(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057844
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】防水塗膜組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20230417BHJP
C04B 26/26 20060101ALI20230417BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20230417BHJP
E04D 7/00 20060101ALI20230417BHJP
C09K 3/18 20060101ALI20230417BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20230417BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20230417BHJP
C09D 115/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
C09D201/00
C04B26/26 Z
C04B28/02
E04D7/00 C
C09K3/18 101
C09D5/02
C09D7/61
C09D115/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167546
(22)【出願日】2021-10-12
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】519346631
【氏名又は名称】株式会社Robusto
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福村 弘文
【テーマコード(参考)】
4G112
4H020
4J038
【Fターム(参考)】
4G112PB38
4G112PC13
4H020AA01
4H020AA03
4J038BA241
4J038CA002
4J038HA036
4J038HA286
4J038HA486
4J038HA496
4J038MA08
4J038MA10
4J038PB05
4J038PC04
(57)【要約】
【課題】新規の防水塗膜組成物を提供すること
【解決手段】アスファルトエマルジョン、合成樹脂を少なくとも含む改質アスファルト系防水材部と、さらに、
セメントを含むセメント材料部、グラファイト、ガラス繊維から選ばれる一又は二以上と、
を含むことを特徴とする、防水塗膜組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルトエマルジョン、合成樹脂を少なくとも含む改質アスファルト系防水材部と、さらに、
セメントを含むセメント材料部、グラファイト、ガラス繊維から選ばれる一又は二以上と、
を含むことを特徴とする、防水塗膜組成物。
【請求項2】
前記防水塗膜組成物は、セメントを含むセメント材料部及びガラス繊維を含む、請求項1に記載の防水塗膜組成物。
【請求項3】
前記防水塗膜組成物は、セメントを含むセメント材料部、グラファイト、及びガラス繊維を含む、請求項2に記載の防水塗膜組成物。
【請求項4】
前記改質アスファルト系防水材部と前記セメント材料部の含有質量比が、1:0.05~1:0.5の範囲内にある、請求項1~3の何れか一項に記載の防水塗膜組成物。
【請求項5】
前記セメント材料部が、セメントを10質量%以上60質量%以下、炭酸カルシウムを3質量%以上40質量%以下、砂を15質量%以上80質量%以下含み、
前記セメントと前記砂の含有質量比が1:1~1:5の範囲内にある、請求項1~4の何れか一項に記載の防水塗膜組成物。
【請求項6】
改質アスファルト系防水材部が、アスファルトエマルジョンを25質量%以上70質量%以下、合成樹脂を25質量%以上70質量%以下、ゴム系樹脂を1質量%以上20質量%以下含む、請求項1~5の何れか一項に記載の防水塗膜組成物。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の防水塗膜組成物を製造する方法であって、
前記のアスファルトエマルジョンを含む改質アスファルト系防水材部を、前記のセメントを含むセメント材料部と混合する工程を含むことを特徴とする、防水塗膜組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水塗膜組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の防水等の達成のため、建築物の壁面、屋根には防水層が広く施工されている。
ここで、かかる防水層形成の工程には、アスファルトエマルジョンを含む防水塗膜組成物を塗工、乾燥させる工程が含まれている。
【0003】
従来技術として、特許文献1には、アスファルトエマルジョンに軽量フィラーを所定の割合で含めることにより、厚付けしても短時間で硬化・成膜し、低温下でも柔軟性を保持し、さらに耐衝撃性を付与できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本発明者が鋭意研究開発をしたところ、アスファルトエマルジョンを含む防水塗膜組成物にさらに、特定の素材を加えることで、新しい機能を持った防水塗膜組成物となることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、新規の防水塗膜技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、上記課題を解決する本発明は、アスファルトエマルジョン、合成樹脂を少なくとも含む改質アスファルト系防水材部と、さらに、
セメントを含むセメント材料部、グラファイト、ガラス繊維から選ばれる一又は二以上と、
を含むことを特徴とする、防水塗膜組成物である。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態では、前記防水塗膜組成物は、セメントを含むセメント材料部及びグラファイトを含む。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態では、前記防水塗膜組成物は、セメントを含むセメント材料部、グラファイト、及びガラス繊維を含む。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態では、前記改質アスファルト系防水材部と前記セメント材料部の含有質量比が、1:0.05~1:0.5の範囲内にある。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態では、セメント材料部が、セメントを10質量%以上60質量%以下、炭酸カルシウムを3質量%以上40質量%以下、砂を15質量%以上80質量%以下含み、
前記セメントと前記砂の含有質量比が1:1~1:5の範囲内にある。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態では、改質アスファルト系防水材部が、アスファルトエマルジョンを25質量%以上70質量%以下、合成樹脂を25質量%以上70質量%以下、ゴム系樹脂を1質量%以上20質量%以下含む。
【0013】
また、本発明は、防水塗膜組成物を製造する方法であって、
前記のアスファルトエマルジョンを含む改質アスファルト系防水材部を、前記のセメントを含むセメント材料部と混合する工程を含むことを特徴とする、防水塗膜組成物の製造方法でもある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、新規の防水塗膜組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の防水塗膜組成物は、アスファルトエマルジョン、合成樹脂を少なくとも含む改質アスファルト系防水材部を含む。
そして、本発明の防水塗膜組成物は、さらに、セメントを含むセメント材料部、グラファイト、ガラス繊維から選ばれる一又は二以上を含むことを特徴とする。
【0016】
まずは、本発明の改質アスファルト系防水材部について、説明する。
【0017】
(1)改質アスファルト系防水材部
(1-1)アスファルトエマルジョン
本実施形態において、改質アスファルト系防水材部は、アスファルトエマルジョンを含む。
【0018】
アスファルトエマルジョンとは、アスファルトと水とを含み、それらを乳化剤で乳化して得られる水中油滴型の乳化液をいう。
【0019】
ここで、アスファルトエマルジョンにおける、アスファルトと水との含有質量比は、好ましくは1:0.5~1:1.5、より好ましくは1:0.7~1.3である。
【0020】
また、改質アスファルト系防水材部全量に対するアスファルトエマルジョンの含有質量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。
【0021】
また、改質アスファルト系防水材部全量に対するアスファルトエマルジョンの含有質量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0022】
改質アスファルト系防水材部中のアスファルトエマルジョンが上記形態であることで、さらに、セメントを含むセメント材料部、グラファイト、ガラス繊維から選ばれる一又は二以上を含ませたときに、より優れた効果を発揮する防水塗膜組成物を提供できる。
【0023】
(1-2)合成樹脂
本実施形態において、改質アスファルト系防水材部は、合成樹脂を含む。
【0024】
ここで、本発明に用いる合成樹脂としては、ビニル樹脂を好ましく挙げることができる。
中でも、本発明に用いる合成樹脂としては、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を好ましく挙げることができる。ここで、エチレン酢酸ビニル共重合体は、公知の重合方法によって製造することができる。
【0025】
また、改質アスファルト系防水材部全量に対する合成樹脂の含有質量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。
【0026】
また、改質アスファルト系防水材部全量に対する合成樹脂の含有質量は、好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0027】
改質アスファルト系防水材部中の合成樹脂が上記形態であることで、さらに、セメントを含むセメント材料部、グラファイト、ガラス繊維から選ばれる一又は二以上を含ませたときに、より優れた効果を発揮する防水塗膜組成物を提供できる。
【0028】
(1-3)ゴム系樹脂
また、本実施形態において、改質アスファルト系防水材部は、ゴム系樹脂を含む。
本発明に用いるゴム系樹脂としては、スチレン系樹脂を好ましく挙げることができる。
中でも、本発明に用いるゴム系樹脂としては、スチレンブタジエンラバーを挙げることができる。
【0029】
また、改質アスファルト系防水材部全量に対するゴム系樹脂の含有質量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。
【0030】
また、改質アスファルト系防水材部全量に対するゴム系樹脂の含有質量は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0031】
改質アスファルト系防水材部中のゴム系樹脂が上記形態であることで、さらに、セメントを含むセメント材料部、グラファイト、ガラス繊維から選ばれる一又は二以上を含ませたときに、より優れた効果を発揮する防水塗膜組成物を提供できる。
【0032】
また、本実施形態において、改質アスファルト系防水材部は、グラファイトを含む。
【0033】
また、改質アスファルト系防水材部全量に対するグラファイトの含有質量は、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.7質量%以上である。
【0034】
また、改質アスファルト系防水材部全量に対するグラファイトの含有質量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0035】
グラファイトをさらに含ませることで、加熱による劣化処理した状態での付着強さ、ゼロスパンテンションの伸び量に、より優れた防水塗膜組成物を提供できる。
【0036】
上記の他、改質アスファルト系防水材部は、防腐剤、消泡剤、pH調整剤、分散材、増粘剤を含む形態とすることができる。
【0037】
(2)セメント材料部
本実施形態において、セメント材料部は、セメントを含む。
【0038】
また、セメント材料部全量に対するセメントの含有質量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。
【0039】
また、セメント材料部全量に対するセメントの含有質量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下である。
【0040】
上記形態のセメント材料部をさらに含ませることで、透水防止性能に、より優れた防水塗膜組成物を提供できる。
また、セメントを含むセメント材料部を含めることで、速乾性により優れた防水塗膜組成物を提供できる。
【0041】
ここで、アスファルトエマルジョンを含む防水塗膜組成物による防水層を形成するにあたり、一定程度の厚みを持たせた塗膜を形成する必要があった。従前、一定程度の厚みを持たせた塗膜の形成には施工者による技巧が必要とされていた。
上記形態のセメント材料部をさらに含ませた場合に、施工者の技量によらずとも、厚みを持った塗工が可能となった。
すなわち、上記形態のセメント材料部をさらに含ませることで、施工者の技巧によらず、簡便に十分な厚みの塗工をすることのできる、新規の防水塗膜技術を提供できる。
【0042】
本実施形態において、セメント材料部は、炭酸カルシウムを含む。
【0043】
セメント材料部全量に対する炭酸カルシウムの含有質量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。
【0044】
また、セメント材料部全量に対する炭酸カルシウムの含有質量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
【0045】
上記形態のセメント材料部をさらに含ませることで、透水防止性能に、より優れた防水塗膜組成物を提供できる。
【0046】
また、上記形態のセメント材料部をさらに含ませることで、施工者の技巧によらず、簡便に十分な厚みの塗工をすることのできる、新規の防水塗膜技術を提供できる。
【0047】
本実施形態において、セメント材料部は、砂を含む。
【0048】
セメント材料部全量に対する砂の含有質量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。
【0049】
また、セメント材料部全量に対する砂の含有質量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
【0050】
上記形態のセメント材料部をさらに含ませることで、透水防止性能に、より優れた防水塗膜組成物を提供できる。
【0051】
また、上記形態のセメント材料部をさらに含ませることで、施工者の技巧によらず、簡便に十分な厚みの塗工をすることのできる、新規の防水塗膜技術を提供できる。
【0052】
ここで、本発明において、セメント材料部における、セメントと砂の含有質量比は、好ましくは1:1~1:5、より好ましくは1:2~1:4である。
【0053】
上記形態とすることで、透水防止性能に、より優れた防水塗膜組成物を提供できる。
【0054】
また、上記形態とすることで、施工者の技量によらずとも、厚みを持った塗工が可能な防水塗膜組成物を提供できる。
【0055】
また、本実施形態において、セメント材料部は、ガラス繊維を含む。
【0056】
本発明に用いるガラス繊維の平均繊維長は、好ましくは2mm以上、より好ましくは2.5mm以上である。
また、ガラス繊維の平均繊維長は、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下である。
ここで、ガラス繊維の平均繊維長には、光学顕微鏡にてランダムに選択した200点のガラス繊維の平均繊維長を測定し、その平均値を用いることができる。
【0057】
セメント材料部全量に対するガラス繊維の含有質量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.04質量%以上である。
【0058】
また、セメント材料部全量に対するガラス繊維の含有質量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.07質量%以下、さらに好ましくは0.06質量%以下である。
【0059】
材料部にガラス繊維をさらに含ませることで、透水防止性能に優れ、かつ、引張強さ及び破断時の伸び率、ゼロスパンテンション伸量に優れた防水塗膜組成物を提供できる。
【0060】
(3)防水塗膜組成物の形態について
以下、上記の改質アスファルト系塗膜防水部と、セメント材料部の好ましい配合割合について説明する。なお、以下の説明における各物質の好ましい形態は、前述の説明を援用することができる。
【0061】
改質アスファルト系塗膜防水部と、セメント材料部の好ましい配合質量割合は、好ましくは1:0.05~1:0.7、より好ましくは1:0.07~1:0.3、さらに好ましくは1:0.07~1:0.15である。
【0062】
改質アスファルト系塗膜防水部と、セメント材料部の含有質量比を上記範囲内とすることで、透水防止性能に、より優れた防水塗膜組成物を提供できる。
【0063】
また、改質アスファルト系塗膜防水部と、セメント材料部の含有質量比を上記範囲内とすることで、施工者の技巧によらず、簡便に十分な厚みの塗工をすることのできる、新規の防水塗膜技術を提供できる。
【0064】
ここで、防水塗膜組成物全体に対するアスファルトエマルジョンの含有質量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上である。
【0065】
また、防水塗膜組成物全体に対するアスファトエマルジョンの含有質量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下である。
【0066】
防水塗膜組成物全体中のアスファルトエマルジョンが上記形態であることで、さらに、セメントを含むセメント材料部、グラファイト、ガラス繊維から選ばれる一又は二以上を含ませたときに、より優れた効果を発揮する防水塗膜組成物を提供できる。
【0067】
また、防水塗膜組成物全体に対する合成樹脂の含有質量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上である。
【0068】
また、防水塗膜組成物全体に対する合成樹脂の含有質量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下である。
【0069】
防水塗膜組成物全体中の合成樹脂が上記形態であることで、さらに、セメントを含むセメント材料部、グラファイト、ガラス繊維から選ばれる一又は二以上を含ませたときに、より優れた効果を発揮する防水塗膜組成物を提供できる。
【0070】
また、防水塗膜組成物全体に対するゴム系樹脂の含有質量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。
【0071】
また、防水塗膜組成物全体に対するゴム系樹脂の含有質量は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。
【0072】
防水塗膜組成物全体中のゴム系樹脂が上記形態であることで、さらに、セメントを含むセメント材料部、グラファイト、ガラス繊維から選ばれる一又は二以上を含ませたときに、より優れた効果を発揮する防水塗膜組成物を提供できる。
【0073】
また、防水塗膜組成物全体に対するグラファイトの含有質量は、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.7質量%以上である。
【0074】
また、防水塗膜組成物全体に対するグラファイトの含有質量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0075】
また、防水塗膜組成物全体に対するセメントの含有質量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。
【0076】
また、防水塗膜組成物全体に対するセメントの含有質量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
【0077】
セメントの含有質量が上記範囲内にあることで、透水防止性能に、より優れた防水塗膜組成物を提供できる。
【0078】
また、セメントの含有質量が上記範囲内にあることで、施工者の技巧によらず、簡便に十分な厚みの塗工をすることのできる、新規の防水塗膜技術を提供できる。
【0079】
また、防水塗膜組成物全体に対する炭酸カルシウムの含有質量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。
【0080】
また、防水塗膜組成物全体に対する炭酸カルシウムの含有質量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
【0081】
炭酸カルシウムの含有質量が上記範囲内にあることで、透水防止性能に、より優れた防水塗膜組成物を提供できる。
【0082】
また、炭酸カルシウムの含有質量が上記範囲内にあることで、施工者の技巧によらず、簡便に十分な厚みの塗工をすることのできる、新規の防水塗膜技術を提供できる。
【0083】
また、防水塗膜組成物全体に対する砂の含有質量は、好ましくは13質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。
【0084】
また、防水塗膜組成物全体に対する砂の含有質量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0085】
砂の含有質量が上記範囲内にあることで、透水防止性能に、より優れた防水塗膜組成物を提供できる。
【0086】
また、砂の含有質量が上記範囲内にあることで、施工者の技巧によらず、簡便に十分な厚みの塗工をすることのできる、新規の防水塗膜技術を提供できる。
【0087】
防水塗膜組成物全体に対するガラス繊維の含有質量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.04質量%以上である。
【0088】
また、防水塗膜組成物全体に対するガラス繊維の含有質量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.07質量%以下、さらに好ましくは0.06質量%以下である。
【0089】
ガラス繊維をさらに含ませることで、透水防止性能に優れ、かつ、引張強さ及び破断時の伸び率、ゼロスパンテンション伸量に優れた防水塗膜組成物を提供できる。
【0090】
ここで、本発明の防水塗膜組成物は、前述のアスファルトエマルジョンを含む改質アスファルト系防水材部を、セメントを含むセメント材料部と混合する工程を含む方法により、製造することができる。
【実施例0091】
[試験例1]
試験例1では、アスファルトエマルジョン、エチレン酢酸ビニル共重合体(本発明における合成樹脂に相当)、スチレンブタジエンラバー(本発明のゴム系樹脂に相当)を含む改質アスファルト系防水材部にさらにグラファイトを含めることによる、効果を検証した。
【0092】
(1)防水塗膜組成物の製造
表1に示す材料を混合することで製造した改質アスファルト系防水材部を防水塗膜組成物として用意した。
ここで、実施例1と同ロットであって、グラファイトを含まない改質アスファルト系防水材部を比較例の塗防水塗膜組成物として用意した。
製造した防水塗膜組成物を、一般財団法人建材試験センターが提供する表1に示す試験に供した。
【0093】
ここで、各試験は、一般財団法人建材試験センターが採用する「ポリマーセメント系塗膜防水工事施工指針(案)・同解説」参考資料 2 ポリマーセメント系 防水塗膜組成物の品質試験方法に準じている。
なお、各試験に供した試験体は、以下のとおりである。
【0094】
・引張強さ及び伸び率
JIS K 6251に規定するダンベル状2号形のものを、試験体として用意した。
引張強さ及び伸び率を、一般財団法人建材試験センターが採用する「ポリマーセメント系塗膜防水工事施工指針(案)・同解説」参考資料 2 ポリマーセメント系 防水塗膜組成物の品質試験方法に準拠して測定した。
【0095】
・ゼロスパンテンション伸び量
長さ200mm×幅80mm×厚さ8mmのフレキシブル板(裏面中央部幅方向に深さ 6mmの切込みを入れたもの)の中央部に,長さ120mm×幅60mmの面積に防水塗膜組成物を施工したものを、試験体とした。
「ポリマーセメント系塗膜防水工事施工指針(案)・同解説(日本建築学会)参考資料2 ポリマーセメント系 防水塗膜組成物の品質試験方法」のゼロスパンテンション伸び量試験に準拠して、試験体のスレート板のV形切込み部に亀裂を発生させ、引張試験機にて引張速度5mm/mhで塗膜の引張りを行ない、塗膜に破断した時点の距離をゼロスパンテンション伸び量とした。
【0096】
・付着強さ
70mm×70mm×20mmのモルタル板に防水塗膜組成物を施工したものを試験体とした。付着強さを、一般財団法人建材試験センターが採用する「ポリマーセメント系塗膜防水工事施工指針(案)・同解説」参考資料 2 ポリマーセメント系 防水塗膜組成物の品質試験方法に準拠して測定した。
【0097】
・透水性
直径150mm,高さ40mmのモルタル板に 防水塗膜組成物を施工したものを試験体とした。
透水性を、一般財団法人建材試験センターが採用する「ポリマーセメント系塗膜防水工事施工指針(案)・同解説」参考資料 2 ポリマーセメント系 防水塗膜組成物の品質試験方法に準拠して測定した。
【0098】
【0099】
(2)結果及び考察
アスファルトエマルジョンを含む改質アスファルト系防水材部に、さらに、グラファイトを含めることにより、加熱による劣化処理に供した場合の付着強さが大幅に改善することがわかった。また、アスファルトエマルジョンを含む改質アスファルト系防水材部に、さらに、グラファイトを含めることにより、ゼロスパンテンションの伸び量が大幅に良くなった。
【0100】
[試験例2]
試験例2では、改質アスファルト系防水材部とセメントを含むセメント材料部を組み合わせることによる、効果を検証した。
【0101】
(1)防水塗膜組成物の製造
表2に示す材料を混合することで、防水塗膜組成物を製造した。
製造した防水塗膜組成物について、試験例1と同様の試験に供した。
【0102】
【0103】
(2)結果及び考察
アスファルトエマルジョンを含む改質アスファルト系防水材部に、さらに、セメント材料部を含めることにより、透水防止性能が改善することがわかった。
【0104】
また、本試験の結果、アスファルトエマルジョンを含む改質アスファルト系防水材部に、さらに、セメント材料部とガラス繊維を含めることで、透水防止性能に優れ、かつ、引張強さ及び破断時の伸び率、ゼロスパンテンション伸量に優れた防水塗膜組成物を提供できることがわかった。
【0105】
また、本試験にあたり、アスファルトエマルジョンを含む改質アスファルト系防水材部に、さらに、セメント材料部を含めることで、施工者の技量によらずとも、厚みを持った塗工が可能であることがわかった。
すなわち、アスファルトエマルジョンを含む改質アスファルト系防水材部に、さらに、セメント材料部を含めることで、施工者の技巧によらず、簡便に十分な厚みの塗工をすることのできる、新規の防水塗膜技術を提供できることがわかった。
【0106】
また、本試験にあたり、アスファルトエマルジョンを含む改質アスファルト系防水材部に、さらに、セメント材料部を含めることで、より速乾性に優れる防水塗膜組成物を提供できることがわかった。