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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057908
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】スライス装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/28 20060101AFI20230417BHJP
   B26D 1/14 20060101ALI20230417BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20230417BHJP
   A22C 17/00 20060101ALI20230417BHJP
   A22C 25/20 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
B26D3/28 610Q
B26D1/14 H
B26D3/28 610N
B26D7/18 D
A22C17/00
A22C25/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167661
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】591076028
【氏名又は名称】株式会社なんつね
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】河野 敬明
(72)【発明者】
【氏名】横山 純平
【テーマコード(参考)】
3C027
4B011
【Fターム(参考)】
3C027PP09
4B011EA01
4B011KE15
4B011KF02
(57)【要約】
【課題】 丸刃と一体になって回転せず、食品の切断と同時に食品の切片を直ちに丸刃から剥離する剥離手段を備えたスライス装置を提供する。
【解決手段】 スライス装置は、供給部10から供給された食品50を切片51に切断する切断部20を備え、切断部20は、丸刃21と、丸刃21を回転させるとともに、食品50に対して丸刃21を垂直方向から切り込むように移動させる駆動手段と、丸刃21に付着した切片51を剥離する剥離手段と、を有し、剥離手段は、駆動手段の外装体24aに装着する装着部41と、丸刃21の側面に付着した切片51を剥がす剥がし部43と、を有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を切断位置に供給する供給部と、前記供給部から供給された食品を切片に切断する切断部と、を備えてなり、
前記切断部は、丸刃と、前記丸刃を回転させるとともに、食品に対して前記丸刃を垂直方向から切り込むように移動させる駆動手段と、前記丸刃に付着した切片を剥離する剥離手段と、を有し、
前記剥離手段は、前記駆動手段の外装体に装着する装着部と、前記丸刃の側面に付着した切片を剥がす剥がし部と、を有することを特徴とするスライス装置。
【請求項2】
剥がし部は、丸刃の刃先側面に対して隙間を開けて配設されることを特徴とする請求項1記載のスライス装置。
【請求項3】
剥がし部は、装着部に対して着脱自在に固定されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載のスライス装置。
【請求項4】
剥がし部は、丸刃の刃先の傾斜面に対して同一平面上に位置する傾斜部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のスライス装置。
【請求項5】
剥がし部は、丸刃の刃先の傾斜面に対して略平行に位置する傾斜部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のスライス装置。
【請求項6】
剥がし部は、側面より垂直方向に突出して形成された突部を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のスライス装置。
【請求項7】
突部は、断面略二等辺三角形状に突出して形成されることを特徴とする請求項6記載のスライス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸刃を用いて食品を切断するスライス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を切断するスライス装置は、回転する丸刃を食品に対して垂直方向から切り込んで切断するものであり、とりわけ、食肉、魚肉、チーズ、パンなどの食品を薄い層状に切断加工する装置として使用されている。
【0003】
このスライス装置を用いて冷蔵された食肉を薄く切断する場合、食肉の切片は、回転中の丸刃に付着しやすく、シワが寄ったり、伸びたりして、食品の切断面とは異なる形状の切片になって搬出されるものであり、その後、トレーへ移し替える際に形を整える必要があって手間の掛かるものであった。
【0004】
そこで、切断面と同形状のまま搬出部である送りコンベアに送り出すために、丸刃の付着する切片を剥離するための突起を刃先付近に設けられたものが開示されている(例えば特許文献1-2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-129189号公報
【特許文献2】特表2020-519471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したスライス装置は、回転する丸刃の一部に突起が設けられているため、丸刃と一体となって回転する突起に切片が付着して引きずられてしまい、食品の切断面と同形状のまま送りコンベアに送り出すことが十分にできていなかった。
【0007】
したがって、丸刃と一体になって回転せず、食品の切断と同時に食品の切片を直ちに丸刃から剥離する剥離手段を備えたスライス装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、食品を切断位置に供給する供給部と、前記供給部から供給された食品を切片に切断する切断部と、を備えてなり、
前記切断部は、丸刃と、前記丸刃を回転させ、食品に対して前記丸刃を垂直方向から切り込むように移動させる駆動手段と、前記丸刃に付着した切片を剥離する剥離手段と、を有し、
前記剥離手段は、前記駆動手段の外装体に装着する装着部と、前記丸刃の側面に付着した切片を剥がす剥がし部と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
また、上述した構成に加え、剥がし部は、丸刃の刃先側面に対して隙間を開けて配設されることが好ましい。
【0010】
また、上述した構成に加え、剥がし部は、装着部に対して着脱自在に固定されていることが好ましい。
【0011】
また、上述した構成に加え、剥がし部は、丸刃の刃先の傾斜面に対して同一平面上に位置する傾斜部を有することが好ましい。
【0012】
また、上述した構成に加え、剥がし部は、丸刃の刃先の傾斜面に対して略平行に位置する傾斜部を有することが好ましい。
【0013】
また、上述した構成に加え、剥がし部は、側面より垂直方向に突出して形成された突部を有することが好ましい。
【0014】
また、上述した構成に加え、突部は、断面略二等辺三角形状に突出して形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、回転する丸刃に対して離れた状態で固定することで、丸刃と同時に剥離手段を回転させずに、食品の切片が段部及び突部に引きずられることなく直ちに剥離することができ、食品の切片の形状が食品の切断面と同じ状態で搬出部に並べるため、切片をトレーへ移し替える際に形を整える必要がなく、トレーへの移し替え作業を容易にすることが可能である。
【0016】
また、剥離手段は、丸刃と一体に形成されているものではなく、剥がし部のみの交換や洗浄を行うことで、容易にメンテナンスを行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のスライス装置の一例を示す概略図である。
図2】切断部のみを示す概略図である。
図3】剥離手段における装着部と剥がし部を示す分解斜視図である。
図4図3の剥離手段の構造を示す丸刃周辺の部分断面図と、その刃先周辺の部分拡大断面である。
図5】食品の供給部を正面側としたときの切断部の動作を示す概念図である。
図6】食品の切断状態における切片と剥がし部との関係を示す概念断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係るスライス装置の一例について図1-6に基づいて詳細に説明する。
【0019】
(実施形態)
スライス装置は、図1に示すように、食品50を切断位置12に供給する供給部10と、供給部10から供給された食品50を切断する切断部20と、食品50の切片51を搬出する搬出部30と、を主要部として構成されるものである。
【0020】
供給部10は、食品50を切断位置12に送り出し、所定の厚みdまで押し出す上下方向に配設されたコンベア11と、コンベア11から切断位置12まで食品50の周囲を囲むラック13と、からなる。
【0021】
切断部20は、丸刃21と、丸刃21を回転させるとともに、食品50に対して丸刃21を垂直方向から切り込むように移動させる駆動手段と、丸刃21に付着した切片51を剥離する剥離手段と、を有する。
【0022】
丸刃21は、外周に刃先22を有する円形板状体である。この円形板状体は、中心の取付位置から刃先22にかけて傾斜した断面形状であり、この刃先22は、先端が鋭利な片側側面の傾斜面23としたいわゆる片刃で形成される。
【0023】
駆動手段は、丸刃21を自転及び公転させる回転動作、及び、丸刃21を食品50に対して垂直方向に往復移動させる往復動作と、を行うアーム部24を有する。
【0024】
搬出部30は、切断位置12の近傍に配置され、切断部20で切断された食品50の切片51を下方で受けて搬出するためのコンベア31からなる。
【0025】
次に、切断部20の剥離手段について詳細に説明する。
剥離手段は、図2に示すように、丸刃21の駆動手段の外装体24aに装着する装着部41と、丸刃21の側面に付着した切片51を剥がす剥がし部43と、を有する。
【0026】
装着部41は、図2、3に示すように、全体が略扇形の板状体であり、切断部20の駆動手段の外装体24aに着脱自在に固定する基端部41aと、剥がし部43をボルトで着脱自在に固定する開孔部42a、42aを備えた周縁部42と、を有する。
【0027】
基端部41aは、駆動手段のアーム部24の外装体24aに対して着脱自在に固定しうるように、略L字状に立設された取付片41b、41bと、取付片41b、41bにボルトを介挿しうる開孔部41c、41cと、を有する。
【0028】
剥がし部43は、図3、4に示すように、全体形状が環状扇形の板状体であり、丸刃21の刃先22の側面に対して隙間tを開けて略平行に配設されるように断面略への字状に形成され、外周方向に掛けて徐々に厚みが薄くなるように形成され、その先端付近に傾斜部43a及び突部43bと、を有する。
【0029】
傾斜部43aは、丸刃21の刃先22で切断された切片51に当接する部分において、先端付近が丸みを帯びながら、丸刃21の刃先22の傾斜面23に対して同一平面上又は略平行に位置するように緩やかに傾斜して形成される。
【0030】
突部43bは、剥がし部43によって丸刃21から剥がされた切片51を押し出すために、図2の正面からみて略円弧状に突出して形成される。また、この突部43bは、図4に示すように、剥がし部43の側面より断面略二等辺三角形状に突出して形成され、この突部43bの断面形状の高さhは、切片51の厚みdに応じて適切な長さのものを選択するものであり、例えば食品50が冷蔵された食肉であり、スライス肉の切片51の厚みdを約2mm程度に切断する場合、高さhを約0.5から5.0mm程の範囲で形成することが好ましい。
【0031】
また、剥がし部43と刃先22との隙間tは、食品50の切断と同時に刃先22の傾斜面23から直ちに剥がすために、少なくとも約0.1から0.5mm程度にすることが好ましい。また、この剥がし部43は、正面からみて、少なくとも丸刃21の片刃部分(特に傾斜面23)を露出させる程度の長さにすることが好ましい。
【0032】
次に、上述した構成による食品50の切片51の丸刃21からの剥離方法について図5、6に基づいて説明する。
【0033】
図5は、供給部10より切断位置12に供給された食品50に対して切断部20の丸刃21で切り込みをいれた状態の概念図である。このスライス装置は、供給部10から食品50が切断位置12まで供給された後、アーム部24によって回転する丸刃21が、食品50に対して斜め上方方向から切り込まれ、所定の厚みdの切片51となるように切断し、矢印方向に回転動作(いわゆる公転すること)を繰り返す。
【0034】
このとき、剥離手段は、図6に示すように、丸刃21の刃先22の側面から所定の隙間tで略平行に配置された剥がし部43によって刃先22から切片51が直ちに剥がされる。このとき、剥がし部43の傾斜部43aは、刃先22の傾斜面23に対して同一平面上又は略平行に位置するため、切片51の形状を崩さないように剥がすことができる。その後、剥がし部43の突部43bによって切片51が押し出されることで、食品50の切断面とほほ同形状のまま切片51が剥がし部43から搬出部30のコンベア31上に並べられる。
【0035】
したがって、上述した構成に基づくスライス装置によって、回転する丸刃21に対して離れた状態で固定することで丸刃21と同時に剥離手段を回転させずに、食品50の切片51が剥がし部43における傾斜部43a及び突部43bに引きずられることなく直ちに剥離することができ、食品50の切片51の形状が食品の切断面と同じ状態で搬出部30に並べることができるため、切片51をトレーへ移し替える際に形を整える必要がなく、トレーへの移し替え作業を容易にすることが可能である。
【0036】
また、剥離手段は、丸刃21と一体に形成されているものではなく、剥がし部43のみの交換や洗浄を行うことで、容易にメンテナンスを行うことが可能である。
【符号の説明】
【0037】
10…供給部、11…コンベア、12…切断位置、13…ラック、
20…切断部、21…丸刃、22…刃先、23…傾斜面、24…アーム部、24a…外装体、
30…搬出部、31…コンベア、
41…装着部、41a…基端部、41b…取付片、41c…開孔部、42…周縁部、42a…開孔部、43…剥がし部、43a…傾斜部、t…隙間、43b…突部、h…高さ、
50…食品、51…切片、d…厚み。
図1
図2
図3
図4
図5
図6