(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057891
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】人力駆動車用のリアディレイラ
(51)【国際特許分類】
B62M 9/122 20100101AFI20230417BHJP
B62M 9/1242 20100101ALI20230417BHJP
B62M 9/128 20100101ALI20230417BHJP
B62J 43/30 20200101ALI20230417BHJP
【FI】
B62M9/122
B62M9/1242
B62M9/128
B62J43/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167638
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】井土垣 慧
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 浩司
(57)【要約】
【課題】バッテリがリンク機構に配置される場合であっても、安定した変速動作を実現できる人力駆動車用のリアディレイラを提供する。
【解決手段】リアディレイラは、第1取付端と、第1旋回部分および第2旋回部分を有する第2取付端と、を含むベース部材と、リンク機構と、第3旋回部分および第4旋回部分を有する可動部材と、プーリアセンブリと、クラッチ構造を含むモータアセンブリと、バッテリ取付部分と、を備え、第1取付端は、第1アームおよび第2アームを含み、バッテリ取付部分は、バッテリ取付部分に少なくとも1つのバッテリが取り付けられるように、アウタリンク部材、および、インナリンク部材の少なくとも1つに設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車の後輪軸心と同軸心に取り付けられるリアディレイラであって、
前記リアディレイラは、
前記後輪軸心と同軸心上に取り付けられる第1取付端と、第1旋回部分および第2旋回部分を有する第2取付端と、を含むベース部材と、
前記ベース部材に対して旋回可能に連結され、インナリンク部材と、前記リアディレイラが前記人力駆動車に取り付けられた取付状態において、前記インナリンク部材よりも前記人力駆動車のフレームから離れた位置に配置されるアウタリンク部材と、を含むリンク機構と、
前記リンク機構に旋回可能に連結され、前記取付状態において、前記人力駆動車の前記フレームに向かう方向、および、前記人力駆動車の前記フレームから離れる方向に移動可能であり、第3旋回部分および第4旋回部分を有する可動部材と、
前記可動部材に旋回可能に連結される、プーリアセンブリと、
モータ、および、駆動構造を含むモータアセンブリと、
バッテリ取付部分と、を備え、
前記第1取付端は、第1アームおよび第2アームを含み、
前記第1アームおよび前記第2アームは、前記後輪軸心の軸心方向において互いに離れるように配置され、
前記インナリンク部材の一端は、第1旋回軸心まわりに、前記ベース部材の前記第2取付端の第1旋回部分に旋回可能に連結され、
前記アウタリンク部材の一端は、第2旋回軸心まわりに、前記ベース部材の前記第2取付端の第2旋回部分に旋回可能に連結され、
前記第3旋回部分は、第3旋回軸心まわりに、前記インナリンク部材の他端に旋回可能に連結され、
前記第4旋回部分は、第4旋回軸心まわりに、前記アウタリンク部材の他端に旋回可能に連結され、
前記モータの出力軸は、前記駆動構造に取り付けられ、
前記駆動構造は、前記可動部材、および、前記プーリアセンブリが前記ベース部材に対して相対的に移動するように、前記リンク機構を旋回させるように構成され、
前記バッテリ取付部分は、前記バッテリ取付部分に少なくとも1つのバッテリが取り付けられるように、前記アウタリンク部材、および、前記インナリンク部材の少なくとも1つに設けられる、リアディレイラ。
【請求項2】
前記バッテリ取付部分は、前記インナリンク部材に設けられる、請求項1に記載のリアディレイラ。
【請求項3】
前記バッテリ取付部分は、前記アウタリンク部材に設けられる、請求項1または2に記載のリアディレイラ。
【請求項4】
前記モータアセンブリは、前記ベース部材に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のリアディレイラ。
【請求項5】
前記モータアセンブリは、前記ベース部材の前記第2取付端の前記第1旋回部分を、前記第1旋回軸心まわりに旋回させるように構成される、請求項4に記載のリアディレイラ。
【請求項6】
前記モータアセンブリは、前記ベース部材の前記第2取付端の前記第2旋回部分を、前記第2旋回軸心まわりに旋回させるように構成される、請求項4に記載のリアディレイラ。
【請求項7】
前記モータアセンブリは、前記可動部材に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のリアディレイラ。
【請求項8】
前記モータアセンブリは、前記可動部材の前記第3旋回部分を、前記第3旋回軸心まわりに旋回させるように構成される、請求項7に記載のリアディレイラ。
【請求項9】
前記モータアセンブリは、前記可動部材の前記第4旋回部分を、前記第4旋回軸心まわりに旋回させるように構成される、請求項7に記載のリアディレイラ。
【請求項10】
前記バッテリ取付部分に配置されるように構成されるバッテリブラケットをさらに備え、
前記少なくとも1つのバッテリは、前記バッテリブラケットに配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載のリアディレイラ。
【請求項11】
前記バッテリブラケットは少なくとも1つの受入空間を有し、
前記少なくとも1つのバッテリは、前記少なくとも1つの受入空間に配置される、請求項10に記載のリアディレイラ。
【請求項12】
前記モータアセンブリは、前記第1旋回部分、前記第2旋回部分、前記第3旋回部分、および、前記第4旋回部分のいずれか1つに配置されるクラッチ構造を含み、
前記クラッチ構造は、第1クラッチ要素と、前記第1旋回部分、前記第2旋回部分、前記第3旋回部分、および、前記第4旋回部分の前記いずれか1つに対応する前記第1旋回軸心、前記第2旋回軸心、前記第3旋回軸心、および、前記第4旋回軸心のいずれか1つに対する旋回軸心方向において前記第1クラッチ要素と噛み合うように構成される第2クラッチ要素と、を含み、
前記第1クラッチ要素は、少なくとも1つの第1係合歯を有し、
前記第2クラッチ要素は、少なくとも1つの第2係合歯を有し、
少なくとも1つの前記第1係合歯と、少なくとも1つの前記第2係合歯とは、それぞれ互いに係合するように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載のリアディレイラ。
【請求項13】
前記ベース部材は、前記人力駆動車の前記フレームに対する前記リアディレイラの角度位置を調整するように構成される角度位置調整構造を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のリアディレイラ。
【請求項14】
前記角度位置調整構造は、第1ねじ部を有するボルト部材と、前記第1ねじ部と螺合する第2ねじ部を有する調整開口と、を含む、請求項13に記載のリアディレイラ。
【請求項15】
前記第1アームおよび前記第2アームは、前記取付状態において、前記後輪軸心の前記軸心方向における前記第1アームと前記第2アームとの間に、前記人力駆動車の前記フレームが配置されるように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載のリアディレイラ。
【請求項16】
前記バッテリ取付部分に取り付けられるように構成される前記少なくとも1つのバッテリをさらに備える、請求項1から15のいずれか一項に記載のリアディレイラ。
【請求項17】
前記バッテリ取付部分に取り外し可能に取り付けられるように構成される前記少なくとも1つのバッテリをさらに備える、請求項16に記載のリアディレイラ。
【請求項18】
前記プーリアセンブリは、
インナガイドプレートおよびアウタガイドプレートの少なくとも1つと、
前記人力駆動車のチェーンと係合するように構成され、かつ、ガイドプーリ軸心まわりに、前記インナガイドプレートおよび前記アウタガイドプレートの前記少なくとも1つに回転可能に取り付けられる、ガイドプーリと、
前記チェーンと係合するように構成され、かつ、前記ガイドプーリ軸心から離れたテンションプーリ軸心まわりに、前記インナガイドプレートおよび前記アウタガイドプレートの前記少なくとも1つに回転可能に取り付けられる、テンションプーリと、を含み、
前記ガイドプーリ軸心から、前記テンションプーリ軸心までによって定義されるプーリ距離が70mm以上である、請求項1から17のいずれか一項に記載のリアディレイラ。
【請求項19】
前記プーリ距離は、120mm以下である、請求項18に記載のリアディレイラ。
【請求項20】
前記リアディレイラは、13以上のスプロケットを含むマルチプルリアスプロケットアセンブリに適用可能である、請求項18または19に記載のリアディレイラ。
【請求項21】
前記ガイドプーリは、前記チェーンを総歯数が9以下のスプロケットに案内するように構成される、請求項18から20のいずれか一項に記載のリアディレイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用のリアディレイラに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されるリアディレイラは、2本のアームによって人力駆動車のフレームに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0265169号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、バッテリがリンク機構に配置される場合であっても、安定した変速動作を実現できる人力駆動車用のリアディレイラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従うリアディレイラは、人力駆動車の後輪軸心と同軸心に取り付けられるリアディレイラであって、前記リアディレイラは、前記後輪軸心と同軸心上に取り付けられる第1取付端と、第1旋回部分および第2旋回部分を有する第2取付端と、を含むベース部材と、前記ベース部材に対して旋回可能に連結され、インナリンク部材と、前記リアディレイラが前記人力駆動車に取り付けられた取付状態において、前記インナリンク部材よりも前記人力駆動車のフレームから離れた位置に配置されるアウタリンク部材と、を含むリンク機構と、前記リンク機構に旋回可能に連結され、前記取付状態において、前記人力駆動車の前記フレームに向かう方向、および、前記人力駆動車の前記フレームから離れる方向に移動可能であり、第3旋回部分および第4旋回部分を有する可動部材と、前記可動部材に旋回可能に連結される、プーリアセンブリと、モータ、および、駆動構造を含むモータアセンブリと、バッテリ取付部分と、を備え、前記第1取付端は、第1アームおよび第2アームを含み、前記第1アームおよび前記第2アームは、前記後輪軸心の軸心方向において互いに離れるように配置され、前記インナリンク部材の一端は、第1旋回軸心まわりに、前記ベース部材の前記第2取付端の第1旋回部分に旋回可能に連結され、前記アウタリンク部材の一端は、第2旋回軸心まわりに、前記ベース部材の前記第2取付端の第2旋回部分に旋回可能に連結され、前記第3旋回部分は、第3旋回軸心まわりに、前記インナリンク部材の他端に旋回可能に連結され、前記第4旋回部分は、第4旋回軸心まわりに、前記アウタリンク部材の他端に旋回可能に連結され、前記モータの出力軸は、前記駆動構造に取り付けられ、前記駆動構造は、前記可動部材、および、前記プーリアセンブリが前記ベース部材に対して相対的に移動するように、前記リンク機構を旋回させるように構成され、前記バッテリ取付部分は、前記バッテリ取付部分に少なくとも1つのバッテリが取り付けられるように、前記アウタリンク部材、および、前記インナリンク部材の少なくとも1つに設けられる。
第1側面のリアディレイラによれば、第1アーム、および、第2アームによって第1取付端の強度を向上できるため、バッテリ取付部分がリンク機構に配置される場合であっても、安定した変速動作を実現できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面のリアディレイラにおいて、前記バッテリ取付部分は、前記インナリンク部材に設けられる。
第2側面のリアディレイラによれば、ディレイラが障害物と接触しても、バッテリに衝撃が伝わりにくい。
【0007】
本開示の第1または第2側面に従う第3側面のリアディレイラにおいて、前記バッテリ取付部分は、前記アウタリンク部材に設けられる。
第3側面のリアディレイラによれば、インナリンク部材をコンパクトにでき、設計の自由度が向上する。
【0008】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面のリアディレイラにおいて、前記モータアセンブリは、前記ベース部材に配置される。
第4側面のリアディレイラによれば、ベース部材側に他の部品を配置するスペースを確保できる。
【0009】
本開示の第4側面に従う第5側面のリアディレイラにおいて、前記モータアセンブリは、前記ベース部材の前記第2取付端の前記第1旋回部分を、前記第1旋回軸心まわりに旋回させるように構成される。
第5側面のリアディレイラによれば、可動部材側に他の部品を配置するスペースを確保できる。
【0010】
本開示の第4側面に従う第6側面のリアディレイラにおいて、前記モータアセンブリは、前記ベース部材の前記第2取付端の前記第2旋回部分を、前記第2旋回軸心まわりに旋回させるように構成される。
第6側面のリアディレイラによれば、可動部材側に他の部品を配置するスペースを確保できる。
【0011】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第7側面のリアディレイラにおいて、前記モータアセンブリは、前記可動部材に配置される。
第7側面のリアディレイラによれば、ベース部材側に他の部品を配置するスペースを確保できる。
【0012】
本開示の第7側面に従う第8側面のリアディレイラにおいて、前記モータアセンブリは、前記可動部材の前記第3旋回部分を、前記第3旋回軸心まわりに旋回させるように構成される。
第8側面のリアディレイラによれば、ベース部材側に他の部品を配置するスペースを確保できる。
【0013】
本開示の第7側面に従う第9側面のリアディレイラにおいて、前記モータアセンブリは、前記可動部材の前記第4旋回部分を、前記第4旋回軸心まわりに旋回させるように構成される。
第9側面のリアディレイラによれば、ベース部材側に他の部品を配置するスペースを確保できる。
【0014】
本開示の第1から第9側面のいずれか1つに従う第10側面のリアディレイラにおいて、前記バッテリ取付部分に配置されるように構成されるバッテリブラケットをさらに備え、前記少なくとも1つのバッテリは、前記バッテリブラケットに配置される。
第10側面のリアディレイラによれば、バッテリがバッテリブラケットに配置されるため、バッテリをアウタリンク部材、および、インナリンク部材に好適に取り付けできる。
【0015】
本開示の第10側面に従う第11側面のリアディレイラにおいて、前記バッテリブラケットは少なくとも1つの受入空間を有し、前記少なくとも1つのバッテリは、前記少なくとも1つの受入空間に配置される。
第11側面のリアディレイラによれば、バッテリがバッテリブラケットの少なくとも1つの受入空間に配置されるため、バッテリをアウタリンク部材、および、インナリンク部材に好適に取り付けできる。
【0016】
本開示の第1から第11側面のいずれか1つに従う第12側面のリアディレイラにおいて、前記モータアセンブリは、前記第1旋回部分、前記第2旋回部分、前記第3旋回部分、および、前記第4旋回部分のいずれか1つに配置されるクラッチ構造を含み、前記クラッチ構造は、第1クラッチ要素と、前記第1旋回部分、前記第2旋回部分、前記第3旋回部分、および、前記第4旋回部分の前記いずれか1つに対応する前記第1旋回軸心、前記第2旋回軸心、前記第3旋回軸心、および、前記第4旋回軸心のいずれか1つに対する旋回軸心方向において前記第1クラッチ要素と噛み合うように構成される第2クラッチ要素と、を含み、前記第1クラッチ要素は、少なくとも1つの第1係合歯を有し、前記第2クラッチ要素は、少なくとも1つの第2係合歯を有し、少なくとも1つの前記第1係合歯と、少なくとも1つの前記第2係合歯とは、それぞれ互いに係合するように構成される。
第12側面のリアディレイラによれば、少なくとも1つの第1係合歯と少なくとも1つの第2係合歯とが係合することによって、モータアセンブリの回転力が第1旋回部分、第2旋回部分、第3旋回部分、および、第4旋回部分のいずれか1つに好適に伝達される。第12側面のリアディレイラによれば、少なくとも1つの第1係合歯と少なくとも1つの第2係合歯との係合が解除されることによって、リアディレイラが障害物と接触しても、モータアセンブリを保護できる。
【0017】
本開示の第1から第12側面のいずれか1つに従う第13側面のリアディレイラにおいて、前記ベース部材は、前記人力駆動車の前記フレームに対する前記リアディレイラの角度位置を調整するように構成される角度位置調整構造を含む。
第13側面のリアディレイラによれば、角度位置調整構造によって、フレームからリアディレイラが突出しすぎないようにできるため、リアディレイラが障害物と接触しにくい。第13側面のリアディレイラによれば、フレームに取り付けられるアームが2本であり角度位置調整構造を含むため、リアディレイラを高剛性にでき、かつ、リアディレイラのフレームに対する姿勢を容易に調整できる。
【0018】
本開示の第13側面に従う第14側面のリアディレイラにおいて、前記角度位置調整構造は、第1ねじ部を有するボルト部材と、前記第1ねじ部と螺合する第2ねじ部を有する調整開口と、を含む。
第14側面のリアディレイラによれば、第1ねじ部を有するボルト部材と、第1ねじ部と螺合する第2ねじ部を有する調整開口とによって、リアディレイラのフレームに対する姿勢を微調整できる。
【0019】
本開示の第1から第14側面に従う第15側面のリアディレイラにおいて、前記第1アームおよび前記第2アームは、前記取付状態において、前記後輪軸心の前記軸心方向における前記第1アームと前記第2アームとの間に、前記人力駆動車の前記フレームが配置されるように構成される。
第15側面のリアディレイラによれば、人力駆動車のフレームからディレイラが突出しすぎないようにできるため、リアディレイラが障害物と接触しにくい。第15側面のリアディレイラによれば、フレームに取り付けられるアームが2本であるため、リアディレイラを高剛性にできる。
【0020】
本開示の第1から第15側面のいずれか1つに従う第16側面のリアディレイラにおいて、前記バッテリ取付部分に取り付けられるように構成される前記少なくとも1つのバッテリをさらに備える。
第16側面のリアディレイラによれば、第1アーム、および、第2アームによって第1取付端の強度を向上させることによって、バッテリ取付部分がリンク機構に配置される場合であっても、安定した変速動作を実現でき、荒れた路面であっても、リアディレイラの変速動作が安定する。
【0021】
本開示の第16側面に従う第17側面のリアディレイラにおいて、前記バッテリ取付部分に取り外し可能に取り付けられるように構成される前記少なくとも1つのバッテリをさらに備える。
第17側面のリアディレイラによれば、バッテリがバッテリ取付部分に取り外し可能に取り付けできるため、バッテリの交換、および、充電が容易にできる。
【0022】
本開示の第1から第17側面のいずれか1つに従う第18側面のリアディレイラにおいて、前記プーリアセンブリは、インナガイドプレートおよびアウタガイドプレートの少なくとも1つと、前記人力駆動車のチェーンと係合するように構成され、かつ、ガイドプーリ軸心まわりに、前記インナガイドプレートおよび前記アウタガイドプレートの前記少なくとも1つに回転可能に取り付けられる、ガイドプーリと、前記チェーンと係合するように構成され、かつ、前記ガイドプーリ軸心から離れたテンションプーリ軸心まわりに、前記インナガイドプレートおよび前記アウタガイドプレートの前記少なくとも1つに回転可能に取り付けられる、テンションプーリと、を含み、前記ガイドプーリ軸心から、前記テンションプーリ軸心までによって定義されるプーリ距離が70mm以上である。
第18側面のリアディレイラによれば、変速段数が多く、かつ、ワイドレンジのスプロケットに適用できる。
【0023】
本開示の第18側面に従う第19側面のリアディレイラにおいて、前記プーリ距離は、120mm以下である。
第19側面のリアディレイラによれば、対地クリアランスを確保できる。
【0024】
本開示の第18または第19側面に従う第20側面のリアディレイラにおいて、前記リアディレイラは、13以上のスプロケットを含むマルチプルリアスプロケットアセンブリに適用可能である。
第20側面のリアディレイラによれば、変速段数が多く、かつ、ワイドレンジのスプロケットに適用できる。
【0025】
本開示の第18から第20側面のいずれか1つに従う第21側面のリアディレイラにおいて、前記ガイドプーリは、前記チェーンを総歯数が9以下のスプロケットに案内するように構成される。
第21側面のリアディレイラによれば、変速段数が多く、かつ、ワイドレンジのスプロケットに適用できる。
【発明の効果】
【0026】
本開示の人力駆動車用のリアディレイラによれば、バッテリがリンク機構に配置される場合であっても、安定した変速動作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用のリアディレイラを含む人力駆動車の後輪の車軸の周辺を示す正面図である。
【
図2】
図1の人力駆動車用のリアディレイラを含む人力駆動車の後輪の車軸の周辺を示す平面図である。
【
図3】
図1の人力駆動車用のリアディレイラの正面図である。
【
図4】
図3の人力駆動車用のリアディレイラの拡大図である。
【
図5】
図4のモータおよびモータブラケットの分解斜視図である。
【
図6】
図4のバッテリ、バッテリ取付部分、および、バッテリブラケットの分解斜視図である。
【
図9】
図7のクラッチ構造の第1クラッチ要素および第2クラッチ要素の分解斜視図である。
【
図10】
図2の人力駆動車のフレームの後端部分を示す図である。
【
図11】
図2のベース部材における角度位置調整構造の位置を示す斜視図である。
【
図12】
図2のベース部材における角度位置調整構造の位置を示す背面図である。
【
図13】
図2の後輪軸心に沿う後輪の車軸、フレーム、および、アームの断面図である。
【
図15】第2実施形態の第1例の人力駆動車用のリアディレイラの正面図である。
【
図16】第2実施形態の第2例の人力駆動車用のリアディレイラの正面図である。
【
図17】第2実施形態の第3例の人力駆動車用のリアディレイラの正面図である。
【
図18】第2実施形態の第4例の人力駆動車用のリアディレイラの正面図である。
【
図19】第3実施形態の第1例の人力駆動車用のリアディレイラの正面図である。
【
図20】第3実施形態の第2例の人力駆動車用のリアディレイラの人力駆動車用のリアディレイラの正面図である。
【
図21】第3実施形態の第3例の人力駆動車用のリアディレイラの正面図である。
【
図22】第4実施形態の第1例の人力駆動車用のリアディレイラの正面図である。
【
図23】第4実施形態の第2例の人力駆動車用のリアディレイラの正面図である。
【
図24】第1変形例の人力駆動車用のリアディレイラの正面図である。
【
図25】第2変形例の人力駆動車用のリアディレイラの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
図1から
図14を参照して、第1実施形態の人力駆動車用のリアディレイラ20について説明する。人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車を自転車として説明する。
【0029】
本明細書において、以下の方向を示す用語「前(フロント)」、「後ろ(リア)」、「前方」、「後方」、「左」、「右」、「横」、「上方」、および、「下方」、並びに任意の他の類似の方向を示す用語は、人力駆動車の基準位置(例えば、サドルまたはシート上)においてハンドルバーを向いたライダを基準に決定されるそれらの方向を指す。
【0030】
人力駆動車は、クランクと、前輪と、後輪と、車体と、を備える。車体は、フレーム10を含む。クランクは、フレーム10に対して回転可能なクランク軸と、クランク軸の軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアームとを含む。クランクアームには、ペダルが連結される。後輪は、クランクが回転することによって駆動される。後輪は、フレーム10に支持される。クランクと後輪とは、駆動機構によって連結される。駆動機構は、スプロケット12と、チェーン14とを含む。スプロケット12はリアスプロケットである。駆動機構は、複数のスプロケット12を含む。複数のスプロケット12は、マルチプルリアスプロケットアセンブリ16を構成する。駆動機構は、クランク軸に連結されるフロントスプロケットをさらに含む。フロントスプロケットは、1つまたは複数で構成される。チェーン14は、フロントスプロケットの回転力をスプロケット12に伝達する。
【0031】
人力駆動車は、リアディレイラ20を含む。リアディレイラ20はクランクの回転速度に対する後輪の回転速度の比率である変速比を変更可能に構成する。リアディレイラ20は、チェーン14を介して連動して回転するフロントスプロケットとスプロケット12との回転速度の比率である変速比を変更可能である。例えば、リアディレイラ20は、13以上のスプロケット12を含むマルチプルリアスプロケットアセンブリ16に適用可能である。例えば、リアディレイラ20は、15以下のスプロケット12を含むマルチプルリアスプロケットアセンブリ16に適用可能である。
【0032】
例えば、ガイドプーリ48は、チェーン14を総歯数が9以下のスプロケット12に案内するように構成される。例えば、マルチプルリアスプロケットアセンブリ16の最小のスプロケット12の総歯数は、9以下である。例えば、マルチプルリアスプロケットアセンブリ16の最小のスプロケット12の総歯数は、8以上である。リアディレイラ20は、マルチプルリアスプロケットアセンブリ16に含まれる1つのスプロケット12から他のスプロケット12にチェーン14を掛け替える。
【0033】
リアディレイラ20は、人力駆動車の後輪軸心RCと同軸心に取り付けられる。リアディレイラ20は、ベース部材22と、リンク機構24と、可動部材26と、プーリアセンブリ28と、モータアセンブリ30と、を備える。ベース部材22は、第1取付端22Aと、第2取付端22Bと、を含む。第1取付端22Aは、後輪軸心RCと同軸心上に取り付けられる。第2取付端22Bは、第1旋回部分22C、および、第2旋回部分22Dを有する。
【0034】
リンク機構24は、ベース部材22に対して旋回可能に連結される。リンク機構24は、インナリンク部材32と、アウタリンク部材34と、を含む。アウタリンク部材34は、リアディレイラ20が人力駆動車に取り付けられた取付状態において、インナリンク部材32よりも人力駆動車のフレーム10から離れた位置に配置される。
【0035】
可動部材26は、リンク機構24に旋回可能に連結される。可動部材26は、取付状態において、人力駆動車のフレーム10に向かう方向、および、人力駆動車のフレーム10から離れる方向に移動可能である。可動部材26は、第3旋回部分26A、および、第4旋回部分26Bを有する。プーリアセンブリ28は、可動部材26に旋回可能に連結される。モータアセンブリ30は、アウタリンク部材34、および、インナリンク部材32のいずれか1つに配置される。モータアセンブリ30は、モータ36、および、駆動構造38を含む。
【0036】
第1取付端22Aは、第1アーム40および第2アーム42を含む。第1アーム40および第2アーム42は、後輪軸心RCの軸心方向X1において互いに離れるように配置される。インナリンク部材32の一端32Aは、第1旋回軸心PA1まわりに、ベース部材22の第2取付端22Bの第1旋回部分22Cに旋回可能に連結される。アウタリンク部材34の一端34Aは、第2旋回軸心PA2まわりに、ベース部材22の第2取付端22Bの第2旋回部分22Dに旋回可能に連結される。第3旋回部分26Aは、第3旋回軸心PA3まわりにインナリンク部材32の他端32Bに旋回可能に連結される。第4旋回部分26Bは、第4旋回軸心PA4まわりにアウタリンク部材34の他端34Bに旋回可能に連結される。
【0037】
例えば、モータ36の出力軸36Aは、駆動構造38に取り付けられる。駆動構造38は、リンク機構24が旋回するように、第1旋回部分22C、第2旋回部分22D、第3旋回部分26A、および、第4旋回部分26Bのいずれか1つを駆動するように構成される。リンク機構24の旋回によって、可動部材26、および、プーリアセンブリ28がベース部材22に対して相対的に移動する。
【0038】
例えば、第1旋回部分22Cは、軸部材である。第1旋回部分22Cは、インナリンク部材32の一端32Aと、ベース部材22とを貫通するようにベース部材22に設けられる。例えば、第1旋回部分22Cは、インナリンク部材32に対して回転可能、かつ、ベース部材22に対して回転不能である。第1旋回部分22Cは、インナリンク部材32に対して回転不能、かつ、ベース部材22に対して回転可能であってもよい。例えば、第2旋回部分22Dは、軸部材である。第2旋回部分22Dは、アウタリンク部材34の一端34Aと、ベース部材22とを貫通するように、ベース部材22に設けられる。例えば、第2旋回部分22Dは、アウタリンク部材34に対して回転可能、かつ、ベース部材22に対して回転不能である。第1旋回部分22Cは、アウタリンク部材34に対して回転不能、かつ、ベース部材22に対して回転可能であってもよい。
【0039】
例えば、第3旋回部分26Aは、軸部材である。第3旋回部分26Aは、インナリンク部材32の他端32Bと可動部材26とを貫通するように、可動部材26に設けられる。例えば、第3旋回部分26Aは、インナリンク部材32に対して回転可能、かつ、可動部材26に対して回転不能である。第3旋回部分26Aはインナリンク部材32に対して回転不能、かつ、可動部材26に対して回転可能であってもよい。例えば、第4旋回部分26Bは、軸部材である。第4旋回部分26Bは、アウタリンク部材34の他端34Bと可動部材26とを貫通するように、可動部材26に設けられる。例えば、第4旋回部分26Bは、アウタリンク部材34に対して回転可能、かつ、可動部材26に対して回転不能である。第4旋回部分26Bは、アウタリンク部材34に対して回転不能、かつ、可動部材26に対して回転可能であってもよい。
【0040】
例えば、プーリアセンブリ28は、インナガイドプレート44およびアウタガイドプレート46の少なくとも1つと、ガイドプーリ48と、テンションプーリ50と、を含む。ガイドプーリ48は、人力駆動車のチェーン14と係合するように構成され、かつ、ガイドプーリ軸心GCの周りにおいて、インナガイドプレート44およびアウタガイドプレート46の少なくとも1つに回転可能に取り付けられる。テンションプーリ50は、チェーン14と係合するように構成され、かつ、ガイドプーリ軸心GCから離れたテンションプーリ軸心TCの周りにおいて、インナガイドプレート44およびアウタガイドプレート46の少なくとも1つに回転可能に取り付けられる。
【0041】
例えば、プーリアセンブリ28は、ガイドプーリ軸心GCから、テンションプーリ軸心TCまでによって定義されるプーリ距離PDが70mm以上である。例えば、プーリ距離PDは、80mm以上である。例えば、プーリ距離PDは、85mm以上である。例えば、プーリ距離PDは、90mm以上である。例えば、プーリ距離PDは、95mm以上である。例えば、プーリ距離PDは、98mm以上である。例えば、プーリ距離PDは、100mm以上である。例えば、プーリ距離PDは、120mm以下である。例えば、プーリ距離PDは、115mm以下である。例えば、プーリ距離PDは、110mm以下である。ガイドプーリ48は、チェーン14を誘導するように構成される。テンションプーリ50は、チェーン14のテンションを維持するように構成される。
【0042】
例えば、一般的には、マルチプルリアスプロケットアセンブリは12以下のスプロケットを含む。マルチプルリアスプロケットアセンブリ16が13以上のスプロケット12を含む場合、最小のスプロケット12の最大径と、最大のスプロケット12の最大径との差が、12以下のスプロケットを含むマルチプルリアスプロケットアセンブリの最小のスプロケットの最大径と、最大のスプロケットの最大径との差よりも、大きい。
【0043】
マルチプルリアスプロケットアセンブリ16が13以上のスプロケット12を含む場合において、チェーン14が最小のスプロケット12に係合する場合、リアディレイラ20、および、プーリアセンブリ28によって巻き取る必要があるチェーン14の長さは、12以下のスプロケットを含むマルチプルリアスプロケットアセンブリを備える人力駆動車に設けられるチェーンよりも長くなる。このため、13以上のスプロケット12を含むマルチプルリアスプロケットアセンブリ16において、チェーン14を巻き取るために、12以下のスプロケットを含むマルチプルリアスプロケットアセンブリに用いられるリアディレイラよりも、プーリ距離PDが長いことが好ましい。
【0044】
本実施形態のプーリ距離PDは、70mm以上であるため、13以上のスプロケット12を含むマルチプルリアスプロケットアセンブリ16に巻き掛けられるチェーン14を好適に巻き取ることができる。
【0045】
例えば、モータアセンブリ30は、ベース部材22に配置される。例えば、モータアセンブリ30は、ベース部材22の第2取付端22Bの第1旋回部分22Cを、第1旋回軸心PA1まわりに旋回させるように構成される。例えば、モータアセンブリ30が、第1旋回部分22Cを第1旋回軸心PA1まわりに旋回させることによって、リアディレイラ20はマルチプルリアスプロケットアセンブリ16に含まれる1つのスプロケット12から他のスプロケット12にチェーン14を掛け替える。
【0046】
例えば、モータアセンブリ30は、クラッチ構造56をさらに含む。モータ36は、駆動構造38を駆動するように構成される出力軸36Aを含む。駆動構造38は、クラッチ構造56に連結される。モータ36の出力軸36Aが、駆動構造38およびクラッチ構造56を介してリンク機構24を旋回させるように動かすことによって、可動部材26およびプーリアセンブリ28がベース部材22に対して相対移動する。クラッチ構造56は、第1旋回部分22C、第2旋回部分22D、第3旋回部分26A、および、第4旋回部分26Bのいずれか1つに配置される。
【0047】
例えば、クラッチ構造56は、第1クラッチ要素58と、第2クラッチ要素60と、を含む。第2クラッチ要素60は、第1旋回軸心PA1、第2旋回軸心PA2、第3旋回軸心PA3、および、第4旋回軸心PA4のいずれか1つに関する旋回軸心方向X3において第1クラッチ要素58と噛み合うように構成される。第1旋回軸心PA1、第2旋回軸心PA2、第3旋回軸心PA3、および、第4旋回軸心PA4のいずれか1つは、第1旋回部分22C、第2旋回部分22D、第3旋回軸心PA3、および、第4旋回部分26Bのいずれか1つに対応する。第1旋回軸心PA1は、第1旋回部分22Cに対応する。第1旋回部分22Cは、第2旋回部分22Dに対応する。第3旋回軸心PA3は、第3旋回軸心PA3に対応する。第4旋回軸心PA4は、第4旋回部分26Bに対応する。
【0048】
例えば、第1クラッチ要素58は、少なくとも1つの第1係合プロファイル58Aを有する。第2クラッチ要素60は、少なくとも1つの第2係合プロファイル60Aを有する。少なくとも1つの第1係合プロファイル58A、および、少なくとも1つの第2係合プロファイル60Aは、互いに係合するように構成される。例えば、クラッチ構造56は、第1旋回部分22Cに配置される。
【0049】
例えば、クラッチ構造56は、第1旋回部分22C、第2旋回部分22D、第3旋回部分26A、および、第4旋回部分26Bのいずれか1つに配置される。クラッチ構造56は、第1クラッチ要素58と、第2クラッチ要素60と、を含む。第2クラッチ要素60は、第1旋回軸心PA1、第2旋回軸心PA2、第3旋回軸心PA3、および、第4旋回軸心PA4のいずれか1つに関する旋回軸心方向X3において第1クラッチ要素58と噛み合うように構成される。第1旋回軸心PA1、第2旋回軸心PA2、第3旋回軸心PA3、および、第4旋回軸心PA4のいずれか1つは、第1旋回部分22C、第2旋回部分22D、第3旋回部分26A、および、第4旋回部分26Bのいずれか1つに対応する。
【0050】
例えば、第1クラッチ要素58は、少なくとも1つの第1係合歯58Bを有する。第2クラッチ要素60は、少なくとも1つの第2係合歯60Bを有する。少なくとも1つの第1係合歯58Bと、少なくとも1つの第2係合歯60Bとは、それぞれ互いに係合するように構成される。例えば、少なくとも1つの第1係合プロファイル58Aは、少なくとも1つの第1係合歯58Bを含む。例えば、少なくとも1つの第2係合プロファイル60Aは、少なくとも1つの第2係合歯60Bを含む。少なくとも1つの第1係合プロファイル58Aは、凹凸を有する摩擦面を含んでいてもよい。少なくとも1つの第2係合プロファイル60Aは、凹凸を有する摩擦面を含んでいてもよい。
【0051】
例えば、少なくとも1つの第1係合プロファイル58Aは、2つ以上の第1係合プロファイル58Aを含む。例えば、少なくとも1つの第2係合プロファイル60Aは、2つ以上の第2係合プロファイル60Aを含む。例えば、少なくとも1つの第1係合歯58Bは、2つ以上の第1係合歯58Bを含む。例えば、少なくとも1つの第2係合歯60Bは、2つ以上の第2係合歯60Bを含む。
【0052】
例えば、クラッチ構造56は、第1軸部材22Eおよび第2軸部材22Fを含む。例えば、第1軸部材22Eおよび第2軸部材22Fは、第1旋回部分22C、第2旋回部分22D、第3旋回軸心PA3、および、第4旋回部分26Bのうちの、クラッチ構造56が設けられる1つに設けられる。クラッチ構造56が第1旋回部分22Cに設けられる場合、第1軸部材22Eおよび第2軸部材22Fは、第1旋回部分22Cに設けられる。例えば、第1軸部材22Eおよび第2軸部材22Fは、第1旋回部分22Cと一体に形成されてもよい。第1軸部材22Eと、第2軸部材22Fとは、互いに別体に形成される。例えば、第1軸部材22Eの軸方向は、第2軸部材22Fの軸方向と実質的に一致する。例えば、第1軸部材22Eの軸方向の端部は、第2軸部材22Fの軸方向の端部に結合される。
【0053】
例えば、第1クラッチ要素58は、円筒形状を有する。例えば、第2クラッチ要素60は、円筒形状を有する。例えば、第1クラッチ要素58は、第1軸部材22Eに設けられる。第1クラッチ要素58は、第1軸部材22Eの外周部に設けられる。例えば、第1クラッチ要素58は、第1軸部材22Eに対して回転可能に第1軸部材22Eに設けられる。第2クラッチ要素60は、第2軸部材22Fの外周部に設けられる。第2クラッチ要素60は、第2軸部材22Fに対して回転不能に第2軸部材22Fに設けられる。例えば、第2クラッチ要素60は、第2軸部材22Fと一体に形成される。例えば、少なくとも1つの第1係合プロファイル58Aは、第1クラッチ要素58のうちの第2クラッチ要素60と対向する面に設けられる。少なくとも1つの第2係合プロファイル60Aは、第2クラッチ要素60のうちの第1クラッチ要素58と対向する面に設けられる。
【0054】
例えば、クラッチ構造56は、少なくとも1つの第2係合プロファイル60Aを、少なくとも1つの第1係合プロファイル58Aと係合させるために、クラッチ構造56の所定抵抗として旋回軸心方向X3に付勢力を与えるように適合された付勢部材62を含む。付勢部材62は、例えば、少なくとも1つの皿ばねを含む。付勢部材62は、例えば、コイルばね、および、ばねワッシャを含んでいてもよい。例えば、付勢部材62は、4つの皿ばねを含む。
【0055】
例えば、第1クラッチ要素58は、第1旋回軸心PA1、第2旋回軸心PA2、第3旋回軸心PA3、および、第4旋回軸心PA4のいずれか1つに関する旋回径方向X2に延びる複数の歯車歯58Cを有する。複数の歯車歯58Cは、駆動構造38に係合するように構成される。付勢部材62は、第1クラッチ要素58の付勢部64に配置される。付勢部64と、第1係合プロファイル58Aとは、旋回軸心方向X3において反対方向を向く。例えば、付勢部材62は、第1クラッチ要素58のうちの、第2クラッチ要素60と対向する面とは反対側の面に接触するように構成される。付勢部材62は、第1クラッチ要素58を、第2クラッチ要素60に向けて付勢する。
【0056】
例えば、リアディレイラ20は、モータブラケット36Bをさらに備える。モータ36は、モータブラケット36Bに配置される。例えば、モータブラケット36Bは、ベース部材22に配置される。モータブラケット36Bは、ベース部材22とは別体に形成されて、ベース部材22に取り付けられる。モータブラケット36Bは、ベース部材22と一体に形成されてもよい。モータブラケット36Bは、ベース部材22の内部に設けられてもよく、ベース部材22の外面に設けられてもよい。
【0057】
例えば、モータブラケット36Bは少なくとも1つの受入空間P1を有する。モータ36は、少なくとも1つの受入空間P1に配置される。例えば、受入空間P1は、モータ36の形状に沿うように構成される。例えば、モータブラケット36Bは、モータ36の軸方向に沿って延びる。例えば、モータ36の出力軸36Aの端部は、モータブラケット36Bの外部に配置される。例えば、モータブラケット36Bは、モータ36の出力軸36Aが配置される凹部を有する。
【0058】
例えば、駆動構造38は、減速機である。駆動構造38は、モータ36の回転を減速して出力する。例えば、駆動構造38は、複数の歯車を含む。駆動構造38は、プーリおよびベルトを含んでいてもよい。例えば、駆動構造38は、第1歯車38A、第2歯車38B、および、ウォームシャフト38Cを含む。例えば、第1歯車38Aは、モータ36の出力軸36Aに設けられる。例えば、第1歯車38Aは、モータ36の出力軸36Aの端部に取り付けられる。例えば、第1歯車38Aと、第2歯車38Bとは互いに噛み合う。例えば、第2歯車38Bと、ウォームシャフト38Cとは、同一の回転軸心を有する。例えば、第2歯車38B、および、ウォームシャフト38Cの回転軸心は、第1旋回軸心PA1に垂直である。
【0059】
モータ36の出力軸36Aが回転すると、第1歯車38A、第2歯車38B、ウォームシャフト38C、クラッチ構造56、および、第1旋回部分22Cの順にモータ36の回転力が伝達される。モータ36の回転力によって第1旋回部分22Cが旋回することによって、リンク機構24が第1旋回部分22Cまわりに旋回するため、可動部材26およびプーリアセンブリ28がベース部材22に対して移動する。
【0060】
例えば、リアディレイラ20に所定外力よりも大きい外力が加わったり、駆動構造38に所定回転力よりも大きいモータ36の回転力が加わったりしていない通常の状態では、第1係合プロファイル58Aと、第2係合プロファイル60Aとは、相対移動することなく互いに噛み合っている。リアディレイラ20に所定外力よりも大きい外力が加わったり、駆動構造38に所定回転力よりも大きいモータ36の回転力が加わったりした場合、第1係合プロファイル58Aと第2係合プロファイル60Aとが互いに離れる方向に相対的に移動する。したがって、第1係合プロファイル58Aと第2係合プロファイル60Aとの係合が解除される。第1係合プロファイル58Aと第2係合プロファイル60Aとの係合が解除されると、第1クラッチ要素58が第2クラッチ要素60および第2軸部材22Fに対して相対回転するため、第2軸部材22Fの回転力はモータアセンブリ30には伝達されない。リアディレイラ20に所定外力よりも大きい外力が加わったり、駆動構造38に所定回転力よりも大きいモータ36の回転力が加わったりしていない状態に戻ると、第1係合プロファイル58Aと第2係合プロファイル60Aとが再び互いに噛み合う。
【0061】
例えば、リアディレイラ20は、バッテリ取付部分52をさらに備える。駆動構造38は、可動部材26、および、プーリアセンブリ28がベース部材22に対して相対的に移動するように、リンク機構24を旋回させるように構成される。バッテリ取付部分52は、バッテリ取付部分52に少なくとも1つのバッテリ54が取り付けられるように、アウタリンク部材34、および、インナリンク部材32の少なくとも1つに設けられる。
【0062】
例えば、バッテリ取付部分52は、インナリンク部材32に設けられる。例えば、バッテリ取付部分52は、インナリンク部材32のうち、第3旋回部分26Aの付近に設けられる。例えば、リアディレイラ20は、少なくとも1つのバッテリ54をさらに備える。少なくとも1つのバッテリ54は、バッテリ取付部分52に取り付けられるように構成される。例えば、少なくとも1つのバッテリ54は、二次電池を含む。例えば、少なくとも1つのバッテリ54は、ボタン電池を含む。
【0063】
例えば、少なくとも1つのバッテリ54は、バッテリ取付部分52に取り外し可能に取り付けられるように構成される。リアディレイラ20は、バッテリブラケット52Aをさらに備える。バッテリブラケット52Aは、バッテリ取付部分52に配置されるように構成される。少なくとも1つのバッテリ54は、バッテリブラケット52Aに配置される。
【0064】
例えば、バッテリブラケット52Aは少なくとも1つの受入空間P2を有する。少なくとも1つのバッテリ54は、少なくとも1つの受入空間P2に配置される。例えば、受入空間P2は、少なくとも1つのバッテリ54の形状に沿うように構成される。例えば、バッテリブラケット52Aは、インナリンク部材32とは別体に形成され、インナリンク部材32に取り外し可能に取り付けられる。バッテリブラケット52Aは、インナリンク部材32と一体に形成されてもよい。バッテリブラケット52Aは、インナリンク部材32の内部に設けられてもよく、インナリンク部材32の外面に設けられてもよい。バッテリブラケット52Aは、インナリンク部材32に着脱可能に設けられてもよい。
【0065】
例えば、モータ36は、少なくとも1つのバッテリ54から電力を供給されるように構成される。例えば、少なくとも1つのバッテリ54は、モータ36と電気ケーブルまたは無線通信装置を介して通信可能に接続される。例えば、少なくとも1つのバッテリ54は、例えば電力線通信(PLC;Power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によってモータ36と通信可能である。モータ36は、少なくとも1つのバッテリ54以外のバッテリから電力を供給されるように構成されてもよい。
【0066】
リアディレイラ20は、制御部を備えていてもよい。例えば、制御部は、ベース部材22またはインナリンク部材32に設けられる。例えば、制御部は、モータ36を制御する。例えば、制御部は、バッテリ54の電力のモータ36への供給を制御する。制御部は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。制御部に含まれる演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部に含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。
【0067】
例えば、演算処理装置の一部は、人力駆動車に設けられ、演算処理装置の他の一部は、インターネットに接続されるサーバに設けられてもよい。演算処理装置が、相互に離れた複数の場所に設けられる場合、演算処理装置の各部分は、無線通信装置を介して相互に通信可能に接続される。制御部は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、制御部は、記憶部をさらに含む。記憶部には、制御プログラムおよび制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0068】
例えば、ベース部材22は、人力駆動車のフレーム10に対するリアディレイラ20の角度位置を調整するように構成される角度位置調整構造66を含む。角度位置調整構造66は、第1アーム40および第2アーム42を後輪軸心RCの周りにおいて回転させることによって、フレーム10に対するリアディレイラ20の角度位置を調節可能に構成される。角度位置調整構造66は、フレーム10に対するベース部材22の角度位置を調節することによって、リアディレイラ20の角度位置を調節する。
【0069】
例えば、角度位置調整構造66は、第1ねじ部68Aを有するボルト部材68と、第1ねじ部68Aと螺合する第2ねじ部70Aを有する調整開口70と、を含む。第1ねじ部68Aは、例えば雄ねじを含む。第2ねじ部70Aは、例えば雌ねじを含む。ボルト部材68が回転することによって、第1ねじ部68Aと第2ねじ部70Aとの相対位置が変更される。ボルト部材68のヘッド部68Bには、ボルト部材68を回転させるための構造が設けられる。例えば、ボルト部材68を回転させるための構造は、プラスドライバまたはマイナスドライバを挿入するための穴、または六角レンチを挿入するための穴である。
【0070】
リアディレイラ20を取り付けるフレーム10の後方端部には、当接面10Aが形成される。当接面10Aは、例えば一部分が突出するように構成される。当接面10Aに対して、ボルト部材68の端部が接触することによって、フレーム10に対するリアディレイラ20の角度位置が変更および決定される。ボルト部材68が接触する当接面10Aは、後輪軸心RCと前輪軸心とを結ぶ線よりも、人力駆動車の下側に突出するように構成される。ボルト部材68は、当接面10Aと当接する端部が金属以外の材料によって構成されてもよい。例えば、当接面10Aと当接するボルト部材68の端部は、樹脂またはエラストマによって構成される。
【0071】
例えば、第1アーム40および第2アーム42は、取付状態において、後輪軸心RCの軸心方向X1における第1アーム40と第2アーム42との間に、人力駆動車のフレーム10が配置されるように構成される。後輪軸心RCの軸心方向X1は、人力駆動車の左右方向と一致する。第1アーム40は、人力駆動車にリアディレイラ20が取り付けられた状態において、後輪軸心RCが同軸心上に貫通する第1取付開口40Aを有する。第2アーム42は、人力駆動車にリアディレイラ20が取り付けられた状態において、後輪軸心RCが同軸心上に貫通する第2取付開口42Aを有する。フレーム10は、後輪軸心RCが同軸心上に貫通するフレーム開口部10Bを有する。
【0072】
角度位置調整構造66は、第1アーム40と第2アーム42とに接続するアーム接続部72に配置される。角度位置調整構造66は、軸心方向X1において第1アーム40と、第2アーム42との間に配置される。角度位置調整構造66は、軸心方向X1において第1取付開口40Aと第2取付開口42Aとの間に設けられる。角度位置調整構造66は、後輪軸心RCの径方向において第1取付開口40Aと第2取付端22Bとの間に設けられる。角度位置調整構造66は、後輪軸心RCの径方向において第2取付開口42Aと第2取付端22Bとの間に設けられる。例えば、第1アーム40および第2アーム42は、ベース部材22と一体に形成される。例えば、第1アーム40および第2アーム42は、ベース部材22と別体に形成されてもよい。
【0073】
例えば、第2アーム42は、取付状態において、第1アーム40よりも人力駆動車の軸心中心面Pの近くに配置される。人力駆動車の軸心中心面Pは、人力駆動車の前後方向に沿う中心軸に沿う面である。人力駆動車の軸心中心面Pは、後輪軸心RCの軸心方向X1と直交する。
【0074】
例えば、リアディレイラ20は、ファスナ部材74をさらに備える。ファスナ部材74は、ベース部材22の第1取付端22Aを人力駆動車のフレーム10へ取り付けるように構成される。取付状態において、ファスナ部材74のファスナ中心軸心FCと後輪軸心RCとは同軸心上にある。例えば、ファスナ部材74は、筒状部76と、ファスナ中心軸心FCに対して径方向に突出する径方向突出部78と、を有する。径方向突出部78は、ファスナ中心軸心FCに対して、ファスナ部材74の筒状部76の一方の軸端76Aから径方向外側に延びる。
【0075】
例えば、ベース部材22の第1アーム40は、ファスナ部材74の筒状部76が貫通するように構成される第1取付開口40Aを有する。第1取付開口40Aは、取付状態において、後輪軸心RCが第1取付開口40Aと同軸心上に貫通するように設けられる。ベース部材22の第1アーム40は、取付状態における後輪軸心RCに関する第1取付開口40Aの周囲に第1最小径方向厚みH1を有する。
【0076】
例えば、ベース部材22の第2アーム42は、ファスナ部材74の筒状部76を少なくとも部分的に貫通するように構成される第2取付開口42Aを有する。第2取付開口42Aは、取付状態において、後輪軸心RCが第2取付開口42Aと同軸心上で貫通するように設けられる。第2アーム42は、取付状態における後輪軸心RCに関する第2取付開口42Aの周囲に第2最小径方向厚みH2を有する。
【0077】
例えば、取付状態において、第2アーム42は、第1アーム40よりも人力駆動車の軸心中心面Pに近い位置に配置される。例えば、取付状態において、後輪軸心RCに関する軸心方向X1における、フレーム10と、ファスナ部材74の径方向突出部78との間に第1アーム40が配置される。
【0078】
第1最小径方向厚みH1は、第1取付開口40Aを構成する第1アーム40において、最も薄い部分の厚さである。第2最小径方向厚みH2は、第2取付開口42Aを構成する第2アーム42において、最も薄い部分の厚さである。
【0079】
例えば、第1最小径方向厚みH1、および、第2最小径方向厚みH2の少なくとも1つは、2mm以上である。例えば、第1最小径方向厚みH1、および、第2最小径方向厚みH2の両方が2mm以上である。例えば、第1最小径方向厚みH1、および、第2最小径方向厚みH2の少なくとも1つは、2.5mm以上である。例えば、第1最小径方向厚みH1、および、第2最小径方向厚みH2の両方が2.5mm以上である。例えば、第1最小径方向厚みH1、および、第2最小径方向厚みH2は、10mm以下である。
【0080】
後輪ハブ軸80とベース部材22との間の接触面、および、ファスナ部材74とベース部材22との間の接触面の少なくとも1つに摺動部Sが形成される。摺動部Sは、例えば、後輪ハブ軸80と第2アーム42との間の接触面、および、第2アーム42と筒状部76との間の接触面の少なくとも1つに形成される。
【0081】
例えば、摺動部Sは、軸心方向X1において、0.2mm以上の厚さになるように形成される。例えば、摺動部Sは、ファスナ部材74、後輪ハブ軸80、および、ベース部材22を構成する材料とは異なる材料によって構成される。例えば、摺動部Sは、低摩擦性および耐摩耗性に優れた材料によって構成される。例えば、摺動部Sを構成する材料は樹脂である。例えば、摺動部Sを構成する材料は、フッ素樹脂である。フッ素樹脂は、例えばポリテトラフルオロエチレンまたはパーフルオロアルコキシアルカンである。
【0082】
摺動部Sは、摺動性を向上させる。摺動部Sは、ファスナ部材74、後輪ハブ軸80、および、ベース部材22それぞれの接触面に対する表面処理によって形成されてもよい。例えば、摺動部Sの表面処理は、酸化被膜によって接触面を覆うアルマイト処理、および、フッ素樹脂加工の少なくとも1つにより構成される。フッ素樹脂加工は、フッ素樹脂の塗装、および、貼り付けを含む。
【0083】
第1実施形態のリアディレイラ20は、後輪ハブ軸80とベース部材22との間、および、ファスナ部材74とベース部材22との間の少なくとも1つに摺動部Sが形成される。摺動部Sが形成される部分では、後輪ハブ軸80とベース部材22との間、および、ファスナ部材74とベース部材22との間の少なくとも1つの摩耗が抑制される。
【0084】
<第2実施形態>
図15から
図18を参照して、第2実施形態のリアディレイラ20について説明する。第2実施形態のリアディレイラ20は、リアディレイラ20におけるモータアセンブリ30およびモータブラケット36Bの配置が異なる以外は第1実施形態のリアディレイラ20と同様である。第2実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0085】
本実施形態のモータアセンブリ30は、アウタリンク部材34、および、インナリンク部材32のいずれか1つに配置される。本実施形態のモータブラケット36Bは、アウタリンク部材34、および、インナリンク部材32のいずれか1つに配置されるように構成される。
【0086】
図15に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第1例、および、
図16に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第2例では、モータアセンブリ30は、インナリンク部材32に配置される。
図15に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第1例、および、
図16に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第2例では、モータブラケット36Bは、インナリンク部材32に配置されるように構成される。
【0087】
図15に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第1例では、モータアセンブリ30は、インナリンク部材32のうち、第1旋回部分22C側に配置される。
図15に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第1例では、例えば、モータアセンブリ30は、ベース部材22の第2取付端22Bの第1旋回部分22Cを、第1旋回軸心PA1まわりに旋回させるように構成される。
【0088】
図16に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第2例では、モータアセンブリ30は、インナリンク部材32のうち、第3旋回部分26A側に配置される。
図16に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第2例では、モータブラケット36Bは、インナリンク部材32のうち、第3旋回部分26A側に配置されるように構成される。
図16に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第2例では、例えば、モータアセンブリ30は、可動部材26の第3旋回部分26Aを、第3旋回軸心PA3まわりに旋回させるように構成される。
【0089】
図17に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第3例、および、
図18に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第4例では、モータアセンブリ30は、アウタリンク部材34に配置される。
図17に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第3例、および、
図18に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第4例では、モータブラケット36Bは、アウタリンク部材34に配置されるように構成される。
【0090】
図17に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第3例では、モータアセンブリ30は、アウタリンク部材34のうち、第2旋回部分22D側に配置される。
図17に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第3例では、モータブラケット36Bは、アウタリンク部材34のうち、第2旋回部分22D側に配置される。
図17に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第3例では、例えば、モータアセンブリ30は、ベース部材22の第2取付端22Bの第2旋回部分22Dを、第2旋回軸心PA2まわりに旋回させるように構成される。
【0091】
図18に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第4例では、モータアセンブリ30は、アウタリンク部材34の第4旋回部分26B側に配置される。
図18に示される第2実施形態のリアディレイラ20の第4例では、モータブラケット36Bは、アウタリンク部材34の第4旋回部分26B側に配置される。
図18に示される第2実施形態のリアディレイラ20第4例では、例えば、モータアセンブリ30は、可動部材26の第4旋回部分26Bを、第4旋回軸心PA4まわりに旋回させるように構成される。
【0092】
第2実施形態のリアディレイラ20では、第1アーム40、および、第2アーム42によって第1取付端22Aの強度が向上するため、荒れた路面であっても、モータ36がリンク機構24に配置されるリアディレイラ20の変速動作が安定する。
【0093】
<第3実施形態>
図19から
図21を参照して、第3実施形態のリアディレイラ20について説明する。第3実施形態のリアディレイラ20は、リアディレイラ20におけるクラッチ構造56の配置が異なる以外は第1実施形態、または、第2実施形態のリアディレイラ20と同様である。第3実施形態において、第1実施形態、および、第2実施形態と共通する構成については、第1実施形態、および、第2実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0094】
本実施形態のクラッチ構造56は、第2旋回部分22D、第3旋回部分26A、および、第4旋回部分26Bのいずれかに配置されるように構成される。
【0095】
図19に示される第3実施形態のリアディレイラ20の第1例では、クラッチ構造56は、第2旋回部分22Dに配置される。クラッチ構造56が、第2旋回部分22Dに配置され、リアディレイラ20がモータアセンブリ30を備える場合、例えば、モータアセンブリ30は、可動部材26の第2旋回部分22Dを、第2旋回軸心PA2まわりに旋回させるように構成される。クラッチ構造56が、第2旋回部分22Dに配置され、リアディレイラ20がモータアセンブリ30を備える場合、例えば、モータアセンブリ30は、アウタリンク部材34およびベース部材22の少なくとも1つに配置される。
【0096】
図20に示される第3実施形態のリアディレイラ20の第2例では、クラッチ構造56は、第3旋回部分26Aに配置される。クラッチ構造56が、第3旋回部分26Aに配置され、リアディレイラ20がモータアセンブリ30を備える場合、例えば、モータアセンブリ30は、可動部材26の第3旋回部分26Aを、第3旋回軸心PA3まわりに旋回させるように構成される。クラッチ構造56が、第3旋回部分26Aに配置され、リアディレイラ20がモータアセンブリ30を備える場合、例えば、モータアセンブリ30は、インナリンク部材32および可動部材26の少なくとも1つに配置される。
【0097】
図21に示される第3実施形態のリアディレイラ20の第3例では、クラッチ構造56は、第4旋回部分26Bに配置される。クラッチ構造56が、第4旋回部分26Bに配置され、リアディレイラ20がモータアセンブリ30を備える場合、例えば、モータアセンブリ30は、可動部材26の第4旋回部分26Bを、第4旋回軸心PA4まわりに旋回させるように構成される。クラッチ構造56が、第4旋回部分26Bに配置され、リアディレイラ20がモータアセンブリ30を備える場合、例えば、モータアセンブリ30は、アウタリンク部材34および可動部材26の少なくとも1つに配置される。
【0098】
第3実施形態のリアディレイラ20では、第1アーム40、および、第2アーム42によって第1取付端22Aの強度が向上する。第2旋回軸心PA2から第4旋回軸心PA4のいずれか1つにクラッチ構造56が配置されることによって、荒れた路面においても動作が安定するリアディレイラ20の小型化ができる。
【0099】
第3実施形態のリアディレイラ20では、重量物であるクラッチ構造56がリンク機構24に配置される。第3実施形態のリアディレイラ20は、第2旋回軸心PA2から第4旋回軸心PA4のいずれか1つにクラッチ構造56が配置されることによって、安定した変速動作を実現できる。
【0100】
<第4実施形態>
図22および
図23を参照して、第4実施形態のリアディレイラ20について説明する。第4実施形態のリアディレイラ20は、リアディレイラ20におけるバッテリ取付部分52の配置が異なる以外は第1から第3実施形態のリアディレイラ20のいずれかと同様である。第4実施形態において、第1から第3実施形態と共通する構成については、第1から第3実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0101】
本実施形態のバッテリ取付部分52は、アウタリンク部材34に設けられる。
図22に示す第1例では、バッテリ取付部分52は、アウタリンク部材34のうち、第2旋回部分22D側に設けられる。リアディレイラ20が、バッテリ取付部分52に加えて、モータアセンブリ30、および、クラッチ構造56の少なくとも1つを含む場合、モータアセンブリ30、および、クラッチ構造56の少なくとも1つは、バッテリ取付部分52に干渉しないように、例えば、アウタリンク部材34のうち、第2旋回部分22D側以外に設けられる。
【0102】
図23に示す第2例では、バッテリ取付部分52は、アウタリンク部材34のうち、第4旋回部分26Bの付近に設けられる。リアディレイラ20が、バッテリ取付部分52に加えて、モータアセンブリ30、および、クラッチ構造56の少なくとも1つを含む場合、モータアセンブリ30、および、クラッチ構造56の少なくとも1つは、バッテリ取付部分52に干渉しないように、例えば、アウタリンク部材34のうち、第4旋回部分26B側以外に設けられる。
【0103】
第4実施形態のリアディレイラ20では、バッテリ54がリンク機構24に配置される。第4実施形態のリアディレイラ20では、第1アーム40、および、第2アーム42によって第1取付端22Aの強度が向上する。このため、荒れた路面であっても、リアディレイラ20の変速動作が安定する。
【0104】
<変形例>
各実施形態に関する説明は、本開示に従うリアディレイラが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従うリアディレイラは、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明は省略される。
【0105】
・第1実施形態、第3実施形態、および、第4実施形態において、モータアセンブリ30の少なくとも一部が、ベース部材22に配置されてもよい。モータアセンブリ30の少なくとも一部が、ベース部材22に配置される場合、例えば、モータブラケット36Bは、ベース部材22に配置されるように構成される。例えば、モータアセンブリ30の少なくとも一部が、ベース部材22に配置される場合、モータアセンブリ30のうちの他の一部がリンク機構24に配置されてもよい。例えば、モータ36が、ベース部材22に配置される場合、駆動構造38はリンク機構24に配置されてもよい。例えば、駆動構造38がベース部材22に配置される場合、モータ36はリンク機構24に配置されてもよい。例えば、モータアセンブリ30の少なくとも一部がベース部材22に配置される場合、モータアセンブリ30は、ベース部材22の第2取付端22Bの第1旋回部分22Cを、第1旋回軸心PA1まわりに旋回させるように構成されてもよく、ベース部材22の第2取付端22Bの第2旋回部分22Dを、第2旋回軸心PA2まわりに旋回させるように構成されてもよい。
【0106】
・
図24に示されるように、モータアセンブリ30は、可動部材26に配置されてもよい。モータアセンブリ30が可動部材26に配置される場合、例えば、モータアセンブリ30は、可動部材26の第3旋回部分26Aを、第3旋回軸心PA3まわりに旋回させるように構成される。モータアセンブリ30が可動部材26に配置される場合、例えば、モータアセンブリ30は、可動部材26の第4旋回部分26Bを、第4旋回軸心PA4まわりに旋回させるように構成される。
【0107】
・
図25に示されるように、バッテリ取付部分52は、インナリンク部材32のうち、第1旋回部分22C側に設けられてもよい。リアディレイラ20が、バッテリ取付部分52に加えて、モータアセンブリ30、および、クラッチ構造56の少なくとも1つを含む場合、モータアセンブリ30、および、クラッチ構造56の少なくとも1つは、バッテリ取付部分52に干渉しないように、例えば、インナリンク部材32のうち、第1旋回部分22C側以外に設けられる。
【0108】
・可動部材26は、回転シャフトを含み、回転シャフトの回転軸心まわりにおいて、可動部材26に配置されるダンパ構造を含んでいてもよい。例えば、回転シャフトは、プーリアセンブリ28に取り付けられ、回転シャフトの回転軸心まわりに可動部材26に回転可能に連結される。例えば、ダンパ構造は、人力駆動車の後方へ向かう方向と対応する回転方向において、摩擦抵抗を提供する。ダンパ構造による摩擦によって、人力駆動車の後方へ向かう方向と対応する回転方向への可動部材26の回転を抑制できる。
【0109】
・駆動構造38は、磁石と磁気センサとを含んでいてもよい。駆動構造38が磁石と磁気センサとを含む場合、例えば、磁気センサはベース部材22のハウジングに設けられ、磁石は第1旋回部分22Cのうちの磁気センサに対応する位置に設けられる。第1旋回部分22Cが旋回すると、磁気センサが磁石に対して相対的に回転するので、磁気センサが磁石の相対的な位置の変動を検出することによって、プーリアセンブリ28の相対的な位置が検出される。
【0110】
・リアディレイラ20から、バッテリ取付部分52が省略されてもよい。この場合、モータ36は、リアディレイラ20の外部から供給される電力によって駆動するように構成されてもよい。
【0111】
・リアディレイラ20から、クラッチ構造56が省略されてもよい。この場合、モータ36と第1旋回部分22C、第2旋回部分22D、第3旋回部分26A、および、第4旋回部分26Bのいずれか1つとは、常時連結される。
【0112】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0113】
10…フレーム、12…スプロケット、14…チェーン、16…マルチプルリアスプロケットアセンブリ、20…リアディレイラ、22…ベース部材、22A…第1取付端、22B…第2取付端、22C…第1旋回部分、22D…第2旋回部分、24…リンク機構、26…可動部材、26A…第3旋回部分、26B…第4旋回部分、28…プーリアセンブリ、30…モータアセンブリ、32…インナリンク部材、32A…インナリンク部材の一端、32B…インナリンク部材の他端、34…アウタリンク部材、34A…アウタリンク部材の一端、34B…アウタリンク部材の他端、36…モータ、36A…出力軸、38…駆動構造、40…第1アーム、42…第2アーム、44…インナガイドプレート、46…アウタガイドプレート、48…ガイドプーリ、50…テンションプーリ、52…バッテリ取付部分、52A…バッテリブラケット、54…バッテリ、56…クラッチ構造、58…第1クラッチ要素、58B…少なくとも1つの第1係合歯、60…第2クラッチ要素、60B…少なくとも1つの第2係合歯、66…角度位置調整構造、68…ボルト部材、68A…第1ねじ部、70…調整開口、70A…第2ねじ部。