地下スペースが有効に利用でき、例えば大型フロートや地下収納施設を地下に設置することで、昇降機構4の手動操作の補助的な機能として自動浮上フロート操作も可能となる一例を示した斜視図である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、ボックスカルバート2による組立て家屋の構造体において、梁部に取り付けた昇降機構4と変換装置5により居住スペースを十分な高さに上昇させて浸水や水没を避けて人命や財産を守ることが可能となる。この昇降機構4は、従来の水門、樋門の可動構造や構成が類似している事から、機械部品も併用が可能で、開発資金や製造価格も抑えることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 土台吊り上げ機具用貫通孔
2 ボックスカルバート(組立て家屋の構造体)
3 PCスラブ(組立て家屋)
4 昇降機構(電動駆動装置)
5 変換装置(土台吊り上げ装置)
6 昇降機構制御盤
7 土台吊り上げ機具
8 駆動軸
9 着脱式ガイドシュー(コの字型)
10 昇降機構土台
11 昇降機構土台連結梁
12 ガイドローラ
13 ガイドレール(戸当り)
14 可動土台
15 手動ハンドル
16 建物用壁体(組立て家屋)
17 建物用基礎部材(組立て家屋)
18 換気孔用の凹部(組立て家屋)
19 連結調整固定金具
20 組立て家屋の構造体の1ユニット
21 室外機器(ガス給水電気設備)
22 自家発電装置
23 フレキシブル管(給排水電気設備)
24 スロープ階段(昇降機)
25 支持杭
26 蓄電装置
27 昇降安全装置(センサーと赤色灯)
28 想定水位又は積雪(想定災害ライン)
29 脱着式建物用基礎部材(組立て家屋)
30 開孔部(設備用)
31 脱着式トレーラーハウス分割1ユニット(牽引車運搬可能分割)
32 折りたたみ式屋根(高さ制限対策)
33 折りたたみ式壁(高さ制限対策)
34 壁(シャシー車台及び可動土台に接続固定)
35 伸縮壁(伸び縮み可能なフレキシブル壁)
36 嵌め込みガイドフレーム(ボックスカルバート嵌め込み部)
37 シャシー車台(脱着式トレーラーハウス)
38 高さ3.8m以内(道路法車両制限令)
39 幅2.5m以内又は4.1m以内(道路法車両制限令)
40 長さ12.0m以内(道路法車両制限令)
41 トレーラー(脱着式トレーラーハウス)
42 連結装置(脱着式トレーラーハウス)
43 アンカー(ナット締め付け)
44 二分割ボックスカルバート上部(組立て家屋の構造体)
45 二分割建物用壁体上部(組立て家屋)
46 屋根(太陽光発電などの再生可能エネルギー)
47 二分割ボックスカルバート下部(組立て家屋の構造体)
48 二分割建物用壁体下部(組立て家屋)
49 折りたたみ式飾り煙突(高さ制限対策のラック棒目隠し飾りカバー)
50 飾り煙突(ラック棒目隠し飾りカバー)
51 可撓性シート(雪降ろしシート)
52 巻き上げ装置(ワイヤー巻き取り電動駆動装置)
53 雪降ろしシート巻き上げ装置(ワイヤー巻き取り機)
54 車輌(屋外)
55 巻き上げ装置の保護用屋根
56 雪降ろしシート(摩擦係数が小さい材質)
57 固定具の連結棒
58 屋根シートを折り返し下面側(折り返し内側は摩擦係数が小さい)
59 軒側に垂れ伸びた可撓性シート(積雪面は摩擦係数が大きい)
60 軒側に垂れ伸びた可撓性シート(折り返し内側は摩擦係数が小さい)
61 線材(紐、ロープ、ワイヤー、金具など)
62 ガイドローラ(固定具の連結棒の両端部)
63 ガイドレール(ケラバ乃至隅棟部の傾斜面に取付け)
64 雪降ろしシート(表面の積雪部は摩擦係数の大きい凸凹加工処理)
65 雪降ろしシート(裏面は摩擦係数が小さい材質)
66 屋根保護体(雪降ろしシート衝撃吸収材の発泡体を装着)
67 格納棚(可動土台に付設)
68 屋根シートを折り返部
69 積雪
70 昇降機構(ラック棒なし電動駆動装置)
71 変換装置(ラック棒なし土台吊り上げ装置)
72 車輌(屋内)
73 自動浮上フロート(天端部)
74 自動浮上フロート(地下部)
75 自動浮上フロート(地上浮上時)
76 収納階段
77 乗入れ板
78 屋根支柱(可動土台に連結)
79 屋根裏倉庫
80 自動浮上型地下施設(収納庫やフロート)
81 排水ポンプピット
82 PCスラブ大開孔部(地下収納施設用の開孔)
83 ボックスカルバート(門型カルバート)
84 PCスラブ(地下収納施設用の開孔有り)
85 固定具(紐、ロープ、ワイヤー、金具など)
86 流入空間
87 地下壁