(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023057967
(43)【公開日】2023-04-24
(54)【発明の名称】園芸品の収穫時期予測システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20230417BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021167755
(22)【出願日】2021-10-12
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、農林水産省、花きの計画生産・出荷管理システムの実証研究委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】391021710
【氏名又は名称】株式会社インテック
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩之
(72)【発明者】
【氏名】梅津 寿彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 愛里菜
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】 ある一定の幅(園芸品の花蕾が最も早く着色する予定日から最も遅く着色する予定日までの幅)をもって、園芸品の収穫時期を予測することのできる園芸品の収穫時期予測システムを提供する。
【解決手段】 園芸品の収穫時期予測システム1は、過去に栽培した園芸品の過去サンプルデータに基づいて、花蕾が着色したときの花蕾径が最小であった着色時花蕾径最小値から花蕾が着色したときの花蕾径が最大であった着色時花蕾径最大値までの幅を、園芸品の着色時花蕾径幅として決定し、現在栽培している園芸品の現在サンプルデータと着色時花蕾径幅に基づいて、現在栽培している園芸品の花蕾が現在から何日後に着色するかを推定し、最も早く着色すると推定される最早着色予定日から最も遅く着色すると推定される最遅着色予定日までの時期を、現在栽培している園芸品の収穫時期として予測する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に栽培した園芸品について、当該園芸品に含まれる複数の参照用サンプルの花蕾径のデータおよび当該参照用サンプルの花蕾が着色しているか否かのデータを、前記園芸品の過去サンプルデータとして記憶する手段と、
前記過去サンプルデータに基づいて、前記花蕾が着色したときの花蕾径が最小であった着色時花蕾径最小値から前記花蕾が着色したときの花蕾径が最大であった着色時花蕾径最大値までの幅を、前記園芸品の着色時花蕾径幅として決定する手段と、
現在栽培している前記園芸品について、当該園芸品に含まれる予測用サンプルの花蕾径のデータを、前記園芸品の現在サンプルデータとして取得する手段と、
前記現在サンプルデータと前記着色時花蕾径幅に基づいて、前記現在栽培している園芸品の花蕾が現在から何日後に着色するかを推定し、最も早く着色すると推定される最早着色予定日から最も遅く着色すると推定される最遅着色予定日までの時期を、前記現在栽培している園芸品の収穫時期として予測する手段と、
を備える、ことを特徴とする園芸品の収穫時期予測システム。
【請求項2】
前記記憶する手段には、
前記過去サンプルデータとして、前記参照用サンプルの花蕾径を測定した日付に関するデータが、前記参照用サンプルの花蕾径および前記花蕾径が着色しているか否かのデータに対応づけて記憶されており、
前記決定する手段は、
前記過去サンプルデータに基づいて、所定の基準日からの経過日数に対する花蕾径の大きさの変化を示す成長モデル関数を算出するとともに、前記着色時花蕾径幅に対応する日数幅を算出し、
前記取得する手段は、
前記現在サンプルデータとして、前記予測用サンプルの花蕾径のデータとともに、当該予測用サンプルの花蕾径を測定した日付に関するデータを取得し、
前記予測する手段は、
前記現在サンプルデータと前記成長モデル関数と前記日数幅に基づいて、前記最早着色予定日と前記最遅着色予定日を求める、請求項1に記載の園芸品の収穫時期予測システム。
【請求項3】
前記取得する手段は、
前記現在サンプルデータとして、複数の前記予測用サンプルの各々について、前記予測用サンプルの花蕾径のデータとともに、前記予測用サンプルの花蕾径を測定した日付に関するデータを、それぞれ異なる日に少なくとも2回以上取得し、
前記予測する手段は、
前記現在サンプルデータに基づいて、複数の前記予測用サンプルの各々について、所定の基準日からの経過日数に対する花蕾径の大きさの変化を示す成長モデル関数を算出し、
前記成長モデル関数と前記着色時花蕾径幅に基づいて、前記複数の予測用サンプルの各々の花蕾の着色予定時期を推定し、
前記複数の予測用サンプルの各々の花蕾の着色予定時期に基づいて、前記現在栽培している園芸品の収穫時期を予測する、請求項1に記載の園芸品の収穫時期予測システム。
【請求項4】
前記予測する手段は、
前記複数の予測用サンプルの各々の花蕾の着色予定時期と、前記現在栽培している園芸品の収穫時期における総収穫予定本数に基づいて、前記現在栽培している園芸品の収穫時期における日別の収穫予定本数を算出する、請求項3に記載の園芸品の収穫時期予測システム。
【請求項5】
前記記憶する手段には、
複数の前記過去サンプルデータが、前記園芸品の生産地、生産年、作型、品種の少なくともいずれか一つに対応づけて記憶されており、
前記決定する手段は、
生産地、生産年、作型、品種の少なくともいずれか一つがユーザ入力された場合に、前記複数の過去サンプルデータのうち前記ユーザ入力に応じて選択された過去サンプルデータに基づいて、前記着色時花蕾径幅を決定する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の園芸品の収穫時期予測システム。
【請求項6】
園芸品の収穫時期予測システムで実行される方法であって、
過去に栽培した園芸品について、当該園芸品に含まれる複数の参照用サンプルの花蕾径のデータおよび当該参照用サンプルの花蕾が着色しているか否かのデータを、前記園芸品の過去サンプルデータとして記憶することと、
前記過去サンプルデータに基づいて、前記花蕾が着色したときの花蕾径が最小であった着色時花蕾径最小値から前記花蕾が着色したときの花蕾径が最大であった着色時花蕾径最大値までの幅を、前記園芸品の着色時花蕾径幅として決定することと、
現在栽培している前記園芸品について、当該園芸品に含まれる予測用サンプルの花蕾径のデータを、前記園芸品の現在サンプルデータとして取得することと、
前記現在サンプルデータと前記着色時花蕾径幅に基づいて、前記現在栽培している園芸品の花蕾が現在から何日後に着色するかを推定し、最も早く着色すると推定される最早着色予定日から最も遅く着色すると推定される最遅着色予定日までの時期を、前記現在栽培している園芸品の収穫時期として予測することと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
園芸品の収穫時期予測システムで実行されるプログラムであって、
前記収穫時期予測システムには、
過去に栽培した園芸品について、当該園芸品に含まれる複数の参照用サンプルの花蕾径のデータおよび当該参照用サンプルの花蕾が着色しているか否かのデータが、前記園芸品の過去サンプルデータとして記憶されており、
前記プログラムは、前記収穫時期予測システムに、
前記過去サンプルデータに基づいて、前記花蕾が着色したときの花蕾径が最小であった着色時花蕾径最小値から前記花蕾が着色したときの花蕾径が最大であった着色時花蕾径最大値までの幅を、前記園芸品の着色時花蕾径幅として決定する処理と、
現在栽培している前記園芸品について、当該園芸品に含まれる予測用サンプルの花蕾径のデータを、前記園芸品の現在サンプルデータとして取得する処理と、
前記現在サンプルデータと前記着色時花蕾径幅に基づいて、前記現在栽培している園芸品の花蕾が現在から何日後に着色するかを推定し、最も早く着色すると推定される最早着色予定日から最も遅く着色すると推定される最遅着色予定日までの時期を、前記現在栽培している園芸品の収穫時期として予測する処理と、
を実行させる、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花卉や野菜などの園芸品の収穫時期を予測するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、園芸品の収穫時期を予測するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来のシステムでは、画像撮影されたトマトの果実の直径と高さの比率から、その果実の収穫時期が判定される。例えば、画像撮影されたトマトの果実の直径と高さの比率が所定の閾値(例えば、直径/高さの値が1.2)を超えると、トマトの収穫時期であると判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムでは、画像撮影されたトマトの果実の大きさがある一定の値(閾値)に達する時期が、トマト(画像撮影されたトマト以外も含めたすべてのトマト)の収穫時期として判定されるが、個々の果実の育成状況にはばらつきがあるため、収穫には適さないもの(まだ収穫時期ではないもの、収穫時期を過ぎてしまったもの)も、収穫時期であると判定されてしまう。従来のシステムでは、ある一定の幅(最も早く収穫できる日から最も遅く収穫できる日という幅)をもって、トマトの収穫時期を予測することはできない。
【0005】
また、トマト(特に、市場に供給されるようなトマト)は、施設栽培されるのが一般的である。施設栽培は、環境制御が容易であり、均一の環境で栽培を行うことができる。したがって、トマトのような施設栽培される作物は、気象条件(気温や湿度など)や環境条件(日照時間など)の影響を受けることが少なく、果実の成長予測も容易である。一方、露地栽培では、気象条件や環境条件の影響を受けることが多い。したがって、露地栽培される園芸品は、その成長予測が難しく、収穫時期を予測することも困難である。従来のシステムでは、施設栽培される果実の収穫時期を判定することはできるものの、露地栽培される園芸品の収穫時期の予測をすることは極めて困難である。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、ある一定の幅(園芸品の花蕾が最も早く着色する予定日から最も遅く着色する予定日までの幅)をもって、園芸品の収穫時期を予測することのできるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の園芸品の収穫時期予測システムは、過去に栽培した園芸品について、当該園芸品に含まれる複数の参照用サンプルの花蕾径のデータおよび当該参照用サンプルの花蕾が着色しているか否かのデータを、前記園芸品の過去サンプルデータとして記憶する手段と、前記過去サンプルデータに基づいて、前記花蕾が着色したときの花蕾径が最小であった着色時花蕾径最小値から前記花蕾が着色したときの花蕾径が最大であった着色時花蕾径最大値までの幅を、前記園芸品の着色時花蕾径幅として決定する手段と、現在栽培している前記園芸品について、当該園芸品に含まれる予測用サンプルの花蕾径のデータを、前記園芸品の現在サンプルデータとして取得する手段と、前記現在サンプルデータと前記着色時花蕾径幅に基づいて、前記現在栽培している園芸品の花蕾が現在から何日後に着色するかを推定し、最も早く着色すると推定される最早着色予定日から最も遅く着色すると推定される最遅着色予定日までの時期を、前記現在栽培している園芸品の収穫時期として予測する手段と、を備えている。
【0008】
この構成によれば、過去に栽培した園芸品から取得した過去サンプルデータ(過去に栽培した園芸品のなかの複数の参照用サンプルの花蕾径のデータとその花蕾が着色しているか否かのデータ)に基づいて、その園芸品の着色時花蕾径幅(着色花蕾径最小値から着色花蕾径最大値までの幅)が決定され、現在栽培している園芸品から取得する現在サンプルデータ(現在栽培している園芸品のなかの予測用サンプルの花蕾径のデータ)と上記の着色時花蕾径幅に基づいて、その園芸品の収穫時期(最早着色予定日から最遅着色予定日までの時期)を予測することができる。このように、過去に栽培した園芸品の着色時花蕾径幅(花蕾が着色したときの花蕾径の幅)を用いることにより、現在栽培している園芸品の収穫時期(花蕾が最も早く着色する予定日から最も遅く着色する予定日までの時期)を適切に予測することができる。
【0009】
また、本発明の園芸品の収穫時期予測システムでは、前記記憶する手段に、前記過去サンプルデータとして、前記参照用サンプルの花蕾径を測定した日付に関するデータが、前記参照用サンプルの花蕾径および前記花蕾径が着色しているか否かのデータに対応づけて記憶されており、前記決定する手段は、前記過去サンプルデータに基づいて、所定の基準日からの経過日数に対する花蕾径の大きさの変化を示す成長モデル関数を算出するとともに、前記着色時花蕾径幅に対応する日数幅を算出し、前記取得する手段は、前記現在サンプルデータとして、前記予測用サンプルの花蕾径のデータとともに、当該予測用サンプルの花蕾径を測定した日付に関するデータを取得し、前記予測する手段は、前記現在サンプルデータと前記成長モデル関数と前記日数幅に基づいて、前記最早着色予定日と前記最遅着色予定日を求めてもよい。
【0010】
この構成によれば、過去に栽培した園芸品から取得した過去サンプルデータ(花蕾径を測定した日付に関するデータが含まれる)に基づいて、園芸品の成長モデル関数(経過日数に対する花蕾径の大きさの変化を示す関数)が算出され、着色時花蕾径幅に対応する日数幅が決定され、現在栽培している園芸品から取得する現在サンプルデータ(予測用サンプルの花蕾径を測定した日付に関するデータが含まれる)と成長モデル関数と日数幅に基づいて、その園芸品の収穫時期(最早着色予定日と最遅着色予定日)を予測することができる。このように、過去に栽培した園芸品の過去サンプルデータから導出された成長モデル関数(複数の参照用サンプルから導出された代表的な関数)と日数幅(着色時花蕾径幅に対応する)を用いることにより、現在栽培している園芸品の収穫時期を適切に予測することができる。
【0011】
また、本発明の園芸品の収穫時期予測システムでは、前記取得する手段は、前記現在サンプルデータとして、複数の前記予測用サンプルの各々について、前記予測用サンプルの花蕾径のデータとともに、前記予測用サンプルの花蕾径を測定した日付に関するデータを、それぞれ異なる日に少なくとも2回以上取得し、前記予測する手段は、前記現在サンプルデータに基づいて、複数の前記予測用サンプルの各々について、所定の基準日からの経過日数に対する花蕾径の大きさの変化を示す成長モデル関数を算出し、前記成長モデル関数と前記着色時花蕾径幅に基づいて、前記複数の予測用サンプルの各々の花蕾の着色予定時期を推定し、前記複数の予測用サンプルの各々の花蕾の着色予定時期に基づいて、前記現在栽培している園芸品の収穫時期を予測してもよい。
【0012】
この構成によれば、現在栽培している園芸品から取得する現在サンプルデータ(複数の予測用サンプルの各々の花蕾径を測定した日付に関するデータが含まれ、それぞれ異なる日に少なくとも2回以上取得される)に基づいて、複数の予測用サンプルの各々の成長モデル関数(経過日数に対する花蕾径の大きさの変化を示す関数)が算出され、複数の予測用サンプルの各々の着色予定時期(最早着色予定日と最遅着色予定日)を推定して、現在栽培している園芸品の収穫時期を適切に予測することができる。
【0013】
また、本発明の園芸品の収穫時期予測システムでは、前記予測する手段は、前記複数の予測用サンプルの各々の花蕾の着色予定時期と、前記現在栽培している園芸品の収穫時期における総収穫予定本数に基づいて、前記現在栽培している園芸品の収穫時期における日別の収穫予定本数を算出してもよい。
【0014】
この構成によれば、複数の予測用サンプルの各々の花蕾の着色予定時期(例えば、サンプル1:6月29日~7月2日、サンプル2:6月30日~7月5日、サンプル3:7月3日~7月7日)と、現在栽培している園芸品の収穫時期における総収穫予定本数(例えば、3000本)から、現在栽培している園芸品の収穫時期における日別の収穫予定本数(例えば、6月29日:250本、6月30日:450本、・・・、7月7日:200本)を適切に算出することが可能になる。
【0015】
また、本発明の園芸品の収穫時期予測システムでは、前記記憶する手段に、複数の前記過去サンプルデータが、前記園芸品の生産地、生産年、作型、品種の少なくともいずれか一つに対応づけて記憶されており、前記決定する手段は、生産地、生産年、作型、品種の少なくともいずれか一つがユーザ入力された場合に、前記複数の過去サンプルデータのうち前記ユーザ入力に応じて選択された過去サンプルデータに基づいて、前記着色時花蕾径幅を決定してもよい。
【0016】
この構成によれば、ユーザ入力(園芸品の生産地、生産年、作型、品種の少なくともいずれか一つ)に応じて選択された過去サンプルデータに基づいて着色時花蕾径幅が決定され、現在栽培している園芸品の収穫時期が予測される。ユーザ入力される生産地(圃場、地域、県など)、生産年、作型、品種の少なくともいずれか一つに基づいて、現在栽培している園芸品と栽培環境(気象条件や環境条件など)が近い過去サンプルデータを選択して用いることにより、園芸品の収穫時期を適切に予測することができる。
【0017】
本発明の方法は、園芸品の収穫時期予測システムで実行される方法であって、過去に栽培した園芸品について、当該園芸品に含まれる複数の参照用サンプルの花蕾径のデータおよび当該参照用サンプルの花蕾が着色しているか否かのデータを、前記園芸品の過去サンプルデータとして記憶することと、前記過去サンプルデータに基づいて、前記花蕾が着色したときの花蕾径が最小であった着色時花蕾径最小値から前記花蕾が着色したときの花蕾径が最大であった着色時花蕾径最大値までの幅を、前記園芸品の着色時花蕾径幅として決定することと、現在栽培している前記園芸品について、当該園芸品に含まれる予測用サンプルの花蕾径のデータを、前記園芸品の現在サンプルデータとして取得することと、前記現在サンプルデータと前記着色時花蕾径幅に基づいて、前記現在栽培している園芸品の花蕾が現在から何日後に着色するかを推定し、最も早く着色すると推定される最早着色予定日から最も遅く着色すると推定される最遅着色予定日までの時期を、前記現在栽培している園芸品の収穫時期として予測することと、を含んでいる。
【0018】
この方法によっても、上記のシステムと同様に、過去に栽培した園芸品から取得した過去サンプルデータ(過去に栽培した園芸品のなかの複数の参照用サンプルの花蕾径のデータとその花蕾が着色しているか否かのデータ)に基づいて、その園芸品の着色時花蕾径幅(着色花蕾径最小値から着色花蕾径最大値までの幅)が決定され、現在栽培している園芸品から取得する現在サンプルデータ(現在栽培している園芸品のなかの予測用サンプルの花蕾径のデータ)と上記の着色時花蕾径幅に基づいて、その園芸品の収穫時期(最早着色予定日から最遅着色予定日までの時期)を予測することができる。このように、過去に栽培した園芸品の着色時花蕾径幅(花蕾が着色したときの花蕾径の幅)を用いることにより、現在栽培している園芸品の収穫時期(花蕾が最も早く着色する予定日から最も遅く着色する予定日までの時期)を適切に予測することができる。
【0019】
本発明のプログラムは、園芸品の収穫時期予測システムで実行されるプログラムであって、前記収穫時期予測システムには、過去に栽培した園芸品について、当該園芸品に含まれる複数の参照用サンプルの花蕾径のデータおよび当該参照用サンプルの花蕾が着色しているか否かのデータが、前記園芸品の過去サンプルデータとして記憶されており、前記プログラムは、前記収穫時期予測システムに、前記過去サンプルデータに基づいて、前記花蕾が着色したときの花蕾径が最小であった着色時花蕾径最小値から前記花蕾が着色したときの花蕾径が最大であった着色時花蕾径最大値までの幅を、前記園芸品の着色時花蕾径幅として決定する処理と、現在栽培している前記園芸品について、当該園芸品に含まれる予測用サンプルの花蕾径のデータを、前記園芸品の現在サンプルデータとして取得する処理と、前記現在サンプルデータと前記着色時花蕾径幅に基づいて、前記現在栽培している園芸品の花蕾が現在から何日後に着色するかを推定し、最も早く着色すると推定される最早着色予定日から最も遅く着色すると推定される最遅着色予定日までの時期を、前記現在栽培している園芸品の収穫時期として予測する処理と、を実行させる。
【0020】
このプログラムによっても、上記のシステムと同様に、過去に栽培した園芸品から取得した過去サンプルデータ(過去に栽培した園芸品のなかの複数の参照用サンプルの花蕾径のデータとその花蕾が着色しているか否かのデータ)に基づいて、その園芸品の着色時花蕾径幅(着色花蕾径最小値から着色花蕾径最大値までの幅)が決定され、現在栽培している園芸品から取得する現在サンプルデータ(現在栽培している園芸品のなかの予測用サンプルの花蕾径のデータ)と上記の着色時花蕾径幅に基づいて、その園芸品の収穫時期(最早着色予定日から最遅着色予定日までの時期)を予測することができる。このように、過去に栽培した園芸品の着色時花蕾径幅(花蕾が着色したときの花蕾径の幅)を用いることにより、現在栽培している園芸品の収穫時期(花蕾が最も早く着色する予定日から最も遅く着色する予定日までの時期)を適切に予測することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ある一定の幅(園芸品の花蕾が最も早く着色する予定日から最も遅く着色する予定日までの幅)をもって、園芸品の収穫時期を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態における収穫時期予測システムの構成を示す図である。
【
図2】ユーザ端末からデータをユーザ入力する画面の一例を示す図である。
【
図3】収穫時期予測システム(記憶部)に記憶されるデータの一例を示す図である。
【
図4】ユーザ入力に基づいて選択された過去サンプルデータを用いて、着色時花蕾径の最小値および最大値を算出する例を示す図である。
【
図5】第1の実施の形態における収穫時期予測(過去の成長推移に基づく予測)を説明する図である。
【
図6】第1実施の形態における収穫時期予測システムの処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【
図7】第2の実施の形態における収穫時期予測(現在の成長推移に基づく予測)を説明する図である。
【
図8】第2の実施の形態における日別の収穫予定本数の予測方法を説明する図である。
【
図9】第2実施の形態における収穫時期予測システムの処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態の園芸品の収穫時期予測システムについて、図面を用いて説明する。本実施の形態では、露地栽培される花卉等の園芸品の収穫時期を予測するシステムの場合を例示する。本実施の形態における収穫時期予測は、システムのメモリに記憶されたプログラムによって、コンピュータを動作させることで実現することができる。
【0024】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の収穫時期予測システムの構成を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の収穫時期予測システムの構成を示す図である。
図1に示すように、収穫時期予測システム1は、例えばサーバ装置などで構成されており、インターネット網などのネットワークNを介して、外部のユーザ端末Uと接続されている。ユーザ端末Uは、例えばスマートフォンなどの携帯端末やパーソナルコンピュータなどの端末装置であり、花卉が栽培される圃場(例えば、A圃場、B圃場など)でユーザ(栽培者)によって使用される。
【0025】
図1に示すように、この収穫時期予測システム1は、ユーザ装置から送信される各種のデータを受信する受信部2と、ユーザ装置に各種のデータを送信する送信部3を備えている。また、収穫時期予測システム1は、収穫時期の予測をするための各種のデータを記憶する記憶部4と、収穫時期の予測をするための各種の処理を実行する制御部5を備えている。制御部5は、機能ブロックとして、過去サンプルデータ読出し部6と、決定処理部7と、現在サンプルデータ取得部8と、予測処理部9を備えている。
【0026】
記憶部4には、過去に栽培した花卉について、ユーザ端末Uから入力された複数の参照用サンプルの花蕾径のデータおよびその参照用サンプルの花蕾が着色しているか否かのデータが、過去サンプルデータとして記憶されている。この場合、記憶部4には、過去サンプルデータとして、参照用サンプルの花蕾径を測定した日付に関するデータが、参照用サンプルの花蕾径および花蕾径が着色しているか否かのデータに対応づけて記憶されている。また、記憶部4には、複数の過去サンプルデータが、花卉の生産地、生産年、作型、品種の少なくともいずれか一つに対応づけて記憶されている。
【0027】
図2は、ユーザ端末Uからデータをユーザ入力する画面の一例を示す図である。
図2に示すように、ユーザ端末Uからは、花卉のサンプル番号、花卉の花蕾径を測定した日付と測定値(1回目と2回目)、花蕾が着色した日付と花蕾径などのデータを入力することができる。ユーザ端末Uから入力されたデータは、収穫時期予測システム1に送信され、記憶部4に記憶される。
【0028】
図3は、収穫時期予測システム1の記憶部4に記憶されるデータの一例を示す図である。
図3の例では、花卉の生産年、作型、品種、電照・非電照、圃場名、管理番号(サンプル番号)、花蕾径を測定した日付と測定値(1回目と2回目)、花蕾が着色した日付と花蕾径のデータが記憶されている。
【0029】
過去サンプルデータ読出し部6は、記憶部4に記憶された過去サンプルデータを読み出す機能を備えている。過去サンプルデータ読出し部6は、生産地、生産年、作型、品種の少なくともいずれか一つがユーザ入力された場合に、複数の過去サンプルデータのうちユーザ入力に応じて選択された過去サンプルデータを読み出す機能を備えている。記憶部4から読み出された過去サンプルデータは、決定処理部7で用いられる。
【0030】
決定処理部7は、記憶部4から読み出された過去サンプルデータに基づいて、花蕾が着色したときの花蕾径が最小であった着色時花蕾径最小値から花蕾が着色したときの花蕾径が最大であった着色時花蕾径最大値までの幅を、花卉の着色時花蕾径幅として決定する機能を備えている。この場合、決定処理部7は、過去サンプルデータに基づいて、所定の基準日からの経過日数に対する花蕾径の大きさの変化を示す成長モデル関数(
図5の例では、検量線y=ax+b)を算出するとともに、着色時花蕾径幅に対応する日数幅を算出することができる。また、決定処理部7は、生産地、生産年、作型、品種の少なくともいずれか一つがユーザ入力された場合に、複数の過去サンプルデータのうちユーザ入力に応じて選択された過去サンプルデータに基づいて、着色時花蕾径幅を決定することができる。
【0031】
図4は、ユーザ入力に基づいて選択された過去サンプルデータを用いて、着色時花蕾径の最小値および最大値を算出する例を示す図である。
図4の例では、「生産地:A圃場、生産年2019年、作型:8月出荷、品種:品種A、電照/非電照:非電照」というユーザ入力に基づいて選択された過去サンプルデータを用いて、着色時花蕾径の最小値が「9.125mm」、着色時花蕾径の最大値が「9.725mm」と算出されている。
【0032】
現在サンプルデータ取得部8は、現在栽培している花卉について、その花卉に含まれる予測用サンプルの花蕾径のデータを、花卉の現在サンプルデータとして取得する機能を備えている。この場合、現在サンプルデータ取得部8は、現在サンプルデータとして、予測用サンプルの花蕾径のデータとともに、その予測用サンプルの花蕾径を測定した日付に関するデータを取得することができる。
【0033】
予測処理部9は、現在サンプルデータと着色時花蕾径幅に基づいて、現在栽培している花卉の花蕾が現在から何日後に着色するかを推定し、最も早く着色すると推定される最早着色予定日から最も遅く着色すると推定される最遅着色予定日までの時期を、現在栽培している花卉の収穫時期として予測する機能を備えている。この場合、予測処理部9は、現在サンプルデータと成長モデル関数と日数幅に基づいて、最早着色予定日と最遅着色予定日を求めることができる。
【0034】
図5は、本実施の形態における収穫時期予測(過去の成長推移に基づく予測)を説明する図である。
図5に示すように、本実施の形態における収穫時期予測では、複数の参照用サンプル(
図5では、サンプル1、2、3・・・)について少なくとも2つの異なる日にちに計測された花蕾径のデータ(過去サンプルデータ)に基づいて、日数xに対する花蕾径yの成長の度合いを表す成長モデル関数(
図5では、検量線y=ax+b)を算出し、着色時花蕾径幅(着色時の花蕾径の幅)に対応する日数幅(着色までの日数の幅)を算出する。そして、成長モデル関数と日数幅を用いて、現在の日付と花蕾径(
図5では、予測時計測日と予測時花蕾径)から、最早着色予定日(
図5では、予測時計測日からd1日後の日付)と最遅着色予定日(
図5では、予測時計測日からd2日後の日付)が求められ、花卉の収穫時期(
図5では、計測日からd1日後~d2日後に着色する)が予測される。
【0035】
以上のように構成された収穫時期予測システム1について、
図6のシーケンス図を参照してその動作を説明する。
【0036】
第1の実施の形態の収穫時期予測システム1では、花卉を栽培しているユーザのユーザ端末Uで、複数の参照用サンプル(例えば、サンプル1、2、3)の花卉のサンプル番号、花卉の花蕾径を測定した日付と測定値(1回目と2回目)、花蕾が着色した日付と花蕾径などのデータを適時入力する(
図2参照)。ユーザ端末Uから入力されたデータは、収穫時期予測システム1に送信され、過去サンプルデータとして収穫時期予測システム1の記憶部4に記憶される(
図3参照)。
【0037】
収穫時期の予測をする場合には、
図4に示すように、ユーザ端末Uから収穫時期予測に用いる「生産地、作型、品種、電照/非電照」のデータや、現在栽培している花卉に含まれる予測用サンプルの花蕾径と日付のデータ(現在サンプルデータ)が入力され(S10)、ユーザ端末Uから入力されたデータ(ユーザ入力)は、収穫時期予測システム1に送信される(S11)。
【0038】
収穫時期予測システム1では、ユーザ端末Uから入力された「生産地、作型、品種、電照/非電照」のデータに基づいて、栽培環境(気象条件や環境条件など)が近い過去サンプルデータが読み出され(S12)、成長モデル関数(
図5では、検量線y=ax+b)を算出し、着色時花蕾径幅(着色時の花蕾径の幅)に対応する日数幅(着色までの日数の幅)を算出する(S13)。
【0039】
そして、収穫時期予測システム1では、ユーザ端末Uから入力された現在サンプルデータ(
図5では、予測時計測日と予測時花蕾径)を取得して(S14)、最早着色予定日(
図5では、予測時計測日からd1日後の日付)と最遅着色予定日(
図5では、予測時計測日からd2日後の日付)を算出し、花卉の収穫時期(
図5では、計測日からd1日後~d2日後に着色する)を予測する(S15)。
【0040】
このようにして予測された花卉の収穫時期(予測結果)は、収穫時期予測システム1からユーザ端末Uへ送信され(S16)、ユーザ端末Uの画面上に表示される(S17)。
【0041】
このような第1の実施の形態の収穫時期予測システム1によれば、過去に栽培した花卉から取得した過去サンプルデータ(過去に栽培した花卉のなかの複数の参照用サンプルの花蕾径のデータとその花蕾が着色しているか否かのデータ)に基づいて、その花卉の着色時花蕾径幅(着色花蕾径最小値から着色花蕾径最大値までの幅)が決定され、現在栽培している花卉から取得する現在サンプルデータ(現在栽培している花卉のなかの予測用サンプルの花蕾径のデータ)と上記の着色時花蕾径幅に基づいて、その花卉の収穫時期(最早着色予定日から最遅着色予定日までの時期)を予測することができる。このように、過去に栽培した花卉の着色時花蕾径幅(花蕾が着色したときの花蕾径の幅)を用いることにより、現在栽培している花卉の収穫時期(花蕾が最も早く着色する予定日から最も遅く着色する予定日までの時期)を適切に予測することができる。
【0042】
本実施の形態では、過去に栽培した花卉から取得した過去サンプルデータ(花蕾径を測定した日付に関するデータが含まれる)に基づいて、花卉の成長モデル関数(経過日数に対する花蕾径の大きさの変化を示す関数)が算出され、着色時花蕾径幅に対応する日数幅が決定され、現在栽培している花卉から取得する現在サンプルデータ(予測用サンプルの花蕾径を測定した日付に関するデータが含まれる)と成長モデル関数と日数幅に基づいて、その花卉の収穫時期(最早着色予定日と最遅着色予定日)を予測することができる。このように、過去に栽培した花卉の過去サンプルデータから導出された成長モデル関数(複数の参照用サンプルから導出された代表的な関数)と日数幅(着色時花蕾径幅に対応する)を用いることにより、現在栽培している花卉の収穫時期を適切に予測することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、ユーザ入力(花卉の生産地、生産年、作型、品種の少なくともいずれか一つ)に応じて選択された過去サンプルデータに基づいて着色時花蕾径幅が決定され、現在栽培している花卉の収穫時期が予測される。特に、露地栽培では環境を制御して花卉を栽培することが難しいが、ユーザ入力される生産地(圃場、地域、県など)、生産年、作型、品種の少なくともいずれか一つに基づいて、現在栽培している花卉と栽培環境(気象条件や環境条件など)が近い過去サンプルデータを選択して用いることにより、花卉の収穫時期を適切に予測することができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態の収穫時期予測システム1について説明する。ここでは、第2の実施の形態の収穫時期予測システム1が、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0045】
本実施の形態では、現在サンプルデータ取得部8は、現在サンプルデータとして、複数の予測用サンプルの各々について、予測用サンプルの花蕾径のデータとともに、予測用サンプルの花蕾径を測定した日付に関するデータを、それぞれ異なる日に少なくとも2回以上取得する。
【0046】
そして、予測処理部9は、現在サンプルデータに基づいて、複数の予測用サンプルの各々について、所定の基準日からの経過日数に対する花蕾径の大きさの変化を示す成長モデル関数を算出し、成長モデル関数と着色時花蕾径幅に基づいて、複数の予測用サンプルの各々の花蕾の着色予定時期を推定し、複数の予測用サンプルの各々の花蕾の着色予定時期に基づいて、現在栽培している花卉の収穫時期を予測する。
【0047】
また、予測処理部9は、複数の予測用サンプルの各々の花蕾の着色予定時期と、現在栽培している花卉の収穫時期における総収穫予定本数に基づいて、現在栽培している花卉の収穫時期における日別の収穫予定本数を算出する。
【0048】
図7は、本実施の形態における収穫時期予測(現在の成長推移に基づく予測)を説明する図である。
図7に示すように、本実施の形態における収穫時期予測では、現在栽培している複数の予測用サンプルの花卉(
図7では、サンプル1、2、3・・・)の各々について、少なくとも2つの異なる日にちに計測された花蕾径のデータ(現在サンプルデータ)を取得して、複数の予測用サンプルの花卉(
図7では、サンプル1、2、3・・・)の各々の成長モデル関数(検量線)を算出する。
【0049】
一方、第1の実施の形態と同様に、複数の参照用サンプル(
図5では、サンプル1、2、3・・・)について少なくとも2つの異なる日にちに計測された花蕾径のデータ(過去サンプルデータ)に基づいて、日数xに対する花蕾径yの成長の度合いを表す成長モデル関数(
図5では、検量線y=ax+b)を算出し、着色時花蕾径幅(着色時の花蕾径の幅)に対応する日数幅(着色までの日数の幅)を算出する。
【0050】
そして、複数の予測用サンプルの花卉(
図7では、サンプル1、2、3・・・)の各々の成長モデル関数(検量線)と日数幅を用いて、複数の予測用サンプルの花卉(
図7では、サンプル1、2、3・・・)の各々について、最早着色予定日と最遅着色予定日(
図7では、サンプル1:6月29日~7月2日、サンプル2:6月30日~7月5日、サンプル3:7月3日~7月7日・・・)が求められ、花卉の収穫時期(
図7では、6月29日~7月7日)が予測される。
【0051】
本実施の形態では、日別の収穫予定本数の予測をすることができる。
図8は、日別の収穫予定本数の予測方法を説明する図である。本実施の形態では、
図8に示すように、複数の予測用サンプルの花卉(
図8では、サンプル1、2、3・・・)の各々について、日別の収穫率を算出する。例えば、サンプル1は、収獲時期が6月29日~7月2日の4日間であるため、サンプル1の収穫率(合計で1.0)を4等分することにより「6月29日:0.25、6月30日:0.25、7月1日:0.25、7月2日:0.25」と算出される。
【0052】
サンプル2、3・・・についても、同様に日別の収穫率を算出し、それらを合計すると、サンプル1、2、3・・・の合計収穫率(合計で3.0)は、「6月29日:0.25、6月30日:0.45、・・・、7月7日:0.2」と算出される。そして、この合計収穫率を規格化(合計で1.0)とすると、「6月29日:0.083、6月30日:0.15、・・・、7月7日:0.066」となる。
【0053】
ユーザが合計で3000本分の収穫を見込んで花卉を栽培していたとすると、上記の規格化した収穫率「6月29日:0.083、6月30日:0.15、・・・、7月7日:0.066」に収穫本数を乗算することにより、日別の収穫予定本数「6月29日:250本、6月30日:450本、・・・、7月7日:200本」を算出することができる。
【0054】
以上のように構成された収穫時期予測システム1について、
図9のシーケンス図を用いてその動作を説明する。
【0055】
第2の実施の形態の収穫時期予測システム1でも、第1の実施の形態と同様、花卉を栽培しているユーザのユーザ端末Uで、複数の参照用サンプル(例えば、サンプル1、2、3)の花卉のサンプル番号、花卉の花蕾径を測定した日付と測定値(1回目と2回目)、花蕾が着色した日付と花蕾径などのデータを適時入力する(
図2参照)。ユーザ端末Uから入力されたデータは、収穫時期予測システム1に送信され、過去サンプルデータとして収穫時期予測システム1の記憶部4に記憶される(
図3参照)。
【0056】
収穫時期の予測をする場合には、ユーザ端末Uから収穫時期予測に用いる「生産地、作型、品種、電照/非電照」のデータや、現在栽培している花卉に含まれる複数の予測用サンプルの花蕾径と日付のデータ(現在サンプルデータ)が入力され(S20)、ユーザ端末Uから入力されたデータ(ユーザ入力)は、収穫時期予測システム1に送信される(S21)。
【0057】
収穫時期予測システム1では、現在栽培している複数の予測用サンプルの花卉(
図7では、サンプル1、2、3・・・)の各々について、少なくとも2つの異なる日にちに計測された花蕾径のデータ(現在サンプルデータ)を取得して(S22)、複数の予測用サンプルの花卉(
図7では、サンプル1、2、3・・・)の各々の成長モデル関数(検量線)を算出する(S23)。
【0058】
また、ユーザ端末Uから入力された「生産地、作型、品種、電照/非電照」のデータに基づいて、栽培環境(気象条件や環境条件など)が近い過去サンプルデータが読み出され(S24)、第1の実施の形態と同様に、着色時花蕾径幅(着色時の花蕾径の幅)に対応する日数幅(着色までの日数の幅)を算出する(S25)。
【0059】
そして、収穫時期予測システム1では、複数の予測用サンプルの花卉(
図7では、サンプル1、2、3・・・)の各々の成長モデル関数(検量線)と日数幅を用いて、複数の予測用サンプルの花卉(
図7では、サンプル1、2、3・・・)の各々について、最早着色予定日と最遅着色予定日(
図7では、サンプル1:6月29日~7月2日、サンプル2:6月30日~7月5日、サンプル3:7月3日~7月7日・・・)が求められ、花卉の収穫時期(
図7では、6月29日~7月7日)が予測される(S26)。
【0060】
さらに、本実施の形態では、複数の予測用サンプルの各々の花蕾の着色予定時期(
図8では、サンプル1:6月29日~7月2日、サンプル2:6月30日~7月5日、サンプル3:7月3日~7月7日)と、現在栽培している花卉の収穫時期における総収穫予定本数(
図8では、3000本)に基づいて、現在栽培している花卉の収穫時期における日別の収穫予定本数(
図8では、6月29日:250本、6月30日:450本、・・・、7月7日:200本)が算出される(S27)。
【0061】
このようにして予測された花卉の収穫時期および日別の収穫予定本数(予測結果)は、収穫時期予測システム1からユーザ端末Uへ送信され(S28)、ユーザ端末Uの画面上に表示される(S29)。
【0062】
このような第2の実施の形態の収穫時期予測システム1によっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0063】
その上、本実施の形態では、現在栽培している花卉から取得する現在サンプルデータ(複数の予測用サンプルの各々の花蕾径を測定した日付に関するデータが含まれ、それぞれ異なる日に少なくとも2回以上取得される)に基づいて、複数の予測用サンプルの各々の成長モデル関数(経過日数に対する花蕾径の大きさの変化を示す関数)が算出され、複数の予測用サンプルの各々の着色予定時期(最早着色予定日と最遅着色予定日)を推定して、現在栽培している花卉の収穫時期を適切に予測することができる。
【0064】
また、本実施の形態では、複数の予測用サンプルの各々の花蕾の着色予定時期(例えば、サンプル1:6月29日~7月2日、サンプル2:6月30日~7月5日、サンプル3:7月3日~7月7日)と、現在栽培している花卉の収穫時期における総収穫予定本数(例えば、3000本)から、現在栽培している花卉の収穫時期における日別の収穫予定本数(6月29日:250本、6月30日:450本、・・・、7月7日:200本)を適切に算出することが可能になる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明にかかる収穫時期予測システムは、ある一定の幅(園芸品の花蕾が最も早く着色する予定日から最も遅く着色する予定日までの幅)をもって、園芸品の収穫時期を予測することができるという効果を有し、例えば花卉等の園芸品の収穫時期を予測するシステムとして有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 収穫時期予測システム
2 受信部
3 送信部
4 記憶部
5 制御部
6 過去サンプルデータ読出し部
7 決定処理部
8 現在サンプルデータ取得部
9 予測処理部
N ネットワーク
U ユーザ端末