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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057934
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20230417BHJP
【FI】
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167696
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉木 俊亮
(72)【発明者】
【氏名】浅井 渚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝正
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB20
5E021FC07
5E021FC08
5E021FC40
5E021HA01
5E021HA05
(57)【要約】
【課題】フローティングコネクタにおいて、可動ハウジングのクリープ現象を抑制すると共に、コネクタの共振周波数を高めることを目的とする。
【解決手段】コネクタ10は、端子40,50と、取付対象物14に対して変位可能な可動ハウジング30と、を備える。端子40,50は、可動ハウジング30と共に変位する変位部44,45,54,55を有し、変位部44,45,54,55は、接続対象物11に一方側から接触する一方側接触部45,55を有する。コネクタ10は、可動ハウジング30に保持された付加部材90を備える。付加部材90は、接続対象物11に他方側から接触する他方側接触部91を有する。付加部材90は、端子40,50とは別体に形成される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物に取付可能なコネクタであって、
端子と、
前記取付対象物に対して変位可能な可動ハウジングと、
前記端子とは別体に形成され、前記可動ハウジングに保持された付加部材と、を備え、
前記端子は、前記可動ハウジングに保持され、前記可動ハウジングと共に変位する変位部を有し、
前記変位部は、接続対象物に一方側から接触する一方側接触部を有し、
前記付加部材は、前記接続対象物に他方側から接触する他方側接触部を有する、
コネクタ。
【請求項2】
前記付加部材は、前記取付対象物に接続する部分及び当該部分と前記他方側接触部との間の部分を有しない、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記付加部材は、前記端子と電気的に接続するための構造を有しない、
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記付加部材は、前記端子よりも比重の軽い材料で構成される、
請求項1~請求項3の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記付加部材は、ステンレス鋼、アルミ合金、チタン合金又はニッケル合金で構成される、
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記可動ハウジングのうち、前記付加部材が保持された部分と前記変位部が保持された部分とは、一体に形成されている、
請求項1~請求項5の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記一方側接触部は、前記接続対象物に接触する第一接触片と、前記第一接触片よりも接続方向奥側で前記接続対象物に接触する第二接触片とを有し、
前記接続対象物が接続されたときの前記第一接触片の接点の変位量は、前記第二接触片の接点の変位量よりも大きくなるように構成され、
接続方向奥側からコネクタを見た際に、前記第二接触片の接点は、前記第一接触片及び前記付加部材を含むいずれの部材にも覆い隠されていない、
請求項1~請求項6の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記一方側接触部に接触金属層が形成される、
請求項1~請求項7の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記接触金属層は、貴金属を含む、
請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記接触金属層は錫又は錫合金を含み、
前記付加部材のうち前記可動ハウジングに保持された部分には、錫又は錫合金が付着していない、
請求項8に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記付加部材の母材は、ステンレス鋼であり、
前記付加部材は、メッキ層を有しておらず、
前記付加部材は、取付対象物に電気的に接続されない、
請求項1~請求項7の何れか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ、その製造方法、相手コネクタ、及びコネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のフローティングコネクタでは、端子が、可動ハウジングと共に変位する変位部を有している。そして、変位部は、接続対象物に一方側から接触する一方側接触部と、接続対象物に他方側から接触する他方側接触部と、一方側接触部と他方側接触部とを一体に連結する連結部と、を有している。
このため、可動ハウジングが接続対象物に直接押圧されないようになっているので、可動ハウジングのクリープ現象が抑制される。
【0003】
特許文献2,3に記載のライトアングルフローティングコネクタでは、可動ハウジングが、下方向に突出する脚部を有している。
このため、脚部が固定側の部材である基板又は固定ハウジングに当接することで、可動ハウジングの下方向への過剰な変位が制限される。
【0004】
特許文献3に記載のコネクタは、ハウジングと、ハウジングに所定の圧入方向で圧入されて保持される端子と、を備える。端子は、圧入方向に沿って延びる伸長部に形成された圧入部と、圧入部に対して変位可能な変位部と、伸長部と変位部との間の中間部と、を有する。そして、中間部は、板厚方向に曲げられた複数の曲部を有する。
このため、中間部が変形することで、変位部の変位が許容される。
【0005】
特許文献4に記載のコネクタセットは、ケースの内部に配置される内部基板に取り付けられるライトアングルタイプの内部コネクタと、ケースの開口に取り付けられ、内部コネクタとケースの外部の接続対象物(外部接続対象物)とを中継する中継コネクタと、を備える。
このため、ケースの開口を介して、当該開口が形成された壁に垂直に配置される内部基板と外部接続対象物との接続を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-206623号公報
【特許文献2】特開2019-091649号公報
【特許文献3】特開2019-129084号公報
【特許文献4】特開2012-177665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたようなフローティングコネクタを例えば自動車等の振動環境下で用いた場合、振動の周波数が接続対象物と接続した状態のフローティングコネクタの共振周波数(以下、単にコネクタの共振周波数という。)と一致すると、変位部が接続対象物と共に激しく振動し、接触部が摩耗することがある。そのため、近年では、コネクタの共振周波数を高めることが求められている。
そこで、本開示の第1の態様は、フローティングコネクタにおいて、可動ハウジングのクリープ現象を抑制すると共に、コネクタの共振周波数を高めることを目的とする。
【0008】
また、コネクタの一般的な問題として、コネクタが搭載される電気機器が変わると、当該コネクタが接続する接続対象物の寸法や当該コネクタに要求される性能も変わることが通常である。そのため、接続対象物の寸法や要求される仕様のバリエーションの数に応じて、一からコネクタを設計、製造する必要がある。
そこで、本開示の第2の態様は、コネクタのバリエーション展開をしやすくすることを目的とする。
【0009】
また、発明者は、コネクタの共振周波数を高めることは、特許文献2,3に記載のようなライトアングルフローティングコネクタにおいても重要と考えた。
そこで、本開示の第3の態様は、ライトアングルフローティングコネクタにおいて、可動ハウジングの下方向への過剰な変位を制限すると共に、共振周波数を高めることを目的とする。
【0010】
また、特許文献3に記載のコネクタでは、変位部が変位して中間部が変形したときに、中間部を構成する曲部に応力が集中しやすいという問題がある。
そこで、本開示の第4の態様は、端子の中間部が一又は複数の曲部を有するコネクタにおいて、曲部への応力集中を抑制することを目的とする。
【0011】
また、特許文献4に記載のコネクタセットにおいて、外部接続対象物の構造に合わせるために、中継コネクタが、基板垂直方向(内部基板に垂直な方向)で異なる位置に配置される第一中継端子と第二中継端子とを備えることが考えられる。しかし、この場合は、第一中継端子及び第二中継端子のそれぞれと接触する互いに形状の異なる第一内部端子及び第二内部端子を内部コネクタに設ける必要が生まれ、その結果、内部コネクタの設計コストが上がってしまう。
そこで、本開示の第5の態様は、内部コネクタと中継コネクタとを備えるコネクタセットにおいて、内部コネクタの設計コストを下げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上下方向等の方向概念を用いて本開示のコネクタ等を説明するが、これらの方向概念はコネクタ等を基準とした方向概念であるから、コネクタ等の使用時の設置方向、設置姿勢を限定するものではない。
【0013】
(第1の態様)
第1-1の態様に係るコネクタは、取付対象物に取付可能なコネクタであって、端子と、前記取付対象物に対して変位可能な可動ハウジングと、前記端子とは別体に形成され、前記可動ハウジングに保持された付加部材と、を備え、前記端子は、前記可動ハウジングに保持され、前記可動ハウジングと共に変位する変位部を有し、前記変位部は、接続対象物に一方側から接触する一方側接触部を有し、前記付加部材は、前記接続対象物に他方側から接触する他方側接触部を有する。
【0014】
この態様では、コネクタは、端子と、取付対象物に対して変位可能な可動ハウジングと、を備える。端子は、変位部を有する。変位部は、可動ハウジングに保持され、可動ハウジングと共に変位する。変位部は、接続対象物に一方側から接触する一方側接触部を有する。
【0015】
また、コネクタは、端子とは別体に形成され、可動ハウジングに保持された付加部材を備える。付加部材は、接続対象物に他方側から接触する他方側接触部を有する。このため、可動ハウジングが接続対象物に直接押圧されないようになっているので、可動ハウジングのクリープ現象が抑制される。
また、付加部材は、端子とは別体に形成されるので、一方側接触部と他方側接触部とを一体に連結する連結部が必要なく、その分だけコネクタにおける可動部分を軽量化できる。その結果、コネクタの共振周波数を高めることができる。
【0016】
以上より、この態様によれば、フローティングコネクタにおいて、可動ハウジングのクリープ現象を抑制すると共に、コネクタの共振周波数を高めることができる。
【0017】
なお、後述の実施形態では、コネクタが固定ハウジングを備える例を説明するが、この態様のコネクタは、これに限定されない。
また、後述の実施形態では、端子が中間変形部を有するが、この態様の端子は、これに限定されない。端子が中間変形部を有しなくても、可動ハウジングと共に変位する変位部は実現可能である。
【0018】
第1-2の態様に係るコネクタは、第1-1の態様において、前記付加部材は、前記取付対象物に接続する部分及び当該部分と前記他方側接触部との間の部分を有しない。
【0019】
この態様では、付加部材は取付対象物に接続する部分及び当該部分と他方側接触部との間の部分を有しない。このため、当該部分及び当該部分と他方側接触部との間の部分を付加部材に設ける必要がないので、付加部材がこれらを有する態様と比べて、コネクタを小型化することができる。
【0020】
第1-3の態様に係るコネクタは、第1-1又は第1-2の態様において、前記付加部材は、前記端子と電気的に接続するための構造を有しない。
【0021】
この態様では、付加部材は端子と電気的に接続するための構造を有しないので、そのような構造を持つ態様と比べて、コネクタを小型化又は軽量化することができる。
【0022】
第1-4の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-3の何れかの態様において、前記付加部材は、前記端子よりも比重の軽い材料で構成される。
【0023】
この態様では、付加部材は端子よりも比重の軽い材料で構成されるので、コネクタの可動部分を軽量化することができる。
【0024】
第1-5の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-4の何れかの態様において、前記付加部材は、ステンレス鋼、アルミ合金、チタン合金又はニッケル合金で構成される。
【0025】
この態様では、付加部材は、ステンレス鋼、アルミ合金、チタン合金又はニッケル合金で構成されるので、付加部材に十分なめっき処理を行わなくても、又は全くめっき処理を行わなくても付加部材の表面が不動態皮膜により保護され、腐食しにくい。よって、コネクタを安価に製造することができる。
【0026】
第1-6の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-5の何れかの態様において、前記可動ハウジングのうち、前記付加部材が保持された部分と前記変位部が保持された部分とは、一体に形成されている。
【0027】
ところで、可動ハウジングを互いに別体として形成された2つ以上の部材で構成し、付加部材が保持される部材と、変位部が保持される部材とを別にすることも考えられる。しかし、このような構成では、可動ハウジングの構造が複雑化してしまう。
この態様では、可動ハウジングのうち、付加部材が保持された部分と変位部が保持された部分とが一体に成形されているので、可動ハウジングの構造を単純化できる。
【0028】
第1-7の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-6の何れかの態様において、前記一方側接触部は、前記接続対象物に接触する第一接触片と、前記第一接触片よりも接続方向奥側で前記接続対象物に接触する第二接触片とを有し、前記接続対象物が接続されたときの前記第一接触片の接点の変位量は、前記第二接触片の接点の変位量よりも大きくなるように構成され、接続方向奥側からコネクタを見た際に、前記第二接触片の接点は、前記第一接触片及び前記付加部材を含むいずれの部材にも覆い隠されていない。
【0029】
この態様では、一方側接触部は、接続対象物に接触する第一接触片と、第一接触片よりも接続方向奥側で接続対象物に接触する第二接触片とを有する。このため、接続対象物に付着した異物の除去が第一接触片により行われ、接続対象物のうち異物が除去された部分を第二接触片に接触させることができる。
更に、接続対象物が接続されたときの第一接触片の接点の変位量(例えば接続方向に垂直な方向の変位量)が第二接触片の接点の変位量よりも大きくなるように構成される。このため、第一接触片の接続対象物に対する接触圧が高くなり、異物を擦り取る機能(いわゆるワイピング機能)が向上する。
【0030】
しかし、上記のように構成すると、接続方向手前側から見た場合に、第二接触片の接点が第一接触片に覆われてしまい、第二接触片の接点の高さを検査しにくくなるという不具合がある。
そこで、この態様では、接続方向奥側からコネクタを見た際に、第二接触片の接点は、第一接触片及び付加部材を含むいずれの部材にも覆い隠されていない。このため、接続方向奥側からコネクタを検査することで、第二接触片の接点の高さを検査することができる。
【0031】
第1-8の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-7の何れかの態様において、前記一方側接触部に接触金属層が形成される。
【0032】
この態様では、一方側接触部に接触金属層が形成される。このため、適切な接触金属層を形成することで、一方側接触部と接続対象物との接続信頼性を高めることができる。
ところで、仮に端子と付加部材とが一体に形成されると、一方側接触部に接触金属層を形成する際、付加部材が邪魔をして、メッキ液を適切な位置に付着させることが困難になる。
しかし、この態様では、端子と付加部材とが別体であるので、一方側接触部に接触金属層を形成する際に付加部材が邪魔をすることがなく、メッキ液を適切な位置に付着させやすい。その結果として、接触金属層に含まれる金属(例えば、金、パラジウム、銀、錫)の使用量を抑えることができ、コネクタを安価に製造することができる。
【0033】
第1-9の態様に係るコネクタは、第1-8の態様において、前記接触金属層は、貴金属を含む。
【0034】
この態様では、接触金属層は、貴金属を含むので、接触金属層に含まれる金属の使用量を抑えることによるコスト低減の効果が大きい。
【0035】
第1-10の態様に係るコネクタは、第1-8の態様において、前記接触金属層は錫又は錫合金を含み、前記付加部材のうち前記可動ハウジングに保持された部分には、錫又は錫合金が付着していない。
【0036】
この態様では、接触金属層は錫又は錫合金を含む。そして、付加部材のうち可動ハウジングに保持された部分には、錫又は錫合金が付着していない。このため、ウィスカの発生が防止される。
仮に端子と付加部材とが一体に形成されると、一方側接触部に接触金属層を形成する際、メッキ液が付加部材にも付着してしまう可能性がある。しかし、端子と付加部材とが別体であるので、メッキ液が意図せず付加部材に付着することが防止される。
【0037】
第1-11の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-7の何れかの態様において、前記付加部材の母材は、ステンレス鋼であり、前記付加部材は、メッキ層を有しておらず、前記付加部材は、取付対象物に電気的に接続されない。
【0038】
この態様では、付加部材の母材はステンレス鋼であり、付加部材はメッキ層を有していない。ステンレス鋼は、手間と費用の掛かるメッキをしなくても腐食しにくく、しかも比較的安価である。
また、付加部材が取付対象物に電気的に接続されないので、そのような構造を省略した分、コネクタを小型化できる。
【0039】
(第2の態様)
第2-1の態様に係るコネクタは、接続対象物に接触する端子側接触部を有する端子と、前記接続対象物に接触する付加側接触部を有する付加部材と、前記端子及び前記付加部材を保持するハウジングと、を備えるコネクタであって、前記付加部材は、前記端子とは別体として形成される。
【0040】
この態様では、コネクタは、接続対象物に接触する端子側接触部を有する端子と、接続対象物に接触する付加側接触部を有する付加部材と、端子及び付加部材を保持するハウジングと、を備える。
ここで、付加部材は、端子とは別体として形成される。このため、複数のバリエーションのコネクタを製造するのに適している。
すなわち、この態様に係るコネクタでは、端子及びハウジングについては、各バリエーションのコネクタの共通部品とし、付加部材については、各バリエーションのコネクタ毎に設計した付加部材とすることができる。これにより、コネクタを構成する端子、付加部材及びハウジングのうち付加部材のみを変更することで、コネクタの性能を変更することができる。例えば、付加部材の付加側接触部の形状や摩擦係数を変更することで、コネクタの性能を変更することができる。
【0041】
以上より、この態様によれば、コネクタのバリエーション展開をしやすくすることができる。
【0042】
なお、後述の実施形態では、端子側接触部は接続対象物に一方側から接触し、付加側接触部は接続対象物に他方側から接触する例を説明するが、この態様はこれに限定されない。例えば、端子側接触部は接続対象物に第一方向から接触し、付加部材は接続対象物に当該第一方向に垂直な方向から接触してもよい。
また、後述の実施形態では、上記「ハウジング」が可動ハウジングである例を説明するが、この態様はこれに限定されない。例えば、コネクタが可動ハウジングを備えず、上記「ハウジング」は固定ハウジングであってもよい。
【0043】
第2-2の態様に係るコネクタの製造方法は、第1の態様に係るコネクタの製造方法であって、前記付加部材は、予め設計された複数種類の付加部材の中から選択し、前記ハウジングに保持させる。
【0044】
この態様では、付加部材は、予め設計された複数種類の付加部材の中から選択し、前記ハウジングに保持させる
このため、適切な付加部材を選択することで、求められる要求に応じたコネクタを低コストで製造することができる。
なお、上述の「保持」には、圧入による保持のほか、インサート成形による保持も含まれる。
【0045】
第2-3の態様に係るコネクタの製造方法は、第2-2の態様において、前記コネクタでは、前記端子側接触部は、前記接続対象物に一方側から接触し、前記付加側接触部は、前記接続対象物に他方側から接触し、前記複数種類の付加部材には、前記端子側接触部と前記付加側接触部とが対向する距離が異なるように構成された2以上の種類の付加部材が含まれる。
【0046】
この態様では、端子側接触部は、接続対象物に一方側から接触する。また、付加側接触部は、接続対象物に他方側から接触する。そして、複数種類の付加部材には、端子側接触部と付加側接触部とが対向する距離が異なるように構成された2以上の種類の付加部材が含まれる。
このため、付加部材の選択により、端子側接触部と付加側接触部とが対向する距離を適切な距離に変更することができる。
【0047】
第2-4の態様に係るコネクタの製造方法は、第2-2又は第2-3の態様において、前記複数種類の付加部材には、前記付加側接触部の摩擦係数が異なる2以上の種類の付加部材が含まれる。
【0048】
この態様では、複数種類の付加部材には、付加側接触部の摩擦係数が異なる2以上の種類の付加部材が含まれる。
このため、付加部材の選択により、接続対象物の接続に要する力を適切な力に設定することができる。
【0049】
第2-5の態様に係るコネクタの製造方法は、第2-2~第2-4の何れかの態様において、前記複数種類の付加部材には、前記端子側接触部と前記付加側接触部とが対向する距離が同一になるように構成されるものの、前記付加側接触部の摩擦係数が異なる2以上の種類の付加部材が含まれる。
【0050】
この態様では、複数種類の付加部材には、端子側接触部と付加側接触部とが対向する距離が同一になるように構成されるものの、付加側接触部の摩擦係数が異なる2以上の種類の付加部材が含まれる。
このため、付加部材の形状のバリエーションを多くしなくても、コネクタのバリエーションを増やすことができる。
【0051】
(第3の態様)
第3-1の態様に係るコネクタは、取付対象物の載置面に取付可能であり、前記載置面に沿う方向を接続方向として接続対象物と接続可能なコネクタであって、前記取付対象物に固定される固定ハウジングと、前記接続対象物と嵌合可能であり、前記取付対象物に対して変位可能な可動ハウジングと、前記取付対象物に接続される接続部と、前記可動ハウジングに保持され、前記可動ハウジングと共に変位する変位部と、を有する端子と、を備え、前記固定ハウジングは、前記可動ハウジングと嵌合した状態又は嵌合途中の状態の前記接続対象物が前記載置面に近づく方向に変位したときに当該接続対象物に当接する位置に設けられた変位規制部を有する。
【0052】
この態様では、コネクタは、固定ハウジングと、可動ハウジングと、端子と、を備える。固定ハウジングは、取付対象物に固定されるハウジングである。可動ハウジングは、取付対象物に対して変位可能なハウジングであり、接続対象物と嵌合可能である。端子は、接続部と、変位部と、を有する。接続部は、取付対象物に接続される部分である。変位部は、可動ハウジングに保持され、可動ハウジングと共に変位する部分である。
【0053】
ここで、固定ハウジングは、変位規制部を有する。変位規制部は、可動ハウジングと嵌合した状態又は嵌合途中の状態の接続対象物が載置面に近づく方向に変位したときに当該接続対象物に当接する位置に設けられる。
このため、嵌合状態又は嵌合途中の状態の接続対象物の変位が制限される結果、可動ハウジングの過剰な変位が抑制される。
【0054】
つまり、特許文献2,3の技術では、下方向に突出する脚部を可動ハウジングに設けることで過剰な変位を制限していたが、この態様では、嵌合状態又は嵌合途中の状態の接続対象物に当接する部分(変位規制部)を固定ハウジングに設けることで過剰な変位を制限する。
【0055】
以上より、この態様によれば、変位規制部によって可動ハウジングの過剰な変位が制限されるので、脚部が不要になるか脚部を簡素化することができ、その結果、コネクタにおける可動部分を軽量化できる。よって、ライトアングルフローティングコネクタにおいて、可動ハウジングの下方向への過剰な変位を制限すると共に、共振周波数を高めることができる。
【0056】
第3-2の態様に係るコネクタは、第3-1の態様において、前記固定ハウジングは、前記可動ハウジングが配置される空間に対し前記載置面側の空間であって、前記可動ハウジングが通過可能な通過空間を有する。
【0057】
この態様では、固定ハウジングは、可動ハウジングが配置される空間に対し載置面側(下側)の空間であって、可動ハウジングが通過可能な通過空間を有する。
このため、コネクタの製造に際し、固定ハウジングに対し可動ハウジングを下側から組み付けることができる。
【0058】
第3-3の態様に係るコネクタは、第3-1又は第3-2の態様において、前記固定ハウジングは、前記可動ハウジングの前記載置面から離れる方向の移動範囲を制限する上方向制限部を有する。
【0059】
この態様では、固定ハウジングは、上方向制限部を有する。上方向制限部は、可動ハウジングの載置面から離れる方向(上方向)の移動範囲を制限する。このため、上方向制限部として機能する部材を固定ハウジングに別途取り付ける必要がない。
【0060】
第3-4の態様に係るコネクタは、第3-1~第3-3の何れかの態様において、前記端子は、前記固定ハウジングに保持される固定側被保持部を有し、前記変位規制部は、前記固定側被保持部を保持する。
【0061】
この態様では、端子は、固定ハウジングに保持される固定側被保持部を有し、変位規制部は、端子の固定側被保持部を保持する。
このため、端子の固定側被保持部を保持する部分とは別に変位規制部が形成される態様と比べて、コネクタを小型化できる。
【0062】
第3-5の態様に係るコネクタは、第3-1~第3-4の何れかの態様において、前記端子は、前記接続部と前記変位部との間の変形可能な中間変形部を有し、前記中間変形部の少なくとも一部は、前記載置面に垂直な方向で、前記可動ハウジングと前記載置面との間に位置する。
【0063】
この態様では、端子は、接続部と変位部との間の変形可能な中間変形部を有する。そして、中間変形部の少なくとも一部は、載置面に垂直な方向(高さ方向)で、可動ハウジングと載置面との間に位置する。
このため、中間変形部の長さを確保することができる。
【0064】
第3-6の態様に係る相手コネクタは、第3-1~3-5の何れか態様に係るコネクタと接続可能な前記接続対象物としての相手コネクタであって、相手ハウジングと、前記相手ハウジングに保持された相手端子と、を備え、前記相手ハウジングは、前記可動ハウジングと嵌合した状態又は嵌合途中の状態で前記変位規制部と前記載置面に垂直な方向で対向する対向下面と、前記対向下面から前記載置面側に突出する下方向突出部であって、前記可動ハウジングと嵌合した状態又は嵌合途中の状態の前記相手コネクタが前記載置面に近づく方向に変位したときに前記変位規制部に当接する位置に設けられた前記下方向突出部と、を有する。
【0065】
この態様に係る相手コネクタは、相手ハウジングと、相手ハウジングに保持された相手端子と、を備える。
相手ハウジングは、可動ハウジングと嵌合した状態又は嵌合途中の状態で変位規制部と載置面に垂直な方向(上下方向)で対向する対向下面を有する。
更に、相手ハウジングは、対向下面から載置面側に突出する下方向突出部を有する。下方向突出部は、可動ハウジングと嵌合した状態又は嵌合途中の状態の相手コネクタが載置面に近づく方向に変位したときに変位規制部に当接する位置に設けられる。
このため、下方向突出部が突出した分だけ、相手コネクタの下方向への変位最大量が小さくなる。したがって、相手コネクタの相手ハウジングの質量増加を抑制しつつ、相手コネクタの下方向の過剰な変位を制限できる。
【0066】
第3-7の態様に係る相手コネクタは、第3-6の態様において、前記相手端子は、前記相手ハウジングから突出すると共に、前記変位部に形成された接触部に接触する相手接触部を有し、前記対向下面は、前記相手接触部に隣接する部分を支持する隣接支持部の前記載置面側を向く下面である。
【0067】
この態様では、相手端子は、相手ハウジングから突出すると共に、変位部に形成された接触部に接触する相手接触部を有する。相手端子のうち相手接触部に隣接する部分は、相手ハウジングの隣接支持部に支持される。隣接支持部の下面から下方向突出部が突出する。
このため、単に隣接支持部の上下寸法を拡大してその下面を内部コネクタの変位規制部に当接させる態様よりも、相手コネクタの軽量化しつつ可動ハウジングの過剰な変位を抑制できる。
【0068】
第4-1の態様に係るコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに保持される端子と、を備えるコネクタであって、前記端子は、第一方向に沿って延びる第一伸長部に形成された第一被保持部と、前記第一被保持部に対して変位可能な変位部と、前記第一被保持部と前記変位部との間の中間部であって、板厚方向に曲げられた一又は複数の曲部を有する前記中間部と、を有し、前記中間部は、前記一又は複数の曲部のうち前記第一被保持部に最も近い第一曲部を介して前記第一伸長部と接続され、前記第一方向に垂直な方向に沿って延びる第二伸長部を含み、前記第二伸長部には、第二被保持部が形成される。
【0069】
この態様では、コネクタは、ハウジングと、ハウジングに保持される端子と、を備える。端子は、第一方向に沿って延びる第一伸長部に形成された第一被保持部と、第一被保持部に対して変位可能な変位部と、第一伸長部と変位部との間の中間部と、を有する。中間部は、板厚方向に曲げられた複数の曲部を有する。
【0070】
ここで、中間部は、第一曲部を介して第一伸長部と接続され、第一方向に垂直な方向に沿って延びる第二伸長部を含む。そして、第二伸長部に第二被保持部が形成される。
このため、第二伸長部に形成された第二被保持部がハウジングに保持されるので、第一曲部の変形が抑制され、第一曲部への応力集中が抑制される。
【0071】
以上より、この態様によれば、端子の中間部が一又は複数の曲部を有するコネクタにおいて、曲部への応力集中を抑制することができる。
【0072】
なお、後述の実施形態では、第一被保持部と第一曲部とが近接しているが、この態様はこれに限定されない。
後述の実施形態では、第一曲部と第二被保持部が近接しているが、この態様はこれに限定されない。
後述の実施形態では、ハウジングが固定ハウジングであるが、この態様のハウジングはこれに限定されない。
【0073】
第4-2の態様に係るコネクタは、第4-1の態様において、前記第二伸長部のうち前記第二被保持部よりも前記変位部側の部分は、前記第二被保持部から離れるにつれて板幅が徐々に小さくなるように形成された漸減伸長部を含む。
【0074】
この態様では、第二伸長部のうち第二被保持部よりも変位部側の部分は、第二被保持部から離れるにつれて板幅が徐々に小さくなるように形成された漸減伸長部を含む。
このため、第二伸長部のうち特定の部分に応力が集中することを抑制できる。
【0075】
第4-3の態様に係るコネクタは、第4-1又は第4-2の態様において、前記第二被保持部は、当該第二被保持部と隣接する部分よりも板幅が大きく形成され、前記第二被保持部のうち板幅が最大となる位置に対して前記第一被保持部側での板幅変化率は、前記変位部側での板幅変化率よりも大きい。
【0076】
この態様では、第二被保持部は、当該第二被保持部と隣接する部分よりも板幅が大きく形成される。そして、第二被保持部のうち板幅が最大となる位置に対して第一被保持部側での板幅変化率は、変位部側での板幅変化率よりも大きい。なお、板幅変化率とは、第一被保持部側又は前記変位部側へ近づく距離に対する板幅の変化量を意味する。
このため、第二被保持部の位置を第一曲部の近くに設定できると共に、中間部のうち第二被保持部に対して変位部側に近接する部分に応力が集中することを抑制できる。第二被保持部の位置を第一曲部の近くに設定できると、中間部のうち実際に変形可能な領域を長く確保することができる。
【0077】
第4-4の態様に係るコネクタは、第4-1~第4-3のの何れかの態様において、前記端子は、前記ハウジングに所定の圧入方向で圧入されて保持されるものであり、前記第一方向は、前記圧入方向であり、前記第一被保持部は、第一圧入部であり、前記第二被保持部は、第二圧入部である。
【0078】
この態様では、端子は、ハウジングに所定の圧入方向(第一方向)で圧入されて保持されるものである。
【0079】
第5-1の態様に係るコネクタセットは、ケースの内部に配置される基板に取り付けられるライトアングルタイプの内部コネクタと、前記ケースの開口に取り付けられ、前記内部コネクタと前記ケースの外部の外部接続対象物とを中継する中継コネクタと、を備えるコネクタセットであって、前記内部コネクタは、第一内部端子と、第二内部端子と、を備え、前記中継コネクタは、前記第一内部端子と接続する第一中継端子と、前記第二内部端子と接続する第二中継端子と、を備え、前記第一内部端子は、前記第一中継端子と接触する第一接触部と、前記基板に接続する第一接続部と、を有し、前記第二内部端子は、前記第二中継端子と接触する第二接触部と、前記基板に接続する第二接続部と、を有し、前記第一中継端子は、前記第一内部端子と接触する第一内部側接触部と、前記外部接続対象物に接触する第一外部側接触部と、を有し、前記第二中継端子は、前記第二内部端子と接触する第二内部側接触部と、前記外部接続対象物に接触する第二外部側接触部と、を有し、前記第一外部側接触部及び前記第二外部側接触部は、前記基板に垂直な方向である基板垂直方向で異なる位置に配置され、前記第一内部側接触部及び前記第二内部側接触部は、基板垂直方向で同じ位置に配置される。
【0080】
この態様に係るコネクタセットは、ケースの内部に配置される基板に取り付けられるライトアングルタイプの内部コネクタと、ケースの開口に取り付けられ、内部コネクタとケースの外部の外部接続対象物とを中継する中継コネクタと、を備える。
内部コネクタは、第一内部端子と、第二内部端子と、を備える。中継コネクタは、第一内部端子と接続する第一中継端子と、第二内部端子と接続する第二中継端子と、を備える。
第一内部端子は、第一中継端子と接触する第一接触部と、基板に接続する第一接続部と、を有する。
第二内部端子は、第二中継端子と接触する第二接触部と、基板に接続する第二接続部と、を有する。
第一中継端子は、第一内部端子と接触する第一内部側接触部と、外部接続対象物に接触する第一外部側接触部と、を有する。
第二中継端子は、第二内部端子と接触する第二内部側接触部と、外部接続対象物に接触する第二外部側接触部と、を有する。
【0081】
ここで、この態様では、第一外部側接触部及び第二外部側接触部は、基板垂直方向で異なる位置に配置されるものの、第一内部側接触部及び第二内部側接触部は、基板垂直方向で同じ位置に配置される。
このため、第一接触部の基板からの距離と、第二接触部の基板からの距離とが同じになるので、第一内部端子の形状と第二内部端子との形状を同じにできるか、同じ形状でないとしても類似の形状にすることができる。
【0082】
以上より、この態様によれば、内部コネクタと中継コネクタとを備えるコネクタセットにおいて、内部コネクタの設計コストを下げることができる。
【0083】
なお、後述の実施形態では、「内部コネクタ」がフローティングコネクタである例を説明するが、この態様の「内部コネクタ」はこれに限定されない。
また、後述の実施形態では、内部コネクタは、第一内部端子と第二内部端子とに加えて、第三内部端子と第四内部端子とを備え、中継コネクタは、第一中継端子と第二中継端子とに加えて、第三中継端子と第四中継端子とを備えるが、この態様の「コネクタセット」はこれに限定されない。
【0084】
第5-2の態様に係るコネクタセットは、第5-1の態様において、前記第一内部端子は、前記第一接触部と前記第一接続部との間に位置し、変形することで前記第一接続部に対する前記第一接触部の変位を許容する第一中間変形部を有し、前記第二内部端子は、前記第二接触部と前記第二接続部との間に位置し、変形することで前記第二接続部に対する前記第一接触部の変位を許容する第二中間変形部を有する。
【0085】
この態様では、第一内部端子は、第一接触部と第一接続部との間に位置し、変形することで第一接続部に対する第一接触部の変位を許容する第一中間変形部を有する。第二内部端子は、第二接触部と第二接続部との間に位置し、変形することで第二接続部に対する第二接触部の変位を許容する第二中間変形部を有する。
このため、第一接触部及び第二接触部は、基板に対して変位可能となり、基板と中継コネクタとの位置ズレを吸収できる。
【0086】
なお、この態様では、内部端子が中間変形部(第一中間変形部又は第二中間変形部)を有するので、内部端子の設計が特に複雑である。そのため、仮に、内部端子の形状の種類が増加すると、設計コストの大きく増加する。特に、車載機器のような強い振動が長期間にわたって加わる環境で使用される内部コネクタの場合、その環境下でも性能を維持できる高性能な中間変形部であることが求められるため、この問題は顕著である。
【0087】
第5-3の態様に係るコネクタセットは、第5-1又は第5-2の態様において、前記内部コネクタは、第三内部端子と、第四内部端子と、を備え、前記中継コネクタは、前記第三内部端子と接続する第三中継端子と、前記第四内部端子と接続する第四中継端子と、を備え、前記第三内部端子は、前記第三中継端子と接触する第三接触部と、前記基板に接続する第三接続部と、を有し、前記第四内部端子は、前記第四中継端子と接触する第四接触部と、前記基板に接続する第四接続部と、を有し、前記第三中継端子は、前記第三内部端子と接触する第三内部側接触部と、前記外部接続対象物に接触する第三外部側接触部と、を有し、前記第四中継端子は、前記第四内部端子と接触する第四内部側接触部と、前記外部接続対象物に接触する第四外部側接触部と、を有し、前記第一外部側接触部、前記第二外部側接触部、前記第三外部側接触部及び前記第四外部側接触部は、基板垂直方向で異なる位置に配置され、前記第一内部側接触部及び前記第二内部側接触部は、基板垂直方向で同じ位置に配置され、前記第三内部側接触部及び前記第四内部側接触部は、基板垂直方向で同じ位置に配置される。
【0088】
この態様では、第一外部側接触部、第二外部側接触部、第三外部側接触部及び第四外部側接触部は、基板垂直方向で異なる位置に配置される。一方、第一内部側接触部及び第二内部側接触部は、基板垂直方向で同じ位置に配置され、第三内部側接触部及び第四内部側接触部は、基板垂直方向で同じ位置に配置される。
このため、第一接触部の基板からの距離と、第二接触部の基板からの距離とが同じになるので、第一内部端子の形状と第二内部端子との形状を同じにできるか、同じ形状でないとしても類似の形状にすることができる。その結果、内部コネクタの設計コストを下げることができる。
また、第三接触部の基板からの距離と、第四接触部の基板からの距離とが同じになるので、第三内部端子の形状と第四内部端子との形状を同じにできるか、同じ形状でないとしても類似の形状にすることができる。その結果、内部コネクタの設計コストを下げることができる。
【0089】
第5-4の態様に係るコネクタは、第5-3の態様において、前記第一外部側接触部及び前記第四外部側接触部は、基板垂直方向に垂直な方向である配列方向で同じ位置に配置され、前記第二外部側接触部及び前記第三外部側接触部は、配列方向で同じ位置に配置され、前記第一内部側接触部、前記第二内部側接触部、前記第三内部側接触部及び前記第四内部側接触部は、配列方向で異なる位置に配置される。
【0090】
この態様では、第二外部側接触部及び第四外部側接触部は、配列方向で同じ位置に配置され、第一外部側接触部及び第三外部側接触部は、配列方向で同じ位置に配置される。一方、第一内部側接触部、第二内部側接触部、第三内部側接触部及び第四内部側接触部は、配列方向で異なる位置に配置される。
このため、内部コネクタの第一接触部、第二接触部、第三接触部及び第四接触部の配列方向の位置をそれぞれ異ならせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1】接続前の内部コネクタ及び中継コネクタを示す斜視図である。
図2】接続状態の内部コネクタ及び中継コネクタを示す斜視図である。
図3】内部コネクタの分解斜視図である。
図4】内部コネクタの組立途中の状態を示す斜視図である。
図5】内部コネクタの斜視図である。
図6】内部コネクタの正面図である。
図7図6の7-7線断面図である。
図8図6の8-8線断面図である。
図9】内部コネクタが備える端子及び付加部材を示す側面図である。
図10】端子の斜視図である。
図11】(A)は付加部材の下面図、(B)は11B-11B線断面図である。
図12】異なる種類の付加部材を示す図11Bに対応する断面図である。
図13】固定ハウジングの斜視図である。
図14】固定ハウジングを異なる方向から見た斜視図である。
図15】固定ハウジングの前枠部に形成された圧入用溝と、下側端子の固定側被保持部とを拡大して示す図である。
図16】下側端子の第二圧入部付近を拡大して示す図である。
図17】可動ハウジングの斜視図である。
図18】可動ハウジングの他の方向から見た斜視図である。
図19】可動ハウジングに形成された配置空間を拡大して示す図である。
図20】中継コネクタの斜視図である。
図21】中継コネクタの他の方向から見た斜視図である。
図22】複数の中継端子の斜視図である。
図23】複数の中継端子の正面図である。
図24】複数の中継端子の後面図である。
図25】複数の中継端子の上面図である。
図26】複数の中継端子の側面図である。
図27】第一構造中継端子の上面図及び側面図である。
図28】第二構造中継端子の上面図及び側面図である。
図29】嵌合途中の状態を示す断面図である。
図30】嵌合状態を示す断面図である。
図31】嵌合状態を示す他の断面図である。
図32】嵌合状態を示す他の断面図である。
図33】嵌合状態を示す他の断面図である。
図34】固定ハウジングの後壁を省略した変形例を示す断面図である。
図35】内部コネクタの端子の接触部におけるメッキ処理の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
以下、各図に示す±X方向を前後方向、±Y方向を幅方向、±Z方向を上下方向として説明する。
【0093】
(コネクタセット)
図1に示すように、コネクタセット10,11は、内部コネクタ10と中継コネクタ11とを備える。
内部コネクタ10は、ケース13の内部に配置される基板14(取付対象物)に取り付けられる。内部コネクタ10は、ライトアングルタイプのフローティングコネクタである。
中継コネクタ11は、ケース13の内部に配置される内部コネクタ10と、ケース13の外部の接続対象物(図示省略、以下「外部接続対象物」という。例えばワイヤーハーネスの端部に設けられたコネクタ)とを中継する。中継コネクタ11は、ケース13の開口13aに取り付けられる。
【0094】
内部コネクタ10と中継コネクタ11との接続は、例えば、次の手順で行われる。
まず、内部コネクタ10が取り付けられた基板14が、ケース13の内部に配置され、固定される。
次に、ケース13の開口13aに中継コネクタ11が嵌着されると共に、中継コネクタ11が内部コネクタ10と接続される。
最後に、中継コネクタ11が図示しないボルト等によってケース13に固定される。
【0095】
(内部コネクタ10)
次に、内部コネクタ10について説明する。
【0096】
図3は、内部コネクタ10の分解斜視図である。
内部コネクタ10は、複数の端子40,50と、固定ハウジング20と、可動ハウジング30と、複数(4個)の固定具101と、複数(28個)の付加部材90と、を備える。
【0097】
(端子40,50)
複数の端子40,50は、複数(14個)の上側端子40と、複数(14個、上側端子40と同数)の下側端子50と、を備える。
【0098】
複数の上側端子40は、それぞれ同一の構造であり、複数の下側端子50は、それぞれ同一の構造である。上側端子40と下側端子50とは、異なる構造である。
【0099】
以下、上側端子40及び下側端子50に共通する事項について説明するときは、上側端子40及び下側端子50を特に区別せずに端子40,50という。
【0100】
図9図10に示すように、端子40,50は、基板14に接続される接続部41,51と、固定ハウジング20に保持される固定側被保持部42,52と、変形可能に形成された中間変形部43,53と、可動ハウジング30に保持される可動側被保持部44,54と、中継コネクタ11の中継端子60,70に接触する接触部45,55と、を有する。
【0101】
接続部41,51は、接続対象物である基板14の面(載置面)に半田付けされる。固定側被保持部42,52は、固定ハウジング20に圧入される。可動側被保持部44,54は、可動ハウジング30に圧入される。可動側被保持部44,54及び接触部45,55は、基板14に対して変位可能な変位部44,45,54,55として機能する。
【0102】
(上側端子40)
上側端子40の接続部41は、上下方向に伸長する第一伸長部401の下側に形成された曲部404から後側に延びる。
【0103】
上側端子40の固定側被保持部42は、第一圧入部421と、第二圧入部422と、を有する。
【0104】
第一圧入部421は、上下方向に伸長する第一伸長部401に形成される。第一圧入部421は、板厚方向を前後方向に向ける。第一圧入部421の板幅方向の両側には、圧入突起が形成される。
第二圧入部422は、第一伸長部401の上側に形成された曲部402(第一曲部)から前方向に伸長する第二伸長部403に形成される。第二圧入部422は、第二伸長部403のうち曲部402付近に位置する。第二圧入部422は、板厚方向を上下方向に向ける。第二圧入部422は、隣接する部分よりも板幅が大きく形成される。第二圧入部422の具体的な構造は、後述する。
【0105】
固定側被保持部42は、上方向を圧入方向として固定ハウジング20に圧入される。したがって、第一圧入部421は、その板厚方向に垂直な方向で圧入され、第二圧入部422は、その板厚方向に平行な方向で圧入される。
【0106】
上側端子40の中間変形部43は、第二伸長部403のうち第二圧入部422よりも変位部44,45側の部分である前方伸長部431と、曲部432と、上方伸長部433と、曲部434と、後方伸長部435と、曲部436と、上方伸長部437と、曲部438と、前方伸長部439と、を有する。
【0107】
曲部432、上方伸長部433及び曲部434は、伸長方向が前方向から後方向で転換された折返部432,433,434を構成する。
曲部436、上方伸長部437及び曲部438は、伸長方向が後方向から前方向で変換された折返部436,437,438を構成する。
このように、上側端子40の中間変形部43は、伸長方向が前後方向で変換された折返部を2つ含む。
下側の折返部432,433,434の上下寸法は、上側の折返部436,437,438の上下寸法よりも小さい。
【0108】
前方伸長部431の大部分は、変位部44,45側に進むにつれて次第に板幅寸法が小さくなる部分(漸減伸長部)で構成される。曲部432は、隣接する部分よりも板幅が大きく形成され、応力が集中しないようになっている。前方伸長部439は、板幅が変化しない基端側部439aと、変位部44,45に近づくにつれて板幅が徐々に拡大される先端側部439bと、を有する。
【0109】
(下側端子50)
下側端子50の接続部51は、上下方向に伸長する第一伸長部501の下側に形成された曲部504から前側に延びる。
【0110】
下側端子50の固定側被保持部52は、第一圧入部521と、第二圧入部522と、を有する。
【0111】
第一圧入部521は、上下方向に伸長する第一伸長部501に形成される。第一圧入部521は、板厚方向を前後方向に向ける。第一圧入部521の板幅方向の両側には、圧入突起が形成される。
第二圧入部522は、第一伸長部501の上側に形成された曲部502(第一曲部)から後方向に伸長する第二伸長部503に形成される。第二圧入部522は、第二伸長部503のうち曲部502付近に位置する。第二圧入部522は、板厚方向を上下方向に向ける。第二圧入部522は、隣接する部分よりも板幅が大きく形成される。第二圧入部522の具体的な構造は、後述する。
【0112】
固定側被保持部52は、上方向を圧入方向として固定ハウジング20に圧入される。したがって、第一圧入部521は、その板厚方向に垂直な方向で圧入され、第二圧入部522は、その板厚方向に平行な方向で圧入される。
【0113】
下側端子50の中間変形部53は、第二伸長部503のうち第二圧入部522よりも変位部54,55側の部分である後方伸長部531と、曲部532と、上方伸長部533と、曲部534と、前方伸長部535と、を有する。
【0114】
曲部532、上方伸長部533及び曲部534は、伸長方向が後方向から前方向に転換された折返部532,533,534を構成する。このように、下側端子50の中間変形部53は、伸長方向が前後方向で変換された折返部を1つ含む。
【0115】
後方伸長部531の大部分は、変位部54,55側に進むにつれて次第に板幅が小さくなる部分(漸減伸長部)で構成される。曲部532は、隣接する部分よりも板幅が大きく形成され、応力が集中しないようになっている。
【0116】
上側端子40の変位部44,45と下側端子50の変位部54,55とは、同一の構造であるので、纏めて説明する。
【0117】
変位部44,45,54,55は、可動側被保持部44,54と、接触部45,55と、を有する。
【0118】
可動側被保持部44,54は、板厚方向を上下方向に向ける。可動側被保持部44,54の板幅方向(幅方向)の両側には、圧入突起が形成される。可動側被保持部44,54は、可動ハウジング30に前方向を圧入方向として圧入される。したがって、可動側被保持部44,54は、その板厚方向に垂直な方向で圧入される。
可動側被保持部44,54は、前方伸長部439,535と曲部を介さずに接続される。
【0119】
接触部45,55は、接続対象物(中継端子60,70)に弾性接触する第一接触片45a,55aと、第一接触片45a,55aよりも接続方向(後方向)の奥側で接続対象物に弾性接触する第二接触片45b,55bと、を有する。
【0120】
第一接触片45a,55aは、第一接点部45a1,55a1と、一対の第一支持部45a2,55a2と、を有する。
第一接点部45a1,55a1は、上方向が凸となるように山形に折り曲げられる。
一対の第一支持部45a2,55a2は、第一接点部45a1,55a1を弾性的に支持する。
【0121】
第二接触片45b,55bは、第二接点部45b1,55b1と、第二支持部45b2,55b2と、を有する。
第二接点部45b1,55b1は、上方向が凸となるように山形に折り曲げられる。第二接点部45b1,55b1は、第一接点部45a1,55a1よりも後側に位置する。これにより、第二接点部45b1,55b1は、第一接点部45a1,55a1よりも、接続方向(後方向)の奥側に位置する。中継コネクタ11が内部コネクタ10に接続される際、中継コネクタ11の中継端子60,70は、まず第一接点部45a1,55a1と摺動してワイピングされ、その後、第二接点部45b1,55b1に接触する。
第二支持部45b2,55b2は、一対の第一支持部45a2,55a2の間に形成される。
内部コネクタ10が中継コネクタ11と接続していない状態において、第二接点部45b1,55b1の頂点位置(接点)は、第一接点部45a1,55a1の頂点位置(接点)よりも下側に位置する。
【0122】
次に、上側端子40と下側端子50との位置関係等について説明する。
【0123】
下側端子50の変位部54,55は、上側端子40の変位部44,45よりも下側に位置する。
下側端子50の中間変形部53の始端(後方伸長部531と固定側被保持部52との境界)は、上側端子40の中間変形部43の始端よりも下側に位置する。
下側端子50の中間変形部53の上下寸法は、上側端子40の中間変形部43の上下寸法よりも小さい。
【0124】
上側端子40の中間変形部43の始端側の前後伸長部(前方伸長部431)は、下側端子50の中間変形部53の始端側の前後伸長部(後方伸長部531)よりも短い。
上側端子40の中間変形部43の終端側の前後伸長部(前方伸長部439)は、下側端子50の中間変形部53の終端側の前後伸長部(前方伸長部535)よりも長い。
【0125】
幅方向における複数の上側端子40の位置は、複数の下側端子50の位置と異なる。幅方向(端子配列方向)において、上側端子40と下側端子50とは交互に配列される。
【0126】
(付加部材90)
付加部材90は、端子40,50とは別体として形成され、可動ハウジング30に保持される部材である。
【0127】
図11に示すように、付加部材90は、付加部材90の前端付近を構成する前端部90aと、一般部90bと、付加部材90の後端付近を構成する後端部90cと、を有する。
前端部90aは、前方向に進むにつれて幅寸法が小さくなるように形成される。
一般部90bは、後述の圧入突起92,93が形成されている部分を除いて、前後方向の位置によらず幅寸法が一定である。
後端部90cは、前後方向の位置によらず幅寸法が一定であり、一般部90bよりも板幅が小さい。
【0128】
付加部材90は、板材に打ち抜き加工等を施して形成され、曲げ加工はされない。付加部材90は、例えば、ステンレス鋼で構成され、メッキ処理が行われない。
【0129】
付加部材90には、ビード加工により、下側に膨出する膨出部91が形成される。
膨出部91は、端子40,50の接触部45,55と上下方向で対向する位置に形成される。膨出部91は、中継コネクタ11の中継端子60,70に接触する。膨出部91は、前後方向に延びるように形成され、第一接点部45a1,55a1及び第二接点部45b1,55b1の両方と上下方向で対向する。膨出部91の前端は、付加部材90の前端部90aに位置する。膨出部91の後端は、付加部材90の一般部90bに位置し、具体的には一般部90aの前後方向中央位置よりも前側に位置する。
膨出部91は、本開示の「付加側接触部」、「他方側接触部」に相当する。
【0130】
付加部材90は、複数の圧入突起92,93を有する。
複数の圧入突起92,93は、一対の前側圧入突起92と、一対の後側圧入突起93と、から構成される。一対の前側圧入突起92が形成される前後方向の位置は、膨出部91が形成された範囲と重なる位置である。一対の後側圧入突起93が形成される前後方向の位置は、膨出部91が形成された範囲と重ならない位置であり、付加部材90の一般部90bの後端に対応する位置である。
付加部材90は、可動ハウジング30の配置空間312の上部に形成された付加部材圧入用溝312b(図19参照)に圧入される。
【0131】
前端部90aの先端側の一部は、先端側傾斜部90a1となっている。
先端側傾斜部90a1では、前方向に進むにつれて板厚が小さくなっている。これにより、先端側傾斜部90a1の下面は、前方向に進むにつれて上方向へ傾斜している。
【0132】
図12は、図11に示した付加部材90とは異なる種類の付加部材90Aを示す断面図である。付加部材90Aは、付加部材90とほぼ同様の構成であるが、膨出部91Aの膨出量が付加部材90の膨出部91よりも大きい点で異なっている。可動ハウジング30の付加部材圧入用溝312b(図19参照)には、付加部材90に代えて付加部材90Aを圧入することもできる。
本実施形態では、ビード加工(すなわち、板厚方向に凹ませる加工)によって膨出部91を形成するので、容易に膨出部91の膨出量(突出量・凹み量)を変更でき、バリエーション展開が容易である。
【0133】
(固定ハウジング20)
図13図14は、固定ハウジングを示している。
固定ハウジング20は、「取付対象物」としての基板14に固定されるハウジングである。固定ハウジング20は、複数の端子40,50及び複数の固定具101を介して基板14に固定される。
【0134】
固定ハウジング20は、合成樹脂等の絶縁体で形成される。
【0135】
固定ハウジング20は、下部枠体21,22,23を有する。
下部枠体21,22,23は、前枠部21と、後枠部22と、一対の側枠部23と、を有する。前枠部21及び後枠部22は幅方向に延び、一対の側枠部23は前後方向に延びる。このため、下部枠体21,22,23は、平面視で矩形の枠状である。
【0136】
前枠部21は、下側端子50の一部(固定側被保持部52)を保持する下側端子保持部21として機能する(図7参照)。前枠部21には、下側端子50の固定側被保持部52が圧入される圧入用溝28が形成される。したがって、前枠部21は、下側端子50を介して基板14に固定される。
前枠部21の幅方向に直交する断面形状は、矩形である。前枠部21の上面は上方向を法線方向とする平面である。圧入用溝28は、前枠部21の下面側及び後面側のみに開放された溝である。
【0137】
後枠部22は、上側端子40の一部(固定側被保持部42)を保持する上側端子保持部22として機能する(図8参照)。後枠部22には、上側端子40の固定側被保持部42が圧入される圧入用溝28が形成される。したがって、後枠部22は、上側端子40を介して基板14に固定される。後枠部22の圧入用溝28の構造は、前枠部21の圧入用溝28とほぼ同様であり、具体的には後述する。
【0138】
一対の側枠部23は、左右対称の構造である。側枠部23には、固定具101が圧入される固定具圧入用溝231,232が形成される。固定具101は、固定具圧入用溝231,232に対して上側から圧入される。したがって、側枠部23は、固定具101を介して基板14に固定される。
固定具圧入用溝231,232は、前側の固定具圧入用溝231と、後側の固定具圧入用溝232と、を有する。側枠部23を前部、後部、及びその間の中間部に分けたとき、前側の固定具圧入用溝231は、側枠部23の前部に形成され、後側の固定具圧入用溝232は、側枠部23の後部に形成される。
【0139】
以上説明したとおり、下部枠体21,22,23は、4方向の枠部を構成する前枠部21、後枠部22及び一対の側枠部23の全てにおいて基板14に固定される。
【0140】
前枠部21には、複数の圧入用溝28が形成されている部分の幅方向外側に一対の外側凹部211が形成される(図14参照)。外側凹部211は、下方向及び後方向に開放された凹部である。
後枠部22には、複数の圧入用溝28が形成されている部分の幅方向外側に一対の外側凹部221が形成される。外側凹部221は、下方向及び前方向に開放された凹部である。
【0141】
下部枠体21,22,23によって囲まれる空間は、可動ハウジング30が上下方向に通過可能な空間(通過空間29)になっている。
図14に示すように、側枠部23には、可動ハウジング30の張出部32が上下方向に通過可能となるように、幅方向外側に凹んだ退避凹部233が形成される。退避凹部233の前後寸法は、前規制壁271と後規制壁272との間の間隔よりも大きい。具体的には、前後方向の位置に関し、退避凹部233の後端と後規制壁272の前面とは一致するが、退避凹部233の前端は、前規制壁271の後面よりも前側に位置する。
【0142】
固定ハウジング20は、一対の後部側壁24を有する。
一対の後部側壁24は、左右対称の構造である。後部側壁24は、側枠部23の後部から上方向に延びる。後部側壁24は、側枠部23の前部に対応する位置には形成されていない。後部側壁24は、可動ハウジング30が配置される空間の幅方向外側の壁を構成する。
【0143】
固定ハウジング20は、一対の規制部27を有する。
一対の規制部27は、左右対称の構造である。規制部27は、側枠部23の中間部の上側に形成される。規制部27は、前規制壁271と後規制壁272とを有する。前規制壁271と後規制壁272とは、前後方向で対向する。前規制壁271と後規制壁272との間に可動ハウジング30の張出部32(図17参照)が配置されることで、可動ハウジング30の前後方向の移動範囲が規制される。すなわち、前規制壁271は、可動ハウジング30の前方向の移動範囲を制限し、後規制壁272は、可動ハウジング30の後方向の移動範囲を制限する。
【0144】
具体的には、前規制壁271の形状は直方体であり、より具体的には、前後寸法が上下寸法及び幅寸法よりも小さい直方体である。
前規制壁271の幅方向外側面は、側枠部23の幅方向外側面と面一である。また、前規制壁271の幅方向外側面は、後部側壁24の幅方向外側面よりも幅方向外側に位置する。前規制壁271の上面は、天壁25の上面と面一である。前規制壁271の前面は、天壁25の前面と面一である。
【0145】
具体的には、後規制壁272の形状は直方体であり、より具体的には、前後寸法が上下寸法及び幅寸法よりも小さい直方体である。
後規制壁272の幅方向外側面は、側枠部23の幅方向外側面と面一である。また、後規制壁272の幅方向外側面は、後部側壁24の幅方向外側面よりも幅方向外側に位置する。後規制壁272の上面は、天壁25の上面と面一である。
後規制壁272の幅方向内側端は、後部側壁24の前端と接続する。
【0146】
固定ハウジング20は、天壁25を有する。
天壁25は、可動ハウジング30が配置される空間の上側の壁を構成する。
天壁25は、一対の規制部27及び一対の後部側壁24の上端同士を幅方向に連結する。天壁25は、可動ハウジング30が上方向に変位したときに可動ハウジング30に当接する。すなわち、天壁25は、可動ハウジング30の上方向の移動範囲を制限する部分(上方向制限部)として機能する。
【0147】
固定ハウジング20を前部、後部、及びその間の中間部という3つの部分から構成されると捉えた場合、固定ハウジング20の中間部及び後部には、天壁25が形成されるのに対し、固定ハウジング20の前部には、天壁25が形成されない。
【0148】
固定ハウジング20は、後壁26を有する。
後壁26は、後枠部22から上側に延びると共に、後部側壁24の後端同士を幅方向に連結する。後壁26の上端は、天壁25の後端と接続する。
後壁26の前面は、後枠部22の前面と面一であり、後壁26の後面は、後枠部22の後面と面一である。
【0149】
後壁26には、後壁26の後面に対して前側に窪む複数(5個)の後壁凹部261が形成される。後壁凹部261は、後方向及び上方向に開放された凹部である。複数の後壁凹部261は、幅方向に並んで形成される。後壁凹部261の下端は、下部枠体21,22,23の上端(具体的には側枠部23の上面)よりも上側に位置する。
【0150】
(第二圧入部422と固定ハウジング20の圧入用溝28との具体的形状)
次に、端子40,50の固定側被保持部42,52と、固定ハウジング20の圧入用溝28の構造について、詳細に説明する。
【0151】
図15は、固定ハウジング20の前枠部21に形成された圧入用溝28と、下側端子50の固定側被保持部52とを示す拡大斜視図である。
前枠部21の圧入用溝28と、後枠部22の圧入用溝28とは、ほぼ同様の構造である。以下、特に区別せずに説明するときは、単に圧入用溝28という。
【0152】
圧入用溝28は、下方向及び前後方向内側に開放された溝であり、固定側被保持部42,52が下方向から圧入可能に構成される。
圧入用溝28は、第一圧入部421,521が圧入される第一溝281と、第二圧入部422,522が圧入される第二溝282と、を有する。
【0153】
第二溝282は、その下部を構成する幅広部282aと、その上部を構成する幅狭部282bと、を有する。幅広部282aの幅寸法は、第二圧入部422,522の最大板幅よりも大きく、幅狭部282bの幅寸法は、第二圧入部422,522の最大板幅よりも小さい。このため、第二圧入部422,522は、幅広部282aにおいては固定ハウジング20に食い込まず、幅狭部282bにおいて固定ハウジング20に食い込む。これにより、第二圧入部422,522は、第二溝282の幅狭部282bに保持される。
第二溝282の下部が幅広部282aになっているので、第一圧入部421,521の第一溝281に圧入されるタイミングと、第二圧入部422,522が第二溝282に圧入されるタイミングとがなるべく同じになるようになっている。
【0154】
第一溝281と第二溝282との間には、境界部283が形成される。
境界部283の溝幅は、圧入用溝28の他の部分の溝幅よりも小さい。境界部283の溝幅は、上下方向の全体に亘って一定である。
【0155】
図16は、下側端子50の第二圧入部522の拡大図である。
下側端子50の第二圧入部522は、隣接する部分よりも板幅が大きく形成される。
図16に示す矢印部分は、第二圧入部522うち板幅が最大となる位置(板幅最大位置)を示している。
第二圧入部522の板幅最大位置に対して第一圧入部521側での板幅変化率は、変位部54,55側での板幅変化率よりも大きくなっている。なお、板幅変化率とは、第一圧入部521側又は変位部54,55側へ近づく距離に対する板幅の変化量を意味する。第二圧入部522と中間変形部53との境界には、幅方向内側に凸の凹状縁522aが形成される。凹状縁522aは、滑らかな曲線状に形成される。
ここで説明した下側端子50の第二圧入部522の構成は、上側端子40の第二圧入部422についても当てはまる。そのため、第二圧入部422の構成の説明は省略する。
【0156】
(固定具101)
固定具101は、固定ハウジング20の基板14に固定するための部品である。
固定具101は、例えば金属製である。図3に示すように、4つの固定具101は、互いに同一の構造である。固定具101は、固定ハウジング20に保持される被保持部101aと、基板14に固定される接続部101bと、を有する。被保持部101aは、下方向を圧入方向として固定ハウジング20に圧入される。被保持部101aの板厚方向は、幅方向である。接続部101bの板厚方向は上下方向である。被保持部101aと接続部101bとの間には、曲部が形成される。
【0157】
(可動ハウジング30)
可動ハウジング30は、例えば合成樹脂等の絶縁体で形成される。
【0158】
図17図18に示すように、可動ハウジング30は、本体部31を有する。
本体部31の上面31aは、上方向を法線方向とする平面である。
本体部31の下面31bは、下方向を法線方向とする平面である。
本体部31の一対の側面31cは、幅方向外側を法線方向とする平面である。一対の側面31cは、可動ハウジング30が幅方向に移動すると固定ハウジング20の一部(具体的には前規制壁271)に当接する。これにより、可動ハウジング30の幅方向の移動範囲が制限される。
【0159】
また、本体部31は、上面31aと側面31cとを繋ぐ上側湾曲面31dと、下面31bと側面31cとを繋ぐ下側湾曲面31eと、を有する。
【0160】
本体部31には、上面凹部311が形成される。上面凹部311は、本体部31の上面31aに対し、下側に窪む凹部である。本体部31の下面31b側には、上面凹部311に相当する凹部が形成されない。
【0161】
本体部31は、複数の端子40,50及び付加部材90を保持する。
具体的には、本体部31は、後方向に開放された複数の配置空間312A,312Bを有する。配置空間312A,312Bには、端子40,50の一部及び付加部材90が後側から圧入される。
【0162】
複数の配置空間312A,312Bは、幅方向に並ぶ複数の上側配置空間312Aと、幅方向に並ぶ複数の下側配置空間312Bと、を備える。上側配置空間312Aには、上側端子40の変位部44,45が配置され、下側配置空間312Bには、下側端子50の変位部54,55が配置される。複数の配置空間312A,312Bは、互いに同一の構造なので、特に区別しないときは、単に配置空間312という。
【0163】
図19に示すように、配置空間312は、挿入口313を介して前側に開放されている。中継コネクタ11の中継端子60,70が挿入口313に差し込まれることで、配置空間312の内部で端子40,50と接触する。
図17に示すように、挿入口313の前方側には、挿入口313に向かって中継コネクタ11の中継端子60,70を案内するガイド面314が形成される。
【0164】
図19に示すように、配置空間312は、略直方体形状の空間である。
配置空間312の下端付近には、端子40,50の可動側被保持部44,54が圧入される端子圧入用溝312aが形成される。
配置空間312の上端付近には、付加部材90の圧入突起92,93が圧入される付加部材圧入用溝312bが形成される。
【0165】
本体部31には、一対の位置決め孔315が形成される。
一対の位置決め孔315は、中継コネクタ11の一対の位置決め突起86(図20参照)が挿入される孔であり、内部コネクタ10と中継コネクタ11との接続時の位置決めの働きをする。
一対の位置決め孔315は、左右対称の構造である。位置決め孔315は、複数の配置空間312が形成されている位置に対して幅方向外側に位置する。位置決め孔315は、本体部31を前後方向に貫通する。
【0166】
可動ハウジング30は、一対の張出部32を有する。
一対の張出部32は、本体部31の幅方向外側に位置する。張出部32は、固定ハウジング20の規制部27の前規制壁271と後規制壁272との間にそれぞれ配置される。これにより、可動ハウジング30の前後方向の移動範囲が制限される。
【0167】
張出部32は、前後方向を板厚方向とする板状である。上下方向の位置に関し、張出部32の下端は、本体部31の下面31bと一致し、張出部32の上端は、本体部31の上面31aと一致する。
【0168】
図18に示すように、張出部32の後面32aは、本体部31の後面31fと面一である。
張出部32には、張出部32の後面32aに対して後方側に膨出する後方膨出部321が形成される。これにより、張出部32の後端は、本体部31の後面31fよりも後側に位置する。後方膨出部321は、張出部32の上端部、下端部及び幅方向外側端部に対応する位置に形成される。
【0169】
(組立工程)
内部コネクタ10の組立工程では、複数の端子40,50が固定ハウジング20に圧入されるより前に、可動ハウジング30に複数の端子40,50及び複数の付加部材90が圧入される(図4参照)。そして、複数の端子40,50及び複数の付加部材90が圧入された可動ハウジング30が、固定ハウジング20に対して下側から組付けられ、複数の端子40,50が固定ハウジング20に圧入される。この際、固定ハウジング20の通過空間29を可動ハウジング30が上下方向に通過する(図5参照)。
【0170】
(中継コネクタ11)
次に、中継コネクタ11について説明する。
【0171】
中継コネクタ11は、複数の中継端子60A,60B,70A,70B(図22参照)と、中継ハウジング80と、を備える。
【0172】
(複数の中継端子60A,60B,70A,70B)
複数の中継端子60A,60B,70A,70Bは、内部コネクタ10の端子40,50(以下、内部端子40,50という。)と、ケース13の外部の外部接続対象物(図示省略)とを電気的に接続する。
以下の説明では、前後方向における外部接続対象物側の方向である前側を「外部側」といい、前後方向における内部コネクタ10側の方向である後側を「内部側」ということがある。
【0173】
図22に示すように、複数の中継端子60A,60B,70A,70Bは、複数の第一中継端子60Aと、複数の第二中継端子70Aと、複数の第三中継端子60Bと、複数の第四中継端子70Bと、を備える。
【0174】
複数の第一中継端子60Aは互いに同一の構造であり、複数の第二中継端子70Aは互いに同一の構造であり、複数の第三中継端子60Bは互いに同一の構造であり、複数の第四中継端子70Bは互いに同一の構造である。
【0175】
第一中継端子60A及び第三中継端子60Bは、互いに同一の構造である。但し、第三中継端子60Bは、第一中継端子60Aとは配置姿勢が異なり、第一中継端子60Aの姿勢に対して前後方向の軸周りに180度回転させた姿勢で配置される。
第二中継端子70A及び第四中継端子70Bは、互いに同一の構造である。但し、第四中継端子70Bは、第二中継端子70Aとは配置姿勢が異なり、第二中継端子70Aの姿勢に対して前後方向の軸周りに180度回転させた姿勢で配置される。
第一中継端子60A及び第三中継端子60Bと、第二中継端子70A及び第四中継端子70Bとは、異なる構造である。
これにより、複数の中継端子60A,60B,70A,70Bに関しては、互いに構造の異なる2種類の端子が用いられる。
【0176】
(中継端子60,70の構造)
第一中継端子60A及び第三中継端子60Bが有する構造の中継端子を第一構造中継端子60といい、第二中継端子70A及び第四中継端子70Bが有する構造の中継端子を第二構造中継端子70という。
【0177】
図27図28に示すように、第一構造中継端子60及び第二構造中継端子70は、共に、内部端子40,50と接触する内部側接触部61,71と、外部接続対象物に接触する外部側接触部62,72と、を有する。
【0178】
第一構造中継端子60では、内部側接触部61及び外部側接触部62は、上下方向で異なる位置に形成される。第一構造中継端子60は、内部側接触部61と外部側接触部62との間に形成されたクランク部66を有する。クランク部66は、外部側曲部66aと、上下伸長部66bと、内部側曲部66cと、を有する。クランク部66は、隣接する部分よりも板幅が小さい。このため、曲部(外部側曲部66a、内部側曲部66c)を有するクランク部66の形成が容易である。
【0179】
第二構造中継端子70では、内部側接触部71及び外部側接触部72は、上下方向で同じ位置に形成される。第二構造中継端子70は、クランク部を有しない。第二構造中継端子70は、曲部を有しないので製造が容易である。
【0180】
第一構造中継端子60及び第二構造中継端子70では、内部側接触部61,71及び外部側接触部62,72は、幅方向で異なる位置に形成される。具体的には、内部側接触部61,71及び外部側接触部62,72は、幅方向の位置が距離Dだけズレている。
なお、内部側接触部61,71や外部側接触部62,72等の幅方向の位置に関して言及する場合は、内部側接触部61,71等の中心軸を基準とする。
【0181】
第一構造中継端子60及び第二構造中継端子70は、第一拡幅部63a,73aと、第二拡幅部63b,73bと、を有する。
第一拡幅部63a,73aは、隣接する部分よりも板幅が大きく、矩形状である。第一拡幅部63a,73aには、板厚方向である上下方向に貫通する貫通孔63a1,73a1が形成される。貫通孔63a1,73a1は円形状である。貫通孔63a1の内部には、中継ハウジング80を構成する樹脂が充填される。
第二拡幅部63b,73bは、隣接する部分よりも板幅寸法が大きく、矩形状である。
第二拡幅部63b,73bは、第一拡幅部63a,73aよりも外部側に位置する。
第一構造中継端子60では、第一拡幅部63a及び第二拡幅部63bは、クランク部66よりも外部側に位置する。
【0182】
第一構造中継端子60のうち、第一拡幅部63aよりも内部側の部分を内部側部66,65,61といい、第一拡幅部63aよりも外部側の部分を外部側部64,63b、62という。
第二構造中継端子70のうち、第一拡幅部73aよりも内部側の部分を内部側部75,71といい、第一拡幅部73aよりも外部側の部分を外部側部74,73b、72という。
【0183】
第一構造中継端子60の内部側部66,65,61は、クランク部66と、基端側幅広部65と、先端側幅狭部61と、を有する。なお、先端側幅狭部61は、内部側接触部61である。基端側幅広部65は、第一基端側幅広部65aと、第二基端側幅広部65bと、を有する。
幅方向の位置に関し、クランク部66は、第一拡幅部63a及び外部側部64,63b、62と一致する。
幅寸法に関し、第一基端側幅広部65aは、第二基端側幅広部65b及び先端側幅狭部61よりも大きく、第二基端側幅広部65bは、先端側幅狭部61よりも大きい。
基端側幅広部65及び先端側幅狭部61は、幅方向一方側(図27の上側)の端の位置が幅方向で一致しており、幅方向他方側の端の位置が幅方向で異なっている。
これにより、幅方向の位置に関し、第一基端側幅広部65a、第二基端側幅広部65b及び先端側幅狭部61は、互いに異なっている。先端側幅狭部61は、第一基端側幅広部65a及び第二基端側幅広部65bよりも幅方向一方側に位置し、第二基端側幅広部65bは、第一基端側幅広部65aよりも幅方向一方側に位置する。
基端側幅広部65の内部側の端付近には、幅方向他方側の端が、内部側(後方向側)に向かって幅方向内側に傾斜する傾斜板縁651が形成される。
内部側部66,65,61のうち先端側幅狭部61の一部のみが中継ハウジング80から露出する。
【0184】
なお、図27図28の上下に延びる2本の一点鎖線は、中継ハウジング80の内部に埋設される部分と露出する部分との境界を示している。2本の一点鎖線の間の部分は、中継ハウジング80に埋設される部分であり、それ以外の部分は、露出する部分である。
【0185】
第二構造中継端子70の内部側部75,71は、基端側幅広部75と、先端側幅狭部71と、を有する。なお、先端側幅狭部71は、内部側接触部71である。
幅寸法に関し、基端側拡幅部75は、先端側幅狭部71よりも大きい。
基端側幅広部75及び先端側幅狭部71は、幅方向一方側(図28の上側)の端の位置が幅方向で一致しており、幅方向他方側の端の位置が幅方向で異なっている。
基端側幅広部75は、第一拡幅部73a及び外部側部74,73b、72よりも幅方向一方側に位置する。
基端側幅広部75の内部側の端付近には、幅方向他方側の端が、内部側に向かって幅方向内側に傾斜する傾斜板縁751が形成される。
第二構造中継端子70の内部側部75,71のうち先端側幅狭部71の一部のみが中継ハウジング80から露出する。
【0186】
第一構造中継端子60の外部側部64,63b、62は、基端側部64と、第二拡幅部63bと、先端側部62と、を有する。なお、先端側部62は、外部側接触部62である。
幅方向の位置に関し、基端側部64、第二拡幅部63b及び先端側部62は、互いに一致する。また、幅方向の位置に関し、外部側部64,63b、62は、第一拡幅部63aと一致する。
幅寸法に関し、第二拡幅部63bは、基端側部64及び先端側部62よりも大きく、先端側部62は、基端側部64よりも僅かに大きい。
【0187】
第二構造中継端子70の外部側部74,73b、72は、基端側部74と、第二拡幅部73bと、先端側部72と、を有する。なお、先端側部72は、外部側接触部72である。
幅方向の位置に関し、基端側部74、第二拡幅部73b及び先端側部72は、互いに一致する。また、幅方向の位置に関し、外部側部74,73b、72は、第一拡幅部73aと一致する。
幅寸法に関し、第二拡幅部73bは、基端側部74及び先端側部72よりも大きく、先端側部72は、基端側部74よりも僅かに大きい。
【0188】
第一構造中継端子60の基端側部64は、第二構造中継端子70の基端側部74よりも僅かに長い。そのため、第一構造中継端子60の第一拡幅部63aは、第二構造中継端子70の第一拡幅部73aよりも僅かに内部側(後側)に位置する。
【0189】
(中継端子60,70の配置について)
【0190】
図24に示すように、第一内部側接触部61A及び第二内部側接触部71Aは、上下方向で同じ位置に配置される。第三内部側接触部61B及び第四内部側接触部71Bは、上下方向で同じ位置に配置される。
図23に示すように、第一外部側接触部62A、第二外部側接触部72A、第三外部側接触部62B及び第四外部側接触部72Bは、上下方向で異なる位置に配置される。
【0191】
複数の第一外部側接触部62Aは、所定の間隔8Dで幅方向に配列される。
複数の第二外部側接触部72Aも、所定の間隔8Dで幅方向に配列される。
複数の第三外部側接触部62Bも、所定の間隔8Dで幅方向に配列される。
複数の第四外部側接触部72Bも、所定の間隔8Dで幅方向に配列される。
【0192】
幅方向の位置に関し、複数の第一外部側接触部62Aと複数の第四外部側接触部72Bとは、一致する。
幅方向の配置に関し、複数の第二外部側接触部72Aと複数の第三外部側接触部62Bとは、一致する。
【0193】
図27図28に示すように、第一構造中継端子60及び第二構造中継端子70のいずれでも、外部側接触部62,72と内部側接触部61,71とは、幅方向の位置が距離Dだけズレて形成される。そして、第一中継端子60Aと第四中継端子70Bとは、上記のズレる方向が互いに反対の方向となる姿勢(上下反転した姿勢)で配置される。したがって、第一外部側接触部62A及び第四外部側接触部72Bの幅方向の位置が一致する第一中継端子60A及び第四中継端子70Bについて、第一内部側接触部61A及び第四内部側接触部71Bは、幅方向の位置が距離2Dだけズレることとなる。また、第二中継端子70Aと第三中継端子60Bについても、同様の関係が成り立つ。
これにより、図24図25に示すように、幅方向の位置に関し、複数の第一外部側接触部62Aと複数の第四外部側接触部72Bと複数の第二外部側接触部72Aと複数の第三外部側接触部62Bとは、互いに一致しない。
【0194】
(中継ハウジング80)
中継ハウジング80は、合成樹脂等の絶縁体で形成される。具体的には、中継ハウジング80は、複数の中継端子60A,60B,70A,70Bをインサート品としてインサート成形で作られる。
【0195】
中継ハウジング80は、外部接続対象物に嵌合する嵌合部81を有する。
嵌合部81は、筒状に形成される。筒状の嵌合部81は、前方向から見て、略矩形である。筒状の嵌合部81の内側には、複数の中継端子60,70がそれぞれ有する外部側接触部62,72が配置される。
【0196】
中継ハウジング80は、フランジ部82を有する。
フランジ部82は、ケース13の外側であって、ケース13の開口13aの周囲に配置される。フランジ部82には、ボルト挿通孔82aが形成される。ボルト挿通孔82aは、2つ形成される。2つのボルト挿通孔82aは、嵌合部81に対して幅方向一方側と幅方向他方側とに位置する。2つのボルト挿通孔82aの上下方向の位置は、嵌合部81の上下方向中央位置と一致する。
【0197】
中継ハウジング80は、ケース13の開口13a内に配置される開口配置部83を有する。
開口配置部83は、開口13aの略相似形状である。開口配置部83の周面には、シール部材12aが取り付けられる。
【0198】
中継ハウジング80は、土台部84を有する。
土台部84は、開口配置部83から内部側に向けて突出する部分である。土台部84は、前後方向から見て略矩形状である。土台部84の幅寸法及び上下寸法は、開口配置部83の幅寸法及び上下寸法よりも小さい。
【0199】
中継ハウジング80は、端子突出部85を有する。
端子突出部85は、土台部84から内部側に向けて突出する部分である。端子突出部85は、前後方向から見て略矩形状である。端子突出部85の幅寸法及び上下寸法は、土台部84の幅寸法及び上下寸法よりも小さい。端子突出部85の後面から複数の中継端子60A,60B,70A,70Bが内部側へ向けて突出する。
【0200】
中継ハウジング80は、2つの位置決め突起86を有する。
2つの位置決め突起86の各々は、土台部84から内部側に向けて突出する。コネクタ同士の接続の際、中継端子60,70が内部コネクタ10の挿入口313に到達するよりも前に、位置決め突起86の先端が可動ハウジング30の位置決め孔315に到達する。
2つの位置決め突起86は、端子突出部85の幅方向外側に位置する。2つの位置決め突起86の根元付近は、端子突出部85と一体になっている。
位置決め突起86の幅方向外側面86a2は、土台部84の幅方向外側面と面一である。
位置決め突起86の上下寸法は、複数の中継端子60,70の内部側接触部61,71を側面視で隠すことができる大きさである。位置決め突起86の上下寸法は、端子突出部85の上下寸法よりも小さい。
位置決め突起86は、一般部86aと先端部86bとを有する。一般部86aは、位置決め突起86の延在方向(前後方向)によらず断面形状が一定である。先端部86bは、位置決め突起86の延在方向(前後方向)に沿って断面形状が一定でなく、先端側(内部側)に向かって断面が次第に小さくなる。これにより、位置決め突起86を位置決め孔315に挿入しやすくなっている。挿入時、仮に中継コネクタ11と内部コネクタ10とがYZ方向で位置ずれしていた場合でも、位置決め突起86を可動ハウジング30の位置決め孔315内に当接させて、可動ハウジング30を変位させることができる。
位置決め突起86の一般部86aは、幅方向内側面86a1と、幅方向外側面86a2と、上下一対の湾曲面86a3と、を有する。幅方向内側面86a1は、幅方向外側面86a2よりも上下寸法が大きい。
位置決め突起86の先端は、中継端子60,70の先端(内部側接触部61,71の先端)よりも内部側(後側)に位置する。これにより、側面視で位置決め突起86に中継端子60,70の内部側接触部61,71が隠れて適切に保護され、また、位置決め孔315及び挿入口313が前後方向で同じ位置に形成される態様において、中継端子60,70の先端が可動ハウジング30に衝突することを適切に防止できる。
なお、位置決め突起86が省略された場合でも、中継端子60,70の先端を可動ハウジング30のガイド面314に当接させて、可動ハウジング30を変位させることができる。
【0201】
中継ハウジング80は、下方向当接凸部87を有する。
下方向当接凸部87は、嵌合状態又は嵌合途中の状態で中継コネクタ11が下方向に変位したときに、内部コネクタ10の前枠部21(変位規制部21)に当接する部分である。
下方向当接凸部87は、複数(2個)設けられる。複数の下方向当接凸部87は、中継コネクタ11の幅方向中心に対して対称な配置となるように設けられる。
下方向当接凸部87は、端子突出部85の下面(対向下面)から下方向に突出する。下方向当接凸部87は、前後方向に長い形状である。下方向当接凸部87の前端は土台部84に接続される。下方向当接凸部87の後端は、端子突出部85の後面と前後方向の位置が一致する。
【0202】
<作用効果>
(第1の観点)
次に、本実施形態の作用効果について、第1の観点から説明する。
【0203】
図7図8に示すように、本実施形態では、内部コネクタ10は、端子40,50と、取付対象物14に対して変位可能な可動ハウジング30と、を備える。端子40,50は、可動ハウジング30と共に変位する変位部44,45,54,55を有する。変位部44,45,54,55は、接続対象物11(具体的には中継端子60,70、図30図33参照)に一方側(本実施形態では下側)から接触する一方側接触部45,55を有する。
また、内部コネクタ10は、端子40,50とは別体に形成され、可動ハウジング30に保持された付加部材90を備える。付加部材90は、接続対象物11に他方側(本実施形態では上側)から接触する他方側接触部91を有する。このため、可動ハウジング30が接続対象物11に直接押圧されないようになっているので、可動ハウジング30のクリープ現象が抑制される。
また、付加部材90は、端子40,50とは別体に形成されるので、一方側接触部45,55と他方側接触部91とを一体に連結する連結部が必要なく、その分だけ内部コネクタ10における可動部分(可動ハウジング30及び変位部44,45,54,55など)を軽量化できる。
以上より、本実施形態によれば、フローティングコネクタにおいて、可動ハウジング30のクリープ現象を抑制すると共に、コネクタの共振周波数を高めることができる。
【0204】
また、本実施形態では、付加部材90は取付対象物14に接続する部分及び当該部分と他方側接触部91との間の部分を有しない。このため、当該部分及び当該部分と他方側接触部91との間の部分を付加部材90に設ける必要がないので、付加部材90がこれらを有する態様と比べて、内部コネクタ10を小型化することができる。
【0205】
また、本実施形態では、付加部材90は端子40,50と電気的に接続するための構造を有しないので、そのような構造を持つコネクタと比べて内部コネクタ10を小型化又は軽量化することができる。
【0206】
また、本実施形態では、付加部材90は端子40,50よりも比重の軽い材料で構成されることが好ましい。この場合、内部コネクタ10における可動部分を軽量化することができる。
【0207】
また、本実施形態では、付加部材90は、ステンレス鋼、アルミ合金、チタン合金又はニッケル合金で構成されることが好ましい。この場合、付加部材90に十分なめっき処理を行わなくても、又は全くめっき処理を行わなくても付加部材90の表面が不動態皮膜に保護され、腐食しにくい。よって、内部コネクタ10を安価に製造することができる。
【0208】
ところで、可動ハウジング30を互いに別体として形成された2つ以上の部材で構成し、付加部材90が保持される部材と、端子40,50の変位部44,45,54,55が保持される部材とを別にすることも考えられる。しかし、このような構成では、可動ハウジング30の構造が複雑化してしまう。
本実施形態では、可動ハウジング30のうち、付加部材90が保持された部分と変位部44,45,54,55が保持された部分とが一体に成形されているので、可動ハウジング30の構造を単純化できる。
【0209】
また、本実施形態では、図9に示すように、一方側接触部45,55は、接続対象物11に接触する第一接触片45a,55aと、第一接触片45a,55aよりも接続方向奥側で接続対象物11に接触する第二接触片45b,55bとを有する。このため、接続対象物11に付着した異物の除去が第一接触片45a,55aにより行われ、接続対象物11のうち異物が除去された部分を第二接触片45b,55bに接触させることができる。
更に、接続対象物11が接続されたときの第一接触片45a,55aの接点(第一接点部45a1,55a1)の変位量(接続方向に垂直な方向の変位量)が第二接触片45b,55bの接点(第二接点部45b1,55b1)の変位量よりも大きくなるように構成される。このため、第一接触片45a,55aの接続対象物11に対する接触圧が高くなり、異物を擦り取る機能(いわゆるワイピング機能)が向上する。
しかし、上記のように構成すると、接続方向手前側(前側)から見た場合に、第二接触片45b,55bの接点が第一接触片45a,55aに覆われてしまい、第二接触片45b,55bの接点の高さを検査しにくくなるという不具合がある。
そこで、本実施形態では、接続方向奥側(後方側)から端子40,50単体(又は可動ハウジング30に保持された端子40,50)を見た際に、第二接触片45b,55bの接点の高さを検査することができる。
なお、本実施形態では、内部コネクタ10の完成状態で、内部コネクタ10を後方側から見た場合、固定ハウジング20の後壁26が邪魔をして上記検査をすることができない(図7図8参照)。そこで、固定ハウジング20の後壁26を一部又は全部省略し、内部コネクタ10の完成状態で上記検査ができるようにしてもよい(図34参照)。
【0210】
また、本実施形態において、メッキにより一方側接触部45,55に接触金属層が形成されてもよい。図35は、接触部45を例にして接触金属層を形成する位置を示す図である。適切な接触金属層を形成することで、一方側接触部45,55と接続対象物11との接続信頼性を高めることができる。接触金属層は、図35に示すように、中継端子60,70と接触する箇所付近のみに形成されることが、メッキ液を節約する観点から好ましい。
ところで、仮に端子40,50と付加部材90とが一体に形成されると、一方側接触部45,55に接触金属層を形成する際、付加部材90が邪魔をして、メッキ液を適切な位置に付着させることが困難になる。
しかし、本実施形態では、端子40,50と付加部材90とが別体であるので、一方側接触部45,55に接触金属層を形成する際に付加部材90が邪魔をすることがなく、メッキ液を適切な位置に付着させやすい。その結果として、接触金属層に含まれる金属(例えば、金、パラジウム、銀、錫)の使用量を抑えることができ、内部コネクタ10を安価に製造することができる。
【0211】
また、接触金属層は、錫又は錫合金を含んでもよい。そして、この場合でも、付加部材90のうち可動ハウジング30に保持された部分(圧入突起92,93)には、錫又は錫合金が付着していないことが好ましい。これにより、ウィスカの発生が防止される。
仮に端子40,50と付加部材90とが一体に形成されると、一方側接触部45,55に接触金属層を形成する際、メッキ液が付加部材90の圧入突起92,93にも付着してしまう可能性がある。しかし、端子40,50と付加部材90とが別体であるので、メッキ液が意図せず付加部材90に付着することが防止される。
【0212】
また、本実施形態において、付加部材90の母材はステンレス鋼であり、付加部材90はメッキ層を有してないことが好ましい。ステンレス鋼は、手間と費用の掛かるメッキをしなくても腐食しにくく、しかも比較的安価である。
また、付加部材90が取付対象物14に電気的に接続されないので、そのような構造を省略した分、内部コネクタ10を小型化できる。
【0213】
(第2の観点)
次に、本実施形態の作用効果について、第2の観点から説明する。
【0214】
本実施形態では、内部コネクタ10は、接続対象物11に接触する端子側接触部45,55を有する端子40,50と、接続対象物11に接触する付加側接触部91を有する付加部材90と、端子40,50及び付加部材90を保持するハウジング30と、を備える。
ここで、付加部材90は、端子40,50とは別体として形成される。このため、複数のバリエーションの内部コネクタ10を製造するのに適している。
すなわち、本実施形態に係る内部コネクタ10では、端子40,50及びハウジング30については、各バリエーションの内部コネクタ10の共通部品とし、付加部材90については、各バリエーションの内部コネクタ10毎に設計した付加部材90とすることができる。これにより、内部コネクタ10を構成する端子40,50、付加部材90及びハウジング30のうち付加部材90のみを変更することで、内部コネクタ10の性能を変更することができる。例えば、付加部材90の付加側接触部91の形状や摩擦係数などを変更することで、内部コネクタ10の性能を変更することができる。
特に、本実施形態では、端子40,50が中間変形部43,53を有するので、端子40,50を製造するための金型が複雑化しやすい。複雑な金型をコネクタのバリエーションの数だけ用意することは不経済である。この点、本実施形態では、中間変形部43,53を有する端子40,50を各バリエーション間の共通の部品として使用することとし、中間変形部を有しない付加部材90を複数用意することとした。これにより、内部コネクタ10のバリエーション展開を容易に行うことができる。
【0215】
また、本実施形態に係る製造方法において、付加部材90は、予め設計された複数種類の付加部材90の中から選択し、ハウジング30に保持させてもよい。
この場合、適切な付加部材90を選択することで、求められる要求に応じた内部コネクタ10を低コストで製造することができる。
【0216】
また、本実施形態では、端子側接触部45,55は、接続対象物11に一方側から接触し、付加側接触部91は、接続対象物11に他方側から接触する。そして、本実施形態に係る製造方法では、複数種類の付加部材90には、端子側接触部45,55と付加側接触部91,91Aとが対向する距離が異なるように構成された2以上の種類の付加部材90,90Aが含まれてもよい。
この場合、付加部材90の選択により、端子側接触部45,55と付加側接触部91,91Aとが対向する距離を適切な距離に変更することができる。
【0217】
また、本実施形態では、複数種類の付加部材90には、付加側接触部91の摩擦係数が異なる2以上の種類の付加部材90が含まれてもよい。
この場合、付加部材90の選択により、接続対象物11の接続に要する力を適切な力に設定することができる。なお、付加側接触部91の摩擦係数は、例えば、付加側接触部91へのメッキ処理の仕方(メッキ材料等)により変更することができる。
【0218】
また、本実施形態では、複数種類の付加部材90には、端子側接触部45,55と付加側接触部91とが対向する距離が同一になるように構成されるものの、付加側接触部91の摩擦係数が異なる2以上の種類の付加部材が含まれてもよい。
この場合、付加部材90の形状のバリエーションを多くしなくても、内部コネクタ10のバリエーションを増やすことができる。
【0219】
(第3の観点)
次に、本実施形態の作用効果について、第3の観点から説明する。
【0220】
本実施形態では、図7図8に示すように、内部コネクタ10は、取付対象物14に固定される固定ハウジング20と、取付対象物14に対して変位可能な可動ハウジング30と、端子40,50と、を備える。可動ハウジング30は、接続対象物11と嵌合可能である。端子40,50は、取付対象物14に接続される接続部41,51と、取付対象物14に対して変位可能な変位部44,45,54,55と、を有する。変位部44,45,54,55は、可動ハウジング30に保持される。
【0221】
また、固定ハウジング20は、変位規制部21を有する。変位規制部21は、可動ハウジング30と嵌合した状態又は嵌合途中の状態(図29参照)の接続対象物11が載置面14aに近づく方向(下方向)に変位したときに接続対象物11に当接する位置に設けられる。
このため、嵌合状態又は嵌合途中の状態の接続対象物11の過剰な変位が制限される結果、可動ハウジング30の過剰な変位が抑制される。
以上より、本実施形態によれば、変位規制部21によって可動ハウジング30の過剰な変位が制限されるので、先行技術のような脚部が不要になるか脚部を簡素化することができる。よって、ライトアングルフローティングコネクタにおいて、可動ハウジングの下方向への過剰な変位を制限すると共に、共振周波数を高めることができる。
特に、本実施形態では、端子40,50が中間変形部43,53を有しているので、可動ハウジングの過剰な変位を制限することで、中間変形部43,53の塑性変形を抑制できる。
【0222】
また、本実施形態では、固定ハウジング20は、可動ハウジング30が配置される空間に対し載置面側(下側)の空間であって、可動ハウジング30が通過可能な通過空間29を有する。
このため、内部コネクタ10の製造に際し、固定ハウジング20に対し可動ハウジング30を下側から組み付けることができる(図4図5参照)。
【0223】
また、本実施形態では、図7図8に示すように、固定ハウジング20は、上方向制限部25を有する。上方向制限部25は、可動ハウジング30の載置面14aから離れる方向(上方向)の移動範囲を制限する部分である。このため、上方向制限部として機能する部材を固定ハウジング20に別途取り付ける必要がない。
【0224】
また、本実施形態では、図7に示すように、端子50は、固定ハウジング20に保持される固定側被保持部52を有し、変位規制部21は、端子50の固定側被保持部52を保持する。
このため、端子50の固定側被保持部52を保持する部分とは別に、変位規制部21が形成される態様と比べて、内部コネクタ10を小型化できる。
【0225】
また、本実施形態では、図7図8に示すように、端子40,50の中間変形部43,53の少なくとも一部(例えば前方伸長部431や後方伸長部531)は、載置面14aに垂直な方向(高さ方向)で、可動ハウジング30と載置面14aとの間に位置する。
このため、中間変形部43,53の長さを確保することができる。
【0226】
また、本実施形態に係る中継コネクタ11は、相手ハウジング80と、相手ハウジング80に保持された相手端子60,70と、を備える。相手端子60,70は、相手ハウジング80から突出すると共に、接触部45,55に接触する相手接触部61,71を有する。
相手ハウジング80は、端子40,50の相手接触部61,71に隣接する部分を支持する隣接支持部85を有する。隣接支持部85は、載置面側を向く下面85aを有する。
更に、図21図28に示すように、相手ハウジング80は、隣接支持部85(端子突出部85)の下面85aから載置面側(下側)に突出する下方向当接凸部87を有する。下方向当接凸部87は、可動ハウジング30と嵌合した状態又は嵌合途中の状態の中継コネクタ11が載置面14aに近づく方向に変位したときに変位規制部21に当接する位置に設けられる。
このため、下方向当接凸部87が設けられることで、単に隣接支持部85の上下寸法を拡大して端子突出部85の下面85aを内部コネクタ10の変位規制部21に当接させる態様よりも、中継コネクタ11の軽量化しつつ可動ハウジング30の過剰な変位を抑制できる。
【0227】
(第4の観点)
次に、本実施形態の作用効果について、第4の観点から説明する。
【0228】
本実施形態では、図10図15等に示すように、内部コネクタ10は、ハウジング20と、ハウジング20に所定の圧入方向で圧入されて保持される端子40と、を備える。
端子40は、圧入方向に沿って延びる第一伸長部401に形成された第一圧入部421と、第一圧入部421に対して変位可能な変位部44,45と、第一伸長部401と変位部44,45との間の中間部402,422,43と、を有する。中間部402,422,43は、板厚方向に曲げられた複数の曲部402,432,434,436,438を有する。
ここで、中間部402,422,43は、曲部402を介して第一伸長部401と接続され、圧入方向に垂直な方向に沿って延びる第二伸長部403を含む。そして、第二伸長部403に第二圧入部422が形成される。
このため、第二伸長部403に形成された第二圧入部422がハウジング20に保持されるので、曲部402の変形が抑制され、曲部402への応力集中が抑制される。
【0229】
また、本実施形態では、端子50は、圧入方向に沿って延びる第一伸長部501に形成された第一圧入部521と、第一圧入部521に対して変位可能な変位部54,55と、第一伸長部501と変位部54,55との間の中間部502,522,53と、を有する。中間部502,522,53は、板厚方向に曲げられた複数の曲部502,532,534を有する。
ここで、中間部502,522,53は、曲部502を介して第一伸長部501と接続され、圧入方向に垂直な方向に沿って延びる第二伸長部503を含む。そして、第二伸長部503に第二圧入部522が形成される。
このため、第二伸長部503に形成された第二圧入部522がハウジング20に保持されるので、曲部502の変形が抑制され、曲部502への応力集中が抑制される。
【0230】
特に、本実施形態では、曲部402,502が第一圧入部421,521の近くにあるので、仮に第二圧入部422,522が形成されていない場合には、曲部502への応力集中が特に問題となりやすい。
【0231】
また、本実施形態では、第二伸長部403,503のうち第二圧入部422,522よりも変位部44,45,54,55側の部分は、第二圧入部422,522から離れるにつれて板幅が徐々に小さくなるように形成された漸減伸長部(前方伸長部431、後方伸長部531)を含む。
このため、第二伸長部403,503のうち特定の部分に応力が集中することを抑制できる。
【0232】
また、本実施形態では、第二圧入部422,522は、当該第二圧入部422,522と隣接する部分よりも板幅が大きく形成される。そして、第二圧入部422,522のうち板幅が最大となる位置(図16参照)に対して第一圧入部421,521側での板幅変化率は、変位部44,45,54,55側での板幅変化率よりも大きい。なお、板幅変化率とは、第一圧入部421,521側又は変位部44,45,54,55側へ近づく距離に対する板幅の変化量を意味する。
このため、第二圧入部422,522の位置を曲部402,502の近くに設定できると共に、第二圧入部422,522に対して変位部44,45,54,55側に近接する部分に応力が集中することを抑制できる。第二圧入部422,522の位置を曲部402,502の近くに設定できると、中間部402,422,43,502,522,53のうち実際に変形可能な領域(中間変形部43,53)を長く確保することができる。
【0233】
なお、以上説明した第4の観点からの作用効果と類似する作用効果は、端子40がハウジング20に所定の圧入方向で圧入されて保持される態様でなく、端子がハウジングにインサート成形により保持される態様であっても奏される。この場合、上記の第一圧入部及び第二圧入部は、それぞれ第一被保持部及び第二被保持部などと読み替えればよい。
【0234】
(第5の観点)
次に、本実施形態の作用効果について、第5の観点から説明する。
【0235】
本実施形態のコネクタセット10,11は、ケース13の内部に配置される基板14に取り付けられるライトアングルタイプの内部コネクタ10と、ケース13の開口13aに取り付けられ、内部コネクタ10とケース13の外部の外部接続対象物(図示省略)とを中継する中継コネクタ11と、を備える。
内部コネクタ10は、第一内部端子40Aと、第二内部端子40Bと、第三内部端子50Aと、第四内部端子50Bと、を備える。中継コネクタ11は、第一内部端子40Aと接続する第一中継端子60Aと、第二内部端子40Bと接続する第二中継端子70Aと、第三内部端子50Aと接続する第三中継端子60Bと、第四内部端子50Bと接続する第四中継端子70Bと、を備える。
第一内部端子40Aは、第一中継端子60Aと接触する第一接触部45Aと、基板14に接続する第一接続部41Aと、を有する。
第二内部端子40Bは、第二中継端子70Aと接触する第二接触部45Bと、基板14に接続する第二接続部41Bと、を有する。
第三内部端子50Aは、第三中継端子60Bと接触する第三接触部55Aと、基板14に接続する第三接続部51Aと、を有する。
第四内部端子50Bは、第四中継端子70Bと接触する第四接触部55Bと、基板14に接続する第四接続部51Bと、を有する。
第一中継端子60Aは、第一内部端子40Aと接触する第一内部側接触部61Aと、外部接続対象物に接触する第一外部側接触部62Aと、を有する。
第二中継端子70Aは、第二内部端子40Bと接触する第二内部側接触部71Aと、外部接続対象物に接触する第二外部側接触部72Aと、を有する。
第三中継端子60Bは、第三内部端子50Aと接触する第三内部側接触部61Bと、外部接続対象物に接触する第三外部側接触部62Bと、を有する。
第四中継端子70Bは、第四内部端子50Bと接触する第四内部側接触部71Bと、外部接続対象物に接触する第四外部側接触部72Bと、を有する。
【0236】
ここで、第一外部側接触部62A、第二外部側接触部72A、第三外部側接触部62B及び第四外部側接触部72Bは、基板垂直方向(上下方向)で異なる位置に配置される。一方、第一内部側接触部61A及び第二内部側接触部71Aは、基板垂直方向で同じ位置に配置され、第三内部側接触部61B及び第四内部側接触部71Bは、基板垂直方向で同じ位置に配置される。
このため、第一接触部45Aの基板14からの距離と、第二接触部45Bの基板14からの距離とが同じになるので、第一内部端子40Aの形状と第二内部端子40Bとの形状を同じにできるか、同じ形状でないとしても類似の形状にすることができる。その結果、内部コネクタ10の設計コストを下げることができる。
また、第三接触部55Aの基板14からの距離と、第四接触部55Bの基板14からの距離とが同じになるので、第三内部端子50Aの形状と第四内部端子50Bとの形状を同じにできるか、同じ形状でないとしても類似の形状にすることができる。その結果、内部コネクタ10の設計コストを下げることができる。
【0237】
また、本実施形態では、第一内部端子40Aは、第一接触部45Aと第一接続部41Aとの間に位置し、変形することで第一接続部41Aに対する第一接触部45Aの変位を許容する第一中間変形部43Aを有する。第二内部端子40Bは、第二接触部45Bと第二接続部41Bとの間に位置し、変形することで第二接続部41Bに対する第二接触部45Bの変位を許容する第二中間変形部43Bを有する。
このため、第一接触部45A及び第二接触部45Bは、基板14に対して変位可能となり、基板14と中継コネクタ11との位置ズレや内部コネクタ10と中継コネクタ11との位置ズレを吸収できる。
また、内部端子40が中間変形部43を有するので、内部端子40の設計が特に複雑である。そのため、仮に、内部端子40の形状の種類が増加すると、設計コストの大きく増加する。特に、車載機器のような強い振動が長期間にわたって加わる環境で使用される内部コネクタ10の場合、その環境下でも性能を維持できる高性能な中間変形部43であることが求められるため、この問題は顕著である。
特に、本実施形態では、第一中間変形部43Aと第二中間変形部43Bとは、その形状が互いに同じである。このため、設計コストが低減されている。
なお、以上述べたことは、内部端子40だけでなく、内部端子50についても当てはまる。
【0238】
また、本実施形態では、複数の第一外部側接触部62Aと複数の第四外部側接触部72Bとは、配列方向(幅方向)で同じ位置に配置され、複数の第二外部側接触部72Aと複数の第三外部側接触部62Bとは、配列方向で同じ位置に配置される。一方、第一内部側接触部61A、第二内部側接触部71A、第三内部側接触部61B及び第四内部側接触部71Bは、配列方向で異なる位置に配置される。
このため、内部コネクタ10の第一接触部45A、第二接触部45B、第三接触部55A及び第四接触部55Bの配列方向の位置をそれぞれ異ならせることができる。
特に、本実施形態では、第一接触部45A、第二接触部45B、第三接触部55A及び第四接触部55Bの配列方向の位置をそれぞれ異なることで、第三内部端子50A及び第四内部端子50Bの接触部55が、第一内部端子40A及び第二内部端子40Bの中間変形部43によって、コネクタ方向側から見たときに隠されないようになっている。
【0239】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示のコネクタ、相手コネクタ、コネクタセット等の構成が上記実施形態の構成に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0240】
10,11 コネクタセット
10 内部コネクタ(コネクタ)
11 中継コネクタ(接続対象物)
13 ケース
13a 開口
14 基板(取付対象物)
14a 載置面
20 固定ハウジング(ハウジング)
21 前枠部(変位規制部、下側端子保持部)
22 後枠部(上側端子保持部)
25 天壁(上方向制限部)
29 通過空間
30 可動ハウジング(ハウジング)
40 上側端子(内部端子、端子)
40A 上側端子のうち第一中継端子に接続する端子(第一内部端子)
40B 上側端子のうち第二中継端子に接続する端子(第二内部端子)
401 第一伸長部
402,422,43 中間部
402,432,434,436,438 複数の曲部
402 曲部(第一曲部)
403 第二伸長部
41 接続部
41A 第一接続部
41B 第二接続部
42 固定側被保持部
421 第一圧入部(第一被保持部)
422 第二圧入部(第二被保持部)
43 中間変形部
43A 第一中間変形部
43B 第二中間変形部
431 前方伸長部(漸減伸長部)
44,45 変位部
45 接触部(端子側接触部、一方側接触部)
45A 第一接触部
45B 第二接触部
45a,55a 第一接触片
45b,55b 第二接触片
50 下側端子(内部端子、端子)
50A 下側端子のうち第三中継端子に接続する端子(第三内部端子)
50B 下側端子のうち第四中継端子に接続する端子(第四内部端子)
501 第一伸長部
502 曲部(第一曲部)
502,522,53 中間部
502,532,534 複数の曲部
503 第二伸長部
51 接続部
52 固定側被保持部
521 第一圧入部(第一被保持部)
522 第二圧入部(第二被保持部)
53 中間変形部
531 後方伸長部(漸減伸長部)
54,55 変位部
55 接触部(端子側接触部、一方側接触部)
55A 第三接触部
55B 第四接触部
60A,60B,70A,70B 中継端子(相手端子)
60A 第一中継端子
60B 第三中継端子
61 先端側幅狭部(内部側接触部)
61A 第一中継端子の内部側接触部(第一内部側接触部)
61B 第三中継端子の内部側接触部(第三内部側接触部)
62 先端側部(外部側接触部)
62A 第一外部側接触部
62B 第三外部側接触部
70A 第二中継端子
70B 第四中継端子
71 先端側幅狭部(内部側接触部)
71A 第二中継端子の内部側接触部(第二内部側接触部)
71B 第四中継端子の内部側接触部(第四内部側接触部)
72 先端側部(外部側接触部)
72A 第二中継端子の外部側接触部(第二外部側接触部)
72B 第四中継端子の外部側接触部(第四外部側接触部)
80 中継ハウジング(相手ハウジング)
85 端子突出部(隣接支持部)
85a 下面
87 下方向当接凸部
90 付加部材
90A 付加部材
91 膨出部(付加側接触部、他方側接触部)
91A 膨出部(付加側接触部、他方側接触部)
図1
図2
図3
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図30
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図32
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