(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057939
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】亀甲模様面格子部材、亀甲模様面格子部材の製造方法及び立体構造物
(51)【国際特許分類】
B21D 47/00 20060101AFI20230417BHJP
E04G 5/08 20060101ALI20230417BHJP
【FI】
B21D47/00 D
E04G5/08 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167701
(22)【出願日】2021-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500538715
【氏名又は名称】日軽エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508036743
【氏名又は名称】株式会社横河ブリッジ
(71)【出願人】
【識別番号】000157957
【氏名又は名称】株式会社UACJ金属加工
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崎本 佑
(72)【発明者】
【氏名】勝崎 晃宏
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 圭介
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 仁計
(72)【発明者】
【氏名】永田 考
(72)【発明者】
【氏名】三木 英二
(72)【発明者】
【氏名】小林 徹
(57)【要約】
【課題】均一な網目構造を有する亀甲模様面格子部材、亀甲模様面格子部材の製造方法及び立体構造物を提供する。
【解決手段】亀甲模様面格子部材100は、波状に折り返された状態で第1方向D1に延び、折り返し部分11同士が第1方向D1に直交する第2方向D2に対向する状態で第2方向D2に複数連結されて網目状に形成される基部10と、複数の基部10に対して第2方向D2の両側に配置され、第1方向D1に沿って直線状に延び、基部10の複数の折り返し部分11と連結される端辺部20とを備え、端辺部20は、折り返し部分11との複数の連結部分のうち第1方向D1に隣り合う連結部分同士の間の直線状部分22に、第1方向D1に切り離された切断部21を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波状に折り返された状態で第1方向に延び、折り返し部分同士が前記第1方向に直交する第2方向に対向する状態で前記第2方向に複数連結されて網目状に形成される基部と、
複数の前記基部に対して前記第2方向の両側に配置され、前記第1方向に沿って直線状に延び、前記基部の複数の前記折り返し部分と連結される端辺部と
を備え、
前記端辺部は、前記折り返し部分との複数の連結部分のうち前記第1方向に隣り合う前記連結部分同士の間の直線状部分に、前記第1方向に切り離された切断部を有する
亀甲模様面格子部材。
【請求項2】
前記切断部は、前記端辺部のうち少なくとも前記第1方向の両端に配置される前記直線状部分に設けられる
請求項1に記載の亀甲模様面格子部材。
【請求項3】
前記切断部は、前記端辺部の前記第1方向の全体に亘って配置される前記直線状部分のそれぞれに設けられる
請求項1又は請求項2に記載の亀甲模様面格子部材。
【請求項4】
前記端辺部は、前記連結部に対して前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の両側に突出するように配置される
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の亀甲模様面格子部材。
【請求項5】
第1方向に沿って直線状に延び前記第1方向に直交する第2方向に複数配置される基部と、複数の前記基部に対して前記第2方向の両側に配置され前記第1方向に沿って直線状に伸びる端辺部と、前記基部同士の間及び前記基部と前記端辺部との間にスリットが千鳥状に形成されるように前記基部同士及び前記基部と前記端辺部とを連結する連結部と、を備え、前記端辺部の前記第1方向に隣り合う前記連結部同士の間の直線状部分に前記第1方向に間隔を空けた状態で切り離された切断部を有する押出形材のうち、それぞれの前記端辺部に対して前記第1方向に移動可能な状態で枠体を装着する工程と、
前記枠体同士を前記第2方向に離すように引っ張ることで、前記スリットが前記連結部前記第2方向に広がるように前記基部を変形させる工程と
を含む亀甲模様面格子部材の製造方法。
【請求項6】
前記端辺部は、前記連結部に対して前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の両側に突出するように配置され、
前記枠体は、前記端辺部のうち前記連結部から前記第3方向の両側に突出する突出部分に係止するように装着される
請求項5に記載の亀甲模様面格子部材の製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の亀甲模様面格子部材が床部及び壁部の少なくとも一方に設けられる立体構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亀甲模様面格子部材、亀甲模様面格子部材の製造方法及び立体構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の床部及び壁部等には、亀甲模様面格子部材が用いられる場合がある。亀甲模様面格子部材は、スリットが千鳥状に形成されたアルミニウム合金の押出形材を当該スリットの延びる方向と直交する方向に引き延ばすことにより網目状に形成された部材である(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、押出形材のうち引き延ばし方向の両端がフレームに固定された構成である。この構成では、押出形材を引き延ばす際、引き延ばし方向の端部に力が加わりにくく、引き延ばし方向の中央部に力が集中する。このため、引き延ばし方向の中央部のスリットが端部のスリットと比較して大きく引き延ばされ、全体として網目構造が歪んだ形状に形成される場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、均一な網目構造を有する亀甲模様面格子部材、亀甲模様面格子部材の製造方法及び立体構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る亀甲模様面格子部材は、波状に折り返された状態で第1方向に延び、折り返し部分同士が前記第1方向に直交する第2方向に対向する状態で前記第2方向に複数連結されて網目状に形成される基部と、複数の前記基部に対して前記第2方向の両側に配置され、前記第1方向に沿って直線状に延び、前記基部の複数の前記折り返し部分と連結される端辺部とを備え、前記端辺部は、前記折り返し部分との複数の連結部分のうち前記第1方向に隣り合う前記連結部分同士の間の直線状部分に、前記第1方向に切り離された切断部を有する。
【0007】
この構成によれば、亀甲模様面格子部材を製造する過程において、端辺部同士を第2方向に引き離すように引っ張る際、端辺部の直線状部分が切断部により切り離された状態であるため、基部が第1方向に収縮するのに合わせて端辺部が第1方向に収縮可能となる。このため、引き延ばし方向の両側と中央部との間で網目が均一に形成されることになる。これにより、均一な網目構造を有する亀甲模様面格子部材を提供することができる。
【0008】
上記亀甲模様面格子部材の望ましい態様として、前記切断部は、前記端辺部のうち少なくとも前記第1方向の両端に配置される前記直線状部分に設けられる。
【0009】
この構成によれば、端辺部のうち少なくとも第1方向の両端部を第1方向に収縮させることが可能となる。
【0010】
上記亀甲模様面格子部材の望ましい態様として、前記切断部は、前記端辺部の前記第1方向の全体に亘って配置される前記直線状部分のそれぞれに設けられる。
【0011】
この構成によれば、端辺部を第1方向の全体に亘って均一に収縮させることが可能となる。
【0012】
上記亀甲模様面格子部材の望ましい態様として、前記端辺部は、前記連結部に対して前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の両側に突出するように配置される。
【0013】
この構成によれば、亀甲模様面格子部材を製造する過程において、端辺部同士を第2方向に引き離すように引っ張る際、第3方向の両側に突出した部分に他の部材を係止させた状態で引っ張ることができる。
【0014】
本発明の一態様に係る亀甲模様面格子部材の製造方法は、第1方向に沿って直線状に延び前記第1方向に直交する第2方向に複数配置される基部と、複数の前記基部に対して前記第2方向の両側に配置され前記第1方向に沿って直線状に伸びる端辺部と、前記基部同士の間及び前記基部と前記端辺部との間にスリットが千鳥状に形成されるように前記基部同士及び前記基部と前記端辺部とを連結する連結部と、を備え、前記端辺部の前記第1方向に隣り合う前記連結部同士の間の直線状部分に前記第1方向に間隔を空けた状態で切り離された切断部を有する押出形材のうち、それぞれの前記端辺部に対して前記第1方向に移動可能な状態で枠体を装着する工程と、前記枠体同士を前記第2方向に離すように引っ張ることで、前記スリットが前記連結部前記第2方向に広がるように前記基部を変形させる工程とを含む。
【0015】
この構成によれば、亀甲模様面格子部材を製造する過程において、端辺部同士を第2方向に引き離すように引っ張る際、端辺部の直線状部分が切断部により切り離された状態であるため、基部が第1方向に収縮するのに合わせて端辺部が第1方向に収縮する。このため、引き延ばし方向の両側と中央部との間でそれぞれスリットが均一に広がり、網目が均一に形成されることになる。これにより、均一な網目構造を有する亀甲模様面格子部材を製造することができる。
【0016】
上記亀甲模様面格子部材の製造方法の望ましい態様として、前記端辺部は、前記連結部に対して前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の両側に突出するように配置され、前記枠体は、前記端辺部のうち前記連結部から前記第3方向の両側に突出する突出部分に係止するように装着される。
【0017】
この構成によれば、第3方向の両側に突出した部分に枠体を係止させた状態で当該枠体を引っ張ることで、基部を変形させることができる。
【0018】
本発明の一態様に係る立体構造物は、上記の亀甲模様面格子部材が床部及び壁部の少なくとも一方に設けられる。
【0019】
この構成によれば、均一な網目構造を有する亀甲模様面格子部材が床部及び壁部の少なくとも一方に設けられるため、外観及び強度において高品質の立体構造物を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、均一な網目構造を有する亀甲模様面格子部材、亀甲模様面格子部材の製造方法及び立体構造物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る亀甲模様面格子部材の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、亀甲模様面格子部材に枠体を装着した状態の一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、亀甲模様面格子部材の要部を拡大して示す図である。
【
図4】
図4は、枠体を装着した状態の亀甲模様面格子部材の要部を拡大して示す図である。
【
図5】
図5は、
図4におけるA-A線に沿った断面構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、亀甲模様面格子部材の製造過程の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、亀甲模様面格子部材の製造過程の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、亀甲模様面格子部材の製造過程の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る立体構造物の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る亀甲模様面格子部材の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0023】
図1は、本実施形態に係る亀甲模様面格子部材100の一例を示す平面図である。
図2は、亀甲模様面格子部材100に枠体40を装着した状態の一例を示す平面図である。
図3は、亀甲模様面格子部材100の要部を拡大して示す図である。
図4は、枠体40を装着した状態の亀甲模様面格子部材100の要部を拡大して示す図である。
【0024】
図1から
図4に示すように、亀甲模様面格子部材100は、基部10と、端辺部20と、連結部30とを備える。
【0025】
基部10は、例えばアルミニウム合金等の材料を用いて形成される。基部10は、波状に折り返された状態で第1方向D1に延びる。基部10は、複数の折り返し部分11を有する。基部10は、折り返し部分11同士が第1方向D1に直交する第2方向D2に対向する状態で、後述する第1連結部31を介して第2方向D2に複数連結している。基部10は、第2方向D2に連結された状態で、開口部14を有する網目状に形成される。本実施形態に係る亀甲模様面格子部材100は、開口部14の大きさが第1方向D1及び第2方向D2について均一となるように基部10が網目状に形成される。
【0026】
端辺部20は、例えばアルミニウム合金等の材料を用いて形成される。端辺部20は、基部10に対して第2方向D2の両側に配置される。端辺部20は、第1方向D1に沿って直線状に延びる。端辺部20は、基部10の複数の折り返し部分11と後述する第2連結部32を介して連結している。
【0027】
端辺部20は、切断部21を有する。切断部21は、端辺部20のうち隣り合う第2連結部32、32の間の直線状部分22に設けられる。切断部21は、直線状部分22を第1方向D1の両端に引き延ばすように形成される。直線状部分22は、切断部21により、第1方向D1に等間隔離間した状態で設けられる。
【0028】
切断部21は、例えば本実施形態のように、端辺部20の第1方向D1の全体に亘って配置される直線状部分22のそれぞれに設けられる構成とすることができる。切断部21は、例えば端辺部20のうち少なくとも第1方向D1の両端の直線状部分22に設けられる構成としてもよく、端辺部20の第1方向D1の両端以外の直線状部分22には、切断部21が設けられなくてもよいが、切断部21は、近接する二つの第2連結部32の間に等間隔離間して設けることが均一な網目構造保持の観点から好ましい。
【0029】
連結部30は、第1連結部31及び第2連結部32を有する。第1連結部31は、基部10の折り返し部分11同士を連結する。第2連結部32は、基部10の折り返し部分11と、端辺部20とを連結する。
【0030】
図2に示すように、端辺部20には、枠体40が装着される。
図5は、
図4におけるA-A線に沿った断面構成を示す図である。
図5は、枠体40が装着された状態における基部10、端辺部20、連結部30及び枠体40の断面構成を示している。
図5に示すように、端辺部20は、第2連結部32に対して第3方向D3の一方(例えば、
図5の上方)及び他方(例えば、
図5の下方)に突出するように配置される。
【0031】
図5において枠体40は、断面視でC字状に形成された第1係止部41と、第2係止部42とを有する。第1係止部41は、端辺部20のうち第2連結部32から第3方向D3の一方(例えば、
図5の上方)に突出した部分に係止される。第2係止部42は、端辺部20のうち第2連結部32から第3方向D3の他方(例えば、
図5の下方)に突出した部分に係止される。枠体40は、端辺部20に対して、例えば第1方向D1の端部からスライドさせるように装着される。枠体40は、第1係止部41及び第2係止部42が端辺部20に係止した状態で、第1方向D1に移動可能となっている。
【0032】
次に、上記のように構成された亀甲模様面格子部材100の製造方法について説明する。
図6から
図8は、亀甲模様面格子部材100の製造過程の一例を示す図である。まず、
図6に示すように、亀甲模様面格子部材100の元になる押出形材150を形成する。亀甲模様面格子部材100は、押出形材150を後述するように変形させることで製造する。
【0033】
押出形材150は、基部15と、端辺部25と、連結部35とを備える。基部15は、第1方向D1に沿って直線状に延び、第1方向D1に直交する第2方向D2に複数配置される。端辺部25は、複数の基部15に対して第2方向D2の両側に配置され第1方向D1に沿って直線状に延びる。連結部35は、基部15同士の間及び基部15と端辺部25との間にスリットSが千鳥状に形成されるように基部15同士及び基部15と端辺部25とを連結する。
【0034】
また、端辺部25は、第1方向D1に隣り合う連結部35同士の間の直線状部分27に第1方向D1に間隔を空けた状態で切り離された切断部26を有する。切断部26の第1方向D1の間隔L2は、上記した亀甲模様面格子部材100における端辺部20の切断部21の第1方向D1の間隔L1に比べて大きくなっている。端辺部25は、連結部35に対して第1方向D1及び第2方向D2に直交する第3方向D3の両側に突出するように配置される。
【0035】
押出形材150を形成した後、
図7に示すように、第2方向D2の両端のそれぞれの端辺部25に枠体40を装着する。枠体40の構成は、上記した構成と同様である。枠体40は、第1係止部41及び第2係止部42が端辺部25のうち連結部35に対して第3方向D3に突出する部分に係止されるように、端辺部25の第1方向D1の端部からスライドさせて装着する。
【0036】
枠体40を装着した後、
図8に示すように、枠体40同士を第2方向D2に離すように引っ張ることで、スリットSが第2方向D2に広がるように基部15が変形する。なお、
図8では、枠体40の一部の図示を省略し、当該枠体40の図示が省略された部分の端辺部25が説明のため見えるように示している。基部15は、連結部35ごとに第2方向D2に折り返された波状に変形する。基部15は、折り返されるように変形することで、第1方向D1に収縮する。
【0037】
基部15の当該変形により、連結部35を介して、端辺部25に対しても第1方向D1に収縮する力が作用する。本実施形態では、端辺部25が枠体40に対して第1方向D1に移動可能であり、かつ端辺部25に切断部26が設けられる。このため、端辺部25に対して第1方向D1の力が作用した場合、端辺部25は、連結部35に連結される部分ごとに第1方向D1に移動することができる。この結果、端辺部25は、全体として基部15の変形に応じて第1方向D1に収縮する。また、切断部26が第1方向D1に間隔L2(
図6参照)を空けるように設けられるため、端辺部25は、間隔を詰めるように円滑に変形することができる。
図8に示す間隔L3は、例えば
図6中の押出形材150の変形前の間隔L2に比べて小さくなっている。
【0038】
端辺部25が第1方向D1に収縮することで、第2方向D2の両端側に配置される基部15についても、第2方向D2の中央部に配置される基部15と同程度に変形することになる。このため、枠体40を第2方向D2に引っ張った場合、第2方向D2の全体に亘って基部15が均一に変形することになる。この結果、
図1から
図4に示すように、開口部14の大きさが第1方向D1及び第2方向D2について均一となるように基部10が網目状に形成された亀甲模様面格子部材100を製造することができる。押出形材150の基部15、端辺部25及び連結部35は、それぞれ亀甲模様面格子部材100の基部10、端辺部20及び連結部30となる。また、押出形材150の端辺部25に形成される切断部26は、第1方向D1の間隔が間隔L3から更に小さくなり、亀甲模様面格子部材100の端辺部20における切断部21(間隔L1:
図3参照)となる。
【0039】
図9は、本実施形態に係る立体構造物の一例である橋梁200の作業用足場210を示す図である。
図9に示すように、作業用足場210は、橋梁200の下部に備えられ、橋梁200の点検を行う作業者が、点検作業や通行等をする足場に用いられる。橋梁200は、作業用足場210と、桁220とを備える。作業用足場210は、下面パネルであり、橋梁200の下部フランジ204に、スタッドボルト240とナット242とにより固定され、橋梁200の下部を保護する。作業用足場210は、例えば平板状であり、橋梁200の下部に沿って配置される。
【0040】
作業用足場210は、このように橋梁200の下部を覆うことにより、腐食環境から橋梁200を保護する。また、作業用足場210は、作業者が橋梁200の点検作業等を行う場合の足場となる。そのため、作業用足場210は、作業者が作業可能な間隔を空けて配置される。
【0041】
作業用足場210は、橋梁防護板211と、網目状部材212とを含む。作業用足場210は、橋梁防護板211と網目状部材212とが上下に積層した積層構造となっている。網目状部材212は、橋梁防護板211の下層に配置される。網目状部材212は、格子により形成される面形状の部材であり、面の表面と裏面とが空隙で連通している。網目状部材212としては、例えば上記した亀甲模様面格子部材100を用いることができる。このように、均一な網目構造を有する亀甲模様面格子部材100が設けられるため、外観及び強度において高品質の作業用足場210を提供することができる。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る亀甲模様面格子部材100は、波状に折り返された状態で第1方向D1に延び、折り返し部分11同士が第1方向D1に直交する第2方向D2に対向する状態で第2方向D2に複数連結されて網目状に形成される基部10と、複数の基部10に対して第2方向D2の両側に配置され、第1方向D1に沿って直線状に延び、基部10の複数の折り返し部分11と連結される端辺部20とを備え、端辺部20は、折り返し部分11との複数の連結部分のうち第1方向D1に隣り合う連結部分同士の間の直線状部分22に、第1方向D1に切り離された切断部21を有する。
【0043】
この構成によれば、亀甲模様面格子部材100を製造する過程において、端辺部20同士を第2方向D2に引き離すように引っ張る際、端辺部20の直線状部分22が切断部21により切り離された状態であるため、基部10が第1方向D1に収縮するのに合わせて端辺部20が第1方向D1に収縮可能となる。このため、引き延ばし方向の両側と中央部との間で網目が均一に形成されることになる。これにより、均一な網目構造を有する亀甲模様面格子部材100を提供することができる。
【0044】
上記亀甲模様面格子部材100の望ましい態様として、切断部21は、端辺部20のうち少なくとも第1方向D1の両端に配置される直線状部分22に設けられる。
【0045】
この構成によれば、端辺部20のうち少なくとも第1方向D1の両端部を第1方向D1に収縮させることが可能となる。
【0046】
上記亀甲模様面格子部材100の望ましい態様として、切断部21は、端辺部20の第1方向D1の全体に亘って配置される直線状部分22のそれぞれに設けられる。
【0047】
この構成によれば、端辺部20を第1方向D1の全体に亘って均一に収縮させることが可能となる。
【0048】
上記亀甲模様面格子部材100の望ましい態様として、端辺部20は、第2連結部32に対して第1方向D1及び第2方向D2に直交する第3方向D3の両側に突出するように配置される。
【0049】
この構成によれば、亀甲模様面格子部材100を製造する過程において、端辺部20同士を第2方向D2に引き離すように引っ張る際、第3方向D3の両側に突出した部分に他の部材を係止させた状態で引っ張ることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る亀甲模様面格子部材100の製造方法は、第1方向D1に沿って直線状に延び第1方向D1に直交する第2方向D2に複数配置される基部15と、複数の基部15に対して第2方向D2の両側に配置され第1方向D1に沿って直線状に伸びる端辺部25と、基部15同士の間及び基部15と端辺部25との間にスリットが千鳥状に形成されるように基部15同士及び基部15と端辺部25とを連結する連結部35と、を備え、端辺部25の第1方向D1に隣り合う連結部35同士の間の直線状部分に第1方向D1に間隔を空けた状態で切り離された切断部を有する押出形材150のうち、それぞれの端辺部25に対して第1方向D1に移動可能な状態で枠体40を装着する工程と、枠体40同士を第2方向D2に離すように引っ張ることで、スリットが連結部35第2方向D2に広がるように基部15を変形させる工程とを含む。
【0051】
この構成によれば、亀甲模様面格子部材100を製造する過程において、端辺部25同士を第2方向D2に引き離すように引っ張る際、端辺部25の直線状部分が切断部により切り離された状態であるため、基部15が第1方向D1に収縮するのに合わせて端辺部25が第1方向D1に収縮する。このため、引き延ばし方向の両側と中央部との間でそれぞれスリットが均一に広がり、網目が均一に形成されることになる。これにより、均一な網目構造を有する亀甲模様面格子部材100を製造することができる。
【0052】
上記亀甲模様面格子部材100の製造方法の望ましい態様として、端辺部25は、連結部35に対して第1方向D1及び第2方向D2に直交する第3方向D3の両側に突出するように配置され、枠体40は、端辺部25のうち連結部35から第3方向D3の両側に突出する突出部分に係止するように装着される。
【0053】
この構成によれば、第3方向D3の両側に突出した部分に枠体40を係止させた状態で当該枠体40を引っ張ることで、基部15を変形させることができる。
【0054】
本実施形態に係る立体構造物である作業用足場210は、上記の亀甲模様面格子部材100が床部及び壁部の少なくとも一方に設けられる。
【0055】
この構成によれば、均一な網目構造を有する亀甲模様面格子部材100が設けられるため、外観及び強度において高品質の作業用足場210を提供することができる。
【0056】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、亀甲模様面格子部材100を作業用足場210の床部に適用する構成を例に挙げて説明したが、壁部に適用されてもよい。また、立体構造物の例としては作業用足場210に限定されず、他の立体構造物であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、D4…架設方向、D5…幅方向、L1,L2,L3…間隔、S…スリット、10,15…基部、11…折り返し部分、14…開口部、20,25…端辺部、21,26…切断部、22,27…直線状部分、30,35…連結部、31…第1連結部、32…第2連結部、40…枠体、41…第1係止部、42…第2係止部、100…亀甲模様面格子部材、150…押出形材、200…橋梁、204…下部フランジ、210…作業用足場、211…橋梁防護板、212…網目状部材、220…桁、240…スタッドボルト、242…ナット