(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057797
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】畝立ユニットおよび畝立機
(51)【国際特許分類】
A01B 39/18 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
A01B39/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167465
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】597041747
【氏名又は名称】アグリテクノサーチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 定之
(72)【発明者】
【氏名】有吉 映明
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA07
2B034BA06
2B034BB10
2B034BC06
2B034HA13
2B034HB45
(57)【要約】
【課題】ディスクの角度の調整作業を容易に行うことができる畝立ユニットを提供する。
【解決手段】畝立ユニット20Aは、アーム支持部41に取り付けられ、後列ディスク40の進行方向に対する角度θを調整可能にディスク支持ロッド43を支持するディスク角度調整部42を備え、ディスク角度調整部42は、アーム支持部41に固定され、ディスク支持ロッド43を回動可能に支持し、ピン挿入孔511、512を有する一枚の調整支持板51と、ディスク支持ロッド43に一体的に回動可能に支持され、一つの調整孔531を有する角度調整板53と、ピン挿入孔511、512および調整孔531に挿入可能な固定ピン57とを有し、後列ディスク40の角度θが所定角度となるようにディスク支持ロッド43を回動した状態で、固定ピン57をピン挿入孔511、512および調整孔531に挿入することで、後列ディスク40の角度θが調整される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行しながら土壌に対する作業を行う畝立ユニットであって、
前記畝立ユニットの進行方向に沿って延びる支持フレームと、
支持フレームに支持され、前記進行方向と交差する幅方向に延びるアーム支持部と、
土壌に接地する畝立ディスクと、
上下方向に延び、前記畝立ディスクを回転可能に支持するディスク支持ロッドと、
前記アーム支持部に取り付けられ、前記畝立ディスクの前記進行方向に対する角度を調整可能なように前記ディスク支持ロッドを支持するディスク角度調整部とを備え、
前記ディスク角度調整部は、
前記アーム支持部に固定され、前記ディスク支持ロッドを回動可能に支持し、ピン挿入孔を有する一枚の調整支持板と、
前記ディスク支持ロッドに一体的に回動可能に支持され、一つの調整孔を有する角度調整板と、
前記ピン挿入孔および調整孔に挿入可能な固定ピンとを有し、
前記畝立ディスクの前記角度が所定角度となるように前記ディスク支持ロッドを回動した状態で、前記固定ピンを前記ピン挿入孔および前記調整孔に挿入することで、前記畝立ディスクの前記角度が調整される、
ことを特徴とする畝立ユニット。
【請求項2】
前記ピン挿入孔は、前記調整支持板における前記ディスク支持ロッドの回動中心を中心とした第1半径を有する円弧に沿った箇所に複数形成されるとともに、前記調整支持板における前記ディスク支持ロッドの回動中心を中心とした前記第1半径よりも小さな第2半径を有する円弧に沿った箇所に複数形成され、
前記調整孔は、前記ディスク支持ロッドの回動中心を中心とした円弧の径方向を長径方向とする長孔形状に形成され、
前記固定ピンは、前記調整孔内を前記径方向に移動可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の畝立ユニット。
【請求項3】
前記ディスク角度調整部は、前記固定ピンを、前記固定ピンが前記ピン挿入孔に挿通される方向へ付勢する付勢部材を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の畝立ユニット。
【請求項4】
前記進行方向と交差する幅方向に延びるメインフレームと、
前記メインフレームに装着される複数の請求項1~3の何れか一項に記載の前記畝立ユニットとを備える畝立機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝立ユニットおよび畝立機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、一対のディスクを前後に2列配置して構成され、トラクタまたは乗用管理機によって牽引することで、これらのディスクで条間の土壌を横方向へ反転移動させて中耕除草作業または培土(土寄せ)作業を行うディスク式の中耕除草機が知られている。
【0003】
このような中耕除草機は、メインフレームに接続される支持フレームと、支持フレームに幅方向へ突没自在に設けられるアーム支持部と、ディスク角調整支持体を介してアーム支持部に支持されるディスクとを有した中耕ユニットを備えている。
【0004】
中耕ユニットのディスク角調整支持体は、アーム支持部の先端側に上下方向に所定間隔を有して設けられた複数の調整支持板と、これらの調整支持板の一端側に設けられたピン挿入孔と、調整支持板に対して回動自在に設けられた筒状部材とを有している。筒状部材には、ディスクを回転自在に支持するディスク支持ロッドが回動自在で且つ固定可能に挿入されるとともに、調整支持板の上方に配置されて複数の調整孔を有した角度調整板が設けられている。
【0005】
そして、ディスク支持ロッドを筒状部材に固定した状態で角度調整板を介してディスクを回動させて、角度調整板の調整孔および調整支持板に形成されるピン挿入孔に固定ピンを挿通することにより、ディスクの角度を調整するように構成されている。
【0006】
このように、角度を調整可能に構成されたディスクを備えた中耕除草機は、ディスクにより土壌を横方向に移動させて畝立てを行う、畝立機として用いることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のディスク角調整支持体においては、角度調整板に複数の調整孔が形成されるとともに、調整支持板に複数のピン挿入孔が形成されており、ディスクの角度を調整する際に、複数の調整孔の中から固定ピンを挿通する調整孔を選択するとともに、複数のピン挿入孔の中から固定ピンを挿通するピン挿入孔を選択する必要があったため、ディスクの角度の調整作業が煩雑になっていた。
【0009】
また、調整支持板は上下方向に離間して複数設けられており、固定ピンは上下の調整支持板にわたって設けられるピン挿入孔に挿通するように構成されているため、固定ピンをピン挿入孔に抜き差しする際の固定ピンの移動量が大きくなり、ディスクの角度の調整作業が煩雑になっていた。
【0010】
そこで、本発明においては、ディスクの角度の調整作業を容易に行うことができる畝立ユニットおよび畝立機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する畝立ユニットおよび畝立機は、以下の特徴を有する。
【0012】
即ち、畝立ユニットは、進行しながら土壌に対する作業を行う畝立ユニットであって、前記畝立ユニットの進行方向に沿って延びる支持フレームと、支持フレームに支持され、前記進行方向と交差する幅方向に延びるアーム支持部と、土壌に接地する畝立ディスクと、上下方向に延び、前記畝立ディスクを回転可能に支持するディスク支持ロッドと、前記アーム支持部に取り付けられ、前記畝立ディスクの前記進行方向に対する角度を調整可能なように前記ディスク支持ロッドを支持するディスク角度調整部とを備え、前記ディスク角度調整部は、前記アーム支持部に固定され、前記ディスク支持ロッドを回動可能に支持し、ピン挿入孔を有する一枚の調整支持板と、前記ディスク支持ロッドに一体的に回動可能に支持され、一つの調整孔を有する角度調整板と、前記ピン挿入孔および調整孔に挿入可能な固定ピンとを有し、前記畝立ディスクの前記角度が所定角度となるように前記ディスク支持ロッドを回動した状態で、前記固定ピンを前記ピン挿入孔および前記調整孔に挿入することで、前記畝立ディスクの前記角度が調整される。
【0013】
これにより、固定ピンを挿通する調整孔を選択する必要がなく、畝立ディスクの角度の調整作業を容易に行うことができる。また、固定ピンをピン挿入孔に対して抜き差しする際に必要となる固定ピンの移動量を小さくすることができ、畝立ディスクの角度の調整作業を容易にすることができる。
【0014】
また、前記ピン挿入孔は、前記調整支持板における前記ディスク支持ロッドの回動中心を中心とした第1半径を有する円弧に沿った箇所に複数形成されるとともに、前記調整支持板における前記ディスク支持ロッドの回動中心を中心とした前記第1半径よりも小さな第2半径を有する円弧に沿った箇所に複数形成され、前記調整孔は、前記ディスク支持ロッドの回動中心を中心とした円弧の径方向を長径方向とする長孔形状に形成され、前記固定ピンは、前記調整孔内を前記径方向に移動可能である。
【0015】
これにより、固定ピンを調整孔内で径方向に移動させることで、第1半径を有する円弧に沿った箇所に形成されるピン挿入孔、または第2半径を有する円弧に沿った箇所に形成されるピン挿入孔の何れかに選択的に挿通することができるため、畝立ディスクの角度の調整作業をより容易にすることができる。
【0016】
また、前記ディスク角度調整部は、前記固定ピンを、前記固定ピンが前記ピン挿入孔に挿通される方向へ付勢する付勢部材を有する。
【0017】
これにより、固定ピンを、付勢部材の付勢力によって自動的に下方へ移動させて、ピン挿入孔に挿通することが可能であり、畝立ディスクの角度の調整作業を容易に行うことができる。
【0018】
また、畝立機は、前記進行方向と交差する幅方向に延びるメインフレームと、前記メインフレームに装着される複数の請求項1~3の何れかに記載の前記畝立ユニットとを備える。
【0019】
これにより、畝立機において、畝立ディスクの角度の調整作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、畝立ディスクの角度の調整作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】アーム支持部およびディスク角度調整部を示す平面図である。
【
図4】ディスク角度調整部を示す側面断面図である。
【
図5】(a)は調整支持板を示す平面図であり、(b)は調整支持板を示す側面図である。
【
図6】(a)は角度調整板を示す平面図であり、(b)は角度調整板を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0023】
[畝立機]
畝立機は、トラクタ等の走行機体による牽引等によって、複数のディスク対を備えた畝立ユニットを圃場面上に接地させた状態で進行しながら、土壌に対する畝立て等の作業を行うものである。本実施形態では、5つの畝立ユニットを備えた畝立機を例にして説明する。
【0024】
図1、
図2に示す畝立機1は、本発明に係る畝立機の一実施形態であり、メインフレーム3と、連結部5と、畝立ユニット20とを備えている。
【0025】
以下の説明においては、
図2における「上下方向」、「上側」、および「下側」を、それぞれ畝立機1の「進行方向」、「前側」、および「後側」と規定し、
図2における「左右方向」、「左側」、および「右側」を、それぞれ畝立機1の「幅方向」、「左側」、および「右側」と規定する。
【0026】
メインフレーム3は畝立機1の進行方向と交差する幅方向に延びており、連結部5が固定されている。連結部5は、走行機体90の後部に設けられた3点リンク機構に連結されるマスト6と、ロアーヒッチピン7とを備えており、走行機体90の後部に昇降可能に装着されている。
【0027】
メインフレーム3からは、後方へ向けて前後フレーム31が延出しており、前後フレーム31の後端部に幅方向に延びる後部フレーム32が取り付けられている。後部フレーム32には、播種機や施肥機等の作業機を装着することが可能である。後部フレーム32に播種機を装着した場合は、畝立播種作業を行うことが可能である。メインフレーム3には、土壌に畝立する5つの畝立ユニット20が、幅方向に所定間隔を有して装着されている。
【0028】
[畝立ユニット]
畝立ユニット20は、畝立ユニット20Aと畝立ユニット20Bとを有している。畝立ユニット20Aは幅方向における中央側に配置される3つのユニットであり、畝立ユニット20Bは、3つの畝立ユニット20Aの左方および右方に位置する2つのユニットである。
【0029】
畝立ユニット20Aと畝立ユニット20Bとは略同様の構成を有しているため、以下においては主に畝立ユニット20Aについての説明を行い、畝立ユニット20Bにおける同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。
【0030】
畝立ユニット20Aは、畝立機1の進行方向に沿って延びる支持フレーム21と、支持フレーム21の前端部に支持される左右一対の前列ディスク30と、支持フレーム21の後端部に支持される左右一対の後列ディスク40とを備えている。前列ディスク30および後列ディスク40は、土壌に接地する畝立ディスクの一例である。
【0031】
なお、
図2に示す畝立ユニット20Bには、左右一対の前列ディスク30および後列ディスク40のうち、幅方向内側の前列ディスク30および後列ディスク40のみが支持フレーム21に装着されているが、畝立ユニット20Bは、支持フレーム21に左右一対の前列ディスク30および後列ディスク40を装着した仕様とすることも可能である。
【0032】
前列ディスク30は、中央部が窪んだ浅皿状の円板形状に形成されており、窪んだ側に凹面30aを有している。後列ディスク40は、中央部が窪んだ浅皿状の円板形状に形成されており、窪んだ側に凹面40を有している。畝立機1によって畝立作業を行う際には、前列ディスク30の凹面30aおよび後列ディスク40の凹面40aが土壌を移動する作用面として機能する。
【0033】
支持フレーム21は、前端部がメインフレーム3に接続されており、メインフレーム3から後方へ向かって延びている。支持フレーム21の前端部には、支持フレーム21から下方へ突出する連結フレーム22が固定されている。
【0034】
連結フレーム22の下端部には、一対の揺動アーム24が垂直軸回りに回動可能に取り付けられている。一対の前列ディスク30は、それぞれ揺動アーム24に回転可能に支持されている。一対の前列ディスク30は、互いの幅方向の間隔が、前端部よりも後端部が大きくなるとともに、下端部よりも上端部が大きくなるハの字状の姿勢で配置されている。
【0035】
支持フレーム21の後端部には、畝立機1の進行方向と交差する幅方向に延びる一対のアーム支持部41が固定されている。一対のアーム支持部41は前後に並設されており、前方に位置するアーム支持部41は支持フレーム21から右方へ突出し、後方に位置するアーム支持部41は支持フレーム21から左方へ突出している。アーム支持部41は、四角筒状に形成され支持フレーム21に固定される固定部411と、固定部411よりも小径の四角筒状に形成され固定部411にスライド可能に挿入されるスライド部412とを有している。スライド部412を幅方向にスライドさせることで、スライド部412の固定部411からの突出量を調節することが可能である。
【0036】
固定部411の上面および下面にはそれぞれ一つの係止孔411aが形成され、スライド部412の上面および下面にはそれぞれ複数の固定孔412aが形成されている(
図3参照)。固定孔412aは、スライド部412のスライド方向に沿って略等間隔に配置されている。係止孔411aと何れかの固定孔412aとの位置を合わせて、係止孔411aおよび固定孔412aにピン部材を挿通することで、スライド部412の固定部411に対する突出量を調節した状態で、スライド部412を固定部411に固定することが可能となっている。
【0037】
アーム支持部41におけるスライド部412の先端部には、ディスク角度調整部42が取り付けられている。ディスク角度調整部42には、上下方向に延びるディスク支持ロッド43が回動可能に支持されており、ディスク支持ロッド43の下端部には、後列ディスク40が回転可能に支持されている。ディスク支持ロッド43は、畝立機1の進行方向に対する後列ディスク40の角度を調整可能なように、ディスク角度調整部42に支持されている。
【0038】
畝立ユニット20Bにおいては、支持フレーム21がアーム支持部41よりも後方へ延出しており、支持フレーム21の後端部に上下方向に延びるゲージ輪支持ロッド12が高さ調整可能に装着されている。ゲージ輪支持ロッド12の下端部にはゲージ輪11が支持されており、前列ディスク30および後列ディスク40の畝立て高さを調節可能となっている。
【0039】
[ディスク角度調整部]
図3に示すように、以下の説明においては、便宜上、前方のアーム支持部41に支持されるディスク角度調整部42をディスク角度調整部42Aと、後方のアーム支持部41に支持されるディスク角度調整部42をディスク角度調整部42Bと、適宜記載する。
【0040】
図3、
図4に示すように、ディスク角度調整部42は、調整支持板51と、角度調整板53と、固定ピン57と、バネ58と、を有している。調整支持板51は板状部材にて構成されており、アーム支持部41のスライド部412に接続されている。ディスク角度調整部42Aにおいては、調整支持板51の左端部かつ前端部がスライド部412に接続されており、ディスク角度調整部42Bにおいては、調整支持板51の右端部かつ前後中央部がスライド部412に接続されている。
【0041】
ディスク角度調整部42Aとディスク角度調整部42Bとは、スライド部412に対する調整支持板51の接続箇所が異なる他は同様に構成されているため、以下においてはディスク角度調整部42Aについての説明を行い、ディスク角度調整部42Bにおける同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。
【0042】
図3~
図5に示すように、調整支持板51には第1筒状部材52が固定されている。第1管部材52は調整支持板51から下方へ向けて延出しており、ディスク支持ロッド43が回動可能に挿通されている。調整支持板51には、複数のピン挿入孔511および複数のピン挿入孔512が形成されている。
【0043】
ピン挿入孔511は、調整支持板51におけるディスク支持ロッド43の回動中心Xを中心とした第1半径R1を有する円弧C1に沿った箇所に形成されている。ピン挿入孔512は、調整支持板51におけるディスク支持ロッド43の回動中心Xを中心とした第1半径R1よりも小さな第2半径R2を有する円弧C2に沿った箇所に形成されている。円弧C1、C2の周方向においては、ピン挿入孔511とピン挿入孔512とは交互に配置されている。
【0044】
図3、
図4、
図6に示すように、角度調整板53は、板状部材にて構成されている。角度調整板53には第2筒状部材54が固定されている。第2筒状部材54は角度調整板53から上方に延出しており、ディスク支持ロッド43が回動可能に挿通されている。
【0045】
第2筒状部材54の側面にはナット55が固定されている。ナット55に第2筒状部材54の外部からボルト60を螺装して、ボルト60の先端をディスク支持ロッド43に押圧することで、ディスク支持ロッド43を第2筒状部材54に固定して、ディスク支持ロッド43と第2筒状部材54とを一体的に回動可能とすることができる。つまり、ナット55にボルト60を螺装することで、角度調整板53は、ディスク支持ロッド43に一体的に回動可能に支持される。
【0046】
ディスク支持ロッド43の上端部には、抜け止めピン59が水平方向に挿通されており、抜け止めピン59によってディスク支持ロッド43が第2筒状部材54から下方へ抜け出ることが抑制されている。
【0047】
第2筒状部材54がディスク支持ロッド43に一体的に回動可能に固定され、ディスク支持ロッド43が第1筒状部材52に回動可能に挿通されることで、角度調整板53は、ディスク支持ロッド43を介して調整支持板51に回動可能に支持されることとなる。また、ディスク支持ロッド43は、ディスク角度調整部42Aによって、後列ディスク40の進行方向に対する角度θ(
図2参照)を調整可能なように支持される。
【0048】
なお、畝立ユニット20A、20Bにおいては、ナット55に螺装したボルト60によるディスク支持ロッド43の第2筒状部材54に対する固定を解除するとともに、ディスク支持ロッド43の上端部から抜け止めピン59を取り外すことで、ディスク支持ロッド43をディスク角度調整部42A、42Bから取り外すことでできる。これにより、ディスク角度調整部42Aに支持されるディスク支持ロッド43と、ディスク角度調整部42Bに支持されるディスク支持ロッド43とを入れ替えることが可能となっている。
【0049】
角度調整板53には、一つの調整孔531が形成されている。調整孔531は、ディスク支持ロッド43の回動中心Xを中心とした円弧C3の径R3方向を長径方向とする長孔形状に形成されている。調整孔531は、径方向においてピン挿入孔511およびピン挿入孔512と重なる位置に配置されている。
【0050】
角度調整板53には、調整孔531の上方を覆うカバー部材56が固定されている。カバー部材56は上面が閉じた円筒形状に形成されており、カバー部材56の上面には、調整孔531と略同じ大きさおよび形状の貫通孔561が形成されている。
【0051】
固定ピン57は、上下方向に延び、調整孔531およびピン挿入孔511、512に挿通可能なピン部材であり、本体部571と、大径部572と、挿通部573と、把持部574とを有している。本体部571はカバー部材56の内部に位置しており、大径部572は本体部571の下端に連続して形成されている。挿通部573は大径部572から下方へ突出している。
【0052】
把持部574は本体部571の上端部に取り付けられており、カバー部材56の上方に位置している。つまり、本体部571の上端部は貫通孔561を通じてカバー部材56の上方に突出しており、把持部574は本体部571のカバー部材56から上方へ突出した部分に取り付けられている。把持部574は、固定ピン57を上方へ引き上げる際に把持する部分である。固定ピン57は、角度調整板53の調整孔531内、およびカバー部材56の貫通孔561内を径方向に移動可能に構成されている。
【0053】
バネ58は圧縮コイルばねにより構成されており、固定ピン57の本体部571に嵌装されている。バネ58はカバー部材56の内部に配置されている。バネ58は、付勢部材の一例である。バネ58の上端部はカバー部材56の上面に当接しており、バネ58の下端部は大径部571に当接していて、固定ピン57はバネ58により下方に付勢されている。
【0054】
挿通部573は、調整支持板51のピン挿入孔511およびピン挿入孔512に挿通可能であり、固定ピン57は、バネ58の付勢力により挿通部573がピン挿入孔511またはピン挿入孔512に挿通された状態を保持することが可能である。固定ピン57がピン挿入孔511またはピン挿入孔512に挿通された状態では、角度調整板53の調整支持板51に対する回動位置が固定された状態となる。
【0055】
一方、固定ピン57がピン挿入孔511、512に挿通された状態から、把持部574を把持して固定ピン57をバネ58の付勢力に抗して上方に引き上げると、固定ピン57がピン挿入孔511、512から抜け出て、角度調整板53が調整支持板51に対して回動可能となる。
【0056】
このように構成されたディスク角度調整部42Aにおいては、ディスク支持ロッド43に支持される後列ディスク40の進行方向に対する角度θ(
図2参照)の調整を、次のようにして行うことができる。
【0057】
まず、固定ピン57を上方に引き上げてピン挿入孔511、512から抜き出した状態で、角度調整板53およびディスク支持ロッド43を調整支持板51に対して回動させて、ディスク支持ロッド43に支持される後列ディスク40の進行方向に対する角度θが所定の角度となるように調整する。この場合、調整孔531の周方向の位置が、何れかのピン挿入孔511、512の周方向の位置と合うように角度θを調整する。
【0058】
また、固定ピン57を引き上げる際には、固定ピン57の挿通部573がピン挿入孔511、512から抜け出る位置(
図4において2点鎖線で示す位置)まで引き上げればよく、挿通部573の下端が角度調整板53の調整孔531内に位置していても、角度調整板53を調整支持板51に対して回動させることができる。
【0059】
次に、固定ピン57を下方に移動させて、調整孔531、および調整孔531と位置が合ったピン挿入孔511、512に挿通する。この場合、固定ピン57は調整孔531内を径方向に移動可能であり、調整孔531の周方向の位置がピン挿入孔511と合っていたときには、固定ピン57を調整孔531内における回動中心Xから離れる側へ移動させたうえでピン挿入孔511に挿入する。また、調整孔531の周方向の位置がピン挿入孔512と合っていたときには、固定ピン57を調整孔531内における回動中心Xに近づく側へ移動させたうえでピン挿入孔512に挿入する。
【0060】
このように、固定ピン57を調整孔531およびピン挿入孔511、512に挿通する場合、角度調整板53に形成されている調整孔531は一つだけであるため、固定ピン57を挿通する調整孔531を選択する必要がなく、後列ディスク40の角度θの調整作業を容易に行うことが可能である。また、固定ピン57は、調整孔531内で径方向に移動させることで、ピン挿入孔511またはピン挿入孔512の何れかに選択的に挿通することができるため、後列ディスク40の角度θの調整作業がより容易となる。
【0061】
さらに、固定ピン57を引き上げるために把持していた把持部574から手を放すことで、固定ピン57を、バネ58の付勢力によって自動的に下方へ移動させて、調整孔531およびピン挿入孔511、512に挿通することが可能である。これにより、後列ディスク40の角度θの調整作業を容易に行うことが可能となっている。
【0062】
また、ディスク角度調整部42Aにおいては、固定ピン57が挿通されるピン挿入孔511、512を有した調整支持板51は一枚だけ設けられている。従って、固定ピン57をピン挿入孔511、512に対して抜き差しする際に必要となる固定ピン57の移動量D(
図4参照)は、調整支持板51の厚みに対応した小さな移動量となり、後列ディスク40の角度θの調整作業を容易にすることができる。
【0063】
また、ディスク角度調整部42Aにおいては、角度調整板53の調整孔531はカバー部材56により覆われているため、調整孔531の内部に土等の異物が侵入することを抑制でき、調整孔531に挿通される固定ピン57の動きが阻害されることがなく、後列ディスク40の角度θの調整作業を円滑に行うことができる。
【0064】
さらに、固定ピン57の本体部571に嵌装されるバネ58は、カバー部材56の内部に配置されているため、バネ58に土等の異物が付着することが抑制され、バネ58による固定ピン57に対する付勢動作が阻害されることがない。これにより、固定ピン57を円滑に調整孔531に挿通することができ、後列ディスク40の角度θの調整作業が容易となる。
【0065】
[畝立機による畝立作業の動作]
以上のように構成された畝立機1によって畝立作業を行う場合の動作について説明する。
図2に示すように、畝立作業を行う場合の畝立ユニット20A、20Bにおいては、前列ディスク30および後列ディスク40は、前端部が後端部よりも支持フレーム21に近づく側へ傾斜した姿勢に配置される。また、前列ディスク30の凹面30aおよび後列ディスク40の凹面40aは、畝立ユニット20A、20Bにおける幅方向外側、つまり幅方向における支持フレーム21側とは反対側に面する姿勢で配置される。畝立作業を行う際には、作業に先立ちゲージ輪11の高さ調整を行って、前列ディスク30および後列ディスク40の接地深さを調整する。
【0066】
このように設定された畝立機1が前進すると、前列ディスク30によって土壌が左右側方に一次移動し、一次移動された土壌が前列ディスク30の後方に配置された後列ディスク40によって更に左右側方に移動する。このように、前列ディスク30および後列ディスク40によって左右側方に移動された土壌により畝が成形される。
【0067】
畝立機1によって畝立作業を行う場合、アーム支持部41におけるスライド部412の固定部411に対する突出量を調整することで、後列ディスク40の幅方向の位置を、成形する畝と畝との間の距離に応じて適切に設定することができる。
【0068】
また、畝立機1においては、前列ディスク30の進行方向に対する角度、および後列ディスク40の進行方向に対する角度θを調整することで、前列ディスク30および後列ディスク40による土壌の移動量を調節することができる。例えば、畝立を行う土壌の量を多くする場合には、前列ディスク30の進行方向に対する角度、および後列ディスク40の進行方向に対する角度θを大きく設定する。また、畝立を行う土壌の量を少なくする場合には、前列ディスク30の進行方向に対する角度、および後列ディスク40の進行方向に対する角度θを小さく設定する。
【符号の説明】
【0069】
1 畝立機
3 メインフレーム
20、20A、20B 畝立ユニット
21 支持フレーム
30 前列ディスク
40 後列ディスク
41 アーム支持部
42、42A、42B ディスク角度調整部
43 ディスク支持ロッド
51 調整支持板
53 角度調整板
57 固定ピン
58 バネ
511、512 ピン挿入孔
531 調整孔
C1、C2、C3 円弧
R1 第1半径
R2 第2半径
R3 径
θ 角度