(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057550
(43)【公開日】2023-04-21
(54)【発明の名称】包装袋、包装袋の製造方法、電子レンジ用包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20230414BHJP
B65D 33/01 20060101ALI20230414BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D33/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163010
(22)【出願日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】202111180682.5
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111489674.9
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211190355.2
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】林 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】曹 松来
(72)【発明者】
【氏名】王 科
【テーマコード(参考)】
3E013
3E064
【Fターム(参考)】
3E013BB12
3E013BC04
3E013BD12
3E013BE01
3E013BF03
3E013BF08
3E013BF22
3E013BF33
3E013BG15
3E064AA04
3E064AA11
3E064AB23
3E064BA24
3E064BA25
3E064BA36
3E064BA39
3E064BA54
3E064BA55
3E064BB03
3E064HD03
3E064HE03
(57)【要約】
【課題】加熱時の破裂を抑制することができる、包装袋を提供する。
【解決手段】本発明によれば、フィルムがシール部においてヒートシールされて構成された包装袋であって、前記包装袋は、互いに対向する前面部と背面部を備え、前記シール部は、前記包装袋の両側縁において前記前面部と前記背面部と互いにヒートシールする一対のサイドシール部を備え、前記一対のサイドシール部の一方又は両方には、内圧上昇に伴って蒸気流路を形成する蒸気抜きシール部が設けられる、包装袋が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムがシール部においてヒートシールされて構成された包装袋であって、
前記包装袋は、互いに対向する前面部と背面部を備え、
前記シール部は、前記包装袋の両側縁において前記前面部と前記背面部と互いにヒートシールする一対のサイドシール部を備え、
前記一対のサイドシール部の一方又は両方には、内圧上昇に伴って蒸気流路を形成する蒸気抜きシール部が設けられる、包装袋。
【請求項2】
請求項1に記載の包装袋であって、
前記包装袋は、自立式である、包装袋。
【請求項3】
請求項1に記載の包装袋であって、
前記蒸気抜きシール部の少なくとも一部は、前記サイドシール部に設けた凹部内に配置されている、包装袋。
【請求項4】
請求項3に記載の包装袋であって、
前記蒸気抜きシール部は、前記サイドシール部のうち前記蒸気抜きシール部以外の部位の内縁の延長線からはみ出さないか、又は前記延長線からのはみ出し量が前記蒸気抜きシール部の根本から先端までの高さの0.5倍以下である、包装袋。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載の包装袋の製造方法であって、
前記サイドシール部を形成する第1及び第2シール工程を備え、
第1シール工程では、第1シールバーを用いて前記フィルムをヒートシールし、
第2シール工程では、第2シールバーを用いて前記フィルムをヒートシールし、
第1及び第2シールバーは、前記サイドシール部のうち前記蒸気抜きシール部以外の部位に対応する第1部位に対する、前記蒸気抜きシール部に対応する第2部位の高さが互いに異なる、方法。
【請求項6】
電子レンジ用包装袋であって、
前記包装袋は、フィルムに縦シール部を形成して構成された筒体と、上側横シール部と、下側横シール部を備え、
前記上側横シール部は、前記筒体の上側を閉塞させるように設けられ、
前記下側横シール部は、前記筒体の下側を閉塞させるように設けられ、
前記包装袋は、第1及び第2面を備え、
第1面は、前記縦シール部が設けられた面であり、
第2面は、前記包装袋の内部を挟んで第1面に対向する面であり、
第1及び第2面のそれぞれに蒸気排出機構が設けられ、
前記フィルムは、外層と内層が接着層を介して積層されて構成され、
前記蒸気排出機構は、前記内層に設けられた開口部と、前記内層と前記外層の間に設けられた蒸気排出部を備え、
前記蒸気排出部は、前記内層と前記外層の間において前記接着層が設けられていない未接着部であるか、又は前記接着層の他の部位に比べて単位面積当たりの接着強度が低い弱接着部であり、
前記蒸気排出部は、前記開口部と、前記フィルムの端を連結するように設けられる、包装袋。
【請求項7】
請求項6に記載の包装袋であって、
前記開口部は、ミシン目によって構成される、包装袋。
【請求項8】
請求項7に記載の包装袋であって、
前記包装袋を第1面に垂直な方向からみたときに、第1面の前記ミシン目と第2面の前記ミシン目の間の横方向の長さをDとし、前記包装袋の横方向の長さをWとすると、D/W≦0.3である、包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジでの内容物の加熱に適した包装袋、包装袋の製造方法、電子レンジ用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
(第1観点)
特許文献1には、可撓性を有するフィルムがシール部においてヒートシールされて構成された包装袋が開示されている。この包装袋には、内容物を電子レンジで加熱する際に発生する蒸気を逃がすために、蒸気抜きシール部が合掌部に設けられている。
【0003】
(第2観点)
冷凍食品等の内容物を充填した包装袋を電子レンジ等で加熱すると、その加熱に伴って内容物から発生する水蒸気等により包装袋の内部の圧力が上昇し、包装袋が破裂して内容物が飛散するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-163546
【特許文献2】特開2002-80070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(第1観点)
特許文献1の包装袋は、合掌部を上側に向けた状態で加熱することが想定されており、合掌部を接地面側に向けた状態で加熱すると、蒸気が適切に抜けずに、包装袋が破裂してしまう虞がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、加熱時の破裂を抑制することができる、包装袋を提供するものである。
【0007】
(第2観点)
特許文献2の構成では、ミシン目を設けた面を接地面側にして電子レンジでの加熱を行うと、蒸気の排出が適切に行われずに、包装袋が破裂してしまう虞がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、電子レンジでの加熱時に包装袋が破裂することがより確実に抑制される、包装袋を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(第1観点)
本発明によれば、フィルムがシール部においてヒートシールされて構成された包装袋であって、前記包装袋は、互いに対向する前面部と背面部を備え、前記シール部は、前記包装袋の両側縁において前記前面部と前記背面部と互いにヒートシールする一対のサイドシール部を備え、前記一対のサイドシール部の一方又は両方には、内圧上昇に伴って蒸気流路を形成する蒸気抜きシール部が設けられる、包装袋が提供される。
【0010】
特許文献1の包装袋は、合掌部を接地面に向けた状態だと、包装袋に入った内容物の重さによって蒸気抜きシール部が接地面に押し付けられるために、この状態で加熱すると包装袋が破裂してしまう場合があった。一方、本発明の包装袋は、蒸気抜きシール部は、サイドシール部に設けられている。このため、包装袋をどのような態勢にしても包装袋に入った内容物の重さによって蒸気抜きシール部が接地面に押し付けられることがないので、加熱時の蒸気抜けが妨げられず、包装袋の破裂が抑制される。
【0011】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記包装袋は、自立式である、包装袋である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記蒸気抜きシール部の少なくとも一部は、前記サイドシール部に設けた凹部内に配置されている、包装袋である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記蒸気抜きシール部は、前記サイドシール部のうち前記蒸気抜きシール部以外の部位の内縁の延長線からはみ出さないか、又は前記延長線からのはみ出し量が前記蒸気抜きシール部の根本から先端までの高さの0.5倍以下である、包装袋である。
好ましくは、前記記載の包装袋の製造方法であって、前記サイドシール部を形成する第1及び第2シール工程を備え、第1シール工程では、第1シールバーを用いて前記フィルムをヒートシールし、第2シール工程では、第2シールバーを用いて前記フィルムをヒートシールし、第1及び第2シールバーは、前記サイドシール部のうち前記蒸気抜きシール部以外の部位に対応する第1部位に対する、前記蒸気抜きシール部に対応する第2部位の高さが互いに異なる、方法である。
【0012】
(第2観点)
本発明によれば、電子レンジ用包装袋であって、前記包装袋は、フィルムに縦シール部を形成して構成された筒体と、上側横シール部と、下側横シール部を備え、前記上側横シール部は、前記筒体の上側を閉塞させるように設けられ、前記下側横シール部は、前記筒体の下側を閉塞させるように設けられ、前記包装袋は、第1及び第2面を備え、第1面は、前記縦シール部が設けられた面であり、第2面は、前記包装袋の内部を挟んで第1面に対向する面であり、第1及び第2面のそれぞれに蒸気排出機構が設けられ、前記フィルムは、外層と内層が接着層を介して積層されて構成され、前記蒸気排出機構は、前記内層に設けられた開口部と、前記内層と前記外層の間に設けられた蒸気排出部を備え、前記蒸気排出部は、前記内層と前記外層の間において前記接着層が設けられていない未接着部であるか、又は前記接着層の他の部位に比べて単位面積当たりの接着強度が低い弱接着部であり、前記蒸気排出部は、前記開口部と、前記フィルムの端を連結するように設けられる、包装袋が提供される。
【0013】
本発明の包装袋では、第1及び第2面のそれぞれに蒸気排出機構が設けられているので、第1及び第2面のどちらを接地面として電子レンジでの加熱を行った場合でも蒸気が適切に排出される。このため、本発明によれば、特許文献2の包装袋よりも、より確実に包装袋の破裂が抑制される。
【0014】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記開口部は、ミシン目によって構成される、包装袋である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記包装袋を第1面に垂直な方向からみたときに、第1面の前記ミシン目と第2面の前記ミシン目の間の横方向の長さをDとし、前記包装袋の横方向の長さをWとすると、D/W≦0.3である、包装袋である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(第1観点)
図1Aは、本発明の第1実施形態の包装袋1を前面部3側からみた平面図であり、
図1Bは、
図1A中の領域Bの拡大図である。
【
図2】
図1の包装袋1の上縁1tの未シール部1aと、底面部2を開いて、包装袋1を自立させた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図2の状態から包装袋1内に内容物を充填した後に上縁1tをヒートシールしてトップシール部13を形成した後の状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5Aは、第1シールバー11の斜視図であり、
図5Bは、第2シールバー12の斜視図である。
【
図6】本発明の第2実施形態の包装袋1を前面部3側からみた平面図である。
【
図7】(第2観点)内容物が入っていない状態の包装袋51の第1面41側の平面図である。
図7では、第1面41に設けられた蒸気排出機構30を図示している。
【
図8】内容物が入っていない状態の包装袋51の第2面42側の平面図である。
図8では、第2面42に設けられた蒸気排出機構30を図示している。
【
図11】
図11Aは、内層フィルム22fにミシン目31aを形成した後の状態を示し、
図11Bは、外層フィルム21fに接着剤23aを塗布した後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0017】
(第1観点)
以下の説明において、上下方向は、包装袋1の側縁1sに平行な方向であり、左右方向は、側縁1sに垂直な方向である。
【0018】
1.第1実施形態
1-1.包装袋1の構成
図1~
図3に示すように、本発明の第1実施形態の包装袋1は、フィルム9がシール部6においてヒートシールされて構成される。包装袋1は、袋状であり、内容物を収容する前は、包装袋1の周縁に未シール部1aが設けられており、未シール部1aを通じて包装袋1内に内容物を収容し、その後に、未シール部1aをシール(例:ヒートシール)することによって、包装袋1内に内容物を密封することができる。未シール部1aは、一例では、包装袋1の上縁1tに沿って設けることができる。この場合、上縁1tを通じて包装袋1内に内容物を収容し、その後に上縁1tをヒートシールしてトップシール部13を形成することによって、包装袋1内に内容物を密封することができる。内容物としては、水分を含みかつ電子レンジで加熱又は調理可能な食品が挙げられ、例えばレトルト食品である。
【0019】
シール部6は、
図2に示すように、包装袋1の両側縁1sにおいて前面部3と背面部4と互いにヒートシールする一対のサイドシール部7を備える。サイドシール部7の一方又は両方には、包装袋1の内圧上昇に伴って蒸気流路を形成する蒸気抜きシール部8が設けられている。電子レンジで内容物を加熱すると、内容物に含まれる水分から生じた蒸気によって包装袋1の内圧が上昇し、包装袋1の内圧上昇に伴って蒸気抜きシール部8に蒸気流路が形成され、蒸気流路を通じて蒸気が排出される。蒸気抜きシール部8は、サイドシール部7の一部である。蒸気抜きシール部8は、サイドシール部7のその他の部位(以下、「サイド強シール部」)7bよりも剥離されやすいので、包装袋1の内圧上昇に伴って、蒸気抜きシール部8において優先的に前面部3と背面部4のヒートシールが剥離されて蒸気流路が形成される。サイドシール部7に蒸気抜きシール部8を設けることによって、内容物の自重によって蒸気流路の形成が妨げられることが抑制される。
【0020】
蒸気抜きシール部8は、一対のサイドシール部7の両方に設けることが好ましい。この場合、蒸気が一層抜けやすくなる。蒸気抜きシール部8においてヒートシールが剥離されやすくするための構成として、(a)蒸気抜きシール部8の単位幅当たりのシール強度をサイド強シール部よりも低くすること、(b)蒸気抜きシール部8の線幅をサイド強シール部よりも小さくすること、(c)蒸気抜きシール部8を包装袋1の内側方向に向かって湾曲させた湾曲形状にすることが例示され、蒸気抜きシール部8は、これらの構成の少なくとも1つを備えればよく、2つ又は3つを備えることが好ましい。(a)は、ヒートシールの際のシールバーの押圧力、押圧回数、押圧時間、温度などのパラメータを変化させることによって実現可能である。
【0021】
{蒸気抜きシール部8の単位幅当たりのシール強度/サイド強シール部の単位幅当たりのシール強度}の値は、例えば、0.1~0.9であり、0.2~0.8が好ましく、0.3~0.7がさらに好ましい。この値は、例えば具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0022】
サイドシール部7には、凹部7aが設けられていることが好ましく、蒸気抜きシール部8の少なくとも一部が凹部7a内に設けられることが好ましい。凹部7aは、サイドシール部7の内縁7b5が凹むように設けられている。蒸気抜きシール部8は、剥離されやすいので、包装袋1内に内容物を充填する際に内容物が蒸気抜きシール部8に衝突すると蒸気抜きシール部8に意図しない剥離が生じてしまう虞がある。蒸気抜きシール部8の少なくとも一部を凹部7a内に配置することによって、内容物が蒸気抜きシール部8に衝突しにくくなる利点がある。蒸気抜きシール部8は、好ましくは、先端8eが延長線7cからはみ出さない(つまり、延長線7cより包装袋1の側縁1sに近い)か、延長線7cからのはみ出し量が蒸気抜きシール部8の根本8cから先端8eまでの高さ(包装袋1の側縁に垂直な方向の長さ)Hのα倍以下である。αは、0.5が好ましく、0.4、0.3、0.2、又は0.1がさらに好ましい。この場合、内容物が特に蒸気抜きシール部8に衝突しにくくなるからである。
【0023】
蒸気抜きシール部8の内縁8aは、包装袋1の内側方向に向かって湾曲させた湾曲形状を有することが好ましい。この場合、蒸気抜きシール部8で剥離が一層起こりやすくなる。蒸気抜きシール部8の先端8eは、曲面になっている。先端8eが尖っていないことによって、耐圧が高くなっている。
蒸気抜きシール部8の外縁8bも、包装袋1の内側方向に向かって湾曲させた湾曲形状を有することが好ましい。この場合、蒸気抜きシール部8の線幅が細くなり、蒸気が一層抜けやすくなる。蒸気抜きシール部8の内縁8aは、略V字形状であることが好ましく、蒸気抜きシール部8の外縁8bも略V字形状であることが好ましい。この場合、蒸気抜きシール部8が略V字形状となる。内縁8aと外縁8bは、平行な部位を有することが好ましく、全体が平行であることが好ましい。Vを構成する2本の線分の角度は、例えば60~120度であり、75~105度が好ましく、本実施形態では90度である。
【0024】
蒸気抜きシール部8の平均線幅は、例えば、0.5~4mmであり、1~3mmが好ましく、1.5~2.5mmがさらに好ましい(本実施形態では2mm)。この平均線幅は、具体的には例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。蒸気抜きシール部8の平均線幅は、蒸気抜きシール部8の内縁8a側の一対の根本8cを結ぶ線分8dよりも、蒸気抜きシール部8の先端8e側の部位の面積を、蒸気抜きシール部8の長手方向の長さで除することによって算出される。長手方向の長さとは、言い換えると、線幅方向の中央線の長さである。
【0025】
サイド強シール部7bの平均線幅は、例えば、5~20mmであり、8~15mmが好ましい(本実施形態では12.5mm)。この平均線幅は、具体的には例えば、具体的には例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。サイド強シール部7bの平均線幅は、サイド強シール部7bの面積を、サイド強シール部7bの長手方向の長さで除することによって算出される。
【0026】
{蒸気抜きシール部8の平均線幅/サイド強シール部7bの平均線幅}の値は、例えば、0.01~0.9であり、0.05~0.5が好ましく、0.1~0.4がさらに好ましい(本実施形態では0.16)。この値は、具体的には例えば、0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以下であってもよい。
【0027】
サイド強シール部7bは、好ましくは、ベース部7b1と、ベース部7b1から凹部7a内に突出する突出部7b2を備える。ベース部7b1は、凹部7a外の部位であり、好ましくは、線幅が一定である。突出部7b2は、好ましくは、ベース部7b1よりも線幅が小さい。突出部7b2の左右方向の長さL1は、例えば、2~8mmであり、4~6mmが好ましく、本実施形態では5mmである。突出部7b2の上下方向の長さL2は、例えば、1~4mmであり、2~3mmが好ましく、本実施形態では2.5mmである。側縁1sから、蒸気抜きシール部8の外縁8bの根本8fまでの左右方向の長さL3は、例えば1~3mmであり、1.5~2.5mmが好ましく、本実施形態では、2mmである。一対の根本8fの間の上下方向の長さ(つまり、蒸気抜きシール部8の開口幅)L4は、例えば10~30mmであり、15~25mmが好ましく、本実施形態では20mmである。
【0028】
蒸気抜きシール部8は、突出部7b2を介してベース部7b1に連結されていることが好ましい。蒸気抜きシール部8がベース部7b1に直接連結されていると、凹部7a内での内縁8aよりも内側の領域7a1の面積が狭くなりすぎて、蒸気の圧力が蒸気抜きシール部8に加わりにくくなるが、突出部7b2と蒸気抜きシール部8を連結させることによって、領域7a1の面積が増大して、蒸気の圧力が蒸気抜きシール部8に加わりやすくなる。また、包装袋1は、後述するように、2つのサイドシール部7が線対称となるように合体した形状のシール部を長尺状フィルムに形成した後に、線対称の対称軸に沿って長尺状フィルムを切断することによって製造可能であるが、切断位置にズレが生じてしまう場合がある。本実施形態では、突出部7b2を設け、外縁8bの根本8fが側縁1sよりも、包装袋1の内側に配置されているので、切断位置に多少のズレが生じても蒸気抜きシール部8の開口幅L4を一定値に保つことができる。{突出部7b2の突出量/内縁8a側での凹部7aの幅(一対のベース部7b1の端縁7b4間の距離)}の値は、例えば0.01~0.3であり、0.05~0.2が好ましい(本実施形態では0.1)。この値は、具体的には例えば、0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0029】
蒸気抜きシール部8の内縁8aは、突出部7b2の内縁7b3に連結されることが好ましい。蒸気抜きシール部8がベース部7b1の端縁7b4に直接連結されていると、内縁8aと端縁7b4の角度が鋭角になるので、この交点に負荷が集中しやすいが、内縁8aと内縁7b3の角度は、鈍角にすることができるので、負荷の集中を抑制することができる。また、突出部7b2を設けることによって、外縁8b側の凹部7dの幅(一対の突出部7b2の端縁間の距離)を、内縁8a側での凹部7aの幅よりも小さくすることができるので、凹部7dにおいて前面部3と背面部4の間に異物が入り込むことが抑制される。一対の端縁7b4の間の上下方向の長さL5は、例えば、15~35mmであり、20~30mmが好ましく、本実施形態では25mmである。
【0030】
包装袋1は、好ましくは、自立式であり、この場合、底面部2を備えることが好ましい。底面部2は、
図4に示すように中央線EにおいてV字形に折り曲げられたフィルムが前面部3と背面部4との間に挿入されて構成され、底面部2は、前面部3と背面部4のそれぞれにヒートシールされる。底面部2と、前面部3と、背面部4が互いに溶着されることによって、フィルムが自立式の袋状となる。包装袋1が自立式である場合、特許文献1のように合掌部に蒸気抜きシール部を設けると、蒸気抜きシール部から蒸気が噴出したときに、包装袋1が転倒してしまう虞がある。一方、本実施形態では、後述するように、サイドシール部7に設けた蒸気抜きシール部8から蒸気を放出させるので、蒸気の噴出によって包装袋1が転倒することが抑制される。
【0031】
シール部6は、好ましくは、包装袋1の下縁に設けられたボトムシール部5を備える。ボトムシール部5は、中央線Eより下端側に設けられた溶着部であって、底面部2と前面部3をヒートシールする前面ボトムシール部5aと、底面部2と背面部4をヒートシールする背面ボトムシール部5bを備える。また、ボトムシール部5は、底面部2の側縁に設けられた切り欠き2aを通じて、前面部3と背面部4をヒートシールする連結シール部5cを備える。連結シール部5cによって、包装袋1の下縁近傍の側縁1sにおいて、前面部3と背面部4が前後方向に開かないようになっている。
【0032】
前面ボトムシール部5a及び背面ボトムシール部5bは、それぞれ、中央線Eより下端側において、包装袋1の周縁に沿って配置される周縁シール部5dと、包装袋1の側縁から中央部下縁に向けて勾配をつけて(斜めに)溶着されている勾配部5eを備えることが好ましい。この場合、内容物が、底面部2と前面部3の間の空間、又は底面部2と背面部4の間の空間に入り込みにくい。
【0033】
底面部2と、前面部3と、背面部4を構成するフィルムは、基材層とシーラント層を有する積層フィルムであることが好ましく、基材層とシーラント層の間に接着層、印刷層を備えることがさらに好ましい。
【0034】
基材層は、包装袋1の外表面に露出するように配置され、シーラント層は、包装袋1の内表面に露出するように配置される。シーラント層同士が溶着(ヒートシール)されることによって、溶着部が形成される。
【0035】
基材層は、強度に優れて高い耐衝撃性を有する素材により形成されている。基材層としては、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル等が用いられる。より具体的には、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、またはポリプロピレン/エチレンービニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等を用いることができる。基材層を構成するフィルムとしては、MD方向(製造時においてフィルムが流れる方向)の直線カット性を有するものが好ましい。最外層となる基材層には、抗菌、抗ウイルス剤(銀イオンなど)を配合しても良い。得に、ブリードアウト性の抗菌、抗ウイルス剤を基材層に練りこんでおくことで、電子レンジで加熱して高温になった際に、基材層の表面の抗菌、抗ウイルス処理がすすみ、電子レンジから取り出す際に衛生的で良い。
【0036】
接着層は、基材層とシーラント層を互いに積層するように接着するための層である。接着方法として例えばポリエチレン等を接着層として用いた押し出しラミネートでもいいし、接着材としてポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接 着剤、ポリアミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤等を用いたドライラミネートでもよい。
【0037】
シーラント層は、溶着性に優れた樹脂で形成可能である。シーラント層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂で形成することができ、より具体的には、無延伸ポリプロピレンや直鎖状低密度ポリエチレンを用いることができる。シーラント層を構成するフィルムとしては、MD方向の直線カット性を有するものが好ましい。
【0038】
1-2.包装袋1の製造方法
包装袋1は、フィルム9にシール部6を形成することによって形成することができる。シール部6は、フィルム9のヒートシールを行うシール工程によって形成することができる。このシール工程は、サイドシール部7を形成する第1及び第2シール工程を含む。第1及び第2シール工程は、どちらを先に行ってもよい。
【0039】
第1シール工程では、
図5Aに示す第1シールバー11を用いてフィルム9をヒートシールし、第2シール工程では、
図5Bに示す第2シールバー12を用いてフィルム9をヒートシールする。フィルム9は、前面部3となる前面フィルムと、背面部4となる背面フィルムを含み、第1及び第2シール工程では、前面フィルムと背面フィルムが互いにヒートシールされる。
【0040】
第1シールバー11は、サイド強シール部7bに対応する第1部位11aに対して、蒸気抜きシール部8に対応する第2部位11bが非常に低くなっている。このため、第1シールバー11をフィルム9に押し付けたときに、第1部位11aはフィルム9に押し付けられるが、第2部位11bは、フィルム9に押し付けられない。このため、第1シール工程では、サイド強シール部7bのヒートシールのみが行われる。
【0041】
第2シールバー12は、サイド強シール部7bに対応する第1部位12aに対して、蒸気抜きシール部8に対応する第2部位12bがわずかに低くなっている。このため、第2シールバー12をフィルム9に押し付けたときに、第1及び第2部位12a,12bはどちらもフィルム9に押し付けられるが、第2部位12bの方が弱く押し付けられる。このため、第2シール工程では、サイド強シール部7b及び蒸気抜きシール部8のヒートシールが行われるが、単位幅当たりのシール強度は、サイド強シール部7bの方が高くなる。なお、{(第1部位12aの高さ)-(第2部位12bの高さ)}の値は、例えば、0.005~0.1が好ましく、0.01~0.05がさらに好ましい。この値は、具体的には例えば、0.005、0.010、0.015、0.020、0.025、0.030、0.050、0.100であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0042】
以上の構成の第1及び第2シール工程によって、サイド強シール部7b及び蒸気抜きシール部8を含むサイドシール部7が形成されるので、蒸気抜きシール部8のシール強度を十分に低くしつつ、サイド強シール部7bのシール強度を十分に高くすることができる。
【0043】
第1及び第2シールバー11,12は、好ましくは、2つのサイドシール部7に対応する形状が線対称となるように合体した形状を有する。このため、長尺状フィルムをその長手方向に移動させながら多数の包装袋1を順次製造する際には、上流側の包装袋1の一側縁のサイドシール部7と、下流側の包装袋1の他側縁のサイドシール部7を同時に形成することができる。また、長尺状フィルムに対して2つのサイドシール部7が線対称となるように合体した形状のシール部を形成した後に、線対称の対称軸に沿って長尺状フィルムを切断することによって、サイドシール部7が形成された包装袋1を得ることができる。
【0044】
なお、上記形態では、第1シールバー11の第2部位11bは、フィルム9に押し付けられないが、第2部位11bもフィルム9に押し付けられるようにしてもよい。この場合でも、第1部位11a,12aに対する、第2部位11b,12bの高さを互いに異ならせることによって、サイド強シール部7bと蒸気抜きシール部8のシール強度の関係を最適化することができる。
【0045】
また、上記実施形態では、第1シールバー11の第1部位11aは、より詳細には、サイド強シール部7bのうちのベース部7b1に対応した形状を有しており、突出部7b2に対応する部位を有さない。このため、単位幅当たりのシール強度は、ベース部7b1>突出部7b2>蒸気抜きシール部8の順となる。一方、第1シールバー11の第1部位11aが突出部7b2に対応した形状を含むようにしてもよい。
【0046】
2.第2実施形態
図6を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態についての記載は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも適用可能である。
【0047】
本実施形態の包装袋1には、底面部2が設けられておらず、包装袋1の底縁1bに沿って、前面部3と背面部4が溶着されている。つまり、本実施形態では、ボトムシール部5は、前面部3と背面部4が溶着されて構成されている。本実施形態の包装袋1は、非自立式であり、寝かせた状態で加熱することができる。蒸気抜きシール部8がサイドシール部7に設けられているので、前面部3と背面部4のどちらを下側にした場合でも、蒸気を適切に排出することができる。
【0048】
本実施形態では、蒸気抜きシール部8は、一対のサイドシール部7の一方のみに蒸気抜きシール部8が設けられているが、一対のサイドシール部7の両方に蒸気抜きシール部8を設けてもよい。
【0049】
本実施形態の包装袋1は、好ましくは、縦長形状であり、[サイドシール部7の長さ/ボトムシール部5の長さ]の値は、例えば1.1~5であり、具体的には例えば、1.1、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0050】
(第2観点)
1.包装袋51の構成
図7~
図9を用いて、本発明の一実施形態の電子レンジ用包装袋51について説明する。包装袋51は、包装袋51内に収容された内容物を電子レンジを用いて加熱することが想定されている。この加熱に伴って内容物から発生する水蒸気等により包装袋51の内部の圧力が上昇し、包装袋51が破裂して内容物が飛散するおそれがある。このため、包装袋51の破裂を抑制すべく、包装袋51には、発生した蒸気を排出するための蒸気排出機構30が設けられている。以下、詳細に説明する。
【0051】
<基本構成>
図7~
図9に示すように、包装袋51は、フィルム52に縦シール部57を形成して構成された筒体53と、上側横シール部54と、下側横シール部55を備える。各種シール部は、フィルム52の対向する内面同士をヒートシールすることによって形成することができる。包装袋51内には、通常、内容物が充填されているが、
図7~
図8では、便宜上、内容物が充填されていない状態の包装袋51を示している。内容物の例としては、冷凍食品などの固形物が挙げられる。
【0052】
以下、
図7の上下左右を包装袋51の上下左右として説明を進める。また、縦シール部57の長手方向が延びる方向(上下方向)が包装袋51の縦方向であり、縦方向に垂直な方向(左右方向)が包装袋51の横方向である。また、縦シール部57側の面を第1面41とし、その対向する面を第2面42とする。
【0053】
包装袋51の横方向の長さは、例えば、140~400mmであり、160~300mmが好ましい。この長さは、具体的には例えば、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。[包装袋51の縦方向の長さ/包装袋51の横方向の長さ]の値は、例えば、1.1~5であり、1.1~2が好ましい。この値は、具体的には例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0054】
上側横シール部54及び下側横シール部55は、それぞれ、筒体53の上側及び下側を閉塞させるように設けられる。横シール部54,55は、それぞれ、筒体53の上端及び下端に沿って形成することが好ましい。横シール部54,55は、縦シール部57の長手方向に直交するように形成することが好ましい。
【0055】
縦シール部57は、
図9に示すように、フィルム52を筒状に成形して、フィルム52の両側縁部52a,52bの内面同士を重ね合わせた合掌部58に設けられることが好ましい。合掌部58は、包装袋51の一側縁51aに向けて倒されることが好ましい。縦シール部57は、合掌部58の全体に設けてもよいが、縦シール部57の面積が増大するにつれて、縦シール部57を形成するためのヒートシールにかかる時間が長くなってしまうという問題がある。このため、縦シール部57は、合掌部58の一部に設けることが好ましい。
【0056】
図9Aに示すように、包装袋51の横方向の両端にはガゼット部51fが設けられている。ガゼット部51fは、筒体53に横シール部54,55を形成する前に、筒体53を包装袋51の内部に向かって折り込み、その状態で横シール部54,55を形成することによって、形成することができる。ガゼット部51fの横方向の長さは、例えば、10~30mmであり、具体的には例えば、10、15、20、25、30mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ガゼット部51fは、不要な場合には省略可能である。
【0057】
<フィルム52>
図9Bに示すように、フィルム52は、外層21と内層22が接着層23を介して積層されて構成されている。
【0058】
外層21は、包装袋51の外表面に露出するように配置され、内層22は、包装袋51の内表面に露出するように配置される。内層22同士がヒートシールされることによって、シール部が形成される。
【0059】
外層21は、強度に優れて高い耐衝撃性を有する樹脂で構成される。外層としては、例えば、ポリエステル(例:PET)、ポリアミド、ポリオレフィン等が用いられる。接着層は、外層と内層を互いに積層するように接着するための層であり、接着層を構成する接着剤としては、例えば、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、エラストマー系接着剤、フッ素系接着剤等が挙げられる。
【0060】
内層22は、ヒートシール層を備える。ヒートシール層は、ヒートシール性に優れた樹脂で構成される。ヒートシール層は、例えば、ポリエチレン(例:直鎖状低密度ポリエチレン)で形成することができる。内層22を構成するフィルムとしては、MD方向の直線カット性を有するものが好ましい。内層22は、単層構成であっても、複数層構成であってもよい。内層22が複数層構成である場合、最内層がヒートシール層であり、ヒートシール層よりも剛性が高い補強層がヒートシール層よりも外側に設けられることが好ましい。
【0061】
外層21と内層22の少なくとも一方が直線カット性を有することが好ましい。この場合、フィルム52を引き裂く際にまっすぐに引き裂きやすいからである。内層22の厚さは、外層21の厚さの2倍以上であることが好ましく、フィルム52全体の厚さの半分以上であることが好ましい。
【0062】
フィルム52は、厚さ10μm~20μm、例えば15μmの外層21と、厚さ10μm~30μm、例えば20μmの接着層23と、厚さ30μm~50μm、例えば40μmの内層22を積層して形成することができ、フィルム52として、通常は50μm~100μmの厚さを有する。
【0063】
<蒸気排出機構30>
包装袋51は、第1及び第2面41,42を備える。第1面41は、縦シール部57が設けられた面であり、第2面42は、包装袋51の内部を挟んで第1面41に対向する面である。
【0064】
図9Bに示すように、第1及び第2面41,42のそれぞれには、蒸気排出機構30が設けられている。蒸気排出機構30は、電子レンジでの加熱の際に包装袋51の内容物から発生する蒸気によって包装袋51の内圧が高まったときに包装袋51内の蒸気の排出を可能にする機構である。蒸気排出機構30は、具体的には、内層22に設けられた開口部31と、内層22と外層21の間に設けられた蒸気排出部32を備える。開口部31は、外層21を貫通していないことが好ましい。開口部31が外層21を貫通すると開口部31から内容物が漏れる場合があるからである。蒸気排出部32は、内層22と外層21の間において接着層23が設けられていない未接着部であるか、又は接着層23の他の部位に比べて単位面積当たりの接着強度が低い弱接着部である。蒸気排出部32は、開口部31と、フィルム52の端を連結するように設けられている。開口部31は、本実施形態では、合掌部58が倒されている側に設けられているが、この反対側に設けてもよい。
【0065】
電子レンジでの加熱の際に包装袋51の内容物から発生する蒸気は、開口部31及び蒸気排出部32を通じて、包装袋51の外部に排出される。蒸気排出部32が未接着部である場合は、蒸気が通る通路が最初から設けられており、蒸気は、この通路を通じて排出される。蒸気排出部32が弱接着部である場合、蒸気の圧力によって弱接着部において内層22と外層21が剥離されることによって蒸気が通る通路が形成され、蒸気は、この通路を通じて排出される。
【0066】
包装袋51内の内容物を電子レンジで加熱する際には、通常、第1及び第2面41,42のどちらかを下向きにして、包装袋51を電子レンジ内に載置して加熱が行われる。下向きになって面に設けられた面では、蒸気排出部32に蒸気が通る通路が形成されにくいので、この面に設けられた蒸気排出機構30は適切に機能しない虞がある。しかし、本実施形態の包装袋51では、第1及び第2面41,42のそれぞれに蒸気排出機構30が設けられているので、蒸気排出機構30の一方が適切に機能しなくても、蒸気排出機構30の他方が適切に機能して、包装袋51内の蒸気を適切に排出することが可能である。
【0067】
開口部31は、ミシン目31aによって構成されることが好ましい。ミシン目31aに沿ってフィルム52を引き裂くことができるので、ミシン目31aを設けることによって、包装袋51の開封性が向上する。
図7~
図8に示すように、ミシン目31aは、横シール部54,55間の領域51cから包装袋51の上端51dと下端51eの少なくとも一方にまで到達するように設けることが好ましく、上端51dと下端51eの両方に到達するように設けることが好ましい。これによって、包装袋51の開封性がさらに向上する。ミシン目31aは、縦シール部57の長手方向に平行に延びるように設けることが好ましい。
【0068】
ミシン目31aは、一方向に沿って、互いに間隔を開けて並ぶ多数の線状開口部で構成されている。各線状開口部の長さは、例えば、1~5mmであり、2~4mmがさらに好ましく、3mmがさらに好ましい。この長さは、具体的には例えば、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。隣接する2つの線状開口部の間の間隔は、例えば、1~5mmであり、2~4mmがさらに好ましく、3mmがさらに好ましい。この間隔は、具体的には例えば、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0069】
蒸気排出部32は、ミシン目31aに沿って設けられることが好ましい。蒸気排出部32は、幅が一定の帯状に設けられることが好ましい。蒸気排出部32の幅(ミシン目31aが延びる方向に垂直な方向の長さ)は、例えば、3~30mmであり、5~20mmが好ましく、10~15mmがより好ましい。この幅が狭すぎると蒸気排出が不十分になりやすく、この幅が広すぎると、外層21と内層22が接着されていない領域が広くなりすぎて、包装袋51の取り扱い性が悪くなる場合がある。この幅は、具体的には例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0070】
包装袋51の端で開口している蒸気排出部32の幅の合計(例えば、第1面41の蒸気排出部32の上端51dでの幅+下端51eでの幅と、第2面42の蒸気排出部32の上端51dでの幅+下端51eの合計)をA(cm)とし、領域51cの面積(例えば、第1面41の面積+第2面42の面積+両縁のガゼット部51fの面積)をB(cm2)とすると、B/A(cm)は、80~800が好ましく、130~530がさらに好ましく、170~300がさらに好ましい。B/Aが大きすぎると、包装袋51を電子レンジで加熱したときに、蒸気の発生量>蒸気が抜ける量となって包装袋51が破裂してしまう場合がある。B/Aが小さすぎると、外層21と内層22が接着されていない領域が広くなりすぎて、包装袋51の取り扱い性が悪くなる場合がある。B/A(cm)は、具体的には例えば、80、100、130、150、170、200、250、300、350、400、450、500、530、550、600、650、700、750、800であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0071】
包装袋51を第1面41に垂直な方向からみたときに、第1面41のミシン目31aの第2面42のミシン目31aの間の横方向の長さをDとし、包装袋51の横方向の長さをWとすると、D/W≦0.3であることが好ましい(本実施形態では、D/W=0である。)。D/Wが小さいほど、第1面41のミシン目31aでのフィルム52の引き裂きと、第2面42のミシン目31aでのフィルム52の引き裂きを同時に行いやすい。第1及び第2面41,42でフィルム52を引き裂くことによって、包装袋51に形成される開口のサイズが大きくなり、内容物の取り出し性が向上する。D/Wは、例えば0~0.3であり、具体的には例えば、0、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0072】
包装袋51の横方向の中央からミシン目31aまでの距離をD1とすると、D1/Wは、0.1~0.4が好ましい。この値が小さすぎる(つまり、ミシン目31aが包装袋51の中央に近すぎる)と、包装袋51を開封したときに内容物が落下しやすい。この値が大きすぎる(つまり、ミシン目31aが包装袋51の縁に近すぎる)と、ミシン目31aに沿って開封しにくい場合がある。この値は、具体的には例えば、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0073】
2.フィルム52の製造方法
図10~
図11に示すように、フィルム52は、外層21を構成する外層フィルム21fと、内層22を構成する内層フィルム22fを接着剤23aで接着することによって形成することができる。この接着は、押し出しラミネート法やドライラミネート法によって行うことができる。接着剤23aによって構成される層が接着層23となる。
【0074】
ドライラミネート法の場合、一例では、
図10に示す装置を用いて接着を行うことができる。外層フィルム21fは、外層フィルムロール21rから繰り出される。接着剤23aは、接着剤槽24に収容されており、塗布用ロール28の下方部が接着剤に浸かる高さに配置されている。塗布用ロール28に近接して押さえロール29が配置されており、塗布用ロール28と押さえロール29の間で外層フィルム21fに接着剤が塗布される。接着剤槽24、塗布用ロール28、及び押さえロール29は、チャンバー33内に配置されている。チャンバー33内には不図示の加湿器が配置されており、湿度が調節可能になっている。接着剤が塗布された外層フィルム21fは、乾燥機34内に搬入される。乾燥機34では、接着剤に含まれる溶媒が蒸発し、接着剤の乾燥塗膜が形成される。その後、外層フィルム21fは、チャンバー35内に導かれる。
【0075】
内層フィルム22fは、内層フィルムロール22rから繰り出され、チャンバー35内に導かれる。内層フィルムロール22rとチャンバー35の間には、ミシン目カッター25が配置されており、内層フィルム22fにミシン目31aが形成可能になっている。ミシン目カッター25は、好ましくは片刃であり、刃先の角度は15~25度(より好ましくは20度)である。
【0076】
チャンバー35内には、圧着ロール26,27が配置されており、圧着ロール26,27で内層フィルム22fと外層フィルム21fを圧着してフィルム52が形成される。チャンバー35内には不図示の加湿器が配置されており、湿度が調節可能になっている。フィルム52は、ロール状に巻き取られてロール状原反Fとなる。
【0077】
図11Aに示すように、内層フィルム22fのうち、包装袋51の第1及び第2面41,42となる領域のそれぞれに予め開口部31(例:ミシン目31a)を形成しておき、この内層フィルム22fを用いて製造したフィルム52を用いて包装袋51を製造することによって、包装袋51の第1及び第2面41,42のそれぞれに開口部31を形成することができる。
【0078】
また、
図11Bに示すように、外層フィルム21fと内層フィルム22fを接着する際に、蒸気排出部32となる領域32aに接着剤23aを塗布しないことによって、未接着部で構成される蒸気排出部32を形成することができる。
図10に示す構成の場合、蒸気排出部32となる領域32aに対応する部位に凹部を有する塗布用ロール28を用いて接着剤の塗布を行うことによって、領域32aに未接着部を形成することができる。また、外層フィルム21fと内層フィルム22fを接着する際に、蒸気排出部32となる領域32aには、その他の領域より接着力が弱い接着剤を塗布することによって弱接着部で構成される蒸気排出部32を形成することができる。
【0079】
内層フィルム22fは、シーラント層を構成するフィルム(以下、「シーラント層フィルム」)の単層であってもよいが、シーラント層フィルムの強度が不十分である場合、シーラント層フィルムにミシン目31aを形成すると、その際に又はその後の工程においてシーラント層フィルムが破れてしまう場合がある。そこで、内層フィルム22fとしては、シーラント層フィルムと、シーラント層フィルムを補強するための補強フィルムを接着したものを用いてもよい。この場合、シーラント層フィルムが破れることが抑制される。補強フィルムとしては、ナイロンフィルムなどを用いることができる。また、
図10に示すように、内層フィルムロール22rから繰り出された内層フィルム22fにミシン目カッター25を用いてミシン目31aを形成し、その後に、内層フィルム22fをロール状に巻き取ることなく、内層フィルム22fと外層フィルム21fを接着する場合、内層フィルム22fがシーラント層フィルムの単層であっても、内層フィルム22fが破れることが抑制される。
【0080】
3.製袋充填方法
次に、
図12を用いて、フィルム52を用いた製袋充填方法について説明する。この方法は、製袋充填機100を用いて実施可能である。
【0081】
<S1:フィルム湾曲工程>
まず、ロール状原反Fから繰り出されたフィルム52は、複数の繰り出しロール120、121を経てフォーマ112に導かれる。ロール状原反Fからフォーマ112までの経路途中には不図示のセンサが配されており、フィルム52に長さ方向において一定間隔で印刷されたレジマークを検知して、製袋充填機100の軌道上に一定の長さのフィルム52を一定の時間間隔で送り出せるようになっている。フィルム52は、フォーマ112を通過する間に筒状に湾曲されて、湾曲した先端の両側縁部がオーバーラップした形態となる。オーバーラップした部分には重ね合わせ部が形成される。重ね合わせ部が一対の送りロール114で挟着されており、送りロール114の回転に伴ってフィルム52が送り出される。
【0082】
<S2:縦シール工程>
次に、フィルム52の重ね合わせ部を縦シール機113にてヒートシールし、縦シール部57を形成する。縦シール機113は、一対のシールロールを備え、フィルム52が一定の時間間隔で移動するタイミングに合わせて、フィルム52の重ね合わせ部を一対のシールロールで挟持しながら一対のシールロールを互いに逆方向に回転させることでフィルム52を送り出しながらヒートシールを行う。フィルム52に縦シール部57を形成することによって、筒体53が形成される。筒体53内には、コンベア130で搬送された内容物Wが収容される。内容物Wは、例えば、トレイ上に載置された餃子や肉まんである。
【0083】
<S3:横シール工程>
次に、送りロール114を回転させることで、筒体53を所定の長さだけ下流に移動させ、成形装置123で成形し、横シール機116の上流側と下流側のそれぞれに設けられたガゼット爪131,132でガゼット部51fが形成された筒体53の所定位置を横シール機116にてヒートシールする。横シール機116は、一対のシールバー116a,116bを備え、上記所定位置を一対のシールバー116a,116bで所定時間挟持することでヒートシールを行う。横シール機116は、下流側の包装袋51の上側横シール部54と上流側の筒体53の下側横シール部55を同時に形成し、シールバー116aに設けられたカッター133で分割する。これによって、内容物Wが充填された包装袋51が得られる。包装袋51は、コンベア130で下流に搬送される。
【0084】
この後は、S3の工程を繰り返すことによって、内容物Wが充填された包装袋51を連続的に製造することができる。
【0085】
4.その他
上記実施形態では、包装袋51の製造工程において内容物を充填しているが、包装袋51のうち上側横シール部54以外のシール部を形成したものを予め製造し、この包装袋51内に内容物を充填した後に、上側横シール部54を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 :包装袋
1a :未シール部
1b :底縁
1s :側縁
1t :上縁
2 :底面部
2a :切り欠き
3 :前面部
4 :背面部
5 :ボトムシール部
5a :前面ボトムシール部
5b :背面ボトムシール部
5c :連結シール部
5d :周縁シール部
5e :勾配部
6 :シール部
7 :サイドシール部
7a :凹部
7a1 :領域
7b :サイド強シール部
7b1 :ベース部
7b2 :突出部
7b3 :内縁
7b4 :端縁
7b5 :内縁
7c :延長線
7d :凹部
8 :蒸気抜きシール部
8a :内縁
8b :外縁
8c :根本
8d :線分
8e :先端
8f :根本
9 :フィルム
11 :第1シールバー
11a :第1部位
11b :第2部位
12 :第2シールバー
12a :第1部位
12b :第2部位
13 :トップシール部
21 :外層
21f :外層フィルム
21r :外層フィルムロール
22 :内層
22f :内層フィルム
22r :内層フィルムロール
23 :接着層
23a :接着剤
24 :接着剤槽
25 :ミシン目カッター
26 :圧着ロール
27 :圧着ロール
28 :塗布用ロール
29 :押さえロール
30 :蒸気排出機構
31 :開口部
31a :ミシン目
32 :蒸気排出部
32a :領域
33 :チャンバー
34 :乾燥機
35 :チャンバー
41 :第1面
42 :第2面
51 :電子レンジ用包装袋
51a :一側縁
51c :領域
51d :上端
51e :下端
51f :ガゼット部
52 :フィルム
52a :側縁部
52b :側縁部
53 :筒体
54 :上側横シール部
55 :下側横シール部
57 :縦シール部
58 :合掌部
100 :製袋充填機
112 :フォーマ
113 :縦シール機
114 :送りロール
116 :横シール機
116a :シールバー
116b :シールバー
120 :繰り出しロール
121 :繰り出しロール
123 :成形装置
130 :コンベア
131 :ガゼット爪
132 :ガゼット爪
133 :カッター
E :中央線
F :ロール状原反
W :内容物