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特開2023-57804情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057804
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230417BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20230417BHJP
   G10L 25/51 20130101ALI20230417BHJP
【FI】
G06Q50/10
G10L15/10 200W
G10L25/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167472
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 友也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】搭乗者の間の関係性を適切に推定する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】端末装置と、コンテンツ装置と、情報処理装置とが、ネットワークを介して、有線又は無線により通信可能に接続される情報処理システムにおいて、情報処理装置200は、移動体に搭乗する搭乗者の間で行われた会話を示す会話情報を取得する取得部237と、会話情報から検出された会話の継続状況に基づいて、搭乗者の間の関係性を推定する推定部238と、を有する。取得部は、会話情報として、会話の時系列を示す時系列情報を含む会話情報を取得し、推定部は、時系列情報から検出された会話の継続状況に基づいて、搭乗者の間の関係性を推定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭乗する搭乗者の間で行われた会話を示す会話情報を取得する取得部と、
前記会話情報から検出された前記会話の継続状況に基づいて、前記搭乗者の間の関係性を推定する推定部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記会話情報として、前記会話の時系列を示す時系列情報を含む会話情報を取得し、
前記推定部は、前記時系列情報から検出された前記会話の継続状況に基づいて、前記搭乗者の間の関係性を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記会話の継続状況として、前記会話の継続時間に基づいて、前記搭乗者の間の関係性を推定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記会話の継続状況として、前記会話のテンポに基づいて、前記搭乗者の間の関係性を推定する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記会話の継続状況から前記搭乗者ごとに前記会話の支配率を算出し、算出した支配率に基づいて、前記搭乗者の間の関係性を推定する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記推定部は、前記会話情報から二人称を示すキーワードが検出された場合には、検出されたキーワードをさらに用いて、前記搭乗者の間の関係性を推定する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記推定部は、前記会話情報から敬称を示すキーワードが検出された場合には、検出されたキーワードをさらに用いて、前記搭乗者の間の関係性を推定する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記推定部は、前記搭乗者の間の関係性として、複数の異なる関係性を推定する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記推定部は、前記複数の異なる関係性として、共通する搭乗者による1つ組合せについて、上位の分類に属する第1の関係性と、下位の分類に属する第2の関係性とを推定する
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記推定部は、前記関係性として、前記移動体を取り巻く環境の変化に応じて、前記搭乗者の間で推定した推定済みの関係性を、新たに推定した前記搭乗者の間の関係性へと変更する
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記推定部は、過去の所定の時間帯に前記搭乗者の間の関係性を推定している場合には、推定済みの当該関係性を、現在の時間帯に推定した関係性へと変更する
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記推定部は、過去の所定の曜日に前記搭乗者の間の関係性を推定している場合には、推定済みの当該関係性を、現在の曜日に推定した関係性へと変更する
ことを特徴とする請求項10または11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記移動体の搭乗者の組合せが変化したか否かを検知する検知部をさらに有し、
前記推定部は、前記検知部により組合せが変化したことを検知された場合には、検知した組合せに含まれる搭乗者の間の関係性を新たに推定する
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記推定部は、前記会話の継続状況に基づいて、前記搭乗者の間の関係性として、前記搭乗者の間で成立し得る人間関係を推定する
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記推定部は、前記会話の継続状況に基づいて、前記搭乗者の間の関係性として、前記搭乗者の間の親密度を推定する
ことを特徴とする請求項1~14のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記推定部により推定された関係性に応じて、前記搭乗者に提示される提示コンテンツを制御するコンテンツ制御部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1~15のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項17】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
移動体に搭乗する搭乗者の間で行われた会話を示す会話情報を取得する取得工程と、
前記会話情報から検出された前記会話の継続状況に基づいて、前記搭乗者の間の関係性を推定する推定工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項18】
移動体に搭乗する搭乗者の間で行われた会話を示す会話情報を取得する取得手順と、
前記会話情報から検出された前記会話の継続状況に基づいて、前記搭乗者の間の関係性を推定する推定手順と
を情報処理装置に実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会話の内容から会話している人物同士の関係性を推定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、会話している人物によるコミュニケーション情報を、このコミュニケーション情報を発信した人物と、この人物が会話している人物との間で関連付けておくことにより、関連付けによる記録情報に基づいて、これら人物間での関係を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-267143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車両等の移動体には、特定の関係性にある人物同士が登場する場合があるが、上記の従来技術では、この関係性がどういったものであるのか適切に推定することができるとは限らない。
【0005】
例えば、上記の従来技術では、会話している人物を認識し、認識した人物によるコミュニケーション情報を収集することで、収集したコミュニケーションログを用いて、コミュニケーションすなわち会話に参加している人物同士を関連付けて記録情報として保持するという自律走行するロボット装置が提案されている。
【0006】
また、上記の従来技術では、例えば、組織内の様々な場所での人と人とのコミュニケーションを柔軟に収集することが目的とされている。
【0007】
このようなことから、上記の従来技術には、車両など移動体に搭乗する搭乗者の間の関係性を推定するという概念が存在しない。よって、上記の従来技術では、移動体に搭乗する搭乗者の間の関係性を適切に推定することができるとは限らない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搭乗者の間の関係性を適切に推定することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の情報処理装置は、移動体に搭乗する搭乗者の間で行われた会話を示す会話情報を取得する取得部と、前記会話情報から検出された前記会話の継続状況に基づいて、前記搭乗者の間の関係性を推定する推定部とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項17に記載の情報処理方法は、情報処理装置が実行する情報処理方法であって、移動体に搭乗する搭乗者の間で行われた会話を示す会話情報を取得する取得工程と、前記会話情報から検出された前記会話の継続状況に基づいて、前記搭乗者の間の関係性を推定する推定工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項18に記載の情報処理プログラムは、移動体に搭乗する搭乗者の間で行われた会話を示す会話情報を取得する取得手順と、前記会話情報から検出された前記会話の継続状況に基づいて、前記搭乗者の間の関係性を推定する推定手順とを情報処理装置に実行させるための情報処理プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るコンテンツ制御処理を説明する説明図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るコンテンツデータベースの一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る関係情報データベースの一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係るコンテンツ制御処理の手順を示すフローチャートである。
図7図7は、第2の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る会話情報データベースの一例を示す図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る関係性推定処理の手順を示すフローチャートである。
図10図10は、情報処理装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)の一例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
[実施形態]
〔1.はじめに〕
例えば、車両の搭乗者に対して各種のコンテンツを提供する技術が知られているが、搭乗者の間では特定の関係性が成立していることがあり、係る従来技術では、必ずしもこの関係性に応じた最適な内容のコンテンツが提供されるとは限らない。
【0015】
例えば、搭乗者の間で成立している関係性に反する内容のコンテンツが提供されてしまった場合、搭乗者を不快にさせてしまう恐れがある。
【0016】
また、例えば、搭乗者の間で複数の異なる関係性が成立していることもあり、この場合、例えば一方の関係性に属する人物同士には適する一方で、他の関係性に属する人物同士には反する内容のコンテンツが提供されてしまう可能性がある。そうすると、一部の搭乗者を気まずい気分にさせてしまう恐れがある。
【0017】
そこで、本発明は、上記事情に着目してなされたものであって、その目的とするところは、一側面では搭乗者の間の関係性に応じた適切なコンテンツを提示することにある。このような目的のため、本発明では、人間関係に応じて提示すべきコンテンツを制御する。例えば、この一側面に対応する第1の実施形態は、人間関係に応じたコンテンツ制御処理に対応し、係るコンテンツ制御処理では、移動体に搭乗する搭乗者の間の関係性を示す関係情報が取得され、取得された関係情報が示す関係性に応じて、搭乗者に提示されるコンテンツが制御される。
【0018】
また、上記の事情によれば、他側面ではその目的とするところは、搭乗者の間の関係性を精度よく推定することにある。このように、搭乗者の間の関係性を適切に推定することで、コンテンツ制御処理の効果がより向上することとなる。このような他側面の目的のため、本発明では、搭乗者による会話の継続状況に着目し、搭乗者の間の関係性を推定する。例えば、この他側面に対応する第2の実施形態は、会話継続状況に基づく関係性推定処理に対応し、係る関係性推定処理では、移動体に搭乗する搭乗者の間で行われた会話を示す会話情報が取得され、取得された会話情報から検出された会話の継続状況に基づいて、搭乗者の間の関係性が推定される。
【0019】
〔2.システムの全体像について〕
第1の実施形態、第2の実施形態それぞれについて具体的に説明するにあたって、まず、双方の実施形態の共通事項として、実施形態に係る情報処理システムの構成を説明する。図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。図1には、実施形態に係る情報処理システムの一例として、情報処理システム1が示される。後述する第1の実施形態、および、第2の実施形態は、図1に示す情報処理システム1内で実現されてよい。
【0020】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置10と、コンテンツ装置60と、情報処理装置100とを備えてよい。また、端末装置10と、コンテンツ装置60と、情報処理装置100とは、ネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。また、図1に示す情報処理システム1には、任意の数の端末装置10と、任意の数のコンテンツ装置60と、任意の数の情報処理装置100とが含まれてもよい。
【0021】
端末装置10は、移動体の一例である車両VExに搭載される車載装置であってよい。図1には、端末装置10が車両VExの車載装置である例が示される。係る例では、端末装置10は、例えば、車両VExに内蔵される専用のナビゲーション装置、あるいは、車両VExに取り付けられる専用のナビゲーション装置であってよい。また、端末装置10は、後述する情報処理装置100として機能するよう構成されてもよい。
【0022】
なお、端末装置10は、所定のナビゲーションシステムに対応するアプリケーションが導入されている携帯型端末装置(例えば、スマートフォン、タブレット型端末、ノート型PC、デスクトップPC、PDA等)であってもよい。係る例では、端末装置10は、車両VExの搭乗者によって日常的に利用される。
【0023】
また、端末装置10は、各種の出力部を有しており、情報処理装置100から配信されたコンテンツを適切な出力部から出力する。例えば、端末装置10は、コンテンツが、テキスト形式、画像形式、あるいは、動画形式である場合には、出力部の一例である表示画面にコンテンツを表示させてよい。また、例えば、端末装置10は、コンテンツが、音声形式である場合には、出力部の一例である報知部(例えば、スピーカー)からコンテンツを音声出力させてよい。
【0024】
コンテンツ装置60は、搭乗者に提示される提示候補のコンテンツを保有しており、このコンテンツが搭乗者に配信されるよう情報処理装置100に対して配信要求する。例えば、コンテンツを提供するコンテンツプロバイダーは、自身のコンテンツをコンテンツ装置60に登録することができる。また、コンテンツプロバイダーは、コンテンツの配信条件も設定してよい。
【0025】
なお、本実施形態でいうコンテンツとは、搭乗者に対するレコメンドを目的とする内容のコンテンツであってもよいし、広告コンテンツであってもよい。
【0026】
情報処理装置100は、実施形態に係る情報処理を行う装置である。例えば、情報処理装置100は、第1の実施形態に係る情報処理として、コンテンツ制御処理を行う。また、例えば、情報処理装置100は、第2の実施形態に係る情報処理として、関係性推定処理を行う。また、図2で説明するが、情報処理装置100には、搭乗者の状況を把握する状況把握エンジンEが搭載されており、状況把握エンジンEによって実施形態に係る情報処理が実現されてよい。また、状況把握エンジンEは、制御部130(図3)に対応する。
【0027】
ここで、端末装置10を搭乗者の近くでエッジ処理を行うエッジコンピュータとするなら、コンテンツ装置60および情報処理装置100は、例えば、クラウド側で処理を行うクラウドコンピュータであってよい。すなわち、コンテンツ装置60および情報処理装置100は、サーバ装置であってよい。
【0028】
以下では、第1の実施形態、第2の実施形態それぞれについて具体的に説明する。なお、各実施形態では、移動体を車両VExとして説明するが、移動体は車両VExに限定されるものではない。また、各実施形態では、コンテンツは、端末装置10の表示画面に表示される、テキスト形式、画像形式、あるいは、動画形式の推奨コンテンツ(特定の事項をレコメンドする内容のコンテンツ)であるものとするが、音声形式の推奨コンテンツであってもよい。
【0029】
また、各実施形態では、「搭乗者に提示する」という表現は、「搭乗者に提供する」、「搭乗者に送信する」、「搭乗者に配信する」、「搭乗者に出力する」等の意味を含むものとする。
【0030】
(第1の実施形態)
〔1.第1の実施形態の全体像〕
ここからは、図2を用いて、第1の実施形態について説明する。図2は、第1の実施形態に係るコンテンツ制御処理を説明する説明図である。また、図2(a)には、第1の実施形態に係るコンテンツ制御処理に対する比較例が示される。図2(b)には、第1の実施形態に係るコンテンツ制御処理の具体的な一例が示される。
【0031】
図2(a)には、人物P1、P2およびP3という3人が車両VE1(車両VExの一例)に搭乗している例が示される。また、図2(a)には、人物P1と人物P2との間には関係性X12(例えば、恋人関係)が成立している例が示される。また、図2(a)には、人物P1、人物P2および人物P3の間には関係性X123(例えば、友人関係)が成立している例が示される。つまり、図2(a)には、友人関係にある3人が車両VE1で外出しているが、このうち人物P1と人物P2とは恋人関係にあるという場面が示されている。
【0032】
このような場合において、図2(a)に示すように、情報処理装置100が、「恋人のお二人には店舗○○がおすすめです」といった内容で店舗をレコメンドする推奨コンテンツCxを提示したとする。
【0033】
そうすると、図2(a)に示すように、人物P1および人物P2は、人物P3に対して「気まずい」気分になり得る。一方、人物P3にしても人物P1および人物P2に対して「疎外感」を感じる可能性がある。
【0034】
このような比較例によれば、関係性X12には適する一方で、関係性X123には反する内容のコンテンツが提供されていることになり、一部の搭乗者を不快にさせてしまっている。つまり、比較例に示されるような従来技術によれば、搭乗者の間の関係性に応じた適切なコンテンツが提供されているとはいい難い。そこで、情報処理装置100は、図2(b)に示すようなコンテンツ制御処理を行う。
【0035】
引き続き図2(b)を用いて、第1の実施形態に係る情報処理であるコンテンツ制御処理の一例を説明する。図2(b)の例では、情報処理装置100は、後に第2の実施形態に係る情報処理として説明する関係性推定処理を実施済みであり、車両VE1に搭乗している搭乗者である人物P1、人物P2および人物P3の間でどのような関係性が成立するかが推定された推定結果、すなわち人物P1、人物P2および人物P3の間の関係性を示す関係情報を有しているものとする。
【0036】
また、図2(b)に示すように、情報処理装置100には、搭乗者の状況を把握する状況把握エンジンE(制御部130)が搭載されているものとする。
【0037】
このような状態において、状況把握エンジンEは、まず、コンテンツを提示するタイミングであるか否か判定していてよい。また、状況把握エンジンEは、図2(b)に示すように、コンテンツ装置60からコンテンツの配信要求を受け付けた場合に(ステップS21)、コンテンツを提示するタイミングになったと判定してよい。
【0038】
次に、状況把握エンジンEは、コンテンツが格納されるコンテンツデータベースから提示候補のコンテンツを取得する(ステップS22)。図2(b)では、状況把握エンジンEは、複数の提示候補のコンテンツを取得したものとする。
【0039】
また、状況把握エンジンEは、人物P1、人物P2および人物P3(車両VE1の搭乗者)の間の関係性を示す関係情報を取得し、取得した関係情報から車両VE1の搭乗者の間の関係性を把握する(ステップS23)。
【0040】
図2(b)の例では、関係情報には、搭乗者による組合せとして、人物P1および人物P2という組合せ、また、人物P1、人物P2および人物P3という組合せそれぞれについて、各組合せ内の搭乗者の間の関係性が示されていてよい。例えば、図2(b)の例でも、関係情報には、人物P1および人物P2の間の関係性として関係性X12(例えば、恋人関係)、人物P1、人物P2および人物P3の間の関係性として関係性X123(例えば、友人関係)が示されているものとする。係る場合、状況把握エンジンEは、人物P1と人物P2という一方の組合せの間には関係性X12が成立し、人物P1、人物P2および人物P3という他の組合せの間には関係性X123が成立していることを把握する。
【0041】
次に、状況把握エンジンEは、関係性X12および関係性X123に基づいて、コンテンツ制御処理を行う(ステップS24)。例えば、状況把握エンジンEは、提示候補のコンテンツそれぞれについて、その表示内容と各関係性とを突き合わせることで、当該提示候補のコンテンツの表示内容が、関係性X12および関係性X123のいずれに対しても適切な内容であるか否かを判定する。図2(b)の例では、状況把握エンジンEは、提示候補のコンテンツのうち、推奨コンテンツC1の表示内容が関係性X12および関係性X123のいずれに対しても適切であると判定したとする。
【0042】
係る場合、状況把握エンジンEは、車両VE1に搭載される端末装置10から推奨コンテンツC1が出力されるよう推奨コンテンツC1を提示する(ステップS25)。例えば、状況把握エンジンEは、端末装置10に対して推奨コンテンツC1を配信することで推奨コンテンツC1を表示画面に表示させる。
【0043】
ここで、図2(b)の例によれば、比較例のコンテンツCxに対して、「この先交差点付近に道の駅××があります。ご利用をおすすめします。」といった内容の推奨コンテンツC1を提示することができるようになる。このように、第1の実施形態に係るコンテンツ制御処理によれば、比較例のように関係性X12寄りの内容ではなく、車両VE1内で成立している全ての関係性(関係性X12および関係性X123)を満足できる内容のコンテンツを提示することができる。したがって、第1の実施形態に係る情報処理装置100によれば、搭乗者の間の関係性に応じた適切なコンテンツを提供することができるようになる。
【0044】
〔2.第1の実施形態のバリエーション〕
ここで、図2(b)の例において、他の関係性を例に挙げて第1の実施形態に係るコンテンツ制御処理のバリエーションについて説明する。
【0045】
説明の便宜上、状況把握エンジンEは、ステップS23において、人物P1と人物P2という一方の組合せの間には関係性X12(夫婦関係)が成立し、人物P1、人物P2および人物P3という他の組合せの間には関係性X123(例えば、親子関係)が成立していることを把握したとする。つまり、図2(b)の例において、人物P3は人物P1および人物P2の子供であるものとする。
【0046】
このような場合、人物P1および人物P2にとっては、関係性X12つまり夫婦寄りの内容のコンテンツが提示されるよりも、自分たちの子供である人物P3寄りの内容のコンテンツが提示された方がありがたいし、人物P3にとっても嬉しいものである。
【0047】
そこで、状況把握エンジンEは、車両VE1で複数の異なる関係性が成立している場合には、各関係性のうちどの関係性に応じた内容のコンテンツを提示した場合、より多くの搭乗者が満足できるか、関係性ごとに車両VE1の搭乗者における総合的な満足度を算出してよい。そして、状況把握エンジンEは、最も高い満足度が算出された関係性に応じた内容のコンテンツを提示することを決定してもよい。
【0048】
上記例では、状況把握エンジンEは、関係性X123(親子関係)に対して最も高い満足度を算出することができる。また、この結果、状況把握エンジンEは、ステップS24において、提示候補のコンテンツそれぞれについて、その表示内容と関係性X123とを突き合わせることで、当該提示候補のコンテンツの表示内容が、関係性X123に対して適切な内容であるか否かを判定すればよい。
【0049】
例えば、状況把握エンジンEは、提示候補のコンテンツのうち、推奨コンテンツC3の表示内容が関係性X123に対しても適切であると判定したとすると、ステップS25では車両VE1に搭載される端末装置10から推奨コンテンツC3が出力されるようコンテンツC3を提示する。また、このような推奨コンテンツC3としては、「この先交差点付近のモール△△では、親子で楽しめるキャラクターイベントが開催予定です。」といったものが考えられる。
【0050】
〔3.情報処理装置の構成〕
ここからは、図3を用いて、第1の実施形態に係る情報処理装置100について説明する。図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示す図である。図3に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0051】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークと有線または無線で接続され、例えば、端末装置10と、コンテンツ装置60との間で情報の送受信を行う。
【0052】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、コンテンツデータベース121と、関係情報データベース122とを有する。
【0053】
(コンテンツデータベース121について)
コンテンツデータベース121は、搭乗者に提供される候補のコンテンツに関する情報を記憶する。ここで、図4に、第1の実施形態に係るコンテンツデータベース121の一例を示す。図4の例では、コンテンツデータベース121は、「コンテンツID」、「カテゴリ」、「コンテンツデータ」、「配信条件」といった項目を有する。また、「配信条件」には、「配信エリア」、「配信期間」といった項目が含まれる。
【0054】
「コンテンツID」は、コンテンツを識別する識別情報を示す。「カテゴリ」は、「コンテンツID」が示すコンテンツが属するカテゴリを示す情報である。図4には、コンテンツID「C1」と、カテゴリ「店舗」とが対応付けられる例が示される。係る例は、コンテンツ「C1」は、カテゴリ「店舗」に属するコンテンツ(特定の店舗をレコメンドする内容のコンテンツ)である例を示す。
【0055】
「コンテンツデータ」は、「コンテンツID」が示すコンテンツを構成するデータである。図4には、コンテンツID「C1」と、コンテンツデータ「データ♯11」とが対応付けられる例が示される。係る例は、コンテンツ「C1」が、概念的に「データ♯11」というデータ構造である例を示す。
【0056】
「配信条件」は、「コンテンツID」が示すコンテンツの配信を条件付ける条件情報である。したがって、「配信エリア」は、どのようなエリアに位置する車両VExの端末装置10に対してコンテンツを配信させるか、そのエリアを条件付ける条件情報である。図4には、コンテンツID「C1」と、配信エリア「データ♯11」とが対応付けられる例が示される。係る例は、「エリア♯11」に位置する車両VExの端末装置10に対してコンテンツ「C1」を配信するよう条件付けられている例を示す。
【0057】
また、「配信期間」は、どのような期間(例えば、時間帯)に車両VExの端末装置10に対してコンテンツを配信させるか、その期間を条件付ける条件情報である。図4には、コンテンツID「C1」と、配信期間「期間♯11」とが対応付けられる例が示される。係る例は、「期間♯11」において車両VExの端末装置10に対してコンテンツ「C1」を配信するよう条件付けられている例を示す。
【0058】
(関係情報データベース122について)
関係情報データベース122は、車両VExに搭乗する搭乗者の間の関係性を示す関係情報に関わる各種情報を記憶する。なお、関係情報データベース122に記憶される関係情報は、第2の実施形態に係る関係性推定処理により推定された関係性を示すものであってよい。
【0059】
ここで、図5に、第1の実施形態に係る関係情報データベース122の一例を示す。図5の例では、関係情報データベース122は、「車両ID」、「期間情報」、「関係情報」、「搭乗者情報」、「コンテンツ提示履歴」といった項目を有する。
【0060】
「車両ID」は、車両VExを識別する識別情報を示す。「期間情報」は、「車両ID」が示す車両VExにおいて、「関係情報」が示す関係性が継続していた期間に関する情報である。「関係情報」は、「車両ID」が示す車両VExの搭乗者の間の関係性を示す情報である。図5には、車両ID「VE1」および期間情報「期間♯11」の組に対して、関係情報「関係性X12」と、関係情報「関係性X123」とが対応付けられる例が示される。係る例は、「期間♯11」という期間の間、車両「VE1」に搭乗する搭乗者の間で、「関係性X12」および「関係性X123」が成立していた(推定された)例を示す。
【0061】
「搭乗者情報」は、「関係性情報」が示す関係性に属する人物を示す情報である。例えば、「搭乗者情報」は、状況把握エンジンEによって人物が検知されることで、検知された人物を識別するように状況把握エンジンEによって払い出された識別情報であってよい。図5には、関係情報「関係性X12」に対して、搭乗者情報「人物P1」および搭乗者情報「人物P2」が対応付けられる例が示される。係る例は、「関係性X12」に属する人物が「人物P1」および「人物P2」である例を示す。換言すると、係る例は、車両VE1に搭乗する「人物P1」および「人物P2」の間の関係性として「関係性X12」が推定されている例を示す。
【0062】
「コンテンツ提示履歴」は、「関係性情報」が示す関係性に応じたコンテンツとして、どのようなコンテンツがいつ提示(配信)されたか、提示履歴を示す情報である。図5には、関係情報「関係性X12」および関係情報「関係性X123」に対して、コンテンツ提示履歴「履歴♯11」が対応付けられる例が示される。係る例は、「関係性X12」および「関係性X12」の双方に対して表示内容が適切(表示内容が反しない)と判定された推奨コンテンツとして、「コンテンツC1」が「日時♯11」に提示された例を示す。
【0063】
(制御部130について)
図3に戻り、制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0064】
図3に示すように、制御部130は、要求受付部131と、位置情報取得部132と、関係情報取得部133と、判定部134と、コンテンツ制御部135とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0065】
(要求受付部131について)
要求受付部131は、コンテンツの配信要求を受け付ける。例えば、要求受付部131は、コンテンツ装置60からコンテンツの配信要求を受け付ける。
【0066】
(位置情報取得部132について)
位置情報取得部132は、車両EVx(車両EVxの搭乗者)の位置を示す位置情報を取得する。例えば、位置情報取得部132は、車両EVx(車両EVxの搭乗者)の現在位置を示す位置情報を取得してよい。例えば、位置情報取得部132は、車両EVxの端末装置10が有するセンサによって検出された位置情報を取得してよい。また、位置情報取得部132は、車両EVxが運転されている間の位置情報を取得してよい。
【0067】
(関係情報取得部133について)
関係情報取得部133は、車両EVxに搭乗する搭乗者の間の関係性を示す関係情報を取得する。これまで説明してきたように、関係情報取得部133は、車両EVxの搭乗者の間で成立すると推定される人間関係(関係性の一例)を示す関係情報を取得してよい。また、関係情報取得部133は、車両EVxの搭乗者の間で成立すると推定される親密度(関係性の他の一例)を示す関係情報を取得してよい。
【0068】
このように、関係情報取得部133は、後述する関係性推定処理により推定された関係性を示す関係情報を取得してよい一方で、例えば、搭乗者によって予め関係性を示す情報が登録されている場合にはこの登録情報を取得してもよい。
【0069】
また、関係情報取得部133は、関係情報データベース122から関係情報を取得してよい。
【0070】
(判定部134について)
判定部134は、搭乗者の間の関係性として人間関係が推定された場合、推定された人間関係と、提示候補のコンテンツに含まれる表示内容とに基づいて、人間関係に対して表示内容が適切か否かを判定する。例えば、判定部134は、搭乗者の間で複数の異なる人間関係が推定された場合には、推定された人間関係ごとに、当該人間関係に対して表示内容が適切か否かを判定する。
【0071】
なお、判定部134は、人間関係に対する表示内容の適切度合を評価するスコアを算出し、算出したスコアが所定の閾値を超えるか否かに基づいて、人間関係に対して表示内容が適切か否か判定してよい。この点について、図2の例を用いて説明する。
【0072】
図2では、人物P1と人物P2との間の人間関係として、関係性X12(すなわち、恋人関係)が推定されている例を示した。係る例では、判定部134は、提示候補のコンテンツのコンテンツデータ(例えば、テキストデータ)に基づいて、恋人向けの内容であることを示唆するワードを検出し、検出結果に基づいて、提示候補のコンテンツの表示内容が恋人という関係性に対してどれだけ適切であるかを評価する適切度スコアを算出してよい。例えば、判定部134は、恋人向けの内容であることを示唆するワードを検出できた検出数(提示候補のコンテンツの中での、係るワードの頻度)や、恋人向けの内容であることをどれだけ示唆しているか示唆の程度に基づいて、適切度スコアを算出してよい。
【0073】
また、判定部134は、上記例以外の任意の手法を用いて、人間関係に対して表示内容が適切か否か判定してもよい。例えば、情報処理装置100は、関係性ごとに当該関係性にある人物の間ではどのような内容のコンテンツが好まれる傾向にあるかかが学習されたモデルを生成してもよく、係る場合には、判定部134は、このモデルに対してコンテンツデータを入力した結果出力された出力情報に基づき適切度合を算出してもよい。
【0074】
(コンテンツ制御部135について)
コンテンツ制御部135は、関係情報取得部133により取得された関係情報が示す関係性に応じて、車両VExの搭乗者に提示される提示コンテンツを制御する。例えば、コンテンツ制御部135は、提示コンテンツの制御として、人間関係に応じたコンテンツを搭乗者に提示される提示コンテンツとして決定する。例えば、コンテンツ制御部135は、人間関係に応じたコンテンツとして、人間関係に応じた所定の内容を推奨する推奨コンテンツを搭乗者に提示される提示コンテンツとして決定する。
【0075】
また、コンテンツ制御部135は、車両EVxの移動ルートに対応するエリアに関するエリア情報に基づいて、人間関係に応じた所定の内容を推奨する推奨コンテンツを選択し、選択した推奨コンテンツを搭乗者に提示される提示コンテンツとして決定してよい。例えば、コンテンツ制御部135は、エリア情報に基づいて、人間関係に応じた所定の内容として、車両EVxの移動ルートに対応するエリアに存在する施設であって人間関係に応じたサービスを提供する施設、このエリアに存在するルートであって人間関係に応じた雰囲気のルート、または、このエリアで開催されるイベントであって人間関係に応じた内容のイベントに関する推奨コンテンツを選択してよい。
【0076】
また、コンテンツ制御部135は、提示コンテンツの制御として、提示候補のコンテンツのうち、人間関係に応じたコンテンツを搭乗者に提示される提示コンテンツとして決定してよい。例えば、コンテンツ制御部135は、提示候補のコンテンツのうち、判定部134により表示内容が適切であると判定されたコンテンツを搭乗者に提示される提示コンテンツとして決定してよい。また、コンテンツ制御部135は、提示候補のコンテンツの中に、複数の異なる人間関係の全てについて表示内容が適切であると判定されたコンテンツが存在する場合には、当該コンテンツを搭乗者に提示される提示コンテンツとして決定してよい。
【0077】
〔4.処理手順〕
次に、図6を用いて、第1の実施形態に係る情報処理の手順について説明する。図6は、第1の実施形態に係るコンテンツ制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0078】
図6の例によれば、要求受付部131は、コンテンツ装置60から配信要求を受け付けたか否かに基づいて、推奨コンテンツを提示するタイミングであるか否かを判定する(ステップS601)。例えば、要求受付部131は、配信要求を受け付けていないことにより、推奨コンテンツを提示するタイミングでないと判定している間は(ステップS601;No)、配信要求を受け付けることで推奨コンテンツを提示するタイミングになったと判定できるまで待機する。
【0079】
位置情報取得部132は、要求受付部131により推奨コンテンツを提示するタイミングになったと判定された場合には、コンテンツが配信される対象の車両VEx(処理対象の車両VEx)を選択し、選択した処理対象の車両VExの現在位置を示す位置情報を取得する(ステップS602)。
【0080】
次に、コンテンツ制御部135は、位置情報および時刻情報と、コンテンツデータベース121の配信条件とのマッチングにより、提示候補のコンテンツのコンテンツデータを取得する(ステップS603)。例えば、コンテンツ制御部135は、位置情報から処理対象の車両VExの移動ルートに対応するエリアを割り出し、割り出したエリアを示すエリア情報と、現在の日時情報とを配信条件(図4の例では、「配信エリア」、「配信期間」)として満たしているコンテンツをコンテンツデータベース121から取得する。
【0081】
なお、ここでいうエリア情報とは、例えば、処理対象の車両VExについて推定される移動ルート上の現在の走行位置を中心とする、例えば、半径所定メートルのエリアを示す情報であってよい。また、ここでいうエリア情報とは、処理対象の車両VExの現在の走行位置から推定される将来の移動ルート上の位置を中心とする、例えば、半径所定メートルのエリアを示す情報であってもよい。
【0082】
また、関係情報取得部133は、処理対象の車両VExにおける現在の搭乗者の関係性を示す関係情報を取得する(ステップS604)。
【0083】
判定部134は、ステップS604で取得された関係情報に基づいて、処理対象の車両VExの搭乗者による組合せごとの人間関係が異なるか否かを判定する(ステップS605)。例えば、判定部134は、図2に示す例のように、1台の車両VExの中の搭乗者に応じて複数の組合せが存在し、各組合せの間において搭乗者の関係性が異なる場合には、処理対象の車両VExの搭乗者による組合せごとの人間関係が異なると判定することができる。
【0084】
判定部134は、処理対象の車両VExの搭乗者による組合せごとの人間関係が異なると判定した場合には(ステップS605;Yes)、ステップS603で取得された各コンテンツについて、各人間関係に対する表示内容の適切度スコアを算出する(ステップS606a)。具体的には、判定部134は、ステップS603で取得されたコンテンツデータに基づいて、異なる人間関係それぞれに対する表示内容の適切度スコアを算出する。
【0085】
一方、判定部134は、処理対象の車両VExの搭乗者による組合せごとの人間関係が同一と判定した場合には(ステップS605;No)、ステップS603で取得された各コンテンツについて、1つの人間関係に対する表示内容の適切度スコアを算出する(ステップS606b)。具体的には、判定部134は、ステップS603で取得されたコンテンツデータに基づいて、1つの人間関係に対する表示内容の適切度スコアを算出する。
【0086】
なお、処理対象の車両VExの搭乗者による組合せごとの人間関係が同一である状況として、処理対象の車両VExの搭乗者による組合せが1組だけであることにより関係性が1つに絞られるような場合が考えられる。
【0087】
一方で、処理対象の車両VExの搭乗者による組合せが1組だけであるが、この1組について複数の異なる人間関係(例えば、恋人関係と、上司部下関係)が推定されていてもよい。このような場合には、判定部134は、ステップS606aのように、各コンテンツについて、各人間関係に対する表示内容の適切度スコアを算出してもよいし、重要度等に基づき複数の人間関係の中から1つの人間関係を抽出し、抽出した1つの人間関係に対する表示内容の適切度スコアを算出してもよい。
【0088】
このような状態で、コンテンツ制御部135は、ステップS606で算出された人間関係ごとの適切度スコアのいずれもが所定の閾値を超えるコンテンツが、ステップS603で取得された提示候補のコンテンツの中に存在するか否かを判定する(ステップS607)。なお、係る判定処理は、判定部134によって行われてもよい。
【0089】
コンテンツ制御部135は、所定の閾値を超える内容のコンテンツが存在しないと判定した場合には(ステップS607;No)、コンテンツの提示を行うことなく処理を終了してよい。
【0090】
一方、コンテンツ制御部135は、所定の閾値を超える内容のコンテンツが存在すると判定した場合には(ステップS607;Yes)、このコンテンツを処理対象の車両VExの搭乗者にレコメンドされる内容を含む推奨コンテンツとして決定する(ステップS608)。
【0091】
そして、コンテンツ制御部135は、推奨コンテンツのコンテンツデータを取得し(ステップS609)、取得したコンテンツデータが処理対象の車両VExの端末装置10から出力されるよう出力制御する(ステップS610)。この結果、ステップS608で決定された推奨コンテンツが処理対象の車両VExの搭乗者に提示されることとなる。
【0092】
〔5.変形例〕
上記第1の実施形態に係る情報処理装置100は、上記第1の実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、情報処理装置100の他の実施形態について説明する。
【0093】
〔5-1.親密度〕
上記の第1の実施形態では、関係情報取得部133が、車両EVxの搭乗者の間で成立すると推定される人間関係を示す関係情報を取得することで、これをコンテンツ制御処理に利用させる例を示した。しかし、関係情報取得部133は、車両EVxの搭乗者の間で成立すると推定される親密度を示す関係情報を取得してよい。この場合、コンテンツ制御部135は、親密度を用いることで、人間関係を用いる場合と比較してより精密なコンテンツ制御処理を実現することができるようになる。その理由として、親密度は数値によって示されるため、数値に応じた細かな情報制御が可能となることが挙げられる。
【0094】
〔5-2.親密度を用いたコンテンツ制御処理〕
親密度を用いたコンテンツ制御処理としては具体的には次のようなものが挙げられる。例えば、コンテンツ制御部135は、親密度に応じたルート提案を行うことができる。つまり、コンテンツ制御部135は、親密度に応じたルートがレコメンドされる推奨コンテンツを搭乗者に提示することができる。
【0095】
例えば、コンテンツ制御部135は、提示コンテンツの制御として、親密度に応じて、搭乗者に提示される走行ルートを制御してよい。例えば、コンテンツ制御部135は、親密度に応じて、搭乗者のうち一方の搭乗者について推定される希望ルートと、搭乗者のうち他方の搭乗者について推定される希望ルートとの間でバランスを調整するように搭乗者に提示される走行ルートを制御してよい。より具体的には、コンテンツ制御部135は、搭乗者のうち一方の搭乗者が運転者であり、搭乗者のうち他方の搭乗者が同伴者である場とすると、親密度が高い程、運転者ついて推定される希望ルートに対して、同伴者について推定される希望ルートがより反映されたルートを搭乗者に提示される走行ルートとして決定してよい。
【0096】
例えば、人物P1(運転者)と人物P3(同伴者)との間の人間関係が上司部下であり、互いの親密度は「10ポイント」であると推定されているとする。最大の親密度を「100ポイント」とすると、係る例では、人物P1と人物P3とは決して親しい間柄とはいえない。
【0097】
このような状態で、人物P1は、端末装置10を用いて目的地へのルート設定を行っているものとする。そうすると、コンテンツ制御部135は、人物P1と人物P3とは親しい間柄ではないことに応じて、運転者である人物P1の希望ルート(設定されているルート)に対して、人物P3について推定される希望ルートを一切反映させずともよい。なお、コンテンツ制御部135は、人物P1と人物P3との会話の内容や、過去の走行履歴等から人物P3の希望ルートを推定してよい。
【0098】
また、他の例として、人物P1(運転者)と人物P3(同伴者)との間の人間関係が友人であり、互いの親密度は「60ポイント」であると推定されているとする。係る例では、人物P1と人物P3とは中程度に親しい間柄いえる。
【0099】
このような状態で、人物P1は、端末装置10を用いて目的地へのルート設定を行っているものとする。そうすると、コンテンツ制御部135は、人物P1と人物P3とは適度に親しい間柄であることに応じて、運転者である人物P1の希望ルート(設定されているルート)に対して、人物P3について推定される希望ルートの一部を反映させてよい。例えば、コンテンツ制御部135は、人物P1と人物P3との会話の内容から人物P3が設定ルートから外れた地点に存在するコンビニエンスストアに立ち寄るというルートを希望していることが推定されたとする。
【0100】
係る場合、コンテンツ制御部135は、設定ルートに対して、このコンビニエンスストアへと寄り道する寄道ルートを定め、この寄道ルートを搭乗者に提示される走行ルートとして決定してよい。
【0101】
また、さらに他の例として、人物P1(運転者)と人物P3(同伴者)との間の人間関係が兄弟であり、互いの親密度は「90ポイント」であると推定されているとする。係る例では、人物P1と人物P3とは非常に親しい間柄といえる。
【0102】
このような状態で、人物P1は、端末装置10を用いて目的地へのルート設定を行っているものとする。そうすると、コンテンツ制御部135は、人物P1と人物P3とは非常に親しい間柄であることに応じて、運転者である人物P1の希望ルート(設定されているルート)に対して、人物P3について推定される希望ルートの多くを反映させてよい。例えば、コンテンツ制御部135は、人物P1と人物P3との会話の内容から人物P1は安上がりな一般道の利用を希望している一方で、人物P3はより時間短縮できる有料道路を希望していることが推定されたとする。
【0103】
係る場合、コンテンツ制御部135は、有料道路を利用する他のルートを検索し、検索した他のルートを搭乗者に提示される走行ルートとして決定してよい。そして、コンテンツ制御部135は、一般道を中心とする元の設定ルートから、有料道路を利用するこの他のルートへと変更するよう搭乗者に対して提案してもよい。
【0104】
(第2の実施形態)
〔1.第2の実施形態の概要〕
ここからは、第2の実施形態について説明する。上述したように、第2の実施形態は、会話継続状況に基づく関係性推定処理に対応し、係る関係性推定処理では、車両VExに搭乗する搭乗者の間で行われた会話を示す会話情報が取得され、取得された会話情報から検出された会話の継続状況に基づいて、搭乗者の間の関係性が推定される。以下では、このような第2の実施形態に係る関係性推定処理について具体的に説明する。
【0105】
また、第1の実施形態として説明してきたコンテンツ制御処理は、この関係性推定処理で得られた推定結果としての関係性に基づき実行されるものであってよい。したがって、第1の実施形態に係るコンテンツ制御処理と、第2の実施形態に係る関係性推定処理とを合わせた一連の情報処理が情報処理装置100によって行われてよい。以下では、この情報処理装置100に対して第2の実施形態に係る関係性推定処理を行うための処理部が追加された装置を、第2の実施形態に係る情報処理装置200として説明する。なお、情報処理装置200において情報処理装置100と同一の符号が付された処理部については説明を省略する。
【0106】
〔2.情報処理装置の構成〕
まず、図7を用いて、第2の実施形態に係る情報処理装置200について説明する。図7は、第2の実施形態に係る情報処理装置200の構成例を示す図である。図7に示すように、情報処理装置200は、通信部110と、記憶部220と、制御部230とを有する。
【0107】
(記憶部220について)
記憶部220は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部220は、会話情報データベース223をさらに有してよい。
【0108】
(会話情報データベース223について)
会話情報データベース223は、車両VExの搭乗者の間で行われた会話に関する情報を記憶する。ここで、図8に、第2の実施形態に係る会話情報データベース223の一例を示す。図8の例では、会話情報データベース223は、「車両ID」、「搭乗者情報」、「会話情報」といった項目を有する。また、「会話情報」には、「日時情報」、「会話データ」、「発話人物情報」といった項目が含まれる。
【0109】
「車両ID」は、車両VExを識別する識別情報を示す。「搭乗者情報」は、「車両ID」が示す車両VExに搭乗している人物を示す情報である。例えば、「搭乗者情報」は、状況把握エンジンEによって人物が検知されることで、検知された人物を識別するように状況把握エンジンEによって払い出された識別情報であってよい。図8には、車両ID「VE1」と、搭乗者情報「人物P1、人物P2、人物P3」とが対応付けられる例が示される。係る例は、車両「VE1」の搭乗者として、「人物P1」、「人物P2」および「人物P3」が検知された例を示す。
【0110】
「日時情報」は、「会話データ」が示す会話(発話)が行われた日時を示す情報である。「会話データ」は、会話(発話)の内容が例えばテキスト形式で示される情報である。「発話人物情報」は、「搭乗者情報」が示す人物のうち、「会話データ」が示す会話(発話)を行った人物を示す情報である。図8には、日時情報「日時♯111」と、会話データ「データ♯111」、発話人物情報「人物P1」とが対応付けられる例が示される。係る例は、「日時♯111」の日時において、車両VE1の搭乗者の1人である「人物P1」が、「データ♯111」という内容を発話した例を示す。
【0111】
(制御部230について)
図7に戻り、制御部230は、CPUやMPU等によって、情報処理装置200内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部330は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0112】
図7に示すように、制御部230は、要求受付部131、位置情報取得部132、関係情報取得部133、判定部134、コンテンツ制御部135に加えて、検知部236と、会話情報取得部237と、推定部238とをさらに有してよい。そして、検知部236、会話情報取得部237、推定部238は、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部230の内部構成は、図7に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部230が有する各処理部の接続関係は、図7に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0113】
(検知部236について)
検知部236は、車両VExの搭乗者を検知する。例えば、検知部236は、車両VExに搭乗している人物を検知することで、車両VEx内において成立し得る人物の組合せをさらに検知してよい。この結果、検知部236は、1組しか検知できない場合もあれば、人物に応じた異なる複数の組合せを検知する場合もある。また、検知部236は、搭乗者としての人物の組合せが変化したか否かも検知してよい。
【0114】
また、例えば、検知部236は、車両VExが有する各種センサによって得られたセンサ情報を取得することで、このセンサ情報に基づき検知を行ってもよい。
【0115】
(会話情報取得部237について)
会話情報取得部237は、車両VExに搭乗する搭乗者の間で行われた会話を示す会話情報を取得する。例えば、会話情報取得部237は、会話情報として、会話の時系列を示す時系列情報を含む会話情報を取得する。例えば、会話情報取得部237は、会話情報データベース223から会話情報を取得してよい。また、この場合、会話の時系列を示す時系列情報は、「日時情報」(図8より)であってよい。
【0116】
(推定部238について)
推定部238は、会話情報から検出された会話の継続状況に基づいて、搭乗者の間の関係性を推定する。なお、会話の継続状況の検出は、推定部238によって行われてよい。また、例えば、推定部238は、会話情報に含まれる時系列情報から検出された会話の継続状況に基づいて、搭乗者の間の関係性を推定する。
【0117】
例えば、推定部238は、会話の継続状況として、会話の継続時間に基づいて、搭乗者の間の関係性を推定してよい。係る場合、推定部238は、会話の継続時間が長い程、より親密な関係性を推定することができる。
【0118】
また、推定部238は、会話の継続状況として、会話のテンポに基づいて、搭乗者の間の関係性を推定してもよい。係る場合、推定部238は、テンポよく会話が進んでいる程、より親密な関係性を推定することができる。ここで、会話データには、音声の波形を示すデータも含まれていてよく、推定部238は、波形データが示す周波数(振動数)から音声の高さ、音声の音色等を音響分析することで、会話のテンポを解析してもよい。解析自体は、他の処理部によって行われてもよい。
【0119】
また、推定部238は、会話の継続状況から搭乗者ごとに会話の支配率を算出し、算出した支配率に基づいて、搭乗者の間の関係性を推定してもよい。例えば、推定部238は、支配率から特定の搭乗者が一方的に会話している状況を推定できた場合には低い親密度を算出する一方で、搭乗者の全てが平均的に発話している程より親密な関係性を推定してよい。
【0120】
また、推定部238は、会話情報から二人称を示すキーワードが検出された場合には、検出されたキーワードをさらに用いて、搭乗者の間の関係性を推定してよい。
【0121】
また、推定部238は、会話情報から敬称を示すキーワードが検出された場合には、検出されたキーワードをさらに用いて、搭乗者の間の関係性を推定してもよい。
【0122】
また、推定部238は、搭乗者の間の関係性として、複数の異なる関係性を推定してよい。具体的には、推定部238は、複数の異なる関係性として、共通する搭乗者による組合せについて、上位の分類に属する第1の関係性と、下位の分類に属する第2の関係性とを推定してよい。例えば、車両VE1に人物P1と人物P2とが搭乗している場合、推定部238は、人物P1と人物P2という搭乗者の組合せについて、人物P1および人物P2に対応する会話の継続状況に基づいて、恒常的なベースとなる関係性(上位の分類に属する第1の関係性の一例)と、状況に応じて変化し得る細かな関係性(下位の分類に属する第2の関係性)とを推定してよい。
【0123】
一例として、推定部238は、人物P1と人物P2という搭乗者の組合せについて、人物P1と人物P2との間の第1の関係性として「夫婦関係」を推定し、人物P1と人物P2との間の第2の関係性として「現在喧嘩している関係性」を推定する場合がある。また、第1の実施形態で説明したコンテンツ制御部135は、第1の関係性として「夫婦関係」、第2の関係性として「現在喧嘩している関係性」が推定された場合には、例えば、仲直りに適した夫婦で楽しめる商品、店舗、イベント、あるいは、移動コース等を紹介する推奨コンテンツを提示コンテンツとして決定してよい。
【0124】
また、推定部は、車両VExを取り巻く環境の変化に応じて、搭乗者の間で推定した推定済みの関係性を、新たに推定した搭乗者の間の関係性へと変更してよい。例えば、推定部238は、過去の所定の時間帯に搭乗者の間の関係性を推定している場合には、この推定済みの関係性を、現在の時間帯に推定した関係性へと変更してよい。また、推定部238は、過去の所定の曜日に搭乗者の間の関係性を推定している場合には、この推定済みの関係性を、現在の曜日に推定した関係性へと変更してもよい。
【0125】
また、推定部238は、検知部236により組合せが変化したことを検知された場合には、検知した組合せに含まれる搭乗者の間の関係性を新たに推定してよい。
【0126】
また、これまで説明してきたように、推定部238は、会話の継続状況に基づいて、搭乗者の間の関係性として、搭乗者の間で成立し得る人間関係を推定してもよいし、搭乗者の間の親密度を推定してもよい。
【0127】
〔3.処理手順〕
次に、図9を用いて、第2の実施形態に係る情報処理の手順について説明する。図9は、第2の実施形態に係る関係性推定処理の手順を示すフローチャートである。なお、図7の例では、状況把握エンジンEによって、車両VExにおける車内の会話が録音されているものとする。
【0128】
まず、検知部236は、関係性が推定される対象の車両VEx(処理対象の車両VEx)を選択し、選択した処理対象の車両VExについて、関係性を推定するタイミングになったか否かを推定する(ステップS901)。
【0129】
例えば、検知部236は、時間帯ごとに関係性推定処理が行われる場合には、前の時間帯から現在の時間帯に変化したか否かに基づき、関係性を推定するタイミングになったか否かを推定してよい。また、例えば、検知部236は、曜日ごとに関係性推定処理が行われる場合には、前の曜日から現在の曜日に変化したか否かに基づき、関係性を推定するタイミングになったか否かを推定してよい。
【0130】
そして、検知部236は、関係性を推定するタイミングになっていないと判定している間は(ステップS901;No)、関係性を推定するタイミングになったと判定できるまで待機する。
【0131】
一方、検知部236は、関係性を推定するタイミングになったと判定した場合には(ステップS901;Yes)、処理対象の車両VExにおける現在の搭乗者全体の組合せを検知する(ステップS902)。例えば、処理対象の車両VExにおける現在の搭乗者が人物P1、人物P2、人物P3の3人である場合には、検知部236は、搭乗者全体の組合せとして、人物P1、人物P2、人物P3という3人の組合せを検知する。
【0132】
次に、会話情報取得部237は、検知された組合せに含まれる搭乗者の間で行われた会話を示す会話情報を取得する(ステップS903)。この会話情報には、会話の時系列を示す時系列情報が含まれていてよく、推定部238は、この時系列情報から会話の継続状況を検出する(ステップS904)。
【0133】
続いて、推定部238は、検出した継続状況に基づいて、処理対象の車両VExの搭乗者の間の関係性を推定する(ステップS905)。ここで、例えば、検知部236は、処理対象の車両VExにおける現在の搭乗者全体の組合せに基づき、搭乗者に応じて複数の組合せが成立するか否かを検知してよく、推定部238は、検知された組合せごとに、当該組合せに含まれる搭乗者の間の関係性を推定してよい。例えば、検知部236は、人物P1、人物P2、人物P3という全体の組合せの他に、人物P1および人物P2という組合せ、人物P1および人物P3という組合せ、人物P2および人物P3という組合せ(計4つの異なる組合せ)を検出してよい。また、係る場合には、推定部238は、4つの組合せそれぞれについて関係性を推定してよい。
【0134】
また、推定部238は、上述したように、4つの組合せごとに複数の関係性を推定してよい。例えば、推定部238は、4つの組合せごとに、上位の分類に属する第1の関係性(恒常的なベースとなる関係性)と、下位の分類に属する第2の関係性(状況に応じて変化し得る細かな関係性)とを推定してよい。
【0135】
また、推定部238は、ステップS905で得られた推定結果を、現時点での最新の推定結果として会話情報データベース223に登録する(ステップS906)。
【0136】
次に、検知部236は、処理対象の車両VExにおける現在の搭乗者全体の組合せを検知しなおすタイミングになったか否かを判定する(ステップS907)。検知部236は、組合せを検知しなおすタイミングになっていないと判定している間は(ステップS907;No)、組合せを検知しなおすタイミングになったと判定できるまで待機する。
【0137】
一方、検知部236は、組合せを検知しなおすタイミングになった判定した場合には(ステップS907;Yes)、処理対象の車両VExにおける現在の搭乗者全体の組合せを再検知する(ステップS908)。
【0138】
そして、検知部236は、ステップS902での検知結果と、ステップS908での再検知結果とを比較することで、処理対象の車両EVxの搭乗者の組合せが変化したか否かを判定する(ステップS909)。
【0139】
検知部236により組合せに変化ありと判定された場合には(ステップS909;Yes)、ステップS903からの処理が再度実行されてよい。一方、検知部236により組合せに変化なしと判定された場合には(ステップS909;No)、ステップS901からの処理が再度実行されてよい。
【0140】
(その他)
〔1.ハードウェア構成〕
また、上述してきた第1の実施形態に係る情報処理装置100、および、第2の実施形態に係る情報処理装置200は、例えば、図10に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、情報処理装置100を例に説明する。図10は、情報処理装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0141】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0142】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0143】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0144】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0145】
例えば、コンピュータ1000が第1の実施形態に情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)を実行することにより、制御部130の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0146】
また、例えば、コンピュータ1000が第2の実施形態に情報処理装置200として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラム(例えば、実施形態に係る情報処理プログラム)を実行することにより、制御部230の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0147】
〔2.その他〕
また、上記各実施形態において説明した処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0148】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0149】
また、上記各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0150】
(まとめ)
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0151】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0152】
1 情報処理システム
10 端末装置
60 コンテンツ装置
100 情報処理装置
120 記憶部
121 コンテンツデータベース
122 関係情報データベース
130 制御部
131 要求受付部
132 位置情報取得部
133 関係情報取得部
134 判定部
135 コンテンツ制御部
200 情報処理装置
220 記憶部
223 会話情報データベース
230 制御部
236 検知部
237 会話情報取得部
238 推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10