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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057617
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】プログラム更新機能付き加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20230417BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167184
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】上垣 大樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA31
5B376CA32
5B376CA43
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザの使い勝手に優れるプログラム更新機能付き加熱調理器を提供する。
【解決手段】加熱調理器1は、加熱部2と、実装されたプログラムに基づいて制御処理を実行する制御装置20とを備える。制御装置20は、実装されたプログラムを更新する更新プログラムを外部機器(サーバ40)から取得して、記憶部に記憶し、電力の供給状態になったときに記憶部に更新プログラムが記憶されている場合、複数の更新時期の選択を報知し、選択された更新時期に更新プログラムへの更新を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部と、
実装されたプログラムに基づいて制御処理を実行する制御装置と、を備えるプログラム更新機能付き加熱調理器であって、
制御装置は、実装されたプログラムを更新する更新プログラムを外部機器から取得して、記憶部に記憶し、
電力の供給状態になったときに記憶部に更新プログラムが記憶されている場合、複数の更新時期の選択を報知し、選択された更新時期に更新プログラムへの更新を実行するように構成されているプログラム更新機能付き加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラム更新機能付き加熱調理器において、
制御装置は、電力の供給状態になったときに記憶部に更新プログラムが記憶されている場合、更新プログラムがあること、及び更新プログラムへの更新に必要な更新時間を報知するプログラム更新機能付き加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプログラム更新機能付き加熱調理器において、
制御装置は、自動加熱調理中の加熱部非作動時間帯を含む更新時期の選択を報知するプログラム更新機能付き加熱調理器。
【請求項4】
請求項3に記載のプログラム更新機能付き加熱調理器において、
制御装置は、更新時期として自動加熱調理中の加熱部非作動時間帯が選択された場合、更新プログラムへの更新時間が加熱部非作動時間帯の範囲内であれば、更新プログラムへの更新を実行するプログラム更新機能付き加熱調理器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に実装されたプログラムを更新する機能を有するプログラム更新機能付き加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコン等の制御装置の制御処理用のプログラムを、外部サーバ等の外部機器から取得した新たなプログラムに更新する加熱調理器がある。例えば、特許文献1では、外部機器から加熱調理器にプログラムの更新要求があった場合、加熱調理器から外部機器に更新許可を返信したときにプログラムを更新させることが提案されている。また、プログラムの更新中は、プログラムによって作動が制御される制御弁などの制御対象要素の不定状態を回避する必要がある。そのため、特許文献1では、ユーザの加熱調理器の使用履歴からユーザの使用時間帯を記憶し、ユーザの不使用時間帯にプログラムを更新させることや、加熱調理器から外部機器に更新拒否を一定回数以上、返信すると、強制的にプログラムの更新を実行するとともに、強制更新中は、通常運転時よりも機能を制限して、異常加熱時にコンロバーナを消火させる機能のみを有する暫定プログラムを実行させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-24052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池を駆動電源とする加熱調理器では、制御装置に電力が供給されていなければ、プログラムの更新を行うことができない。しかしながら、ユーザが加熱調理器の電源のオン操作をするとき、通常、ユーザは加熱調理器で加熱調理を開始させることを意図しているから、プログラムの更新に長時間が必要になるときでも更新許可をすると、更新が終了するまでユーザは一定時間、加熱調理を開始させることができないという問題がある。
【0005】
商用電源を駆動電源とする加熱調理器では、常時、制御装置に電力を供給することができるから、加熱調理が行われていないときにプログラムを更新させることができる。しかしながら、ユーザが加熱調理を開始させようとしたときに外部機器から更新要求を受信して、外部機器へ更新許可を送信すると、電池を駆動電源とする加熱調理器と同様に、一定時間、加熱調理を開始させることができないという問題がある。また、未使用時に待機電力モードとなる加熱調理器では、待機電力モード中、プログラムの更新が行われているときにユーザが加熱調理を開始させることも考えられ、更新のタイミングの設定が難しい。
【0006】
また、いずれの駆動電源を使用する場合でも、加熱調理中に更新プログラムを更新するときには制御対象要素の不定状態を回避する必要がある。そのため、特許文献1のようにユーザの使用履歴からユーザの使用時間帯を把握し、ユーザの不使用時間帯にプログラムの更新を行うことも考えられるが、ユーザの加熱調理器の使用回数が少ない段階では、ユーザの望まない時間帯にプログラムの更新が実行されてしまう虞がある。また、複数のユーザがいる場合、使用時間帯が広くなり、不使用時間帯が狭くなる。それゆえ、更新プログラムの容量が大きく、更新に長時間が必要になるときには、不使用時間帯を更新に利用することが難しい。さらに、特許文献1のように、複数回、更新が拒否された場合に強制的に更新を行うと、ユーザの意図しないタイミングでプログラムが更新される。その結果、ユーザが加熱調理を開始した後、強制更新が開始すると、機能が制限された暫定プログラムが実行され、火力の調整が制限されて、加熱調理開始後にユーザの意図した調理ができなくなるという問題がある。特に、火力が自動で変更される自動加熱調理機能を有する加熱調理器では、ユーザが暫定プログラムで加熱調理が実行されていることに気づかないと、調理に失敗する可能性がある。
【0007】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、調理に失敗することなく、ユーザの使い勝手に優れるプログラム更新機能付き加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
加熱部と、
実装されたプログラムに基づいて制御処理を実行する制御装置と、を備えるプログラム更新機能付き加熱調理器であって、
制御装置は、実装されたプログラムを更新する更新プログラムを外部機器から取得して、記憶部に記憶し、
電力の供給状態になったときに記憶部に更新プログラムが記憶されている場合、複数の更新時期の選択を報知し、選択された更新時期に更新プログラムへの更新を実行するように構成されているプログラム更新機能付き加熱調理器が提供される。
【0009】
上記プログラム更新機能付き加熱調理器によれば、加熱調理器の使用状況に応じて、ユーザが希望する更新時期に更新プログラムに更新することができる。
【0010】
好ましくは、上記プログラム更新機能付き加熱調理器において、
制御装置は、電力の供給状態になったときに記憶部に更新プログラムが記憶されている場合、更新プログラムがあること、及び更新プログラムへの更新に必要な更新時間を報知する。
【0011】
上記プログラム更新機能付き加熱調理器によれば、ユーザに速やかに更新プログラムがあることを認識させることができる。また、上記プログラム更新機能付き加熱調理器によれば、加熱調理器の使用状況と更新に必要な更新時間とを考慮して、ユーザが希望する更新時期に更新プログラムに更新することができる。
【0012】
好ましくは、上記プログラム更新機能付き加熱調理器において、
制御装置は、自動加熱調理中の加熱部非作動時間帯を含む更新時期の選択を報知する。
【0013】
例えば、自動加熱調理では、余熱調理や蒸らし調理などの加熱部を作動させない時間帯が自動加熱調理の調理時間に含まれている場合がある。上記のような加熱部非作動時間帯であれば、加熱部の火力を変更する制御対象要素は作動させないから、自動加熱調理への影響のない時間帯に更新プログラムを更新させることができる。
【0014】
好ましくは、上記プログラム更新機能付き加熱調理器において、
制御装置は、更新時期として自動加熱調理中の加熱部非作動時間帯が選択された場合、更新プログラムへの更新時間が加熱部非作動時間帯の範囲内であれば、更新プログラムへの更新を実行する。
【0015】
上記プログラム更新機能付き加熱調理器によれば、自動加熱調理の加熱部非作動時間帯内に更新プログラムへの更新を完了させることができるから、自動加熱調理中の制御対象要素の不定状態を回避することができる。これにより、自動加熱調理中に更新プログラムへの更新を実行しても、調理の失敗を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、加熱調理器の使用状況に応じて、ユーザが更新プログラムへの更新時期を選択できるから、調理に失敗することなく、使い勝手に優れるプログラム更新機能付き加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るプログラム更新機能付き加熱調理器の一例を示す概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るプログラム更新機能付き加熱調理器の一例を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係るプログラム更新機能付き加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係るプログラム更新機能付き加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係るプログラム更新機能付き加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図5を参照して、本発明の実施の形態に係るプログラム更新機能付き加熱調理器を説明する。
図1を参照して本実施の形態のプログラム更新機能付き加熱調理器(以下、単に、「加熱調理器」という)1は、例えば、ガスコンロ等であり、加熱部としてのバーナ2と、バーナ2に燃料ガスを供給する燃料供給路3と、バーナ2に近接して配置された点火電極7aに火花放電を発生させるイグナイタ7とを備える。
【0019】
燃料供給路3には、これを開閉可能な制御弁としての元弁4及び先弁5と、バーナ2への燃料供給量を調整してバーナ2の火力を調整するための火力調整弁6とが介装されている。元弁4及び先弁5は、例えば、電磁安全弁や電磁弁により構成され、火力調整弁6は、例えば、比例弁またはモータ駆動方式の電動弁により構成される。
【0020】
加熱調理器1の本体内には、電源電池80が収容されており、電源電池80から制御装置20や制御対象要素の駆動回路(図示せず)に電力が供給されるように構成されている。具体的には、イグナイタ7を作動させつつ、元弁4及び先弁5を開弁制御することで、点火電極7aから火花放電が発生され、バーナ2に燃料ガスが供給される。これにより、バーナ2が点火され、バーナ2の燃焼運転が開始する。そして、バーナ2の燃焼運転中は、火力調整弁6が制御されることで、バーナ2への燃料供給量が調整され、ひいては、バーナ2の火力が調整される。さらに、元弁4及び先弁5の少なくとも一方が閉弁制御されると、バーナ2への燃料供給が遮断され、バーナ2が消火される。
【0021】
なお、図1では、1つのバーナ2だけが図示されているが、加熱調理器1は、複数のバーナを備えていてもよい。この場合、各バーナは、図1と同様に、元弁、先弁及び火力調整弁を備えてもよい。また、例えば、全てのバーナに共用の元弁を設け、共用の元弁の下流側から分岐した各バーナの燃料供給路に先弁及び火力調整弁を設けてもよい。
【0022】
加熱調理器1は、種々の視覚的情報を表示する表示器11や、警報音、音声などの聴覚的情報を出力する発音器12からなる報知手段と、加熱調理器1の運転に関する種々の操作をユーザが行うための操作部13と、加熱調理器1の運転制御を行う機能を有する制御装置20とを備える。
【0023】
表示器11は、例えば、液晶表示器、LED表示器、有機EL表示器などにより構成され、発音器12は、例えば、スピーカ、ブザーなどにより構成される。また、操作部13は、詳細な図示は省略するが、運転スイッチや、バーナ2の点消火操作及び火力調整操作をユーザが行うための点消火スイッチなどが設けられた操作部と、バーナ2の火力調整や消火などを所定のシーケンスで自動的に行う自動加熱調理に関する設定操作をユーザが行うための自動加熱調理操作スイッチが設けられた操作部とを有する。
【0024】
制御装置20は、後述する第1マイクロコンピュータ(以下、マイコン)21及び第2マイコン22等を含む電子回路ユニットであり、操作部13の操作信号が入力されるとともに、加熱調理器1に備えられた種々のセンサ(図示せず)のセンシング信号が入力される。センシング信号としては、例えば、バーナ2により加熱される被加熱物の温度の検出信号やバーナ2の燃焼炎の有無を示す炎検知信号などが含まれる。
【0025】
そして、制御装置20は、実装されたハードウェアとプログラムとにより実現される機能として、加熱調理器1の複数の制御対象要素としての元弁4、先弁5、火力調整弁6、イグナイタ7、表示器11、及び発音器12のそれぞれの動作制御を行う機能を有する。
【0026】
また、制御装置20は、インターネット等の外部ネットワークNWに接続可能なWi-Fiルータ等の中継器30と無線通信を行うことが可能であるとともに、中継器30と外部ネットワークNWとを介して、加熱調理器1用のプログラムを配信可能な外部サーバ40と通信を行うことが可能である。そして、制御装置20は、外部サーバ40との通信を通じて、加熱調理器1用のプログラムを外部サーバ40から取得する(ダウンロードする)ことが可能である。
【0027】
制御装置20は、例えば、図2に示す構成を有する。すなわち、制御装置20は、第1及び第2マイコン21,22の2つのマイコンと、無線通信機23と、外部サーバ40から取得した更新プログラム(第1マイコン21に実装済の現在のプログラムを更新するプログラムであり、現在のプログラム全体を更新するプログラムだけでなく、現在のプログラムの一部を更新するプログラムを含む)を一時的に記憶保持する記憶部24とを備える。第1及び第2マイコン21,22はそれぞれ、実装されたプログラムに従って所定の制御処理を実行する電子制御デバイスであり、記憶部24は、EEPROMやフラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリである。
【0028】
また、図示は省略するが、制御装置20は、加熱調理器1の各制御対象要素(本実施の形態では、元弁4、先弁5、火力調整弁6、イグナイタ7、表示器11、発音器12)を第1マイコン21から出力される制御信号に応じて作動させる従来公知の駆動回路、操作部13の操作信号とセンシング信号とを、第1マイコン21または第2マイコン22に入力するための入力回路、これらの第1マイコン21、第2マイコン22、駆動回路、入力回路などに電源電池80から電力を供給する電源回路などを含む。電源回路には、例えば、点消火スイッチの点火操作によって閉成し、図示しないハートカム機構により閉成保持されるマイクロスイッチが接続されており、マイクロスイッチが閉成すると、第1及び第2マイコン21,22に給電され、第1及び第2マイコン21,22が起動する。
【0029】
第1及び第2マイコン21,22はそれぞれ、CPUもしくはプロセッサと、RAM、ROMなどのメモリとを含み、制御処理用のプログラムが不揮発性メモリに実装(記憶保持)されている。そして、第1及び第2マイコン21,22は、相互にデータ授受(通信)を行い得るように接続されている。また、第2マイコン22は、無線通信機23及び記憶部24との間でデータ授受を行い得るように、無線通信機23及び記憶部24に接続されている。
【0030】
第1マイコン21は、加熱調理器1の統括的な運転制御と、加熱調理器1の大部分の制御対象要素の動作制御とを行う機能を有するマイコンである。第1マイコン21には、表示器11の表示を制御する制御処理を第1マイコン21に実行させる表示制御用のプログラム、発音器12の出力(音響情報)を制御する制御処理を第1マイコン21に実行させる発音制御用のプログラム、バーナ2の燃焼運転に関する制御処理を第1マイコン21に実行させる燃焼制御用のプログラム、自動加熱調理運転に関する制御処理を第1マイコン21に実行させる調理制御用のプログラムなどの各種プログラムが実装されている。本実施の形態では、これらの第1マイコン21に実装されているプログラムが記憶部24に記憶された更新プログラムに更新されるプログラムに相当する。
【0031】
そして、第1マイコン21は、元弁4、先弁5、火力調整弁6、イグナイタ7、表示器11、及び発音器12を制御対象要素とし、これらの制御対象要素の作動を制御し得るように、それぞれの制御対象要素の駆動回路(図示せず)を介して各制御対象要素(元弁4、先弁5、火力調整弁6、イグナイタ7、表示器11、及び発音器12)に接続されている。
【0032】
ここで、第1マイコン21の燃焼制御用のプログラムは、加熱調理器1の通常運転時(第1マイコン21のプログラムの更新を行っていない状態)では、操作部13の操作信号あるいはセンシング信号、または調理制御用のプログラムにより生成される指令などに基づいて、バーナ2の作動に係る元弁4、先弁5、火力調整弁6及びイグナイタ7の制御指令を決定し、元弁4、先弁5、火力調整弁6、及びイグナイタ7のそれぞれの制御指令に応じた制御信号を、それぞれの駆動回路に第1マイコン21から出力させるように構成されている。
【0033】
また、燃焼制御用のプログラムは、表示器11の表示に関する制御指令または発音器12の出力に関する制御指令を、適宜、表示制御用のプログラムまたは発音制御用のプログラムに与えるように構成されている。
【0034】
また、調理制御用のプログラムは、自動加熱調理運転に関する操作部13の操作信号やセンシング信号などに基づいて、バーナ2の作動、表示器11の表示または発音器12の出力に関する制御指令を適宜生成し、制御指令を、燃焼制御用のプログラム、表示制御用のプログラムまたは発音制御用のプログラムに与えるように構成されている。
【0035】
第2マイコン22は、本実施の形態では、外部サーバ40との通信処理と、第1マイコン21に実装されているプログラムを記憶部24に記憶された更新プログラムに更新する更新処理とを実行する機能を有するマイコンである。第2マイコン22には、中継器30や外部サーバ40との通信などの無線通信機23を介した通信処理を第2マイコン22に実行させる通信制御用のプログラムと、第1マイコン21に実装されている上記した各プログラムまたは各プログラムの一部を、記憶部24に記憶された更新プログラムに更新する更新処理を第2マイコン22に実行させる更新制御用のプログラムとが実装されている。
【0036】
第2マイコン22の通信制御用のプログラムは、外部サーバ40から外部サーバ40で生成される更新プログラム有の制御信号を受信するとともに、外部サーバ40から受信した更新プログラムのデータを記憶部24に記憶する通信処理を実行するように構成されている。また、第2マイコン22の更新制御用のプログラムは、設定される更新時期に第1マイコン21に実装されているプログラムを記憶部24に記憶された更新プログラムに更新する更新処理を実行するように構成されているとともに、表示器11の表示に関する制御指令を、適宜、第1マイコン21の表示制御用のプログラムに与えるように構成されている。
【0037】
図1に戻って、外部サーバ40は、加熱調理器1の設置場所とは異なる遠隔地(例えば、加熱調理器1の製造会社が管理する施設内)に設置され、中継器30や外部ネットワークNWを介して加熱調理器1と無線接続される。
【0038】
図示しないが、外部サーバ40は、電子回路ユニットからなる外部サーバ40全体の動作を制御するサーバ側制御装置と、加熱調理器1用の各種プログラムを記憶保持するサーバ側記憶部と、サーバ側無線通信機とを有する。サーバ側制御装置は、加熱調理器1の第2マイコン22と相互にデータ授受を行いうるように構成されている。また、サーバ側制御装置は、サーバ側記憶部の更新プログラムの有無に応じて更新プログラムの有無に関する制御指令を決定し、サーバ側無線通信機を介して制御指令に応じた制御信号を第2マイコン22に送信するとともに、更新プログラムのデータを第2マイコン22に送信する送信処理を実行するように構成されている。
【0039】
次に、第1マイコン21に実装されているプログラムを記憶部24に記憶された更新プログラムに更新するときの処理について図3図5を参照して説明する。なお、本実施の形態では、操作部13の点消火スイッチで消火操作をすると、電源回路から元弁4及び先弁5を作動させる駆動回路への通電を遮断させてバーナ2を消火させるが、更新プログラムへの更新や外部サーバ40からの更新プログラムのデータの取得が終了するまで、第2マイコン22は電源回路に給電を保持する保持信号の送出を継続させ、これらの処理が終了すると給電が遮断するように構成されている。
【0040】
ユーザが加熱調理器1の運転を開始させるために操作部13で運転スイッチのオン操作を行うと、電源電池80から第1及び第2マイコン21,22に給電されて、第1及び第2マイコン21,22や図示しない駆動回路等が起動する。これにより、第1マイコン21に実装されているプログラムの更新プログラムへの更新が可能な電力の供給状態になる。すると、第2マイコン22は、記憶部24にまだ更新されていない更新プログラムが記憶されて、更新プログラム有に設定されているかどうかを判定する(ステップS1)。
【0041】
記憶部24に更新プログラムがあれば(ステップS1で、Yes)、第2マイコン22は、記憶部24から第1マイコン21の対応するプログラムを更新プログラムに更新するのに必要な更新時間(後述する更新プログラムの取得終了時に算出される)を読み出し、表示器11から更新時間を報知させる制御指令に応じた制御信号を第1マイコン21に出力し、第1マイコン21は所定の表示時間(例えば、5秒間)、表示器11に更新プログラム有の情報と更新時間とを表示させる(ステップS2)。これにより、ユーザは加熱調理開始前に更新プログラムがあることだけでなく、更新に必要な更新時間も認識することができるから、加熱調理器1の使用状況に応じて、更新時期を選択することができる。なお、起動時に更新プログラム無に設定されていれば(ステップS1で、No)、更新時期は後述する「(3)更新を保留」に設定される(ステップS3)。
【0042】
更新時間の表示時間がタイムアップすると、第2マイコン22は、表示器11から更新時期選択メニューを表示させる制御指令に応じた制御信号を第1マイコン21に出力し、第1マイコン21は表示器11に、以下の4つの更新時期を含む更新時期選択メニューを表示させる(ステップS4)。
(1)加熱調理開始前に更新
(2)加熱調理終了後に更新
(3)更新を保留
(4)自動加熱調理中に更新(加熱部非作動時間帯)
【0043】
ユーザが操作部13を操作して(例えば、操作部13の特定の操作スイッチの押し操作)、いずれかの更新時期を選択すると、選択された更新時期が受け付けられて、更新時期データが保存される(ステップS5)。これにより、ユーザの意図に応じた更新時期が設定される。なお、表示器11における更新時期選択メニューの表示は、上記(1)~(4)の更新時期を意味するものであれば、適宜変更することができる。例えば、「(1)加熱調理開始前に更新」の代わりに、「(1)直ちに更新」の表示を行ってもよいし、「(3)更新を保留」の代わりに、「(3)次回更新」や「(3)更新しない」の表示を行ってもよい。また、「(4)自動加熱調理中に更新」の代わりに、具体的な自動加熱調理メニューの表示を行ってもよいし、余熱調理時間帯や蒸らし調理時間帯などの加熱部非作動時間帯であることの表示を行ってもよい。また、更新時期選択メニューは上記(1)~(4)の更新時期の選択が可能であれば、さらに他の更新時期を含んでもよい。
【0044】
次いで、例えば、「(1)加熱調理開始前に更新」が選択された場合(ステップS6で、Yes)、第2マイコン22は、第1マイコン21に実装されているプログラムを記憶部24に記憶された更新プログラムに更新する。このとき、更新プログラムへの更新が実行されていることを示す更新中表示を表示器11から行ってもよい。更新プログラムへの更新が終了すると、更新プログラム無に設定されるとともに、更新時期が、「(3)更新を保留」に設定され、表示器11から更新の完了が報知されて、通常操作を受け付ける(ステップS7)。なお、図示しないが、更新時期に「(1)加熱調理開始前に更新」が選択された場合、第1マイコン21は、更新プログラムへの更新が終了するまで、通常の加熱調理における操作部13での操作の受付を禁止する。これにより、更新プログラムへの更新が終了するまで加熱調理が開始されないから、制御対象要素が不定状態となる可能性がある更新中に加熱調理が行われるのを防止することができる。
【0045】
また、「(1)加熱調理開始前に更新」以外の更新時期が選択され(ステップS6で、No)、ユーザが加熱調理を開始すると、第2マイコン22は、自動加熱調理運転中に余熱調理や蒸らし調理などのバーナ2を消火状態で維持して、火力の変更を伴う元弁4、先弁5及び火力調整弁6の開閉制御が行われない加熱部非作動時間帯が到来しているかどうかを判定する(ステップS10)。自動加熱調理の加熱部非作動時間帯が到来すれば(ステップS10で、Yes)、第2マイコン22は、更新時期が、「(4)自動加熱調理中に更新」に設定されているかどうかを判定する(ステップS11)。そして、更新時期が、「(4)自動加熱調理中に更新」に設定されていれば(ステップS11で、Yes)、さらに、読み出された予定されている更新プログラムへの更新時間が加熱部非作動時間帯の範囲内かどうかを判定する(ステップS12)。更新時間が自動加熱調理運転で設定されている加熱部非作動時間帯の範囲内であれば(ステップS12で、Yes)、上記と同様にして第1マイコン21に実装されているプログラムを記憶部24に記憶された更新プログラムに更新する。そして、更新プログラム無に設定するとともに、更新時期を、「(3)更新を保留」に設定する(ステップS13)。このように、更新プログラムへの更新が終了した後、更新時期を「(3)更新を保留」に設定することにより、加熱調理中に新たな更新プログラムを取得した場合でも、新たな更新プログラムへの更新は実行されないから、表示された更新時間よりも長く更新が行われることや、加熱部非作動時間帯を超えて更新が行われることを防止することができる。なお、図示しないが、更新時期に「(4)自動加熱調理中に更新」が選択された場合でも、自動加熱調理運転に加熱部非作動時間帯がなかったり、加熱部非作動時間帯があっても、更新時間が加熱部非作動時間帯よりも長かったりすると(ステップS10及びS12で、No)、更新プログラムへの更新は実行されない。この場合、表示器11から自動加熱調理中に更新プログラムへの更新が行われないことを報知させてもよい。
【0046】
既述したように、本実施の形態では、バーナ2の火力を変更する制御対象要素の作動は第1マイコン21によって制御され、外部サーバ40との通信は第2マイコン22によって制御される。従って、加熱調理中、第2マイコン22が外部サーバ40と通信処理を実行しても、制御対象要素は不定状態とならない。このため、第2マイコン22は、加熱調理中、外部サーバ40と通信し、外部サーバ40から更新プログラム有の制御信号を受信すると(ステップS14で、Yes)、更新プログラム無に設定されているかどうかを判定する(ステップS15)。ここで、加熱調理開始時に記憶部24に更新プログラムが記憶されていなければ(ステップS1で、No)、更新プログラム無に設定されているため(ステップS3及びステップS15で、Yes)、第2マイコン22は外部サーバ40から新たな更新プログラムのデータを取得し、記憶部24に記憶させる。そして、外部サーバ40からの更新プログラムの取得が終了すると、更新プログラム有に設定し、取得した更新プログラムへの更新に必要な更新時間を算出して、更新時間を設定する(ステップS17~S19)。また、更新時期に「(1)加熱調理開始前に更新」または「(4)自動加熱調理中に更新」が選択されて更新プログラムへの更新が行われた場合、記憶部24には更新プログラムは記憶されておらず、更新プログラム無に設定されているから(ステップS15で、Yes)、同様に、新たな更新プログラムを取得して、記憶部24に記憶させ、更新プログラム有に設定し、更新時間を設定する(ステップS17~S19)。さらに、加熱調理開始時に記憶部24に更新プログラムがあり(ステップS1で、Yes)、「(3)更新を保留」が選択された場合(ステップS15で、No、ステップS16で、Yes)、新たな更新プログラムを取得して記憶部24に記憶させ、更新プログラム有に設定して、更新時間を設定する(ステップS17~S19)。これにより、電池80を駆動電源とする加熱調理器1で、加熱調理中に新たな更新プログラムを取得することができる。なお、記憶部24は、異なる更新プログラムを記憶する複数の記憶エリアを有してもよい。また、記憶部24に複数の更新プログラムがある場合、ユーザが任意に更新の順序を設定してもよい。
【0047】
加熱調理が終了してユーザが点消火スイッチで消火操作を行うと(ステップS8で、Yes)、第2マイコン22は、更新時期が、「(2)加熱調理終了後に更新」に設定されているかどうかを判定する(ステップS30)。そして、更新時期が、「(2)加熱調理終了後に更新」に設定されていれば(ステップS30で、Yes)、第2マイコン22は、上記と同様にして第1マイコン21に実装されているプログラムを記憶部24に記憶された更新プログラムに更新する。そして、更新プログラム無に設定するともに、更新時期を、「(3)更新を保留」に設定する(ステップS31)。
【0048】
一方、「(2)加熱調理終了後に更新」以外の更新時期が設定されて加熱調理が行われた後、ユーザが点消火スイッチで消火操作して、電源のオフ操作を行った場合(ステップS8で、Yes、ステップS30で、No)、既述した外部サーバ40からの新たな更新プログラムの取得中であれば(ステップS32で、Yes)、第2マイコン22は新たな更新プログラムの取得を継続し、更新プログラムの取得が終了すると、更新プログラム有に設定し、取得した更新プログラムへの更新に必要な更新時間を算出して、更新時間を設定する(ステップS33~S34)。そして、上記処理が終了すると、電源回路から第1及び第2マイコン22への給電を停止する(ステップS35)。
【0049】
なお、本実施の形態では、更新時期が、「(2)加熱調理終了後に更新」に設定された場合、加熱調理中に外部サーバ40から更新プログラム有を受信しても、第2マイコン22は新たな更新プログラムを取得しない(ステップS1で、Yes、ステップS6、S8及びS10で、No、ステップS14で、Yes、ステップS15及びS16で、No)。しかしながら、上記と同様に、更新時期が、「(2)加熱調理終了後に更新」に設定された場合でも、第2マイコン22が加熱調理中に外部サーバ40から新たな更新プログラムのデータを受信して、記憶部24に記憶させ、加熱調理終了後、第1マイコン21に実装されたプログラムを、運転スイッチが操作されて給電が開始されたとき(すなわち、更新プログラムへの更新が可能な電力の供給状態になったとき)に記憶部24に記憶されていた更新プログラムと、加熱調理中に記憶部に記憶された更新プログラムとに基づいて更新してもよい。これによれば、加熱調理開始時に記憶部24に記憶されていた更新プログラムへの更新、及び加熱調理中に外部サーバ40から取得して記憶部24に記憶された新たな更新プログラムへの更新を、ユーザが加熱調理を行う意思がなくなった加熱調理終了後に実行することができる。また、加熱調理開始前に更新時期として「(2)加熱調理終了後に更新」が選択されている場合、ユーザは加熱調理終了後、加熱調理を継続させる意思を有していないから、更新時間が長くなってもユーザの使い勝手を損なうこともない。従って、効率的に更新プログラムへの更新を行うことができる。
【0050】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、加熱調理器1の使用状況に応じて、ユーザが希望する更新時期に更新プログラムに更新することができる。従って、例えば、更新時間が短時間であったり、ユーザが加熱調理を開始させるまでに時間的余裕があったりするときに、ユーザが「(1)加熱調理開始前に更新」を選択すれば、加熱調理を開始させる前に、記憶部24に記憶されていた更新プログラムへの更新を終了させることができる。また、例えば、朝食時などのユーザが短時間で加熱調理をする必要があるときには、ユーザは「(3)更新を保留」を選択して、加熱調理を早期に開始させることができる。また、例えば、夕食時などの後からユーザが加熱調理を行う予定がないときには、ユーザが「(2)加熱調理終了後に更新」を選択すれば、更新時間が長くなる容量の大きな更新プログラムでも更新の中断を回避して、適切に更新プログラムへの更新を行うことができる。さらに、例えば、自動加熱調理では、余熱調理や蒸らし調理などのバーナ2を作動させない加熱部非作動時間帯が調理時間に含まれている場合がある。従って、これらの加熱部非作動時間帯を有する自動加熱調理を行う場合、ユーザが「(4)自動加熱調理中に更新」を選択すれば、自動加熱調理への影響のない時間帯に更新プログラムに更新させることができる。また、バーナ2を作動させない加熱部非作動時間帯に更新が行われるから、従来のように機能を制限する暫定プログラムを設ける必要もない。特に、本実施の形態によれば、更新プログラムへの更新に必要な更新時間と加熱部非作動時間帯とを比較し、更新時間が加熱部非作動時間帯の範囲内であれば、自動加熱調理中に更新が実行されるから、効率的に更新プログラムへの更新を行うことができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、制御装置20に給電が開始されて、更新プログラムへの更新が可能な電力の供給状態になったときに記憶部24に更新プログラムが記憶されている場合、更新プログラムがあることが報知されるから、ユーザに速やかに更新プログラムがあることを認識させることができる。また、本実施の形態によれば、更新プログラムへの更新に必要な更新時間が報知されるから、ユーザは加熱調理器1の使用状況と更新に必要な更新時間とを比較して、ユーザが希望する更新時期に更新プログラムへの更新を実行することができる。
【0052】
従って、本実施の形態によれば、加熱調理器の使用状況に応じて、ユーザが更新プログラムへの更新時期を選択できるから、調理に失敗することなく、使い勝手に優れる加熱調理器を提供することができる。
【0053】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、外部サーバから中継器及び外部ネットワークを介して更新プログラムを取得して記憶部に記憶させている。しかしながら、本発明では、更新プログラムは外部サーバ以外の外部機器から取得してもよい。例えば、加熱調理器に取り外し可能な外部メモリを接続することにより、更新プログラムを取得してもよい。
【0054】
(2)上記実施の形態では、加熱調理器は、加熱部としてバーナを有する。しかしながら、本発明では、加熱調理器は、加熱部として、バーナの代わりにまたはバーナとともに、電熱ヒータや電磁誘導ヒータを有してもよい。
【0055】
(3)上記実施の形態では、第1マイコンに実装されているプログラムが更新プログラムに更新される。しかしながら、本発明では、第2マイコンに実装されているプログラムも対応する更新プログラムに更新してもよい。
【0056】
(4)上記実施の形態では、駆動電源として電池が使用されている。しかしながら、本発明は、商用電源を使用する加熱調理器にも適用することができる。商用電源を駆動電源とする加熱調理器では、いずれかの操作スイッチを操作して運転を開始させた状態(チャイルドロックが機能している場合、ロック機能が解除された状態)が電力の供給状態に相当し、待機電力モードを有する加熱調理器では、待機電力モードからアクティブモードに復帰した状態が電力の供給状態に相当する。
【符号の説明】
【0057】
1 加熱調理器
2 バーナ
20 制御装置
40 外部サーバ
図1
図2
図3
図4
図5