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特開2023-57863空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057863
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/66 20180101AFI20230417BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20230417BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20230417BHJP
【FI】
F24F11/66
F24F11/62
F24F110:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167579
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】神山 輝壮
(72)【発明者】
【氏名】西川 敬之
(72)【発明者】
【氏名】坂田 祐
(72)【発明者】
【氏名】谷川 昌洸
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA02
3L260BA26
3L260CA03
3L260CA19
3L260CA20
3L260FA02
3L260FA12
(57)【要約】
【課題】空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法および装置を提供する。
【解決手段】空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、過去の第1所定期間にわたる、空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得し、照度情報ログに基づいて、部屋でのユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定し、就寝関連時刻、および、空気調和機の運転に関する通知情報を、情報端末に出力するように構成され得る。また、装置は、空気調和機が就寝関連時刻に基づいて運転する制御指示を空気調和機に出力するように構成され得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法であって、
過去の第1所定期間にわたる、前記空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得するステップと、
前記照度情報ログに基づいて、前記部屋での前記ユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定するステップと、
前記就寝関連時刻、および、前記空気調和機の運転に関する通知情報を、情報端末に出力するステップと
を含む、
就寝関連時刻を推定する方法。
【請求項2】
前記就寝関連時刻は、前記ユーザが就寝する前に最終的に前記部屋に入室する最終入室推定時刻を含み、
前記出力ステップにおいては、
前記最終入室推定時刻の第1所定時間前に、前記最終入室推定時刻、および前記通知情報を前記情報端末に出力する、
請求項1に記載の就寝関連時刻を推定する方法。
【請求項3】
空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法であって、
過去の第1所定期間にわたる、前記空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得するステップと、
前記照度情報ログに基づいて、前記部屋での前記ユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定するステップと、
前記空気調和機が前記就寝関連時刻に基づいて運転する制御指示を前記空気調和機に出力するステップと
を含む、
就寝関連時刻を推定する方法。
【請求項4】
前記就寝関連時刻は、前記ユーザが就寝する前に最終的に前記部屋に入室する最終入室推定時刻を含み、
前記出力ステップにおいては、
前記最終入室推定時刻の第1所定時間前に、前記空気調和機が起動する前記制御指示を前記空気調和機に出力する、
請求項3に記載の就寝関連時刻を推定する方法。
【請求項5】
前記就寝関連時刻は、前記ユーザが就寝する前に最終的に前記部屋で消灯する就寝開始推定時刻を含み、
前記出力ステップにおいては、
前記就寝開始推定時刻から第2所定時間を経過したときに、前記空気調和機が運転していると判断した場合、前記空気調和機が睡眠関連モードに切り替える前記制御指示を前記空気調和機に出力する、
請求項3に記載の就寝関連時刻を推定する方法。
【請求項6】
前記照度情報ログは、前記部屋の照度値の時系列ログデータを含み、
前記就寝関連時刻を推定する方法は、
前記第1所定期間内の前記照度情報ログにおいて、睡眠時間に関連する第1時間帯にわたって照度値のそれぞれに対応するデータ件数に基づいて、前記部屋が消灯状態であるかを判定するための第1照度閾値を設定するステップと、
前記第1所定期間内の前記照度情報ログにおいて、就寝前に関連する第2時間帯にわたって照度値が上昇したときの上昇後の照度値に基づいて、前記部屋が点灯状態であるかを判定するための第2照度閾値を設定するステップと、
をさらに含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の就寝関連時刻を推定する方法。
【請求項7】
前記就寝関連時刻を推定する方法は、
前記第1所定期間内の前記照度情報ログに基づいて設定された第1照度閾値および第2照度閾値を取得するステップと、
前記第1照度閾値および前記第2照度閾値を用いて、過去の第2所定期間内の、夜間に関連する第3時間帯の前記照度情報ログに対して、点灯時刻および消灯時刻の少なくとも1つを判定するステップと、
判定された前記点灯時刻または前記消灯時刻に基づいて、前記第2所定期間内の前記第3時間帯のそれぞれの、最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻の少なくとも1つを判定するステップと、
をさらに含み、
前記就寝関連時刻を推定するステップにおいては、
前記最終入室判定時刻または前記就寝開始判定時刻に基づいて、前記就寝関連時刻を推定する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の就寝関連時刻を推定する方法。
【請求項8】
前記最終入室判定時刻および前記就寝開始判定時刻の少なくとも1つを判定するステップは、
時系列に沿って、連続した、前記判定した点灯時刻と前記判定した消灯時刻とを1つのペアに作成するステップと、
前記第3時間帯のペアのうち、最遅のペアの点灯時刻を前記第3時間帯の前記最終入室判定時刻として、当該最遅のペアの消灯時刻を前記第3時間帯の前記就寝開始判定時刻とするステップと、
を含む、
請求項7に記載の就寝関連時刻を推定する方法。
【請求項9】
前記就寝関連時刻を推定するステップは、
前記照度情報ログに基づいて判定された就寝関連判定時刻のうち、過去の第3所定期間に対応する部分を取得するステップと、
前記取得した就寝関連判定時刻の中央値を計算するステップと、
前記就寝関連判定時刻の中央値を前記就寝関連時刻とするステップと、
を含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の就寝関連時刻を推定する方法。
【請求項10】
前記取得した就寝関連判定時刻の中央値を計算するステップにおいては、
前記取得した就寝関連判定時刻の全体中央値および曜日別中央値を計算し、
前記就寝関連判定時刻の中央値を前記就寝関連時刻とするステップは、
前記就寝関連判定時刻の全体中央値と前記判定された就寝関連判定時刻との誤差、および、前記就寝関連時刻の曜日別中央値と前記判定された就寝関連判定時刻との誤差を計算するステップと、
前記就寝関連判定時刻の全体中央値と前記就寝関連時刻の曜日別中央値とのうち、誤差が少ない方を就寝関連時刻とするステップと、
を含む、
請求項9に記載の就寝関連時刻を推定する方法。
【請求項11】
空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置であって、
過去の第1所定期間にわたる、前記空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得し、
前記照度情報ログに基づいて、前記部屋での前記ユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定し、
前記就寝関連時刻、および、前記空気調和機の運転に関する通知情報を、情報端末に出力する
ように構成されている、
就寝関連時刻を推定する装置。
【請求項12】
前記就寝関連時刻は、前記ユーザが就寝する前に最終的に前記部屋に入室する最終入室推定時刻を含み、
前記就寝関連時刻を推定する装置は、出力するときに、
前記最終入室推定時刻の第1所定時間前に、前記最終入室推定時刻、および、前記通知情報を、前記情報端末に出力する
ようにさらに構成されている、
請求項11に記載の就寝関連時刻を推定する装置。
【請求項13】
空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置であって、
過去の第1所定期間にわたる、前記空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得し、
前記照度情報ログに基づいて、前記部屋での前記ユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定し、
前記空気調和機が前記就寝関連時刻に基づいて運転する制御指示を前記空気調和機に出力する
ように構成されている、
就寝関連時刻を推定する装置。
【請求項14】
前記就寝関連時刻は、前記ユーザが就寝する前に最終的に前記部屋に入室する最終入室推定時刻を含み、
前記就寝関連時刻を推定する装置は、
前記最終入室推定時刻の第1所定時間前に、前記空気調和機が起動する前記制御指示を前記空気調和機に出力する
ようにさらに構成されている、
請求項13に記載の就寝関連時刻を推定する装置。
【請求項15】
前記就寝関連時刻は、前記ユーザが就寝する前に最終的に前記部屋で消灯する就寝開始推定時刻を含み、
前記就寝関連時刻を推定する装置は、
前記就寝開始推定時刻から第2所定時間を経過したときに、前記空気調和機が運転していると判断した場合、前記空気調和機が睡眠関連モードに切り替える前記制御指示を前記空気調和機に出力する
ようにさらに構成されている、
請求項13に記載の就寝関連時刻を推定する装置。
【請求項16】
前記照度情報ログは、前記部屋の照度値の時系列ログデータを含み、
前記就寝関連時刻を推定する装置は、
前記第1所定期間内の前記照度情報ログにおいて、睡眠時間に関連する第1時間帯にわたって照度値のそれぞれに対応するデータ件数に基づいて、前記部屋が消灯状態であるかを判定するための第1照度閾値を設定し、
前記第1所定期間内の前記照度情報ログにおいて、就寝前に関連する第2時間帯にわたって照度値が上昇したときの上昇後の照度値に基づいて、前記部屋が点灯状態であるかを判定するための第2照度閾値を設定する
ようにさらに構成されている、
請求項11~15のいずれか1項に記載の就寝関連時刻を推定する装置。
【請求項17】
前記就寝関連時刻を推定する装置は、
前記第1所定期間内の前記照度情報ログに基づいて設定された第1照度閾値および第2照度閾値を取得し、
前記第1照度閾値および前記第2照度閾値を用いて、過去の第2所定期間内の、夜間に関連する第3時間帯の前記照度情報ログに対して、点灯時刻および消灯時刻の少なくとも1つを判定し、
判定された前記点灯時刻または前記消灯時刻に基づいて、前記第2所定期間内の前記第3時間帯のそれぞれの、最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻の少なくとも1つを判定する
ようにさらに構成されており、
前記就寝関連時刻を推定する装置は、前記就寝関連時刻を推定するときに、
前記最終入室判定時刻または前記就寝開始判定時刻に基づいて、前記就寝関連時刻を推定する
ようにさらに構成されている、
請求項11~16のいずれか1項に記載の就寝関連時刻を推定する装置。
【請求項18】
前記就寝関連時刻を推定する装置は、前記最終入室判定時刻および前記就寝開始判定時刻の少なくとも1つを判定するときに、
時系列に沿って、連続した、前記判定した点灯時刻と前記判定した消灯時刻とを1つのペアに作成し、
前記第3時間帯のペアのうち、最遅のペアの点灯時刻を前記第3時間帯の前記最終入室判定時刻として、当該最遅のペアの消灯時刻を前記第3時間帯の前記就寝開始判定時刻とする
ようにさらに構成されている、
請求項17に記載の就寝関連時刻を推定する装置。
【請求項19】
前記就寝関連時刻を推定する装置は、前記就寝関連時刻を推定するときに、
前記照度情報ログに基づいて判定された就寝関連判定時刻おのうち、過去の第3所定期間に対応する部分を取得し、
前記取得した就寝関連判定時刻の中央値を計算し、
前記就寝関連判定時刻の中央値を前記就寝関連時刻とする
ようにさらに構成されている、
請求項11~18のいずれか1項に記載の就寝関連時刻を推定する装置。
【請求項20】
前記就寝関連時刻を推定する装置は、前記取得した就寝関連判定時刻の中央値を計算するときに、
前記取得した就寝関連判定時刻の全体中央値および曜日別中央値を計算する
ようにさらに構成されており、
前記就寝関連時刻を推定する装置は、前記就寝関連判定時刻の中央値を前記就寝関連時刻とするときに、
前記就寝関連判定時刻の全体中央値と前記判定された就寝関連判定時刻との誤差、および、前記就寝関連時刻の曜日別中央値と前記判定された就寝関連判定時刻との誤差を計算し、
前記就寝関連判定時刻の全体中央値と前記就寝関連時刻の曜日別中央値とのうち、誤差が少ない方を就寝関連時刻とする
ようにさらに構成されている、
請求項19に記載の就寝関連時刻を推定する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1に記載するように、ユーザの生活行動を分析する行動分析装置が知られている。この行動分析装置は、ユーザが記録することにより生成される学習用行動記録データに基づいて、ユーザの生活行動を分析する。行動分析装置は、分析結果に基づいて、ユーザの生活スタイルに応じた広告などのコンテンツをユーザに提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6338984号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の行動分析装置は、ユーザの生活行動を分析するのに、ユーザが記録することにより生成される学習用行動記録データを教師データとし、複数の時間帯にまたがる生活行動の推定条件について教師学習を行う。しかしながら、より細かな時間粒度で正確に生活行動を推定しようとすると、より細かな行動記録の入力が必要となるため、ユーザ負荷が大きくなる。また、分析された生活行動に基づいて、ユーザの特定の家電の運転、例えば、空気調和機の運転に関連する利用が行われていない。
【0005】
本開示の目的は、空気調和機のユーザの就寝関連時刻を自動的に推定する方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するために、本開示は、空気調和機のユーザの就寝関連時刻を自動的に推定する方法および装置を提供するものである。
【0007】
本開示に係る一態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法は、過去の第1所定期間にわたる、空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得するステップと、照度情報ログに基づいて、部屋でのユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定するステップと、就寝関連時刻、および、空気調和機の運転に関する通知情報を、情報端末に出力するステップとを含む。
【0008】
本開示に係る他の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法は、過去の第1所定期間にわたる、空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得するステップと、照度情報ログに基づいて、部屋でのユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定するステップと、空気調和機が就寝関連時刻に基づいて運転する制御指示を空気調和機に出力するステップとを含む。
【0009】
本開示に係る一態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、過去の第1所定期間にわたる、空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得し、照度情報ログに基づいて、部屋でのユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定し、就寝関連時刻、および、空気調和機の運転に関する通知情報を、情報端末に出力するように構成されている。
【0010】
本開示に係る他の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、過去の第1所定期間にわたる、空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得し、照度情報ログに基づいて、部屋でのユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定し、空気調和機が就寝関連時刻に基づいて運転する制御指示を空気調和機に出力するように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本開示においては、空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法および装置によれば、照度情報ログに基づいて、自動的に就寝関連時刻を推定することができる。また、当該推定する方法および装置によれば、推定結果に基づいて、空気調和機の運転に関連する通知または制御指示を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本開示における就寝関連時刻を推定する方法の、全体的な一例を示すフローチャート
図1B】本開示における就寝関連時刻を推定する方法の、全体的な一例を示す概略図
図1C】本開示における就寝関連時刻の一例を示す概略図
図2】本開示における空気調和機に関連する概略構成の一例を示すブロック図
図3】実施の形態1における就寝関連時刻を推定する方法の一例を示すフローチャート
図4A】実施の形態1における通知設定用のユーザインタフェースの一例
図4B】実施の形態1におけるPUSH通知のユーザインタフェースの一例
図5】実施の形態1における通知ユーザインタフェースの一例
図6】実施の形態2における就寝関連時刻を推定する方法の一例を示すフローチャート
図7】実施の形態4におけるステップS200(設定プロセス)の一例を示すフローチャート
図8】実施の形態4における第1照度閾値の一例を示す概略図
図9】実施の形態4における第2照度閾値の一例を示す概略図
図10】実施の形態4における照度上昇閾値の一例を示す概略図
図11】実施の形態4におけるステップS300(判定プロセス)の一例を示すフローチャート
図12】実施の形態4におけるステップS330の一例を示すフローチャート
図13A】実施の形態4における判定プロセスの一例を示すフローチャート
図13B】実施の形態4における判定プロセスの一例を示すフローチャート
図14A】実施の形態4におけるラベル作成の一例を示す概略図
図14B】実施の形態4におけるペアリングの一例を示す概略図
図14C】実施の形態4におけるペアリングの一例を示す概略図
図14D】実施の形態4における就寝関連判定時刻の一例を示す概略図
図15】実施の形態4におけるステップS400(推定プロセス)の一例を示すフローチャート
図16】実施の形態4におけるステップS430の一例を示すフローチャート
図17】実施の形態4における推定プロセスの一例を示すフローチャート
図18A】実施の形態4において、全体中央値による推定の一例を示すフローチャート
図18B】実施の形態4において、曜日別中央値による推定の一例を示すフローチャート
図19A】実施の形態4において、全体中央値による誤差計算の一例を示す概略図
図19B】実施の形態4において、曜日別中央値による誤差計算の一例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
先ず始めに、空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法および装置の各種態様について説明する。
【0014】
本開示に係る第1の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法は、過去の第1所定期間にわたる、空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得するステップと、照度情報ログに基づいて、部屋でのユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定するステップと、就寝関連時刻、および、空気調和機の運転に関する通知情報を、情報端末に出力するステップとを含む。
【0015】
本開示に係る第2の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法は、第1の態様において、就寝関連時刻は、ユーザが就寝する前に最終的に部屋に入室する最終入室推定時刻を含んでもよい。出力ステップにおいては、最終入室推定時刻の第1所定時間前に、最終入室推定時刻、および通知情報を情報端末に出力してもよい。
【0016】
本開示に係る第3の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法は、過去の第1所定期間にわたる、空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得するステップと、照度情報ログに基づいて、部屋でのユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定するステップと、空気調和機が就寝関連時刻に基づいて運転する制御指示を空気調和機に出力するステップとを含む。
【0017】
本開示に係る第4の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法は、第3の態様において、就寝関連時刻は、ユーザが就寝する前に最終的に部屋に入室する最終入室推定時刻を含んでもよい。出力ステップにおいては、最終入室推定時刻の第1所定時間前に、空気調和機が起動する制御指示を空気調和機に出力してもよい。
【0018】
本開示に係る第5の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法は、第3の態様において、就寝関連時刻は、ユーザが就寝する前に最終的に部屋で消灯する就寝開始推定時刻を含んでもよい。出力ステップにおいては、就寝開始推定時刻から第2所定時間を経過したときに、空気調和機が運転していると判断した場合、空気調和機が睡眠関連モードに切り替える制御指示を空気調和機に出力してもよい。
【0019】
本開示に係る第6の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法は、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、照度情報ログは、部屋の照度値の時系列ログデータを含んでもよい。就寝関連時刻を推定する方法は、第1所定期間内の照度情報ログにおいて、睡眠時間に関連する第1時間帯にわたって照度値のそれぞれに対応するデータ件数に基づいて、部屋が消灯状態であるかを判定するための第1照度閾値を設定するステップと、第1所定期間内の照度情報ログにおいて、就寝前に関連する第2時間帯にわたって照度値が上昇したときの上昇後の照度値に基づいて、部屋が点灯状態であるかを判定するための第2照度閾値を設定するステップと、をさらに含んでもよい。
【0020】
本開示に係る第7の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法は、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、第1所定期間内の照度情報ログに基づいて設定された第1照度閾値および第2照度閾値を取得するステップと、第1照度閾値および第2照度閾値を用いて、過去の第2所定期間内の、夜間に関連する第3時間帯の照度情報ログに対して、点灯時刻および消灯時刻の少なくとも1つを判定するステップと、判定された点灯時刻または消灯時刻に基づいて、第2所定期間内の第3時間帯のそれぞれの、最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻の少なくとも1つを判定するステップと、をさらに含んでもよい。就寝関連時刻を推定するステップにおいては、最終入室判定時刻または就寝開始判定時刻に基づいて、就寝関連時刻を推定してもよい。
【0021】
本開示に係る第8の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法は、第7の態様において、最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻の少なくとも1つを判定するステップは、時系列に沿って連続した、判定した点灯時刻と判定した消灯時刻とを1つのペアに作成するステップと、第3時間帯のペアのうち、最遅のペアの点灯時刻を第3時間帯の最終入室判定時刻として、当該最遅のペアの消灯時刻を第3時間帯の就寝開始判定時刻とするステップと、を含んでもよい。
【0022】
本開示に係る第9の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法は、第1~8の態様のいずれか1つにおいて、就寝関連時刻を推定するステップは、照度情報ログに基づいて判定された就寝関連判定時刻のうち、過去の第3所定期間に対応する部分を取得するステップと、取得した就寝関連判定時刻の中央値を計算するステップと、就寝関連判定時刻の中央値を就寝関連時刻とするステップと、を含んでもよい。
【0023】
本開示に係る第10の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法は、第9の態様において、取得した就寝関連判定時刻の中央値を計算するステップにおいては、取得した就寝関連判定時刻の全体中央値および曜日別中央値を計算してもよい。就寝関連判定時刻の中央値を就寝関連時刻とするステップは、就寝関連判定時刻の全体中央値と判定された就寝関連判定時刻との誤差、および、就寝関連時刻の曜日別中央値と判定された就寝関連判定時刻との誤差を計算するステップと、就寝関連判定時刻の全体中央値と就寝関連時刻の曜日別中央値とのうち、誤差が少ない方を就寝関連時刻とするステップと、を含んでもよい。
【0024】
本開示に係る第11の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、過去の第1所定期間にわたる、空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得し、照度情報ログに基づいて、部屋でのユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定し、就寝関連時刻、および、空気調和機の運転に関する通知情報を、情報端末に出力するように構成されている。
【0025】
本開示に係る第12の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、第11の態様において、就寝関連時刻は、ユーザが就寝する前に最終的に部屋に入室する最終入室推定時刻を含んでもよい。就寝関連時刻を推定する装置は、出力するときに、最終入室推定時刻の第1所定時間前に、最終入室推定時刻、および、通知情報を、情報端末に出力するようにさらに構成され得る。
【0026】
本開示に係る第13の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、過去の第1所定期間にわたる、空気調和機の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得し、照度情報ログに基づいて、部屋でのユーザの就寝に関連する就寝関連時刻を推定し、空気調和機が就寝関連時刻に基づいて運転する制御指示を空気調和機に出力するように構成されている。
【0027】
本開示に係る第14の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、第13の態様において、就寝関連時刻は、ユーザが就寝する前に最終的に部屋に入室する最終入室推定時刻を含んでもよい。就寝関連時刻を推定する装置は、出力するときに、最終入室推定時刻の第1所定時間前に、空気調和機が起動する制御指示を空気調和機に出力するようにさらに構成され得る。
【0028】
本開示に係る第15の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、第13の態様において、就寝関連時刻は、ユーザが就寝する前に最終的に部屋で消灯する就寝開始推定時刻を含んでもよい。就寝関連時刻を推定する装置は、就寝開始推定時刻から第2所定時間を経過したときに、空気調和機が運転していると判断した場合、空気調和機が睡眠関連モードに切り替える制御指示を空気調和機に出力するようにさらに構成され得る。
【0029】
本開示に係る第16の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、第11~15の態様のいずれか1つにおいて、照度情報ログは、部屋の照度値の時系列ログデータを含んでもよい。就寝関連時刻を推定する装置は、第1所定期間内の照度情報ログにおいて、睡眠時間に関連する第1時間帯にわたって照度値のそれぞれに対応するデータ件数に基づいて、部屋が消灯状態であるかを判定するための第1照度閾値を設定し、第1所定期間内の照度情報ログにおいて、就寝前に関連する第2時間帯にわたって照度値が上昇したときの上昇後の照度値に基づいて、部屋が点灯状態であるかを判定するための第2照度閾値を設定するようにさらに構成され得る。
【0030】
本開示に係る第17の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、第11~16の態様のいずれか1つにおいて、第1所定期間内の照度情報ログに基づいて設定された第1照度閾値および第2照度閾値を取得し、第1照度閾値および第2照度閾値を用いて、過去の第2所定期間内の、夜間に関連する第3時間帯の照度情報ログに対して、点灯時刻および消灯時刻の少なくとも1つを判定し、判定された点灯時刻または消灯時刻に基づいて、第2所定期間内の第3時間帯のそれぞれの、最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻の少なくとも1つを判定するようにさらに構成され得る。就寝関連時刻を推定する装置は、就寝関連時刻を推定するときに、最終入室判定時刻または就寝開始判定時刻に基づいて、就寝関連時刻を推定するようにさらに構成され得る。
【0031】
本開示に係る第18の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、第17の態様において、就寝関連時刻を推定する装置は、最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻の少なくとも1つを判定するときに、時系列に沿って連続した、判定した点灯時刻と判定した消灯時刻とを1つのペアに作成し、第3時間帯のペアのうち、最遅のペアの点灯時刻を第3時間帯の最終入室判定時刻として、当該最遅のペアの消灯時刻を第3時間帯の就寝開始判定時刻とするようにさらに構成され得る。
【0032】
本開示に係る第19の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、第11~18の態様のいずれか1つにおいて、就寝関連時刻を推定するときに、照度情報ログに基づいて判定された就寝関連判定時刻おのうち、過去の第3所定期間に対応する部分を取得し、取得した就寝関連判定時刻の中央値を計算し、就寝関連判定時刻の中央値を就寝関連時刻とするようにさらに構成され得る。
【0033】
本開示に係る第20の態様の空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置は、第19の態様において、就寝関連時刻を推定する装置は、取得した就寝関連判定時刻の中央値を計算するときに、取得した就寝関連判定時刻の全体中央値および曜日別中央値を計算するようにさらに構成され得る。就寝関連時刻を推定する装置は、就寝関連判定時刻の中央値を就寝関連時刻とするときに、就寝関連判定時刻の全体中央値と判定された就寝関連判定時刻との誤差、および、就寝関連時刻の曜日別中央値と判定された就寝関連判定時刻との誤差を計算し、就寝関連判定時刻の全体中央値と就寝関連時刻の曜日別中央値とのうち、誤差が少ない方を就寝関連時刻とするようにさらに構成され得る。
【0034】
以下で説明する実施の形態のそれぞれは、本開示の一例を示すもの、または複数の例示の集合体である。以下の実施の形態のそれぞれにおいて示される数値、形状、構成、ステップ、およびステップの順序などは、一例を示すものであり、本開示を限定するものではない。以下の実施の形態1における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0035】
以下に述べる実施の形態のそれぞれにおいて、特定の要素に関しては変形例を示す場合があり、その他の要素に関しては任意の構成を適宜組み合わせることを含むものであり、組み合わされた構成においてはそれぞれの効果を奏するものである。実施の形態において、それぞれの変形例の構成をそれぞれ組み合わせることにより、それぞれの変形例における効果を奏するものとなる。
【0036】
以下の詳細な説明において、「第1」、「第2」などの用語は、説明のためだけに用いられるものであり、相対的な重要性または技術的特徴の順位を明示または暗示するものとして理解されるべきではない。「第1」と「第2」と限定されている特徴は、1つまたはさらに多くの当該特徴を含むことを明示または暗示するものである。
【0037】
《全体的な技術概念》
本開示に係る空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する方法(以下、推定方法ともいう)、および、空気調和機のユーザの就寝関連時刻を推定する装置(以下、推定装置ともいう)の具体的な実施の形態を説明する前に、まず、1つの例示を用いて、本開示に記載の技術的概念を説明する。
【0038】
本開示の推定方法および推定装置は、空気調和機のユーザの就寝関連時刻(bedtime-related time)を推定することに利用される。本開示の推定方法および推定装置を利用する1つのシナリオとして、ユーザは普段、空気調和機の設けられた部屋、すなわち、当該空気調和機の空調制御の対象とする部屋で夜間に寝る場合である。就寝関連時刻とは、当該部屋でのユーザの就寝に関連する時刻を指す。例えば、就寝関連時刻は、ユーザが就寝するために部屋に入る時刻、ユーザが就寝するために部屋内の照明を消灯する時刻、またはこれらの時刻に基づいて計算される時刻を含んでもよい。
【0039】
推定方法および推定装置は、ユーザが就寝する部屋の照度情報ログに基づいてユーザの就寝関連時刻を推定し、さらに、推定結果に基づいて、空気調和機の運転に関連する通知または制御指示を出力することができる。
【0040】
図1Aは、この例示の推定方法の全体的な一例を示すフローチャートであり、図1Bは、この例示の推定方法の全体的な一例を示す概略図である。推定装置は、過去の所定期間にわたる、部屋の照度情報ログを取得する(ステップS100)。すなわち、部屋の照度情報ログ内において、第1所定期間に対応するログデータを取得する。次に、推定装置は、部屋における点灯状態/消灯状態を判断するための照度閾値を設定する(ステップS200、設定プロセス)。推定装置は、設定された照度閾値に基づいて、夜間に関連する特定時間帯のログデータに対して、就寝関連判定時刻(bedtime-related determination time)を判定する(ステップS300、判定プロセス)。推定装置は、過去の就寝関連判定時刻に基づいて、ユーザの未来の就寝関連時刻を推定する(ステップS400、推定プロセス)。そして、推定装置は、推定した就寝関連時刻に基づいて、空気調和機の運転に関連する通知または制御指示を、ユーザの情報端末または空気調和機に出力する(ステップS500、出力プロセス)。
【0041】
この例示の推定方法は学習フェーズと実行フェーズとを含む。学習フェーズは設定プロセスと判定プロセスとを含み、学習した判定結果はデータベースに保存され得る。実行フェーズは推定プロセスと出力プロセスとを含む。実行フェーズにおいて、データベースに保存されて判定結果の少なくとも一部を読み出して、ユーザに対してその未来の就寝関連時刻を推定する。
【0042】
この例示において、就寝関連時刻は、ユーザが就寝する前に最終的に部屋に入室する最終入室推定時刻(last entry estimated time)、および、ユーザが就寝する前に最終的に部屋で消灯する就寝開始推定時刻(start-to-sleep estimated time)のうちの少なくとも1つを含む。図1Cは、この例示の就寝関連時刻の一例を示す概略図である。図1Cの例示において、照度情報ログは、部屋の照度値の時系列ログデータを含み、当該照度値は部屋に設けられた照度センサによって検出された数値である。図1Cに示されたように、照度値によれば、推定対象である時間帯(すなわち、前述した、夜間に関連する特定時間帯)において、部屋の照明装置が点いている(点灯状態)か、または点いていない(消灯状態)かが判断され得る。また、いつ点灯されたか(点灯時刻)、またはいつ消灯されたか(消灯時刻)も判断され得る。
【0043】
各プロセスを要約すると、以下通りである。
【0044】
設定プロセスにおいて、推定装置は、部屋の照度情報ログに基づいて、空調制御の対象とする部屋が点灯状態または消灯状態であるかを判断するための照度閾値を設定する。
【0045】
判定プロセスにおいて、推定装置は、点灯時刻および消灯時刻を判定する。推定装置は、さらに、推定対象である時間帯において最終の点灯時刻を最終入室判定時刻として判定し、当該時間帯において最終の消灯時刻を就寝開始判定時刻する。
【0046】
推定プロセスにおいて、推定装置は、過去の最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻に基づいて、ユーザの未来の最終入室推定時刻および就寝開始推定時刻を推定する。
【0047】
出力プロセスにおいて、推定装置は、推定した最終入室判定時刻および/または就寝開始判定時刻に基づいて、空気調和機の運転に関連する通知または制御指示を出力する。
【0048】
なお、後述するように、学習フェーズと実行フェーズとは別々で実行可能である。推定装置は、事前に保存された判定結果さえ取得できれば、推定プロセスと出力プロセスとのみを実行してもよい。さらに言うと、設定プロセスと、判定プロセスと、推定プロセスと、出力プロセスとは、連続的に実行する必要がなく、それぞれに独立して実行可能である。例えば、推定装置は、学習フェーズにおいて、照度情報ログと事前に保存された設定結果とさえ取得できれば、判定プロセスを独立して実行することができる。そのため、推定方法は、推定プロセスおよび出力プロセスのみを含んでもよく、設定プロセスおよび判定プロセスの少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0049】
《全体的な概略構成》
図2は、本開示における空気調和機に関連する概略構成の一例を示すブロック図である。
【0050】
図2の実施例において、空気調和機20は、空調記憶部21と、空調制御部22と、空調通信部23とを含む。空気調和機20はさらに、機能を発揮するために温度センサ24を少なくとも1つ含んでもよい。空気調和機20は、部屋内の照度を検出するための照度センサ25を含んでもよい。
【0051】
空気調和機20は空調通信部23を介してサーバ10および/または情報端末30と接続可能である。例えば、空気調和機20は、インターネットを介して、空気調和機20に関するサーバ10と、および/またはユーザのスマートフォンなどの情報端末30と接続してもよい。
【0052】
本開示に係る推定装置は、サーバ10、空気調和機20の空調制御部22、または情報端末30であってもよい。以下の各実施例において、主にはサーバ10が推定装置として実行する場合を用いて説明するが、この場合に限らない。空調制御部22が推定装置として実行する場合、空気調和機20は、推定装置から制御指示を受信するとき、当該制御指示にしたがって運転を適切に実行する。
【0053】
以下、各構成要素の概略を説明する。
【0054】
<空気調和機20>
空気調和機20は、例えば、家庭内の一部屋、マンションまたはアパートメントの一室、または一人暮らしのための一部屋を空調制御の対象とする。特に、ユーザが普段、夜間に寝る部屋を空調制御の対象とする。空気調和機20は、冷房機能および暖房機能を有し、さらに加湿機能、除湿機能、および/または空気清浄機能を有してもよい。これらの機能・運転モードが自由に組み合わせられ得る(例えば、冷房除湿機能、冷房換気モードなど)。
【0055】
<空調記憶部21>
空調記憶部21は、種々の情報や制御プログラムを記録する記録媒体であり、空調制御部22の作業領域として機能するメモリであってもよい。空調記憶部21は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。
【0056】
空調制御部22が推定装置として実行する場合、空調記憶部21は部屋の照度情報ログを記憶してもよく、サーバ10から照度情報ログを取得してもよい。空調制御部22は、推定方法を実行する際に、空調記憶部21またはサーバ記憶部12に記憶された照度情報ログから必要な分だけのログデータを読み出してもよい。
【0057】
<空調制御部22>
空調制御部22は、空気調和機20の少なくとも一部の機能の制御を司るコントローラである。空調制御部22は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPU、MPU、MCU、FPGA、DSP、ASICのような汎用プロセッサを含む。空調制御部22は、空調記憶部21に格納された制御プログラムを呼び出して実行することにより、空気調和機20における各種の制御を実現することができる。また、空調制御部22は空調記憶部21と協働して、空調記憶部21に記憶されたデータを読み取り/書き込みを行うことができる。
【0058】
空調制御部22は、空調通信部23を介して、サーバ10または情報端末30から、様々な指令および設定値(例えば、特定の運転モードの起動指令、温度設定指令)を受信することができる。空調制御部22は、これらの設定値および様々なセンサ(例えば、温度センサ24)から受信した検出値(例えば、室内温度)に基づいて、空気調和機20の冷房機能や暖房機能を発揮するように空気調和機20の各部品を制御する。また、空調制御部22が推定装置として実行する場合、空調制御部22は推定結果に基づいて空気調和機20の運転を制御する。
【0059】
<空調通信部23>
空調通信部23は、サーバ10やユーザの情報端末30等と通信することもでき、例えば、インターネットパケットを送受信することもできる。上述したように、空調制御部22は、空調通信部23を介してサーバ10および/または情報端末30と協働してもよい。空調通信部23は、サーバ10と、空気調和機20と、情報端末30との間において、Wi-Fi(登録商標)、IEEE802.2、IEEE802.3、3G、LTE等の規格にしたがい通信を行い、データの送受信を行ってもよい。空調通信部23は、インターネットの他、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等、赤外線、ブルートゥース(登録商標)で通信してもよい。
【0060】
空調制御部22は空調通信部23を介して、空調記憶部21に記憶された、様々なセンサによる検出値、自身の運転記録、制御履歴などの各種のデータをサーバ10へ送信することができる。空調制御部22は空調通信部23を介して様々なセンサによる検出値をそのままサーバ10へ送信することもできる。
【0061】
<温度センサ24>
温度センサ24は、例えば、部屋の室内温度を検出するための室内温度センサ、および、外の外気温度を検出するための室外温度センサを含んでもよい。温度センサ24によって検出された情報は、空調記憶部21に入力されて記憶され、後に空調制御部22が利用したり、情報端末30またはサーバ10に送信されたりする。
【0062】
<照度センサ25>
照度センサ25は、部屋で受けている照度を検出するためのセンサである。照度センサ25は、受光素子に入射した光、例えば、部屋内の照明装置40からの光を電流に変換し、周囲の明るさを検知する。照度センサ25は一定時間ごとに検出を行い、検出した照度値と検出の日時とを空調記憶部21に記憶させてもよい。照度センサ25によって検出された照度値は、空調記憶部21に入力されて記憶され、後に空調制御部22が利用したり、情報端末30またはサーバ10に送信されたりする。
【0063】
図2の実施例において、照度センサ25は空気調和機20に搭載されているが、これに限らない。照度センサ25は、空気調和機20の本体ではなく、例えば、部屋内の他の家電、または部屋内で照明装置40からの光を受けられる任意箇所に搭載されてもよく、独立したセンサ装置であってもよい。推定装置は、推定方法を実行する際に、照度センサ25の搭載箇所に関わらず、推定に利用される情報を照度センサ25から取得することができる。例えば、サーバ10が推定装置として実行する場合、サーバ10は、空気調和機20または他の家電を介して照度センサ25から照度値を取得してもよく、照度センサ25から直接的に照度値を取得してもよい。情報端末30が推定装置として実行する場合、情報端末30は、サーバ10を介して照度センサ25から照度値または照度情報ログを取得してもよく、照度センサ25から直接的に照度値を取得して照度情報ログを作成してもよい。
【0064】
なお、空気調和機20は他のセンサ、例えば、湿度センサ、ユーザ活動量センサをさらに有してもよい。これらのセンサは一定時間ごとに検出を行い、検出値を空調記憶部21に記憶させてもよい。
【0065】
<情報端末30>
情報端末30は、空気調和機20との間でデータ通信を行うことができる情報端末である。例えば、専用の関連アプリケーション32が組み込まれた、空気調和機20のユーザのスマートフォン、携帯電話、モバイルフォン、タブレット、ウェアラブル装置、コンピュータなどであってもよい。情報端末30が推定装置として実行する場合、情報端末30は、推定方法を実行する際に、サーバ10から照度情報ログを取得してもよく、自身に保存された照度情報ログを読み出してもよい。
【0066】
サーバ10または空調制御部22は、情報端末30を介してユーザが入力した設定または指令を取得することができる。一般的には、情報端末30はグラフィックユーザインタフェース(graphical user interface、GUI)を表示するためのディスプレイを含む。ただし、音声ユーザインタフェース(voice User Interface、VUI)を介してユーザと相互作用する場合、ディスプレイの代わりに、またはディスプレイに加えて、情報端末30はスピーカとマイクとを含んでもよい。
【0067】
1つの実施例において、情報端末30は、就寝関連時刻、および、空気調和機20の運転に関する通知情報を推定装置から受信するとき、UIを介して当該就寝関連時刻および通知情報をユーザに提示する。もう1つの実施例において、情報端末30は、受信した寝関連時刻および通知情報に基づいて提示用の時刻および提示用の通知内容を作成してから、提示用の時刻および通知内容をユーザに提示する。提示用の時刻および通知内容と受信した就寝関連時刻および通知情報とは異なってもよい。
【0068】
<照明装置40>
照明装置40は、空気調和機20の空調制御の対象とする部屋に設置されており、部屋に光源を提供する装置である。当該光源は、一定程度の照度を有し、特に、読書や日常生活動作に足りる照度を有することが好ましい。照明装置40は、内蔵する光源から見ると、電球(白熱灯)器具、蛍光灯器具、または高輝度放電器具(high intensity discharge、HID)であってもよい。照明装置40は、部屋に設置する様式から見ると、ペンダント、シーリング、シャンデリア、スポットライト、フロアスタンド、テーブルスタンドであってもよい。
【0069】
1つの実施例において、照明装置40は、インターネット、または他の家電を介してサーバ10および/または情報端末30に接続可能である。例えば、照明装置40は、インターネットを介して、自体のスイッチオン/スイッチオフ情報、および/または、放射する光量もしくは光度をサーバ10に送信してもよい。
【0070】
<サーバ10>
サーバ10は、少なくとも1つの空気調和機20に対して管理および制御を行うためのサーバであるが、他の目的に用いられてもよい。例えば、サーバ10は、少なくとも1つの空気調和機20を管理するため、またはデータを収集するための空気調和機20の製造会社の管理サーバであってもよい。または、サーバ10は、アプリケーションサーバであってもよい。サーバ10は、本開示の推定装置として実行され得る。本開示において、サーバ10は、サーバ記憶部12と、サーバ制御部14とを含む。サーバ10は、空気調和機20または情報端末30と通信するためのサーバ通信部16をさらに含んでもよい。
【0071】
<サーバ記憶部12>
サーバ記憶部12は、種々の情報や制御プログラムを記録する記録媒体であり、サーバ制御部14の作業領域として機能するメモリであってもよい。サーバ記憶部12は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Device)、ハードディスク、RAM、ROM、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。サーバ記憶部12は、サーバ10内部のメモリであってもよく、サーバ10と無線通信または有線通信によって接続されているストレージ装置であってもよい。
【0072】
サーバ記憶部12は、空気調和機20や様々なセンサから受信した情報をログデータにして記憶してもよい。サーバ10が推定装置として実行する場合、サーバ10は、照度情報を受信すると、受信した照度情報および検出された日時を、サーバ記憶部12に記憶させた照度情報ログに書き込む。すなわち、サーバ10は、照度センサ25または照明装置40から受信した情報を照度情報ログに書き込んでもよい。照度情報ログは、一定時間ごとの、照度センサ25が検出した照度値、照明装置40のスイッチオン/スイッチオフ情報、および/または、照明装置40が放射した光量を含んでもよい。サーバ制御部14は、推定方法を実行する際に、サーバ記憶部12に記憶された照度情報ログから必要な分だけのログデータを読み出してもよい。
【0073】
サーバ記憶部12は、推定方法を実行するための情報を記憶してもよい。例えば、空調記憶部21は、設定プロセスで設定(学習)した少なくとも1つの閾値、判定プロセスで利用可能な少なくとも1つの判定条件、判定プロセスでの判定結果、および、推定プロセスでの推定結果を記憶してもよい。
【0074】
また、サーバ記憶部12は、推定方法を推定装置(例えば、サーバ10)に実行させるためのプログラムを記憶してもよい。
【0075】
<サーバ制御部14>
サーバ10のサーバ制御部14は、サーバ10全体の制御を司るコントローラである。サーバ制御部14は、プログラムを実行することにより所定の機能を実現するCPU、MPU、GPU、FPGA、DSP、ASICのような汎用プロセッサを含む。サーバ制御部14は、サーバ記憶部12に格納された制御プログラムを呼び出して実行することにより、サーバ10における各種の制御を実現することができる。また、サーバ制御部14は、サーバ記憶部12と協働してサーバ記憶部12に記憶されたデータを読み取り/書き込みを行うことができる。サーバ制御部14は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。
【0076】
<サーバ通信部16>
サーバ通信部16は、サーバ制御部14と協働して、空気調和機20や、情報端末30とインターネットパケットを送受信する、すなわち、通信することもできる。例えば、サーバ10は、サーバ通信部16を介して情報端末30から指令を受信してもよく、空気調和機20に対して指示を送信してもよい。サーバ通信部16または空調通信部23は、サーバ10と、空気調和機20と、情報端末30との間において、Wi-Fi(登録商標)、IEEE802.2、IEEE802.3、3G、LTE等の規格にしたがい通信を行い、データの送受信を行ってもよい。インターネットの他、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等、赤外線、ブルートゥース(登録商標)と通信してもよい。
【0077】
《実施の形態1》
<空気調和機20の運転に関する通知情報を出力する推定方法>
以下、本開示に係る推定方法および推定装置の実施の形態1について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下、サーバ10が推定装置として実行する態様を用いて本開示の推定方法および推定装置を説明するが、これに限らない。推定方法および推定装置(サーバ10)は、就寝関連時刻を推定し、推定結果に基づいて空気調和機20の運転に関する通知情報を情報端末30に出力する。
【0078】
上述したように、就寝関連時刻とは、当該部屋でのユーザの就寝に関連する時刻を指す。例えば、就寝関連時刻は、ユーザが就寝する前に最終的に部屋に入室する最終入室推定時刻、および/または、ユーザが就寝する前に最終的に部屋で消灯する就寝開始推定時刻を含んでもよい。
【0079】
図3は、実施の形態1における就寝関連時刻を推定する方法の一例を示すフローチャートである。実施の形態1における推定方法は、ステップS100と、ステップS400Aと、ステップS510とを含む。すなわち、実施の形態1における推定方法は、設定プロセスおよび判定プロセスを行わない。
【0080】
サーバ制御部14は、過去の第1所定期間にわたる、空気調和機20の空調制御の対象とする部屋の照度情報ログをサーバ記憶部12から取得する(ステップS100)。より具体的にいうと、サーバ制御部14は、照度情報ログのうちに第1所定期間に対応する照度情報ログのログデータをサーバ記憶部12から読み出す。
【0081】
第1所定期間は、就寝関連時刻を十分正確に推定するために必要なデータ量によって決められ得る。例えば、第1所定期間は、14日間、20日間、28日間、30日間、35日間、または42日間であってもよい。また、一例として、第1所定期間とは、推定方法が実行する時点から直近の第1所定期間を指すが、これに限らない。
【0082】
1つの実施例において、第1所定期間は推定方法の実行頻度によって設定され得る。例えば、サーバ制御部14が週ごとに就寝関連時刻を推定し、後述する判定プロセスまたは推定プロセスにおいて曜日別中央値または各曜日の平均絶対誤差等が適用される場合、第1所定期間は7日の倍数であってもよい。
【0083】
そして、サーバ制御部14は、照度情報ログに基づいて、就寝関連時刻を推定する(ステップS400A)。サーバ制御部14は、すでに判定されてサーバ記憶部12に保存された判定結果の少なくとも一部をサーバ記憶部12から読み出す。例えば、サーバ制御部14は、保存された判定結果のうち、同じ第1所定期間に対応する部分のみを読み出してもよい。また、サーバ制御部14は、第1所定期間と異なる他の所定期間に対応する部分の判定結果を読み出してもよい。
【0084】
ステップS400Aにおいて、サーバ制御部14はさらに、ステップS100で取得した照度情報ログおよびステップS400Aで取得した判定結果に基づいて、就寝関連時刻を推定する。図3のステップS400Aと図1AのステップS400とは、完全に同じであってもよく、異なる手段で推定に必要な判定結果を取得してから同じ推定プロセスを行ってもよい。
【0085】
なお、照度情報ログに基づいて就寝関連時刻を推定することは、照度情報ログに基づいた判定結果を取得し、当該判定結果に基づいて就寝関連時刻を推定することを含む。取得した判定結果のみで就寝関連時刻を推定できる場合、ステップS100を行って照度情報ログを取得することを省略してもよい。
【0086】
サーバ制御部14は、出力プロセスにおいて、就寝関連時刻、および、空気調和機20の運転に関する通知情報を、情報端末30に出力する(ステップS510)。推定されて出力される就寝関連時刻の一例として、例えば、「最終入室推定時刻:5月24日23時00分」、または「就寝開始推定時刻:5月24日23時30分」であってもよい。
【0087】
通知情報について、1つの実施例において、推定装置(サーバ10)は、出力プロセスで、部屋の室内環境情報、および空気調和機20の現在の運転状況に基づいて、通知情報を作成する。1つの実施例において、最終入室推定時刻の第1所定時間前に、空気調和機20が運転していないから部屋の室内環境が快適でないと判断したときに、その旨を通知情報にする。サーバ制御部14は、ステップS510において、最終入室推定時刻の第1所定時間前に、最終入室推定時刻、および当該通知情報を情報端末30に出力する。このような通知情報によれば、空気調和機20の起動をユーザに促すことができる。
【0088】
室内環境が快適か否かの判断は、例えば、部屋の室内温度と設定温度との比較によって行われ得る。1つの実施例において、室内環境情報は室内温度を含む。サーバ制御部14は、部屋の室内温度と空気調和機20の設定温度とを取得し、その差が所定温度閾値以上であるとき、室内環境が快適でないと判断する。設定温度とは、ユーザが入力したユーザ設定温度、または、空調制御のために空気調和機20が実際に運転する内部設定温度であってもよい。1つの実施例において、室内環境情報は、室内湿度または室内空気質をさらに含む。サーバ制御部14は、温度以外、室内湿度と設定湿度との差、室内空気質と設定空気質との差などの他のパラメータにも考慮することで、室内環境が快適か否かを判断する。
【0089】
第1所定時間は、現在の部屋の室内環境を快適にするために、考えられる所要時間である。例えば、第1所定時間は、冷房運転で室内温度を下げるための時間、または暖房運転で室内温度を上げるため時間である。例えば、第1所定時間は、15分間、30分間、60分間、90分間であってもよい。ユーザが就寝に入室するときまでに部屋の室内環境を快適にすることを達成可能にするために、サーバ制御部14は、最終入室推定時刻の第1所定時間前に快適を判断して通知情報を出力する。
【0090】
情報端末30は、就寝関連時刻および通知情報を推定装置から受信するとき、PUSH通知、または関連アプリケーション32のUIを介して、当該就寝関連時刻および通知情報をユーザに提示する。
【0091】
図4Aは、通知設定用のユーザインタフェースの一例である。図4Aに示された画面SC1において、通知の設定画面が表示されている。表示区域R1には、ユーザによって設定された快適な温度範囲が表示されている。表示区域R2には、次回の通知(例えば、当日または翌日の通知)を行う予定の日時が表示されている。ここで表示された時刻は、最終入室推定時刻の第1所定時間前の時刻である。表示区域R3には、通知機能の有効/無効を切り替えるためのトグルボタンが表示されている。
【0092】
通知機能がユーザに無効されると、サーバ制御部14が最終入室推定時刻の第1所定時間前に「部屋の室内温度と設定温度との差が所定温度閾値以上である、かつ、空気調和機が運転していない」と判断したとしても、サーバ制御部14は通知情報を出力しない。あるいは、この場合、サーバ制御部14が通知情報を情報端末30に出力するが、情報端末30が通知情報をユーザに提示しない。
【0093】
通知機能が有効である場合、サーバ制御部14は、最終入室推定時刻の第1所定時間前に、空気調和機20の運転情報、および部屋の室内環境情報を空気調和機20に問い合わせる。仮に、受信した運転情報および室内環境情報に基づいて、「部屋の室内温度と設定温度との差が所定温度閾値以上である、かつ、空気調和機が運転していない」と判断した。この場合、サーバ制御部14は、部屋が快適でないことを通知情報として出力してもよく、さらに空気調和機20の起動を促すようなメッセージも通知情報に含ませて出力してもよい。
【0094】
図4Bは、PUSH通知のユーザインタフェースの一例である。図4Bに示された画面SC2において、表示区域R6には、「おやすみ前のお部屋が快適な温度範囲外です。」との文字を有するPUSH通知が表示されている。ユーザがこのPUSH通知をクリックすると、情報端末30は、現在の表示画面をより詳しい情報が表示された別画面に遷移してもよく、関連アプリケーション32を起動して詳細情報を表示してもよい。
【0095】
1つの実施例において、後述するように、推定装置は就寝開始推定時刻に基づいて制御指示を空気調和機20に出力する。空気調和機20は、制御指示に基づいて自体の運転を制御し、例えば、受信した就寝開始推定時刻に自動的におやすみモードに切り替える。このような自動切り換え機能についても、図4Aに示された画面SC1に表示させてもよい。例えば、図4Aの表示区域R4には、自動切り換え機能の有効/無効を切り替えるためのトグルボタンが表示されている。図4Aの表示区域R5には、自動切り替えを行う予定の時刻、すなわち、就寝開始推定時刻が表示されている。
【0096】
なお、推定方法の推定プロセスは、毎日行って当日の就寝関連時刻を推定してもよく、(当日を含んだ)未来の数日分の就寝関連時刻をまとめて推定して保存してもよい。例えば、サーバ制御部14は、毎日、3日ごとに、7日ごとに、10日ごとに就寝関連時刻を推定してもよい。数日分の推定を行う場合、サーバ制御部14は、出力プロセスで、当日分の就寝関連時刻および通知情報だけを情報端末30に出力してもよい。あるいは、サーバ制御部14は、推定した分の就寝関連時刻をまとめて情報端末30に出力し、さらに当日分の通知情報を情報端末30に出力してもよい。
【0097】
1つの実施例において、設定プロセスおよび/または判定プロセスがまだ学習中の場合、情報端末30を介してその旨をユーザに提示する。例えば、設定プロセスで適切な閾値がまだ設定されていない場合、または、推定に利用可能な判定結果の数がまだ足りていない場合、サーバ制御部14は「学習中」の旨を情報端末30に提示させる。図5は、実施の形態1における通知ユーザインタフェースの一例である。図5に示された情報端末30のGUIの画面SC3では、「学習中」という文字が表示区域R7で表示されている一方、就寝関連時刻や通知情報が表示されていない。
【0098】
空調制御部22または情報端末30が推定装置として実行する場合、推定装置は、サーバ10または空気調和機20から照度情報ログを取得し、推定方法を行って、就寝関連時刻等を情報端末30に出力する。
【0099】
1つの実施例において、推定装置(例えば、空調制御部22、サーバ10または情報端末30)は、上述したような換気制御方法を実行するために使用されるプログラムを有する。当該プログラムは、推定方法を推定装置に実行させる。
【0100】
本開示の推定方法および推定装置によれば、空調制御の対象とする部屋の照度情報ログを取得し、取得した照度情報ログに基づいて自動的にユーザの就寝関連時刻を推定することができる。そのため、推定方法および推定装置に対しては入力を必要としないにもかかわらず、最終入室推定時刻または就寝開始推定時刻を正確に推定することができる。また、当該推定方法および推定装置によれば、推定結果に基づいて、空気調和機の運転に関連する通知を情報端末に出力することができ、空気調和機を適切に運転させるようにユーザに促すことができる。
【0101】
《実施の形態2》
<最終入室推定時刻に基づいた制御指示を出力する推定方法>
実施の形態2において、推定方法および推定装置は、就寝関連時刻を推定し、空気調和機20が推定結果に基づいて運転する制御指示を空気調和機20に出力する。以下、サーバ10が推定装置として実行する態様を用いて本開示の推定方法および推定装置を説明するが、これに限らない。
【0102】
まず、推定装置は空気調和機20に対して自動制御を行うため、ユーザの承諾を事前に得ることが好ましい。例えば、図4Aに示された設定画面SC1の表示区域R4のように、自動制御機能の有効/無効を切り替えるためのトグルボタンによって、事前にユーザの承諾を得ることができる。
【0103】
図6は、実施の形態2における就寝関連時刻を推定する方法の一例を示すフローチャートである。実施の形態2における推定方法は、ステップS100と、ステップS400Aと、ステップS520とを含む。すなわち、実施の形態2における推定方法では、設定プロセスおよび判定プロセスを行わない。
【0104】
サーバ制御部14は、実施の形態1と同様なステップS100およびステップS400Aを実行することによって、就寝関連時刻を推定する。実施の形態1と異なるところは出力プロセスにある。実施の形態2において、サーバ制御部14は、空気調和機20が就寝関連時刻に基づいて運転する制御指示を、空気調和機20に出力する(ステップS520)。実施の形態2における就寝関連時刻は、ユーザが就寝する前に最終的に部屋に入室する最終入室推定時刻を含む。
【0105】
ステップS520において、サーバ制御部14は、最終入室推定時刻の第1所定時間前に、空気調和機20が起動する制御指示を空気調和機20に出力してもよい。例えば、サーバ制御部14は、部屋の室内環境が快適でないと判断した場合、就寝関連時刻に達する前に部屋の室内環境を快適にするように空気調和機20を運転させる制御指示を出力する。さらに具体的にいうと、サーバ制御部14は、部屋の室内温度または室内湿度と設定温度または設定湿度との差が所定閾値以上である、かつ、空気調和機20が運転していないと判断したときに、制御指示を出力する。
【0106】
制御指示は、空気調和機20の起動以外、運転モードの指定(例えば、冷房モード、暖房モードまたは除湿モード)、設定温度の指定、および/または設定湿度の指定を含んでもよい。空調制御部22が空調通信部23を介してサーバ10から制御指示を受信すると、制御指示にしたがって部屋の空調制御を行い、就寝関連時刻に達する前に部屋の室内環境を快適にする。
【0107】
1つの実施例において、事前に自動制御機能についてユーザの承諾を得た場合、サーバ制御部14は、ユーザの所在位置に基づいて制御指示を出力するか否かを判断する。サーバ制御部14は、上述したような制御指示を出す条件が満たされていると判断するとき、ユーザの所在位置を取得する。ユーザの所在位置が部屋の所在位置を中心とする所定範囲内にないと判断した場合、サーバ制御部14は制御指示を空気調和機20に出力しない。すなわち、ユーザが部屋にいない、またはユーザが部屋の近くにいないと判断した場合、サーバ制御部14は自動的に空気調和機20の運転を起動させない。
【0108】
1つの実施例において、事前に自動制御機能についてユーザの承諾を得たかにもかかわらず、サーバ制御部14は、制御指示を出力する前に、制御指示についてユーザの承諾を得ようとする。サーバ制御部14は、情報端末30の関連アプリケーション32を介して、「エアコンを起動する」などの制御指示の内容をユーザに表示させ、ユーザの承諾を促す。サーバ制御部14は、情報端末30を介してユーザから承諾を受信してから、空気調和機20に制御指示を出力する。
【0109】
これにより、最終入室推定時刻を推定して、推定結果に基づいた制御指示を出力する処理は完了する。推定装置は、取得した照度情報ログに基づいて自動的に最終入室推定時刻を推定することができる他、推定結果に基づいて空気調和機の運転を自動的に制御することができる。推定装置は、部屋の室内環境が快適でない場合において、最終入室推定時刻の第1所定時間前に自動的に空気調和機を起動することができる。そのため、推定装置は、空気調和機を適切に制御し、ユーザが最終的に入室して就寝する前に、部屋を快適にしておくことができ、ユーザの快眠を促進することができる。
【0110】
《実施の形態3》
<就寝開始推定時刻に基づいた制御指示を出力する推定方法>
実施の形態3において、実施の形態2と同様に、推定方法および推定装置は、就寝関連時刻を推定し、空気調和機20が推定結果に基づいて運転する制御指示を空気調和機20に出力する。実施の形態3における推定方法では、設定プロセスおよび判定プロセスを行わない。以下、サーバ10が推定装置として実行する態様を用いて本開示の推定方法および推定装置を説明するが、これに限らない。
【0111】
実施の形態3における推定方法および推定装置は、実施の形態2と同様なステップS100~ステップS520を実行して就寝関連時刻を推定するが、出力する制御指示の内容および出力するタイミングが異なる。なお、実施の形態2と同様に、推定装置は空気調和機20に対して自動制御を行うため、ユーザの承諾を事前に得ることが好ましい。
【0112】
実施の形態3における就寝関連時刻は、ユーザが就寝する前に最終的に部屋で消灯する就寝開始推定時刻を含む。ステップS520において、サーバ制御部14は、就寝開始推定時刻から第2所定時間を経過したときに、空気調和機20の運転を睡眠関連モードに切り替える制御指示を空気調和機20に出力してもよい。第2所定時間は、例えば、0時間、半時間、1時間、2時間、3時間であってもよい。
【0113】
睡眠関連モードとは、快適な睡眠環境を整えてユーザの快眠を促進することを目的とする、空気調和機20の運転モードの1つである。睡眠関連モードにおいて、空調制御部22は、ユーザの睡眠活動に合わせて空調制御を行ってもよい。例えば、睡眠関連モードにおいて、空調制御部22は、室内温度が下がりすぎないように、室内温度を26℃~28℃にするように空調制御をしてもよい。また、睡眠関連モードにおいて、空調制御部22は、空気調和機20の吹き出し気流が直接的にユーザに当たらないように、当該吹き出し気流の方向を制御してもよい。睡眠関連モードは、おやすみモード、快眠モードなどとも呼ばれている。
【0114】
1つの実施例において、サーバ制御部14は、就寝開始推定時刻から第2所定時間を経過したときに、空気調和機20にその運転情報を問い合わせる。受信した運転情報に基づいて空気調和機20が運転していると判断したとき、空気調和機20が睡眠関連モードに切り替える制御指示を空気調和機20に出力する。
【0115】
1つの実施例において、就寝開始推定時刻から第2所定時間を経過したときに、サーバ制御部14は、部屋の点灯/消灯状態に基づいて制御指示を出力するか否かを判断する。就寝開始推定時刻から第2所定時間を経過したものの、部屋が点灯状態にある場合、ユーザは実際、まだ就寝していない可能性がある。そのため、サーバ制御部14は、就寝開始推定時刻から第2所定時間を経過した、かつ、部屋が点灯状態と判断した場合、睡眠関連モードに切り替える制御指示を出力しない、またはその出力を遅らせる。出力を遅らせる場合、サーバ制御部14は、一定時間後に再度に部屋の状態を判断する。サーバ制御部14は、部屋が消灯状態になったと判断した場合のみ、睡眠関連モードに切り替える制御指示を出力する。
【0116】
もう1つの実施例において、空気調和機20が人感センサを含む。サーバ制御部14は、人感センサを介してユーザが部屋にいるか、または睡眠行為を取っているかを判断することができる。サーバ制御部14は、就寝開始推定時刻から第2所定時間を経過した、かつ、部屋にユーザがいないと判断した場合、睡眠関連モードに切り替える制御指示を出力しない、またはその出力を遅らせる。
【0117】
部屋の点灯/消灯状態を判断するために、サーバ制御部14は、照度センサ25による最新の照度値と、部屋が点灯状態または消灯状態であるかを判断するための照度閾値とを取得してもよい。照度閾値は、例えば、事前に設定プロセスで設定された、部屋が消灯状態であるかを判定するための第1照度閾値、および/または、部屋が点灯状態であるかを判定するための第2照度閾値を含んでもよい。取得した最新の照度値が第1照度閾値以下、または、当該照度値が第2照度値より高くない場合、部屋は消灯状態にあると判断される。取得した最新の照度値が第1照度閾値より低くない、または、当該照度値が第2照度値以上の場合、部屋は点灯状態にあると判断される。
【0118】
部屋の点灯/消灯状態を判断するために、サーバ制御部14は、照明装置40のスイッチオン/スイッチオフ情報を取得してもよい。この場合、サーバ制御部14は、照明装置40にそのスイッチオン/スイッチオフ情報を問い合わせる。照明装置40がスイッチオンされている場合、部屋は点灯状態にあると判断され、照明装置40がスイッチオフされている場合、部屋は消灯状態にあると判断される。
【0119】
このようにすれば、より正確なタイミングで空気調和機20の運転を睡眠関連モードに自動的に切り替えることができる。
【0120】
1つの実施例において、ステップS520において、サーバ制御部14は、空気調和機20を睡眠関連モードに切り替える制御指示の代わりに、空気調和機20の運転を停止する制御指示を空気調和機20に出力する。自動的に運転を停止させることによって、空気調和機20の省エネルギに役に立つ。なお、空気調和機20に対して自動制御を行うため、ユーザの承諾を事前に得ることが好ましい。
【0121】
より安全に自動運転停止の機能を実行するために、サーバ制御部14は、外気温度または外気温度に関する外部情報に基づいて制御指示を出力するか否かを判断する。サーバ制御部14は、空気調和機20の外部温度センサから部屋の外部温度を取得してもよい。また、インターネットを介してサーバ10と接続可能な外部情報源(例えば、気象情報源)から現在または未来の外気温度を取得してもよい。
【0122】
サーバ制御部14は、取得した外気温度が所定温度範囲にあると判断したときのみに、空気調和機20の運転を停止する制御指示を空気調和機20に出力する。すなわち、外気温度が暑すぎなく寒すぎもないときのみ、空気調和機20の運転を停止させる。一方、サーバ制御部14は、就寝開始推定時刻から第2所定時間を経過した、かつ、外気温度が所定温度範囲外であると判断したとき、空気調和機20を睡眠関連モードに切り替える制御指示を出力する。
【0123】
これにより、就寝開始推定時刻を推定して、推定結果に基づいた制御指示を出力する処理は完了する。推定装置は、取得した照度情報ログに基づいて自動的に最終入室推定時刻を推定することができる他、推定結果に基づいて空気調和機の運転を自動的に制御することができる。推定装置は、就寝開始推定時刻の後、自動的に空気調和機の運転を、睡眠関連モードに切り替えるまたは停止させることができる。そのため、推定装置は、空気調和機を適切に制御し、睡眠に適切な室内環境を維持しつつ、消費電力の減少を図ることができる。
【0124】
《実施の形態4》
<就寝関連時刻の推定>
実施の形態4において、空調制御の対象とする部屋のユーザの就寝関連時刻を推定ための、設定プロセス、判定プロセス、および推定プロセス(図1B)の詳細について説明する。「全体的な技術概念」で説明したように、推定方法は学習フェーズと実行フェーズとを含んでもよい。学習フェーズは設定プロセスと判定プロセスとを含んでもよく、学習した判定結果はデータベースに保存され得る。実行フェーズは推定プロセスと出力プロセスとを含んでもよい。設定プロセスと、判定プロセスと、推定プロセスと、出力プロセスとは、連続的に実行する必要がなく、それぞれに独立して実行可能である。
【0125】
あえて各プロセスの概要をもう1回さらすと、以下通りである。
【0126】
設定プロセスにおいて、推定装置は、部屋の照度情報ログに基づいて、空調制御の対象とする部屋が点灯状態または消灯状態であるかを判断するための照度閾値を設定する。
【0127】
判定プロセスにおいて、推定装置は、照度情報ログのログデータに対して点灯時刻および消灯時刻を判定する。推定装置は、さらに、推定対象である時間帯において最終の点灯時刻を最終入室判定時刻として判定し、当該時間帯において最終の消灯時刻を就寝開始判定時刻する。
【0128】
推定プロセスにおいて、推定装置は、過去の最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻に基づいて、ユーザの未来の最終入室推定時刻および就寝開始推定時刻を推定する。
【0129】
出力プロセスにおいて、推定装置は、推定した最終入室判定時刻および/または就寝開始判定時刻に基づいて、空気調和機の運転に関連する通知または制御指示を出力する。すなわち、推定プロセスで推定された就寝関連時刻は、上述した実施の形態1~3のように、出力プロセスにおいて、ユーザに対する通知または空気調和機20に対する自動制御に利用され得る。
【0130】
以下、設定プロセス、判定プロセス、および推定プロセスのそれぞれについて、より具体的に説明する。サーバ10が推定装置として実行する態様を用いてこれらのプロセスについて説明するが、これに限らない。
【0131】
<設定プロセス>
設定プロセスでは、点灯状態/消灯状態の判断のための照度閾値が、部屋の照度値の時系列ログデータを含む照度情報ログに基づいて設定される。これにより、部屋の窓の有無や、照明装置40の種類にも関わらず、当該部屋に適切な照度閾値を設定することができる。
【0132】
なお、照度情報ログが照明装置40のスイッチオン/スイッチオフのログデータを含む場合、サーバ10のサーバ制御部14は、当該照明装置40のログデータに基づいて、部屋の点灯状態/消灯状態を直接的に判断できる。よって、この場合では、設定プロセスを実行しなくてもよい。
【0133】
図7は、実施の形態4におけるステップS200(設定プロセス)の一例を示すフローチャートである。サーバ制御部14は、ステップS100(図1A)で取得した、第1所定期間にわたる部屋の照度情報ログに基づいて、照度閾値を設定する。より具体的にいうと、サーバ制御部14は、取得した照度情報ログにおいて、第1時間帯にわたって照度値のそれぞれに対応するデータ件数に基づいて、部屋が消灯状態であるかを判定するための第1照度閾値を設定する(ステップS210)。後の判定プロセスでは、照度値が第1照度閾値以下である場合、その時点では消灯状態と判断され得る。
【0134】
ここで、第1時間帯は、睡眠時間に関連する時間帯であり、すなわち、一般的には部屋が消灯状態にあると考えられる時間帯である。例えば、第1時間帯は、「00:00~06:00」、「01:00~05:00」または「02:00~04:00」であってもよい。第1時間帯は、部屋のある地域や照度値の検出される季節によって設定され得る。
【0135】
照度値のログデータは、一定時間(例えば、3分間、5分間、10分間)ごとに検出される照度値の集合である。よって、第1時間帯にわたって照度値のそれぞれに対応するデータ件数は、部屋が第1時間帯にどのくらいの頻度で対応する照度値にあるかを表す。
【0136】
図8は、実施の形態4における第1照度閾値の一例を示す概略図である。照度値の時系列ログデータを用いて、図8のような照度値のヒストグラムを作成すれば、照度値のそれぞれに対応するデータ件数が分かる。一般的には部屋が消灯状態にあろう第1時間帯には、比較的低い照度値に対応するデータ件数が多い一方、比較的高い照度値に対応するデータ件数が少ない。1つの実施例において、ステップS210で、サーバ制御部14は、対応するデータ件数が最も多い照度値を第1照度閾値として設定してもよい。もう1つの実施例において、サーバ制御部14は、対応するデータ件数が最も多い複数(例えば、3つ、5つ)の照度値の平均値を第1照度閾値として設定してもよい。
【0137】
さらに、サーバ制御部14は、第1所定期間内の照度情報ログにおいて、第2時間帯にわたる照度値に基づいて、部屋が点灯状態であるかを判定するための第2照度閾値を設定する(ステップS220)。後の判定プロセスでは、照度値が第2照度閾値以上である場合、その時点では点灯状態と判断され得る。
【0138】
1つの実施例において、サーバ制御部14は、第1所定期間内の照度情報ログにおいて、第2時間帯にわたって照度値が上昇したときの上昇後の照度値に基づいて、第2照度閾値を設定する。例えば、サーバ制御部14は、上昇後の照度値のうち、対応するデータ件数が最も多い照度値を第2照度閾値として設定する。
【0139】
もう1つの実施例において、サーバ制御部14は、第2時間帯にわたって照度値が第1照度閾値以下から上昇したときの上昇後の照度値に基づいて、第2照度閾値を設定する。すなわち、この実施例において、ステップS220はステップS210より後に実行される。
【0140】
第2時間帯は、就寝前に関連する時間帯であり、すなわち、一般的には夜間に部屋が点灯状態にあると考えられる時間帯である。特には、夜間に部屋に入って照明を点灯する行為の発生頻度が高い時間帯が好ましい。例えば、第2時間帯は、「19:00~03:00」、「21:00~03:00」または「23:00~04:00」であってもよい。第2時間帯は、部屋のある地域や照度値の検出される季節によって設定され得る。
【0141】
1つの実施例において、サーバ制御部14は、上昇後の照度値が低い一部(例えば、データ件数が最下位の5%、10%または15%)を除外して、残った照度値のうち、最も低い照度値を第2照度閾値として設定する。図9は、実施の形態4における第2照度閾値の一例を示す概略図である。図9の上半部には、第2時間帯にわたる照度値を表している。第2時間帯内に、照度値が第1照度閾値以下から上昇した時刻が点線の四角形で表している。このような照度値および対応するデータ件数を統計すると、図9の下半部に示されている。図9の下半部に示されたように、データ件数が最下位の10%である部分(点線のブロックの部分)が除外されてから、最も低い照度値が第2照度閾値として設定される。
【0142】
1つの実施例において、サーバ制御部14は設定プロセスで、部屋が点灯状態であるかを判定するための照度上昇閾値をさらに設定する。サーバ制御部14は、第2時間帯にわたって照度値が上昇したときの照度上昇値(すなわち、時系列で連続した前後の照度値の上昇幅)に基づいて、照度情報閾値を設定する。後の判定プロセスでは、照度上昇値が照度上昇閾値以上である場合、上昇した時点では点灯状態と判断され得る。
【0143】
図10は、実施の形態4における照度上昇閾値の一例を示す概略図である。照度上昇値が小さいデータは、照度センサ25による計測上の揺れやノイズによるものと考えられるため、サーバ制御部14は、照度上昇値が最も低い一部を除外する。そして、サーバ制御部14は、残った照度上昇値のうち、最も多いデータ件数が対応する照度上昇値を含むデータ群において、最も低い照度上昇値を照度上昇閾値として設定する。ここの「データ群」は、データ件数が1件以上の照度上昇値が連続的に存在するデータといい、図10の下半部の点線の右側に示されている。
【0144】
1つの実施例において、除外する部分は以下通りで決められる。サーバ制御部14は、除外閾値を探すための第1対象値を、照度値のヒストグラムにおいて最小の照度上昇値(照度上昇値1)から照度上昇値が増加する方向へ順次に設定し、現在設定された第1対象値が特定条件を満たすかを判断する。すなわち、照度上昇値1、2、3…が順次に第1対象値として設定される。特定条件(1)は、現在の第1対象値「M」より1大きい照度上昇値「M+1」に対応するデータ件数と、第1対象値「M」より2大きい照度上昇値「M+2」に対応するデータ件数とも0であることである。特定条件(2)は、照度上昇値「M+1」に対応するデータ件数が第1対象値「M」に対応するデータ件数より多い、かつ、照度上昇値「M+2」に対応するデータ件数が照度上昇値「M+1」に対応するデータ件数より多いことである。すなわち、特定条件(2)には、対応するデータ件数が第1対象値から2回連続で増加することを規定している。
【0145】
サーバ制御部14は、特定条件(1)または特定条件(2)が満たされたと判断する場合、現在の第1対象値「M」を除外閾値とする。そして、サーバ制御部14は、除外閾値以下の照度上昇値に対応するデータを除外する。注意すべきことに、第1対象値の初期値は1でなくてもよい。また。特定条件において規定された、データ件数が連続に0である回数または連続に増加する回数は2でなくてもよく、例えば、3以上の整数であってもよい。
【0146】
照度上昇閾値および「データ群」も類似の手法で決められ得る。1つの実施例において、サーバ制御部14は、照度上昇閾値を探すための第2対象値を設定し、現在設定された第2対象値が特定条件を満たすかを判断する。サーバ制御部14は、第2対象値を、除外閾値による除外処理した照度値のヒストグラムにおいて、データ件数が最大の照度上昇値(図10には「55」)から照度上昇値が減少する方向へ順次に設定する。すなわち、図10の実施例において、照度上昇値55、54、53…が順次に第2対象値として設定される。特定条件(3)は、現在の第2対象値「N」より1小さい照度上昇値「N-1」に対応するデータ件数と、第2対象値「N」より2小さい照度上昇値「N-2」に対応するデータ件数とも0であることである。特定条件(4)は、照度上昇値「N-1」に対応するデータ件数が第2対象値「N」に対応するデータ件数より多い、かつ、照度上昇値「N-2」に対応するデータ件数が照度上昇値「N-1」に対応するデータ件数より多いことである。すなわち、特定条件(4)には、対応するデータ件数が第2対象値から2回連続で増加することを規定している。
【0147】
サーバ制御部14は、特定条件(3)または特定条件(4)が満たされたと判断する場合、現在の第2対象値「N」を照度上昇閾値とする。そして、サーバ制御部14は、照度上昇閾値以上の照度上昇値に対応するデータを「データ群」とする。注意すべきことに、第2対象値の初期値はヒストグラムに存在する最大値でなくてもよく、例えば、当該最大値より所定程度で小さい値であってもよい。また。特定条件において規定された、データ件数が連続に0である回数または連続に増加する回数は2でなくてもよく、例えば、3以上の整数であってもよい。
【0148】
実施の形態4に説明された第1照度閾値、第2照度閾値、および照度上昇閾値の設定は、任意の順番で実行され得て、平行しても実行され得る。ただし、照度値が第1照度閾値以下から上昇したときの照度値に基づいて第2照度閾値を設定する実施例において、ステップS220は、ステップS210より後に実行される。
【0149】
サーバ制御部14は、設定した第1照度閾値、第2照度閾値、および/または照度上昇閾値をサーバ記憶部12などに保存する。これにより、設定プロセスの処理は完了する。設定プロセスでは、部屋の点灯状態/消灯状態の判断のための第1照度閾値、第2照度閾値、および/または照度上昇閾値は、部屋の照度値の時系列ログデータに基づいて設定される。これにより、部屋の窓の有無や、照明装置の種類にも関わらず、当該部屋に適切な照度閾値を設定することができる。例えば、睡眠時に主とした照明装置40以外のベッドサイドの照明を使う場合に対しても、正確に照明装置40に対して点灯状態/消灯状態を判断することができる。また、例えば、照明値が小幅で上昇してから大きく上昇して明るい点灯状態になるケースは、第2照度閾値のみを用いると捕らえないことがある。しかしながら、照度上昇閾値も併用することによって、このようなケースに対しても後には正確に点灯状態と判定できる。
【0150】
これにより、設定プロセスは、判定用の第1照度閾値、第2照度閾値、および照度上昇閾値を設定(学習)することができる。これらの閾値は特定の部屋の照度情報ログに基づいて設定されたものであるため、当該部屋に最適化した閾値とも言えるであろう。このような閾値を用いれば、点灯時刻や就寝関連判定時刻をより正確に判定することができる。
【0151】
<判定プロセス>
判定プロセスは、照度情報ログのログデータに対して、点灯時刻および消灯時刻を判定する前半と、最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻を判定する後半とを含む。本開示の判定プロセスにより、点灯時刻、消灯時刻、最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻を正確に判定することができる。よって、後にこの判定結果を用いて就寝関連時刻も正確に推定することができる。
【0152】
なお、照度情報ログが照明装置40のスイッチオン/スイッチオフのログデータを含む場合、サーバ制御部14は、当該照明装置40のログデータに基づいて、部屋の点灯状態/消灯状態を直接的に判断できる。この場合では、判定プロセスの前半(点灯時刻および消灯時刻の判定)を実行しなくてもよい。
【0153】
図11は、実施の形態4におけるステップS300(判定プロセス)の一例を示すフローチャートである。サーバ制御部14は、まず、第1所定期間内の照度情報ログに基づいて設定された第1照度閾値および第2照度閾値を取得する(ステップS310)。例えば、サーバ制御部14はサーバ記憶部12から第1照度閾値および第2照度閾値を読み出す。また、照度上昇閾値が設定された場合、照度上昇閾値もステップS310で読み出され得る。
【0154】
次に、サーバ制御部14は、第1照度閾値および第2照度閾値を用いて、過去の第2所定期間内の、第3時間帯の照度情報ログに対して、点灯時刻および消灯時刻の少なくとも1つを判定する(ステップS320)。1つの実施例において、サーバ制御部14は、判定した点灯時刻に対して点灯ラベル(または「ONラベル」と呼ぶ)を作成し、判定した消灯時刻に対して消灯ラベル(または「OFFラベル」と呼ぶ)を作成する。
【0155】
ここで、第2所定期間は、判定プロセスで1回の処理の対象を規定するための期間である。例えば、第2所定期間は、1日間、2日間、3日間、または7日間であってもよい。また、一例として、第2所定期間とは、判定プロセスが実行する時点から直近の第2所定期間を指すが、これに限らない。
【0156】
第3時間帯は、夜間に関連する時間帯であり、すなわち、一般的には夜間と考えられる時間帯である。例えば、第3時間帯は、「19:00~05:00」、「20:00~04:00」または「21:00~03:00」であってもよい。第3時間帯は、部屋のある地域や照度値の検出される季節によって設定され得る。
【0157】
よって、判定プロセスの処理対象である「第2所定期間内の第3時間帯」の照度情報ログは、例えば、判定プロセスが実行する時点から直近の一晩(20:00~04:00)の照度情報ログである。しかしながら、「第2所定期間内の第3時間帯」の照度情報ログには、点灯時刻および消灯時刻のみ存在する、または両方とも存在しない場合がある。このような場合、サーバ制御部14は存在する点灯時刻または消灯時刻のみを判定して対応するラベルを作成する。また、第2所定期間が1日間以上である場合、第2所定期間内の毎日の第3時間帯の照度情報ログが判定プロセスの処理対象とされる。
【0158】
サーバ制御部14は、様々な判定条件にしたがって、処理対象において時系列に沿って連続した前後の照度値に基づいて、点灯時刻および消灯時刻を判定する。例えば、以下の第1判定条件~第3判定条件が利用可能である。
【0159】
<第1判定条件>
前の照度値が第1照度閾値以下であり、かつ、後の照度値が第2照度閾値以上であると判断した場合、サーバ制御部14は、後の照度値に対応する時刻を点灯時刻とする。
【0160】
<第2判定条件>
前の照度値が第2照度閾値以上であり、かつ、後の照度値が第1照度閾値以下であると判断した場合、サーバ制御部14は、後の照度値に対応する時刻を消灯時刻とする。
【0161】
<第3判定条件>
後の照度値が前の照度値と比べて照度上昇閾値よりも大きいと判断した場合、サーバ制御部14は、後の照度値に対応する時刻を点灯時刻とする。
【0162】
さらに判定の精度を高めるために、サーバ制御部14は、就寝直前の消灯と関係がなさそうな判定結果(ラベル)を除外してもよい。例えば、消灯状態が非常に短く持続していた場合、その消灯は就寝のための行為とは考えにくい。よって、サーバ制御部14は、消灯持続時間による以下の第4判断条件を満たした判定結果(ラベル)を除外してもよい。消灯持続時間とは、消灯状態が持続していた時間を指し、データ上、一連の消灯時刻と点灯時刻とによって形成される。
【0163】
<第4判定条件>
消灯持続閾値より短い消灯持続時間が存在すると判断した場合、サーバ制御部14は、当該消灯持続時間を形成する一連の消灯時刻と点灯時刻とを除外する。なお、消灯持続閾値は、例えば、3分間、5分間、または10分間であってもよい。
【0164】
これらの判定条件は別々で利用可能であり、これらの判定条件による任意の組み合わせも利用可能である。サーバ制御部14は、これら判定条件にしたがって、点灯時刻および消灯時刻を判定し、対応するラベルを作成する。
【0165】
照度情報ログが照明装置40のスイッチオン/スイッチオフのログデータを含む場合、サーバ制御部14は、ログデータに記録されたスイッチオンまたはスイッチオフの時刻に応じてラベルを作成してもよい。サーバ制御部14は、スイッチオンまたはスイッチオフの時刻に応じて作成したラベルを、第4判定条件にしたがってさらに処理してもよい。
【0166】
次に、サーバ制御部14は、点灯時刻または消灯時刻に基づいて、処理対象の最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻の少なくとも1つを判定する(ステップS330)。なお、処理対象とは、上述したように、第2所定期間内の毎日の第3時間帯の照度情報ログである。ステップS330で利用される点灯時刻または消灯時刻は、ステップS320で判定されたものであってもよく、照明装置40のログデータに記録されたスイッチオンまたはスイッチオフの時刻であってもよい。
【0167】
図12は、実施の形態4におけるステップS330の一例を示すフローチャートである。サーバ制御部14は、時系列に沿って、連続した点灯時刻と消灯時刻とを1つのペアに作成する(ステップS332)。すなわち、サーバ制御部14は、1つの第3時間帯の照度情報ログに対して、連続したONラベルとOFFラベルとをペアリングする。
【0168】
1つの実施例において、特定の第3時間帯においてOFFラベルしか存在していない場合、ステップS332において、サーバ制御部14は、第3時間帯の開始時刻に対応した仮想のONラベルを作成する。サーバ制御部14は、仮想のONラベルと実際に存在するOFFラベルとをペアリングする。
【0169】
そして、サーバ制御部14は、第3時間帯のペアのうち、最遅のペアの点灯時刻を第3時間帯の最終入室判定時刻として、当該最遅のペアの消灯時刻を第3時間帯の就寝開始判定時刻とする(ステップS334)。すなわち、第3時間帯にわたってユーザが部屋に入室して照明装置40を点灯して消灯したことが複数回あって、かつ最後に照明装置40を消灯した場合、最も遅い点灯時刻を最終入室判定時刻とし、最も遅い消灯時刻を就寝開始判定時刻とする。
【0170】
なお、仮想のONラベルが作成された場合、サーバ制御部14は当該の仮想のONラベルに対応する時刻を最終入室判定時刻としない。この場合、ステップS334においては就寝開始判定時刻のみが判定される。
【0171】
サーバ制御部14は、判定した、点灯時刻、消灯時刻、最終入室判定時刻、および就寝開始判定時刻をサーバ記憶部12などに保存する。これにより、判定プロセスの処理は完了する。サーバ制御部14は、第2所定期間の第3時間帯に対して、その中の最終入室判定時刻および/または就寝開始判定時刻を判定することができる。また、連続した先の点灯時刻と後の消灯時刻とを1つのペアに作成することによって、判定した就寝関連判定時刻も、先の最終入室判定時刻と後の就寝開始判定時刻との順番を順守する。
【0172】
次に、判定プロセスのもう一例を紹介する。図13Aおよび図13Bは、実施の形態4における判定プロセスの一例を示すフローチャートである。この判定プロセスは、就寝関連判定時刻を判定し、すなわち、最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻の少なくとも1つを判定する。
【0173】
この例示において、判定プロセスはステップS601~ステップS620を含む。そのうち、ステップS601が図11のステップS310に対応し、ステップS602~ステップS606が図11のステップS320に対応し、ステップS608~ステップS620が図11のステップS330に対応する。そして、ステップS608~ステップ616、S620が図12のステップS332に対応し、ステップS618が図12のステップS334に対応する。
【0174】
図13Aおよび図13Bと合わせて、図14A図14Dを参考されたい。図14Aは、実施の形態4におけるラベル作成の一例を示す概略図である。図14Bは、実施の形態4におけるペアリングの一例を示す概略図である。図14Cは、実施の形態4におけるペアリングの一例を示す概略図である。図14Dは、実施の形態4における就寝関連判定時刻の一例を示す概略図である。
【0175】
まず、サーバ制御部14は、第1照度閾値および第2照度閾値を取得し(ステップS601)、第2所定期間にわたる第3時間帯の照度情報ログも取得する(ステップS602)。サーバ制御部14は、前述した第1判定条件~第3判定条件にしたがって、取得したログデータに対して、点灯時刻および消灯時刻の少なくとも1つを判定し、ONラベルおよびOFFラベルを作成する(ステップS604)。図14Aに示されたように、第3時間帯の照度情報ログに対してONラベルおよびOFFラベルはステップS604で作成された。
【0176】
次に、サーバ制御部14は、前述した第4判定条件にしたがって、第1時間閾値より短い消灯持続時間の前後のラベルを削除する(ステップS606)。ここの第1時間閾値は、前述した消灯持続閾値である。すなわち、ステップS606において、サーバ制御部14は、第1時間閾値より短い消灯持続時間を形成する一連のOFFラベルとONラベルとを削除する。図14Bに示されたように、楕円に囲まれた消灯持続時間が第1時間閾値より短いため、当該消灯持続時間を形成するOFFラベルおよびONラベルが削除される。削除された結果は、図14Cに示されている。
【0177】
次に、サーバ制御部14は、第3時間帯にOFFラベルがあるか否かを判断する(ステップS608)。OFFラベルが存在しないことは、第3時間帯に就寝開始の時刻が存在しないことを表すため、判定プロセスが完了する。一方、第3時間帯にOFFラベルがある場合、サーバ制御部14は、第3時間帯にONラベルがあるか否かをさらに判断する(ステップS610)。第3時間帯にOFFラベルとONラベルとも存在する場合、サーバ制御部14は、時系列に沿って、連続したONラベルとOFFラベルとを1つのペアに作成する(ステップS612)。すなわち、サーバ制御部14は、連続したONラベルとOFFラベルとをペアリングする。
【0178】
さらに判定の精度を高めるために、サーバ制御部14は特定のペアをさらに削除してもよい。点灯状態が短く持続していた場合、例えば、ユーザはスマートフォンを確認するまたはトイレに行くために、一時的に短時間で照明装置40を点灯することがある。このような点灯および消灯は就寝のための行為ではないかもしれないため、比較的短い点灯持続時間を有するペアを削除することが考え得る。しかしながら、第3時間帯にこのようなペアしか存在していない場合、当該ペアを削除すると判定できなくなる。ここで、サーバ制御部14は、点灯持続時間が比較的長いペアが存在する場合のみ、点灯持続時間が比較的短いペアを削除する。なお、点灯持続時間とは、点灯状態が持続していた時間と指し、データ上、一連の点灯時刻と消灯時刻とによって形成される。
【0179】
サーバ制御部14は、点灯持続時間が第2時間閾値以上のペアがあるか否かをまず判断する(ステップS614)。すなわち、サーバ制御部14は、点灯持続時間が比較的長いペアが存在するかを判断する。点灯持続時間が第2時間閾値以上のペアが存在する場合、サーバ制御部14は、第2時間閾値より短い点灯持続時間を有するペアを削除する(ステップS616)。一方、点灯持続時間が第2時間閾値以上のペアが存在していない場合、点灯持続時間が比較的短いペアでも判定に利用される。
【0180】
例えば、図14Cには、ペア(1)~ペア(3)という3つのペアがある。仮に、ペア(1)およびペア(2)の点灯持続時間が第2時間閾値以上であり、ペア(3)の点灯持続時間が第2時間閾値より短い。この場合において、点灯持続時間が第2時間閾値以上のペアがあるので、サーバ制御部14はペア(3)を削除する。なお、第2時間閾値は、例えば、5分間、10分間、15分間、30分間であってもよい。
【0181】
ペアリングの処理を終了すると、サーバ制御部14は残ったペアを用いて最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻の少なくとも1つを判定する(ステップS618)。ここで、サーバ制御部14は前述したステップS334と同様なやり方で最終入室判定時刻または就寝開始判定時刻を判定してもよい。すなわち、サーバ制御部14は、第3時間帯の残ったペアのうち、最遅のペアの点灯時刻を第3時間帯の最終入室判定時刻として、当該最遅のペアの消灯時刻を第3時間帯の就寝開始判定時刻とする。
【0182】
図14Dに示されたペア(1)~ペア(3)はステップS612で作成されたが、ペア(3)は点灯持続時間が第2時間閾値より短いためステップS616で削除された。すると、第3時間帯にはペア(1)およびペア(2)のみが残っている。ペア(2)が第3時間帯の残ったペアのうち最遅のペアであるため、サーバ制御部14は、ペア(2)の点灯時刻を第3時間帯の最終入室判定時刻として、ペア(2)の消灯時刻を第3時間帯の就寝開始判定時刻とする。
【0183】
ステップS608およびステップS610で、第3時間帯にOFFラベルのみが存在すると判断した場合、サーバ制御部14はステップS618を実行する。すなわち、サーバ制御部14は、第3時間帯に最も時刻の遅いOFFラベルを抽出して(ステップS620)、就寝開始判定時刻を判定する(ステップS618)。さらに具体的にいうと、上述したステップS332と同様に、サーバ制御部14は、仮想のONラベルを作成し、仮想のONラベルと実際に存在するOFFラベルとをペアリングして仮想のペアを作成する。第3時間帯に他のペアが存在していないため、サーバ制御部14は仮想のペアを用いて就寝関連判定時刻を判定する。サーバ制御部14は、ステップS620において仮想のペアのOFFラベルを抽出し、ステップS618において抽出したOFFラベルに対応する消灯時刻を就寝開始判定時刻として判定する。
【0184】
これにより、判定プロセスの処理は完了する。サーバ制御部14は、第2所定期間の第3時間帯に対して、その中の就寝関連判定時刻をより正確に判定することができる。また、ONラベルとOFFラベルとをペアリングすることよって、判定した就寝関連判定時刻に、実際の発生する順番が逆転する判定結果が発生しない。
【0185】
<推定プロセス>
推定プロセスにおいて、推定装置は、過去の最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻に基づいて、ユーザの未来の最終入室推定時刻および/または就寝開始推定時刻を推定する。なお、最終入室推定時刻と就寝開始推定時刻とは独立して計算され得る。
【0186】
上述したように、就寝関連判定時刻は、最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻を含み、就寝関連時刻は、最終入室推定時刻および就寝開始推定時刻を含む。サーバ制御部14は、同様な手法で、最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻のそれぞれを推定してもよい。以下、図15および図16を参照しながら、上位概念の「就寝関連判定時刻」および「就寝関連時刻」を用いて推定プロセスを説明する。ただし、説明中の「就寝関連判定時刻」を「最終入室判定時刻」、「就寝開始判定時刻」または「最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻」に置き換え可能である。同様に、説明中の「就寝関連判定時刻」を「最終入室推定時刻」、「就寝開始推定時刻」または「最終入室推定時刻および就寝開始推定時刻」に置き換え可能である。
【0187】
図15は、実施の形態4におけるステップS400(推定プロセス)の一例を示すフローチャートである。サーバ制御部14は、就寝関連判定時刻を取得する(ステップS410)。例えば、サーバ制御部14は、照度情報ログに基づいて判定されて、サーバ記憶部12に保存された点灯時刻、消灯時刻、最終入室判定時刻、および就寝開始判定時刻を読み出す。なお、サーバ制御部14は、推定に利用される分だけ、すなわち、過去の第3所定期間に対応する部分だけを取得してもよい。
【0188】
第3所定期間と、就寝関連時刻を十分正確に推定するために必要なデータ量によって決められ得る。以下、第3所定期間が第1所定期間と同様に35日間である例示を用いて説明するが、この期間に限らない。また、一例として、第3所定期間とは、推定方法が実行する時点から直近の第3所定期間を指すが、これに限らない。
【0189】
サーバ制御部14は、取得した就寝関連判定時刻の中央値を計算し(ステップS420)、就寝関連判定時刻の中央値を就寝関連時刻とする(ステップS430)。注意すべきなのは、照度情報ログの内容によって、就寝関連判定時刻(最終入室判定時刻および/または就寝開始判定時刻)が判定できない日もあり得る。サーバ制御部14は、判定できない就寝関連判定時刻を無視して中央値を計算してもよい。
【0190】
例えば、サーバ制御部14は、ステップS410で直近の35日分の最終入室判定時刻を取得し、ステップS420で当該35日分の最終入室判定時刻の中央値を計算する。仮に直近の35日に2日分の最終入室判定時刻が存在していない場合、サーバ制御部14は、残った33日分の最終入室判定時刻の中央値を計算し、当該中央値を最終入室推定時刻とする。
【0191】
1つの実施例において、より正確に推定するために、サーバ制御部14は全体中央値および曜日別中央値を計算して推定する。
【0192】
この実施例において、サーバ制御部14は、ステップS420で、取得した就寝関連判定時刻の全体中央値および曜日別中央値を計算する。例えば、サーバ制御部14は、取得して存在する最終入室推定時刻のすべてを用いて最終入室推定時刻の全体中央値を計算する。また、サーバ制御部14は、月曜日に対応する就寝関連判定時刻を用いて月曜日の中央値を計算し、同様に、各曜日に対応する就寝関連判定時刻を用いて各曜日の中央値を計算する。
【0193】
図16は、この実施例におけるステップS430の一例を示すフローチャートである。サーバ制御部14は、就寝関連判定時刻の全体中央値と、実際に判定された就寝関連判定時刻との誤差を計算する。そして、サーバ制御部14は、就寝関連時刻の曜日別中央値と、実際に判定された就寝関連判定時刻との誤差を計算する(ステップS432)。誤差計算の仕方については、図18A図19Bを参照しながら後述する。
【0194】
次に、サーバ制御部14は、就寝関連判定時刻の全体中央値と就寝関連時刻の曜日別中央値とのうち、誤差が少ない方を就寝関連時刻とする(ステップS434)。例えば、最終入室判定時刻の全体中央値と曜日別中央値とのうち、誤差が少ない方を最終入室推定時刻にし、就寝開始判定時刻の全体中央値と曜日別中央値とのうち、誤差が少ない方を就寝開始推定時刻にする。
【0195】
次に、推定プロセスのもう一例を紹介する。図17は、実施の形態4における推定プロセスの一例を示すフローチャートである。この推定プロセスは、先の最終入室推定時刻と後の就寝開始推定時刻との順番を順守する推定結果を得ることができる。
【0196】
この例示において、推定プロセスはステップS702~ステップS712を含む。そのうち、ステップS702が図15のステップS410と実質的に同様で、ステップS704が図15のステップS420およびステップS430に対応する。
【0197】
図17の推定プロセスにおいて、サーバ制御部14はまず第3所定期間にわたる就寝関連判定時刻を取得する(ステップS702)。そして、サーバ制御部14は、前述したステップS420およびステップS430のように、就寝関連判定時刻の中央値を計算して就寝関連時刻を仮推定する(ステップS704)。この推定プロセスにおいて、ステップ704で得られた就寝関連時刻は仮の推定結果とされる。仮の推定結果は、ステップS706、ステップS708の確認を経てから確定され、最終的な推定結果として出される。
【0198】
サーバ制御部14は、仮の推定結果に対して、第3時間帯に最終入室推定時刻と就寝開始推定時刻ともにあるか否かを判断する(ステップS706)。最終入室推定時刻と就寝開始推定時刻との片方しかない場合、当該仮推定した就寝関連時刻が最終的な推定結果として確定される(ステップS710)。
【0199】
一方、最終入室推定時刻と就寝開始推定時刻とも存在する場合、サーバ制御部14は、最終入室推定時刻が就寝開始推定時刻より遅くないか否かをさらに判断する(ステップS708)。最終入室推定時刻が就寝開始推定時刻より遅くない場合、すなわち、仮の推定結果において時刻の逆転が発生していない場合、当該仮推定した就寝関連時刻が最終的な推定結果として確定される(ステップS710)。
【0200】
仮の推定結果において、最終入室推定時刻が就寝開始推定時刻より遅いという時刻の逆転が発生する場合、サーバ制御部14は、就寝関連時刻を仮推定しなおしてもよい。例えば、サーバ制御部14は、第3所定期間にわたって最終入室判定時刻と就寝開始判定時刻ともある日の就寝関連判定時刻を抽出し(ステップS712)、抽出したデータを用いて仮推定しなおす(ステップS704)。すなわち、最終入室判定時刻のみある日、および、就寝開始判定時刻のみある日の就寝関連判定時刻は、仮推定しなおしに利用されない。
【0201】
前述したように、ペアリングによって最終入室判定時刻と就寝開始判定時刻ともある場合、当該2つの時刻には逆転が発生しない。よって、最終入室判定時刻と就寝開始判定時刻ともある日のデータのみで推定すれば、推定結果において時刻の逆転が発生しないことを確保することができる。
【0202】
1つの実施例において、ステップS708においては、以下の組み合わせ1~組み合わせ4のうち、最終入室推定時刻が就寝開始推定時刻より遅くない組み合わせがあるかを判断する。
【0203】
(組み合わせ1)最終入室推定時刻(全体中央値)と、就寝開始推定時刻(全体中央値)との組み合わせ
(組み合わせ2)最終入室推定時刻(全体中央値)と、就寝開始推定時刻(曜日別中央値)との組み合わせ
(組み合わせ3)最終入室推定時刻(曜日別中央値)と、就寝開始推定時刻(全体中央値)との組み合わせ
(組み合わせ4)最終入室推定時刻(曜日別中央値)と、就寝開始推定時刻(曜日別中央値)との組み合わせ
【0204】
例えば、組み合わせ1に対して、サーバ制御部14は、最終入室推定時刻の全体中央値が、就寝開始推定時刻の全体中央値より遅くないか否かを判断する。組み合わせ2~4に対しても、同じ論理で判断する。
【0205】
組み合わせ1~組み合わせ4のうち、成立した組み合わせがあれば、サーバ制御部14は当該組み合わせで仮推定した就寝関連時刻を確定する。例えば、仮に組み合わせ2に対して判断するとき、最終入室推定時刻の全体中央値「23:00」が就寝開始推定時刻の曜日別中央値「01:00」より遅くない。この場合、「23:00」が最終入室推定時刻として最終的に確定され、「01:00」が就寝開始推定時刻として最終的に確定される。
【0206】
以下、図18A図19Bを参照しながら、就寝関連判定時刻の中央値と、実際に判定された就寝関連判定時刻との誤差を計算して、就寝関連時刻を推定する方法を説明する。図18Aは、実施の形態4において、全体中央値による推定の一例を示すフローチャートである。図18Bは、実施の形態4において、曜日別中央値による推定の一例を示すフローチャートである。図19Aは、実施の形態4において、全体中央値による誤差計算の一例を示す概略図である。図19Bは、実施の形態4において、曜日別中央値による誤差計算の一例を示す概略図である。
【0207】
サーバ制御部14は、同様な手法で、最終入室判定時刻および就寝開始判定時刻のそれぞれに対して誤差を計算してもよい。図18A図19Bについての説明において、上位概念の「就寝関連判定時刻」を用いて推定プロセスを説明するが、説明中の「就寝関連判定時刻」を「最終入室判定時刻」または「就寝開始判定時刻」に置き換え可能である。
【0208】
この例示におけるステップS802およびステップS822が図15のステップS420に対応し、ステップS804~ステップS810およびステップS824~ステップS830が図15のステップS430に対応する。なお、ステップS802~ステップS810およびステップS822~ステップS830は全部、図17のステップS704に含まれ得る。
【0209】
まず、図18Aに示された、全体中央値による推定について説明する。サーバ制御部14は、第3所定期間にわたる就寝関連判定時刻の全体中央値を計算する(ステップS802)。仮に、サーバ制御部14は、図19Aに示されたデータ列(1)(就寝関連判定時刻)に基づいて、全体中央値「23:00」を算出した。
【0210】
次に、サーバ制御部14は、全体中央値に基づいて第4所定期間分の仮推定時刻を設定する(ステップS804)。第4所定期間は、推定方法の実行頻度によって設定され得る。例えば、推定装置が週ごとに推定方法を実行して翌週の7日間分の就寝関連時刻を推定する場合、第4所定期間は7日間以上に設定される。基本的には、第4所定期間は第3所定期間より短いように設定される。図18A図19Bの実施例において、第4所定期間は7日間に設定される。
【0211】
ステップS804において、サーバ制御部14は、第4所定期間分(一週間分)の仮推定時刻を全部、全体中央値に設定する。すなわち、第4所定期間分の仮推定時刻は全部同じ数値である。図19Aのデータ列(2)に示されたように、全体中央値「23:00」に基づいた第4所定期間分の仮推定時刻は、全部「23:00」と設定されている。
【0212】
サーバ制御部14は、仮推定時刻と、実際に判定された就寝関連判定時刻との誤差を計算して保存する(ステップS806)。1つの実施例において、第4所定期間の各日に対して、仮推定時刻から対応する就寝関連判定時刻を引いた時間差を誤差として計算する。図19Aのデータ列(3)に示されたように、就寝関連判定時刻が仮推定時刻より進んだ場合、誤差をマイナスとして、誤差の単位は分間である。例えば、月曜日の仮推定時刻「23:00」と同じ日に対応する就寝関連判定時刻「23:30」との誤差は「-30(分間)」となる。
【0213】
1つの実施例において、サーバ制御部14は、直近の第4所定期間分の全体中央値の誤差を算出したら、当該誤差(すなわち、図19Aのデータ列(3))をサーバ記憶部12に保存する。このようにすると、推定プロセスが実行する度に、新しい第4所定期間分の全体中央値の誤差が計算されてサーバ記憶部12に記憶される。
【0214】
次に、サーバ制御部14は、第3所定期間にわたる、全体中央値の誤差を取得する(ステップS808)。例えば、第3所定期間が35日間と設定された場合、サーバ制御部14は直近の35日間分の全体中央値の誤差をサーバ記憶部12から読み出す。第4所定期間は第3所定期間より短いように設定されるため、取得した誤差は、ステップS806で計算された誤差を含む。第3所定期間にわたる、全体中央値の誤差の例示は図19Aのデータ列(4)に示されている。
【0215】
次に、サーバ制御部14は、取得した誤差に基づいて、曜日ごとの平均絶対誤差(Mean Absolute Error、MAE)を計算する(ステップS810)。例えば、サーバ制御部14は、35日間において月曜日に対応する誤差を用いて、月曜日のMAEを計算する。算出された、曜日ごとのMAEは図19Aのデータ列(5)に示されている。サーバ制御部14は曜日ごとのMAEを、誤差の大きさについての判断の指標とする。
【0216】
続いて、図18Bに示された、曜日別中央値による推定について説明する。図18Bに示された処理が図18Aに示された処理との違いは、利用される中央値にある。他の処理手法において、図18Bに示された処理と図18Aに示された処理が同じである。
【0217】
図18Bに示された処理において、サーバ制御部14は、就寝関連判定時刻(図19Bのデータ列(6))に基づいて、第3所定期間にわたる就寝関連判定時刻の曜日別中央値を計算して(ステップS822)。次に、サーバ制御部14は、曜日別中央値に基づいて第4所定期間分の仮推定時刻(図19Bのデータ列(7))を設定する(ステップS824)。サーバ制御部14は、曜日別中央値による仮推定時刻と、実際に判定された就寝関連判定時刻との誤差(図19Bのデータ列(8))を計算して保存する(ステップS826)。そして、サーバ制御部14は、第3所定期間にわたる、曜日別中央値の誤差(図19Bのデータ列(9))をサーバ記憶部12から取得する(ステップS828)。取得した誤差に基づいて、サーバ制御部14は、曜日ごとのMAE(図19Bのデータ列(10))を計算する(ステップS830)。
【0218】
サーバ制御部14は、図18Aおよび図18Bに示された処理にしたがって、ステップS804およびステップS824で「最終入室推定時刻(全体中央値)」、「最終入室推定時刻(曜日別中央値)」、「就寝開始推定時刻(全体中央値)」、「就寝開始推定時刻(曜日別中央値)」を取得する。さらに、サーバ制御部14は、ステップS810およびステップS830で「最終入室判定時刻の全体中央値による曜日ごとのMAE」、「最終入室判定時刻の曜日別中央値による曜日ごとのMAE」、「就寝開始判定時刻の全体中央値による曜日ごとのMAE」、および「就寝開始判定時刻の曜日別中央値による曜日ごとのMAE」を取得する。
【0219】
その後、サーバ制御部14は、これらの推定時刻を用いて図17のステップS706~ステップS712を実行して、最終的な推定結果を出すことができる。
【0220】
1つの実施例において、ステップS708で最終入室推定時刻が就寝開始推定時刻より遅くない組み合わせが複数あると判断した場合、サーバ制御部14は、ステップS710でMAEの和に基づいて就寝関連時刻を確定する。さらに具体的にいうと、当該複数の組み合わせのうち、最終入室推定時刻のMAEと就寝開始推定時刻のMAEとの和が最も小さい組み合わせに対応する仮推定結果を最終的な推定結果として確定する。
【0221】
例えば、「組み合わせ1:最終入室推定時刻(全体中央値)と、就寝開始推定時刻(全体中央値)との組み合わせ」および「組み合わせ2:最終入室推定時刻(全体中央値)と、就寝開始推定時刻(曜日別中央値)との組み合わせ」において、最終入室推定時刻が就寝開始推定時刻より遅くない。サーバ制御部14は、最終入室推定時刻(全体中央値)に対応するMAEと、就寝開始推定時刻(全体中央値)に対応するMAEとを合算した結果を、組み合わせ1の誤差値とする。同様に、サーバ制御部14は、最終入室推定時刻(全体中央値)に対応するMAEと、就寝開始推定時刻(曜日別中央値)に対応するMAEとを合算した結果を、組み合わせ2の誤差値とする。仮に組み合わせ1の誤差値が組み合わせ2の誤差値より小さい場合、サーバ制御部14は、最終入室推定時刻(全体中央値)を最終入室推定時刻の最終的な推定結果として確定し、就寝開始推定時刻(全体中央値)を就寝開始推定時刻の最終的な推定結果として確定する。
【0222】
これにより、推定プロセスの処理は完了する。サーバ制御部14は、就寝関連判定時刻の全体中央値および曜日別中央値を計算し、さらにそれぞれの誤差を計算し、誤差が少ない推定時刻を就寝関連時刻とする。そのため、推定プロセスは就寝関連時刻を正確に推定することができる。
【0223】
なお、実施の形態1~3で説明したように、推定した就寝関連時刻は、出力プロセスにおいて、空気調和機の運転に関連する通知または自動制御に利用され得る。
【0224】
上述した設定プロセスと、判定プロセスと、推定プロセスと、出力プロセスとは、連続的に実行する必要がなく、それぞれに独立して実行可能である。また、それぞれのプロセスには、複数の技術的特徴を有するが、これらの技術的特徴も独立して実行可能である。これらの技術的特徴は任意に組み合わせ可能である。推定装置は、照度情報ログに基づいて、任意に組み合わせた技術を実行することによって、推定方法を行う。例えば、推定装置は、第1判定条件および第2判定条件のみで点灯時刻および消灯時刻を判定するとともに、推定した就寝関連時刻に基づいて通知を情報端末に出力してもよい。例えば、推定装置は、図13A、図13Bに示された判定プロセスおよび図17に示された推定プロセスで就寝関連時刻を推定するとともに、推定した就寝関連時刻に基づいて空気調和機を制御してもよい。
【0225】
以上は本開示の具体的な実施の形態に過ぎず、本開示の保護範囲はこれに限定されるものではない。本開示は図面および前述した具体的な実施の形態において前述された内容を含むが、本開示がそれらの内容に限定されるものではない。本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、開示された様々の実施の形態または実施例を組み合わせることができる。本開示の機能および構造原理から逸脱しない変更は特許請求の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0226】
10 サーバ
12 サーバ記憶部
14 サーバ制御部
16 サーバ通信部
20 空気調和機
21 空調記憶部
22 空調制御部
23 空調通信部
24 温度センサ
25 照度センサ
30 情報端末
32 関連アプリケーション
40 照明装置
SC1~SC3 画面
R1~R7 表示区域
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B