(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057862
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】農作業機及び収穫方法
(51)【国際特許分類】
A01D 33/00 20060101AFI20230417BHJP
A01D 21/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
A01D33/00
A01D21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167578
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000217240
【氏名又は名称】田中工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】田中 稔
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA01
2B072AA03
2B072AA10
2B072EA01
2B072EA10
(57)【要約】
【課題】 農作物を収穫して運搬車に載せる作業を軽減することに適した農作業機等を提供する。
【解決手段】 農作業機1は、複数の畝にある農作物の収穫作業を行う。持ち上げ部3は、畝にある農作物を当該農作業機の上にある前記中央送り部に持ち上げる。中央送り部5は、複数の車外送り部7の一部に対して又は全部に対して、持ち上げ部3が持ち上げた農作物を送る。車外送り部7は、中央送り部5から送られた農作物を車外に送り出す。車外送り部7は、持ち上げ部3が農作物を持ち上げた畝とは異なる畝に移動することと、農作物がない畝に存在する運搬車に農作物を載せることを行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の畝にある農作物の収穫作業を行う農作業機であって、
持ち上げ部と、中央送り部と、複数の車外送り部を備え、
前記持ち上げ部は、少なくとも一つの畝にある農作物を当該農作業機の上にある前記中央送り部に持ち上げ、
前記中央送り部は、前記複数の車外送り部の一部に対して又は全部に対して、前記持ち上げ部が持ち上げた前記農作物を送り、
前記車外送り部は、前記中央送り部から送られた前記農作物を車外に送り出すものであり、
前記車外送り部は、前記持ち上げ部が農作物を持ち上げた畝とは異なる畝に移動することと、農作物がない畝に存在する運搬車に農作物を載せることを行う、農作業機。
【請求項2】
当該農作業機が一つ又は複数の畝にある農作物を他の畝に移動する場合に、
前記持ち上げ部は、前記少なくとも一つの畝にある前記農作物を前記中央送り部に持ち上げ、
前記中央送り部は、前記複数の車外送り部の一部又は全部に対して、前記持ち上げ部が持ち上げた前記農作物を送り、
前記車外送り部は、前記中央送り部から送られた前記農作物を前記他の畝に移動し、
当該農作業機は、前記運搬車に農作物を載せる場合に、
前記持ち上げ部は、畝にある農作物を前記中央送り部に持ち上げ、
前記中央送り部は、一つの前記車外送り部に対して前記持ち上げ部が持ち上げた前記農作物を送り、
前記一つの車外送り部は、前記中央送り部から送られた前記農作物を前記運搬車に載せる、請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
前記車外送り部は、前記農作物の送り先に位置する先端の高さを変更でき、
前記車外送り部が前記農作物を地表に戻すときの前記先端の高さは、前記車外送り部が前記農作物を前記運搬車に載せるときの前記先端の高さよりも低い、請求項1又は2に記載の農作業機。
【請求項4】
前記車外送り部は、第1車外送り部と、第2車外送り部を備え、
前記中央送り部は、正方向と、当該正方向と反対の逆方向に前記農作物を送る送りコンベアを備え、
前記送りコンベアは、
前記農作物を正方向に送ることにより前記第1車外送り部に送り、
前記農作物を逆方向に送ることにより前記第2車外送り部に送る、請求項1から3のいずれかに記載の農作業機。
【請求項5】
前記車外送り部は、第1車外送り部と、第2車外送り部を備え、
前記中央送り部は、第1送りコンベアと、第2送りコンベアを備え、
前記第1送りコンベアは、正方向と、当該正方向と反対の逆方向に前記農作物を送り、
前記第2送りコンベアは、正方向と、当該正方向と反対の逆方向に前記農作物を送り、
前記第1送りコンベアは、
前記農作物を正方向に送ることにより前記第1車外送り部に送り、
前記農作物を逆方向に送ることにより前記第2送りコンベアに送り、
前記第2送りコンベアは、
前記農作物を正方向に送ることにより前記第1送りコンベアに送り、
前記農作物を逆方向に送ることにより前記第2車外送り部に送る、請求項1から3のいずれかに記載の農作業機。
【請求項6】
中間移動部と、選別作業者が乗車する作業者乗車部を備え、
前記持ち上げ部で持ち上げられた農作物は、前記中間移動部を経由して前記中央送り部に送られ、
前記作業者乗車部に乗車する選別作業者は、前記中間移動部及び/又は前記中央送り部にある農作物の選別作業を行う、請求項1から5のいずれかに記載の農作業機
【請求項7】
農作業機により収穫された農作物を積載する運搬車を生産する収穫方法であって、
前記農作業機は、持ち上げ部と、中央送り部と、複数の車外送り部を備え、
前記農作業機が、少なくとも一つの畝にある前記農作物を他の畝に移動させる移動ステップと、
農作物が存在しない畝に前記運搬車を移動する運搬車準備ステップと、
前記農作業機が、少なくとも一つの畝にある農作物を前記運搬車に載せる回収ステップを含み、
前記移動ステップにおいて、
前記持ち上げ部は、前記農作物を当該農作業機の上にある前記中央送り部に持ち上げ、
前記中央送り部は、一つ又は複数の前記車外送り部に対して、前記持ち上げ部が持ち上げた前記農作物を送り、
前記車外送り部は、前記中央送り部から送られた前記農作物を前記他の畝に移し、
前記回収ステップにおいて、
前記持ち上げ部は、前記農作物を当該農作業機の上にある前記中央送り部に持ち上げ、
前記中央送り部は、一つの前記複数の車外送り部に対して前記持ち上げ部が持ち上げた前記農作物を送り、
前記車外送り部は、前記中央送り部から送られた前記農作物を前記運搬車に載せる、収穫方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機及び収穫方法に関し、特に、農作物の収穫作業を行う農作業機等に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、農作物を拾い上げる農作業機を提案している(特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
収穫作業は、一般に、農作物をコンテナに回収して運搬車に載せて運搬している。しかしながら、運搬車にコンテナを載せたり降ろしたりする作業は重労働である。
【0005】
よって、本発明は、農作物を収穫して運搬車に載せる作業を軽減することに適した農作業機等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の側面は、複数の畝にある農作物の収穫作業を行う農作業機であって、持ち上げ部と、中央送り部と、複数の車外送り部を備え、前記持ち上げ部は、少なくとも一つの畝にある農作物を当該農作業機の上にある前記中央送り部に持ち上げ、前記中央送り部は、前記複数の車外送り部の一部に対して又は全部に対して、前記持ち上げ部が持ち上げた前記農作物を送り、前記車外送り部は、前記中央送り部から送られた前記農作物を車外に送り出すものであり、前記車外送り部は、前記持ち上げ部が農作物を持ち上げた畝とは異なる畝に移動することと、農作物がない畝に存在する運搬車に農作物を載せることを行う。
【0007】
本願発明の第2の側面は、第1の側面の農作業機であって、当該農作業機が一つ又は複数の畝にある農作物を他の畝に移動する場合に、前記持ち上げ部は、前記少なくとも一つの畝にある前記農作物を前記中央送り部に持ち上げ、前記中央送り部は、前記複数の車外送り部の一部又は全部に対して、前記持ち上げ部が持ち上げた前記農作物を送り、前記車外送り部は、前記中央送り部から送られた前記農作物を前記他の畝に移動し、当該農作業機は、前記運搬車に農作物を載せる場合に、前記持ち上げ部は、畝にある農作物を前記中央送り部に持ち上げ、前記中央送り部は、一つの前記車外送り部に対して前記持ち上げ部が持ち上げた前記農作物を送り、前記一つの車外送り部は、前記中央送り部から送られた前記農作物を前記運搬車に載せる。
【0008】
本願発明の第3の側面は、第1又は第2の側面の農作業機であって、前記車外送り部は、前記農作物の送り先に位置する先端の高さを変更でき、前記車外送り部が前記農作物を地表に戻すときの前記先端の高さは、前記車外送り部が前記農作物を前記運搬車に載せるときの前記先端の高さよりも低い。
【0009】
本願発明の第4の側面は、第1から第3のいずれかの側面の農作業機であって、前記車外送り部は、第1車外送り部と、第2車外送り部を備え、前記中央送り部は、正方向と、当該正方向と反対の逆方向に前記農作物を送る送りコンベアを備え、前記送りコンベアは、前記農作物を正方向に送ることにより前記第1車外送り部に送り、前記農作物を逆方向に送ることにより前記第2車外送り部に送る。
【0010】
本願発明の第5の側面は、第1から第3のいずれかの側面の農作業機であって、前記車外送り部は、第1車外送り部と、第2車外送り部を備え、前記中央送り部は、第1送りコンベアと、第2送りコンベアを備え、前記第1送りコンベアは、正方向と、当該正方向と反対の逆方向に前記農作物を送り、前記第2送りコンベアは、正方向と、当該正方向と反対の逆方向に前記農作物を送り、前記第1送りコンベアは、前記農作物を正方向に送ることにより前記第1車外送り部に送り、前記農作物を逆方向に送ることにより前記第2送りコンベアに送り、前記第2送りコンベアは、前記農作物を正方向に送ることにより前記第1送りコンベアに送り、前記農作物を逆方向に送ることにより前記第2車外送り部に送る。
【0011】
本願発明の第6の側面は、第1から第5のいずれかの側面の農作業機であって、中間移動部と、選別作業者が乗車する作業者乗車部を備え、前記持ち上げ部で持ち上げられた農作物は、前記中間移動部を経由して前記中央送り部に送られ、前記作業者乗車部に乗車する選別作業者は、前記中間移動部及び/又は前記中央送り部にある農作物の選別作業を行う。
【0012】
本願発明の第7の側面は、農作業機により収穫された農作物を積載する運搬車を生産する収穫方法であって、前記農作業機は、持ち上げ部と、中央送り部と、複数の車外送り部を備え、前記農作業機が、少なくとも一つの畝にある前記農作物を他の畝に移動させる移動ステップと、農作物が存在しない畝に前記運搬車を移動する運搬車準備ステップと、前記農作業機が、少なくとも一つの畝にある農作物を前記運搬車に載せる回収ステップを含み、前記移動ステップにおいて、前記持ち上げ部は、前記農作物を当該農作業機の上にある前記中央送り部に持ち上げ、前記中央送り部は、一つ又は複数の前記車外送り部に対して、前記持ち上げ部が持ち上げた前記農作物を送り、前記車外送り部は、前記中央送り部から送られた前記農作物を前記他の畝に移し、前記回収ステップにおいて、前記持ち上げ部は、前記農作物を当該農作業機の上にある前記中央送り部に持ち上げ、前記中央送り部は、一つの前記複数の車外送り部に対して前記持ち上げ部が持ち上げた前記農作物を送り、前記車外送り部は、前記中央送り部から送られた前記農作物を前記運搬車に載せる。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の各側面によれば、農作業機は、複数の車外送り部が例えば進行方向とは異なる複数の向き(例えば進行方向の左及び右)に設けられて、少なくとも一つの畝にある農作物を他の畝に移動させて一部の畝に農作物がない状態にする作業と、この農作物がない状態の畝で伴走する運搬車に載せる作業とを実現して、ほ場から運搬車にダイレクトに収穫して積むことができ、極めて効率がよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本願発明の実施の形態に係る農作業機の構成の一例を示す図である。
【
図3】中央送り部5、第1車外送り部7
1、第2車外送り部7
2が回転する仕組みの一例を示す図である。
【
図4】(a)第1車外送り部7
1と第2車外送り部7
2のそれぞれに設けられている右電動アクチュエータ39
1及び左電動アクチュエータ39
2と、(b)作業者乗車部15に乗車した選別作業者17による選別作業の状況を示す図である。
【
図5】具体的な収穫作業の一例を示す第1図である。
【
図6】具体的な収穫作業の一例を示す第2図である。
【
図7】具体的な収穫作業の一例を示す第3図である。
【
図8】本願発明の他の実施の形態に係る農作業機の構成の一例を示す図である。
【
図9】第1送りコンベア55
1、第2送りコンベア55
2、第1車外送り部57
1、第2車外送り部57
2が回転する仕組みの一例を示す図である。
【
図10】(a)第1車外送り部57
1と第2車外送り部57
2のそれぞれに設けられている右電動アクチュエータ89
1及び左電動アクチュエータ89
2と、(b)作業者乗車部65に乗車した選別作業者67による選別作業の状況を示す図である。
【
図11】具体的な収穫作業の一例を示す第1図である。
【
図13】具体的な収穫作業の一例を示す第2図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0016】
図1は、本願発明の実施の形態に係る農作業機の構成の一例を示す図である。
図1を参照して農作業機1の構成を説明する。
【0017】
農作業機1は、農作物を収穫するためのものである。農作物は、例えば、タマネギ、ジャガイモ、ニンニク、里芋などである。野菜などの農作物では、例えば、細長く直線状に土を盛って地面より高くして複数の畝を作り、水はけをよくして栽培されている。畝と畝の間には、畝よりも低い畝間がある。
【0018】
農作業機1は、持ち上げ部3と、中央送り部5と、中間移動部4と、第1車外送り部71と、第2車外送り部72を備える。
【0019】
持ち上げ部3は、畝にある農作物を、必要であれば掘り取り、拾い上げて、持ち上げる。持ち上げられた農作物は、中間移動部4の上を通って中央送り部5に送られる。
【0020】
中央送り部5は、横送りコンベアであり、正転と逆転に応じて、それぞれ、図の右と左に農作物を送る。右に送られた農作物は、第1車外送り部71に到達する。左に送られた農作物は、第2車外送り部72に到達する。
【0021】
第1車外送り部71は、スラットコンベアであり、農作物を車外に出す。スラットコンベアは、少なくとも一部のスラットが突起付きである突起付きスラットコンベアである。第1車外送り部71は、農作物を、拾い上げられた畝とは異なる畝に落下させたり、運搬車にのせたりする。
【0022】
第2車外送り部72は、スラットコンベアであり、農作物を車外に出す。スラットコンベアは、少なくとも一部のスラットが突起付きである突起付きスラットコンベアである。第2車外送り部72は、農作物を、拾い上げられた畝とは異なる畝に落下させたり、運搬車にのせたりする。
【0023】
農作業機1は、正転逆転ミッション9を備える。正転逆転ミッション9は、中央送り部5の正転と逆転を切り替える。第1車外送り部71は、中央送り部5が正転の場合に農作物が送られてくるため、少なくともこの場合には回転する。中央送り部5が逆転の場合には、回転してもしなくてもよい。第2車外送り部72は、中央送り部5が逆転の場合に農作物が送られてくるため、少なくともこの場合には回転する。中央送り部5が正転の場合には、回転してもしなくてもよい。
【0024】
農作業機1は、運転席11と、操作盤13を備える。運転手は、運転席11に座って操作盤13を操作して、例えば、農作業機1の移動スピードや移動方向を調整したり、中央送り部5の正転逆転を切り替えたり、第1車外送り部71及び第2車外送り部72の先端の高さを調整するなどを行う。
【0025】
農作業機1は、中央送り部5の近くに、作業者乗車部15を備える。選別作業者17は、作業者乗車部15に乗車して、中央送り部5に送られた農作物などの選別作業を行う。
【0026】
農作業機1は、エンジン19と、右クローラー211及び左クローラー212を備える。エンジン19は、右クローラー211及び左クローラー212を駆動して農作業機1を移動させる。また、エンジン19は、持ち上げ部3、中央送り部5、第1車外送り部71、第2車外送り部72を駆動する力を与えて回転などをさせる。
【0027】
持ち上げ部3の地上側の先端は、右車輪231及び左車輪232により支持されている。右車輪231及び左車輪232並びに右クローラー211及び左クローラー212は、例えば、一つ又は複数の畝の両側の畝間を移動することができる幅である。
【0028】
図2は、農作業機1を横から見た図である。持ち上げ部3は、地上側の先端が右車輪23
1及び左車輪23
2によって支持され、一定の高さを保つことができる。
【0029】
中間移動部4は、運転席の位置などの兼ね合いで、必要に応じて設けられる。持ち上げ部3で持ち上げられた農作物は、中間移動部4を経由して中央送り部5に至る。
【0030】
エンジン19の動力は、第1チェーン31により正転逆転ミッション9に与えられる。正転逆転ミッション9は、運転手の指示に従い、エンジン19の動力を使用して中央送り部5を正転又は逆転させる。
【0031】
中央送り部5は、農作物を、正転又は逆転に従って第1車外送り部71又は第2車外送り部72に送る。
【0032】
図3は、中央送り部5、第1車外送り部7
1、第2車外送り部7
2が回転する仕組みの一例を示す。
【0033】
第1チェーン31は、アイドラー45によりテンションが調整できるようにして、エンジン19の動力が駆動輪41に与えられて、正転逆転ミッション9に取り付けられたスプロケット43に動力を伝える。
【0034】
第2チェーン33は、正転逆転ミッション9に従って正転又は逆転の向きに回転して、動力を第2車外送り部72に伝えて回転させる。
【0035】
第3チェーン352は、第2車外送り部72に伝えられた動力を中央送り部5に伝えて回転させる。
【0036】
第4チェーン351は、中央送り部5に伝えられた動力を第1車外送り部71に伝えて回転させる。
【0037】
図3の例では、中央送り部5、第1車外送り部7
1、第2車外送り部7
2を同時に回転させるものであるが、例えばクラッチなどを使用して、正転・逆転に応じて第1車外送り部7
1と第2車外送り部7
2の一方を回転させないようにするなどを行ってもよい。
【0038】
図4(a)は、第1車外送り部7
1と第2車外送り部7
2のそれぞれに設けられている右電動アクチュエータ39
1及び左電動アクチュエータ39
2を示す。第1車外送り部7
1と第2車外送り部7
2は、車側が回転可能に支持されており、運転手が操作盤13を操作して右電動アクチュエータ39
1及び左電動アクチュエータ39
2を伸縮することにより、第1車外送り部7
1と第2車外送り部7
2の車外側の高さを変えることができる。この高さは、農作物を畝に落下させるときには低く、農作物を運搬車にのせるときには高くして、車外側の端から農作物が落下するときの距離を小さくすることが望ましい。
【0039】
図4(b)は、作業者乗車部15に乗車した選別作業者17による選別作業の状況を示す。中間移動部4には、農作物に加えて、小石、土塊などが持ち上げられる。選別作業者17は、中間移動部4及び/又は中央送り部5にある農作物などの選別作業を行う。
【0040】
【0041】
収穫作業は、一般に、農作物を、20kg小コンテナや積載重量500kgのコンテナなどに回収し、これらのコンテナを運搬車(軽トラックなど)に載せて、倉庫や集荷場などに運搬している。コンテナを運搬車に載せたり降ろしたりする作業は、大変な重労働になっている。20kg程度の小コンテナであれば、人力でも取り扱うことができる。しかしながら、例えばタマネギ栽培では、10aあたり4トン、1haあたり40トン以上の収穫物がある。そのため、10aあたり200個、1haあたり2000個以上のコンテナを取り扱う必要がある。500kgのコンテナであれば、圧倒的な労力低減を図ることができる。しかしながら、このようなコンテナは人力では取り扱うことが難しく、非常に高額なフォークリフトなどが必要になる。また、850kgの大容量コンテナもあるが、これは大型のトラックを必要とし、一部地域を除いて国内農業に向いていない。
【0042】
農作業機1によれば、ほ場から運搬車に載せたコンテナに、ダイレクトに収穫して積むことができ、極めて効率がよくなる。
【0043】
通常、畑作の各畝の幅(例えば畝間~畝間の間の幅)は、1400mmなどである。運搬車は、例えば、畝の上を移動できる4輪駆動の軽トラックである。軽トラックは、例えば、トレッドが1320mm、全幅1475mm、ミラーからミラーまで1600mm、のように、畝の幅に合っておらず、また、畝の幅よりも広い。通常、農作物は、ほ場の全面に作付けされている。そのため、農作業機1に運搬車を伴走(例えば並んで走らせること)させるためには、運搬車が走ることができるように、複数の畝の農作物を他の畝に移動させて空いた状態にすることが必要になる。
【0044】
農作業機1による収穫作業は、次のものである。まず、一つ又は複数の畝の農作物を他の畝に移動させて空いた状態にする。続いて、空いた状態の畝に、運搬車を移動させる。そして、運搬車を農作業機1に伴走させて、農作業機1は、畝の農作物を運搬車に載せて収穫作業を行う。農作業機1は、一つ又は複数の畝の農作物を他の畝に移動させることと、一つ又は複数の畝の農作物を運搬車に載せる作業を行う。
【0045】
図5(a)を参照して、4つの畝C、D、E及びFにある農作物を収穫する場合について説明する。
【0046】
まず、農作業機1は、
図5(b)にあるように、持ち上げ部3により畝Dの農作物を持ち上げて、中央送り部5を正転させて、第1車外送り部7
1により畝Cに移動する。これにより、
図5(c)にあるように、畝Cには、元々あった農作物に加えて畝Dの農作物が存在し、畝Dは空いた状態になる。
【0047】
まず、農作業機1は、
図6(a)にあるように、畝Dの場合とは反対向きに畝Eの上を進み、持ち上げ部3により畝Eの農作物を持ち上げて、中央送り部5を正転させて、第1車外送り部7
1により畝Fに移動する。これにより、
図6(b)にあるように、畝Fには、元々あった農作物に加えて畝Eの農作物が存在し、畝Eは空いた状態になる。
【0048】
図5及び
図6により、畝D及び畝Eには農作物が存在しない状態とすることができる。そのため、コンテナを載せた運搬車42を畝D及び畝Eで移動させて、畝C及び畝Fを移動する農作業機1に伴走させることができる。
【0049】
図7(a)は、農作業機1を畝Cの上で移動させて、畝Cにある農作物を運搬車42のコンテナに載せて収穫する作業を示す。持ち上げ部3は畝Cの農作物を持ち上げ、中央送り部5を逆転させて、第2車外送り部7
2により畝D及び畝Eで伴走する運搬車42のコンテナに載せる。
図7(b)にあるように、畝Cの農作物を収穫することができる。
【0050】
図7(c)は、農作業機1を畝Fの上で畝Cの場合とは反対向きに移動させて、畝Fにある農作物を運搬車42に載せて収穫する作業を示す。持ち上げ部3は畝Fの農作物を持ち上げ、中央送り部5を逆転させて、第2車外送り部7
2により畝D及び畝Eで伴走する運搬車42に載せる。
図7(d)にあるように、畝Fの農作物を収穫することができる。
【0051】
図5、
図6及び
図7にあるように、畝C、D、E及びFの農作物を運搬車42にダイレクトに積んで、収穫することができる。
前の実施例では、ある畝にある農作物を、他の畝に全部移動させるものであった。そのため、移動後の畝には、2つの畝の分の農作物が存在することになる。例えばニンニクや里芋のように畝あたりの収穫量がそれほど多くない場合には、適切に収穫できる。しかしながら、例えばタマネギやジャガイモなどのように畝あたりの収穫量が多い場合には、畝の農作物が2倍などになると、収穫作業が難しくなる可能性がある。
この実施例は、中央送り部が複数のコンベアを備えて、ある畝にある農作物を複数の畝に分配して移動させることにより、農作物が一部の畝に集中することを防ぐものである。
持ち上げ部53は、畝にある農作物を、必要であれば掘り取り、拾い上げて、持ち上げをする。持ち上げられた農作物は、中間移動部54の上を通って中央送り部55に送られる。