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特開2023-57868光学フィルム積層体、及び画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057868
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】光学フィルム積層体、及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/111 20150101AFI20230417BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230417BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230417BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20230417BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
G02B1/111
G09F9/00 313
G09F9/30 349Z
B32B7/023
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167587
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 知之
(72)【発明者】
【氏名】花田 泰
(72)【発明者】
【氏名】佐貫 穂高
【テーマコード(参考)】
2K009
4F100
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2K009CC24
4F100AA20
4F100AA21
4F100AA27
4F100AJ06
4F100AK25
4F100AR00A
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100AR00E
4F100AT00B
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA21B
4F100BA21D
4F100BA21E
4F100CA13
4F100CA13A
4F100GB48
4F100JL10
4F100JL10A
4F100JL11
4F100JL11A
4F100JL14E
4F100JN01
4F100JN01A
4F100JN01B
4F100JN01C
4F100JN18
4F100JN18C
4F100JN18D
4F100JN18E
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
5C094DA13
5C094ED12
5C094FB06
5C094HA08
5C094JA11
5G435DD11
5G435FF02
5G435FF13
5G435HH03
5G435HH05
5G435LL08
(57)【要約】
【課題】画像表示装置の画像表示部で光の反射が生じた場合でも、画像表示装置において映り込みを生じにくくできる光学フィルム積層体を提供する。
【解決手段】光学フィルム積層体100は、粘着層1と、透明基材層2と、反射防止層3とを備える。粘着層1と、透明基材層2と、反射防止層3と、がこの順で積層されている。光学フィルム積層体100のD65光源を用いて測定される全光線透過率が20%以上80%以下である。光学フィルム積層体100の透過色のL表色系におけるL値、a値及びb値が、それぞれ25≦L≦95、-2≦a≦2、及び-2≦b≦2を満足する。光学フィルム積層体100のヘイズ値が6%以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着層と、透明基材層と、反射防止層とを備え、
前記粘着層と、前記透明基材層と、前記反射防止層と、がこの順で積層されており、
D65光源を用いて測定される全光線透過率が20%以上80%以下であり、
透過色の、L表色系におけるL値、a値及びb値が、それぞれ25≦L≦95、-2≦a≦2、及び-2≦b≦2を満足し、
ヘイズ値が6%以下である、
光学フィルム積層体。
【請求項2】
前記粘着層、前記透明基材層、及び前記反射防止層のうち、少なくともひとつが、着色材を含み、かつ波長400nm以上700nm以下の光の吸収率が、15%以上75%以下である、
請求項1に記載の光学フィルム積層体。
【請求項3】
前記粘着層、前記透明基材層、及び前記反射防止層のうち、前記粘着層のみが、前記着色材を含む、
請求項2に記載の光学フィルム積層体。
【請求項4】
前記着色材が、染料及び顔料のうち少なくとも一方を含む、
請求項2又は3に記載の光学フィルム積層体。
【請求項5】
前記反射防止層は、低屈折率層と、高屈折率層と、中屈折率層とを備え、前記透明基材層に近い方から、前記中屈折率層と、前記高屈折率層と、前記低屈折率層と、がこの順で積層され、
前記高屈折率層は、前記低屈折率層よりも高い屈折率を有し、
前記中屈折率層は、前記低屈折率層よりも高い屈折率を有し、かつ前記高屈折率層よりも低い屈折率を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体。
【請求項6】
前記粘着層の前記透明基材層とは反対側に重なる剥離フィルムを、さらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体と、画像表示部とを備える、
画像表示装置。
【請求項8】
前記画像表示部に重なるように、カバーガラスをさらに備え、
前記カバーガラスの、前記画像表示部と対向する面に、前記光学フィルム積層体が設けられている、
請求項7に記載の画像表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般には、光学フィルム積層体、及び画像表示装置に関する。より詳細には、本開示は、粘着層と、透明基材層と、反射防止層とが積層される光学フィルム積層体、及びこの積層体を備える画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メーターパネル及びナビゲーションシステム等に使用される車載用ディスプレイの高品位化が求められている。例えば、そのディスプレイの保護を目的として、カバーガラスが設置される場合があるが、このカバーガラスで反射した光により生じる映り込みのために、画像の視認性が低下する場合がある。これに対して、例えば、特許文献1に記載の反射防止フィルムをカバーガラスの両面に張り合わせることで、反射を抑制することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-055659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者の調査によると、特許文献1に記載の反射防止フィルムでは、ディスプレイの内部の透明電極等からの光の反射を抑制することは難しいため、ディスプレイに映り込みが生じやすく、これにより、ディスプレイを反射の影響を受けにくい場所に設置しなければならないという問題がある。
【0005】
本開示の目的は、画像表示装置の画像表示部で光の反射が生じた場合でも、画像表示装置において映り込みを生じにくくできる光学フィルム積層体、及びこの光学フィルム積層体を備える画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る光学フィルム積層体は、粘着層と、透明基材層と、反射防止層とを備え、前記粘着層と、前記透明基材層と、前記反射防止層と、がこの順で積層されており、D65光源を用いて測定される全光線透過率が20%以上80%以下であり、透過色の、L表色系におけるL値、a値及びb値が、それぞれ25≦L≦95、-2≦a≦2及び-2≦b≦2を満足し、ヘイズ値が6%以下である。
【0007】
本開示の一態様に係る画像表示装置は、前記光学フィルム積層体と、画像表示部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によると、画像表示装置の画像表示部で光の反射が生じた場合でも、画像表示装置において映り込みを生じにくくできる光学フィルム積層体、及びこの光学フィルム積層体を備える画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る光学フィルム積層体の一例を示す概略の断面図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に係る光学フィルム積層体を用いて作製された画像表示装置の一例を示す概略の断面図である。
図3図3は、本開示の一実施形態に係る光学フィルム積層体を用いて作製された画像表示装置の一例を示す概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について説明する。なお本開示は下記の実施形態に限られない。下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の例に過ぎず、本開示の目的を達成できれば設計に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
1.概要
本実施形態に係る光学フィルム積層体100について、図1図2及び図3を参照しながら説明する。
【0012】
本実施形態に係る光学フィルム積層体100は、図1に示すように、粘着層1と、透明基材層2と、反射防止層3とを備える。粘着層1と、透明基材層2と、反射防止層3とは、この順で積層されている。光学フィルム積層体100の、D65光源を用いて測定される全光線透過率は、20%以上80%以下である。光学フィルム積層体100の透過色の、L表色系におけるL値、a値及びb値は、それぞれ25≦L≦95、-2≦a≦2、及び-2≦b≦2を満足する。光学フィルム積層体100のヘイズ値は6%以下である。このような光学的特性を有する光学フィルム積層体100が、画像表示装置200、300の画像表示部25、35での光の反射防止のために使用された場合、画像表示部25、35で光の反射が生じたとしても、その反射光を、光学フィルム積層体100が吸収することができる。これにより、画像表示装置200、300が、その外部から観察された場合、その画像表示装置200、300において、画像視認性が良好に保たれながら、映り込みが生じにくくなる。ここで、画像表示部25、35の画像視認性とは、画像表示部25、35が表示する画像の、光学フィルム積層体100を介した視認性を示している。
【0013】
また、光学フィルム積層体100が備える粘着層1、透明基材層2、及び反射防止層3のうち、少なくともひとつが、着色材を含むことが好ましい。さらに、粘着層1、透明基材層2、及び反射防止層3のうち、着色材を含む層の波長400nm以上700nm以下の光の吸収率が、15%以上75%以下であることが好ましい。このような光学的特性を有する光学フィルム積層体100が、画像表示装置200、300の画像表示部25、35での光の反射防止のために使用された場合、その画像表示部25、35で光の反射が生じたとしても、その反射光を、この光学フィルム積層体100が吸収することができる。これにより、画像表示装置200、300が、その外部から観察された場合、画像表示装置200、300において、画像視認性が良好に保たれながら、より映り込みが生じにくくなる。
【0014】
このような特性を有する、本実施形態に係る光学フィルム積層体100は、例えば、画像表示装置200、300の部材として好適に使用される。そして、この画像表示装置200、300は、光学フィルム積層体100の他に、画像表示部25、35を備える。すなわち、本実施形態に係る画像表示装置200、300は、光学フィルム積層体100と、画像表示部25、35とを、備える。この場合、本実施形態に係る画像表示装置200、300は、本実施形態に係る光学フィルム積層体100を備えているため、その画像表示部25、35で光の反射が生じたとしても、その反射光を、この光学フィルム積層体100が吸収することができる。これにより、画像表示装置200、300が、その外部から観察された場合、画像表示装置200、300において、画像視認性が良好に保たれながら、映り込みが生じにくくなる。なお、本実施形態に係る光学フィルム積層体100の用途は、画像表示装置200、300の部材として使用されることに限らない。光学フィルム積層体100は、種々の用途に適用されうる。
【0015】
2.詳細
2-1.光学フィルム積層体
本実施形態に係る光学フィルム積層体の、具体的な構成について説明する。
【0016】
(1)光学フィルム積層体の物性
まず、光学フィルム積層体100の物性について、詳細に説明する。
【0017】
1)透過色
上述の通り、本実施形態に係る光学フィルム積層体100は、透過色の、L表色系におけるL値、a値及びb値が、それぞれ25≦L≦95、-2≦a≦2、及び-2≦b≦2を満足する。この場合、光学フィルム積層体100を通過した光の色味が、無彩色に近づきやすくなる。このような光学フィルム積層体100が、画像表示装置200、300の画像表示部25、35での光の反射防止のために使用された場合、画像表示装置200、300において、画像視認性が高まりやすくなる。この透過色の、L表色系は、国際照明委員会(CIE)によって定められたL色空間を意味する。
【0018】
透過色の、L表色系におけるL値が、40≦L≦90を満足することが好ましく、50≦L≦80を満足することがより好ましい。また、透過色の、L表色系におけるa値が、-1.5≦a≦1.5を満足することが好ましく、-1≦a≦1を満足することがより好ましい。さらに、透過色の、L表色系におけるb値が、-1.5≦b≦1.5を満足することが好ましく、-1≦b≦1を満足することがより好ましい。
【0019】
なお、光学フィルム積層体100の透過色は、例えば、CM-3600d(コニカミノルタジャパン株式会社製)等の公知の分光測色計を用いて、C光源、10°視野、測定径25.4mmφ、SCIの条件によって測定することができる。
【0020】
2)全光線透過率
上述の通り、本実施形態に係る光学フィルム積層体100は、D65光源を用いて測定される全光線透過率が20%以上80%以下である。この場合、光学フィルム積層体100が、光を適度に吸収することができる。このような光学フィルム積層体100が、画像表示装置200、300の画像表示部25、35での光の反射防止のために使用された場合、光学フィルム積層体100の全光線透過率が20%以上であるために、画像表示部25、35が発する相対的に強い光は視認されやすくなる。その一方で、光学フィルム積層体100の全光線透過率が80%以下であるために、画像表示部25、35で反射した相対的に弱い光は、光学フィルム積層体100に吸収されてしまうため、視認されにくくなる。これにより、画像表示装置200、300が、その外部から観察された場合、画像表示装置200、300において、画像視認性が良好に保たれながら、映り込みが生じにくくなる。また、D65光源を用いて測定される全光線透過率が、30%以上70%以下であれば好ましく、40%以上60%以下であればより好ましい。なお、光学フィルム積層体100の全光線透過率は、例えば、NDH7000SP2(日本電色工業株式会社製)等の公知のヘーズメーターを用いて、JIS K 7361-1:1997の規定に従って、測定することができる。
【0021】
3)ヘイズ値
上述の通り、本実施形態に係る光学フィルム積層体100は、ヘイズ値が6%以下である。この場合、光学フィルム積層体100を通過した光の透明性が高くなる。このような光学フィルム積層体100が、画像表示装置200、300の画像表示部25、35での光の反射防止のために使用された場合、画像表示装置200、300において、画像視認性が高まりやすくなる。また、ヘイズ値は、5%以下であれば好ましく、2%以下であればより好ましい。なお、光学フィルム積層体100のヘイズ値は、例えば、NDH7000SP2(日本電色工業株式会社製)等の公知のヘーズメーターを用いて、JIS K 7361-1:1997の規定に従って、測定することができる。
【0022】
4)可視光吸収率
上述の通り、本実施形態に係る光学フィルム積層体100における粘着層1、透明基材層2、及び反射防止層3のうち、少なくともひとつが、着色材を含むことが好ましい。さらに、粘着層1、透明基材層2、及び反射防止層3のうち、着色材を含む層の波長400nm以上700nm以下の光の吸収率が、15%以上75%以下であることが好ましい。この場合、光学フィルム積層体100が、可視光領域の光をより適度に吸収することができる。このような光学フィルム積層体100が、画像表示装置200、300の画像表示部25、35での光の反射防止のために使用された場合、画像表示部25、35が発する相対的に強い光は視認されやすくなる。その一方で、画像表示部25、35で反射した相対的に弱い光は、光学フィルム積層体100に吸収されてしまうため、視認されにくくなる。これにより、画像表示装置200、300が、その外部から観察された場合、画像表示装置200、300において、画像視認性が良好に保たれながら、映り込みが生じにくくなる。ここでいう、波長400nm以上波長700nm以下の光の吸収率が、15%以上75%以下であることとは、波長400nm以上700nmの範囲の波長の光であれば、いずれの波長においても、光の吸収率が、15%以上75%以下であることを意味する。また、波長400nm以上波長700nm以下の吸収率が、20%以上70%以下であればより好ましい。なお、光学フィルム積層体100の可視光吸収率は、例えば、U-4100(株式会社日立ハイテク製)等の公知の分光光度計を用いて、(可視光吸収率)=100-(可視光透過率)-(可視光反射率)の計算式に従い、測定することができる。
【0023】
次に、この光学フィルム積層体100が備える各層について詳細に説明する。
【0024】
(2)光学フィルム積層体の各層
1)粘着層
本実施形態に係る光学フィルム積層体100は、上述の通り、粘着層1を備える。粘着層1は、透明基材層2の、反射防止層3とは反対側に重なっている。
【0025】
粘着層1は、粘着性を有する層である。これにより、粘着層1を備える光学フィルム積層体100は、例えば、画像表示装置200、300の画像表示部25、35の表面及びその画像表示部25、35を保護するために使用されるカバーガラス等に貼り付けられることが可能となる。なお、粘着層1を備える光学フィルム積層体100が、市場に流通される場合、粘着層1の表面は、剥離フィルム7で覆われていることが一般的である。すなわち、光学フィルム積層体100には、粘着層1の透明基材層2とは反対側に重なる剥離フィルム7が、重ねられていてもよい。なお、剥離フィルム7は、光学フィルム積層体100とは、個別のものである。
【0026】
粘着層1は、例えば、粘着剤から作製されることが好ましい。粘着剤は、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤及びポリエステル系粘着剤等よりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらの中で、粘着剤は、アクリル系粘着剤が、特に好ましい。
【0027】
粘着層1の光透過率は、光学フィルム積層体100のD65光源を用いて測定される全光線透過率が20%以上80%以下となるように、適宜調整される。例えば粘着層1のD65光源を用いて測定される全光線透過率が30%以上70%以下であることが好ましい。この場合、粘着層1が、光を適度に吸収しやすくなる。
【0028】
粘着層1は、例えば、ヘイズ値が1%以下であることが好ましい。この場合、粘着層1を通過した光の透明性が高まりやすくなる。このような粘着層1を備える光学フィルム積層体100が、画像表示装置200、300の画像表示部25、35での光の反射防止のために使用された場合、画像表示部25、35の画像視認性が高まりやすくなる。
【0029】
粘着層1の厚みは、例えば、10μm以上200μm以下が好ましい。このような粘着層1を備える光学フィルム積層体100が、画像表示装置200、300の画像表示部25、35での光の反射防止のために使用された場合、この光学フィルム積層体100が、画像表示部25、35で反射した光を吸収しやすくなる。これにより、画像表示装置200、300が、その外部から観察された場合、画像表示装置200、300において、画像視認性が良好に保たれながら、映り込みが生じにくくなる。特に、後述する着色材を、この粘着層1が含む場合、粘着層1の厚みが調整されることによって、粘着層1の、光の透過率、透過色及び吸収率などの光学的特性が、制御されやすくなる。また、粘着層1の厚みは、15μm以上150μm以下がより好ましく、20μm以上100μm以下がさらに好ましい。
【0030】
2)透明基材層
本実施形態に係る光学フィルム積層体100は、上述の通り、透明基材層2を備える。透明基材層2は、反射防止フィルムに使用されるフィルム状又はシート状の透明の基材であり、光透過性を有する層である。
【0031】
透明基材層2の形状及び寸法は、光学フィルム積層体100を貼り付ける対象物の形状及び寸法に応じて適宜設定される。
【0032】
透明基材層2の材質は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)及びシクロオレフィンポリマー(COP)等よりなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0033】
透明基材層2は、例えば、表面処理が施されていてもよい。表面処理の例としては、例えば、薬品処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、高周波処理、混酸処理又はレーザー処理等が挙げられる。
【0034】
透明基材層2の光透過率は、光学フィルム積層体100のD65光源を用いて測定される全光線透過率が20%以上80%以下となるように、適宜調整される。例えば透明基材層2のD65光源を用いて測定される全光線透過率が30%以上70%以下であることが好ましい。この場合、透明基材層2が、光を適度に吸収しやすくなる。
【0035】
透明基材層2は、例えば、ヘイズ値は5%以下であることが好ましい。この場合、透明基材層2を通過した光の透明性が高くなりやすくなる。このような透明基材層2を備える光学フィルム積層体100が、画像表示装置200、300の画像表示部25、35での光の反射防止のために使用された場合、画像表示装置200、300において、画像視認性が高まりやすくなる。
【0036】
3)反射防止層
本実施形態に係る光学フィルム積層体100は、上述の通り、反射防止層3を備える。この反射防止層3は、透明基材層2に重なった場合の反射防止層3の表面での可視光の正反射率が、透明基材層の表面の可視光の正反射率よりも低くなる層である。この反射防止層3は、低屈折率層4と、低屈折率層4よりも高い屈折率を有する高屈折率層5と、低屈折率層4よりも高い屈折率を有し、かつ高屈折率層5よりも低い屈折率を有する中屈折率層6とを備え、透明基材層2に近い方から、中屈折率層6と、高屈折率層5と、低屈折率層4と、がこの順で積層されている。また、反射防止層3は、上記の構成に限定されない。例えば、反射防止層3が備えるこれらの層は、積層される順番が入れ替えられても構わない。
【0037】
反射防止層3の光透過率は、光学フィルム積層体100のD65光源を用いて測定される全光線透過率が20%以上80%以下となるように、適宜調整される。例えば、反射防止層3のD65光源を用いて測定される全光線透過率は30%以上70%以下であることが好ましい。この場合、反射防止層3が、光を適度に吸収しやすくなる。
【0038】
反射防止層3は、例えば、ヘイズ値が1%以下であることが好ましい。この場合、反射防止層3を通過した光の透明性が高まりやすくなる。このような反射防止層3を備える光学フィルム積層体100が、画像表示装置200、300の画像表示部25、35での光の反射防止のために使用された場合、画像表示装置200、300において、画像視認性が高まりやすくなる。
【0039】
以下、反射防止層3が備える各層の構成について詳細に説明する。
【0040】
<低屈折率層>
低屈折率層4は、光学フィルム積層体100の光の反射率を低減させるための層である。低屈折率層4は、高屈折率層5よりも屈折率が低く、また中屈折率層6よりも屈折率が低い。低屈折率層4の屈折率の値は、例えば、1.34以上1.38以下であることが好ましい。この場合、低屈折率層4と、高屈折率層5及び中屈折率層6との屈折率差から生じる干渉のバランスが悪化しにくい。また、低屈折率層4の屈折率の値は、1.35以上1.37以下であることがより好ましい。さらに、低屈折率層4の厚みは、例えば、80nm以上100nm以下であることが好ましく、85nm以上95nm以下であることがより好ましい。
【0041】
低屈折率層4は、透明基材層2上に積層されている。厳密には、低屈折率層4は、高屈折率層5上に積層されている。すなわち、光学フィルム積層体100は、剥離フィルム7、粘着層1、透明基材層2、中屈折率層6、高屈折率層5、及び低屈折率層4が、この順に積層されている。このように、中屈折率層6、高屈折率層5、及び低屈折率層4が、この順に積層されることによって、光学フィルム積層体100の光の反射率を低減することができる。また、低屈折率層4は、高屈折率層5と接している。
【0042】
低屈折率層4の形状及び寸法は、透明基材層2の形状及び寸法に応じて適宜設定される。低屈折率層4の形状は、透明基材層2と同じであることが好ましい。加えて、低屈折率層4の寸法は、透明基材層2と同じであることが好ましい。
【0043】
低屈折率層4は、例えば、紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させて作製することが好ましい。紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、紫外線硬化樹脂、微粒子及び光重合開始剤等を含むことが好ましい。
【0044】
紫外線硬化樹脂は、例えば、アクリル化合物、エポキシ化合物、ウレタン化合物及びシリコーン化合物等よりなる群から選択される少なくとも一種を含む。これらの中でも、紫外線硬化樹脂は、アクリル化合物を含むことが好ましい。すなわち、低屈折率層4は、アクリル化合物が硬化したアクリル樹脂を含むことが好ましい。
【0045】
ここで、下記説明において「(メタ)アクリ-」とは、「アクリ-」と「メタクリ-」のうち少なくとも一方であることを意味する。例えば、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸とのうち少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとのうち少なくとも一方を意味する。また、(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸のエステル化合物又は塩である。
【0046】
アクリル化合物は、例えば、(メタ)アクリロイル基を含有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーよりなる群から選択される少なくとも一種を含む。
【0047】
アクリル化合物は、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びポリエステル(メタ)アクリレート等よりなる群から選択される少なくとも一種を含む。
【0048】
アクリル化合物は、例えば、1つの(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレートでもよく、複数の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートでもよい。アクリル化合物は、3つ以上の(メタ)アクリロイル基を官能基として有する多官能(メタ)アクリレートが好ましい。この場合、(メタ)アクリロイル基に由来する架橋密度が高められ、耐擦傷性が高まりやすくなる。
【0049】
アクリル化合物は、例えば、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス-2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の三官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の四官能(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート等の五官能(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の六官能(メタ)アクリレート;並びにこれらアクリレート中の基をアルキル基又はε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等よりなる群から選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0050】
アクリル化合物は、例えば、(メタ)アクリロイル基以外の重合性官能基を有していてもよい。(メタ)アクリロイル基以外の重合性官能基は、例えば、ビニル基、アリル基及びスチリル基等よりなる群から選択される少なくとも一種が含まれる。
【0051】
アクリル化合物は、例えば、重合性官能基以外の官能基を有することもできる。(メタ)アクリロイル基以外の官能基としては、例えば、フルオロアルキル基等が挙げられる。
【0052】
さらに、アクリロイル基とフルオロアルキル基とを有するアクリル化合物を含む紫外線硬化型樹脂組成物から、低屈折率層4が作製された場合、低屈折率層4の防汚性が高まりやすくなる。すなわち、低屈折率層4が、アクリロイル基とフルオロアルキル基とを有するアクリル化合物が硬化したアクリル樹脂を含む場合、光学フィルム積層体100の防汚性が高まりやすくなる。
【0053】
フルオロアルキル基を有するアクリル化合物は、例えば、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H-ペルフルオロ-n-ブチル(メタ)アクリレート、1H,1H-ペルフルオロ-n-ペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H-ペルフルオロ-n-へキシル(メタ)アクリレート、1H,1H-ペルフルオロ-n-オクチル(メタ)アクリレート、1H,1H-ペルフルオロ-n-デシル(メタ)アクリレート、1H,1H-ペルフルオロ-n-ドデシル(メタ)アクリレート、1H,1H-ペルフルオロイソブチル(メタ)アクリレート、1H,1H-ペルフルオロイソオクチル(メタ)アクリレート、1H,1H-ペルフルオロイソドデシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-ペルフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H-ペルフルオロノニル(メタ)アクリレート、3,3,3-トリフルオロブチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2-(ペルフルオロ-n-プロピル)エチル(メタ)アクリレート、2-(ペルフルオロ-n-ブチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(ペルフルオロ-n-ペンチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(ペルフルオロ-n-へキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(ペルフルオロ-n-オクチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(ペルフルオロ-n-デシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(ペルフルオロイソブチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(ペルフルオロイソオクチル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,6H-ペルフルオロへキシル(メタ)アクリレート、1H,1H,8H-ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、1H,1H,10H-ペルフルオロデシル(メタ)アクリレート、1H,1H,12H-ペルフルオロドデシル(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールジアクリレートジフルオロブチレート等よりなる群から選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0054】
低屈折率層4を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、低屈折率である微粒子を含有することが好ましい。すなわち、低屈折率層4は、低屈折率である微粒子を含有することが好ましい。
【0055】
また、低屈折率層4に含まれる微粒子は、例えば、中空シリカ等の無機微粒子を含むことが好ましい。低屈折率層4が、このような無機微粒子を含む場合、低屈折率層4の屈折率が、中屈折率層6及び高屈折率層5の屈折率よりも低くなりやすい。さらに、この無機微粒子の平均粒径は、例えば、10nm以上100nm以下であることが好ましい。
【0056】
低屈折率層4を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物において、アクリル化合物と無機微粒子との固形分質量比は、例えば、19:80から70:29の範囲内であることが好ましく、29:70から60:39の範囲内であることがより好ましい。この場合、低屈折率層4の屈折率が適度な範囲に調整されながら、低屈折率層4の硬度が高まりやすくなる。例えば、低屈折率層4の硬度が高められた場合、光学フィルム積層体100の耐擦傷性が向上できる。
【0057】
低屈折率層4を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α-アミロキシムエステル類及びチオキサントン類等よりなる群から選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0058】
紫外線硬化型樹脂組成物が光重合開始剤を含む場合、紫外線硬化型樹脂組成物に対する、光重合開始剤の百分比は、例えば、0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましい。この場合、紫外線硬化型樹脂組成物の硬化性が高まりやすくなる。
【0059】
<高屈折率層>
高屈折率層5は、光学フィルム積層体100の反射率を低減させるための層である。高屈折率層5は、低屈折率層4及び中屈折率層6よりも屈折率が高い。高屈折率層5の屈折率の値は、例えば、1.74以上1.90以下であることが好ましい。この場合、高屈折率層5と、低屈折率層4及び中屈折率層6との屈折率差から生じる干渉のバランスが悪化しにくい。また、高屈折率層5の屈折率の値は、1.82以上1.88以下であることがより好ましい。さらに、高屈折率層5の厚みは、例えば、110nm以上140nm以下であることがより好ましく、120nm以上130nm以下であることがより好ましい。
【0060】
高屈折率層5は、透明基材層2上に積層されている。厳密には、高屈折率層5は、中屈折率層6上に積層されている。すなわち、光学フィルム積層体100は、剥離フィルム7、粘着層1、透明基材層2、中屈折率層6、高屈折率層5、及び低屈折率層4が、この順に積層されている。また、高屈折率層5は、中屈折率層6と接している。
【0061】
高屈折率層5の形状及び寸法は、透明基材層2の形状及び寸法に応じて適宜設定される。高屈折率層5の形状は、透明基材層2の形状と同じであることが好ましい。また、高屈折率層5の寸法は、透明基材層2の寸法と同じであることが好ましい。
【0062】
高屈折率層5は、例えば、紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させて作製することが好ましい。紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、紫外線硬化樹脂、微粒子及び光重合開始剤等を含むことが好ましい。
【0063】
紫外線硬化樹脂は、例えば、アクリル化合物、エポキシ化合物、ウレタン化合物及びシリコーン化合物等よりなる群から選択される少なくとも一種を含む。これらの中でも、紫外線硬化樹脂は、アクリル化合物を含むことが好ましい。すなわち、高屈折率層5は、アクリル化合物が硬化したアクリル樹脂を含むことが好ましい。
【0064】
高屈折率層5を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物と、低屈折率層4を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物とが、アクリル化合物を含む場合、これらのアクリル化合物は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0065】
高屈折率層5を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、高屈折率である微粒子を含有することが好ましい。すなわち、高屈折率層5は、高屈折率である微粒子を含有することが好ましい。高屈折率層5が、高屈折率である微粒子を含む場合、高屈折率層5の屈折率が、低屈折率層4の屈折率及び中屈折率層6の屈折率よりも高くなりやすい。
【0066】
高屈折率層5に含まれる微粒子は、例えば、金属の酸化物等の無機微粒子を含むことが好ましい。金属酸化物は、例えば、チタニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、及びジルコニアよりなる群から選択される少なくとも一種を含有することができる。これらの中で、金属の酸化物は、ジルコニア又はチタニアが特に好ましい。高屈折率層5が、このような無機微粒子を含む場合、高屈折率層5の屈折率が、低屈折率層4及び中屈折率層6の屈折率よりも高くなりやすい。さらに、この無機微粒子の平均粒径が、例えば、10nm以上100nm以下であることが好ましい。
【0067】
高屈折率層5を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物において、アクリル化合物と無機微粒子との固形分質量比は、例えば、9:90から60:39の範囲内であることが好ましく、19:80から50:49の範囲内であることが好ましい。この場合、高屈折率層5の屈折率が適度な範囲に調整されながら、高屈折率層5の硬度が高まりやすくなる。高屈折率層5の硬度が高められた場合、光学フィルム積層体100の耐擦傷性が向上できる。
【0068】
高屈折率層5を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α-アミロキシムエステル類及びチオキサントン類等よりなる群から選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0069】
紫外線硬化型樹脂組成物が光重合開始剤を含む場合、紫外線硬化型樹脂組成物に対する、光重合開始剤の百分比は、例えば、0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましい。この場合、紫外線硬化型樹脂組成物の硬化性が高まりやすくなる。
【0070】
<中屈折率層>
中屈折率層6は、光学フィルム積層体100の反射率を低減させるための層である。中屈折率層6は、低屈折率層4よりも屈折率が高く、また高屈折率層5よりも屈折率が低い。中屈折率層6の屈折率の値は、例えば、1.56以上1.66以下であることが好ましい。この場合、中屈折率層6と、高屈折率層5及び低屈折率層4との屈折率差から生じる干渉のバランスが悪化しにくい。また、中屈折率層6の屈折率の値は、1.58以上1.64以下であることがより好ましい。さらに、中屈折率層6の厚みは、例えば、10nm以上80nm以下であることが好ましく、20nm以上60nm以下であることがより好ましい。
【0071】
中屈折率層6は透明基材層2上に積層されている。すなわち、光学フィルム積層体100は、剥離フィルム7、粘着層1、透明基材層2、中屈折率層6、高屈折率層5、及び低屈折率層4が、この順に積層されている。このように、中屈折率層6、高屈折率層5及び低屈折率層4が、この順に積層されることによって、光学フィルム積層体100の光の反射率を低減することができる。また、中屈折率層6は、高屈折率層5と接している。
【0072】
中屈折率層6の形状及び寸法は、透明基材層2の形状及び寸法に応じて適宜設定される。中屈折率層6の形状は、例えば、透明基材層2の形状と同じであることが好ましい。さらに、中屈折率層6の寸法は、例えば、透明基材層2の寸法と同じであることが好ましい。
【0073】
中屈折率層6は、例えば、紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させて作製することが好ましい。また、紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、紫外線硬化樹脂、無機微粒子及び光重合開始剤等を含むことが好ましい。紫外線硬化樹脂は、例えば、アクリル化合物、エポキシ化合物、ウレタン化合物及びシリコーン化合物等よりなる群から選択される少なくとも一種を含む。これらの中でも、紫外線硬化樹脂は、アクリル化合物を含むことが好ましい。すなわち、中屈折率層6は、アクリル化合物が硬化したアクリル樹脂を含むことが好ましい。
【0074】
中屈折率層6を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物と、低屈折率層4とを作製するために使用されると紫外線硬化型樹脂組成物とが、アクリル化合物を含む場合、これらのアクリル化合物は同じであってもよく、異なっていてもよい。また、中屈折率層6を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物と、高屈折率層5を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物とが、アクリル化合物を含む場合、これらのアクリル化合物は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0075】
中屈折率層6を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、高屈折率である微粒子を含有することが好ましい。すなわち、中屈折率層6は、例えば、高屈折率である微粒子を含有することが好ましい。中屈折率層6が高屈折率である微粒子を含む場合、中屈折率層6の屈折率が、低屈折率層4の屈折率よりも高くなりやすく、高屈折率層5の屈折率よりも低くなりやすい。
【0076】
この微粒子は、例えば、金属の酸化物等の無機微粒子を含むことが好ましい。金属酸化物は、例えば、チタニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、及びジルコニアよりなる群から選択される少なくとも一種を含有することができる。これらの中で、金属の酸化物は、ジルコニアが特に好ましい。中屈折率層6がこのような無機微粒子を含む場合、低屈折率層6の屈折率が、低屈折率層4よりも高くなりやすく、かつ高屈折率層5の屈折率よりも低くなりやすい。さらに、この無機微粒子の平均粒径が、例えば、10nm以上100nm以下であることが好ましい。
【0077】
中屈折率層6を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物において、アクリル化合物と無機微粒子との固形分質量比は、例えば、29:70から90:9の範囲内であることが好ましく、39:60から80:19の範囲内であることが好ましい。この場合、中屈折率層6の屈折率が適度な範囲に調整されながら、中屈折率層6の硬度が高まりやすくなる。中屈折率層6の硬度が高められた場合、光学フィルム積層体100の耐擦傷性が向上できる。
【0078】
中屈折率層6を作製するために使用される紫外線硬化型樹脂組成物は、例えば、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α-アミロキシムエステル類及びチオキサントン類等よりなる群から選択される少なくとも一種を含むことができる。
【0079】
紫外線硬化型樹脂組成物が光重合開始剤を含む場合、紫外線硬化型樹脂組成物に対する、光重合開始剤の百分比は、例えば、0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましい。この場合、紫外線硬化型樹脂組成物の硬化性が高まりやすい。
【0080】
(3)着色材
上述した通り、本実施形態に係る光学フィルム積層体100が備える粘着層1、透明基材層2、及び反射防止層3のうち、少なくともひとつが、着色材を含むことが好ましい。さらに、粘着層1、透明基材層2、及び反射防止層3のうち、着色材を含む層の波長400nm以上700nm以下の光の吸収率が、15%以上75%以下であることが好ましい。粘着層1、透明基材層2、及び反射防止層3のうち、少なくともひとつが、着色材を含む場合、着色材を含む層の、光の透過率、透過色及び吸収率などの光学的特性が、適切に調整されやすくなる。すなわち、着色材を含む層を備える光学フィルム積層体100の、光の透過率、透過色及び吸収率などの光学的特性が、適切に調整されやすくなる。また、着色材の種類及び量は、例えば、着色材を含むそれぞれの層において、所望の光学的特性が実現されるように、適宜設定されることが好ましい。
【0081】
粘着層1が着色材を含む場合、粘着層1に対する、着色材の百分比は、例えば、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.002質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。
【0082】
透明基材層2が着色材を含む場合、透明基材層2に対する、着色材の百分比は、例えば、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.002質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。
【0083】
反射防止層3が着色材を含む場合、反射防止層3に対する、着色材の百分比は、例えば、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.002質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。
【0084】
さらに、粘着層1、透明基材層2、及び反射防止層3のうち、粘着層1のみが、着色材を含むことが特に好ましい。この場合、光学フィルム積層体100の材料設計が容易にできうるものとなり、このため、透明基材層2の機械的特性が損なわれにくくなり、かつ反射防止層3の厚みが、調節されやすくなる。これにより、この光学フィルム積層体100において、所望の光学的特性が得られるだけでなく、かつ機械的特性も損ないにくくなる。
【0085】
また、着色材は、例えば、染料及び顔料の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0086】
染料は、適宜の染料を用いることができる。このような染料は、例えば、アゾ系染料、含金属アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、ホルマザン系染料及びオキサジン系染料よりなる群から選択される少なくとも一種を含む。これらの中でも、染料は、アゾ系染料が好ましい。
【0087】
顔料は、適宜の染料を用いることができる。顔料は、例えば、光を適度に吸収する性質を有していることが好ましい。このような顔料は、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛、及びマグネタイト型四酸化三鉄等の鉄の酸化物、銅とクロムとの複合酸化物、又は銅とクロムと亜鉛との複合酸化物等の酸化物系黒色顔料よりなる群から選択される少なくとも一種を含む。これらの中でも、顔料は、カーボンブラックが好ましい。
【0088】
(4)光学フィルム積層体が備えるその他の層
光学フィルム積層体100は、例えば、粘着層1と透明基材層2との間に任意の層を備えてもよく、透明基材層2と反射防止層3との間に任意の層を備えてもよい。任意の層としては、例えばハードコート層等が挙げられる。ハードコート層は、粘着層1、透明基材層2、及び反射防止層3よりも、硬度が大きい層である。このようなハードコート層が、光学フィルム積層体100に設けられた場合、光学フィルム積層体100の耐擦傷性を向上させることができる。
【0089】
2-2.光学フィルム積層体の用途
上述の通り、本実施形態に係る光学フィルム積層体100は、画像表示装置200、300の作製のために用いられる。本実施形態に係る画像表示装置200、300は、光学フィルム積層体100と、画像表示部25、35とを備える。ここで、画像表示装置200、300と、画像表示部25、35との関係について液晶ディスプレイを例に挙げて説明する。本明細書中において、画像表示装置200、300とは、表示部も含めた製品全体を指すものである。従って、液晶ディスプレイそのものが、画像表示装置200、300に相当する。また、本明細書中においては、画像表示部25、35は、製品の表示部のみを指すものである。従って、液晶ディスプレイが備える液晶パネル等が、画像表示部25、35に相当する。また、液晶ディスプレイ以外の画像表示装置200、300の例としては、スマートフォン、又はタブレットPC等が挙げられる。そして、この光学フィルム積層体100が、画像表示装置200、300の部材として使用される場合、例えば画像表示装置200、300が備える画像表示部25、35と、その画像表示部25、35を保護するカバーガラスとのうち、少なくとも一方が、本実施形態に係る光学フィルム積層体100を備える。より詳細には、光学フィルム積層体100は、例えば、この画像表示装置200、300の画像表示部25、35と、その画像表示部25、35を保護するために使用されるカバーガラスとのうち、少なくとも一方に設けられる光の反射を防止するためのフィルムとして使用される。すなわち、画像表示装置200、300は、画像表示部25、35に重なるように、カバーガラスを備え、カバーガラスの、画像表示部25、35と対向する面に、光学フィルム積層体100が設けられていてもよい。
【0090】
次に、光学フィルム積層体100と、画像表示部25、35と、を備える画像表示装置200、300の具体例について、説明する。
【0091】
(1)画像表示装置が備える部材の位置関係
後述する本実施形態に係る画像表示装置200、300において、それらの画像表示装置200、300が共通して備える部材の位置関係について説明する。
【0092】
本実施形態に係る画像表示装置200、300は、画像表示部25、35と、カバーガラス21、31と、第一のフィルム20、30と、第二のフィルム23、33と、第三のフィルム24、34とを部材として備える。
【0093】
画像表示部25、35は、画像を表示する面を有している。そして、本実施形態に係る光学フィルム積層体100は、その画像表示部25、35の画像が表示される面側に設けられている。
【0094】
カバーガラス21、31は、画像表示部25、35の画像が表示される面と対向するように設けられている。このカバーガラス21、31の、画像表示部25、35側の面に、第二のフィルム23、33が重なっており、さらに、カバーガラス21、31の画像表示部25、35側の面とは反対側の面に第一のフィルム20、30が重なっている。第一のフィルム20、30及び第二のフィルム23、33の各々は、カバーガラス21、31と直接接していてもよく、カバーガラス21、31との間に上記で示した部材以外のその他の部材が、介在していてもよい。その他の部材の例としては、例えば、タッチパネル22等が挙げられる。そして、画像表示部25、35の画像が表示される面に、第三のフィルム24、34が重なっている。すなわち、本実施形態に係る画像表示装置200、300において、画像表示部25、35、第三のフィルム24、34、第二のフィルム23、33、カバーガラス21、31及び第一のフィルム20、30の順番で、これらの部材が設けられている。そして、第一のフィルム20、30、第二のフィルム23、33及び第三のフィルム24、34のうち、少なくとも一つが、本実施形態に係る光学フィルム積層体100である。
【0095】
(2)使用例1
本実施形態に係る画像表示装置200について、図2を参照しながら説明する。
【0096】
図2に示すように、本実施形態に係る画像表示装置200は、第一のフィルム20と、カバーガラス21と、タッチパネル22と、第二のフィルム23と、第三のフィルム24と、画像表示部25とを、備える。この画像表示装置200において、第一のフィルム20、第二のフィルム23、及び第三のフィルム24のうち、少なくとも一つが、本実施形態に係る光学フィルム積層体100である。特に、これらのうち、第二のフィルム23が、光学フィルム積層体100であることが好ましい。第二のフィルム23が、光学フィルム積層体100である場合、画像表示部25で生じた反射光が、特に吸収されやすくなる。これにより、画像表示装置200が、その外部から観察された場合、画像表示装置200において、画像視認性が良好に保たれながら、映り込みが生じにくくなる。
【0097】
第一のフィルム20は、カバーガラス21に重なっている。この第一のフィルム20が例えば、粘着層1を備える光学フィルム積層体100である場合、第一のフィルム20は、カバーガラス21に貼り付けられうる。このとき、第一のフィルム20は、カバーガラス21と接している。また、この第一のフィルム20は、光の反射が抑えられるように、第一のフィルム20の表面に凹凸をつける、アンチグレア処理が施されていてもよい。アンチグレア処理の方法としては、例えば、アンチグレアコート剤を用いた表面処理等が挙げられる。
【0098】
カバーガラス21の第一のフィルム20が重なっている面とは反対側の面に、タッチパネル22が設けられている。さらに、タッチパネル22のカバーガラス21が重なっている面とは反対側の面に、第二のフィルム23が設けられている。この第二のフィルム23が、例えば、粘着層1を備える光学フィルム積層体100である場合、第二のフィルム23は、タッチパネル22に貼り付けられうる。このとき、第二のフィルム23は、タッチパネル22と接している。そして、第三のフィルム24が画像表示部25に重なっている。この第三のフィルム24が、例えば、粘着層1を備える光学フィルム積層体100である場合、第三のフィルム24は、画像表示部25に貼り付けられうる。この場合、この画像表示部25は、第三のフィルム24と接している。この第三のフィルム24と、第二のフィルム23とは、直接接してはおらず、第三のフィルム24と、第二のフィルム23との間にはギャップが存在する。このギャップは、0.1mm以上10mm以下が好ましい。
【0099】
本実施形態に係る画像表示装置200は、例えば、車載用のセンターインフォメーションディスプレイ(CID)等に好適に用いられる。
【0100】
(3)使用例2
本実施形態に係る画像表示装置300について、図3を参照しながら説明する。
【0101】
図3に示すように、本実施形態に係る画像表示装置300は、第一のフィルム30と、カバーガラス31と、第二のフィルム33と、第三のフィルム34と、画像表示部35とを、備える。この画像表示装置300において、第一のフィルム30、第二のフィルム33、及び第三のフィルム34のうち、少なくとも一つが、本実施形態に係る光学フィルム積層体100である。特に、これらのうち、第二のフィルム33が、本実施形態に係る光学フィルム積層体100であることが好ましい。第二のフィルム33が、光学フィルム積層体100である場合、画像表示部35で生じた反射光が、特に吸収されやすくなる。これにより、画像表示装置300が、その外部から観察された場合、画像表示装置300において、画像視認性が良好に保たれながら、映り込みが生じにくくなる。
【0102】
第一のフィルム30は、カバーガラス31に重なっている。この第一のフィルム30が、粘着層1を備える光学フィルム積層体100である場合、第一のフィルム30は、カバーガラス31に貼り付けられうる。このとき、第一のフィルム30は、カバーガラス31と接している。また、この第一のフィルム30は、光の反射が抑えられるように、第一のフィルム30の表面に凹凸をつける、アンチグレア処理が施されていてもよい。アンチグレア処理の方法としては、例えば、アンチグレアコート剤を用いた表面処理等が挙げられる。
【0103】
カバーガラス31の第一のフィルム30と重なっている面とは反対側の面に、第二のフィルム33が設けられている。この第二のフィルム33が、粘着層1を備える光学フィルム積層体100である場合、第二のフィルム33を、カバーガラス31に貼り付けられうる。このとき、第二のフィルム33は、カバーガラス31と接している。そして、第三のフィルム34が画像表示部35に重なっている。この第三のフィルム34が、粘着層1を備える光学フィルム積層体100である場合、第三のフィルム34を、画像表示部35に貼り付けられうる。このとき、この画像表示部35は、第三のフィルム34と接している。この第三のフィルム34と、第二のフィルム33は、直接接してはおらず、第三のフィルム34と、第二のフィルム33との間にはギャップが存在する。このギャップは、0.1mm以上10mm以下が好ましい。
【0104】
本実施形態に係る画像表示装置300は、例えば、車載用のメーターパネル等に好適に用いられる。
【0105】
なお、本実施形態に係る光学フィルム積層体100が備わる画像表示装置200、300は、車載用のCIDやメーターパネルに用いられるのみに限られない。本実施形態に係る画像表示装置200、300は、種々の製品に用いることができる。また、画像表示装置200、300の構成は、上述の使用例1及び使用例2に限られない。例えば、光学フィルム積層体100は、画像表示部25、35及びカバーガラス21、31以外の部材に設けられていてもよい。
【実施例0106】
以下、本実施形態の、具体的な実施例について説明する。なお、本実施形態は、下記の実施例のみに制限されるものではない。
【0107】
<光学フィルム積層体の作製方法>
実施例1から実施例4、及び比較例1から比較例2で用いられた光学フィルム積層体は以下のようにして作製した。
【0108】
透明基材層(TACフィルム(富士フイルム株式会社製) 厚み:60μm)上に、中屈折率層と、高屈折率層と、低屈折率層とが、この順で積層された反射防止層を積層し、さらに、透明基材層の、反射防止層を備えた側と反対側に粘着層を積層することで、光学フィルム積層体を作製した。各々の実施例及び比較例の光学フィルム積層体に含まれるそれぞれの層の組成及び割合を、表1に示した。また、各々の実施例及び比較例の光学フィルム積層体に含まれる低屈折率層、高屈折率層、及び中屈折率層は、表1に示す成分を、表1に示す割合で含む組成物の硬化物である。
・(メタ)アクリレート1:A-9570W(新中村化学工業株式会社製)
・光重合開始剤1:Omnirad184(IGM Resins B.V社製)
・中空シリカ:スルーリア4320(日揮触媒化成株式会社製、平均粒径60nm)
・チタニア:ND176(テイカ株式会社製)
・ジルコニア:ZRDMA20WT%-G22(CIKナノテック株式会社製)
・アクリル系粘着剤:型番:ビームセットOCA-7(荒川化学工業株式会社製)
・顔料:型番:HCF#2600(三菱ケミカル株式会社製)
・染料:型番:VALIFAST BLACK 1807(オリエント化学工業株式会社製)
【0109】
<光学フィルム積層体の各層の評価>
実施例1から実施例4、及び比較例1から比較例2の光学フィルム積層体の第一の評価層、第二の評価層、及び第三の評価層において、全光線透過率、ヘイズ、透過色度、及び可視光吸収率を評価した。ここで、第一の評価層とは、反射防止層と透明基材層とを合わせた層であり、第二の評価層とは、粘着層であり、第三の評価層とは反射防止層と透明基材層と粘着層とを合わせた層であり、これらの層について評価を行った。また、各評価項目の詳細は、以下の通りである。
【0110】
(全光線透過率)
ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製 品番NDH7000SP2)を用いて、実施例1から実施例4、及び比較例1から比較例2の光学フィルム積層体に含まれる、第一の評価層、第二の評価層、及び第三の評価層について、JIS K 7361-1:1997で規定される全光線透過率を測定した。このとき、それぞれの結果を下記の表1に示した。
【0111】
(ヘイズ)
ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製 品番NDH7000SP2)を用いて、実施例1から実施例4、及び比較例1から比較例2の光学フィルム積層体に含まれる、第一の評価層、第二の評価層、及び第三の評価層について、JIS K 7361-1:1997で規定されるヘイズを測定した。このとき、それぞれの結果を下記の表1に示した。
【0112】
(透過色)
分光測色計(コニカミノルタジャパン株式会社製 品番CM-3600d)を用いて、C光源、10°視野、測定径25.4mmφ、SCIの条件で、実施例1から実施例4、及び比較例1から2の光学フィルム積層体に含まれる第三の評価層の透過色(L,a,b)を測定した。このとき、それぞれの結果を表1に示した。
【0113】
(可視光吸収率)
紫外可視分光光度計(株式会社日立ハイテク製 品番U-4100)を用いて、実施例1から実施例4、及び比較例1から2の光学フィルム積層体に含まれる第二の評価層の可視光吸収率を測定した。このとき、それぞれの結果を表1に示した。
【0114】
<評価用画像表示装置の評価>
光学フィルム積層体を備えた評価用画像表示装置を作製することによって、画像表示装置の視感反射率、映り込み、及び画像視認性の評価を行った。
【0115】
(評価用画像表示装置の作製方法)
評価用画像表示装置は次のように作製した。
【0116】
まず、タブレットPC、各実施例及び比較例の光学フィルム積層体、2つの反射防止フィルム(A)、(B)及びカバーガラス(材質フロートガラス、厚み3mm)を準備した。次に、タブレットPCのディスプレイに反射防止フィルム(A)を貼り付けた。そして、準備したカバーガラスに、光学フィルム積層体を貼りつけ、さらに、カバーガラスの光学フィルム積層体が貼りつけられた面と反対側の面に反射防止フィルム(B)を貼りつけた積層物(C)を作製した。そして、積層物(C)の光学フィルム積層体が貼りつけられた面と、タブレットPCのディスプレイの反射防止フィルム(A)が貼りつけられた面とが向き合うようにして、積層物(C)を、タブレットPCに設置することによって、評価用画像表示装置を作製した。
【0117】
なお、光学フィルム積層体の性能評価を行うためには、画像表示装置の画像表示部となりうるものが必要であったため、便宜的にディスプレイ(本明細書においては、画像表示部とするもの)を備えるタブレットPC(本明細書においては、画像表示装置とするもの)を使用した。
【0118】
また、評価用画像表示装置を作製するために使用した2つの反射防止フィルム(A)、(B)は、同じものであり、これらは、光学フィルム積層体が作製された方法と同様の方法で作製されたものである。そして、これらの反射防止フィルムに含まれるそれぞれの層の組成及び割合を表2に示した。また、これらの反射防止フィルムに含まれる低屈折率層、高屈折率層、及び中屈折率層は、表2に示す成分を、表2に示す割合で含む組成物の硬化物である。
【0119】
また、これらの反射防止フィルムの第一の評価層、第二の評価層、及び第三の評価層のそれぞれにおける、全光線透過率、ヘイズ、透過色度、及び可視光吸収率の各評価は、光学フィルム積層体と同様の方法で行われた。そして、これらの反射防止フィルムの評価結果を表2に示した。
【0120】
次に、作製した評価用画像表示装置を用いて、その画像表示装置の視感反射率、映り込み評価、及び画像視認性を評価した。
【0121】
(視感反射率)
分光測色計(コニカミノルタジャパン株式会社製 品番CM-3600d)を用いて、C光源、10°視野、測定径4mmφ、SCIの条件で、実施例1から実施例4、及び比較例1から比較例2の光学フィルム積層体を用いて作製された評価用画像表示装置において、視感反射率を測定した。このとき、それぞれの結果を下記の表1に示した。
【0122】
(映り込み評価)
実施例1から実施例4、及び比較例1から比較例2の光学フィルム積層体を用いて作製された評価用画像表示装置に向けて、カメラを用いて撮像を行い、取得した画像に映る画像表示装置を確認することで、映り込み評価を行った。このとき、それぞれの結果を以下の評価基準で下記の表1に示した。
「A」:取得した画像に映る画像表示装置に、映り込みが確認されない
「B」:取得した画像に映る画像表示装置に、映り込みが、はっきり確認できる
【0123】
(画像視認性)
実施例1から実施例4、及び比較例1から比較例2の光学フィルム積層体を用いて作製された評価用画像表示装置において、タブレットPCを起動させ、画像表示装置に映る映像を目視で確認することによって、画像視認性の評価を行った。このとき、それぞれの結果を以下の評価基準で下記の表1に示した。
「A」:画像表示装置の映像は、適度な明度を有しており、見えやすい
「B」:画像表示装置の映像は、適度な明度を有しておらず、見えづらい
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
実施例1から実施例4までの光学フィルム積層体を用いた評価用画像表示装置に向けて撮像を行った場合でも、取得した画像に映る画像表示装置には、撮影者の映り込みは確認されなかった。また、タブレットPCを起動した際に、画像表示装置に映った映像は、適度な明度を有しており、見えやすいものであった。これらの結果に対して、比較例1の光学フィルム積層体を用いた評価用画像表示装置に向けて撮像を行った場合、取得した画像に映る画像表示装置には、撮影者の映り込みが確認された。また、比較例2の光学フィルム積層体を用いた評価用画像表示装置に向けて撮像を行った場合に、取得した画像に映る画像表示装置に撮影者の映り込みは確認されなかったが、タブレットPCを起動した際に、画像表示装置に映った映像は、適度な明度を有しておらず、見えづらいものであった。
【符号の説明】
【0127】
1 粘着層
2 透明基材層
3 反射防止層
4 低屈折率層
5 高屈折率層
6 中屈折率層
7 剥離フィルム
20、30 第一のフィルム
21、31 カバーガラス
22 タッチパネル
23、33 第二のフィルム
24、34 第三のフィルム
25、35 画像表示部
100 光学フィルム積層体
200、300 画像表示装置
図1
図2
図3