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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057799
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】車両用スライド窓パネル開閉装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/18 20060101AFI20230417BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20230417BHJP
   E05F 15/652 20150101ALI20230417BHJP
   E05F 15/655 20150101ALI20230417BHJP
【FI】
B60J1/18 N
E05D15/06 101Z
E05F15/652
E05F15/655
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167467
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン アラム
(72)【発明者】
【氏名】カイル エルスワース
(72)【発明者】
【氏名】蕪木 誠
【テーマコード(参考)】
2E034
2E052
3D127
【Fターム(参考)】
2E034AA08
2E034BA15
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA15
2E052EB01
3D127AA17
3D127BB01
3D127CB04
3D127CC03
3D127DF04
3D127DF15
3D127DF19
3D127GG03
(57)【要約】
【課題】車両用スライド窓パネル開閉装置において、装置全体の小型化を図る。
【解決手段】車体に設けた開口部を開閉可能なスライド窓パネル6と、スライド窓パネル6を水平方向へスライド可能に支持する上下のガイドレール4、5と、下のガイドレール5に取り付けられ、モータ72の駆動によりスライド窓パネル6を開閉作動させるスライド駆動機構7とを備える。スライド駆動機構7は、モータ72と、モータ72の駆動により回転可能なリードスクリュー75と、リードスクリュー75に螺合してリードスクリュー75の回転によりガイドレール75の長手方向へ直線移動することによりスライド窓パネル6を開閉作動させるスクリューナット76とを含む。ガイドレール5は、リードスクリュー75の両端部をそれぞれ回転自在に支持する第1、2支持部52、53を一体形成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向へスライドすることで車体に設けた開口部を開閉可能なスライド窓パネルと、
前記車体に固定され、前記スライド窓パネルを水平方向へスライド可能に支持する上下のガイドレールと、
前記上下のガイドレールのうちいずれか一方のガイドレールに取り付けられ、モータの駆動により前記スライド窓パネルを開閉作動させるスライド駆動機構と、を備え、
前記スライド駆動機構は、
前記モータと、前記モータの駆動により前記一方のガイドレールの長手方向に平行な軸線を中心に回転可能なリードスクリューと、前記リードスクリューに螺合して前記リードスクリューの回転により前記一方のガイドレールの長手方向へ直線移動し、当該直線移動により前記スライド窓パネルを開閉作動させるように前記スライド窓パネルに連結されるスクリューナットと、を含み、
前記一方のガイドレールは、前記リードスクリューの両端部をそれぞれ回転自在に支持する第1、2支持部を一体形成することを特徴とする車両用スライド窓パネル開閉装置。
【請求項2】
前記第1、2支持部のそれぞれに滑り軸受を設け、
前記リードスクリューの両端部を前記滑り軸受にそれぞれ回転自在に挿入することで前記第1、2支持部に回転自在に支持することを特徴とする請求項1記載の車両用スライド窓パネル開閉装置。
【請求項3】
前記スライド窓パネルは、自体に連結されると共に前記一方のガイドレールに長手方向へ移動可能に嵌合するキャリアプレートを介して前記スクリューナットに連結されることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用スライド窓パネル開閉装置。
【請求項4】
前記スクリューナットは、前記キャリアプレートに向けて延出する連結アーム部を有し、
前記キャリアプレートは、前記一方のガイドレールに長手方向へスライド可能に嵌合するスライド部と、前記スライド窓パネルに連結するために前記スライド窓パネルが嵌合する嵌合溝と、前記スクリューナットの前記連結アーム部が嵌合する連結溝とを有することを特徴とする請求項3記載の車両用スライド窓パネル開閉装置。
【請求項5】
前記スクリューナットの前記連結アーム部は、前記キャリアプレートの前記連結溝に対して前記一方のガイドレールの長手方向に直交する方向のうち水平方向へ相対移動可能に嵌合することを特徴とする請求項4記載の車両用スライド窓開閉装置。
【請求項6】
前記スライド駆動機構は、さらに前記一方のガイドレールに固定され、前記リードスクリューの全体を覆うカバーを含み、
前記カバーは、前記第1、2支持部のそれぞれに支持された前記滑り軸受の外周面を抑える抑え部を有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の車両用スライド窓パネル開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられるスライド窓パネルを駆動源の動力により水平方向へ開閉移動させる車両用スライド窓パネル開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ピックアップトラックの後部窓に設けられるスライド窓パネルを駆動源の動力により水平方向(左右方向)へ開閉移動させるようにした車両用スライド窓パネル開閉装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示の車両用スライド窓パネル開閉装置は、固定パネルに設けた開口部を開閉可能なスライド窓パネルと、スライド窓パネルを水平方向へ移動可能にガイドするスライドパネル用ガイドレールと、スライド窓パネルを駆動するスライド駆動機構を備える。
【0004】
スライド駆動機構は、スライド窓パネルに連結される移動体と、移動体をスライド窓パネル用ガイドレールの長手方向に沿って走行させるための駆動用ケーブル及び駆動装置を有する駆動ユニットとを備える。
【0005】
駆動用ケーブルは、筒状のアウターケーブル内を走行するインナーケーブルを備える。インナーケーブルの一端は移動体の一端に連結され、同じく他端は移動体の他端に連結される。駆動装置は、車両本体に取り付けられると共に、モータを内蔵し、当該モータの駆動力によってインナーケーブルを往復走行させて、移動体を移動させることにより、スライド窓パネルを水平方向へ移動させて、固定パネルの開口部を開閉する。また、スライド駆動機構の取り付けは、スライド窓パネルを車両本体に組み付けた後に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2014-103826号国際公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の車両用スライド窓パネル開閉装置は、駆動用ケーブルを備える構成であるため、構成が複雑であることに加えて、スライド窓パネル用ガイドレール外の領域にスライド窓パネルを開閉移動させるための駆動用ケーブルの配索スペースを必要として、装置全体の大型化を招く問題点を有する。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑み、装置全体の小型化を可能にした車両用スライド窓パネル開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
車両用スライド窓パネル開閉装置において、水平方向へスライドすることで車体に設けた開口部を開閉可能なスライド窓パネルと、前記車体に固定され、前記スライド窓パネルを水平方向へスライド可能に支持する上下のガイドレールと、前記上下のガイドレールのうちいずれか一方のガイドレールに取り付けられ、モータの駆動により前記スライド窓パネルを開閉作動させるスライド駆動機構と、を備え、前記スライド駆動機構は、前記モータと、前記モータの駆動により前記一方のガイドレールの長手方向に平行な軸線を中心に回転可能なリードスクリューと、前記リードスクリューに螺合して前記リードスクリューの回転により前記一方のガイドレールの長手方向へ直線移動し、当該直線移動により前記スライド窓パネルを開閉作動させるように前記スライド窓パネルに連結されるスクリューナットと、を含み、前記一方のガイドレールは、前記リードスクリューの両端部をそれぞれ回転自在に支持する第1、2支持部を一体形成することを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記第1、2支持部のそれぞれに滑り軸受を設け、前記リードスクリューの両端部を前記滑り軸受にそれぞれ回転自在に挿入することで前記第1、2支持部に回転自在に支持する。
【0011】
好ましくは、前記スライド窓パネルは、自体に連結されると共に前記一方のガイドレールに長手方向へ移動可能に嵌合するキャリアプレートを介して前記スクリューナットに連結される。
【0012】
好ましくは、前記スクリューナットは、前記キャリアプレートに向けて延出する連結アーム部を有し、前記キャリアプレートは、前記一方のガイドレールに長手方向へスライド可能に嵌合するスライド部と、前記スライド窓パネルに連結するために前記スライド窓パネルが嵌合する嵌合溝と、前記スクリューナットの前記連結アーム部が嵌合する連結溝とを有する。
【0013】
好ましくは、前記スクリューナットの前記連結アーム部は、前記キャリアプレートの前記連結溝に対して前記一方のガイドレールの長手方向に直交する方向のうち水平方向へ相対移動可能に嵌合する。
【0014】
好ましくは、前記スライド駆動機構は、さらに前記一方のガイドレールに固定され、前記リードスクリューの全体を覆うカバーを含み、前記カバーは、前記第1、2支持部のそれぞれに支持された前記滑り軸受の外周面を抑える抑え部を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、スライド駆動機構のリードスクリューをガイドレールに直接回転可能に支持したことにより、構成を簡単にし、かつ装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る車両用スライド窓パネル開閉装置を装着した車両の左斜め後方から見た斜視図である。
図2】車両用スライド窓パネル開閉装置の前方から見た正面図である。
図3】車両用スライド窓パネル開閉装置の斜め前方から見た斜視図である。
図4】車両用スライド窓パネル開閉装置の分解斜視図である。
図5】車両用スライド窓パネル開閉装置における要部の斜め前方から見た拡大斜視図である。
図6】キャリアプレートを含む要部の分解斜視図である。
図7】キャリアプレート及び第2滑り軸受を含む要部の斜視図である。
図8】第1支持部及びリードスクリューの一端部を含む要部の拡大斜視図である。
図9】スライド駆動機構の内部構造を示す斜視図である。
図10図2におけるX-X線横断面図である。
図11図10における矢示XI部の拡大図である。
図12図10における矢示XII部の拡大図である。
図13図2におけるXIII-XIII線縦断面図である。
図14図2におけるXIV-XIV線縦断面図である。
図15図2におけるXV-XV線縦断面図である。
図16図2におけるXVI-XVI線横断面図である。
図17】スライド窓パネルの取り付け方法を説明するための図16と同様部位の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではなく、以下の実施形態から当業者が自明の範囲内で適宜変更したものも含む。
【0018】
図1は、本発明に係る車両用スライド窓パネル開閉装置を装着した車両の左斜め後方から見た斜視図である。図2は、車両用スライド窓パネル開閉装置の前方から見た正面図である。図3は、車両用スライド窓パネル開閉装置の斜め前方から見た斜視図である。図4は、車両用スライド窓パネル開閉装置の分解斜視図である。図5は、車両用スライド窓パネル開閉装置における要部の斜め前方から見た拡大斜視図である。なお、以下の説明で使用する方位は、車両1の前後方向及び左右方向を基準とする。したがって、例えば、図2、3においては、図の左方は車両1の右方であり、図の右方は車両の左方となる。
【0019】
本実施形態に係る車両用スライド窓パネル開閉装置は、ピックアップトラック等の車両1の運転室後部に形成される後窓部(開口部)2Cを開閉する構成を備えるものであって、主な要素として、運転室後部の後窓枠体3に固着される固定パネル(ガラス)2と、固定パネル2の室内側である前面上部に長手方向が左右方向(水平方向)を向くように固定されるアッパーガイドレール4と、固定パネル2の前面下部に長手方向が左右方向に向くように固定されるロアガイドレール5と、アッパーガイドレール4とロアガイドレール5により左右方向へスライド可能に取り付けられて、固定パネル2に形成される前述の後窓部2Cを開閉するスライド窓パネル(ガラス)6と、スライド窓パネル6を開閉方向(左右方向)へ駆動するスライド駆動機構7とを備える。
【0020】
固定パネル2は、特に図4から理解できるように、左右方向に所定の間隔を有するように形成される左側(図4において右側)の第1固定パネル2A及び右側(図4において左側)の第2固定パネル2Bと、第1固定パネル2Aと第2固定パネル2Bとの間に形成される矩形状の後窓部2Cを一体形成する。
【0021】
スライド窓パネル6は、正面視が矩形状を呈して、上縁部がアッパーガイドレール4に左右方向へスライド可能に嵌合し、下縁部が後述のキャリアプレート77を介してロアガイドレール5に左右方向へスライド可能に嵌合することにより、後窓部2Cを閉鎖する閉鎖位置(例えば、図2、3に示す位置)から図2、3に示す矢印方向(図3においては、実線で示す矢印と2点鎖線で示す矢印のうち、実線で示す矢印の方向)へ所定量スライド移動することにより後窓部2Cを開放する開放位置に移動可能な構成を備える。スライド窓パネル6の下部には、後述のようにキャリアプレート77に設けた複数の係合突起部775にそれぞれ係合する係合孔61が左右方向に複数並設される。
【0022】
スライド窓パネル6における閉鎖位置から開放位置、及びその逆へのスライド移動は、スライド駆動機構7における後述のモータ72の駆動によるスクリューナット76の直線移動により行われる。
【0023】
アッパーガイドレール4は、縦断面が略倒立U字状を呈して、長手方向が左右方向に向くように固定パネル2の前面上部に固定されると共に、スライド窓パネル6の上縁部が左右方向へスライド可能に嵌合し得る図示略のガイド溝を有する。好ましくは、スライド窓パネル6を運転室後部に取り付ける際、スライド窓パネル6の右上端をアッパーガイドレール4の左端からアッパーガイドレール4のガイド溝に差し込めるように、ガイド溝の左端を開口する。なお、アッパーガイドレール4は、平面視において後方へ向けて若干湾曲する湾曲状を呈する。
【0024】
ロアガイドレール5は、合成樹脂製であって、アッパーガイドレール4と同様に、平面視において後方へ向けて若干湾曲する湾曲状を呈して、長手方向が左右方向へ向くように固定パネル2の前面下部に固定される。ロアガイドレール5には、スライド窓パネル6の下縁部に後述のように連結されるキャリアプレート77が左右方向へスライド可能に嵌合するガイド溝51が形成される。特に図13に示すように、ガイド溝51は、キャリアプレート77が上方からスライド可能に嵌合し得るように上方が開口すると共に、スライド窓パネル6を運転室後部に取り付ける際、スライド窓パネル6の右下端部をロアガイドレール5の左端からロアガイドレール5のガイド溝51に差し込めるように、ガイド溝51の左端を開口する。
【0025】
ロアガイドレール5の一端部(右端部)には、スライド駆動機構7におけるリードスクリュー75の一端部(右端部)を回転可能に支持するための第1支持部52が一体形成される。さらに、ロアガイドレール5の長手方向の略中央部には、リードスクリュー75の他端部(左端部)を回転可能に支持するための第2支持部53が一体形成される。
【0026】
特に、図8、11、14に示すように、第1支持部52は、左右方向及び前方が開口する縦断面形状が半円状の支持溝521を有する。特に、図7、12、15に示すように、第2支持部53は、一方(右方)及び前方が開口する縦断面形状が半円状の支持溝531を有する。
【0027】
特に、図5、9、11に示すように、スライド駆動機構7は、駆動部70と、駆動部70のモータ72の駆動により左右方向(水平方向)を向く軸線回りに回転するリードスクリュー75と、リードスクリュー75に螺合するスクリューナット76と、スクリューナット76とスライド窓パネル6とを互いに連結するためのキャリアプレート77と、リードスクリュー75を覆うカバー10とを備える。
【0028】
駆動部70は、ロアガイドレール5の一端部に固定されるケーシング71と、ケーシング71内に収容されるモータ72と、ケーシング71内に回転自在に枢支される第1減速ギヤ73及び第2減速ギヤ74とを含んで構成される。
【0029】
モータ72は、回転軸が左右方向(水平方向)を向くようにして、ケーシング71内に収容されると共に、回転軸の一端部にはウォーム721が固着される。ウォーム721は、第1減速ギヤ73の小径のウォームホイールギヤ部731に噛合することで、モータ72の回転を第1減速ギヤ73に伝達する。
【0030】
第1減速ギヤ73は、ケーシング71内に上下方向の軸733により回転自在に枢支されると共に、ウォーム721に噛合する前述のウォームホイールギヤ部731と、第2減速ギヤ74に噛合する大径ギヤ732とを同軸上に一体形成する。
【0031】
第2減速ギヤ74は、ケーシング71内に左右方向(モータ72の回転軸と平行な方向)の軸回りに回転自在に枢支されると共に、第1減速ギヤ73の大径ギヤ732に噛合して、第1減速ギヤ73の回転に連動して左右方向を向く軸線回りに回転し、当該回転をリードスクリュー75に伝達する。好ましくは、第2減速ギヤ74は、第1減速ギヤ73の軸733を境にして、ウォーム721の反対側に位置して大径ギヤ732に噛合する。第2減速ギヤ74における他端(右端)には、リードスクリュー75の一端部752が相対回転不能に嵌合する連結孔741(図11参照)が設けられる。このようにすることにより、駆動部70の小型化を図ることができる。
【0032】
特に図10に示すように、リードスクリュー75は、一端部付近がロアガイドレール5の第1支持部52に回転自在に支持され、他端部がロアガイドレール5の第2支持部53に回転自在に支持される。好ましくは、特に図11に示すように、リードスクリュー75の一端部付近は、第1支持部52に設けた支持溝521に嵌合支持される第1滑り軸受8に挿入して回転自在に支持される。特に図12に示すように、リードスクリュー75の他端部は、第2支持部53に設けた支持溝531に嵌合支持される第2滑り軸受9に挿入して回転自在に支持される。さらに、好ましくは、第1滑り軸受8の外周面は、ロアガイドレール5に固定されるカバー10の一端部に設けられる第1抑え部102と第1支持部52の支持溝521との間に挟持される。第2滑り軸受9の外周面は、カバー10の他端部に設けられる第2抑え部103と第2支持部53の支持溝531との間に挟持される。すなわち、リードスクリュー75の一端部は、ロアガイドレール5の第1支持部52とカバー10の第1抑え部102との間に支持される第1滑り軸受8により回転自在に支持され、リードスクリュー75の他端部は、ロアガイドレール5の第2支持部53とカバー10の第2抑え部103との間に支持される第2滑り軸受9により回転自在に支持される。このようにすることで、リードスクリュー75の両端部を円滑に回転できるように支持することができると共に、カバー10によってリードスクリュー75を覆うことで、リードスクリュー75への塵埃の付着を防止して安定した作動を実現する。
【0033】
図11に示すように、リードスクリュー75の一端部752は、前述のように第1滑り軸受8を貫通して第2減速ギヤ74の連結孔741に相対回転不能に挿入される。これにより、リードスクリュー75は、第2減速ギヤ74の回転に伴って左右方向の軸線回りに回転する。
【0034】
特に、図12に示すように、スクリューナット76は、自体に設けた左右方向へ貫通するスクリュー孔761にリードスクリュー75が貫通してリードスクリュー75のスクリュー部751が螺合することで、リードスクリュー75の回転に伴って左右方向へ直線運動する。さらに、図6、13に示すように、スクリューナット76には、側面視略L字状を呈して、スクリュー孔761に加えて、上方へ延出する上アーム部762と、後方へ向けて延出してキャリプレート77に設けた連結溝771に嵌合する連結アーム部763とを一体形成する。このように、スクリューナット76は、連結アーム部763がキャリアプレート77の連結溝771に嵌合することで、キャリアプレート77に連結されて、キャリアプレート77を左右方向へ移動させる。
【0035】
キャリアプレート77は、合成樹脂製で形成されて左右方向へ所定の長さを有して、スライド窓パネル6の下部に連結されると共に、スクリューナット76に連結されることで、リードスクリュー75の回転によるスクリューナット76の左右方向への直進運動に伴って、ロアガイドレール5の長手方向に沿ってスライド移動してスライド窓パネル6を開閉移動させる。
【0036】
特に、図6、13に示すように、キャリアプレート77には、ロアガイドレール5のガイド溝51の前側に位置して左右方向に所定の長さを有する垂直壁部772と、スクリューナット76の連結アーム部763が嵌合する前述の連結溝771と、縦断面形状が略U字状を呈してロアガイドレール5のガイド溝51に左右方向へスライド可能に嵌合するスライド部773とが形成される。
【0037】
特に、図6、12に示すように、キャリアプレート77の連結溝771は、垂直壁部772の長手方向の略中央部に設けられて前方及び下方が開口する矩形状を呈して、スクリューナット76の連結アーム部763が嵌合可能な構成を備える。このように、連結アーム部763が連結溝771に嵌合することにより、キャリアプレート77は、スクリューナット76に連結されて、スクリューナット76と共に左右方向へ移動する。
【0038】
好ましくは、スクリューナット76の連結アーム部763は、キャリアプレート77の連結溝771に左右方向へ実質的にガタ付きが生じないものの、前後方向へ相対移動可能に嵌合される。
【0039】
上述のように、スクリューナット76の連結アーム部763をキャリアプレート77の連結溝771に対して嵌合することにより、次のような作用効果を奏する。
(a)リードスクリュー75の回転によりスクリューナット76が直線移動した際、当該直線移動をキャリアプレート77に確実に伝達できる。
(b)ロアガイドレール5が後方へ向けて湾曲した形状で、キャリアプレート77の左右方向への移動に伴って、キャリアプレート77とスクリューナット76との間の前後方向の隔たりが変化する構成であっても、スクリューナット76の連結アーム部763がキャリアプレート77の連結溝771に前後方向へ相対移動可能であるため、前記隔たりの変化を吸収して、スクリューナット76及びキャリアプレート77の左右方向への移動を円滑なものとすることができる。
【0040】
特に、図6、13、16に示すように、キャリアプレート77のスライド部773は、ロアガイドレール5のガイド溝51上をスライドする底部773aと、当該底部773aの前端から起立する第1起立部773bと、底部773aの後端から起立して、第1起立部773bに所定の間隔をもって対向する第2起立部773cとを有する。
【0041】
第1起立部773bと第2起立部773cとの間には、スライド窓パネル6の下部を前後から挟持し得るように上方が開口し、かつ長手方向の端が開口した嵌合溝774が設けられる。このように、嵌合溝774の長手方向の端を開口したことにより、スライド窓パネル6を車両1に取り付ける場合、スライド窓パネル6を水平方向に移動させるだけで、スライド窓パネル6の下部をキャリプレート77の嵌合溝774に嵌合させることができる。
【0042】
第1起立部773bの内側面(第2起立部773cに対向する面)には、スライド窓パネル6の下部に設けられた複数の係合孔61にそれぞれ係合する複数の係合突起部(係合部)775が設けられる。好ましくは、係合突起部775は、特に図16から理解できるように、平面視において他方側(スライド窓パネル6の取り付け方向に相対する側)に向けて傾斜する傾斜面775aを有する直角三角形状に形成されて、スライド窓パネル6の係合孔(被係合部)61に係合する。係合突起部775を平面視において直角三角形とすることにより、スライド窓パネル6をキャリアプレート77に連結する際、スライド窓パネル6の下部をキャリアプレート77の嵌合溝774に左方から差し込むことにより、係合突起部775を係合孔61に簡単かつ確実に係合させることができる。
【0043】
さらに、好ましくは、スライド窓パネル6の下部をキャリアプレート77の嵌合溝774に左方から差し込んで係合突起部775を係合孔61に係合させる際、係合突起部775が係合孔61に容易に係合できるように、第1起立部773b及び第2起立部773cの少なくともいずれか一方を外方(嵌合溝774の幅が広がる方向)に弾性変形可能な構成とする。
【0044】
カバー10は、リードスクリュー75全体を覆うようにロアガイドレール5に固定される。カバー10には、リードスクリュー75を覆う覆い部101と、覆い部101の一端にあって、ロアガイドレール5の第1支持部52と共同して、第1滑り軸受8を介してリードスクリュー75の一端部752付近を回転可能に支持する第1抑え部102と、覆い部101の他端にあって、ロアガイドレール5の第2支持部53と共同して、第2滑り軸受9を介してリードスクリュー75の他端部を回転可能に支持する第2抑え部103とが形成される。
【0045】
次に、スライド窓パネル6の車両1への取り付け方法を説明する。
先ず、スライド窓パネル6の一端側の下部を固定パネル2に固定されたロアガイドレール5のガイド溝51に他端側から挿入して上部を位置合わせして、スライド窓パネル6の一端側の上部を固定パネル2に固定されたアッパーガイドレール4のガイド溝に他端側から挿入する。なお、スライド駆動機構7におけるロアガイドレール5に対する取り付けは、スライド窓パネル6を車両1に取り付ける前に行われる。
【0046】
次いで、スライド窓パネル6を若干持ち上げてスクリューナット6に連結されたキャリアプレート77に向けて水平移動させる。そして、図17に示すように、スライド窓パネル6を矢印方向へ移動させて、スライド窓パネル6の一端側の下部キャリアプレート77の嵌合溝774に水平方向から嵌合させる。
【0047】
次いで、スライド窓パネル6の一端側の下部をキャリアプレート77の嵌合溝774に嵌合させた状態で、スライド窓パネル6を一方へ所定量移動させることで、キャリアプレート77の複数の係合突起部775がスライド窓パネル6の複数の係合孔61にそれぞれ係合する。これにより、スライド窓パネル6はキャリアプレート77に連結される。
【0048】
上述のように、キャリアプレート77における嵌合溝774の長手方向(水平方向)の端を開口して、スライド窓パネル6の下部を水平方向からキャリアプレート77の嵌合溝774に嵌合可能な構成としたことにより、スライド窓パネル6を車両1に取り付ける際、アッパーガイドレール4とロアガイドレール5間に挿入したスライド窓パネル6を大きく持ち上げることなく、スライド窓パネル6をそのままキャリアプレート77に向けて移動させることで、スライド窓パネル6の下部をキャリプレート77の嵌合溝774に嵌合させることができる。これにより、スライド窓パネル6のキャリアプレート77に対する連結作業を簡単なものとして、作業効率の向上を図ることができる。
【0049】
以上のように取り付けられたスライド窓パネル6は、スライド駆動機構7のモータ72の駆動によりリードスクリュー75を回転させて、スクリューナット76を直線移動させることで、スクリューナット76に連結されたキャリアプレート77の移動により開閉移動する。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、前記実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
【0051】
(a)リードスクリュー75をアッパーガイドレール4に設けた支持部に回転自在に支持すると共に、スライド駆動機構7をアッパーガイドレール4に取り付ける。
【0052】
(b)アッパーガイドレール4及び/又はロアガイドレール5を車体に直接固定する。なお、前記実施形態においても、アッパーガイドレール4及びロアガイドレール5は、車体に固定した固定パネル2を介して車体に間接的に固定されるものであるから、車体に固定されるものと定義される。
【0053】
(c)スクリューナット76をスライド窓パネル6に直接連結する。
【0054】
(d)キャリアプレート77のスライド窓パネル6に対する固定構造について、キャリアプレート77又はスライド窓パネル6のいずれか一方に係合孔又は係合溝を設け、キャリアプレート77又はスライド窓パネル6のいずれか他方に係合孔又は係合溝係合する突部を設ける。なお、突部をスライド窓パネル側に設ける場合には、突部の傾斜面をスライド窓パネル6の取り付け方向側に設ける。
【0055】
(e)キャリアプレート77の嵌合溝774を、スライド窓パネル6の取り付け方向側(左側)だけを開口し、その反対側(右側)を閉塞する。
【符号の説明】
【0056】
1 車両 2 固定パネル
2A 第1固定パネル 2B 第2左固定パネル
2C 後窓部(開口部) 3 後窓枠体
4 アッパーガイドレール 5 ロアガイドレール
51 ガイド溝 52 第1支持部
521 第1支持溝 53 第2支持部
531 第2支持溝 6 スライド窓パネル
61 係合孔 7 スライド駆動機構
70 駆動部 71 ケーシング
72 モータ 721 ウォーム
73 第1減速ギヤ 731 ウォームホイールギヤ部
732 大径ギヤ 733 軸
74 第2減速ギヤ 741 連結孔
75 リードスクリュー 751 スクリュー部
752 一端部 76 スクリューナット
761 スクリュー孔 762 上アーム部
763 連結アーム部 77 キャリアプレート
771 連結溝 772 垂直壁部
773 スライド部 773a 底部
773b 第1起立部 773c 第2起立部
774 嵌合溝 775 係合突起部(係合部)
775a 傾斜面 8 第1滑り軸受
9 第2滑り軸受 10 カバー
101 覆い部 102 第1抑え部
103 第2抑え部
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