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  • 特開-手摺りブラケット 図1
  • 特開-手摺りブラケット 図2
  • 特開-手摺りブラケット 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057571
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】手摺りブラケット
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
E04F11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167104
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000113779
【氏名又は名称】マツ六株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】坂井 康英
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301GG07
2E301HH03
2E301HH05
(57)【要約】
【課題】使用しているうちにネジの効きが悪くなって手摺り棒がぐらつくことのない手摺り棒の木口位置を支持する方式の手摺りブラケットを提供すること。
【解決手段】手摺りブラケットの取付面板部11bに、手摺り棒Pを、手摺り棒Pの木口側からその中心に螺入するネジ3で固定して手摺り棒Pの木口位置を支持する手摺りブラケットにおいて、ネジ3の頭部31の座面31aを円錐形状に形成し、ネジ3の座面31aが着座する取付面板部11bの着座面11cを円錐面の凹み形状に形成し、かつ、着座面11cの頂角θ1を、ネジ3の座面31aの頂角θ3より、5°~20°大きく形成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺りブラケットの取付面板部に、手摺り棒を、該手摺り棒の木口側からその中心に螺入するネジで固定して手摺り棒の木口位置を支持する手摺りブラケットにおいて、前記ネジの頭部の座面を円錐形状に形成したネジを用い、該ネジの座面が着座する取付面板部の着座面を円錐面の凹み形状に形成し、かつ、該着座面の頂角を、ネジの座面の頂角より、5°~20°大きく形成するようにしたことを特徴とする手摺りブラケット。
【請求項2】
前記ネジが、ネジの座面とネジ部との間に、ネジ部の外径より大径で、かつ、長さが1~3mmの円柱部を有してなることを特徴とする請求項1に記載の手摺りブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺りブラケットに関し、特に、単板積層材製の手摺り棒に用いることができる手摺りブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、階段やスロープ等に使用される手摺り棒には、ステンレスやアルミニウム等の金属製のストレートパイプが多く使用されている。
この金属製の手摺り棒は、耐久性に優れ、安価である反面、冷たい感触があるため、一般家庭等の手摺り棒には、手触りの感触に優れ、高級感や風合いがあり、また温かみがあって人に優しい木製の手摺り棒が用いられてきた。
【0003】
この木製の手摺り棒には、従来、タモ材、アッシュ材、ラバーウッド材等の無垢材が用いられてきたが、近年の木材資源の枯渇や木材価格の高騰の問題に鑑み、例えば、ポプラ材等の単板をその繊維方向を平行にして積層した単板積層材(LVL(Laminated Veneer
Lumber))が用いられてきている。
【0004】
ところで、単板積層材製の手摺り棒は、その構造上の理由から、特に、木口方向からのネジが効きにくく、手摺り棒の木口位置を支持する方式の手摺りブラケット(例えば、特許文献1参照。)の場合、荷重がかかることによって手摺り棒が撓んでネジに引き抜き方向の力がかかり、使用しているうちにネジの効きが悪くなって手摺り棒がぐらつくという問題があった。
このため、単板積層材製の手摺り棒用の手摺りブラケットには、手摺り棒の木口位置を支持する方式の手摺りブラケットではなく、手摺り棒の中間位置を支持する方式の手摺りブラケット(例えば、特許文献2参照。)が用いられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-23383号公報
【特許文献2】特開2007-85109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、手摺り棒が短尺の場合や設置場所の理由等から、単板積層材製の手摺り棒を、その木口位置で支持することの要請があった。
【0007】
本発明は、上記単板積層材製の手摺り棒に関する問題点や要請に鑑み、使用しているうちにネジの効きが悪くなって手摺り棒がぐらつくことのない手摺り棒の木口位置を支持する方式の手摺りブラケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の手摺りブラケットは、手摺りブラケットの取付面板部に、手摺り棒を、該手摺り棒の木口側からその中心に螺入するネジで固定して手摺り棒の木口位置を支持する手摺りブラケットにおいて、前記ネジの頭部の座面を円錐形状に形成したネジを用い、該ネジの座面が着座する取付面板部の着座面を円錐面の凹み形状に形成し、かつ、該着座面の頂角を、ネジの座面の頂角より、5°~20°大きく形成するようにしたことを特徴とする。
【0009】
この場合において、前記ネジに、ネジの座面とネジ部との間に、ネジ部の外径より大径で、かつ、長さが1~3mmの円柱部を有してなるネジを用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の手摺りブラケットによれば、円錐形状に形成したネジの座面が着座する円錐面の凹み形状に形成した取付面板部の着座面の頂角を、ネジの座面の頂角より、5°~20°大きく形成するようにすることにより、荷重がかかることによって手摺り棒が撓んでも、ネジの頭部が、ネジの頭部の基部を支点として、円錐面の凹み形状に形成した取付面板部の着座面内で揺動することで、ネジに引き抜き方向の力がかかることを防止することができる。これにより、使用しているうちにネジの効きが悪くなって手摺り棒がぐらつくという問題点を解消することができ、特に、木口方向からのネジが効きにくい単板積層材製の手摺り棒を、その木口位置で支持することができる。
【0011】
また、ネジに、ネジの座面とネジ部との間に、ネジ部の外径より大径で、かつ、長さが1~3mmの円柱部を有してなるネジを用いることにより、ネジの頭部を、円柱部(ネジの頭部の基部)を支点として、円錐面の凹み形状に形成した取付面板部の着座面内で揺動しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の手摺りブラケットの一実施例を示す全体説明図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図2】同手摺りブラケットに用いるネジを示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図3】同手摺りブラケットにより手摺り棒を支持した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の手摺りブラケットの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1図3に、本発明の手摺りブラケットの一実施例を示す。
この手摺りブラケットは、特許文献1に開示した手摺りブラケットと同様、ブラケット本体1と、ブラケット本体1の開口部を塞ぐように取り付けられるカバー体2とからなり、ブラケット本体1は、手摺り棒Pを取り付ける第1の取付部11及びブラケット本体1を固定側Wに取り付ける第2の取付部12を備えるとともに、両取付部11、12に適用する固着部材3、4、5の操作を行うための開口部を形成するようにし、カバー体2は、カバー体2をブラケット本体1に係止するための係止爪21a、21bを備えるようにしている。
【0015】
手摺り棒Pを取り付ける第1の取付部11は、手摺り棒Pの木口側の端部の外周を覆う筒状部11aと、手摺り棒Pの木口側からその中心に螺入する固着部材3としてのネジ3を介して固定して支持する取付面板部11bとからなる。
【0016】
ここで、ネジ3には、作業性を考慮して、ネジ部33をタッピングネジ仕様とした浸炭焼入れ焼戻しの熱処理を行ったSWCH18A(冷間圧造用炭素鋼)製のネジ3を用いるようにしている。
【0017】
そして、ネジ3には、ネジ3の頭部31の座面31aを円錐形状に形成したものを用い、ネジ3の座面31aが着座する取付面板部11bの着座面11cを円錐面の凹み形状に形成し、かつ、着座面11cの頂角θ1を、ネジ3の座面31aの頂角θ3より、5°~20°、好ましくは、7°~15°大きく形成(本実施例においては、着座面11cの頂角θ1を100°、ネジ3の座面31aの頂角θ3を90°とすることで、10°大きく
形成。)するようにしている。
【0018】
また、ネジ3には、ネジ3の座面31aとネジ部33との間に、ネジ部33の外径より大径(本実施例においては、ネジ部33の外径をφ4.20~4.30mm、円柱部32の外径をφ4.39mmに形成するようにしている。)で、かつ、長さL3が1~3mm(本実施例においては、1.25mm。)の円柱部32を有してなるものを用いることができる。
ネジ3の円柱部32が位置する、取付面板部11bに着座面11cに続いて形成された円孔11dの孔径は、0.1mm又はそれ以下のクリアランスを以て、ネジ3の円柱部32が挿通されるようにする。
【0019】
手摺り棒Pを取り付ける第1の取付部11の取付面板部11bには、ネジ3に加え、手摺り棒Pの木口側からその中心からずらして補助ネジ4を螺入するようための円孔11eを形成するようにしている。
補助ネジ4には、作業性を考慮して、タッピングネジを使用することができる。
この補助ネジ4により、手摺り棒Pが回転することを防止することができる。
【0020】
この手摺りブラケットによれば、円錐形状に形成したネジ3の座面31aが着座する円錐面の凹み形状に形成した取付面板部11bの着座面11cの頂角θ1を、ネジ3の座面31aの頂角θ3より、5°~20°大きく形成するようにすることにより、荷重がかかることによって手摺り棒Pが撓んでも、ネジ3の頭部31が、ネジ3の頭部31の基部を支点として、円錐面の凹み形状に形成した取付面板部11bの着座面11c内で揺動することで、ネジ3に引き抜き方向の力がかかることを防止することができる。これにより、使用しているうちにネジ3の効きが悪くなって手摺り棒Pがぐらつくという問題点を解消することができ、特に、木口方向からのネジが効きにくい単板積層材製の手摺り棒Pを、その木口位置で支持することができる。
【0021】
また、ネジ3に、ネジ3の座面31aとネジ部33との間に、ネジ部33の外径より大径で、かつ、長さL3が1~3mmの円柱部32を有してなるネジを用いることにより、ネジ3の頭部31を、円柱部32(ネジ3の頭部31の基部)を支点として、円錐面の凹み形状に形成した取付面板部11bの着座面11c内で揺動しやすくすることができる。
【0022】
以上、本発明の手摺りブラケットについて、その実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の手摺りブラケットは、使用しているうちにネジの効きが悪くなって手摺り棒がぐらつくことがない特性を有することから、単板積層材製の手摺り棒のほか、木製の手摺り棒の木口位置を支持する方式の手摺りブラケットとして広く用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 ブラケット本体
11 第1の取付部
11a 筒状部
11b 取付面板部
11c 着座面
11d 円孔
11e 円孔
12 第2の取付部
2 カバー体
21a 係止爪
21b 係止爪
3 ネジ(固着部材)
31 頭部
31a 座面
32 円柱部
33 ネジ部
4 補助ネジ(固着部材)
5 固着部材
θ1 着座面の頂角
θ3 座面の頂角
L3 円柱部の長さ
P 手摺り棒
W 固定側
図1
図2
図3