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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057853
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】園芸用切鋏
(51)【国際特許分類】
   A01G 3/025 20060101AFI20230417BHJP
   A01G 3/02 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A01G3/025
A01G3/02 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167563
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000137915
【氏名又は名称】株式会社ムサシ
(74)【代理人】
【識別番号】100114764
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100178124
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】岡本 篤
(57)【要約】
【課題】本発明は、一般の消費者でも替え刃を簡単かつ安全に交換することができ、しかも替え刃の破損を防止または軽減することができる園芸用切狭を提供することを目的とする。
【解決手段】園芸において被切断物を切断する挟具3を有する園芸用切狭であって、鋏具3は、刃先511と峰部512を有する平板状の替え刃51と、替え刃51を峰部512に沿って支持する支持部材52と、支持部材52に対して替え刃51を峰部512に沿って固定する固定部材53とを備える。この支持部材52は、替え刃51を支持する内縁部において、替え刃51における峰部512の一方の側端面を係止する第1の係止部524aと、替え刃51における峰部512の上端面を係止する第2の係止部524bとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
園芸において被切断物を切断する鋏具を有する園芸用切鋏であって、
前記鋏具は、
刃先と峰部を有する平板状の替え刃と、
前記替え刃を峰部に沿って支持する支持部材と、
前記支持部材に対して前記替え刃を峰部に沿って固定する固定部材とを備えることを特徴とする園芸用切鋏。
【請求項2】
前記支持部材は、前記替え刃を支持する内縁部において、前記替え刃における峰部の一方の側端面を係止する第1の係止部と、前記替え刃における峰部の上端面を係止する第2の係止部とを備える段差部を有する請求項1に記載の園芸用切鋏。
【請求項3】
前記段差部は、前記替え刃における刃先の長さ方向の両側部を係止する第3の係止部を有する請求項1から請求項3のいずれかに記載の園芸用切鋏。
【請求項4】
前記固定部材は、前記替え刃における峰部の他方の側端面を係止することによって、前記支持部材に対して前記替え刃を峰部に沿って固定する請求項2または請求項3に記載の園芸用切鋏。
【請求項5】
前記固定部材は、前記支持部材に対して平面方向に回動自在に設けられている請求項1から請求項4のいずれかに記載の園芸用切鋏。
【請求項6】
前記支持部材は、前記固定部材を固定するための一ないし複数の固定ネジを有し、
前記固定部材は、前記替え刃側の内縁部にネジ用凹部を有し、
前記固定部材が前記替え刃側に回動した際、前記支持部材の前記固定ネジが前記固定部材の前記ネジ用凹部に嵌合して、前記固定ネジにより前記固定部材が前記支持部材に締め付けられながら固定される請求項5に記載の園芸用切鋏。
【請求項7】
前記替え刃は、上底辺と、上底辺よりも長い下底辺と、上底辺および下底辺の両側の脚辺を有する側面視台形状に形成され、下底辺に刃先を有し、かつ上底辺および脚辺に峰部を有し、
前記支持部材は、前記替え刃を上底辺および脚辺における峰部に沿って支持し、
前記固定部材は、前記支持部材に対して前記替え刃を上底辺および脚辺における峰部に沿って固定する請求項1から請求項6のいずれかに記載の園芸用切鋏。
【請求項8】
前記替え刃は、峰部に嵌合凹部または嵌合凸部を有し、
前記支持部材は、前記替え刃を支持する内縁部に嵌合凸部または嵌合凹部を有し、
前記替え刃の嵌合凹部または嵌合凸部と、前記支持部の嵌合凸部または嵌合凹部が互いに嵌合する請求項1から請求項7のいずれかに記載の園芸用切鋏。
【請求項9】
請求項1から請求項8に記載の鋏具と、前記鋏具が先端部に設けられた長尺のパイプ部材と、前記鋏具を開閉操作するための操作手段を備えることを特徴とする園芸用切鋏。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、園芸分野において高所の枝の剪定や果実の摘み取りなどに用いられる園芸用切鋏に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、園芸分野において高所の枝の剪定や果実の摘み取りなどに用いられる園芸用切鋏として、伸縮自在に構成されたパイプ部材と、パイプ部材の先端部に設けられた鋏具と、パイプ部材の基端部に設けられた操作手段とを備え、該操作手段を操作することによりパイプ材を介して鋏具を操作する園芸用切鋏が種々提案されている。
【0003】
例えば、固定受部材に回動自在に可動刃を設けるとともに、可動刃の刃先を受け止める受部を設け、可動刃の峰から可動刃の両側面に沿って刃先側へ延びて、可動刃を覆うカバー部材を設け、可動刃がカバー部材で覆われるようにカバー部材を付勢する捩りバネからなる付勢手段を設け、固定受部材とカバー部材の一方の対面部に固定受部材と可動刃間に挿入させた被切断物を挟持する挟持部を形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、二層構造の支持板と、その間に形成される固定溝と、該固定溝に嵌設され前記被剪断物を載置する当接部材とを備える固定剪断部と、前記固定溝に嵌挿される可動部と、該可動部の一部に設けられ前記当接部材に押圧されて前記被剪断物を剪断する剪断刃とを備える可動剪断部と、一端に前記当接部材と当接し前記被剪断物を挟持する歯部を、他端に延伸部を有する挟持部と、前記延伸部と前記可動部とを弾設し、前記剪断刃が前記被剪断物または前記当接部材に押圧されると、前記歯部を前記被剪断物に押圧させる弾性体とを備え、これらが一の支軸にて互いに回動自在に枢支してなるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-230263号公報
【特許文献2】特開2006-166790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような園芸用切鋏を長年継続して使用していると、次第に刃先の切れ味が悪くなって、刃を交換する必要が生じてくる。
【0007】
ところが、従来の園芸用切鋏は、通常、長期間の使用にも耐えうるように刃が厚く形成されており、このように厚く重量のある刃が使用時において簡単に外れないように支持部材に極めて強固に固定されている。このため、一般の消費者が刃を交換することは非常に難しく、園芸用切鋏のメーカーに配送して刃を交換してもらったり、あるいは切れ味が悪いまま園芸用切鋏を使用せざるを得なかった。また、刃が接続された状態の支持部材全体を交換する商品も提案されているが、それだと刃の交換のためだけに高額な費用が無駄に発生するという問題があった。
【0008】
もとより、刃として薄い平板状に形成されたものを使用すれば、刃が取り扱い易くなるが、従来の園芸用切鋏は刃が支持部材から突出した構造であったり、刃の側面が完全に露出した構造になっているため、薄い平板上の刃で径大の枝や固いものを切断しようとすると、刃が折れ曲がったり、割れたりするなど、刃が容易に破損する虞があった。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、一般の消費者でも替え刃を簡単かつ安全に交換することができ、しかも替え刃の破損を防止または軽減することができる園芸用切鋏を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、園芸において被切断物を切断する鋏具を有する園芸用切鋏であって、前記鋏具は、刃先と峰部を有する平板状の替え刃と、前記替え刃を峰部に沿って支持する支持部材と、前記支持部材に対して前記替え刃を峰部に沿って固定する固定部材とを備えることを特徴とする。
【0011】
これによれば、鋏具に替え刃を取り付ける際、支持部材により替え刃を峰部に沿って支持したあと、固定部材により支持部材に対して前記替え刃を峰部に沿って固定することによって、鋏具に替え刃を簡単に取り付けることができる。また、鋏具から替え刃を取り外す際、固定部材による替え刃の固定を解除したあと、支持部材から替え刃を引き抜くことによって、鋏具から替え刃を簡単に取り外すことができる。このため、一般の消費者でも替え刃を簡単かつ確実に交換することが可能となる。しかも、支持部材により替え刃を峰部に沿って支持しているため、替え刃の折れ曲がりや割れなどの破損を防止または軽減することができる。
【0012】
また、前記支持部材は、前記替え刃を支持する内縁部において、前記替え刃における峰部の一方の側端面を係止する第1の係止部と、前記替え刃における峰部の上端面を係止する第2の係止部とを備える段差部を有してもよい。これによれば、支持部材の段差部に替え刃を嵌め込むことにより鋏具に替え刃を取り付けることができる一方、支持部材の段差部から替え刃を引き抜くことにより鋏具から替え刃を取り外すことができるため、替え刃をより一層簡単かつ確実に交換することが可能となる。
【0013】
また、前記段差部は、前記替え刃における刃先の長さ方向の両側部を係止する第3の係止部を有してもよい。これによれば、第3の係止部により替え刃を下方から支持し得るため、鋏具に替え刃を安定して取り付けることができる。
【0014】
また、前記固定部材は、前記替え刃における峰部の他方の側端面を係止することによって、前記支持部材に対して前記替え刃を峰部に沿って固定してもよい。これによれば、支持部材と固定部材により替え刃の峰部を左右両側から支持し得るため、鋏具に替え刃をより安定して取り付けることができる。
【0015】
また、前記固定部材は、前記支持部材に対して平面方向に回動自在に設けられてもよい。これによれば、鋏具に替え刃を取り付ける際、固定部材を替え刃側に回動させることにより、替え刃を支持部材に固定することができる一方、鋏具から替え刃を取り外す際、固定部材を替え刃と反対側に回動させることにより、固定部材による替え刃の固定を解除することができる。
【0016】
また、前記支持部材は、前記固定部材を固定するための一ないし複数の固定ネジを有し、前記固定部材は、前記替え刃側の内縁部にネジ用凹部を有し、前記固定部材が前記替え刃側に回動した際、前記支持部材の前記固定ネジが前記固定部材の前記ネジ用凹部に嵌合して、前記固定ネジにより前記固定部材が前記支持部材に締め付けられながら固定されてもよい。これによれば、固定部材を替え刃側に回動させ、支持部材の固定ネジを固定部材のネジ用凹部に嵌合させたあと、固定ネジにより固定部材を支持部材に締め付けながら固定することにより、替え刃を支持部材に確実に固定することができる。
【0017】
また、前記替え刃は、上底辺と、上底辺よりも長い下底辺と、上底辺および下底辺の両側の脚辺を有する側面視台形状に形成され、下底辺に刃先を有し、かつ上底辺および脚辺に峰部を有し、前記支持部材は、前記替え刃を上底辺および脚辺における峰部に沿って支持し、前記固定部材は、前記支持部材に対して前記替え刃を上底辺および脚辺における峰部に沿って固定してもよい。これによれば、替え刃の刃先を長く構成することができるとともに、鋏具に替え刃をより一層安定して取り付けることができる。
【0018】
また、前記替え刃は、峰部に嵌合凹部または嵌合凸部を有し、前記支持部材は、前記替え刃を支持する内縁部に嵌合凸部または嵌合凹部を有し、前記替え刃の嵌合凹部または嵌合凸部と、前記支持部の嵌合凸部または嵌合凹部が互いに嵌合してもよい。これによれば、支持部材により替え刃を支持する際、替え刃が平面方向にがたつくことを防止できる。
【0019】
また、本発明は、上記の鋏具と、前記鋏具が先端部に設けられた長尺のパイプ部材と、前記鋏具を開閉操作するための操作手段を備えることを特徴とする園芸用切鋏である。これによれば、高枝等の高所の被切断物を切断する園芸用切鋏において、一般の消費者でも替え刃を簡単かつ確実に交換することが可能となる。しかも、支持部材により替え刃を峰部に沿って支持しているため、替え刃の折れ曲がりや割れなどの破損を防止または軽減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、鋏具に替え刃を取り付ける際、支持部材により替え刃を峰部に沿って支持したあと、固定部材により支持部材に対して前記替え刃を峰部に沿って固定することによって、鋏具に替え刃を簡単に取り付けることができる。また、鋏具から替え刃を取り外す際、固定部材による替え刃の固定を解除したあと、支持部材から替え刃を引き抜くことによって、鋏具から替え刃を簡単に取り外すことができる。このため、一般の消費者でも替え刃を簡単かつ確実に交換することが可能となる。しかも、支持部材により替え刃を峰部に沿って支持しているため、替え刃の折れ曲がりや割れなどの破損を防止または軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る園芸用切鋏を示す全体斜視図である。
図2図1の鋏具付近を示す斜視図である。
図3図1の鋏具を示す分解斜視図である。
図4図1の鋏具の固定部材を開いた状態を示す右側面図である。
図5図1の鋏具の固定部材を閉じた状態を示す左側面である。
図6図2の替え刃を示す斜視図である。
図7】園芸用切鋏における替え刃を交換する過程を示す右側面図である。
図8】園芸用切鋏による被切断物を切断する過程を示す斜視図および左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係る園芸用切鋏(以下、本切鋏という)の実施形態について、図1図8を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、図1に示すように、本切鋏の長さ方向に対して鋏具3が存在する方向を本切鋏の前方向、操作手段2のが存在する方向を本切鋏の後方向、操作者が操作手段2から鋏具3を見たときの上方向を本切鋏の上方向、同じく下方向を本切鋏の下方向、同じく右方向を本切鋏の右方向、同じく左方向を本切鋏の左方向として説明する。
【0023】
本切鋏は、主に高枝等の被切断物Wを切断するのに用いられるものであって、図1に示すように、長尺の伸縮可能な金属製または樹脂製のパイプ部材1と、パイプ部材1の基端部に設けられた操作手段2と、パイプ部材1の先端部に設けられた鋏具3とを備え、操作者は、例えば右手で操作手段2を把持し、左手でパイプ部材1を把持しながら、鋏具3を高所の所定個所に配置した上、操作手段2を操作することにより鋏具3で被切断物Wを切断する。
【0024】
前記パイプ部材1は、図1に示すように先端部側に設けられた径小の中空の第1のパイプ部材11と、該第1のパイプ部材11が挿入される径大の中空の第2のパイプ部材12と、第1のパイプ部材11と第2のパイプ部材12を繋ぐ継手13とを備える。この継手13は、図2に示すように、上側に調整レバー13aが設けられており、調整レバー13aを押圧すると第2のパイプ部材12に対して第1のパイプ部材11を伸縮することができる一方、調整レバー13aを離すと第2のパイプ部材12に対して第1のパイプ部材11を固定することができるため、操作者は継手13の調整レバー13aを操作することによりパイプ部材1の全体の長さを調整することが可能となる。なお、第1のパイプ部材11の基端部寄りの中間位置には樹脂製の把持部14が設けられており、操作者が片方の手で把持部14を把持し得るようになっている。
【0025】
また、前記パイプ部材1は、図2に示すように、内部に軸方向に延びる操作ロッド15が設けられており、該操作ロッド15の先端部が鋏具3に連結されるとともに、操作ロッド15の基端部が操作手段2に連結されており、操作者による操作手段2の操作が操作ロッド15を介して鋏具3に伝達されるようになっている。
【0026】
なお、図5に示すように、符号16は後述するように鋏具3を接続するための接続ネジ、符号17は本切鋏の専用ののこぎり等の別の器具を装着する際に用いるノブネジ17である。
【0027】
前記操作手段2は、図1に示すように、パイプ部材1の基端部に設けられた操作本体部21と、操作本体部21の上側に固定された固定レバー22と、操作本体部21の下側に回動可能に設けられた操作レバー23と備え、操作レバー23が操作ロッド15の基端部に接続されている。この操作レバー23は、図示略のバネ部材により固定レバー22に対して離間する方向に付勢されており、操作者が操作手段2を握ることにより操作レバー23を付勢力に抗して固定レバー22側に回動させると、操作ロッド15が軸方向に後退する一方、操作レバー23を離すことにより操作レバー23を付勢力により固定レバー22側に自然に回動させるながら戻すと、操作ロッド15が軸方向に前進する。
【0028】
前記鋏具3は、図2図5に示すように、パイプ部材1の先端部に設けられた本体部4と、該本体部4の上側に回動可能に軸支された刃部5と、該本体部4の下側に固定された受け部6と、該本体部4の上側に刃部5と並んで回動可能に軸支された挟持部7とを備える。
【0029】
前記本体部4は、金属製の平板状に形成されたベース部41と、ベース部41の後方に延びる挿入軸42と、ベース部41から上方に延びる軸支部43と、ベース部41から前方に延びる受け固定部44とを備える。この本体部4は、挿入軸42に固定孔42aが形成されており、挿入軸42が第1のパイプ部材11に挿入された状態で第1のパイプ部材11の接続ネジ16が該固定孔42aに螺着されることによって、第1のパイプ部材11に連結される。また、この本体部4は、図5に示すように、ベース部41に上下に緩やかに湾曲しながら前後方向に延びる長円孔41aが形成されており、該長円孔41aにおいて後述する連結ネジ526が移動可能に挿通される。
【0030】
前記刃部5は、金属製の平板状の替え刃51と、替え刃51を支持する支持部材52と、支持部材52に替え刃51を固定する固定部材53とを備える。
【0031】
前記替え刃51は、図6に示すように、上底辺51aと、上底辺51aよりも長い下底辺51bと、上底辺51aおよび下底辺51bの両側の脚辺51c、51dを有する側面視台形状に形成され、下底辺51bに刃先511を有し、かつ上底辺51aおよび脚辺51c、51dに峰部512を有する。この替え刃51は、0.4mm~1.0mmの厚さの薄型に形成されており、後述するように替え刃51を交換する際に取り扱い易い上、安価に提供することができる。また、替え刃51は、上底辺51aの峰部512の中央部において2個の嵌合凹部513が形成されており、後述する支持部材52の嵌合凸部528に嵌合する。
【0032】
前記支持部材52は、図4に示すように、側面視略コ字状に形成された金属製の平板であって、本体部4の軸支部43に回動軸527を介して回動自在に軸支された支持本体部520と、支持本体部520の下方に延びる連結部525と、該軸支部43から前斜め上方向に延びる第1の支持部521と、該第1の支持部521から屈曲して前方向に延びる第2の支持部522と、該第2の支持部522から前斜め下方向に延びる第3の支持部523とを備える。
【0033】
また、前記支持部材52は、連結部525が操作ロッド15の先端部と連結ネジ526を介して接続され、該連結ネジ526の先端部が本体部4の長円孔41aに挿通されている。このため、操作ロッド15が軸方向に前進すると、連結ネジ526が長円孔41a内を前方に摺動しながら連結部525が前方に移動し、それに伴って支持部材52が回動軸527を中心に後方に回動する。また、操作ロッド15が軸方向に後退すると、連結ネジ526が長円孔4a内を後方に摺動しながら連結部525が後方に移動し、それに伴って支持部材52が回動軸527を中心に前方に回動する。
【0034】
また、前記支持部材52は、第1の支持部521、第2の支持部522および第3の支持部523の内縁部において段差部524を有している。この段差部524は、替え刃51の峰部512を係止するものであり、替え刃51の峰部512の左側端面を係止する第1の係止部524aと、替え刃51の峰部512の上端面を係止する第2の係止部524bとを備える。これにより、第1の支持部521の段差部524において替え刃51の後側の脚辺51dの峰部512の左側端面および上端面が係止され、第2の支持部522の段差部524において替え刃51の上底辺51aの峰部512の左側端面および上端面が係止され、第3の支持部523の段差部524において替え刃51の前側の脚辺51cの峰部512の左側端面および上端面が係止されることによって、替え刃51を上底51aおよび脚辺51c、51dの峰部512の全体に沿って支持することができる。
【0035】
また、前記支持部材52は、第1の支持部521の先端部および第2の支持部522の基端部の内縁部において、それぞれ替え刃51における刃先511の長さ方向の両側部を係止する第3の係止部524cが設けられている。この第3の係止部524cは、段差部524の第1の係止部524aと同一の幅で、かつ第2の係止部524bと同じ深さであって、第1の係止部524aおよび第2の係止部524bに屈曲しながら連設している。これによれば、第3の係止部524cにより替え刃51を下方から支持し得るため、鋏具3に替え刃51を安定して取り付けることができる。
【0036】
また、支持部材52は、第2の支持部522の前後方向の中央部において2個の嵌合凸部528が形成されており、上述のように替え刃51の上底辺51aの嵌合凹部513に嵌合する。これにより、替え刃51を支持部材52の段差524に嵌め込んだ際、替え刃51が平面方向にがたつくことを防止できる。
【0037】
また、支持部材52は、第2の支持部522の前後方向の中央部と、第3の支持部523の先端部において、固定部材53を固定するための摘みネジ529が設けられており、通常は第2の支持部522および第3の支持部523に甘く螺合した状態で設けられている。
【0038】
前記固定部材53は、図4に示すように、側面視略コ字状に形成された金属製の平板であって、支持部材52の第1の支持部521に第2の回動軸535を介して回動自在に軸支される固定本体部530と、該固定本体部530から延びる第1の支持部521に対応する第1の固定部531と、固定本体部530から延びる第2の支持部522に対応する第2の固定部532と、第2の固定部532から延びる第2の支持部523に対応する第3の固定部533とを備える。これにより、図7(b)に示すように、前記支持部材52により替え刃51が支持された状態において、図7(c)に示すように、固定部材53が替え刃51に重なるように前方に回動すると、第1の固定部531が替え刃51の後側の脚辺51dの峰部512の右側端面の一部を固定し、第2の固定部532が替え刃51の上底辺51aの峰部512の右側端面の全部を固定し、第3の固定部533が替え刃51の前側の脚辺51cの峰部512の右側端面の全部を固定するため、支持部材52に対して替え刃51を峰部512に沿って固定する。一方、図7(b)に示すように、固定部材53が替え刃51から離れるように後方に回動すると、第1の固定部531、第2の固定部532および第3の固定部533のいずれもが替え刃51の峰部512の固定を解除する。
【0039】
また、前記固定部材53は、第2の固定部532の左右方向の中央部と、第3の固定部533の先端部において、支持部材52の摘みネジ529が嵌るネジ用凹部534が形成されている。これにより、固定部材53が前方に回動すると、支持部材52の摘みネジ529が固定部材53のネジ用凹部534に嵌るため、そのまま摘みネジ529を右回りに回動させると、固定部材53を支持部材52に締め付けながら固定することができる一方、摘みネジ529を左周りに回動させると、支持部材52に対する固定部材53の固定を解除することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、固定部材53は支持部材52に対して平面方向に回動可能に設けられるものとしたが、支持部材53に対して個別に側方から設けられるものとしてもよい。
【0041】
前記受け部6は、被切断物Wを受ける平面視台形状の樹脂製部材であり、前記本体部4の受け固定部44の上側で前後方向に延びる態様でネジ61、61により固定されている。また、受け部6の上面には、複数の三角波状の滑り止め62が前後方向に沿って形成され、刃部5や挟持部7との間で被切断物Wを挟持したときに被切断物Wが前後方向に滑ることを防止して、被切断物Wを安全に挟持することができるようになっている。
【0042】
前記挟持部7は、前記受け部6との間で被切断物Wを挟持する樹脂製部材であり、本体部4の軸支部43における支持部材52の左右反対側において、支持部材52と同じ回動軸527を介して回動自在に軸支されている。この挟持部7は、構造上、支持部材52の回動に従って本体部4の軸支部43を中心に回動するようになっている。また、この挟持部7は、本体部4の軸支部43において図示略のバネにより受け部6に対して閉じる方向に付勢されている。このため、被切断物Wを切断する際、挟持部7は支持部材52とともに回動するが、受け部6との間で被切断物Wと挟持すると、それ以上は支持部材52の回動に追従することなく、被切断物Wの切断後においても図示略のバネ部材の付勢力により受け部6との間で被切断物Wを挟持し続ける。なお、操作手段2を操作することにより支持部材52が受け部6と反対側に回動して挟持部7の位置まで到達すると、挟持部7は支持部材52とともに受け部6と反対側に回動し、受け部6との間で挟持していた被切断物Wを離す。
【0043】
次に本切鋏における替え刃51の交換方法について説明する。
【0044】
まず、鋏具3に対する替え刃51の取り付けに際しては、図7(a)に示すように、支持部材52に対して固定部材53が後方に回動することにより支持部材52の段差部524が開放された状態において、図7(b)に示すように、替え刃51の上底辺51aの峰部512、後側の脚辺51dの峰部512および前側の脚辺51cの峰部512を支持部材52の第1の支持部521、第2の支持部522および第3の支持部523の段差部524が対応させながら、替え刃51を右側方から支持部材52の段差部524に嵌め込む。
【0045】
このとき、第1の支持部521の段差部524において替え刃51の後側の脚辺51dにおける峰部512の左側端面および上端面が係止され、第2の支持部522の段差部524において替え刃51の上底辺51aにおける峰部512の左側端面および上端面が係止され、第3の支持部523の段差部524において替え刃51の前側の脚辺51cにおける峰部512の左側端面および上端面が係止されることによって、替え刃51を峰部512の全体に沿って支持することができる。
【0046】
そして、図7(c)に示すように、支持部材52に対して固定部材53を替え刃51に重なるように前方に回動させると、第1の固定部531が替え刃51の後側の脚辺51dの峰部512の右側端面の一部を固定し、第2の固定部532が替え刃51の上底辺51aの峰部512の右側端面の全部を固定し、第3の固定部533が替え刃51の前側の脚辺51cの峰部512の右側端面の全部を固定するため、支持部材52に対して替え刃51を峰部512に沿って固定することができる。
【0047】
そして、最後に支持部材52の摘みネジ529を右回りに回動させると、支持部材52に対して固定部材53が締め付けられながら固定されるため、鋏具3に替え刃51を簡単かつ安全に取り付けることができる。
【0048】
一方、支持部材52に対する替え刃51の取り外しに際しては、図7(b)に示すように、支持部材52の摘みネジ529を回動させることにより支持部材52に対する固定部材53の固定を解除したあと、固定部材53を替え刃51から離れるように後方に回動させると、第1の固定部531、第2の固定部532および第3の固定部533のいずれもが替え刃51の峰部512の固定を解除して、替え刃51の右側面が開放された状態となる。
【0049】
そして、図7(a)に示すように、替え刃51を支持部材52から右側方に向けて抜き取ると、鋏具3から替え刃51を簡単に取り外すことができる。
【0050】
これによれば、鋏具3に替え刃51を取り付ける際、支持部材52により替え刃51を峰部512に沿って支持したあと、固定部材53により支持部材52に対して前記替え刃51を峰部512に沿って固定することによって、鋏具3に替え刃51を簡単に取り付けることができる。また、鋏具3から替え刃51を取り外す際、固定部材53による替え刃51の固定を解除したあと、支持部材52から替え刃51を引き抜くことによって、鋏具3から替え刃51を簡単に取り外すことができる。このため、一般の消費者でも替え刃51を簡単かつ確実に交換することが可能となる。しかも、支持部材52により替え刃51を峰部512に沿って支持しているため、替え刃51の折れ曲がりや割れなどの破損を防止または軽減することができる。
【0051】
次に本切鋏の使用方法について説明する。
【0052】
本切鋏に替え刃51を取り付けた状態において、操作者が、例えば右手で操作手段2を把持し、左手で把持部14を把持することにより本切鋏の全体を持ったあと、図8(a)に示すように、鋏具3を高枝等の被切断物Wの所定個所に配置して、刃部5と受け部6の間に被切断物Wが位置するようにする。
【0053】
そして、図8(b)に示すように、操作者が操作手段2を握ることにより固定レバー22に対して操作レバー23を付勢力に抗して近接方向に移動させると、操作ロッド15が軸方向に後退し、それに伴って刃部5が受け部6側の前方に回動することにより被切断物Wが切断される。このとき、図8(c)に示すように、挟持部7と受け部6との間に被切断物Wが挟持されているため、被切断物Wが鋏具3から落下することを防止できる。
【0054】
そして、操作者が鋏具3を地面などの所定個所に配置したあと、操作レバー23を離すことにより固定レバー22に対して操作レバー23を付勢力により離間方向に移動させると、操作ロッド15が軸方向に前進し、それに伴って刃部5が受け部6と反対側の後方に回動するとともに、挟持部7も刃部5とともに受け部6と反対側の後方に回動するため、鋏具3から被切断物Wを開放して地面等に載置する。
【0055】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…パイプ部材
11…第1のパイプ部材
12…第2のパイプ部材
13…継手
13a…調整レバー
14…把持部
15…操作ロッド
16…接続ネジ
17…ノブネジ
2…操作手段
21…操作本体部
22…固定レバー
23…操作レバー
3…鋏具
4…本体部
41…ベース部
41a…長円孔
42…挿入軸
42a…固定孔
43…軸支部
44…受け固定部
5…刃部
51…替え刃
51a…上底辺
51b…下底辺
51c…脚辺(前側)
51d…脚辺(後側)
511…刃先
512…峰部
513…嵌合凹部
52…支持部材
520…支持本体部
521…第1の支持部
522…第2の支持部
523…第3の支持部
524…段差部
524a…第1の係止部
524b…第2の係止部
524c…第3の係止部
525…連結部
526…連結ネジ
527…回動軸
528…嵌合凸部
529…摘みネジ
53…固定部材
530…固定本体部
531…第1の固定部
532…第2の固定部
533…第3の固定部
534…ネジ用凹部
535…第2の回動軸
6…受け部
61…ネジ
62…滑り止め
7…挟持部
W…被切断物
図1
図2
図3
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図7
図8