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特開2023-57702木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057702
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20230417BHJP
   E04B 1/26 20060101ALI20230417BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20230417BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
E04H9/02 311
E04B1/26 F
E04B1/24 F
E04B1/58 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167324
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】521449692
【氏名又は名称】小田桐 勝利
(71)【出願人】
【識別番号】598155715
【氏名又は名称】コスモテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100135714
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 一生
(72)【発明者】
【氏名】小田桐 勝利
【テーマコード(参考)】
2E125
2E139
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AA33
2E125AB02
2E125AB12
2E125AC15
2E125AC23
2E125AG12
2E125AG45
2E125BB02
2E125BB04
2E125BD01
2E125BE07
2E125BE08
2E125CA05
2E139AA01
2E139AC19
2E139AC23
2E139AC33
2E139AC40
2E139BD15
(57)【要約】
【課題】ガセットプレートとブレースを二面せん断接合で強固に接合して、高い免震・耐震性能を確保することできる木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造を提供する。
【解決手段】木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造10は、木造及び軽量鉄骨造併用建築物の隣接する左右の柱11,11と隣接する上下の横架材21,26,22との間の対角線状に対向する各隅部20にそれぞれ取り付けられたガセットプレート30,35,36と、各隅部20に取り付けられたガセットプレート30,35,36を端部40a,40bでそれぞれ挟み込んだ状態でボルト止めされる一対のブレース40,40と、を備え、ガセットプレート30,35,36は、一対のブレース40,40の端部40a,40bに挟持されてボルト7で二面せん断接合されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造及び軽量鉄骨造併用建築物の隣接する左右の柱と隣接する上下の横架材との間の対角線状に対向する各隅部にそれぞれ取り付けられたガセットプレートと、
前記各隅部に取り付けられたガセットプレートを両端部でそれぞれ挟み込んだ状態でボルト止めされる一対のブレースと、
を備え、
前記ガセットプレートは、前記一対のブレースに挟持されて前記ボルトで二面せん断接合されていることを特徴とする木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造。
【請求項2】
前記柱は、ボルト止めされた4つのCチャンネル鋼材と、前記各Cチャンネル鋼材にそれぞれ差し込まれた角柱状の木材と、を有し、
前記横架材は、背中合わせにボルト止めされた2つのCチャンネル鋼材を有することを特徴とする請求項1に記載の木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造。
【請求項3】
前記ガセットプレートは、一部が前記4つのCチャンネル鋼材のうちの少なくとも2つのCチャンネル鋼材間に挟み込まれてボルト止めされていることを特徴とする請求項2に記載の木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造。
【請求項4】
前記4つのCチャンネル鋼材は、基礎側の各端部にそれぞれボルト止めされた支柱取付金具を介して前記基礎より上方に突出したアンカーボルトに締結固定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造。
【請求項5】
木造及び軽量鉄骨造併用建築物の各階に配置された前記隣接する左右の柱の中間位置に中間横架材が取り付けられ、
前記下側の横架材と前記中間横架材との間及び前記中間横架材間と前記上側の横架材との間の前記隣接する左右の柱間において、前記一対のブレースは、互い違いにX字状に交差するようにそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の木造建築物の耐震構造として、特許文献1に開示されたものがある。この木造建築物の耐震構造は、一対の横架材と一対の柱との間の四隅に取付金具である結合部材を固定し、対角線状の各隅部に位置する結合部材のコーナー部に形成された筋交い固定孔を介してブレース(筋交い)の両端部がボルトとナットにより固定されている。すなわち、ブレースをX字状に交差させて各隅部に固定することにより、耐震強度を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-65590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の木造建築物の耐震構造では、結合部材のコーナー部をブレースの端部にボルトで一面せん断接合しているため、両者を強固に接合して高い耐震性能を維持するには複数のボルトでブレースの端部を締結固定する必要がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、ガセットプレートとブレースを二面せん断接合で強固に接合して、高い免震・耐震性能を確保することできる木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造は、木造及び軽量鉄骨造併用建築物の隣接する左右の柱と隣接する上下の横架材との間の対角線状に対向する各隅部にそれぞれ取り付けられたガセットプレートと、前記各隅部に取り付けられたガセットプレートを両端部でそれぞれ挟み込んだ状態でボルト止めされる一対のブレースと、を備え、前記ガセットプレートは、前記一対のブレースに挟持されて前記ボルトで二面せん断接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ガセットプレートを一対のブレースに挟持して1本のボルトで二面せん断接合したことにより、せん断耐力を向上させることができ、高い免震・耐震性能を確保することができる木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造(骨組)の一例を示す側面図である。
図2図1のA部分の拡大側面図である。
図3】(a)は上記木造及び軽量鉄骨造併用建築物の1階の柱を示す側面図、(b)は図(a)中H-H線に沿う拡大断面図である。
図4】(a)は上記木造及び軽量鉄骨造併用建築物の2階の柱を示す側面図、(b)は図(a)中I-I線に沿う拡大断面図である。
図5図2のB部分の拡大側面図である。
図6図5中J-J線に沿う断面図である。
図7】(a)上記免震・耐震構造に用いられる支柱取付金具の側面図、(b)は同支柱取付金具の背面図、(c)は同支柱取付金具の平面図である。
図8】(a)上記免震・耐震構造に用いられるブレース取付金具としてのガセットプレートの側面図、(b)は同ガセットプレートの背面図、(c)は同ガセットプレートの平面図である。
図9】(a)は図2のC部分の拡大側面図、(b)は同図(a)中の左側に位置するガセットプレートの側面図、(c)は同図(a)中の右側に位置するガセットプレートの側面図である。
図10図9中K-K線に沿う断面図である。
図11】(a)は図1のD部分の拡大側面図、(b)は同図(a)中の左側に位置するガセットプレートの側面図、(c)は同図(a)中の右側に位置するガセットプレートの側面図である。
図12図2のE部分の拡大側面図である。
図13図12中L-L線に沿う断面図である。
図14図12中L’-L’線に沿う断面図である。
図15図2のF部分であるブレースの交差部の拡大平面図である。
図16図2のG部分の拡大側面図である。
図17図16中M-M線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造について詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係る木造及び軽量鉄骨造併用建築物の免震・耐震構造(骨組)の一例を示す側面図である。図2図1のA部分の拡大側面図である。図3(a)は木造及び軽量鉄骨造併用建築物の1階の柱を示す側面図である。図3(b)は図3(a)中H-H線に沿う拡大断面図である。図4(a)は木造及び軽量鉄骨造併用建築物の2階の柱を示す側面図である。図4(b)は図4(a)中I-I線に沿う拡大断面図である。図5図2のB部分の拡大側面図である。図6図5中J-J線に沿う断面図である。図7(a)は免震・耐震構造に用いられる支柱取付金具の側面図である。図7(b)は支柱取付金具の背面図である。図7(c)は支柱取付金具の平面図である。図8(a)は免震・耐震構造に用いられるブレース取付金具としてのガセットプレートの側面図である。図8(b)はガセットプレートの背面図である。図8(c)はガセットプレートの平面図である。図9(a)は図2のC部分の拡大側面図である。図9(b)は図9(a)中の左側に位置するガセットプレートの側面図である。図9(c)は図9(a)中の右側に位置するガセットプレートの側面図である。図10図9中K-K線に沿う断面図である。図11(a)は図1のD部分の拡大側面図である。図11(b)は図11(a)中の左側に位置するガセットプレートの側面図である。図11(c)は図11(a)中の右側に位置するガセットプレートの側面図である。図12図2のE部分の拡大側面図である。図13図12中L-L線に沿う断面図である。図14図12中L’-L’線に沿う断面図である。図15図2のF部分であるブレースの交差部の拡大平面図である。図16図2のG部分の拡大側面図である。図17図16中M-M線に沿う断面図である。
【0011】
図1に示すように、木造及び軽量鉄骨造併用建築物1の免震・耐震構造10は、隣接する左右の柱11(11’)と隣接する上下の横架材21,26,22(22,26,24)との間の対角線状に対向する各隅部20に取り付けられたガセットプレート30,35,36と、各ガセットプレート30,35,36を端部で挟み込んでボルト止めされる一対のブレース40,40と、を備えている。ここで、符号21は、下側の横架材としてのコンクリート製或いは木製の土台を示し、符号22は、1階の柱11の上端と2階の柱11’の下端間に配置される横架材としての桁(又は梁)を示す。さらに、符号24は、2階の柱11’の上端間に配置される横架材としての桁(又は梁)を示し、符号26は、各柱11,11’の中間位置に配置される中間横架材としての横桟を示す。
【0012】
図1図2に示すように、1階の複数の柱11は、コンクリート製の基礎2と土台21に所定の間隔をおいて起立支持されている。また、図1図2図5に示すように、基礎2には、1階の柱11の下端を締結・固定するためのアンカーボルト3が埋設されている。このアンカーボルト3のネジ部3aは、基礎2の上面より外側に突出している。さらに、土台21は、複数の基礎2間を連結するするように矩形枠状に設けられている。
【0013】
図1図4図13図17に示すように、1階の柱11及び2階の柱11’は、平面視十字状にボルト止めされた4つのCチャンネル(C型)鋼材12と、各Cチャンネル鋼材12にそれぞれ差し込まれた角柱状の木材13と、を有している。各Cチャンネル鋼材12のL字状で対の折曲部12aの上中下段の各位置には、ボルト止めするための複数のボルト挿通孔12bが穿設されている。そして、L字状で対の折曲部12aが隣接する4つのCチャンネル鋼材12は、上側から下側にかけて等間隔毎に位置する5箇所のボルト挿通孔12bに挿通するボルト5と該ボルト5に螺合したナット6の締め付けにより、平面視十字状に締結・固定されている。
【0014】
図5図6に示すように、1階の柱11の4つのCチャンネル鋼材12の各下端(基礎2側の各端部)側は、支柱取付金具15を介して基礎2より上方に突出したアンカーボルト3のネジ部3aに螺合したナット4の締め付けにより締結固定されている。
【0015】
図5図7(a),(b),(c)に示すように、支柱取付金具15は、上下2つのボルト挿通孔16bが穿設された台形の直角側板15aと、直角側板15aの下端より折り曲げられ、アンカーボルト当て用の半円形切欠き15dが形成された三角底板15cと、を有する。さらに、図8(a),(b),(c)に示すように、支柱取付金具15の三角底板15cと合わさるように柱11の下端にボルト止めされるブレース取付金具としてのガセットプレート30は、鋼板製であり、上下と斜め上方に計3つのボルト挿通孔32が穿設された略台形の直角側板31と、直角側板31の下端より折り曲げられ、アンカーボルト当て用の半円形切欠き34が形成された三角底板33と、を有する。
【0016】
図5に示すように、柱11を基礎2に固定する際に、まず、図6に示すように、柱11の図6中下側の2つのCチャンネル鋼材12の相対する各折曲部12a,12aの間に2つの支柱取付金具15の直角側板15a,15aを挟んでボルト5とナット6で共に締結・固定する。次に、柱11の図6中左側の2つのCチャンネル鋼材12の相対する各折曲部12aの間に2つの支柱取付金具15の直角側板15a,15aを挟んでボルト5とナット6で共に締結・固定する。この際、2つの支柱取付金具15の各三角底板15cの半円形欠き15d,15d同士を合わせてアンカーボルト3のボルト挿通孔を形成する。同様にして、柱11の図6中上側の2つのCチャンネル鋼材12の相対する各折曲部12aの間に2つの支柱取付金具15の直角側板15a,15aを挟んでボルト5とナット6で共に締結・固定する。さらに、柱11の図6中上側の2つのCチャンネル鋼材12の相対する各折曲部12a間に2つのガセットプレート30の各直角側板31,31を挟んでボルト5とナット6で共に締結・固定する。この際、2つの支柱取付金具15の各三角底板15cの半円形欠き15d,15dと2つのガセットプレート30の各三角底板33の半円形欠き34,34同士を合わせてアンカーボルト3のボルト挿通孔を形成する。そして、図5図6に示すように、各支柱取付金具15の三角底板15cと各ガセットプレート30の三角底板33を敷き座金16と補強座金17で挟んで各アンカーボルト3のネジ部3aにナット4を締め付けて締結固定することで、基礎2に柱11が固定されるようになっている。さらに、図5図6に示すように、重ね合わされた2つのガセットプレート30の各直角側板31,31は、一対のブレース40,40の下側の各端部40bに挟持されて1本のボルト7とナット8で二面せん断接合されている。
【0017】
図1図2に示すように、木造及び軽量鉄骨造併用建築物1の1階の柱11の上端と2階の柱11’の下端間には、横架材としての桁(又は梁)22が取り付けられている。また、図1に示すように、木造及び軽量鉄骨造併用建築物1の2階の柱11’の上端間に横架材としての桁(又は梁)24が取り付けられている。さらに、図1図2に示すように、木造及び軽量鉄骨造併用建築物1の1階及び2階に配置された隣接する左右の柱11、11’の中間位置には、横桟(中間横架材)26が取り付けられている。尚、隣接する左右の柱11(11’)間の距離が短い場合は、一般的に桁を用い、距離が長い場合は、一般的に梁を用いるが、この実施形態では、符号22,24は桁として説明する。
【0018】
図2図9(a)、図10に示すように、中段に配置された桁22は、背中合わせにボルト止めされた2つのCチャンネル鋼材23を有する。すなわち、この2つのCチャンネル鋼材23,23は、両端側に穿設されたボルト挿通孔23aに挿通するボルト5及び該ボルト5に螺合したナット6の締め付けにより、ブレース取付金具としてのガセットプレート35を介在させて背中合わせに締結・固定されている。図9に示しように、ガセットプレート35は、鋼板製の平板状に形成されると共に複数のボルト挿通孔35aが形成されており、1階の柱11の上端側と2階の柱11’の下端側間に左右に対になって配置されている。そして、一方の側のガセットプレート35は、1階の柱11と2階の柱11’の一方の前後に位置する各2つのCチャンネル鋼材12,12間及び中段の桁22の2つのCチャンネル鋼材23,23の一方の端部間にそれぞれ挟持されて複数組のボルト5とナット6を介して締結・固定されている。
【0019】
また、図9(a)に示すように、他方の側のガセットプレート35は、1階の柱11と2階の柱11’の他方の側の前後に位置する各2つのCチャンネル鋼材12,12間及び中段の桁22の2つのCチャンネル鋼材23,23の他方の端部間にそれぞれ挟持されて複数組のボルト5とナット6を介して締結・固定されている。そして、他方の側のガセットプレート35の下角部35cは、一対のブレース40,40の上側の各端部40aに挟持されて1本のボルト7とナット8で二面せん断接合されている。さらに、図11(a)に示す図1のD部分の各隅部20の場合には、ガセットプレート35の下角部35cは、一対のブレース40,40の上側の各端部40aに挟持されて1本のボルト7及びナット8で二面せん断接合され、かつ、ガセットプレート35の上角部35bは、一対のブレース40,40の下側の各端部40bに挟持されて1本のボルト7とナット8で二面せん断接合されている。
【0020】
さらに、図1に示すように、上段に配置された桁24は、背中合わせにボルト止めされた2つのCチャンネル鋼材25を有する。すなわち、この2つのCチャンネル鋼材25,25は、両端側に穿設されたボルト挿通孔25aに挿通するボルト7及び該ボルト7に螺合したナット8の締め付けにより、ブレース取付金具としてのガセットプレート35を介在させて背中合わせに締結・固定されている。このガセットプレート35は、中段に配置されたガセットプレート35と同様に、鋼板製の平板状に形成されると共に複数のボルト挿通孔35aが形成されており、2階の柱11’の上端の左右或いは一方の側に配置されている。そして、ガセットプレート35は、2階の柱11’の前後に位置する各2つのCチャンネル鋼材12,12間及び上段の桁24の2つのCチャンネル鋼材23,23の端部間にそれぞれ挟持されて複数組のボルト5とナット6を介して締結・固定されている。また、ガセットプレート35の下角部35cは、一対のブレース40,40の上側の各端部40aに挟持されて1本のボルト7及びナット8で二面せん断接合されている。
【0021】
図14に示すように、横桟26は、背中合わせにボルト止めされた2つのCチャンネル鋼材27,27を有する。すなわち、この2つのCチャンネル鋼材27,27は、所定距離隔てて穿設されたボルト挿通孔27aに挿通するボルト5と該ボルト5に螺合したナット8の締め付けにより、ガセットプレート36を介在させて背中合わせに締結・固定されている。
【0022】
図2図12図14図16図17に示すように、横桟26の上下両端側の各隅部20に取り付けられるブレース取付金具としてのガセットプレート36は、鋼板製で、一側が台形状に突出した突出部36aになっていると共に、上下部36b,36cの中間に切欠き部36dを有した平板状に形成されている。ガセットプレート36の突出部36aと上下部36b,36cには、ボルト挿通孔36eがそれぞれ形成されている。そして、ガセットプレート36は、切欠き部(一部)36d側が柱11の前後2つのCチャンネル鋼材12,12間に挟み込まれ、かつ、切欠き部36dが鋼製の受止めプレート9に当たるようにボルト止めされている。この受止めプレート9により、ガセットプレート36は回り止めされて下方向への移動ができないようになっている。それによって、図2に示すG部分は、柱11に対する応力伝達はできず、ブレース40への応用伝達のみとなり、そして、対するE部分は、柱11とブレース40の2方向へ応力伝達が可能となる。すなわち、横桟26の上下両端側の各隅部20に取り付けられるガセットプレート36は、軸力変換用のプレートである。
【0023】
また、図12図16に示すように、ガセットプレート36の上部36bは、一対のブレース40,40の下側の各端部40bに挟持されて1本のボルト7とナット8で二面せん断接合されている。さらに、ガセットプレート36の下部36cは、一対のブレース40,40の上側の各端部40aに挟持されて1本のボルト7とナット8で二面せん断接合されている。
【0024】
そして、図2に示すように、下側の横架材としての土台21と中間横架材としての横桟26間及び隣接する左右の柱11,11間の対角線状に相対向する各隅部20において、各一対(2枚)のブレース40,40は、互い違いにX字状に交差するようにそれぞれ配置されている。さらに、横桟26と中段の桁22間及び隣接する左右の柱11,11間の対角線状に相対向する各隅部20において、各一対のブレース40,40は、互い違いにX字状に交差するようにそれぞれ配置されている。図15に示すように、各一対のブレース40,40がX字状に交差する交差部において、4枚のブレース40は互い違いに配置されている。この交差部の4枚のブレース40は、図15図16に示すように、横桟26の中央で間柱受用の曲げ鋼板45を介して取り付けられた一対の木製の間柱46,46間により保持されている。また、図13図17に示すように、隣接する左右の柱11,11の内側と外側の角柱状の木材13,13間には、木製で矩形の下地板49が図示しない釘によって接合されていて、耐力壁50となっている。
【0025】
尚、図1に示すように、筋交いとしてのブレース40が配置されていない1階の柱11の上端と2階の柱11’の下端及び中段の桁22は、鋼板製の取付プレート37を介して取り付けられている。さらに、筋交いとしてのブレース40が配置されていない2階の柱11’の上端と上段の桁24も鋼板製の取付プレート37を介して取り付けられている。
【0026】
以上実施形態の木造及び軽量鉄骨造併用建築物1の免震・耐震構造10によれば、図5図6に示すように、基礎2に固定された柱11の下端において、重ね合わされた2つのガセットプレート30の各直角側板31,31は、一対のブレース40,40の下側の各端部40bに挟持されて1本のボルト7とナット8で二面せん断接合されている。
【0027】
また、図9(a)、図11(a)に示すように、1階の柱11の上端と2階の柱11’の下端及び中段の桁22の端部において、ガセットプレート35の下角部35cは、一対のブレース40,40の上側の各端部40aに挟持されて1本のボルト7及びナット8で二面せん断接合され、かつ、ガセットプレート35の上角部35bは、一対のブレース40,40の下側の各端部40bに挟持されて1本のボルト7とナット8で二面せん断接合されている。
【0028】
さらに、図12図16に示すように、横桟26の両端と隣接する左右の柱11,11の中間において、ガセットプレート36の上部36bは、一対のブレース40,40の下側の各端部40bに挟持されて1本のボルト7とナット8で二面せん断接合されている。さらに、ガセットプレート36の下部36cは、一対のブレース40,40の上側の各端部40aに挟持されて1本のボルト7とナット8で二面せん断接合されている。
【0029】
このように、ガセットプレート30,35,36を一対のブレース40,40に挟持して1本のボルト7で二面せん断接合したことにより、せん断耐力を向上させることができ、木造及び軽量鉄骨造併用建築物の高い免震・耐震性能を確保することができる。すなわち、従来のガセットプレートをブレースの端部に2本のボルトで一面せん断接合している場合に比べて、2倍の耐力増加を図ることができ、少ないボルトにて木造及び軽量鉄骨造併用建築物1の高い免震・耐震性能を大幅に向上だせることができる。
【0030】
さらに、図2に示すように、下側の横架材としての土台21と中間横架材としての横桟26間及び隣接する左右の柱11,11間の対角線状の各隅部20において、各一対のブレース40,40をX字状に交差するようにそれぞれ配置したことにより、横架材21,22,26が柱11から受ける負担荷重(負担応力)を軽減(半減)することができる。詳述すると、図2のG部分では、ブレース40の下側の端部40bから受ける引張軸力によって、柱11に対する鉛直軸力(上方向)への伝達はなされず、ブレース40の上側の端部40aへ引張軸力を伝達し、共に横桟26へ水平軸力(右方向)へ伝達される。図2のE部分では、柱11に対して鉛直軸力(下方向)への伝達と、ブレース40の上側の端部40aへ引張軸力が伝達される。そして、図2のB部分では、柱11に対して鉛直軸力(上方向)への伝達と、基礎2へ水平力(右方向)へ伝達される。さらに、柱11の柱頭部に、負担荷重(下方向)へ存在するため、それによって、上下両方向による削減が生じる。また、図2のA部分では、柱11に対して鉛直軸力(上方向)への伝達と、基礎2へ水平力(左方向)へ伝達される。さらに、柱11のC部分からE部分にかけて負担荷重(下方向)へ存在するため、それによる上下両方向の削減が生じる。共に、B部分(右方向)A部分(左方向)の水平力においても左右両方向の削減が生じる。よって、各部において、それぞれ応力の軽減(最大で半減)することができる。但し、柱11と桁、梁22及び基礎2に、それぞれ部分的に負担応力を生じるが、何れにおいても許容応力(耐力)範囲以下である。
【0031】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0032】
すなわち、前記実施形態によれば、柱や梁等を構成する各Cチャンネル鋼材を背中合わせにボルト止めしたが、各Cチャンネル鋼材間に緩衝材を介在させてボルト止めしても良い。
【0033】
また、前記実施形態によれば、壁面側の骨組の対角線状の各隅部にガセットプレートを介して一対のブレースをX字状に配設して連結したが、床面(水平面)側の骨組の対角線状の各隅部にガセットプレートを介して一対のブレースをX字状に配設して連結しても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 木造及び軽量鉄骨造併用建築物
2 基礎
3 アンカーボルト
5,7 ボルト
10 免震・耐震構造
11,11’ 柱
12 Cチャンネル鋼材
13 角柱状の木材
15 支柱取付金具
20 隅部
21 土台(下側の横架材)
22 桁又は梁(上側又は下側の横架材)
23 Cチャンネル鋼材
24 桁又は梁(上側の横架材)
25 Cチャンネル鋼材
26 横桟(中間横架材)
27 Cチャンネル鋼材
30,35,36 ガセットプレート
36d 切欠き部(一部)
40,40 一対のブレース
40a 上側の端部
40b 下側の端部
図1
図2
図3
図4
図5
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図17