(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057747
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】埋戻し材の製造方法、空洞部の埋戻し方法、埋戻し材製造装置、及び埋戻し装置
(51)【国際特許分類】
B09B 1/00 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
B09B1/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167408
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 拓雄
(72)【発明者】
【氏名】森野 弘之
(72)【発明者】
【氏名】深谷 正明
(72)【発明者】
【氏名】丹生屋 純夫
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA50
4D004AB09
4D004AC07
4D004BB04
4D004CB45
4D004CC20
(57)【要約】
【課題】乾燥状態の大径粒状物と小径粒状物とが均一に混合した埋戻し材を製造するとともに、製造した埋戻し材を利用して、空洞部を均質かつ効率よく埋め戻すことである。
【解決手段】搬送領域と混合攪拌領域を設けたスクリューフィーダに大径粒状物及び小径粒状物を供給し、前記大径粒状物及び前記小径粒状物を搬送しながら混合撹拌して埋戻し材を製造することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送領域と混合攪拌領域を設けたスクリューフィーダに大径粒状物及び小径粒状物を供給し、前記大径粒状物及び前記小径粒状物を搬送しながら混合撹拌して埋戻し材を製造することを特徴とする埋戻し材の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の埋戻し材の製造方法において、
前記埋戻し材がベントナイト混合土であり、
前記大径粒状物が礫分を含み、前記小径粒状物がベントナイトを含むことを特徴とする埋戻し材の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の埋戻し材の製造方法で製造した前記埋戻し材で地盤中の空洞部を充填する空洞部の埋戻し方法であって、
前記大径粒状物と前記小径粒状物とを前記空洞部に向けて搬送しつつ混合撹拌して前記埋戻し材を製造し、前記空洞部を充填することを特徴とする空洞部の埋戻し方法。
【請求項4】
請求項3に記載の空洞部の埋戻し方法において、
前記スクリューフィーダの排出口を、先行して製造した前記埋戻し材に埋没させつつ前記埋戻し材を連続して製造することを特徴とする空洞部の埋戻し方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の空洞部の埋戻し方法において、
前記空洞部に対する前記埋戻し材の密度を評価し、
あらかじめ設定した密度に到達した時点で、前記埋戻し材の製造を停止することを特徴とする空洞部の埋戻し方法。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1項に記載の空洞部の埋戻し方法において、
前記空洞部が、廃棄物処分場の坑道であることを特徴とする空洞部の埋戻し方法。
【請求項7】
大径粒状物と小径粒状物を搬送しつつ混合攪拌し、埋戻し材を製造する埋戻し材製造装置であって、
前記大径粒状物と前記小径粒状物を搬送する搬送領域と、
前記大径粒状物と前記小径粒状物を混合攪拌しつつ搬送する混合攪拌領域と、を有するスクリューフィーダを備えることを特徴とする埋戻し材製造装置。
【請求項8】
請求項7に記載の埋戻し材製造装置において、
前記混合攪拌領域が、前記スクリューフィーダの排出口側に配置されていることを特徴とする埋戻し材製造装置。
【請求項9】
請求項7に記載の埋戻し材製造装置において、
前記混合攪拌領域が、前記スクリューフィーダの供給口側に配置されていることを特徴とする埋戻し材製造装置。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載の埋戻し材製造装置において、
前記スクリューフィーダの供給口に、前記大径粒状物を収容する収容部と前記小径粒状物を収容する収容部とを備えるホッパーが、開閉ゲートを介して設置されていることを特徴とする埋戻し材製造装置。
【請求項11】
地盤中の空洞部を埋戻し材で充填する空洞部の埋戻し装置であって、
請求項7から10のいずれか1項に記載の埋戻し材製造装置と、
前記空洞部内に充填した前記埋戻し材の密度を評価する評価手段と、
を備えることを特徴とする埋戻し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大径粒状物と小径粒状物とを含む埋戻し材の製造方法、埋戻し材の製造方法により製造した埋戻し材で充填する空洞部の埋戻し方法、埋戻し材製造装置、及び埋戻し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地下深部に計画されている高レベル放射性廃棄物の処分場は、建設や操業を目的に地上から掘削されたアクセス坑道や連絡坑道及び主要坑道などすべての空間を、処分場の閉鎖に伴って元の状態に埋め戻すことにより、浸出水の漏洩や処分場の力学的な安全性を確保することとしている。これら坑道の埋戻しに用いる材料としては、ベントナイト混合土の採用が検討されている。
【0003】
ベントナイト混合土は、一般廃棄物や汚染土等の封じ込め工事もしくは構造物の基礎地盤工事など、高い遮水性能が要求される現場で広く一般に使用されている。例えば特許文献1では、廃棄物が処分される施設底部及び施設斜面部に形成する不透水層の材料として、ベントナイト混合土が採用されている。
【0004】
具体的には、施設斜面部には、掘削残土等の母材とベントナイトと水とを混合攪拌してベントナイト混合土を製造し、これを吹付け材料として吹き付けることにより、不透水層を形成している。一方、施設底部には、母材とベントナイトと水とを混合攪拌したのち造粒して製造した造粒物を撒き出したのち、これらを締め固めることにより不透水層を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で開示されているような、ベントナイト混合土の吹付け施工やベントナイトを主材とする造粒物の撒き出し・締固め施工は、不透水層で施設斜面部や施設底部を被覆する場合に好適である。ところが、上述した坑道のような長大かつ大容量の埋戻し空間にベントナイト混合土を充填し埋戻す方法としては、いずれの施工方法も適しているとは言えない。
【0007】
このような中、例えば土圧シールドの排土装置として利用されているスクリューフィーダ(スクリューコンベヤ)を採用して、ベントナイト混合土を坑道に搬送し埋め戻す方法が考えられる。スクリューフィーダを採用すれば、大量のベントナイト混合土を連続的に搬送できるだけでなく、ベントナイト混合土を加水しない状態で取り扱うことができる。
【0008】
しかし、ベントナイト混合土は母材とベントナイトで粒径が大きく異なることから、乾燥状態での運搬や、スクリューフィーダによる搬送時の機械振動など、様々な事象により母材とベントナイトが分離し、品質が劣化しやすい。このような品質の劣化したベントナイト混合土を埋戻し空間に充填すると、設計時に想定した透水性能を十分発揮できない事態になりかねない。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、乾燥状態の大径粒状物と小径粒状物とが均一に混合した埋戻し材を製造するとともに、製造した埋戻し材を利用して、空洞部を均質かつ効率よく埋め戻すことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため本発明の埋戻し材の製造方法は、搬送領域と混合攪拌領域を設けたスクリューフィーダに大径粒状物及び小径粒状物を供給し、前記大径粒状物及び前記小径粒状物を搬送しながら混合撹拌して埋戻し材を製造することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の埋戻し材の製造方法は、前記埋戻し材がベントナイト混合土であり、前記大径粒状物が礫分を含み、前記小径粒状物がベントナイトを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の埋戻し材の製造方法によれば、大径粒状物及び小径粒状物を、搬送領域と混合攪拌領域を設けたスクリューフィーダで搬送しながら混合撹拌する。これにより、スクリューフィーダから排出された際に、大径粒状物と小径粒状物とが均一に混合した状態を維持した高品質な埋戻し材を、連続的に製造することが可能となる。また、埋戻し材にベントナイト混合土を採用する際、乾燥状態で製造できるため、加水調整等の煩雑な作業を省略できるとともに、加水調整したベントナイト混合土と比較して施工時の取り扱いが容易となる。
【0013】
本発明の空洞部の埋戻し方法は、本発明の埋戻し材の製造方法で製造した前記埋戻し材で地盤中の空洞部を充填する空洞部の埋戻し方法であって、前記大径粒状物と前記小径粒状物とを前記空洞部に向けて搬送しつつ混合撹拌して前記埋戻し材を製造し、前記空洞部を充填することを特徴とする
【0014】
本発明の空洞部の埋戻し方法は、前記スクリューフィーダの排出口を、先行して製造した前記埋戻し材に埋没させつつ前記埋戻し材を連続して製造することを特徴とする。
【0015】
本発明の空洞部の埋戻し方法によれば、大径粒状物と前記小径粒状物とを前記空洞部に向けて搬送しつつ混合撹拌して前記埋戻し材を製造するため、埋戻し施工の作業効率を大幅に向上することが可能となる。また、スクリューフィーダの排出口を先行して空洞部を充填する埋戻し材に埋没させることで、これらを後行して製造される埋戻し材で押圧できる。これにより、空洞部を充填する埋戻し材が締め固められるため、一般には別途実施する転圧・締め固め等の作業を省略することが可能となる。
【0016】
本発明の空洞部の埋戻し方法は、前記空洞部に対する前記埋戻し材の密度を評価し、あらかじめ設定した密度に到達した時点で、前記埋戻し材の製造を停止することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の空洞部の埋戻し方法は、前記空洞部が、廃棄物処分場の坑道であることを特徴とする。
【0018】
本発明の空洞部の埋戻し方法によれば、空洞部内の埋戻し材をあらかじめ設定した密度で締め固めることができるとともに、スクリューフィーダが過負荷状態となって故障する事態を抑制することが可能となる。また、空洞部が坑道である場合には、埋戻し材の製造を停止したのち、スクリューフィーダを後退させて埋戻し材の製造を再開する工程を繰り返せば、坑道の長手方向に一様な密度で締め固めた埋戻し材を連続させることができる。
【0019】
これにより、坑道で予定する埋戻し範囲が長大な場合にも、全長に渡って均質に坑道を埋戻し材で埋め戻すことが可能となる。その一方で、坑道で予定する埋戻し範囲において、途中で周辺岩盤の性状が変化することに伴って、配合を変更して埋戻し材を製造したい場合には、スクリューフィーダへの大径粒状物と小径粒状物開閉の供給量を適宜調整することで対応できる。してみれば、埋戻し施工を中断することなく、配合変更した埋戻し材を容易に製造することができる。このように、周辺岩盤の変化に対応して埋戻し材の配合を適宜調整しつつ、連続的に坑道を埋め戻すことも可能となる。
【0020】
本発明の埋戻し材製造装置は、本発明の埋戻し材の製造方法に用いる埋戻し材製造装置であって、大径粒状物と小径粒状物を搬送しつつ混合攪拌し、埋戻し材を製造する埋戻し材製造装置であって、前記大径粒状物と前記小径粒状物を搬送する搬送領域と、前記大径粒状物と前記小径粒状物を混合攪拌しつつ搬送する混合攪拌領域と、を有するスクリューフィーダを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の埋戻し材製造装置は、前記混合攪拌領域が、前記スクリューフィーダの排出口側に配置されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の埋戻し材製造装置は、前記混合攪拌領域が、前記スクリューフィーダの供給口側に配置されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の埋戻し材製造装置は、前記スクリューフィーダの供給口に、前記大径粒状物を収容する大径収容部と前記小径粒状物を収容する小径収容部とを備えるホッパーが、開閉ゲートを介して設置されていることを特徴とする。
【0024】
本発明の埋戻し材製造装置によれば、ホッパーに大径粒状物と小径粒状物が供給されると、これらを搬送しつつ混合攪拌して埋戻し材を製造し、搬送先で埋戻し材を排出することができる。このため、現場内に埋戻し材を製造するためのプラント等の設備を別途設ける必要がない。また、ホッパーが、開閉ゲートを介してスクリューフィーダに設置されていることから、大径粒状物及び小径粒状物の供給量を開閉ゲートを介して適宜変更すれば、配合の異なる埋戻し材を容易に製造することが可能となる。
【0025】
本発明の埋戻し装置は、地盤中の空洞部を埋戻し材で充填する空洞部の埋戻し装置であって、本発明の埋戻し材製造装置と、前記空洞部内に充填した前記埋戻し材の密度を評価する評価手段と、を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明の埋戻し装置によれば、埋戻し材の製造、空洞部への搬入及び充填、空洞部に充填した埋戻し材の締固め及び出来形管理に至る、埋戻し施工に係る一連の作業を、この埋戻し装置で賄うことができる。したがって、埋戻し施工の効率化を図ることができ、工費削減及び工期短縮に寄与することが可能となる。また、大径粒状物と小径粒状物を供給する設備をさらに搭載すれば、埋戻し施工の自動化を図ることも可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、乾燥状態の大径粒状物と小径粒状物とが均一に混合した埋戻し材を製造するとともに、製造した埋戻し材を利用して、空洞部を均質かつ効率よく埋め戻すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態における高レベル放射性廃棄物処分場の概略を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態における埋戻し材製造装置を示す図である(その1)。
【
図3】本発明の実施形態における埋戻し材製造装置を示す図である(その2)。
【
図4】本発明の実施形態における埋戻し材製造装置を示す図である(その3)。
【
図5】本発明の実施形態における埋戻し材製造装置を示す図である(その4)。
【
図6】本発明の実施形態における埋戻し材製造装置を示す図である(その5)。
【
図7】本発明の実施形態における埋戻し装置を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態におけるアクセス坑道を埋め戻す手順を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態における散乱型のRI密度計を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態における埋戻し材の密度を評価する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、スクリューコンベヤを利用して乾燥状態の大径粒状物と小径粒状物を搬送しつつ混合攪拌することで、これらが均一に混合した高品質な埋戻し材を連続的にスクリューコンベヤから排出させ、空洞部を均質かつ効率よく埋め戻すものである。
【0030】
以下に、高レベル放射性廃棄物処分場のアクセス坑道を埋め戻す場合を事例に挙げ、
図1~
図10を参照しつつ、埋戻し材の製造方法、空洞部の埋戻し方法、埋戻し材製造装置、及び埋戻し装置を説明する。
【0031】
本実施の形態において、大径粒状物と小径粒状物は粒径2mmを閾値とし、閾値を超える粒状物を大径粒状物、閾値以下を小径粒状物に分類して取り扱うが、閾値は、粒径2mmに限定するものではなく適宜変更可能である。また、大径粒状物と小径粒状物が土質材料を含む場合に、乾燥状態とは絶乾状態だけでなく、気乾状態及び表乾状態を含むものとする。
【0032】
≪≪≪高レベル放射性廃棄物処分場≫≫≫
図1(a)で示すように、地下深部に計画されている高レベル放射性廃棄物の処分場10は、地下深部に設けられる処分坑道11と、処分坑道11に連絡する連絡坑道12と、連絡坑道12から地上に延びるアクセス坑道13とを備える。操業中は、アクセス坑道13及び連絡坑道12を利用して廃棄物を処分坑道11に搬送し、廃棄物に適切な処理を行ってこの処分坑道11で処分する。
【0033】
また、処分場10を閉鎖する場合には、処分坑道11及び連絡坑道12を充填物で充填しプラグ等で閉鎖することにより、充填物の移動や流出を抑制する。また、アクセス坑道13は、埋戻し材Mで均一に閉鎖し、掘削する前の元の状態に戻す。埋戻し材Mは、周辺岩盤と同程度の低透水性と、アクセス坑道13を均一に閉鎖し周辺岩盤となじんで間隙を生じさせない自己シール性が求められる。このため、埋戻し材Mには、ベントナイト混合土を採用している。
【0034】
ベントナイト混合土は現場で製造されるもので、現地発生土を母材とし、この母材に室内試験等の結果に基づいて設計した配合量のベントナイトを混合して、所望の遮水性能を確保する。上記の高レベル放射性廃棄物の処分場10は、地下深部の安定した岩盤に設けられることから、この岩盤の掘削ずりを母材として採用する。つまり、アクセス坑道13の埋戻し材Mは、
図1(b)で示すように、掘削ずりを破砕して粒度調整を行うことにより取得した礫分M1と、ベントナイトを含む細粒分M2とを混合して製造する。
【0035】
礫分M1は、粒径が2~75mm程度に粒度調整されて、大径粒状物に分類される。細粒分M2は、ベントナイトを含み、粒径が2mm以下に粒度調整されて、小径粒状物に分類される。なお、細粒分M2は、ベントナイトのみでもよいし、2mm程度以下であれば砂分など他の土質材料が含まれてもよい。また、ベントナイト混合土は、礫分M1と細粒分M2だけでなく、粒径2mmを超えるベントナイトの造粒物を含んでもよい。この場合、礫分M1とベントナイトの造粒物が大径粒状物に分類され、細粒分M2が小径粒状物に分類される。
【0036】
上記のベントナイト混合土を製造するにあたっては、
図2で示すような、混合攪拌領域20Aと搬送領域20Bとを有するスクリューフィーダ20を備えた埋戻し材製造装置MDを採用する。こうすると、大径粒状物である礫分M1と小径粒状物である細粒分M2とを搬送しながら混合攪拌できる。
【0037】
このため、スクリューフィーダ20から排出した際、礫分M1と細粒分M2とが均一に混合した状態を維持した、高品質なベントナイト混合土を埋戻し材Mとして製造することができる。また、ベントナイト混合土を乾燥状態で製造できるため、加水調整などの煩雑な作業を省略できるとともに、加水調整を行う場合と比較して、ベントナイト混合土の施工時の取り扱いが容易となる。
【0038】
以下に、埋戻し材Mを製造する埋戻し材製造装置MDについて、詳細を説明する。また、埋戻し材製造装置MDを搭載した埋戻し装置BDについても、併せて説明する。本実施の形態では、
図1(b)で示すような、礫分M1と細粒分M2よりなるベントナイト混合土を埋戻し材Mの事例に挙げて説明するが、埋戻し材製造装置MDにより製造可能な埋戻し材Mは、上記のベントナイト混合土に限定されるものではない。大径粒状物と小径粒状物を混合攪拌することで製造できれば、いずれの埋戻し材Mにも採用可能である。
【0039】
≪≪≪埋戻し材製造装置MD≫≫≫
埋戻し材製造装置MDは、
図2(a)の断面図及び
図2(b)の平面図で示すように、スクリューフィーダ20とスクリューフィーダ20各々に設置されたホッパー30とを備えている。
【0040】
ホッパー30は、ホッパー本体31と開閉ゲート32a、32bとを備え、ホッパー本体31内には仕切り部材313が立設されている。これによりホッパー本体31の内空部が2分割され、一方側に大径収容部311が形成され、他方側に小径収容部312が形成されている。そして、ホッパー本体31とスクリューフィーダ20との接続部に、開閉ゲート32a、32bが装備されている。
【0041】
開閉ゲート32a、32bは、いずれもスクリューフィーダ20との接続部を開状態とした際に、その開度を調整可能に構成されている。これにより、ホッパー本体31からスクリューフィーダ20に供給する礫分M1及び細粒分M2各々の供給量を調整自在となっている。
図2では、開閉ゲート32a、32bの形状をスライド式にしたが、開度を調整できれば、その形状はいずれでもよい。
【0042】
スクリューフィーダ20は、有軸型を採用しており、軸部21と、軸部21周りに装着されたスクリュー羽根22を備えている。また、軸部21の一端側にはこれを回転するモーター23が備えられ、軸部21及びスクリュー羽根22は、トラフ24に内包されている。トラフ24は、モーター23側の一端側にホッパー30が接続された供給口242を備え、他端に埋戻し材Mを排出する排出口241が設けられている。
【0043】
≪≪混合攪拌領域20Aが排出口241側にある場合≫≫
このような構成のスクリューフィーダ20は、
図2(a)で示すように、排出口241側に混合攪拌領域20Aが設定され、供給口242側に搬送領域20Bが設けられている。搬送領域20Bは、ホッパー30から供給された礫分M1と細粒分M2とを混合攪拌することなく、混合攪拌領域20Aに向けて搬送する領域である。このため、スクリュー羽根22は、一般に粒状物を搬送する際に採用される羽根ピッチで軸部21に装着されている。
【0044】
一方、混合攪拌領域20Aは、搬送領域20Bから搬送された礫分M1と細粒分M2とを混合攪拌し、埋戻し材Mを製造するとともに排出口241に向けて搬送する領域である。このため、スクリュー羽根22は、搬送領域20Bより羽根ピッチが広く形成された状態で軸部21に装着されている。このように、羽根ピッチを広く形成すると、礫分M1と細粒分M2が回転するスクリュー羽根22の間に滞留する時間を稼ぐことができる。この期間中に礫分M1と細粒分M2とは、スクリュー羽根22とともに回転することで搬送されつつ混合攪拌される。これにより埋戻し材Mが製造されるとともに、排出口241に向かって排出される。
【0045】
混合攪拌領域20Aにおいて、礫分M1と細粒分M2とを混合攪拌し埋戻し材Mを製造するための構成は、スクリュー羽根22に対する羽根ピッチの調整に限定されるものではない。
【0046】
図3(a)では、混合攪拌領域20Aの範囲に位置するスクリュー羽根22に対して、軸部21と平行に延在する攪拌棒25を複数設ける構成を例示している。また、
図3(b)では、混合攪拌領域20Aの範囲に位置する軸部21に対して攪拌棒25を、軸部21と直交する方向に延在するようにして複数装着する構成を例示している。これにより、搬送領域20Bから搬送された礫分M1と細粒分M2とは、混合攪拌領域20A内でスクリュー羽根22により搬送されつつ、攪拌棒25により混合攪拌される。これにより、埋戻し材Mが製造され、排出口241に向かって排出される。
【0047】
さらに、
図4では、混合攪拌領域20Aの範囲に攪拌翼26を設ける構成を例示している。具体的には、スクリューフィーダ20の軸部21が、外軸21aとこの外軸21aを貫通する内軸21bとにより構成され、外軸21aはトラフ24より短く形成されている。また、内軸21bは排出口241に達する長さを有しているため、内軸21bが排出口241の近傍で外軸21aから露出した状態となっている。
【0048】
これを利用して、スクリューフィーダ20の供給口242から外軸21aの先端まで領域が搬送領域20Bとし、外軸21aにスクリュー羽根22を装着している。一方、外軸21aの先端からスクリューフィーダ20の排出口241までの領域を混合攪拌領域20Aとし、露出した内軸21bに攪拌翼26を設置している。
【0049】
また、外軸21aと内軸21bは各々軸回りに回転自在となっており、供給口242側に各々のモーター23a、23bが設けられている。これにより、外軸21aと内軸21bが回転すると、搬送領域20Bから搬送された礫分M1と細粒分M2とは、混合攪拌領域20Aで回転する攪拌翼26により混合攪拌されて埋戻し材Mが製造され、排出口241に向かって排出される。なお、攪拌翼26が装着された内軸21bは、外軸21aと比較して高速で回転するよう設定されている。
【0050】
≪≪混合攪拌領域20Aが供給口242側にある場合≫≫≫
一方、スクリューフィーダ20は、供給口242側に混合攪拌領域20Aを設定し、排出口241側に搬送領域20Bを設定してもよい。この場合、混合攪拌領域20Aでは、ホッパー30から供給された礫分M1と細粒分M2とを混合攪拌し、埋戻し材Mを製造するとともに、搬送領域20Bに搬送する。搬送領域20Bでは、混合攪拌領域20Aで製造された埋戻し材Mを排出口241に向けて搬送し、排出する。
【0051】
例えば、
図5(a)では、排出口241側に位置する搬送領域20Bにおいて、軸部21にスクリュー羽根22が設置され、供給口242側に位置する混合攪拌領域20Aにおいて、軸部21とトラフ24の内周面に複数のパドル羽根27が設置されている。パドル羽根27は、粉粒体を混合する際に広く一般に使用されるパドルミキサに備えられており、軸部21の回転に伴って粉粒体を救い上げるようにして混合攪拌する。したがって、混合攪拌領域20Aでは、ホッパー30から供給された礫分M1と細粒分M2とを、回転する軸部21に装着されたパドル羽根27とトラフ24のパドル羽根27とにより混合攪拌し、埋戻し材Mを製造するとともに、搬送領域20Bに搬送できる。
【0052】
混合攪拌領域20Aにパドル羽根27を採用する構成は、上記に限定されるものではない。
図5(b)で示すように、軸部21との間に間隔を設けて追加軸部21’を並列配置してスクリューフィーダ20を2軸型とし、両者にパドル羽根27を設置する構成としてもよい。追加軸部21’も軸回りに回転可能となっており、供給口242側にモーター23cが設けられている。したがって、混合攪拌領域20Aでは、ホッパー30から供給された礫分M1と細粒分M2とを、回転する軸部21及び追加軸部21’の両者に装着されたパドル羽根27により混合攪拌し、埋戻し材Mを製造するとともに、搬送領域20Bに搬送できる。
【0053】
また、混合攪拌領域20Aに備えたスクリューフィーダ20を、軸部21とこれに平行な追加軸部21’との2軸型とする場合には、
図6(a)(b)で示すように、パドル羽根27に代えてスクリュー羽根22と攪拌棒25を備える構成としてもよい。
【0054】
例えば、
図6(a)では複数の攪拌棒25を、スクリュー羽根22とともに、軸部21と追加軸部21’に設置している。このとき、複数の攪拌棒25は軸部21及び追加軸部21’と直交して設ける。また、
図6(b)では、軸部21と追加軸部21’にスクリュー羽根22を設け、このスクリュー羽根22に攪拌棒25を設置している。スクリュー羽根22に設ける攪拌棒25は、軸部21及び追加軸部21’と平行に設ける。これにより、混合攪拌領域20Aでは、ホッパー30から供給された礫分M1と細粒分M2とを軸部21もしくはスクリュー羽根22に装着された攪拌棒25により混合攪拌し、埋戻し材Mを製造するとともに、製造した埋戻し材Mをスクリュー羽根22で搬送領域20Bに搬送できる。
【0055】
≪≪埋戻し装置BD≫≫
埋戻し装置BDは、
図7で示すように、上記の埋戻し材製造装置MDを搭載した走行体40と、材料供給車50と、密度評価手段60と、防塵板70と、を備えている。
【0056】
走行体40は埋戻し装置BDを支持しており、クローラー41を備えた車体42と、車体42の上面にスライド自在に積載されたスライド架台43と、スライド架台43上に設置された支持架台44と、を備える。支持架台44は、スクリューフィーダ20を支持している。また、スライド架台43の後側面と車体42の立ち上がり部との間には、反力受け部材45が介装されている。反力受け部材45は、スクリューフィーダ20がスライド架台43を介して車体42上を後退する挙動を示した際に、これを抑制する。
【0057】
これらスライド架台43と反力受け部材45は、アクセス坑道13内で埋戻し材Mを締め固める作業を補助する。つまり、スクリューフィーダ20の排出口241を、先行して製造した埋戻し材Mに埋没させた状態で、連続的に埋戻し材Mを製造し排出すると、アクセス坑道13内で埋戻し材Mの密度が高まり、さらに埋戻し材Mを排出し続けると、スクリューフィーダ20がスライド架台43を介して後退する挙動を示すが、反力受け部材45を介してクローラー41を備えた車体42でこれに抵抗する。これにより、新たに製造される埋戻し材Mで、アクセス坑道13内の埋戻し材Mを押圧する態様となるため、これら埋戻し材Mを締め固めることが可能となる。
【0058】
材料供給車50は、スクリューフィーダ20及び走行体40の後方に配置され、土槽51と、バケット52と、細粒分槽53とを備える。これらはいずれも走行体40とともに、アクセス坑道13内を移動自在に構成されている。
【0059】
土槽51には礫分M1が収容され、バケット52の上方に移動すると、その底部から礫分M1をバケット52に向けて投下する。バケット52には、スクリューコンベヤ等の搬送装置521が設けられ、搬送装置521を介して礫分M1がホッパー30の大径収容部311に投下する。また、細粒分槽53には細粒分M2が収容されとともに、スクリューコンベヤ等の搬送装置531が設けられている。これにより、細粒分M2はこの搬送装置531を介してホッパー30の小径収容部312に投下される。
【0060】
そして、密度評価手段60は、アクセス坑道13内を充填する埋戻し材Mの密度を評価するため、また、スクリューフィーダ20が過負荷状態となって故障する事態を抑制するために設ける装備である。
図7では、RI密度計62をスクリューフィーダ20の排出口241近傍に設置した事例を示している。また、後述する
図8では、密度評価手段60として、走行体40の反力受け部材45に圧縮型ロードセル61を設置する事例を示している。密度評価手段60の詳細については後述する。
【0061】
このような埋戻し装置BDには、
図7で示すように、走行体40にアクセス坑道13の断面を塞ぐ防塵板70が設けられており、アクセス坑道13を充填する埋戻し材Mの崩落や細粒分M2の飛散を防止している。なお、防塵板70は必ずしも設置しなくてもよい。
【0062】
上記の埋戻し材製造装置MDを搭載した埋戻し装置BDを用いて埋戻し施工を実施すると、埋戻し材Mの製造、アクセス坑道13への搬入及び充填、締固め、さらには出来形管理に至る、埋戻し施工に係る一連の作業を賄うことができる。以下に、上記の埋戻し装置BDを利用して、アクセス坑道13を埋め戻す手順を説明する。
【0063】
≪≪≪空洞部の埋戻し方法≫≫≫
まず、
図8(a)で示すように、アクセス坑道13内の所定位置に埋戻し装置BDを据え付けたのち、材料供給車50からホッパー30の大径収容部311及び小径収容部312に、礫分M1と細粒分M2を連続的もしくは断続的に供給する、また、スクリューフィーダ20を稼働させるとともに、開閉ゲート32a、32bを開状態にする。
【0064】
開閉ゲート32a、32bはあらかじめ、礫分M1と細粒分M2が設計した配合量でスクリューフィーダ20へ供給されるよう、開度などを設定しておく。すると、スクリューフィーダ20は、礫分M1と細粒分M2を搬送領域20B及び混合攪拌領域20Aを経由させることにより搬送しつつ混合攪拌し、埋戻し材Mを連続的に製造し排出口241に向けて排出する。
【0065】
アクセス坑道13で連続して埋戻し材Mが排出されると、
図8(b)で示すように、スクリューフィーダ20の排出口241が埋戻し材Mに埋没する。この状態で、礫分M1及び細粒分M2の搬送を継続し、アクセス坑道13を埋戻し材Mで充填しつつ、充填した埋戻し材Mの密度を高めていく。前述したように、密度が高まると、新たに製造される埋戻し材Mで、アクセス坑道13を充填している埋戻し材Mを押圧する態様となり、徐々に締め固められていく。
【0066】
このように、アクセス坑道13で埋戻し材Mを製造しつつ充填する作業は、密度評価手段60で取得した出力値とあらかじめ設定した評価基準とを照らし合わせて、埋戻し材Mの密度を評価しながら実施する。評価基準は採用する密度評価手段60ごとに、所望の密度に対応させて設定し、評価基準に到達した時点で埋戻し装置BDを停止する、つまり、埋戻し材Mの製造を停止する。これにより、アクセス坑道13内の埋戻し材Mを所望の密度で締め固めることができるとともに、スクリューフィーダ20が過負荷状態となって故障する事態を抑制することが可能となる。
【0067】
こののち、
図8(c)で示すように、走行体40を利用して埋戻し装置BDを所定量後退させ、埋戻し材Mからスクリューフィーダ20を引き抜く。アクセス坑道13で予定する埋戻し範囲を埋め戻すまで、上記の作業を繰り返し実施する。これにより、アクセス坑道13の長手方向に、一様な密度で締め固めた埋戻し材Mを連続させることができ、アクセス坑道13で予定する埋戻し範囲全長に渡って均質な出来形を実現できる。
【0068】
その一方で、アクセス坑道13に予定する埋戻し範囲の途中で、周辺岩盤の性状が変化することに伴って、礫分M1と細粒分M2の配合を変更して埋戻し材Mを製造したい場合は、開閉ゲート32a、32bの開度などを適宜変更する。これにより、埋戻し施工を中断することなく、配合変更した埋戻し材Mを容易に製造し、充填することが可能となる。
【0069】
≪≪埋戻し材Mの密度を評価する評価手段≫≫
上記の空洞部の埋戻し方法において、埋戻し材Mの密度を評価するための密度評価手段60として、
図8では、走行体40の反力受け部材45に設けた圧縮型ロードセル61を、
図7では、スクリューフィーダ20の排出口241近傍に設けた挿入式散乱型のRI密度計62を、また、
図2では、スクリューフィーダ20に備えられ、モーター電流もしくは回転トルクが記録されるデータロガー65を、それぞれ採用している。以下に、圧縮型ロードセル61、RI密度計62、データロガー65を利用した密度の評価方法について説明する。
【0070】
≪圧縮型ロードセル(圧縮荷重)を利用する場合≫
圧縮型ロードセル61は、反力受け部材45に作用する圧縮方向の荷重を測定するものである。
図8(b)で示すように、埋戻し装置BDでは、アクセス坑道13内で埋戻し材Mの密度が高まると、スクリューフィーダ20がスライド架台43を介して車体42上を後退する挙動を示す。これを、反力受け部材45を介してクローラー41を備えた車体42で抵抗する構成としている。
【0071】
そこで、反力受け部材45に圧縮型ロードセル61を設け、圧縮方向の荷重(後退力)を測定することで、アクセス坑道13を充填する埋戻し材Mの密度を評価する。その評価方法は、あらかじめ埋戻し材Mが所望の密度に到達した際の荷重を求めておき、これを評価基準として設定しておく。そのうえで、埋戻し施工中に圧縮型ロードセル61の測定値が評価基準に到達したところで、埋戻し施工を停止する。
【0072】
≪RI密度計(散乱γ線数)を利用する場合≫
挿入式散乱型のRI密度計62は、土の密度を測定する手段として利用されており、
図7で示すように、スクリューフィーダ20の排出口241近傍など、アクセス坑道13に充填された埋戻し材Mに埋設可能な位置に装着している。
【0073】
RI密度計62は、
図9で示すように、γ線を放出するセシウム137(Cs137)が装着されているγ線源部621と、検出器622とを備え、γ線源部621から放射され埋戻し材Mの中で散乱したのち、検出器622に入射した散乱γ線数を検出する装置である。γ線は通過経路の密度が大きいと吸収されることが知られている。そこで、評価方法としては、あらかじめ試験を行って埋戻し材Mが所望の充填度に到達した際の密度に対応するRI密度計62の出力値を評価基準として設定しておく。そのうえで、埋戻し施工中にRI密度計62の測定値が評価基準に到達したところで、埋戻し施工を停止する。
【0074】
≪データロガー(モーター電流もしくは回転トルク)を利用する場合≫
図2(a)で示すように、スクリューフィーダ20に備えたデータロガー65には、モーター23のモーター電流及び軸部21の回転トルクなどの情報を読み取り記録されている。そこで、評価方法としては、あらかじめ埋戻し材Mが所望の密度に到達した際の電流値及び回転トルクを求めておき、これを評価基準として設定しておく。そのうえで、埋戻し施工中にデータロガー65に記録された電流値もしくは回転トルクが、評価基準に到達したところで埋戻し施工を停止する。モーター23のモーター電流及び軸部21の回転トルクは両者を評価してもよいし、いずれか一方を評価してもよい。
【0075】
上記の圧縮型ロードセル61、RI密度計62、及びデータロガー65を用いた評価方法はそれぞれ、埋戻し材Mの密度を直接評価する方法である。しかし、これらに限定するものではなく、間接的に評価する方法を採用してもよい。
【0076】
≪≪荷重センサによる推定≫≫
例えば、
図10(a)には、スクリューフィーダ20の排出口241近傍に、ロードセルなどの荷重センサ63を設ける場合を事例に挙げている。荷重センサ63はトラフ24の上面であって、埋戻し施工で埋戻し材Mに埋没する範囲内に設ける。その数量は何ら限定されるものではないが、スクリューフィーダ20の軸線方向に複数設置しておき、各々から出力される出力値の平均値や中間値などを採用すると、信頼性の高い出力値を取得することができる。
【0077】
密度の評価方法としては、あらかじめ試験を行って埋戻し材Mの密度と荷重センサ63の出力値との関係を確認し、埋戻し材Mが所望の密度に到達した際の荷重センサ63の出力値を評価基準として設定しておく。そのうえで、埋戻し施工中に荷重センサ63の出力値が評価基準に到達したところで、埋戻し施工を停止する。
【0078】
≪≪レーザー変位計による推定≫≫
また、
図10(b)には、スクリューフィーダ20に、レーザー変位計64を設ける場合を事例に挙げている。レーザー変位計64はトラフ24の上面であって、埋戻し施工で埋戻し材Mに埋没される範囲から離間した位置に設ける。レーザー変位計64は、埋戻し材Mの表面に向けてレーザー光線を照射しするとともに、その反射光を受光することで、レーザー変位計64から埋戻し材Mの表面までの距離を非接触で測定できる。
【0079】
したがって、密度の評価方法としては、あらかじめ試験を行って埋戻し材Mが所望の密度に到達した際の、レーザー変位計64から埋戻し材Mの表面までの距離を求めておき、これを評価基準として設定しておく。そのうえで、埋戻し施工中にレーザー変位計64の出力値が評価基準に到達したところで、埋戻し施工を停止する。
【0080】
なお、荷重センサ63及びレーザー変位計64の出力値はいずれも、埋戻し材Mの密度を直接的に評価できるものではない。したがって、上記の圧縮型ロードセル61やRI密度計62、データロガー65を併用し、これらの出力値とともに密度を評価すると、より高い精度で出来形管理を行うことが可能となる。
【0081】
上記のとおり、空洞部の埋戻し方法によれば、乾燥状態の礫分M1と細粒分M2とが均一に混合したベントナイト混合土である埋戻し材Mを容易に製造することができる。また、製造した埋戻し材Mを利用して、アクセス坑道13を均質かつ効率よく埋め戻すことが可能となる。
【0082】
本発明の埋戻し材の製造方法、空洞部の埋戻し方法、埋戻し材製造装置、及び埋戻し装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0083】
例えば、本実施の形態では、
図7で示ように、埋戻し材製造装置MDにスクリューフィーダ20を1台のみ設けたが、同様のスクリューフィーダ20を複数準備し、間隔を設けて並列配置する構成としてもよい。
【0084】
また、本実施の形態では、埋戻し装置BDを利用して埋戻し材Mを充填する方法を、アクセス坑道13に対して直接実施したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、加水調整などして製造したベントナイト混合土を、アクセス坑道13の壁面に吹き付けたり、底面に撒き出し・締固めしたのち、これらに囲まれた空隙を埋戻し材Mで充填し埋め戻すなど、他の工法を併用してアクセス坑道13を埋戻してもよい。
【0085】
また、埋戻し装置BDを利用して埋め戻す空洞部は、高レベル放射性廃棄物の処分場10におけるアクセス坑道13に限定されるものではなく、いずれの空間にも適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
10 処分場
11 処分坑道
12 連絡坑道
13 アクセス坑道(空洞部)
20 スクリューフィーダ
21 軸部
21a 外軸
21b 内軸
22 スクリュー羽根
23 モーター
23a モーター
23b モーター
23c モーター
24 トラフ
241 排出口
242 供給口
25 攪拌棒
26 攪拌翼
27 パドル羽根
30 ホッパー
31 ホッパー本体
311 大径収容部
312 小径収容部
313 仕切り部材
32a 開閉ゲート
32b 開閉ゲート
40 走行体
41 クローラー
42 車体
43 スライド架台
44 支持架台
45 反力受け部材
50 材料供給車
51 土槽
52 バケット
521 搬送装置
53 細粒分槽
531 搬送装置
60 密度評価手段
61 圧縮型ロードセル
62 RI密度計
63 荷重センサ
64 レーザー変位計
65 データロガー
70 防塵板
M 埋戻し材
M1 礫分(大径粒状物)
M2 細粒分(小径粒状物)
MD 埋戻し材製造装置
BD 埋戻し装置