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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057906
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】食肉切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/28 20060101AFI20230417BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20230417BHJP
   B26D 7/32 20060101ALI20230417BHJP
   A22C 17/00 20060101ALI20230417BHJP
   B26D 5/26 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
B26D3/28 610L
B26D7/06 D
B26D7/32 Z
B26D3/28 610S
A22C17/00
B26D5/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167659
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】591076028
【氏名又は名称】株式会社なんつね
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】横山 純平
(72)【発明者】
【氏名】堀江 真二
【テーマコード(参考)】
3C021
4B011
【Fターム(参考)】
3C021DB06
4B011EA02
(57)【要約】
【課題】 形状が不安定な生肉の肉塊からスライスする切断肉の一群の厚みを均一化し、一群の重量を調整することができ、汎用性があり使い勝手のよい食肉切断装置を提供する。
【解決手段】 予定切断情報を入力する入力部7と、重量測定部3と、肉塊形状測定部6と、切断ユニット2と、肉塊搬送ベルト20、30と、からなる。上下のセンサ6a、6bからなる前記肉塊形状測定部6により測定された肉塊外形情報と肉塊層重量情報から所定目的の切断肉を切断するための切断厚みを算出し、肉塊搬送ベルトの送り量を決定する送り量決定手段4を有する食肉切断装置1である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉塊搬送ベルトで搬送される肉塊を切断ユニットで切断する食肉切断装置であって、
前記肉塊搬送ベルトで搬送される前記肉塊の外形情報を測定する肉塊形状測定部と、肉塊総重量情報と前記肉塊形状測定部により検出された肉塊形状情報をもとに前記肉塊搬送ベルトの送り量を決定する送り量決定手段とを有し、
前記肉塊形状測定部は、前記肉塊搬送ベルトの上方に備えた第1の測定部と、前記肉塊搬送ベルトの下方に備えたものであってベルト開放部を通して測定する第2の測定部を備えたことを特徴とする食肉切断装置。
【請求項2】
複数の並走する肉塊搬送ベルトで各々独立して肉塊を搬送可能であって複数の肉塊を1つの切断ユニットで切断する食品切断装置であって、
肉塊形状測定部となる第2の測定部は、並走する複数の肉塊搬送ベルトに渡って開放するベルト開放部を通して測定し、
送り量決定手段は、一の肉塊搬送ベルトの切断厚み分の送り量と、他の肉塊搬送ベルトの切断厚み分の送り量とを個別に決定することを特徴とする請求項1に記載の食肉切断装置。
【請求項3】
第1の肉塊搬送ベルトと第2の肉塊搬送ベルトとからなる2つの肉塊搬送ベルトが並走して2つの肉塊を1つの切断ユニットで切断する食品切断装置であって、
前記2つの肉塊搬送ベルトの搬送方向に対向する方向となる一側方側にモータが配されており、前記一側方側と反対側の他側方側は開放側として前記肉塊搬送ベルトを摘出可能としたことを特徴とする請求項2に記載の食肉切断装置。
【請求項4】
2つの肉塊搬送ベルトは、第1の肉塊搬送ベルトを搬送可能にする第1のローラと第2の肉塊搬送ベルトを搬送可能とする第2のローラからなる2つのローラが直列して配されており、
前記2つのローラに接続する第1のモータと第2のモータとからなる2つのモータが、前記2つの肉塊搬送ベルトの搬送方向に対向する方向となる一側方側に配されおり、
前記第1の肉塊搬送ベルトの前記第1のローラに前記第1のモータからの回転力を伝達する第1の回転力伝達手段と、前記第2の肉塊搬送ベルトの前記第2のローラに前記第2のモータからの回転力を伝達する第2の回転力伝達手段とを有することを特徴とする請求項3に記載の食肉切断装置。
【請求項5】
肉塊から切断される切断肉の厚みを一群ごとに均一化し、一群の総重量を調整する食肉切断装置であって、
予定切断厚みと予定切断群重量とを入力する入力部と、
肉塊形状測定部により測定された肉塊形状情報と肉塊総重量情報により単位体積当たりの重量をもとに個々の切断前一群長さを算出し、前記切断前一群長さごとに厚みを均一化した均一切断厚み分の肉塊搬送ベルトの送り量を決定する送り量決定手段を有することを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の食肉切断装置。
【請求項6】
入力部には予定切断情報にトレー長さ情報を含み、切断ユニットにより切断された切断肉を搬送する切断肉搬送ベルトをさらに有し、
肉塊搬送ベルトの送り量の決定に加え、一群の切断肉の積層長さが前記トレー長さ情報内となるように切断肉搬送ベルトの送り量を決定する送り量決定手段を有することを特徴とする請求項5に記載の食肉切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断対象となる肉塊を正確に検知して所定目的の切断肉を切断する食肉切断装置であって、さらにロース肉やバラ肉等の異なる肉塊を同時に切断可能にし、トレーに均一厚みで盛付けが可能となるように切断する食肉切断装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、食肉切断工程において、稼働力を向上させるために肉塊の正確な切断や、複数の肉塊を同時に切断し、しかも連続して切断可能となる切断装置が求められていた。
【0003】
従来より特許文献1に記載のように肉塊をセンサで検出して切断する切断装置は存在した。しかし、この検出は照明フレーム内で測定するものであり、必ずしも肉塊の外形の正確な測定がなされるものではなく、加えて連続して切断可能とするものではなかった。
【0004】
一方、特許文献2に記載のように、2つの移送樋が存在する先行技術も存在する。しかし、これはコマ切れ肉を切断するためのもので1つの搬送ベルトから仕切りをもって二手に分かれるものであって、2種類の肉塊を別個独立に搬送して1つの切断刃で切断するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002-542046号公報
【特許文献2】特開2011-218537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、肉塊の外形を正確に検出して所定目的の切断を可能にし、さらには複数の肉塊を同時に切断し、しかも連続して大量の切断肉に切断可能として稼働力を向上させる切断装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の食肉盛付装置は、肉塊搬送ベルトで搬送される肉塊を切断ユニットで切断する食肉切断装置であって、前記肉塊搬送ベルトで搬送される前記肉塊の外形情報を測定する肉塊形状測定部と、肉塊総重量情報と前記肉塊形状測定部により検出された肉塊形状情報をもとに前記肉塊搬送ベルトの送り量を決定する送り量決定手段とを有し、前記肉塊形状測定部は、前記肉塊搬送ベルトの上方に備えた第1の測定部と、前記肉塊搬送ベルトの下方に備えたものであってベルト開放部を通して測定する第2の測定部を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、複数の並走する肉塊搬送ベルトで各々独立して肉塊を搬送可能であって複数の肉塊を1つの切断ユニットで切断する食品切断装置であって、肉塊形状測定部となる第2の測定部は、並走する複数の肉塊搬送ベルトに渡って開放するベルト開放部を通して測定し、送り量決定手段は、一の肉塊搬送ベルトの切断厚み分の送り量と、他の肉塊搬送ベルトの切断厚み分の送り量とを個別に決定することが好ましい。
【0009】
また、第1の肉塊搬送ベルトと第2の肉塊搬送ベルトとからなる2つの肉塊搬送ベルトが並走して2つの肉塊を1つの切断ユニットで切断する食品切断装置であって、前記2つの肉塊搬送ベルトの搬送方向に対向する方向となる一側方側にモータが配されており、前記一側方側と反対側の他側方側は開放側として前記肉塊搬送ベルトを摘出可能としたことが好ましい。
【0010】
また、2つの肉塊搬送ベルトは、第1の肉塊搬送ベルトを搬送可能にする第1のローラと第2の肉塊搬送ベルトを搬送可能とする第2のローラからなる2つのローラが直列して配されており、前記2つのローラに接続する第1のモータと第2のモータとからなる2つのモータが、前記2つの肉塊搬送ベルトの搬送方向に対向する方向となる一側方側に配されおり、前記第1の肉塊搬送ベルトの前記第1のローラに前記第1のモータからの回転力を伝達する第1の回転力伝達手段と、前記第2の肉塊搬送ベルトの前記第2のローラに前記第2のモータからの回転力を伝達する第2の回転力伝達手段とを有することが好ましい。
【0011】
また、肉塊から切断される切断肉の厚みを一群ごとに均一化し、一群の総重量を調整する食肉切断装置であって、予定切断厚みと予定切断群重量とを入力する入力部と、肉塊形状測定部により測定された肉塊形状情報と肉塊総重量情報により単位体積当たりの重量をもとに個々の切断前一群長さを算出し、前記切断前一群長さごとに厚みを均一化した均一切断厚み分の肉塊搬送ベルトの送り量を決定する送り量決定手段を有することが好ましい。
【0012】
また、入力部には予定切断情報にトレー長さ情報を含み、切断ユニットにより切断された切断肉を搬送する切断肉搬送ベルトをさらに有し、肉塊搬送ベルトの送り量の決定に加え、一群の切断肉の積層長さが前記トレー長さ情報内となるように切断肉搬送ベルトの送り量を決定する送り量決定手段を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明により、上下に配置される第1の測定部と第2の測定部により正確に肉塊の形状を測定し、正確な肉塊外形情報を取得することができる。この肉塊外形情報により肉塊総重量から単位体積当たりの重量を算出し、所定の重量の切断幅としたり、一群の切断重量を算出して所謂定量切りやパック切り(トレー切り)が可能になる。
【0014】
請求項2に記載の発明により、複数の独立した肉塊搬送ベルトで別個独立に複数の肉塊を搬送し、搬送方向にかけて同じ位置で1つのベルト開放部を通して肉塊形状測定部で測定し、1つの切断ユニットで切断することにより、大量の切断肉を連続して計測し、所定重量をもって切断することが可能になる。この場合にも1つの測定部で1つのベルト開放部を通すことで正確な肉塊外形情報を有することで複数のベルトで所定希望の切断条件で連続した大量の切断肉とすることが可能になる。
【0015】
請求項3に記載の発明により、ベルトを洗浄する場合やメンテナンスをする場合に、ベルトの搬送方向と直交する方向に抜出することができ、省スペース化を実現することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明により、複数のベルトが並走する場合、少なくともモータが両側に配置されているとベルト洗浄やメンテナンスにおいて搬送方向に掛けてベルトを摘出しなければならず、省スペースが実現されず、使用勝手が著しく落ちるものとなってしまう。本請求項に記載の形態とすることにより、複数のベルトで所定希望の切断条件で連続した大量の切断肉とすることができるとともに、省スペース化を兼ね揃えた食肉切断装置を提供することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明により、所謂定量切りだけでなく、一群の切断肉をパックにする所謂パック切りが可能になる。しかも、1パックに入れる一群の切断肉の切断厚みを均一化し、一群ごとで同じ厚みの切断肉となり、違和感のない切断肉のパックを提供することが可能になる。
【0018】
請求項6に記載の発明により、トレー長さに応じて切断肉搬送ベルトの送り量を決定して鱗列状態を形成し、切断された一群の切断肉をそのままトレーに入れてパックとすることができ、作業効率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る食肉切断装置の全体斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る食肉切断装置の正面図であって、第1のベルトと第2のベルトの間の肉塊形状測定部がある部位のみを示すものである。
図3図2の開放部周辺を示す一部拡大正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る回転力伝達手段を示す図3付近の一部拡大斜視図であり、一部を切り欠いた状態を示している。
図5】本発明のパック切りを行うための送り量決定を伴う切断フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の一例を図面に沿って説明する。本説明において、搬送ベルトの上流側(図1の左手前側)、下流側(図1の右奥側)をもって説明する。また、切断肉とは食用に一枚ごとスライスされた肉片をいい、肉塊とは切断前の棒状の肉の塊(原木)をいい、一群とは個々のトレーに入れるための1または複数の切断肉の纏まり状態をいう。
【0021】
本発明の食肉切断装置1は、切断ユニット2と、切断ユニット2に向けて肉塊を搬送するための肉塊搬送ベルト20、30が搬送方向(矢印線X方向)に向かって左右に2つ並列、並走する。2つの肉塊搬送ベルトのうち一側方である搬送モータボックス5側にあるものを第1の肉塊搬送ベルト20、他方側となる搬送モータボックス5側でないものを第2の肉塊搬送ベルト30としている。なお、本実施形態では2つの肉塊搬送ベルトを並走させているが、3つ以上の肉塊搬送ベルトを並走させるものであってもよく、複数の肉塊搬送ベルト間に仕切り板を設けるものであってもよい。
【0022】
また、肉塊搬送ベルト20、30と搬送方向を同じくする切断肉搬送ベルト40、50が切断ユニット2の後方に配されている。切断肉搬送ベルト40、50は切断ユニットにより切断された切断肉を搬送するベルトである。なお、切断肉搬送ベルト40、50の搬送方向は肉塊搬送ベルト20、30と搬送方向を異なるものとしてもよい。
【0023】
図1に示す肉塊搬送ベルト20、30の搬送方向X(長手方向)と直交する方向にある一側方(図1の奥側、第1の肉塊搬送ベルト20からみて第2の肉塊搬送ベルト30側と異なる側方)に、重量測定部3、送り量決定手段4、下流搬送モータボックス5が、上流側から下流側に向かって順次配されている。送り量決定手段4のボックス内には第1のモータと第2のモータも内蔵されている。一方、第2の肉塊搬送ベルト30の他側方(第1の肉塊搬送ベルト20側と異なる側方)にはこれらの機器が配されていないことをもって開放側となっている。この開放側とすることで、肉塊搬送ベルト20、30を開放側に向けて摘出して省スペースで洗浄やメンテナンスを可能にしている。
【0024】
2つの肉塊搬送ベルト20、30は、上流側から上流ベルト21、31、中流ベルト22、32、下流ベルト23、33と、3つのベルトが直列的に並んでいる。上流ベルト21、31は送り量決定手段4内の第1のモータ、中流ベルト22、32は、送り量決定手段4内の第2のモータ、下流ベルト23、33は搬送モータボックス5内の第3のモータにより回転力が伝達されて、搬送動作をする。上流ベルトと中流ベルトとの間は30乃至40ミリメートルの隙間が生じており、当該隙間が後述の下方センサによる検出位置となるベルト開放部25となる。
【0025】
2つの上流ベルト21、31、中流ベルト22、32、下流ベルト23、33は、その長さ、搬送方向にかけて上流側端や下流側端の位置、上下に傾斜する傾斜方向や傾斜角度を同じくしており、同じ形態のベルトが並走するようにしている。そのため、第1の肉塊搬送ベルト20と第2の肉塊搬送ベルト30のベルト開放部25は、並走する複数の肉塊搬送ベルトに渡って開放するものであり、搬送方向にかけて共通する位置に各々の開放部位が並列するように位置する1つの開放部として形成されている。なお、下流ベルト23、33は切断ユニット2により切断時の衝撃等からガイドするために両側にガイド壁を設けることが好ましいが、図1では説明の都合上省略している。
【0026】
肉塊形状測定部6は、一側方側にある送り量決定手段4から2つの肉塊搬送ベルト20、30の両方の上方に張り出すように配される第1の測定部6aと、が配されており、肉塊搬送ベルト20、30の下方に第2の測定部6bが配されている(具体的には後述する)。また、第1の測定部6aの図面上手前側に所定の予定切断情報を入力するための入力部7が配されている。
【0027】
切断ユニット2は、肉塊搬送ベルト20、30と切断肉搬送ベルト40、50の間で上方に位置し、傾斜する薄型円筒状のケースとなっており、1枚若しくは2枚の回転丸刃が内蔵され、この回転丸刃が自転しつつ公転するようにして切断する。切断ユニット2から上流側に張り出す部分は上押えユニット10であり、切断時に肉塊を上方からも抑える上押えベルトが配されている。なお、切断肉搬送ベルト40、50の搬送モータは搬送モータ5と同じくベルトの一側方(奥側)に配されており、他側方は開放側となっている。
【0028】
重量測定部3は、肉塊搬送ベルト20、30の最も上流側の一側方にある台状の部材である。使用者が重量測定部3に肉塊を置くと、肉塊全体の総重量を測定して表示部3aに表示され、送り量決定手段4に肉塊総重量情報が送られる。本実施形態では重量測定部3を本実施例の切断装置1に備えることで、別の測定器で測定した情報を入力し直す必要がなく、作業効率を上げているが、別個の測定手段で重量を測定し、肉塊総重量情報を入力するものであってもよい。
【0029】
送り量決定手段4は、第1の肉塊搬送ベルト20、第2の肉塊搬送ベルト30を別個独立に搬送することができる送り量を決定する制御機構である。第1の肉塊搬送ベルト20と第2の肉塊搬送ベルト30とを同時に同じ送り量だけ搬送することや、第1の肉塊搬送ベルト20と第2の肉塊搬送ベルト30との送り量に差異を設けて別個独立に搬送することも可能としている。
【0030】
さらに送り量決定手段4は、上流ベルト21、31、中流ベルト22、32、下流ベルト23、33を別個独立に搬送するように送り量を決定することも可能にしている。具体的に言うと、上流ベルト21、31と中流ベルト22、32とは肉塊形状測定部6で測定するために同時に稼働させるものであるが、下流ベルト23、33は切断ユニット2により切断する具体的な切断厚み分のみの送り量を搬送する。
【0031】
また、送り量決定手段4は、切断後の切断肉搬送ベルトの送り量も決定することができる。これにより切断後の肉群を、所定間隔をもって積層、鱗列することが可能となり、トレーやパック入れを行う場合に作業効率を向上させることができる。
【0032】
肉塊形状測定部6の具体的な形態について説明する。図1に加えて、図2図3に示すように、本実施形態の食肉切断装置1は、上下一対の第1、第2の測定部6a、6bとしてレーザーセンサを用いているが、カメラ機能による画像測定手段やその他の測定器であってもよい。本実施形態ではレーザーの反射により肉塊の外形を正確に測定して肉塊形状情報とし、送り量を正確に決定することができるものである。以下、第1の測定部、第2の測定部を、センサと明示して説明する。
【0033】
上述のとおり、肉塊形状測定部6は、一側方側にある送り量決定手段4から2つの肉塊搬送ベルト20、30の両方の上方に張り出すように配される第1のセンサ6aと、肉塊搬送ベルト20、30の下方に第2のセンサ6bが配されている。上方に配される第1のセンサ6aは、図2で示すように側面視において、上流ベルト21、31と中流ベルト22、32の間の開放部25よりも若干上流側に配されており、後述する傾斜ベルト部分21a、31aの傾斜にあわせて斜め下方向(矢印線A)に向けてレーザー照射することで上側からの肉塊形状を測定する。
【0034】
肉塊形状測定部の1つのなる下側の第2のセンサ6bは、ベルト開放部25の下方に配されており、ベルト開放部25を通して下方からレーザー照射して下側からの肉塊形状を測定する。さらに具体的には、上流ベルト21、31はベルト開放部25近辺でいったん下降する下降ベルト部分21a、31aを有し、側面視において下降ベルトの傾斜方向と直交する方向(矢印線B)に傾けて下方からの照射している。
【0035】
このように第1のセンサ6aと第2のセンサ6bとの照射位置をずらし、照射方向をずらすことでレーザーセンサの情報が混乱することを防止している。さらに下降ベルト部分21a、31aを有することで肉塊から流れ出るドリップを予め流して検出精度を上げることができる。また、ベルト開放部25と第2のセンサ6bとの間に上方に向けて内側に傾斜する傾斜面が形成された壁部材26、26をベルト開放部25の下側で開放範囲内に位置させることにより、肉塊から流れ出るドリップが下側の第2のセンサ6bに流れ落ちることを防止している。
【0036】
さらに言うと、中流ベルト22、32は、搬送方向に向けて下方に傾斜しているが、この傾斜角度は上流ベルト21、31の下降ベルト部分21a、31aの傾斜角度より緩やかなものとしている。このようにすることで下降ベルト21a、31aが搬送されている肉塊が上流ベルトから中流ベルトに伝って搬送されやすくしている。
【0037】
また、好ましくはベルト開放部25の間で通して搬送され、検出対象となる肉塊が、ベルト開放部25で落ち込みや引っ掛かりを防ぐために、搬送補助具27を配することが好ましい。本実施形態では小さな受け台からなる搬送補助具27がベルトの幅方向にかけて部分的に配置されている。なお受け台ではなく補助ローラからなる搬送補助具27としてもよい。
【0038】
従来の上方のみや側方からのセンサを用いた場合にはベルトに載っている下面の形状が検出されなかったが、このように上下のセンサ6a、6bを用いることで肉塊の形状を正確に測定することが可能となり、正確な肉塊形状情報を取得することができる。上下のセンサ6a、6bは、並走された肉塊搬送ベルト20、30のいずれの検出も可能であり、同時に両方の検出も可能とし、連続的な切断稼働を可能としている。
【0039】
次に、複数の並走する肉塊搬送ベルト20、30について説明する。複数の上記の重量測定部3、モータも内蔵されている送り量決定手段4、搬送モータボックス5が肉塊搬送ベルト20、30の一側方に配されることにより、肉塊搬送ベルト20、30を清掃する場合やメンテナンスを行う場合に他側方に向けて外すことができる。搬送方向に向けてベルトを外して清掃する食品切断装置も存在するが、搬送方向側方に外すことにより省スペースで清掃やメンテナンスが可能になる。特に、本実施形態では2つの肉塊搬送ベルト20、30が並列、並走しており、ベルトを開放側である他側方に順次外すことにより、奥側のベルト(第1の肉塊搬送ベルト20)の洗浄においても省スペースで実現することを可能としている。
【0040】
図4に示すように、送り量決定手段4のボックスには、上流ベルト21、31のローラ13a、13bを回転させて搬送可能にする第1のモータ11a、第2のモータ11bと中流ベルト22、32の第1のローラ14a、第2のローラ14bを回転させて搬送可能にする第1のモータ12a、第2のモータ12bが配置されている。これらのモータは、並走する第1の肉塊搬送ベルト20の一方の側方に配され、他側方からベルトを摘出することで清掃やメンテナンスを省スペースで行うものである。なお、下流ベルト23、33のローラを回転させるモータや回転力伝達手段は、モータボックス5に配置されているが、上流・中流のベルトのモータの伝達手段と構成を同じくするものであるため説明を省略する。なお、図4は、図面上ローラ13a、13bの上半分を切り欠いた状態を図示している。
【0041】
並走する2つの搬送ベルト20、30を別個独立に搬送可能とするための回転力伝達手段について、上流ベルト21、31の第1のモータ11a、第2のモータ11bと第1のローラ13a、第2のローラ13bを例示に説明する。別個独立する2つの上流ベルト21、31が掛けられる第1のローラ13aと第2のローラ13bは、ローラの長手方向に向けて直列的(長手方向に向けて連続して繋げるように)に接続され、各々回転するものであり、第1のローラ13a、第2のローラ13bは回転軸15を同じくしている。回転軸15は、第1のモータ11a、第2のモータ11b側にある第1のスプロケット16a、第2のスプロケット16bが軸方向に向けて直列的に配されており、このスプロケット16a、16bがモータ11a、11bの各々のギア部分とチェーン(図示しない)により接続され、モータ11a、11bの回転力をローラ13a、13bに伝達して、肉塊搬送ベルト20、30を搬送可能にする。
【0042】
まず、ローラ側(図4の図面上左側)の第1のスプロケット16aはモータ側(図面上手前側)の第1のローラ13aにネジ止め等により直接接続され、第1のローラ13aのみに回転力を伝達し、第1の上流ベルト21を搬送可能にしている。一方、モータ側(図面上右側)の第2のスプロケット16bは回転軸15を介してモータ側の反対側(図面上奥側)の第2のローラ13bに接続され、第2の上流ベルト31を搬送可能にしている。第2のスプロケット16bと第2のローラ13bにより第2の上流ベルト31に回転力を伝達する場合、モータ側(図面上手前側)の第1のローラ13aと回転軸15との間にベアリング17、17が配されており、第2の回転力伝達手段では第1のローラ13aを回転させない。第1のローラ13aを回転させるための第1の回転力伝達手段を用いて回転力を伝達しても、第2のローラ13bに回転力は伝達されない。中流ベルト22、32を搬送させるローラ14a、14bをモータ12a、12bからの回転力をスプロケット18a、18bにより伝達する構成についても上記と同じであるため説明を省略する。
【0043】
上記構成をとることにより複数の回転力伝達手段の一方が複数のベルトのローラの一方のみに回転力を伝達することにより、一側方にモータを配することを可能にしてベルトを搬送方向の他側方を何らの付属機器を備えない開放側とすることができる。これにより並列する肉塊搬送ベルト20、30を他側方の開放側に摘出して抜き出すことを可能にしつつ、並走する2つのベルト20、30が別個独立に搬送可能としている。さらに言うと、独立して搬送可能となる2つの肉塊搬送ベルト20、30が送り量決定手段4により適宜送り量を決定され、搬送することが可能になる。
【0044】
本実施形態の食肉切断装置1の基本的な機能は、肉塊を重量測定部3で重量を測定し、肉塊搬送ベルト20、30の上流ベルト21、31に適宜肉塊を置いて稼働させると、中流ベルト22、32までに搬送される間で肉塊形状測定部6により肉塊形状が測定される。さらに搬送されて、切断ユニット2で肉塊から切断肉となるよう適宜切断し、切断肉搬送ベルト40、50で排出する。このとき肉塊の総重量情報と肉塊形状情報をもとに単位体積当たりの重量を算出し、個別の肉塊搬送ベルトで所定目的の切断肉を切断するために送り量決定手段4が下流ベルト23、33の送り量を決定して搬送する。これにより、所定目的の切断肉を切断することが可能になり、2つの並列する肉塊搬送ベルト20、30で別個に肉塊を搬送して切断することも可能となり、稼働力が向上した食肉切断装置1を提供することが可能となる。このとき、希望する重量ごとに肉塊の個々の切断厚みを算出し、肉塊の先端から個々の切断厚み分に応じた送り量を決定する。これが所謂「定量切り」と呼ばれる切断となる。
【0045】
次に所謂「パック切り」と呼ばれる、一群ごとの切断について説明する。入力部7はトレーに載せるために必要な情報を入力するパネルであるところ、予定切断重量、予定切断厚み、予定一群総重量、トレー長さ等の情報を入力する。この予定切断厚みとは当初予定する切断肉ごとの厚みであり、予定一群総重量は1つのトレーに入れる複数の切断肉からなる一群の切断肉全体を当初予定の総重量である。その他、予定する切断枚数やその他の切断条件を入力させてもよい。
【0046】
「パック切り」はパックごととなる一群において、切断厚さを均一化し、一群の重量を調整するものである。この場合の送り量決定手段4の制御及び決定、決定フローについて、図5のフロー図をもとに説明する。
【0047】
まず、使用者が入力部7に予定切断厚み、予定一群総重量、トレー長さを入力する(入力ステップ)。肉塊を重量測定部3に置き、肉塊の重量を測定する(重量測定ステップ)。このとき重量測定部3は測定された重量データを送り量決定手段4に送る。
【0048】
肉塊を肉塊搬送ベルト20、30の上流ベルト21、31に置いて搬送し、中流ベルト22、32に至るまでに上下の肉塊形状測定部6により肉塊の形状を測定する(肉塊形状測定ステップ)。このとき、肉塊形状の外形を測定し、形状データを送り量決定手段4に送る。
【0049】
送り量決定手段4は、重量データと形状データから肉塊の単位体積あたりの重量を算出する。そして、これをもとに入力情報の予定一群総重量ごとの必要な肉塊の長さ(切断前の一群)を個々に算出する(演算ステップ)。
【0050】
さらに送り量決定手段4は、入力情報の予定切断厚みと予定切断枚数に応じた切断枚数を決定し、前の演算ステップで算出された切断前の一群を切断枚数で均等な厚みを算出して均一化した厚みを算出し、均一厚みとなる送り量を決定する(送り量決定ステップ)。
【0051】
実際に搬送された肉塊を、送り量決定ステップで決定された送り量ごとに第3ベルト23、33で搬送し、切断ユニット2で切断する(切断ステップ)。
【0052】
入力部7にトレー長さを入力した場合、送り量決定手段4は入力されたトレー長さに一群の切断肉が鱗列、積層するよう、切断肉搬送ベルト40、50の搬送時間を調整する(切断肉搬送ステップ)。つまりトレー長さに応じて切断肉が多い場合には一部重なる部分を多くし、切断肉が少ない場合には一部重なる部分を少なくする。実際には形状データの切断肉の個々の長さと切断枚数とを演算し、トレー長さとなるように一部積層、鱗列するように切断肉搬送ベルト40、50の送り量を決定する。
【0053】
さらに、本実施形態の並列する2つの肉塊搬送ベルト20、30に異なる肉塊を搬送し、切断して1つのトレーに2種類の切断肉を所定重量ごとに一群として盛り付ける場合、入力ステップにおいて肉塊ごとの予定切断厚みを入力し、一群全体の総重量とトレー長さ等を入力する。そして、重量測定ステップと形状測定ステップにおいては肉塊ごとに重量、形状を測定する。演算ステップでは肉塊ごとの比重を算出し、肉塊ごとの切断総長さを算出して一群の総重量となるように演算する。そして送り量決定ステップでは均一化した厚みを算出して送り量を決定し、切断ステップで切断する。さらにトレー長さを入力した場合には、一群がトレー長さに対応するよう切断肉搬送ベルトの送り量を決定する。
【0054】
本実施形態の肉塊形状測定部6による正確な測定により、送り量決定手段4が切断肉の一枚ごとに重量を揃える所謂定量切りと、トレーごとの一群の切断肉の重量を所定重量となるように調整することができるとともにトレーごとの一群の切断肉の切断厚みを均一化する所謂パック切りを実現することができ、パック切りにおいてはトレーごとに厚みが異なって最終消費者に違和感を与えることのない食肉販売トレーとして盛り付けることが可能になる。
【0055】
さらに、本実施形態においては、2つの並走する肉塊搬送ベルト20、30を上下一対の肉塊形状測定部6で共通するベルト開放部25を通して測定し、1つの切断ユニット2で切断することによって、稼働スピードを大幅に向上することができ、2つのベルトで各々送り出される肉塊を各々定量切りにしたり、各々パック切りにしたり、1つのパックやトレー内に定量切りとパック切りとなる一群の切断肉となるようにしたりすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1…食肉切断装置、2…切断ユニット、3…重量測定部、4…送り量決定手段、5…モータボックス、6…肉塊形状測定部、6a…第1のセンサ、6b…第2のセンサ、7…入力部、11a…第1のモータ、11b…第2のモータ、12a…第1のモータ、12b…第2のモータ、13a…第1のローラ、13b…第2のローラ、14a…第1のローラ、14b…第2のローラ、15…回転軸(回転力伝達手段)、16a…第1のスプロケット(回転力伝達手段)、16b…第2のスプロケット(回転力伝達手段)、17…ベアリング、18a…第1のスプロケット(回転力伝達手段)、18b…第2のスプロケット(回転力伝達手段)20…第1の肉塊搬送ベルト、21…上流ベルト、21a…下降ベルト部分、22…中流ベルト、23…下流ベルト、25…ベルト開放部、26…壁部材、27…搬送補助具、30…第2の肉塊搬送ベルト、31…上流ベルト、31a…下降ベルト部分、32…中流ベルト、33…下流ベルト、40…切断肉搬送ベルト、50…切断肉搬送ベルト、X…搬送方向。
図1
図2
図3
図4
図5