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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057683
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】張力測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/107 20200101AFI20230417BHJP
【FI】
G01L5/107
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167291
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】516055099
【氏名又は名称】株式会社阿智精機
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 雄一
(72)【発明者】
【氏名】水野 幸喜
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB01
2F051CA01
(57)【要約】
【課題】目盛りの読み取り易さを向上すること。
【解決手段】張力測定装置1は、支持フレーム2に回転可能に支持された支持ローラ4,6と、回転フレーム24に回転可能に支持された支持ローラ26と、を備える。回転フレーム24は、回転ピン22を介して支持フレーム2に回転可能に支持される。また、回転フレーム24は、捩りコイルバネTspr1,Tspr2によって第1回転方向に付勢される。支持ローラ4,6,26に掛け渡された荷締ベルトBLTを締め付けていくと、当該荷締ベルトBLTの張力Tの増加に伴って、支持ローラ26を介して回転フレーム24が、捩りコイルバネTspr1,Tspr2のバネ力Fに抗して回転ピン22を中心に第2回転方向Dr2に回転される。これにより、荷締ベルトBLTの張力Tをバネ力Fに比例させることができるため、目盛盤8,8の目盛間隔を均一に表示することができる。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の可撓性部材の張力を測定する張力測定装置であって、
支持フレームと、
互いに平行となるよう前記支持フレームに支持された第1および第2支持軸と、
前記第1および第2支持軸間において該第1および第2支持軸に平行となるよう前記支持フレームに支持された第3支持軸と、
前記第3支持軸を中心に回転可能に前記第3支持軸に支持された回転フレームと、
前記第1、第2および第3支持軸に平行となるよう前記回転フレームに支持された第4支持軸と、
前記回転フレームの回転方向の一方の方向である第1回転方向に向けて該回転フレームを付勢可能に前記支持フレームと前記回転フレームとの間に配置された弾性体と、
前記回転フレームの前記第1回転方向への回転を規制可能に前記回転フレームに配置されたストッパーと、
前記回転フレームの回転に伴って移動可能に該回転フレームに配置された指示針または目盛盤の一方と、
前記回転フレームの回転に伴って移動する前記指示針または前記目盛盤の一方に対向するよう前記支持フレームに配置された前記指示針または前記目盛盤の他方と、
を備える
張力測定装置。
【請求項2】
前記指示針は、前記回転フレームと一体回転可能に該回転フレームに一体にされており、
前記目盛盤は、前記指示針の回転経路に沿うよう前記支持フレームに配置されている
請求項1に記載の張力測定装置。
【請求項3】
前記弾性体は、コイル部と、該コイル部の両端に一体にされた直線状の第1および第2腕部と、を有する捩りコイルバネであり、
前記コイル部は、前記第3支持軸に挿通支持され、
前記第1腕部は、前記支持フレームに係合され、
前記第2腕部は、前記回転フレームの回転に伴って搖動可能に該回転フレームに係合されると共に、前記指示針としての機能を有しており、
前記目盛盤は、前記第2腕部の揺動経路に沿うよう前記支持フレームに配置されている
請求項1に記載の張力測定装置。
【請求項4】
前記第3支持軸を中心とする円弧部を有すると共に、前記回転フレームと一体回転可能に該回転フレームに一体にされた巻取りガイドと、
長手方向の第1端が前記巻取りガイドに移動不能に支持されると共に前記第1端から前記円弧部に沿って延在する曲線部と、該曲線部から前記長手方向の第2端まで直線状に延在すると共に該第2端が弾性部材を介して前記支持フレームに支持される直線部と、を有するワイヤと、
をさらに備え、
前記指示針は、前記直線部に一体にされており、
前記目盛盤は、前記指示針の移動経路に沿うよう前記支持フレームに配置されている
請求項1に記載の張力測定装置。
【請求項5】
前記第1支持軸および/または前記第2支持軸および/または前記第3支持軸は、前記支持フレームに回転可能に支持されている
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の張力測定装置。
【請求項6】
前記第1支持軸および/または前記第2支持軸および/または前記第3支持軸は、第1軸受を介して前記支持フレームに回転可能に支持されている
請求項5に記載の張力測定装置。
【請求項7】
前記第4支持軸は、前記回転フレームに回転可能に支持されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の張力測定装置。
【請求項8】
前記第4支持軸は、第2軸受を介して前記支持フレームに回転可能に支持されている
請求項7に記載の張力測定装置。
【請求項9】
前記第1および第2支持軸と、前記第4支持軸と、によって挟み込まれるよう前記第1、第2および第4支持軸に掛け渡される帯状部材をさらに備え、
該帯状部材は、長手方向の両端部に前記可撓性部材を接続可能な接続部を有すると共に、前記可撓性部材の長手方向のヤング率よりも高いヤング率を長手方向に有する
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の張力測定装置。
【請求項10】
少なくとも前記第1、第2および第4支持軸のいずれか1つを振動可能に前記支持フレームに配置された振動体をさらに備える
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の張力測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状の可撓性部材の張力を測定する張力測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開昭62-64929号公報(特許文献1)には、支持フレームと、互いに平行となるように支持フレームに回転可能に支持された第1および第2支持軸と、当該第1および第2支持軸間において当該第1および第2支持軸に平行となるように配置されると共に当該第1および第2支持軸の軸線を含む仮想平面に直交する上下方向に直線移動可能に支持フレームに支持された第3支持軸と、当該第3支持軸を仮想平面から遠ざかる方向に付勢するバネと、第3支持軸の移動量に応じた張力を表示可能な指示針および張力目盛盤と、を備える張力測定装置が記載されている。
【0003】
当該張力測定装置では、第1および第2支持軸と、第3支持軸と、によってベルトが挟み込まれるように、当該第1、第2および第3支持軸にベルトが掛け渡される。即ち、ベルトは、第1支持軸と第3支持軸との間、および、第2支持軸と第3支持軸との間で、仮想平面に対して屈曲角θを有する状態で、第1、第2および第3支持軸に掛け渡される。当該状態で、ベルトに張力が作用すると、当該ベルトによって第3支持軸がバネ力に抗して上下方向に移動される。そして、当該第3支持軸の移動量に応じたバネ力が、ベルトの張力として指示針および張力目盛盤によって表示される。なお、屈曲角θは、第3支持軸の移動量に比例する。換言すれば、第3支持軸の移動量が増加する、即ち、バネ力が増加すると、屈曲角θは減少し、第3支持軸の移動量が減少する、即ち、バネ力が減少すると、屈曲角θは増加すると言うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62-64929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した公報に記載の張力測定装置では、バネ力をベルトの張力と見做しているが、実際には、ベルトの張力は、バネ力に1/2を乗じたものを屈曲角θの正弦で除した値であり、屈曲角θに反比例する。即ち、ベルトの張力は、第3支持軸の移動量に対して非線形(指数関数的)に変化するため、ベルトの張力を正確に表示するために、張力目盛盤の目盛間隔を不均一にするなどの工夫が必要であり、目盛りの読み取り易さや、読み取り精度という点において、なお改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、目盛りの読み取り易さの向上に資する技術を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、目盛りの読み取り精度の向上資する技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の張力測定装置は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る張力測定装置の好ましい形態によれば、長尺状の可撓性部材の張力を測定する張力測定装置が構成される。当該張力測定装置は、支持フレームと、互いに平行となるように支持フレームに支持された第1および第2支持軸と、当該第1および第2支持軸間において当該第1および第2支持軸に平行となるように支持フレームに支持された第3支持軸と、当該第3支持軸を中心に回転可能に当該第3支持軸に支持された回転フレームと、第1、第2および第3支持軸に平行となるように回転フレームに支持された第4支持軸と、当該回転フレームの回転方向の一方の方向である第1回転方向に向けて当該回転フレームを付勢可能に支持フレームと回転フレームとの間に配置された弾性体と、回転フレームの第1回転方向への回転を規制可能に回転フレームに配置されたストッパーと、回転フレームの回転に伴って移動可能に当該回転フレームに配置された指示針または目盛盤の一方と、回転フレームの回転に伴って移動する指示針または目盛盤の一方に対向するように支持フレームに配置された指示針または目盛盤の他方と、を備えている。ここで、本発明における「長尺状の可撓性部材」とは、典型的には、荷の固定を行うための荷締め部材、例えば、荷締ベルトや荷締め鎖、荷締ロープ、荷締ワイヤがこれに該当するが、シートベルトやファンベルト、コンベヤベルト、吊下げロープなどを好適に包含する。また、本発明における「第1および第2支持軸間」とは、張力測定装置を第1、第2、第3および第4支持軸の軸線方向の一方側から見たときの仮想投影面上における第1および第2支持軸の投影の中心である第1および第2支持軸中心を通る仮想直線に直交すると共に、第1支持軸の投影に接する一対の第1仮想接線および第2支持軸の投影に接する一対の第2仮想接線のうち、互いの距離が最も遠い外側の第1および第2仮想接線の間の領域がこれに該当する。さらに、本発明における「前記支持フレームと前記回転フレームとの間に配置された」とは、弾性部材が支持フレームおよび回転フレームそれぞれに直接接触した状態で配置される態様の他、弾性部材が支持フレームおよび回転フレームそれぞれに間接的に接触した状態で配置される態様を好適に包含する。ここで、「間接的に接触した状態」とは、例えば、弾性部材が支持フレームおよび回転フレームとは異なる部材を介して、支持フレームおよび回転フレームに接続される態様がこれに該当する。また、本発明における「前記回転フレームの回転に伴って移動可能」とは、典型的には、回転フレームと一体に回転可能な態様の他、回転フレームの回転に伴って直線的に移動可能な態様を好適に包含する。
【0009】
本発明によれば、第1および第2支持軸と、第4支持軸と、によって可撓性部材が挟み込まれるように、即ち、可撓性部材が、第1支持軸と第4支持軸との間、および、第2支持軸と第4支持軸との間で、仮想平面に対してそれぞれ屈曲角を有する状態で、第1、第2および第4支持軸に掛け渡される。当該状態で、可撓性部材に張力が作用すると、当該可撓性部材によって第4支持軸を介して回転フレームがバネ力に抗して第3支持軸を中心に第1回転方向とは反対方向である第2回転方向に回転される。そして、当該回転フレームの第2回転方向への回転に伴って、指示針または目盛盤の一方が移動されることで、可撓性部材の張力が表示される。ここで、可撓性部材の張力は、弾性体を第2回転方向へ変形させるのに要する力であるバネ力に、値1から各屈曲角の和の余弦を減じたものと,可撓性部材の張力の合成力が作用する方向とバネ力が作用する方向との挟角である第1挟角の余弦と,を乗じた値の2倍の逆数の平方根の値を乗じた値として求めることができる。各屈曲角は、張力の増加に伴って、その値が減少(値0に近づく)するため、値1から各屈曲角の和の余弦を減じたものは、張力の増加に伴って、その値が減少(値0に近づく)する。一方、第1挟角は、張力の増加に伴って、その値が減少(値0に近づく)するため、第1挟角の余弦は、張力の増加に伴って、その値が増加(値1に近づく)する。これにより、値1から各屈曲角の和の余弦を減じたものと、第1挟角の余弦と、の積の値は、各屈曲角の大きさ(換言すれば、回転フレームの第2回転方向への回転による回転角度)に依らずに、ほぼ一定にすることが可能となる。即ち、本発明によれば、可撓性部材の張力を求める式が、値1から各屈曲角の和の余弦を減じたものと、第1挟角の余弦と、を乗じる項を分母に有するため、可撓性部材の張力が各屈曲角や第1挟角にほぼ比例する、換言すれば、第4支持軸の回転角に対して可撓性部材の張力をほぼ線形的に変化させることができる。これにより、張力目盛盤の目盛間隔を均一に表示することができる。この結果、目盛りの読み取り易さを向上することができ、読み取り精度の向上を図ることができる。なお、第4支持軸の回転角とは、張力測定装置を第1、第2、第3および第4支持軸の軸線方向の一方側から見たときの仮想投影面上における第1および第2支持軸の各軸線の投影である第1および第2支持軸中心を通る仮想直線に直交する仮想直交線であって、当該仮想投影面上における第3支持軸の軸線の投影である第3支持軸中心を通る直線と、仮想投影面上における第4支持軸の軸線の投影である第4支持軸中心と第3支持軸中心とを結ぶ仮想連結線と、の挟角として規定される。そして、上述した第1挟角は、当該回転角の関数として求めることができる。
【0010】
本発明に係る張力測定装置の更なる形態によれば、指示針は、回転フレームと一体回転可能に当該回転フレームに一体にされている。そして、目盛盤は、指示針の回転経路に沿うように支持フレームに配置されている。
【0011】
本形態によれば、指示針が回転フレームの回転に伴って回転する構造を簡易に実現することができる。また、指示針として専用の部品を用いる必要がないため、部品点数の削減を図ることができる。
【0012】
本発明に係る張力測定装置の更なる形態によれば、弾性体は、コイル部と、当該コイル部の両端に一体にされた直線状の第1および第2腕部と、を有する捩りコイルバネである。コイル部は、第3支持軸に挿通支持される。第1腕部は、支持フレームに係合される。第2腕部は、回転フレームの回転に伴って搖動可能に当該回転フレームに係合されると共に、指示針としての機能を有している。そして目盛盤は、第2腕部の揺動経路に沿うように支持フレームに配置されている。
【0013】
本形態によれば、バネを指示針として利用するため、指示針として専用の部品を用いる必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0014】
本発明に係る張力測定装置の更なる形態によれば、巻取りガイドと、ワイヤと、をさらに備えている。巻取りガイドは、第3支持軸を中心とする円弧部を有すると共に、回転フレームと一体回転可能に当該回転フレームに一体にされている。ワイヤは、長手方向の第1端が巻取りガイドに移動不能に支持されると共に第1端から円弧部に沿って延在する曲線部と、当該曲線部から長手方向の第2端まで直線状に延在すると共に当該第2端が弾性部材を介して支持フレームに支持される直線部と、を有している。また、指示針は、直線部に一体にされている。そして、目盛盤は、指示針の移動経路に沿うように支持フレームに配置されている。
【0015】
本形態によれば、指示針が直線状に移動する構成を簡易に実現することができる。
【0016】
本発明に係る張力測定装置の更なる形態によれば、第1支持軸および/または第2支持軸および/または第3支持軸は、支持フレームに回転可能に支持されている。
【0017】
本形態によれば、可撓性部材と第1支持軸や第2支持軸との間に生じる摩擦抵抗や、支持フレームと第3支持軸との間に生じる摩擦抵抗を低減できるため、当該摩擦抵抗に起因して、可撓性部材の張力が適正に測定されない事態を防止することができる。また、可撓性部材の張力を増加させる場合(可撓性部材を締め付ける場合)と、可撓性部材の張力を減少させる場合(可撓性部材の締め付けを緩める場合)と、で異なる張力の履歴を示す現象であるヒステリシスの影響を抑制することができる。
【0018】
本発明に係る張力測定装置の更なる形態によれば、第1支持軸および/または第2支持軸および/または第3支持軸は、第1軸受を介して支持フレームに回転可能に支持されている。
【0019】
本形態によれば、可撓性部材と第1支持軸や第2支持軸との間に生じる摩擦抵抗や、支持フレームと第3支持軸との間に生じる摩擦抵抗を効果的に低減できるため、当該摩擦抵抗に起因して、可撓性部材の張力が適正に測定されない事態をより効果的に防止することができる。また、可撓性部材の張力を増加させる場合(可撓性部材を締め付ける場合)と、可撓性部材の張力を減少させる場合(可撓性部材の締め付けを緩める場合)と、で異なる張力の履歴を示す現象であるヒステリシスの影響をより効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明に係る張力測定装置の更なる形態によれば、第4支持軸は、回転フレームに回転可能に支持されている。
【0021】
本形態によれば、可撓性部材と第4支持軸との間に生じる摩擦抵抗を低減できるため、当該摩擦抵抗に起因して、可撓性部材の張力が適正に測定されない事態をより効果的に防止することができる。また、ヒステリシスの影響を抑制することができる。
【0022】
本発明に係る張力測定装置の更なる形態によれば、第4支持軸は、第2軸受を介して支持フレームに回転可能に支持されている。
【0023】
本形態によれば、可撓性部材と第4支持軸との間に生じる摩擦抵抗を効果的に低減できるため、当該摩擦抵抗に起因して、可撓性部材の張力が適正に測定されない事態をより効果的に防止することができる。また、ヒステリシスの影響をより効果的に抑制することができる。
【0024】
本発明に係る張力測定装置の更なる形態によれば、第1および第2支持軸と、第4支持軸と、によって挟み込まれるように、第1、第2および第4支持軸に掛け渡される帯状部材をさらに備えている。そして、当該帯状部材は、長手方向の両端部に可撓性部材を接続可能な接続部を有すると共に、可撓性部材の長手方向のヤング率よりも高いヤング率を長手方向に有している。ここで、本発明における「可撓性部材の長手方向のヤング率」とは、「可撓性部材」を構成する素材の長手方向のヤング率を意味するのではなく、完成品としての「可撓性部材」の長手方向のヤング率を意味する。即ち、例えば、「可撓性部材」が繊維を編み込むことにより構成されている場合、当該繊維の長手方向のヤング率ではなく、繊維を編み込むことにより構成された「可撓性部材」の長手方向のヤング率を意味する。
【0025】
本形態によれば、帯状部材が可撓性部材よりも高いヤング率を長手方向に有するため、可撓性部材の張力を増加させる(可撓性部材を締め付ける)ことによって生ずる長手方向の変形態様(例えば、変形量(歪))と、可撓性部材の張力を減少させる(可撓性部材の締め付けを緩める)ことによって生ずる長手方向の変形態様(例えば、変形量(歪))と、が異なることを抑制することができる。即ち、可撓性部材の張力を増加させる場合(可撓性部材を締め付ける場合)と、可撓性部材の張力を減少させる場合(可撓性部材の締め付けを緩める場合)と、で異なる張力の履歴を示す現象であるヒステリシスの影響をより一層効果的に抑制することができる。
【0026】
本発明に係る張力測定装置の更なる形態によれば、少なくとも第1、第2および第4支持軸のいずれか1つを振動可能に支持フレームに配置された振動体をさらに備えている。
【0027】
本形態によれば、可撓性部材と、第1支持軸や第2支持軸、第4支持軸と、の間に生じる摩擦抵抗や、支持フレームと第3支持軸との間に生じる摩擦抵抗を低減できるため、当該摩擦抵抗に起因して、可撓性部材の張力が適正に測定されない事態をより効果的に防止することができる。また、可撓性部材の張力を増加させる場合の張力変化と減少させる場合の張力変化とで異なる履歴を示す所謂ヒステリシスの影響を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、目盛りの読み取り易さを向上することができる。また、本発明によれば、目盛りの読み取り精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態に係る張力測定装置1の構成の概略を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る張力測定装置1を上方から見た平面図である。
図3】支持フレーム2の外観を示す斜視図である。
図4】支持フレーム2の構成の概略を示す三面図である。
図5図4のA-A断面を示す断面図である。
図6図2のB-B断面を示す断面図である。
図7】目盛盤8,8を取り外した状態の張力測定装置1を示す斜視図である。
図8】目盛盤8,8を取り外した状態の張力測定装置1を上方から見た平面図である。
図9】回転ピン22の配置を示す説明図である。
図10】回転フレーム24の外観を示す斜視図である。
図11】回転フレーム24の構成の概略を示す三面図である。
図12図8のC-C断面を示す断面図である。
図13】捩りコイルバネTspr1,Tspr2の外観を示す外観図である。
図14】目盛盤8,8の外観を示す斜視図である。
図15】目盛盤8,8の構成の概略を示す概略構成図である。
図16】目盛盤8,8を底側から見た斜視図である。
図17図8のE-E断面を示す断面図である。
図18図2のG-G断面を示す断面図である。
図19】荷締ベルトBLTに本発明の実施の形態に係る張力測定装置1をセットした状態を示す説明図である。
図20】屈曲角θa,θb、挟角θf、荷締ベルトBLTの張力T、その合成力Rf、および、バネ力Fの関係を示す説明図である。
図21】屈曲角θa,θbと変換係数Cfとの関係を示す説明図である。
図22】屈曲角θa,θbと張力Tとの関係を示す説明図である。
図23】変形例の張力測定装置100の構成の概略を示す概略構成図である。
図24】変形例の張力測定装置200の構成の概略を示す概略構成図である。
図25】変形例の張力測定装置300の外観を示す斜視図である。
図26】変形例の張力測定装置300を側方から見た側面図である。
図27】変形例の張力測定装置400の外観を示す斜視図である。
図28】変形例の張力測定装置400を上方から見た平面図である。
図29】変形例の張力測定装置500の外観を示す斜視図である。
図30】変形例の張力測定装置500を底側から見た斜視図である。
図31】変形例の張力測定装置500を上方から見た平面図である。
図32図31のH-H断面を示す断面図である。
図33】変形例の張力測定装置600の構成の概略を示す概略構成図である。
図34】変形例の張力測定装置700の構成の概略を示す概略構成図である。
図35】変形例の張力測定装置800の外観を示す斜視図である。
図36】変形例の張力測定装置800の構成の概略を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0031】
本実施の形態に係る張力測定装置1は、荷を固定するための長尺状の可撓性部材、例えば、荷締ベルトBLT(図19参照)による荷の締付力としての当該荷締ベルトBLTの張力を測定する装置として構成されている。当該張力測定装置1は、図1および図2に示すように、支持フレーム2と、当該支持フレーム2に回転可能に支持された支持ローラ4,6と、支持フレーム2に搖動可能に支持された回転カム機構20と、支持フレーム2に固定された一対の目盛盤8,8と、を備えている。
【0032】
支持フレーム2は、図3および図4に示すように、一対の支持壁10,12と、当該一対の支持壁10,12を接続する底壁14と、を有している。一対の支持壁10,12は、主に、中央部10a,12aと、当該中央部10a,12aの長手方向の両端から延在する一対の傾斜部10b,10c,12b,12cと、当該一対の傾斜部10b,10c,12b,12cの先端から延在する一対の先端部10d,10e,12d,12eと、から構成されており、平面視略V字状を有している。中央部10a,12aは、互いに平行に配置される。傾斜部10b,10cと傾斜部12b,12cとは、中央部10a,12aに対して互いに近づく方向の傾斜を有している。傾斜部10bと傾斜部12c、および、傾斜部10cと傾斜部12bとは、互いに平行に配置される。先端部10d,10eおよび先端部,12d,12eは、それぞれ中央部10aおよび中央部12aに平行に配置される。先端部10d,10eは、同一平面上において互いに離れる方向に延在している。また、先端部12d,12eは、同一平面上において互いに離れる方向に延在している。底壁14は、図3ないし図5に示すように、中央部10a,12aを接続する。底壁14は、図4および図5に示すように、ストッパー壁14aを有している。ストッパー壁14aは、底壁14に対して略90度の交差角を有している。ストッパー壁14aは、底壁14の縁部うち傾斜部10b,12bおよび先端部10d,12d側の縁部に配置されている。換言すれば、ストッパー壁14aは、傾斜部10b,12bおよび先端部10d,12d側に配置された縁部の一部が底壁14に対して略90度折り曲げられた部分であると言うことができる。
【0033】
こうして構成された支持フレーム2は、例えば、鋼板をプレス加工することにより成形することができる。具体的には、まず、一対の支持壁10,12に相当する部分と、底壁14に相当する部分と、を有するH字状のプレートを鋼板から打ち抜く。次に、当該H字状のプレートのうち一対の支持壁10,12に相当する部分を底壁14に相当する部分に対して90度に折り曲げる。続いて、一対の支持壁10,12に相当する部分を略V字状に折り曲げる。これにより、一対の支持壁10,12に相当する部分に、一対の傾斜部10b,10c,12b,12cおよび一対の先端部10d,10e,12d,12eを成形することができる。最後に、底壁14の縁部のうち傾斜部10b,12bおよび先端部10d,12d側に配置された縁部の一部を一対の支持壁10,12と同方向に90度に折り曲げる。これにより、支持フレーム2の成形が完了する。
【0034】
支持ローラ4,6は、図6に示すように、互いに平行となるように、ガイドピン5,7を介して支持フレーム2に回転可能に支持されている。ガイドピン5は、支持フレーム2の先端部10d,12d間に配置され、ガイドピン7は、先端部10e,12e間に、ガイドピン5と平行となるように配置されている。換言すれば、支持ローラ4は、支持フレーム2の先端部10d,12d間に配置され、支持ローラ6は、先端部10e,12e間に配置されていると言うことができる。支持ローラ4,6は、本発明における「第1支持軸」および「第2支持軸」に対応する実施構成の一例である。
【0035】
回転カム機構20は、図7および図8に示すように、回転ピン22と、当該回転ピン22を介して支持フレーム2に回転可能に支持された回転フレーム24と、当該回転フレーム24に回転可能に支持された支持ローラ26と、支持フレーム2および回転フレーム24間に配置された一対の捩りコイルバネTspr1,Tspr2と、を備えている。
【0036】
回転ピン22は、図7および図8に示すように、支持フレーム2の中央部10a,12a間に配置されており、支持フレーム2に回転可能に支持されている。また、回転ピン22は、図9に示すように、ガイドピン5,7(支持ローラ4,6)間において、当該ガイドピン5,7(支持ローラ4,6)に平行となるように配置されている。ここで、ガイドピン5,7間とは、図9に示すように、張力測定装置1をガイドピン5,7(支持ローラ4,6)および回転ピン22の軸線方向の一方側から見たときの仮想投影面上におけるガイドピン5,7(支持ローラ4,6)の投影の中心Cg1,Cg2を通る仮想直線VLに直交すると共に、ガイドピン5(支持ローラ4)の投影に接する一対の第1仮想接線VTL1,VTL2およびガイドピン7(支持ローラ6)の投影に接する一対の第2仮想接線VTL3,VTL4のうち、互いの距離が最も遠い外側の第1仮想接線VTL1および第2仮想接線VTL3間の領域Rとして規定される。回転ピン22は、本発明における「第3支持軸」に対応する実施構成の一例である。
【0037】
回転フレーム24は、図10および図11に示すように、一対の支持壁24a,24bと、当該一対の支持壁24a,24bを連結する連結壁24cと、を有している。一対の支持壁24a,24bは、連結壁24cに対して略90度の角度を有している。一対の支持壁24a,24bは、ストッパー壁14aに当接可能な当接部29a,29bを有している。また、一対の支持壁24a,24bは、当該一対の支持壁24a,24bに対して略90度の角度をもって折り曲げられた折曲部25a,25bを有している。折曲部25a,25bは、互いに遠ざかる方向に折り曲げられている。折曲部25a,25bは、平面視略長方形状(図11における矢印Z方向から見た形状が略長方形状)を有している。そして、折曲部25a,25bの長手方向の一端部に指示針30a,30bを有すると共に、折曲部25a,25bの長手方向の他端部と支持壁24a,24bとの間に凹部31a,31bを有している。指示針30a,30bは、折曲部25a,25bに関して支持壁24a,24b側とは反対側に向かって折り曲げられている。換言すれば、指示針30a,30bは、先端に向かうに伴い支持壁24a,24bから遠ざかる方向の傾斜角を有していると言うことができる。このように、回転フレーム24に指示針30a,30bに一体にされているため、回転フレーム24の回転に伴って、指示針30a,30bを作動(回転)させることができる。この結果、指示針30a,30bとして専用の部品を用いる必要がないため、部品点数の削減を図ることができる。当接部29a,29bは、本発明における「ストッパー」に対応する実施構成の一例である。
【0038】
こうして構成された回転フレーム24は、例えば、鋼板をプレス加工することにより成形することができる。具体的には、まず、一対の支持壁24a,24bに相当する部分と、連結壁24cに相当する部分と、を有する略C字状のプレートを鋼板から打ち抜く。次に、当該略C字状のプレートのうち一対の支持壁24a,24bに相当する部分を連結壁24cに相当する部分に対して90度に折り曲げる。続いて、一対の支持壁24a,24bに相当する部分のうち折曲部25a,25bに相当する部分を一対の支持壁24a,24bに相当する部分に対して90度に折り曲げる。最後に、折曲部25a,25bに相当する部分のうち指示針30a,30bに相当する部分を折曲部25a,25bに相当する部分に対して所定の角度をもって傾斜状に折り曲げる。これにより、回転フレーム24の成形が完了する。
【0039】
支持ローラ26は、図6および図9に示すように、ガイドピン27を介して回転フレーム24に回転可能に支持されている。ガイドピン27は、図12に示すように、ガイドピン5,7(支持ローラ4,6)や回転ピン22に平行となるように配置されている。また、ガイドピン27は、回転ピン22の回転軸線22aから所定距離rの位置に回転軸線27aを有している(図12参照)。換言すれば、支持ローラ26は、回転ピン22の回転軸線22aから所定距離rの位置に回転軸線26aを有していると言うこともできる(図12参照)。支持ローラ26は、本発明における「第4支持軸」に対応する実施構成の一例である。
【0040】
捩りコイルバネTspr1,Tspr2は、図13に示すように、略円筒形状のコイル部80a,81aと、当該コイル部80a,81aの両端に一体にされた直線状の腕部80b,80c,81b,81cと、を有している。捩りコイルバネTspr1,Tspr2は、コイルの巻き方向が異なる点を除いて基本的には同一の構成を有している。具体的には、捩りコイルバネTspr1は、図13(a)に示すように、コイルの巻き方向が腕部80bから見て時計回りとなっており、捩りコイルバネTspr2は、図13(b)に示すように、コイルの巻き方向が腕部81bから見て反時計回りとなっている。捩りコイルバネTspr1,Tspr2は、本発明における「弾性体」および「捩りコイルバネ」に対応する実施構成の一例である。また、コイル部80a,81aは、本発明における「コイル部」に対応し、腕部80b,81bは、本発明における「第2腕部」に対応し、腕部80c,81cは、本発明における「第1腕部」に対応する実施構成の一例である。
【0041】
目盛盤8は、図14および図15に示すように、荷締ベルトBLTの張力を示す目盛が記載された目盛部8aと、支持フレーム2への取付部8b,8bと、を有している。目盛部8aは、円筒形状の一部である部分円筒形状を有している。目盛部8aの曲面部(部分円筒形の側面に相当する部分)9は、円周方向に沿って延在する貫通開口9aを有している。当該貫通開口9aの延在方向に沿う縁部に目盛が記載されている。取付部8b,8bは、目盛部8aの円周方向の両端部において、当該目盛部8aに一体にされている。また、取付部8b,8bは、図14ないし図16に示すように、それぞれ支持フレーム2の傾斜部10b,10c,12b,12cに係合可能な一対の係合切欠き11,11を有している。一対の係合切欠き11,11は、図15の底面図に示すように、貫通開口9aの延在方向(図15の左右方向)に対して所定の傾斜角度を有している。当該傾斜角度は、傾斜部10b,10c,12b,12cの中央部10a,12aに対する傾斜角度とほぼ同じに設定されている。
【0042】
次に、こうして構成された張力測定装置1の組付け方法について説明する。まず、支持フレーム2の先端部10d,12d間にガイドピン5を介して支持ローラ4に回転可能に支持すると共に、支持フレーム2の先端部10d,12d間にガイドピン7を介して支持ローラ6を回転可能に支持する(図7図8および図12参照)。続いて、回転フレーム24にガイドピン27を介して支持ローラ26を回転可能に支持する(図12参照)。そして、支持フレーム2の中央部10a,12a間に中央部12a側から順に、コイル部81a内に円筒カラー28が挿通された状態の捩りコイルバネTspr2、支持ローラ6を回転可能に支持した状態の回転フレーム24、コイル部80a内に円筒カラー28が挿通された状態の捩りコイルバネTspr1を配置すると共に(図7および図8参照)、中央部12a側から中央部10aまで回転ピン22を挿通することで、コイルバネTspr2,回転フレーム24およびコイルバネTspr1を支持フレーム2に対して回転可能に支持する(図7および図8参照)。
【0043】
このとき、回転フレーム24は、当接部29a,29bがストッパー壁14aに当接された状態となっている(図17および図18参照)。また、捩りコイルバネTspr1,Tspr2は、腕部80b,81bが回転フレーム24の凹部31a,31bに係合されると共に、腕部80b,81bが支持フレーム2の底壁14に当接した状態となっている(図8および図17参照)。即ち、捩りコイルバネTspr1,Tspr2は、回転フレーム24と支持フレーム2との間で圧縮状態となっている。これにより、回転フレーム24は、捩りコイルバネTspr1,Tspr2のバネ力(復元力)を受けて第1回転方向Dr1(図17における反時計回りの方向)に付勢された状態となっている。なお、当該捩りコイルバネTspr1,Tspr2のバネ力によって、張力測定装置1を組付けた状態(以下、「初期状態」という。)においては、当接部29a,29bのストッパー壁14aへの当接が維持される。換言すれば、当接部29a,29bのストッパー壁14aへの当接によって、回転フレーム24の第1回転方向Dr1の回転が規制されていると言うこともできる。
【0044】
そして、最後に、支持フレーム2の傾斜部10b,10c,12b,12cに係合切欠き11,11が係合するように、目盛盤8,8を支持フレーム2に取り付けることで(図1および図18参照)、張力測定装置1の組付けが完了する。このとき、指示針30a,30bは、貫通開口9a,9a内に配置されている。
【0045】
次に、張力測定装置1の動作、特に、張力測定の際の動作について説明する。まず、図19に示すように、支持ローラ4,6と、支持ローラ26と、によって荷締ベルトBLTが挟み込まれるように、当該荷締ベルトBLTを支持ローラ4,6および支持ローラ26に掛け渡すことによって、張力測定装置1を荷締ベルトBLTに取り付ける。このように、張力測定装置1を荷締ベルトBLTに取り付けた状態で、荷締ベルトBLTを締め付けて行くことで、図示しない荷の固縛を行う。
【0046】
張力測定装置1の荷締ベルトBLTへの取り付け完了状態から荷締ベルトBLTを締め付けていくと、荷締ベルトBLTの張力Tが支持ローラ26を介して回転フレーム24を回転させる力(捩りコイルバネTspr1,Tspr2を変形させる力、以下、「バネ力F」という、図20参照)となって回転フレーム24に作用する。これにより、回転フレーム24は、捩りコイルバネTspr1,Tspr2のバネ力Fに抗して、第1回転方向Dr1とは反対方向である第2回転方向Dr2(図19における時計回り方向)に回転する。このとき、指示針30a,30bが目盛盤8,8の貫通開口9a,9a内を当該貫通開口9a,9aの延在方向に沿って移動するため、指示針30a,30bの位置に記された目盛を確認することで、荷締ベルトBLTの締付力を確認することができる。
【0047】
ここで、荷締ベルトBLTの張力Tは、図19および図20に示すように、荷締ベルトBLTの張力Tの合力をRf、支持ローラ4および支持ローラ26間の荷締ベルトBLTの仮想直線VLに対する傾斜角度(以下、「屈曲角」という。)をθa、支持ローラ6および支持ローラ26間の荷締ベルトBLTの仮想直線VLに対する傾斜角度(以下、「屈曲角」という。)をθbとしたとき、次式(1)で、求めることができる。なお、合成力Rfは、捩りコイルバネTspr1,Tspr2を圧縮方向(第1回転方向Dr1とは反対方向である第2回転方向Dr2、図20の時計回りの方向)へ変形させる力であるバネ力をF、合成力Rfの作用方向D1とバネ力Fの作用方向D2との挟角をθeとしたとき、次式(2)で求めることができる。
【0048】
(数1)
T=[Rf/{2・{1-cos(θa+θb)}}]1/2・・・(1)
Rf=F/cosθe・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
【0049】
そして、Cf=[1/{2・cosθe・{1-cos(θa+θb)}}]1/2とすると、式(1)および式(2)より、張力Tは、さらに次式(3)で表すことができる。
【0050】
(数2)
T=Cf・F・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
なお、Cfは、バネ力Fを張力Tに変換するための係数である。
【0051】
ここで、屈曲角θa,θbは、張力Tの増加に伴って、その値が減少(値0に近づく)するため、値1から各屈曲角の和の余弦を減じたもの(1-cos(θa+θb))は、張力Tの増加に伴って、その値が減少(値0に近づく)する。一方、挟角θeは、張力Tの増加に伴って、その値が減少(値0に近づく)するため、挟角θeの余弦は、張力Tの増加に伴って、その値が増加(値1に近づく)する。これにより、値1から各屈曲角の和の余弦を減じたもの(1-cos(θa+θb))と、挟角θeの余弦と、の積の値を、屈曲角θa,θbの大きさ(換言すれば、支持ローラ26の位置(支持ローラ26の回転ピン22を中心とする回転による回転角度))に依らずに、ほぼ一定にすることが可能となる。即ち、本実施の形態に係る張力測定装置1によれば、図21に示すように、屈曲角θa,θbの大きさ(換言すれば、支持ローラ26の位置(支持ローラ26の回転ピン22を中心とする回転による回転角度))に依らずに変換係数Cfをほぼ一定にすることが可能となる。この結果、本実施の形態に係る張力測定装置1によれば、図22に示すように、荷締ベルトBLTの張力Tをバネ力Fに比例させることができる。ここで、図21および図22における「●」は、それぞれ屈曲角θaに対する変換係数Cfの変化および張力Tの変化を示し、図21および図22における「▲」は、それぞれ屈曲角θbに対する変換係数Cfの変化および張力Tの変化を示す。
【0052】
このように、本実施の形態に係る張力測定装置1によれば、屈曲角θa,θbの大きさ(換言すれば、支持ローラ26の位置(支持ローラ26の回転ピン22を中心とする回転による回転角度))に依らずに、変換係数Cfをほぼ一定にすることができ、したがって、荷締ベルトBLTの張力Tをバネ力Fに比例させることができるため、目盛盤8,8の目盛間隔を均一に表示することができる。この結果、目盛の読み取り易さを向上することができ、読み取り精度の向上を図ることができる。
【0053】
また、本実施の形態に係る張力測定装置1によれば、支持ローラ4,6を回転可能に支持フレーム2に支持すると共に、支持ローラ26を回転可能に回転フレーム24に支持したため、荷締ベルトBLTと支持ローラ4,6,26との間に生じる摩擦抵抗を低減することができる。これにより、当該摩擦抵抗に起因して、荷締ベルトBLTの張力Tが適正に測定されない事態を防止することができる。また、荷締ベルトBLTの張力Tを増加させる場合の張力変化と、当該張力Tを減少させる場合の張力変化と、で異なる履歴を示す所謂ヒステリシスの影響を抑制することができる。
【0054】
なお、図21および図22における「×」は、支持ローラ26に相当する支持ローラが直線移動(上下方向移動)するタイプの従来の張力測定装置における屈曲角θに対する変換係数Cf(Cf=1/(2・sinθ))の変化および張力T(T=Cf・F)の変化を示している。図21に示すように、従来の張力測定装置では、変換係数Cfが屈曲角θに反比例しており、したがって、図22に示すように、張力Tも屈曲角θに反比例する。このため、目盛盤の目盛間隔を均一に表示することができず、目盛を読み取り難い。
【0055】
本実施の形態では、支持ローラ4,6,26の全てを回転可能に支持する構成としたが、これに限らない。例えば、支持ローラ4,6,26のいずれか一つ、あるいは、二つを回転可能に支持すると共に残りを回転不能に支持する構成や、支持ローラ4,6,26の全てを回転不能に支持する構成としても良い。
【0056】
本実施の形態では、支持ローラ4,6,26を、それぞれガイドピン5,7,27に直接支持したが、これに限らない。例えば、図23に例示する変形例の張力測定装置100に示すように、支持ローラ104,106,126を、それぞれ軸受Brg1,Brg1,Brg1を介してガイドピン5,7,27に間接的に支持しても良い。当該構成によれば、荷締ベルトBLTと支持ローラ4,6,26との間に生じる摩擦抵抗に起因して、荷締ベルトBLTの張力Tが適正に測定されない事態をより効果的に防止することができる。また、荷締ベルトBLTの張力Tを測定する際に生ずるヒステリシスの影響をより効果的に抑制することができる。支持ローラ104,106,126は、それぞれ本発明における「第1支持軸」、「第2支持軸」および「第4支持軸」に対応する実施構成の一例である。また、支持ローラ104,106を指示する軸受Brg1,Brg1は、本発明における「第1軸受」に対応し、支持ローラ126を支持する軸受Brg1は、本発明における「第2軸受」に対応する実施構成の一例である。
【0057】
本実施の形態では、回転ピン22を支持フレーム2に直接支持したが、これに限らない。例えば、図24に例示する変形例の張力測定装置200に示すように、回転ピン22を軸受Brg2,Brg2を介して支持フレーム2に間接的に支持しても良い。当該構成によれば、荷締ベルトBLTと支持ローラ4,6,26との間に生じる摩擦抵抗に起因して、荷締ベルトBLTの張力Tが適正に測定されない事態をより効果的に防止することができる。また、荷締ベルトBLTの張力Tを増加させる場合(荷締ベルトBLTを締め付ける場合)と、荷締ベルトBLTの張力Tを減少させる場合(荷締ベルトBLTの締め付けを緩める場合)と、で異なる張力Tの履歴を示す現象であるヒステリシスの影響をより効果的に抑制することができる。
【0058】
本実施の形態では、支持ローラ4,6を回転可能に支持フレーム2に支持すると共に、支持ローラ26を回転可能に回転フレーム24に支持することで、荷締ベルトBLTの張力Tを測定する際に生ずるヒステリシスの影響を抑制したが、これに限らない。例えば、図25および図26に例示する変形例の張力測定装置300に示すように、振動装置350によって装置全体を振動させることで、ヒステリシスの影響を抑制する構成や、図27および図28に例示する変形例の張力測定装置400に示すように、帯状鋼板460を介して荷締ベルトBLTを張力測定装置400に取り付けることで、ヒステリシスの影響を抑制する構成としても良い。
【0059】
本実施の形態では、荷締ベルトBLTの張力を示す目盛を指し示すために、指示針30a,30bを回転フレーム24に一体に設けたが、これに限らない。例えば、荷締ベルトBLTの張力を示す目盛を指し示すために、捩じりコイルバネTspr1,Tspr2の腕部80b,81bを用いる構成としても良い。当該構成によれば、荷締ベルトBLTの張力を示す目盛を指し示すために専用の部品や部位を設ける必要がないため、部品点数の低減や装置の簡素化を図ることができる。
【0060】
変形例の張力測定装置300は、図25および図26に示すように、振動装置350を備える点を除いて本実施の形態に係る張力測定装置1と同一の構成を有している。したがって、変形例の張力測定装置300の構成のうち本実施の形態の張力測定装置1の構成と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0061】
振動装置350としては、例えば、図示しないモータと、当該モータの回転軸の先端に偏心させた状態で取り付けられた重り(図示せず)と、を有する構成が考えられる。振動装置350は、モータの回転軸を回転させることで振動を発生する。振動装置350は、図25および図26に示すように、支持フレーム2の底壁14に固定されている。振動装置350は、本発明における「振動体」に対応する実施構成の一例である。
【0062】
変形例の張力測定装置300によれば、荷締ベルトBLTの締め付けの際に、振動装置350を作動させることで、荷締ベルトBLTと支持ローラ4,6,26との間に生じる摩擦抵抗を低減することができる。これにより、当該摩擦抵抗に起因して、荷締ベルトBLTの張力Tが適正に測定されない事態を防止することができると共に、ヒステリシスの影響を抑制することができる。
【0063】
変形例の張力測定装置400は、図27および図28に示すように、帯状鋼板460を備える点を除いて本実施の形態に係る張力測定装置1と同一の構成を有している。したがって、変形例の張力測定装置400の構成のうち本実施の形態の張力測定装置1の構成と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0064】
帯状鋼板460は、図27および図28に示すように、長尺状の帯状部462と、当該帯状部462の長手方向の両端に一体に接続されたバックル464,464と、を有している。帯状部462は、荷締ベルトBLTの長手方向のヤング率に比べて高いヤング率を長手方向に有している。バックル464,464は、荷締ベルトBLTを接続可能である。帯状鋼板460は、本発明における「帯状部材」に対応し、バックル464は、本発明における「接続部」に対応する実施構成の一例である。
【0065】
変形例の張力測定装置400では、図27および図28に示すように、支持ローラ4,6と、支持ローラ26と、によって帯状鋼板460の帯状部462が挟み込まれるように、当該帯状部462を支持ローラ4,6および支持ローラ26に掛け渡すと共に、当該帯状鋼板460のバックル464,464に荷締ベルトBLTを取り付けた状態で、荷締ベルトBLTを締め付けて行くことで、荷締ベルトBLTの張力Tの測定を行う。
【0066】
変形例の張力測定装置400によれば、支持ローラ4,6および支持ローラ26に掛け渡された帯状鋼板460の長手方向のヤング率が、荷締ベルトBLTの長手方向のヤング率よりも高いため、荷締ベルトBLTの張力Tを増加させる(荷締ベルトBLTを締め付ける)ことによって生ずる長手方向の変形態様(例えば、変形量(歪))と、荷締ベルトBLTの張力Tを減少させる(荷締ベルトBLTの締め付けを緩める)ことによって生ずる長手方向の変形態様(例えば、変形量(歪))と、が異なることを抑制することができる。即ち、荷締ベルトBLTの張力Tを増加させる場合(荷締ベルトBLTを締め付ける場合)と、荷締ベルトBLTの張力Tを減少させる場合(荷締ベルトBLTの締め付けを緩める場合)と、で異なる張力Tの履歴を示す現象であるヒステリシスの影響を抑制することができる。
【0067】
本実施の形態では、回転フレーム24に一体にした指示針30a,30bが、回転フレーム24と一体に回転する構成としたが、これに限らない。例えば、図29ないし図32に例示する変形例の張力測定装置500に示すように、指示針530が直線状に移動する構成としても良い。
【0068】
変形例の張力測定装置500は、図30および図31に示すように、支持フレーム2を支持フレーム502に替えた点、捩りコイルバネTspr1,Tspr2をバネ機構570に替えた点、指示針30a,30bを指示針530に替えた点、および、目盛盤8,8を目盛盤508に替えた点を除いて、本実施の形態に係る張力測定装置1と同一の構成を有している。したがって、変形例の張力測定装置500の構成のうち本実施の形態の張力測定装置1の構成と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0069】
支持フレーム502は、底壁14を底壁514に替えた点を除いて本実施の形態に係る張力測定装置1の支持フレーム2と同一の構成を有している。したがって、支持フレーム502の構成のうち本実施の形態の支持フレーム2の構成と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0070】
底壁514は、図31に示すように、支持壁10,12を接続する主部514aと、当該主部514aに一体にされたストッパー壁14aと、主部514aの長手方向(図31の上下方向)に直交する方向(図31の左右方向)延出する延出部511と、を有している。延出部511は、図31に示すように、底壁514の長手方向(図31の上下方向)のうち支持壁10側の端部に一体にされており、支持ローラ6が配置される側に向かって延出している。また、延出部511は、図29ないし図32に示すように、バネ機構570の後述するコイルスプリングCsprを係止するための係止部511aを有している。
【0071】
バネ機構570は、図30ないし図32に示すように、ワイヤガイド572と、当該ワイヤガイド572に一部が巻き掛けられたワイヤWと、当該ワイヤWの先端に連結されたコイルスプリングCsprと、を有している。
【0072】
ワイヤガイド572は、図29および図32に示すように、回転フレーム24の支持壁24aに一体にされている。即ち、ワイヤガイド572は、回転フレーム24と一体回転する。ワイヤガイド572は、図32に示すように、円筒環部574と、当該円筒環部574を支持壁24aに固定するための固定部575と、を有している。円筒環部574は、半円状を有している。また、円筒環部574は、ワイヤ係止部574aと、ガイド溝574bと、を有している。ワイヤ係止部574aは、円筒環部574の円周方向の一端に配置されている。ガイド溝574bは、円筒環部574の外周に円周方向に沿って配置されている。固定部575は、図32に示すように、円筒環部574の円周方向の一端において、当該円筒環部574と一体にされている。固定部575は、円筒環部574の中心が回転ピン22の回転軸線22aと同軸線上となるように円筒環部574を支持壁24aに固定する。また、こうして構成されたワイヤガイド572は、図30ないし図32に示すように、回転フレーム24が支持フレーム502に支持された際、円筒環部574が底壁514を下側(底壁514に関して回転カム機構20が配置される側とは反対側)から跨ぐように配置される。ワイヤガイド572は、本発明における「巻取りガイド」に対応する実施構成の一例である。また、円筒環部574は、本発明における「円弧部」に対応する実施構成の一例である。
【0073】
ワイヤWは、図29および図32に示すように、一端に円筒形の止部Wstpと、他端にコイルスプリングCsprを係止可能なフックWfkと、を有している。
【0074】
ワイヤWは、止部Wstpが円筒環部574のワイヤ係止部574aに係合されると共に一部がガイド溝574bに巻き掛けられた後、ガイド溝574bの接線方向に直線状に引き出される。そして、一端が係止部511aに係止されたコイルスプリングCsprの他端にフックWfkが係合される。なお、ワイヤWが設置された状態においては、コイルスプリングCsprは、若干引張り状態、即ち、圧縮方向への復元力を持った状態となっている。これにより、回転フレーム24は、第1回転方向Dr1に付勢された状態となる(図32参照)。なお、回転フレーム24の第1回転方向Dr1への回転は、当接部29a,29bのストッパー壁14aへの当接によって規制されている。ワイヤWのうちガイド溝574bに巻き掛けられた部分は、本発明における「直線部」に対応し、ワイヤWのうちガイド溝574bの接線方向に直線状に引き出された部分は、本発明における「直線部」に対応する実施構成の一例である。
【0075】
指示針530は、図29ないし図32に示すように、ワイヤWに一体にされている。指示針530は、フックWfkに近接した位置に配置されている。
【0076】
目盛盤508は、図30および図31に示すように、延出部511と同方向に延在するように、底壁514に一体にされている。目盛盤508は、ガイド溝574bの接線方向に直線状に引き出されたワイヤWに近接した位置において、当該ワイヤWとほぼ平行となるように配置される。
【0077】
こうして構成された変形例の張力測定装置500においても、荷締ベルトBLTを締め付けていくと、荷締ベルトBLTの張力Tが支持ローラ26を介して回転フレーム24を回転させる力となって回転フレーム24に作用する。これにより、回転フレーム24は、ワイヤガイド572と一体で第2回転方向Dr2(図32における時計回り方向)に回転する。このとき、ワイヤガイド572の回転によってワイヤWが巻き取り方向に引っ張られることで、コイルスプリングCsprが引っ張られる。即ち、回転フレーム24は、コイルスプリングCsprのバネ力Fに抗して第2回転方向Dr2に回転する。ここで、ワイヤWの巻き取りに伴って、指示針530が目盛盤508の延出方向に沿って直線的に移動するため、指示針530の位置に記された目盛を確認することで、荷締ベルトBLTの締付力を確認することができる。
【0078】
なお、変形例の張力測定装置500においても、本実施の形態に係る張力測定装置1と同様、屈曲角θa,θbの大きさ(換言すれば、支持ローラ26の位置(支持ローラ26の回転ピン22を中心とする回転による回転角度))に依らずに、変換係数Cfをほぼ一定にすることができ、したがって、荷締ベルトBLTの張力Tをバネ力Fに比例させることができるため、目盛盤508の目盛間隔を均一に表示することができる。この結果、目盛の読み取り易さを向上することができ、読み取り精度の向上を図ることができる。
【0079】
本実施の形態および上述した変形例では、捩りコイルバネTspr1,Tspr2やコイルスプリングCsprのバネ力F(復元力)によって、回転フレーム24を第1回転方向Dr1に付勢したが、これに限らない。例えば、図33ないし図36に例示する変形例の張力測定装置600,700,800に示すように、ゴム686,786,878の弾性力F(復元力)によって、回転フレーム24を第1回転方向Dr1に付勢する構成としても良い。
【0080】
変形例の張力測定装置600,700は、図33および図34に示すように、コイルスプリングCsprをゴム体680,780に替えた点を除いて、変形例の張力測定装置500と同一の構成を有している。したがって、変形例の張力測定装置600,700の構成のうち変形例の張力測定装置500の構成と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0081】
ゴム体680は、図33に示すように、ワイヤWのフックWfkに係合される係合部682と、係止部511aに係合可能な係合部684と、当該係合部682,684間に配置されたウレタンゴムなどのゴム686と、を有している。ゴム686は、係合部682,684に一体にされている。ゴム体680は、ワイヤWが設置された状態においては、若干引張り状態、即ち、圧縮方向への復元力を持った状態となっている。これにより、回転フレーム24は、第1回転方向Dr1に付勢された状態となる(図33参照)。なお、回転フレーム24の第1回転方向Dr1への回転は、当接部29a,29bのストッパー壁14aへの当接によって規制されている。ゴム686は、本発明における「弾性体」に対応する実施構成の一例である。
【0082】
ゴム体780は、図34に示すように、ピストン782と、シリンダ784と、シリンダ784内に収容されたウレタンゴムなどのゴム786と、を有している。
【0083】
ピストン782は、図34に示すように、係合部782aと、当該係合部782aに一体にされた軸部782bと、当該軸部782bの先端(係合部782aが接合された端部とは反対側の端部)に一体にされたストッパー部782cと、を有している。係合部782aは、ワイヤWのフックWfkに係合される。軸部782bおよびストッパー部782cは、シリンダ784内に収容可能に配置される。
【0084】
シリンダ784は、図34に示すように、係合部784aを有している。係合部784aは、係止部511aに係合される。
【0085】
ゴム786は、図34に示すように、円筒形状を有しており、ストッパー部782cと,シリンダ784のうち係合部784aが配置された側とは反対側の端部と,の間に配置される。なお、ゴム786の内孔には、軸部782bが挿通される。ゴム786は、本発明における「弾性体」に対応する実施構成の一例である。
【0086】
こうして構成されたゴム体780は、ワイヤWが設置された状態においては、若干圧縮状態、即ち、伸長方向への復元力を持った状態となっている。これにより、回転フレーム24は、第1回転方向Dr1に付勢された状態となる(図34参照)。なお、回転フレーム24の第1回転方向Dr1への回転は、当接部29a,29bのストッパー壁14aへの当接によって規制されている。
【0087】
変形例の張力測定装置800は、図35および図36に示すように、支持フレーム2を支持フレーム802に替えた点、および、捩りコイルバネTspr1,Tspr2を付勢機構870に替えた点を除いて、本実施の形態に係る張力測定装置1と同一の構成を有している。したがって、変形例の張力測定装置800の構成のうち本実施の形態の張力測定装置1の構成と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0088】
支持フレーム502は、図35および図36に示すように、支持壁10,12の中央部10a,12aを中央部810a,812aに替えた点を除いて、本実施の形態に係る張力測定装置1の支持フレーム2と基本的には同一の構成を有している。中央部810a,812aは、付勢機構870の後述する支点軸872を回転可能に支持する支持片811,813を有している。支持片811,813は、底壁14に隣接する位置に配置されている。支持片811,813は、支持ローラ6側に向かって突出している。
【0089】
付勢機構870は、図36に示すように、支持片811,813に回転可能に支持された支点軸872と、当該支点軸872と一体回転可能に当該支点軸872に一体にされた揺動ギヤ874と、当該揺動ギヤ874と噛合うピニオンギヤ876と、底壁14と揺動ギヤ874との間に配置されたウレタンゴムなどのゴム878と、を有している。
【0090】
支点軸872は、図35および図36に示すように、ガイドピン5,7,27(支持ローラ4,6,26)や回転ピン22と平行に配置されている。揺動ギヤ874は、略扇形状を有しており、外周面に複数の歯を有している。揺動ギヤ874は、図36に示すように、一方の側部874aが底壁14に対向するように配置される。ピニオンギヤ876は、図示しない回転軸を有しており、当該回転軸を介して回転フレーム24の支持壁24aに回転可能に支持されている。ピニオンギヤ876の回転軸(図示せず)の軸線は、回転ピン22の回転軸線22aと同軸線上に配置されている。ゴム878は、底壁14に固定されると共に揺動ギヤ874の側部874aに固定される。なお、付勢機構870が設置された状態においては、ゴム878は、若干圧縮状態、即ち、第2回転方向Dr2への復元力を持った状態となっている。これにより、回転フレーム24は、揺動ギヤ874およびピニオンギヤ876を介して、第1回転方向Dr1に付勢された状態となる(図36参照)。なお、回転フレーム24の第1回転方向Dr1への回転は、当接部29a,29bのストッパー壁14aへの当接によって規制されている。ゴム878は、本発明における「弾性体」に対応する実施構成の一例である。
【0091】
こうして構成された変形例の張力測定装置600,700,800においても、本実施の形態に係る張力測定装置1と同様、屈曲角θa,θbの大きさ(換言すれば、支持ローラ26の位置(支持ローラ26の回転ピン22を中心とする回転による回転角度))に依らずに、変換係数Cfをほぼ一定にすることができ、したがって、荷締ベルトBLTの張力Tをバネ力Fに比例させることができるため、目盛盤8,8,508の目盛間隔を均一に表示することができる。この結果、目盛の読み取り易さを向上することができ、読み取り精度の向上を図ることができる。
【0092】
本実施形態および上述した変形例では、荷の固縛を行う荷締ベルトBLTの張力Tの測定に適用したが、これに限らない。例えば、張力測定装置1,100,200,300,400,500,600,700,800は、荷の固縛を行う荷締め鎖や、荷締ロープ、荷締ワイヤの張力Tの測定や、シートベルト、ファンベルト、コンベヤベルト、吊下げロープなとの張力Tの測定に適用しても良い。
【0093】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0094】
1 張力測定装置(張力測定装置)
2 支持フレーム(支持フレーム)
4 支持ローラ(第1支持軸)
5 ガイドピン
6 支持ローラ(第2支持軸)
7 ガイドピン
8 目盛盤(目盛盤)
8a 目盛部
8b 取付部
9 曲面部
9a 貫通開口
10 支持壁
10a 中央部
10b 傾斜部
10c 傾斜部
10d 先端部
10e 先端部
11 係合切欠き
12 支持壁
12a 中央部
12b 傾斜部
12c 傾斜部
12d 先端部
12e 先端部
14 底壁
14a ストッパー壁
20 回転カム機構
22 回転ピン(第3支持軸)
22a 回転軸線
24 回転フレーム(回転フレーム)
24a 支持壁
24b 支持壁
24c 連結壁
25a 折曲部
25b 折曲部
26 支持ローラ(第4支持軸)
26a 回転軸線
27 ガイドピン
27a 回転軸線
28 円筒カラー
29a 当接部(ストッパー)
29b 当接部(ストッパー)
30a 指示針(指示針)
30b 指示針(指示針)
31a 凹部
31b 凹部
80a コイル部(コイル部)
80b 腕部(第2腕部)
80c 腕部(第1腕部)
81a コイル部(コイル部)
81b 腕部(第2腕部)
81c 腕部(第1腕部)
100 張力測定装置(張力測定装置)
104 支持ローラ(第1支持軸)
106 支持ローラ(第2支持軸)
126 支持ローラ(第4支持軸)
200 張力測定装置(張力測定装置)
300 張力測定装置(張力測定装置)
350 振動装置(振動体)
400 張力測定装置(張力測定装置)
460 帯状鋼板(帯状部材)
464 バックル(接続部)
500 張力測定装置(張力測定装置)
502 支持フレーム
508 目盛盤
511 延出部
511a 係止部
514a 主部
530 指示針
570 バネ機構
572 ワイヤガイド(巻取りガイド)
574 円筒環部
574a ワイヤ係止部
574b ガイド溝
575 固定部
600 張力測定装置(張力測定装置)
680 ゴム体
682 係合部
684 係合部
686 ゴム(弾性体)
700 張力測定装置(張力測定装置)
780 ゴム体
782 ピストン
782a 係合部
782b 軸部
782c ストッパー部
784 シリンダ
784a 係合部
786 ゴム(弾性体)
800 張力測定装置(張力測定装置)
802 支持フレーム
810a 中央部
811 支持片
812a 中央部
813 支持片
870 付勢機構
872 支点軸
874 搖動ギヤ
874a 側部
876 ピニオンギヤ
878 ゴム(弾性体)
BLT 荷締ベルト(可撓性部材)
Tspr1 捩りコイルバネ(弾性体、捩りコイルバネ)
Tspr2 捩りコイルバネ(弾性体、捩りコイルバネ)
VL 仮想直線
VTL1 第1仮想接線
VTL2 第1仮想接線
VTL3 第2仮想接線
VTL4 第2仮想接線
Cg1 ガイドピン5(支持ローラ4)の投影の中心
Cg2 ガイドピン7(支持ローラ6)の投影の中心
R 領域
Dr1 第1回転方向(第1回転方向)
Dr2 第2回転方向(第2回転方向)
F バネ力
θa 屈曲角
θb 屈曲角
θe 挟角
D1 合成力Rfの作用方向
D2 バネ力Fの作用方向
T 張力
Cf 変換係数
Rf 合力
Brg1 軸受(第1軸受、第2軸受)
Brg2 軸受(第1軸受)
Cspr コイルスプリング(弾性体)
W ワイヤ(ワイヤ)
Wstp 止部
Wfk フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36