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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057741
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
E03C1/042 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167401
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直人
(72)【発明者】
【氏名】国枝 秀樹
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA01
2D060BB01
2D060BC01
2D060BC02
2D060BC11
2D060BD03
2D060BE07
2D060BE12
2D060BF03
(57)【要約】
【課題】ハンドルの操作を水栓の外観に影響を与えにくくする。
【解決手段】水栓本体2と、前記水栓本体2から突出する回動可能な回動軸11を有する軸部材10に取り付けられ、前記回動軸11と一体に回動可能な筒状のハンドル本体20と、前記ハンドル本体20が所定位置を越えて回動されることを規制するロック機構22とを備えたハンドル7と、を有する水栓であって、前記水栓本体2は、前記軸部材10の径方向外側を覆うカラー9を有し、前記ロック機構22と前記カラー9を別体とした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体と、
前記水栓本体から突出する回動可能な回動軸を有する軸部材に取り付けられ、前記回動軸と一体に回動可能な筒状のハンドル本体と、前記ハンドル本体が所定位置を越えて回動されることを規制するロック機構とを備えたハンドルと、
を有する水栓であって、
前記水栓本体は、前記軸部材の径方向外側を覆うカラーを有し、
前記ロック機構と前記カラーを別体としたことを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記ハンドル本体と一体に回動するとともに前記ハンドル本体の外側から径方向内側に向かって押し下げ可能に構成された押しボタンと、前記押しボタンを径方向外側に向かって付勢する付勢部材と、前記水栓本体に対して回動不能な状態で前記水栓本体に取り付けられたストッパーリングとを備え、
前記ストッパーリングは、前記ハンドル本体の内部で前記カラーに対向して位置することを特徴とする請求項1に記載の水栓。
【請求項3】
前記水栓本体は、前記ストッパーリングを前記水栓本体に対して回動不能に支持する支持部を有するとともに、前記ストッパーリングに当接し前記ストッパーリングの前記水栓本体側への移動を規制する規制部を有することを特徴とする請求項2に記載の水栓。
【請求項4】
前記規制部が前記ストッパーリングに当接した状態で、前記ハンドル本体と前記カラーとの間に間隔を有することを特徴とする請求項3に記載の水栓。
【請求項5】
前記ストッパーリングはポリブチレンテレフタレートにて形成されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載の水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
吐出する湯水の温度を調整することができる水栓が知られている。この水栓は温調ハンドルを回動して吐出する湯水の温度調節を行うが、温調ハンドルには一定温度以上となる方向への回動を規制するロック機構が設けられている(特許文献1の図2及び図3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-135731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロック機構は水栓本体に回動不能に固定された非回動部材と、ハンドル本体と一体回動する押しボタンとを有している。押しボタンは規制片を有し、温調ハンドル本体を回動すると押しボタンの規制片が非回動部材に当接して温調ハンドルのそれ以上の回動が規制される。一方、押しボタンを押すと規制片の位置が変位して非回動部材に当接しない位置となり、温調ハンドルのさらなる回動が可能となる。
【0005】
ここで、特許文献1に記載の非回動部材は水栓本体に組み付けられて水栓本体の外観を構成するカラー部を一体に備えた構成をなす。このため、例えば温調ハンドルを勢いよく回動させた場合などには押しボタンの規制片も非回動部材に勢いよく当接する。非回動部材は回動が規制されているが、押しボタンの規制片が勢いよく当接した衝撃で非回動部材が温調ハンドルの回動方向にねじれることがある。このねじれは弾性変形であるが、非回動部材にはカラー部分が一体に形成されているためカラー部分にも同様にねじれが生じる。そうすると、外部から視認することができるカラー部分が必要なく動くこととなり、水栓の外観に影響を与えることがある。
【0006】
そこで、本発明は、ハンドルの操作が水栓の外観に影響を与えにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための発明は、水栓本体と、前記水栓本体から突出する回動可能な回動軸を有する軸部材に取り付けられ、前記回動軸と一体に回動可能な筒状のハンドル本体と、前記ハンドル本体が所定位置を越えて回動されることを規制するロック機構とを備えたハンドルと、を有する水栓であって、前記水栓本体は、前記軸部材の径方向外側を覆うカラーを有し、前記ロック機構と前記カラーを別体とした。
【0008】
前記ロック機構は、前記ハンドル本体と一体に回動するとともに前記ハンドル本体の外側から径方向内側に向かって押し下げ可能に構成された押しボタンと、前記押しボタンを径方向外側に向かって付勢する付勢部材と、前記水栓本体に対して回動不能な状態で前記水栓本体に取り付けられたストッパーリングとを備え、前記ストッパーリングは、前記ハンドル本体の内部で前記カラーに対向して位置する。
【0009】
前記水栓本体は、前記ストッパーリングを前記水栓本体に対して回動不能に支持する支持部を有するとともに、前記ストッパーリングに当接し前記ストッパーリングの前記水栓本体側への移動を規制する規制部を有する。
【0010】
前記規制部が前記ストッパーリングに当接した状態で、前記ハンドル本体と前記カラーとの間に間隔を有する。また、前記ストッパーリングはポリブチレンテレフタレートにて形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ハンドルの操作が水栓の外観に影響を与えにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】水栓の斜視図。
図2】水栓本体の一端側の分解斜視図。
図3】一端側からの温調ハンドルの分解斜視図。
図4】他端側からの温調ハンドルの分解斜視図。
図5】水栓の一端側の部分断面図。
図6】ストッパーリングと押しボタンの位置説明図。図6(a)は冷水位置、図6(b)は押しボタンがストッパーリングに当接した位置、図6(c)は押しボタンを押し下げた位置、図6(d)は押しボタンが高温側に移動した位置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的に説明する。図1に本実施形態の水栓1の斜視図を示す。同図に示す水栓1は浴槽の縁上面や浴室のカウンター等に設置されるデッキ形の湯水混合水栓であり、図示しない給湯配管からの湯及び給水配管からの水を混合した湯水として吐出することができる。なお、以下、湯水とは水栓1から吐出される湯又は水の総称であり、湯と水を混合したものに限らず水のみあるいは湯のみも含む。水栓1及び水栓1を構成する各部材について図1中左側を一端側、右側を他端側という。また、先端とは突出する方向に位置する端部をいう。
【0014】
図1に示すように水栓1は中央に水栓本体2を有する。水栓本体2は全体を覆うカバー3を有し、カバー3の内部に混合流路等を有する水栓ブロック4(図2参照)を有する。カバー3の上面は半円筒状に形成されている。また、水栓本体2は上部に吐出口ユニット5を、背面にシャワーユニット6を有する。
【0015】
水栓1は、水栓本体2の一端側に温調ハンドル7を、他端側に切替ハンドル8を有する。温調ハンドル7は水栓本体2に対し回動可能であり、回動により湯水の温度を調整する。また、切替ハンドル8も水栓本体2に対し回動可能であり、回動により吐出先の切替及び吐出量の調整を行う。
【0016】
図2に水栓本体2の一端側における分解斜視図を示す。同図に示すように水栓本体2はカバー3に覆われており、内部に水栓ブロック4が位置する。水栓本体2の一端側及び他端側にはカバー3を構成するカラー9が装着されている。一端側のカラー9は軸部材10の径方向外側を覆っており、カラー9から軸部材10の一部が一端側に突出している。軸部材10は回動軸11と回動軸11を外嵌した固定軸12を備えており、これらはサーモスタット13(図5参照)を構成する。
【0017】
回動軸11は固定軸12から一端側に突出しており、水栓本体2に対して回動可能となっている。回動軸11は一端側に位置する相対的に小径の係止部14と、係止部14より他端側に位置する相対的に大径のハンドル支持部15とを有する。係止部14は一端側に向かうほど順次大径となっている。また、ハンドル支持部15は係止部14との間に段差となる端面14aを有し、ハンドル支持部15の外周面には周方向に凹凸をなすセレーション歯15aが形成されている。回動軸11はサーモスタット13の可動部を構成し、回動軸11の回転により水栓本体2内でサーモスタット13による湯水の温度調節が行われる。
【0018】
固定軸12は回動軸11を外嵌し、水栓本体2に対して回動不能となっている。固定軸12は一端側に位置する相対的に小径の支持部としてのリング支持部17と、リング支持部17より他端側に位置する相対的に大径の基部18(図5参照)とを有する。リング支持部17はその外周面の周方向に凹凸をなすセレーション歯17aが形成されている。なお、セレーション歯17aには位置合わせのため周方向の一箇所に歯が形成されていない平坦面17bがある。基部18はリング支持部17との間に段差となる端面18a(図5参照)を有する円筒軸である。
【0019】
図5に示すように、基部18の径方向外側には、基部18を外嵌する固定ナット19が水栓本体2に対して回動不能に配置されている。固定ナット19は内周面が円筒状をなし、外周面が多角形(六角)筒状をなす。固定ナット19の先端(一端側)はリング支持部17の径方向外側に位置している。固定ナット19の一端側の軸方向端部である先端部19aは規制部となる。
【0020】
図3図4に示すように、温調ハンドル7は、筒状のハンドル本体20とハンドル本体20の先端に装着されるキャップ21とロック機構22を備える。ロック機構22はストッパーリング23と、押しボタン24と、押しボタン24を径方向外側に向かって付勢する付勢部材25を有する。ハンドル本体20は、筒状の周壁26と周壁26の一端側を閉塞する端壁27とを有し、周壁26の他端側は開放されている。ハンドル本体20はABS樹脂にて形成されている。ハンドル本体20の直径は水栓本体2のカバー3の半円筒状をなす上面と面一となる大きさに形成されている。また、周壁26の他端側には周壁26の内径がわずかに大径となる薄肉のリング収容部28が形成されている。
【0021】
ハンドル本体20の端壁27には挿通孔29が形成されており、挿通孔29の内部には一端側に開口する有底で二重円筒の係止筒部30が形成されている。また、挿通孔29の他端側は係止筒部30より大径の支持筒部31となっており、その内周面にはセレーション溝31aが形成されている。このセレーション溝31aは回動軸11のハンドル支持部15に形成されたセレーション歯15aと結合している。支持筒部31の軸方向の長さはハンドル支持部15より短く、ハンドル本体20は係止筒部30の他端側が回動軸11の端面14aに当接した状態でハンドル支持部15に結合している。ハンドル本体20の周壁26には楕円孔26aが形成されている。この楕円孔26aの内周側には押しボタン24が付勢部材25により付勢されて押し下げ可能に配置されている。押しボタン24はボタン24aと規制片24bとが一体形成された形状をなし、ポリアセタール(POM)樹脂により形成されている。ボタン24aは楕円形状をなし、その基端に板状の規制片24bが形成されている。規制片24bはボタン24aから他端側に長く突出している。
【0022】
キャップ21は円板状のキャップ部21aとキャップ部21aから他端側に突出する圧入筒部21bを有する。キャップ21はハンドル本体20の挿通孔29に一端側から挿通されて圧入筒部21bがハンドル本体20の二重円筒をなす係止筒部30内に圧入され、係止筒部30に内接することで、係止筒部30の径方向外側への弾性変形を抑制している。これによりハンドル本体20を回動軸11に固定し、ハンドル本体20は回動軸11と一体回転可能となっている。
【0023】
図5に示すように、ハンドル本体20のリング収容部28内にはストッパーリング23が配置されている。ストッパーリング23は固定軸12のリング支持部17に水栓本体2に対して回転不能に支持されている。ストッパーリング23はリング収容部28とは径方向に間隔を有して、ハンドル本体20とは接触していない。ストッパーリング23はポリブチレンテレフタレート(PBT)にて形成されている。ストッパーリング23は円板状の基板32を有し、この基板32の他端側の面には円筒部33が形成され、内部には基板32と円筒部33とを連通する連通孔34が形成されている。そして、連通孔34の内周面にはセレーション溝34aが形成されてリング支持部17のセレーション歯17aと結合している。なお、セレーション溝34aには位置合わせのため周方向の一箇所に他より幅広の歯34bが形成されている。円筒部33の軸方向の長さは固定ナット19の先端部19aから固定軸12における基部18とリング支持部17との間の端面18aまでの長さよりも短くなっており、円筒部33は固定ナット19に内嵌された状態となる。このため、ストッパーリング23は、基板32が固定ナット19の先端部19aに当接し、円筒部33の先端は固定軸12の端面18aに当接しない状態でリング支持部17と結合して固定軸12とともに水栓本体2に対して回動不能となっている。
【0024】
図3図6に示すように、ストッパーリング23の基板32の一端側の面には、基板32の外周縁に沿って円弧状の外周壁部35と、この外周壁部35の内周側に径方向に間隔を有して位置する円筒状の内周壁部36とが形成されている。外周壁部35のうち温調ハンドル7の高温側への回動方向端部には内周壁部36に跨る縦壁部37が形成されている。外周壁部35及び内周壁部36は押しボタン24の規制片24bと軸方向に重なる位置に形成されており、また、押しボタン24が付勢部材25により付勢された状態では規制片24bは外周壁部35と同心円の位置にある。
【0025】
図2図3図5に示すように、カラー9は略円筒状をなす部材であり、ASA(アクリレートスチレンアクリロニトリル)樹脂にて一体に形成されている。カラー9は水栓本体2の他のカバー3(カラー9を除いたカバー3)に一端側から内嵌可能な嵌合部38と、カバー3として水栓本体2の外観を構成する外装部39とを有する。嵌合部38は水栓本体2の他のカバー3の一端側の開口形状に沿った側面視で逆U字状に形成されており、軸部材10の径方向外側を覆っている。また、外装部39は嵌合部38に連続して形成されており、嵌合部38との境界は嵌合部38と同様に側面視で逆U字状に形成されているが、一端側は円筒状をなしている。外装部39は本体部40と本体部40の一端側に形成された筒部41とからなる。本体部40は嵌合部38に対して肉厚に形成されており、装着時には他のカバー3の表面と面一となる。また、本体部40はハンドル本体20の周壁26の他端側端部と軸方向に間隔を有して対向している。
【0026】
筒部41はストッパーリング23の基板32と同じ直径を有し、軸方向先端には径方向内側に延びる端面部42が形成されている。端面部42の中心には固定ナット19を遊嵌可能な大きさの貫通孔43が形成されている。筒部41はカラー9を装着した水栓本体2の状態で、端面部42が固定ナット19の先端部19aよりもわずかに他端側に位置する長さに形成されている。このため、温調ハンドル7を水栓本体2に装着した状態では、カラー9の筒部41はハンドル本体20のリング収容部28に対して径方向に間隔を有し、端面部42はストッパーリング23の基板32との間に軸方向に間隔を有して対向している。つまり、カラー9はハンドル本体20及びストッパーリング23とは接触していない。なお、カラー9の端面部42とストッパーリング23の基板32との軸方向の間隔は、カラー9の外装部39とハンドル本体20との軸方向の間隔よりも長い。
【0027】
次に、水栓1の温調ハンドル7の操作について、特に押しボタン24の規制片24bとストッパーリング23の外周壁部35との位置関係について説明する。なお、付勢部材25の図示は略する。
【0028】
図6にストッパーリング23と押しボタン24の位置関係を示す。図6(a)は温調ハンドル7が冷水位置にあるときの押しボタン24の位置である。この位置から図示しない温調ハンドル7を高温側(図中反時計回り)に回動すると、押しボタン24も同図中反時計回りに回動する。そして、温調ハンドル7が一定の吐出温度(例えば40度)の位置に達すると、図6(b)に示すように押しボタン24の規制片24bがストッパーリング23の外周壁部35に当接し、温調ハンドル7はそれ以上の高温側への回動が規制される。この状態から温調ハンドル7を更に高温側に回動するには、押しボタン24を押し下げる。そうすると、図6(c)に示すように規制片24bも径方向内側に変位して外周壁部35に当接しない位置となり、外周壁部35と内周壁部36との間の位置で周方向に移動可能となる。このため、温調ハンドル7を高温側に回動しても、図6(d)に示すように規制片24bは外周壁部35又は内周壁部36に摺接しながら移動することが可能となり、高温の湯水を吐出することができる。
【0029】
このような温調ハンドル7の回動操作において、図6(a)に示す位置から温調ハンドル7を勢いよく回転させると、押しボタン24の規制片24bが外周壁部35に勢いよく当接する。外周壁部35があるストッパーリング23は固定軸12にセレーション結合されているため回動しない。一方、規制片24bが外周壁部35にあたった衝撃は外周壁部35に周方向へのねじれを生じさせ、ストッパーリング23にも周方向へのねじれが生じる。このねじれによりストッパーリング23が周方向に弾性変形することがある。すなわち、ストッパーリング23が周方向にわずかに回転するように弾性変形し、すぐに変形は戻る。一方、カラー9はストッパーリング23とは別体であり、ストッパーリング23と間隔を有して位置している。このため、ストッパーリング23が弾性変形しても、その変形はストッパーリング23にのみ生じ、カラー9には伝達されない。
【0030】
上記実施形態の水栓1によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ロック機構22を構成するストッパーリング23は、カラー9とは別体に形成されているため、ストッパーリング23の弾性変形等の動きがカラー9には伝達されない。例えば、温調ハンドル7が勢いよく回転されて押しボタン24がストッパーリング23にあたったとき(図6(b))、その衝撃によりストッパーリング23が周方向に弾性変形することがある。しかし、この変形はストッパーリング23だけにとどまり、カラー9には伝達されない。したがって、温調ハンドル7を操作してもロック機構22の動きがカラー9に伝わることはなく、水栓1の外観に影響を与えることがない。
【0031】
(2)ストッパーリング23はハンドル本体20内に位置する。特にストッパーリング23の基板32はハンドル本体20のリング収容部28内でカラー9に対向して位置する。このため、温調ハンドル7の操作によりストッパーリング23がねじれたとしても、水栓1の外部に露出しておらず、外部から視認することができないストッパーリング23がねじれるだけであり、水栓1の外観に影響を与えることがない。
【0032】
(3)ストッパーリング23は固定軸12のリング支持部17とセレーション結合されて水栓本体2に対して回動不能に支持されている。また、ストッパーリング23は基板32が水栓本体2の固定ナット19の先端部19aに当接して他端側への移動が規制されている。このため、ストッパーリング23と対向するカラー9との間隔を規定することが容易となる。
【0033】
(4)固定ナット19の先端部19aがストッパーリング23に当接した状態では、ハンドル本体20とカラー9とは軸方向及び径方向ともに間隔を有している。このため、温調ハンドル7を操作しても温調ハンドル7がカラー9に接触せず、温調ハンドル7の回動等の動きがカラー9に伝達されることが防止できる。
【0034】
(5)ストッパーリング23をカラー9と別体に形成した。このため、ストッパーリング23及びカラー9にそれぞれの役割に適した材質を使用することができる。具体的には、ストッパーリング23はPBTにて形成されている。PBTは摩耗特性に優れているため、長期的に、ストッパーリング23に対し押しボタン24をスムーズに摺接させることができる。また、押しボタン24はストッパーリング23とは異なりPOMにて形成されているため両者の摺動性能が向上する。
【0035】
(6)カラー9の端面部42とストッパーリング23の基板32との軸方向の間隔は、カラー9の本体部40とハンドル本体20の周壁26との軸方向の間隔よりも長い。このため、ストッパーリング23のねじれが軸方向への変形を伴うような場合であっても、ストッパーリング23がカラー9に接触しにくくなる。
【0036】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・水栓本体2、ストッパーリング23、押しボタン24の形成に使用する材料は上記実施形態に限定されず、変更してもよい。
【0037】
・ストッパーリング23を固定ナット19の先端部19aに当接させて軸方向の位置決めをしていたが、これに限られない。例えば、ストッパーリング23の円筒部33の先端を固定軸12の端面18aに当接して位置決めしてもよい。
【0038】
・カラー9の端面部42とストッパーリング23の基板32との軸方向の間隔、及びカラー9の本体部40とハンドル本体20の周壁26との軸方向及び径方向の間隔はそれぞれ長さを変更してもよい。
【0039】
・各部材に使用する材料は変更してもよい。例えば、上記実施形態にてストッパーリング23、押しボタン24に用いた樹脂を異ならせてもよい。この場合、押しボタン24はストッパーリング23に摺接するが、両者を異なる樹脂とすることが摺動性の点では好ましい。
【0040】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)カラーの端面部とストッパーリングの基板との軸方向の間隔は、カラーの本体部とハンドル本体の周壁との軸方向の間隔よりも長い。これによれば、ストッパーリングのねじれが軸方向の変形を伴うような場合であっても、ストッパーリングがカラーに接触しにくくなる。
【符号の説明】
【0041】
1…水栓、2…水栓本体、3…カバー、7…温調ハンドル(ハンドル)、9…カラー(カバー)、10…軸部材、11…回動軸、12…固定軸、17…リング支持部(支持部)、19…固定ナット、19a…先端部(規制部)、20…ハンドル本体、22…ロック機構、23…ストッパーリング、24…押しボタン、25…付勢部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6