(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057795
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】水槽用蓋及びそれを備える水槽
(51)【国際特許分類】
A01K 63/00 20170101AFI20230417BHJP
【FI】
A01K63/00
A01K63/00 A
A01K63/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167463
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】393022746
【氏名又は名称】ジェックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 泰徳
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA03
2B104CA03
2B104CB26
2B104CB34
2B104CB42
2B104EG03
2B104EG05
(57)【要約】
【課題】防水処理コストを削減すると共に照明部材を容易に着脱可能な水槽用蓋及びそれを備える水槽を提供する。
【解決手段】水槽用蓋4は、水槽1の上端部の開口3aを覆う蓋本体5を備え、蓋本体5は、照明部材6を着脱可能な第1凹部51を備え、第1凹部51は、蓋本体5の上面5aに配置され、第1凹部51の底面部は、透明である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽の上端部の開口を覆う蓋本体を備え、
前記蓋本体は、照明部材を着脱可能な第1凹部を備え、
前記第1凹部は、前記蓋本体の上面に配置され、
前記第1凹部の底面部は、透明である、水槽用蓋。
【請求項2】
前記第1凹部の底面部を除く前記蓋本体は、不透明である、請求項1に記載の水槽用蓋。
【請求項3】
前記蓋本体は、前記照明部材から延びる電源コードを着脱可能な第2凹部と、水質調整具の配線を通す配線通し部と、を備え、
前記第2凹部は、前記配線通し部まで延びている、請求項1又は2に記載の水槽用蓋。
【請求項4】
前記照明部材を備え、
前記照明部材の上面は、前記蓋本体の上面と実質的に面一である、請求項1~3の何れか1項に記載の水槽用蓋。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の水槽用蓋を備える、水槽。
【請求項6】
側壁を備え、
前記側壁の上面は、前記蓋本体の上面と実質的に面一である、請求項5に記載の水槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水槽用蓋及びそれを備える水槽に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、照明部材を取り付けるための凹部を有する蓋本体を備え、凹部は、蓋本体の下面に配置されている水槽用蓋が開示されている。当該水槽用蓋は、蓋本体の下面が水槽の内側となるように水槽に取り付けられている。そして、照明部材は、凹部に取り付けられた状態で防水グルー層に覆われている。
【0003】
ところで、照明部材を防水グルー層で覆うと、防水処理コストがかかる。また、照明部材を取り外す際、当該水槽用蓋を水槽から取り外す必要があることや、照明部材が防水グルー層で覆われていることにより、照明部材を当該水槽用蓋に容易に着脱することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、防水処理コストを削減すると共に照明部材を容易に着脱可能な水槽用蓋及びそれを備える水槽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
水槽用蓋は、水槽の上端部の開口を覆う蓋本体を備え、前記蓋本体は、照明部材を着脱可能な第1凹部を備え、前記第1凹部は、前記蓋本体の上面に配置され、前記第1凹部の底面部は、透明である。
【0007】
斯かる構成によれば、照明部材に防水処理を施すことなく、水槽内の水が照明部材にかかることを防ぐことができる。これにより、防水処理コストを削減することができる。また、水槽用蓋を水槽から取り外すことなく、照明部材を水槽用蓋に容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る水槽の斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る水槽の平面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る水槽用蓋の平面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る水槽用蓋の切り取り可能部を切り取った状態を示す平面図である。
【
図9】
図9は、他の実施形態に係る水槽用蓋の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係る水槽について、
図1~
図8を参照しながら説明する。なお、各図(
図9も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0010】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る水槽1は、観賞魚や小動物を飼育するための水槽である。観賞魚としては、例えば、金魚、メダカ、熱帯魚などが挙げられる。そして、小動物としては、例えば、カメなどの爬虫類やイモリなどの両生類などが挙げられる。
【0011】
水槽1は、底壁2と、底壁2の外周縁から立設すると共に上端に開口3aを有する側壁3と、を備える。本実施形態において、底壁2は、上面視において長方形状に形成され、側壁3は、角筒状に形成されているが、これに限られない。例えば、底壁2は、上面視において円形状に形成され、側壁3は、円筒状に形成されていてもよい。
【0012】
本実施形態において、側壁3は、壁部材31と、後述する水槽用蓋4を取り付け可能なフランジ部材32と、を備えるが、これに限られない。例えば、側壁3は、フランジ部材32を備えない、という構成であってもよい。フランジ部材32は、角環状に形成され、壁部材31の上端に取り付けられている。
【0013】
図3に示すように、フランジ部材32は、壁部材31の上端に嵌め込んで取り付け可能な嵌合部321と、水槽用蓋4を取り付け可能なフランジ部322と、を備える。嵌合部321は、断面略U字状に形成されている。フランジ部322は、嵌合部321からフランジ部材32の内側(
図3の右側)に突出している。
【0014】
フランジ部材32は、嵌合部321の上端から上方向に突出する凸部323を備える。そして、底壁2は、他の水槽1の凸部323を嵌め込み可能な凹部(不図示)を備える。斯かる構成によれば、水槽1を他の水槽1の上に積み上げた際に、水槽1の凹部に他の水槽1の凸部323を嵌め込むことができる。これにより、積み上げられた水槽1がずれることを防止することができる。なお、フランジ部材32は、凸部323を備えず、側壁2は、凹部を備えない、という構成であってもよい。
【0015】
フランジ部材32(凸部323)の上端面は、後述する蓋本体5の上面5aと実質的に面一であるが、これに限られない。実質的に面一とは、物理的に同一平面上にあることのみを意味せず、2mm以下の段差も含む。
【0016】
図2及び
図4に示すように、水槽1は、フランジ部材32に取り付けられる(載置される)水槽用蓋4を備える。側壁3がフランジ部材32を備えていない場合、水槽用蓋4は、壁部材31の上端に載置される。水槽用蓋4は、水槽1(側壁3)の上端部の開口3aを覆う蓋本体5と、蓋本体5に着脱可能な照明部材6と、を備える。なお、水槽用蓋4は、照明部材6を備えない、という構成であってもよい。
【0017】
図4及び
図5に示すように、照明部材6は、発光部61と、発光部61を覆う照明カバー62と、発光部61と電気的に接続される電源コード63と、を備える。発光部61としては、LEDや蛍光灯などが挙げられる。本実施形態において、照明カバー62は、上面視において長方形状に形成されているが、これに限られない。例えば、照明カバー62は、上面視において環状に形成されていてもよい。
【0018】
蓋本体5の外周縁の形状は、側壁3(
図2参照)の形状や構成などによって適宜設定される。本実施形態において、蓋本体5は、上面視において略長方形状に形成されているが、これに限られない。例えば、蓋本体5は、上面視において円形状に形成されていてもよい。蓋本体5の材質としては、PS樹脂、ABS樹脂、PC樹脂などが挙げられる。
【0019】
蓋本体5は、照明部材6を着脱可能な第1凹部51と、照明部材6が有する電源コード63を着脱可能な第2凹部52と、不図示の水質調整具の配線を通す配線通し部53と、観賞魚や小動物に餌を与えるための餌投入部54と、蓋本体5から切り取ることが可能な切り取り可能部55と、下方向に突出するリブ56と、を備える。水質調整具としては、濾過器、エアポンプ、ヒーターなどが挙げられる。そして、配線としては、電源コード、エアチューブなどが挙げられる。
【0020】
第1凹部51は、蓋本体5の上面5aに配置されている。即ち、第1凹部51は、蓋本体5の下面5b側に凹んでいる。蓋本体5の上面5aは、水槽1(
図1参照)の外側に面し、蓋本体5の下面5bは、水槽1の内側に面している。
【0021】
第1凹部51は、照明部材6で水槽1全体を効率よく照らす観点から、蓋本体5の中央に配置されていることが好ましい。第1凹部51の形状は、照明部材6(照明カバー62)の形状や大きさによって適宜設定される。本実施形態において、第1凹部51は、上面視において略長方形状に形成されると共に断面略U字状に形成されているが、これに限られない。
【0022】
照明部材6(照明カバー62)の上面62aは、蓋本体5の上面5aと実質的に面一である。実質的に面一とは、物理的に同一平面上にあることのみを意味せず、2mm以下の段差も含む。本実施形態において、第1凹部51の深さH1は、照明カバー62の高さH2と実質的に同じであり、照明カバー62は、第1凹部51の底面部51aに載置されているが、これに限られない。
【0023】
第1凹部51の底面部51aは、透明である。これにより、水槽1内を照明部材6で照らすことができる。本実施形態において、第1凹部51の底面部51aを除く蓋本体5は、不透明(例えば、白色など)である。即ち、第1凹部51の側面部51bは、不透明である。そして、第1凹部51の底面部51aは、第1凹部51の底面部51aを除く蓋本体5と別体で形成されている。底面部51aは、底面部51aを除く蓋本体5に固定(例えば、接着や嵌め込みなど)されている。なお、例えば、蓋本体5は、透明であってもよく、底面部51aは、底面部51aを除く蓋本体5と一体に形成されていてもよい。
【0024】
図4及び
図7に示すように、第2凹部52は、第1凹部51から配線通し部53まで延びている。第2凹部52の形状は、照明部材6の電源コード63の形状や大きさによって適宜設定される。本実施形態において、第2凹部52は、上面視において略L字状に形成されると共に断面U字状に形成されているが、これに限られない。第2凹部52の深さH3は、電源コード63が第2凹部52から飛び出すことを防止する観点から、電源コード63の直径D1よりも大きいことが好ましい。
【0025】
第2凹部52は、第2凹部52の側面から突出する複数の突起521を備える。そして、突起521が設けられた部分における第2凹部52の幅W1は、電源コード63の直径D1よりも小さい。斯かる構成によれば、第2凹部52で電源コード63を保持することができ、電源コード63が第2凹部52から飛び出すことを防止することができる。本実施形態において、突起521は、第2凹部52の両側面に配置されているが、これに限られない。例えば、突起521は、第2凹部52の片側面のみに配置されていてもよい。突起521の配置位置や配置数は、第2凹部52の長さによって適宜設定される。
【0026】
図4及び
図6に示すように、配線通し部53は、蓋本体5の外周縁側に配置されている。配線通し部53は、水槽1に水槽用蓋4を取り付けた状態で、電源コードやエアチューブなどの複数本の配線を通せる大きさであることが好ましい。本実施形態において、配線通し部53は、蓋本体5の外周縁に配置されたL字状の切り欠きであるが、これに限られない。例えば、配線通し部53は、蓋本体5の外周縁近傍に配置された略正方形状の貫通孔であってもよい。
【0027】
本実施形態において、配線通し部53は、蓋本体5の角部のうち2箇所に配置されている。斯かる構成によれば、配線通し部53を蓋本体5の角部に配置することにより、水質調整具を水槽1に取り付ける際、配線がその取り付けの邪魔になることを防止することができる。
【0028】
餌投入部54は、蓋本体5を貫通する貫通孔である。餌投入部54を設けることにより、水槽用蓋4を水槽1から取り外すことなく観賞魚や小動物に餌を容易に与えることができる。餌投入部54は、略正方形状に形成され、蓋本体5の外周縁側に配置されている。餌投入部54は、指で摘まんだ餌を蓋本体5に接触することなく水槽1内に投下可能な大きさであることが好ましい。
【0029】
図4及び
図5に示すように、切り取り可能部55は、蓋本体5の外周縁に配置されている。切り取り可能部55は、切り取り可能な切り取り部551と、略U字状に延びると共に切り取り部551を形成する細孔552と、細孔552に配置される複数の連結部553と、を備える。連結部553をニッパなどの切断具で切断することによって、切り取り部551を切り取ることができ、例えば、
図2の水槽1の上側に濾過器を取り付けることができる。
図8は、切り取り可能部55を切り取った後の水槽用蓋4を示す図である。
【0030】
図3及び
図5~7に示すように、リブ56は、蓋本体5の外周縁(切り取り可能部55を切り取った後の蓋本体5の外周縁も含む)及び餌投入部54の内周縁に配置されている。リブ56を設けることにより、蓋本体5の強度を高めることができる。
【0031】
以上より、本実施形態において、水槽用蓋4は、水槽1の上端部の開口3aを覆う蓋本体5を備え、蓋本体5は、照明部材6を着脱可能な第1凹部51を備え、第1凹部51は、蓋本体5の上面5aに配置され、第1凹部51の底面部51aは、透明である、という構成が好ましい。
【0032】
斯かる構成によれば、防水処理を施すことなく、水槽1内の水が照明部材6にかかることを防ぐことができる。これにより、防水処理コストを削減することができる。また、斯かる構成によれば、水槽用蓋4を水槽1から取り外すことなく、照明部材6を水槽用蓋4から取り外すことができる。これにより、例えば、結露やかびなどで水槽用蓋4が汚れた際、照明部材6を取り外して、水槽用蓋4を容易に清掃することが容易になる。
【0033】
また、本実施形態に係る水槽用蓋4において、第1凹部51の底面部51aを除く蓋本体5は、不透明である、という構成が好ましい。
【0034】
斯かる構成によれば、照明部材6から照射された光が水槽用蓋4から水槽1の外側に漏れることを抑えることができる。これにより、照明部材6によって水槽1内を効率よく照らすことができる。また、水槽用蓋4を上から覗いた際に、照明部材6から照射される光が人の目に入ることを抑えることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る水槽用蓋4において、蓋本体5は、照明部材6から延びる電源コード63を着脱可能な第2凹部52と、水質調整具の配線を通す配線通し部53と、を備え、第2凹部52は、配線通し部53まで延びている、という構成が好ましい。
【0036】
斯かる構成によれば、配線通し部53に通した水質調整具の配線と、第2凹部52に取り付けた照明部材6の電源コード63と、をまとめることができる。これにより、配線によって水槽1の美観が損なわれることを抑えることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る水槽用蓋4は、照明部材6を備え、照明部材6(照明カバー62)の上面62aは、蓋本体5の上面5aと実質的に面一である、という構成が好ましい。
【0038】
斯かる構成によれば、蓋本体5の上面5aと照明部材6の上面62aとの段差を小さくすることができ、水槽用蓋4の清掃が容易となる。また、水槽用蓋4の美観を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態において、水槽1は、側壁3と、水槽用蓋4と、を備え、側壁3の上面は、蓋本体5の上面5aと実質的に面一である、という構成が好ましい。
【0040】
斯かる構成によれば、水槽用蓋4を水槽1に取り付けた際、水槽1の美観を向上させることができる。
【0041】
なお、水槽用蓋4及びそれを備える水槽1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、水槽用蓋4及びそれを備える水槽1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0042】
本実施形態において、配線通し部53は、蓋本体5の角部のうち2箇所に配置されている、という構成であるが、これに限られない。例えば、
図9に示すように、配線通し部53は、蓋本体5の角部のうち1箇所のみに配置されている、という構成であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…水槽、2…底壁、3…側壁、3a…開口、31…壁部材、32…フランジ部材、321…嵌合部、322…フランジ部、323…凸部、4…水槽用蓋、5…蓋本体、51…第1凹部、51a…底面部、51b…側面部、52…第2凹部、521…突起、53…配線通し部、54…餌投入部、55…切り取り可能部、551…切り取り部、552…細孔、553…連結部、56…リブ、6…照明部材、61…発光部、62…照明カバー、63…電源コード