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特開2023-57684ドアロック制御装置、ドアロック制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057684
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】ドアロック制御装置、ドアロック制御方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 77/28 20140101AFI20230417BHJP
   E05B 81/74 20140101ALI20230417BHJP
   B60R 25/01 20130101ALI20230417BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20230417BHJP
   H02P 5/46 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
E05B77/28
E05B81/74
B60R25/01
B60R25/24
H02P5/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167294
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】日本電産モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】石神 貴識
(72)【発明者】
【氏名】荒貝 隆
(72)【発明者】
【氏名】北條 貴大
(72)【発明者】
【氏名】石崎 哲
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 裕仁
【テーマコード(参考)】
2E250
5H572
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB03
2E250HH01
2E250JJ03
2E250JJ12
2E250JJ48
2E250KK02
2E250LL01
2E250SS02
2E250SS09
5H572AA03
5H572DD01
5H572EE04
5H572HA05
(57)【要約】
【課題】ダブルロック動作の後にドアの解錠が不可能となるのを防止する。
【解決手段】ドアロック制御装置1は、ドアを施錠または解錠するロック部50と、施錠されたドアをダブルロック状態にするダブルロック部60とを制御する。制御部10は、携帯機2でロック操作が行われた場合は、ドアを施錠するためのロック信号を出力し、アンロック操作が行われた場合は、ドアを解錠するためのアンロック信号を出力する。また、制御部10は、携帯機2でダブルロック操作が行われた場合は、まず、ダブルロック状態を解除するためのダブルアンロック信号を出力して、ダブルロック状態の解除が可能か否かを判定する。そして、ダブルロック状態の解除が可能であれば、制御部10は、ドアをダブルロック状態にするためのダブルロック信号を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック信号に基づいてドアを施錠し、アンロック信号に基づいてドアを解錠するロック部と、ダブルロック信号に基づいてドアをダブルロック状態にし、ダブルアンロック信号に基づいてダブルロック状態を解除するダブルロック部と、を制御する制御部を備えたドアロック制御装置であって、
前記制御部は、
ドアを施錠するロック操作が行われた場合は、前記ロック信号を出力し、
ドアを解錠するアンロック操作が行われた場合は、前記アンロック信号を出力し、
ドアをダブルロック状態にするダブルロック操作が行われた場合は、まず、前記ダブルアンロック信号を出力して、ダブルロック状態の解除が可能か否かを判定し、解除が可能であれば前記ダブルロック信号を出力する、ことを特徴とするドアロック制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドアロック制御装置において、
前記制御部は、
前記ロック信号、前記アンロック信号、前記ダブルロック信号、および前記ダブルアンロック信号を出力する信号出力部と、
前記ダブルロック操作が行われて前記ダブルアンロック信号が出力された場合に、前記ダブルロック部に与えられる駆動電圧を検出する駆動電圧検出部と、を備え、
前記信号出力部は、
前記駆動電圧検出部で検出された前記駆動電圧が、ダブルロック状態の解除が可能な電圧であれば、前記ダブルロック信号を出力し、
前記駆動電圧検出部で検出された前記駆動電圧が、ダブルロック状態の解除が可能な電圧でなければ、前記ダブルロック信号を出力しない、ことを特徴とするドアロック制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のドアロック制御装置において、
前記ダブルロック部は、
モータと、
前記モータの正転または逆転と連動して、ドアをダブルロック状態にし、またはダブルロック状態を解除するダブルロック機構と、
前記モータに通電して、当該モータを正転または逆転させるリレーと、を備え、
前記制御部は、
前記ロック信号、前記アンロック信号、前記ダブルロック信号、および前記ダブルアンロック信号を出力する信号出力部と、
前記ダブルロック操作が行われて前記ダブルアンロック信号が出力された場合に、前記リレーの状態を検出するリレー状態検出部と、を備え、
前記信号出力部は、
前記リレー状態検出部で検出された前記リレーの状態が、ダブルロック状態の解除が可能な状態であれば、前記ダブルロック信号を出力し、
前記リレー状態検出部で検出された前記リレーの状態が、ダブルロック状態の解除が可能な状態でなければ、前記ダブルロック信号を出力しない、ことを特徴とするドアロック制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載のドアロック制御装置において、
前記ダブルロック部は、
モータと、
前記モータの正転または逆転と連動して、ドアをダブルロック状態にし、またはダブルロック状態を解除するダブルロック機構と、を備え、
前記制御部は、
前記ロック信号、前記アンロック信号、前記ダブルロック信号、およびダブルアンロック信号を出力する信号出力部と、
前記ダブルロック操作が行われて前記ダブルアンロック信号が出力された場合に、前記モータの状態を検出するモータ状態検出部と、を備え、
前記信号出力部は、
前記モータ状態検出部で検出された前記モータの状態が、ダブルロック状態の解除が可能な状態であれば、前記ダブルロック信号を出力し、
前記モータ状態検出部で検出された前記モータの状態が、ダブルロック状態の解除が可能な状態でなければ、前記ダブルロック信号を出力しない、ことを特徴とするドアロック制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のドアロック制御装置において、
前記ドアは、車両の各席のドアであり、
前記制御部は、
前記各席のドアの状態を判定するドア状態判定部を備え、
前記ドア状態判定部が全てのドアが閉じられていると判定したことを条件として、前記ダブルロック信号を出力する、ことを特徴とするドアロック制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載のドアロック制御装置において、
前記制御部は、
車両のエンジンの状態を判定するエンジン状態判定部をさらに備え、
前記ドア状態判定部が全てのドアが閉じられていると判定し、かつ、前記エンジン状態判定部がエンジンが始動していないと判定したことを条件として、前記ダブルロック信号を出力する、ことを特徴とするドアロック制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のドアロック制御装置において、
前記ロック部は、ドアに設けられたロック操作部の操作と連動して、ドアをロック状態またはアンロック状態にするロック機構を備え、
前記ダブルロック部は、前記ダブルロック信号に基づいて、前記ロック操作部と前記ロック機構とを切り離すことにより、前記ロック操作部によるロック状態の解除を禁止してドアをダブルロック状態にする、ことを特徴とするドアロック制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のドアロック制御装置において、
前記制御部は、ダブルロック状態の解除が不可能と判定した場合に、前記ダブルロック信号を出力せず、警報信号を出力する、ことを特徴とするドアロック制御装置。
【請求項9】
ロック信号に基づいてドアを施錠し、アンロック信号に基づいてドアを解錠するロック部と、ダブルロック信号に基づいてドアをダブルロック状態にし、ダブルアンロック信号に基づいてダブルロック状態を解除するダブルロック部と、を制御するドアロック制御方法であって、
ドアを施錠するロック操作が行われた場合に、前記ロック信号を出力する手順と、
ドアを解錠するアンロック操作が行われた場合に、前記アンロック信号を出力する手順と、
ドアをダブルロック状態にするダブルロック操作が行われた場合に、前記ダブルアンロック信号を出力して、ダブルロック状態の解除が可能か否かを判定する手順と、
ダブルロック状態の解除が可能と判定された場合に、前記ダブルロック信号を出力する手順と、を備えたことを特徴とするドアロック制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などのドアの施錠および解錠を制御する装置に関し、特に、防犯性を高めるためのダブルロック機能を備えたドアロック制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドアロック制御装置には、一般にロック機能とアンロック機能とが備わっている。ロック機能は、ドアを閉じた後にドアをロック状態にして施錠する機能であり、アンロック機能は、ドアを開ける際にドアをアンロック状態にして解錠する機能である。ドアを施錠する場合は、たとえばリモコン型の電子キーに設けられているロックスイッチを操作することにより、ロック機構がロック方向へ作動して、ドアがロック状態となる。また、ドアを解錠する場合は、電子キーに設けられているアンロックスイッチを操作することにより、ロック機構がアンロック方向へ作動して、ドアがアンロック状態となる。
【0003】
しかしながら、車両の防犯性の点からは、上記のようなロック機能だけでは不十分である。たとえば、悪意の第三者が、車両の外部から工具などを使って、ドアの内側にあるロックノブをアンロック側に操作すると、ドアのロック状態が解除されてしまい、第三者はドアを開けて車内に侵入することが可能となる。そこで、このような不正行為を防止するために、ロック機能に加えて、ダブルロック機能を備えた車両が登場している。
【0004】
ダブルロック機能とは、ロック機構によりドアを施錠した後、ロックノブの操作力がロック機構に伝達されないようにして、ロックノブによるロック状態の解除を不可能にする機能である(ダブルロックはスーパーロックとも呼ばれるが、本明細書ではダブルロックの呼称を用いる)。このダブルロック機能によれば、ドアの内側のロックノブが車外から操作されてアンロック側に切り替わったとしても、ロック機構がロックノブと連動せず、ロック状態が解除されないので、第三者による不正なドアの解錠を防止することができる。
【0005】
特許文献1や特許文献2には、ダブルロック機能を備えたドアロック制御装置が示されている。また、特許文献3には、モータの正転と逆転により、制御対象をロック状態とアンロック状態に切り換える機構とその制御回路が示されている。特許文献4には、モータの回転方向を反転できなくなる事態を回避するため、モータ駆動前にモータを逆方向へ回転させ、異常発生がない場合のみモータを駆動するようにしたモータ制御装置が示されている。
【0006】
ところで、ダブルロック機能は、不正行為によるドアのロック解除を防止する上で有効であるが、その一方で、ドアロック制御装置に故障が発生していると、ダブルロック動作の後にドアを解錠できなくなる事態が起こりうる。たとえば、モータの正転によりダブルロック状態へ移行し、モータの逆転によりダブルロック状態が解除されるドアロック制御装置において、回路の故障などが原因で、モータは正転するが逆転しない場合、ダブルロック動作後は、ダブルロック状態が維持されたままとなる。このため、ダブルロック状態を解除してドアを解錠することが不可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】再公表特許WO2017/104024
【特許文献2】特開2008-285824号公報
【特許文献3】特開2005-185015号公報
【特許文献4】特開2013-162701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ダブルロック動作の後にドアの解錠が不可能となるのを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るドアロック制御装置は、ロック信号に基づいてドアを施錠し、アンロック信号に基づいてドアを解錠するロック部と、ダブルロック信号に基づいてドアをダブルロック状態にし、ダブルアンロック信号に基づいてダブルロック状態を解除するダブルロック部と、を制御する制御部を備えている。制御部は、ドアを施錠するロック操作が行われた場合はロック信号を出力し、ドアを解錠するアンロック操作が行われた場合はアンロック信号を出力する。また、制御部は、ドアをダブルロック状態にするダブルロック操作が行われた場合は、まず、ダブルアンロック信号を出力して、ダブルロック状態の解除が可能か否かを判定し、解除が可能であればダブルロック信号を出力する。
【0010】
上記のようなドアロック制御装置によると、ダブルロック操作が行われた場合に、制御部は、直ちにダブルロック動作を実行するのではなく、まず、ダブルロック状態を解除するためのダブルアンロック信号を出力して、ダブルロック状態の解除が可能か否かを判定する。そして、ダブルロック状態の解除が可能な場合のみ、制御部からダブルロック信号が出力される。このため、ダブルロック状態の解除が不可能な場合は、制御部からダブルロック信号が出力されないので、ダブルロック動作の後にドアの解錠が不可能となる事態を回避することができる。
【0011】
本発明において、制御部は、ロック信号、アンロック信号、ダブルロック信号、およびダブルアンロック信号を出力する信号出力部と、ダブルロック操作が行われてダブルアンロック信号が出力された場合に、ダブルロック部に与えられる駆動電圧を検出する駆動電圧検出部とを備えていてもよい。この場合、信号出力部は、駆動電圧検出部で検出された駆動電圧が、ダブルロック状態の解除が可能な電圧であれば、ダブルロック信号を出力し、駆動電圧検出部で検出された駆動電圧が、ダブルロック状態の解除が可能な電圧でなければ、ダブルロック信号を出力しない。
【0012】
本発明において、ダブルロック部は、モータと、このモータの正転または逆転と連動して、ドアをダブルロック状態にし、またはダブルロック状態を解除するダブルロック機構と、モータに通電して、当該モータを正転または逆転させるリレーとを備えていてもよい。また、制御部は、前述の駆動電圧検出部の替わりに、上記リレーの状態を検出するリレー状態検出部を備えていてもよい。この場合、信号出力部は、リレー状態検出部で検出されたリレーの状態が、ダブルロック状態の解除が可能な状態であれば、ダブルロック信号を出力し、ダブルロック状態の解除が可能な状態でなければ、ダブルロック信号を出力しない。
【0013】
本発明において、制御部は、前述のリレー状態検出部の替わりに、モータの状態を検出するモータ状態検出部を備えていてもよい。この場合、信号出力部は、モータ状態検出部で検出されたモータの状態が、ダブルロック状態の解除が可能な状態であれば、ダブルロック信号を出力し、ダブルロック状態の解除が可能な状態でなければ、ダブルロック信号を出力しない。
【0014】
本発明において、ドアが車両の各席のドアである場合、制御部は、各席のドアの状態を判定するドア状態判定部を備え、このドア状態判定部が全てのドアが閉じられていると判定したことを条件として、ダブルロック信号を出力するようにしてもよい。また、制御部は、車両のエンジンの状態を判定するエンジン状態判定部をさらに備え、ドア状態判定部が全てのドアが閉じられていると判定し、かつ、エンジン状態判定部がエンジンが始動していないと判定したことを条件として、ダブルロック信号を出力するようにしてもよい。
【0015】
本発明において、ロック部は、ドアに設けられたロック操作部の操作と連動して、ドアをロック状態またはアンロック状態にするロック機構を備えていてもよい。また、ダブルロック部は、ダブルロック信号に基づいて、ロック操作部とロック機構とを切り離すことにより、ロック操作部によるロック状態の解除を禁止してドアをダブルロック状態にしてもよい。
【0016】
本発明において、制御部は、ダブルロック状態の解除が不可能と判定した場合に、ダブルロック信号を出力せず、警報信号を出力してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、装置の故障などによりダブルロック動作の後にドアの解錠が不可能となる事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態を示すブロック図である。
図2】ロック部とダブルロック部が装備された車両の側面図である。
図3】ドアの内側の部分拡大図である。
図4】第1実施形態の動作を示すフローチャートである。
図5】フローチャートの他の例である。
図6】本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
図7】本発明の第3実施形態を示すブロック図である。
図8】第3実施形態の動作を示すフローチャートである。
図9】本発明の第4実施形態を示すブロック図である。
図10】第4実施形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。図面中、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。なお、図面では、「ダブルロック」を「Wロック」と表記し、「ダブルアンロック」を「Wアンロック」と表記している。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態によるドアロック制御システムを示している。ドアロック制御システム100は、ドアロック制御装置1と、携帯機2と、ロック部50と、ダブルロック部60と、駆動回路31、41とから構成される。ドアロック制御装置1、ロック部50、ダブルロック部60、および駆動回路31、41は、自動四輪車等の車両に搭載されている。携帯機2は、車両のユーザにより所持される。
【0021】
ロック部50とダブルロック部60は、図2に示すように、車両5のドア6の内部に装備されている。ドア6の外側には、ドア開閉時に操作されるアウターハンドル8aが設けられており、ドア6の内側には、図3に示すように、ドア開閉時に操作されるインナーハンドル8bと、ドアの施錠時または解錠時に操作されるロックノブ9が設けられている。なお、ここでは簡略化のため、1つのドア6についてのみ、各部を図示してある。
【0022】
図1において、ドアロック制御装置1は、ECU(Electronic Control Unit)を構成する制御部10と、携帯機通信部16と、CAN(Controller Area Network)通信部17とを備えている。携帯機通信部16は、携帯機2と無線で通信を行う。CAN通信部17は、CANバス18を介して他のECUと通信を行う。制御部10の詳細については後述する。
【0023】
携帯機2は、車両5のドア6(図2)の施錠および解錠を行うためのリモコン型の電子キーからなる。携帯機2には、4つのスイッチ21~24と、通信部25とが備わっている。ロックスイッチ21は、ドア6をロック状態にして施錠する際に操作されるスイッチである。アンロックスイッチ22は、ドア6をアンロック状態にして解錠する際に操作されるスイッチである。ダブルロックスイッチ23は、施錠されたドア6をダブルロック状態、すなわちロック解除が禁止された状態にする際に操作されるスイッチである。ダブルアンロックスイッチ24は、ダブルロック状態を解除する際に操作されるスイッチである。通信部25は、ドアロック制御装置1の携帯機通信部16と無線で通信を行う。
【0024】
ロック部50は、ドア6を施錠および解錠するブロックであって、2つのリレー32、33と、モータ34と、ロック機構35とを備えている。リレー32は、モータ34を正転させるためのリレーであり、リレー33は、モータ34を逆転させるためのリレーである。これらのリレー32、33は、駆動回路31から出力される駆動電圧により動作する。ロック機構35は、たとえば、ラッチ機構やロックレバーなどを備えている(図示省略)。
【0025】
モータ34は、正転することにより、ロック機構35をロック側に作動させて、ドア6をロック状態にする。これにより、ドア6が施錠される。また、モータ34は、逆転することにより、ロック機構35をアンロック側に作動させて、ドア6をアンロック状態にする。これにより、ドア6が解錠される。
【0026】
また、ロック機構35は、ドア6に備わるロックノブ9(図3)の操作によっても作動する。ロックノブ9は、本発明における「ロック操作部」の一例である。ロック機構35とロックノブ9とは、リンク機構Kにより連結されている。リンク機構Kは、連結部材や回転レバーなどを備えている(図示省略)。ロックノブ9をロック側に操作すると、ロック機構35は、リンク機構Kを介してロック側に作動し、ドア6を施錠する。また、ロックノブ9をアンロック側に操作すると、ロック機構35はリンク機構Kを介してアンロック側に作動し、ドア6を解錠する。
【0027】
ダブルロック部60は、ロック機構35により施錠されたドア6をダブルロック状態にし、またダブルロック状態を解除するブロックであって、2つのリレー42、43と、モータ44と、ダブルロック機構45とを備えている。リレー42はモータ44を正転させるためのリレーであり、リレー43はモータ44を逆転させるためのリレーである。これらのリレー42、43は、駆動回路41から出力される駆動電圧により動作する。ダブルロック機構45は、たとえば、モータ44の回転と連動してダブルロック位置と解除位置へ変位するダブルロック部材を備えている(図示省略)。
【0028】
モータ44は、正転することにより、ダブルロック機構45をダブルロック側に作動させる。この場合、ダブルロック部材はダブルロック位置へ変位して、リンク機構Kを動作不能な状態にする。たとえば、リンク機構Kの一部に設けた突起がダブルロック部材の溝に嵌合することで、リンク機構Kは動作不能となる。これにより、ロック機構35とロックノブ9とが実質的に切り離され、施錠されたドア6はダブルロック状態となる。この状態では、車両5の外部から工具などを使って、ロックノブ9をアンロック側に操作しても、ノブの操作力がロック機構35に伝達されないので、ロック機構35は作動せず、ドア6は解錠されない。
【0029】
また、モータ44は、逆転することにより、ダブルロック機構45をダブルアンロック側に作動させる。この場合、ダブルロック部材は解除位置へ変位して、リンク機構Kを動作可能な状態にする。たとえば、リンク機構Kの一部に設けた突起がダブルロック部材の溝から離脱することで、リンク機構Kは動作可能となる。これにより、ロック機構35とロックノブ9とが連結され、ダブルロック状態が解除される。このとき、ドア6はまだ施錠された状態(ロック状態)であるが、モータ34の逆転やロックノブ9のアンロック操作により、ロック機構35をアンロック側に作動させてドア6を解錠することができる。
【0030】
なお、上述したロック機構35、ダブルロック機構45、およびリンク機構Kとしては、たとえば特許第2739671号公報に示されているような、公知の機構を用いることができる。
【0031】
次に、図1の制御部10の詳細について説明する。制御部10は、CPUなどから構成されており、操作判定部11、ドア状態判定部12、エンジン状態判定部13、信号出力部14、および駆動電圧検出部15を備えている。これらの各部の機能は、実際にはソフトウェアにより実現されるが、ここでは便宜上ハードウェアのブロックで表してある(後述の図6図7図9の制御部10においても同様)。
【0032】
操作判定部11は、携帯機2のスイッチ21~24のいずれかが操作された場合に、携帯機通信部16が携帯機2から受信した操作信号に基づいて、どのスイッチが操作されたかを判定する。携帯機2の通信部25からは、スイッチ21~24のそれぞれの操作に対応した操作信号が携帯機通信部16へ送信される。
【0033】
ドア状態判定部12は、ドア6の開閉状態を検出するドアセンサ(図示省略)の検出信号に基づいて、ドア6が開状態であるか閉状態であるかを判定する。この検出信号は、CANバス18およびCAN通信部17を経由して、制御部10に入力される。
【0034】
エンジン状態判定部13は、エンジン始動用のイグニッションスイッチ(図示省略)のオン・オフ信号に基づいて、エンジンが始動状態であるか停止状態であるかを判定する。このオン・オフ信号も、CANバス18およびCAN通信部17を経由して、制御部10に入力される。
【0035】
信号出力部14は、携帯機2のスイッチ21~24が操作された場合に、操作判定部11の判定結果に基づいて、ロック部50またはダブルロック部60を動作させるための信号を出力する。
【0036】
詳しくは、ロックスイッチ21が操作された場合は、ロック部50によりドア6を施錠するためのロック信号が信号出力部14から出力される。また、アンロックスイッチ22が操作された場合は、ロック部50によりドア6を解錠するためのアンロック信号が信号出力部14から出力される。これらのロック信号およびアンロック信号は、ロック部50を駆動する駆動回路31に与えられる。
【0037】
また、ダブルロックスイッチ23が操作された場合は、ダブルロック部60によりドア6をダブルロック状態にするためのダブルロック信号が信号出力部14から出力される。さらに、ダブルアンロックスイッチ24が操作された場合は、ダブルロック部60によりドア6のダブルロック状態を解除するためのダブルアンロック信号が信号出力部14から出力される。これらのダブルロック信号およびダブルアンロック信号は、ダブルロック部60を駆動する駆動回路41に与えられる。
【0038】
駆動回路31は、たとえば2個のFET(電界効果トランジスタ)を含むICから構成されている。一方のFETは、ロック信号に基づいてオンし、ロック部50のリレー32を動作させる。他方のFETは、アンロック信号に基づいてオンし、ロック部50のリレー33を動作させる。
【0039】
駆動回路41も、たとえば2個のFETを含むICから構成されている。一方のFETは、ダブルロック信号に基づいてオンし、ダブルロック部60のリレー42を動作させる。他方のFETは、ダブルアンロック信号に基づいてオンし、ダブルロック部60のリレー43を動作させる。
【0040】
駆動電圧検出部15は、駆動回路41からダブルロック部60のリレー43に与えられる駆動電圧を検出する。この駆動電圧は、リレー43を動作させてモータ44を逆転させ、ダブルロック機構45によるドア6のダブルロック状態を解除するために必要な電圧である。
【0041】
次に、上述したドアロック制御装置1の動作を、図4のフローチャートを参照しながら説明する。図4は、ドアロック制御装置1の制御部10によって実行される手順を示している(後述の図5図8図10についても同様)。
【0042】
ステップS1では、携帯機2から操作信号を受信するのを待つ。携帯機通信部16が、携帯機2の通信部25から送信された操作信号を受信すると(ステップS1:YES)、ステップS2、S5、S7、またはS13において、操作判定部11が、スイッチ21~24のいずれが操作されたかを判定する。
【0043】
判定の結果、ロックスイッチ21によりロック操作が行われた場合は(ステップS2:YES)、ステップS3へ進んで、信号出力部14が、ロック条件を満たすか否かを判定する。詳しくは、ドア状態判定部12により、全てのドア6が閉じられていると判定され、かつ、エンジン状態判定部13により、エンジンが始動していないと判定された場合に、ロック条件が満たされることになる。
【0044】
ロック条件を満たすと判定された場合は(ステップS3:YES)、ステップS4へ進んで、信号出力部14がロック信号を駆動回路31へ出力する。これにより、駆動回路31からリレー32へ駆動電圧が与えられ、リレー32が動作してモータ34が正転する。その結果、ロック機構35がロック側へ作動し、ドア6を施錠する。ロック条件を満たさない場合は(ステップS3:NO)、ロック信号は出力されない。
【0045】
また、アンロックスイッチ22によりアンロック操作が行われた場合は(ステップS5:YES)、ステップS6へ進んで、信号出力部14がアンロック信号を駆動回路31へ出力する。これにより、駆動回路31からリレー33へ駆動電圧が与えられ、リレー33が動作してモータ34が逆転する。その結果、ロック機構35がアンロック側へ作動し、ドア6を解錠する。
【0046】
また、ダブルロックスイッチ23によりダブルロック操作が行われた場合は(ステップS7:YES)、ステップS8へ進んで、信号出力部14が、ダブルロック条件を満たすか否かを判定する。詳しくは、ステップS3におけるロック条件(全ドア閉かつエンジン非始動)に加えて、ドア6がロック状態にあるか否かが判定される。ドア6のロック状態は、たとえばロック信号の出力有無や、ロックセンサ(図示省略)の検出信号に基づいて判定することができる。
【0047】
ダブルロック条件を満たすと判定された場合は(ステップS8:YES)、ステップS9~S11を経て、ステップS12で信号出力部14がダブルロック信号を駆動回路41へ出力する。ステップS9~S11の詳細については後述する。駆動回路41は、ダブルロック信号に基づいて、リレー42へ駆動電圧を与える。これにより、リレー42が動作してモータ44が正転する。その結果、ダブルロック機構45がダブルロック側へ作動し、ドア6をロック解除が不可能なダブルロック状態にする。ダブルロック条件を満たさない場合は(ステップS8:NO)、ダブルロック信号は出力されない。
【0048】
一方、ダブルアンロックスイッチ24によりダブルアンロック操作が行われた場合は(ステップS13:YES)、ステップS14へ進んで、信号出力部14がダブルアンロック信号を駆動回路41へ出力する。これにより、駆動回路41からリレー43へ駆動電圧が与えられ、リレー43が動作してモータ44が逆転する。その結果、ダブルアンロック機構45がダブルアンロック側へ作動し、ドア6のダブルロック状態を解除する。その後、ステップS15へ進んで、信号出力部14がアンロック信号を駆動回路31へ出力する。これにより、ステップS6の場合と同様に、駆動回路31からリレー33へ駆動電圧が与えられ、リレー33が動作してモータ34が逆転する。その結果、ロック機構35がアンロック側へ作動し、ドア6を解錠する。
【0049】
次に、本発明の特徴であるステップS9~S11の詳細について説明する。ダブルロック操作が行われた場合、ダブルロック条件が満たされておれば(ステップS8:YES)、まずステップS9において、信号出力部14から、ダブルアンロック信号が駆動回路41へ出力される。このダブルアンロック信号を受けて駆動回路41は、リレー43を動作させるための駆動電圧をダブルロック部60へ出力する。そして、続くステップS10で、この駆動電圧を駆動電圧検出部15が検出する。
【0050】
次に、ステップS11において、信号出力部14は、ステップS10で駆動電圧検出部15が検出した駆動電圧に基づいて、ダブルロック機構45によるダブルロック状態の解除(ダブルアンロック)が可能か否かを判定する。
【0051】
駆動回路41の故障などが原因で、駆動回路41から出力されるリレー43の駆動電圧が低下し、あるいは駆動電圧が出力されなくなると、リレー43が動作せず、モータ44の逆転によるダブルロック状態の解除が不可能となる。そうすると、ダブルロック後にダブルアンロックの操作しても、ドア6はダブルロック状態のままであるので、ドア6を解錠することができなくなってしまう。
【0052】
そこで、ステップS11では、リレー43の動作に必要な駆動電圧を基準値とし、この基準値とステップS10で検出された駆動電圧の検出値とを比較して、検出値が基準値以上であれば、ダブルロック状態の解除が可能と判定し、検出値が基準値未満であれば、ダブルロック状態の解除が不可能と判定する。
【0053】
判定の結果、ダブルロック状態の解除が可能であれば(ステップS11:YES)、ステップS12に進んで、信号出力部14がダブルロック信号を出力する。これにより、駆動回路41からリレー42に駆動電圧が与えられ、リレー42が動作する。その結果、前述したように、モータ44が正転して、ダブルロック機構45がダブルロック側へ作動し、ドア6をダブルロック状態にする。
【0054】
この場合は、その後にダブルアンロック操作が行われて(ステップS13)、ダブルアンロック信号が出力されると(ステップS14)、リレー43が正常に動作しモータ44を逆転させるので、ダブルロック機構45によりダブルロック状態を解除することができる。また、これに続いてアンロック信号が出力されるので(ステップS15)、ロック機構35によりロック状態を解除してドア6を解錠することができる。
【0055】
一方、ダブルロック状態の解除が不可能であれば(ステップS11:NO)、ステップS12は実行されず、信号出力部14からダブルロック信号は出力されない。したがって、ドア6がダブルロック状態になることはなく、ダブルロック後にドア6の解錠が不可能となる事態は生じない。
【0056】
なお、図4においては、ステップS11でダブルアンロックが不可能と判断された場合(ステップS11:NO)、何もせずに処理を終了したが、図5のステップS16に示すように、警報信号を出力してもよい。この警報信号により、たとえばブザーを吹鳴させたりランプを点滅させたりすることで、ダブルロック状態を解除できないことをユーザに報知することができる。
【0057】
以上のように、第1実施形態によれば、携帯機2でダブルロック操作が行われた場合に、制御部10は、直ちにダブルロック動作を実行するのではなく、まず、ダブルロック状態を解除するためのダブルアンロック信号を出力して、駆動回路41からダブルロック解除用のリレー43へ出力される駆動電圧を検出する。そして、この駆動電圧が基準値以上の値、すなわちリレー43を正常に駆動できる電圧値であれば、制御部10は、ダブルロック信号を出力して、ダブルロック機構45にダブルロック動作を行わせる。この場合は、ドア6の解錠時にダブルアンロック操作を行えば、リレー43が正常に動作するので、ダブルロック状態を解除してドア6を解錠することができる。
【0058】
一方、駆動回路41からリレー43へ出力される駆動電圧が基準値未満の値、すなわちリレー43を正常に駆動できない電圧値であれば、制御部10は、ダブルロック信号を出力せず、ダブルロック機構45によるダブルロック動作は行われない。このため、ダブルロック状態を解除できずにドア6の解錠が不可能となる事態を回避することができる。
【0059】
図6は、本発明の第2実施形態によるドアロック制御システムを示している。図6図1と異なる点は、携帯機2において、図1のダブルロックスイッチ23とダブルアンロックスイッチ24が省略されている点である。その他の構成については、図1と同じであるので、重複説明は省略する。
【0060】
図6では、携帯機2においてダブルロック操作を行う場合に、ロックスイッチ21を一定時間内に複数回(たとえば2回)操作するか、または、ロックスイッチ21を一定時間長押しする。これにより、制御部10は、ダブルロック操作が行われたと判定し、図4のステップS8~S12の処理を実行する。また、携帯機2においてダブルアンロック操作を行う場合は、アンロックスイッチ22を一定時間内に複数回(たとえば2回)操作するか、または、アンロックスイッチ22を一定時間長押しする。これにより、制御部10は、ダブルアンロック操作が行われたと判定し、図4のステップS14~S15の処理を実行する。
【0061】
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2実施形態の場合は、携帯機2のスイッチの数を減らして、携帯機2をコンパクトに構成することができる。
【0062】
図7は、本発明の第3実施形態によるドアロック制御システムを示している。図7図1と異なる点は、制御部10において、図1の駆動電圧検出部15が、リレー状態検出部15aに置き換わっており、リレー43の状態が制御部10へ入力されるようになっている点である。その他の構成については、図1と同じであるので、重複説明は省略する。
【0063】
図7において、リレー状態検出部15aは、リレー43の状態として、たとえば、リレー43のコイルに流れる電流を検出する。リレー43が正常な状態であれば、リレー43の動作時にコイルに所定の電流が流れるが、コイルが断線しているような場合は、コイルに電流が流れないので、当該電流の値によって、リレー43の状態が正常か異常かを検出することができる。
【0064】
図8は、図7の制御部10の動作を示すフローチャートである。図8においては、図4のステップS10がステップS10aに置き換わっている。ステップS10aでは、リレー状態検出部15aによってリレー43の状態が検出され、その結果に基づいて、ステップS11でダブルロック状態の解除の可否が判定される。リレー43が正常な場合は、ダブルロック状態の解除は可能と判定され、ステップS12でダブルロック信号が出力されるが、リレー43が異常な場合は、ダブルロック状態の解除は不可能と判定され、ダブルロック信号は出力されない。その他のステップに関しては、図4と同じであるので、重複説明を省略する。
【0065】
なお、リレー状態検出部15aが検出するリレー43の状態としては、コイルに流れる電流に限らず、コイルの両端電圧、接点を流れる電流、あるいは接点間の電圧などであってもよい。また、これらの2つ以上を検出対象としてもよい。要するに、リレー状態を表すパラメータは、リレー43が正常に動作するか否かを判別できる物理量であればよい。
【0066】
上述した第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第3実施形態の場合は、駆動回路41がリレー43の駆動電圧を正常に出力していても、リレー43が故障している場合は、ダブルロック信号が出力されないので、信頼性が向上する。
【0067】
図9は、本発明の第4実施形態によるドアロック制御システムを示している。図9図1と異なる点は、制御部10において、図1の駆動電圧検出部15が、モータ状態検出部15bに置き換わっており、モータ44の状態が制御部10へ入力されるようになっている点である。その他の構成については、図1と同じであるので、重複説明は省略する。
【0068】
図9において、モータ状態検出部15bは、モータ44の状態として、たとえば、モータ44に流れる電流を検出する。モータ44が正常な状態であれば、リレー43の動作時にモータ44に電流が流れるが、モータ44が故障している場合は、リレー43の動作時にモータ44に電流が流れないので、当該電流の値によって、モータ44の状態が正常か異常かを検出することができる。
【0069】
図10は、図9の制御部10の動作を示すフローチャートである。図10においては、図4のステップS10がステップS10bに置き換わっている。ステップS10bでは、モータ状態検出部15bによってモータ44の状態が検出され、その結果に基づいて、ステップS11でダブルロック状態の解除の可否が判定される。モータ44が正常な場合は、ダブルロック状態の解除は可能と判定され、ステップS12でダブルロック信号が出力されるが、モータ44が異常な場合は、ダブルロック状態の解除は不可能と判定され、ダブルロック信号は出力されない。その他のステップに関しては、図4と同じであるので、重複説明を省略する。
【0070】
なお、モータ状態検出部15bが検出するモータ44の状態としては、モータ44に流れる電流に限らず、モータ44の端子間電圧や、図示しない回転センサで検出されたモータ44の回転数などであってもよい。また、これらの2つ以上を検出対象としてもよい。要するに、モータ状態を表すパラメータは、モータ44が正常に動作するか否かを判別できる物理量であればよい。
【0071】
上述した第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第4実施形態の場合は、駆動回路41がリレー43の駆動電圧を正常に出力していても、モータ44が故障している場合は、ダブルロック信号が出力されないので、信頼性が向上する。
【0072】
本発明は、上述した実施形態以外にも、以下のような種々の実施形態を採用することができる。
【0073】
前記の各実施形態では、ダブルロック機構45がダブルロック側へ作動した際に、リンク機構Kを動作不能状態にすることで、ロック機構35とロックノブ9とが実質的に切り離されるようにしたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ダブルロック機構45がダブルロック側へ作動した際に、ロック機構35が、ダブルロック機構45と連動してロックノブ9から機械的に分離することで、ロック機構35とロックノブ9とを完全に切り離してもよい。
【0074】
前記の各実施形態では、携帯機通信部16とCAN通信部17とを、制御部10と別に設けた例を挙げたが、携帯機通信部16とCAN通信部17は、制御部10に設けられていてもよい。駆動回路31、41についても同様である。また、駆動回路31、41は、4つの駆動電圧を出力する単一の駆動回路から構成してもよい。
【0075】
前記の各実施形態では、ロック機構35およびダブルロック機構45の駆動源として、それぞれモータ34およびモータ44を用いたが、これらの機構の駆動源としては、モータに限らず、ソレノイドなどを用いることも可能である。
【0076】
前記の各実施形態は、適宜組み合わせることができる。たとえば、図6に示した携帯機2は、図1図7図9の各実施形態においても用いることができる。また、図1の構成において、制御部10に図7のリレー状態検出部15aを追加し、駆動電圧とリレー状態の双方が正常である場合に、ダブルロック信号を出力するようにしてもよい。さらに、図1の構成において、制御部10に図9のモータ状態検出部15bを追加し、駆動電圧とモータ状態の双方が正常である場合に、ダブルロック信号を出力するようにしてもよい。
【0077】
前記の各実施形態では、車両として自動四輪車を例に挙げたが、本発明はこれ以外の車両にも適用することができる。また、前記の各実施形態では、車両のドアを制御するドアロック制御装置を例に挙げたが、本発明は車両以外の分野におけるドアロック制御装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 ドアロック制御装置
2 携帯機
5 車両
6 ドア
9 ロックノブ(ロック操作部)
10 制御部
11 操作判定部
12 ドア状態判定部
13 エンジン状態判定部
14 信号出力部
15 駆動電圧検出部
15a リレー状態検出部
15b モータ状態検出部
31、41 駆動回路
32、33、42、43 リレー
34、44 モータ
35 ロック機構
45 ダブルロック機構
50 ロック部
60 ダブルロック部
100 ドアロック制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10