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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057866
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】エンジン駆動型発電機
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/04 20060101AFI20230417BHJP
   H02P 9/00 20060101ALN20230417BHJP
   H02P 101/25 20150101ALN20230417BHJP
   H02P 103/10 20150101ALN20230417BHJP
【FI】
H02P9/04 J
H02P9/00 C
H02P101:25
H02P103:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167583
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000241795
【氏名又は名称】北越工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西巻 健一
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590CA07
5H590CC08
5H590CC24
5H590CD03
5H590CE02
5H590DD43
5H590DD64
5H590EA08
5H590EB17
5H590FA05
5H590GA09
5H590HA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】接続されるモータ機器の仕様に応じてエンジン駆動型発電機の最大出力周波数と定格電圧を適切な組み合わせとなるよう容易に切替え可能とする。
【解決手段】インバータ2に第1接続状態(端子22cと22aが非接続)のとき最大出力周波数を第1最大出力周波数(一例として58Hz)とし,第2接続状態(端子22cと22aが接続)のとき第2最大出力周波数(一例として48Hz)と成す最大出力周波数設定用外部接続端子22を設け,発電機本体の自動電圧調整器(AVR)43に第1接続状態(端子44cと44aが接続)のときに定格電圧を第1定格出力電圧(220V)とし,第2接続状態(端子44cと44bが接続)のときに第2定格出力電圧(200V)と成す定格出力電圧設定用外部接続端子44を設け,制御盤7に設けた切替スイッチ5でインバータ2の外部接続端子22とAVRの外部接続端子44の接続状態を同時に切替え可能とした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機本体と,該発電機本体を駆動するエンジン,前記発電機本体で発生した電力を出力する三相出力端子台,前記発電機本体と前記三相出力端子台間に設けられ,前記発電機本体が出力した三相交流電力の周波数を変換して前記三相出力端子台に出力するインバータ,及び前記発電機本体の出力電圧を制御する自動電圧調整器を備えたエンジン駆動型発電機において,
前記インバータに,該インバータの最大出力周波数の設定を所定の第1最大出力周波数,又は,所定の第2最大出力周波数に設定する最大出力周波数設定手段を設けると共に,
前記自動電圧調整器に,該自動電圧調整器が制御する前記発電機本体の定格出力電圧の設定を所定の第1定格出力電圧,又は,所定の第2定格出力電圧に設定する定格出力電圧設定手段を設け,
前記最大出力周波数設定手段と,前記定格出力電圧設定手段を連動して動作させて,前記最大出力周波数の設定を前記第1最大出力周波数としたとき,同時に前記定格出力電圧の設定を前記第1定格出力電圧と成すと共に,前記最大出力周波数の設定を前記第2最大出力周波数としたときに,同時に前記定格出力電圧の設定を前記第2定格出力電圧とする,連動動作手段を,前記エンジン駆動型発電機の制御盤上に操作可能に設けたことを特徴とするエンジン駆動型発電機。
【請求項2】
前記インバータに,前記最大出力周波数設定手段として,所定の第1接続状態としたときに前記最大出力周波数を前記第1最大出力周波数と成すと共に,所定の第2接続状態としたときに前記最大出力周波数を前記第2最大出力周波数と成す,最大出力周波数設定用外部接続端子を設け,
前記自動電圧調整器に,前記定格出力電圧設定手段として,所定の第1接続状態としたときに前記定格出力電圧を前記第1定格出力電圧と成すと共に,所定の第2接続状態としたときに前記定格出力電圧を前記第2定格出力電圧と成す,定格出力電圧設定用外部接続端子を設け,
前記連動動作手段を,
前記最大出力周波数設定用外部接続端子と,前記定格出力電圧設定用外部接続端子のそれぞれに接続された接点を有し,
前記最大出力周波数設定用外部接続端子と前記定格出力電圧設定用外部接続端子を,いずれも前記第1接続状態と成すよう前記接点間を接続する第1切替位置と,
前記最大出力周波数設定用外部接続端子と前記定格出力電圧設定用外部接続端子を,いずれも前記第2接続状態と成すよう前記接点間を接続する第2切替位置を有する,切替スイッチとしたことを特徴とする請求項1記載のエンジン駆動型発電機。
【請求項3】
前記エンジン駆動型発電機の前記制御盤に,
前記エンジンの定格回転速度を,第1定格回転速度又は第2定格回転速度に変更する,定格回転速度変更手段の操作部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のエンジン駆動型発電機。
【請求項4】
前記エンジンを,エンジンコントロールモジュールを備えた電子制御式のエンジンとし,
該エンジンコントロールモジュールに,前記エンジンの定格回転速度の設定を,所定の第1定格回転速度,又は,所定の第2定格回転速度に切り替える,定格回転速度設定手段を設け,
前記連動動作手段が,前記最大出力周波数設定手段,及び,前記定格出力電圧設定手段と共に,前記定格回転速度設定手段を連動して動作させて,前記最大出力周波数を前記第1最大出力周波数,前記定格出力電圧を前記第1定格出力電圧に設定するとき,同時に前記定格回転速度を前記第1定格回転速度に設定すると共に,
前記最大出力周波数を前記第2最大出力周波数,前記定格出力電圧を前記第2定格出力電圧に設定するとき,同時に前記定格回転速度を前記第2定格回転速度に設定することを特徴とする請求項1記載のエンジン駆動型発電機。
【請求項5】
前記エンジンを,エンジンコントロールモジュールを備えた電子制御式のエンジンとし,
該エンジンコントロールモジュールに,所定の第1接続状態としたときに前記定格回転速度を所定の第1定格回転速度に設定し,所定の第2接続状態としたときに前記定格回転速度を所定の第2定格回転速度に設定する,定格回転速度設定用外部接続端子を設け,
前記切替スイッチに,前記定格回転速度設定用外部接続端子に接続された接点を更に設け,
前記切替スイッチを前記第1切替位置としたときに前記定格回転速度設定用外部接続端子を前記第1接続状態と成すと共に,前記切替スイッチを前記第2切替位置としたときに前記定格回転速度設定用外部接続端子を前記第2接続状態とするように前記接点間を接続するよう構成したことを特徴とする請求項2記載のエンジン駆動型発電機。
【請求項6】
前記インバータに設けた前記最大出力周波数設定手段に,前記最大出力周波数の設定を前記第1最大出力周波数としたとき,同時に前記インバータの基底周波数の設定を所定の第1基底周波数と成すと共に,前記最大出力周波数の設定を前記第2最大出力周波数としたときに,同時に前記インバータの基底周波数の設定を所定の第2基底周波数と成す,基底周波数設定機能を付加したことを特徴とする請求項1記載のエンジン駆動型発電機。
【請求項7】
前記最大出力周波数設定用外部接続端子が,前記第1接続状態であるときに前記最大出力周波数を前記第1最大出力周波数と成すと共に前記インバータの基底周波数を所定の第1基底周波数とし,前記第2接続状態であるときに前記最大出力周波数を前記第2最大出力周波数と成すと共に前記インバータの基底周波数を所定の第2基底周波数と成すことを特徴する請求項2記載のエンジン駆動型発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジン駆動型発電機に関し,より詳細には,出力周波数を可変としたインバータ内蔵型のエンジン駆動型発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン303と,このエンジン303によって駆動される発電機本体304を例えば共通の防音箱308内に収容した可搬式のエンジン駆動型発電機300は,その可搬性により工事現場やイベント会場等,特に屋外において電源の確保が必要となる場合に広く使用されている。
【0003】
このようなエンジン駆動型発電機300では,図10に示すように,エンジン駆動型発電機300に接続して使用する図示せざる機器(負荷)が水中ポンプのように三相誘導電動機を備えた機器(以下,このような機器を「モータ機器」という。)である場合に,このモータ機器に対する出力周波数を可変とすべく,発電機本体304の出力を三相出力線351(図示の例では351a)を介してインバータ302に入力し,このインバータ302で周波数変換を行った後,三相出力端子台361に接続されたモータ機器に出力することができるようにしたものも提案されている(特許文献1の請求項3,図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-110098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インバータ302を備えた前述のエンジン駆動型発電機300では,オペレータが制御盤307に設けたダイヤルスイッチなどの周波数設定手段321を操作して周波数を設定すると,インバータ302は発電機本体304の出力を,設定された周波数に変換して出力することで,設定された周波数に応じてモータ機器の回転速度を可変とすることができ,一例として前述のモータ機器が水中ポンプである場合,作業場所に浸入する水の量とバランスした排水量を発生させる回転速度で水中ポンプを駆動する等,状況に応じてモータ機器の運転を制御することが可能となる。
【0006】
ここで,商用電源から電力の供給を受けて駆動される汎用のモータ機器には,商用電源の周波数に対応して,60Hz/220Vで作動させることを前提に設計されたものと,50Hz/200Vで作動させることを前提に設計されたものが存在している。
【0007】
一方,インバータを備えた前述のエンジン駆動型発電機では,前述した60Hz/220V,50Hz/200Vのいずれの仕様のモータ機器が接続された場合にも対応できるよう,前述したダイヤルスイッチ321等によって変化させることができる周波数の最大値(最大出力周波数)は,高い方の周波数である60Hzに対応して設定するのが一般的である。
【0008】
そのため,前述したダイヤルスイッチ321の操作等によって出力周波数を最大60Hzまで上昇させることが可能であり,エンジン駆動型発電機300に接続されているモータ機器が50Hz仕様のモータ機器である場合に誤って50Hzを越えた出力周波数を出力すると,モータ機器に対し過電流が流れ,焼損などの故障につながるおそれがある。
【0009】
このような問題に対応するために,60Hz仕様のモータ機器が接続されている場合にはインバータ302の最大出力周波数を一例として60Hzとするが,50Hz仕様のモータ機器が接続されている場合にはインバータの最大出力周波数を一例として50Hzとするといったように,インバータ302の最大出力の設定を接続するモータ機器の仕様に合わせて変更することも考えられる。
【0010】
しかし,インバータ302の最大出力周波数の設定を変更するためには,防音箱308のボンネットの一部を外す等してインバータ302を露出させ,このインバータ302に設けられている操作パネルを操作して設定を変更する作業が必要となる。
【0011】
また,50Hzの周波数で使用されるモータ機器では定格電圧が200V,60Hzの周波数で使用されるモータ機器では定格電圧が220Vにそれぞれ設定されているため,接続するモータ機器の仕様に応じて最大出力周波数の設定を変更する場合,併せて発電機本体304の定格出力電圧の設定についても変更する必要がある。
【0012】
しかし,このような定格出力の設定を変更する場合にも,防音箱308のボンネットの一部を外す等して発電機本体304の出力電圧を制御する自動電圧調整器(AVR)343を露出させて出力電圧の設定を変更する等の作業が必要であり,モータ機器を付け替える毎にこのような作業を行うのは極めて煩雑である。
【0013】
そのため,接続するモータ機器の仕様に応じて,比較的簡単に最大出力周波数と定格電圧の設定を正しい組み合わせで正確に変更することができるエンジン駆動型発電機が要望されている。
【0014】
そこで,本発明は,上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり,インバータを内蔵したエンジン駆動型発電機において,接続するモータ機器(三相誘導電動機)の仕様に応じて,エンジン駆動型発電機側の設定についても,設定間違いなどを生じさせることなく,適切な組み合わせで,極めて簡単な作業によって容易に変更することができるエンジン駆動型発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と,発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0016】
上記目的を達成するために,本発明のエンジン駆動型発電機1は,
発電機本体4と,該発電機本体4を駆動するエンジン3,前記発電機本体4で発生した電力を出力する三相出力端子台62,前記発電機本体4と前記三相出力端子台62間に設けられ,前記発電機本体4が出力した三相交流電力の周波数を変換して前記三相出力端子台62に出力するインバータ2,及び前記発電機本体4の出力電圧を制御する自動電圧調整器(AVR)43を備えたエンジン駆動型発電機1において,
前記インバータ2に,該インバータ2の最大出力周波数の設定を所定の第1最大出力周波数(一例として58Hz),又は,所定の第2最大出力周波数(一例として48Hz)に設定する最大出力周波数設定手段22(22a~22d)を設けると共に,
前記自動電圧調整器(AVR)43に,該自動電圧調整器(AVR)43が制御する前記発電機本体4の定格出力電圧の設定を所定の第1定格出力電圧(一例として220V),又は,所定の第2定格出力電圧(一例として200V)に設定する定格出力電圧設定手段44(44a~44c)を設け,
前記最大出力周波数設定手段22(22a~22d)と,前記定格出力電圧設定手段44(44a~44c)を連動して動作させて,前記最大出力周波数の設定を前記第1最大出力周波数(58Hz)としたとき,同時に前記定格出力電圧の設定を前記第1定格出力電圧(220V)と成すと共に,前記最大出力周波数の設定を前記第2最大出力周波数(48Hz)としたときに,同時に前記定格出力電圧の設定を前記第2定格出力電圧(200V)とする,連動動作手段5を,前記エンジン駆動型発電機1の制御盤7上に操作可能に設けたことを特徴とする(請求項1:図2図4参照)。
【0017】
前記インバータ2に,前記最大出力周波数設定手段22として,所定の第1接続状態(一例としてコモン端子22cと第1入力端子22aを非接続とした状態)としたときに前記最大出力周波数を前記第1最大出力周波数(58Hz)と成すと共に,所定の第2接続状態(一例としてコモン端子22cと第1入力端子22aを接続した状態)としたときに前記最大出力周波数を前記第2最大出力周波数(48Hz)と成す,最大出力周波数設定用外部接続端子22(22a~22d)を設け,
前記自動電圧調整器(AVR)43に,前記定格出力電圧設定手段44として,所定の第1接続状態(一例としてコモン端子44cと第1入力端子44aを接続した状態)としたときに前記定格出力電圧を前記第1定格出力電圧(220V)と成すと共に,所定の第2接続状態(一例としてコモン端子44cと第2入力端子44bを接続した状態)としたときに前記定格出力電圧を前記第2定格出力電圧(200V)と成す,定格出力電圧設定用外部接続端子44(44a~44c)を設け,
前記連動動作手段5を,
前記最大出力周波数設定用外部接続端子22と,前記定格出力電圧設定用外部接続端子44にそれぞれに接続された接点(51a~51c,52a~52c)を有し,
前記最大出力周波数設定用外部接続端子22と前記定格出力電圧設定用外部接続端子44を,いずれも前記第1接続状態と成すよう前記接点(51a~51c,52a~52c)間を接続する第1切替位置〔図2(A)参照〕と,
前記最大出力周波数設定用外部接続端子22と前記定格出力電圧設定用外部接続端子44を,いずれも前記第2接続状態と成すよう前記接点(51a~51c,52a~52c)間を接続する第2切替位置〔図2(B)参照〕を有する,切替スイッチ5とするものとしてもよい(請求項2:図2図4参照)。
【0018】
前記エンジン駆動型発電機1の前記制御盤7には,更に,前記エンジン3の定格回転速度を,第1定格回転速度(一例として1800min-1)又は第2定格回転速度(一例として1500min-1)に変更する,定格回転速度変更手段56の操作部57,57’を設けるものとしても良い(請求項3:図5図7参照)。
【0019】
なお,前記エンジン3を,エンジンコントロールモジュール(ECM)31を備えた電子制御式のエンジンとした場合,
該エンジンコントロールモジュール(ECM)31に,前記エンジン3の定格回転速度の設定を,所定の第1定格回転速度(1800min-1),又は,所定の第2定格回転速度(1500min-1)に切り替える,定格回転速度設定手段32(32a~32c)を設け,
前記連動動作手段5が,前記最大出力周波数設定手段22,及び,前記定格出力電圧設定手段44と共に,前記定格回転速度設定手段32を連動して動作させて,前記最大出力周波数を前記第1最大出力周波数(58Hz),前記定格出力電圧を前記第1定格出力電圧(220V)に設定するとき,同時に前記定格回転速度を前記第1定格回転速度(1800min-1)に設定すると共に,
前記最大出力周波数を前記第2最大出力周波数(48Hz),前記定格出力電圧を前記第2定格出力電圧(200V)に設定するとき,同時に前記定格回転速度を前記第2定格回転速度(1500min-1)に設定するようにすることができる(請求項4:図3図4参照)。
【0020】
同様に,前記エンジン3を,エンジンコントロールモジュール(ECM)31を備えた電子制御式のエンジンとする場合,
該エンジンコントロールモジュール(ECM)31に,所定の第1接続状態(一例としてコモン端子32cと第1入力端子32aを接続した状態)としたときに前記定格回転速度を所定の第1定格回転速度(1800min-1)に設定し,所定の第2接続状態(一例としてコモン端子32cと第2入力端子32bを接続した状態)としたときに前記定格回転速度を所定の第2定格回転速度(1500min-1)に設定する,定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)を設け,
前記切替スイッチ5に,前記定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)に接続された接点(53a~53c)を更に設け,
前記切替スイッチ5を前記第1切替位置としたときに前記定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)を前記第1接続状態と成すと共に,前記切替スイッチ5を前記第2切替位置としたときに前記定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)を前記第2接続状態とするように前記接点(53a~53c)間を接続するよう構成するものとしても良い(請求項5:図3図4参照)。
【0021】
更に,前記インバータ2に設けた前記最大出力周波数設定手段22に,前記最大出力周波数の設定を前記第1最大出力周波数(58Hz)としたとき,同時に前記インバータの基底周波数の設定を第1基底周波数(一例として60Hz)と成すと共に,前記最大出力周波数の設定を前記第2最大出力周波数(48Hz)としたときに,同時に前記インバータの基底周波数の設定を第2基底周波数(一例として50Hz)と成す,基底周波数設定機能を追加するものとしても良い(請求項6:図4参照)。
【0022】
このような基底周波数設定機能を実現するために,前記最大出力周波数設定手段22を,前記最大出力周波数設定用外部接続端子22(22a~22d)が前記第1接続状態(一例としてコモン端子22cと入力端子22aを非接続とした状態)であるときに前記最大出力周波数を前記第1最大出力周波数(58Hz)と成すと共に前記インバータ2の基底周波数を所定の第1基底周波数(60Hz)とし,前記第2接続状態(一例としてコモン端子22cと入力端子22aを接続した状態)であるときに前記最大出力周波数を前記第2最大出力周波数(48Hz)と成すと共に前記インバータ2の基底周波数を所定の第2基底周波数(50Hz)と成すように構成する(請求項7:図4参照)。
【発明の効果】
【0023】
以上で説明した本発明の構成により,本発明のエンジン駆動型発電機1では以下の顕著な効果を得ることができた。
【0024】
インバータ2の最大出力周波数の設定変更と,自動電圧調整器(AVR)43の定格出力電圧の設定変更を同時に行う連動動作手段(切替スイッチ)5を,エンジン駆動型発電機1の制御盤7上に設けたことで,制御盤7に設けた連動動作手段(切替スイッチ)5の操作によって,インバータ2の最大出力周波数の設定と,発電機本体4の定格出力電圧の設定を同時に,かつ,適切な組み合わせとなるように変更することができた。
【0025】
その結果,第1最大出力周波数を例えば58Hz,第1定格出力電圧を例えば220Vとし,第2最大出力周波数を例えば48Hz,第2定格出力電圧を例えば200Vに設定しておくことで,三相出力端子台62に接続されたモータ機器Mの仕様が60Hz/220Vであるか,又は,50Hz/200Vであるかによって,防音箱8のボンネット等を外してインバータ2や自動電圧調整器(AVR)43を直接操作して設定変更を行うことなしに,制御盤7に設けた連動動作手段(切替スイッチ)5を操作するだけで,エンジン駆動型発電機1側の設定を58Hz/220V,又は48Hz/200Vに簡単に切り替えが可能である。
【0026】
また,このように設定する場合,三相出力端子台62に接続されたモータ機器Mの仕様が50Hz/200Vである場合には,最大出力周波数/定格出力電圧として第2最大出力周波数(48Hz)/第2定格出力電圧(200V)の組み合わせを選択することにより,ダイヤルスイッチ等により構成される周波数設定手段21を最大量で操作した場合であっても出力周波数を第2最大出力周波数(48Hz)までしか上昇させることができず,接続されたモータ機器Mの仕様(前述の例では50Hz)を越えた周波数の出力を防止することでモータ機器Mの破損等を防止することができた。
【0027】
一方,三相出力端子台62に接続されたモータ機器Mの仕様が60Hz/220Vである場合には,最大出力周波数/定格出力電圧として,第1最大出力周波数(58Hz)/第1定格出力電圧(220V)の組み合わせを選択することにより,ダイヤルスイッチ等から成る周波数設定手段21を最大量操作することで出力周波数を第2最大出力周波数(58Hz)まで上昇させることができ,接続されたモータ機器Mの仕様の範囲内で回転速度を最大限近くまで上昇させることが可能である。
【0028】
前記エンジン駆動型発電機1の前記制御盤7に,更に前記エンジン3の定格回転速度を,第1定格回転速度(1800min-1),又は第2定格回転速度(1500min-1)に変更する,定格回転速度変更手段56の操作部57,57’を設けた構成では,最大出力周波数と定格出力電圧の設定変更のみならず,エンジン3の定格回転速度の設定変更についても制御盤7上に設けた操作部57,57’の操作によって簡単に行うことができた。
【0029】
更に,エンジン3がエンジンコントロールモジュール(ECM)31を備えた電子制御式のエンジンである場合には,このエンジンコントロールモジュール(ECM)31に定格回転速度設定手段32(32a~32c)を設け,この定格回転速度設定手段32(32a~32c)についても制御盤7に設けた連動動作手段(切替スイッチ)5により,最大出力周波数設定手段22及び定格出力電圧設定手段44と連動した操作を可能としたことで,インバータ2の最大出力周波数,発電機本体4の定格出力電圧のみならず,エンジン3の定格回転速度の設定についても,制御盤7に設けた連動動作手段(切替スイッチ)5を操作するだけで同時に変更することができた。
【0030】
また,これらの設定をいずれも連動動作手段(切替スイッチ)5の操作によって同時に行うことができるようにしたことで,最大出力周波数,定格出力電圧,及び定格回転速度が,誤った組み合わせで設定されることを確実に防止することができた。
【0031】
更に,前記最大出力周波数設定手段22に,前記最大出力周波数の設定を前記第1最大出力周波数(58Hz)としたとき,同時に前記インバータ2の基底周波数の設定を所定の第1基底周波数(60Hz)と成すと共に,前記最大出力周波数の設定を前記第2最大出力周波数(48Hz)としたときに,同時に前記インバータ2の基底周波数の設定を所定の第2基底周波数(50Hz)とする,基底周波数設定機能を付加したことで,三相出力端子台62に接続されたモータ機器Mの仕様に対応した基底周波数と基底周波数電圧に基づいた,所謂「V/f一定制御」を行うことで,回転速度の変更によってもモータ機器Mを定トルクで運転することができた。
【0032】
特に,前記最大出力周波数設定手段22の前記最大出力周波数設定用外部接続端子22(22a~22d)が,所定の第1接続状態(一例としてコモン端子22cと第1入力端子22aを非接続とした状態)としたときに前記最大出力周波数を前記第1最大出力周波数(58Hz)と成すと共に前記基底周波数を前記第1基底周波数(60Hz)とし,所定の第2接続状態(一例としてコモン端子22cと第1入力端子22aを接続した状態)としたときに前記最大出力周波数を前記第2最大出力周波数(48Hz)と成すと共に前記基底周波数を前記第2基底周波数(50Hz)と成すように構成したことで,連動動作手段(切替スイッチ)5の操作によって最大出力周波数と定格出力電圧の設定,又は,最大出力周波数と定格出力電圧,及びエンジンの定格回転速度の設定を同時に切り替えることができるだけでなく,更に,基底周波数の設定,従って,インバータの出力特性の変更についても同時に行うことができた。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明のエンジン駆動型発電機の外観斜視図。
図2】本発明のエンジン駆動型発電機の概略説明図であり,(A)は切替スイッチが第1切替位置(最大出力周波数58Hz/定格出力電圧220V設定)にある状態,(B)は切替スイッチが第2切替位置(最大出力周波数48Hz/定格出力電圧200V設定)にある状態。
図3】本発明のエンジン駆動型発電機の変更例を示す概略説明図。
図4】本発明のエンジン駆動型発電機の更に別の変更例を示す説明図。
図5】制御盤の構成例の説明図。
図6】定格回転速度変更手段の説明図。
図7】制御盤の変更例(図5中,破線で囲った部分の変更例)の説明図。
図8】制御盤の別の変更例(図5中,破線で囲った部分の変更例)の説明図。
図9】V/f一定制御の説明図。
図10】従来のエンジン駆動型発電機(特許文献1の図1に対応)。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に,添付図面を参照しながら本発明の構成につき説明する。
【0035】
なお,以下の説明ではインバータの第1/第2最大出力周波数を,一例として商用電源の周波数である60Hz/50Hzに対し所定の余裕分低い周波数である58Hz/48Hzに設定することで,モータ機器Mの仕様(通常60Hz/50Hz)を越えた周波数の出力が行われることを確実に防止できるようにしているが,第1/第2最大出力周波数は,接続されるモータ機器Mの仕様以下(60Hz/50Hz以下)の範囲内で適宜設定可能であり,例えばモータ機器の仕様に対応した60Hz/50Hzに第1/第2最大出力周波数を設定するものとしても良い。
【0036】
〔エンジン駆動型発電機の全体構成〕
図1及び図2において,符号1は,本発明のエンジン駆動型発電機であり,このエンジン駆動型発電機1は,防音箱8内に,エンジン3,前記エンジン3によって駆動される発電機本体4,この発電機本体4によって発電された電力を取り出すための出力線61や,該電力の周波数を変更するインバータ2等の必要な機器を収容した構成を備えている。
【0037】
また,このエンジン駆動型発電機1には,エンジン3,発電機本体4,インバータ2等の動作を制御するためのスイッチ類や計器類を備えた制御盤7や,発電機本体4で発生した電力の供給を受けて駆動されるモータ機器Mが接続される三相出力端子台62が,前述の防音箱8の外側から操作可能な位置に設けられている。
【0038】
〔発電機本体〕
エンジン駆動型発電機1の主要な構成部材の一つである前述の発電機本体4は,既知の各種型式のものを使用可能であり,本実施形態にあっては一例として図2に示すように励磁機42を備えた自励式の三相交流発電機を発電機本体4として使用している。
【0039】
このような励磁機42を備えた発電機本体4には,自動電圧調整器(AVR)43が設けられており,この自動電圧調整器(AVR)43によって主発電機41の出力電圧が検出されると共に,この検出された主発電機41の出力電圧が予め設定された基準電圧と比較され,検出された主発電機41の出力電圧と基準電圧に誤差がある場合,主発電機41の出力電圧が基準電圧と一致するように,励磁機42へ供給する励磁電流を制御している。
【0040】
従って,自動電圧調整器(AVR)43で使用する前述の基準電圧の設定を変更することで,発電機本体4の定格出力電圧を変更することができるように構成されている。
【0041】
本発明のエンジン駆動型発電機1では,この自動電圧調整器(AVR)43に,前述した基準電圧の設定,従って,発電機本体4の定格出力電圧の設定を所定の第1定格出力電圧(220V),又は第2定格出力電圧(200V)に設定する,定格出力電圧設定手段44を設けている。
【0042】
本実施形態において,この定格出力電圧設定手段44として定格出力電圧設定用外部接続端子44(44a~44c)を設けており,この外部接続端子44(44a~44c)間の接続状態を変更することで定格出力電圧の設定を変更することができるようにした。
【0043】
図示の例では,コモン端子44cを第1入力端子44aに接続した状態である第1接続状態〔図2(A)参照〕とすると,コモン端子44cからの制御信号が第1入力端子44aに入力されて,発電機本体4の定格出力電圧が220Vに設定される一方,コモン端子44cを第2接続端子44bに接続した第2接続状態〔図2(B)参照〕とすると,コモン端子44cからの制御信号が第2入力端子44bに入力されて,発電機本体4の定格出力電圧が200Vに設定されるように構成されている。
【0044】
〔インバータ〕
以上のように構成されたエンジン駆動型発電機1には,発電機本体4で発生した電力を取り出すための出力線61が設けられており,この出力線61がインバータ2,及びブレーカ63を介して,モータ機器Mが接続される三相出力端子台62に接続されている。
【0045】
このインバータ2は,入力された電力を直流に変換するコンバータ部(図示せず)と,コンバータ部で得た直流を所定の周波数と電圧の交流に変換するインバータ部(図示せず)を有しており,既知のPWM(パルス幅変調)方式等により,制御盤7に設けたダイヤルスイッチなどの周波数設定手段21の操作によってオペレータが設定した任意の周波数の交流出力を発生することができるように構成されている。
【0046】
ここで,モータ機器Mには,前述したように60Hz/220Vでの駆動を前提として設計されたものと,50Hz/200Vでの駆動を前提として設計されたものがあり,50Hz/200Vでの駆動を前提として設計されたモータ機器Mに対し60Hz/220Vを出力するとモータ機器Mが破損するおそれがある。
【0047】
そこで本発明のエンジン駆動型発電機1では,インバータ2に図2に示すように最大出力周波数設定手段22(22a~22d)を設け,この最大出力周波数設定手段22によって,最大出力周波数を第1最大出力周波数(58Hz)又は,第2最大出力周波数(48Hz)のいずれかを選択して設定して,周波数設定手段21の操作によりインバータに出力させることが可能な周波数の最大値を,第1最大出力周波数(58Hz)と第2最大出力周波数(48Hz)とで可変とすることができるようにしている。
【0048】
本実施形態では,この最大出力周波数設定手段22を,最大出力周波数設定用外部接続端子22(22a~22d)によって構成し,この最大出力周波数設定用外部接続端子22(22a~22d)の接続状態を変化させることにより,最大出力周波数の設定を,第1最大出力周波数(58Hz)と第2最大出力周波数(48Hz)間で切り替えることができるようにした。
【0049】
図示の実施形態では,この最大出力周波数設定用外部接続端子22として,コモン端子22cと,該コモン端子22cと接続/遮断される第1入力端子22a,出力周波数設定手段21に接続された第2入力端子22b及び第3入力端子22dを設けている。
【0050】
このうちの第2入力端子22bは,コモン端子22cと第1入力端子22a間が接続された第2接続状態〔図2(B)参照〕にある時には無効化されているが,コモン端子22cと第1入力端子22a間が遮断された第1接続状態〔図2(A)参照〕にある時に有効化されて周波数設定手段21の操作量に応じた制御信号が,周波数設定手段21からインバータに設けられている図示せざる制御装置に対し,該第2入力端子22bを介して入力される。
【0051】
また,第3入力端子22dは,コモン端子22cと第1入力端子22a間が遮断されている第1接続状態〔図2(A)参照〕にあるときには無効化されているが,コモン端子22cと第1入力端子22a間が接続されている第2接続状態〔図2(B)参照〕にあるときに有効化されて周波数設定手段21の操作量に応じた制御信号が,周波数設定手段21からインバータ2に設けられている図示せざる制御装置に対し,該第3入力端子22dを介して入力されるように構成されている。
【0052】
このようにして,第2入力端子22bが有効化された状態,すなわちインバータ2に設けた制御装置(図示せず)が第2入力端子22bを介して周波数設定手段21からの制御信号を受信している状態では,該制御装置(図示せず)は,最大出力周波数を第1最大出力周波数(58Hz)とし,この第1最大出力周波数(58Hz)の範囲内で,受信した制御信号によって規定される周波数設定手段21の操作量に応じた周波数での出力をインバータ2に行わせる。
【0053】
一方,第3入力端子22dが有効化された状態,すなわちインバータ2に設けた制御装置(図示せず)が第3入力端子22dを介して周波数設定手段21からの制御信号を受信している状態では,該制御装置(図示せず)は,最大出力周波数を第2最大出力周波数(48Hz)とし,この第2最大出力周波数(48Hz)の範囲内で,受信した制御信号によって規定される周波数設定手段21の操作量に応じた周波数での出力をインバータ2に行わせる。
【0054】
従って,コモン端子22cと第1入力端子22a間の接続が遮断された第1接続状態とすることで,最大出力周波数を第1最大出力周波数(58Hz)に設定することができ,また,コモン端子22cと第1入力端子22aが接続された第2接続状態として,コモン端子22cからの制御信号(接点信号)を第1入力端子22aに入力することで,最大出力周波数を第2最大出力周波数(48Hz)に変更することができるように構成されている。
【0055】
その結果,最大出力周波数設定用外部接続端子22を第1接続状態(22a-22c間を遮断)した状態において,オペレータは周波数設定手段21の操作によりインバータ2の出力周波数を,最大で第1最大出力周波数(58Hz)まで上昇させることができるが,外部接続端子22を第2接続状態(22a-22c間を接続)とした場合,オペレータが周波数設定手段21を最大量で操作しても,インパータの出力周波数を,第2最大出力周波数(48Hz)を越えて上昇させることができなくなる。
【0056】
〔エンジン〕
前述の発電機本体4を駆動するエンジン3は,発電機本体4において所定の周波数(50Hz又は60Hz)が得られるように所定の定格回転速度で運転できるように構成されており,一例として,本実施形態の構成において,エンジン3の定格回転速度を第1定格回転速度(1800min-1)とした場合には,発電機本体4からは周波数60Hzの出力が得られるようになっていると共に,エンジン3の定格回転速度を第2定格回転速度(1500min-1)とした場合,発電機本体4からは周波数50Hzの出力が得られるようになっている。
【0057】
従って,インバータ2の最大出力周波数の設定を第1最大出力周波数(58Hz)とする場合,エンジンの定格回転速度を第1定格回転速度(1800min-1)とし,また,インバータの最大出力周波数を第2最大出力周波数(48Hz)に設定する場合,エンジンの定格回転速度を第2定格回転速度(1500min-1)とする必要がある。
【0058】
このような定格回転速度の設定変更を可能とすべく,本発明のエンジン駆動型発電機1には,定格回転速度変更手段56が設けられていると共に,この定格回転速度変更手段56の操作部57,57’を制御盤7に設け,制御盤7上でこの定格回転速度変更手段56の操作部57,57’を操作することで,エンジン3の定格回転速度についても設定変更することができるように構成した。
【0059】
前述のエンジン3として,調速機構に機械式ガバナを採用した本実施形態の構成では,図6に示すようにこの定格回転速度変更手段56を,制御盤7に設けた操作部(操作ノブ)57と,この操作ノブ57とエンジン3のガバナレバー33とを連結する機械式リンク(図6の例においてリンクケーブル)58によって構成し,操作ノブ57によってエンジン3のガバナレバー33を操作できるように構成した。
【0060】
本実施形態においてこの操作ノブ57は,図6中に拡大図で示すように,制御盤7に向かって押し込んだ状態の位置(アイドリング位置)と,引き出した状態の位置(運転位置)で進退移動させることができるように構成されていると共に,引き出した状態の位置(運転位置)で操作ノブ57を反時計回り方向に回転させることでエンジンの回転速度が高速に,時計回り方向に回転させることでエンジンの回転速度が低速となるようガバナレバー33の傾動位置を調整できるように構成されている。
【0061】
従って,操作ノブ57を押し込んだ状態の位置(アイドリング位置)でエンジンを始動させた後,オペレータが操作ノブ57を引き出すことで,エンジンの回転速度を定格回転速度まで上昇させることができると共に,この状態で制御盤7に設けたエンジンの回転速度計等を見ながら操作ノブ57を操作して,インバータ2の最大出力周波数の設定を第1最大出力周波数(58Hz)とする場合には操作ノブ57を反時計回り方向に回転させてエンジンの定格回転速度が第1回転速度(高速:1800min-1)となる(近づく)ように変更し,インバータ2の最大出力周波数の設定を第2最大出力周波数(48Hz)とする場合には操作ノブ57を時計回り方向に回転させてエンジンの定格回転速度が第2回転速度(低速:1500min-1)となる(近づく)ように変更することができる。
【0062】
〔連動動作手段(切替スイッチ)〕
以上のように構成したエンジン駆動型発電機1の制御盤7には,前述した自動電圧調整器(AVR)43に設けた定格出力電圧設定手段44と,インバータ2に設けた最大出力周波数設定手段22を連動させて操作して,定格出力電圧を第1定格出力電圧(220V)に設定するとき,最大出力周波数を第1最大出力周波数(58Hz)に設定すると共に,定格出力電圧を第2定格出力電圧(200V)に設定するとき,最大出力周波数を第2最大出力周波数(48Hz)に設定する,連動動作手段5が設けられている。
【0063】
本実施形態では,図1~5,図7,8に示すようにこの連動動作手段を切替スイッチ5によって構成している。
【0064】
図2に示す例では,この切替スイッチとして,接点51cと接点51bの連通時,接点52cと接点52aを連通し,また,接点51cと接点51aの連通時,接点52cと接点52bを連通する,2極双投型のスイッチを使用している。
【0065】
そして,この切替スイッチ5の接点51aに,インバータ2に設けた最大出力周波数設定用外部接続端子22の第1入力端子22aを,接点51cに最大出力周波数設定用外部接続端子22のコモン端子22cをそれぞれ接続すると共に(接点51bには何も接続しない),接点52aに,自動電圧調整器(AVR)に設けた定格出力電圧設定用外部接続端子44の第1入力端子44aを,接点52bに定格出力電圧設定用外部接続端子44の第2入力端子44bを接続すると共に,接点52cに定格出力電圧設定用外部接続端子44のコモン端子44cをそれぞれ接続している。
【0066】
これにより,切替スイッチ5を第1切替位置〔図2(A)参照〕に切り替えると,インバータ2の最大出力周波数設定用外部接続端子22は,コモン端子22cと第1入力端子22a間の接続が絶たれた第1接続状態となり,第1最大出力周波数(58Hz)が最大出力周波数に設定されると共に,自動電圧調整器(AVR)43の定格出力電圧設定用外部接続端子44は,コモン端子44cと第1入力端子44aが接続された第1接続状態となり,第1定格出力電圧(220V)が定格出力電圧として設定される。
【0067】
一方,切替スイッチ5を第2切替位置〔図2(B)参照〕とすると,インバータ2の最大出力周波数設定用外部接続端子22は,コモン端子22cと第1入力端子22aが接続された第2接続状態となり,第2最大出力周波数(48Hz)が最大出力周波数に設定されると共に,自動電圧調整器(AVR)43の定格出力電圧設定用外部接続端子44は,コモン端子44cと第2入力端子44bが接続された第2接続状態となり,第2定格出力電圧(200V)が定格出力電圧に設定される。
【0068】
〔変更例1〕
以上で説明した実施形態では,エンジン3を,調速機構として機械式ガバナを備えた構造のものとして説明したが,本発明のエンジン駆動型発電機1に搭載するエンジン3は,図3に示すように,これを,エンジンコントロールモジュール(ECM)31を備えた電子制御式のエンジンとしても良い。
【0069】
このような電子制御式のエンジン3を採用する場合,このエンジンコントロールモジュール(ECM)31に,エンジン3の定格回転速度の設定を,所定の第1回転速度(1800min-1),又は所定の第2回転速度(1500min-1)のいずれかに設定する定格回転速度設定手段32を設けるものとしても良い。
【0070】
この定格回転速度設定手段32は,これを独自に操作できるようにしても良いが,前述した連動動作手段(切替スイッチ)5によって,インバータ2に設けた最大出力周波数設定手段22,及び自動電圧調整器(AVR)に設けた定格出力電圧設定手段44と連動して操作できるようにすることが好ましい。
【0071】
本実施形態では,エンジンコントロールモジュール(ECM)31に設けた定格回転速度設定手段32を,定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)によって構成し,この外部接続端子32のコモン端子32cを,第1入力端子32aと接続した第1接続状態において第1定格回転速度(1800min-1)が定格回転速度として設定されると共に,コモン端子32cを,第2入力端子32bと接続した第2接続状態において第2定格回転速度(1500min-1)が定格回転速度として設定されるように構成した。
【0072】
このような定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)の接続状態の変更は,図7に示すように,前述した最大出力周波数の設定と定格出力電圧の設定を行うための切替スイッチ(連動動作手段)5とは別にスイッチ57’を設け,このスイッチ57’と定格回転速度設定用外部接続端子32(32a~32c)によって,定格回転速度変更手段56を構成すると共に,このスイッチ57’を,定格回転速度変更手段56の,制御盤7に設けた操作部として該スイッチ57’の操作によって最大出力周波数の設定や,定格出力電圧の設定とは独立して,エンジン3の定格回転速度の設定を変更することができるように構成するものとしても良い。
【0073】
好ましくは,図3に示すように,前述した最大出力周波数の設定と定格出力電圧の設定を行うための切替スイッチ5を,接点51a~51c,52a~52cの他に,更に接点53a~53cを備えた3極双投型のものとし,接点53aに,エンジンコントロールモジュール(ECM)31に設けた定格回転速度設定用外部接続端子32の第1入力端子32aを,接点53bに定格回転速度設定用外部接続端子32の第2入力端子32bを接続すると共に,接点53cに定格回転速度設定用外部接続端子32のコモン端子32cをそれぞれ接続している。
【0074】
これにより,切替スイッチ5を第1切替位置(図3参照)とすると,エンジンコントロールモジュール(ECM)31の定格回転速度設定用外部接続端子32は,コモン端子32cと第1入力端子32aが接続された第1接続状態となり,第1定格回転速度(高速:1800min-1)がエンジン3の定格回転速度として設定される。
【0075】
一方,切替スイッチ5を第2切替位置(図示せず)とすると,エンジンコントロールモジュール(ECM)31の定格回転速度設定用外部接続端子32は,コモン端子32cと第2入力端子32bが接続された第2接続状態となり,第2定格回転速度(1500min-1)がエンジンの定格回転速度として設定される。
【0076】
その結果,切替スイッチ5の操作によって,インバータ2の最大出力周波数の設定と,自動電圧調整器(AVR)43の定格出力電圧の設定,及び,エンジンコントロールモジュール(ECM)31の定格回転速度の設定を,同時に,かつ,正しい組み合わせで確実に変更することができる。
【0077】
このように,インバータ2の最大出力周波数の設定と自動電圧調整器(AVR)43の定格出力電圧の設定の他,エンジンコントロールモジュール(ECM)31の定格回転速度の設定についても単一の切替スイッチ5によって行うことができるようにした場合,図6及び図7に示した例とは異なり,図8に示すように制御盤7には切替スイッチ5の他に,エンジン3の回転速度を設定するためのスイッチ類を設ける必要がない。
【0078】
〔変更例2〕
図2及び図3を参照して説明したエンジン駆動型発電機1では,連動動作手段である切替スイッチ5の操作によってインバータ2の最大出力周波数を第1最大出力周波数(58Hz)又は第2最大出力周波数(48Hz)に切り替えることができるようにした。
【0079】
これに対し,図4に示す実施形態では,切替スイッチ5の操作によって,インバータの最大出力周波数を第1最大出力周波数(58Hz)又は第2最大出力周波数(48Hz)に切り替えるだけでなく,インバータ2の基底周波数の設定についても,所定の第1基底周波数(一例として60Hz)又は第2基底周波数(一例として50Hz)に切り替えることができるようにした点で異なる。
【0080】
ここで,三相誘導電動機を運転する際の基準となるパラメータとして,「基底周波数」と「基底周波数電圧」がある。
【0081】
この「基底周波数」と「基底周波数電圧」は,三相誘導電動機を定格トルクで連続して運転させることができる最大の周波数と電圧であり,汎用の三相誘導電動機は,商用電源の周波数に対応して,基底周波数/基底周波数電圧が,50Hz/200V,又は60Hz/220Vとなるように設計されている。
【0082】
そして,モータ機器(三相誘導電動機)Mの回転速度を制御するためにインバータ2の出力周波数を変化させる場合,周波数の変化によっても電圧(V)と周波数(f)の比が一定(V/f=一定)となる,所謂「V/f一定制御」を行うことで,回転速度の変化によってもモータ機器Mを定トルクで運転することが可能となる。
【0083】
このような「V/f一定制御」では,基底周波数と基底周波数電圧が60Hz/220Vのモータ機器Mに対するV/fパターンは,一例として図9中に実線で示したグラフとなるのに対し,基底周波数と基底周波数電圧を50Hz/200Vとするモータ機器Mに対するV/fパターンは,一例として図9中に破線で示したグラフとなり,モータ機器Mの基底周波数と基底周波数電圧が異なると,定トルク運転を得るために適用すべきV/fパターンは変化する。
【0084】
ここで,基底周波数/基底周波数電圧を60Hz/220VとするV/fパターン(一例として図9中の実線グラフ参照)では,基底周波数/基底周波数電圧を50Hz/200VとするV/fパターン(一例として図9中の破線グラフ参照)に比較して同一周波数における電圧が低くなるため,50Hz/200V仕様のモータ機器Mを,基底周波数が対応していない60Hz/220VのV/fパターンで駆動すると,電圧不足によってモータ機器Mの出力トルクが低下する。
【0085】
その結果,モータ機器Mを定格出力未満で駆動していても,エンジン駆動型発電機1のインバータ2に過電流が生じ,インバータ2が持つ保護機能によって「過電流トリップ」と呼ばれる出力の遮断が行われる場合があり,これにより作業ができなくなる場合がある。
【0086】
特に,モータ機器Mが低力率のものである場合,同じ出力であっても電流を多く消費することから過電流が生じ易く,前述した「過電流トリップ」による出力の遮断はより一層生じ易いものとなる。
【0087】
従って,接続されるモータ機器Mの仕様に応じてインバータ2の出力周波数の設定を変更する場合,前述した最大出力周波数を変更するだけでなく,これに対応して,基底周波数の設定についても変更して,モータ機器Mの回転速度を可変とした場合であっても,モータ機器Mを定トルクで運転できるようにすることが望ましい。
【0088】
このような最大出力周波数の設定と,基底周波数の設定を同時に切り替えることができるようにするために,本実施形態のエンジン駆動型発電機1では,インバータ2に設けた最大出力周波数設定手段22に,最大出力周波数の設定を第1最大出力周波数(58Hz)としたとき,同時にインバータの基底周波数の設定を第1基底周波数(60Hz)と成すと共に,最大出力周波数の設定を第2最大出力周波数(48Hz)としたときに,同時に基底周波数の設定を第2基底周波数(50Hz)とする,基底周波数設定機能を付加している。
【0089】
具体的には,図4に示すように,インバータ2に設けた最大出力周波数設定手段(最大出力周波数設定用外部接続端子)22に,更に第4入力端子22eを設け,この第4入力端子22eを第1入力端子22aと並列に接続して,コモン端子22cを第1入力端子22aと接続した際,同時に第4入力端子22eもコモン端子22cに接続されて,コモン端子22cからの制御信号が第4入力端子に対しても入力されるように構成した。
【0090】
これにより,インバータ2に設けられている制御装置(図示せず)は,第4入力端子22eに対する制御信号の入力がないとき,基底周波数を第1基底周波数(60Hz)と成すと共に,第4入力端子22eに対する制御信号の入力がされているとき,基底周波数を第2基底周波数(50Hz)と成すように構成することで,最大出力周波数の設定と,基底周波数の設定を同時に切り替えることができるようにした。
【0091】
なお,図4に示した実施形態では,図3を参照して説明したエンジン駆動型発電機1のインバータ2に設けた最大出力周波数設定手段22に,基底周波数設定機能を付加した構成として,最大出力周波数,基底周波数,定格出力電圧,及びエンジンの回転速度がいずれも単一の切替スイッチ5の操作によって同時に切り替わる構成とした。
【0092】
これに対し,図2を参照して説明したエンジン駆動型発電機1のインバータ2に設けた最大出力周波数設定手段22に,図4を参照して説明したと同様,第4入力端子22eを設けて基底周波数設定機能を付加した構成として,最大出力周波数,基底周波数,定格出力電圧を同時に切り替え可能と成す一方,エンジン3の回転速度については別途,操作ノブ57(図5図6参照)やスイッチ57’(図7参照)を設けて切り替えるように構成するものとしても良い。
【0093】
また,基底周波数の設定の変更にあたっては,基底周波数と同時に変更することが望ましい他のパラメータ(例えば,トルクブースト量,加速時間,減速時間等)についても同時に変更できるようにするものとしても良い。
【符号の説明】
【0094】
1 エンジン駆動型発電機
2 インバータ
21 周波数設定手段(ダイヤルスイッチ)
22 最大出力周波数設定手段(最大出力周波数設定用外部接続端子)
22a 第1入力端子
22b 第2入力端子
22c コモン端子
22d 第3入力端子
22e 第4入力端子
3 エンジン
31 エンジンコントロールモジュール(ECM)
32 定格回転速度設定手段(定格回転速度設定用外部接続端子)
32a 第1入力端子
32b 第2入力端子
32c コモン端子
33 ガバナレバー
4 発電機本体
41 主発電機
42 励磁機
43 自動電圧調整器(AVR)
44 定格出力電圧設定手段(定格出力電圧設定用外部接続端子)
44a 第1入力端子
44b 第2入力端子
44c コモン端子
5 連動動作手段(切替スイッチ)
51a~51c,52a~52c,53a~53c 接点
56 定格回転速度変更手段
57 操作部(操作ノブ)
57’ 操作部(スイッチ)
58 リンク
61 出力線
62 三相出力端子台
63 ブレーカ
65 スタータスイッチ
7 制御盤
8 防音箱
300 エンジン駆動型発電機
302 インバータ
303 エンジン
304 発電機本体
307 制御盤
308 防音箱
321 周波数設定手段(ダイヤルスイッチ)
343 自動電圧調整器(AVR)
351(351a,351b) 三相出力線
361 三相出力端子台

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10