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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057886
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20230417BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B41J2/01 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167628
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】渥美 英敏
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EC11
2C056EC33
2C056FA10
2C056HA37
2C056JC17
(57)【要約】
【課題】キャリッジの振動を抑制し、かつ、インクミストを効率的に回収する。
【解決手段】本インクジェットプリンタでは、キャリッジ30とインクミスト回収装置60とは、ガイドレールに沿って主走査方向に移動可能な支持部材70に取り付けられている。記録ヘッド40は、キャリッジ30によって保持されている。インクミスト回収装置60は、キャリッジ30との間に隙間G1が形成されるように支持部材70に取り付けられ、記録ヘッド40から吐出されたインクのミストを回収する。インクミスト回収装置60は、回収口61と、ガイド壁64と、を有する。回収口61は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がるように開口し、インクのミストは回収口61に回収される。ガイド壁64は、回収口61のキャリッジ30側の端部61Rに沿って副走査方向Xに延びるとともに、インクミスト回収装置60とキャリッジ30との間の隙間G1に延在するように主走査方向Yに延びている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の主走査方向と前記主走査方向に直交する副走査方向とに延びる支持面を有し、記録媒体を支持する支持台と、
前記支持台よりも上方に設けられ、前記主走査方向に延びるガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って前記主走査方向に移動可能な支持部材と、
前記支持部材に取り付けられたキャリッジと、
前記キャリッジによって保持され、インクを吐出する記録ヘッドと、
前記キャリッジと前記主走査方向に並びかつ前記キャリッジとの間に隙間が形成されるように前記支持部材に取り付けられ、前記記録ヘッドから吐出された前記インクのミストを回収するインクミスト回収装置と、
前記支持部材を前記ガイドレールに沿って移動させるように構成され、前記支持部材を介して前記キャリッジおよび前記インクミスト回収装置を前記主走査方向に動かす移動装置と、
を備え、
前記インクミスト回収装置は、
前記主走査方向および前記副走査方向に広がるように開口し、前記インクのミストが回収される回収口と、
前記回収口の前記キャリッジ側の端部に沿って前記副走査方向に延びるとともに、前記インクミスト回収装置と前記キャリッジとの間の隙間に延在するように前記主走査方向に延びるガイド壁と、を有している、
インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記ガイド壁は、前記支持面と平行に、または、前記キャリッジの側に向かうに従って前記支持面に近づくように延びている、
請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記ガイド壁は、前記記録ヘッドの下端よりも上方に位置している、
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記インクは、光硬化性のインクであり、
前記インクを硬化させる光が照射される照射口を有するとともに前記支持部材に支持され、前記ミスト回収装置に対して前記キャリッジとは前記主走査方向の反対側に配置された光照射装置と、
前記回収口と前記照射口との間に設けられ、前記回収口と前記照射口との間を仕切るように前記副走査方向および上下方向に延びるミスト防止壁と、をさらに備えている、
請求項1~3のいずれか一つに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記ミスト防止壁の下端は、前記照射口よりも下方に位置している、
請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記ミスト防止壁は、前記記録ヘッドの下端よりも上方に位置している、
請求項4または5に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記ミスト防止壁の下端は、前記ガイド壁よりも下方に位置している、
請求項4~6のいずれか一つに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記副走査方向に関して、
前記照射口の長さは、前記記録ヘッドの長さよりも長く、
前記ミスト防止壁の長さは、前記照射口の長さよりもさらに長く、
前記ガイド壁の長さは、前記記録ヘッドよりも長く、前記ミスト防止壁の長さよりも短い、
請求項4~7のいずれか一つに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記インクミスト回収装置は、前記回収口の前記主走査方向の端部のうち前記キャリッジ側の端部とは逆側の端部に沿って設けられた第2のガイド壁を有し、
前記第2のガイド壁は、前記逆側の端部に沿って前記副走査方向に延びるとともに、前記主走査方向に延びている、
請求項1~8のいずれか一つに記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出する記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタが従来から知られている。かかるインクジェットプリンタは、インクを記録媒体に吐出することによって、記録媒体に画像を形成する。吐出されたインクの一部は、微細なインクミストとなって、空中を漂うことがある。そこで、インクジェットプリンタの中には、記録ヘッドから吐出されるインクのインクミストを回収するインクミスト回収装置をさらに備えたものが存在する。例えば、特許文献1には、ヘッドキャリッジと、ヘッドキャリッジに搭載されたインクヘッドおよびインクミスト回収装置(特許文献1によれば、送風装置の吸気部分)と、を備えたプリンタが開示されている。特許文献1に開示されたインクミスト回収装置は、記録媒体に対向し空気を取り入れる第1吸気口と、第1吸気口から取り入れられた空気を排出する第1排出口と、第1吸気口と第1排出口との間に設けられた第1フィルタと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-196179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたプリンタでは、インクミスト回収装置は、ヘッドキャリッジに取り付けられている。インクミスト回収装置がキャリッジに取り付けられていると、インクミスト回収装置の駆動による振動がキャリッジに伝わり、それによってキャリッジが振動する可能性がある。本願発明者は、インクミスト回収装置の駆動による振動がキャリッジに伝わることを抑制するために、インクミスト回収装置とキャリッジとを離して配置することを考案した。しかし、本願発明者の知見によると、インクミスト回収装置をキャリッジから離して配置すると、記録ヘッドはキャリッジに設けられているため、記録ヘッドから吐出されるインクのインクミストがインクミスト回収装置に回収されにくくなる。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャリッジの振動を抑制でき、かつ、インクミストを効率的に回収できるインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示するインクジェットプリンタは、支持台と、ガイドレールと、支持部材と、キャリッジと、記録ヘッドと、インクミスト回収装置と、移動装置と、を備えている。前記支持台は、所定の主走査方向と前記主走査方向に直交する副走査方向とに延びる支持面を有し、記録媒体を支持する。前記ガイドレールは、前記支持台よりも上方に設けられ、前記主走査方向に延びている。前記支持部材は、前記ガイドレールに沿って前記主走査方向に移動可能に構成されている。前記キャリッジは、前記支持部材に取り付けられている。前記記録ヘッドは、前記キャリッジによって保持されており、インクを吐出する。前記インクミスト回収装置は、前記キャリッジと前記主走査方向に並びかつ前記キャリッジとの間に隙間が形成されるように前記支持部材に取り付けられており、前記記録ヘッドから吐出された前記インクのミストを回収する。前記移動装置は、前記支持部材を前記ガイドレールに沿って移動させるように構成され、前記支持部材を介して前記キャリッジおよび前記インクミスト回収装置を前記主走査方向に動かす。前記インクミスト回収装置は、回収口と、ガイド壁と、を有している。前記回収口は、前記主走査方向および前記副走査方向に広がるように開口しており、前記インクのミストが回収される。前記ガイド壁は、前記回収口の前記キャリッジ側の端部に沿って前記副走査方向に延びるとともに、前記インクミスト回収装置と前記キャリッジとの間の隙間に延在するように前記主走査方向に延びている。
【0007】
上記インクジェットプリンタによれば、ガイド壁は、キャリッジの振動を抑制するためにインクミスト回収装置とキャリッジとの間に設けられた隙間に延在するように延びている。ガイド壁がこのように設けられることにより、ガイド壁の分だけ、インクミスト回収装置の吸い込みエリアを広くすることができる。これにより、回収口よりも主走査方向の側方から回収口に向かう気流の速度が上昇し、記録ヘッドから吐出されるインクのミストがミスト回収装置に回収されやすくなる。よって、上記インクジェットプリンタによれば、キャリッジの振動を抑制でき、かつ、インクミストを効率的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るプリンタの模式的な斜視図である。
図2】フロントカバーを開けた状態のプリンタの模式的な正面図である。
図3】支持部材の斜視図である。
図4】キャリッジ、ミスト回収装置、および光照射装置の正面図である。
図5】キャリッジ、ミスト回収装置、および光照射装置を下方から見た斜視図である。
図6】ミスト回収装置の回収口付近の正面図である。
図7】第2のガイド壁が設けられたミスト回収装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0010】
図1は、一実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、プリンタと呼ぶ。)10を示す斜視図である。以下の説明では、特に断らない限り、プリンタ10を正面から見たときに、プリンタ10から遠ざかる方を前方、プリンタ10に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、プリンタ10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。図面中の符号Yは主走査方向を示している。主走査方向Yは左右方向である。符号Xは、副走査方向を示している。副走査方向Xは前後方向である。符号Zは、上下方向を示している。主走査方向Y、副走査方向X、および上下方向Zは、互いに直交している。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0011】
本実施形態では、プリンタ10は、インクジェット方式のプリンタである。本実施形態において、「インクジェット方式」とは、二値偏向方式または連続偏向方式などの各種の連続方式、および、サーマル方式または圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む従来公知の各種の手法によるインクジェット式のことをいう。
【0012】
図1に示すように、プリンタ10は、箱状に形成されている。本実施形態では、プリンタ10は、ケース11と、フロントカバー12とを備えている。図2は、フロントカバー12を開けた状態のプリンタ10を示す正面図である。図2に示すように、ケース11の前部には、開口が形成されている。フロントカバー12は、ケース11の開口を開閉自在に設けられている。ここでは、フロントカバー12は、後端を軸に回転可能なように、ケース11に支持されている。フロントカバー12には、窓部12aが設けられている。窓部12aは、例えば、透明のアクリル板によって形成されている。ユーザーは、窓部12aを通じてケース11の内部空間を視認することが可能である。
【0013】
図2に示すように、プリンタ10の内部空間には、フラットベッド20と、ベッド移動装置25と、ガイドレール35と、キャリッジ30と、キャリッジ移動装置36と、記録ヘッド40と、光照射装置50と、ミスト回収装置60と、制御装置100(図1参照)と、が設けられている。
【0014】
フラットベッド20は、記録媒体5を支持する支持台である。本実施形態に係るプリンタ10は、いわゆる、フラットベッドタイプのプリンタである。フラットベッド20は、平板状の部材である。フラットベッド20の上面は、記録媒体5を支持する支持面21を構成している。支持面21は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びている。支持面21は、上方を向いている。記録媒体5の形状は特に限定されず、平板状の他、様々な立体形状を有していてもよい。また、記録媒体5の材質も特に限定されず、記録媒体5は、例えば、木、金属、ガラス、紙、布などであってもよい。支持面21を含むフラットベッド20は、キャリッジ30、キャリッジ移動装置36、記録ヘッド40、光照射装置50、およびミスト回収装置60よりも下方に設けられている。フラットベッド20は、ケース11の内部空間において、主走査方向Yのほぼ中央に配置されている。
【0015】
フラットベッド20の下方には、ベッド移動装置25が配置されている。ベッド移動装置25は、フラットベッド20を副走査方向Xおよび上下方向Zに移動させる。フラットベッド20は、ベッド移動装置25によって下方から支持されている。ベッド移動装置25は、副走査方向移動機構25Xと、上下方向移動機構25Zとを備えている。上下方向移動機構25Zは、フラットベッド20を支持して上下方向Zに移動させる。上下方向移動機構25Zは、副走査方向移動機構25Xによって下方から支持されている。副走査方向移動機構25Xは、上下方向移動機構25Zを支持して副走査方向Xに移動させる。ただし、ベッド移動装置25の構成は限定されない。例えば、副走査方向移動機構25Xと上下方向移動機構25Zとは、上下の位置関係が逆でもよい。
【0016】
ガイドレール35は、フラットベッド20よりも上方に設けられ、主走査方向Yに延びている。図2に示すように、本実施形態に係るプリンタ10は、ガイドレール35に沿って主走査方向Yに移動可能な支持部材70を備えている。支持部材70には、キャリッジ30、光照射装置50、およびミスト回収装置60が取り付けられている。支持部材70は、これらの部材を支持している。支持部材70によって、キャリッジ30、光照射装置50、およびミスト回収装置60は、一体となっている。キャリッジ移動装置36は、支持部材70をガイドレール35に沿って移動させるように構成されており、支持部材70を介してキャリッジ30、光照射装置50、およびミスト回収装置60を主走査方向Yに動かす。ここでは、光照射装置50は、キャリッジ30に直接取り付けられず、支持部材70を介してキャリッジ30と連結されている。そのため、光照射装置50をキャリッジ30に直接取り付ける場合に比べて、キャリッジ移動装置36による光照射装置50の移動に起因する振動がキャリッジ30および記録ヘッド40に伝達されることが抑制される。
【0017】
図2に示すように、キャリッジ移動装置36は、ベルト37と、図示しない左右のプーリと、キャリッジモータ38、とを備えている。無端状のベルト37は、支持部材70に固定されている。ベルト37は、ガイドレール35の右側および左側に設けられたプーリ(図示省略)に巻き掛けられている。一方のプーリにはキャリッジモータ38が取り付けられている。キャリッジモータ38が駆動するとプーリが回転し、ベルト37が走行する。それにより、支持部材70、および、支持部材70に支持されたキャリッジ30、光照射装置50、ミスト回収装置60が、ガイドレール35に沿って主走査方向Yに移動する。ただし、記録ヘッドを構成する複数のインクヘッドを保持する部材と、これとは別部材であってガイドレールに係合される部材と、をキャリッジが備える場合には、ガイドレールにはキャリッジが摺動自在に係合していてもよい。
【0018】
支持部材70は、平板状に構成され、主走査方向Yおよび上下方向Zに延びている。図3は、支持部材70の斜視図である。図3に示すように、支持部材70は、主走査方向Yおよび上下方向Zに延びる平板状のプレート部71と、プレート部71から前方に延びる2つの固定金具72、73と、を備えている。プレート部71には、キャリッジ30が固定されている。左側固定金具72および右側固定金具73は、ミスト回収装置60を固定する部品である。左側固定金具72および右側固定金具73は、支持部材70の中央部よりも左方に設けられている。左側固定金具72と右側固定金具73とは、主走査方向Yに並んで設けられている。右側固定金具73は、左側固定金具72よりも右方に配置されている。ミスト回収装置60は、左側固定金具72と右側固定金具73との間に配置され、これらに固定されている(図4参照)。詳しくは後述するが、キャリッジ30は、右側固定金具73よりも右方でプレート部71に固定されている。光照射装置50は、左側固定金具72の左方に配置され、左側固定金具72に固定されている。ただし、支持部材70の構成は、上記したものには限定されない。
【0019】
図4は、キャリッジ30、光照射装置50、およびミスト回収装置60の正面図である。図5は、キャリッジ30、光照射装置50、およびミスト回収装置60を下方から見た斜視図である。図4および図5に示すように、支持部材70は、右方から、キャリッジ30、ミスト回収装置60、光照射装置50の順に、これらの部材を支持している。図5に示すように、支持部材70は、キャリッジ30と主走査方向Yに並び、かつ、キャリッジ30との間に隙間G1が形成されるように、ミスト回収装置60を支持している。キャリッジ30とミスト回収装置60とは、主走査方向Yに離れて設けられている。光照射装置50は、ミスト回収装置60に対して、キャリッジ30とは主走査方向Yの反対側に配置されている。ここでは、光照射装置50は、ミスト回収装置60よりも左方に設けられている。光照射装置50は、支持部材70(詳しくは、支持部材70の左側固定金具72)に支持されており、キャリッジ30とは主走査方向Yに離れている。
【0020】
キャリッジ30は、前述したように、ガイドレール35に沿って主走査方向Yに移動可能なように構成されており、フラットベッド20の支持面21よりも上方に設けられている。キャリッジ30は、記録ヘッド40を保持し、箱状に構成されており、記録ヘッド40へのインクの供給系統の一部を収容している。記録ヘッド40は、キャリッジ30の下面に設けられている。記録ヘッド40は、フラットベッド20と対向している。記録ヘッド40は、フラットベッド20の支持面21に支持された記録媒体5に向かってインクを吐出する。ここでは、記録ヘッド40は、下方に向かってインクを吐出する。図4に示すように、記録ヘッド40は、複数のインクヘッド41を備えている。
【0021】
図5に示すように、複数のインクヘッド41は、いずれも副走査方向Xに延びている。図5に示すように、一部のインクヘッド41は、副走査方向Xに関して、他のインクヘッド41とずれた位置に配置されていてもよい。ただし、複数のインクヘッド41の副走査方向Xの位置は揃っていてもよい。記録ヘッド40が有するインクヘッド41の数は限定されない。記録ヘッド40が有するインクヘッド41の数は、例えば1つであってもよい。
【0022】
複数のインクヘッド41は、それぞれ、副走査方向Xに並ぶ複数のノズル42を備えている。ノズル42は、インクが吐出される微細な穴である。ノズル42は、それぞれ、インクが貯留される圧力室に連通している。インクは、例えば圧電素子等の駆動によって圧力室が膨張/収縮されることによってノズル42から吐出される。ノズル42は、それぞれ、フラットベッド20と対向するように形成されている。インクヘッド41の下面は、複数のノズル42が形成されたノズル面43を構成している。図5では、1つのノズル面43に形成されたノズル42の数は少数しか図示されていないが、実際にはもっと多数のノズル42がノズル面43には形成されている。記録ヘッド40が有するノズル42の数は限定されない。
【0023】
以下、記録ヘッド40が有するノズル42のうち、最も前方(副走査方向Xのうちの一方)のノズル42と最も後方(副走査方向Xのうちの他方)のノズル42との間の副走査方向Xの距離を「記録ヘッド40の副走査方向Xの長さ」または、単に「記録ヘッド40の長さ」とも呼ぶ。記録ヘッド40の長さは、副走査方向Xに関するインクの吐出可能範囲の長さである。図5に示すように、記録ヘッド40の長さは、符号L1で示す。
【0024】
本実施形態では、記録ヘッド40の複数のインクヘッド41から吐出されるインクは、いずれも光硬化性インクである。光硬化性インクは、ここでは、紫外線を照射されると硬化する紫外線硬化型のインクである。光硬化性インクの成分、特性等は特に限定されない。
【0025】
光照射装置50は、インクを硬化させる光を照射する装置である。図5に示すように、光照射装置50は、インクを硬化させる光が照射される照射口51を備えている。照射口51は、下方に向かって開口している。照射口51は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びている。図5に示すように、照射口51の副走査方向Xの長さL2は、記録ヘッド40の副走査方向Xの長さL1よりも長い。
【0026】
光照射装置50は、照射口51が下面に形成された箱状のケース52を備えている。図4に示すように、ケース52の内部には、インクを硬化させる光を生成する光源53が収容されている。光源53は、例えば、複数の紫外線照射LEDから構成されている。図5に示すように、照射口51には、光源53が生成する光を通過させるカバー54が設けられている。ただし、照射口51は、カバー54に覆われない単なる開口部であってもよい。
【0027】
ミスト回収装置60は、記録ヘッド40から吐出されたインクのミストを回収する装置である。図5に示すように、ミスト回収装置60は、インクのミストが回収される回収口61を有している。回収口61は、下方に向かって開口している。回収口61は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がるように開口している。図5に示すように、回収口61の副走査方向Xの長さL3は、記録ヘッド40の副走査方向Xの長さL1よりも長い。回収口61の副走査方向Xの長さL3は、ここでは、照射口51の副走査方向Xの長さL2よりも短い。ただし、回収口61の副走査方向Xの長さL3は、照射口51の副走査方向Xの長さL2と同じか、または、照射口51の長さL2より長くてもよい。
【0028】
ミスト回収装置60は、回収口61が下面に形成された箱状のケース62を備えている。ケース62内には、図示しないフィルタが収容されている。図4に示すように、ケース62の左側面の上部には、ファン63が設けられている。ファン63は、インクミストを吸い込むための気流を発生させる。ファン63の駆動により、回収口61に向かう気流が回収口61の周辺に発生する。
【0029】
本実施形態では、ミスト回収装置60は、回収口61よりも記録ヘッド40の側のインクミストを回収口61に導きやすくするためのガイド壁64と、回収口61の開口幅を調整するための開口部壁65と、光照射装置50へのインクミストの付着を抑制するためのミスト防止壁66と、を備えている。ただし、ミスト防止壁66は、ミスト回収装置60以外の部材、例えば、支持部材70に設けられていてもよい。ガイド壁64は、平板状の部材である。図5に示すように、ガイド壁64は、回収口61のキャリッジ30側の端部(ここでは、右端)61Rに沿って副走査方向Xに延びている。ガイド壁64は、また、ミスト回収装置60とキャリッジ30との間の隙間G1に延在するように主走査方向Yに延びている。ガイド壁64は、ここでは、ケース62の右側面の下端が曲げられることによって形成されている。ガイド壁64は、ここでは、ケース62の右側面と一体である。ただし、ガイド壁64の構成は、これに限定されるわけではない。
【0030】
図4に示すように、ガイド壁64は、フラットベッド20の支持面21と平行に、ここでは略水平に延びている。ただし、ガイド壁64は、キャリッジ30の側に向かうに従ってフラットベッド20の支持面21に近づくように延びていてもよい。すなわち、ガイド壁64は、キャリッジ30の側に向かうに従って下降するような下降傾斜を有していてもよい。前後方向視におけるガイド壁64の好ましい伸長方向は、フラットベッド20の支持面21と平行、または、キャリッジ30の側に向かうに従ってフラットベッド20の支持面21に近づく方向である。
【0031】
図5に示すように、ガイド壁64の副走査方向Xの長さL4は、ここでは、ミスト回収装置60の回収口61の副走査方向Xの長さL3と略同じである。従って、ガイド壁64の副走査方向Xの長さL4は、記録ヘッド40の副走査方向Xの長さL1よりも長い。ここでは、ガイド壁64の副走査方向Xの長さL4は、光照射装置50の照射口51の副走査方向Xの長さL2よりも短い。ただし、ガイド壁64の副走査方向Xの長さL4は、照射口51の副走査方向Xの長さL2と同じか、照射口51の長さL2より長くてもよい。
【0032】
ガイド壁64は、記録ヘッド40の下端よりも上方に位置している。ガイド壁64が下降傾斜を有する場合、ガイド壁64の全部が記録ヘッド40の下端よりも上方に位置するよう、ガイド壁64の下降角度は僅かであることが好ましい。
【0033】
開口部壁65は、ミスト回収装置60の底面の一部を構成している。開口部壁65も、平板状の部材である。開口部壁65は、回収口61の開口部を一部塞ぐように、ミスト回収装置60の左側面から右方に向かって延びている。開口部壁65の右辺は、回収口61の左辺を構成している。開口部壁65は、副走査方向Xにも延びている。開口部壁65の副走査方向Xの長さL5は、ミスト回収装置60の回収口61の副走査方向Xの長さL3およびガイド壁64の副走査方向Xの長さL4と略同じである。開口部壁65により、回収口61の主走査方向Yの幅は、ミスト回収装置60の主走査方向Yの幅よりも小さくなっている。
【0034】
ミスト回収装置60は、光照射装置50に対して主走査方向Yの側方に設けられており、光照射装置50が副走査方向Xに大型化すると、それに伴って副走査方向Xに大型化する。ミスト回収装置60が副走査方向Xに大型化すると、回収口61の開口面積が大きくなり、ファン63の駆動によって回収口61に向かう気流の速度が低下する。これに対応するため、本実形態では、気流の速度は、開口部壁65によって回収口61の開口面積を調整することによって調整されている。
【0035】
ミスト防止壁66は、ミスト回収装置60の回収口61と光照射装置50の照射口51との間に設けられ、回収口61と照射口51との間を仕切っている。ミスト防止壁66も、平板状に構成されている。ミスト防止壁66は、副走査方向Xおよび上下方向Zに延びている。ただし、ミスト防止壁66は、上下方向Zから傾いた方向に延びていてもよい。図5に示すように、ミスト防止壁66は、ミスト回収装置60と光照射装置50との境界部から下方に向かって延びている。ミスト防止壁66の下端は、照射口51よりも下方に位置している。ミスト防止壁66の下端は、ここでは、回収口61よりも下方に位置している。ただし、回収口61は照射口51よりも下方に設けられていてもよく、その場合、ミスト防止壁66の下端は、回収口61よりも上方に位置していてもよい。ここでは、ミスト防止壁66は、ミスト回収装置60のケース62の左側面のうち、回収口61よりも下方に延びた部分である。ただし、前述したように、ミスト防止壁66は、ミスト回収装置60の一部でなくてもよい。ミスト防止壁66の主走査方向Yの位置も、回収口61と照射口51との間であれば、特に限定されない。
【0036】
ミスト防止壁66の下端は、ガイド壁64よりも下方に位置している。ただし、ミスト防止壁66は、記録ヘッド40の下端よりは上方に位置している。支持部材70に直接または間接的に支持されている部材のうち、その下端が最も下方に位置する部材は、記録ヘッド40である。
【0037】
図5に示すように、ミスト防止壁66の副走査方向Xの長さL6は、照射口51の副走査方向Xの長さL2よりも長い。その結果、ガイド壁64の副走査方向Xの長さL4、および、開口部壁65の副走査方向Xの長さL5は、ミスト防止壁66の副走査方向Xの長さL6よりも短い。ミスト防止壁66は、ガイド壁64、開口部壁65、およびミスト防止壁66のうちで、最も副走査方向Xの長さが長い。
【0038】
ガイド壁64、開口部壁65、またはミスト防止壁66の形状は、平板状には限定されない。ガイド壁64、開口部壁65、またはミスト防止壁66は、曲面を有していてもよく、ある程度の厚みを有していてもよい。
【0039】
制御装置100は、副走査方向移動機構25Xと、上下方向移動機構25Zと、キャリッジモータ38と、複数のインクヘッド41と、光照射装置50の光源53と、ミスト回収装置60のファン63と、に電気的に接続され、それらの動作を制御している。制御装置100は、例えば、プリンタ10に接続されたコンピュータであり、中央演算処理装置(以下、CPUという)と、CPUが実行するプログラムなどが格納されたROMと、RAMなどを備えていてもよい。制御装置100の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、各部は、プロセッサであってもよいし、回路であってもよい。制御装置100の構成は特に限定されない。
【0040】
制御装置100は、少なくとも記録ヘッド40からインクが吐出されているときには、ミスト回収装置60のファン63を駆動させ、記録ヘッド40から吐出されるインクによって発生するインクミストを回収する。図6は、ミスト回収装置60の回収口61付近の正面図である。以下では、主に図6を使用して、回収口61に向かう気流、および、気流によって運ばれるインクミストの動きについて説明する。
【0041】
インクミストは、記録ヘッド40から吐出されたインクのインク滴の一部が飛翔途中で分散すること、記録媒体5に着弾したインク滴が飛散すること、等によって発生する。インクミストが記録ヘッド40のノズル42に付着すると、ノズル42からのインクの吐出に不具合を発生させるおそれがある。インクミストが光照射装置50のカバー54に付着すると、照射口51から照射される光が弱くなるおそれがある。そのため、ミスト回収装置60は、記録ヘッド40からインクが吐出されている間、インクミストを回収するために駆動されている。
【0042】
本実施形態では、ミスト回収装置60は、キャリッジ30(記録ヘッド40)に直接支持されていない。これにより、ミスト回収装置60の駆動による振動がキャリッジ30に伝わることが抑制されている。キャリッジ30の振動は、印刷品質に悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、キャリッジ30とミスト回収装置60との間には、隙間G1が形成されている。
【0043】
本実施形態では、光照射装置50も、キャリッジ30(記録ヘッド40)に直接支持されていない。光照射装置50は重いので、光照射装置50がキャリッジ30(記録ヘッド40)に直接支持されている場合、キャリッジ移動装置36による移動に起因する光照射装置50の振動がキャリッジ30に直接伝達されるおそれがある。そのため、光照射装置50も、支持部材70に支持され、キャリッジ30とは離れて設けられている。
【0044】
キャリッジにミスト回収装置(およびミスト回収装置に支持される光照射装置)が直接取り付けられ、支持される場合には、キャリッジが主走査方向に移動すると、ミスト回収装置(および光照射装置)の振動が直接キャリッジに伝達される。しかし、本実施形態では、ミスト回収装置60の振動がキャリッジ30に伝わりにくいように、ミスト回収装置60はキャリッジ30に直接取り付けられていない。そのため、ミスト回収装置60とキャリッジ30との間には隙間G1が生じる。このような隙間G1があると、ファン63の駆動により回収口61に向かう気流の速度が低下する。そのため、記録ヘッド40から吐出されるインクのミストがミスト回収装置60に回収されにくくなるおそれがあった。
【0045】
図6の矢印W1、W2、およびW3は、ミスト回収装置60の回収口61付近の気流を模式的に示している。図6の気流W2aは、ガイド壁64を設けなかった場合に回収口61の右方に発生する気流を示している。ガイド壁64を設けない場合、ミスト回収装置60が発生させる気流の速度は、回収口61の下方よりも回収口61の側方において遅くなる。気流W2aの速度は、気流W1の速度よりも非常に遅い。図6では、気流W1およびW2aの矢印の長さにより、このことを示している。ガイド壁64は、ガイド壁64の分だけ吸い込みエリアを広くすることにより、回収口61よりも主走査方向Yの側方(ここでは右方)から回収口61に向かう気流の速度を上昇させる。ガイド壁64は、回収口61に向かう気流の速度を速めることにより記録ヘッド40から吐出されるインクのミストがミスト回収装置60に回収されやすくなるように設けられたものである。
【0046】
図6のM1、M2、およびM3は、インクミストを模式的に示している。図6に示すように、ミスト回収装置60は、回収口61の下方の空気を吸引し、気流W1を発生させる。気流W1は、回収口61の下方の空気が回収口61に吸い込まれることによって発生する上向きの気流である。気流W1により、回収口61の下方に滞留しているインクミストM1が回収口61に回収される。
【0047】
図6に示すように、ミスト回収装置60は、回収口61から空気を吸引することによって、ガイド壁64に沿った気流W2も発生させる。気流W2は、ガイド壁64の下面に沿って左方に向かう気流である。ここでは、左方は、記録ヘッド40から見て回収口61が存在する方向である。気流W2により、回収口61の右方、すなわち、記録ヘッド40の側に滞留しているインクミストM2が回収口61に回収される。
【0048】
本実施形態に係るミスト回収装置60は、回収口61のキャリッジ30側の端部(ここでは、右端61R)に沿って副走査方向Xに延びるとともに、ミスト回収装置60とキャリッジ30との間の隙間G1に延在するように主走査方向Yに延びるガイド壁64を有している。ガイド壁64は、ガイド壁64の分だけ吸い込みエリアを広くすることにより、回収口61の主走査方向Yの側方から回収口61に向かう気流の速度を上昇させる。図6において気流W2およびW2aの矢印の長さで示すように、気流W2の速度は、気流W2aの速度よりも速くなっている。これによって、ミスト回収装置60とキャリッジ30との間に隙間が形成されている場合であっても、インクミストM2がミスト回収装置60に効率的に回収される。また、ミスト回収装置60がキャリッジ30のある側とは逆の側(ここでは左方)に移動しているときであっても、インクミストをミスト回収装置60によって回収しやすい。
【0049】
図4に示すように、本実施形態では、ガイド壁64は、フラットベッド20の支持面21と平行に、または、キャリッジ30の側に向かうに従って支持面21に近づくように延びている。ここでは、ガイド壁64は、略水平、またはキャリッジ30の側に向かって下がるように延びている。かかる構成によれば、ガイド壁64に沿って流れる気流W2がスムーズに回収口61に流れ込む。そのため、例えば、回収口61に吸い込まれない気流が多く発生して、インクミストの回収効率が低下するようなことが起こりにくい。
【0050】
ただし、本実施形態では、ガイド壁64は、記録ヘッド40の下端よりも上方に位置している。これにより、ガイド壁64がフラットベッド20やフラットベッド20上の記録媒体5に接触することが防止されている。
【0051】
開口部壁65も、ガイド壁64と同様の効果を奏している。開口部壁65は、開口部壁65に沿った気流W3を発生させる。気流W3により、回収口61の左方に滞留しているインクミストM3が回収口61に効率的に回収される。さらに、開口部壁65は、ミスト回収装置60の回収口61の開口面積を好適な開口面積に調整している。回収口61の開口面積が大き過ぎると、回収口61に流れ込む気流の速度が遅くなる。これにより、インクミストの回収効率が悪くなりやすい。回収口61の開口面積が小さ過ぎると、回収口61に流れ込む気流の量が減少する。これによっても、インクミストの回収効率が悪くなりやすい。開口部壁65は、回収口61の開口面積を、インクミストが効率よく回収される好適な開口面積に調整している。
【0052】
ミスト防止壁66は、回収口61と光照射装置50の照射口51との間に設けられ、回収口61と照射口51との間を仕切ることにより、照射口51にインクミストが到達しにくくしている。ミスト防止壁66の下端は、照射口51よりも下方に位置している。そのため、ミスト防止壁66よりもキャリッジ30側(ここでは右方)に滞留しているインクミストが照射口51、および、照射口51に設けられたカバー54に到達しにくい。これにより、照射口51のカバー54へのインクの付着が抑制されている。ここでは、ミスト防止壁66は、略鉛直に設けられている。ミスト防止壁66も、記録ヘッド40の下端よりも上方に位置している。これにより、ミスト防止壁66がフラットベッド20やフラットベッド20上の記録媒体5に接触することが防止されている。
【0053】
本実施形態では、ミスト防止壁66の下端は、ガイド壁64よりも下方に位置している。かかる構成によれば、ガイド壁64に沿って流れる気流W2によって運ばれたものの回収口61に回収されなかったインクミストの照射口51への到達を、ミスト防止壁66により防止することができる。
【0054】
図5に示すように、本実施形態では、副走査方向Xに関して、照射口51の長さL2は、記録ヘッド40の長さL1よりも長い。これにより、記録ヘッド40がインクを吐出可能な領域の全部に光を照射することができる。ミスト防止壁66の長さL6は、照射口51の長さL2よりもさらに長い。これにより、ミスト防止壁66よりもキャリッジ30側(ここでは右方)に滞留しているインクミストの照射口51への到達をより防止することができる。ガイド壁64の副走査方向Xの長さL4は、ここでは、記録ヘッド40の長さL1よりも長い。そのため、ガイド壁64は、副走査方向Xに関して記録ヘッド40がインクを吐出可能な領域において発生するインクミストに対して、広く効果を発揮することができる。かつ、ガイド壁64の長さL4は、ミスト防止壁66の長さL6よりも短い。かかるガイド壁64の長さL4は、記録ヘッド40がインクを吐出可能な領域において発生し得るインクミストに対して広く効果を発揮するために必要であって、かつ、不要に長くない長さである。そのため、かかる構成によれば、ガイド壁64の機能を確保しつつ、ガイド壁64のコストを低減することができる。
【0055】
なお、上記した記録ヘッド40、光照射装置50、およびミスト回収装置60の間の主走査方向Y、副走査方向X、または上下方向Zに関する位置関係は、上記した実施形態には限定されない。例えば、ミスト回収装置60および光照射装置50は、記録ヘッド40よりも右方、または左右両方に設けられていてもよい。ガイド壁64、開口部壁65、およびミスト防止壁66の間の主走査方向Y、副走査方向X、または上下方向Zに関する位置関係も好適な一例に過ぎず、上記には限定されない。例えば、光照射装置50の照射口51が記録ヘッド40よりもかなり上方に配置されているような場合には、ミスト防止壁66は、ガイド壁64よりも上方に設けられていてもよい。
【0056】
以上、好適な一実施形態について説明した。しかし、本発明のインクジェットプリンタは、上記した実施形態に限定されない。例えば、上記した実施形態では、ミスト回収装置60は、回収口61のキャリッジ30側の端部61Rに沿って副走査方向Xに延びるとともに、ミスト回収装置60とキャリッジ30との間の隙間G1に延在するように主走査方向Yに延びるガイド壁64を備えていた。しかし、上記した実施形態では、ミスト回収装置60は、回収口61の端部61Rとは逆側の端部に沿って設けられた第2のガイド壁は備えていなかった。図7は、回収口61の端部61Rとは逆側の端部61Lに沿って第2のガイド壁64Lが設けられたミスト回収装置60等を示す正面図である。なお、最初の実施形態におけるガイド壁64は、この実施形態では、第1のガイド壁64Rと称する。図7に示すように、本実施形態では、ミスト回収装置60は、回収口61の主走査方向Yの端部のうちキャリッジ30側の端部61Rとは逆側の端部61Lに沿って設けられた第2のガイド壁64Lを有している。第2のガイド壁64Lは、上記逆側の端部61Lに沿って副走査方向Xに延びるとともに、主走査方向Yに延びている。ここでは、第2のガイド壁64Lは、回収口61の左端61Lから左方に向かって延びている。かかる構成によれば、第2のガイド壁64Lによっても吸い込みエリアを拡大できるため、第2のガイド壁64Lの側の気流の速度も速めることができる。そのため、ミスト回収装置60がキャリッジ30のある側(ここでは右方)に移動しているときに、回収口61よりも主走査方向Yの外方(回収口61を基準としてキャリッジ30のある側とは逆側、ここでは左方)に漂うインクミストを効率良く回収することができる。
【0057】
図7に示すように、第2のガイド壁64Lは、フラットベッド20の支持面21と平行に延びていてもよい。または、第2のガイド壁64Lは、キャリッジ30から離れるに従って支持面21に近づくように傾斜していてもよい。
【0058】
また、上記した実施形態では、プリンタ10はフラットベッドタイプのプリンタであったが、プリンタの構成は特に限定されない。ここに開示される技術は、例えば、記録媒体がロールから供給されるタイプのプリンタに対して適用されてもよい。記録媒体を支持する支持台は、ロールから供給される記録媒体が載置されるプラテンであってもよい。
【0059】
上記した実施形態では、インクは光硬化性のインクであり、プリンタ10は、光照射装置50を備えていた。しかし、ここに開示される技術は、光硬化性インク以外のインク、例えば、熱硬化性のインクにも適用することができる。その場合のインクジェットプリンタは、光照射装置を備えなくてもよい。代わりに、インクジェットプリンタは、インクの乾燥を促進する加熱装置(例えば、熱風噴射装置)と、加熱装置にインクミストが付着するのを抑制するミスト防止壁と、を備えていてもよい。
【0060】
上記した実施形態では、プリンタ10は、シャトルヘッド方式のプリンタであり、キャリッジ30を主走査方向Yに移動させるキャリッジ移動装置36を備えていた。しかし、ここに開示される技術は、キャリッジが移動しないラインヘッド方式のプリンタにも適用することができる。
【0061】
その他、特に言及がない限り、上記した実施形態は本発明を限定しない。
【符号の説明】
【0062】
5 記録媒体
10 インクジェットプリンタ
20 フラットベッド(支持台)
30 キャリッジ
35 ガイドレール
36 キャリッジ移動装置(移動装置)
40 記録ヘッド
50 光照射装置
51 照射口
60 ミスト回収装置(インクミスト回収装置)
61 回収口
64 ガイド壁
64L 第2のガイド壁
66 ミスト防止壁
70 支持部材
G1 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7