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特開2023-57640情報伝送システム、情報伝送方法、端末プログラムおよび基地局プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057640
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】情報伝送システム、情報伝送方法、端末プログラムおよび基地局プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20230417BHJP
   H04W 72/02 20090101ALI20230417BHJP
   H04J 3/06 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
H04L27/26 310
H04W72/02
H04L27/26 410
H04J3/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167219
(22)【出願日】2021-10-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 太田真衣、藤井威生、安達宏一及び田久修、「パケット型インデックス変調方式における干渉回避法の一検討」、2021年 電子情報通信学会総合大会 通信講演論文集1、B-17-28、491頁、電子情報通信学会、令和3年2月23日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 鈴木康介及び安達宏一、「パケット型インデックス変調における適応的ビットマッピング手法の検討」、2021年 電子情報通信学会通信ソサイエティ大会 通信講演論文集1、B-5-77、280頁、電子情報通信学会、令和3年8月31日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度 総務省「環境ダイナミクスを活用したフレキシブルLPWAの研究開発」委託研究 産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康介
(72)【発明者】
【氏名】安達 宏一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 威生
(72)【発明者】
【氏名】太田 真衣
(72)【発明者】
【氏名】田久 修
【テーマコード(参考)】
5K028
5K067
【Fターム(参考)】
5K028BB04
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】PLIM方式でパケット衝突を抑制する。
【解決手段】論理インデックス決定部は、論理周波数チャネルを表す論理周波数チャネルインデックスと、論理時間スロットを表す論理時間スロットインデックスとを決定する。物理インデックス算出部は、使用可能な物理周波数チャネルを表す物理周波数チャネルインデックスと、使用可能な物理時間スロットを表す物理時間スロットインデックスとを算出する。送信部は、パケットを、物理周波数チャネルを用いて、物理時間スロットの間に送信する。物理インデックス検出部は、物理周波数チャネルインデックスと、物理時間スロットインデックスとを検出する。論理インデックス算出部は、論理周波数チャネルインデックスと論理時間スロットインデックスを算出する。情報結合部は、パケットと、論理周波数チャネルインデックスと、論理時間スロットインデックスとを結合して送信データを復元する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信データをパケットとしてPLIM(Packet-Level Index Modulation:パケット型インデックス変調)方式で送信する端末と、
前記パケットを受信する基地局と
を備え、
前記端末は、
前記送信データの一部をそれぞれ抽出して、論理周波数チャネルを第1ビット数で表す論理周波数チャネルインデックスと、論理時間スロットを第2ビット数で表す論理時間スロットインデックスとを決定する論理インデックス決定部と、
前記論理周波数チャネルインデックスと、前記論理時間スロットインデックスと、前記パケットに含まれるパケットヘッダ情報とに基づいて、使用可能な物理周波数チャネルを前記第1ビット数以上の第3ビット数で表す物理周波数チャネルインデックスと、使用可能な物理時間スロットを前記第2ビット数以上の第4ビット数で表す物理時間スロットインデックスとを算出する物理インデックス算出部と、
前記パケットを、前記物理周波数チャネルを用いて、前記物理時間スロットの間に送信する送信部と
を備え、
前記基地局は、
前記パケットを受信した受信周波数と受信時刻とに基づいて、前記受信周波数を含む前記物理周波数チャネルを表す前記物理周波数チャネルインデックスと、前記受信時刻を含む前記物理時間スロットを表す前記物理時間スロットインデックスとを検出する物理インデックス検出部と、
前記物理周波数チャネルインデックスと、前記物理時間スロットインデックスと、前記パケットの前記パケットヘッダ情報とに基づいて、前記論理周波数チャネルインデックスと前記論理時間スロットインデックスを算出する論理インデックス算出部と、
前記パケットと、前記論理周波数チャネルインデックスと、前記論理時間スロットインデックスとを結合して前記送信データを復元する情報結合部と
を備える
情報伝送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報伝送システムにおいて、
前記端末とは非同期で動作する別の端末
をさらに備える
情報伝送システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報伝送システムにおいて、
前記物理インデックス算出部は、前記端末を識別するためのデバイスアドレスと、前記パケットを識別するパケットカウンタとにさらに基づいて前記物理周波数チャネルインデックスおよび前記物理時間スロットインデックスを算出し、
前記論理インデックス算出部は、前記パケットヘッダ情報に含まれる前記デバイスアドレスおよび前記パケットカウンタにさらに基づいて前記論理周波数チャネルインデックスおよび前記論理時間スロットインデックスを算出する
情報伝送システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報伝送システムにおいて、
前記物理インデックス算出部は、前記パケットカウンタの最大値にさらに基づいて前記物理周波数チャネルインデックスおよび前記物理時間スロットインデックスを算出し、
前記論理インデックス算出部は、前記パケットカウンタの前記最大値にさらに基づいて前記論理周波数チャネルインデックスおよび前記論理時間スロットインデックスを算出する
情報伝送システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報伝送システムにおいて、
前記物理インデックス算出部は、使用が禁止されている禁止周波数チャネルの情報を含むリソースマップにさらに基づいて前記物理周波数チャネルインデックスおよび前記物理時間スロットインデックスを算出し、
前記論理インデックス算出部は、前記端末と共有している前記リソースマップにさらに基づいて前記論理周波数チャネルインデックスおよび前記論理時間スロットインデックスを算出する
情報伝送システム。
【請求項6】
端末が送信データをパケットとしてPLIM方式で送信することと、
基地局が前記パケットを受信することと
を含み、
前記送信することは、
前記送信データの一部をそれぞれ抽出して、論理周波数チャネルを第1ビット数で表す論理周波数チャネルインデックスと、論理時間スロットを第2ビット数で表す論理時間スロットインデックスとを決定することと、
前記論理周波数チャネルインデックスと、前記論理時間スロットインデックスと、前記パケットに含まれるパケットヘッダ情報とに基づいて、使用可能な物理周波数チャネルを前記第1ビット数以上の第3ビット数で表す物理周波数チャネルインデックスと、使用可能な物理時間スロットを前記第2ビット数以上の第4ビット数で表す物理時間スロットインデックスとを算出することと、
前記パケットを、前記物理周波数チャネルを用いて、前記物理時間スロットの間に送信することと
を含み、
前記受信することは、
前記パケットを受信した受信周波数と受信時刻とに基づいて、前記受信周波数を含む前記物理周波数チャネルを表す前記物理周波数チャネルインデックスと、前記受信時刻を含む前記物理時間スロットを表す前記物理時間スロットインデックスとを検出することと、
前記物理周波数チャネルインデックスと、前記物理時間スロットインデックスと、前記パケットの前記パケットヘッダ情報とに基づいて、前記論理周波数チャネルインデックスと前記論理時間スロットインデックスを算出することと、
前記パケットと、前記論理周波数チャネルインデックスと、前記論理時間スロットインデックスとを結合して前記送信データを復元することと
を含む
情報伝送方法。
【請求項7】
実行することによって端末が送信データをパケットとしてPLIM方式で送信する処理を実現するための端末プログラムであって、
前記処理は、
前記送信データの一部をそれぞれ抽出して、論理周波数チャネルを第1ビット数で表す論理周波数チャネルインデックスと、論理時間スロットを第2ビット数で表す論理時間スロットインデックスとを決定することと、
前記論理周波数チャネルインデックスと、前記論理時間スロットインデックスと、前記パケットに含まれるパケットヘッダ情報とに基づいて、使用可能な物理周波数チャネルを表す物理周波数チャネルインデックスと、使用可能な物理時間スロットを表す物理時間スロットインデックスとを算出することと、
前記パケットを、前記物理周波数チャネルを用いて、前記物理時間スロットの間に送信することと
を含む
端末プログラム。
【請求項8】
実行することによって、端末からPLIM方式で送信されたパケットを基地局が受信する処理を実現するための基地局プログラムであって、
前記処理は、
前記パケットを受信した受信周波数と受信時刻とに基づいて、前記受信周波数を含む物理周波数チャネルを表す物理周波数チャネルインデックスと、前記受信時刻を含む物理時間スロットを表す物理時間スロットインデックスとを検出することと、
前記端末が前記パケットとして送信した送信データに基づいて前記端末が決定した論理周波数チャネルインデックスおよび論理時間スロットインデックスを、前記物理周波数チャネルインデックスと、前記物理時間スロットインデックスと、前記パケットのパケットヘッダ情報とに基づいて算出することと、
前記パケットと、前記論理周波数チャネルインデックスと、前記論理時間スロットインデックスとを結合して前記送信データを復元することと
を含む
基地局プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報伝送システム、情報伝送方法、端末プログラムおよび基地局プログラムに関し、例えば、無線通信を行う端末および基地局を用いる情報伝送システムと、この情報伝送システムが用いる情報伝送方法と、この端末が用いる端末プログラムと、この基地局が用いる基地局プログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
多数のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)端末から、それぞれ比較的少量のデータを、単独の基地局へ伝送する需要がある。例えば、それぞれの端末がセンサ装置で検出したセンサデータを基地局やゲートウェイなどに集約することで、それぞれのセンサデータのデータ量は比較的少なくても、集約した基地局では有意な統計的データが得られる。
【0003】
このようなIoT端末は、消費電力が少なく、かつ、長距離の伝送が可能である必要がある。そこで、LPWAN(Low Power Wide Area Network:省電力広域ネットワーク)無線通信の規格として、LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)などが開発されている。LoRaWANは、簡易なMAC(Medium Access Control:メディアアクセス制御)層アクセスプロトコルを利用し、低消費電力で長距離伝送が可能であることが知られている。
【0004】
しかしながら、同じ無線通信システムにおいて限られた数の周波数帯域を共用する端末の総数が増大すればするほど、パケット衝突が発生する可能性が高くなる場合がある。また、これらの端末が属する無線通信システムが使用する周波数帯域の一部が、別の無線通信システムによって占有され、占有された周波数帯域において無線通信システムを跨いでパケット衝突が発生する場合がある。
【0005】
上記に関連して、非特許文献1(LoRa Alliance,Inc.、“LoRaWAN(TM) 1.0.3 Specification”、2018年、インターネット<URL:https://lora-alliance.org/sites/default/files/2018-07/lorawan1.0.3.pdf>)には、LoRaWANの仕様書第1.0.3版が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】LoRa Alliance,Inc.、“LoRaWAN(TM) 1.0.3 Specification”、2018年、インターネット<URL:https://lora-alliance.org/sites/default/files/2018-07/lorawan1.0.3.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記状況に鑑み、本開示は、パケット衝突を抑制する情報伝送システム、情報伝送方法、端末プログラムおよび基地局プログラムを提供することを目的の1つとする。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0009】
一実施の形態によれば、情報伝送システム(1)は、送信データをパケット(P)としてPLIM(Packet-Level Index Modulation:パケット型インデックス変調)方式で送信する端末(2)と、パケットを受信する基地局(3)とを備える。端末(2)は、論理インデックス決定部(216)と、物理インデックス算出部(217)と、送信部(218)とを備える。論理インデックス決定部(216)は、送信データの一部をそれぞれ抽出して、論理周波数チャネルを第1ビット数で表す論理周波数チャネルインデックス(k’)と、論理時間スロットを第2ビット数で表す論理時間スロットインデックス(q’)とを決定する。物理インデックス算出部(217)は、論理周波数チャネルインデックス(k’)と、論理時間スロットインデックス(q’)と、パケット(P)に含まれるパケットヘッダ情報とに基づいて、使用可能な物理周波数チャネルを第1ビット数以上の第3ビット数で表す物理周波数チャネルインデックス(k)と、使用可能な物理時間スロットを第2ビット数以上の第4ビット数で表す物理時間スロットインデックス(q)とを算出する。送信部(218)は、パケット(P)を、物理周波数チャネルを用いて、物理時間スロットの間に送信する。基地局(3)は、物理インデックス検出部(312)と、論理インデックス算出部(313)と、情報結合部(314)とを備える。物理インデックス検出部(312)は、パケット(P)を受信した受信周波数と受信時刻とに基づいて、受信周波数を含む物理周波数チャネルを表す物理周波数チャネルインデックス(k)と、受信時刻を含む受信時間スロットを表す物理時間スロットインデックス(q)とを検出する。論理インデックス算出部(313)は、物理周波数チャネルインデックスと、物理時間スロットインデックスと、パケット(P)のパケットヘッダ情報とに基づいて、論理周波数チャネルインデックス(k’)と論理時間スロットインデックス(q’)を算出する。情報結合部(314)は、パケット(P)と、論理周波数チャネルインデックス(k’)と、論理時間スロットインデックス(q’)とを結合して送信データを復元する。
【0010】
一実施の形態によれば、情報伝送方法は、端末(2)が送信データをパケット(P)としてPLIM方式で送信することと、基地局(3)がパケット(P)を受信することとを含む。送信することは、送信データの一部をそれぞれ抽出して、論理周波数チャネルを第1ビット数で表す論理周波数チャネルインデックス(k’)と、論理時間スロットを第2ビット数で表す論理時間スロットインデックス(q’)とを決定すること(S104)を含む。送信することは、論理周波数チャネルインデックス(k’)と、論理時間スロットインデックス(q’)と、パケット(P)に含まれるパケットヘッダ情報とに基づいて、使用可能な物理周波数チャネルを第1ビット数以上の第3ビット数で表す物理周波数チャネルインデックス(k)と、使用可能な物理時間スロットを第2ビット数以上の第4ビット数で表す物理時間スロットインデックス(q)とを算出すること(S105)をさらに含む。送信することは、パケット(P)を、物理周波数チャネルを用いて、物理時間スロットの間に送信すること(S106)をさらに含む。受信することは、パケット(P)を受信した受信周波数と受信時刻とに基づいて、受信周波数を含む物理周波数チャネルを表す物理周波数チャネルインデックス(k)と、受信時刻を含む物理時間スロットを表す物理時間スロットインデックス(q)とを検出すること(S108)を含む。受信することは、物理周波数チャネルインデックス(k)と、物理時間スロットインデックス(q)と、パケット(P)のパケットヘッダ情報とに基づいて、論理周波数チャネルインデックス(k’)と論理時間スロットインデックス(q’)を算出すること(S109)をさらに含む。受信することは、パケット(P)と、論理周波数チャネルインデックス(k’)と、論理時間スロットインデックス(q’)とを結合して送信データを復元すること(S110)をさらに含む。
【0011】
一実施の形態によれば、端末プログラムは、実行することによって、端末(2)が送信データをパケットとしてPLIM方式で送信する処理を実現するためのものである。この処理は、送信データの一部をそれぞれ抽出して、論理周波数チャネルを第1ビット数で表す論理周波数チャネルインデックス(k’)と、論理時間スロットを第2ビット数で表す論理時間スロットインデックス(q’)とを決定すること(S104)を含む。この処理は、論理周波数チャネルインデックス(k’)と、論理時間スロットインデックス(q’)と、パケットに含まれるパケットヘッダ情報とに基づいて、使用可能な物理周波数チャネルを表す物理周波数チャネルインデックス(k)と、使用可能な物理時間スロットを表す物理時間スロットインデックス(q)とを算出すること(S105)をさらに含む。この処理は、パケット(P)を、物理周波数チャネルを用いて、物理時間スロットの間に送信すること(S106)をさらに含む。
【0012】
一実施の形態によれば、基地局プログラムは、実行することによって、端末(2)からPLIM方式で送信されたパケット(P)を基地局(3)が受信する処理を実現するためのものである。この処理は、パケット(P)を受信した受信周波数と受信時刻とに基づいて、受信周波数を含む物理周波数チャネルを表す物理周波数チャネルインデックス(k)と、受信時刻を含む物理時間スロットを表す物理時間スロットインデックス(q)とを検出すること(S108)を含む。この処理は、端末(2)がパケット(P)として送信した送信データに基づいて端末(2)が決定した論理周波数チャネルインデックス(k’)および論理時間スロットインデックス(q’)を、物理周波数チャネルインデックス(k)と、物理時間スロットインデックス(q)と、パケット(P)のパケットヘッダ情報とに基づいて算出すること(S109)をさらに含む。この処理は、パケット(P)と、論理周波数チャネルインデックス(k’)と、論理時間スロットインデックス(q’)とを結合して送信データを復元すること(S110)をさらに含む。
【発明の効果】
【0013】
一実施の形態によれば、パケット衝突を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、PLIM方式について説明するための図である。
図2図2は、論理インデックスと物理インデックスとの違いについて説明するための図である。
図3図3は、論理インデックスから使用可能な物理インデックスへの変換について説明するための図である。
図4図4は、論理インデックスから使用が禁止されていない物理インデックスへの変換について説明するための図である。
図5図5は、一実施の形態による情報伝送システムの一構成例を示す図である。
図6図6は、一実施の形態による端末の一構成例を示すブロック回路図である。
図7図7は、一実施の形態による基地局の一構成例を示すブロック回路図である。
図8図8は、一実施の形態による情報伝送方法の一構成例を示すフローチャートである。
図9図9は、一実施の形態による情報伝送方法の一部の一構成例を示すフローチャートである。
図10図10は、一実施の形態による論理インデックスの一例を示す図である。
図11図11は、一実施の形態による物理インデックスの一例を示す図である。
図12図12は、一実施の形態による情報伝送方法の一部の一構成例を示すフローチャートである。
図13図13は、一実施の形態による情報伝送方法のシミュレーション諸元の一例を示す表である。
図14図14は、一実施の形態による情報伝送方法の、スループットに対する禁止周波数チャネル数の影響に係るシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
図15図15は、一実施の形態と関連技術とによる情報伝送方法の、リソースマップを格納するために発生するデータのオーバーヘッドに対する周波数チャネル数の影響に係るシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照して、本開示による情報伝送システム、情報伝送方法、端末プログラムおよび基地局プログラムを実施するための形態を以下に説明する。
【0016】
(関連技術)
一実施の形態の課題をよりよく理解するために、まず、関連技術について説明する。関連技術では、PLIM(Packet-Level Index Modulation:パケット型インデックス変調)方式を用いて情報の伝送を行う。
【0017】
図1は、PLIM方式について説明するための図である。図1において、横軸は時間tを表し、縦軸は周波数fを表す。時間tは、それぞれが所定のフレーム長を有する複数の時間フレームに分割されている。1つの時間フレームは、それぞれが所定のスロット長を有する複数の時間スロットに分割されている。周波数fは、それぞれが所定の周波数幅を有する複数の周波数チャネルに分割されている。
【0018】
PLIM方式では、1つの送信機から、1つの時間フレームの間に1つまでのパケットPが送信される。このとき、パケットPは、この時間フレームに含まれる複数の時間スロットのうちのいずれか1つの時間スロットの間に、使用可能な複数の周波数チャネルのうちのいずれか1つの周波数チャネルを用いて送信される。より詳細には、送信機は、送信したいデータを、周波数チャネルを表す周波数チャネルインデックスと、時間スロットを表す時間スロットインデックスと、パケットPに含まれるパケットデータとに分割する。送信機は、このようにして得られた時間スロットインデックスおよび周波数チャネルインデックスにそれぞれ対応する時間スロットおよび周波数チャネルを用いて、パケットPの送信を行う。また、PLIM方式では、受信機は、このパケットPを受信した時間スロットに対応する時間スロットインデックスと、このパケットPを受信した周波数チャネルに対応する周波数チャネルインデックスとを検出する。受信機は、時間スロットインデックスと、周波数チャネルインデックスと、このパケットPに含まれるパケットデータとに基づいて、元のデータを復元する。PLIM方式では、こうすることで、既存の通信規格を変更することなく、伝送容量を増加させることが可能である。なお、PLIM方式を使用する送信機と受信機とは、周波数チャネルと周波数チャネルインデックスとの対応関係と、時間スロットと時間スロットインデックスとの対応関係とを表す変換式および逆変換式を共有している。
【0019】
1つの時間フレームに含まれる複数の時間スロットのそれぞれには、互いに異なる時間スロットインデックスが割り当てられている。時間スロットインデックスは、一方ではその時間スロットインデックスが表す時間スロットを、その時間スロットが含まれる時間フレームの中で識別するための識別番号であり、他方では送信したいデータから所定のビット数を抽出した部分データである。この所定のビット数を時間スロットビット数と呼ぶ。この部分データは、時間スロットビット数で表現可能な全ての値を取り得るので、この識別番号が取り得る値も2の時間スロットビット数乗の種類に渡ることが好ましい。図1の例では、1つの時間フレームに含まれる時間スロットの総数は2の4乗以上、かつ、2の5乗未満であり、したがって時間スロットインデックスが論理的に取り得る値の総数「Q」は16であり、その時間スロットビット数は4である。ただし、1つの時間フレームに含まれて物理的に使用可能な時間スロットの総数「Q ̄」(正確には、バー記号「 ̄」は「Q」の上にある)は、Qより大きい場合があることに注目されたい。
【0020】
同様に、それぞれの周波数チャネルには、互いに異なる周波数チャネルインデックスが割り当てられている。周波数チャネルインデックスは、一方ではその周波数チャネルインデックスが表す周波数チャネルを識別するための識別番号であり、他方では送信したいデータから所定のビット数を抽出した部分データである。この所定のビット数を周波数チャネルビット数と呼ぶ。この部分データは、周波数チャネルビット数で表現可能な全ての値を取り得るので、この識別番号が取り得る値も2の周波数チャネルビット数乗の種類に渡ることが好ましい。図1の例では、使用可能な周波数帯域に含まれる周波数チャネルの総数は2の1乗以上、かつ、2の2乗未満であり、したがって周波数チャネルが論理的に取り得る値の総数「K」は2であり、その周波数チャネルビット数は1である。ただし、使用可能な周波数帯域に含まれて物理的に使用可能な周波数チャネルの総数「K ̄」(正確には、バー記号「 ̄」は「K」の上にある)は、Kより大きい場合があることに注目されたい。
【0021】
以降、時間スロットインデックスが論理的に取り得る値の総数「Q」を「論理時間スロット数Q」と呼ぶ。また、物理的に使用可能な時間スロットの総数を「物理時間スロット数Q ̄」(正確には、バー記号「 ̄」は「Q」の上にある)と呼ぶ。同様に、周波数チャネルインデックスが論理的に取り得る値の総数「K」を「論理周波数チャネル数K」と呼ぶ。また、物理的に使用可能な周波数チャネルの総数を「物理周波数チャネル数K ̄」(正確には、バー記号「 ̄」は「K」の上にある)と呼ぶ。さらに、説明を簡単にするために、図2に示すように、論理時間スロット数Qが4であり、物理時間スロット数Q ̄が5であり、論理周波数チャネル数Kが2であり、物理周波数チャネル数K ̄が3である例を用いて説明を続ける。
【0022】
PLIM方式では、時間スロットおよび周波数チャネルの組み合わせのうち、論理的に取り得る組み合わせが、物理的に使用可能な組み合わせより少ない場合がある。以降、論理的な取り得る時間スロットおよび周波数チャネルの組み合わせを論理インデックスと呼ぶ。同様に、物理的に使用可能な時間スロットおよび周波数チャネルの組み合わせを物理インデックスと呼ぶ。図2の例では、物理インデックスに含まれ、かつ、論理インデックスに含まれない組み合わせ、すなわち、物理的に使用可能でありながら論理的に選択され得ない組み合わせを、斜線のハッチングで示している。図2の例では、物理インデックスの総数は物理時間スロット数Q ̄および物理周波数チャネル数K ̄を掛け算した15であり、論理インデックスの総数は論理時間スロット数Qおよび論理周波数チャネル数Kを掛け算した8であり、使用可能な組み合わせの半分近くがパケットの送信に有効活用できない。パケット衝突は、複数の送信機が同じ時間スロットに同じ周波数チャネルでパケットを送信するときに発生するので、もし、物理インデックスに含まれ、かつ、論理インデックスに含まれない組み合わせのうちの一部だけでもパケットの送信に活用できれば、パケット衝突が抑制される。ここで、物理インデックスの集合をリソースマップと呼ぶ。
【0023】
そこで、本開示では、論理インデックスをいずれかの物理インデックスに変換することによって、パケット衝突を抑制する。また、受信機は、物理インデックスから論理インデックスへの逆変換を行うことによって、パケットを受信した物理時間スロットの物理時間スロットインデックスから論理時間スロットインデックスを算出し、パケットを受信した物理周波数チャネルの物理周波数チャネルインデックスから論理周波数チャネルインデックスを算出することが可能である。送信機および受信機は、これらの変換式および逆変換式を共有している。
【0024】
このような変換の結果として、図3に示すパケットP1、P3のように、図2の例では論理インデックスを用いて送信されるパケットが、論理インデックス以外の物理インデックスを用いて送信される可能性がある。また、図3に示すパケットP2のように、論理インデックスを用いて送信されるパケットP2が、別の論理インデックスを用いて送信される可能性もある。
【0025】
また、このような変換を行うとき、使用可能な周波数帯域のうち、何らかの理由によって使用が禁止されている周波数チャネルを避けてもよい。以降、使用が禁止されている周波数チャネルを含む物理インデックスを、禁止インデックスと呼ぶ。このような場合には、論理インデックスを、禁止インデックス以外の物理インデックスに限定して変換してもよい。このような変換の結果として、図4に示すパケットP1のように、図2の例では論理インデックスを用いて送信されるパケットが、物理的に使用可能であり、使用が禁止されておらず、かつ、論理的に選択され得ない組み合わせを用いて送信される可能性がある。また、図4に示すパケットP2、P3のように、論理インデックスを用いて送信されるパケットが、別の論理インデックスを用いて送信される可能性もある。
【0026】
(第1の実施の形態)
図5に示すように、一実施の形態による情報伝送システム1は、複数の端末2A、2B、2C、2Dと、基地局3とを備える。端末2A、2B、2C、2Dを区別しないとき、これらを端末2と総称する。端末2の総数は任意であり、一実施の形態を限定しない。
【0027】
それぞれの端末2は、互いに独立して情報を送信してもよい。言い換えれば、それぞれの端末2は情報を送信するときに互いに非同期で動作してもよい。基地局3は、端末2から送信された情報を受信する。
【0028】
図6に示すように、一実施の形態による端末2は、バス20と、演算装置21と、記憶装置22と、通信装置23と、センサ装置24とを備える。演算装置21、記憶装置22、通信装置23およびセンサ装置24は、バス20を介して通信可能に接続されている。
【0029】
演算装置21は、受信部211と、リソースマップ更新部212と、データ生成部213と、情報分割部214と、パケット生成部215と、論理インデックス決定部216と、物理インデックス算出部217と、送信部218とを備える。演算装置21は、端末プログラムを実行することによって、受信部211、リソースマップ更新部212、データ生成部213、情報分割部214、パケット生成部215、論理インデックス決定部216、物理インデックス算出部217および送信部218の機能をそれぞれ実現する。言い換えれば、受信部211、リソースマップ更新部212、データ生成部213、情報分割部214、パケット生成部215、論理インデックス決定部216、物理インデックス算出部217および送信部218は、演算装置21と端末プログラムとが協働して所定の機能を実現する仮想的な機能部である。これらの機能部がそれぞれ実現する機能については、後述する。
【0030】
記憶装置22は、端末プログラム記憶部221と、リソースマップ記憶部222とを備える。端末プログラム記憶部221は、端末プログラムを記憶する。リソースマップ記憶部222は、リソースマップを記憶する。リソースマップの詳細については後述する。端末プログラムと、リソースマップとは、外部の記録媒体220から読み出されてもよいし、通信装置23を介して受信されてもよい。記録媒体220は、非一時的で有形の媒体(non-transitory and tangible media)であってもよい。
【0031】
通信装置23は、基地局3との間で無線通信を行う。通信装置23は、基地局3が受信するためのパケット情報を送信部218の制御下で送信し、また、基地局3から送信される情報を受信部211の制御下で受信する。
【0032】
センサ装置24は、周囲の状態を表す所望のパラメータを計測し、この計測の結果を表す測定データを出力する。一例として、センサ装置24は、周囲の気温を測定する気温センサ、周囲の湿度を測定する湿度センサ、周囲の二酸化炭素濃度を測定する二酸化炭素濃度センサ、などであってもよい。
【0033】
図7に示すように、一実施の形態による基地局3は、バス30と、演算装置31と、記憶装置32と、通信装置33とを備える。演算装置31、記憶装置32および通信装置33は、バス30を介して通信可能に接続されている。
【0034】
演算装置31は、受信部311と、物理インデックス検出部312と、論理インデックス算出部313と、情報結合部314と、リソースマップ更新部315と、送信部316とを備える。演算装置31は、基地局プログラムを実行することによって、受信部311、物理インデックス検出部312、論理インデックス算出部313、情報結合部314、リソースマップ更新部315および送信部316の機能をそれぞれ実現する。言い換えれば、受信部311、物理インデックス検出部312、論理インデックス算出部313、情報結合部314、リソースマップ更新部315および送信部316は、演算装置31と基地局プログラムとが協働して所定の機能を実現する仮想的な機能部である。これらの機能部がそれぞれ実現する機能については、後述する。
【0035】
記憶装置32は、基地局プログラム記憶部321と、リソースマップ記憶部322とを備える。基地局プログラム記憶部321は、基地局プログラムを記憶する。リソースマップ記憶部322は、リソースマップを記憶する。リソースマップの詳細については、後述する。基地局プログラムと、リソースマップとは、外部の記録媒体320から読み出されてもよいし、通信装置33を介して受信されてもよい。記録媒体320は、非一時的で有形の媒体(non-transitory and tangible media)であってもよい。
【0036】
通信装置33は、端末2との間で無線通信を行う。通信装置33は、端末2から送信されるパケット情報を受信部311の制御下で受信し、また、端末2に送信する情報を送信部316の制御下で送信する。
【0037】
図8のフローチャートを参照して、一実施の形態による情報伝送方法の一構成例について説明する。図8のフローチャートは、ステップS101~ステップS110を含む。ステップS101~ステップS106は、端末2の演算装置21が実行する端末プログラムに含まれる。ステップS107~ステップS110は、基地局3の演算装置31が実行する基地局プログラムに含まれる。
【0038】
図8のフローチャートが開始する前に、端末2と基地局3との間でリソースマップの共有が行われてもよい。このとき、まず、基地局3の演算装置31が基地局プログラムを実行することによって、リソースマップ更新部315の機能が実現する。リソースマップ更新部315は、リソースマップを生成または更新してリソースマップ記憶部322に格納する。その後、基地局3の演算装置31が基地局プログラムを実行することによって、送信部316の機能が実現する。送信部316は、リソースマップ記憶部322からリソースマップを読み出し、通信装置33を制御してリソースマップを端末2の受信部211に送信する。その一方で、端末2の演算装置21が端末プログラムを実行することによって、受信部211の機能が実現する。受信部211は、通信装置23を制御してリソースマップを受信し、受信したリソースマップをリソースマップ記憶部222に格納する。その後、端末2の演算装置21が端末プログラムを実行することによって、リソースマップ更新部212の機能が実現する。リソースマップ更新部212は、リソースマップを更新する。より詳細には、リソースマップ記憶部222に格納されているリソースマップのうち、最も新しく受信したものを有効なリソースマップとして登録する。リソースマップ記憶部222に他のリソースマップが格納されている場合は、有効なリソースマップ以外のリソースマップを削除してもよい。
【0039】
図8のフローチャートが開始すると、ステップS101が開始する。ステップS101において、端末2の演算装置21が端末プログラムを実行することによって、データ生成部213の機能が実現する。データ生成部213は、基地局3に向けて送信するための送信データを生成する。データ生成部213は、センサ装置24を制御して測定データを取得し、測定データを変換してデジタルデータとしての送信データを生成する。
【0040】
ステップS101の後、ステップS102が実行される。ステップS102において、端末2の演算装置21が端末プログラムを実行することによって、情報分割部214の機能が実現する。情報分割部214は、送信データの情報を分割して、第1ビット数の第1データと、第2ビット数の第2データと、残るビット数の第3データとを生成する。一例として、第1データは論理時間スロットインデックスとして使用され、第2データは論理周波数チャネルインデックスとして使用され、第3データはパケットデータとして使用される。
【0041】
ステップS102の後、ステップS103が実行される。ステップS103において、端末2の演算装置21が端末プログラムを実行することによって、パケット生成部215の機能が実現する。パケット生成部215は、端末2が基地局3に向けて送信するためのパケットを生成する。パケット生成部215が生成するパケットのうち、パケットデータには第3データが含まれる。また、パケット生成部215が生成するパケットのうち、パケットヘッダには、端末2を識別するための番号であるデバイスアドレスを表すデバイスアドレス情報と、今回生成したパケットを識別するための番号であるパケットカウンタを表すパケットカウンタ情報とを含む。
【0042】
ステップS103の後、ステップS104が実行される。ステップS104において、端末2の演算装置21が端末プログラムを実行することによって、論理インデックス決定部216の機能が実現する。論理インデックス決定部216は、第1データと第2データとに基づいて論理インデックスを決定する。より詳細には、第1データに基づいて論理時間スロットインデックスを決定し、第2データに基づいて論理周波数チャネルインデックスを決定する。ここで、論理時間スロットインデックスは第1データそのものであってもよい。同様に、論理周波数チャネルインデックスは第2データそのものであってもよい。
【0043】
ステップS104の後、ステップS105が実行される。ステップS105において、端末2の演算装置21が端末プログラムを実行することによって、物理インデックス算出部217の機能が実現する。物理インデックス算出部217は、論理インデックスと、パケットヘッダと、パケットカウンタの最大値を表す最大パケットカウンタ情報と、使用可能リソース数と、リソースマップとに基づいて、物理インデックスを算出する。ここで、使用可能リソース数は、物理周波数チャネルおよび物理時間スロットの組み合わせのうち、使用が禁止されていない組み合わせの総数であり、禁止周波数チャネル以外の物理周波数チャネルの総数と、物理時間スロット数Q ̄とを掛け算した積として、以下の式「数1」のように求められる。
【0044】
【数1】
ここで、「R」は使用可能リソース数を表し、「K ̄」は物理周波数チャネル数を表し、「K」は禁止周波数チャネル数を表し、「Q ̄」は物理時間スロット数を表す。
【0045】
物理インデックス算出部217が算出する物理インデックスは、論理インデックスと一対一対応の関係にある。このことにより、後に基地局3の論理インデックス算出部313が物理インデックスに対応する論理インデックスを算出できる。言い換えれば、端末2の物理インデックス算出部217は論理インデックスに対応する物理インデックスを一義的に算出する処理は一種の変調処理または暗号化処理であり、基地局3の論理インデックス算出部313が物理インデックスに対応する論理インデックスを一義的に算出する手法は一種の復調または復号処理である。
【0046】
一実施の形態による端末2の物理インデックス算出部217が物理インデックスを算出する処理の具体例については、後述する。
【0047】
ステップS105の後、ステップS106が実行される。ステップS106において、端末2の演算装置21が端末プログラムを実行することによって、送信部218の機能が実現する。送信部218は、物理時間スロットインデックスが表す物理時間スロットの間に、物理周波数チャネルインデックスが表す物理周波数チャネルを用いて、パケットを送信する。
【0048】
ステップS106の後、図8のフローチャートの処理は、端末2においてはステップS101に戻り、基地局3においてはステップS107に進む。ステップS107において、基地局3の演算装置31が基地局プログラムを実行することによって、受信部311の機能が実現する。受信部311は、端末2から送信されたパケットを受信する。受信部311は、受信したパケットを記憶装置32に格納する。
【0049】
ステップS107の後、ステップS108が実行される。ステップS108において、基地局3の演算装置31が基地局プログラムを実行することによって、物理インデックス検出部312の機能が実現する。物理インデックス検出部312は、パケットを受信した物理時間スロットおよび物理周波数チャネルと、パケットヘッダと、最大パケットカウンタ情報と、使用可能インデックス数と、リソースマップとに基づいて、物理時間スロットインデックスと周波数チャネルインデックスとの組み合わせである物理インデックスを検出する。
【0050】
ステップS108の後、ステップS109が実行される。ステップS109において、基地局3の演算装置31が基地局プログラムを実行することによって、論理インデックス算出部313の機能が実現する。論理インデックス算出部313は、物理インデックスと、デバイスアドレス情報と、パケットカウンタ情報とに基づいて、論理インデックスを算出する。このとき、論理インデックス算出部313は、記憶装置32に格納されているパケットを参照して、このパケットのパケットヘッダに含まれるデバイスアドレス情報とパケットカウンタ情報とを読み出す。
【0051】
上記のステップS105に関連して説明したとおり、基地局3の論理インデックス算出部313は、物理インデックスに対応する論理インデックスを一義的に算出する。一実施の形態による基地局3の論理インデックス算出部313が論理インデックスを算出する処理の具体例については、後述する。
【0052】
ステップS109の後、ステップS110が実行される。ステップS110において、基地局3の演算装置31が基地局プログラムを実行することによって、情報結合部314の機能が実現する。情報結合部314は、ステップS107~ステップS108で得られた情報を結合して送信データを復元する。より詳細には、情報結合部314は、論理時間スロットインデックスとして得られた第1データと、論理周波数チャネルインデックスとして得られた第2データと、受信したパケットに含まれるパケットデータとして得られた第3データとを結合して送信データを復元する。情報結合部314は、その後、送信データを記憶装置32に格納する。
【0053】
さらにその後、送信部316が送信データを外部に出力してもよい。一例として、外部のサーバなどが、基地局3が複数の端末2からそれぞれ取得した複数の送信データを解析してもよい。
【0054】
ステップS110の後、図8のフローチャートの処理は終了する。ただし、基地局3の処理は次のパケットを受信するためにステップS107に戻ってもよい。
【0055】
(物理インデックスの算出)
図9のフローチャートを参照して、図8のフローチャートのステップS105で端末2の物理インデックス算出部217が行う処理の詳細について説明する。
【0056】
図8のフローチャートのステップS103が実行されると、図9のフローチャートが開始してステップS201が実行される。ステップS201において、物理インデックス算出部217が引数を用意する。一例として、この引数は、論理インデックスに含まれる論理時間スロットインデックスと、論理インデックスに含まれる論理周波数チャネルインデックスと、パケットヘッダに含まれるデバイスアドレス情報と、パケットヘッダに含まれるパケットカウンタ情報と、最大パケットカウンタ情報と、使用可能リソース数と、禁止周波数チャネルのリストを含むリソースマップとを含む。
【0057】
ステップS201の後、ステップS202が実行される。ステップS202において、物理インデックス算出部217が、注目している論理インデックスに対応する論理番号X’を算出する。論理番号X’は、論理時間スロットインデックスと論理周波数チャネルインデックスとの組み合わせである論理インデックスを一義的に表す番号である。論理番号X’は、例えば、以下の式「数2」のように定義される。
【0058】
【数2】
ここで、「X’」は論理番号を表す。「k’」は論理周波数チャネルインデックスを表す。「Q」は論理時間スロット数を表す。「q’」は論理時間スロットインデックスを表す。
【0059】
ステップS202の後、ステップS203が実行される。ステップS203において、物理インデックス算出部217が疑似乱数Xを算出する。疑似乱数Xは、パケット衝突を抑制するために、異なる端末2が同じ時間フレームに同じ送信データを送信する場合でも論理番号X’が互いに異なるようにデバイスアドレスを用いて算出される。また、疑似乱数Xは、パケット衝突が発生した後、同じ端末2が次の時間フレームに同じ送信データを送信する場合に再度のパケット衝突が発生しないように、連続する時間フレームで論理番号X’が変化するようにパケットカウンタを用いて算出される。疑似乱数Xは、例えば、以下の式「数3」のように定義される。
【0060】
【数3】
ここで、「X」は疑似乱数を表す。「a」はデバイスアドレスを表す。「c」はパケットカウンタを表す。
【0061】
ステップS203の後、ステップS204が実行される。ステップS204において、物理インデックス算出部217が物理番号Xを算出する。物理番号Xは、物理時間スロットインデックスと物理周波数チャネルインデックスとの組み合わせである物理インデックスを一義的に表す番号である。物理番号Xは、例えば、以下の式「数4」のように定義される。
【0062】
【数4】
ここで、「X」は物理番号を表す。「mod」は、第1の引数を第2の引数で割り算した余を出力する関数を表す。「X’」は論理番号を表す。「X」は疑似乱数を表す。「R」は使用可能リソース数を表す。
【0063】
ステップS204の後、ステップS205が実行される。ステップS205において、物理インデックス算出部217が物理インデックスを算出する。より詳細には、物理インデックス算出部217が、物理インデックスに含まれる物理時間スロットインデックスおよび物理周波数チャネルインデックスを算出する。ここで、物理時間スロットインデックスを表現するために必要な第3ビット数は、論理時間スロットインデックスq’を表現するために必要な第1ビット数以上であってもよい。また、物理周波数チャネルインデックスを表現するために必要な第4ビット数は、論理周波数チャネルインデックスk’を表現するために必要な第2ビット数以上であってもよい。物理時間スロットインデックスqと、物理周波数チャネルインデックスkとは、例えば、以下の式「数5」、「数6」のように求められる。
【0064】
【数5】
【数6】
ここで、「k」は物理周波数チャネルインデックスを表す。「q」は物理時間スロットインデックスを表す。「X」は物理番号を表す。「Q」は論理時間スロット数を表す。「mod」は、第1の引数を第2の引数で割り算した余を出力する関数を表す。
【0065】
ステップS205の後、図9のフローチャートは終了し、処理は図8のフローチャートのステップS105に戻り、その後、ステップS106へ進む。
【0066】
以上に説明したように、一実施の形態によれば、論理インデックスに一対一対応する物理インデックスを算出することによって、基地局3の論理インデックス算出部313は、物理インデックスに基づいて論理インデックスを一義的に算出することができる。また、論理時間スロットに含まれない物理時間スロットと、論理周波数チャネルに含まれない物理周波数チャネルとを有効活用することによってパケット衝突を抑制することができる。さらに、疑似乱数Xを導入することによって、パケット衝突をさらに抑制することができる。
【0067】
一例として、図10に示す論理インデックスA1~A7に基づいて、図11に示す物理インデックスB1~B7がそれぞれ算出される。図10の例では、時間スロットおよび周波数チャネルの組み合わせのうち、論理インデックスとして選択され得ない組み合わせを斜線のハッチングで示している。また、図11の例では、時間スロットおよび周波数チャネルの組み合わせのうち、禁止周波数チャネルを含む物理インデックスを斜線のハッチングで示している。物理インデックスが使用可能であるかどうかを表すリソースマップは、図11に示すような、物理インデックスのそれぞれについて使用の是非を定義する情報を含んでもよい。また、リソースマップは、物理周波数チャネルのそれぞれについて使用の是非を定義する情報だけを含んでもよい。
【0068】
(論理インデックスの算出)
図12に示すフローチャートを参照して、図8のフローチャートのステップS109で基地局3の論理インデックス算出部313が行う処理について説明する。
【0069】
図8のフローチャートのステップS109が実行されると、図12のフローチャートが開始してステップS301が実行される。ステップS301において、論理インデックス算出部313が引数を用意する。一例として、この引数は、物理インデックスに含まれる物理時間スロットインデックスqと、物理インデックスに含まれる物理周波数チャネルインデックスkと、パケットヘッダに含まれるデバイスアドレス情報と、パケットヘッダに含まれるパケットカウンタ情報と、最大パケットカウンタ情報と、使用可能リソース数と、禁止周波数チャネルのリストを含むリソースマップとを含む。
【0070】
ステップS301の後、ステップS302が実行される。ステップS302において、論理インデックス算出部313が、パケットを受信した物理インデックスに対応する物理番号Xを算出する。物理番号Xは、パケットを受信した時刻を含む物理時間スロットインデックスqと、パケットを受信した周波数帯域を含む物理周波数チャネルインデックスkとの組み合わせである物理インデックスを一義的に表す番号である。物理番号Xは、例えば、以下の式「数7」のように求められる。
【0071】
【数7】
ここで、「X」は物理番号を表す。「k」は物理周波数チャネルインデックスを表す。「Q」は論理時間スロット数を表す。「q」は物理時間スロットインデックスを表す。ここで、式「数7」が、上記の式「数5」および「数6」の逆変換式であることに注目されたい。
【0072】
ステップS302の後、ステップS303が実行される。ステップS303において、論理インデックス算出部313が、疑似乱数Xを算出する。ステップS303の処理は、図9のフローチャートのステップS203と同様である。
【0073】
ステップS303の後、ステップS304が実行される。ステップS304において、論理インデックス算出部313が、論理番号X’を算出する。論理番号X’は、論理時間スロットインデックスと論理周波数チャネルインデックスとの組み合わせである論理インデックスを一義的に表す番号である。論理番号X’は、例えば、以下の式「数8」のように定義される。
【0074】
【数8】
ここで、「mod」は、第1の引数を第2の引数で割り算した余を出力する関数を表す。「X」は物理番号を表す。「X」は疑似乱数を表す。「R」は使用可能リソース数を表す。
【0075】
なお、「mod」は、以下の「数9」式で定義される。
【0076】
【数9】
ここで、「m」は任意の整数を表す。「n」は0を除く任意の整数を表す。このとき、「m」および/または「n」が負の整数であっても、余が定義される。
【0077】
ステップS305において、論理インデックス算出部313が、論理インデックスを算出する。より詳細には、論理インデックス算出部313が、論理インデックスに含まれる論理時間スロットインデックスq’および論理周波数チャネルインデックスk’を算出する。論理時間スロットインデックスq’と、論理周波数チャネルインデックスk’とは、例えば、以下の式「数10」、「数11」のように求められる。
【0078】
【数10】
【数11】
ここで、「k’」は論理周波数チャネルインデックスを表す。「X’」は論理番号を表す。「Q」は論理時間スロット数を表す。「q’」は論理時間スロットインデックスを表す。「mod」は、第1の引数を第2の引数で割り算した余を出力する関数を表す。
【0079】
ステップS305の後、図12のフローチャートは終了し、処理は図8のフローチャートのステップS109に戻り、その後、ステップS110に進む。
【0080】
以上に説明したように、一実施の形態によれば、物理インデックスに一対一対応する論理インデックスを、基地局3の論理インデックス算出部313が一義的に算出することができる。
【0081】
一実施の形態による情報伝送システム1は、以上に説明したような情報伝送方法を実現することによって、パケット衝突を抑制することができる。
【0082】
(シミュレーション結果、その1)
図13図14とを参照して、一実施の形態による情報伝送方法の特性を評価したシミュレーション結果について説明する。
【0083】
図13は、一実施の形態による情報伝送方法のシミュレーション諸元の一例を示す表である。図13の例において、端末2の数を表す端末数Nが1から10000までの範囲に含まれるいずれかの整数を選択する。論理周波数チャネル数Kは、16である。論理時間スロット数Qは、16である。パケットの情報量を表すパケットサイズDは、10バイトである。時間フレームの長さである端末2の送信周期Tは、120秒である。禁止周波数チャネル数Kは、0から15までの範囲に含まれるいずれかの整数を選択する。
【0084】
その他、以下の条件に基づいてシミュレーションを行った。すなわち、全ての端末2が同一の送信周期でパケットを送信する。端末2は互いに非同期でパケットを送信する。パケットを送信するたびに論理インデックスをランダムに決定する。スループットSの理論値は、以下の式「数12」のように定義される。
【0085】
【数12】
ここで、「S」はスループットを表し、その単位はビット毎秒である。「K ̄」は物理周波数チャネル数を表す。「K」は禁止周波数チャネル数を表す。「Q ̄」は物理時間スロット数を表す。「N」は端末2の総数を表す。「D」はパケットのサイズを表し、その単位はビットである。「T」は各端末2がパケットを送信する送信周期であり、その単位は秒である。
【0086】
図14は、一実施の形態による情報伝送方法の、スループットSに対する禁止周波数チャネル数Kの影響に係るシミュレーション結果の一例を示すグラフである。図14のグラフにおいて、横軸は禁止周波数チャネル数Kを表し、縦軸はスループットSをビット毎秒で表す。図14に含まれる2つのグラフのうち、第1のグラフG11は関連技術による情報伝送方法のシミュレーション結果を表し、第2のグラフG12は一実施の形態による情報伝送方法のシミュレーション結果を表す。なお、図14の例では、端末数Nは100である。
【0087】
関連技術による情報伝送方法では、論理インデックスを物理インデックスに変換することなく、論理インデックスをそのまま物理インデックスとして使用する。その結果として、図14に示すように、一実施の形態による情報伝送方法におけるスループットSは、関連技術のスループットよりも向上している。ただし、禁止周波数チャネル数Kが0、8、12、14または15であるとき、言い換えれば、使用可能な物理周波数チャネルの総数が1、2、4、8または16であるとき、一実施の形態による情報伝送方法におけるスループットSは、関連技術のスループットに等しい。これは、使用可能な物理周波数チャネルの総数(=K ̄-K)が2の累乗であり、かつ、物理時間スロット数Q ̄が2の累乗である場合には、論理インデックスの総数と物理インデックスの総数が等しいからである。言い換えれば、物理インデックスに含まれ、かつ、論理インデックスに含まれない、余剰となる時間スロットおよび周波数チャネルの組み合わせが存在しないからである。反対に、物理時間スロット数Q ̄が2の累乗でなければ、禁止周波数チャネル数Kに関係無く常に、一実施の形態による情報伝送方法におけるスループットSは、関連技術のスループットよりも向上する。
【0088】
(シミュレーション結果、その2)
図15を参照して、一実施の形態と関連技術とによる情報伝送方法の特性を評価したシミュレーション結果について説明する。なお、関連技術は、一実施の形態と比較すると、論理周波数チャネルをそのまま物理周波数チャネルとして用い、論理時間スロットをそのまま物理時間スロットとして用いる点が異なる。
【0089】
図15は、一実施の形態と関連技術とによる情報伝送方法の、リソースマップを格納するために発生するデータのオーバーヘッドに対する周波数チャネル数の影響に係るシミュレーション結果の一例を示すグラフである。図15のグラフにおいて、横軸は周波数チャネル数を表し、縦軸はデータのオーバーヘッドをビットで表している。なお、横軸の周波数チャネル数は、関連技術においては論理周波数チャネル数Kを表し、一実施の形態においては物理周波数チャネル数K ̄を表す。
【0090】
図15に含まれる7つのグラフのうち、第1のグラフG21は、論理時間スロット数Qが64であるときに、端末2が全てのリソースマップを記憶装置22に格納するためのメモリ使用量を表す。同様に、第2のグラフG22は、論理時間スロット数Qが16であるときに、端末2が全てのリソースマップを記憶装置22に格納するためのメモリ使用量を表す。さらに、第3のグラフG23は、論理時間スロット数Qが4であるときに、端末2が全てのリソースマップを記憶装置22に格納するためのメモリ使用量を表す。
【0091】
第4のグラフG24は、論理時間スロット数Qが64であるときに、端末2が1つのリソースマップを記憶装置22に格納するためのメモリ使用量を表す。同様に、第5のグラフG25は、論理時間スロット数Qが16であるときに、端末2が1つのリソースマップを記憶装置22に格納するためのメモリ使用量を表す。さらに、第6のグラフG26は、論理時間スロット数Qが4であるときに、端末2が1つのリソースマップを記憶装置22に格納するためのメモリ使用量を表す。
【0092】
第7のグラフG27は、リソースマップのうち、それぞれの物理周波数チャネルが禁止周波数チャネルであるか否かを表す情報を、端末2が記憶装置22に格納するためのメモリ使用量を表す。
【0093】
第1のグラフG21~第6のグラフG26に関連して、禁止周波数チャネルを含む1つの論理インデックスあたりのメモリ使用量Drec(K)は、以下の式「数13」のように求められる。
【0094】
【数13】
ここで、「Drec(K)」は禁止周波数チャネルを含む論理インデックスあたりのメモリ使用量を表し、その単位はビットである。「K」は禁止周波数チャネル数を表す。「K ̄」は物理周波数チャネル数を表す。「Q ̄」は物理時間スロット数を表す。
【0095】
第4のグラフG24~第6のグラフG26に関連して、1つのリソースマップあたりのメモリ使用量Dmap(K)は、以下の式「数14」のように求められる。
【0096】
【数14】
ここで、「Dmap(K)」は1つのリソースマップあたりのメモリ使用量を表し、その単位はビットである。「K」は禁止周波数チャネル数を表す。「K ̄」は物理周波数チャネル数を表す。「Q ̄」は物理時間スロット数を表す。「Drec(K)」は禁止周波数チャネルを含む物理インデックスあたりのメモリ使用量を表し、その単位はビットである。
【0097】
第1のグラフG21~第3のグラフG23に関連して、全てのリソースマップを保持した場合のメモリ使用量Dtotalは、以下の式「数15」のように求められる。
【0098】
【数15】
ここで、「Dtotal」は全てのリソースマップを保持した場合のメモリ使用量を表し、その単位はビットである。「K」は禁止周波数チャネル数を表す。「K ̄」は物理周波数チャネル数を表す。「Dmap(K)」は1つのリソースマップあたりのメモリ使用量を表し、その単位はビットである。
【0099】
第7のグラフG27に関連して、リソースマップのうち、それぞれの物理周波数チャネルが禁止周波数チャネルであるか否かを表す情報を、端末2が記憶装置22に格納するためのメモリ使用量Dpropは、以下の式「数16」のように求められる。
【0100】
【数16】
ここで、「Dprop」はリソースマップのうち、それぞれの物理周波数チャネルが禁止周波数チャネルであるか否かを表す情報を、端末2が記憶装置22に格納するためのメモリ使用量を表し、その単位はビットである。「K ̄」は物理周波数チャネル数を表す。
【0101】
図15の例では、物理時間スロット数Q ̄が同じであるとき、第1のグラフG21~第3のグラフG23のメモリ使用量は、第4のグラフG24~第6のグラフG26のメモリ量以上である。また、第7のグラフG27は、第1のグラフG21~第6のグラフG26のいずれよりも少ない。したがって、端末2の記憶装置22におけるメモリ使用量を節約するためには、リソースマップのうち、それぞれの周波数チャネルについて使用が禁止されているか否かだけを表す情報を端末2と基地局3との間で共有することが好ましい。
【0102】
以上、発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、実施の形態に説明したそれぞれの特徴は、技術的に矛盾しない範囲で自由に組み合わせることが可能である。
【0103】
上記の実施の形態では、図8のフローチャートを開始する前に、更新されたリソースマップを基地局3が送信して端末2が受信することによってリソースマップの更新と共有を行う場合について説明した。一変形例として、基地局3は、他の通信システムの動作を含む無線環境の変化などに応じて、任意のタイミングでリソースマップを更新してもよいし、任意のタイミングでリソースマップを送信してもよい。また、端末2は、リソースマップが送信されたタイミングでリソースマップを受信してもよいし、リソースマップを受信したタイミングでリソースマップを記憶装置22に格納してもよい。ただし、端末2と基地局3とが、更新されたリソースマップを有効なリソースマップとして登録するタイミングは、時間フレームが切り替わるときに実行される。
【0104】
上記の実施の形態では、図8のフローチャートのステップS103を実行した後にステップS104とステップS105とを実行する場合について説明しした。一変形例として、ステップS103を、ステップS104とステップS105との間に実行してもよいし、ステップS104およびステップS105を実行した後に実行してもよいし、ステップS104および/またはステップS105と並行して実行してもよい。いずれの場合も、ステップS103は、ステップS102の後、かつ、ステップS106の前に実行される。
【0105】
上記の実施の形態では、図8のフローチャートのステップS104において、論理時間スロットインデックスq’が第1データそのものであり、論理周波数チャネルインデックスk’が第2データそのものである場合について説明した。ステップS104の一変形例として、論理時間スロットインデックスq’は、第1データを所定の変換法則によって変換して得られた値であってもよい。同様に、論理周波数チャネルインデックスk’は、第2データを所定の変換法則によって変換して得られた値であってもよい。ただし、この場合は、ステップS109において、基地局3の論理インデックス算出部313は、ステップS104の変換法則に対応する逆変換法則を用いて論理インデックスを算出する。
【0106】
上記の実施の形態では、図9のフローチャートにおいて、論理インデックスに一対一対応する物理インデックスを算出するために、式「数3」のように定義された疑似乱数Xを使用する場合について説明した。一変形例として、疑似乱数Xを以下の式「数17」のように定義してもよい。
【0107】
【数17】
ここで、「X」は疑似乱数を表す。「mod」は、第1の引数を第2の引数で割り算した余を出力する関数を表す。「a」はデバイスアドレスを表す。「c」はパケットカウンタを表す。「N」は所定の整数を表す。整数Nは、例えば、デバイスアドレスを表現するために必要なビット数がnであるとき、2のn乗であってもよい。
【0108】
なお、この場合は、図12のフローチャートのステップS303において、上記の式「数17」を用いて疑似乱数Xを算出する。このとき、整数Nは端末2と基地局3との間で共有されている。
【符号の説明】
【0109】
1 情報伝送システム
2、2A、2B、2C、2D 端末
20 バス
21 演算装置
211 受信部
212 リソースマップ更新部
213 データ生成部
214 情報分割部
215 パケット生成部
216 論理インデックス決定部
217 物理インデックス算出部
218 送信部
22 記憶装置
220 記録媒体
221 端末プログラム記憶部
222 リソースマップ記憶部
23 通信装置
24 センサ装置
3 基地局
30 バス
31 演算装置
311 受信部
312 物理インデックス検出部
313 論理インデックス算出部
314 情報結合部
315 リソースマップ更新部
316 送信部
32 記憶装置
320 記録媒体
321 基地局プログラム記憶部
322 リソースマップ記憶部
33 通信装置
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7 論理インデックス
B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7 物理インデックス
D パケットサイズ
f 周波数
G11、G12 グラフ
G21、G22、G23、G24、G25、G26、G27 グラフ
k 物理周波数チャネルインデックス
k’ 論理周波数チャネルインデックス
K 論理周波数チャネル数
K ̄ 物理周波数チャネル数
禁止周波数チャネル数
N 端末数
P、P1、P2、P3 パケット
q 物理時間スロットインデックス
q’ 論理時間スロットインデックス
Q 論理時間スロット数
Q ̄ 物理時間スロット数
t 時間
T 送信周期
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15