IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プライムアースEVエナジー株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人 千葉大学の特許一覧

特開2023-57786溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法
<>
  • 特開-溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法 図1
  • 特開-溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法 図2
  • 特開-溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法 図3
  • 特開-溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法 図4
  • 特開-溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法 図5
  • 特開-溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法 図6
  • 特開-溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法 図7
  • 特開-溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法 図8
  • 特開-溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法 図9
  • 特開-溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法 図10
  • 特開-溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057786
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20230417BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20230417BHJP
   H01M 50/169 20210101ALI20230417BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
B23K26/00 P
B23K26/21 P
H01M50/169
H01M10/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167453
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】浅倉 拓也
(72)【発明者】
【氏名】津村 徳道
【テーマコード(参考)】
4E168
5H011
5H028
【Fターム(参考)】
4E168BA13
4E168BA30
4E168BA87
4E168CA03
4E168CA05
4E168CA06
4E168CB02
5H011AA09
5H011DD13
5H011DD26
5H028BB01
5H028BB03
5H028BB11
5H028BB17
(57)【要約】
【課題】溶接品質を高精度に評価できるようにした溶接品質評価装置を提供する。
【解決手段】レーザ発振器22から照射されたレーザ光は、コリメーションレンズ24および集光レンズ26を介して溶接対象箇所に照射される。溶接対象箇所におけるレーザ光の反射光は、ダイクロイックミラー28および反射鏡30を介してカメラ32a,32bに入射する。溶接制御装置40の処理装置42は、評価写像データDMによって規定される評価写像に画像データDpa,Dpbの時系列データを入力することによって、時系列データに応じた溶接の品質を示す変数値を算出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行装置と、記憶装置と、を備え、
前記記憶装置には、評価写像データが記憶されており、
前記評価写像データは、時系列データに応じた溶接の品質の評価結果を出力する写像である評価写像を規定するデータであり、
前記時系列データは、レーザ溶接が施される対象物に照射されたレーザ光の反射光に応じた画像データの互いに異なるタイミングにおける複数のデータであり、
前記実行装置は、
前記画像データを取得する反射光画像取得処理と、
前記反射光画像取得処理によって取得された前記画像データの前記時系列データを前記評価写像に入力することにより、前記評価写像の出力を算出することによって、前記溶接の品質を評価する評価処理と、を実行する溶接品質評価装置。
【請求項2】
前記評価写像の出力は、溶接がなされた所定の領域に占めるポロシティが生じている割合を示す変数の値であり、
前記所定の領域は、前記時系列データに含まれる前記画像データが示す領域である請求項1記載の溶接品質評価装置。
【請求項3】
前記対象物における前記レーザ光の照射位置の移動速度は変化しうるものであり、
前記評価処理は、前記変数の値と判定値との大小比較に基づき、前記溶接の品質を評価する処理であって且つ、前記移動速度が大きい場合の前記判定値が前記移動速度が小さい場合の前記判定値以下となるように、前記移動速度に応じて前記判定値を変更する処理を含む請求項2記載の溶接品質評価装置。
【請求項4】
前記評価写像の出力は、互いに異なるn個のタイミングにおける前記画像データとしての前記時系列データが入力される都度生成され、
前記評価処理は、前記評価写像の出力を算出する出力算出処理を含み、
前記評価処理においては、前記出力算出処理が繰り返し実行され、
前記出力算出処理の繰り返しは、前記レーザ溶接の進行に伴って順次生成される前記画像データのうちの「k-n+1」番目のタイミングから「k」番目のタイミングまでの互いに異なるn個のタイミングのそれぞれにおける前記画像データを入力として実行された処理の次には、「k-n+1+m」を新たに前記「k-n+1」としつつ実行される処理であり、
前記「k」,「m」,「n」は自然数であって且つ、「k≧n,m<n」である請求項1~3のいずれか1項に記載の溶接品質評価装置。
【請求項5】
前記画像データは、前記反射光のうちの互いに異なる複数の波長領域の光を選択的に用いた互いに異なる複数の画像データの組であり、
前記時系列データは、前記画像データの組についての互いに異なるタイミングにおけるデータからなる請求項1~4のいずれか1項に記載の溶接品質評価装置。
【請求項6】
前記評価写像データは、第1写像データと、第2写像データとを備え、
前記第1写像データは、前記時系列データを構成するそれぞれの前記画像データを入力として当該画像データの特徴量を出力する写像である第1写像を規定するデータであり、
前記第2写像データは、前記特徴量の時系列データに応じた前記評価結果を出力する写像である第2写像を規定するデータである請求項1~5のいずれか1項に記載の溶接品質評価装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の溶接品質評価装置における前記評価写像データを生成する方法であって、
前記レーザ溶接がなされた後に、前記レーザ溶接がなされた領域のX線画像を取得するX線画像取得工程と、
前記レーザ溶接が描く線である溶接ラインに前記X線画像が示すポロシティを投影する投影工程と、
前記溶接ラインのうち前記画像データが示す区間を特定する特定工程と、
前記特定工程によって特定された区間内の前記溶接ライン上における前記投影工程によって投影された前記ポロシティの有無に基づき、前記評価写像データの訓練データを生成する工程と、を有する評価写像データの生成方法。
【請求項8】
請求項6記載の溶接品質評価装置における前記評価写像データを生成する方法であって、
前記第2写像の出力に応じて前記第1写像データを学習する学習工程を有する評価写像データの生成方法。
【請求項9】
蓄電池のケースのレーザ溶接による封かん工程を有した蓄電池の製造方法において、
前記封かん工程において、請求項1~6のいずれか1項に記載の溶接品質評価装置における前記実行装置に前記反射光画像取得処理および前記評価処理を実行させ、
前記実行装置による前記評価処理は、ポロシティの存在が許容範囲内であるか否かを判定する処理を含み、
前記ポロシティの存在が許容範囲内であると判定されることを条件に前記ケース内に液体を注入する注入工程を有する蓄電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接品質評価装置、評価写像データの生成方法、および蓄電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば下記特許文献1には、レーザ溶接の品質を評価する装置が記載されている。この装置は、レーザ光の反射光が入射されるカメラによって画像データを生成する。そして、画像データを畳み込みニューラルネットワークに入力したときのその出力によって、溶接の品質を評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-163413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、画像データが入力された畳み込みニューラルネットワークの出力による溶接品質の評価精度は必ずしも十分でないことを発明者が見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.実行装置と、記憶装置と、を備え、前記記憶装置には、評価写像データが記憶されており、前記評価写像データは、時系列データに応じた溶接の品質の評価結果を出力する写像である評価写像を規定するデータであり、前記時系列データは、レーザ溶接が施される対象物に照射されたレーザ光の反射光に応じた画像データの互いに異なるタイミングにおける複数のデータであり、前記実行装置は、前記画像データを取得する反射光画像取得処理と、前記反射光画像取得処理によって取得された前記画像データの前記時系列データを前記評価写像に入力することにより、前記評価写像の出力を算出することによって、溶接の品質を評価する評価処理と、を実行する溶接品質評価装置である。
【0006】
レーザ溶接において、レーザの反射光の強度変化のパターンによって、熟練者は直感的に溶接の品質が低くなることを感知できる傾向にある。一方、上記評価写像は、画像データの時系列データに基づき評価結果を出力する。したがって、評価結果の出力に用いられるデータには、レーザの反射光の強度変化の情報が含まれている。そのため、評価写像を、溶接の品質の低下に対応するレーザの反射光の強度変化のパターンを学習した学習済みモデルとすることができる。そのため、上記構成では、評価写像を用いることによって、溶接品質を高精度に評価することができる。
【0007】
2.前記評価写像の出力は、溶接がなされた所定の領域に占めるポロシティが生じている割合を示す変数の値であり、前記所定の領域は、前記時系列データに含まれる前記画像データが示す領域である上記1記載の溶接品質評価装置である。
【0008】
上記構成では、変数の値に応じて、リーク検査によってリークが検知される可能性があるか否かを高精度に判定できる。これに対し、ポロシティの有無を示すのみの場合には、リーク検査によってリークが検知されるおそれがないにもかかわらず、ポロシティ有との判定結果となることにより、リーク検査が無駄になされるおそれがある。
【0009】
3.前記対象物における前記レーザ光の照射位置の移動速度は変化しうるものであり、前記評価処理は、前記変数の値と判定値との大小比較に基づき、前記溶接の品質を評価する処理であって且つ、前記移動速度が大きい場合の前記判定値が前記移動速度が小さい場合の前記判定値以下となるように、前記移動速度に応じて前記判定値を変更する処理を含む上記2記載の溶接品質評価装置である。
【0010】
上記構成では、移動速度が判定値に応じて少なくとも2値以上の値のいずれかに選択的に設定される。そのため、判定値を固定値とする場合と比較して、判定値以上となるときの上記割合が移動速度によって変動することを抑制できる。
【0011】
4.前記評価写像の出力は、互いに異なるn個のタイミングにおける前記画像データとしての前記時系列データが入力される都度生成され、前記評価処理は、前記評価写像の出力を算出する出力算出処理を含み、前記評価処理においては、前記出力算出処理が繰り返し実行され、前記出力算出処理の繰り返しは、前記レーザ溶接の進行に伴って順次生成される前記画像データのうちの「k-n+1」番目のタイミングから「k」番目のタイミングまでの互いに異なるn個のタイミングのそれぞれにおける前記画像データを入力として実行された処理の次には、「k-n+1+m」を新たに前記「k-n+1」としつつ実行される処理であり、前記「k」,「m」,「n」は自然数であって且つ、「k≧n,m<n」である上記1~3のいずれか1項に記載の溶接品質評価装置である。
【0012】
上記構成では、評価写像が評価結果を繰り返し出力する。そして時系列的に隣り合う一対の評価結果のそれぞれに用いられる画像データ同士には、重複がある。そのため、重複がない場合と比較して、ポロシティを過小評価することを抑制できる。すなわち、重複がない場合、前回の評価結果に用いられる画像データが示す溶接領域と今回の評価結果に用いられる画像データが示す溶接領域とにポロシティがまたがる場合に、ポロシティを過小評価するおそれがある。
【0013】
5.前記画像データは、前記反射光のうちの互いに異なる複数の波長領域の光を選択的に用いた互いに異なる複数の画像データの組であり、前記時系列データは、前記画像データの組についての互いに異なるタイミングにおけるデータからなる上記1~4のいずれか1つに記載の溶接品質評価装置である。
【0014】
上記構成では、互いに異なる画像データの組を用いることにより、単一の波長領域の光を選択的に用いた画像データのみが入力される場合と比較して、評価写像に入力される溶接についての情報量を増やすことができる。そしてこれにより、単一の波長領域の情報のみを用いて得られた評価結果と比較して、評価結果の精度を高めることができる。
【0015】
6.前記評価写像データは、第1写像データと、第2写像データとを備え、前記第1写像データは、前記時系列データを構成するそれぞれの前記画像データを入力として当該画像データの特徴量を出力する写像である第1写像を規定するデータであり、前記第2写像データは、前記特徴量の時系列データに応じた前記評価結果を出力する写像である第2写像を規定するデータである上記1~5のいずれか1つに記載の溶接品質評価装置である。
【0016】
上記構成では、第1写像は、1つの画像データの特徴量を抽出する。これに対し、第2写像は、抽出された特徴量の時系列データを用いて、評価結果を出力する。そのため、第1写像が画像の時系列の特徴量を抽出する場合と比較して、写像の構造を簡素化し易い。
【0017】
7.上記1~6のいずれか1つに記載の溶接品質評価装置における前記評価写像データを生成する方法であって、前記レーザ溶接がなされた後に、前記レーザ溶接がなされた領域のX線画像を取得するX線画像取得工程と、前記レーザ溶接が描く線である溶接ラインに前記X線画像が示すポロシティを投影する投影工程と、前記溶接ラインのうち前記画像データが示す区間を特定する特定工程と、前記特定工程によって特定された区間内の前記溶接ライン上における前記投影工程によって投影された前記ポロシティの有無に基づき、前記評価写像データの訓練データを生成する工程と、を有する評価写像データの生成方法である。
【0018】
上記構成では、X線画像が示す領域において2次元的に広がる溶接領域およびポロシティを1次元の溶接ライン上の点と見なす。そのため、訓練データの目標変数を簡易に定義できる。
【0019】
8.上記6記載の溶接品質評価装置における前記評価写像データを生成する方法であって、前記第2写像の出力に応じて前記第1写像データを学習する学習工程を有する評価写像データの生成方法である。
【0020】
上記方法では、評価結果に応じて、第1写像データを学習した。これにより、第1写像データが規定する写像を、ポロシティの発生に関する情報を特徴量として適切に抽出可能な写像とすることができる。これに対し、たとえば画像から特徴量を抽出する既存のモデルを第1写像データとして用いて転移学習をする場合には、第1写像データが抽出する画像データが、ポロシティの発生に関する情報を抽出するうえで適切なものとならないおそれがある。これは、たとえば、画像データ自体を目標変数として学習されたCNNオートエンコーダによって第1写像データを生成する場合も同様である。すなわち、画像データ自体が目標値となる場合、ポロシティの発生原因となる小さな火花を特徴量として確実にとらえることができないおそれがある。
【0021】
9.蓄電池のケースのレーザ溶接による封かん工程を有した蓄電池の製造方法において、前記封かん工程において、上記1~6のいずれか1つに記載の溶接品質評価装置における前記実行装置に前記反射光画像取得処理および前記評価処理を実行させ、前記実行装置による前記評価処理は、ポロシティの存在が許容範囲内であるか否かを判定する処理を含み、前記ポロシティの存在が許容範囲内であると判定されることを条件に前記ケース内に液体を注入する注入工程を有する蓄電池の製造方法である。
【0022】
蓄電池の製造工程においては、注入工程に先立って封かん工程における溶接が良好であることを確認する必要がある。ここで、封かん工程が完了した全てのケースについて、リーク検査を行うことは、生産性の低下を招く。これに対し、上記構成では、評価処理によってポロシティの存在が許容範囲内であることを条件に、注入工程に移行する。そのため、全てのケースをリーク検査にかける場合と比較して、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態にかかる製造対象となる電池セルの構成を示す側面図である。
図2】同実施形態にかかる電池セルの製造工程を示す流れ図である。
図3】同実施形態にかかるレーザ溶接システムの構成を示す図である。
図4】同実施形態にかかる溶接制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。
図5】同実施形態にかかる溶接制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。
図6】同実施形態にかかる溶接制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。
図7】同実施形態にかかる画像データの時系列データを例示する図である。
図8】同実施形態にかかる学習システムの構成を示す図である。
図9】同実施形態にかかる学習制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。
図10】(a)および(b)は、学習のための前処理を示す平面図である。
図11】同実施形態にかかる学習制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下では、電池セルの製造、および評価写像データの学習の順に説明する。
<電池セルの製造>
図1に、本実施形態において製造対象とする電池セル10を示す。電池セル10は、リチウムイオン2次電池である。電池セル10には、有底のケース本体12内に電極体14が収容されている。電極体14を収容したケース本体12の開口部は、蓋16によって密閉されている。ケース本体12および蓋16は、アルミニウム合金にて構成されている。
【0025】
図2に、電池セル10の製造工程を示す。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって、各処理のステップ番号を表現する。
図2に示すように、電極体14を製造した後、ケース本体12に電極体14を収容する(S10)。次に、ケース本体12に蓋16を被せてケース本体12に蓋16を溶接する(S12)。次に、溶接の品質を評価する(S14)。そして評価の結果、ポロシティ判定をクリアしていると判定される場合(S16:YES)、ケース本体12および蓋16によって区画された空間内への液体の注入工程を実行する(S18)。なお、ポロシティ判定をクリアしていない場合には、リーク検査に回される。
【0026】
以下、S12の処理、およびS14の処理について詳述する。
「封かん工程」
図3に、S12の処理において用いるレーザ溶接システムを示す。図3に示すレーザ溶接装置20において、レーザ発振器22から照射されたレーザ光は、コリメーションレンズ24および集光レンズ26を介して溶接対象箇所に照射される。溶接対象箇所におけるレーザ光の反射光は、ダイクロイックミラー28および反射鏡30を介してカメラ32a,32bに入射する。
【0027】
カメラ32a,32bは、互いに異なる波長領域の光を選択的に用いて画像データを生成する。カメラ32aは、400~500nmの波長帯域の反射光を選択的に用いて画像データDpaを生成する。この波長帯域のレーザ光は、アルミニウムが気化する場合に生じる反射光の波長帯域である。したがって、画像データDpaによれば、アルミニウムの沸騰に起因してポロシティ欠陥が発生する可能性が顕著となるか否かを把握しやすい。一方、カメラ32bは、650~750nmの波長帯域の反射光を選択的に用いて画像データDpbを生成する。この波長帯域の光は、金属が溶融温度域にある場合に生じる光である。したがって、画像データDpbによれば、溶融状態の特徴を把握しやすい。
【0028】
溶接制御装置40は、レーザ溶接装置20を制御対象とし、電池セル10の封かん処理を実行する。また、溶接制御装置40は、溶接の品質を評価する処理を実行する。この際、溶接制御装置40は、画像データDpa,Dpbを参照する。溶接制御装置40は、処理装置42、および記憶装置44を備えている。処理装置42は、たとえばGPUであってもよく、またたとえば、TPUであってもよい。
【0029】
「評価工程」
本実施形態では、評価工程は、封かん工程と時間的に重複する。すなわち、溶接の進行に伴い逐次生成される画像データDpa,Dpbに基づき、それら画像データDpa,Dpbの特徴量が抽出されたベクトルである画像特徴ベクトルが都度生成される。そして画像特徴ベクトルの時系列データに基づき、該当箇所の溶接の品質が都度評価される。
【0030】
1.画像特徴ベクトルの生成
図4に、画像特徴ベクトルの生成に関する処理の手順を示す。図4に示す処理は、図3に示した記憶装置44に記憶された評価プログラムDPRを処理装置42がたとえば所定周期でくり返し実行することにより実現される。
【0031】
図4に示す一連の処理において、処理装置42は、まず、画像データDpa,Dpbを取得する(S20)。ここで、たとえばカメラ32a,32bは、それぞれ所定周期で新たな画像データDpa,Dpbを生成する。具体的には、画像データDpa,Dpbのそれぞれを、たとえば1秒間に500~2000個ずつ生成する。画像データDpa,Dpbは、溶接対象箇所周辺の画像を表現するデータである。画像データDpa,Dpbは、2次元に配列されたそれぞれの画素毎に、輝度を表現したデータを含む。次に、処理装置42は、画像データDpa,Dpbのサンプリングタイミングを示すラベル変数kをインクリメントする(S22)。
【0032】
そして処理装置42は、S20の処理において取得した画像データDpa,Dpbを、それぞれ、画像データDpa(k),Dpb(k)に代入する(S24)。これにより、たとえば画像データDpa(1),Dpa(2),Dpa(3),…は、互いに隣接するタイミングでサンプリングされた時系列データとなる。しかも、番号が大きいものほど新しいデータとなる。
【0033】
次に処理装置42は、画像の特徴を抽出する写像である第1写像に画像データDpa(k),Dpb(k)を入力することによって、画像特徴ベクトルFv(k)を算出する(S26)。ここで、第1写像は、図3に示した記憶装置44に記憶された評価写像データDMのうちの第1写像データDMaによって規定される写像である。第1写像は、畳み込みニューラルネットワークである。また、画像特徴ベクトルFv(k)は、画像データDpa(k),Dpb(k)の特徴量を示すベクトルである。
【0034】
図5に、S26の処理の詳細を示す。
図5に示す一連の処理において、処理装置42は、まず変数Inchannelに「2」を代入する(S30)。そして、変数iが3となるまで、S34~S48の処理を実行する都度、変数iをインクリメントすることにより、S34~S48の処理を3回繰り返す(S32,S50)。
【0035】
具体的には、処理装置42は、まず変数hiddenに「16」を代入する(S34)。そして、畳み込み層の入力を2チャネルとし、出力を4チャネルとして畳み込み処理を実行する(S36)。これは、画像データDpa(k),Dpb(k)に、互いに異なる4種類のフィルタを用いた畳み込みを実行することによって実現できる。次に処理装置42は、畳み込み層の出力の各成分をReLUに入力する(S38)。そして処理装置42は、ReLUの出力値からなる4チャネルのデータを、互いに異なる16種類のフィルタにて畳み込むことにより16チャネルの特徴マップを生成する(S40)。次に処理装置42は、特徴マップのそれぞれの成分をReLUに入力する(S42)。そして、処理装置42は、ReLUの出力値に対して、Maxプーリング処理を施す(S44)。次に、処理装置42は、正規化処理を施した後(S46)、変数Inchannelに「16」を代入する(S48)。
【0036】
そして処理装置42は、変数iを「1」とする(S50)。これにより、S34の処理では、変数hiddenが「32」となる。処理装置42は、S36の処理において、16チャネルの入力を、互いに異なる8種類のフィルタを用いて8チャネルの特徴マップに畳み込む。また、処理装置42は、S40の処理において、8チャネルのデータに、互いに異なる32種類のフィルタを施すことにより、32チャネルの特徴マップを生成する。また、処理装置42は、S48の処理において、変数Inchannelに「32」を代入する。
【0037】
処理装置42は、変数iを「2」とすると(S50)、S34の処理において、変数hiddenを「64」とする。また、処理装置42は、S36の処理において、32チャネルの入力を、16チャネルのフィルタを用いて、16チャネルの特徴マップに畳み込む。また、処理装置42は、S40の処理において、16チャネルのデータに、互いに異なる64種類のフィルタを施すことにより、64チャネルの特徴マップを生成する。
【0038】
処理装置42は、変数iが「2」のときのS46の処理の出力を入力とし、Spatial Pyramid Poolingによって、画像特徴ベクトルFvを生成する(S52)。
【0039】
なお、処理装置42は、S52の処理を完了する場合、図4のS26の処理を一旦終了する。ちなみに、上記各畳み込み処理で用いたフィルタの値は、第1写像データDMaの一部を構成する。
【0040】
2.溶接品質の評価
図6に、溶接品質の評価に関する処理の手順を示す。図6に示す処理は、図3に示した記憶装置44に記憶された評価プログラムDPRを処理装置42がたとえば所定周期でくり返し実行することにより実現される。
【0041】
図6に示す一連の処理において、処理装置42は、まず、ラベル変数kが「n」以上であるか否かを判定する(S60)。「n」は、第2写像に1度に入力する画像特徴ベクトルFvの時系列データの数を示す。第2写像は、図3に示した記憶装置44に記憶された評価写像データDMのうちの第2写像データDMbによって規定される写像である。第2写像は、溶接の品質の評価結果に関する変数である評価変数Vjの値を出力する。なお、「n」は2以上の自然数である。「n」は、「3~8」の範囲で設定してもよい。
【0042】
処理装置42は、「n」以上であると判定する場合(S60:YES)、n個の画像特徴ベクトルFv(k-n+1)~Fv(k)を取得する(S62)。n個の画像特徴ベクトルFv(k-n+1)~Fv(k)は、図7に示す画像データDpa(k-n+1)~Dpa(k)と、対応する画像データDpb(k-n+1)~Dpb(k)と、に関する特徴ベクトルである。図7に示すように、時系列的に互いに隣り合う画像データDpa同士は、描き出す領域が重複している。ここで、重複する領域は、画像データDpaが描き出す領域の半分以上であってよい。特に、図7には、描き出す領域の「2/3」以上が重複している例を示した。
【0043】
図6に戻り、処理装置42は、S62の処理を完了すると、n個の画像特徴ベクトルFv(k-n+1)~Fv(k)からなる時系列データを第2写像に入力することによって、評価変数Vjの値を算出する処理を実行する。
【0044】
すなわち、処理装置42は、まず、n個の画像特徴ベクトルFv(k-n+1)~Fv(k)のそれぞれに、位置エンコーディング処理を施す(S64)。位置エンコーディング処理は、画像特徴ベクトルFv(k-n+1)~Fv(k)のそれぞれの成分に位置情報を付与して特徴ベクトルFe(k-n+1)~Fe(k)とする処理である。特徴ベクトルFe(j)は、対応する画像特徴ベクトルFv(j)の各成分に、ラベル変数jおよび各成分の次元数に応じた値を独立変数とする正弦波または余弦波の値を足しこんだベクトルである。
【0045】
次に処理装置42は、特徴ベクトルFeによって構成される行列Fを、クエリ行列Q,キー行列K、およびバリュー行列Vに変換する(S66)。ここで、画像特徴ベクトルFvの次元を「p」とすると、行列Fは、n×p行列である。すなわち、行列Fの各行が、特徴ベクトルFeとなっている。
【0046】
処理装置42は、クエリ変換行列W^Qを用いて行列Fをクエリ行列Qに変換する。なお、ここでは、便宜上、「^Q」を「Q」が上付き文字であることを示すこととする。クエリ変換行列W^Qは、p×p行列である。クエリ変換行列W^Qによって、p次元の特徴ベクトルFeは、「p」次元のクエリベクトルに変換される。特徴ベクトルFe(k-n+1)~Fe(k)のn個のベクトルがクエリ変換行列W^Qによって変換されて生成されるクエリ行列Qは、n×p行列である。すなわち、クエリ行列Qは、特徴ベクトルFe(k-n+1)~Fe(k)のそれぞれがクエリ変換行列W^Qによって変換されて生成されたクエリベクトルを各行とする。
【0047】
同様に、キー変換行列W^Kもp×p行列である。キー変換行列W^Kによって、p次元の特徴ベクトルFeは、p次元のキーベクトルに変換される。特徴ベクトルFe(k-n+1)~Fe(k)のn個のベクトルがキー変換行列W^Kによって変換されて生成されるキー行列Kは、n×p行列である。
【0048】
同様に、バリュー変換行列W^Vもp×p行列である。バリュー変換行列W^Vによって、p次元の特徴ベクトルFeは、p次元のバリューベクトルに変換される。特徴ベクトルFe(k-n+1)~Fe(k)のn個のベクトルがバリュー変換行列W^Vによって変換されて生成されるバリュー行列Vは、n×p行列である。
【0049】
次に処理装置42は、「n」個のクエリベクトルのそれぞれに対応するp次元ベクトルからなるn×p行列であるヘッド行列Headを算出する(S68)。ヘッド行列Headを構成するp次元ベクトルのそれぞれは、「n」個のバリューベクトルの加重平均値である。ここで、加重平均の重み係数は、「n」個のクエリベクトルのうち対応するものと「n」個のキーベクトルのそれぞれとの内積値をスケーリング因子で除算した値のソフトマックス関数の値である。ここで、重み係数は、「n」個のクエリベクトルのうち対象とするものと、キーベクトルとの類似度が高い場合に大きくなる。したがって、バリューベクトルに乗算される重み係数が大きくなるのは、上記類似度が高いベクトル同士の内積値に基づくものである。したがって、ヘッド行列Headを構成するp次元ベクトルのそれぞれは、クエリベクトルと類似度が高いキーベクトルに対応するバリューベクトルがソフトに抽出されたベクトルとなる。
【0050】
次に処理装置42は、第Mレイヤであるか否かを判定する(S70)。「M」は、2以上の自然数である。処理装置42は、第Mレイヤではないと判定する場合(S70:NO)、ヘッド行列Headの各行毎にそれらの成分を全結合する(S72)。図中、ヘッド行列Headの各行ベクトルを「h」と記載した。全結合処理は、行列Wf1およびバイアスb1を用いた線形写像の出力値を独立変数とする活性化関数の値を、行列Wf2およびバイアスb2を用いて線形変換する処理である。ここで、活性化関数としては、ReLUを用いている。なお、行列Wf1,Wf2は、いずれもp×p行列である。
【0051】
そして、処理装置42は、S72の処理によって生成されたn個のp次元ベクトルを用いて、S66~S68の処理と同様の処理を実行する。ただし、S66の処理において用いるクエリ変換行列W^Q、キー変換行列W^K、およびバリュー変換行列W^Vは、レイヤ毎に互いに異なる。なお、「M」が「3」以上の場合、S72の処理において用いる行列Wf1,Wf2等も、レイヤ毎に互いに異なる。
【0052】
一方、処理装置42は、第Mレイヤであると判定する場合(S70:YES)、ヘッド行列Headの行ベクトル同士を結合した「n×p」次元のベクトルhcを生成する(S74)。そして、処理装置42は、ベクトルhcの各成分を全結合することによって評価変数Vjの値を算出する(S76)。具体的には、処理装置42は、n×p次元のベクトルwmとベクトルhcとの内積値にバイアスbmを加算する線形写像の出力値を独立変数とするロジスティックシグモイド関数σの出力値を評価変数Vjに代入する。評価変数Vjは、S62の処理の入力となった画像特徴ベクトルFv(k-n+1)~Fv(k)のそれぞれに対応する画像データDpa,Dpbが示す溶接領域のうちのポロシティが生じている割合を示す変数である。詳しくは、画像データDpa,Dpbが示す溶接ラインの長さのうちポロシティが生じている部分の長さの割合を示す変数である。ここで、溶接ラインとは、電池セル10においてレーザ光の照射位置が移動する方向を結ぶ1次元の線のこととする。
【0053】
次に処理装置42は、評価変数Vjの値が判定値Vth以上であるか否かを判定する(S78)。判定値Vthは、リーク検査をした場合に溶接箇所を介した漏れが検知される可能性がある下限値に基づき設定されている。特に処理装置42は、レーザ光の照射位置の移動速度SPDに応じて判定値Vthを可変設定する。具体的には、移動速度SPDが大きい場合に小さい場合よりも、判定値Vthを小さい値に設定する。この処理は、S78の処理において肯定判定される場合のポロシティの大きさが、移動速度SPDの大小によって変動することを抑制するための設定である。
【0054】
具体的には、判定値Vthは、記憶装置44にマップデータが記憶された状態で処理装置42によってマップ演算される。ここで、マップデータは、移動速度SPDを入力変数とし、判定値Vthを出力変数とするデータである。なお、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。また、マップ演算は、たとえば、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とする処理とすればよい。またマップ演算は、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。またこれに代えて、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の入力変数の値のうちの最も近接する値に対応する出力変数の値を演算結果とする処理としてもよい。
【0055】
処理装置42は、判定値Vth以上であると判定する場合(S78:YES)、リークのおそれがあるレベルのポロシティが存在する旨の判定をする(S80)。
なお、処理装置42は、S80の処理を完了する場合と、S60,S78の処理において否定判定する場合と、には、図6に示した一連の処理を一旦終了する。
【0056】
<写像データの学習>
図8に、評価写像データDMの学習システムを示す。なお、図8において、図3に示した部材に対応する部材については、便宜上、同一の符号を付している。
【0057】
X線CT装置50は、レーザ溶接された電池セル10の溶接箇所にX線を照射した際のCT画像であるX線画像を撮像する装置である。X線画像は、溶接箇所の内部を映し出すことから、X線画像によれば、ポロシティの有無を肉眼で把握できる。
【0058】
学習制御装置60は、評価写像データDMを学習するための装置である。学習制御装置60は、処理装置62および記憶装置64を備えている。
以下では、学習制御装置60が実行する処理を、X線画像の処理、学習処理の順に説明する。
【0059】
「X線画像の処理」
図9に、X線画像の処理の手順を示す。図9に示す処理は、記憶装置64に記憶されたプログラムを処理装置62がたとえば所定周期でくり返し実行することにより実現される。
【0060】
図9に示す一連の処理において、処理装置62は、まず、溶接が完了した電池セル10のX線画像を取得する(S90)。次に、処理装置62は、たとえば、「0.1」平方ミリメートル等、予め定められた大きさの正方形の領域が1ピクセルとなるように、X線画像を縮小する(S92)。次に、X線画像のうちポロシティ部分のマーキング入力を取り込む(S94)。この処理は、次のようにして実行される。まず、処理装置62は、図8に示すインターフェース70のうちの表示器に、人が視認可能な視覚情報としてX線画像を表示する。
【0061】
図10(a)に、X線画像を例示する。図示されるように、溶接対象箇所80には、ポロシティ82が映っている。
次に、X線画像に基づき、人が、ポロシティ部分を判定し、その部分をマーキング入力する。これは、たとえばインターフェース70のうちの表示器に重ねて配置されたタッチパネルに対する入力操作として実現できる。もっとも、これに代えて、インターフェース70のうちのカーソルを移動させるマウス等のデバイスを操作することによって、X線画像上のカーソルを移動させてポロシティを指定してもよい。
【0062】
図10(b)に、ポロシティ82にマーキング84を入力した例を示す。
図9に戻り、処理装置62は、X線画像から溶接箇所を示すエッジを検出する(S96)。検出されたエッジの集合は、レーザの照射方向を結ぶループ状の1次元の線となる。次に処理装置62は、エッジの集合に座標を対応付けることによって、溶接ラインに関する座標情報を生成する(S98)。そして処理装置42は、溶接ライン上にマーキング位置を投影(図中、マッピングと記載)する(S100)。詳しくは、処理装置42は、溶接ラインを構成する画素のうちマーキングがなされた画素に最も近い画素を、ポロシティの位置を示す画素として、その座標をポロシティの座標とする。
【0063】
処理装置62は、マーキングされた画素の全てについて溶接ライン上の座標が付与されるまで、S100の処理を実行する(S102:NO)。そして処理装置42は、全てについて溶接ライン上の座標が付与されたと判定する場合(S102:YES)、溶接ラインの座標情報、およびポロシティの座標情報を示すデータを図8に示す記憶装置64に、ライン情報データDPlとして保存する(S104)。
【0064】
なお、処理装置62は、S104の処理を完了する場合、図9に示す一連の処理を一旦終了する。
「学習処理」
図11に、学習処理の手順を示す。図11に示す処理は、記憶装置64に記憶されたプログラムを処理装置62が実行することによって実現される。
【0065】
図11に示す一連の処理において、処理装置62は、X線画像が撮像された電池セル10の封かん工程において撮像された画像データDpa,Dpbについて時系列的に連続した各「n」個ずつのデータを取得する(S110)。以下では、この画像データDpa,Dpbを、画像データDpa(k-n+1)~Dpa(k),Dpb(k-n+1)~Dpb(k)と記載して説明する。
【0066】
処理装置62は、画像データDpa(k-n+1)~Dpa(k)に含まれる溶接ラインの区間を求める(S112)。この区間の両端は、画像データDpa(k-n+1)に含まれる溶接ラインの端部のうち最も過去に溶接された端部と、画像データDpa(k)に含まれる溶接ラインの端部のうち最も新しく溶接された端部と、である。
【0067】
次に処理装置62は、ライン情報データDPlに基づき、S112の処理において求めた区間におけるポロシティの占める長さを求める(S114)。次に処理装置62は、ポロシティの占める長さをS112の処理によって求めた区間の長さで除算した値を、評価変数Vjの目標値に代入する(S116)。次に、画像データDpa(k-n+1)~Dpa(k),Dpb(k-n+1)~Dpb(k)を評価写像に入力して評価変数Vjの値を算出する(S118)。すなわち、処理装置62は、画像データDpa(k-n+1)~Dpa(k),Dpb(k-n+1)~Dpb(k)を用いて、図4図6のS76の処理までを実行する。なお、図11の処理の開始直後におけるS118の処理において用いられる評価写像を規定するデータは、適宜の初期値が与えられて構成されたデータである。
【0068】
次に処理装置62は、写像の出力する評価変数Vjの値と目標値との差の絶対値が基準値Δth以下であるか否かを判定する(S120)。処理装置62は、基準値Δthよりも大きいと判定する場合(S120:NO)、上記差の絶対値が小さくなるように評価写像データDMのパラメータを更新する(S122)。ここで、パラメータは、図5の処理において用いるパラメータと、図6の処理において用いるパラメータとである。すなわち、パラメータには、図5の処理において用いるフィルタを構成するパラメータが含まれる。また、パラメータには、図6の処理において用いるクエリ変換行列W^Q、キー変換行列W^K、バリュー変換行列W^V、全結合に用いる行列Wf1,Wf2、ベクトルwm、およびバイアスb1,b2,bm等を構成するパラメータが含まれる。S122の処理により、クエリ変換行列W^Q、キー変換行列W^K、およびバリュー変換行列W^Vは、画像特徴ベクトルFv(k-n+1)~Fv(k)が示す特徴的な時系列変化を示す特徴量を抽出するために適切な値に更新される。
【0069】
そして処理装置62は、S110の処理に戻る。すなわち、処理装置42は、画像データDpa(k-n+2)~Dpa(k+1),Dpb(k-n+2)~Dpb(k+1)を用いて、S112~S120の処理を実行する。なお、1つの電池セル10のデータを全て使い尽くす場合、別の電池セル10についてのX線画像および画像データDpa,Dpbを用いてS112~S120の処理を実行する。
【0070】
一方、処理装置62は、基準値Δth以下であると判定する場合(S120:YES)、評価写像データDMを保存する(S124)。ここで保存される評価写像データDMが、図3に示した記憶装置44に記憶される評価写像データDMである。
【0071】
なお、処理装置42は、S124の処理を完了する場合、図11に示した一連の処理を終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
【0072】
溶接制御装置40の処理装置42は、レーザ溶接装置20を操作して電池セル10の封かん作業を実行する。その際、処理装置42は、レーザ光の反射光に基づく画像データDpa,Dpbの時系列データを用いて、評価変数Vjの値を算出する。そして評価変数Vjの値が判定値Vth以上であると判定する場合、リークの可能性があるポロシティが存在する旨の判定をする。同判定がなされる場合、その電池セル10は、ラインから外れ、リーク検査がなされる。一方、同判定がなされなかった電池セル10は、注入工程に移行する。
【0073】
このように、本実施形態では、画像データDpa,Dpbの時系列データを入力として学習済みモデルによって溶接の品質を評価した。これにより、評価変数Vjの値の算出に用いる入力が、特定の1つのタイミングにおける画像データDpa,Dpbのみの場合と比較して、評価変数Vjの値を溶接品質を高精度に表現する変数とすることができる。すなわち、ポロシティが生じる場合には、レーザ光の反射光にポロシティに特有の強度変化が生じる。この変化は、人が直感的にポロシティが生じたと判断できる情報を有している。上記評価写像データDMは、画像データDpa,Dpbの時系列データを用いることにより、人が直感的に判断可能な情報を機械学習によって学習させたモデルとなっている。
【0074】
そして、リーク検査によってリークが検出されるか否かを高精度に判定することができることから、評価変数Vjの値が判定値Vth以下の場合には、リーク検査を省略できる。そのため、電池セル10の生産性を向上させることができる。
【0075】
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する作用および効果が得られる。
(1)評価変数Vjを、溶接ラインにおける区間の長さに占めるポロシティの割合を示す変数とした。これにより、たとえば、写像を識別モデルとしてポロシティの有無に応じて符号が逆の出力とする場合等と比較して、リーク検査にかけるべきか否かをより適切に判断できる。すなわち、ポロシティの有無のみの場合、極めて小さいポロシティであってリーク検査において確実にリークが検出されない場合であっても、ポロシティ有との判定がなされ、リーク検査にかけられるおそれがある。これに対し、評価変数Vjを用いることで、判定値Vthを、リーク検査によってリークが検出される可能性がある評価変数Vjの下限値に設定できる。
【0076】
(2)処理装置42は、画像特徴ベクトルFv(k-n+1)~Fv(k)を入力として評価変数Vjの値を算出すると、そのときに用いた画像特徴ベクトルFv(k-n+2)~Fv(k)を再度利用した。すなわち、次に評価変数Vjの値を算出する際の入力は、前回の画像特徴ベクトルFv(k-n+2)~Fv(k)に最新の画像特徴ベクトルを加えたデータとした。これにより、次に評価変数Vjの値を算出する際に画像特徴ベクトルFv(k)の次の画像特徴ベクトルFvからn個のデータを用いる場合と比較して、ポロシティの割合を実際よりも小さく見積もることを抑制できる。すなわち、画像特徴ベクトルFv(k),Fv(k+1)のそれぞれに対応する溶接領域にまたがってポロシティが広がっている場合、評価変数Vjの値の算出に用いる入力を前回と今回とで重複させない場合には、ポロシティの長さを過小評価する。
【0077】
(3)処理装置42は、移動速度SPDに応じて判定値Vthを設定した。これにより、判定値Vth以上であると判定されるときのポロシティの割合が移動速度SPDに応じて変動することを抑制できる。
【0078】
(4)処理装置42は、n個の特徴ベクトルFe(k-n+1)~Fe(k)を、n個ずつのクエリベクトル、キーベクトル、およびバリューベクトルに変換した。そして処理装置42は、クエリベクトルのそれぞれに類似するキーベクトルについて、対応するバリューベクトルを抽出した。そして処理装置42は、対応するバリューベクトルに応じて評価変数Vjの値を算出した。これにより、クエリベクトルとキーベクトルとの類似度が、正しい評価変数Vjの値を得るために必要な類似度となるように学習できる。そのため、学習された類似度によって、画像特徴ベクトルFvの時系列データから、ポロシティの有無に関する情報を示す特徴量を精度良く抽出することができる。
【0079】
(5)評価変数Vjの値を算出するための写像への入力を、2つの互いの異なる波長領域のレーザ反射光を用いた画像データDpa,Dpbとした。これにより、単一の波長領域の反射光を用いた画像データを用いる場合と比較して溶接の状態を示すより詳細な情報に基づき、評価変数Vjの値を算出できる。
【0080】
(6)処理装置62は、実際には2次元に広がる画像中の溶接領域を1次元の溶接ラインに集約し、溶接ラインを表現する画素のうちのポロシティを表現する画素に最も近い画素をポロシティを有する画素とした。これにより、溶接領域に占めるポロシティの割合を簡易に定量化できる。
【0081】
(7)評価変数Vjの値と目標値との誤差に応じて、第2写像データDMbのみならず第1写像データDMaをも学習した。これにより、第1写像データDMaが規定する写像を、ポロシティの発生に関する情報を特徴量として適切に抽出可能な写像とすることができる。これに対し、たとえば画像から特徴量を抽出する既存のモデルを第1写像データDMaとして用いて転移学習をする場合には、第1写像データDMaが抽出する画像データが、ポロシティの発生に関する情報を抽出するうえで適切なものとならないおそれがある。これは、たとえば、画像データDpaまたは画像データDpbを用いたCNNオートエンコーダによって第1写像データDMaを生成する場合も同様である。すなわち、画像データ自体が目標値となる場合、ポロシティの発生原因となる小さな火花を特徴量として確実にとらえることができないおそれがある。
【0082】
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1,2]実行装置は、処理装置42に対応する。記憶装置は、記憶装置44に対応する。反射光画像取得処理は、S20の処理に対応する。評価処理は、S24,S26,S60~S78の処理に対応する。[3]判定値は、判定値Vthに対応する。[4]「出力算出処理の繰り返し」は、図6の処理に対応する。図6では、「m」を「1」とする例となっている。すなわち、S22の処理では、k+1が新たにkとされることから、図6における次回のS62の処理では、画像特徴ベクトルFv(k-n+2)~Fv(k+1)が用いられることとなる。[5]複数の画像データの組は、画像データDpa,Dpbの組に対応する。[6]画像データの特徴量ベクトルは、画像特徴ベクトルFvに対応する。[7]X線画像取得工程は、S90の処理に対応する。投影工程は、S100,S102の処理に対応する。特定工程は、S114の処理に対応する。訓練データは、S110の処理によって取得された時系列データに加えて目標値に対応する。[8]S122の処理において、第1写像データDMaおよび第2写像データDMbの双方のパラメータが更新されることに対応する。[9]注入工程は、S18の処理に対応する。
【0083】
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0084】
「反射光画像取得処理について」
・画像データDpa,Dpbの波長領域としては、上記実施形態において例示したものに限らない。また、互いに異なる複数の波長領域としては、お互いの波長に重なるところがない領域に限らない。
【0085】
・反射光画像取得処理としては、2つの互いに異なる波長領域の光を選択的に用いた画像データを取得する処理に限らない。たとえば、3つ以上の互いに異なる波長領域の光を選択的に用いた画像データを取得する処理であってもよい。もっとも、複数の波長領域のそれぞれを選択的に用いた画像データを取得する処理にも限らず、たとえば単一の波長領域における画像データを取得する処理であってもよい。
【0086】
「評価写像の出力について」
・評価写像の出力としての評価変数Vjとしては、区間に占めるポロシティの割合を示す変数に限らない。たとえば、所定値以上の大きさのポロシティが存在する確率を示す変数であってもよい。
【0087】
・評価写像の出力としては、その値によってポロシティの有無に関する情報を示すものに限らない。たとえば符号によってポロシティの有無を識別するものであってもよい。
「評価写像への入力について」
・繰り返し算出される評価変数Vjの値である「Vj(1),Vj(2),…」と画像データDpa,Dpbとの関係としては、上記実施形態で例示したものに限らない。すなわち、画像データDpa(1)~Dpa(n),Dpb(1)~Dpb(n)から「Vj(1)」が算出される場合、画像データDpa(2)~Dpa(n+1),Dpb(2)~Dpb(n+1)から「Vj(2)」が算出されるものに限らない。たとえば、画像データDpa(3)~Dpa(n+2),Dpb(3)~Dpb(n+2)から「Vj(2)」が算出されてもよい。これは、S62の処理を、図4に示す一連の処理が2度行われるたびに1度実行することによって実現できる。
【0088】
「第1写像について」
・第1写像データDMaとしては、第2写像の出力の誤差に応じて、第2写像データDMbとともに学習されるものに限らない。たとえば、人が直感的にポロシティが生じたと感じる画像とそうではない画像とで互いに異なる値とされるラベル変数を含んだ訓練データを用いて学習されたニューラルネットワークから出力層を削除した写像としてもよい。もっとも、これに限らず、たとえばCNNオートエンコーダを用いて生成された写像としてもよい。
【0089】
・第1写像としては、図4に例示した写像に限らない。たとえば畳み込み処理の回数を4回とするなど、適宜変更してもよい。また、CNNを用いたものにも限らない。たとえば、全結合順伝播型のニューラルネットワークであってもよい。その場合、学習時に正則化項を付与して接線伝播法にて学習をしてもよい。また、全結合順伝播型のものにも限らず、たとえば、Vision Transformerを用いてもよい。
【0090】
「第2写像について」
・上記実施形態において、レイヤの数Mを「1」としてもよい。すなわち、S66,S68の処理を1度のみ実行してもよい。
【0091】
・上記実施形態では、ヘッド行列Headを構成する各行ベクトルを、バリューベクトルの線形結合としたが、これに限らない。たとえば、クエリベクトル、キーベクトル、バリューベクトルのそれぞれを、m個に分割した「p/m」次元のベクトルについて、S68の処理を実行してもよい。その場合、そのようにして算出されたm個の「p/m」次元のベクトルを結合したものを、ヘッド行列Headの行ベクトルとすればよい。
【0092】
・S68の処理において、ソフトマックス関数の入力が内積値に応じた値であることは必須ではない。たとえば、クエリベクトルとキーベクトルとの各成分を入力とする全結合のニューラルネットワークの出力値をソフトマックス関数の入力としてもよい。その場合、同ニューラルネットワークのパラメータも、学習対象とすればよい。
【0093】
・時系列的に互いに異なる画像特徴ベクトルFvのそれぞれについて、n個の画像特徴ベクトルFvのうちで対象とするベクトルとの類似度が大きいベクトルを抽出する処理としては、S68の処理に限らない。すなわち、n個の画像特徴ベクトルFvのそれぞれに基づくクエリベクトル、およびキーベクトルの類似度が高いものに対応するバリューベクトルを抽出する処理に限らない。たとえば、n個の画像特徴ベクトルFvを順次、再帰型ニューラルネットワーク(以下、RNN)に入力した際の隠れ層のベクトルに関するn個の時系列のベクトル同士の関連度を抽出する処理としてもよい。これは、たとえば、最新の隠れ層のベクトルと、直近の過去のn個の隠れ層のベクトルとの内積値を入力とするソフトマックス関数の値を用いて行うことができる。これにより、同ソフトマックス関数の値を重み係数とするn個の隠れ層の時系列ベクトルの線形結合を、最新の隠れ層のベクトルとの類似度が高いベクトルとしてソフトに抽出できる。その場合、たとえば抽出したベクトルと最新の隠れ層のベクトルとを結合したベクトルを全結合層に入力するなどして、出力値を算出すればよい。
【0094】
・第2写像が、時系列的に互いに異なる画像特徴ベクトルFvのそれぞれについて、n個の画像特徴ベクトルFvのうちで類似度が大きいベクトルを抽出する処理を有すること自体必須ではない。たとえば、画像特徴ベクトルFvが順次入力されるRNNであれば、時系列データからレーザ光の強度変化に特有の特徴量を抽出することなどが可能である。また、RNNにも限らず、n個の画像特徴ベクトルFvが1度に入力される全結合順伝播型のニューラルネットワークであってもよい。
【0095】
・第2写像が、ニューラルネットワークからなることは必須ではない。たとえば、訓練データを用いてS74の処理によって算出されたベクトルhcと、今回算出されるベクトルhcとの補間演算によって評価変数Vjの値を算出してもよい。ここでの補間演算は、適宜の多次元の多様体上で定義されたノルムが小さいほど重み係数としてのカーネルが大きくなるようにすればよい。その場合、第2写像データDMbには、訓練データを用いてS74の処理によって算出されたベクトルhcが含まれる。
【0096】
「評価写像について」
・評価写像としては、1つのタイミングにおける画像データの特徴量を出力する第1写像と、同特徴量の時系列データに応じた値を算出する第2写像とを備えるものに限らない。たとえば、画像データDpa,Dpbの時系列データを、各画像の2次元のデータに加えて時間軸方向の1次元を加えた3次元データと見なし、これに対して畳み込み処理を実行する畳み込みニューラルネットワークであってもよい。
【0097】
・評価写像としては、ニューラルネットワークのみからなる写像に限らない。たとえば、画像特徴ベクトルFvの時系列データをフーリエ変換処理したデータを出力する写像と、同データを入力として評価変数Vjの値を出力するニューラルネットワークとを含んでもよい。
【0098】
「学習工程について」
図11の処理では、評価変数Vjの値と目標値との差の絶対値が基準値Δth以下となることで、そのときの評価写像データDMを、実際に用いるデータとして採用することとしたが、これに限らない。たとえば、周知の交差検証を経て最終的な評価写像データDMを生成してもよい。
【0099】
・訓練データのうちの目標変数を、溶接ライン上へのポロシティの投影工程を利用して定めることは必須ではない。たとえば、溶接領域中に占めるポロシティの面積の割合を評価変数Vjの目標値としてもよい。またたとえば、評価写像への入力となる画像データDpa,Dpbの時系列データが示す溶接領域に、所定以上の大きさのポロシティが存在するか否かを示す変数を含めて訓練データを生成してもよい。
【0100】
・X線画像からポロシティの存在する領域を特定する処理を、人が行うことは必須ではない。たとえば、X線画像を入力としてポロシティの存在する領域を特定する学習済みモデルを用いてもよい。
【0101】
・学習工程としては、パラメータを点推定する処理に限らない。たとえば、各パラメータの事前分布をガウス分布等によって表現するとともに、評価写像の出力をポロシティの存在確率とし、ベイズ推定によってパラメータの事後分布を更新する処理であってもよい。その場合、評価写像データDMは、サンプリング法等によって算出された事後分布の期待値を各パラメータ値として定めるデータとしてもよい。またこれに代えて、各パラメータの取りうる値についての事後分布による確率の大小に応じた変数値を出力する写像と、同パラメータに応じてポロシティの存在確率を出力する写像とを規定するデータを評価写像データDMとしてもよい。
【0102】
「実行装置について」
・実行装置としては、GPUまたはTPUのように、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、実行装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
【0103】
「蓄電池について」
・蓄電池としては、リチウムイオン2次電池に限らない。また、蓄電池の製造工程に、注入工程が含まれることも必須ではない。
【符号の説明】
【0104】
10…電池セル
12…ケース本体
14…電極体
16…蓋
20…レーザ溶接装置
22…レーザ発振器
24…コリメーションレンズ
26…集光レンズ
28…ダイクロイックミラー
30…反射鏡
32a,32b…カメラ
40…溶接制御装置
50…X線CT装置
60…学習制御装置
80…溶接対象箇所
82…ポロシティ
84…マーキング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11